(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-11
(45)【発行日】2024-12-19
(54)【発明の名称】AEセンサを有する構造体
(51)【国際特許分類】
E04B 1/72 20060101AFI20241212BHJP
G01N 29/14 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
E04B1/72
G01N29/14
(21)【出願番号】P 2020206599
(22)【出願日】2020-12-14
【審査請求日】2023-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】馬場 祐
(72)【発明者】
【氏名】高橋 一聡
(72)【発明者】
【氏名】山下 光貞
(72)【発明者】
【氏名】簗瀬 佳之
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-300151(JP,A)
【文献】特開2005-023593(JP,A)
【文献】米国特許第04809554(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0104715(US,A1)
【文献】藤井義久,アコースティック・エミッション(AE)によるシロアリ食害の検出,環動昆,日本,日本環境動物昆虫学会,2001年,第12巻第1号,p.26
【文献】簗瀬佳之,木造建築物におけるシロアリ食害の非破壊検出のためのアコースティック・エミッションおよびガスモニタリング法の開発,しろあり,日本,日本しろあり対策協会,2013年07月,No.160,p.2
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/00-1/36
E04B 1/62-1/99
G01N 29/00-29/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に沿って延びる天面を有する立上りを備えた基礎と、
上記天面が延びる延出方向に沿って延びており、当該天面の上方に位置する木製の構造材と、
上記構造材の側面に主面が当接しており、上記延出方向に沿って延びる第1の金属板と、
上記構造材の上記側面に主面が当接しており、上記第1の金属板と上記延出方向に並んでおり、上記延出方向へ延びる第2の金属板と、
上記第1の金属板及び上記第2の金属板とそれぞれ当接する金属製の第1の接続板と、
上記第1の金属板、上記第2の金属板、或いは上記第1の接続板のいずれか1つに取り付けられたAEセンサと、を備えた構造体。
【請求項2】
上記第1の接続板は、上記第1の金属板及び上記第2の金属板よりも上記構造材から離れた位置にあり、
上記第1の接続板の主面は、上記第1の金属板及び上記第2の金属板の主面に当接している請求項1に記載の構造体。
【請求項3】
上記第1の金属板を貫通して上記構造材へ貫入する金属製の第1の棒材と、
上記第2の金属板を貫通して上記構造材へ貫入する金属製の第2の棒材と、
上記第1の金属板及び上記第1の接続板を貫通する金属製の第3の棒材と、
上記第2の金属板及び上記第1の接続板を貫通する金属製の第4の棒材と、をさらに備える、請求項2に記載の構造体。
【請求項4】
上記第1の金属板と上記第2の金属板とは、上記延出方向において隙間を空けて並んでいる、請求項1から3のいずれかに記載の構造体。
【請求項5】
上記構造材の上記側面に主面が当接しており、上記第2の金属板と上記延出方向に並んでおり、上記延出方向に延びる第3の金属板と、
上記第2の金属板及び上記第3の金属板とそれぞれ当接する金属製の第2の接続板と、をさらに備えており、
上記AEセンサは、上記第2の金属板に取り付けられた請求項1から4のいずれかに記載の構造体。
【請求項6】
上下方向に延びており、上記延出方向に並ぶ上記第1の金属板と上記第2の金属板との間
の側方に位置する柱材をさらに備えており、
上記第1の金属板の端部及び上記第2の金属板の端部は、上記柱材の側面にそれぞれ当接しており、
上記第1の接続板は、上記柱材の側方に位置する請求項1から5のいずれかに記載の構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、白蟻による構造材の食害を検知するAEセンサを有する構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、白蟻が木材を齧るアコースティックエミッション波(以下、「AE波」とも称する。)を検知するAEセンサを備えた基礎構造体を開示する。AEセンサは、木材の側面に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
白蟻が木材を齧ることによって生じるAE波は微弱であるため、木材により伝達される範囲は広くない。したがって、AE波が伝達される範囲毎にAEセンサが木材に取り付けられて、AE波が検知されない範囲が生じないようにすることとなる。しかしながら、取り付けるAEセンサの個数が増えると、コストも増加するという問題がある。
【0005】
上記問題に対して、本発明者らは、長尺の金属板を木材に取り付け、この金属板にAEセンサを取り付けることにより、金属板を通じて伝達されるAE波をAEセンサによって検知することを考案した。金属板がAE波を伝達する範囲は木材よりも広いので、AEセンサの取り付け個数を減らす効果が期待される。各金属板は、例えば土台に沿って設けられることとなるので、1枚の金属板が長尺であるほど、全体のAEセンサの個数を抑えることができる。他方、AEセンサがAE波を検知可能な最大長さまで金属板を長くすると、金属板の運搬や取り扱いが難しくなる。また、金属板の長さと木材の長さ等とが対応していないと、いわゆる納まりが悪くなり、現場において金属板の加工が必要となる。
