(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-11
(45)【発行日】2024-12-19
(54)【発明の名称】導電基板およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20241212BHJP
H05K 3/46 20060101ALI20241212BHJP
H05K 1/11 20060101ALI20241212BHJP
H05K 3/40 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
H05K1/02 J
H05K1/02 N
H05K3/46 N
H05K1/11 H
H05K3/40 E
(21)【出願番号】P 2023015533
(22)【出願日】2023-02-03
(62)【分割の表示】P 2021215215の分割
【原出願日】2017-02-03
【審査請求日】2023-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100120385
【氏名又は名称】鈴木 健之
(72)【発明者】
【氏名】倉持 悟
【審査官】鹿野 博司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0139300(US,A1)
【文献】特開平07-235811(JP,A)
【文献】特開2015-211147(JP,A)
【文献】国際公開第2008/026690(WO,A1)
【文献】特開2006-303398(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/02
H05K 3/46
H05K 1/11
H05K 3/40
H01P 3/00
H01P 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面及び前記第1面と反対の第2面を有し、前記第1面から前記第2面まで貫通する貫通孔が設けられた基板と、
前記貫通孔の内部に位置し、前記貫通孔の側壁側から中央側に順に、銅を含有するシード層と、めっき層とを有し、内部にめっき層が存在しない空間がある貫通電極と、
前記貫通電極の内部の空間を埋めるように前記第1面上に位置
し、ポリイミド及びエポキシの少なくとも一方を含有する有機層と、
前記有機層上に位置し、前記有機層を貫通して前記貫通電極に接続された信号層と、
間隔を空けて前記信号層に隣り合うように前記有機層上に位置し、前記信号層に面しない端部の少なくとも一部の範囲にわたって前記第1面に沿った面方向に突出した複数の凸部を有するグランド層と、
前記グランド層の複数の凸部間の間隙を通して前記有機層に接するように前記グランド層上および前記信号層上に位置
し、ポリイミド及びエポキシの少なくとも一方を含有する第2有機層と、を備える、導電基板。
【請求項2】
第1面及び前記第1面と反対の第2面を有し、前記第1面から前記第2面まで貫通する貫通孔が設けられた基板と、
前記貫通孔の内部に位置し、前記貫通孔の側壁側から中央側に順に、銅を含有するシード層と、めっき層とを有し、内部にめっき層が存在しない空間がある貫通電極と、
前記貫通電極の内部の空間を埋めるように前記第1面上に位置
し、ポリイミド及びエポキシの少なくとも一方を含有する有機層と、
前記有機層上に位置
し、ポリイミド及びエポキシの少なくとも一方を含有する第2有機層と、
前記第2有機層上に位置し、前記第2有機層および前記有機層を貫通して前記貫通電極に接続された信号層と、
間隔を空けて前記信号層に隣り合うように前記第2有機層上に位置し、前記信号層に面しない端部の少なくとも一部の範囲にわたって前記第1面に沿った面方向に突出した複数の凸部を有するグランド層と、を備える、導電基板。
【請求項3】
第1面及び前記第1面と反対の第2面を有する基板と、
部分的に前記第1面に接するように前記基板上に位置する有機層と、
前記有機層上に位置する信号層と、
前記第1面に接するように前記基板と前記有機層との間に位置し、前記信号層に面しない端部の少なくとも一部の範囲にわたって前記第1面に沿った面方向に突出した複数の凸部を有し、前記複数の凸部間の間隙を通して前記有機層が前記第1面に接している第1のグランド層と、
部分的に前記有機層に接するように前記信号層上に位置する第2有機層と、
前記第2有機層上に位置し、前記信号層に面しない端部の少なくとも一部の範囲にわたって前記第1面に沿った面方向に突出した複数の凸部を有する第2のグランド層と、を備え
、
前記信号層、前記第1のグランド層、及び前記第2のグランド層によりストリップ線路が構成されている、導電基板。
【請求項4】
前記第2有機層上に位置する第2グランド層を更に備える、請求項1に記載の導電基板。
【請求項5】
前記有機層上に位置する第2グランド層を更に備える、請求項2に記載の導電基板。
【請求項6】
前記第1面上に位置する第3グランド層を更に備える、請求項1、2、4及び5のいずれか1項に記載の導電基板。
【請求項7】
前記複数の凸部は、前記グランド層の前記信号層に面しない端部に沿って周期的に位置する、請求項1
、2及び4乃至6のいずれか1項に記載の導電基板。
【請求項8】
前記グランド層の前記信号層に面しない端部は、前記グランド層の外端部である、請求項1
、2及び4乃至7のいずれか1項に記載の導電基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、導電基板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、導電層を備えた導電基板に関する種々の技術が提案されている。例えば、特許文献1では、高周波信号を伝送する信号層と、信号層との間の特性インピーダンスを整合させるグランド層とを備えた配線基板が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高周波信号を少ない損失で伝送するため、導電層の厚みは厚いことが望ましい。しかしながら、導電層の厚みが厚いことで、導電層の応力が大きくなり、導電層の剥離が生じる虞がある。具体的には、従来は、導電層の端部が凹凸を有しない形状に形成されていたため、導電層の端部において導電層の応力を緩和することができず、端部から先に導電層の剥離が進行する虞があった。
