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特許7602758機能的磁気共鳴画像を迅速に再構成するためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-11
(45)【発行日】2024-12-19
(54)【発明の名称】機能的磁気共鳴画像を迅速に再構成するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
A61B5/055 382
A61B5/055 380
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2023559973
(86)(22)【出願日】2021-12-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-02
(86)【国際出願番号】 US2021062560
(87)【国際公開番号】W WO2022125748
(87)【国際公開日】2022-06-16
【審査請求日】2023-11-06
(31)【優先権主張番号】63/123,302
(32)【優先日】2020-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】523218511
【氏名又は名称】ヌース イメージング, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】ドーゼンバッハ ニコ
(72)【発明者】
【氏名】ブルーナー ケン
(72)【発明者】
【氏名】フェア ダミアン
【審査官】松岡 智也
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-512851(JP,A)
【文献】国際公開第2018/191685(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/109095(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0225308(US,A1)
【文献】特表2020-516372(JP,A)
【文献】米国特許第10034645(US,B1)
【文献】特表2022-501157(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
象の少なくとも一部の周囲に分極磁場を生成するように構成された磁石システムと、
前記分極磁場に少なくとも1つの磁場勾配を印加するように構成された複数の磁場勾配コイルを含む磁場勾配システムと、
コイルアレイを用いて前記対象にRF磁場を適用するとともに記対象から磁気共鳴信号を受け取るように構成された無線周波数(RF)システムと、
コンピュータシステムと、を備えたシステムであって
前記コンピュータシステムは、
少なくともタスクベースfMRIデータ取得用いて機能的磁気共鳴イメージング(fMRIデータセットを取得するために前記磁場勾配システム及び前記RFシステムを制御し、
前記タスクベースfMRIデータ取得間に、少なくとも1つの安静時(rs)画像を生成するために、前記fMRIデータセットの安静時機能的磁気共鳴画像(rs-fMRI再構成プロセスを用いて前記fMRIデータセットを再構成し、
前記タスクベースfMRIデータ取得間に、前記タスクベースfMRIデータ取得の間の前記対象の動きを決定するために前記少なくとも1つのrs画像を参照画像と比較し、
前記対象の前記動きに対応する前記対象の変位を決定し、
前記タスクベースfMRIデータ取得間に、ペレータに伝えられるアラート又は前記変位のリアルタイム表示の少なくとも1つを生成するようにプログラムされた、システム。
【請求項2】
前記コンピュータシステムは、前記変位によって影響を受けた前記fMRIデータセットの量、又は前記変位によって影響を受けた前記タスクベースfMRIデータ取得一部のうちの少なくとも1つを示すようにさらにプログラムされた、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コンピュータシステムは、6つのアライメントパラメータを用いて前記対象の前記動きを決定するようにさらにプログラムされ、
前記6つのアライメントパラメータは、x,y,z,θχ,θ,θζである、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記参照画像は、前記rs-fMRI再構成プロセスを用いて前記fMRIデータセットから再構成された先行rs画像を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記コンピュータシステムは、変位についての所定の閾値を下回る前記fMRIデータセットの量を予測するようにさらにプログラムされ、
前記タスクベースfMRIデータ取得間に、前記閾値を下回る前記fMRIデータセットの予測された量をアルタイムで表示するように構成されたディスプレイをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記少なくとも1つのrs-fMRI画像を前記参照画像と比較することは、一連の剛体変換Tを算出することを含み、
ここで、iは、前記fMRIデータセットから再構成された少なくとも1つの先行画像への前記少なくとも1つのrs-fMRI画像の空間レジストレーションについてインデックスを付けるものであり、
前記一連の剛体変換の各々は、レジストレーションエラー、
【数1】
を最小化することによって算出され、
式中、I(x)は位置xでの画像強度を表し、sは平均信号強度における変動を補償するスカラー因子を表す、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記一連の剛体変換の各々は、
【数2】
で与えられる回転と変位の組み合わせで表され、
式中、Rは3×3の回転行列を表し、dは3×1の変位の列ベクトルを表し、
は、各軸での3つの基本回転を表す、請求項に記載のシステム。
【請求項8】
総合的な変位を決定することは、前記少なくとも1つのrs-fMRI画像の現在の画像についての変位から、前記少なくとも1つのrs-fMRI画像のうちの先行する1つについての変位を差し引くことを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
感覚フィードバックシステムをさらに含み、
前記感覚フィードバックシステムは、前記変位に基づいて前記対象に感覚フィードバックを提供して、前記変位又は考え得る将来の変位の軽減を促すように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
なくとも1つのメモリデバイスと通信する少なくとも1つのプロセッサを含むコンピューティングデバイスであって、磁気共鳴イメージング(MRI)システムと通信するコンピューティングデバイスを用いて、前記MRIシステムが少なくともタスクベースfMRIデータ取得実行している間に、前記MRIシステムから、対象のタスクベース機能的磁気共鳴イメージング(fMRIデータセットを受け取る工程と、
前記コンピューティングデバイスを用いて、rs-fMRI画像を生成するために前記タスクベースfMRIデータセットの安静時機能的磁気共鳴イメージング(rs-fMRI再構成を行う工程と、
前記コンピューティングデバイスを用いて、前記タスクベースfMRIデータ取得間に、前記rs-fMRI画像を少なくとも1つの参照画像と比較する工程と、
前記コンピューティングデバイスを用いて、前記rs-fMRI画像を前記少なくとも1つの参照画像と比較することに基づいて前記対象の動きを決定する工程と、
前記コンピューティングデバイスを用いて、前記タスクベースfMRIデータ取得間に検出された動きを示すアラートを前記MRIシステムのオペレータに伝える工程とを含む、法。
【請求項11】
前記対象の前記動きを決定する工程は、6つのアライメントパラメータを用いることを含み、
前記6つのアライメントパラメータは、x,y,z,θχ,θ,θζである、請求項10に記載の法。
【請求項12】
前記6つのアライメントパラメータは、フレームワイズアライメント又はスライスワイズアライメントの少なくとも1つを含む、請求項11に記載の法。
【請求項13】
前記参照画像が、前記rs-fMRI画像に対する先行画像を含む、請求項10に記載の法。
【請求項14】
前記コンピューティングデバイスを使用して、前記対象の動きに対応する前記対象の変位についての所定の閾値を下回るタスクベースfMRIデータセットの量を予測する工程と、
前記コンピューティングデバイスを使用して、前記タスクベースfMRIデータ取得間に、前記閾値を下回る前記タスクベースfMRIデータセットの予測された量をリアルタイムで通信する工程とをさらに含む、請求項10に記載の法。
【請求項15】
前記rs-fMRI画像を少なくとも1つの参照画像と比較する工程は、一連の剛体変換Tを算出することを含み、
ここで、iは、前記rs-fMRI画像に対する先行部分画像に対応する少なくとも1つの参照画像への前記rs-fMRI画像の空間レジストレーションについてインデックスを付けるものであり、
前記一連の剛体変換の各々は、レジストレーションエラー、
【数3】
を最小化することによって算出され、
式中、I(x)は位置xでの画像強度を表し、sは平均信号強度における変動を補償するスカラー因子を表す、請求項10に記載の法。
【請求項16】
前記一連の剛体変換の各々は、
【数4】
で与えられる回転と変位の組み合わせで表され、
式中、Rは3×3の回転行列を表し、dは3×1の変位の列ベクトルを表し、
は、各軸での3つの基本回転を表す、請求項15に記載の法。
【請求項17】
合的な変位を決定する工程は、前記rs-fMRI画像についての変位から、前記rs-fMRI画像に対する先行画像についての変位を差し引くことを含む、請求項10に記載の法。
【請求項18】
前記コンピューティングデバイスを用いて、前記対象の動きに対応する前記対象の変位に基づいて前記対象に感覚フィードバックを提供して、前記変位又は考え得る将来の変位の軽減を促すことをさらに含む、請求項10に記載の法。
【請求項19】
象の少なくとも一部の周囲に分極磁場を生成するように構成された磁石システムと、
前記分極磁場に少なくとも1つの磁場勾配を印加するように構成された複数の磁場勾配コイルを含む磁場勾配システムと、
コイルアレイを用いて前記対象にRF磁場を適用するとともに、記対象から磁気共鳴信号を受け取るように構成された無線周波数(RF)システムと、
コンピュータシステムと、を備え、
前記コンピュータシステムは、
前記対象からタスクベースfMRIデータセットを取得するためにタスクベース機能的磁気共鳴イメージング(fMRI取得を行うために前記磁気勾配システム及び前記RFシステムを制御し、
