(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-11
(45)【発行日】2024-12-19
(54)【発明の名称】カテーテル
(51)【国際特許分類】
A61M 25/092 20060101AFI20241212BHJP
A61M 25/14 20060101ALI20241212BHJP
A61M 25/10 20130101ALI20241212BHJP
A61M 25/00 20060101ALI20241212BHJP
A61M 25/06 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
A61M25/092 500
A61M25/092 510
A61M25/14 512
A61M25/10
A61M25/00 534
A61M25/06 556
(21)【出願番号】P 2020145561
(22)【出願日】2020-08-31
【審査請求日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】P 2019185152
(32)【優先日】2019-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】湊谷 謙司
(72)【発明者】
【氏名】川又 晃
(72)【発明者】
【氏名】原田 新悦
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 圭司
(72)【発明者】
【氏名】坂手 俊文
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-507305(JP,A)
【文献】特表平09-501597(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0015728(US,A1)
【文献】特表2018-508295(JP,A)
【文献】特表2008-502433(JP,A)
【文献】特開2011-050748(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/092
A61M 25/14
A61M 25/10
A61M 25/00
A61M 25/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓の冠状静脈洞に留置されて冠動脈に心筋保護液を供給するカテーテルであって、
複数のルーメンを有する管状体と、
前記管状体の遠位端部に形成されており、第1の前記ルーメンと連通している前記心筋保護液の供給用の孔部と、
第2の前記ルーメンに挿通されている補強チューブと、
前記補強チューブに挿通されている操作線と、
を有し、
前記補強チューブを構成する材料は、前記管状体を構成する材料よりも曲げ剛性率が大きい材料であり、
前記補強チューブは、前記管状体の近位側から前記遠位端部に亘って延在しており、
前記操作線の先端部は、前記補強チューブの遠位端から導出されて、前記補強チューブの前記遠位端よりも遠位側において前記管状体の遠位端部に固定されて
おり、
前記操作線が牽引されることにより、前記管状体における前記補強チューブの遠位端よりも遠位側の部分が選択的に屈曲するカテーテル。
【請求項2】
前記補強チューブは金属材料によって構成されている請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記管状体の遠位端部の外周に設けられており、第3の前記ルーメンと連通しているバルーンを更に有し、
前記第3のルーメンは、前記バルーンに液体を注入するためのものであり、
前記第1のルーメン、前記第2のルーメン、及び、前記第3のルーメンは、前記管状体の横断面内において互いに離間しており、
前記補強チューブは、前記管状体の近位側から前記バルーンの配置領域の近位側近傍の部位に亘って延在している請求項1
又は2に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記補強チューブの遠位端は、前記バルーンの配置領域よりも近位側に配置されている請求項
3に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記第1のルーメンと前記第2のルーメンとは、前記管状体の横断面内において互いに離間しており、
前記第1のルーメンは、前記管状体の遠位端まで、前記管状体の管壁により前記第2のルーメンと仕切られている請求項1から4のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記第2のルーメンの内径は、前記第1のルーメンの内径よりも小さく、
前記第2のルーメンは、前記補強チューブの前記遠位端よりも遠位側に延びており、
前記補強チューブの前記遠位端よりも遠位側に延びている前記第2のルーメン内に前記操作線が配置されている請求項1から5のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記孔部として、前記管状体の遠位端に形成されている第1孔部と、前記管状体の前記遠位端部の周面に形成されている第2孔部と、を有する請求項1から
6のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項8】
当該カテーテルは、経皮的に静脈に穿刺されたイントロデューサを通じて前記静脈に挿入されるものであり、
前記管状体に外挿されていて軸方向に伸縮可能な可撓性のスリーブと、
前記スリーブの遠位端部に対して周回状に液密に設けられて、前記管状体に対して軸方向に摺動可能となっている筒状の連結部と、
を更に備え、
前記連結部を前記イントロデューサに対して着脱可能に連結可能である請求項1から
7のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記操作線の牽引操作により前記管状体の遠位端部を屈曲させるための操作部を更に備え、
前記操作部は、
術者に把持される本体ケースと、
前記操作線の基端部が固定されているとともに前記本体ケースに対して揺動可能に軸支されている操作受部と、
を有し、
前記牽引操作は、前記操作受部を揺動させる操作であり、
前記操作部は、更に、前記遠位端部を屈曲状態に保持させる保持機構を有し、
前記保持機構は、前記操作受部を予め設定されている複数段階の揺動角度のいずれかの角度に保持させる機構であるか、又は、前記操作受部を無段階の揺動角度に保持させる機構である請求項1から
8のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記保持機構は、複数の凹凸を含む凹凸構造部と、前記凹凸構造部の前記複数の凹凸のうち、前記操作受部の揺動角度に応じた凹凸に対して嵌合する嵌合部と、を有し、
前記凹凸構造部と前記嵌合部とのいずれか一方が前記操作受部に形成されており、
前記嵌合部が前記凹凸構造部のいずれかの凹凸に対して嵌合することによって、前記操作受部が前記複数段階の揺動角度のいずれかの角度に保持される請求項
9に記載のカテーテル。
【請求項11】
前記操作受部は、扇形に形成されている扇形部を有するとともに、前記扇形部の周方向に揺動可能に軸支されており、
前記扇形部の弧状の周面の周方向に、前記複数の凹凸が並んで配置されている請求項
10に記載のカテーテル。
【請求項12】
前記凹凸構造部が前記操作受部に形成されており、
前記保持機構は、前記嵌合部を含む当接部材と、前記嵌合部が前記操作受部に対して圧接されるよう前記当接部材を付勢する付勢部と、を有する請求項
10又は請求項
