(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-11
(45)【発行日】2024-12-19
(54)【発明の名称】オリゴヌクレオチド誘導体またはその塩
(51)【国際特許分類】
C12N 15/113 20100101AFI20241212BHJP
A61K 31/713 20060101ALI20241212BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20241212BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241212BHJP
C07H 21/00 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
C12N15/113 Z ZNA
A61K31/713
A61K48/00
A61P43/00 105
C07H21/00 CSP
(21)【出願番号】P 2023039666
(22)【出願日】2023-03-14
(62)【分割の表示】P 2019514693の分割
【原出願日】2018-05-01
【審査請求日】2023-04-07
(31)【優先権主張番号】P 2017090613
(32)【優先日】2017-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001029
【氏名又は名称】協和キリン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 潤一郎
(72)【発明者】
【氏名】篠原 史一
(72)【発明者】
【氏名】春元 俊正
(72)【発明者】
【氏名】本間 正一
(72)【発明者】
【氏名】萩原 健司
【審査官】鈴木 崇之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第96/030384(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/120803(WO,A2)
【文献】特開2014-143923(JP,A)
【文献】Nucleic Acids Research,1995年,Vol. 23, No. 11,pp. 2025-2029
【文献】阿部奈保子,環状化RNAのRNA干渉効果および翻訳鋳型としての性質,北海道大学 博士学位論文 [オンライン],2015年03月25日,<https://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/59261/1/Naoko_Abe.pdf>, 検索日2018.07.23
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状オリゴヌクレオチドと、線状オリゴヌクレオチドとを含む
、標的遺伝子の発現を抑制するためのオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩であって、
前記環状オリゴヌクレオチドが、センス鎖を含み、
前記線状オリゴヌクレオチドが、アンチセンス鎖を含み、
環状オリゴヌクレオチドと、線状オリゴヌクレオチドとが互いに相補的な塩基配列を有し、該相補的な塩基配列の水素結合を介して環状オリゴヌクレオチドと、線状オリゴヌクレオチドとが複合体を形成しており、
環状オリゴヌクレオチドが式1で表され、
式1:
【化1】
(式中、
L1およびL2は
それぞれ独立して、式2-1~式2-4からなる群から選ばれ、
【化2】
(式中、
n3およびn4はそれぞれ独立して、1~15の整数を表し、
Akは置換基を有していてもよいC2-C22アルキレンを表し、
Baseは水素原子、置換基を有していてもよいアデニニル、置換基を有していてもよいグアニニル、置換基を有していてもよいシトシニル、置換基を有していてもよいチミニルまたは置換基を有していてもよいウラシニルを表し、
Qは水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン、または置換基を有していてもよいC1-C4アルキルオキシ基を表し、
Zは酸素原子または硫黄原子を表す。)
n1は1~10の整数を表し、
n2は0~10の整数を表し、
Mは細胞内の環境によって切断される化学構造を含む部分を表し、
Xはオリゴヌクレオチドを表す。)
Mが式3-1~式3-6からなる群から選ばれる、
【化3】
(式中、
R1およびR2はそれぞれ独立して、水素原子またはC1-C3アルキルを表すか、またはR1およびR2は、それらが結合する炭素原子と一緒になって、炭素数3~6の環を形成し、
R3およびR4はそれぞれ独立して、水素原子またはC1-C3アルキルを表すか、またはR3およびR4は、それらが結合する炭素原子と一緒になって、炭素数3~6の環を形成し、
n5~n8はそれぞれ独立して、0~10の整数を表し、
n9およびn10はそれぞれ独立して、1~4の整数を表し、
Y1~Y4はそれぞれ独立して、結合、-NR5-、-O-または-S-を表し、
R5は水素原子、C1-C3アルキルまたはC2-C4アルカノイルを表す。)
【化4】
(式中、
R1’およびR2’はそれぞれ独立して、水素原子またはC1-C3アルキルを表すか、またはR1’およびR2’は、それらが結合する炭素原子と一緒になって、炭素数3~6の環を形成し、
R3’およびR4’はそれぞれ独立して、水素原子またはC1-C3アルキルを表すか、またはR3’およびR4’は、それらが結合する炭素原子と一緒になって、炭素数3~6の環を形成し、
R5’およびR6’は、結合する炭素原子ごとにそれぞれ独立して、水素原子またはC1-C3アルキルであり、
n5’およびn6’はそれぞれ独立して、1~10の整数を表す。)
オリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
【請求項2】
環状オリゴヌクレオチドが10~40の塩基長を有する、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
【請求項3】
環状オリゴヌクレオチドが少なくとも1つのホスホロチオエート結合を含む、請求項1または請求項2に記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
【請求項4】
環状オリゴヌクレオチドが少なくとも1つの2’-修飾ヌクレオチドを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
【請求項5】
環状オリゴヌクレオチドの塩基長が、線状オリゴヌクレオチドの塩基長と同じであるか、または線状オリゴヌクレオチドの塩基長よりも長い、請求項1~4のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
【請求項6】
少なくとも1つの標的化化合物を有する、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
【請求項7】
標的化化合物が、L1およびL2の少なくとも1つに結合している、請求項6に記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
【請求項8】
標的化化合物がコレステロール、トコフェロール、ドコサヘキサエン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸およびN-アセチル-D-ガラクトサミンからなる群から選ばれる、請求項6または請求項7に記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩を含む、医薬組成物。
【請求項10】
静脈内投与または皮下投与される、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
請求項1~8のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩を含む、RNA干渉(RNAi)を利用した標的遺伝子の発現抑制剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オリゴヌクレオチド誘導体またはその塩に関する。具体的には、本発明は、生体内の酵素による分解に対して耐性が向上したオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩に関する。
【背景技術】
【0002】
短鎖干渉性RNA (small interfering RNA、以下siRNA) は、RNA干渉 (RNAinterference、以下RNAi) に関与しており、標的遺伝子の発現を抑制するためのガイドとしての機能を有するRNAである(非特許文献1)。siRNAはメッセンジャーRNA(mRNA)の切断を介して、そのmRNAが発現を担う蛋白質の発現を選択的に抑制(ノックダウン)し得ることから、医薬への応用が期待されている(非特許文献2)。
siRNAの医薬品への応用へ向けた課題として、生体内不安定性、すなわち、ヌクレアーゼで分解されやすいことが挙げられる。
【0003】
ヌクレアーゼによる分解に対して耐性を向上させるため、特許文献1には、1本鎖を環状化した核酸またはダンベル型核酸が開示されている。当該核酸においては、RNA末端がないため、ヌクレアーゼによる分解を受けにくい特徴がある。
また、特許文献2には、細胞の中で開環するようにデザインされた、互いに相補的な配列を有する2つの環状核酸を細胞へ共投与することで、細胞内でsiRNAを構築することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-278784号公報
【文献】特開2014-143923号公報
【非特許文献】
【0005】
【文献】ネイチャー(Nature)、第411巻、第6836号、494-498頁(2001年)
【文献】ネイチャー・レビューズ・キャンサー(NatureReviews Cancer)、第11巻、59-67頁(2011年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1や2に開示される環状核酸においては、ヌクレアーゼに対する安定性の向上は報告されているものの、遺伝子のサイレンシングに関する情報は少なく、強いノックダウン活性を持つ環状化された核酸への要望は強い。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、ヌクレアーゼに対する耐性を有し、かつ、強いノックダウン活性を持つ新規なオリゴヌクレオチド誘導体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の実施形態を含む。
[1]
環状オリゴヌクレオチドと、線状オリゴヌクレオチドとを含むオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩であって、
環状オリゴヌクレオチドと、線状オリゴヌクレオチドとが互いに相補的な塩基配列を有し、該相補的な塩基配列の水素結合を介して環状オリゴヌクレオチドと、線状オリゴヌクレオチドとが複合体を形成している、オリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[2]
環状オリゴヌクレオチドが10~40の塩基長を有する、[1]に記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[3]
環状オリゴヌクレオチドが少なくとも1つのホスホロチオエート結合を含む、[1]または[2]に記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[4]
環状オリゴヌクレオチドが少なくとも1つの2’-修飾ヌクレオチドを含む、[1]~[3]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[4-1]
2’-修飾ヌクレオチドが、リボースの2’-OH基が-OR、-R、-R’OR、-SH、-SR、-NH
2、-NHR、-NR
2、-N
3、-CN、-F、-Cl、-Brおよび-I(Rはアルキルまたはアリール、好ましくは炭素数1~6のアルキルであり、R’はアルキレン、好ましくは炭素数1~6のアルキレンであり、-NR
2の2つのRは同一でも異なっていてもよい)からなる群から選択される置換基で置換された2’-修飾ヌクレオチドである、[4]に記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[4-2]
2’-修飾ヌクレオチドが、リボースの2’-OH基が-F、メトキシ基およびエトキシ基からなる群から選択される置換基で置換された2’-修飾ヌクレオチドである、[4]に記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[4-3]
2’-修飾ヌクレオチドが、リボースの2’-OH基が2-(メトキシ)エトキシ基、3-アミノプロポキシ基、2-[(N,N-ジメチルアミノ)オキシ]エトキシ基、3-(N,N-ジメチルアミノ)プロポキシ基、2-[2-(N,N-ジメチルアミノ)エトキシ]エトキシ基、2-(メチルアミノ)-2-オキソエトキシ基、2-(N-メチルカルバモイル)エトキシ基および2-シアノエトキシ基からなる群から選択される置換基で置換された2’-修飾ヌクレオチドである、[4]に記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[5]
環状オリゴヌクレオチドの塩基長が、線状オリゴヌクレオチドの塩基長と同じであるか、または線状オリゴヌクレオチドの塩基長よりも長い、[1]~[4-3]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[6]
環状オリゴヌクレオチドが式1で表される、[1]~[5]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
式1:
【化1】
(式中、
L1およびL2はリンカーを表し、
n1およびn2はそれぞれ独立して0~10の整数を表し、
Mは細胞内の環境によって切断される化学構造を含む部分を表し、
Xはオリゴヌクレオチドを表す。)
[6-1-1]
環状オリゴヌクレオチドが10~40の塩基長を有する、[6]に記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[6-1-2]
環状オリゴヌクレオチドが少なくとも1つのホスホロチオエート結合を含む、[6]または[6-1-1]に記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[6-1-3]
環状オリゴヌクレオチドが少なくとも1つの2’-修飾ヌクレオチドを含む、[6]~[6-1-2]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[6-2-1]
細胞内の環境が、細胞内に存在する酵素である、[6]~[6-1-3]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[6-2-2]
細胞内の環境が、細胞内のpHである、[6]~[6-1-3]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[6-2-3]
n1およびn2がそれぞれ独立して、0~8の整数である、[6]~[6-2-2]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[7]
細胞内の環境によって切断される化学構造が、-S-S-、-S-C(O)-または-C(O)-S-である、[6]~[6-2-3]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[8]
Mが式3-1~式3-6からなる群から選ばれる、[6]~[7]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
【化2】
(式中、
R1およびR2はそれぞれ独立して、水素原子またはC1-C3アルキルを表すか、またはR1およびR2は、それらが結合する炭素原子と一緒になって、炭素数3~6の環を形成し、
R3およびR4はそれぞれ独立して、水素原子またはC1-C3アルキルを表すか、またはR3およびR4は、それらが結合する炭素原子と一緒になって、炭素数3~6の環を形成し、
n5~n8はそれぞれ独立して、0~10の整数を表し、
n9およびn10はそれぞれ独立して、1~4の整数を表し、
Y1~Y4はそれぞれ独立して、結合、-NR5-、-O-または-S-を表し、
R5は水素原子、C1-C3アルキルまたはC2-C4アルカノイルを表す。)
【化3】
(式中、
R1’およびR2’はそれぞれ独立して、水素原子またはC1-C3アルキルを表すか、またはR1’およびR2’は、それらが結合する炭素原子と一緒になって、炭素数3~6の環を形成し、
R3’およびR4’はそれぞれ独立して、水素原子またはC1-C3アルキルを表すか、またはR3’およびR4’は、それらが結合する炭素原子と一緒になって、炭素数3~6の環を形成し、
R5’およびR6’は、結合する炭素原子ごとにそれぞれ独立して、水素原子またはC1-C3アルキルであり、
n5’およびn6’はそれぞれ独立して、1~10の整数を表す。)
[8-1-1]
Mが式3-1である、[8]に記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[8-1-2]
R1~R4がそれぞれ独立して、水素原子またはC1-C3アルキルである、[8-1-1]に記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[8-1-3]
Y3およびY4が、結合または-O-である、[8-1-1]または[8-1-2]に記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[8-1-4]
n5およびn7の合計が、0~5の整数である、[8-1-1]~[8-1-3]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[8-1-5]
n6およびn8の合計が、0~5の整数である、[8-1-1]~[8-1-4]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[8-2-1]
Mが式3-2である、[8]に記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[8-2-2]
Y1およびY2がそれぞれ独立して、結合または-O-である、[8-2-1]に記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[8-2-3]
Y3およびY4が結合である、[8-2-1]または[8-2-2]に記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[8-2-4]
n5およびn7の合計ならびにn6およびn8の合計が0である、[8-2-1]~[8-2-3]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[8-2-5]
n9が、Y1が-O-である場合、2であり、Y1が結合である場合、3である、[8-2-1]~[8-2-4]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[8-2-6]
n10が、Y2が-O-である場合、2であり、Y2が結合である場合、3である、[8-2-1]~[8-2-5]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[8-3-1]
Mが式3-3である、[8]に記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[8-3-2]
R3およびR4が水素である、[8-3-1]に記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[8-3-3]
Y1が結合または-O-である、[8-3-1]または[8-3-2]に記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[8-3-4]
Y3およびY4が結合である、[8-3-1]~[8-3-3]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[8-3-5]
n5およびn7の合計が0である、[8-3-1]~[8-3-4]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[8-3-6]
n6およびn8の合計が5である、[8-3-1]~[8-3-5]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[8-3-7]
n9が、Y1が-O-である場合、2であり、Y1が結合である場合、3である、[8-3-1]~[8-3-6]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[8-4-1]
Mが式3-4である、[8]に記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[8-4-2]
R1およびR2が水素原子である、[8-4-1]に記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[8-4-3]
Y2が結合または-O-である、[8-4-1]または[8-4-2]に記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[8-4-4]
Y3およびY4が結合である、[8-4-1]~[8-4-3]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[8-4-5]
n5およびn7の合計が5である、[8-4-1]~[8-4-4]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[8-4-6]
n6およびn8の合計が0である、[8-4-1]~[8-4-5]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[8-4-7]
n10が、Y2が-O-である場合、2であり、Y2が結合である場合、3である、[8-4-1]~[8-4-6]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[8-5-1]
Mが式3-5である、[8]に記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[8-5-2]
R1’およびR2’が水素原子である、[8-5-1]に記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[8-5-3]
R3’およびR4’が水素原子である、[8-5-1]または[8-5-2]に記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[8-5-4]
R5’が、結合する炭素原子ごとにそれぞれ独立して、水素原子またはメチルである、[8-5-1]~[8-5-3]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[8-5-5]
R6’が水素原子である、[8-5-1]~[8-5-4]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[8-5-6]
n5’が2である、[8-5-1]~[8-5-5]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[8-5-7]
n6’が2である、[8-5-1]~[8-5-6]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[8-6-1]
Mが式3-6である、[8]に記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[8-6-2]
R1’およびR2’が水素原子である、[8-6-1]に記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[8-6-3]
R3’およびR4’が水素原子である、[8-6-1]または[8-6-2]に記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[8-6-4]
R5’が、結合する炭素原子ごとにそれぞれ独立して、水素原子またはメチルである、[8-6-1]~[8-6-3]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[8-6-5]
R6’が水素原子である、[8-6-1]~[8-6-4]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[8-6-6]
n5’が2である、[8-6-1]~[8-6-5]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[8-6-7]
n6’が2である、[8-6-1]~[8-6-6]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[8-7]
Mが2~6のアミノ酸残基からなる部分である、[6]~[7]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[8A]
L1およびL2がそれぞれ独立して、式2-1~式2-4からなる群から選ばれる、[6]~[8-7]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
【化4】
(式中、
n3およびn4はそれぞれ独立して、1~15の整数を表し、
Akは置換基を有していてもよいC2-C22アルキレンを表し、
Baseは水素原子、置換基を有していてもよいアデニニル、置換基を有していてもよいグアニニル、置換基を有していてもよいシトシニル、置換基を有していてもよいチミニルまたは置換基を有していてもよいウラシニルを表し、
Qは水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン、または置換基を有していてもよいC1-C4アルキルオキシ基を表し、
Zは酸素原子または硫黄原子を表す。)
[8A-1-1]
一方のZが酸素原子であり、他方のZが硫黄原子である、[8A]に記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[8A-1-2]
置換基を有していてもよいC2-C22アルキレンにおける置換基が、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアミノ基、および置換基を有していてもよいアルキコキシ基からなる群から選択される、[8A]または[8A-1-1]に記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[8A-1-3]
置換基を有していてもよいアリール基が以下の構造で表される、[8A-1-2]に記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
【化5】
[8A-1-4]
置換基を有していてもよいアミノ基が以下の構造で表される、[8A-1-2]に記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
【化6】
[8A-1-5]
置換基を有していてもよいアルキコキシ基が以下の構造で表される、[8A-1-2]に記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
【化7】
[8A-1-6]
n4が1~3の整数である、[8A]~[8A-1-5]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[8A-1-7]
Baseが、置換基を有していてもよいウラシニルである、[8A]~[8A-1-6]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[8A-1-8]
置換基を有していてもよいウラシニルが以下の構造で表される、[8A-1-7]に記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
【化8】
[8A-1-9]
Qが、水素原子またはC1-C4アルキルオキシ基である、[8A]~[8A-1-8]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[8A-1-10]
n3が3である、[8A]~[8A-1-9]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[8A-2-1]
L1が式2-1である、[8A]~[8A-1-10]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[8A-2-2]
L1が式2-2である、[8A]~[8A-1-10]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[8A-2-3]
L1が式2-3である、[8A]~[8A-1-10]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[8A-2-4]
L1が式2-4である、[8A]~[8A-1-10]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[8A-3-1]
L2が式2-1である、[8A]~[8A-2-4]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[8A-3-2]
L2が式2-2である、[8A]~[8A-2-4]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[8A-3-3]
L2が式2-3である、[8A]~[8A-2-4]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[8A-3-4]
L2が式2-4である、[8A]~[8A-2-4]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[9]
少なくとも1つの標的化化合物を有する、[6]~[8A-3-4]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[10]
標的化化合物が、L1およびL2の少なくとも1つに結合している、[9]に記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[11]
標的化化合物がコレステロール、トコフェロール、ドコサヘキサエン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸およびN-アセチル-D-ガラクトサミンからなる群から選ばれる、[9]または[10]に記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩。
[12]
[1]~[11]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩を含む、医薬組成物。