【0005】
本開示は、以上の点を考慮してなされたものであり、導電層の剥離を抑制することができる導電基板およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様では、
第1面及び前記第1面と反対の第2面を有する基板と、
前記第1面上に位置する信号層と、
間隔を空けて前記信号層に隣り合うように前記第1面上に位置し、前記信号層に面しない端部の少なくとも一部の範囲にわたって前記第1面に沿った面方向に突出した複数の凸部を有するグランド層と、を備える、導電基板が提供される。
【0007】
前記複数の凸部は、前記グランド層の前記信号層に面しない端部に沿って周期的に位置していてもよい。
【0008】
前記グランド層の前記信号層に面しない端部は、前記グランド層の外端部であってもよい。
【0009】
前記グランド層に、前記第1面と交差する方向の貫通孔が設けられており、
前記グランド層の前記信号層に面しない端部は、前記貫通孔の内端部であってもよい。
【0010】
前記グランド層は、前記面方向に間隔を空けて前記信号層に隣り合うように前記第1面上に位置する第1グランド層を有してもよい。
【0011】
前記グランド層は、前記第1面と交差する方向のうち、第1方向に間隔を空けて前記信号層に隣り合うように前記第1面上に位置する第2グランド層を有してもよい。
【0012】
前記グランド層は、前記第1面と交差する方向のうち、前記第1方向と反対の第2方向に間隔を空けて前記信号層に隣り合うように前記第1面上に位置する第3グランド層を有してもよい。
【0013】
前記第1方向において間隔を空けて前記第2グランド層に隣り合うように前記第1面上に位置し、端部の少なくとも一部の範囲にわたって前記面方向に突出した複数の凸部を有する第4グランド層を更に備えてもよい。
【0014】
前記第1面から前記第2面まで前記基板を貫通し、前記信号層に接続された貫通電極を更に備えてもよい。
【0015】
前記第1面上に位置し、前記信号層に接続されたキャパシタを更に備えてもよい。
【0016】
前記グランド層上に位置する第1絶縁層を更に備えてもよい。
【0017】
前記第1絶縁層は、前記複数の凸部間の間隙を通して前記基板側において前記グランド層に接する面に接していてもよい。
【0018】
前記基板側において前記グランド層に接する面は、前記基板の前記第1面であってもよい。
【0019】
前記基板側において前記グランド層に接する面は、前記基板の前記第1面と前記グランド層との間に位置する第2絶縁層の表面であってもよい。
【0020】
本開示の他の一態様では、
第1面及び前記第1面と反対の第2面を有する基板を準備する工程と、
前記第1面上に信号層を形成する工程と、
前記第1面上に、前記信号層に面しない端部の少なくとも一部の範囲にわたって前記第1面に沿った面方向に突出した複数の凸部を有するグランド層を、間隔を空けて前記信号層に隣り合うように形成する工程と、を備える、導電基板の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0021】
本開示によれば、導電層の剥離を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本実施形態による導電基板を示す断面図である。
【
図2】本実施形態による導電基板を示す
図1のII-II断面図である。
【
図3】本実施形態による導電基板を示す平面図である。
【
図4】本実施形態による導電基板の製造方法を示す断面図である。
【
図5】
図4に続く本実施形態による導電基板の製造方法を示す断面図である。
【
図6】
図5に続く本実施形態による導電基板の製造方法を示す断面図である。
【
図7】
図5に続く本実施形態による導電基板の製造方法を示す
図6のVII‐VII断面図である。
【
図8】
図6および
図7に続く本実施形態による導電基板の製造方法を示す断面図である。
【
図9】
図6および
図7に続く本実施形態による導電基板の製造方法を示す
図8のIX-IX断面図である。
【
図10】
図8および
図9に続く本実施形態による導電基板の製造方法を示す断面図である。
【
図11】
図8および
図9に続く本実施形態による導電基板の製造方法を示す
図10のXI-XI断面図である。
【
図14】本実施形態の第1の変形例による導電基板を示す断面図である。
【
図15】本実施形態の第1の変形例による導電基板を示す
図14のXV-XV断面図である。
【
図16】本実施形態の第1の変形例による導電基板を示す
図15のXVI-XVI断面図である。
【
図17】本実施形態の第1の変形例による導電基板を示す
図15のXVII-XVII断面図である。
【
図18】本実施形態の第2の変形例による導電基板を示す平面図である。
【
図19】本実施形態の第3の変形例による導電基板を示す拡大平面図である。
【
図20】本実施形態の第4の変形例による導電基板を示す断面図である。
【
図21】本実施形態の第4の変形例による導電基板を示す
図20のXXI-XXI断面図である。
【
図22】本実施形態の第5の変形例による導電基板を示す断面図である。
【
図23】本実施形態の第5の変形例による導電基板を示す
図22のXXIII-XXIII断面図である。
【
図24】本実施形態の第6の変形例による導電基板を示す断面図である。
【
図25】本実施形態の第7の変形例による導電基板を示す断面図である。
【
図26】本実施形態の第8の変形例による導電基板を示す断面図である。
【