【0006】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、AEセンサの個数の増加を抑えつつ、金属板の取り扱いを容易にする手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 本発明に係る構造体は、水平方向に沿って延びる天面を有する立上りを備えた基礎と、上記天面が延びる延出方向に沿って延びており、当該天面の上方に位置する木製の構造材と、上記構造材の側面に主面が当接しており、上記延出方向に沿って延びる第1の金属板と、上記構造材の上記側面に主面が当接しており、上記第1の金属板と上記延出方向に並んでおり、上記延出方向へ延びる第2の金属板と、上記第1の金属板及び上記第2の金属板とそれぞれ当接する金属製の第1の接続板と、上記第1の金属板、上記第2の金属板、或いは上記第1の接続板のいずれか1つに取り付けられたAEセンサと、を備える。
【0008】
第1の金属板及び第2の金属板の長さは、運搬や取り扱いが容易な長さや、納まりが良い長さに設定される。そして、第1の金属板又は第2の金属板へ構造材から伝わったAE波は、第1の金属板、第2の金属板、或いは第1の接続板、またはこれらを介して、AEセンサに伝達し、AEセンサに検知される。したがって、各金属板のそれぞれにAEセンサを取り付けなくてもよい。
【0009】
(2) 上記第1の接続板は、上記第1の金属板及び上記第2の金属板よりも上記構造材から離れた位置にあり、上記第1の接続板の主面は、上記第1の金属板及び上記第2の金属板の主面に当接していてもよい。
【0010】
構造材から第1の金属板及び第2の金属板へAE波が伝わりやすい。
【0011】
(3) 本発明に係る構造体は、上記第1の金属板を貫通して上記構造材へ貫入する金属製の第1の棒材と、上記第2の金属板を貫通して上記構造材へ貫入する金属製の第2の棒材と、上記第1の金属板及び上記第1の接続板を貫通する金属製の第3の棒材と、上記第2の金属板及び上記第1の接続板を貫通する金属製の第4の棒材と、をさらに備えていてもよい。
【0012】
第1の棒材及び第2の棒材を通じて、構造材から各金属板へAE波が伝達される。また、第3の棒材及び第4の棒材により、第1の金属板及び第2の金属板と、第1の接続板とが確実に当接される。
【0013】
(4) 上記第1の金属板と上記第2の金属板とは、上記延出方向において隙間を空けて並んでいてもよい。
【0014】
上記構成によれば、第1の金属板や第2の金属板の取付位置が延出方向に位置ずれしたとしても、第1の金属板と第2の金属板とが干渉して互いに他方の取付を阻害することがない。
【0015】
(5) 本発明に係る構造体は、上記構造材の上記側面に主面が当接しており、上記第2の金属板と上記延出方向に並んでおり、上記延出方向に延びる第3の金属板と、上記第2の金属板及び上記第3の金属板とそれぞれ当接する金属製の第2の接続板と、をさらに備えており、上記AEセンサは、上記第2の金属板に取り付けられていてもよい。
【0016】
3つの金属板のすべてにAEセンサを取り付けなくても、3つの金属板に伝わったAE波を検知することができる。
【0017】
(6) 本発明に係る構造材は、上下方向に延びており、上記延出方向に並ぶ上記第1の金属板と上記第2の金属板との間に位置する柱材をさらに備えており、上記第1の接続板は、上記柱材の側方に位置していてもよい。
【0018】
柱材の両側において、AEセンサにAE波を検知させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る構造体は、AEセンサの個数の増加を抑えつつ、金属板の取り扱いを容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、基礎構造体10の一部の斜視図である。
【
図3】
図3は、構造材70、第1柱21、第2柱22、金属板30、及び接続板60の水平断面図である。
【
図4】
図4は、端末装置50の機能ブロック図である。
【
図5】
図5は、変形例に係る構造材70、金属板30、及び接続板60の側面図である。
【
図6】
図6(A)は、変形例6に係る構造体10の側面図であり、
図6(B)は、変形例6に係る構造体の垂直断面図あり、
図6(C)は、変形例7に係る構造体10の垂直断面図であり、
図6(D)、(E)は、変形例8に係る構造体10の水平断面図であり、
図6(F)は、変形例9に係る構造体10側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は、本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0022】
図1は、本実施形態に係る構造体10の一部の斜視図である。構造体10は、布基礎11と、柱脚23と、第1柱21、第2柱22、及び第3柱24と、構造材70と、金属板30と、接続板60と、AEセンサ40と、を備える。なお、構造体10は、布基礎11に代えて、べた基礎を備えていてもよい。布基礎11は、基礎の一例である。
【0023】
布基礎11は、フーチング12と、立上り13と、複数のアンカーボルト14(
図2)と、を備える。フーチング12は、地中に埋設されている。立上り13は、フーチング12から上向きに突出している。すなわち、立上り13は、地面から上向きに突出している。そして、立上り13の天面15は、水平方向に沿って延びている。以下では、天面15が延びる方向を延出方向9と記載して説明する。
【0024】
アンカーボルト14は、布基礎11に埋設された不図示の埋設体と、埋設体から上向きに突出するボルトと、を有する。当該ボルトの上端部は、立上り13の天面15から上向きに突出している。アンカーボルト14と、アンカーボルト14に締結されたナット19(
図2)とは、後述の柱脚23を固定する。
【0025】
作業者は、例えば、地面に設けた溝に砕石を敷設した後、捨てコンクリートを当該溝内に打設し、次いで当該溝に沿って型枠を設置するとともに、型枠に保持させて鉄筋及びアンカーボルト14を設置した後、型枠内に生コンクリートを流し込んで布基礎11を打設する。