[13]
静脈内投与または皮下投与される、[12]に記載の医薬組成物。
[14]
[1]~[11]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩、または[12]もしくは[13]に記載の医薬組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、疾患の治療または予防方法。
[15]
[1]~[11]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩を含む、RNA干渉(RNAi)を利用した標的遺伝子の発現抑制剤。
[16]
少なくとも1つのホスホロチオエート結合を含む、式4で表される環状オリゴヌクレオチド。
式4:
【化9】
(式中、
L3およびL4はリンカーを表し、
m1およびm2はそれぞれ独立して0~10の整数を表し、
M2は細胞内の環境によって切断される化学構造を含む部分を表し、
X2はオリゴヌクレオチドを表す。)
[16-1-1]
15~40の塩基長を有する、[16]に記載の環状オリゴヌクレオチド。
[16-1-2]
少なくとも1つのホスホロチオエート結合を含む、[16]または[16-1-1]に記載の環状オリゴヌクレオチド。
[16-1-3]
少なくとも1つの2’-修飾ヌクレオチドを含む、[16]~[16-1-2]のいずれかに記載の環状オリゴヌクレオチド。
[16-2-1]
細胞内の環境が、細胞内に存在する酵素である、[16]~[16-1-3]のいずれかに記載の環状オリゴヌクレオチド。
[16-2-2]
細胞内の環境が、細胞内のpHである、[16]~[16-1-3]のいずれかに記載の環状オリゴヌクレオチド。
[16-2-3]
m1およびm2がそれぞれ独立して、0~8の整数である、[16]~[16-2-2]のいずれかに記載の環状オリゴヌクレオチド。
[17]
細胞内の環境によって切断される化学構造が、-S-S-、-S-C(O)-または-C(O)-S-である、[16]~[16-2-3]のいずれかに記載の環状オリゴヌクレオチド。
[18]
M2が式6-1~式6-6からなる群から選ばれる、[16]~[17]のいずれかに記載の環状オリゴヌクレオチド。
【化10】
(式中、
R1aおよびR2aはそれぞれ独立して、水素原子またはC1-C3アルキルを表すか、またはR1aおよびR2aは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、炭素数3~6の環を形成し、
R3aおよびR4aはそれぞれ独立して、水素原子またはC1-C3アルキルを表すか、またはR3aおよびR4aは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、炭素数3~6の環を形成し、
n5a~n8aはそれぞれ独立して、0~10の整数を表し、
n9aおよびn10aはそれぞれ独立して、1~4の整数を表し、
Y1a~Y4aはそれぞれ独立して、結合、-NR5a-、-O-または-S-を表し、
R5aは水素原子、C1-C3アルキルまたはC2-C4アルカノイルを表す。)
【化11】
(式中、
R1a’およびR2a’はそれぞれ独立して、水素原子またはC1-C3アルキルを表すか、またはR1a’およびR2a’は、それらが結合する炭素原子と一緒になって、炭素数3~6の環を形成し、
R3a’およびR4a’はそれぞれ独立して、水素原子またはC1-C3アルキルを表すか、またはR3a’およびR4a’は、それらが結合する炭素原子と一緒になって、炭素数3~6の環を形成し、
R5a’およびR6a’は、結合する炭素原子ごとにそれぞれ独立して、水素原子またはC1-C3アルキルであり、
n5a’およびn6a’はそれぞれ独立して、1~10の整数を表す。)
[18-1-1]
M2が式6-1である、[18]に記載の環状オリゴヌクレオチド。
[18-1-2]
R1a~R4aがそれぞれ独立して、水素原子またはC1-C3アルキルである、[18-1-1]に記載の環状オリゴヌクレオチド。
[18-1-3]
Y3aおよびY4aが、結合または-O-である、[18-1-1]または[18-1-2]に記載の環状オリゴヌクレオチド。
[18-1-4]
n5aおよびn7aの合計が、0~5の整数である、[18-1-1]~[18-1-3]のいずれかに記載の環状オリゴヌクレオチド。
[18-1-5]
n6aおよびn8aの合計が、0~5の整数である、[18-1-1]~[18-1-4]のいずれかに記載の環状オリゴヌクレオチド。
[18-2-1]
M2が式6-2である、[18]に記載の環状オリゴヌクレオチド。
[18-2-2]
Y1aおよびY2aがそれぞれ独立して、結合または-O-である、[18-2-1]に記載の環状オリゴヌクレオチド。
[18-2-3]
Y3aおよびY4aが結合である、[18-2-1]または[18-2-2]に記載の環状オリゴヌクレオチド。
[18-2-4]
n5aおよびn7aの合計ならびにn6aおよびn8aの合計が0である、[18-2-1]~[18-2-3]のいずれかに記載の環状オリゴヌクレオチド。
[18-2-5]
n9aが、Y1aが-O-である場合、2であり、Y1aが結合である場合、3である、[18-2-1]~[18-2-4]のいずれかに記載の環状オリゴヌクレオチド。
[18-2-6]
n10aが、Y2aが-O-である場合、2であり、Y2aが結合である場合、3である、[18-2-1]~[18-2-5]のいずれかに記載の環状オリゴヌクレオチド。
[18-3-1]
M2が式6-3である、[18]に記載の環状オリゴヌクレオチド。
[18-3-2]
R3aおよびR4aが水素である、[18-3-1]に記載の環状オリゴヌクレオチド。
[18-3-3]
Y1aが結合または-O-である、[18-3-1]または[18-3-2]に記載の環状オリゴヌクレオチド。
[18-3-4]
Y3aおよびY4aが結合である、[18-3-1]~[18-3-3]のいずれかに記載の環状オリゴヌクレオチド。
[18-3-5]
n5aおよびn7aの合計が0である、[18-3-1]~[18-3-4]のいずれかに記載の環状オリゴヌクレオチド。
[18-3-6]
n6aおよびn8aの合計が5である、[18-3-1]~[18-3-5]のいずれかに記載の環状オリゴヌクレオチド。
[18-3-7]
n9aが、Y1aが-O-である場合、2であり、Y1aが結合である場合、3である、[18-3-1]~[18-3-6]のいずれかに記載の環状オリゴヌクレオチド。
[18-4-1]
M2が式6-4である、[18]に記載の環状オリゴヌクレオチド。
[18-4-2]
R1aおよびR2aが水素原子である、[18-4-1]に記載の環状オリゴヌクレオチド。
[18-4-3]
Y2aが結合または-O-である、[18-4-1]または[18-4-2]に記載の環状オリゴヌクレオチド。
[18-4-4]
Y3aおよびY4aが結合である、[18-4-1]~[18-4-3]のいずれかに記載の環状オリゴヌクレオチド。
[18-4-5]
n5aおよびn7aの合計が5である、[18-4-1]~[18-4-4]のいずれかに記載の環状オリゴヌクレオチド。
[18-4-6]
n6aおよびn8aの合計が0である、[18-4-1]~[18-4-5]のいずれかに記載の環状オリゴヌクレオチド。
[18-4-7]
n10aが、Y2aが-O-である場合、2であり、Y2aが結合である場合、3である、[18-4-1]~[18-4-6]のいずれかに記載の環状オリゴヌクレオチド。
[18-5-1]
M2が式6-5である、[18]に記載の環状オリゴヌクレオチド。
[18-5-2]
R1a’およびR2a’が水素原子である、[18-5-1]に記載の環状オリゴヌクレオチド。
[18-5-3]
R3a’およびR4a’が水素原子である、[18-5-1]または[18-5-2]に記載の環状オリゴヌクレオチド。
[18-5-4]
R5a’が、結合する炭素原子ごとにそれぞれ独立して、水素原子またはメチルである、[18-5-1]~[18-5-3]のいずれかに記載の環状オリゴヌクレオチド。
[18-5-5]
R6a’が水素原子である、[18-5-1]~[18-5-4]のいずれかに記載の環状オリゴヌクレオチド。
[18-5-6]
n5a’が2である、[18-5-1]~[18-5-5]のいずれかに記載の環状オリゴヌクレオチド。
[18-5-7]
n6a’が2である、[18-5-1]~[18-5-6]のいずれかに記載の環状オリゴヌクレオチド。
[18-6-1]
M2が式6-6である、[18]に記載の環状オリゴヌクレオチド。
[18-6-2]
R1a’およびR2a’が水素原子である、[18-6-1]に記載の環状オリゴヌクレオチド。
[18-6-3]
R3a’およびR4a’が水素原子である、[18-6-1]または[18-6-2]に記載の環状オリゴヌクレオチド。
[18-6-4]
R5a’が、結合する炭素原子ごとにそれぞれ独立して、水素原子またはメチルである、[18-6-1]~[18-6-3]のいずれかに記載の環状オリゴヌクレオチド。
[18-6-5]
R6a’が水素原子である、[18-6-1]~[18-6-4]のいずれかに記載の環状オリゴヌクレオチド。
[18-6-6]
n5a’が2である、[18-6-1]~[18-6-5]のいずれかに記載の環状オリゴヌクレオチド。
[18-6-7]
n6a’が2である、[18-6-1]~[18-6-6]のいずれかに記載の環状オリゴヌクレオチド。
[18-7]
M2が2~6のアミノ酸残基からなる部分である、[16]~[17]のいずれかに記載の環状オリゴヌクレオチド。
[18A]
L3およびL4がそれぞれ独立して、式5-1~式5-4からなる群から選ばれる、[16]~[18-7]のいずれかに記載の環状オリゴヌクレオチド。
【化12】
(式中、
n3aおよびn4aはそれぞれ独立して、1~15の整数を表し、
Ak'は置換基を有していてもよいC2-C22アルキレン基を表し、
Base’は水素原子、置換基を有していてもよいアデニニル、置換基を有していてもよいグアニニル、置換基を有していてもよいシトシニル、置換基を有していてもよいチミニルまたは置換基を有していてもよいウラシニルを表し、
Qaは水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン、または置換基を有していてもよいC1-C4アルキルオキシ基を表し、
Zaは酸素原子または硫黄原子を表す。)
[18A-1-1]
一方のZaが酸素原子であり、他方のZaが硫黄原子である、[18A]に記載の環状オリゴヌクレオチド。
[18A-1-2]
置換基を有していてもよいC2-C22アルキレンにおける置換基が、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアミノ基、および置換基を有していてもよいアルキコキシ基からなる群から選択される、[18A]または[18A-1-1]に記載の環状オリゴヌクレオチド。
[18A-1-3]
置換基を有していてもよいアリール基が以下の構造で表される、[18A-1-2]に記載の環状オリゴヌクレオチド。
【化13】
[18A-1-4]
置換基を有していてもよいアミノ基が以下の構造で表される、[18A-1-2]に記載の環状オリゴヌクレオチド。
【化14】
[18A-1-5]
置換基を有していてもよいアルキコキシ基が以下の構造で表される、[18A-1-2]に記載の環状オリゴヌクレオチド。
【化15】
[18A-1-6]
n4aが1~3の整数である、[18A]~[18A-1-5]のいずれかに記載の環状オリゴヌクレオチド。
[18A-1-7]
Base’が、置換基を有していてもよいウラシニルである、[18A]~[18A-1-6]のいずれかに記載の環状オリゴヌクレオチド。
[18A-1-8]
置換基を有していてもよいウラシニルが以下の構造で表される、[18A-1-7]に記載の環状オリゴヌクレオチド。
【化16】
[18A-1-9]
Qaが、水素原子またはC1-C4アルキルオキシ基である、[18A]~[18A-1-8]のいずれかに記載の環状オリゴヌクレオチド。
[18A-1-10]
n3aが3である、[18A]~[18A-1-9]のいずれかに記載の環状オリゴヌクレオチド。
[18A-2-1]
L3が式5-1である、[18A]~[18A-1-10]のいずれかに記載の環状オリゴヌクレオチド。
[18A-2-2]
L3が式5-2である、[18A]~[18A-1-10]のいずれかに記載の環状オリゴヌクレオチド。
[18A-2-3]
L3が式5-3である、[18A]~[18A-1-10]のいずれかに記載の環状オリゴヌクレオチド。
[18A-2-4]
L3が式5-4である、[18A]~[18A-1-10]のいずれかに記載の環状オリゴヌクレオチド。
[18A-3-1]
L4が式5-1である、[18A]~[18A-2-4]のいずれかに記載の環状オリゴヌクレオチド。
[18A-3-2]
L4が式5-2である、[18A]~[18A-2-4]のいずれかに記載の環状オリゴヌクレオチド。
[18A-3-3]
L4が式5-3である、[18A]~[18A-2-4]のいずれかに記載の環状オリゴヌクレオチド。
[18A-3-4]
L4が式5-4である、[18A]~[18A-2-4]のいずれかに記載の環状オリゴヌクレオチド。
[19]
式7で表される、少なくとも1つのホスホロチオエート結合を含む線状オリゴヌクレオチド。
式7:
【化17】
(式中、
X2,L3、L4、m1およびm2は[16]、[16-2-3]、および[18A]~[18A-3-4]のいずれかで定義したとおりであり、
W1およびW2は、互いに反応して、細胞内の環境によって切断される化学構造を形成する官能基を含むまたは生じる部分である。)
[19-1]
細胞内の環境が、細胞内に存在する酵素である、[19]に記載の環状オリゴヌクレオチド。
[19-2]
細胞内の環境が、細胞内のpHである、[19]に記載の環状オリゴヌクレオチド。
[20]
細胞内の環境によって切断される化学構造が、-S-S-、-S-C(O)-または-C(O)-S-である、[19]~[19-2]のいずれかに記載の線状オリゴヌクレオチド。
[21]
W1およびW2がそれぞれ独立して、-A1-S-S-A2または-B1-COO-B2であり(ただし、W1およびW2が同時に-B1-COO-B2である場合を除く)、
A1およびB1がそれぞれ独立して、置換基を有していてもよいC2-C10アルキレンであり、
A2は置換基を有していてもよいC1-C10アルキルであり、
B2は水素原子、または置換基を有していてもよいC1-C6アルキルである、[19]~[20]のいずれかに記載の線状オリゴヌクレオチド。
[22]
[19]~[21]のいずれかに記載の線状オリゴヌクレオチドを含む、RNA干渉(RNAi)を利用した標的遺伝子の発現抑制剤。
[23]
[19]~[21]のいずれかに記載の線状オリゴヌクレオチドを環化することを含む、[16]~[18A-2-4]のいずれかに記載の環状オリゴヌクレオチドの製造方法。
[24]
[16]~[18A-2-4]のいずれかに記載の環状オリゴヌクレオチドを、当該環状オリゴヌクレオチドと相補的な塩基配列を有する線状オリゴヌクレオチドと、水素結合を介して複合化させることを含む、[1]~[11]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩の製造方法。
【0009】
本発明は、さらに以下の実施形態を含む。
[25-1]
疾患の治療に使用するための、[1]~[11]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩、[16]~[18A-3-4]のいずれかに記載の環状オリゴヌクレオチド、または[19]~[21]のいずれかに記載の線状オリゴヌクレオチド。
[25-2]
標的遺伝子の発現抑制に使用するための、[1]~[11]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩、[16]~[18A-3-4]のいずれかに記載の環状オリゴヌクレオチド、または[19]~[21]のいずれかに記載の線状オリゴヌクレオチド。
[26-1]
疾患の治療に使用するための、[1]~[11]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩、[16]~[18A-3-4]のいずれかに記載の環状オリゴヌクレオチド、または[19]~[21]のいずれかに記載の線状オリゴヌクレオチドを含む、医薬組成物。
[26-2]
標的遺伝子の発現抑制に使用するための、[1]~[11]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩、[16]~[18A-3-4]のいずれかに記載の環状オリゴヌクレオチド、または[19]~[21]のいずれかに記載の線状オリゴヌクレオチドを含む、医薬組成物。
[27-1]
疾患を治療するための、[1]~[11]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩、[16]~[18A-3-4]のいずれかに記載の環状オリゴヌクレオチド、または[19]~[21]のいずれかに記載の線状オリゴヌクレオチドの使用。
[27-2]
標的遺伝子の発現を抑制するための、[1]~[11]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩、[16]~[18A-3-4]のいずれかに記載の環状オリゴヌクレオチド、または[19]~[21]のいずれかに記載の線状オリゴヌクレオチドの使用。
[28-1]
疾患の治療用医薬の製造における、[1]~[11]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩、[16]~[18A-3-4]のいずれかに記載の環状オリゴヌクレオチド、または[19]~[21]のいずれかに記載の線状オリゴヌクレオチドの使用。
[28-2]
標的遺伝子の発現抑制用医薬の製造における、[1]~[11]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩、[16]~[18A-3-4]のいずれかに記載の環状オリゴヌクレオチド、または[19]~[21]のいずれかに記載の線状オリゴヌクレオチドの使用。
[29-1]
疾患の治療用医薬の製造に使用するための、[1]~[11]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩、[16]~[18A-3-4]のいずれかに記載の環状オリゴヌクレオチド、または[19]~[21]のいずれかに記載の線状オリゴヌクレオチド。
[29-2]
標的遺伝子の発現抑制用医薬の製造に使用するための、[1]~[11]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩、[16]~[18A-3-4]のいずれかに記載の環状オリゴヌクレオチド、または[19]~[21]のいずれかに記載の線状オリゴヌクレオチド。
[30-1]
有効量の[1]~[11]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩、[16]~[18A-3-4]のいずれかに記載の環状オリゴヌクレオチド、または[19]~[21]のいずれかに記載の線状オリゴヌクレオチドを、その必要のある対象に投与することを含む、疾患の治療方法。
[30-2]
有効量の[1]~[11]のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩、[16]~[18A-3-4]のいずれかに記載の環状オリゴヌクレオチド、または[19]~[21]のいずれかに記載の線状オリゴヌクレオチドを、その必要のある対象に投与することを含む、標的遺伝子の発現抑制方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ヌクレアーゼによる分解に対する耐性を有し、かつ、強いノックダウン活性を持つ新規なオリゴヌクレオチド誘導体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、マウス初代肝細胞中でのヒポキサンチン-グアニンホスホリボシル卜ランスフェラ一ゼ1(HPRT1)標的の化合物1および化合物2によるノックダウン活性を示す。HPRT1_dsRNA1およびHPRT1_dsRNA2ならびに化合物1および2を、それぞれ1 μmoL/L、0.3 μmoL/L、0.1 μmoL/Lおよび0.03 μmol/Lの濃度において、マウス初代肝細胞へ添加した際の試験結果を示し、MediumはsiRNA未導入群(コントロール群)の試験結果を示す。縦軸は、Medium(コントロール群)のHPRT1のmRNA量を1としたときの上記各siRNA導入検体のHPRT1のmRNA量の相対的な割合を、n数を3とした平均±標準偏差で示す。HPRT1_dsRNA1およびHPRT1_dsRNA2はそれぞれ化合物1および化合物2に対する陰性対照群である。
【
図2】
図2は、マウス初代肝細胞中でのビーツーエム(B2M)標的の化合物3によるノックダウン活性を示す。B2M_dsRNAおよび化合物3を、それぞれ1 μmoL/L、0.3 μmoL/L、0.1 μmoL/Lおよび0.03 μmol/Lの濃度において、マウス初代肝細胞へ添加した際の試験結果を示し、MediumはsiRNA未導入群(コントロール群)での試験結果を示す。縦軸は、Medium(コントロール群)のB2MのmRNA量を1としたときの上記各siRNA導入検体のB2MのmRNA量の相対的な割合を、n数を3とした平均±標準偏差で示す。B2M_dsRNAは化合物3に対する陰性対照群である。
【
図3】
図3は、マウス初代肝細胞中でのヒポキサンチン-グアニンホスホリボシル卜ランスフェラ一ゼ1(HPRT1)標的の化合物4および化合物5によるノックダウン活性を示す。HPRT1_dsRNA3およびHPRT1_dsRNA4ならびに化合物4および5を、それぞれ1 μmoL/L、0.3 μmoL/L、0.1 μmoL/Lおよび0.03 μmol/Lの濃度において、マウス初代肝細胞へ添加した際の試験結果を示し、MediumはsiRNA未導入群(コントロール群)での試験結果を示す。縦軸は、Medium(コントロール群)のHPRT1のmRNA量を1としたときの上記各siRNA導入検体のHPRT1のmRNA量の相対的な割合を、n数を3とした平均±標準偏差で示す。HPRT1_dsRNA3およびHPRT1_dsRNA4はそれぞれ化合物4および化合物5に対する陰性対照群である。
【
図4】
図4は、マウス初代肝細胞中でのヒポキサンチン-グアニンホスホリボシル卜ランスフェラ一ゼ1(HPRT1)標的の化合物6によるノックダウン活性を示す。HPRT1_dsRNA5および化合物6を、それぞれ0.3 μmoL/L、0.1 μmoL/L、0.03 μmol/L、および0.01 μmol/Lの濃度において、マウス初代肝細胞へ添加した際の試験結果を示し、MediumはsiRNA未導入群(コントロール群)での試験結果を示す。縦軸は、Medium(コントロール群)のHPRT1のmRNA量を1としたときの上記各siRNA導入検体のHPRT1のmRNA量の相対的な割合を、n数を3とした平均±標準偏差で示す。HPRT1_dsRNA5は化合物6に対する陰性対照群である。
【
図5】
図5は、ヒーラ(HeLa)細胞中でのヒポキサンチン-グアニンホスホリボシル卜ランスフェラ一ゼ1(HPRT1)標的の化合物6によるノックダウン活性を示す。HPRT1_dsRNA5および化合物6を、それぞれ3 μmoL/L、1 μmoL/L、0.3 μmol/L、および0.1 μmol/Lの濃度において、HeLa細胞へ添加した際の試験結果を示し、MediumはsiRNA未導入群(陰性対照群)での試験結果を示す。縦軸は、Medium群(陰性対照群)のHPRT1のmRNA量を1としたときの上記各siRNA導入検体のHPRT1のmRNA量の相対的な割合を、n数を3とした平均±標準偏差で示したものである。HPRT1_dsRNA5は化合物6に対する陰性対照群として用いている。
【
図6】
図6は、ヘップジーツー(HepG2)細胞中でのヒポキサンチン-グアニンホスホリボシル卜ランスフェラ一ゼ1(HPRT1)標的の化合物6によるノックダウン活性を示す。HPRT1_dsRNA5および化合物6を、それぞれ3 μmoL/L、1 μmoL/L、0.3 μmol/L、および0.1 μmol/Lの濃度において、HepG2細胞へ添加した際の試験結果を示し、MediumはsiRNA未導入群(コントロール群)での試験結果を示す。縦軸は、Medium(コントロール群)のHPRT1のmRNA量を1としたときの上記各siRNA導入検体のHPRT1のmRNA量の相対的な割合を、n数を3とした平均±標準偏差で示す。HPRT1_dsRNA5は化合物6に対する陰性対照群である。
【
図7】
図7は、ヒューエイチセブン(HuH-7)細胞中でのヒポキサンチン-グアニンホスホリボシル卜ランスフェラ一ゼ1(HPRT1)標的の化合物6によるノックダウン活性を示す。HPRT1_dsRNA5および化合物6を、それぞれ3 μmoL/L、1 μmoL/L、0.3 μmol/L、および0.1 μmol/Lの濃度において、HuH-7細胞へ添加した際の試験結果を示し、MediumはsiRNA未導入群(コントロール群)での試験結果を示す。縦軸は、Medium(コントロール群)のHPRT1のmRNA量を1としたときの上記各siRNA導入検体のHPRT1のmRNA量の相対的な割合を、n数を3とした平均±標準偏差で示す。HPRT1_dsRNA5は化合物6に対する陰性対照群である。
【
図8】
図8は、ロー264.7細胞(RAW264.7)中でのヒポキサンチン-グアニンホスホリボシル卜ランスフェラ一ゼ1(HPRT1)標的の化合物6によるノックダウン活性を示す。HPRT1_dsRNA5および化合物6を、それぞれ3 μmoL/L、1 μmoL/L、0.3 μmol/L、および0.1 μmol/Lの濃度において、RAW264.7細胞へ添加した際の試験結果を示し、MediumはsiRNA未導入群(コントロール群)での試験結果を示す。縦軸は、Medium(コントロール群)のHPRT1のmRNA量を1としたときの上記各siRNA導入検体のHPRT1のmRNA量の相対的な割合を、n数を3とした平均±標準偏差で示す。HPRT1_dsRNA5は化合物6に対する陰性対照群である。
【
図9】
図9は、ラット血清中でのヒポキサンチン-グアニンホスホリボシル卜ランスフェラ一ゼ1(HPRT1)標的の化合物6のアンチセンス鎖の残存率を示す。横軸は、HPRT1_dsRNA5および化合物6をラット血清に添加し始めてからの時間を反応時間として示す。縦軸は、反応開始時のアンチセンス鎖量を100%としたときの、各時間における相対的な残存率を、n数を3とした平均±標準偏差で示す。HPRT1_dsRNA5は化合物6に対する陰性対照群として用いている。
【
図10】
図10は、エキソヌクレアーゼ含有溶液中でのヒポキサンチン-グアニンホスホリボシル卜ランスフェラ一ゼ1(HPRT1)標的の化合物6のアンチセンス鎖の残存率を示す。横軸は、HPRT1_dsRNA5および化合物6をエキソヌクレアーゼ含有溶液に添加し始めてからの時間を反応時間として示す。縦軸は、反応開始時のアンチセンス鎖量を100%としたときの、各時間における相対的な残存率を、n数を3とした平均±標準偏差で示す。HPRT1_dsRNA5は化合物6に対する陰性対照群である。
【
図11】
図11は、マウス初代肝細胞中でのホスファターゼアンド テンシン ホモログ デリーテド フロム クロモソーム10 (PTEN)標的の化合物7およびファクター9(Factor9)標的の化合物8によるノックダウン活性を示す。
【
図12】
図12は、ヒーラ細胞中でのHPRT1標的の各化合物によるノックダウン活性を示す。
【
図13】
図13は、ヒーラ細胞中でのHPRT1標的の各化合物によるノックダウン活性を示す。
【
図14】
図14は、ヒーラ細胞中でのHPRT1標的の各化合物によるノックダウン活性を示す。
【
図15】
図15は、ヒーラ細胞中でのHPRT1標的の各化合物によるノックダウン活性を示す。
【
図16】
図16は、ヒーラ細胞中でのHPRT1標的の各化合物によるノックダウン活性を示す。
【
図17】
図17は、ヒーラ細胞中でのHPRT1標的の各化合物によるノックダウン活性を示す。
【
図18】
図18は、ヒーラ細胞中でのHPRT1標的の化合物47によるノックダウン活性を示す。
【
図19】
図19は、マウス初代肝細胞中でのHPRT1標的の化合物48および49のノックダウン活性を示す。
【
図20】
図20は、マウス初代肝細胞中でのB2M標的の化合物50のノックダウン活性を示す。
【
図21】
図21は、ヒーラ細胞中でのHPRT1標的の化合物51によるノックダウン活性を示す。
【
図22】
図22は、マウス初代肝細胞中でのPTEN標的の化合物52およびFactor9標的の化合物53によるノックダウン活性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<オリゴヌクレオチド誘導体>
本発明は、環状オリゴヌクレオチドと、線状オリゴヌクレオチドとを含み、環状オリゴヌクレオチドと、線状オリゴヌクレオチドとが互いに相補的な塩基配列を有し、該相補的な塩基配列の水素結合を介して環状オリゴヌクレオチドと、線状オリゴヌクレオチドとが複合体を形成しているオリゴヌクレオチド誘導体に関する。本明細書では、本発明におけるオリゴヌクレオチド誘導体のことを核酸複合体ともいう。
【0013】
本発明においては、環状オリゴヌクレオチドと、線状オリゴヌクレオチドが用いられるが、環状であるか、線状であるかを問わず、オリゴヌクレオチドとしては、ヌクレオチドの重合体であればいかなる分子であってもよく、例えばデオキシリボヌクレオチドの重合体であるDNA、リボヌクレオチドの重合体であるRNA、DNAとRNAの重合体であるキメラ核酸が挙げられる。
オリゴヌクレオチドとしては、ヌクレオチドの重合体において、全部または一部のヌクレオチドに代えてヌクレオチドと同等の機能を有する分子を含んでいてもよく、DNA、RNAおよびキメラ核酸において、少なくとも一つのデオキシリボヌクレオチドやリボヌクレオチド等のヌクレオチドがヌクレオチドと同等の機能を有する分子で置換されたヌクレオチドの重合体であってもよい。RNA中のウラシル(U)は、DNAにおいてはチミン(T)に一義的に読み替えられる。
オリゴヌクレオチドを構成するヌクレオチドのうち、全てのヌクレオチドがヌクレオチドと同等の機能を有する分子であってもよく、一部のヌクレオチドがヌクレオチドと同等の機能を有する分子であってもよい。
【0014】
ヌクレオチドと同等の機能を有する分子としては、例えば、ヌクレオチドに修飾を施したヌクレオチド誘導体が挙げられる。
ヌクレオチド誘導体を用いることで、特に限定されるものではないが、例えば、DNAまたはRNAと比較して、ヌクレアーゼ耐性の向上もしくは安定化させることができる、相補鎖核酸とのアフィニティーを上げることができる、および/または細胞透過性を上げることができるといった利点がある。
ヌクレオチド誘導体としては、例えば、糖部修飾ヌクレオチド、リン酸ジエステル結合修飾ヌクレオチド、塩基修飾ヌクレオチド、ならびに糖部、リン酸ジエステル結合および塩基の二つ以上が同時に修飾されたヌクレオチドが挙げられる。
【0015】
糖部修飾ヌクレオチドとしては、ヌクレオチドの糖の化学構造の一部あるいは全てに対し、任意の置換基で修飾もしくは置換したもの、または任意の原子で置換したものであればいかなるものでもよいが、2’-修飾ヌクレオチドが好ましく用いられる。