図27】導電基板が搭載される製品の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本開示の実施形態に係る導電基板の構成及びその製造方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は本開示の実施形態の一例であって、本開示はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。また、本明細書において、「基板」、「基材」、「シート」や「フィルム」など用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「基板」や「基材」は、シートやフィルムと呼ばれ得るような部材も含む概念である。更に、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」や「直交」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。また、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なる場合や、構成の一部が図面から省略される場合がある。
【0024】
導電基板10
以下、本開示の実施の形態について説明する。まず、本実施の形態に係る導電基板の構成について説明する。本実施形態の導電基板は、例えば、高周波信号を伝送するインターポーザ基板などに用いることができる。
図1は、本実施形態による導電基板10を示す断面図である。
図2は、本実施形態による導電基板10を示す
図1のII-II断面図である。
図3は、本実施形態による導電基板10を示す平面図である。
【0025】
図1乃至
図3に示すように、導電基板10は、基板12と、貫通電極22と、第1配線構造部30と、第2配線構造部40と、有機層26とを備える。以下、導電基板10の各構成要素について説明する。
【0026】
(基板12)
基板12は、第1面13、及び、第1面13の反対側に位置する第2面14を含む。また、基板12には、第1面13から第2面14まで貫通する複数の貫通孔20が設けられている。
【0027】
基板12は、一定の絶縁性を有する無機材料を含んでいる。例えば、基板12は、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、樹脂基板、シリコン基板、炭化シリコン基板、アルミナ(Al2O3)基板、窒化アルミ(AlN)基板、酸化ジリコニア(ZrO2)基板など、又は、これらの基板が積層されたものである。基板12は、アルミニウム基板、ステンレス基板など、導電性を有する材料から構成された基板を部分的に含んでいてもよい。
【0028】
基板12で用いるガラスの例としては、無アルカリガラスなどを挙げることができる。無アルカリガラスとは、ナトリウムやカリウムなどのアルカリ成分を含まないガラスである。無アルカリガラスは、例えば、アルカリ成分の代わりにホウ酸を含む。また、無アルカリガラスは、例えば、酸化カルシウムや酸化バリウムなどのアルカリ土類金属酸化物を含む。
【0029】
図1に示す例において、基板12に形成された貫通孔20は、基板12の第1面13及び第2面14から基板12の厚み方向の中央部に向かうにつれて幅が小さくなる形状を有している。しかしながら、貫通孔20の形状が特に限られることはない。例えば、貫通孔20の側壁21は、基板12の第1面13の法線方向に沿って広がっていてもよい。また、側壁21の一部が湾曲していてもよい。
【0030】
(貫通電極22)
貫通電極22は、貫通孔20の内部に位置し、且つ導電性を有する部材である。本実施の形態において、貫通電極22の厚みは、貫通孔20の幅よりも小さく、このため、貫通孔20の内部には、貫通電極22が存在しない空間がある。すなわち、貫通電極22は、いわゆるコンフォーマルビアである。なお、
図1の例において、貫通孔20の内部の空間は、貫通電極22の内側に位置する有機層26で埋められている。
【0031】
貫通電極22が導電性を有する限りにおいて、貫通電極22の構成は特には限定されない。例えば、貫通電極22は、導電性を有する単一の層から構成されていてもよく、若しくは、導電性を有する複数の層を含んでいてもよい。また、貫通電極22は、貫通孔20の側壁21側から中心側へ順に並ぶシード層およびめっき層を含んでいてもよい。この場合、貫通孔20の側壁21とシード層との間に中間層を設けてもよい。中間層を構成する材料としては、例えば、チタン、チタン窒化物、モリブデン、モリブデン窒化物、タンタル、タンタル窒化物等、又はこれらを積層したものを用いることができる。中間層は、例えば、蒸着法やスパッタリング法などの物理成膜法で形成される。中間層は、例えば、側壁21に対するシード層やめっき層の密着性を高めるという役割を果たす。また、中間層は、シード層又はめっき層に含まれる金属元素が貫通孔20の側壁21を介して基板12の内部に拡散することを抑制するという役割を果たしてもよい。
【0032】
有機層26は、好ましくは0.003以下、より好ましくは0.002以下、更に好ましくは0.001以下の誘電正接を有する有機材料を含む。有機層26の有機材料としては、ポリイミド、エポキシなどを用いることができる。誘電正接の小さい有機材料を用いて有機層26を構成することにより、貫通電極22を通るべき電気信号の一部が有機層26を通ってしまうことを抑制することができる。これにより、導電基板10の帯域を高周波側に広げることができる。
【0033】
(第1配線構造部30)
次に、第1配線構造部30について説明する。第1配線構造部30は、基板12の第1面13側に電気的な回路を構成するよう第1面13側に設けられた導電層や絶縁層などの層を有する。
図1の例において、第1配線構造部30は、第1面第1導電層31を有する。
【0034】
〔第1面第1導電層31〕
第1面第1導電層31は、基板12の第1面13上に位置する、導電性を有する層である。第1面第1導電層31は、貫通電極22に接続されている。第1面第1導電層31は、信号線とグランドを同一面に設置したコプレナー線路を有する。具体的には、
図2および
図3に示すように、コプレナー線路は、信号層311と、第1グランド層の一例であるグランド層312とを有する。