11に記載のカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
カテーテルとしては、例えば、特許文献1に記載のものがある。
特許文献1のカテーテルは、第1のルーメン(同文献には、主ルーメンと記載)と第2のルーメン(同文献には、ワイヤールーメンと記載)を有する管状体(同文献には、カテーテルチューブと記載)と、第2のルーメンに挿通されている2本の操作線(同文献には、第1ワイヤ及び第2ワイヤと記載)と、を備えて構成されている。
2本の操作線の先端部は、それぞれ管状体の遠位端部に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者の検討によれば、特許文献1のカテーテルの構造では、カテーテルの操作性について、改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、良好な操作性を実現することが可能なカテーテルを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、心臓の冠状静脈洞に留置されて冠動脈に心筋保護液を供給するカテーテルであって、
複数のルーメンを有する管状体と、
前記管状体の遠位端部に形成されており、第1の前記ルーメンと連通している前記心筋保護液の供給用の孔部と、
第2の前記ルーメンに挿通されている補強チューブと、
前記補強チューブに挿通されている操作線と、
を有し、
前記補強チューブを構成する材料は、前記管状体を構成する材料よりも曲げ剛性率が大きい材料であり、
前記補強チューブは、前記管状体の近位側から前記遠位端部に亘って延在しており、
前記操作線の先端部は、前記補強チューブの遠位端から導出されて、前記補強チューブの前記遠位端よりも遠位側において前記管状体の遠位端部に固定されており、
前記操作線が牽引されることにより、前記管状体における前記補強チューブの遠位端よりも遠位側の部分が選択的に屈曲するカテーテルが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、カテーテルの良好な操作性を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係るカテーテルの全体構成を示す図である。
【
図2】
図2(a)及び
図2(b)は実施形態に係るカテーテルの遠位端部を示す図であり、このうち
図2(a)は側面図、
図2(b)はカテーテルの軸方向に沿った断面図である。
【
図3】
図3(a)及び
図3(b)は実施形態に係るカテーテルを示す図であり、このうち
図3(a)は
図2(a)のA-A線に沿った断面図、
図3(b)は
図2(a)のB-B線に沿った断面図である。
【
図4】実施形態に係るカテーテルが連結されるイントロデューサの全体構成を示す図である。
【
図5】
図5(a)及び
図5(b)は本実施形態に係るカテーテルがイントロデューサに連結された状態を示す図であり、このうち
図5(a)はカテーテルの遠位端部がイントロデューサの遠位端部から突出していない状態を示し、
図5(b)はカテーテルの遠位端部がイントロデューサの遠位端部から突出している状態を示す。
【
図6】
図6(a)及び
図6(b)は本実施形態に係るカテーテルとイントロデューサとの連結構造を示す図であり、このうち
図6(a)はカテーテルとイントロデューサとが分離している状態を示し、
図6(b)はカテーテルとイントロデューサとが連結されている状態を示す図である。
【
図7】第1変形例に係るカテーテルの全体構成を示す図である。
【
図8】
図8(a)及び
図8(b)は第1変形例における操作部の内部構造を示す側面図であり、このうち
図8(a)は操作受部を周方向における一方向に揺動させた状態を示しており、
図8(b)は操作受部を周方向における反対方向に揺動させた状態を示している。
【
図10】
図10(a)から
図10(f)は第1変形例に係るカテーテルの動作を説明するための図であり、このうち
図10(a)は遠位端部が伸長している状態を示しており、
図10(b)は遠位端部が屈曲している状態を示しており、
図10(c)は遠位端部が
図10(b)に示す状態よりも更に屈曲している状態を示しており、
図10(d)は
図10(a)と対応する状態における操作部の内部構造を示す側面図であり、
図10(e)は
図10(b)と対応する状態における操作部の内部構造を示す側面図であり、
図10(f)は
図10(c)と対応する状態における操作部の内部構造を示す側面図である。
【
図11】
図11(a)から
図11(f)は第1変形例における操作受部を示しており、このうち
図11(a)は斜視図、
図11(b)は平面図、
図11(c)は底面図、
図11(d)は操作受部75及びその周辺構造を示す側面図であり、
図11(e)は
図11(d)に示すA-A線に沿った断面図、
図11(f)は
図11(d)に示すB-B線に沿った断面図である。
【
図12】
図12(a)及び
図12(b)は第2変形例における操作部の側面図であり、このうち
図12(a)は操作受部を周方向における一方向に揺動させた状態を示しており、
図12(b)は操作受部を周方向における反対方向に揺動させた状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、
図1から
図6(b)を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
なお、
図1においては、便宜的にバルーン60が膨張している状態を示しているが、実際は、使用前の通常時には、バルーン60は膨張していない。また、連結部15と第2連結部113との左右の位置関係は、
図5(a)及び
図5(b)と、
図6(a)及び
図6(b)と、の間で互いに逆転している。
第2孔部13bは、
図2(a)においては紙面の手前側を向いており、
図2(b)における下方を向いている。
図2(a)は
図3(a)及び
図3(b)に示す矢印Aの方向に視たカテーテル100の遠位端部を示しており、
図2(b)は、
図3(a)及び
図3(b)に示すB―B線に沿った断面図である。また、
図2(a)において、第1のルーメン21及びバルーン60については破線で示しているが、第2のルーメン22、第3のルーメン23及び第4のルーメン24は図示を省略している。
図2(b)において、第3のルーメン23を破線で示している。
【0010】
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、以下に説明する部材の形状、寸法、配置等については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更又は改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれる。
なお、本発明のカテーテル100各種の構成要素は、個々に独立した存在である必要はない。複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等を許容する。
また、以下において、カテーテル100の遠位側を先端側、その近位側を基端側ともいう。また、遠位端部は、遠位端(最先端)およびその周辺を含む一定の範囲を意味し、近位端部とは、近位端(最基端)およびその周辺を含む一定の範囲を意味するものとする。
【0011】
図1から
図3(b)のいずれかに示すように、本実施形態に係るカテーテル100は、心臓の冠状静脈洞に留置されて冠動脈に心筋保護液を供給するものである。
カテーテル100は、複数のルーメン20(
図3(a)等)を有する管状体10(