前記タスクベースfMRIデータセットからrs-fMRI画像を生成するために安静時機能的磁気共鳴画像(rs-fMRI再構成プロセスを用いて前記タスクベースfMRIデータセットを再構成するようにプログラムされた、法。
【請求項20】
象がタスクの遂行又は刺激の経験の少なくとも1つにさらされるときに前記対象から取得された機能的磁気共鳴イメージング(fMRI)データを受け取る工程と、
前記対象がタスクの遂行又は刺激の経験の少なくとも1つにさらされるときに取得された前記fMRIデータを、前記タスクの遂行又は前記刺激の経験の前記少なくとも1つを考慮せずに、安静時fMRI(rs-fMRI)再構成プロセスを用いて再構成する工程と、
前記rs-fMRI画像を表示する工程と、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本願は、2020年12月9日に出願された米国仮出願第63/123,302号に基づくとともに、それによりサポートされるものであり、当該仮出願は参照により本明細書に盛り込まれている。
【背景技術】
【0002】
あらゆる種類の患者の動き(バルク的な固い動き又は複雑なひずみを伴う動き)が医用イメージングを行う際の最大の障害となる。臨床応用の中には小さな信号を高い空間分解能で正確に取得することを要するものもあり、わずかな量の動きであっても情報の臨床的価値を大きく損なう可能性がある。例えば、脳の磁気共鳴イメージング(MRI)は非常に価値が高い臨床応用であるが、わずかな量の動きでも画像の臨床的価値が大きく損なわれ得る。例えば、頭部の動きは解剖学的又は構造的(T1強調、T2強調など)画像の価値を損ない、いわゆる機能的MRIデータ(fMRI)の臨床的有用性をさらに損なう可能性がある。サブミリメートルの頭部の移動(例えば、マイクロメートルの移動)でさえ、場合によっては構造的及び機能的MRIデータを全体的に変えてしまう可能性がある。したがって、頭部の動きによる歪みをMRIデータから除去するための取得後方法の開発に多くの努力が注がれている。
【0003】
あるMRIデータフレームから次のフレームまでの頭部の移動は、参照フレームからの絶対移動よりも、最も顕著なMRI信号歪みを誘発すると考えられている。動き関連の歪みは、6つの剛体方向全てにおけるフレームからフレームまでの頭部絶対移動の合計を表すフレームワイズ変位(FD)及びMRI画像の各ボクセルの分化した時間的経過の導出物の二乗平均平方根であるDVARSの測定値と強く相関する。このように、MRIデータ取得中の対象の移動のグローバルな影響を捉えるFDやDVARSのような測定値が、さまざまな事後的方法におけるデータ品質の評価に用いられてきた。例えば、FD値が所定の閾値を超えているMRIデータフレームを全て除去する(例えば、FD値が0.2mmを超えるデータフレームを除外する)ような事後的フレーム検閲は、機能的MRIデータの品質を向上させるために一般的に使用される方法となっている。
【0004】
フレーム検閲はアーチファクトを低減させるには必要であるが、高額となる。例えば、フレーム検閲は、いくつかの研究においては、データの50%以上を除外する場合がある。例えば、いわゆる安静時機能結合MRI(rs-fcMRI)データは動き問題の影響を特に受け易い可能性があり、なぜなら、この検査は、定義上、長さが長く、また、血中酸素濃度依存型(BOLD)コントラストメカニズムによって生じる小さな信号に注目しているからである。MRI測定の精度はフレーム数が増えるにつれて向上するため、信頼性の高いデータを得るためには最小限のデータフレーム数が必要となる場合がある。検閲後に残るフレーム数が少なすぎる場合、検査者は患者からの全データを失う可能性がある。この損失を避けるために、臨床医は、通常、追加の「バッファ」データを取得するが、これは、それだけで、所定の参加者についての十分高品質なMRIデータを保証しない高価な行為である。動き歪みデータを除去するために必要とされる過剰スキャンは、所望のデータ品質を達成するのに十分なサンプルサイズを維持する一方で、脳MRIのコスト及び期間を大幅に増加する。もちろんある意味ではこの解決手段は問題を悪化させるだけである。すなわち、患者の動きの可能性はスキャン期間とともに増加するため、追加データを取得するためにスキャンを延長することは患者の動きの可能性を増加させるだけである。
【0005】
最近開発された予測動き補正を伴う構造的MRIシーケンスは、頭部の動きの有害な影響を低減するために同様の手法を使用している。このMRIシーケンスは各構造データ取得を脳全体の高速かつ低解像度スナップショット(例えば、エコープラナー画像,EPI)を伴う取得と組み合わせ、これが頭部の動きのためのマーカ又はナビゲータとして使用される。この動き補正構造的シーケンスは連続するナビゲータ画像間の相対的な動きを算出し、この情報を使用して除外及び再取得のための連結構造的データフレームをマークする。このようにして、構造的データフレームは「検閲」され、それにより構造的MRIの期間及びコストが増加する。
【0006】
fMRIの一般的なコンテキストにおける動き補正によるこれらの課題はかなり大きい。しかし、必要に応じて長さが長いことが要求されるとともに本質的に動きに不耐容であるいくつかの特定の検査においては、上記課題はさらに非常に大きくなる。例えば、rs-fMRIは、定義上、同様に、スキャンの期間を延長する延長された取得を要し、それにより、データの動き破損の機会及び再取得のためのコストを要する。さらに、rs-fMRIは脳からの小さな信号を取り出すことに注目しており、1ミリメートルのフラクションが臨床情報における大きな変動を招く。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、機能的磁気共鳴イメージング(fMRI)を用いて生成された画像についての動きの影響を制御するためのシステム及び方法を提供することによって上述の欠点に対処する。1つの非限定的な例として、本明細書において提供されるように、リアルタイム動き特定のためのシステム及び方法を用いて取得時間を改善及び最小化することができる。加えて又は代替的に、本開示によれば、タスクベースfMRIデータとして取得されるか、安静時fMRI(rs-fMRI)データとして取得されるかにかかわらない任意の形態のfMRIデータ(すなわち、BOLDコントラストデータ)の再構成のためのシステム及び方法は、rs-fMRI再構成プロセスを用いて再構成を行うことができる。
【0008】
ある構成では、機能的磁気共鳴イメージング(fMRI)データセットの安静時機能的磁気共鳴画像(rs-fMRI)再構成を実行するためのシステムが提供される。このシステムは、対象の少なくとも一部の周囲に分極磁場を生成するように構成された磁石システムと、少なくとも1つの磁場勾配を分極磁場に印加するように構成された複数の磁場勾配コイルを含む磁場勾配システムと、RF磁場を対象に印加し、コイルアレイを用いて対象から磁気共鳴信号を受け取るように構成された無線周波数(RF)システムとを含む。上記システムは、コンピュータシステムをさらに含み、コンピュータシステムは、磁場勾配システム及びRFシステムを制御して、タスクベースfMRIデータ取得又はrs-fMRIデータ取得の少なくとも1つを用いてfMRIデータセットを取得し、タスクベースfMRIデータ取得又はrs-fMRIデータ取得の前記少なくとも1つの間に、rs-fMRI再構成プロセスを用いてfMRIデータセットを再構成して、少なくとも1つの安静状態(rs)画像を生成するようプログラムされている。コンピュータシステムは、タスクベースfMRIデータ取得又はrs-fMRIデータ取得の少なくとも1つの間に、前記少なくとも1つのrs画像を参照画像と比較して、タスクベースfMRIデータ取得又はrs-fMRIデータ取得の前記少なくとも1つの間の対象の動きを決定し、対象の動きに対応する対象の変位を決定するようにさらにプログラムされている。コンピュータシステムは、タスクベースfMRIデータ取得又はrs-fMRIデータ取得の前記少なくとも1つの間に、MRIシステムのオペレータに伝えられるアラート又は変位のリアルタイム表示の少なくとも1つを生成するようにさらに構成される。
【0009】
ある構成では、機能的磁気共鳴イメージング(fMRI)データセットの安静時機能的磁気共鳴画像(rs-fMRI)再構成のためのコンピュータ実装方法が提供される。コンピュータ実装方法は、少なくとも1つのメモリデバイスと通信する少なくとも1つのプロセッサを含むコンピューティングデバイスであって、磁気共鳴イメージング(MRI)システムと通信するコンピューティングデバイスを用いて、MRIシステムがタスクベースfMRIデータ取得又はrs-fMRIデータ取得の少なくとも1つを実行している間にMRIシステムからfMRIデータセットを受け取る工程を含む。コンピュータ実装方法は、rs-fMRI画像を生成するために、コンピューティングデバイスを使用して、fMRIデータセットのrs-fMRI再構成を実行する工程と、コンピューティングデバイスを使用して、タスクベースfMRIデータ取得又はrs-fMRIデータ取得の前記少なくとも1つの間に、rs-fMRI画像を少なくとも1つの参照画像と比較する工程とをさらに含む。コンピュータ実装方法は、コンピューティングデバイスを用いて、rs-fMRI画像を少なくとも1つの参照画像と比較することに基づき対象の動きを決定する工程と、コンピューティングデバイスを用いて、タスクベースfMRIデータ取得又はrs-fMRIデータ取得のうちの前記少なくとも1つの間に検出された動きを示すアラートをMRIシステムのオペレータに伝える工程とをさらに含む。
【0010】
別の構成では、安静時機能的磁気共鳴イメージング(rs-fMRI)を実行するためのシステムが提供される。このシステムは、対象の少なくとも一部の周囲に分極磁場を生成するように構成された磁石システムと、少なくとも1つの磁場勾配を分極磁場に印加するように構成された複数の磁場勾配コイルを含む磁場勾配システムと、RF磁場を対象に印加し、コイルアレイを用いて対象から磁気共鳴信号を受け取って、fMRIデータ取得にしたがってrs-fMRIデータセットを形成するように構成された無線周波数(RF)システムとを含む。上記システムはコンピュータシステムをさらに含み、コンピュータシステムは、rs-fMRIデータセットを受け取り、rs-fMRIデータセットを参照データセットと比較して対象の動きを決定し、対象の動きに対応する対象の変位を決定し、そして、fMRIデータ取得中にMRIシステムのオペレータに伝えられるアラート又は変位のリアルタイム表示のうちの少なくとも1つを生成するようにプログラムされている。
【0011】