【0035】
〔信号層311〕
より具体的には、
図1乃至
図3に示すように、信号層311は、一部の第1面第1導電層31によって構成されている。信号層311は、高周波信号などの電気信号を伝送する。なお、高周波信号としては、例えば、0.1GHz以上の電気信号が挙げられる。信号層311は、第1面13上に位置し、第1面13に沿った面方向の一例として、
図1の延伸方向D11に延びている。
図1の例において、信号層311は、延伸方向D11の一端において1つの貫通電極22に接続され、延伸方向D11の他端において他の1つの貫通電極22に接続されている。
【0036】
信号層311の厚みは、5μm以上であることが好ましい。信号層311の厚みを5μm以上とすることで、信号層311の導体抵抗損を少なくすることができるので、信号の伝送損失を抑制することができる。信号層311の厚みは、20μm以下であることがより好ましい。信号層311の厚みを20μm以下とすることで、第1面13との間での界面応力を抑制することができるので、信号層311の剥離を抑制することができる。
【0037】
図3において符号Wで示される延伸方向D11に直交する幅方向D12の信号層311の寸法すなわち配線幅Wは、300μm以下であってもよい。
【0038】
〔グランド層312〕
図1乃至
図3に示すように、グランド層312は、一部の第1面第1導電層31によって構成されている。グランド層312は、接地電位などの基準電位に接続され、信号層311との間の特性インピーダンスを制御する。グランド層312は、第1面13に沿った面方向の一例である幅方向D12に間隔を空けて信号層311に隣り合うように第1面13上に位置している。グランド層312は、信号層311よりも大きい総面積を有する。
図3の例において、グランド層312は、信号層311を幅方向D12の両方から挟み込むような形状を有している。信号層311との間の特性インピーダンスを所望の値に制御するため、グランド層312は、信号層311との間に幅方向D12の所定の間隔dを有している。
【0039】
グランド層312は、信号層311に面しない端部の少なくとも一部の範囲にわたって面方向に突出した複数の凸部312aを有する。
図3の例において、凸部312aは、信号層311に面するグランド層312の内端部312bと反対の外端部312cから、幅方向D12における信号層311と反対の方向すなわち外方に突出している。
【0040】
また、
図3の例において、凸部312aは、幅方向D12に平行な長辺と、延伸方向D11に平行な短辺とを有する長方形状を有している。例えば、凸部312aの長辺は、200μm、短辺は、100μmであってもよい。
【0041】
また、
図3の例において、凸部312aは、グランド層312の外端部312cにわたって周期的に位置する。すなわち、凸部312aは、延伸方向D11に一定の間隔を空けて位置している。言い換えれば、グランド層312は、周期的に位置された複数の凸部312aによる櫛歯形状を有している。隣接する凸部312a間の間隙部の寸法は、例えば、30μm以上であってもよい。凸部312a間の間隙部の寸法を30μm以上とすることで、レジストを用いて間隙部を高い寸法精度で形成することができるので、凸部312aの寸法誤差を抑制することができる。
【0042】
図1および
図3に示すように、信号層311およびグランド層312を含めた第1面第1導電層31は、シード層221と、めっき層222とを有する。シード層221は、基板12の第1面13上に位置する。めっき層222は、シード層221上に位置する。
【0043】
シード層221は、電解めっき処理によってめっき層222を形成する電解めっき工程の際に、めっき液中の金属イオンを析出させてめっき層222を成長させるための土台となる、導電性を有する層である。シード層221の材料としては、銅などの導電性を有する材料を用いることができる。シード層221の材料は、めっき層222の材料と同一であってもよく、異なっていてもよい。例えば、シード層221は、チタンと銅を順に積層した積層膜や、クロムなどであってもよい。シード層221は、例えば、スパッタリング法、蒸着法、無電解めっき法などによって形成してもよい。
【0044】
めっき層222は、めっき処理によって形成される、導電性を有する層である。めっき層222は、銅を含有する。めっき層222は、銅と、銅以外の金属、例えば、金、銀、白金、ロジウム、スズ、アルミニウム、ニッケル、クロムとの合金を含有していてもよく、または、銅と銅以外の金属とを積層したものであってもよい。
【0045】
(第2配線構造部40)
次に、第2配線構造部40について説明する。第2配線構造部40は、基板12の第2面14側に電気的な回路を構成するよう第2面14側に設けられた導電層や絶縁層などの層を有する。
図1の例において、第2配線構造部40は、第2面第1導電層41を有する。
【0046】
〔第2面第1導電層41〕
第2面第1導電層41は、基板12の第2面14上に位置する、導電性を有する層である。第2面第1導電層41は、貫通電極22に接続されていてもよい。また、第2面第1導電層41は、貫通電極22や第1面第1導電層31と同様に、基板12の第2面14上に順に積層されたシード層221及びめっき層222を含んでいてもよい。第2面第1導電層41を構成する材料は、貫通電極22を構成する材料と同様である。
【0047】
導電基板10の製造方法
以下、導電基板10の製造方法の一例について、
図4乃至
図13を参照して説明する。
【0048】
(貫通孔形成工程)
図4は、本実施形態による導電基板10の製造方法を示す断面図である。まず、基板12を準備する。次に、第1面13および第2面14の少なくともいずれかにレジスト層を設ける。その後、レジスト層のうち貫通孔20に対応する位置に開口を設ける。次に、レジスト層の開口において基板12を加工することにより、
図4に示すように、基板12に貫通孔20を形成することができる。基板12を加工する方法としては、反応性イオンエッチング法、深掘り反応性イオンエッチング法などのドライエッチング法や、ウェットエッチング法などを用いることができる。