図1等)と、管状体10の遠位端部10aに形成されており、第1のルーメン21(
図2(a)、
図2(b)等)と連通している心筋保護液の供給用の孔部13(
図2(a)、
図2(b)等)と、第2のルーメン22(
図3(a)等)に挿通されている補強チューブ40(
図3(a)等)と、補強チューブ40に挿通されている操作線50(
図2(b)等)と、を有する。
補強チューブ40は、管状体10の近位側から遠位端部10aに亘って延在しており、操作線50の先端部50aは、補強チューブ40の遠位端40aから導出されて、補強チューブ40のよりも遠位側において管状体10の遠位端部10aに固定されている。
【0012】
本実施形態によれば、管状体10において補強チューブ40の遠位端40aよりも近位側の部分は、補強チューブ40によって補強されるため、管状体10の適度なコシが得られ、生体管腔へのカテーテル100の挿入を容易に行うことができる。
一方で、管状体10において補強チューブ40の遠位端40aよりも遠位側の部分(以下、柔軟部14と称する)は、補強チューブ40によって補強されていないため、それよりも近位側の部分と比べて柔軟となっている。したがって、操作線50を牽引する操作によって、管状体10における局所的な範囲、すなわち柔軟部14を、選択的に大きな曲率で屈曲させることができる。しかも、柔軟部14を容易に大きな曲率で屈曲させることができるので、カテーテル100の分岐選択性が良好となる。
このように、管状体10における適度なコシと良好な屈曲性とを両立できるため、カテーテル100の良好な操作性を実現することができる。
【0013】
本実施形態に係るカテーテル100は、管状体10を血管内に挿通させて用いられる血管内カテーテルである。後述の操作部70の操作により管状体10の柔軟部14(
図1参照)を屈曲させてカテーテル100を一方向に指向させることが可能である。
なお、柔軟部14とは、より詳細には、管状体10において、補強チューブ40の遠位端40aから操作線50の最遠位端までの範囲を意味する。
【0014】
本実施形態の場合、管状体10は、長尺な管状部材であり、管状体10の長手方向に沿って形成された複数のルーメン20を管状体10の内部に有する。
【0015】
図2(a)に示すように、複数のルーメン20には、第1のルーメン21と、第2のルーメン22と、第3のルーメン23、第4のルーメン24と、とが含まれている。ただし、管状体10が有するルーメン20の数は特に限定されず、例えば5個以上であってもよく、または、例えば3個以下であってもよい。
【0016】
第1のルーメン21の直径(円相当径)は、第2のルーメン22、第3のルーメン23及び第4のルーメン24のいずれの直径(円相当径)よりも大径に設定されている。より詳細には、第1のルーメン21の直径は、例えば、管状体10の直径の2/3以上を占めている。
第2のルーメン22の直径は、例えば、第3のルーメン23及び第4のルーメン24の直径よりも大きい寸法に設定されている。
第4のルーメン24の直径は、例えば、第3のルーメン23の直径よりも大きい寸法に設定されている。
ただし、各ルーメン20の直径の大小関係は、上記の例に限定されず、各ルーメン20の用途に応じて適宜設定することができる。
【0017】
各ルーメン20は、例えば、管状体10の横断面内において分散して配置されている。
より詳細には、例えば、各ルーメン20の中心は、管状体10の軸心に対して偏心して配置されている。第2のルーメン22、第3のルーメン23及び第4のルーメン24は、それぞれ第1のルーメン21の周囲に配置されているとともに、管状体10の周方向において第3のルーメン23、第2のルーメン22、第4のルーメン24の順番に配置されている。また、第2のルーメン22、第3のルーメン23及び第4のルーメン24は、それぞれ第1のルーメン21が管状体10の軸心に対して偏心している方向とは逆方向に偏心して配置されている。
【0018】
第1のルーメン21は、例えば、冠動脈に心筋保護液を供給するための送液用ルーメンとして用いられる。上述のとおり、心筋保護液が注入される第1のルーメン21が相対的に大径に形成されているため、心筋保護液を管状体10の内腔において良好に流通させることができる。
第1のルーメン21は、管状体10の全長に亘って形成されている。第1のルーメン21の遠位端は管状体10の遠位端において開口しており、第1のルーメン21の近位端は送液用枝管31(
図1参照)と連通されている。
第1のルーメン21の横断面形状は、特に限定されないが、本実施形態では略円形である。第1のルーメン21の直径は、管状体10の軸心方向における位置にかかわらず均一でもよく、または軸心方向における位置に応じて異なっていてもよい。
【0019】
上述のように、管状体10の遠位端部10aには、孔部13が形成されている。孔部13は第1のルーメン21と連通しており、第1のルーメン21に注入された心筋保護液は、孔部13から冠動脈に排出される。
【0020】
管状体10は、孔部13として、管状体10の遠位端に形成されている第1孔部13aと、管状体10の遠位端部10aの周面に形成されている第2孔部13bと、を有する。
第1孔部13aは、第1のルーメン21の遠位端における開口である。
第2孔部13bは、管状体10の遠位端よりも近位側に配置されている。第2孔部13bは、管状体10の軸心に対して直交する方向を深さ方向とする側孔である。第2孔部13bの一端は第1のルーメン21と連通しており、第2孔部13bの他端は管状体10の遠位端部10aの外周面において開口している。
第2孔部13bは、一例として、管状体10の周方向において、第2のルーメン22と180度対向した位置に形成されている。しかし、第2孔部13bの形成箇所は特に限定されず、管状体10の遠位端部10aの周面において、第1のルーメン21と良好に連通される位置であればよい。
【0021】
管状体10に2つの孔部13(第1孔部13a及び第2孔部13b)が形成されているため、第1孔部13a及び第2孔部13bのうち一方の孔部13が生体組織によって塞がれていたとしても、第1孔部13a及び第2孔部13bのうち他方の孔部13から良好に心筋保護液を排出することができる。
【0022】
第2のルーメン22の内腔には補強チューブ40が挿通されており、補強チューブ40の内腔には操作線50が挿通されている。
第2のルーメン22は、例えば、管状体10の近位端から遠位端部10aに亘って形成されている。第2のルーメン22の遠位端は管状体10の遠位端よりも近位側において終端しており、第2のルーメン22の近位端は後述の分岐部30と連通されている。
第2のルーメン22の横断面形状は、特に限定されないが、本実施形態では管状体10の周方向に長尺な略楕円形である。第2のルーメン22の直径は、管状体10の軸心方向における位置にかかわらず均一でもよく、または軸心方向における位置に応じて異なっていてもよい。
【0023】
第3のルーメン23は、例えば、後述のバルーン60に液体を注入するためにいられる。
第3のルーメン23は、管状体10の近位端から遠位端部10aに亘って形成されている。第3のルーメン23の遠位端は後述のバルーン60の形成領域に配置されており、第3のルーメン23の近位端はバルーン用枝管32(
図1参照)と連通されている。
第3のルーメン23の横断面形状は、特に限定されないが、本実施形態では略楕円形である。第3のルーメン23の直径は、管状体10の軸心方向における位置にかかわらず均一でもよく、または軸心方向における位置に応じて異なっていてもよい。
【0024】
第4のルーメン24は、例えば、生体管腔の内部における流体圧の測定に用いられる。