さらに別の構成では、安静時機能的磁気共鳴イメージング(rs-fMRI)画像を生成するための方法が提供される。この方法は、タスクの遂行又は刺激の経験の少なくとも1つに対象がさらされる際に対象から取得された機能的磁気共鳴イメージング(fMRI)データを受け取る工程を含む。上記方法は、タスクの遂行又は刺激の経験のうちの少なくとも1つに対象がさらされる際に取得されたfMRIデータを、タスクの遂行又は刺激の経験の前記少なくとも1つを考慮せずに、安静時fMRI(rs-fMRI)再構成プロセスを用いて再構成する工程と、rs-fMRI画像を表示する工程とをさらに含む。
【0012】
本開示の上記及び他の態様及び利点は以下の説明から明らかとなるであろう。本明細書では、本明細書の一部をなす好適な実施形態を示す添付の図面を参照する。当該実施形態は必ずしも本発明の全範囲を示すものではなく、したがって、本発明の範囲の解釈については特許請求の範囲及び本明細書を参照されたい。以下の説明では図面間で同様の部分には同様の参照符号が使用される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示によるfMRIデータセットのセットを処理する方法の非限定的な例のフローチャートである。
図2】fMRIデータ取得中にMRIシステムのオペレータ及び/又はMRIシステム内の患者に感覚フィードバックを提供するための非限定的な例示的な方法を示すフローチャートである。
図3】N次フィルタを用いて検出された動きデータに関連するアーチファクトを除去する非限定的な例示的な方法を示すフローチャートである。
図4】非限定的な例としての適応フィルタ処理方法を示すフローチャートである。
図5】本開示による磁気共鳴イメージングを行うためのシステムの概略図である。
図6A】機能マッピング誘導介入ターゲティングシステムの例のブロック図である。
図6B図6Aの機能マッピング誘導介入ターゲティングシステムを実装できるコンポーネントのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
モーションアーチファクトと、全ての必要なデータを動き破損なしに取得するのに必要なスキャン時間とを減らすために、安静時fMRI(rs-fMRI)データ及び/又はタスクベースfMRIデータのようなfMRIデータを処理するためのシステム及び方法が提供される。患者の体部分の動きのリアルタイムモニタリング及び予測はfMRIスキャン中の頭部の動きを含む(ただしこれに限定されない)ことができる。fMRIスキャン中の患者の体部分の動きをモニタするために、MRIスキャナから取得されたデータセットのようなfMRIデータを参照データセットに対してアライメントするための方法、コンピュータ可読ストレージ装置、及びシステムが記載される。種々の態様において、参照データセットは共通の基準を提供し、ここから全てのデータセットの変位又は動きが取得され比較されてもよい。
【0015】
本開示にしたがって使用されるfMRIデータは、タスクベースfMRIデータ、rs-fMRIデータ又はそれらの組み合わせを含んでもよく、アクティビティ又はタスクが実行される場合には、血中酸素濃度依存型(BOLD)データ又はBOLDアクティビティデータとも呼ばれ得る。タスクベースfMRIは、イメージングが行われている間に対象がタスクを遂行する又は刺激に応答するMRI取得を含む。安静時fMRI(rs-fMRI)とは、イメージングが行われている間に対象がタスクを遂行しない又は刺激に応答しない(あるいは刺激にさらされない)場合である。その代わり、BOLDデータが取得されている間、対象はMRスキャナ内に一定期間横たわる。rs-fMRIは、脳の異なる領域間のBOLD信号における、高い相関性のある低周波(<0.1Hz)変化を示し、これは脳の機能的結合を現す。rs-fMRIはデータが長期間にわたって取得されなければならないという独特の課題を提示し、対象によるあらゆる動きは、結果として得られる画像内において有害なエラー又はアーチファクトを生じさせ、それによってrs-fMRIスキャンのあらゆる診断能力を無効にする可能性がある。
【0016】
従来のfMRI画像再構成は、対象が安静にしている期間と、対象がタスクを遂行している又は刺激を受けている期間との両方の期間を含むfMRIデータの取得を伴う。取得されたデータはその後、従来のfMRI再構成、又は本明細書において使用する場合「fMRI再構成」を用いて処理される。fMRI再構成では、タスク/刺激の期間及びタスク/刺激なしの期間に基づいてfMRIが再構成される。このように、再構成は、タスク又は刺激の期間と、タスク又は刺激なしの期間との区別を中心に特別に設計されている。例えば、再構成中に、データを重み付けして、対象がタスクを遂行している期間を選択し、対象が安静にしている期間からの再構成画像におけるあらゆるエラーを軽減することができる。
【0017】
いくつかの態様では、本開示によるシステム及び方法は、タスクを遂行している間に取得されるか又は刺激を受けている間に取得されるデータ(すなわち、fMRIデータセット又はタスクベースfMRIデータセット)を含み得る対象のfMRIデータを、rs-fMRI再構成プロセスを用いて再構成することを提供する。タスクfMRI期間に重みを付ける従来のアプローチとは対照的に、fMRIデータはrs-fMRIプロセスのみを用いて再構成することができる。すなわち、本開示によれば、rs-fMRIプロセスは、タスク又は刺激の間の区別を無視するか又は考慮することなく使用することができる。このようにして、「従来の」又は「タスクベースの」fMRIデータが取得される場合であっても、取得の一部の間に動きが存在する可能性があるときでも単一のロバストな画像セットを生成することができる。さらに、タスク及び非タスク又は刺激及び非刺激データについての区別又は重み付けを無視することにより、画像を迅速に再構成することができる。タスク及び非タスク又は刺激及び非刺激データについての区別又は重み付けを考慮しないこの迅速な再構成は、本明細書においてrs-fMRI再構成と呼ばれ、なぜなら、再構成が、患者が安静にしている間に(これが本当であるか否かにかかわらず)データが全て取得されたかのようにデータを扱うからである。そうすることで、前述のように画像の迅速な再構成を行うことができる。これは、例えば、本開示による動きマネジメントプロセスにおいて有利であり得る。すなわち、rs-fMRI再構成を用いて再構成されるこれらの画像によってfMRIプロセス中における画像の再構成が可能となり(例えば、タスク及び刺激の全プロセスにわたって又はrs-fMRI取得のための延長された期間にわたって取得の完了を待つ必要がない)、そして、fMRIデータ取得プロセス中に生成されたこれらの画像を、次に、患者による動きを特定するために使用することができる。
【0018】
種々の態様において、本明細書に記載されるシステム及び方法は、fMRIデータの品質を向上させることができ、fMRIデータ取得に関連するコストを削減することができる。一態様では、本開示による方法は、fMRIデータ取得中に(安静時fMRI(rs-fMRI)であろうとタスクベースfMRIであろうと)リアルタイムでデータ品質マトリクス及び/又は要約動き統計情報を算出して表示するソフトウェアの形態で実装される。非限定的な例では、表示は、fMRIデータ取得中に生成され臨床医及び/又は患者に伝えられるGUIの形であってもよい。
【0019】
本明細書において提供されるシステム及び方法は、これまでのシステムの少なくともいくつかの欠点の1つ又は複数を克服する。動きにより歪められたデータを補償するためのこれまでのシステムによる過剰スキャンに関連する欠点に対処するために、本明細書において提供されるシステム及び方法は、スキャナのオペレータ及び/又はスキャンを受ける対象にリアルタイムフィードバックを提供することができる。オペレータは、スキャン中に対象が経験した動きの量を定量化する表示(ディスプレイ)の形でフィードバックを受けることができる。感覚フィードバックは、リアルタイムで算出されたデータ品質メトリック及び要約動き統計情報に基づいてスキャン中に対象に提供することができ、それによって、対象は、提供されたフィードバックに応答して、それに応じて自身の動きをモニタ及び調節する(例えば、静止したままを維持する)ことができる。システム及び方法は、固定クロスヘア又は動画クリップを見るなどの刺激条件を提供して、対象にリアルタイムフィードバックを提供しながら、同時に対象に関与することを含んでもよい。
【0020】
本開示及び添付の特許請求の範囲について、「リアルタイム」との用語又は関連する用語は、システムのリアルタイムパフォーマンスを参照及び定義するために使用され、システムのリアルタイムパフォーマンスは、所与の事象からその事象に対するシステムの応答までの動作のデッドラインに依存するパフォーマンスとして理解される。例えば、経験的に取得された信号に基づくデータのリアルタイム抽出及び/又はそのようなデータの表示は、信号取得手順の中断の有無にかかわらず、トリガ及び/又は同時に実行され得る。
【0021】
上述のような従来のシステムの欠点は、本開示にしたがって、スキャナのオペレータが所望の数の低移動データセットが取得されるまで各スキャンを継続できるようにすることによって、対処できる。所望の数の低移動データセットに到達する非限定的な例には、(i)スキャンの終わりにおいて利用可能となるデータセットの数を予測すること、(ii)予め設定された基準までの時間(time-to-criterion)(低移動FDデータの数分間)が得られるまで所与の対象がスキャンされなければならないと思われる時間の量を予測すること、(iii)低移動データの実際の量及び予測された量に含めるための特定の個々のスキャンの選択及び選択解除を可能にすること、などが含まれる。
【0022】
これまでは、典型的には、脳MRIについての動き推定値は、所与の対象についてデータ取得が完了した後か、あるいはより一般的にはコホート全体について大規模なバッチでデータ取得が完了した後に、オフラインで分析されていた。頭部の動きの分析を延ばすことは、特に、これまでに検査されていない患者集団をスキャンする場合において、及びデータ収集プロトコル若しくは職員を変更した後において、高価で危険を伴うものとなる。
【0023】