【0049】
なお、基板12にレーザを照射することによって基板12に貫通孔20を形成してもよい。この場合、レジスト層は設けられていなくてもよい。レーザ加工のためのレーザとしては、エキシマレーザ、Nd:YAGレーザ、フェムト秒レーザ等を用いることができる。Nd:YAGレーザを採用する場合、波長が1064nmの基本波、波長が532nmの第2高調波、波長が355nmの第3高調波等を用いることができる。
【0050】
また、レーザ照射とウェットエッチングを適宜組み合わせることもできる。具体的には、まず、レーザ照射によって基板12のうち貫通孔20が形成されるべき領域に変質層を形成する。続いて、基板12をフッ化水素などに浸漬して、変質層をエッチングする。これによって、基板12に貫通孔20を形成することができる。その他にも、基板12に研磨材を吹き付けるブラスト処理によって基板12に貫通孔20を形成してもよい。
【0051】
第1面13側及び第2面14側の両方から基板12を加工することにより、
図4に示す、基板12の厚み方向の中央部に向かうにつれて幅が小さくなる形状を有する貫通孔20を形成することができる。
【0052】
(貫通電極、信号層、およびグランド層の形成工程)
図5は、
図4に続く本実施形態による導電基板10の製造方法を示す断面図である。貫通孔20を形成した後、
図5に示すように、貫通孔20の側壁21に貫通電極22を形成する。具体的には、スパッタリング法、蒸着法、無電解めっき法などによって、基板12の第1面13上、第2面14及び側壁21上にシード層221を形成する。
【0053】
図6は、
図5に続く本実施形態による導電基板10の製造方法を示す断面図である。
図7は、
図5に続く本実施形態による導電基板10の製造方法を示す
図6のVII‐VII断面図である。シード層21を形成した後、
図6および
図7に示すように、シード層221上に部分的にレジスト層37を形成する。
【0054】
図8は、
図6および
図7に続く本実施形態による導電基板10の製造方法を示す断面図である。
図9は、
図6および
図7に続く本実施形態による導電基板10の製造方法を示す
図8のIX-IX断面図である。レジスト層37を形成した後、
図8および
図9に示すように、レジスト層37をマスクとした電解めっきにより、レジスト層37によって覆われていないシード層221上にめっき層222を形成する。
【0055】
図10は、
図8および
図9に続く本実施形態による導電基板10の製造方法を示す断面図である。
図11は、
図8および
図9に続く本実施形態による導電基板10の製造方法を示す
図10のXI-XI断面図である。めっき層222を形成した後、
図10および
図11に示すように、レジスト層37を除去する。
【0056】
図12は、
図10および
図11に続く本実施形態による導電基板10の製造方法を示す断面図である。
図13は、
図10および
図11に続く本実施形態による導電基板10の製造方法を示す
図12のXIII-XIII断面図である。レジスト層37を除去した後、
図10および
図11に示すように、シード層221のうちレジスト層37が形成されていた部分を、ウェットエッチングにより除去する。
【0057】
以上の工程により、貫通電極22と、信号層311およびグランド層312を含む第1面第1導電層31と、第2面第1導電層41とを形成することができる。なお、めっき層222をアニールする工程を実施してもよい。
【0058】
以下、本実施の形態によってもたらされる作用について説明する。
【0059】
図2および
図3に示したように、本実施形態の導電基板10は、グランド層312の外端部312cに複数の凸部312aを有する。ここで、信号層311による信号の伝送損失を抑制するには、信号層311の厚みを厚くすることが好ましい。信号層311の厚みを厚くする場合、信号層311と同一工程で形成されるグランド層312の厚みも厚くなる。もし、グランド層312の凸部312a間の間隙が存在しない形状のグランド層を厚く形成した場合、基板12の第1面13に対するグランド層の界面応力が大きくなることで、グランド層の外端部においてグランド層の剥離が生じる虞がある。
【0060】
これに対して、本実施形態によれば、グランド層312の形状を外端部312cに凸部312aを有する形状とすることで、凸部312a間の間隙すなわち切欠き若しくは凹部によって、界面応力を緩和することができる。これにより、外端部312cにおけるグランド層312の剥離を抑制することができる。
【0061】
また、本実施形態では、信号層311に面するグランド層312の内端部312bには凸部312aを設けていない。これにより、
図3に示すように、グランド層312が、信号層311のとの間に特性インピーダンスを制御するための好適な間隔dを確保することができる。
【0062】
(第1の変形例)
次に、第1グランド層と第2グランド層とを有するグランド層と、導電層と、第1絶縁層と、第2絶縁層とを備えた第1の変形例について説明する。
【0063】
図14は、本実施形態の第1の変形例による導電基板10を示す断面図である。
図15は、本実施形態の第1の変形例による導電基板10を示す
図14のXV-XV断面図である。
図16は、本実施形態の第1の変形例による導電基板10を示す
図15のXVI-XVI断面図である。
図17は、本実施形態の第1の変形例による導電基板10を示す
図15のXVII-XVII断面図である。
【0064】
(第1配線構造部30)
第1の変形例における第1配線構造部30は、
図1の例で説明した第1面第1導電層31に加え、更に、第2グランド層の一例である第1面第2導電層33と、第1面第1有機層34と、導電層の一例である第1面第3導電層35と、第1面第2有機層36とを有する。第1面第1有機層34は、グランド層312にとって第1絶縁層の一例であり、第1面第2有機層36にとって第2絶縁層の一例である。第1面第2有機層36は、第1面第2導電層33にとって第1絶縁層の一例である。