2’-修飾ヌクレオチドとしては、例えば、リボースの2’-OH基が-OR、-R、-R’OR、-SH、-SR、-NH2、-NHR、-NR2、-N3(アジド)、-CN(シアノ)、-F、-Cl、-Brおよび-Iからなる群(Rはアルキルまたはアリール、好ましくは炭素数1~6のアルキルであり、R’はアルキレン、好ましくは炭素数1~6のアルキレンであり、-NR2の2つのRは同一でも異なっていてもよい)から選択される置換基で置換された2’-修飾ヌクレオチドが挙げられる。
2’-修飾ヌクレオチドとしては、リボースの2’-OH基が-F、メトキシ基およびエトキシ基で置換された2’-修飾ヌクレオチドが好ましく用いられる。
2’-修飾ヌクレオチドとしては、リボースの2’-OH基が2-(メトキシ)エトキシ基、3-アミノプロポキシ基、2-[(N,N-ジメチルアミノ)オキシ]エトキシ基、3-(N,N-ジメチルアミノ)プロポキシ基、2-[2-(N,N-ジメチルアミノ)エトキシ]エトキシ基、2-(メチルアミノ)-2-オキソエトキシ基、2-(N-メチルカルバモイル)エトキシ基および2-シアノエトキシ基からなる群から選択される置換基で置換された2’-修飾ヌクレオチド等も挙げられる。
【0016】
糖部修飾ヌクレオチドの別の態様として、糖部に架橋構造を導入することにより2つの環状構造を有する架橋構造型人工核酸 (Bridged Nucleic Acid)(BNA)も好適に用いられる。
糖部修飾ヌクレオチドは、例えば、2’位の酸素原子と4’位の炭素原子がメチレンを介して架橋したロックト人工核酸(Locked Nucleic Acid)(LNA)[Tetrahedron Letters, 38, 873 (1997)およびTetrahedron, 54, 3607 (1998)]、エチレン架橋構造型人工核酸(Ethylenebridged nucleic acid)(ENA)[Nucleic Acid Research, 32, e175 (2004)]、Constrained Ethyl(cEt)[The Journal ofOrganic Chemistry 75, 1569 (2010)]、Amido-BridgedNucleic Acid (AmNA) [Chem Bio Chem 13, 2513(2012)]および2’-O, 4’-c-Spirocyclopropylene bridged nucleicacid (scpBNA)[Chem. Commun., 51, 9737 (2015)]等が挙げられる。
糖部修飾ヌクレオチドとしては、ペプチド核酸(PNA)[Acc. Chem. Res., 32, 624(1999)]、オキシペプチド核酸 (OPNA)[J. Am. Chem. Soc., 123, 4653(2001)]、ペプチドリボ核酸(PRNA)[J. Am.Chem. Soc., 122, 6900 (2000)]等も挙げられる。
【0017】
リン酸ジエステル結合修飾ヌクレオチドとしては、ヌクレオチドのリン酸ジエステル結合の化学構造の一部あるいは全てに対し、任意の置換基で修飾もしくは置換したもの、または任意の原子で置換したものであればいかなるものでもよい。
リン酸ジエステル結合修飾ヌクレオチドとしては、例えば、リン酸ジエステル結合がホスホロチオエート結合に置換されたヌクレオチド、リン酸ジエステル結合がホスホロジチオエート結合に置換されたヌクレオチド、リン酸ジエステル結合がアルキルホスホネート結合に置換されたヌクレオチド、リン酸ジエステル結合がホスホロアミデート結合に置換されたヌクレオチド等が挙げられ、好ましくはリン酸ジエステル結合がホスホロチオエート結合に置換されたヌクレオチドが挙げられる。
【0018】
塩基修飾ヌクレオチドとしては、ヌクレオチドの塩基の化学構造の一部あるいは全てに対し、任意の置換基で修飾もしくは置換したもの、または任意の原子で置換したものであればいかなるものでもよい。
塩基修飾ヌクレオチドとしては、例えば、塩基内の酸素原子が硫黄原子で置換されたヌクレオチド、水素原子が炭素数1~6のアルキル基、ハロゲン基で置換されたヌクレオチド、メチル基が水素原子、ヒドロキシメチル基、炭素数2~6のアルキル基で置換されたヌクレオチド、アミノ基が炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルカノイル基、オキソ基、ヒドロキシ基等に置換されたヌクレオチド等が挙げられる。
塩基修飾ヌクレオチドとしては、例えば、シトシン(C)が5-メチルシトシン(5-mC)に置換されたヌクレオチドも挙げられる。
【0019】
ヌクレオチド誘導体における環状オリゴヌクレオチドまたは線状オリゴヌクレオチドにおいて、オリゴヌクレオチド部分に、糖部修飾ヌクレオチド、リン酸ジエステル結合修飾ヌクレオチドおよび塩基修飾ヌクレオチドとして説明した置換を二つ以上を同時に有していてもよい。
【0020】
標的遺伝子のmRNA、好ましくは、ヒト標的遺伝子のmRNAの一部の塩基配列に対して相補的な塩基配列を含むオリゴヌクレオチドをアンチセンス鎖といい、アンチセンス鎖の塩基配列に対して相補的な塩基配列を含むオリゴヌクレオチドをセンス鎖という。センス鎖は、アンチセンス鎖と対合して二重鎖を形成することができる。
センス鎖としては、標的遺伝子のmRNA、好ましくは、ヒト標的遺伝子のmRNAの一部の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドそのものを用いてもよい。
本発明における環状オリゴヌクレオチドは、アンチセンス鎖またはセンス鎖のどちらを含んでいてもよいが、環状オリゴヌクレオチドがセンス鎖を含むことが好ましい。環状オリゴヌクレオチドがアンチセンス鎖を含む場合、線状ヌクレオチドはセンス鎖を含むことが好ましく、環状オリゴヌクレオチドがセンス鎖を含む場合、線状ヌクレオチドはアンチセンス鎖を含むことがより好ましい。
【0021】
本発明のオリゴヌクレオチド誘導体においては、環状オリゴヌクレオチドと、線状オリゴヌクレオチドとが互いに相補的な塩基配列を有し、該相補的な塩基配列の水素結合を介して環状オリゴヌクレオチドと、線状オリゴヌクレオチドとが複合体を形成する。
本発明におけるオリゴヌクレオチド誘導体は、環状オリゴヌクレオチドと、線状オリゴヌクレオチドとが複合体を形成することにより、ヌクレアーゼに対する耐性を有する。核酸複合体においては、環状オリゴヌクレオチドと、線状オリゴヌクレオチドとが互いに有する相補的な塩基配列部分において、全部または一部が二重鎖を形成していてもよい。
また、本発明においては、環状オリゴヌクレオチドが、細胞内で切断される構造を有することにより、所定の細胞に送達された後、切断され、線状二本鎖オリゴヌクレオチドに変換される。線状二本鎖オリゴヌクレオチドは通常、RNA induced silencing complex(RISC)と呼ばれる細胞内タンパク質と複合体を形成した後、RISCによる標的mRNA切断を惹起することで強いノックダウン活性を示すと考えられる。
【0022】
本発明においては、アンチセンス鎖およびセンス鎖という場合に、アンチセンス鎖は、標的遺伝子のmRNAの一部の塩基配列に対して相補的であり、センス鎖は、アンチセンス鎖に相補的である。
また、本発明においては、環状オリゴヌクレオチドと、線状オリゴヌクレオチドとが互いに相補的な塩基配列を有する。
本明細書において「相補的」とは、一方のオリゴヌクレオチドおよび他方のオリゴヌクレオチドにおいて、それぞれの有する塩基配列が完全に相補する場合だけでなく、当該塩基配列間で30%以下の、20%以下のまたは10%以下のミスマッチ塩基を有することができる。
一方のオリゴヌクレオチドと他方のオリゴヌクレオチドは、互いが有する相補的な塩基配列において、1~8個、好ましくは1~6個、1~4個、1~3個、中でも、2個または1個のミスマッチ塩基を有していてもよい。
本明細書においては、例えば、一方のオリゴヌクレオチドに対して相補的な塩基配列を有する他方のオリゴヌクレオチドは、完全に相補する塩基配列において、1つまたは複数の塩基の置換、付加および/または欠失した塩基配列を有していてもよい。
【0023】
本発明のオリゴヌクレオチド誘導体において、環状オリゴヌクレオチドと線状オリゴヌクレオチドが有する互いに相補的な塩基配列は、通常15~27塩基対であり、15~25塩基対が好ましく、19~23塩基対がより好ましい。
環状オリゴヌクレオチドと線状オリゴヌクレオチドにおける当該相補的な塩基配列において水素結合を形成していれば特に限定されるものではないが、環状オリゴヌクレオチドのオリゴヌクレオチドにおける塩基と線状オリゴヌクレオチドのオリゴヌクレオチドにおける塩基が、それぞれ水素結合を形成するように対向していればよく、塩基対を形成していても、ミスマッチであってもよい。
環状オリゴヌクレオチドおよび線状オリゴヌクレオチドの一方がアンチセンス鎖を有する場合、アンチセンス鎖を有するオリゴヌクレオチドにおいて、通常15~27塩基対の互いに相補的な塩基配列に加え、その塩基配列の3’末端において、1~7の塩基長の、好ましくは2~4の塩基長の、より好ましくは2塩基長の塩基配列を有していてよい。
【0024】
本発明で用いられる環状オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドと、環状化させるための生体内で切断される化学構造のみを有していてもよく、オリゴヌクレオチドと生体内で切断される化学構造とをリンカーを介して結合させ、オリゴヌクレオチドを環状化させてもよい。
環状オリゴヌクレオチドのオリゴヌクレオチドは、ヌクレオチドのみからなるオリゴヌクレオチドであってもよく、ヌクレオチド誘導体を含むオリゴヌクレオチドであってもよく、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体以外の修飾を受けたオリゴヌクレオチドであってもよい。
環状オリゴヌクレオチドのオリゴヌクレオチドは15~80の塩基長の塩基配列を有することが好ましく、15~40の塩基長の塩基配列を有することがより好ましく、15~30の塩基長の塩基配列を有することがよりさらに好ましい。
【0025】
本発明で用いられる線状オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドからなり、線状とは、線状オリゴヌクレオチド全体の構造が直線状の一本鎖構造であることを意味する。
線状オリゴヌクレオチドは、ヌクレオチドのみからなるオリゴヌクレオチドであってもよく、ヌクレオチド誘導体を含むオリゴヌクレオチドであってもよく、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体以外の修飾を受けたオリゴヌクレオチドであってもよい。
線状オリゴヌクレオチドは、15~80の塩基長の塩基配列を有することが好ましく、15~40の塩基長の塩基配列を有することがより好ましく、19~30の塩基長の塩基配列を有することがさらに好ましく、19~25の塩基長の塩基配列を有することがよりさらに好ましい。
【0026】
本発明のオリゴヌクレオチド誘導体においては、環状オリゴヌクレオチドの塩基長が、線状オリゴヌクレオチドの塩基長と同じであるか、または線状オリゴヌクレオチドの塩基長よりも長いことが好ましい。
環状オリゴヌクレオチドと、線状オリゴヌクレオチドは、それぞれで好適な15~80の塩基長の塩基配列において、長さとしては、環状オリヌクレオチドにおけるオリゴヌクレオチド部分の塩基長が、線状オリゴヌクレオチドの塩基長よりも1~10塩基長いことが好ましく、2~8塩基長いことがより好ましく、4~6塩基長いことがさらに好ましい。
【0027】
本発明における環状オリゴヌクレオチドは式1で表されるオリゴヌクレオチドが好ましい。
式1:
【化18】
(式1中、L1およびL2はリンカーを表し、n1およびn2はそれぞれ独立して0~10の整数を表し、Mは細胞内の環境によって切断される化学構造を含む部分を表し、Xはオリゴヌクレオチドを表す。)
細胞内の環境としては、例えば、細胞内に存在する酵素、細胞内のpHなどが挙げられる。
【0028】
式1において、n1およびn2はそれぞれ独立して、0~8の整数、0~6の整数、0~4の整数、1~8の整数、2~8の整数、3~8の整数または4~8の整数であってもよい。
【0029】
式1において、n1およびn2が共に0である場合、L1とL2は存在せずに、式1-1に示す環状オリゴヌクレオチドを構成する。
式1-1:
【化19】
(式1-1中、MおよびXは式1と同義である。)
【0030】
L1およびL2が存在しない場合、Xであるオリゴヌクレオチドの5’末端と3’末端で、それぞれMと結合することが好ましい。
【0031】
L1はXであるオリゴヌクレオチドの5’末端とMとを連結する構造であれば、特に限定されるものではなく、オリゴヌクレオチドの合成において5’末端や3’末端を修飾するために用いられる公知の構造を採用してもよい。
L1およびL2はそれぞれ存在する場合、Xと、また、Mと、ホスホジエステル結合、ホスホロチオエート結合またはホスホロジチオエート結合により連結していることが好ましい。
【0032】
L1およびL2としては、同一の構造であっても、異なる構造であってもよい。
また、L1およびL2としては、n1およびn2がそれぞれ2以上の整数である場合には、その繰り返し構造は、同一構造からなっていてもよく、異なる構造が連結する構造であってもよい。
【0033】
式1におけるMは、細胞内の環境によって切断される化学構造を含む部分を表す。
細胞内の環境によって切断される化学構造としては、例えば、表1に示す構造が知られている。
【0034】
【0035】
Mにおける細胞内の環境によって切断される化学構造としては、-S-S-、-C(O)-S、-S-C(O)-が好ましい。
【0036】
Mは、式3-1~式3-6からなる群から選ばれることが好ましい。
【化20】
(式中、
R1およびR2はそれぞれ独立して、水素原子またはC1-C3アルキルを表すか、またはR1およびR2は、それらが結合する炭素原子と一緒になって、炭素数3~6の環を形成し、
R3およびR4はそれぞれ独立して、水素原子またはC1-C3アルキルを表すか、またはR3およびR4は、それらが結合する炭素原子と一緒になって、炭素数3~6の環を形成し、
n5~n8はそれぞれ独立して、0~10の整数を表し、
n9およびn10はそれぞれ独立して、1~4の整数を表し、
Y1~Y4はそれぞれ独立して、結合、-NR5-、-O-または-S-を表し、
R5は水素原子、C1-C3アルキルまたはC2-C4アルカノイルを表す。)
【化21】
(式中、
R1’およびR2’はそれぞれ独立して、水素原子またはC1-C3アルキルを表すか、またはR1’およびR2’は、それらが結合する炭素原子と一緒になって、炭素数3~6の環を形成し、
R3’およびR4’はそれぞれ独立して、水素原子またはC1-C3アルキルを表すか、またはR3’およびR4’は、それらが結合する炭素原子と一緒になって、炭素数3~6の環を形成し、
R5’およびR6’は、結合する炭素原子ごとにそれぞれ独立して、水素原子またはC1-C3アルキルであり、
n5’およびn6’はそれぞれ独立して、1~10の整数を表す。)
【0037】
式3-1において、R1~R4はそれぞれ独立して、水素原子またはC1-C3アルキルであることが好ましい。
式3-1において、Y3およびY4は、結合または-O-であることが好ましい。
式3-1において、n5およびn7の合計は、0~5の整数であることが好ましい。
式3-1において、n6およびn8の合計は、0~5の整数であることが好ましい。
【0038】
式3-2において、Y1およびY2はそれぞれ独立して、結合または-O-であることが好ましい。
式3-2において、Y3およびY4は、結合であることが好ましい。
式3-2において、n5およびn7の合計ならびにn6およびn8の合計は、0であることが好ましい。
式3-2において、n9は、Y1が-O-である場合、2であることが好ましく、Y1が結合である場合、3であることが好ましい。
式3-2において、n10は、Y2が-O-である場合、2であることが好ましく、Y2が結合である場合、3であることが好ましい。
【0039】
式3-3において、R3およびR4は、水素であることが好ましい。
式3-3において、Y1は、結合または-O-であることが好ましい。
式3-3において、Y3およびY4は、結合であることが好ましい。
式3-3において、n5およびn7の合計は、0であることが好ましい。
式3-3において、n6およびn8の合計は、5であることが好ましい。
式3-3において、n9は、Y1が-O-である場合、2であることが好ましく、Y1が結合である場合、3であることが好ましい。
【0040】
式3-4において、R1およびR2は、水素原子であることが好ましい。
式3-4において、Y2は、結合または-O-であることが好ましい。
式3-4において、Y3およびY4は、結合であることが好ましい。
式3-4において、n5およびn7の合計は、5であることが好ましい。
式3-4において、n6およびn8の合計は、0であることが好ましい。
式3-4において、n10は、Y2が-O-である場合、2であることが好ましく、Y2が結合である場合、3であることが好ましい。
【0041】
式3-5において、R1’およびR2’は、水素原子であることが好ましい。
式3-5において、R3’およびR4’は、水素原子であることが好ましい。
式3-5において、R5’は、結合する炭素原子ごとにそれぞれ独立して、水素原子またはメチルであることが好ましい。
式3-5において、R6’は、水素原子であることが好ましい。
式3-5において、n5’は、2であることが好ましい。
式3-5において、n6’は、2であることが好ましい。
【0042】
式3-6において、R1’およびR2’は、水素原子であることが好ましい。
式3-6において、R3’およびR4’は、水素原子であることが好ましい。
式3-6において、R5’は、結合する炭素原子ごとにそれぞれ独立して、水素原子またはメチルであることが好ましい。
式3-6において、R6’は、水素原子であることが好ましい。
式3-6において、n5’は、2であることが好ましい。
式3-6において、n6’は、2であることが好ましい。
【0043】
C1-C3アルキルとしては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピルが挙げられる。
C2-C4アルカノイルとしては、C1-C3アルキルがカルボニル基と結合した構造であり、C2-C4アルカノイルにおけるC1-C3アルキル部分としては、前記と同義である。
炭素数3~6の環としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルが挙げられる。
【0044】
Mは2~6のアミノ酸残基からなる部分であってもよい。
【0045】
L1およびL2の構造は特に限定されるものではないが、L1およびL2として、例えば、式2-1~式2-4の構造を挙げることができる。
【化22】
(式中、
n3およびn4はそれぞれ独立して、1~15の整数を表し、
Akは置換基を有していてもよいC2-C22アルキレンを表し、
Baseは水素原子、置換基を有していてもよいアデニニル、置換基を有していてもよいグアニニル、置換基を有していてもよいシトシニル、置換基を有していてもよいチミニルまたは置換基を有していてもよいウラシニルを表し、
Qは水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン、または置換基を有していてもよいC1-C4アルキルオキシ基を表し、
Zは酸素原子または硫黄原子を表す。)
【0046】
式2-1~式2-4において、一方のZが酸素原子であり、他方のZが硫黄原子であることが好ましい。
【0047】
式2-1のAkにおいて、C2-C22アルキレンに対する置換基としては、例えば、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルキコキシ基が挙げられる。
置換基を有していてもよいアリール基としては、例えば以下の構造を挙げることができる。
【化23】
置換基を有していてもよいアミノ基としては、例えば以下の構造を挙げることができる。
【化24】
置換基を有していてもよいアルキコキシ基としては、例えば以下の構造を挙げることができる。
【化25】
【0048】
式2-2において、n4は、1~12の整数、1~9の整数、1~6の整数または1~3の整数であってもよい。
【0049】
式2-3において、Baseは、置換基を有していてもよいウラシニルであることが好ましい。置換基を有していてもよいウラシニルとしては、例えば以下の構造を挙げることができる。
【化26】
【0050】
式2-3において、Qは、水素原子、または置換基を有していてもよいC1-C4アルキルオキシ基であることが好ましく、水素原子、またはC1-C4アルキルオキシ基であることがより好ましい。
【0051】
式2-4において、n3は、1~12の整数、1~9の整数、1~6の整数、1~3の整数または3であってもよい。
【0052】
式2-1~2-4において、Z-の対イオンとしては特に限定されるものではないが、例えばプロトン(H+)、金属イオン、アンモニウムイオン等が挙げられる。
金属イオンとしては、例えばナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン、アルミニウムイオン、亜鉛イオン等が挙げられる。
アンモニウムイオンとしては、例えばアンモニウムイオン、テ卜ラメチルアンモニウムイオン等が挙げられる。
【0053】
式3-1~式3-6における黒丸は、L1およびL2が存在する場合、それぞれ、L1およびL2に含まれるホスホジエステル結合またはホスホロチオエート結合により連結されることが好ましい。具体的には、式3-1~式3-6における黒丸は、好適なL1およびL2の構造として示される式2-1~2-4で表される構造におけるP(リン原子)に結合するO(酸素原子)からの黒丸として表される結合手と結合する。
本明細書においては、L1およびL2が存在する場合、式3-1~式3-6で表される構造における黒丸は、それぞれ、上方に記載される黒丸がL1との結合手を表し、下方に記載される黒丸がL2との結合手を表す。
なお、式2-1~式2-4で表される構造における炭素原子からの黒丸として表される結合手は、オリゴヌクレオチドの5’末端または3’末端に存在する、好ましくはホスホジエステル結合またはホスホロチオエート結合との結合手であることを意味する。
【0054】
本発明においては、XとL1と、XとL2とがホスホジエステル結合またはホスホロチオエート結合により連結している場合(環状オリゴヌクレオチドが、L1またはL2を含まず、MとXとが直接連結する場合も含む)、当該結合に関わるホスホジエステル結合またはホスホロチオエート結合に由来する構造は、オリゴヌクレオチドの有する構造と理解される。
また、本発明においては、線状オリゴヌクレオチドの5’末端および/または3’末端がリン酸基あるいはチオリン酸基で修飾されていてもよい。
【0055】
本発明において、オリゴヌクレオチド誘導体の塩としては、特に限定されるものではないが、例えば酸付加塩、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン付加塩、アミノ酸付加塩等が挙げられる。
酸付加塩としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩等の有機酸塩等が挙げられる。
金属塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛塩等が挙げられる。
アンモニウム塩としては、例えばアンモニウム塩、テ卜ラメチルアンモニウム塩等が挙げられる。
有機アミン付加塩としては、例えば、モルホリン、ピぺリジン等の有機アミンとの塩が挙げられ、アミノ酸付加塩としては、例えば、リジン、グリシン、フェニルアラニン等のアミノ酸との塩が挙げられる。
【0056】
本発明においては、環状オリゴヌクレオチドおよび/または線状オリゴヌクレオチドの適切な部位に、標的化化合物が付加されていてもよい。標的化化合物は、標的細胞に発現している受容体に結合可能な化合物に由来する基を意味する。本発明においては、オリゴヌクレオチドの標的細胞となる標的化化合物を選択すればよい。標的化化合物は、L1およびL2の少なくとも1つに結合していることが好ましい。標的化化合物としては、例えば、コレステロール、トコフェロール、ドコサヘキサエン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、N-アセチル-D-ガラクトサミン、が挙げられる。標的化化合物としては、肝細胞に極めて高発現しているアシアロ糖タンパク質受容体(ASGPR)に結合可能である糖リガンドとしてN-アセチル-D-ガラクトサミン(GalNAc)を利用したリガンド-核酸複合体が複数報告されている。(例えば、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティー (Journal of American Chemical Society), 2014年,第136巻,p16958-16961、国際公開公報2017/131236号等)。
標的化化合物が結合した、L1およびL2の構造としては例えば下記式8または式9が挙げられる。
式8:
【化27】
(式中、Zは前記と同義である。)
【0057】
<環状オリゴヌクレオチド>
本発明は、上記オリゴヌクレオチド誘導体に含まれる環状オリゴヌクレオチド自体も対象とする。環状オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのホスホロチオエート結合を含む、式4で表される。
式4:
【化28】
(式中、
L3およびL4はリンカーを表し、
m1およびm2は0~10の整数を表し、
M2は細胞内の環境によって切断される化学構造を含む部分を表し、
X2はオリゴヌクレオチドを表す。)
【0058】
式4において、m1およびm2が共に0である場合、L3とL4は存在せずに、式4-1に示す環状オリゴヌクレオチドを構成する。
式4-1:
【化29】
(式4-1中、M2およびX2は式4と同義である。)
【0059】
L3およびL4が存在しない場合、X2であるオリゴヌクレオチドの5’末端と3’末端で、それぞれM2と結合することが好ましい。
【0060】
式4で表される環状オリゴヌクレオチドの好ましい態様は、式1、式2-1~式2-4、および式3-1~式3-6に関して説明したとおりであり、式4におけるL3、L4、m1、m2、M2およびX2がそれぞれ、式1におけるL1、L2、n1、n2、MおよびXに対応する。
【0061】
<線状オリゴヌクレオチド>
本発明は、上記環状オリゴヌクレオチドの前駆体である、式7で表される少なくとも1つのホスホロチオエート結合を含む、線状オリゴヌクレオチドも対象とする。線状オリゴヌクレオチド自体もノックダウン活性を有する。
式7:
【化30】
(式中、
X2,L3、L4、m1およびm2は、式4に関して定義したとおりであり、
W1およびW2は、互いに反応して、細胞内の環境によって切断される化学構造を形成する官能基を含むまたは生じる部分である。)
【0062】
細胞内の環境によって切断される化学構造は、式1におけるMに関して説明したとおりである。
【0063】
W1およびW2はそれぞれ独立して、-A1-S-S-A2または-B1-COO-B2であることが好ましい(ただし、W1およびW2が同時に-B1-COO-B2である場合を除く)。
A1およびB1はそれぞれ独立して、置換基を有していてもよいC2-C10アルキレンであることが好ましい。
A2は置換基を有していてもよいC1-C10アルキルであることが好ましく、該置換基としては、ヒドロキシル基が好ましい。
B2は水素原子、または置換基を有していてもよいC1-C6アルキルであることが好ましい。
【0064】
<オリゴヌクレオチド誘導体の製造方法>
上記オリゴヌクレオチド誘導体は、例えば、式7で表される線状オリゴヌクレオチドを環化して、式4で表される環状オリゴヌクレオチドを形成する工程;式4で表される環状オリゴヌクレオチドを、当該環状オリゴヌクレオチドと相補的な塩基配列を有する線状オリゴヌクレオチドと、水素結合を介して複合化させる工程;を含む方法によって製造することができる。
【0065】
本発明のオリゴヌクレオチド誘導体の製造方法の一例を示す。
線状オリゴヌクレオチドは、公知の化学合成法により製造することができ、かかる化学合成法として、例えば、ホスホロアミダイト法、ホスホロチオエート法、ホスホトリエステル法、CEM法 (Nucleic Acids Research,35,3287 (2007)を参照)等が挙げられる。
具体的には、線状オリゴヌクレオチドは、ABI3900ハイスループット核酸合成機(アプライドバイオシステムズ社製)により合成することができる。
【0066】
環状オリゴヌクレオチドは、具体的には実施例に記載の方法を参照して、適宜、L1、L2およびMに相当する構造に該当する試薬を採用して、合成することができる。環状オリゴヌクレオチドにおけるオリゴヌクレオチド部分は、線状オリゴヌクレオチドと同様の方法により製造することができる。
また、固相法を用いることにより、固相上でL1、L2およびMに相当する構造を構築し、その後Mにおける細胞内で切断される構造を化学的に構築させると共に、オリゴヌクレオチドを環状化させることができる。
【0067】
固相法に用いる為の固相試薬やアミダイトは、市販品として、または公知の方法(バイオコンジュゲート・ケミストリー(BioconjugateChem.), 第20巻, 6号, 1065-1094頁, 2009年)もしくはそれに準ずる方法で得ることができる。
加えて、以下の方法によっても製造することができる。なお、以下に示す製造法において、定義した基が該製造法の条件下で変化するかまたは該製造法を実施するのに不適切な場合、有機合成化学で常用される保護基の導入および除去方法[例えば、プロテクティブ グル一プス イン オーガニック シンセシス第 3 版(Protective Groups in Organic Synthesis, third edition)、グリ一ン(T.W. Greene)著、John Wiley&Sons Inc. (1999年)等に記載の方法]等を用いることにより、目的化合物を製造することができる。また、必要に応じて置換基導入等の反応工程の順序を変えることもできる。
【0068】
<固相試薬の製造法A>
【化31】
(式中、R3、R4、Y4、n6、およびn8はそれぞれ前記と同義であり、m1は2~20の整数を表し、Eは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、卜リフルオロメタンスルホニルオキシ、メタンスルホニルオキシ、ベンゼンスルホニルオキシ、ρ-トルエンスルホニルオキシ、2-ニトロベンゼンスルホニルオキシ等の脱離基を表し、Tは水素原子又はニトロ基を表し、Acはアセチル基を表し、DMTrはジメトキシトリチル基を表し、PoはCPG(controlled pore glass)や、ポリマー等の固相試薬を表す。)
【0069】
工程1
化合物 (A2) は、化合物 (A1) と1当量以上のp,p’-ジメトキシトリチルクロリドを、ピリジン溶媒中、必要に応じて共溶媒の存在下、0℃から溶媒の沸点の間の温度で、5分間~100時間反応させることにより製造することができる。
共溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、ジクロロメタン、クロロホルム、1, 2-ジクロロエタン、トルエン、酢酸エチル、アセトニトリル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1, 2-ジメトキシエタン、ジオキサン、N, N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N, N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、水等があげられ、これらは単独でまたは混合して用いられる。