【0026】
柱脚23は、第1柱21を固定する部材である。
図2に示される柱脚23は、金属製であり、下フランジ26、上フランジ27、ウェブ28、及び不図示の取付片を有する。下フランジ26及び上フランジ27は、主面が水平方向に沿う矩形板状である。ウェブ28は、主面が上下方向に沿う矩形板状であって、下端において下フランジ26と接続され、上端において上フランジ27と接続されている。下フランジ26は、アンカーボルト14が挿通される不図示のボルト孔を有する。
【0027】
作業者は、下フランジ26のボルト孔にアンカーボルト14を挿通させて柱脚23を立上り13の天面15に載置した後、アンカーボルト14にナット19を締結して、柱脚23を布基礎11に固定する。第1柱21の個数に合わせた個数の柱脚23が布基礎11に固定されている。
【0028】
柱脚23の取付片は、上フランジ27の上面から上向きに突出している。取付片は、第1柱21の下端部に設けられた不図示の嵌入溝に嵌入される。また、取付片は、ドリフトピン18が挿通される不図示のピン孔を有している。
【0029】
第1柱21は、木製であり、かつ、上下方向に延びる角柱状である。第1柱21は、例えば矩形板状の複数の板材を接着することによって製造される。第1柱21は、柱脚23の取付片が嵌入される嵌入溝を下端部に有する。また、ドリフトピン18が挿通される不図示のドリフトピン孔を下端部に有する。ドリフトピン孔は、水平方向において第1柱21の下端部を貫通している。
【0030】
作業者は、第1柱21の嵌入溝に柱脚23の取付片を嵌入させて第1柱21を柱脚23の上フランジ27に載置した後、ドリフトピン18をドリフトピン孔及び柱脚23の取付片のピン孔に挿通し、第1柱21を柱脚23に固定する。すなわち、第1柱21は、柱脚23を介して布基礎11に固定されている。
【0031】
複数の第1柱21が、各柱脚23にそれぞれ固定されている。複数の第1柱21は、構造材70を固定する。詳しく説明すると、構造材70は、2つの第1柱21の間に配置されている。構造材70は、木製であり、かつ、延出方向9に沿って延びる角柱状である。構造材70は、例えば矩形板状の複数の板材を接着することによって製造される。
【0032】
構造材70は、延出方向9における一方の端面(
図2における右端)において一方の第1柱21(
図2における右の第1柱21)の側面と当接し、他方の端面(
図2における左端)において他方の第1柱21(
図2における左の第1柱21)の側面と当接している。構造材70は、取付金具90によって第1柱21に固定されている。
【0033】
取付金具90は、断面がL字状の金具であって、矩形板状の第1片91及び第2片92を有する。第1片91は、水平方向に延びる板状であり、ビス16が挿通される不図示のビス孔を有している。第1片91は、下面において構造材70の上面と当接している。第2片92は、上下方向に延びる板状であり、ビス16が挿通される不図示のビス孔を有している。第2片92は、主面において第1柱21の下端部の側面と当接している。
【0034】
取付金具90の第1片91のビス孔に挿通されたビス16は、構造材70にねじ込まれている。第2片92のビス孔に挿通されたビス16は、第1柱21にねじ込まれている。取付金具90は、ビス16によって、構造材70及び第1柱21にそれぞれ固定される。すなわち、構造材70は、取付金具90を介して第1柱21に固定される。具体的には、構造材70は、延出方向9における両端部を2つの第1柱21によって固定されている。
【0035】
スペーサ17が、構造材70と布基礎11の立上り13の天面15との間に配置されている。スペーサ17は、例えば樹脂製である。スペーサ17は、構造材70を支持する。
図1に示す例では、1つのスペーサ17が、延出方向9における構造材70の中央部と布基礎11の立上り13の天面15との間に配置されている。なお、1つの構造材70に対して複数のスペーサ17が配置されていてもよい。
【0036】
作業者は、例えば、布基礎11の立上り13の天面15にスペーサ17を載置した後、スペーサ17に構造材70を載置し、次いで、ビス16を用いて取付金具90を構造材70及び第1柱21にそれぞれ固定して、構造材70を第1柱21に固定する。
【0037】
第2柱22は、木製であり、かつ上下方向に延びる角柱状である。第2柱22は、例えば、第1柱21と同様に、矩形板状の複数の板材を貼り合わせて製造される。第2柱22は、いわゆる半柱である。
【0038】
第2柱22は、構造材70に載置され、構造材70に固定されている。作業者は、第2柱22を構造材70に設置した後、釘などを用いて第2柱22を構造材70に固定する。なお、
図1に示す例では、第2柱22は、スペーサ17の上方に位置している。
【0039】
第3柱24は、木製であり、かつ上下方向に延びる角柱状である。第3柱24は、例えば、第1柱21と同様に、矩形板状の複数の板材を貼り合わせて製造される。第3柱24は、いわゆる間柱である。
【0040】
第3柱24は、構造材70に載置され、構造材70に固定されている。作業者は、第3柱24を構造材70に設置した後、釘などを用いて第3柱24を構造材70に固定する。
【0041】
金属板30は、白蟻が構造材70や第1柱21や第2柱22を齧ることによって生じたAE波をAEセンサ40に伝達する部材である。
【0042】
金属板30は、延出方向9に沿って延びる矩形板状である。金属板30の主面は、上下方向及び延出方向9に沿っている。金属板30の2つの主面のうちの一方の主面は、構造材70の側面、第1柱21の側面、及び第2柱22の側面に当接している。第2柱22は、柱材の一例である。
【0043】
金属板30は、AE波の伝達効率を高めるために、比重の小さな金属で製造される。例えば、金属板30は、アルミニウム製である。但し、金属板30は、ステンレスなどの合金を含む他の種類の金属によって製造されていてもよい。金属板30は、例えば規定サイズのアルミニウム板をプレス加工等によって適切な大きさに切断して製造される。