第4のルーメン24は、管状体10の近位端から遠位端に亘って形成されている。第4のルーメン24の遠位端は管状体10の遠位端において開口しており、第4のルーメン24の近位端は圧モニタ用枝管33(
図1参照)と連通されている。
第4のルーメン24の横断面形状は、特に限定されないが、本実施形態では管状体10の周方向に長尺な略楕円形である。第4のルーメン24の直径は、管状体10の軸心方向における位置にかかわらず均一でもよく、または軸心方向における位置に応じて異なっていてもよい。
【0025】
管状体10は、例えば、ポリウレタンやポリアミドなどの樹脂材料によって構成されている。管状体10をポリウレタンやポリアミドなどの樹脂材料で構成することにより、管状体10の加工性が良好となる。
【0026】
管状体10の外周面には、例えば、親水層(不図示)が形成されていることも好ましい。これにより、カテーテル100が後述のイントロデューサ110の内腔や冠状静脈洞の内部に挿入される際の摺動抵抗を低減することができる。
親水層は、管状体10の全長に亘って形成されていてもよく、または管状体10の遠位端側における一部の長さ領域に形成されていてもよい。
親水層の材料は、特に限定されないが、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)などの無水マレイン酸系ポリマーやその共重合体、ポリビニルピロリドンなどの親水性の樹脂材料であることが挙げられる。
【0027】
管状体10の直径は、特に限定されないが、2mm以上5mm以下であることが好ましい。また、管状体10の全長は、特に限定されないが、500mm以上1000mm以下であることが好ましい。また、
図2(a)及び
図2(b)に示すように、管状体10の最遠位端部の外径は、遠位側に向けて僅かに拡大していてもよい。
【0028】
上述のとおり、第2のルーメン22には、補強チューブ40が挿通されている。本実施形態の場合、第2のルーメン22の直径は、補強チューブ40の直径よりも大きい。このため、操作線50の操作により管状体10が屈曲する際に、軸方向において、管状体10に対する補強チューブ40の相対的な移動が許容される。
補強チューブ40は、例えば、長尺な中空管状に形成されている。例えば、補強チューブ40の内径及び外径は一定であり、したがって補強チューブ40の肉厚は一定である。
ただし、補強チューブ40は、例えば、遠位側に向けて内径及び外径が細径化しているテーパ状に形成されていてもよい。
【0029】
補強チューブ40は、例えば、ステンレス鋼(SUS)などの金属材料によって構成されている。
ただし、補強チューブ40を構成する材料は特に限定されず、管状体10を構成する材料よりも曲げ剛性率が大きい材料であればよい。
【0030】
補強チューブ40は、管状体10の近位側からバルーン60の配置領域の近位側近傍の部位に亘って延在している。より詳細には、補強チューブ40の遠位端40aは、バルーン60の配置領域よりも近位側に配置されている。換言すれば、バルーン60は柔軟部14に設けられている。したがって、操作線50を牽引し、柔軟部14を屈曲させることにより、バルーン60の向き(姿勢)を調整することができる。
補強チューブ40は、例えば、第2のルーメン22から後述の分岐部30の内部に導入されている。
【0031】
操作線50は、補強チューブ40に対して摺動可能に補強チューブ40に挿通されている。操作線50の先端部50aは、補強チューブ40の遠位端40aから遠位側に導出されている。補強チューブ40から導出された操作線50の先端部50aは、第2のルーメン22を通って管状体10の遠位端に固定されている。
【0032】
操作線50の先端部50aは、管状体10の遠位端部10aのうち、バルーン60の形成領域よりも遠位側に固定されている。操作線50が牽引されると管状体10が屈曲する。管状体10が屈曲する際には、主として、補強チューブ40の遠位端40aよりも遠位側の部分、すなわち柔軟部14が屈曲する。
【0033】
操作線50は、例えば、複数本の素線を互いに撚り合わせることにより構成された撚り線である。ただし、操作線50は、単一の線材により構成されていてもよい。
操作線50の直径は、特に限定されないが、0.2mm以上1mm以下であることが好ましい。
操作線50は、特に限定されないが、例えば、低炭素鋼(ピアノ線)、ステンレス鋼(SUS)、耐腐食性被覆した鋼鉄線、チタン若しくはチタン合金、又はタングステンなどの金属線であることが挙げられる。
【0034】
管状体10の遠位端の近傍には、例えば、環状のマーカー11が埋設されている。なお、マーカー11の外周面は、例えば、管状体10の外周面に露出していてもよい。
操作線50の先端部50aは、例えば、マーカー11に固定されている。
より詳細には、
図2(b)に示すように、操作線50の先端部50aは、例えば、接着剤12によってマーカー11に固定されている。
ただし、操作線50をマーカー11に固定する手法は特に限定されず、半田接合又はかしめ等を用いてもよい。
【0035】
マーカー11は、例えば、白金やタングステンなどのX線不透過性の材料によって構成されている。マーカー11の位置を指標とすることにより、X線(放射線)観察下において生体管腔内における管状体10の遠位端部10aの位置を適確に認識することができる。
【0036】
図2(a)及び
図2(b)に示すように、カテーテル100は、例えば、管状体10の遠位端部10aの外周に設けられており、第3のルーメン23と連通しているバルーン60を更に有する。
【0037】
バルーン60は、例えば、軟質の樹脂材料でシート状に形成された伸縮性の部材である。軟質の樹脂材料は、特に限定されないが、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリフェニレンサルファイド、フッ素樹脂、ポリエステルなどの軟質樹脂材料のほか、ポリウレタンエラストマー、ポリアミドエラストマー、シリコーンゴムまたはラテックスゴムなどのゴム材料であることが挙げられる。
【0038】
バルーン60は、例えば、単層又は2層以上の樹脂シートで構成されている。バルーン60は、筒形状などに成形されており、管状体10の遠位端部10aの外周面を周回状に取り囲んだ状態で管状体10に対して液密に装着されている。
本実施形態の場合、一例として、バルーン60の遠位端部61及び近位端部62にはそれぞれ接着剤などの固着部(不図示)が設けられ、バルーン60が管状体10に対して液密且つ周回状に固着されている。バルーン60において、管状体10の外周面に対して固着されていない部分(遠位端部61及び近位端部62を除く中間部分)を、中間部63と称する。
ただし、バルーン60を管状体10に取り付ける手法は特に限定されず、紐状の部材をバルーン60の近位端部62及び遠位端部61の周囲にそれぞれ巻回することによって、バルーン60が管状体10に取り付けられていてもよい。
【0039】
ここで、管状体10は、管状体10の遠位端部10aの外周面に形成されているバルーン用孔部23aを有する。バルーン用孔部23aは第3のルーメン23と連通しており、第3のルーメン23に注入された生理食塩水などの液体(不図示)は、バルーン用孔部23aからバルーン60の内部に吐出される。
より詳細には、バルーン用孔部23aは、バルーン60の形成領域において形成されている。バルーン用孔部23aは、例えば、管状体10の軸心方向に対して直交する方向を深さ方向とする側孔である。バルーン用孔部23aの一端はバルーン60の内部と連通しており、バルーン用孔部23aの他端は第3のルーメン23の遠位端と連通している。
【0040】
第3のルーメン23及びバルーン用孔部23aを通じて生理食塩水などの液体がバルーン60内部に注入されることによって、バルーン60は管状体10の外方に向けて膨張する(