頭部の動きに関するリアルタイム情報は、MRIスキャナのオペレータのふるまいに影響を与えることによる方法、及び、MRIスキャンされている対象のふるまいに影響を与えることによる方法を含む(ただしこれらに限定されない)複数の異なる方法によって頭部の動きを減少させるために使用することができる。スキャナのオペレータは、頭部の動きについてのなんらかの突然の又は異常な変化に関するアラートを受けることができ、対象が不快を感じ始めたために対象がより動き始めた場合にトイレ休憩、毛布の提供、体位変更又は他の介入によって彼らがより快適となるか否かを調べるためにそのようなスキャンを中断することができる。いくつかの態様では、本明細書で提供される方法は、スキャン後に及び/又はリアルタイムで頭部の動きに関する情報を対象にフィードバックするためのオプションをさらに含む。開示された方法は、スキャナのオペレータに、必要量の低移動データを最低コストで提供する「スイートスポット」を見つけることができるようにする。本方法の後に、動きに対処するために、例えば、スキャンを停止させることができ、対象に静止したままを維持することを試す方法をさらに指示又はリマインドすることができ、スキャンを再取得することができる。
【0024】
図1を参照すると、fMRIデータセットのセットを処理して、対象の移動を補償するためにデータセットをセット内の参照データセットに対してアライメントするための非限定的な例示的な方法100が示されている。方法100は、ステップ102において、磁気共鳴画像システムからfMRIデータをfMRIデータセット又は画像/フレームの形で受け取ることを含む。fMRIデータセットは、コンピューティングデバイスによって、ネットワークを介して磁気共鳴画像システムから、又はコンピューティングデバイスに連結された若しくはコンピューティングデバイスと通信するストレージ装置から、受け取ることができる。fMRIデータセットは、上述のように、対象がタスクを遂行している期間にわたって取得されたデータではなく安静時の期間にわたって取得されたデータを強調するためにrs-fMRIプロセスを用いて再構成することができる。また、rs-fMRI再構成プロセスを用いることにより、以下に記載するように動き補正のためのデータを準備することもできる。
【0025】
方法100はまた、ステップ104において、データセットを参照データセットと比較することを含んでもよい。各データセット又は画像は、一連の剛体変換Tを介して参照データセットに対してアライメントしてもよく、ここで、iは、2番目のデータセットから開始して、データセットiのデータセットのリファレンスIへの空間レジストレーションについてインデックスを付けるものである。各変換は、レジストレーションエラーを絶対最小値に又は選択されたカットオフ値を下回るように最小限にすることによって算出することができる。
【0026】
【数1】
【0027】
式中、I(x)は位置(locus)xにおける画像強度であり、sは平均信号強度の変動を補償するスカラー因子であり、角括弧で示されているように、脳全体にわたって空間的に平均化されている。いくつかの態様では、データセットは、4dfp cross_realign3d_4dfpアルゴリズム(参考により本明細書に具体的に盛り込まれているSmyser,C.D.et al.2010,Cerebral cortex 20,2852-2862,(2010)を参照)を用いて再アライメントすることができる。代替のアライメントアルゴリズムを利用してデータセットをアライメントすることもできる。
【0028】
種々の態様において、各変換は、以下に記載されるように回転及び変位の組み合わせによって表現されてもよい。
【0029】
【数2】
【0030】
式中、Rは3つの軸(下記例1を参照)の各々での3つの基本回転(elementary rotation)を含む3×3の回転行列を表し、dは3×1の変位の列ベクトルを表す。Rは、R=Riαiβiγで表されるような3つの軸の各々での3つの基本回転を含んでもよく、式中、
【数3】
である。
【0031】
方法100はまた、ステップ106において示されるように、データセット又は画像と先行するデータセット又は画像との間の体部分の相対的な動きを決定することを含んでもよい。ある非限定的な例では、方法100は、ステップ106において、現在の画像フレームと先行する画像フレームとの間の体部分の相対的な動きを算出してもよい。体部分の相対的な動き(例えば、頭部の動き)は、x,y,z,θχ,θ,θζの6つのアライメントパラメータから算出することができ、ここで、x,y,zは3つの座標軸における並進移動であり、θχ,θ,θζはそれらの軸の周りの回転である。
【0032】
オプションで、方法100は、例えば、頭部の動きの複数の変位ベクトルを生成するために、ステップ108において、総合的な変位などのデータ品質メトリックを決定することも含んでもよい。非限定的な例では、総合的な変位は、体部分(例えば、頭部)の6つの方向における絶対変位を加算することによって算出され、それによって、体部分を剛体として扱うことができる。I番目のフレームのようなI番目のデータセットの頭部の動きは、以下の式を用いてスカラー量に変換することができる。
【0033】
【数4】
【0034】
回転変位、
【数5】
は、イメージングされている体部分の3Dボリューム表現の表面上の変位を算出することによって、度からミリメートルに変換されてもよい。非限定的な例では、頭部がイメージングされる場合、変位を算出するために選択される3Dボリュームは球体であってもよい。各データセットは参照データセットに対して再アライメントされるので、変位は、i番目の変位(現在のデータセットについてのものであり、現在のフレームに対応し得る)から、i-1番目の変位(以前のデータセットについてのものであり、以前のフレームに対応し得る)を差し引くことによって算出されてもよい。
【0035】
いくつかの態様では、方法100は、ステップ110において、総合的な変位についての所定の閾値を超えるカットオフを有するデータセットを除外することをさらに含んでもよい。完了すると、方法100は、MRIスキャンにおける各後続データセットについて開始に戻ってもよい。ステップ112において、データ品質メトリックの表示を行うことができ、ステップ114において、スキャンに残された時間の予測を行うことができる。
【0036】
図2を参照すると、データ取得中にMRIシステムのオペレータ及び/又はMRIシステム内の患者に感覚フィードバックを提供するための非限定的な例示的な方法200を示すフローチャートが示されている。方法200は、ステップ202において、スキャン中にMRI装置内の患者について決定された動きの1つ以上の成分に基づいてデータ品質メトリックを算出することを含んでもよい。202において、上述のような変位成分のうちの任意の1つ以上(例えば、フレームワイズ変位、スライス毎の変位/動き)、上述のような総合的な変位、上述のようなDVARSを含む他のデータ品質メトリック、及びそれらの任意の組み合わせを含む(ただしこれらに限定されない)あらゆるデータ品質メトリックが、本明細書に記載された限定なしに、算出されてもよい。
【0037】
方法200は、ステップ204において、ステップ202で算出されたデータ品質メトリックの少なくとも一部に基づいて、MRIシステムのオペレータへのビジュアル表示をリアルタイムで生成することを含む。適切な視覚フィードバック表示の非限定的な例は、GUIの少なくとも一部、ライトバー、ビデオ、画像などを含む。種々の態様において、MRIシステムのオペレータに対する視覚フィードバック表示に含まれ得る視覚要素は、本明細書に記載されるような、スキャンで受け取った全てのデータセットについてのデータ品質メトリックを表示する1つ以上のグラフ、現在及び以前のスキャンの品質に関する要約統計情報の表、現在のスキャンで得られた利用可能なデータセットの累積数を伝えるグラフ要素若しくは表要素、現在のスキャンに残された時間の量を伝える表要素若しくはグラフ要素、所定の数の利用可能なスキャンを得るための現在のスキャンで残された時間の予測される量を伝える表要素若しくはグラフ要素、並びにそれらの任意の組み合わせを含み得るが、これらに限定されるものではない。種々の態様において、視覚フィードバック表示の要素は、各関連する量が算出される際に各表示が更新されるリアルタイム速度以下の任意の予め選択された速度で更新することができる。視覚フィードバック表示の要素はMRIシステムのオペレータからの要求に応じて更新することができ、視覚フィードバック表示の要素は、データセット間の対象のモニタされた動きの有意な増加、累積動き又は任意の他の適切な基準を含む(ただしこれらに限定されない)複数の因子のうちの少なくとも1つに応答して動的に更新することができる。
【0038】
方法200は、オプションで、ステップ206において、fMRIデータの取得中にスキャナ内の患者のための感覚フィードバック表示を生成することを含んでもよい。以下にさらに詳細に説明するように、ステップ206で生成される感覚フィードバック表示は、患者の年齢及び状態を含む(ただしこれらに限定されない)複数の因子の少なくとも1つに基づいて、スキャン終了時の単一の更新から、リアルタイムでの連続的な更新に及ぶ、多種多様のリフレッシュ速度で更新することができる。
【0039】
種々の態様において、方法200は、ステップ208において、ステップ206で生成された感覚フィードバック表示に応答して、以前のデータセットと現在のデータセットとの間の患者の総合的な動きを決定することをさらに含んでもよい。一態様では、方法200は、ステップ210において、複数の因子の少なくとも1つを評価して、現在のfMRIスキャンを終了すべきか否かを決定することをさらに含む。種々の態様において、スキャンは、容認できないほど大きい動き及び容認できないほど多数の比較的小さい動きの1つ以上の動き、適切な数の使用可能なデータセットが得られたとの決定、スキャンに残された時間内で適切な数の使用可能なデータセットが得られないとの予測、適切な数の使用可能なデータセットが妥当な累積スキャン時間内に得られないとの予測、並びにそれらの任意の組み合わせを含む(ただしこれらに限定されない)複数の終了基準のうちの少なくとも1つにしたがって終了することができる。ステップ210でスキャンを継続すると決定された場合、方法200は、後続データセットについて方法200の別の繰り返しを開始するために、ステップ202でデータ品質メトリックを算出するために部分的に使用される少なくとも1つのフィードバック信号212を伝えることができる。
【0040】
一態様では、本明細書において提供されるシステム及び方法は、MRIスキャンを受けている対象に視覚フィードバック表示を提供することができる。この態様では、視覚フィードバック表示の特徴を、上述のような方法を用いて得られた対象の検出された動きに基づいて、対象の動きの発生を伝えるために変化させてもよい。動きの発生を伝えるために、サイズ、形状、色、質感、明るさ、焦点、位置、点滅速度、任意の他の適切な視覚要素の特徴、及びそれらの任意の組み合わせを含む(ただしこれらに限定されない)視覚フィードバック表示の1つ以上の要素の任意の特徴を選択して変化させてもよい。
【0041】