【0044】
金属板30の厚みは、AE波を伝達可能な強度を金属板30が有するように0.1mm以上とされ、伝達効率を高めるために6cm以下とされる。金属板30は、好ましくは0.35mm以上3.2mm以下とされる。
【0045】
上下方向における金属板30の長さである金属板30の幅は、白蟻が第2柱22や構造材70を齧ることによって生じたAE波を金属板30に効率良く伝達可能なように、上下方向における構造材70の長さの約半分とされている。詳しく説明すると、上下方向における構造材70の約半分の幅とされた金属板30は、上端が構造材70の上端に重なり、下端が上下方向における構造材70の中央部に重なるように、構造材70の側面に配置されている。すなわち、金属板30の上端は、第2柱22に近接しており、金属板30の下端は、上下方向における構造材70の中央部に位置している。
【0046】
金属板30は、金属製の複数のビス75によって構造材70に固定されている。作業者は、金属板30に設けられた不図示の貫通孔にビス75を挿通した後、ビス75を構造材70にねじ込んで金属板30を構造材70に固定する。
図3に示されるように、各ビス75のビス頭は、金属板30を第1柱21或いは構造材70に押し付けて、金属板30を第1柱21或いは構造材70に固定している。
【0047】
構造材70にねじ込まれたビス75は、金属板30を構造材70に固定するとともに、構造材70を伝わるAE波を金属板30に伝達する。すなわち、ビス75は、金属板30を構造材70に固定する機能、及びAE波を金属板30に伝達する機能を有する。同様に、第1柱21にねじ込まれたビス75は、金属板30を第1柱21に固定するとともに、第1柱21を伝わるAE波を金属板30に伝達する。
【0048】
図2に示すように、複数のビス75は、延出方向9に沿って一直線上に配置されている。延出方向9におけるビス75のピッチは、例えば100mm以上500mm以下である。望ましくは、250mm程度とされる。
【0049】
ビス75の長さは、構造材70の内部を伝わるAE波を効率的に受け易くするため、第1柱21や第2柱22や構造材70の厚み方向における中心部にビス75の先端が位置する長さとされることが望ましい。ただし、ビス75の長さは、ビス75を第1柱21や第2柱22や構造材70にねじ込む作業の作業性を考慮して、上記長さよりも短くされてもよい。
【0050】
ビス75の直径は、構造材70の内部を伝わるAE波を効率的に金属板30に伝達可能なように、8mm以下とされ、かつ強度を確保するため、2.5mm以上とされる。好ましくは、ビス75の直径は、3mm以上5mm以下とされる。
【0051】
また、一のビス75は、白蟻が第3柱24を齧ることによって生じたAE波を捉えることができるように、第3柱24の直下となる位置において、金属板30及び構造材70にねじ込まれている。
【0052】
金属板30は、白蟻が構造材70を齧ることによって生じたAE波を検知可能な最長の長さよりも短い長さであって、かつ運搬や取り扱いが容易であり、さらに納まりの良い長さとされている。例えば、金属板30は、構造材70の長さの約半分とされる。
【0053】
2つの金属板30が1つの構造材70に取り付けられている。2つの金属板30は、略同形状である。ただし、2つの金属板30は、長さが相違していてもよい。2つの金属板30の厚み及び幅は、AE波の伝達における損失を低減するため、同一とされることが望ましい。
【0054】
2つの金属板30は、接続板60によって連結されている。そして、2つの金属板30のうち一方の金属板30にのみAEセンサ40が取り付けられている。すなわち、金属板30を運搬や取り扱いが容易であり、かつ納まりの良い長さにしたことによってAEセンサ40の使用個数が増加しないように、2つの金属板30を接続板60によって連結している。接続板60は、第1の接続板の一例である。
【0055】
詳しく説明すると、金属板30は、延出方向9における第2柱22の両側にそれぞれ位置している。2つの金属板30のうち、
図2における右の金属板30の右端部は、右の第1柱21の側面に当接し、右の金属板30の左端部は、第2柱22の側面に当接し、右の金属板30の中央部は、構造材70の側面に当接している。
図2における左の金属板30の左端部は、左の第1柱21の側面に当接し、左の金属板30の右端部は、第2柱22の側面に当接し、左の金属板30の中央部は、構造材70の側面に当接している。2つの金属板30は、延出方向9において、隙間を空けて並んでいる。隙間が空けられることにより、金属板30の取付位置が延出方向9において位置ずれしたとしても、2つの金属板30同士が干渉し合うことが防止される。2つの金属板30のうちの一方の金属板30は、第1の金属板の一例であり、他方の金属板30は、第2の金属板の一例である。一方の金属板30を貫通して構造材70にねじ込まれた上述のビス75は、第1の棒材の一例である。他方の金属板30を貫通して構造材70にねじ込まれたビス75は、第2の棒材の一例である。
【0056】
接続板60は、主面が上下方向及び延出方向9に沿う矩形板状である。接続板60は、2つの金属板30を連結できるように、2つの金属板30の隙間よりも長い。具体的には、延出方向9における接続板60の長さは、第2柱22の幅と略同じである。上下方向における接続板60の長さは、一方の金属板30から他方の金属板30へのAE波の伝達における損失を低減するため、上下方向における金属板30の長さ以上とされている。
【0057】
接続板60の厚みは、AE波の伝達における損失を低減するため、金属板30の厚みと同一とされることが望ましい。
【0058】
接続板60は、AE波の伝達における損失を低減するため、金属板30と同じ材質で製造されることが望ましい。例えば、接続板60は、金属板30と同じアルミニウム製とされる。ただし、接続板60は、ステンレスや鉄など、他の金属によって製造されていてもよい。