図2(b)参照)。より詳細には、
図2(a)に示すように、バルーン60が膨張していない状態において、バルーン60の周面は、管状体10の外周面に沿って配置されている。バルーン60の膨張状態においては、
図2(b)に示すように、バルーン60の中間部63は、管状体10の外方に向けて膨張(突出)している。
ここで、本実施形態の場合、バルーン60の形成領域は、管状体10において第2孔部13bよりも近位側の領域である。
【0041】
図1に示すように、管状体10の近位端は、円筒状の分岐部30に連接されている。分岐部30には、送液用枝管31と、バルーン用枝管32と、圧モニタ用枝管33と、が設けられている。
【0042】
分岐部30の内部には、例えば、4つの貫通孔が分岐部30の軸方向に沿って形成されている。ここで、4つの貫通孔を、それぞれ第1の貫通孔、第2の貫通孔、第3の貫通孔、第4の貫通孔と称する。
第1の貫通孔には、第1のルーメン21が接続されている。第1の貫通孔には、送液用枝管31が接続されている。よって、第1のルーメン21と送液用枝管31とは、分岐部30を介して互いに連通されている。送液用枝管31の近位端には、送液用コネクタ31a(
図1参照)が設けられている。送液用コネクタ31aには、送液用シリンジ(不図示)が装着される。
第2の貫通孔には、第2のルーメン22が接続されている。第2の貫通孔には、補強チューブ40及び操作線50が挿通されている。第2の貫通孔からは、補強チューブ40及び操作線50の近位端部が操作部70(
図1参照)に向けて導出されている。
第3の貫通孔には、第3のルーメン23が接続されている。第3の貫通孔には、バルーン用枝管32が接続されている。よって、第3のルーメン23とバルーン用枝管32とは、分岐部30を介して互いに連通されている。バルーン用枝管32の近位端には、バルーン用コネクタ32a(
図1参照)が設けられている。バルーン用コネクタ32aには、バルーン用シリンジ(不図示)が装着される。
第4の貫通孔には、第4のルーメン24が接続されている。第4の貫通孔には、圧モニタ用枝管33が接続されている。よって、第4のルーメン24と圧モニタ用枝管33とは、分岐部30を介して互いに連通されている。圧モニタ用枝管33の近位端には、圧モニタ用コネクタ33a(
図1参照)が設けられている。圧モニタ用コネクタ33aは、図示しない圧力測定装置と接続される。また、圧モニタ用コネクタ33aの近位端部には、圧モニタ用キャップ33bが取り付けられている。
【0043】
本実施形態の場合、送液用シリンジから送液用コネクタ31aに心筋保護液を供給することによって、送液用枝管31と、第1の貫通孔と、第1のルーメン21と、第1孔部13a及び第2孔部13bとを通じて当該心筋保護液を冠動脈に注入することができる。
また、
図1に示すように、送液用枝管31の外周面には、開閉部材34が装着されている。開閉部材34の開閉操作によって、心筋保護液の供給と停止との切り替えが可能である。
本実施形態の場合、開閉部材34は、一例として、ロバートクランプである。ただし、開閉部材34は、特に限定されず、例えば、ローラークランプ、ピンチクランプ等であることが挙げられる。
開閉部材34の閉操作が行われると、開閉部材34が送液用枝管31を挟持することにより送液用枝管31の内腔(流路)が閉塞され、心筋保護液の供給が停止される。
開閉部材34の開操作が行われると、送液用枝管31の内腔(流路)が開通され、心筋保護液が供給される状態となる。
【0044】
図1に示すように、操作部70は、分岐部30(第2の貫通孔)の近位端から導出している操作線50の近位端部と接続されている。操作部70を操作することによって、管状体10の屈曲操作を行うことができる。
【0045】
本実施形態の場合、操作部70は、術者に把持される本体ケース72と、本体ケース72に対して回転可能に設けられているホイール操作部71と、を備えて構成されている。補強チューブ40から導出されている操作線50の近位端部(不図示)は、ホイール操作部71に対して、直接的又は間接的に連結されている。
補強チューブ40の近位端は、本体ケース72の内部に導入されていてもよいし、本体ケース72の外部に配置されていてもよい。
【0046】
ホイール操作部71を一方向に回転させることにより、操作線50を基端側に牽引し、管状体10を一方向に屈曲させることができる。
より詳細には、ホイール操作部71を一方向に回転させると、管状体10の軸心を基準として、当該操作線50が挿通されている第2のルーメン22の側に、主として管状体10の柔軟部14が屈曲する。
【0047】
また、操作部70は、例えば、牽引操作された状態で操作線50を保持する保持機構74(
図1参照)を有している。保持機構74を作動させることでカテーテル100の屈曲操作が規制され、管状体10の遠位端部10aの形状が伸長状態または屈曲状態に保持される。
このように、本実施形態に係るカテーテル100は、操作線50の牽引操作により管状体10の遠位端部10aを屈曲させるための操作部70を更に備え、操作部70は、術者に把持される本体ケース72と、操作線50の基端部50bが固定されているとともに本体ケース72に対して揺動可能に軸支されている操作受部(ホイール操作部71)と、を有し、牽引操作は、操作受部75を揺動させる操作であり、操作部70は、更に、遠位端部10aを屈曲状態に保持させる保持機構74を有する。
【0048】
補強チューブ40及び操作線50において、分岐部30から導出されて操作部70の内部に導入されるまでの部分(分岐部30と操作部70との間に配置されている部分)は、例えば、円筒状のカバー部材35の内腔に挿通されている(
図1参照)。
カバー部材35は、例えば、遠位側に向けて先細りしたテーパ状に形成されている。カバー部材35の基端部は、操作部70の先端部に装着されている。
【0049】
本実施形態の場合、バルーン用シリンジからバルーン用コネクタ32aに生理食塩水などの液体を供給することによって、バルーン用枝管32と、第3の貫通孔と、第3のルーメン23と、バルーン用孔部23aと、を通じて当該液体がバルーン60の内部に注入される。これにより、バルーン60は収縮した状態(
図2(a)参照)から膨張した状態(
図2(b)参照)に変化する。なお、当該液体は、例えば、造影剤を含有していることも好ましく、これにより、X線(放射線)観察下においてバルーン60が所望の直径に膨張したことを認識することができる。
【0050】
バルーン用コネクタ32aは、例えば、図示しない一方弁を有する。当該一方弁が遠位側から近位側への液体の流動を規制することにより、バルーン60の膨張状態が維持される。
【0051】
本実施形態の場合、カテーテル100は、第4のルーメン24と、圧モニタ用枝管33と、圧モニタ用コネクタ33aと、を通じて圧力測定装置と接続されている。
圧力測定装置は、バルーン60の膨張状態、及び収縮状態のそれぞれにおいて、冠状静脈洞の内部の圧力を測定及び監視するために用いられる。
圧力測定装置は、特に限定されないが、液圧検知用のトランスデューサー等であることが挙げられる。
【0052】
図5(a)及び
図5(b)に示すように、本実施形態に係るカテーテル100は、例えば、経皮的に静脈に穿刺されたイントロデューサ110を通じて静脈に挿入されるものであり、管状体10に外挿されていて軸方向に伸縮可能な可撓性のスリーブ65と、スリーブ65の遠位端部に対して周回状に液密に設けられて、管状体10に対して軸方向に摺動可能となっている筒状の連結部15と、を更に備え、連結部15は、イントロデューサ110に対して着脱可能に連結可能である。
【0053】