別の態様では、MRIスキャンを受けている対象に聴覚フィードバック表示を提供することができる。聴覚フィードバック表示の特徴は、上述のような方法を用いて得られた対象の検出された動きに基づいて、対象の動きの発生を伝えるために変化してもよい。動きの発生を伝えるために、音楽セレクションの再生における休止、音楽セレクションの再生の再開、言語的合図、音の音量、音のピッチ、一連の音の各音の持続時間、一連の音のリピート率、音のピッチ若しくは音量の安定性若しくは揺れ、任意の他の適切な聴覚フィードバックの特徴、及びそれらの任意の組み合わせを含む(ただしこれらに限定されない)聴覚フィードバック表示の1つ以上の要素の任意の特徴を選択して変化させてもよい。
【0042】
種々の態様において、感覚フィードバック表示の特徴を、MRIスキャナ内の対象の検出された動きの程度又は大きさに基づいて変化させてもよい。一態様では、感覚フィードバック表示の特徴を、対象の検出された動きの程度に比例して連続的に変化させてもよい。別の態様では、感覚フィードバック表示の特徴を、特徴の個別セット内で変化させてもよく、その場合、個別セット内の各特徴は、動きなし、小さい動き、中程度若しくは中間レベルの動き、及び大きい動きを含む(ただしこれらに限定されない)1つのレベルの動きの発生を伝えるように構成される。
【0043】
種々の態様において、感覚フィードバック表示は、単一のx方向、y方向、若しくはz方向における並進移動、又は、単一のx方向、y方向、若しくはz方向の周りでの回転などの動きの単一の成分における変化に応答して変化でき、感覚フィードバック表示は、動きの2つ以上の成分の組み合わせにおける変化に応答して変化でき、あるいは、感覚フィードバック表示は、上述の変位などの総合的な動きのメトリックに応答して変化できる。一態様では、動きの発生を対象に伝えるために感覚フィードバック表示の1つの特徴を変化させる。別の態様では、動きの発生を対象に伝えるために、感覚フィードバックの2つ以上の特徴は独立に変化し、その際、各特徴は動きの成分のサブセットに基づいて変化する。非限定的な例として、感覚フィードバック表示は、x方向における対象の動きに基づいて変化する第1の特徴、並びにy方向及びz方向における対象の複合の動きに基づいて独立して変化する第2の特徴を含んでもよい。非限定的な例では、感覚フィードバック表示は患者に表示されるカラーコードされた指示を含んでもよく、例えば、動きがx方向に生じたことを示すために赤が使用され、y方向における動きについて緑が使用され、z方向における動きについて青が使用される。
【0044】
種々の態様において、感覚フィードバック表示の特徴が更新される頻度は、スキャン中に十分に小さい動きが維持されたか否かを伝えるためのスキャン終了時の単一フィードバック表示から、上記方法によって動きがモニタされるリアルタイム頻度と同等の頻度まで、そして、限定しない任意の中間的な頻度まで、及んでもよい。種々の態様において、感覚フィードバック表示の特徴が更新される頻度は、対象の年齢、注意欠陥障害若しくは学習障害などの対象の状態、及び任意の他の限定しない関連する対象の特徴を含む(ただしこれらに限定されない)、MRIスキャナ内のイメージングされている対象の少なくとも1つの特徴に基づいて選択されてもよい。種々の態様において、方法は、単一のデータセットからの動きの値又は複数のデータセットにわたる動きの値の組み合わせに基づくフィードバックを提供する。種々の他の態様において、方法は、リアルタイムフィードバック及び時間遅延フィードバックを提供する。非限定的な例として、非常に幼い子供について高い更新頻度を感覚フィードバック表示に使用する場合、より面白い動的な感覚フィードバック経験を提供する方法として、表示は、子供にMRIスキャナ内で動きを増やすよう促してもよい。種々の態様において、感覚フィードバック表示の特徴が更新される頻度は、MRIスキャンを通して一定の更新速度であるように指定されてもよく、あるいは更新速度は、対象の動きの瞬間的な及び/又は累積的な評価に基づいて動的に変化してもよい。
【0045】
感覚フィードバックの非限定的な例では、fMRIスキャンを受ける対象は、固定クロスヘア(例えば、ターゲット)を見るように指示されてもよい。クロスヘアは、対象の検出された動き(例えば、頭部の動き)に基づいて色分けされてもよく、そして対象は、スキャン中に静止したままでいることによってクロスヘアを一定の色(例えば、第1の色)に維持するように指示されてもよい。対象の動きにおける検出された変化の結果として、クロスヘアは、第2の色(例えば、中程度の動きを表すためのもの)、又は第3の色(例えば、大きい動きを表すためのもの)に変化してもよく、それによって、対象はスキャン中に自身の動きをモニタ及び調節することができるようになる。
【0046】
感覚フィードバックの非限定的な例では、MRIスキャンを受けている対象は、動画クリップを見るように指示されてもよい。対象の動きのレベル(小さい動き、中程度の動き、大きい動き)に基づいて、動画クリップ上の視覚的な障害によって対象が動画クリップの一部を見ることを妨害してもよい。例えば、対象に、動画クリップの妨害されていないビューを見るためにスキャン中に静止したままでいるよう指示してもよい。対象の動きのレベルに基づいて、動画クリップが一定サイズの矩形ブロック(例えば、中程度の動きについて小さい黄色の矩形、及び大きい動きについて大きい赤色の矩形)によって妨害されてもよい。このようにして、対象は、リアルタイムの視覚フィードバックに基づいてスキャン中に自身の動きをモニタ及び調節することができる。
【0047】
一定の及び適応可能なフィードバック条件が、リアルタイム視覚表示又は感覚フィードバックのために提供されてもよい。一定のフィードバック条件の一態様では、小さい、中程度の及び大きい動きについての閾値が、fMRIスキャンの期間中に一定に保たれてもよい。適応可能なフィードバック条件の別の態様では、小さい、中程度の及び大きい動きについての閾値を変化させることができ、fMRIスキャンの期間中により厳しい(例えば、より低い)閾値に置き換えられてもよい。適応可能なフィードバック条件を用いることで、MRIスキャナは対象の静止したままでいる能力に適応することができ、そして、例えば、クロスヘアを第1の色に保つ又は動画クリップを視覚的に妨害されていない状態に保つ難易度を高めることができる。
【0048】
いくつかの態様では、マルチバンドイメージングを含む(ただしこれに限定されない)MRI取得手順における変更は、これまでのfMRI取得手順と比較して、時間的及び空間的解像度を向上させることができる。しかしながら、時間的及び空間的解像度の向上は、取得後データセットアライメント手順からの動き推定においてアーチファクトを伴う可能性があり、これは主に呼吸中の胸部の動きによって生じると考えられる。何らかの特定の理論に限定されることなく、呼吸に関連する胸部の動きはMRIデータ取得中に静磁場(B)を変化させ、それは、実際の頭部の動きがなくても、リアルタイムの動きモニタリングで使用されるあらゆるデータセット間アライメント手順を「頭部の動き」の補正に「トリック」する。一態様では、動き推定から呼吸関連アーチファクトを除去するためのオプションのバンドストップ(又はノッチ)フィルタが提供され、それにより、動きのリアルタイム表現の精度が向上する。
【0049】
ノッチフィルタ(例えば、バンドストップフィルタ)を動き測定値に適用して、対象の呼吸によって生じる動き推定からアーチファクトを除去することができる。対象の呼吸はfMRIにおける動き推定の品質を落とし、それによって、得られたfMRIデータの品質を歪める可能性がある。いくつかの態様は、電力に対してサンプル集団の呼吸ピークの大部分を取り込むために、一般的なノッチフィルタを利用する。対象の呼吸ベルトデータに特異的なフィルタパラメータに基づく対象特異的フィルタを使用することができる。
【0050】
帯域阻止(例えば、ノッチフィルタ)は、エイリアシングされた呼吸数に対応する動き推定値内のスプリアス信号を除去するために実装されてもよい。このフィルタは、不要な周波数成分を除去する一方で、他の成分については影響を受けないままにすることができる。ノッチフィルタは、中央カットオフ周波数及び除去される周波数のバンド幅若しくは範囲の設計パラメータを含んでもよい。中央カットオフ周波数及びバンド幅のパラメータを確立するために、データ取得中にfMRIのさまざまな対象から得られた呼吸数の分布を分析し、分布の中央値をカットオフ周波数として使用してもよく、分布の第2四分位数及び第3四分位数(quartiles 2 and 3)をノッチフィルタのバンド幅を決定するために使用してもよい。これらのパラメータを確立した後に、MRノッチフィルタ機能を使用してノッチフィルタを設計してもよい。所与のサンプリングレート(1/TR)については、呼吸数はエイリアシングできない可能性がある。他の場合において、TRと呼吸数の組み合わせがエイリアシングをもたらすときには、エイリアシングされた呼吸数を代わりに使用してもよい。
【0051】
設計されたフィルタは差分方程式を含んでもよい。動き推定を表すシーケンスに適用されるとき、この差分方程式は、瞬時フィルタ処理された信号を提供するために、2つの以前のサンプルに再帰的に重み付けを行うことができる。この手順は、3番目のサンプルから開始して、以前の2点を重み付けし、最後の時点がフィルタ処理されるまで続けることができる。このような実装におけるフィルタ処理された信号は、元の信号に対して位相遅延を有し得る。この位相遅延は、逆位相のずれが互いに打ち消し合うように、フィルタを2回、つまり、1回目を順方向に、2回目を逆方向に適用することにより、補償することができる。フィルタがシーケンス全体に適用された後、同じフィルタ(差分方程式)が逆方向に再適用されてもよく、この際、順方向フィルタ処理されたシーケンスの最後の時点がフィルタの逆方向適用のための最初の点として使用され、そして、順方向フィルタ処理されたシーケンスの最初の時点がフィルタ処理されるまで、再帰的処理が継続されてもよい。種々の態様において、設計されたノッチフィルタ(一般的なもの及び対象特異的なもの)が、データ品質を向上させるために動き推定後処理のシーケンスに適用されてもよい。
【0052】
図3を参照すると、N次フィルタを用いて呼吸などの検出された動きデータに関連するアーチファクトを除去するための非限定的な例示的な方法300を示すフローチャートが示されている。一態様では、方法300は、ステップ302において、N次フィルタを生成するのに使用される2N+1個のデータセットをMRIシステムから受け取ることを含む。2N+1個のデータセットに加えて、方法300はステップ304において最小及び最大呼吸数に基づいてN次フィルタを生成することをさらに含んでもよい。種々の態様において、対象の呼吸数は、MRIスキャナにおいて患者から得られたMRI信号から呼吸数情報を抽出するよう構成された対象に装着される呼吸モニタベルト、及び他の任意の適切な限定しない方法を含む(ただしこれらに限定されない)さまざまな装置及び方法を用いて得られてもよい。