【0059】
接続板60は、
図3に示されるように、2つの金属板30の主面に主面を当接させて配置されている。すなわち、接続板60は、2つの金属板30よりも構造材70から離れた位置にある。
【0060】
接続板60は、複数の金属製のビス76によって、第2柱22に固定されている。詳しく説明すると、金属板30は、ビス76が挿通される不図示の挿通孔を延出方向9における端部に有している。一方、接続板60は、
図2に示されるように、ビス76が挿通される挿通孔61を有している。
【0061】
作業者は、ビス76を接続板60の挿通孔61及び金属板30の不図示の挿通孔に挿通した後、ビス76を第2柱22にねじ込む。ビス76のビス頭は、接続板60及び金属板30を第2柱22に押圧する。すなわち、ビス76は、接続板60を固定する機能及び金属板30を固定する機能を有する。さらに、ビス76は、第2柱22に伝達したAE波を金属板30に伝達する機能を有する。ビス76の直径や長さはビス75と同じとされる。但し、ビス76の直径や長さは、ビス75と相違していてもよい。接続板60及び一方の金属板30を貫通するビス76は、第3の棒材の一例である。接続板60及び他方の金属板30を貫通するビス76は、第4の棒材の一例である。
【0062】
接続板60の挿通孔61は、延出方向9に延びる長孔である。挿通孔61が長孔であることにより、金属板30の取付位置が延出方向9において位置ずれしたとしても、ビス76を接続板60の挿通孔61及び金属板30の不図示の挿通孔に挿通することができる。なお、接続板60の挿通孔61が円形状とされ、金属板30の不図示の挿通孔が長孔とされてもよい。
【0063】
AEセンサ40は、2つの金属板30のうち、一方の金属板30にのみ取り付けられている。
図2に示す例では、AEセンサ40は、右の金属板30に取り付けられている。
【0064】
AEセンサ40は、金属板30に当接される検知部と、検知部に伝達されたAE波を電圧に変換して出力する検知回路と、検知部及び検知回路を収容する筐体と、を備える。例えば市販のAEセンサがAEセンサ40として用いられる。
【0065】
作業者は、検知部を金属板30に当接させて、接着剤やビスなどを用いてAEセンサ40を金属板30に取り付ける。なお、検知部が金属板30に接触していれば、AEセンサ40は、構造材70など、金属板30以外の部材に取り付けられていてもよい。
【0066】
AEセンサ40は、信号線によって、
図4に示される端末装置50と接続されている。端末装置50は、例えば、構造体10を備えた住宅の壁に取り付けられて使用される。端末装置50は、中央演算処理装置であるCPU51、メモリ52、入力インタフェース54、通信インタフェース55、報知装置56、及び通信バス57を備える。CPU51、メモリ52、入力インタフェース54、通信インタフェース55、及び報知装置56は、通信バス57と接続されており、通信バス57を介して相互に通信可能である。
【0067】
メモリ52は、サーバ42のURL(Uniform Resource Locator)や、顧客IDや、制御プログラム53などを記憶している。制御プログラム53は、CPU51によって実行される。実行された制御プログラム53は、入力インタフェース54を通じてAEセンサ40からの信号の入力を受け付け、通信インタフェース55及びインターネット41を通じて情報をサーバ42に送信する。
【0068】
報知装置56は、ディスプレイやスピーカなどであって、画像や音声によって住宅の住人に報知を行う装置である。
【0069】
サーバ42は、住宅を施工したメーカや、サービス提供業者が使用権限を有するウェブサーバなどであって、URLをインターネット41上に公開する。
【0070】
以下、白蟻が構造材70や第1柱21や第2柱22や第3柱24を齧ることによって生じたAE波をAEセンサ40が検知し、AEセンサ40がAE波を検知したことが端末装置50によってサーバ42に送信され、かつ報知装置56によって報知されることについて説明する。
【0071】
白蟻が第1柱21や第2柱22や第3柱24や構造材70を齧ることによって生じたAE波は、弾性波として第1柱21や第2柱22や第3柱24や構造材70の内部を伝達する。構造材70の内部を伝達したAE波は、ビス75を通じて金属板30に伝わる。金属板30に伝わったAE波は、金属板30を通じて、或いは金属板30及び接続板60を通じてAEセンサ40に伝わる。AEセンサ40は、AE波を検知し、AE波を検知したことを示す検知信号を出力する。AEセンサ40が出力した検知信号は、信号線、入力インタフェース54、及び通信バス57を通じてCPU51に入力される。制御プログラム53は、検知信号が入力されたと判断すると、白蟻が発生したことを示す情報及び顧客IDを含むHTTPリクエストを、サーバ42が公開するURL宛てに、通信インタフェース55を通じて送信する。また、制御プログラム53は、報知装置56を用いて、食害が生じたことを住人に報知する。なお、端末装置50は、報知装置56と通信インタフェース55との一方のみを有していてもよい。すなわち、白蟻が発生したことを示す情報は、サーバ42宛てに送信されるだけでもよいし、報知装置56によって住人に報知されるだけでもよい。
【0072】
サーバ42を管理するサービス提供業者は、白蟻が発生したことを示す情報がサーバ42に入力された場合、白蟻が発生したおそれがあることを、顧客IDが示す顧客に通知する。
【0073】
[実施形態の作用効果]
本実施形態では、金属板30が、運搬や取り扱いや納まりが良い長さにされているから、構造体10の施工が容易になる。そして、2つの金属板30を接続板60で連結し、かつ一方の金属板30のみにAEセンサ40を取り付けている。したがって、金属板30の長さを運搬や取り扱いや納まりが良い長さにし、かつ、構造体10に使用するAEセンサ40の個数の増加を抑えることができる。すなわち、構造体10は、AEセンサ40の使用個数の増加を抑えつつ、金属板30の取り扱いを容易にすることができる。