図1に示すように、スリーブ65は、例えば、長尺な中空管状に形成されている。
スリーブ65は、例えば、軟質の樹脂材料によって形成されており、軸方向において容易に伸縮することができる。軟質の樹脂材料は、特に限定されないが、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリフェニレンサルファイド、フッ素樹脂、ポリエステルなどの軟質樹脂材料などであることが挙げられる。
【0054】
スリーブ65の近位端部は、例えば、分岐部30によって、管状体10の近位端部に対して周回状に液密に固定されている。スリーブ65の遠位端部は、連結部15に対して周回状に液密に固定されており、管状体10に対しては軸方向に摺動可能となっている。したがって、連結部15が管状体10に対して軸方向に摺動するのに伴い、スリーブ65の遠位端部も管状体10に対して摺動する。一方、スリーブ65の近位端部は、分岐部30によって管状体10の近位端部に固定されているため管状体10に対して相対的に変位しない。
より詳細には、
図6(a)に示すように、連結部15が管状体10の近位側に摺動すると、スリーブ65は軸方向において蛇腹状に短縮する。スリーブ65が短縮すると、管状体10においてスリーブ65から露出している部分が長くなる。一方で、
図6(b)に示すように、連結部15が管状体10の遠位側に摺動すると、スリーブ65は軸方向において伸長する。また、スリーブ65が伸長すると、管状体10においてスリーブ65から露出している部分が短くなる。
【0055】
最も伸長した状態におけるスリーブ65の全長は、特に限定されないが、例えば、管状体10の全長よりも長い。これにより、連結部15を管状体10の遠位端まで摺動させることができる。すなわち、管状体10の全体をスリーブ65の内部に収容することができる。
【0056】
図6(a)及び
図6(b)に示すように、連結部15は、例えば、円筒状の部材である。
連結部15の内径は、例えば、管状体10の外径よりも若干大きい程度の寸法に設定されている。これにより、連結部15は、管状体10に対して軸方向に摺動可能となっている。
【0057】
連結部15は、例えば、硬質の樹脂材料によって形成されている。硬質の樹脂材料としは、特に限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスチレンなどを挙げられる。
なお、連結部15は、全体が一体成形されていてもよいし、別々の部材を組み合わせることによって構成されていてもよい。
【0058】
図4及び
図5に示すように、イントロデューサ110は、管状体10を挿通可能な筒状本体112と、管状体10を挿通可能な筒状に形成されているとともに筒状本体112の近位端部に対して周回状に液密に設けられている第2連結部113と、を備えている。
本実施形態の場合、第2連結部に対して連結部15を周回状に液密に連結可能である。
【0059】
筒状本体112は、例えば、長尺な円筒状に形成されている。筒状本体112の遠位端部は、先端側に向けて僅かに細径化したテーパ状に形成されている。
筒状本体112の内径は、管状体10の外径よりも大きい寸法に設定されている。このため、筒状本体112の内腔に管状体10を挿通可能となっている。
【0060】
筒状本体112は、例えば、硬質な樹脂材料によって構成されている。硬質な樹脂材料は、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン、ポリオレフィンエラストマー、ポリオレフィンの架橋体、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー、フッ素樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアセタール、ポリイミド、ポリエーテルイミドなどであることが挙げられる。
【0061】
図4に示すように、第2連結部113は、例えば、円筒状に形成されている。第2連結部113の外径及び内径は一定であり、したがって第2連結部113の肉厚も一定である。
第2連結部113の内腔は、筒状本体112の内腔と連通されている。
第2連結部113の基端部の外周面には、その径方向外方に向けて突出した複数(例えば、2つ)の凸部116が形成されている。
2つの凸部116は、例えば、第2連結部113の周方向において互いに180度対向した位置に形成されている。
【0062】
ここで、例えば、連結部15には、遠位端側に向けて開放している切欠形状部18が形成されている。
切欠形状部18は、例えば、相互に連接されている直線部18a及び交差部18bを有する。
直線部18aは、連結部15の遠位端から近位側に向けて、軸方向に沿って直線状に延在している。
交差部18bは、直線部18aの近位端から、直線部18aの延在方向に対して交差する方向に延びている。交差部18bは、連結部15の周方向の成分と軸方向の成分とを持つ方向に延在しており、直線部18aの近位端から遠ざかるにつれて、近位側に変位している。
本実施形態の場合、連結部15には、例えば、2つの切欠形状部18が形成されている。2つの切欠形状部18は、例えば、連結部15の周方向において互いに180度対向して配置されているとともに、互いに回転対称形となっている。
【0063】
第2連結部113の外径寸法は、連結部15の内径寸法よりも若干小さい寸法に設定されている。また、凸部116の直径は、切欠形状部18の幅寸法と同等であるか、当該幅寸法よりも僅かに小さい。
【0064】
連結部15と第2連結部113を相互に連結するには、先ず、連結部15における遠位端側の開口から、第2連結部113を連結部15に挿入する。この際に、各凸部116は、各切欠形状部18の直線部18aにおける遠位端側の開口から、各切欠形状部18に挿入され、直線部18aと交差部18bとの境界部に至る。
次に、連結部15と第2連結部113とを軸周りにおいて相対的に回転させる。例えば、第2連結部113を
図6(b)に示す矢印の方向に回転操作する。これにより、各凸部116は、交差部18bにより案内されて、交差部18bの近位端部に移動する(
図6(b)参照)。
これにより、連結部15と第2連結部113とが相互に連結され、軸方向において、筒状本体112に対する管状体10の相対的な変位が規制される。こうして、イントロデューサ110がカテーテル100に装着される。
ここで、各凸部116が交差部18bの近位端に向けて移動するのに伴い、第2連結部113が連結部15に対してより深く挿入されるが、この挿入動作の際に、第2連結部113が連結部15に対して圧入されるように、第2連結部113の外周面と連結部15の内周面との少なくとも一方がテーパー状に形成されていることも好ましい。
【0065】
更に、連結部15が第2連結部113と連結された状態(
図6(b)に示す状態)において、連結部15を
図6(b)に示す矢印の逆方向に回転操作することによって、
図6(a)に示すように連結部15を第2連結部113から取り外すことができる。
すなわち、連結部15が
図6(b)に示す矢印の逆方向に回転操作されると、各凸部116は、交差部18bに案内されて、交差部18bの近位端から直線部18aと交差部18bとの境界部に移動する。この状態において、カテーテル100を近位側に引っ張ることによって、管状体10が筒状本体112から抜去される。
【0066】
第2連結部113は、例えば、硬質な樹脂材料によって構成されている。硬質な樹脂材料は、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスチレン等であることが挙げられる。
【0067】