【0053】
方法300は、ステップ306において、本明細書に記載の方法を使用して患者の体部分の動きを算出することをさらに含んでもよい。この方法は、ステップ308において、ステップ302で生成されたN次フィルタを、データ取得時間に関して順方向及び逆方向に、現在のデータセットに適用することをさらに含んでもよい。両方向のN次フィルタを使用して、フィルタ処理されたデータから位相ラグを排除することができる。ステップ310において、フィルタ処理された動き推定値を用いて、変位を含む(ただしこれに限定されない)データ品質メトリックを算出してもよい。ステップ312において追加のデータセットが取得される場合、方法は、ステップ302で以前に受け取った2N+1個のデータセットの中で最も早いデータセットをステップ312で受け取ったデータセットと置き換えて、方法300の後続の繰り返しを開始してもよい。
【0054】
また、設計されたフィルタは、ノッチフィルタの差分方程式に従う以前の推定値を重み付けすることによって、動きの各瞬時推定値をフィルタで除去することができるので、リアルタイムに適用することができる。一態様では、フィルタは、結果として得られる時間位相ラグを最小にするために擬似リアルタイムで実行される。この態様では、非限定的な例における5つのサンプルなどの指定された数のサンプルが得られると、フィルタを2回適用することができ、最良推定値は3つ目のサンプルに対応する値となるであろう。この遅延信号には位相遅延はない。新しいサンプルが得られるたびにフィルタをシークエンス全体に2回適用することができ、プロセスを繰り返すことができる。新しいサンプルが測定されるたびに、フィルタ処理されたシーケンスは、フィルタがシーケンス全体に2回適用されたときに得られる最適な出力に近づくように収束する。所定の実行(run)の最終データセットにおいて、フィルタ処理されたシーケンスは、後処理中に得られたフィルタ処理されたシーケンスと同一である。したがって、設計されたノッチフィルタは、上述の動き予測方法を使用して動きのリアルタイム推定の精度を向上させるためにリアルタイムで使用されてもよい。
【0055】
種々の態様において、最小二乗適応フィルタ処理を含む適応フィルタ処理方法をリアルタイムで適用して、変位データを含む(ただしこれに限定されない)測定された対象の変位データからの、心拍数や呼吸数などの対象の動きデータからの望ましくない数に関連する信号コンテンツを、これらのデータに位相ラグを同時に取り込まずに、特定し、除去することができる。一態様では、リアルタイム適応フィルタを使用してfMRIデータから呼吸関連アーチファクトを除去することができる。
【0056】
図4を参照すると、非限定的な例としての適応フィルタ処理方法400を示すフローチャートが示されている。この方法は、上述の方法を使用してMRIスキャナ内の対象から得られたデータセットから導出された変位(例えば、フレームワイズ変位(FD)、スライス毎変位など)データを含む(ただしこれらに限定されない)ステップ402での未フィルタ処理信号、及び、ステップ406で適応フィルタを使用して除去されるステップ404におけるノイズ信号の最良推定値を利用する。適応フィルタ法400は、ステップ408において、望ましくない信号による測定された信号への寄与を最急降下法によってリアルタイムで最小化し、これにより、最適フィルタ処理済シーケンスを提供することができる。この方法はステップ410において繰り返すことができる。適応フィルタに入力される適切なノイズ信号の非限定的な例には、MRIスキャナ内の対象の呼吸数のリアルタイム測定値、対象の呼吸数に対応する周波数を有する異なる位相での複数の正弦波信号の合計、及び、他の任意の適切な対象の呼吸数の推定値が含まれる。一態様では、参加者の呼吸数は、Tw又は以前のシーケンスが取得される間に測定され、信号ノイズ入力として使用される。
【0057】
一態様では、適応フィルタ法400は、上述の方法を用いて決定された各方向(すなわち、x,y,z,θχ,θ,θζ)における頭部の動きの第1の推定値を受け取ることを含む。頭部の動きのこの第1の推定値は、実際の頭部の動き(s)と望ましくないアーチファクト(n)との両方を含む。これらの二つの信号(s)及び(n)は独立しており、相関関係がないと仮定することができる。追加的な入力を、受け取った望ましくないアーチファクト(n=n)の最良推定のために使用されてもよい。望ましくないアーチファクトnが呼吸数に対応する場合、この信号は呼吸数のリアルタイム測定値として提供されてもよい。別の態様では、呼吸のリアルタイム測定が利用できない場合、複数の正弦波信号の和を含む正弦波信号が生成されてもよく、最も可能性の高い呼吸数がスキャナ内の対象に対応する。このエラー信号は、エラー信号の最適化推定値(y(T))を生成するために、適応フィルタによってフィルタで除去されてもよい。この態様では、適応フィルタの目標は、エラー信号の最適化推定値(y(T))と頭部の動きの測定推定値(d(T))との相関を最大にすることであってもよい。第1のデータセットを使用する場合、適応フィルタは信号(n)に影響を及ぼさない可能性がある。また、この態様では、エラー信号の最適化推定値(y(T))を頭部の動きの測定推定値(d(T))から差し引いて、エラー信号を算出することができる(すなわち、e(T)=s+n-y(T))。このエラーは、信号(y(t))を測定値(d(T))に可能な限り関連付けるために適応フィルタのパラメータを修正するためのフィードバック信号として使用されてもよい。実際の頭部の動き(s)と実際のアーチファクト(n)とは相関がないので、nとd(T)の間の相関関係の最大化は、nとnの間の一致によってなされ得る。したがって、これらの信号(d(T)及びy(T))を差し引くことで、望ましくないアーチファクトが除去される。一態様では、適応フィルタ法は、望ましくないアーチファクトの推定を最大にするように2階の差分方程式のパラメータが最適化される十分に確立された方法を用いて実行されてもよい。
【0058】
種々の態様において、本開示による方法は、MRIシステムと、1つ以上のプロセッサ又はコンピューティングデバイスとを含むシステムによって実装することができる。種々の態様において、本明細書に記載される1つ以上の動作は、動作を実行するようにプログラムされた物理回路を有する1つ以上のプロセッサによって実装することができる。種々の他の態様において、方法の1つ以上の工程は、1つ以上のプロセッサ又はコンピューティングデバイスによって自動的に実行されてもよい。種々のさらなる態様において、図示された様々な行為は、図示されたシーケンスで実行されてもよく、他のシーケンスで実行されてもよく、並行して実行されてもよく、あるいは場合によっては省略されてもよい。
【0059】
いくつかの態様では、上述の方法及びプロセスは、1つ以上のコンピュータを含むコンピューティングシステムを使用して実装することができる。本明細書に記載する方法及びプロセスは、コンピュータアプリケーション、コンピュータサービス、コンピュータAPI、コンピュータライブラリ、及び/又は、他のコンピュータプログラム製品として実装することができる。
【0060】
図5を参照すると、本明細書に記載された方法を実行することができるMRIシステム500の例が示されている。MRIシステム500は、ディスプレイ504、1つ以上の入力装置506(例えば、キーボード、マウス)、及びプロセッサ508を含み得るオペレータワークステーション502を含む。プロセッサ508は、市販のオペレーティングシステムを実行する市販のプログラマブルマシンを含んでもよい。オペレータワークステーション502は、MRIシステム500へのスキャンパラメータの入力を容易にするオペレータインターフェースを提供する。オペレータワークステーション502は、例えば、パルスシーケンスサーバ510、データ取得サーバ512、データ処理サーバ514及びデータ格納サーバ516を含むさまざまなサーバに接続することができる。オペレータワークステーション502並びにサーバ510,512,514及び516は、有線又は無線ネットワーク接続を含み得る通信システム540を介して接続されてもよい。
【0061】
パルスシーケンスサーバ510は、勾配システム518及び高周波(「RF」)システム520を動作させるためにオペレータワークステーション502によって提供される指示に応答して機能する。所定のスキャンを実行するための勾配波形が生成され、勾配システム518に適用され、この勾配波形は、次いで、アセンブリ522内の勾配コイルを励起して磁場勾配G,G及びGを生成し、これが磁気共鳴信号を空間的に符号化するために使用される。勾配コイルアセンブリ522は、分極磁石526及び全身RFコイル528を含む磁石アセンブリ524の一部を形成する。
【0062】
RF波形は、規定の磁気共鳴パルスシーケンスを実行するために、RFシステム520によってRFコイル528に、又は別体のローカルコイルに印加される。RFコイル528、又は別体のローカルコイルによって検出された応答性磁気共鳴信号は、RFシステム520によって受信される。応答性磁気共鳴信号は、パルスシーケンスサーバ510によって生成された命令の指示の下で増幅、復調、フィルタ処理、及びデジタル化されてもよい。RFシステム520は、MRIパルスシーケンスで使用される多種多様なRFパルスを生成するためのRF送信機を備える。RF送信機は、パルスシーケンスサーバ510からの規定のスキャン及び命令に応答して、所望の周波数、位相及びパルス振幅波形を有するRFパルスを生成する。生成されたRFパルスは、全身RFコイル528に、又は1つ以上の局所コイル若しくはコイルアレイに印加されてもよい。
【0063】
RFシステム520はまた、1つ以上のRF受信機チャネルを含む。RF受信機チャネルはRF前置増幅器及び検出器を含み、RF前置増幅器はRF前置増幅器が接続されているコイル528によって受信される磁気共鳴信号を増幅し、検出器は受信された磁気共鳴信号のI及びQ直交成分を検出してデジタル化する。したがって、受信された磁気共鳴信号の大きさは、以下のようにI成分とQ成分の二乗の和の平方根によって、サンプリングされたポイントにおいて決定することができる。
【0064】
【数6】
【0065】
また、受信された磁気共鳴信号の位相は、以下の関係にしたがって決定することができる。
【0066】
【数7】
【0067】
パルスシーケンスサーバ510は、生理学的取得コントローラ530から患者データを受け取ることができる。一実施形態では、生理学的取得コントローラ530は、電極からの心電計(「ECG」)信号又は呼吸ベローズ若しくは他の呼吸モニタリング装置からの呼吸信号を含む信号を、患者に接続された多数の異なるセンサから受け取ることができる。これらの信号は、対象の心拍又は呼吸とスキャンの性能とを同期させる、又は「ゲート」するために、パルスシーケンスサーバ510によって使用することができる。