【0074】
また、本実施形態では、接続板60と第2柱22とで金属板30を挟むようにして接続板60で2つの金属板30を連結している。試験によれば、この構成では、金属板30と第2柱22とで接続板60を挟むようにして接続板60で2つの金属板30を連結する場合に比べ、AEセンサ40によるAE波の検知精度が向上することが確認された。
【0075】
また、本実施形態では、ビス76は、接続板60を第2柱22に固定するとともに、2つの金属板30を第2柱22に固定する。すなわち、接続板60の固定と2つの金属板30の固定とを同時に行うことができる。その結果、構造体10の施工に必要な部材の種類や個数が低減し、また、作業者の手間が低減する。
【0076】
また、本実施形態では、ビス76により、2つの金属板30と接続板60とが確実に当接される。その結果、金属板30と接続板60との間におけるAE波の伝達の損失が低減し、AE波の検知精度が向上する。
【0077】
また、本実施形態では、2つの金属板30が隙間を空けて延出方向9に並んで配置されている。したがって、金属板30の取付位置が延出方向9において位置ずれしたとしても、2つの金属板30同士は干渉しない。その結果、作業者が金属板30を構造材70に取り付ける作業が容易になる。
【0078】
[変形例1]
上述の実施形態では、AEセンサ40が金属板30に取り付けられた例が説明された。しかしながら、
図5(A)に示されるように、AEセンサ40は、接続板60に取り付けられていてもよい。AEセンサ40は、例えば、延出方向9における接続板60の中央部に取り付けられる。
【0079】
白蟻が第1柱21や第2柱22や第3柱24や構造材70を齧ることによって発生したAE波は、ビス75、76、金属板30、及び接続板60を通じてAEセンサ40に伝わる。すなわち、1つのAEセンサ40によって、2つの金属板30に伝わったAE波を検知することができる。
【0080】
[変形例2]
本変形例では、
図5(B)に示すように、3つの金属板30を2つの接続板60で連結し、3つの金属板30に伝わったAE波を1つのAEセンサ40で検知する例が説明される。なお、以下で説明される構成以外の構成は、実施形態で説明された構成と同じである。
【0081】
2つの第2柱22が、1つの構造材70に設置されている。2つの第2柱22は、延出方向9において互いに離間して並んでいる。
【0082】
3つの金属板30が、延出方向9において互いに隙間を空けて並んで構造材70に取り付けられている。金属板30は、上述の実施形態と同様に複数のビス75によって構造材70に固定されている。真中の金属板30は、延出方向9において、2つの第2柱22の間に位置している。真中の金属板30は、第2の金属板の一例である。真中の金属板30の両側に位置する2つの金属板30のうちの一方の金属板30は、第1の金属板の一例であり、他方の金属板30は、第3の金属板の一例である。
【0083】
真中の金属板30の右端部と、右の金属板30の左端部とは、右の第1柱21の側面と当接している。真中の金属板30の左端部と、左の金属板30の右端部とは、左の第2柱22の側面と当接している。
【0084】
右の接続板60は、右の第2柱22の側方に位置しており、真中の金属板30と、右の金属板30とを連結している。左の接続板60は、左の第2柱22の側方に位置しており、真中の金属板30と、左の金属板30とを連結している。接続板60は、上述の実施形態と同様にして、ビス76によって第2柱22に固定されている。2つの接続板60のうちの一方の接続板60は、第1の接続板の一例であり、他方の接続板60は、第2の接続板の一例である。
【0085】
AEセンサ40は、真中の金属板30に取り付けられている。図示例では、延出方向9における真中の金属板30の中央部に取り付けられている。
【0086】
白蟻が構造材70や第1柱21や第2柱22や第3柱24を齧ることによって生じたAE波は、ビス75、76や金属板30や接続板60を通じてAEセンサ40に伝わる。すなわち、AEセンサ40は、白蟻が構造材70や第1柱21や第2柱22や第3柱24を齧ることによって生じたAE波を検知する。
【0087】
例えば、構造体10の仕様(設計)に合わせて、2つの金属板30を1つの接続板60で連結したセットと、3つの金属板30を2つの接続板60で連結したセットとの両方のセットを使用することにより、納まりをさらに良くすることができる。
【0088】
[変形例3]
上述の実施形態では、接続板60が第2柱22に固定された例が説明された。本変形例では、
図5(C)に示されるように、接続板60が構造材70に固定された例が説明される。なお、以下で説明される構成以外の構成は、実施形態で説明された構成と同じである。
【0089】
2つの金属板30は、隙間を空けて延出方向9において並んで1つの構造材70に固定されている。ビス76は、構造材70にねじ込まれており、接続板60及び金属板30の端部を構造材70に固定している。接続板60は、2つの金属板30を連結している。AEセンサ40は、2つの金属板30のうちの一方の金属板30に取り付けられている。
【0090】
白蟻が構造材70や第1柱21や第2柱22や第3柱24を齧ることによって生じたAE波は、ビス75、76や金属板30や接続板60を通じてAEセンサ40に伝わる。すなわち、AEセンサ40は、白蟻が構造材70や第1柱21や第2柱22や第3柱24を齧ることによって生じたAE波を検知する。
【0091】
[変形例4]
上述の実施形態では、1つの構造材70に2つの金属板30が取り付けられた例が説明された。本変形例では、
図5(D)に示されるように、2つの構造材70にそれぞれ金属板30が取り付けられた例が説明される。なお、以下で説明される構成以外の構成は、実施形態で説明された構成と同じである。
【0092】
本変形例では、第1柱21の両側にそれぞれ構造材70が位置している。また、延出方向9における第1柱21の両側に、第1柱21と離間して第2柱22や第3柱24が位置している。第1柱21は、柱材の一例である。