図4に示すように、第2連結部113には、例えば、第2連結部113の内腔及び筒状本体112の内腔と連通されている筒状のサイドポート114が形成されている。サイドポート114において第2連結部113と連接されていない方の端部には、例えば、長尺な管状部材によって構成されているチューブ114aの一端が液密に接続されている。チューブ114aの他端には、例えば、三方活栓114bが装着されている。当該三方活栓114bからチューブ114aを介して、イントロデューサ110に生理食塩水などの液体を注入することができる。
【0068】
また、例えば、第2連結部113の内部には、遠位端側から近位端側への液体の流動を規制する図示しない逆止弁が設けられていてもよい。第2連結部113の内部に逆止弁が設けられていることによって、カテーテル100をイントロデューサ110及び生体管腔から抜去する際において、生体管腔を流通する血液の意図しない漏洩を抑制することができる。
当該逆止弁は、特に限定されないが、例えば、ダックビル型の逆止弁とすることができる。
【0069】
また、例えば、連結部15には、連結部15を管状体10に対して所望の位置にロック及びロック解除可能なロック操作部17が設けられていてもよい。
管状体10における所望の位置で、ロック操作部17を軸回りに回転させることによって、管状体10の軸方向における連結部15の摺動を規制することができる。すなわち、筒状本体112に対する管状体10の挿抜をロックすることができる。
【0070】
以下、本実施形態のカテーテル100の使用方法の一例を説明する。
なお、予めイントロデューサ110が経皮的に頚静脈などの静脈に穿刺されており、イントロデューサ110が生体管腔の内部と外部とを連通させている状態から説明する。
この状態において、イントロデューサ110の筒状本体112の少なくとも遠位端部は生体管腔の内部に留置されており、筒状本体112の近位端部に設けられている第2連結部113は、生体管腔から露出している。
以下では、X線透視下において、管状体10の遠位端部10aを、頚静脈、右心房、冠状静脈洞、の順に挿入し、逆行性に心筋保護液を冠動脈に送液する手法を説明する。
【0071】
先ず、カテーテル100の管状体10の遠位端部10aを、イントロデューサ110の近位端側の開口からイントロデューサ110に挿入する。この状態において、連結部15及びスリーブ65は、第2連結部113に対して、第2連結部113よりも近位側に外装される。そして、連結部15と第2連結部113とを軸周りにおいて相対的に回転させ、各凸部116を直線部18aから交差部18bの近位端部に移動させることによって、連結部15を第2連結部113に対して連結させる。これにより、カテーテル100がイントロデューサ110に装着される。
【0072】
第2連結部113が連結部15に対して連結されている状態で、術者が、操作部70をイントロデューサ110に近づけていくことによって、筒状本体112の内腔を介して、管状体10が頚静脈に導入される。ここで、スリーブ65は、連結部15に対して固定されているため筒状本体112の内腔及び頚静脈には導入されず、
図6(b)に示すような蛇腹状に短縮されていく。
【0073】
次に、術者は、管状体10の遠位端部10aを右心房まで進入させる。続いて、術者は、操作線50を牽引し、遠位端部10aをJ字状に屈曲させる。そして、術者は、操作線50の牽引によって遠位端部10aがJ字状に屈曲した状態で、管状体10の最遠位端が所望の挿入方向、すなわち冠状静脈洞の方を向くように、操作部70をトルク回転させる。更に、必要に応じて、管状体10の屈曲角度や押し込み量を調整する。これにより、柔軟部14及びバルーン60を冠状静脈洞の内部に挿入する。続いて、操作部70の保持機構74を作動させる。
【0074】
次に、心筋保護液が充填された送液用シリンジ(不図示)から送液用コネクタ31aを介して心筋保護液を注入する。注入された心筋保護液は、送液用枝管31と第1のルーメン21とを通って、孔部13(第1孔部13a及び第2孔部13b)から冠状静脈洞に供給される。
次に、術者は、圧力測定装置でカテーテル100の遠位端における液圧を確認しながら、柔軟部14及びバルーン60を冠状静脈洞の内部に更に挿入する。
なお、必要に応じて、シリンジ(不図示)から送液用コネクタ31aに造影剤を注入し、遠位端部10aが冠状静脈洞に挿入されていることを確認する。
【0075】
次に、生理食塩水などの液体が充填されたバルーン用シリンジ(不図示)をバルーン用コネクタ32aに装着する。術者は、バルーン用シリンジからバルーン用コネクタ32aに液体を注入する。注入された液体は、バルーン用枝管32と第3のルーメン23とを通って、バルーン用孔部23aからバルーン60内部に注入され、バルーン60を膨張させる。膨張したバルーン60は、冠状静脈洞の内壁を押圧する状態となって冠状静脈洞に対して固定される。これにより、管状体10の遠位端部10aが、所望の位置から冠状静脈洞に対して相対的に変位することを抑制できる。
なお、バルーン用コネクタ32aには一方弁が設けられているため、バルーン60の内部に液体を注入する際、及びバルーン60が膨張している状態において、遠位側から近位側への液体の流動が規制される。
上述のとおり、補強チューブ40の遠位端40aはバルーン60の配置領域よりも近位側に配置されており、バルーン60の配置領域は柔軟部14に含まれている。バルーン60を含む柔軟部14は、柔軟部14の近位端を支点とした首振り動作が許容されている。このため、バルーン60が膨張する過程において、バルーン60は冠状静脈洞の内部において自律的に安定的な姿勢に調整され、バルーン60は冠状静脈に対して良好にフィットする。
【0076】
バルーン60が冠状静脈洞に対して固定されたら、術者は、心筋保護液を冠動脈内部に供給する。心筋保護液の注入中において、術者は、圧力測定装置が計測した測定値を確認することで、冠状静脈洞の内部の圧力を監視することができる。
また、術者は、手技中の状況に応じて、開閉部材34の開閉操作により心筋保護液の供給と停止との切り替えを行う。
【0077】
バルーン60を冠状静脈から取り外す際には、バルーン60内部の液体の排出操作を行うことによって、バルーン60を膨張状態から収縮状態にする。そして、第2連結部113が連結部15に対して連結されている状態のまま、操作部70を把持してカテーテル100を牽引し、管状体10を生体管腔から筒状本体112を介して外部に抜去する。
このとき、管状体10において生体内に挿入されていた部分には、血液が付着していることが想定される。しかし、本実施形態の場合、生体から抜去された管状体10は、スリーブ65の内部に収容される。より詳細には、管状体10において生体内に挿入されていた部分は、外部に露出することなく、スリーブ65の内部に収容されつつ生体及びイントロデューサ110から抜去される。したがって、術者が管状体10に付着した血液と接触してしまうことを抑制できる。
【0078】
管状体10の全体を生体管腔の内部及びイントロデューサ110から抜去した後、術者は、第2連結部113に対する連結部15の連結を解除して、カテーテル100をイントロデューサ110から取り外す。上述のとおり、スリーブ65の全長は、管状体10の全長よりも長いため、管状体10の近位端部から最遠位端までをスリーブ65の内部に収容することができる。
また、連結部15に上述のロック操作部17が設けられている場合、術者は、連結部15が管状体10の遠位端の近傍に配置されている状態において、ロック操作部17を操作し、管状体10の軸方向における連結部15の摺動をロックすることにより、スリーブ65及び連結部15が管状体10の全体を収容している状態を好適に維持することができる。