化合物(A1)は市販品として、または公知の方法(例えば、第4版実験化学講座19「有機化合物の合成I」丸善(1992年)および第4版実験化学講座20「有機化合物の合成II」、丸善(1992年))もしくはそれに準じた方法で得ることができる。
【0070】
工程2
化合物 (A3) は、化合物 (A2) と、1当量以上のハロゲン化試薬またはスルホニル化試薬を、溶媒中、1当量以上の塩基存在下、-20℃と使用する溶媒の沸点の間の温度で、5分間~24時間反応させることで製造することができる。
ハロゲン化試薬およびスルホニル化試薬としては、塩化チオニル、塩化スルフリル、三塩化リン、五塩化リン、オキシ塩化リン、三臭化リン、臭化水素、ヨウ化水素、メタンスルホニルクロリド (MsCl)、メタンスルホン酸無水物、p-トルエンスルホニルクロリド (TsCl)、o-ニトロベンゼンスルホニルクロリド(NsCl)、トリフルメタンスルホン酸無水物等が挙げられる。
溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、ジクロロメタン、クロロホルム、1, 2-ジクロロエタン、トルエン、酢酸エチル、アセトニトリル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1, 2-ジメトキシエタン、ジオキサン、N, N-ジメチルホルムアミド (DMF)、N, N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ピリジン、水等があげられ、これらは単独でまたは混合して用いられる。
塩基としては、例えば炭酸セシウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、カリウム tert-ブトキシド、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N-メチルモルホリン、ピリジン、1, 8-ジアザビシクロ [5. 4. 0] -7-ウンデセン (DBU)、N, N-ジメチル-4-アミノピリジン (DMAP)等が挙げられる。
【0071】
工程3
化合物 (A4) は、化合物 (A3) と1当量以上のチオ酢酸またはチオ酢酸S-カリウム塩を、溶媒中、必要に応じて0.01~30当量の添加剤の存在下、室温と使用する溶媒の沸点の間の温度で、5分間から100時間反応することにより製造することができる。
溶媒としては、工程2で例示したものが挙げられる。
添加剤としては、例えばヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム (TBAI)、塩化テトラブチルアンモニウム、18-クラウン-6-エーテル等が挙げられる。
【0072】
工程4
化合物 (A5) は、化合物 (A4) を、無溶媒でまたは溶媒中、1~100当量の1級または2級アミン存在下、室温と使用する溶媒の間の温度で、5分間~100時間反応させることにより製造することができる。
溶媒としては、工程2で例示したものが挙げられる。
1級アミンとしては、例えばメチルアミン、エチルアミン等が挙げられる。2級アミンとしては、例えばジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ピペリジン等が挙げられる。
【0073】
工程5
化合物 (A7) は、化合物 (A5) と1当量以上の化合物(A6) を、溶媒中、必要に応じて塩基存在下、室温と使用する溶媒の沸点の間の温度で、5分間~100時間反応させることにより、製造することができる。
溶媒としては、工程2で例示したものが挙げられる。
塩基としては、工程2で例示したものが挙げられる。
化合物(A6)は下記工程5-1により、製造することができる。
【化32】
(式中、m1およびTは前記と同義である)
化合物(A10)は市販品として、得ることができる。
【0074】
工程6
化合物 (A8) は、化合物 (A7) と1当量以上のコハク酸無水物を、溶媒中、1当量以上の塩基存在下、室温と使用する溶媒の沸点の間の温度で、5分間~100時間反応させることにより製造することができる。
溶媒としては、工程2で例示したものが挙げられる。
塩基としては、工程2で例示したものが挙げられる。
【0075】
工程7
化合物 (A9) は、化合物 (A8) と末端がアミノ化された固相試薬とを、無溶媒でまたは溶媒中、1~50当量の塩基、縮合剤および必要に応じて0.01~30当量の添加剤の存在下、室温と使用する溶媒の沸点の間の温度で、5分間~200時間反応した後に固相試薬を一度単離し、さらに無水酢酸/ピリジンの混合溶液にて、室温~200℃の温度で、5分間~100時間反応させることにより製造することができる。
溶媒としては、工程2で例示したものが挙げられる。
塩基としては、工程2で例示したものが挙げられる。
縮合剤としては、例えば1, 3-ジシクロヘキサンカルボジイミド (DCC)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・塩酸塩 (EDC)、N, N’-カルボニルジイミダゾール(CDI)、N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド (DIC)、ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルホロホスファート、(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリピロリジノホスホニウム ヘキサフルオロホスファート、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N, N’, N’-テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスファート (HATU)、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N, N, N’, N’-テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスファート(HBTU)、ヨウ化 2-クロロ-1-メチルピリジニウム等が挙げられる。
添加剤としては、例えば1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)等が挙げられる。
アミノ化された固相試薬としては、例えば長鎖アルキルアミン細孔性ガラス(LCAA-CPG)等が挙げられ、これらは市販品として得ることができる。
【0076】
化合物 (A5) は、下記工程8によっても製造することができる。
【化33】
(式中、R3、R4、Y4、n6、n8、およびDMTrはそれぞれ前記と同義である}
化合物 (A5) は、化合物 (A11) を用いて、工程1と同様の方法にて製造することができる。
化合物(A11)は市販品として、または公知の方法(例えば、バイオコンジュゲート・ケミストリー(Bioconjugate Chem.), 第22巻, 4号, 717-727頁, 2011年、第4版実験化学講座24「有機化合物の合成VI」丸善(1992年))もしくはそれに準じた方法で得ることができる。
【0077】
化合物(A11)のうち、R4が水素、n6が1、n8が1およびY4が結合である化合物(A11-a)は次の方法で製造することができる。
【化34】
(式中、R3およびAcは前記と同義である。)
工程9
化合物(A13)は、化合物 (A12) を用いて、工程3と同様の方法にて製造することができる。
化合物(A12)は、市販品として得ることが出来る。
【0078】
工程10
化合物 (A11-a) は、化合物 (A13) と還元剤を、溶媒中、-20℃と使用する溶媒の沸点の間の温度で、5分間~100時間反応させることにより、製造することができる。
還元剤としては、水素化ホウ素リチウム (LiBH4)、水素化ホウ素ナトリウム (NaBH4)、水素化シアノホウ素ナトリウム (NaBH3CN)、水素化トリエチルホウ素リチウム (LiBHEt3)、水素化アルミニウムリチウム (LAH)、水素化ジイソブチルアルミニウム (DIBAL)等が挙げられる。
溶媒としては、工程2で例示したものが挙げられる。
【0079】
化合物 (A7) は、下記方法によっても製造することができる。
【化35】
(式中、R3、R4、Y4、E、n6、n8、m1およびDMTrはそれぞれ前記と同義であり、Tsはp-トルエンスルホニル基を表す。)
【0080】
工程5-2
化合物(A4’)は、化合物 (A3) を用いて、溶媒中、1~100当量のp-トルエンチオスルホン酸カリウム存在下、必要に応じて添加剤存在下、0℃と使用する溶媒の沸点の間の温度で、5分間から48時間反応させることで製造することができる。
溶媒としては、工程2で例示したものが挙げられる。
添加剤としては、工程3で例示したものが挙げられる。
【0081】
工程5-3
化合物(A7)は、化合物(A4’)と化合物(A10)を用いて、工程5と同様の方法にて製造することができる。
【0082】
<固相試薬の製造法B>
【化36】
(式中、Y2、Y4、n6、n8、n10、m1、DMTr、AcおよびPoはそれぞれ前記と同義である。)
【0083】
化合物(B9)は、化合物(A1)と化合物(A4)をそれぞれ化合物(B1)と化合物(B4)に変更すること以外は、固相試薬の製造法Aと同じ方法で製造することができる。
化合物(B1)は市販品として、または公知の方法(例えば、第4版実験化学講座19「有機化合物の合成I」丸善(1992年)および第4版実験化学講座20「有機化合物の合成II」、丸善(1992年))もしくはそれに準じた方法で得ることができる。
【0084】
化合物(B4)のうち、Y2が結合、n6が0、n8が0、Y4が結合である(B4-a)は次の方法で製造することができる。
【化37】
(式中、n10’は1~3の整数を表し、AcおよびDMTrはそれぞれ前記と同義である。)
【0085】
工程11
化合物 (B11) は、化合物 (B10) を用いて、製造法A工程3と同様にして、製造することができる。
化合物(B10)は市販品として、または公知の方法(例えば、第4版実験化学講座21「有機化合物の合成III」丸善(1992年)およびジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー (J. Org. Chem.), 第38巻, 14号, 2576-2578頁,1973年)もしくはそれに準じた方法で得ることができる。
【0086】
工程12
化合物(B12)は、化合物(B11)を用いて、製造法A工程10と同様にして、製造することができる。
【0087】
工程13
化合物(B4-a)は、化合物(B12)を用いて、製造法A工程1と同様にして、製造することができる。
【0088】
<標的化化合物を有する固相試薬の製造方法C>
【化38】
(式中、m1およびPoは前記と同義であり、M1およびM2はそれぞれ、-COOH、-NHRa、-OH、-N3、-C≡CHまたは-SHを表し、Gは-C(O)-NRa-、-NRa-C(O)-、-C(O)-S-、-S-C(O)-、トリアゾールジイルを表し、Raは水素原子またはC1-C3アルキルを表し、Linker1、Linker2、Linker3、Linker 4はリンカーを表し、Scaffoldは-Linker1-OH、-Linker2-OH、-Linker3-M1を置換基として有する構造を表し、Ligandは標的化化合物を表す。)
【0089】
Scaffoldは-Linker1-OH、-Linker2-OH、-Linker3-M1を置換基として有する構造であれば特に限定されない。
【0090】
工程14
化合物(C3)は化合物(C1)と化合物(C2)を用いて、溶媒中、1~50当量の塩基、1当量以上の縮合剤および必要に応じて0.01~30当量の添加剤の存在下、0℃と使用する溶媒の沸点の間の温度で反応させることで、製造することができる。
溶媒としては、工程2で例示したものが挙げられる。
塩基としては、工程2で例示したものが挙げられる。
縮合剤としては、工程7で例示したものが挙げられる。
添加剤としては、工程7で例示したものが挙げられる。
化合物(C1)は、2つの-OH基と、標的化化合物との結合構造M1を同一分子内に有するものであればいずれでも良く、市販品として、または公知の方法(例えば、国際公開公報2015/006740号および国際公開公報2015/105083号に該当する構造が開示されている。)もしくはそれに準じた方法で得ることができる。
化合物(C2)は、標的化化合物、リンカーおよびScaffoldとの結合構造M2を同一分子内に有するものであれば何でもよく、市販品として、または公知の方法(例えば、セラピューティック・デリバリー (Therapeutic Delivery)、第4巻、791-809頁(2013年))、もしくはそれに準じた方法で得ることができる。
【0091】
化合物(C3)のうち、Gがトリアゾールジイルである場合、化合物(C1)のM1は-N3または-C≡CHであり、化合物(C2)のM2は-N3または-C≡CHであり(ただしM1およびM2は同時に-N3または-C≡CHではない)、化合物(C1)と化合物(C2)を用いて、溶媒中、0.01~10当量の金属触媒ならびに0.01~10当量の還元剤存在下、必要に応じて0.01当量~10当量の反応促進剤を加え、0℃と使用する溶媒の沸点の間の温度で、5分間から48時間反応させることで製造することができる。
金属触媒としては、例えば、硫酸銅(II)五水和物、シュウ化銅(I)、ペンタメチルシクロペンタジエニルビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)塩化物等が挙げられる。
還元剤としては、アスコルビン酸ナトリウム、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)等が挙げられる。
反応促進剤としては、トリス[(1-ベンジル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル) メチル]アミン(TBTA)、トリス(2-ベンゾイミダゾリルメチル)アミン((BimH)3)等が挙げられる。
【0092】
工程15~工程19
化合物(C4)は、化合物(C3)を用いて、工程1~5と同様の方法か、または、工程1、工程2、工程5-2および工程5-3と同様の方法にて製造することができる。
【0093】
工程20および工程21
化合物(C5)は、化合物(C4)を用いて、工程6および工程7と同様の方法にて製造することができる。
【0094】
<アミダイトの製造法D>
【化39】
(式中、R1、R2、Y3、n5、n7、m1、T、DMTrはそれぞれ前記と同義であり、Xaは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表し、R
cは、例えば2-シアノエチル等の塩基処理により除去できる保護基でを表し、R
dは置換基を有してもよいC1-C3アルキルを表す。)
【0095】
工程22
化合物 (D1) は、化合物 (A6) を用いて、工程1と同様の方法にて製造することができる。
【0096】
工程23
化合物 (D3) は、化合物 (D1) および化合物 (D2) を用いて、工程5と同様の方法にて製造することができる。
化合物(D2)は、市販品として、または化合物(A11)の製造方法に準ずる方法で得ることができる。
【0097】
工程24
化合物 (D6) は、化合物 (D3) を用いて、溶媒中、化合物 (D4) と塩基存在下、0 ℃と用いる溶媒の沸点の間の温度で、10秒間から24時間反応させることにより製造することができる。
溶媒としては、例えばジクロロメタン、アセトニトリル、トルエン、酢酸エチル、THF、1,4-ジオキサン、DMF、NMP等が挙げられ、これらを単独でまたは混合して用いられる。
塩基としては、例えば、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等が挙げられ、これらを単独でまたは混合して用いられる。
また、化合物 (D6) は、溶媒中、化合物 (D3) と化合物 (D5) を、反応促進剤存在下、0 ℃と用いる溶媒の沸点の間の温度で、10秒間から24時間反応させることによっても製造することができる。
溶媒としては、例えばアセトニトリル、THF等が挙げられ、これらを単独でまたは混合して用いられる。
反応促進剤としては、1H-テトラゾール、4,5-ジシアノイミダゾール、5-エチルチオテトラゾール、5-ベンジルチオテトラゾール等が挙げられる。
化合物(D4)および化合物(D5)は市販品として得ることが出来る。
【0098】
<アミダイトの製造法E>
【化40】
(式中、Y1、Y3、n5、n7、n9、m1、T、DMTr、Xa、R
cおよび、R
dは前記と同義である。)
【0099】
工程23fおよび工程24f
化合物 (F6) は、化合物(D2)の代わりに、化合物(F2)を使うこと以外は、工程23および工程24と同様の方法で製造することができる。
化合物(F2)は市販品として、または化合物(A11)の製造方法に準ずる方法で得ることができる。
【0100】
<アミダイトの製造法F>
【化41】
(式中、DMTr、Xa、R
c、R
dは前記と同義であり、PGは保護基を表し、m2は1-10の整数を表し、Rxは天然または非天然のα-アミノ酸残基が有する置換基を表し、Linker5はヒドロキシル基とカルボキシル基をつなぐリンカーを表す。)
【0101】
工程25
化合物 (G2) は、アミノ基が適切な保護基で保護されたα-アミノ酸(G1)とp-アミノベンジルアルコールを用い、工程14と同様の方法にて製造することができる。
p-アミノベンジルアルコール、および化合物(G1)は市販品として得ることが出来る。
得られた(G2)に対して、アミノ基の脱保護と続く化合物(G1)との縮合反応を繰り返し行うことで、望みのm2の値に調整された化合物(G2)を製造することができる。
アミノ基の脱保護は、有機合成化学で常用される方法[例えば、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス第3版(Protective Groups In Organic Synthesis,Third Edition)、グリーン(T.W.Greene)著、John Wiley&Sons Inc.(1999年)等に記載の方法等]を適切に用いることができる。
【0102】
工程26
化合物 (G3) は、化合物 (G2) を用いて、工程1と同様の方法にて製造することができる。
【0103】
工程27
化合物 (G4) は、上述の有機合成化学で常用されるアミノ基の脱保護を適切に用いることで、製造することができる。
【0104】
工程28
化合物(G6)は、化合物(G4)と化合物(G5)を用いて、工程14と同様の方法にて製造することができる。
化合物(G5)はヒドロキシル基とカルボキシル基を同一分子内に有するものであれば、特に限定されず、市販品として得ることができる。
【0105】
工程29
化合物(G7)は化合物(G6)を用いて、工程24と同様の方法にて製造することができる。
【0106】
細胞内の環境によって切断される化学構造を含む部分Mが-S-S-を含む場合、以下の方法で環状オリゴヌクレオチドを製造することができる。
【0107】
<環状オリゴヌクレオチドの製造法G>
【化42】
(式中、Xは前記と同義であり、Linker5とLinker6はリンカーを表し、式中の帯状構造はオリゴヌクレオチドを表す。)
【0108】
工程30
条件a
化合物 (H2) は、化合物 (H1) と1当量以上の塩基存在下、必要に応じて0.1当量以上の添加剤を加え、-20℃と使用する溶媒の沸点の間の温度で、5分間から120時間反応させることで製造することができる。
溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N, N-ジメチルホルムアミド (DMF)、N, N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ピリジン、水、PBS、クエン酸緩衝溶液、トリス緩衝溶液等があげられ、これらは単独でまたは混合して用いられる。
塩基としては、例えば炭酸セシウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N-メチルモルホリン、1, 8-ジアザビシクロ [5. 4. 0] -7-ウンデセン (DBU)等が挙げられる。
添加剤としては、尿素、塩化マグネシウム、塩化カリウム等が挙げられる。
【0109】
条件b
化合物 (H2) は、化合物 (H1) を溶媒に溶解し、1当量以上の2-(メトキシチオ)-3-ニトロピリジン(Npys-OMe)(国産化学社製)を加え、-20℃と使用する溶媒の沸点の間の温度で、5分間から120時間反応させることで製造することができる。
溶媒としては、条件aに記載したものが挙げられる。
【0110】
条件c
化合物 (H2) は、化合物 (H1) を溶媒に溶解し、1当量以上のKSH-OMe(Npys-OMe-CHEMMATRIX Regin)(国産化学社製)を加え、-20℃と使用する溶媒の沸点の間の温度で、5分間から120時間反応させることで製造することができる。
溶媒としては、条件aに記載したものが挙げられる。
【0111】
化合物(H1)は市販の試薬、または上記製造方法で記載した固相試薬およびアミダイト試薬を使用し、公知の化学合成法またはそれに準じた方法を用いることで、製造することができる。
公知のオリゴヌクレオチドの化学合成法としては、例えば以下に記載する方法が挙げられる。
(i)テトラへドロン(Tetrahedron、第48巻、第12号、2223-2311頁(1992);
(ii)カレント・プロトコールズ・イン・ヌクレイック・アシッズ・ケミストリー (CurrentProtocols in Nucleic Acids Chemistry)、John Wiley &Sons(2000~2017);
(iii)プロトコールズ・フォー・オリゴヌクレオチズ・アンド・アナログズ(Protocols forOligonucleotides and Analogs)、Human Press(1993);
(iv)ケミストリー・アンド・バイオロジー・オブ・アーティフィシャル・ヌクレイック・アシッズ(Chemistryand Biology of Artificial Nucleic Acids)、Wiley-VCH(2012);
【0112】
オリゴヌクレオチドの精製は、C18逆相カラムあるいは陰イオン交換カラム、好ましくは2つのカラムを組み合わせ用いて精製することができる。
精製後のオリゴヌクレオチドの純度は、90%以上、好ましくは95%以上とするのが望ましい。
【0113】
本発明において、環状オリゴヌクレオチドと線状オリゴヌクレオチドとを混合して、オリゴヌクレオチド誘導体を製造するが、環状オリゴヌクレオチドと、線状オリゴヌクレオチドとが相補的な塩基配列において水素結合を形成するように通常のアニーリング反応により行うことができる。
好適には、環状オリゴヌクレオチドと、線状オリゴヌクレオチドとを、例えば、緩衝溶液中で、等量となるように混合し、例えば、60~95 ℃で1~15分間静置し、その後、室温まで徐々に温度を下げることで、オリゴヌクレオチド誘導体を製造することができる。その後、常法により、オリゴヌクレオチド誘導体の塩とすることもできる。
【0114】
本発明の医薬組成物は、オリゴヌクレオチド誘導体またはその塩を含む。本発明の医薬組成物は、核酸複合体として投与され、標的細胞に認識され、細胞内に導入される。
細胞内の環境によって切断される化学構造を有する環状オリゴヌクレオチドの場合、オリゴヌクレオチド以外の構造において細胞内で切断され、線状二本鎖オリゴヌクレオチドに変換される。線状二本鎖オリゴヌクレオチドは通常、RNA induced silencing complex(RISC)と呼ばれる複合体に取り込まれ、標的mRNAを切断することで標的遺伝子の発現を低下、または停止させることで抑制し、標的遺伝子に関連する疾患の治療に用いることができる。
本発明のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩は、RNA干渉を利用した標的遺伝子の発現抑制剤として用いることができる。また、式7で表される線状オリゴヌクレオチドも、RNA干渉を利用した標的遺伝子の発現抑制剤として用いることができる。
【0115】
本発明のオリゴヌクレオチド誘導体もしくはその塩、または本発明の医薬品を治療剤または予防剤として使用する場合、投与経路としては、治療に際し最も効果的な投与経路を使用するのが望ましく、特に限定されるものではないが、例えば、静脈内投与、皮下投与、髄腔内投与、気管内投与、点眼投与、眼内投与、皮膚上投与、経口投与および筋肉内投与等が挙げられ、好ましくは静脈内投与または皮下投与である。
投与量は、投与対象の病状や年齢、投与経路等によって異なるが、例えばアンチセンス鎖に換算した1日投与量が0.1μg~1000 mgとなるように投与すればよく、1日投与量が1~100 mgとなるように投与することがより好ましい。
【0116】
医薬組成物としての適当な製剤としては、例えば注射剤があげられ、調製した液剤をそのまま例えば注射剤等の形態として用いることも可能であるが、該液剤から例えば濾過、遠心分離等によって溶媒を除去して使用することも、該液剤を凍結乾燥して使用する、および/または例えばマンニトール、ラクトース、トレハロース、マルトースもしくはグリシン等の賦形剤を加えた液剤を凍結乾燥して使用することもできる。
注射剤の場合、液剤または溶媒を除去または凍結乾燥した製剤に、例えば水、酸、アルカリ、種々の緩衝液、生理食塩水またはアミノ酸輸液等を混合して注射剤を調製することが好ましい。また、例えばクエン酸、アスコルビン酸、システインもしくはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)等の抗酸化剤、またはグリセリン、ブドウ糖もしくは塩化ナトリウム等の等張化剤等を添加して注射剤を調製することも可能である。また、例えばグリセリン等の凍結保存剤を加えて凍結保存することもできる。
【0117】
本発明においては、オリゴヌクレオチド誘導体を、またはその塩形態で、あるいは医薬組成物に含有させて、それを必要とする患者に投与する、生体内において、標的遺伝子の発現を低下または停止させることで抑制し、標的遺伝子に関連する疾患の治療または予防方法をも提供する。
【0118】
本発明の環状オリゴヌクレオチドの具体例を表2~6に示す。ただし、本発明の環状オリゴヌクレオチドおよび、それを用いたオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩は、これらに限定されるものではない。表中の帯状構造はオリゴヌクレオチドを表す。
【0119】
【0120】
【0121】
【0122】
【0123】
【実施例】
【0124】
次に、実施例により、本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0125】
本発明のオリゴヌクレオチド誘導体は、下記スキーム1に示す合成経路に従って合成した。
【0126】
スキーム1
【化43】
(式中、Poは前記と同義である)
【0127】
実施例1HPRT1を標的とするHPRT1_csRNA1(化合物Ie)は以下の工程に従って合成した。
工程1
市販の2'-OMe-A-CE ホスホロアミダイト、2'-OMe-G-CEホスホロアミダイト、2'-OMe-C-CE ホスホロアミダイト、2'-OMe-U-CEホスホロアミダイト、2'-F-A-CE ホスホロアミダイト、2'-F-G-CE ホスホロアミダイト、2'-F-Ac-C-CE ホスホロアミダイト、2'-F-U-CE ホスホロアミダイト、Thiol-Modifier C6 S-S (以上9試薬、全てGlen Research社より入手)を、それぞれ0.1 mol/Lアセトニトリル溶液となるように調製した。固相試薬として3'-Thiol-Modifier C3 S-S CPG (化合物Ia, GlenResearch社)と調製したホスホロアミダイトアセトニトリル溶液をそれぞれ使用して、核酸合成を行うことで、粗生成物として化合物Ibを取得した。ヌクレオチドの伸長工程に、アクチベーター42 (SAFC-PROLIGO社)を用い、反応時間は10分間とした。核酸合成装置はジーンデザイン社製nS-8を用いた。
【0128】
工程2
工程1で得られた粗生成物Ibにトリクロロ酢酸を反応させ、トリチル基を脱保護した。その後、28%アンモニア水溶液と40%メチルアミン水溶液を等量混合した試薬で処理し、固相試薬より切りだしを行った。得られた粗生成物を逆相液体クロマトグラフィー (Waters, Xbridge(登録商標) C18, 4.6 mm x 250 mm、A液:0.1%酢酸トリエチルアンモニウム緩衝液、B液:アセトニトリルによるグラジエント)により精製し、化合物Icを取得した。
ESI-MS 理論値 8775 実測値 8778
【0129】
工程3
工程2で得られた化合物Ic (45 nmol)をトリス緩衝液中、50 mmol/Lのジチオトレイトール(DTT)を加え、室温で18時間静置した。反応液をNAP-10 column(GEヘルスケア社製、product No. 17-0854-01)で精製し、化合物Id (1.5 mL)を取得した。
【0130】
工程4
工程3で得られた化合物Idの水溶液(1.5 mL)に、終濃度で化合物Idが70μmol/L、NaClが150mmol/L、トリエチルアミンが8 mol%となるように、5mol/L NaCl、トリエチルアミン、および水を添加した。その後、55℃で18時間静置した。反応液を減圧下濃縮し、逆相液体クロマトグラフィー (Waters,Xbridge(登録商標) C18, 4.6 mm x 250 mm、A液:0.1%酢酸トリエチルアンモニウム緩衝液、B液:アセトニトリルによるグラジエント)により精製し、化合物Ie (18 nmol, 2工程収率40%)を取得した。
ESI-MS 理論値 8551 実測値 8850
【0131】
工程5
工程4で得られた化合物Ieと、別途、核酸合成装置により調製したオリゴヌクレオチドHPRT1_asRNA1を等量混合し、クエン酸緩衝液に溶解した後、85 ℃で5分間静置した。その後、徐々に温度を下げることで、化合物1を取得した。
化合物1が複合体を形成していることを同定する為に、通常のsiRNAの同定と同様にして、 サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)分析ならびにポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)分析を実施した。
SEC分析の測定条件
カラム:TOSOH G2000SWXL(5 μm, 7.8 mmI.D.×30 cm)
溶媒:1 X PBS Buffer (ナカライテスク社製)
流速:1 mL / min
グラジエント, 時間:isocratic, 20min
カラム温度:25℃
検出波長:260 nm
インジェクション量:200 pmol / 1 サンプル
(参考文献:Journal of Pharmaceutical and Biomedical Analysis136 (2017) 55-65.)