【0093】
金属板30は、延出方向9における第1柱21と第2柱22との離間距離より僅かに長い長さとされている。金属板30は、上述の実施形態と同様にして、複数のビス75によって2つの構造材70にそれぞれ取り付けられている。右の金属板30の左端部は、第1柱21の側面と当接している。右の金属板30の右端部は、右の第2柱22の側面と当接している。左の金属板30の右端部は、第1柱21の側面と当接している。左の金属板30の左端部は、左の第2柱22の側面と当接している。2つの金属板30は、延出方向9において隙間を空けて並んでいる。
【0094】
接続板60は、ビス76によって第1柱21に固定されており、2つの金属板30を連結している。AEセンサ40は、実施形態と同様に、一方の金属板30にのみ取り付けれている。
【0095】
白蟻が右の構造材70、左の構造材70、第1柱21、第2柱22、或いは第3柱24を齧ることによって生じたAE波は、ビス75、76や金属板30や接続板60を通じてAEセンサ40に伝わる。すなわち、AEセンサ40は、白蟻が左右の構造材70や第1柱21や第2柱22を齧ることによって生じたAE波を検知する。
【0096】
[変形例5]
本変形例では、
図5(E)に示されるように、金属板30が構造材70の上面に固定された例が説明される。本変形例では、構造材70の上面は、構造材70の側面の一例である。なお、以下で説明される構成以外の構成は、実施形態で説明された構成と同じである。
【0097】
金属板30は、延出方向9における第2柱22の両側にそれぞれ位置しており、ビス75によって構造材70にそれぞれ固定されている。
【0098】
本変形例では、接続板60に代えて、接続板62が用いられている。接続板62は、水平方向に沿う矩形板状の2つの第1片63と、上下方向及び延出方向9に沿う矩形板状の第2片64と、を備える。2つの第1片63は、延出方向9において互いに離間している。具体的には、2つの第1片63は、延出方向9における第2柱22の両側に位置している。
【0099】
第2片64の右端部は、右の第1片63と接続しており、左端部は、左の第1片63と接続している。すなわち、第2片64は、第2柱22や構造材70を避けて左右の第1片63を連結する機能を有する。接続板62は、例えば、アルミニウム板を切断した後、プレス加工によって折り曲げて製造される。
【0100】
2つの第1片63は、ビス76が挿通される挿通孔61をそれぞれ有している。挿通孔61は、実施形態と同様に延出方向9に延びる長孔である(
図2)。第1片63は、主面である下面が金属板30の上面に当接し、かつ挿通孔61が金属板30の不図示の挿通孔に重なる位置に配置されている。
【0101】
作業者は、第1片63の挿通孔61及び金属板30の不図示の挿通孔にビス76を挿通した後、ビス76を構造材70にねじ込んで接続板62及び金属板30を構造材70に固定する。すなわち、2つの金属板30は、接続板62によって連結される。なお、接続板62の第2片64は、第2片64を貫通して第2柱22にねじ込まれるビスによって第2柱22に固定されていてもよい。
【0102】
AEセンサ40は、2つの金属板30のうちの一方の金属板30にのみ取り付けられている。
【0103】
白蟻が構造材70を齧ることによって生じたAE波は、ビス75、76や金属板30や接続板62を通じてAEセンサ40に伝わる。すなわち、AEセンサ40は、白蟻が構造材70を齧ることによって生じたAE波を検知する。
【0104】
第1片63及び第2片64を有する接続板62を用いることにより、金属板30を構造材70の上面に取り付けることができる。
【0105】
なお、本変形例では、構造材70の上面が、金属板30が取り付られる側面の一例である例を説明したが、構造材70の下面が、金属板30が取り付けられる側面の一例であってもよい。
【0106】
[変形例6]
本変形例では、
図6(A)、(B)に示されるように、上下に段違いで配置された2つの金属板30を接続板65で接続する例を説明する。なお、以下で説明される構成以外の構成は、実施形態で説明された構成と同じである。
【0107】
本変形例に係る構造体10は、布基礎11(
図1)と、第1構造材71及び第2構造材72と、2つの金属板30と、接続板65と、AEセンサ40と、を備える。第1構造材71及び第2構造材72は、木製であり、布基礎11(
図1)の天面15の上方に配置されている。第1構造材71或いは第2構造材72は、下地木などである。
【0108】
第1構造材71と第2構造体72とは、幅方向8において並んでいる。第1構造材71の側面73と、第2構造材72の側面74とは、幅方向において互いに離間している。
【0109】
2つの金属板30のうちの一方の金属板30は、第1構造材71の側面73に主面を当接させて配置されており、延出方向9に沿って延びている。他方の金属板30は、第2構造材72の側面74に主面を当接させて配置されており、延出方向9に沿って延びている。各金属板30は、複数のビス75によって構造材71、72にそれぞれ取付られている。
【0110】
2つの金属板30は、上下方向7及び幅方向8において互いに離間している。すなわち、2つの金属板30は、上下に段違いで配置されている。
【0111】
接続板65は、一方の金属板30の主面に当接する第1片66と、他方の金属板30の主面に当接する第2片67と、第1片66と第2片67とを繋ぐ接続片68と、を有しており、断面形状がZ字状である。接続板65は、例えばアルミ板や鋼板を折り曲げることによって製造される。
【0112】
AEセンサ40は、接続板65の第1片66或いは第2片67或いは接続片68に取り付けられている。
図6(B)に示す例では、AEセンサ40は、接続片68に取り付けられている。
【0113】
白蟻が第1構造材71や第2構造材72を齧ることによって生じたAE波は、ビス75、76や金属板30や接続板65を通じてAEセンサ40に伝わる。すなわち、AEセンサ40は、白蟻が第1構造材71や第1構造材72を齧ることによって生じたAE波を検知する。