【0065】
〔第1面第2導電層33〕
第1面第2導電層33は、第1面13に交差する方向のうち、第1方向の一例である
図14の上方向D31に間隔を空けて信号層311に隣り合うように第1面13上に位置する、導電性を有する層である。第1面第2導電層33は、信号層311との間の特性インピーダンスを制御する第2グランド層として機能する。
【0066】
第1面第2導電層33は、第1面第1有機層34上に位置する。第1面第2導電層33の厚みは、第1面第1導電層31の厚みと同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0067】
図15および
図17に示すように、第1面第2導電層33は、幅方向D12の外端部33bに、幅方向D12の外方に突出した複数の凸部33aを有する。凸部33aは、延伸方向D11に沿って外端部33bに周期的に位置している。第1面第2導電層33の凸部33aの寸法は、グランド層312の凸部312aの寸法と同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0068】
第1面第2導電層33は、貫通電極22や第1面第1導電層31と同様に、第1面第1有機層34上に順に積層されたシード層及びめっき層を含んでいてもよい。第1面第2導電層33を構成する材料は、貫通電極22や第1面第1導電層31を構成する材料と同様である。
【0069】
〔第1面第1有機層34〕
第1面第1有機層34は、第1面13上または第1面第1導電層31上に位置し、有機材料を含み、且つ絶縁性を有する層である。
【0070】
第1面第1有機層34およびその他の有機層36、42、44は、好ましくは0.003以下、より好ましくは0.002以下、更に好ましくは0.001以下の誘電正接を有する有機材料を含む。有機層34、36、42、44の有機材料としては、ポリイミド、エポキシ樹脂などを用いることができる。誘電正接の小さい有機材料を用いて有機層34を構成することにより、信号層311を通るべき電気信号の一部が有機層34、36、42、44を通ってしまうことを抑制することができる。これにより、導電基板10の帯域を高周波側に広げることができる。
【0071】
なお、有機層34、36、42、44は、例えば、有機材料を含有する感光性フィルムを用いた露光処理および現像処理によって形成してもよく、または、有機材料を含有する液をスピンコートで塗布し、乾燥させることによって形成してもよい。
【0072】
図16に示すように、グランド層312の凸部312a間の第1面第2導電層33の側壁には、第1面第1有機層34が接している。また、第1面第1有機層34は、凸部312a間の間隙を通して、基板12側においてグランド層312に接する第1面13に接している。
【0073】
〔第1面第3導電層35〕
第1面第3導電層35は、第1面13に交差する第1方向の一例である
図14の上方向D31に間隔を空けて第1面第2導電層33すなわち第2グランド層に隣り合うように基板12上に位置する層である。第1面第3導電層35は、第4グランド層として機能してもよい。
【0074】
第1面第3導電層35は、第1面第2有機層36上に位置する。第1面第3導電層35の厚みは、第1面第1導電層31の厚みと同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0075】
第1面第2導電層33と同様に、第1面第3導電層35は、幅方向D12の外端部35bに、幅方向D12の外方に突出した複数の凸部35aを有する。凸部35aは、延伸方向D11に沿って外端部35bに周期的に位置している。第1面第3導電層35の凸部35aの寸法は、グランド層312の凸部312aの寸法と同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0076】
第1面第3導電層35は、貫通電極22や第1面第1導電層31と同様に、順に積層されたシード層及びめっき層を含んでいてもよい。第1面第3導電層35を構成する材料は、貫通電極22や第1面第1導電層31を構成する材料と同様である。
【0077】
〔第1面第2有機層36〕
第1面第2有機層36は、第1面第1有機層34上及び第1面第3導電層35上に位置し、有機材料を含み、且つ絶縁性を有する層である。
【0078】
図17に示すように、第1面第2導電層33の凸部33a間の第1面第2導電層33の側壁には、第1面第2有機層36が接している。また、第1面第2有機層36は、凸部33a間の間隙を通して、基板12側において第1面第2導電層33に接する第1面第1有機層34の表面に接している。
【0079】
(第2配線構造部40)
第2の変形例における第2配線構造部40は、
図1の例で説明した第2面第1導電層41に加え、更に、第2面第1有機層42と、第2面第2電極層43と、第2面第2有機層44と、第2面第3電極層45とを備える。
【0080】
〔第2面第1有機層42〕
第2面第1有機層42は、第2面第1導電層41上及び基板12の第2面14上に位置し、有機材料を含み、且つ絶縁性を有する層である。
【0081】
〔第2面第2電極層43〕
第2面第2電極層43は、第2面第1導電層41上または第2面第1有機層42上に位置する、導電性を有する層である。第2面第2電極層43は、第2面第1導電層41と同様に、第2面第1有機層42上に順に積層されたシード層221及びめっき層222を含んでいてもよい。第2面第2電極層43を構成する材料は、第2面第1導電層41を構成する材料と同様である。
【0082】
〔第2面第2有機層44〕
第2面第2有機層44は、第2面第1有機層42および第2面第2電極層43上に位置し、有機材料を含み、且つ絶縁性を有する層である。
【0083】
〔第2面第3電極層45〕
第2面第3電極層45は、第2面第2電極層43上または第2面第2有機層44上に位置する、導電性を有する層である。第2面第3電極層45は、第2面第2有機層44上に順に積層されたシード層221及びめっき層222を含んでいてもよい。第2面第3電極層45を構成する材料は、第2面第1導電層41を構成する材料と同様である。