PAGE分析の測定条件
ゲル:マルチゲルIIミニ 10/20(13W)(414893, コスモバイオ)
ローディングバッファー: GelPilot(R) DNA Loading Dye, 5X (239901, Qiagen)
マーカー:DynaMarker(登録商標) dsRNAEasy Load (DM185, BDL)
電気泳動槽:AE-6500(ATTO)
泳動条件:150 V, 200 mA, 20.0 W, 60 min
泳動溶媒: 1X TAE Buffer
ゲル染色試薬:SYBR(登録商標) Green II 核酸ゲル染色 (50522, Lonza)
【0132】
実施例2
核酸配列を表7に記載のHPRT1_csRNA2およびHPRT1_asRNA2に変更した以外は、実施例1と同じ方法で化合物2を取得した。
【0133】
実施例3
核酸配列を表7に記載のB2M_csRNAおよびB2M_asRNAに変更した以外は、実施例1と同じ方法で化合物3を得た。
【0134】
実施例4
核酸配列を表8に記載のHPRT1_csRNA3およびHPRT1_asRNA3に変更した以外は、実施例1と同じ方法で化合物4を得た。
【0135】
実施例5
核酸配列を表8に記載のHPRT1_csRNA4およびHPRT1_asRNA4に変更した以外は、実施例1と同じ方法で化合物5を得た。
【0136】
実施例6
核酸配列を表8に記載のHPRT1_csRNA5およびHPRT1_asRNA5に変更した以外は、実施例1と同じ方法で化合物6を得た。
【0137】
以下の表中において、「Name」の欄においては、上段が核酸複合体としての名称を示し、下段が核酸複合体を構成する、環状オリゴヌクレオチド/線状オリゴヌクレオチド、またはセンス鎖/アンチセンス鎖の名称を示す。「配列」の欄においては、上段が環状オリゴヌクレオチドまたはセンス鎖を示し、下段が線状オリゴヌクレオチドまたはアンチセンス鎖を示す。
実施例1~6におけるオリゴヌクレオチド誘導体および陰性対照群としてのオリゴヌクレオチドの塩基配列を表7および表8に示す。
表7および表8における略号等は以下のとおりである。
末端のVは、結合手を示し、Vに隣接するS原子が結合し-S-S-となり、環状構造であることを示す。
SC6 = -(CH2)6-S-
C3S = -(CH2)3-S-
p = リン酸化
^ = ホスホロチオエート修飾
m = 2’-OMe修飾
f = 2’-F修飾
各実施例における環状オリゴヌクレオチドIeおよびその前前駆体の化合物Icの分子量を表9に示す。分子量の測定は、ESI-MS (アジレント・テクノロジー社製, 1200シリーズ)により常法に基づいて行った。
【0138】
【0139】
【0140】
【0141】
実施例7
核酸配列を表10に記載のPTEN_csRNA1およびPTEN_asRNA2に変更した以外は、実施例1と同じ方法で化合物7を取得した。
【0142】
実施例8
核酸配列を表10に記載のFactor9_csRNA1およびFactor9_asRNA2に変更した以外は、実施例1と同じ方法で化合物8を取得した。
【0143】
実施例9
核酸配列を表11に記載のHPRT1_csRNA6およびHPRT1_asRNA5に変更した以外は、実施例1と同じ方法で化合物9を取得した。
【0144】
実施例10
核酸配列を表12に記載のHPRT1_csRNA15およびHPRT1_asRNA5に変更した以外は、実施例1と同じ方法で化合物10を取得した。
【0145】
実施例11
核酸配列を表12に記載のHPRT1_csRNA16およびHPRT1_asRNA5に変更した以外は、実施例1と同じ方法で化合物11を取得した。
【0146】
実施例12
核酸配列を表14に記載のHPRT1_csRNA23およびHPRT1_asRNA5に変更した以外は、実施例1と同じ方法で化合物12を取得した。
【0147】
実施例13
核酸配列を表14に記載のHPRT1_csRNA24およびHPRT1_asRNA5に変更した以外は、実施例1と同じ方法で化合物13を取得した。
【0148】
実施例14 (環状オリゴヌクレオチドBとその環状siRNA)
実施例1の工程1に記載のアミダイトに、Spacer Phosphoramidite C3 (Glen Research社)を追加して工程1を行うとともに、実施例1の工程4を以下の方法に変更した以外は、実施例1と同じ方法で化合物14を合成した。
スキーム1の化合物Idに対応する14dの水溶液(1.5 mL)に、終濃度で化合物14dが100μmol/L、NaClが150 mmol/L、炭酸水素ナトリウムが5 wt%となるように、5 mol/L NaCl水溶液、炭酸水素ナトリウム、および水を添加した。その後、65℃で48時間静置した。反応液を減圧下濃縮し、逆相液体クロマトグラフィー (Waters, Xbridge(登録商標) C18, 4.6 mm x 250 mm、A液:0.1%酢酸トリエチルアンモニウム緩衝液、B液:アセトニトリルによるグラジエント)により精製し、化合物14e (2工程収率47%)を取得した。
【0149】
実施例15 (環状オリゴヌクレオチドCとその環状siRNA)
実施例1の工程1に記載のアミダイトに、DMT-ethane-Diol phosphoramidite (ChemGenes社)を追加し、工程4を実施例14に記載の方法に変更した以外は、実施例1と同じ方法で、化合物15を合成した。
【0150】
実施例16 (環状オリゴヌクレオチドDとその環状siRNA)
実施例1の工程1に記載のアミダイトに、Spacer Phosphoramidite 9 (Glen Research社)を追加し、工程4を実施例14に記載の方法に変更した以外は、実施例1と同じ方法で、化合物16を合成した。
【0151】
実施例17 (環状オリゴヌクレオチドEとその環状siRNA)
核酸配列を表11に記載のHPRT1_csRNA10およびHPRT1_asRNA5に変更した以外は実施例15と同じ方法で、化合物17を合成した。
【0152】
実施例18 (環状オリゴヌクレオチドEとその環状siRNA)
核酸配列を表12に記載のHPRT1_csRNA17およびHPRT1_asRNA5に変更した以外は実施例15と同じ方法で、化合物18を合成した。
【0153】
実施例19 (環状オリゴヌクレオチドFとその環状siRNA)
実施例1の工程1に記載のアミダイトに、dSpacer CE Phosphoramidite (Glen Research社)を追加し、工程4を実施例14に記載の方法に変更した以外は、実施例1と同じ方法で、化合物19を合成した。
【0154】
実施例20 (環状オリゴヌクレオチドGとその環状siRNA)
実施例1の工程1に記載のアミダイトに、PC Linker Phosphoramidite (Glen Research社)を追加し、工程4を実施例14に記載の方法に変更した以外は、実施例1と同じ方法で、化合物20を合成した。
【0155】
実施例21 (環状オリゴヌクレオチドHとその環状siRNA)
実施例1の工程1に記載のアミダイトに、Amino-Modifer C6 dT (Glen Research社)を追加し、工程4を実施例14に記載の方法に変更した以外は、実施例1と同じ方法で、化合物21を合成した。
【0156】
実施例22 (環状オリゴヌクレオチドIとその環状siRNA)
核酸配列を表11に記載のHPRT1_csRNA14およびHPRT1_asRNA5に変更した以外は実施例15と同じ方法で、化合物22を合成した。
【0157】
実施例23 (環状オリゴヌクレオチドIとその環状siRNA)
核酸配列を表12に記載のHPRT1_csRNA18およびHPRT1_asRNA5に変更した以外は実施例15と同じ方法で、化合物23を合成した。
【0158】
実施例24 (環状オリゴヌクレオチドJとその環状siRNA)
実施例1の工程1に記載のアミダイトに、2’-OMe-U-Thiophosphoramidite (Glen Research社)を追加し、工程4を実施例14に記載の方法に変更した以外は、実施例1と同じ方法で、化合物24を合成した。
【0159】
実施例25 (環状オリゴヌクレオチドKとその環状siRNA)
核酸配列を表13に記載のHPRT1_csRNA20およびHPRT1_asRNA5に変更した以外は実施例24と同じ方法で、化合物25を合成した。
【0160】
実施例26 (環状オリゴヌクレオチドLとその環状siRNA)
実施例1の工程1に記載のアミダイトに、Spacer C12 CE Phosphoramidite (Glen Research社)を追加し、工程4を実施例14に記載の方法に変更した以外は、実施例1と同じ方法で、化合物26を合成した。
【0161】
実施例27 (環状オリゴヌクレオチドMとその環状siRNA)
実施例1の工程1に記載のアミダイトに、参考例1で合成したアミダイト Rf3 を追加し、工程4を実施例14に記載の方法に変更した以外は、実施例1と同じ方法で、化合物27を合成した。
【0162】
実施例28 (環状オリゴヌクレオチドNとその環状siRNA)
実施例1の工程1に記載のアミダイトに、PC Spacer Phosphoramidite (Glen Research社)を追加し、工程4を実施例14に記載の方法に変更した以外は、実施例1と同じ方法で、化合物28を合成した。
【0163】
実施例29 (環状オリゴヌクレオチドOとその環状siRNA)
実施例1の工程1に記載のアミダイトに、PC Spacer Phosphoramidite (Glen Research社)を追加し、実施例1の工程4を以下の方法に変更した。
スキーム1の化合物Idに対応する29dの水溶液(1.5 mL)に、終濃度で化合物29dが100μmol/L、NaClが2 mol/L、炭酸水素ナトリウムが5 wt%となるように、5 mol/L NaCl水溶液、炭酸水素ナトリウム、および水を添加した。その後、65℃で72時間静置した。反応液を減圧下濃縮し、逆相液体クロマトグラフィー (Waters, Xbridge(登録商標) C18, 4.6 mm x 250 mm、A液:0.1%酢酸トリエチルアンモニウム緩衝液、B液:アセトニトリルによるグラジエント)ならびにサイズ排除クロマトグラフィー (東ソー, TSKgel G2000SWXL, 7.8 mm X 300 mm、1XPBSアイソクラティック) により精製し、化合物29e (2工程収率20%)を取得した。
それ以外は、実施例1と同じ方法で、化合物29を合成した。
【0164】
実施例30 (環状オリゴヌクレオチドPとその環状siRNA)
核酸配列を表16に記載のHPRT1_csRNA34およびHPRT1_asRNA5に変更した以外は実施例15と同じ方法で、化合物30を合成した。
【0165】
実施例31 (環状オリゴヌクレオチドQとその環状siRNA)
実施例1の工程1に記載のアミダイトに、Amino-Modifer Serinol Phosphoramidite (Glen Research社)を追加し、工程4を実施例14に記載の方法に変更した以外は、実施例1と同じ方法で、化合物31を合成した。
【0166】
実施例32 (環状オリゴヌクレオチドRとその環状siRNA)
実施例1の工程1に記載のアミダイトに、Fmoc-Amino-DMT C-7 CE phosphoramidite (ChemGenes社)を追加し、工程4を実施例14に記載の方法に変更した以外は、実施例1と同じ方法で、化合物32を合成した。
【0167】
実施例33 (環状オリゴヌクレオチドSとその環状siRNA)
実施例1の工程1に記載のアミダイトに、Alkyne-Modifer Serinol Phosphoramidite (Glen Research社)を追加し、工程4を実施例14に記載の方法に変更した以外は、実施例1と同じ方法で、化合物33を合成した。
【0168】
実施例34 (環状オリゴヌクレオチドTとその環状siRNA)
核酸配列を表16に記載のHPRT1_csRNA37およびHPRT1_asRNA5に変更した以外は実施例33と同じ方法で、化合物34を合成した。
【0169】
実施例35 (環状オリゴヌクレオチドUとその環状siRNA)
実施例1の工程1に記載の固相試薬である3'-Thiol-Modifier C3 S-S CPGを参考例2で合成した修飾CPG Rf12 に変更し、工程4を実施例14に記載の方法に変更した以外は、実施例1と同じ方法で、化合物35を合成した。
【0170】
実施例36 (環状オリゴヌクレオチドVとその環状siRNA)
実施例1の工程1に記載の固相試薬である3'-Thiol-Modifier C3 S-S CPGを参考例3で合成した修飾CPG Rf21 に変更し、工程4を実施例14に記載の方法に変更した以外は、実施例1と同じ方法で、化合物36を合成した。
【0171】
実施例37 (環状オリゴヌクレオチドWとその環状siRNA)
実施例1の工程1に記載のThiol-Modifier C6 S-S を参考例6で合成したアミダイト Rf41 に変更し、固相試薬の3'-Thiol-Modifier C3 S-S CPGを参考例2で合成した修飾CPG Rf12 に変更し、実施例1の工程4を以下の方法に変更した。
スキーム1の化合物Idに対応する37dの水溶液(1.5 mL)に、終濃度で化合物37dが100μmol/L、NaClが2 mol/L、トリエチルアミンが5 vol%となるように、5 mol/L NaCl水溶液、トリエチルアミン、および水を添加した。その後、65℃で72時間静置した。反応液を、逆相液体クロマトグラフィー (Waters, Xbridge(登録商標) C18, 4.6 mm x 250 mm、A液:0.1%酢酸トリエチルアンモニウム緩衝液、B液:アセトニトリルによるグラジエント)ならびにサイズ排除クロマトグラフィー (東ソー, TSKgel G2000SWXL, 7.8 mm X 300 mm、1XPBSアイソクラティック) により精製し、化合物37e (2工程収率16%)を取得した。
それ以外は、実施例1と同じ方法で、化合物37を合成した。
【0172】
実施例38 (環状オリゴヌクレオチドXとその環状siRNA)
実施例1の工程1に記載のThiol-Modifier C6 S-S を参考例7で合成したアミダイト Rf46 に変更し、工程4を実施例14に記載の方法に変更した以外は、実施例1と同じ方法で、化合物38を合成した。
【0173】
実施例39 (環状オリゴヌクレオチドYとその環状siRNA)
実施例1の工程1に記載の固相試薬である3'-Thiol-Modifier C3 S-S CPGを参考例4で合成した修飾CPG Rf29 に変更し、工程4を実施例14に記載の方法に変更した以外は、実施例1と同じ方法で、化合物39を合成した。
【0174】
実施例40 (環状オリゴヌクレオチドZとその環状siRNA)
実施例1の工程1に記載の固相試薬である3'-Thiol-Modifier C3 S-S CPGを参考例5で合成できる修飾CPG Rf37 に変更し、工程4を実施例14に記載の方法に変更した以外は、実施例1と同じ方法で、化合物40を合成できる。
【0175】
実施例41 (環状オリゴヌクレオチドAAとその環状siRNA)
実施例1の工程1に記載の固相試薬である3'-Thiol-Modifier C3 S-S CPGをDMT-C6Disulfide lcaa CPG 500Å (ChemGenes社) に変更し、工程4を実施例14に記載の方法に変更した以外は、実施例1と同じ方法で、化合物41を合成した。
【0176】
実施例42 (環状オリゴヌクレオチドABとその環状siRNA)
実施例1の工程1に記載のThiol-Modifier C6 S-S を5‘-Thio-dI CEP (Berry&Associates社) に変更し、工程4を実施例14に記載の方法に変更した以外は、実施例1と同じ方法で、化合物42を合成した。
【0177】
実施例43 (環状オリゴヌクレオチドACとその環状siRNA)
実施例1の工程1に記載のThiol-Modifier C6 S-S をThiol-modifer-oxa-C6-S-SCEP (Berry&Associates社) に変更し、工程4を実施例14に記載の方法に変更した以外は、実施例1と同じ方法で、化合物43を合成した。
【0178】
実施例44 (環状オリゴヌクレオチドADとその環状siRNA)
化合物44 は、以下のスキーム2に従って合成した。
【0179】
スキーム2
【化44】
(式中、Poは前記と同義である。)
【0180】
工程1
実施例1の工程1に記載のThiol-Modifier C6 S-S を5‘-Carboxy-Modifier C5 (Glen Research社) に変更した以外は、実施例1の工程1と同様にして44bの粗生成物を得た。
【0181】
工程2
実施例1の工程2と同様にして、化合物44cを得た。
ESI-MS 理論値 9208 実測値 9207
【0182】
工程3
工程2で得られた化合物44c (100 nmol)をRnase Free水200 uLに溶解し、別途調製した30 mmol/Lトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩 (TCEP・HCl)/10 mmol/L トリエチルアミン酢酸緩衝液を200 uL加え、室温で12時間静置した。反応液後、化合物44dの粗生成物 (400 uL) を取得し、そのまま次工程へ用いた。
ESI-MS 理論値 9117 実測値 9118
【0183】
工程4
工程3で得られた化合物44dの反応液(400 uL)に、終濃度で化合物44dが100μmol/L、NaClが450 mmol/L、となるように、5 mol/L NaClおよび水を添加した。その後、60℃で48時間静置した。反応液を、逆相液体クロマトグラフィー (Waters, XBridge(登録商標) C18, 4.6 mm x 250 mm、A液:0.1%酢酸トリエチルアンモニウム緩衝液、B液:アセトニトリルによるグラジエント)により精製し、化合物44e (15 nmol, 2工程収率15%)を取得した。
ESI-MS 理論値 9100 実測値 9102
【0184】
工程5
核酸配列を表8に記載のHPRT1_asRNA5に変更した以外は、実施例1の工程5と同じ方法で化合物44を取得した。
【0185】
実施例45 (環状オリゴヌクレオチドAEとその環状siRNA)
実施例1の工程1に記載の固相試薬である3'-Thiol-Modifier C3 S-S CPGを参考例9で合成した修飾CPG Rf59 に変更した以外は、実施例1と同じ方法で、化合物45を合成した。
【0186】
実施例46 (環状オリゴヌクレオチドAFとその環状siRNA)
化合物46 は、以下のスキーム3に従って合成できる。
【0187】
スキーム3
【化45】
(式中、Poは前記と同義である。)
【0188】
工程1
実施例1の工程1に記載のThiol-Modifier C6 S-S を5‘-Hexynyl Phosphoramidite (Glen Research社) に変更し、固相試薬である3'-Thiol-Modifier C3 S-S CPGをAzide-modifiedCPG (化合物(46a), PRIMETECH社) に変更し、参考例10で合成したジペプチドアミダイト Rf65を使用した以外は、実施例1の工程1と同様にして46bの粗生成物を得られる。
【0189】
工程2
工程1で得られた粗生成物46bに28%アンモニア水溶液と40%メチルアミン水溶液を等量混合した試薬で処理し、固相試薬より切りだしを行い得られた粗生成物を逆相液体クロマトグラフィー (Waters, XBridge(登録商標) C18, 4.6 mm x 250 mm、A液:0.1%酢酸トリエチルアンモニウム緩衝液、B液:アセトニトリルによるグラジエント)により精製し、化合物46cは得られる。
【0190】
工程3
工程2で得られた化合物(46cを用いて、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー (Journal of Organic Chemistry), 第73巻, 287-290頁、2008年に記載された方法あるいは、それに準じた合成法により、化合物46dは得られる。
【0191】
工程4
核酸配列を表8に記載のHPRT1_asRNA5に変更した以外は、実施例1の工程5と同じ方法で化合物46は得られる。
【0192】
実施例47 (環状オリゴヌクレオチドAGとその環状siRNA)
化合物47 は、以下のスキーム4に従って合成できる。
【0193】
スキーム4
【化46】
(式中、Poは前記と同義である。)
【0194】
工程1
実施例1の工程1に記載のThiol-Modifier C6 S-S を5‘-Hexynyl Phosphoramidite (Glen Research社) に変更し、固相試薬である3'-Thiol-Modifier C3 S-S CPGをAzide-modifiedCPG (化合物46a, PRIMETECH社) に変更した以外は、実施例1の工程1と同様にして47bの粗生成物を得た。
【0195】
工程2
工程1で得られた粗生成物47bに28%アンモニア水溶液と40%メチルアミン水溶液を等量混合した試薬で処理し、固相試薬より切りだしを行い得られた粗生成物を逆相液体クロマトグラフィー (Waters, Xbridge(登録商標) C18, 4.6 mm x 250 mm、A液:0.1%酢酸トリエチルアンモニウム緩衝液、B液:アセトニトリルによるグラジエント)により精製し、化合物47cを得た。
【0196】
工程3
工程2で得られた化合物47c (70 nmol) を、1.5 mL サンプルチューブに各10 nmolになるように7分割し、終濃度で化合物47cが50μmol/L、NaClが200mmol/L、となるように、5 mol/L NaClおよび水を添加した。その後、Cu wire (10~20本, 和光純薬工業製)を各チューブに加え、あらかじめ80℃に温めていたヒートブロックに入れて3分間静置し、加熱を切り室温になるまで静置した。各チューブの反応液をまとめて、NAP-10カラム(GEヘルスケア製)で簡易精製を行った後、逆相液体クロマトグラフィー (Waters,Xbridge(登録商標) C18, 4.6 mm x 250 mm、A液:0.1%酢酸トリエチルアンモニウム緩衝液、B液:アセトニトリルによるグラジエント)により精製し、化合物47d (27.4 nmol, 収率39%)を取得した。
ESI-MS 理論値 9235 実測値 9234
【0197】
工程4
核酸配列を表8に記載のHPRT1_asRNA5に変更した以外は、実施例1の工程5と同じ方法で化合物47を取得した。
【0198】
実施例7~46のオリゴヌクレオチド誘導体および陰性対照群としてのオリゴヌクレオチドの塩基配列、およびその分子量を表10~19に示す。各実施例において、上段は環状オリゴヌクレオチドを示し、下段は線状ヌクレオチドを示す。表中「環状構造」の各アルファベットは、その配列が表2~6において記載されている「環状構造」の各アルファベットに対応した環状構造を取ることを表す。各陰性対照群において、上段はセンス鎖を示し、下段はアンチセンス鎖を示す。
表10~19における略号等は以下のとおりである。
両末端のVは、それぞれが結合し、表中「環状構造」に示されたアルファベットに対応する環状構造であることを示す。
p = リン酸化
^ = ホスホロチオエート修飾
m = 2’-OMe修飾
f = 2’-F修飾
【0199】
【0200】
【0201】
【0202】
【0203】
【0204】
【0205】
【0206】
【0207】
【0208】
【0209】
【0210】
工程1:
市販のヘキサデカン-1,16-ジオール Rf1 (5.24g, 20.3 mmol) を脱水ピリジン (82 mL) に懸濁させ、4,4’-ジメトキシトリチルクロリド(5.72 g, 16.9 mmol) を加え室温で2 時間30分間撹拌した。反応終了後、ジクロロメタン、 飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えてクエンチした。有機層を水、飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、黄白色固体として粗生成物(15.7g) を取得した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー (山善ハイフラッシュカラム3L, 展開溶媒:n-ヘプタン/酢酸エチル (2%トリエチルアミン) =90/10 → 70/30 → 50/50) にて4回精製した。溶媒を減圧留去した後、アセトニトリル共沸することで16-(ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)ヘキサデカン-1-オル Rf2(4.25 g, 7.13 mmol, 5.9 wt% アセトニトリル) を黄色オイルとして得た。(収率42%)
ESI-MS (m/z): 584 [M + Na].
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ (ppm):7.43 (d, J = 7.2 Hz, 2H), 7.33 - 7.16 (m, 7H), 6.84-6.81 (m, 4H), 3.78 (s, 6H),3.64 (q, J = 6.4 Hz, 2H), 3.02 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 1.64-1.53 (m, 4H),1.42-1.20 (m, 24H).
【0211】
工程2:
アルゴン雰囲気下、20 mL ナスフラスコに、化合物 Rf2(3.00 g, 5.35 mmol) を脱水ジクロロメタン (41 mL) に溶解した。氷浴下にてN, N-ジイソプロピルエチルアミン (4.67 mL, 26.7 mmol)、2-シアノエチルジイソプロピルクロロホスホロアミジト (1.90 g, 8.02mmol) を添加し、室温で1 時間撹拌した。反応終了後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えてクエンチした後、ジクロロメタンで2 回抽出した。合一した有機層を水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去することで、粗生成物 (6.45 g) を白色オイルとして得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィー (山善NH カラムL, 展開溶媒:n-ヘプタン/酢酸エチル = 90/10 →70/30→ 50/50) にて精製することで、16-(ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)ヘキサデシル (2-シアノエチル)ジイソプロピルホスホロアミダイト Rf3 (3.78 g, 4.09 mmol) を無色オイルとして得た。(収率 77%)
ESI-MS (m/z): 未検出.
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ (ppm):7.45-7.43 (m, 2H), 7.43-7.25 (m, 6H), 7.21-7.19 (m, 1H), 6.84-6.81 (m, 4H),3.90-3.80 (m, 2H), 3.79 (s, 6H), 3.68-3.55 (m, 4H), 3.02 (t, J = 6.8 Hz, 2H),2.64 (t, J =6.4 Hz, 2H), 1.64-1.56 (m, 4H), 1.35-1.24 (m, 24H), 1.18 (dd, J =4.0, 6.8 Hz, 12H).
31P-NMR (CDCl3, 162 MHz) δ (ppm):147.8
【0212】
参考例2
修飾CPG Rf12 の合成
【化48】
(式中、Poは前記と同義である。)
【0213】
なお、化合物 Rf9 は以下の工程7-1によって合成した。
【0214】
【0215】
工程3:
市販のブタン-1,3-ジオール Rf4 (1.0 g,11.1 mmol) を用いて、参考例1の工程1と同様にして、4-(ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)ブタン-2-オル Rf5 (4.00 g, 9.51 mmol, 2.7 wt%酢酸エチル, 4.3wt% n-ヘプタン) を淡黄色オイルとして得た。(収率86%)
ESI-MS (m/z): 415.0 (M + Na).
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ (ppm):7.42 (d, J = 7.2 Hz, 2H), 7.32-7.19 (m, 7H), 6.83 (d, J = 8.8 Hz, 4H),4.00-3.95 (m, 1H), 3.79 (s, 6H), 3.38-3.19 (m, 2H), 2.95 (d, J = 2.8 Hz, 1H),1.83-1.66 (m, 2H), 1.16 (d, J = 6.4 Hz, 3H).
【0216】
工程4:
アルゴン雰囲気下の300 mL フラスコに、工程3で得られた化合物 Rf5 (4.00 g, 10.2 mmol) 、脱水ジクロロメタン (50 mL) を加えた。氷冷下、トリエチルアミン (2.84 mL, 20.4 mmol) 、メタンスルホニルクロリド (1.20mL, 15.3 mmol) を添加し、室温にて1 時間撹した。反応終了後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、クロロホルムを加えて分液した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧濃縮することにより、4-(ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)ブタン-2-イルメタンスルホナート Rf6 を含む粗生成物 (5.30 g) を橙色オイルとして得た。得られた粗生成物はそのまま次工程へ用いた。(収率: quant.)
ESI-MS (m/z): 493 [M + Na].
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ (ppm):7.40 (d, J = 7.6 Hz, 2H), 7.31-7.20 (m, 7H), 6.82 (d, J = 9.2 Hz, 4H),5.04-5.00 (m, 1H), 3.79 (s, 6H), 3.23-3.14 (m, 2H), 2.75 (s, 3H), 1.97-1.88 (m,2H), 1.43 (d, J = 6.4 Hz, 3H).