【0068】
また、パルスシーケンスサーバ510は、患者の状態に関連する様々なセンサ及び磁石システムから信号を受け取るスキャンルームインターフェース回路532に接続することができる。患者位置決めシステム534は、スキャンルームインターフェース回路532を介して、スキャン中に患者を所望の位置に移動させる命令を受け取ることができる。
【0069】
RFシステム520によって生成されデジタル化された磁気共鳴信号サンプルは、データ取得サーバ512によって受け取られる。データ取得サーバ512は、オペレータワークステーション502からダウンロードされた命令に応答して動作し、リアルタイム磁気共鳴データを受け取り、バッファストレージを提供してデータオーバーランによってデータが失われないようにする。あるスキャンでは、データ取得サーバ512は、取得された磁気共鳴データをデータプロセッササーバ514に渡す。取得された磁気共鳴データから導出された情報がスキャンのさらなる性能を制御するために必要とされるスキャンでは、データ取得サーバ512は、そのような情報を生成してこれをパルスシーケンスサーバ510に伝えるようにプログラムされてもよい。例えば、プレスキャン中に、磁気共鳴データが取得され、パルスシーケンスサーバ510によって実行されるパルスシーケンスをキャリブレートするために使用されてもよい。別の例として、ナビゲータ信号が取得され、RFシステム520若しくは勾配システム518の動作パラメータを調節するために又はk空間がサンプリングされるビュー順序を制御するために使用されてもよい。さらに別の実施形態では、データ取得サーバ512は、磁気共鳴血管造影(「MRA」)スキャンにおいて造影剤の到達を検出するために使用される磁気共鳴信号を処理することもできる。例えば、データ取得サーバ512は、磁気共鳴データを取得し、これをリアルタイムで処理して、スキャンを制御するために使用される情報を生成することができる。
【0070】
データ処理サーバ514は、データ取得サーバ512から磁気共鳴データを受け取り、オペレータワークステーション502によって提供される指示にしたがって磁気共鳴データを処理する。そのような処理は、例えば、生のk空間データのフーリエ変換を行うこと、他の画像再構成アルゴリズム(例えば、反復又は逆投影再構成アルゴリズム)を行うこと、生のk空間データ若しくは再構成画像にフィルタを適用すること、機能的磁気共鳴画像を生成すること、又は動き若しくは流れの画像を算出することによって二次元若しくは三次元画像を再構成することを含んでもよい。
【0071】
データ処理サーバ514によって再構成された画像は、オペレータワークステーション502に戻されて格納される。リアルタイム画像はデータベースキャッシュメモリに格納され、そこからオペレータディスプレイ502又はディスプレイ536に出力される。バッチモード画像又は選択されたリアルタイム画像は、ディスクストレージ538上のホストデータベースに格納されてもよい。そのような画像が再構成されてストレージに送られると、データ処理サーバ514はオペレータワークステーション502のデータ格納サーバ516に通知することができる。オペレータワークステーション502は、オペレータが画像をアーカイブしたり、フィルムを作成したり、ネットワークを介して他の施設に画像を送ったりするために使用することができる。
【0072】
MRIシステム500はまた、1つ以上のネットワーク化されたワークステーション542を含んでもよい。例えば、ネットワーク化されたワークステーション542は、ディスプレイ544、1つ以上の入力装置546(例えば、キーボード、マウス)、及びプロセッサ548を含んでもよい。ネットワーク化されたワークステーション542は、オペレータワークステーション502と同一の施設内に配置されるか、あるいは別の医療施設又は診療所のような別の施設内に配置されてもよい。
【0073】
ネットワーク化されたワークステーション542は、通信システム540を介してデータ処理サーバ514又はデータ格納サーバ516にリモートアクセスすることができる。したがって、複数のネットワーク化されたワークステーション542がデータ処理サーバ514及びデータ格納サーバ516にアクセスすることができる。このようにして、磁気共鳴データ、再構成された画像又は他のデータを、データ処理サーバ514又はデータ格納サーバ516とネットワーク化されたワークステーション542との間で交換することができ、データ又は画像をネットワーク化されたワークステーション542によってリモートで処理することができる。
【0074】
ここで図6Aを参照すると、本開示に記載されるシステム及び方法のいくつかの実施形態による、機能マッピング誘導介入ターゲティング(例えば、脳刺激のための解剖学的ターゲットの決定)のためのシステム600の例が示されている。図6Aに示すように、コンピューティングデバイス650は、MRIソースであってもよい画像ソース602から、1つ以上のタイプのデータ(例えば、fMRI、タスクベースfMRI、及び/又はrs-fMRIデータ)を受け取ることができる。いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイス650は、機能マッピング誘導介入ターゲティングシステム604の少なくとも一部を実行して、画像ソース602から受け取ったデータから介入ターゲットを生成することができる。
【0075】
加えて又は代替的に、いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイス650は、画像ソース602から受け取ったデータに関する情報を、機能マッピング誘導介入ターゲティングシステム604の少なくとも一部を実行することができる通信ネットワーク654を介してサーバ652に通信することができる。そのような実施形態では、サーバ652は、機能マッピング誘導介入ターゲティングシステム604の出力を示す情報をコンピューティングデバイス650(及び/又は他の任意の適切なコンピューティングデバイス)に戻すことができる。
【0076】
いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイス650及び/又はサーバ652は、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ウェアラブルコンピュータ、サーバコンピュータ、又は、物理的コンピューティングデバイスによって実行される仮想マシンなどの任意の適切なコンピューティングデバイス、又はデバイスの組み合わせとすることができる。コンピューティングデバイス650及び/又はサーバ652はデータから画像を再構成することもできる。
【0077】
いくつかの実施形態では、画像ソース602は、磁気共鳴イメージングシステム、別のコンピューティングデバイス(例えば、画像データを格納するサーバ)などの、任意の適切な画像データ(例えば、測定データ、測定データから再構成された画像)のソースとすることができる。いくつかの実施形態では、画像ソース602は、コンピューティングデバイス650に対してローカルに配置可能である。例えば、画像ソース602にコンピューティングデバイス650が組み込まれてもよい(例えば、コンピューティングデバイス650は、画像の取り込み、スキャン及び/又は格納のための装置の一部として構成することができる)。別の例として、画像ソース602は、ケーブルや無線リンクなどによってコンピューティングデバイス650に接続することができる。加えて又は代替的に、いくつかの実施形態では、画像ソース602はコンピューティングデバイス650に対してローカルに及び/又はリモートに配置することができ、通信ネットワーク(例えば、通信ネットワーク654)を介してデータをコンピューティングデバイス650(及び/又はサーバ652)に通信することができる。
【0078】
いくつかの実施形態では、通信ネットワーク654は、任意の適切な通信ネットワーク又は通信ネットワークの組み合わせとすることができる。例えば、通信ネットワーク654は、Wi-Fi(登録商標)ネットワーク(1つ以上の無線ルータ、1つ以上のスイッチなどを含むことができる)、ピアツーピアネットワーク(例えば、Bluetooth(登録商標)ネットワーク)、セルラーネットワーク(例えば、CDMA、GSM、LTE、LTE Advanced、WiMAXなどの任意の適切な標準に準拠する3Gネットワーク、4Gネットワークなど)、有線ネットワークなどを含むことができる。いくつかの実施形態では、通信ネットワーク654は、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、パブリックネットワーク(例えば、インターネット)、プライベート若しくはセミプライベートネットワーク(例えば、企業又は大学のイントラネット)、他の任意の適切な種類のネットワーク、又はネットワークの任意の適切な組み合わせとすることができる。通信リンクは、各々、有線リンク、光ファイバリンク、Wi-Fi(登録商標)リンク、Bluetooth(登録商標)リンク、セルラーリンクなど、任意の適切な通信リンク又は通信リンクの組み合わせとすることができる。
【0079】
ここで図6Bを参照すると、本開示に記載されたシステム及び方法のいくつかの実施形態による、画像ソース602、コンピューティングデバイス650、及びサーバ652を実装するのに使用することができるハードウェア700の例が示されている。図6Bに示すように、いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイス650は、プロセッサ702、ディスプレイ704、1つ以上の入力706、1つ以上の通信システム708、及び/又はメモリ710を含むことができる。いくつかの実施形態では、プロセッサ702は、中央処理装置(「CPU」)、グラフィック処理装置(「GPU」)などの任意の適切なハードウェアプロセッサ又はプロセッサの組み合わせとすることができる。いくつかの実施形態では、ディスプレイ704は、コンピュータモニタ、タッチスクリーン、テレビなどの任意の適切なディスプレイ装置を含むことができる。いくつかの実施形態では、入力706は、例えば、キーボード、マウス、タッチスクリーン、マイクロフォンなどの、ユーザ入力を受け取るために使用できる任意の適切な入力装置及び/又はセンサを含むことができる。
【0080】