【0084】
図14および
図15に示すように、第1の変形例では、グランド層312と、第1面第2導電層33と、第1面第3導電層35との3つの導電層が、第1面第1有機層34および第1面第2有機層36を間に挟んで厚み方向D3で重なり合っている。導電層312、33、35が重なり合っていることで、導電層312、33、35の端部において、導電層312、33、35の厚みや導電層312、33、35と有機層34、36との熱膨張率差に起因する界面応力が大きくなり、導電層312、33、35の剥離が生じる虞がある。
【0085】
これに対して、第1の変形例では、各導電層3121、33、35の外端部に凸部312a、33a、35aが設けられているので、界面応力を緩和することができ、各導電層312、33、35の剥離を抑制することができる。
【0086】
また、第1の変形例では、グランド層312の凸部312aの側壁において、グランド層312と、グランド層312を覆う第1面第1有機層34との接触面積が大きくなっている。これにより、グランド層312と第1面第1有機層34との接着力を大きくすることができるので、グランド層312の剥離を更に効果的に抑制することができる。
【0087】
また、第1の変形例では、グランド層312の凸部312a間を通して第1面第1有機層34が基板12の第1面13に接しているため、第1面第1有機層34と第1面13との接触面積が大きくなっている。これにより、第1面第1有機層34と第1面13との接着力を大きくすることができるので、第1面第1有機層34と第1面13とに挟まれたグランド層312の剥離を更に効果的に抑制することができる。
【0088】
また、第1の変形例では、第1面第2導電層33の凸部33aの側壁において、第1面第2導電層33と、第1面第2導電層33を覆う第1面第2有機層36との接触面積が大きくなっている。これにより、第1面第2導電層33と第1面第2有機層36との接着力を大きくすることができるので、第1面第2導電層33の剥離を更に効果的に抑制することができる。
【0089】
また、第1の変形例では、第1面第2導電層33の凸部33a間を通して第1面第2有機層36が第1面第1有機層34の表面に接しているため、第1面第1有機層34と第1面第2有機層36との接触面積が大きくなっている。これにより、第1面第1有機層34と第1面第2有機層36との接着力を大きくすることができるので、第1面第1有機層34と第1面第2有機層36とに挟まれた第1面第2導電層33の剥離を更に効果的に抑制することができる。
【0090】
(第2の変形例)
次に、第2導電層に貫通孔が設けられた第2の変形例について説明する。
図18は、本実施形態の第2の変形例による導電基板10を示す平面図である。
【0091】
図18に示すように、第2の変形例においては、第1面第2導電層33に、
図18の紙面垂直方向である厚み方向D3の貫通孔33dが設けられている。
【0092】
第2の変形例によれば、第1面第2導電層33に貫通孔33dを設けることで、第1面第2導電層33と第1面第2有機層36との接触面積と、第1面第1有機層34と第1面第2有機層36とを接触面積とを大きくすることができる。また、第1面第1有機層34に発生したガスを、貫通孔33dを通して逃がすことができるので、第1面第1有機層34と第1面第2導電層33との界面に溜まったガスによって第1面第2導電層33に上方D31への応力がかかることを抑制できる。これにより、第1面第2導電層33の剥離を更に効果的に抑制することができる。
【0093】
なお、貫通孔は、第1面第3導電層35に設けてもよい。第1面第3導電層35に貫通孔を設けることで、第1面第3導電層35の剥離を更に有効に抑制することができる。
【0094】
(第3の変形例)
次に、第2導電層の貫通孔の端部に凸部が設けられた第3の変形例について説明する。
図19は、本実施形態の第3の変形例による導電基板10を示す拡大平面図である。
【0095】
図19に示すように、第3の変形例の導電基板10は、第1面第2導電層33に設けられた貫通孔33dの内端部33eに、第1面13に沿った面方向に突出した複数の凸部33aを有する。
【0096】
第3の変形例によれば、貫通孔33dの内端部33eにも凸部33aを設けることで、第1面第2導電層33と第1面第2有機層36との接触面積を更に大きくすることができる。これにより、第1面第2導電層33の剥離を更に効果的に抑制することができる。
【0097】
(第4の変形例)
次に、第1面第2導電層33がコプレナー線路を構成する第4の変形例について説明する。
図20は、本実施形態の第4の変形例による導電基板10を示す断面図である。
図21は、本実施形態の第4の変形例による導電基板10を示す
図20のXXI-XXI断面図である。
【0098】
第1の変形例では、基板12上の3層の導電層31、33、35のうち、第1面第1導電層31がコプレナー線路を構成する例について説明した。これに対して、第4の変形例では、第1面第2導電層33がコプレナー線路を構成する。
【0099】
具体的には、
図20および
図21に示すように、第1面第2導電層33は、信号層331と、幅方向D12に間隔を空けて信号層331に隣り合うグランド層332とを有する。
図20に示すように、信号層331は、第1面第1有機層34を貫通して貫通電極22に接続されている。
図21に示すように、グランド層332の外端部には、幅方向D12の外方に向かって突出する複数の凸部332aが、
図21の紙面垂直方向である延伸方向D11に沿って周期的に位置している。
【0100】
第1面第1導電層31は、第1面13に交差する第2方向の一例である下方向に間隔を空けて信号層331に隣り合うように第1面13上に位置する第3グランド層として機能してもよい。第1面第3導電層35は、第2グランド層として機能してもよい。
【0101】
第4の変形例によれば、第1面第2導電層33がコプレナー線路を構成した場合においても、凸部332aによってグランド層332の剥離を抑制することができる。