【0114】
第1片66及び第2片67を有する接続板65を用いることにより、幅方向8に並ぶ2つの構造材71、72にそれぞれ取り付けられた2つの金属板30を接続して1つのAEセンサでAE波を検知することができる。
【0115】
[変形例7]
本変形例では、
図6(C)に示されるように、2つの金属板30を接続板80で接続する例を説明する。なお、以下で説明される構成以外の構成は、実施形態で説明された構成と同じである。
【0116】
本変形例に係る構造体10は、布基礎11(
図1)と、第1構造材71及び第2構造材72と、2つの金属板30と、接続板80と、AEセンサ40と、を備える。第1構造材71及び第2構造材72の構成は、変形例6における第1構造材71及び第2構造材72の構成と同じである。
【0117】
2つの金属板30のうちの一方の金属板30は、第1構造材71の側面73に主面を当接させて配置されており、延出方向9に沿って延びている。他方の金属板30は、第2構造材72の上面に主面を当接させて配置されており、延出方向9に沿って延びている。各金属板30は、複数のビス75によって構造材71、72にそれぞれ取付られている。
【0118】
接続板80は、一方の金属板30の主面に当接する第1片81と、他方の金属板30の主面に当接する第2片82と、を有する。第1片81と第2片82とは連続一体であり、接続板80の断面形状はL字状である。接続板80は、例えば、アルミ板や鋼板を折り曲げることによって製造される。
【0119】
AEセンサ40は、接続板80の第1片81或いは第2片82に取り付けられている。
図6(C)に示す例では、AEセンサ40は、第2片82に取り付けられている。
【0120】
白蟻が第1構造材71や第2構造材72を齧ることによって生じたAE波は、ビス75、76や金属板30や接続板80を通じてAEセンサ40に伝わる。すなわち、AEセンサ40は、白蟻が第1構造材71や第1構造材72を齧ることによって生じたAE波を検知する。
【0121】
第1片81及び第2片82を有する接続板80を用いることにより、幅方向8に並ぶ2つの構造材71、72にそれぞれ取り付けられた2つの金属板30を接続して1つのAEセンサでAE波を検知することができる。
【0122】
[変形例8]
本変形例では、
図6(D)或いは
図6(E)に示されるように、交差(直交)するように配置された2つの構造材70のそれぞれに取り付けられた2つの金属板30を接続する接続板85を説明する。なお、以下で説明される構成以外の構成は、実施形態で説明された構成と同じである。
【0123】
図6(D)に示されるように、金属板30は、各構造材70の内側面に主面を当接させてそれぞれ配置されている。或いは、
図6(E)に示されるように、金属板30は、各構造材70の外側面に主面を当接させてそれぞれ配置されている。各金属板30は、複数のビス75(
図2)によって構造材71、72にそれぞれ取付られている。
【0124】
接続板85は、2つの金属板30のうちの一方の金属板30の主面に当接する第1片86と、他方の金属板30の主面に当接する第2片87と、を備える。第1片86と第2片87とは連続一体であり、接続板85の断面形状はL字状である。接続板85は、例えば、アルミ板や鋼板を折り曲げることによって製造される。
【0125】
AEセンサ40は、接続板85の第1片86或いは第2片87に取り付けられている。
図6(D)、(E)に示す例では、AEセンサ40は、第2片87に取り付けられている。
【0126】
白蟻が構造材70を齧ることによって生じたAE波は、ビス75、76や金属板30や接続板85を通じてAEセンサ40に伝わる。すなわち、AEセンサ40は、白蟻が造材70を齧ることによって生じたAE波を検知する。
【0127】
第1片86及び第2片87を有する接続板85を用いることにより、直交するように配置された2つの構造材70にそれぞれ取り付けられた2つの金属板30を接続して1つのAEセンサでAE波を検知することができる。
【0128】
[変形例9]
本変形例では、
図6(F)に示されるように、接続板95が2つの構造体70に斜めに取り付けられた例を説明する。2つの構造体70の一方は、他方よりも上に位置している。すなわち、2つの構造体70は、上下に段違いで配置されている。金属板30が、各構造材70の側面にビス74によってそれぞれ取り付けられている。接続板95は、実施形態で説明した接続板60(
図2)と同様に一対の挿通孔61を備えている。接続板95は、ビス76によって、一方の構造材70の端部及び他方の構造材70の端部にそれぞれ取り付けられている。すなわち、接続板95は、構造材70が延びる延出方向9に対して斜めに配置され、2つの金属板30の端部同士を接続している。なお、その他の構成は、実施形態で説明された構成と同じである。
【0129】
白蟻が構造材70を齧ることによって生じたAE波は、ビス75、76や金属板30や接続板85を通じてAEセンサ40に伝わる。すなわち、AEセンサ40は、白蟻が造材70を齧ることによって生じたAE波を検知する。
【0130】
[その他の変形例]
上述の実施形態では、棒材の一例としてビス75、76が説明された。しかしながら、ビス75、76に代えて、金属製の釘やピンなどが用いられてもよい。さらに、ビス75に代えて、金属板30の表面を加工して形成した刺状の突出が用いられてもよい。
【0131】
上述の実施形態では、2つの金属板30が延出方向9において互いに離間して配置された例を説明した。しかしながら、2つの金属板30は、端面において互いに当接していてもよい。
【符号の説明】
【0132】
10・・・構造体
11・・・布基礎
13・・・立上り
15・・・天面
21・・・第1柱
22・・・第2柱
30・・・金属板
40・・・AEセンサ
60、62、65、80、85、95・・・接続板
70、71、72・・・構造材
75・・・ビス
76・・・ビス