【0217】
工程5:
200 mL コルベンに、工程4で得られた化合物 Rf6 を含む粗生成物 (5.30 g)、脱水N, N-ジメチルホルムアミド(96 mL) を加え、懸濁させた。チオ酢酸カリウム (5.14 g, 45.1 mmol) 、ヨウ化ナトリウム (0.170 g,1.13 mmol) を添加し、50 ℃にて3 時間撹拌した。反応終了後、水を加え、n-ヘプタン/酢酸エチル (1/1) にて2 回抽出した。合一した有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧濃縮することにより、橙色オイルとして粗生成物 (4.57 g) を得た。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (山善ハイフラッシュカラムL, 展開溶媒:n-ヘプタン/酢酸エチル = 100/0 →90/10 →80/20) にて精製することにより、S-(4-(ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)ブタン-2-イル) エタンチオエイト Rf7(3.98 g, 7.83 mmol, 11.3 wt% 酢酸エチル) を橙色オイルとして得た。(2段階収率70%)
ESI-MS (m/z): 473.2 [M + Na].
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ (ppm):7.44-7.42 (m, 2H), 7.33-7.18 (m, 7H), 6.82 (d, J = 8.8 Hz, 4H), 3.79 (s, 6H),3.76-3.71 (m, 1H), 3.18-3.07 (m, 2H), 2.26 (s, 3H), 1.90-1.79 (m, 2H), 1.25 (d,J = 7.2 Hz, 3H).
【0218】
工程6:
アルゴン雰囲気下の30 mL フラスコに、工程5で得られた化合物 Rf7 (400 mg, 0.888 mmol) 、脱水メタノール (3.6 mL) を加えて溶解した。40% メチルアミン/メタノール溶液(870 μL) を添加し、1 時間撹拌した。反応終了後、溶媒を減圧濃縮することにより、橙色オイルとして粗生成物 (430 mg)を得た。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (山善ハイフラッシュカラムM, 展開溶媒:n-ヘプタン/酢酸エチル = 90/10 → 70/30) にて精製することにより、4-(ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)ブタン-2-チオール Rf8 (324 mg, 0.717 mmol,9.5 wt% 酢酸エチル) を無色オイルとして得た。(収率81%)
ESI-MS (m/z): 未検出.
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ (ppm):7.44 - 7.42 (m, 2H), 7.33 - 7.20 (m, 7H), 6.82 (d, J = 8.8 Hz, 4H), 3.79 (s,6H), 3.25 - 3.15 (m, 3H), 1.91 - 1.72 (m, 2H), 1.44 (d, J = 6.4 Hz,, 1H), 1.29(d, J = 3.6 Hz, 3H).
【0219】
工程7-1:
アルゴン雰囲気下、100 mL フラスコに2, 2’-ジピリジルジスルフィド (5.00 g, 22.7 mmol) を脱水メタノール (33 mL) に溶解し、市販の3-メルカプトプロパン-1-オル Rf13 (1.39 g, 15.1 mmol) を加え、室温で4 時間撹拌した。反応終了後、溶媒を減圧濃縮することで、黄色オイルの粗生成物 (6.40g) を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (山善ハイフラッシュカラムL, 展開溶媒:n-ヘプタン/酢酸エチル = 90/10 → 70/30 →50/50 → 30/70) にて2 回精製することにより、3-(ピリジン-2-イルジスルファニル)プロパン-1-オル Rf9 (2.20 g, 10.9 mmol) を無色オイルとして得た。(収率72%)
ESI-MS (m/z): 未検出.
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ (ppm):8.48 - 8.46 (m, 1H), 7.66 - 7.61 (m, 2H), 7.14 - 7.09 (m, 1H), 3.81 (t, J = 6.0Hz, 2H), 2.98 (t, J = 4.8 Hz, 2H), 2.41 (br, 1H), 1.99 - 1.92 (m, 2H).
【0220】
工程7-2:
アルゴン雰囲気下の50 mL フラスコに、工程6で得られた化合物 Rf8 (480 mg, 1.18 mmol)、脱水メタノール(12 mL) を加え、懸濁させた。この混合液に工程7-1で得られた化合物 Rf9 (710 mg, 3.52 mmol)、トリエチルアミン (491 μL, 3.52 mmol) を添加し、室温で2 時間撹拌した。反応終了後、溶媒を減圧濃縮し、粗生成物 (1.29 g) を黄色オイルとして得た。残渣をカラムクロマトグラフィー (山善ハイフラッシュカラムM, 展開溶媒:n-ヘプタン/酢酸エチル = 90/10→ 70/30 → 50/50) にて精製することで、3-((4-(ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)ブタン-2-イル)ジスルファニル)プロパン-1-オル Rf10 (492 mg, 0.839 mmol, 15.0 wt% 酢酸エチル) を無色オイルとして得た。(収率62%)
ESI-MS (m/z): 521.3 [M+Na].
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ (ppm):7.43 (d, J = 7.9 Hz, 2H), 7.33-7.20 (m, 7H), 6.83 (d, J = 8.4 Hz, 4H), 3.79 (s,6H), 3.71 (br, 2H), 3.24-3.03 (m, 3H), 2.73 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 2.02-1.95 (m,1H), 1.88 (quin, J = 6.8 Hz, 2H), 1.78-1.69 (m, 1H), 1.28-1.23 (m, 3H).
【0221】
工程8:
アルゴン雰囲気下の50 mL フラスコに、工程7で得られた化合物 Rf10 (492 mg, 0.987 mmol)、脱水ジクロロメタン (10 mL)を加え、溶解した。この溶液にトリエチルアミン (2.75 μL,1.97 mmol)、無水コハク酸 (150 mg, 1.48mmol) を加え、室温で2 時間撹拌した。反応終了後、溶媒を減圧濃縮し、粗生成物 (1.20 g) を黄色オイルとして得た。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(山善ハイフラッシュカラムM, 展開溶媒:クロロホルム/メタノール (1% トリエチルアミン)=100/0 → 98/2 → 95/5 → 90/10 → 80/20) にて精製した後、アセトニトリルで共沸することで、4-(3-((4-(ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)ブタン-2-イル)ジスルファニル)プロポキシ)-4-オキソブタン酸 Rf11 (630 mg, 0.863 mmol, 18.0wt% トリエチルアミン (1.3 eq.)) を淡白色オイルとして得た。(収率87%)
ESI-MS (m/z): 597 [M-H].
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ (ppm):7.42 (d, J = 7.6 Hz, 2H), 7.32 - 7.20 (m, 7H), 6.82 (d, J = 8.8 Hz, 4H), 4.12(t, J = 6.0 Hz, 2H), 3.79 (s, 6H), 3.23 - 3.02 (m, 3H), 2.67 (d, J = 7.6 Hz,2H), 2.61 - 2.50 (m, 4H), 2.01 - 1.93 (m, 3H), 1.76 - 1.68 (m, 1H), 1.30 - 1.28(m, 3H).
【0222】
工程9:
CPG レジン (LCAA Controlled PoreGlass, 2.20 g) に脱水アセトニトリル (8.0 mL) を加え、さらにジイソプロピルカルボジイミド (52 μL, 334 μmol) と1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(5.42 mg, 40 μmol) 加えて密栓し、室温で10 分間振とう撹拌した。工程8で得られた化合物 Rf11 (81 mg (6.6 wt%,トリエチルアミン (1.3 eq.), 111 μmol) を脱水ピリジン (0.67 mL) と無水アセトニトリル (2.0mL) の混合溶媒に溶かし、CPG レジンの溶液に加えて密栓し、室温で34 時間20 分間振とう撹拌した。さらにジイソプロピルカルボジイミド (52 μL, 334 μmol) と1-ヒドロキシベンゾトリアゾール (5.42 mg, 40 μmol) 加えて密栓し、室温で19 時間40 分間振とう撹拌した。さらにジイソプロピルカルボジイミド (52 μL, 334 μmol) と1-ヒドロキシベンゾトリアゾール (5.42 mg, 40 μmol) 加えて密栓し、室温で16 時間50分間振とう撹拌した。CPG 溶液に溶液をろ過して除いたのち、CPGレジンを塩化メチレン → アセトニトリル → 塩化メチレンの順で洗浄し、アルゴンガスを通して乾燥し、修飾CPGレジン (1.75 g) を得た。得られたCPG レジンの一部分 (12.0 mg) を2 wt% トリクロロ酢酸-塩化メチレン溶液 (25mL) で処理し、吸光度を測定した。(Absorbance (503 nm) = 2.051, Loading 56.4 μmol/g,Loading の計算方法はCurrent Protocol in Nucleic AcidChemistry, Unit 3.2.14 に従った)
この操作を同量のCPG レジン2.20 g を用いてさらに2 バッチ行うことで、修飾CPG レジン(1.85g (Loading 55.0 μmol/g), 1.87 g, (Loading 57.4 μmol/g))をそれぞれ取得した。
得られたCPG レジン (1.75 g) にN-メチルイミダゾール/テトラヒドロフラン = 1/5.25 の混合液 (22.0 mL) と無水酢酸/2, 6-ルチジン/テトラヒドロフラン= 1/1/8 の混合溶液 (21.9 mL)を加え、室温で16時間振とう撹拌した。溶液をろ過して除いたのち、CPG レジンを塩化メチレン → アセトニトリル →塩化メチレンの順で洗浄し、アルゴンガスを通して乾燥することにより修飾CPG Rf12 (1.64 g) を得た。得られたCPG レジンの一部分 (12.5 mg) を2 wt%トリクロロ酢酸-塩化メチレン溶液 (25mL) で処理し、吸光度を測定した。(Absorbance (503 nm) =2.117, Loading 55.9 μmol/g)。
【0223】
参考例3
修飾CPG Rf21 の合成
【化50】
(式中、Poは前記と同義である。)
【0224】
工程10:
アルゴン雰囲気下、市販のトランス-2-ペンテナール Rf14(500 mg, 5.94 mmol) を脱水テトラヒドロフラン (3.0 mL) に溶解した。この溶液にチオ酢酸 (635 μL, 8.92 mmol) を加え、室温で3 時間撹拌した。反応終了後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えてクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧下濃縮することにより、S-(1-オキソペンタン-3-イル)エタンチオエイト Rf15 (875 mg) を黄色オイルとして得た。(収率86%)
ESI-MS (m/z): 未検出.
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ (ppm):9.70 (t, J = 2.0Hz, 1H), 3.92-3.86 (m, 1H), 2.74-2.71 (m, 2H), 2.33 (s, 3H),1.77-1.62 (m, 2H), 0.98 (t, J = 7.2 Hz, 3H).
【0225】
工程11:
アルゴン雰囲気下、エタノール/水 = 4/1 (20 mL)の混合溶液に、氷浴下にて水素化ホウ素ナトリウム (340 mg, 8.91 mmol)、工程10で得られた化合物 Rf15 (875 mg, 5.94 mmol) を加え、室温で40 分間撹拌した。反応終了後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー (山善ハイフラッシュカラムL, 展開溶媒:n-ヘプタン/酢酸エチル = 90/10→ 50/50) にて精製することで、3-メルカプトペンタン-1-オル Rf16 (160 mg) を無色オイルとして得た。(収率21%)
ESI-MS (m/z): 未検出.
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ (ppm):3.89-3.78 (m, 2H), 2.93-2.85 (m, 1H), 2.05-1.94 (m, 1H), 1.79-1.50 (m, 4H),1.38 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 1.02 (t, J = 7.2 Hz, 3H).
【0226】
工程12:
工程11で得られた化合物 Rf16(160 mg, 1.33 mmol)を用いて、参考例2の工程7-1と同様にして、3-(ピリジン-2-イルジスルファニル)ペンタン-1-オル Rf17 (250mg) を無色オイルとして得た。(収率79%)
ESI-MS (m/z): 230 [M+H].
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ (ppm):8.47 (d, J = 4.4 Hz, 1H), 7.62-7.51 (m, 2H), 7.13-7.10 (m, 1H), 4.13-4.01 (m,1H), 3.85-3.77 (m, 2H), 3.08-3.01 (m, 1H), 2.00-1.91 (m, 1H), 1.82-1.66 (m,3H), 1.02 (t, J = 8.0 Hz, 3H).
【0227】
工程13:
工程12で得られた化合物 Rf17(250 mg, 1.09 mmol)を用いて、参考例1の工程1と同様にして、2-((1-(ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)ペンタン-3-イル)ジスルファニル)ピリジン Rf18 (333 mg) を無色オイルとして得た。(収率51%)
ESI-MS (m/z): 570 [M + K].
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ (ppm):8.40 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 7.65 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.51 (t, J = 7.6 Hz, 1H),7.41 (d, J =7.6 Hz, 2H), 7.31-7.25 (m, 6H), 7.22-7.20 (m, 1H), 7.30 (t, J =7.6Hz, 1H), 6.81 (d, J = 8.8 Hz, 4H), 3.79 (s, 6H), 3.24-3.14 (m, 2H), 2.99 (quin,J = 6.4 Hz, 1H), 1.89 (q, J = 6.0 Hz, 2H), 1.65-1.57 (m, 2H), 0.96 (t, J = 8.8Hz, 3H).
【0228】
工程14:
工程13で得られた化合物 Rf18 (333 mg,0.626 mmol) を脱水メタノール (5.0 mL) に溶解した。この溶液に市販の3-メルカプト1-プロパノール Rf13(43 μL, 0.501 mmol) を加え、室温で1 時間撹拌した。原料が残っていたため、化合物 Rf13 (11 μL, 0.128 mmol) を加えてさらに室温で3 時間撹拌した。反応終了後、反応溶液を濃縮し、粗生成物を黄色オイルとして (0.69g) 得た。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー (山善ハイフラッシュカラムM, 展開溶媒:n-ヘプタン/酢酸エチル (2% トリエチルアミン)= 95/5 → 80/20 → 70/30) にて精製することで、3-((1-(ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)ペンタン-3-イル)ジスルファニル)プロパン-1-オル Rf19 (215 mg) を無色オイルとして得た。(収率57%)
ESI-MS (m/z): 552 [M + K].
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ (ppm):7.42 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 7.33-7.20 (m, 7H), 6.82 (d, J = 8.8 Hz, 4H), 3.79 (s,6H), 3.69 (q, J = 5.6 Hz, 2H), 3.20 (dt, J = 2.4, 7.2 Hz, 2H), 2.81 (quin, J =6.4 Hz, 1H), 2.68 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 1.94-1.83 (m, 4H), 1.63-1.57 (m, 2H),1.35 (t, J = 5.6 Hz, 1H), 0.968 (t, J = 8.0 Hz, 3H).
【0229】
工程15:
工程14で得られた化合物 Rf19(215 mg, 0.354 mmol)を用いて、参考例2の工程8と同様にして、4-(3-((1-(ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)ペンタン-3-イル)ジスルファニル)プロポキシ)-4-オキソブタン酸 Rf20 (210 mg, 6.6 wt% トリエチルアミン (0.43 eq.)) を無色オイルとして得た。(収率90%)
ESI-MS (m/z): 612 [M-H].
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ (ppm):7.41 (d, J = 7.6 Hz, 2H), 7.32-7.20 (m, 7H), 6.82 (d, J = 9.2 Hz, 4H), 4.13 (t,J = 6.0 Hz, 2H), 3.79 (s, 6H), 3.21-3.17 (m, 2H), 2.83-2.77 (m, 1H), 2.64-2.57(m, 6H), 1.98-1.85 (m, 4H), 1.64-1.56 (m, 2H), 0.962 (t, J = 6.8 Hz, 3H).
【0230】
工程16:
工程15で得られた化合物 Rf20 (61 mg, 0.1mmol) とCPG レジン (LCAA ControlledPore Glass, 2.20 g) を用いて、参考例2の工程9と同様にして修飾CPG Rf21 (2.10 g) を得た。得られたCPG レジンの一部分 (24.3 mg) を2 wt%トリクロロ酢酸-塩化メチレン溶液 (25 mL) で処理し、吸光度を測定した。(Absorbance (503 nm)= 2.490, Loading 33.7 μmol/g)
【0231】
参考例4
修飾CPG Rf29 の合成
【化51】
(式中、Poは前記と同義である。)
【0232】
工程17:
市販の2-シクロヘキセン-1-オン Rf22 (5.00 g, 52 mmol) を用いて、参考例3の工程10と同様にして、S-(3-オキソシクロヘキシル)エタンチオエイト Rf23 (8.83 g, 49.0 mmol, 4.4 wt% 酢酸エチル) を橙色オイルとして得た。(収率94%)
ESI-MS (m/z): 未検出.
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ (ppm):3.89-3.82 (m, 1H), 2.72 (dd, J = 3.2, 14.4 Hz, 1H), 2.49-2.29 (m, 3H), 2.32 (s,3H), 2.13 (br, 1H), 2.09-1.99 (m, 1H), 1.89-1.75 (m, 2H).
【0233】
工程18:
アルゴン雰囲気下の500 mL コルベンに、脱水テトラヒドロフラン (100 mL) を加えた。氷冷下にて水素化アルミニウムリチウム (1.95 g,51.3 mmol) を加えた後、塩氷浴下にて工程17で得られた化合物 Rf23 (8.83 g, 51.3 mmol) を20 分間かけて添加した。添加後、氷浴下 (内温 21 ℃) にて1 時間撹拌した。反応終了後、氷冷下 (内温 5~10 ℃) にて飽和塩化アンモニウム水溶液を加えてクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去することにより橙色オイルとして粗生成物 (7.18 g) を得た。残渣をカラムクロマトグラフィー (山善ハイフラッシュカラム3L, 展開溶媒:n-ヘプタン/酢酸エチル = 80/20 → 70/30 →50/50) にて精製することにより、S-(3-ヒドロキシシクロヘキシル)エタンチオエイト Rf24 (5.81 g, 30.0 mmol, 10wt% 酢酸エチル) を橙色オイルとして得た。(収率59%)
ESI-MS (m/z): 197.9 [M + Na].
【0234】
工程19:
工程18で得られた化合物 Rf24(2.90 g, 16.6 mmol)を用いて、参考例1の工程1と同様にして、S-(3-(ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)シクロヘキシル)エタンチオエイト Rf25 (1.70 g, 3.44 mmol, 3.5 wt% アセトニトリル) を無色アモルファスとして得た。(収率21%)
ESI-MS (m/z): 499.1 [M + Na].
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ (ppm):7.53-7.47 (m, 2H), 7.42-7.35 (m, 4H), 7.30-7.17 (m, 3H), 6.83-6.80 (m, 4H),3.79 (s, 6H), 3.46-3.41 (m, 1H), 3.16-3.10 (m, 1H), 2.24 (s, 3H), 1.74 (br, 1H),1.62-1.56 (s, 2H), 1.38-1.04 (m, 5H).
【0235】
工程20:
工程19で得られた化合物 Rf25 (1.70 g,3.57 mmol) を用いて、参考例2の工程6と同様にして、3-(ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)シクロヘキサン-1-チオール Rf26 (1.41 g, 2.80 mmol, 13.7 wt% 酢酸エチル) を無色オイルとして得た。(収率78%)
ESI-MS (m/z): 未検出.
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ (ppm):7.45-7.47 (m, 2H), 7.39-7.36 (m, 4H), 7.29-7.18 (m, 3H), 6.83-6.80 (m, 4H),3.79 (s, 6H), 3.36-3.29 (m, 1H), 2.47-2.38 (m, 1H), 1.85-1.71 (m, 2H),1.60-1.50 (m, 1H), 1.43 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 1.31-1.05 (m, 4H), 1.18-0.90 (m,1H).
【0236】
工程21:
工程20で得られた化合物 Rf26 (780 mg,3.87 mmol) を用いて、参考例2の工程7-2と同様にして、3-((3-(ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)シクロヘキシル)ジスルファニル)プロパン-1-オル Rf27 (457mg, 0.785 mmol, 9.8 wt%酢酸エチル) を無色オイルとして得た。(収率41%)
ESI-MS (m/z): 564.6 [M + K].
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ (ppm):7.51-7.48 (m, 2H), 7.41-7.37 (m, 4H), 7.30-7.18 (m, 3H), 6.84-6.80 (m, 4H),3.79 (s, 6H), 3.75-3.69 (m, 2H), 3.40-3.32 (m, 1H), 2.70-2.61 (m, 2H),2.39-2.31 (m, 1H), 1.96-1.80 (m, 2H), 1.69-1.43 (m, 4H), 1.28-0.983 (m , 4H).
【0237】
工程22:
工程21で得られた化合物 Rf27 (215 mg,0.354 mmol) を用いて、参考例2の工程8と同様にして、4-(3-((3-(ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)シクロヘキシル)ジスルファニル)プロポキシ)-4-オキソブタン酸Rf28 (227 mg, 0.360 mmol, 7.2 wt% トリエチルアミン(0.53 eq.)) を無色オイルとして得た。(収率35%)
ESI-MS (m/z): 623 [M-H].
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ (ppm):7.53-7.47 (m, 2H), 7.42-7.35 (m, 4H), 7.30-7.18 (m, 3H), 6.85-6.79 (m, 4H),4.16-4.10 (m, 2H), 3.79 (s, 6H), 3.40-3.30 (m, 1H), 3.02-2.96 (m, 1H),2.63-2.56 (m, 6H), 2.41-2.30 (m, 1H), 2.01-1.90 (m, 2H), 1.84-1.78 (m, 1H),1.70-1.58 (m, 2H), 1.45-1.39 (m, 1H), 1.28-0.96 (m, 4H).
【0238】
工程23:
工程22で得られた化合物 Rf28 (42.8 mg,68.5 μmol) とCPG レジン(LCAA Controlled Pore Glass, 1.20 g) を用いて、参考例2の工程9と同様にして修飾CPGRf29 (1.08 g) を得た。得られたCPG レジンの一部分 (14.9 mg) を2 wt%トリクロロ酢酸-塩化メチレン溶液 (25mL) で処理し、吸光度を測定した。(Absorbance (503 nm) = 2.146, Loading 47.3 μmol/g)。
【0239】
参考例5
修飾CPG Rf37 の合成
【化52】
(式中、Poは前記と同義である。)
【0240】
市販の2H-ピラン-3(6H)-オンを用いて、参考例4と同様の合成法により、修飾CPG Rf37 は合成できる。
【0241】
参考例6
アミダイト Rf41 の合成
【化53】
【0242】
工程24:
参考例2の工程7-1で得られた化合物 Rf9 (1.32 g, 6.56 mmol) を用いて、参考例1の工程1と同様にして、2-((3-(ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)プロピル)ジスルファニル)ピリジン Rf38(2.96 g) を無色オイルとして得た。(収率90%)
ESI-MS (m/z): 未検出.
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ (ppm):8.45-8.44 (m, 1H), 7.69 (d, J = 0.8 Hz, , 1H), 7.67-7.58 (m, 1H), 7.42-7.40 (m,2H), 7.31-7.25 (m, 6H), 7.22-7.16 (m, 1H), 7.08-7.04 (m, 1H), 6.84-6.79 (m,4H), 3.78 (s, 6H), 3.15 (t, J = 6.0 Hz, 2H), 2.93 (t, J = 7.6 Hz, 2H),2.00-1.96 (m, 2H).
【0243】
工程25:
工程24で得られた化合物 Rf38 (2.49 g, 4.94mmol) と市販の3-メルカプトブタン-1-オルRf39 (787 mg, 7.42 mmol) を用いて、参考例2の工程7-2と同様にして、3-((3-(ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)プロピル)ジスルファニル)ブタン-1-オル Rf40 (1.86 g) を無色オイルとして得た。(収率67%)
ESI-MS (m/z): 521.7 [M + Na].
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ (ppm):7.44-7.41 (m, 2H), 7.33-7.26 (m, 6H), 7.22-7.19 (m, 1H), 6.84-6.80 (m, 4H),3.83-3.68 (m, 2H), 3.79 (s, 6H), 3.15 (t, J = 6.4 Hz, 2H) , 3.02-2.94 (m, 1H),2.80 (t, J = 6.8 Hz, 2H), 2.60 (t, J = 6.4 Hz, 1H), 2.01-1.92 (m, 2H),1.80-1.71 (m, 1H), 1.41 (t, J = 5.6 Hz, 1H), 1.34 (d, J = 6.8 Hz, 3H).
【0244】
工程26:
工程25で得られた化合物 Rf40 (380 mg,0.762 mmol) を用いて、参考例1の工程2と同様にして、3-((3-(ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)プロピル)ジスルファニル)ブチル(2-シアノエチル)ジイソプロピルホスホロアミダイト Rf41 (230 mg, 0.300 mmol, 8.9 wt% AcOEt) を無色オイルとして得た。(収率39%)
ESI-MS (m/z): 未検出.
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ (ppm):7.40-7.41 (m, 2H), 7.32-7.26 (m, 6H), 7.22-7.20 (m, 1H), 6.84-6.79 (m, 4H),3.86-3.53 (m, 4H), 3.80 (s, 6H), 3.55-3.61 (m, 2H), 3.18-3.13 (m, 2H) ,3.00-2.94 (m, 1H), 2.81-2.58 (m, 4H), 2.01-1.74 (m, 4H), 1.34 (dd, 1.2, 6.8 Hz,3H), 1.29-1.22 (m, 2H), 1.17 (dt, J = 1.2, 4.8 Hz, 10H)
31P-NMR (CDCl3, 162 MHz) δ (ppm):148.3
【0245】
参考例7
アミダイト Rf46 の合成
【化54】
【0246】
工程27:
2, 2’-ジチオビス (5-ニトロピリジン) (5.95 g, 19.2 mmol) を脱水N,N-ジメチルホルムアミド(118 mL) に溶解し、市販の3-メルカプトプロパン-1-オルRf13 (1.18 g, 12.8 mmol) を加えた後、室温で4 時間撹拌した。反応溶液に水を加え、イソプロピルエーテルで抽出した後、有機層に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮することにより、黄色固体の粗生成物 (7.01 g) を得た。得られた粗生成物をn-ヘプタン/酢酸エチル = 50/50 で懸濁洗浄を行い、橙色固体の粗生成物 (4.98 g) を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ量:90 g, 展開溶媒:n-ヘプタン/酢酸エチル = 2/1 → 1/1 (1% トリエチルアミン)) にて精製することにより、3-((5-ニトロピリジン-2-イル)ジスルファニル)プロパン-1-オル Rf42 (2.09 g) を黄色オイルとして得た。(収率66%)
ESI-MS (m/z): 未検出.