【0102】
(第5の変形例)
次に、第1面第3導電層35がコプレナー線路を構成する第5の変形例について説明する。
図22は、本実施形態の第5の変形例による導電基板10を示す断面図である。
図23は、本実施形態の第5の変形例による導電基板10を示す
図22のXXIII-XXIII断面図である。
【0103】
第5の変形例では、第1面第3導電層35がコプレナー線路を構成する。具体的には、
図22および
図23に示すように、第1面第3導電層35は、信号層351と、幅方向D12に間隔を空けて信号層351に隣り合うグランド層352とを有する。
図22に示すように、信号層351は、第1面第1有機層34および第1面第2有機層36を貫通して貫通電極22に接続されている。
図23に示すように、グランド層352の外端部には、幅方向D12の外方に向かって突出する複数の凸部352aが、
図23の紙面垂直方向である延伸方向D11に沿って周期的に位置している。
【0104】
第5の変形例によれば、第1面第3導電層35がコプレナー線路を構成した場合においても、凸部352aによってグランド層352の剥離を抑制することができる。
【0105】
(第6の変形例)
次に、絶縁層を介して信号線の表裏をグランド面で挟むストリップ線路を有する第6の変形例について説明する。
図24は、本実施形態の第6の変形例による導電基板10を示す断面図である。
【0106】
これまでは、基板12上の3層の導電層31、33、35のいずれかがコプレナー線路を構成する例について説明した。これに対して、第6の変形例では、基板12上の3層の導電層31、33、35によってストリップ線路が構成されている。
【0107】
具体的には、
図24に示すように、導電基板10は、信号層311と、グランド層として機能する第1面第1導電層31および第1面第3導電層35とを有している。第1面第1導電層31および第1面第3導電層35の外端部には、幅方向D12の外方に向かって突出する複数の凸部31a、35aが、
図24の紙面垂直方向である延伸方向D11に沿って周期的に位置している。
【0108】
第6の変形例によれば、ストリップ線路を有することで、信号層311とグランド層31、35との間の特性インピーダンスを、信号層311の線幅および有機層34、36の厚みで制御することができる。また、ストリップ線路を有することで、コプレナー線路を有する場合と比較して、ノイズ特性を向上できる。また、凸部31a、35aを有することで、ストリップ線路を構成する場合でも、グランド層31、35の剥離を抑制することができる。
【0109】
(第7の変形例)
次に、2本の信号線で1つのデータを伝送する差動方式の伝送線路を有する第7の変形例について説明する。
図25は、本実施形態の第7の変形例による導電基板10を示す断面図である。
【0110】
これまでは、1本の信号線で1つのデータを伝送するシングルエンド方式のコプレナー線路またはストリップ線路を備えた導電基板10の例について説明した。これに対して、第7の変形例の導電基板10は、差動方式の伝送線路を有する。
【0111】
具体的には、
図25に示すように、第1面第2導電層33は、幅方向D12に間隔を空けて配置された第1信号層311Aおよび第2信号層311Bと、信号層311A、311Bに対して幅方向D12の外方に間隔を空けて配置されたグランド層332とを有する。第1信号層311Aおよび第2信号層311Bは、1つの電気信号を分割して伝送する。第1面第1導電層31および第1面第3導電層35は、グランド層として機能してもよい。
【0112】
また、第1面第1導電層31、グランド層332、および第1面第3導電層35の外端部には、幅方向D12の外方に向かって突出する複数の凸部31a、332a、35aが、
図25の紙面垂直方向である延伸方向D11に沿って周期的に位置している。
【0113】
第7の変形例によれば、差動方式の伝送線路を有することで、小さい電圧で信号波形を形成することができる。小さい電圧で信号波形を形成できるので、信号の立ち上がり時間を短縮できる。信号の立ち上がり時間を短縮できるので、シングルエンド方式と比較して高周波の電気信号を適切に伝送できる。また、凸部31a、332a、35aを有することで、差動方式の伝送線路を構成する場合でも、グランド層31、332、35の剥離を抑制することができる。
【0114】
(第8の変形例)
次に、キャパシタを有する第8の変形例について説明する。
図26は、本実施形態の第8の変形例による導電基板10を示す断面図である。
【0115】
図26に示すように、第8の変形例において、一部の信号層311は、信号層311上に位置する誘電体32と、誘電体32上に位置する第1面第2導電層33とともに、MIM(Metal-Insulator-Metal)構造のキャパシタ15を構成している。誘電体32は、例えば、SiNなどの珪素窒化物を含有する。
【0116】
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、必要に応じて図面を参照しながら、変形例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述の実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。また、上述の実施の形態において得られる作用効果が変形例においても得られることが明らかである場合、その説明を省略することもある。
【0117】
通電極基板が搭載される製品の例
図27は、本開示の実施形態に係る導電基板10が搭載されることができる製品の例を示す図である。本開示の実施形態に係る導電基板10は、様々な製品において利用され得る。例えば、ノート型パーソナルコンピュータ110、タブレット端末120、携帯電話130、スマートフォン140、デジタルビデオカメラ150、デジタルカメラ160、デジタル時計170、サーバ180等に搭載される。
【符号の説明】
【0118】
10 導電基板
12 基板
311 信号層
312 グランド層
312a 凸部