いくつかの実施形態では、通信システム708は、通信ネットワーク654及び/又は任意の他の適切な通信ネットワークを介して情報を通信するための任意の適切なハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアを含むことができる。例えば、通信システム708は、1つ以上の送信機、1つ以上の通信チップ及び/又はチップのセットなどを含むことができる。より特定の例では、通信システム708は、Wi-Fi(登録商標)接続、Bluetooth(登録商標)接続、セルラー接続、イーサネット(登録商標)接続などを確立するために使用できるハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアを含むことができる。
【0081】
いくつかの実施形態では、メモリ710は、指示、値、データなどを格納するために使用することができる任意の適切なストレージ装置又は複数のストレージ装置を含むことができ、これは、例えば、ディスプレイ704を用いてコンテンツを提示するため又は通信システム708を介してサーバ652と通信するためにプロセッサ702によって使用することができる。メモリ710は、任意の適切な揮発性メモリ、不揮発性メモリ、ストレージ、又はそれらの任意の適切な組み合わせを含むことができる。例えば、メモリ710は、RAM、ROM、EEPROM、1つ以上のフラッシュドライブ、1つ以上のハードディスク、1つ以上のソリッドステートドライブ、1つ以上の光ドライブなどを含むことができる。いくつかの実施形態では、メモリ710は、コンピューティングデバイス650の動作を制御するためのコンピュータプログラムがエンコードされているか、あるいは格納されていてもよい。このような実施形態では、プロセッサ702は、コンピュータプログラムの少なくとも一部を実行して、コンテンツ(例えば、画像、ユーザインターフェース、グラフィックス、テーブル)を提示する、サーバ652からコンテンツを受け取る、サーバ652に情報を送信するなどすることができる。
【0082】
いくつかの実施形態では、サーバ652は、プロセッサ712、ディスプレイ714、1つ以上の入力716、1つ以上の通信システム718、及び/又はメモリ720を含むことができる。いくつかの実施形態では、プロセッサ712は、CPU、GPUなどの任意の適切なハードウェアプロセッサ又はプロセッサの組み合わせとすることができる。いくつかの実施形態では、ディスプレイ714は、コンピュータモニタ、タッチスクリーン、テレビなどの任意の適切なディスプレイ装置を含むことができる。いくつかの実施形態では、入力716は、例えば、キーボード、マウス、タッチスクリーン、マイクロフォンなどの、ユーザ入力を受け取るために使用できる任意の適切な入力装置及び/又はセンサを含むことができる。
【0083】
いくつかの実施形態では、通信システム718は、通信ネットワーク654及び/又は任意の他の適切な通信ネットワークを介して情報を通信するための任意の適切なハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアを含むことができる。例えば、通信システム718は、1つ以上の送信機、1つ以上の通信チップ及び/又はチップのセットなどを含むことができる。より特定の例では、通信システム718は、Wi-Fi(登録商標)接続、Bluetooth(登録商標)接続、セルラー接続、イーサネット(登録商標)接続などを確立するために使用できるハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアを含むことができる。
【0084】
いくつかの実施形態では、メモリ720は、指示、値、データなどを格納するために使用することができる任意の適切なストレージ装置又は複数のストレージ装置を含むことができ、これは、例えば、ディスプレイ714を用いてコンテンツを提示するため又は1つ以上のコンピューティングデバイス650と通信するためにプロセッサ712によって使用することができる。メモリ720は、任意の適切な揮発性メモリ、不揮発性メモリ、ストレージ、又はそれらの任意の適切な組み合わせを含むことができる。例えば、メモリ720は、RAM、ROM、EEPROM、1つ以上のフラッシュドライブ、1つ以上のハードディスク、1つ以上のソリッドステートドライブ、1つ以上の光ドライブなどを含むことができる。いくつかの実施形態では、メモリ720は、サーバ652の動作を制御するためのサーバプログラムがエンコードされているか、あるいは格納されていてもよい。そのような実施形態では、プロセッサ712は、サーバプログラムの少なくとも一部を実行して、1つ以上のコンピューティングデバイス650に情報及び/又はコンテンツ(例えば、データ、画像、ユーザインターフェース)を送る、1つ以上のコンピューティングデバイス650から情報及び/又はコンテンツを受け取る、1つ以上のデバイス(例えば、パーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォン)から指示を受け取るなどすることができる。
【0085】
いくつかの実施形態では、画像ソース602は、プロセッサ722、1つ以上の画像取得システム724、1つ以上の通信システム726、及び/又はメモリ728を含むことができる。いくつかの実施形態では、プロセッサ722は、CPU、GPUなどの任意の適切なハードウェアプロセッサ又はプロセッサの組み合わせとすることができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の画像取得システム724は、通常、データ、画像又はその両方を取得するように構成され、MRイメージングシステムを含むことができる。加えて又は代替的に、いくつかの実施形態では、1つ以上の画像取得システム724は、MRイメージングシステムに接続するため及び/又はMRイメージングシステムの動作を制御するための任意の適切なハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアを含むことができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の画像取得システム724の1つ以上の部分は取り外し可能及び/又は交換可能であってもよい。
【0086】
図示されていないが、画像ソース602は、任意の適切な入力及び/又は出力を含んでもよいことに留意されたい。例えば、画像ソース602は、キーボード、マウス、タッチスクリーン、マイクロフォン、トラックパッド、トラックボールなどの、ユーザ入力を受け取るために使用できる入力装置及び/又はセンサを含むことができる。別の例として、画像ソース602は、コンピュータモニタ、タッチスクリーン、テレビなど、1つ以上のスピーカなどの任意の適切なディスプレイ装置を含むことができる。
【0087】
いくつかの実施形態では、通信システム726は、コンピューティングデバイス650に(そしていくつかの実施形態では通信ネットワーク654及び/又は他の任意の適切な通信ネットワークを介して)情報を通信するための任意の適切なハードウェア、ソフトウェア、及び/又はファームウェアを含むことができる。例えば、通信システム726は、1つ以上の送信機、1つ以上の通信チップ及び/又はチップのセットなどを含むことができる。より特定の例では、通信システム726は、任意の適切なポート及び/又は通信規格(例えば、VGA、DVIビデオ、USB、RS-232など)を用いる有線接続、Wi-Fi(登録商標)接続、Bluetooth(登録商標)接続、セルラー接続、イーサネット(登録商標)接続などを確立するために使用可能なハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアを含むことができる。
【0088】
いくつかの実施形態では、メモリ728は、指示、値、データなどを格納するために使用することができる任意の適切なストレージ装置又は複数のストレージ装置を含むことができ、これは、例えば、1つ以上の画像取得システム724を制御する及び/又は1つ以上の画像取得システム724からのデータを受け取るため;データから画像を;ディスプレイを用いてコンテンツ(例えば、画像、ユーザインターフェース)を提示するため;1つ以上のコンピューティングデバイス650と通信するためなど用にプロセッサ722によって使用することができる。メモリ728は、任意の適切な揮発性メモリ、不揮発性メモリ、ストレージ、又はそれらの任意の適切な組み合わせを含むことができる。例えば、メモリ728は、RAM、ROM、EEPROM、1つ以上のフラッシュドライブ、1つ以上のハードディスク、1つ以上のソリッドステートドライブ、1つ以上の光ドライブなどを含むことができる。いくつかの実施形態では、メモリ728は、画像ソース602の動作を制御するためのプログラムがエンコードされているか、あるいは格納されていてもよい。そのような実施形態では、プロセッサ722は、少なくともプログラムの一部を実行して、画像を生成する、1つ以上のコンピューティングデバイス650に情報及び/又はコンテンツ(例えば、データ、画像)を送る、1つ以上のコンピューティングデバイス650から情報及び/又はコンテンツを受け取る、1つ以上の装置(例えば、パーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォンなど)からの指示を受け取るなどすることができる。
【0089】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の機能及び/又はプロセスを実行するための指示を格納するために任意の適切なコンピュータ可読メディアを使用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、コンピュータ可読メディアは一時的又は非一時的なものであってもよい。例えば、非一時的なコンピュータ可読メディアは、磁気メディア(ハードディスク、フロッピーディスクなど)、光学メディア(コンパクトディスク、デジタルビデオディスク、Blu-ray(登録商標)ディスクなど)、半導体メディア(例えば、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)、フラッシュメモリ、電気的にプログラム可能な読み取り専用メモリ(「EPROM」)、電気的に消去可能なプログラム可能な読み取り専用メモリ(「EEPROM」)など)、送信中において非一時的な若しくは永続性の類似性を欠いていない適切なメディア、及び/又は任意の適切な有形メディアなどのメディアを含むことができる。別の例として、一時的なコンピュータ可読メディアは、ネットワーク、有線、導体、光ファイバ、回路を介する信号、又は送信中の一時的な及び永続性の類似性を欠く任意の適切なメディア、及び/又は任意の適切な無形メディアを含むことができる。
【0090】
本開示において、1つ以上の好ましい実施形態が記載されているが、明示的に記載されたものを除いて、多くの同等物、代替物、変形及び改変が可能であり本発明の範囲内であることが認識されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B