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ (ppm):9.28 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 8.41 (dd, J = 2.4, 8.8 Hz, 1H), 7.89 (d, J = 8.8 Hz,1H), 3.79 (t, J = 5.6 Hz, 2H), 2.99 (t, J = 8.8 Hz, 2H), 2.00-1.94 (m, 2H).
【0247】
工程28:
工程27で得られた化合物 Rf42(1.97 g, 8.00 mmol)を用いて、参考例1の工程1と同様にして、2-((3-(ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)プロピル)ジスルファニル)-5-ニトロピリジンRf43(3.99 g) を薄黄色オイルとして得た。(収率91%)
ESI-MS (m/z): 未検出.
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ (ppm):9.24 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 8.3 (dd, J = 2.8, 8.8 Hz, 1H), 7.85 (d, J = 8.8 Hz,1H), 7.41-7.38 (m, 2H), 7.31-7.16 (m, 7H), 6.84-6. 80 (m, 4H), 3.79 (s, 6H),3.18 (t, J = 6.0 Hz, 2H), 2.78 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 1.97 (quin, J = 7.2 Hz,2H).
【0248】
工程29:
工程28で得られた化合物 Rf43 (4.13 g,7.53 mmol) と市販の3-メルカプト-3-メチルブタン-1-オル Rf44 (1.36 g, 11.3 mmol) を用いて、参考例2の工程7-2と同様にして、3-((3-(ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)プロピル)ジスルファニル)-3-メチルブタン-1-オル Rf45 (3.72 g, 6.98 mmol) を無色液体として得た。(収率93%)
ESI-MS (m/z): 535.0 [M + Na].
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ (ppm):7.34-7.40 (m, 2H), 7.33-7.26 (m, 6H), 7.22-7.18 (m, 1H), 6.84-6.80 (m, 4H),3.79 (s, 6H), 3.79-3.75 (m, 2H), 3.14 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 2.82 (t, J = 7.2 Hz,2H), 1.96-1.86 (m, 4H), 1.44 (br, 1H), 1.32 (s, 6H).
【0249】
工程30:
工程29で得られた化合物 Rf45(1.00 g, 1.95 mmol)を用いて、参考例1の工程2と同様にして、3-((3-(ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)プロピル)ジスルファニル)-3-メチルブチル(2-シアノエチル)ジイソプロピルホスホロアミダイト Rf46 (1.15 g, 1.46 mmol) を無色オイルとして得た。(収率75%)
ESI-MS (m/z): 未検出.
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ (ppm):7.43-7.41 (m, 2H), 7.32-7.28 (m, 6H), 7.22-7.18 (m, 1H), 6.84-6.80 (m, 4H),3.86-3.69 (m, 4H), 3.79 (s, 6H), 3.63-3.56 (m, 2H), 3.14 (t, J = 6.0 Hz, 2H) ,2.81 (t, J =7.6 Hz, 2H), 2.61 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 1.94 (quin, J = 7.6 Hz, 4H),1.32 (s, 6H), 1.18 (dd, J = 4.8, 6.8 Hz, 12H).
31P-NMR (CDCl3, 162 MHz) δ (ppm):147.9
【0250】
参考例8
カルボン酸トリエチルアミン塩 Rf54 の合成
【化55】
【0251】
工程31:
市販の2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオール Rf47 (3.00 g, 25.0 mmol)を用いて、参考例1の工程1と同様にして、2-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-2-メチルプロパン-1,3-ジオール Rf48 (4.88 g, 5.4wt%酢酸エチル含む, 10.9 mmol) を淡黄色アモルファスとして得た。(収率44%)
ESI-MS (m/z): 未検出.
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ (ppm):7.43-7.41 (m, 2H), 7.34-7.19 (m, 7H), 6.85-6.82 (m, 4H), 3.79 (s, 6H), 3.69 (d,J = 11.2 Hz, 2H), 3.58 (d, J = 11.2 Hz, 2H), 3.14 (s, 2H), 2.32 (br, 2H), 0.834(s, 3H).
【0252】
工程32:
アルゴン雰囲気下、工程31で得られた化合物 Rf48(4.88 g, 5.4wt%酢酸エチル含む, 10.9 mmol) を無水テトラヒドロフラン (50 mL) に溶かし、氷冷した。水素化ナトリウム (60% in mineraloil, 436 mg, 10.9 mmol) とヨウ化ナトリウム (168 mg, 1.12 mmol)、1,4-ジブロモブタンRf49 (1.29 ml, 10.9 mmol) を順に加えて氷冷下で100分間撹拌した。氷バスを外して、成り行きで室温まで昇温しながら、17時間撹拌した。反応が30%程度しか進行していなかったため、反応液を再び氷冷し、水素化ナトリウム (60%in mineral oil, 436 mg, 10.9 mmol) と1,4-ジブロモブタンRf49 (1.29 ml, 10.9 mmol) を加えた。すぐに氷バスを外して、成り行きで室温まで昇温しながら、3時間撹拌した。原料が残っていたが反応液を氷冷し、飽和塩化アンモニウム水 (50 mL)をゆっくり加えてクエンチした。さらに水 (50 mL) を加えたのち、酢酸エチル (0.15 L) で抽出した。有機層を水 (50mL) で洗浄し、さらに飽和食塩水 (50 mL) で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下濃縮することにより、黄色液体の粗成績体を得た。得られた粗成績体をカラムクロマトグラフィー (山善ハイフラッシュカラム 3L, 展開溶媒: n-ヘプタン/酢酸エチル =100/0 → 0/100) にて精製することにより、3-(ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)-2-((4-ブロモブトキシ)メチル)-2-メチルプロパン-1-オル Rf50 (3.24 g, 12wt%酢酸エチル含む, 5.09 mmol) を無色粘性液体として得た。 (収率 47%)
ESI-MS (m/z): 未検出.
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ (ppm):7.43-7.41 (m, 2H), 7.32-7.16 (m, 7H), 6.85-6.82 (m, 4H), 3.79 (s, 6H),3.55-3.38 (m, 6H), 3.08 (q, J = 10.8 Hz, 2H), 2.70 (t, J = 6.0 Hz, 1H),1.91-1.84 (m, 2H), 1.72-1.65 (m, 2H), 1.23 (br, 2H), 0.884 (s, 3H).
【0253】
工程33:
アルゴン雰囲気下、工程32で得られた化合物 Rf50(1.00 g, 12wt%酢酸エチル含む, 1.58 mmol) を無水N,N-ジメチルホルムアミド (18 mL) に溶かし、ヨウ化ナトリウム (134 mg, 0.897 mmol) とアジ化ナトリウム (233 mg,3.59 mmol) を加えて室温で8時間撹拌した。反応液を氷冷し、水 (20 mL)を加えた。n-ヘプタン/酢酸エチル = 1/1 の混合溶媒 (50 mL) で抽出し、水で2回洗浄した (50mL x2)。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下濃縮することにより、粗成績体 (0.89 g) を無色粘性液体として得た。得られた粗成績体をカラムクロマトグラフィー(山善ハイフラッシュカラムM, 展開溶媒: n-ヘプタン/酢酸エチル = 100/0 →30/70) にて精製することにより、3-(4-アジドブトキシ)-2-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-2-メチルプロパン-1-オル Rf51 (720 mg, 4.3wt%酢酸エチル含む, 1.33 mmol) を無色液体として得た。(収率 84%)
ESI-MS (m/z): 542 [M + Na].
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ (ppm):7.43-7.41 (m, 2H), 7.32-7.16 (m, 7H), 6.84-6.81 (m, 4H), 3.79 (s, 6H),3.55-3.40 (m, 6H), 3.28-3.25 (m, 2H), 3.08 (q, J = 11.2 Hz, 2H), 1.63-1.57 (m,4H), 0.882 (s, 3H).
【0254】
工程34:
アルゴン雰囲気下、工程33で得られた化合物 Rf51(1.00 g, 1.92 mmol) を脱水塩化メチレン (10 mL) に溶かし、溶液を氷浴で冷却し (内温5℃)、2, 6-ルチジン (1.21 mL, 10.4 mmol) とトリフルオロメタンスルホン酸無水物 (0.39 ml, 2.31 mmol) を加えて氷浴で冷却しながら1時間撹拌した。氷水 (0.10 L) を加えクエンチし、酢酸エチル (0.20 L) で抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮することにより、粗成績体 (1.25 g) を赤色液体として得た。
粗成績体を脱水N, N-ジメチルホルムアミド (10 mL)に溶かし、18-crown-6 (1.22 g, 4.60 mmol)、p-トルエンチオスルホン酸カリウム (0.87 g, 3.84 mmol) 加えて密栓し、室温で20時間撹拌した。水 (0.10 L) を加えクエンチし、ヘプタン/酢酸エチル=1/1の溶媒で2回抽出した (0.15 L x 2)。有機層を水 (0.10 L) で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下濃縮することにより、粗成績体 (1.35 g) を得た。得られた粗成績体をカラムクロマトグラフィー (山善ハイフラッシュカラムL, 展開溶媒:n-ヘプタン/酢酸エチル = 100/0 → 80/20) にて精製することにより、S-(3-(4-アジドブトキシ)-2-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-2-メチルプロピル) 4-メチルベンゼンベンゼンスルフォノチオエイト Rf52 (1.07 g, 1.55 mmol) を黄色液体として得た。(2段階収率 81%)
ESI-MS (m/z): 未検出.
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ( ppm):7.78-7.75 (m, 2H), 7.38-7.33 (m, 2H), 7.29-7.18 (m, 9H), 6.85-6.78 (m, 4H),3.80 (s, 6H), 3.31 (t, J = 5.6 Hz, 2H), 3.25-3.17 (m, 4H), 3.70 (d, J = 2.0 Hz,2H), 2.88 (q, J = 8.8 Hz, 2H), 2.42 (s, 3H), 1.59-1.52 (m, 4H), 0.879 (s, 3H).
【0255】
工程35:
工程34で得られた化合物 Rf52 (1.05 g,1.52 mmol) と市販の3-メルカプトプロパン-1-オルRf13 (0.16 mL, 1.83 mmol) を用いて、参考例2の工程7-2と同様にして、3-((3-(4-アジドブトキシ)-2-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-2-メチルプロピル)ジスルファニル)プロパン-1-オル Rf53 (858 mg, 1.37 mmol) を無色液体として得た。(収率90%)
ESI-MS (m/z): 未検出.
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ (ppm):7.43-7.40 (m, 2H), 7.32-7.18 (m, 7H), 6.84-6.80 (m, 4H), 3.79 (s, 6H), 3.72 (q,J = 6.0 Hz, 2H), 3.39 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 3.34 (dd, J =5.6, 14.0 Hz, 2H), 3.26(t, J = 6.4 Hz, 2H), 2.97 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 2.91 (dd, J = 5.6, 18.0 Hz, 2H),2.75 (t, J = 8.8 Hz, 2H), 1.92 (quin, J = 5.6 Hz, 2H), 1.63-1.58 (m, 4H), 1.44(br, 1H), 0.999 (s, 3H).
【0256】
工程36:
工程35で得られた化合物 Rf53(300 mg, 0.480 mmol)を用いて、参考例2の工程8と同様にして、4-(3-((3-(4-アジドブトキシ)-2-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-2-メチルプロピル)ジスルファニル)プロポキシ)-4-オキソブタン酸トリエチルアミン塩 Rf54 (373 mg, 0.432 mmol) を無色液体として得た。(収率 90%)
ESI-MS (m/z): 725.0 [M-H].
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ (ppm):7.43-7.41 (m, 2H), 7.31-7.18 (m, 7H), 6.84-6.80 (m, 4H), 4.14 (t, 6.4 Hz, 2H),3.79 (s, 6H), 3.39-3.24 (m, 6H), 2.97 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 2.92-2.85 (m, 2H),2.69 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 2.61-2.50 (m, 4H), 1.98 (quin, J = 6.4 Hz, 2H),1.62-1.57 (m, 4H), 0.990 (s, 3H).
【0257】
参考例9
修飾CPG Rf59 の合成
【化56】
(式中、Poは前記と同義である。)
【0258】
工程37:
市販の3,6,9,12-テトラオキサペンタデカ-14-イン-1-アミン Rf55 (75.0 mg, 0.324 mmol) を脱水塩化メチレン (3.0 mL) に溶かし、クロロギ酸コレステロール Rf56 (582 mg,1.30 mmol) とトリエチルアミン (294 μL,2.11 mmol) を加えて密栓し、室温で2 時間10 分間撹拌した。反応液にメタノール (10 mL) を加え室温で5 分間撹拌することでクエンチし、減圧下濃縮することにより、粗成績体 (1.97 g) を得た。得られた粗成績体をカラムクロマトグラフィー (山善ハイフラッシュカラムM, 展開溶媒:n-ヘプタン/酢酸エチル = 100/0 → 60/40) にて精製することにより、(3S,8S,9S,10R,13R,14S,17R)-10,13-ジメチル-17-((R)-6-メチルヘプタン-2-イル)-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル (3,6,9,12-テトラオキサペンタデカ-14-イン-1-イル)カルバマート Rf57(129 mg, 0.201 mmol) を無色粘調性液体として得た。(収率 62%)
ESI-MS (m/z): 未検出.
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ (ppm):5.37 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 5.17 (br, 1H), 4.50 (br, 1H), 4.21 (d, J = 2.4 Hz,2H), 3.73-3.60 (m, 12H), 3.55 (t, J = 5.2 Hz, 2H), 3.36 (br, 2H), 2.43 (t, J =2.4 Hz, 1H), 2.39-2.24 (m, 2H), 2.04-1.78 (m, 5H), 1.59-0.939 (m, 21H), 1.00(s, 3H), 0.911 (d, J = 6.4 Hz, 3H), (dd, J = 2.0, 6.4 Hz, 6H), 0.675 (s,3H).
【0259】
工程38:
工程37で得られた化合物 Rf57 (73 mg,0.114 mmol) と参考例8で得られたカルボン酸トリエチルアミン塩 Rf54 (110 mg, 0.137 mmol) をメタノール (2.0 mL) に溶かし、トリス[(1-ベンジル-1H-1, 2, 3-トリアゾール-4-イル)メチル]アミン (TBTA) (12.0 mg, 0.023 mmol)、アスコルビン酸ナトリウム(4.50 mg, 0.023 mmol) 、硫酸銅 (II) (1.80 mg, 0.011 mmol) のジメチルスルホキシド/水=1/1 (2.0 mL) 溶液を加えて密栓し、室温で15分間撹拌した。メタノール (2 mL) 、水 (1 mL)、ジメチルスルホキシド (1 mL) を更に加え、10分間に1度超音波振動で不溶性物を懸濁させながら室温で1時間15分撹拌した。水 (50 mL)を加えクエンチし、塩化メチレンで2回抽出し (80 mLx2)、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下濃縮することにより、粗成績体 (548 mg) を得た。得られた粗成績体をカラムクロマトグラフィー (山善ハイフラッシュカラムM, 展開溶媒:クロロホルム (1% TEA)/メタノール = 100/0 → 85/15) にて精製した後、カラム取得物をアセトニトリルに溶解し凍結乾燥を行うことで、4-(3-((3-(ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)-2-((4-(4-(1-(((3S,8S,9S,10R,13R,14S,17R)-10,13-ジメチル-17-((R)-6-メチルヘプタン-2-イル)-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15, 16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル)オキシ)-1-オキソ-5,8,11,14-テトラオキサ-2-アザペンタデカン-15-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)ブトキシ)メチル)-2-メチルプロピル)ジスルファニル)プロポキシ)-4-オキソブタン酸 Rf58 (144 mg, 98.0 mmol) をトリエチルアミン3.8 wt%(0.55 eq.), ジメチルスルホキシド 3.2 wt% を含有する無色粘調性液体として得た。(収率 86%)
ESI-MS (m/z): 未検出.
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ (ppm):7.57 (s, 1H), 7.42-7.40 (m, 2H), 7.31-7.17 (m, 7H), 6.83-6.79 (m, 4H), 5.36 (d,J = 5.2 Hz, 1H), 5.25 (br, 1H), 4.69 (s, 2H), 4.49 (br, 1H), 4.15 (t, J = 6.4Hz, 2H), 3.79 (s, 6H), 3.71-3.59 (m, 12H), 3.55-3.53 (m, 2H), 3.40-3.36 (m,8H), 3.03-2.86 (m, 4H), 2.67 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 2.60 (s, 4H), 2.36-2.23 (m,2H), 2.02-1.78 (m, 9H), 1.60-0.852 (m, 24H), 0.997 (s, 6H), 0.911 (d, J = 6.4Hz, 3H), 0.863 (dd, J = 2.0, 6.8 Hz, 6H), 0.672 (s,3H).
【0260】
工程39:
工程38で得られた化合物 Rf58 (64 mg, 44 μmol) とCPG レジン (LCAAControlled Pore Glass, 1.10 g) を用いて、参考例2の工程9と同様にして修飾CPG Rf59 (1.05 g) を得た。得られたCPG レジンの一部分 (8.67 mg) を2 wt%トリクロロ酢酸-塩化メチレン溶液 (25mL) で処理し、吸光度を測定した。(Absorbance (503 nm) =1.065, Loading 40.4 μmol/g)。
【0261】
参考例10
ジペプチドアミダイト Rf65 の合成
【化57】
【0262】
市販のFmoc-Val-Cit-PAB[(9Hフルオレン-9-イル)メチル((S)-1-(((S)-1-((4-(ヒドロキシメチル)フェニル)アミノ)-1-オキソ-5-ウレイドペンタン-2-イル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)カルバマート] Rf60 を用いて、工程40は参考例1の工程1と同様の合成法により、工程41は有機合成化学で常用される方法[例えば、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス第3版 (Protective Groups in Organic Synthesis,third edition)、グリーン (T.W.Greene) 著、John Wiley&Sons Inc. (1999年) 等に記載の方法等]により、工程42はジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー (Journal ofMedicinal Chemistry), 第48巻,6229-6235頁、2005年に記載された方法あるいは、それに準じた合成法により、工程43は参考例1の工程2と同様の合成法により、ジペプチドアミダイト Rf65 は合成できる。
【0263】
実施例48
線状siRNA(化合物48)の合成
実施例1の工程2で得られた化合物Icと、別途、核酸合成装置により調製したオリゴヌクレオチドHPRT1_asRNA1を等量混合し、クエン酸緩衝液に溶解した後、85 ℃で5分間静置した。その後、徐々に温度を下げることで、化合物48を取得した。
【0264】
実施例49
線状siRNA(化合物49)の合成
実施例2 の工程2で得られた化合物2cと、別途、核酸合成装置により調製したオリゴヌクレオチドHPRT1_asRNA1 を用いて、実施例48と同様にして、化合物49を取得した。
【0265】
実施例50
線状siRNA(化合物50)の合成
実施例3 の工程2で得られた化合物3cと、別途、核酸合成装置により調製したオリゴヌクレオチドB2M_asRNA1 を用いて、実施例48と同様にして、化合物50を取得した。
【0266】
実施例51
擬似リンカー付き線状siRNA(化合物51)の合成
実施例6 の工程2で得られた化合物6cと、別途、核酸合成装置により調製したオリゴヌクレオチドHPRT1_asRNA5 を用いて、実施例48と同様にして、化合物51を取得した。
【0267】
実施例52
線状siRNA(化合物52)の合成
実施例7 の工程2で得られた化合物7cと、別途、核酸合成装置により調製したオリゴヌクレオチドPTEN_asRNA2 を用いて、実施例48と同様にして、化合物52を取得した。
【0268】
実施例53
線状siRNA(化合物53)の合成
実施例8 の工程2で得られた化合物8cと、別途、核酸合成装置により調製したオリゴヌクレオチドFactor9_asRNA2 を用いて、実施例48と同様にして、化合物53を取得した。
【0269】
実施例48~53のオリゴヌクレオチド誘導体および陰性対照群の塩基配列、およびその分子量を表20~23に示す。各実施例において、上段はセンス鎖を示し、下段はアンチセンス鎖を示す。
表20~23における略号等は以下のとおりである。
C6CSSC6 = CH3-(CH2)5-S-S-(CH2)6-
C3SSC3 = CH3-(CH2)2-S-S-(CH2)3-
p = リン酸化
^ = ホスホロチオエート修飾
m = 2’-OMe修飾
f = 2’-F修飾
【0270】
【0271】
【0272】
【0273】
【0274】
試験例1:ヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ1 (HPRT1) を標的とした環状siRNAのマウス初代肝細胞に対するmRNAノックダウン
ウイリアムイーメディウム (William's E Medium, no phenol red, Lifetechnologies社製, A1217601) 500 mL に添加剤 (Primary Hepatocyte Thawing and Plating Supplements, ThermoFisher社製, CM3000) を加えることでマウス初代肝細胞の播種用培地を調製した。また、Williams'Medium E (no phenol red) 500 mLに添加剤 (HepatocyteMatintenance Supprements, ThermoFisher社製, CM4000) を加えることでマウス初代肝細胞のインキュベーション用培地を調製した。
凍結市販マウス初代肝細胞(Mouse (CD-1) Cryopreserved Hepatocytes,Plateable Male, Invitrogen社製, MSCP10)を37℃の湯浴にて融解したのち、10 mL の播種用培地に懸濁した。懸濁した細胞を遠心、上清を除去した後、培地にて1.25×10
5 cells/mL になるように希釈した。
被験サンプルとしては化合物1および化合物2を用い、比較対照としてHPRT1_dsRNA1およびHPRT1_dsRNA2を設けた。最終濃度は1 μmol/L, 0.3 μmol/L,0.1 μmol/L, 0.03 μmol/Lの4点、N=3で実施した。
核酸複合体溶液の希釈については以下の手順で行った。核酸複合体溶液をオプティメム (Opti-MEM(R) IReduced Serum Medium, Life technologies社製, 31985-070)およびクエン酸緩衝液 (20 mM Citrate(pH7), 150 mM NaCl)で希釈した。CollagenI コート96 well 平底プレート(BD社製, 356407)に希釈した核酸複合体溶液を20 μLずつ添加し、陰性対照群には核酸の含まれない希釈溶液を20 μLずつ添加した。各wellに細胞溶液を80μL 添加し、37 ℃、5%CO
2条件下で24時間培養した後にRNA 抽出に供じた。
RNAを含む細胞溶解液の調製にはスーパープレップセルライシスキット (SuperPrep(登録商標) Cell Lysis & RT Kitfor qPCR, TOYOBO社製, SCQ-101)を用い、同キット付属のアールティーキット (RT Kit for qPCR)を用いてキットに添付された説明書に従って逆転写反応を行い、cDNAを作成した。
このcDNAをPCR反応の鋳型に用い、QuantStudio 12K Flex リアルタイムPCRシステム (アプライドバイオシステムズ社製)を用い、タックマンプローブ (Taqman probe)法によりHPRT1の遺伝子および対照としてActin β (以下ACTBと記載)の遺伝子をPCR反応させてmRNA増幅量をそれぞれ測定し、ACTBのmRNA増幅量を内部対照として、HPRT1のmRNAの準定量値を算出した。また、陰性対照群におけるHPRT1およびACTBのmRNA増幅量を同様にそれぞれ測定し、HPRT1のmRNAの準定量値を算出した。
HPRT1遺伝子の測定にはタックマンプローブMm0154399_m1(アプライドバイオシステムズ社製)を、ACTB遺伝子の測定にはMm00607939_s1 (アプライドバイオシステムズ社製)を用い、反応試薬にはTaqMan Gene Expression Master Mix (アプライドバイオシステムズ社製, 4369542)を用いて添付のプロトコルに従って実施した。
siRNA導入検体の標的mRNA量は、陰性対照群(siRNA未導入群)におけるHPRT1のmRNA量を1としたときの相対的な割合として算出した。そのmRNA量の相対的な割合を平均±標準偏差で表した結果を
図1に示す。
本結果から、被験サンプル(化合物1および化合物2)が比較対照 (HPRT1_dsRNA1およびHPRT1_dsRNA2)に比べ、強いノックダウン効果を示す事を確認した。
【0275】
試験例2:ベータ2-マクログロブリン (B2M) を標的とした環状siRNAのマウス初代肝細胞に対するmRNAノックダウン
ウイリアムイーメディウム (William's E Medium, no phenol red, Lifetechnologies社製, A1217601) 500 mL に添加剤 (Primary Hepatocyte Thawing and Plating Supplements, ThermoFisher社製, CM3000) を加えることでマウス初代肝細胞の播種用培地を調製した。また、ウイリアムイーメディウム500 mLに添加剤 (Hepatocyte MatintenanceSupprements , ThermoFisher社製, CM4000) を加えることでマウス初代肝細胞のインキュベーション用培地を調製した。
凍結市販マウス初代肝細胞(Mouse (CD-1) Cryopreserved Hepatocytes,Plateable Male, Invitrogen社製, MSCP10)を37℃の湯浴にて融解したのち、10 mL の播種用培地に懸濁した。懸濁した細胞を遠心、上清を除去した後、培地にて1.25×10
5 cells/mL になるように希釈した。
被験サンプルとしては化合物3を用い、比較対照としてB2M_dsRNAを設けた。最終濃度は1 μmol/L, 0.3 μmol/L,0.1 μmol/L, 0.03 μmol/Lの4点、N=3で実施した。
核酸複合体溶液の希釈については以下の手順で行った。核酸複合体溶液をオプティメム (Opti-MEM(R) IReduced Serum Medium, Life technologies社製, 31985-070)およびクエン酸緩衝液 (20 mM Citrate(pH7), 150 mM NaCl)で希釈した。CollagenI コート96 well 平底プレート(BD社製, 356407)に希釈した核酸複合体溶液を20 μLずつ添加し、陰性対照群には核酸の含まれない希釈溶液を20 μLずつ添加した。各wellに細胞溶液を80μL 添加し、37 ℃、5%CO
2条件下で6時間培養した。その後、上清を除去し、各ウェルに100 μLずつインキュベーション用培地を添加し、37 ℃、5%CO
2条件下で18時間培養後、RNA 抽出に供じた。
RNAを含む細胞溶解液の調製にはスーパープレップセルライシスキット (SuperPrep(登録商標) Cell Lysis & RT Kitfor qPCR, TOYOBO社製, SCQ-101)を用い、同キット付属のアールティーキット (RT Kit for qPCR)を用いてキットに添付された説明書に従って逆転写反応を行い、cDNAを作成した。
このcDNAをPCR反応の鋳型に用い、QuantStudio 12K Flex リアルタイムPCRシステム (アプライドバイオシステムズ社製)を用い、タックマンプローブ (Taqman probe)法によりB2Mの遺伝子および対照としてActin β (以下ACTBと記載)の遺伝子をPCR反応させてmRNA増幅量をそれぞれ測定し、ACTBのmRNA増幅量を内部対照として、B2MのmRNAの準定量値を算出した。また、陰性対照群におけるB2MおよびACTBのmRNA増幅量を同様にそれぞれ測定し、B2MのmRNAの準定量値を算出した。
B2M遺伝子の測定にはタックマンプローブMm00437762_m1(アプライドバイオシステムズ社製)を、ACTB遺伝子の測定にはMm00607939_s1 (アプライドバイオシステムズ社製)を用い、反応試薬にはTaqMan Gene Expression Master Mix (アプライドバイオシステムズ社製, 4369542)を用いて添付のプロトコルに従って実施した。
siRNA導入検体の標的mRNA量は、陰性対照群(siRNA未導入群)におけるB2MのmRNA量を1としたときの相対的な割合として算出した。そのmRNA量の相対的な割合を平均±標準偏差で表した結果を
図2に示す。
本結果から、被験サンプル化合物3が比較対照B2M_dsRNAに比べ、強いノックダウン効果を示す事を確認した。
【0276】
試験例3:ヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ1 (HPRT1) を標的とした環状siRNAのマウス初代肝細胞に対するmRNAノックダウン
ウイリアムイーメディウム (William's E Medium, no phenol red, Lifetechnologies社製, A1217601) 500 mL に添加剤 (Primary Hepatocyte Thawing and Plating Supplements , ThermoFisher社製, CM3000)を加えることでマウス初代肝細胞の播種用培地を調製した。また、ウイリアムイーメディウム 500 mLに添加剤 (Hepatocyte MatintenanceSupprements, ThermoFisher社製, CM4000) を加えることでマウス初代肝細胞のインキュベーション用培地を調製した。
凍結市販マウス初代肝細胞(Mouse (CD-1) Cryopreserved Hepatocytes,Plateable Male, Invitrogen社製, MSCP10)を37℃の湯浴にて融解したのち、10 mL の播種用培地に懸濁した。懸濁した細胞を遠心、上清を除去した後、培地にて1.25×10
5 cells/mL になるように希釈した。
被験サンプルとしては化合物4および化合物5を用い、比較対照としてHPRT1_dsRNA3およびHPRT1_dsRNA4を設けた。最終濃度は1 μmol/L, 0.3 μmol/L,0.1 μmol/L, 0.03 μmol/Lの4点、N=3で実施した。
核酸複合体溶液の希釈については以下の手順で行った。核酸複合体溶液をオプティメム (Opti-MEM(R) IReduced Serum Medium, Life technologies社製, 31985-070)およびクエン酸緩衝液 (20 mM Citrate(pH7), 150 mM NaCl)で希釈した。CollagenI コート96 well 平底プレート(BD社製, 356407)に希釈した核酸複合体溶液を20 μLずつ添加し、陰性対照群には核酸の含まれない希釈溶液を20 μLずつ添加した。各wellに細胞溶液を80μL 添加し、37 ℃、5%CO
2条件下で6時間培養した。その後、上清を除去し、各ウェルに100 μLずつインキュベーション用培地を添加し、37 ℃、5%CO
2条件下で18時間培養後、RNA 抽出に供じた。
RNAを含む細胞溶解液の調製にはスーパープレップセルライシスキット (SuperPrep(登録商標) Cell Lysis & RT Kitfor qPCR, TOYOBO社製, SCQ-101)を用い、同キット付属のアールティーキット (RT Kit for qPCR)を用いてキットに添付された説明書に従って逆転写反応を行い、cDNAを作成した。
このcDNAをPCR反応の鋳型に用い、QuantStudio 12K Flex リアルタイムPCRシステム (アプライドバイオシステムズ社製)を用い、タックマンプローブ (Taqman probe)法によりHPRT1の遺伝子および対照としてActin β (以下ACTBと記載)の遺伝子をPCR反応させてmRNA増幅量をそれぞれ測定し、ACTBのmRNA増幅量を内部対照として、HPRT1のmRNAの準定量値を算出した。また、陰性対照群におけるHPRT1およびACTBのmRNA増幅量を同様にそれぞれ測定し、HPRT1のmRNAの準定量値を算出した。
HPRT1遺伝子の測定にはタックマンプローブMm0154399_m1(アプライドバイオシステムズ社製)を、ACTB遺伝子の測定にはMm00607939_s1 (アプライドバイオシステムズ社製)を用い、反応試薬にはTaqMan Gene Expression Master Mix (アプライドバイオシステムズ社製, 4369542)を用いて添付のプロトコルに従って実施した。
siRNA導入検体の標的mRNA量は、陰性対照群(siRNA未導入群)におけるHPRT1のmRNA量を1としたときの相対的な割合として算出した。そのmRNA量の相対的な割合を平均±標準偏差で表した結果を
図3に示す。
本結果から、被験サンプル(化合物3および化合物4) が比較対照 (HPRT1_dsRNA3 およびHPRT1_dsRNA4)に比べ、強いノックダウン効果を示す事を確認した。
【0277】
試験例4:ヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ1 (HPRT1) を標的とした環状siRNAのマウス初代肝細胞に対するmRNAノックダウン
被検サンプルを化合物6に変更し、比較対照をHPRT1_dsRNA5に変更した以外、試験例3と同様の手法で実施した。試験結果を
図4に示す。
本結果から、被験サンプル(化合物6) が比較対照 (HPRT1_dsRNA5)に比べ、強いノックダウン効果を示す事を確認した。
【0278】
試験例5:ヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ1 (HPRT1) を標的とした環状siRNAのヒーラ (HeLa) 細胞に対するmRNAノックダウン
ヒーラ (HeLa) 細胞を10%ウシ胎児血清含有アールピーエムアイ1640培地 (RPMI1640 Medium, Life technologies,A10491-01) 中に懸濁し、1ウェルあたり2000~3000細胞になるよう100 μLの細胞懸濁液を培養プレート(Nunc96マイクロウェルプレート, 167008) の各ウェルに播種し37 ℃、5%CO
2条件下で24時間培養した。
被験サンプルとしては化合物6を用い、比較対照としてHPRT1_dsRNA5を設けた。最終濃度は1 μmol/L, 0.3 μmol/L,0.1 μmol/L, 0.03 μmol/Lの4点、N=3で実施した。核酸複合体溶液の希釈については以下の手順で行った。核酸複合体溶液をオプティメム (Opti-MEM(R) I Reduced Serum Medium, Life technologies社製, 31985-070)およびクエン酸緩衝液 (20 mM Citrate(pH7),150 mM NaCl)で希釈した。
細胞が培養されているプレートから上清を除去し、80 μLの血清含有培地を添加した。さらに核酸複合体溶液を20 μLずつ添加し、陰性対照群には核酸の含まれない希釈溶液を20 μLずつ添加した。その後、37 ℃、5%CO
2条件下で96時間培養した。
RNAの回収、cDNAの調製については試験例1と同様の手法で実施した。得られたcDNAをPCR反応の鋳型に用い、QuantStudio 12K Flex リアルタイムPCRシステム (アプライドバイオシステムズ社製)を用い、タックマンプローブ (Taqman probe)法によりHPRT1の遺伝子および対照としてActin β (以下ACTBと記載)の遺伝子をPCR反応させてmRNA増幅量をそれぞれ測定し、ACTBのmRNA増幅量を内部対照として、HPRT1のmRNAの準定量値を算出した。また、陰性対照群におけるHPRT1およびACTBのmRNA増幅量を同様にそれぞれ測定し、HPRT1のmRNAの準定量値を算出した。
HPRT1遺伝子の測定にはタックマンプローブHs02800695_m1(アプライドバイオシステムズ社製)を、ACTB遺伝子の測定にはHs01060665_g1 (アプライドバイオシステムズ社製)を用い、反応試薬にはTaqMan Gene Expression Master Mix (アプライドバイオシステムズ社製, 4369542)を用いて添付のプロトコルに従って実施した。
siRNA導入検体の標的mRNA量は、陰性対照群(siRNA未導入群)におけるHPRT1のmRNA量を1としたときの相対的な割合として算出した。そのmRNA量の相対的な割合を平均±標準偏差で表した結果を
図5に示す。
本結果から、被験サンプル(化合物6) が比較対照 (HPRT1_dsRNA5)に比べ、強いノックダウン効果を示す事を確認した。
【0279】
試験例6:ヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ1 (HPRT1) を標的とした環状siRNAのヒト肝がん由来細胞ヘップジーツー (HepG2) 細胞に対するmRNAノックダウン
ヘップジーツー (HepG2) 細胞を10%ウシ胎児血清含有メム培地 (MEM, Gibco, 11095-080) 中に懸濁し、1ウェルあたり2000~3000細胞になるよう100 μLの細胞懸濁液を培養プレート(Nunc 96マイクロウェルプレート, 167008) の各ウェルに播種し37 ℃、5%CO
2条件下で24時間培養した。
核酸の添加、RNAの回収、cDNAの調製については試験例5と同様の手法で実施した。得られたcDNAをPCR反応の鋳型に用い、QuantStudio 12K Flex リアルタイムPCRシステム (アプライドバイオシステムズ社製)を用い、タックマンプローブ (Taqman probe)法によりHPRT1の遺伝子および対照としてギャップディーエイチ (GAPDH) の遺伝子をPCR反応させてmRNA増幅量をそれぞれ測定し、GAPDHのmRNA増幅量を内部対照として、HPRT1のmRNAの準定量値を算出した。また、陰性対照群におけるHPRT1およびGAPDHのmRNA増幅量を同様にそれぞれ測定し、HPRT1のmRNAの準定量値を算出した。
HPRT1遺伝子の測定にはタックマンプローブHs02800695_m1(アプライドバイオシステムズ社製)を、GAPDH遺伝子の測定にはHs02758991_g1 (アプライドバイオシステムズ社製) を用い、反応試薬にはTaqMan Gene Expression Master Mix (アプライドバイオシステムズ社製, 4369542) を用いて添付のプロトコルに従って実施した。
siRNA導入検体の標的mRNA量は、陰性対照群(siRNA未導入群)におけるHPRT1のmRNA量を1としたときの相対的な割合として算出した。そのmRNA量の相対的な割合を平均±標準偏差で表した結果を
図6に示す。
本結果から、被験サンプル(化合物6) が比較対照 (HPRT1_dsRNA5)に比べ、強いノックダウン効果を示す事を確認した。
【0280】
試験例7:ヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ1 (HPRT1) を標的とした環状siRNAのヒト肝がん由来細胞ヒューイエイチセブン (HuH-7) 細胞に対するmRNAノックダウン
ヒューイエイチセブン (HuH-7) 細胞を10%ウシ胎児血清含有ディーメム培地 (DMEM (Higl-Glc), nacalai tesque, 08458-16) 中に懸濁し、1ウェルあたり2000~3000細胞になるよう100 μLの細胞懸濁液を培養プレート(Nunc96マイクロウェルプレート, 167008) の各ウェルに播種し37 ℃、5%CO
2条件下で24時間培養した。
核酸の添加、RNAの回収、cDNAの調製、PCR反応については試験例6と同様の手法で実施した。試験結果を
図7に示す。
本結果から、被験サンプル(化合物6) が比較対照 (HPRT1_dsRNA5)に比べ、強いノックダウン効果を示す事を確認した。
【0281】
試験例8:ヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ1 (HPRT1) を標的とした環状siRNAのマウスマクロファージ様細胞ロー264.7 (RAW264.7) 細胞に対するmRNAノックダウン
ロー264.7 (RAW264.7) 細胞を10%ウシ胎児血清含有アールピーエムアイ1640培地 (RPMI1640 Medium, Life technologies,A10491-01) 中に懸濁し、1ウェルあたり2000~3000細胞になるよう100 μLの細胞懸濁液を培養プレート(Nunc96マイクロウェルプレート, 167008) の各ウェルに播種し37 ℃、5%CO
2条件下で24時間培養した。
核酸の添加、RNAの回収、cDNAの調製については試験例6と同様の手法で実施した。得られたcDNAをPCR反応の鋳型に用い、QuantStudio 12K Flex リアルタイムPCRシステム (アプライドバイオシステムズ社製)を用い、タックマンプローブ (Taqman probe)法によりHPRT1の遺伝子および対照としてビーツーエム (B2M) の遺伝子をPCR反応させてmRNA増幅量をそれぞれ測定し、B2MのmRNA増幅量を内部対照として、HPRT1のmRNAの準定量値を算出した。また、陰性対照群におけるHPRT1およびB2MのmRNA増幅量を同様にそれぞれ測定し、HPRT1のmRNAの準定量値を算出した。
HPRT1遺伝子の測定にはタックマンプローブMm01545399_m1(アプライドバイオシステムズ社製)を、B2M遺伝子の測定にはMm00437762_m1 (アプライドバイオシステムズ社製) を用い、反応試薬にはTaqMan Gene Expression Master Mix (アプライドバイオシステムズ社製, 4369542) を用いて添付のプロトコルに従って実施した。
siRNA導入検体の標的mRNA量は、陰性対照群(siRNA未導入群)におけるHPRT1のmRNA量を1としたときの相対的な割合として算出した。そのmRNA量の相対的な割合を平均±標準偏差で表した結果を
図8に示す。
本結果から、被験サンプル(化合物6) が比較対照 (HPRT1_dsRNA5)に比べ、強いノックダウン効果を示す事を確認した。
【0282】
試験例9:血清中での核酸の安定性評価
クエン酸緩衝液 (20 mM Citrate(pH7), 150 mM NaCl) で100 μMに調製された核酸溶液とラット血清 (Cedarlane, CL7000-50) を1対9の割合で混合し、37 ℃で所定時間静置した。
得られたサンプルより、タックマンマイクロアールエヌエーリバーストランスクリプションキット (TaqManMicroRNA Reverse Transcription Kit, Life technologies, 4366596) に添付のプロトコルに従ってsiRNAのアンチセンス鎖に相補的なcDNAを調製した(RTプライマー配列:GTCGTATCCAGTGCAGGGTCCGAGGTATTCGCACTGGATACGACTCCTATGTCTG 配列番号:71)。このcDNAをPCR反応の鋳型に用い、QuantStudio 12K Flex リアルタイムPCRシステム (アプライドバイオシステムズ社製) を用い、タックマンプローブ (Taqman probe) 法により血清中に残存するsiRNAアンチセンス鎖の残存量を算出した(フォワードプライマー配列:CGCGCGCGATAAAATCTACAG 配列番号:72、リバースプライマー配列:GTGCAGGGTCCGAGGT 配列番号:73、タックマンプローブ配列:CTGGATACGACTCCTA 配列番号:74)。血清との相互作用開始時の濃度を100%とし所定時間静置後の残存率について、相対的な割合を平均±標準偏差で表した結果を
図9に示す。
血清との相互作用28日後におけるアンチセンス鎖の残存率は、対照サンプルであるHPRT1_dsRNA5と比較し被験サンプルの化合物6の方が多く、血清中での安定性が向上したことが確認された。
【0283】
試験例10:核酸分解酵素中での核酸の安定性評価
核酸分解酵素 (Phosphodiesterase I from Crotalus adamanteusvenom, Sigme-Aldrich, P3243-1VL)を反応用バッファー (50 mMTris/HCl, pH7.5, 8 mM MgCl
2)で溶解し1.2 U/mLに調製した。クエン酸緩衝液 (20 mM Citrate(pH7), 150 mM NaCl) で20 μMに調製された核酸溶液と反応用バッファーで100倍希釈した核酸分解酵素溶液を1対9の割合で混合し、所定時間37℃で静置した。その後、95℃で10分間加熱し、反応を終了させた。
cDNAの調製、PCR反応については、試験例9と同様の手法により実施し、核酸分解酵素との相互作用開始時の濃度を100%とし所定時間静置後のアンチセンス鎖の残存率について、相対的な割合を平均±標準偏差で表した結果を
図10に示す。
核酸分解酵素との相互作用24時間後におけるアンチセンス鎖の残存率は、対照サンプルである線状オリゴHPRT1_dsRNA5と比較し被験サンプルの化合物6の方が多く、核酸分解酵素中での安定性が高いことが確認された。
【0284】
試験例11:ホスファターゼ アンド テンシン ホモログ デリーテド フロム クロモソーム10 (PTEN)およびファクター9(Factor9)を標的とした環状siRNAのマウス初代肝細胞に対するmRNAノックダウン
被検サンプルを化合物7および化合物8に、陰性対照群をPTEN_dsRNA1およびFactor9_dsRNA1に変更した以外、試験例3と同様の手法で実施した。試験結果を
図11に示す。
【0285】
試験例12:ヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ1 (HPRT1) を標的とした環状siRNAのヒーラ (HeLa) 細胞に対するmRNAノックダウン2
被検サンプルを化合物9~26、28~35、38、39、41~44、および47に変更した以外、試験例5と同様の手法で実施した。試験結果を
図12~18に示す。
【0286】
試験例13:ヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ1 (HPRT1) を標的とした化合物48および49のマウス初代肝細胞に対するmRNAノックダウン
被験サンプルを化合物48および49に変更した以外、試験例1と同様の手法で実施した。試験結果を
図19に示す。
【0287】
試験例14:ベータ2-マクログロブリン (B2M) を標的とした化合物50のマウス初代肝細胞に対するmRNAノックダウン
被験サンプルを化合物50に変更した以外、試験例2と同様の手法で実施した。試験結果を
図20に示す。
【0288】
試験例15:ヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ1 (HPRT1) を標的とした化合物51のヒーラ (HeLa) 細胞に対するmRNAノックダウン
被検サンプルを化合物51に変更した以外、試験例5と同様の手法で実施した。試験結果を
図21に示す。
【0289】
試験例16:ホスファターゼ アンド テンシン ホモログ デリーテド フロム クロモソーム10 (PTEN)を標的とした化合物52およびファクター9(Factor9)を標的とした化合物53のマウス初代肝細胞に対するmRNAノックダウン
被検サンプルを化合物52および化合物53に変更した以外、試験例3と同様の手法で実施した。試験結果を
図22に示す。
【0290】
試験例17:HPRT1を標的とした環状siRNAのin vivoマウスmRNAノックダウン試験
実施例6で合成した化合物6およびその陰性対照であるHPRT1_dsRNA5について、以下の方法によりin vivo評価試験を実施した。なお、各合成核酸は、試験に合わせてリン酸緩衝化生理食塩水 (DPBS) (ナカライテスク社製)で希釈して用いた。マウス (BALB/cA、日本クレアより入手)を馴化飼育後、各核酸を20 mg/kgまたは5 mg/kgずつマウスに静脈内投与した。また、コントロール群としてはDPBSのみをマウスに静脈内投与した。投与から3日後に動物を安楽死させ、大腿四頭筋および肝臓を採取し液体窒素で凍結保存した。各凍結サンプルをトリゾール (登録商標)アールエヌエーアイソレーションリージェンツ(TRIzol RNA isolation reagents) (ライフテクノロジーズ社(LifeTechnologies)社製、カタログ番号15596026)およびマグナピュア96 (MagNA Pure 96) (ロシュ・ライフサイエンス社製)を用い、製品に添付された説明書に記載された方法に従い、全RNAの回収を行った。さらにトランスクリプターファーストストランドシーディーエヌエーシンセシスキット (transcriptor first strand cdna synthesis kit, ロシュ社(Roche社)製、カタログ番号04897030001)を用いて、製品に添付された説明書に記載された方法に従い、得られた全RNAを鋳型とする逆転写反応によるcDNAの作製を行った。
得られたcDNAを鋳型とし、タックマン(登録商標)ジーンエクスプレッションアッセイズプローブ (Gene ExpressionAssay’s probe, アプライドバイオシステムズ社製)をプローブとして、クオントスタジオ12ケーフレックスリアルタイムピーシーアールシステム(quantstudio 12kflex real-time PCR system, ABI社製)を用い、添付された使用説明書に記載された方法に従ってPCR反応させることにより、HPRT1遺伝子およびGAPDH遺伝子をPCR反応させてmRNA増幅量をそれぞれ測定し、GAPDHの増幅量を内部対照として、HPRT1のmRNAの準定量値を算出した。同様に測定したコントロール群におけるHPRT1のmRNAの準定量値を1として、各合成核酸投与群のHPRT1のmRNAの準定量値から、各合成核酸投与群のHprtのmRNAの発現率を求めた。得られたHPRT1のmRNAの発現抑制率を表24に示す。
【0291】
【0292】
表24から明らかなように、本発明の化合物は、大腿四頭筋および肝臓におけるHPRT1遺伝子の発現を、HPRT1_dsRNA5に比べて強く抑制した。
【産業上の利用可能性】
【0293】
本発明のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩を、哺乳動物に投与して、生体内において、各種関連する疾患を治療することができる。
【配列表フリーテキスト】
【0294】
配列番号1:表7および20の陰性対照群1および2におけるHPRT1_ssRNA1。
配列番号2:表8の陰性対照群4におけるHPRT1_ssRNA2。
配列番号3:表8、18および22の陰性対照群6におけるHPRT1_ssRNA3。
配列番号4:表12の陰性対照群9におけるHPRT1_ssRNA4。
配列番号5:表20の実施例48におけるHPRT1_ssRNA5。
配列番号6:表20の実施例49におけるHPRT1_ssRNA6。
配列番号7:表22の実施例51におけるHPRT1_ssRNA7。
配列番号8:表7、17および20の陰性対照群1ならびに実施例1、2、45、48および49におけるHPRT1_asRNA1。
配列番号9:表7の陰性対照群2におけるHPRT1_asRNA2。
配列番号10:表8の陰性対照群4ならびに実施例4および5におけるHPRT1_asRNA3。
配列番号11:表8の陰性対照群5におけるHPRT1_asRNA4。
配列番号12:表8、11~19および22の陰性対照群6および9ならびに実施例6、9~44、46、47および51におけるHPRT1_asRNA5。
配列番号13:表7および11~13の実施例1、10、11および18~24におけるHPRT1_csRNA1。
配列番号14:表7および13~15の実施例2、12、13、25、26、32、35、38、39、41および44におけるHPRT1_csRNA2。
配列番号15:表8および15~17の実施例4、27~34、36、42および43におけるHPRT1_csRNA3。
配列番号16:表8および17~19の実施例5、37、40および45~47におけるHPRT1_csRNA4。
配列番号17:表8の実施例6におけるHPRT1_csRNA5。
配列番号18:表11の実施例9におけるHPRT1_csRNA6。
配列番号19:表11の実施例14におけるHPRT1_csRNA7。
配列番号20:表11の実施例15におけるHPRT1_csRNA8。
配列番号21:表11の実施例16におけるHPRT1_csRNA9。
配列番号22:表11の実施例17におけるHPRT1_csRNA10。
配列番号23:表11の実施例19におけるHPRT1_csRNA11。
配列番号24:表11の実施例20におけるHPRT1_csRNA12。
配列番号25:表11の実施例21におけるHPRT1_csRNA13。
配列番号26:表11の実施例22におけるHPRT1_csRNA14。
配列番号27:表12の実施例10におけるHPRT1_csRNA15。
配列番号28:表12の実施例11におけるHPRT1_csRNA16。
配列番号29:表12の実施例18におけるHPRT1_csRNA17。
配列番号30:表12の実施例23におけるHPRT1_csRNA18。
配列番号31:表13の実施例24におけるHPRT1_csRNA19。
配列番号32:表13の実施例25におけるHPRT1_csRNA20。
配列番号33:表13の実施例26におけるHPRT1_csRNA21。
配列番号34:表13の実施例35におけるHPRT1_csRNA22。
配列番号35:表14の実施例12におけるHPRT1_csRNA23。
配列番号36:表14の実施例13におけるHPRT1_csRNA24。
配列番号37:表14の実施例32におけるHPRT1_csRNA25。
配列番号38:表14の実施例41におけるHPRT1_csRNA26。
配列番号39:表14の実施例44におけるHPRT1_csRNA27。
配列番号40:表15の実施例38におけるHPRT1_csRNA28。
配列番号41:表15の実施例39におけるHPRT1_csRNA29。
配列番号42:表15の実施例42におけるHPRT1_csRNA30。
配列番号43:表15の実施例43におけるHPRT1_csRNA31。
配列番号44:表16の実施例28におけるHPRT1_csRNA32。
配列番号45:表16の実施例29におけるHPRT1_csRNA33。
配列番号46:表16の実施例30におけるHPRT1_csRNA34。
配列番号47:表16の実施例31におけるHPRT1_csRNA35。
配列番号48:表16の実施例33におけるHPRT1_csRNA36。
配列番号49:表16の実施例34におけるHPRT1_csRNA37。
配列番号50:表17の実施例27におけるHPRT1_csRNA38。
配列番号51:表17の実施例36におけるHPRT1_csRNA39。
配列番号52:表17の実施例37におけるHPRT1_csRNA40。
配列番号53:表17の実施例45におけるHPRT1_csRNA41。
配列番号54:表18の実施例47におけるHPRT1_csRNA42。
配列番号55:表19の実施例40におけるHPRT1_csRNA43。
配列番号56:表19の実施例46におけるHPRT1_csRNA44。
配列番号57:表10および23の陰性対照群7におけるPTEN_ssRNA1。
配列番号58:表23の実施例52におけるPTEN_ssRNA2。
配列番号59:表10および23の陰性対照群7におけるPTEN_asRNA1。
配列番号60:表10および23の実施例7および52におけるPTEN_asRNA2。
配列番号61:表10の実施例7におけるPTEN_csRNA1。
配列番号62:表10および23の陰性対照群8におけるFactor9_ssRNA1。
配列番号63:表23の実施例53におけるFactor9_ssRNA2。
配列番号64:表10および23の陰性対照群8におけるFactor9_asRNA1。
配列番号65:表10および23の実施例8および53におけるFactor9_asRNA2。
配列番号66:表10の実施例8におけるFactor9_csRNA1。
配列番号67:表7および21の陰性対照群3におけるB2M_ssRNA1。
配列番号68:表21の実施例50におけるB2M_ssRNA2。
配列番号69:表7および21の陰性対照群3ならびに実施例3および50におけるB2M_asRNA1。
配列番号70:表7の実施例3におけるB2M_csRNA1。
配列番号71:試験例9におけるRTプライマー。
配列番号72:試験例9におけるフォワードプライマー。
配列番号73:試験例9におけるリバースプライマー。
配列番号74:試験例9におけるタックマンプローブ。
【配列表】