また、例えば、連結部15の内部には、近位側から遠位側への液体の流動を規制する図示しない逆止弁が設けられていてもよい。当該逆止弁により、管状体10に付着した血液が連結部15の遠位側の開口から外部に漏出してしまうことを抑制できる。
【0079】
なお、上述において、カテーテル100の生体管腔への挿入をX線透視下で行う例を説明したが、本発明はこの例に限らず、カテーテル100の生体管腔への挿入は、経食道超音波内視鏡を併用して経食道心エコー下で行ってもよい。
【0080】
<第1変形例>
次に、
図7から
図11(f)を用いて実施形態の第1変形例を説明する。
本変形例に係るカテーテル100は、以下に説明する点で、上記の実施形態に係るカテーテル100と相違しており、その他の点では、上記の実施形態に係るカテーテル100と同様に構成されている。
以下の説明では、
図8(a)及び
図8(b)における上側(上方)を単に上側と称し、
図8(a)及び
図8(b)における下側(下方)を単に下側と称する。また、
図8(a)及び
図8(b)における奥行き方向を左右方向と称する。左右方向のうち、
図8(a)及び
図8(b)における手前側を左側と称し、その反対側を右側と称する。
また、操作部70の説明に関し、
図8(a)及び
図8(b)おける左側を先端側と称し、
図8(a)及び
図8(b)おける右側を基端側と称する。また、先端側及び基端側に向かう方向を先基端方向と称する。
ただし、カテーテル100の使用時における各部の位置関係(特に上下の位置関係)は、本明細書で説明する位置関係に限らない。
【0081】
本変形例に係るカテーテル100は、上記の実施形態と同様に、操作線50の牽引操作により管状体10の遠位端部10aを屈曲させるための操作部70を更に備え、操作部70は、術者に把持される本体ケース72と、操作線50の基端部50bが固定されているとともに本体ケース72に対して揺動可能に軸支されている操作受部75と、を有し、牽引操作は、操作受部75を揺動させる操作であり、操作部70は、更に、遠位端部10aを屈曲状態に保持させる保持機構74を有する。
ただし、本変形例の場合、操作部70の保持機構74は、操作受部75を予め設定されている複数段階の揺動角度のいずれかの角度に保持させる機構である。なお、後述する第2変形例で説明するように、保持機構74は、操作受部75を無段階の揺動角度に保持させる機構であってもよい。
【0082】
本変形例によれば、操作部70の保持機構74は、操作受部75を予め設定されている複数段階の揺動角度のいずれかの角度に保持させることが可能であるため、管状体10の遠位端部10aを、複数段階の屈曲角度に屈曲させることができる。したがって、牽引操作により管状体10の遠位端部10aを屈曲させてカテーテル100を複数方向に選択的に指向させることができるので、カテーテル100のより良好な操作性を実現することができる。
【0083】
本体ケース72は、中空の部材であり、例えば、一方向に長尺な略直方体形状に形成されており、先端側に向けて先細りしている。
図8(a)、
図8(b)及び
図9に示すように、本体ケース72の内部には、後述する扇形部80と、当接部材77及び付勢部79が配置されている。なお、
図9において、本体ケース72の内部構造のうち扇形部80を破線で図示している。
図9に示すように、本変形例の場合、本体ケース72は、例えば、第1本体部材72aと、第2本体部材72bと、を有しており、第1本体部材72aと第2本体部材72bとが相互に組み付けられることによって、本体ケース72が構成されている。なお、
図8(a)、
図8(b)、
図10(d)、
図10(e)及び
図10(f)においては、第2本体部材72bの図示を省略しており、これらの図は内部構造が見える状態の側面図となっている。
第1本体部材72aと第2本体部材72bとは、左右方向において概ね対称形状に形成されている。
【0084】
本変形例の場合、
図8(a)及び
図8(b)に示すように、補強チューブ40の基端は、例えば、本体ケース72の内部に導入されており、本体ケース72に対して固定されている。補強チューブ40の基端側の開口から引き出された操作線50の基端部50bは、操作受部75に対して連結されている。操作線50の基端部50bは、本体ケース72の長手方向に沿って配置されており、補強チューブ40の基端部も、例えば、本体ケース72の長手方向に沿って配置されている。
【0085】
ここで、
図8(a)、
図8(b)及び
図9に示すように、本実施形態の場合、保持機構74は、複数の凹凸76aを含む凹凸構造部76と、凹凸構造部76の複数の凹凸76aのうち、操作受部75の揺動角度に応じた凹凸76aに対して嵌合する嵌合部78と、を有する。
そして、凹凸構造部76と嵌合部78とのいずれか一方が操作受部75に形成されており、嵌合部78が凹凸構造部76のいずれかの凹凸76aに対して嵌合することによって、操作受部75が複数段階の揺動角度のいずれかの角度に保持される。
より詳細には、本変形例の場合、操作部70は、牽引操作によって操作受部75の揺動角度を調整することによって、嵌合部78を凹凸構造部76のいずれか1つの凹凸76aに対して選択的に嵌合させることができる。このため、牽引操作が解除された際に、操作受部75を牽引操作が解除されたときの揺動角度に保持させることができる。よって、カテーテル100の操作性を向上させることができる。
【0086】
本変形例の場合、一例として、凹凸構造部76が操作受部75に形成されており、保持機構74は、嵌合部78を含む当接部材77と、嵌合部78が操作受部75に対して圧接されるよう当接部材77を付勢する付勢部79と、を有する。
これにより、嵌合部78が凹凸構造部76のいずれかの凹凸76aに対して嵌合している状態において、付勢部79に付勢されて嵌合部78が操作受部75に対して圧接されることとなる。よって、より確実に、牽引操作が解除された際に、操作受部75を牽引操作が解除されたときの揺動角度に保持させることができる。
【0087】
更に、
図11(a)から
図11(f)に示すように、操作受部75は、例えば、扇形に形成されている扇形部80を有するとともに、扇形部80の周方向に揺動可能に軸支されており、扇形部80の弧状の周面80aの周方向に、複数の凹凸76aが並んで配置されている。つまり、扇形部80の周面80aに凹凸構造部76が形成されている。
これにより、より曲率半径が大きい周面80aに凹凸構造部76を形成することができるとともに、操作受部75をコンパクトな本体ケース72に収容できる。また、より少ない操作受部75の揺動角度で、十分な距離の牽引操作を行うことができるとともに、遠位端部10aの屈曲角度の範囲を良好に確保することができる。
なお、
図11(b)は、操作受部75の揺動角度が
図8(a)に示す角度である状態における扇形部80の平面図であり、
図11(c)は、操作受部75の揺動角度が
図8(a)に示す角度である状態における扇形部80の底面図である。また、
図11(d)から
図11(f)においては、後述する第3軸部材88を図示している。
また、以下の説明において、扇形部80の周面80aの周方向を単に周方向と称する場合がある。
【0088】
扇形部80は、例えば、側面視扇形に形成されている。より詳細には、扇形部80は、側面視扇形に形成されている板状部81bと、板状部81bの弧状の周縁部に沿って配置されている弧状の周壁部81aと、それぞれ扇形部80の径方向に延在している第1壁部81c及び第2壁部81dと、を有する。
周壁部81a、第1壁部81c及び第2壁部81dの集合体が側面視扇形の枠体を形成しており、板状部81bは当該枠体と同形状に形成された板状部であり、枠体の内部に配置されている。
より詳細には、板状部81bは、平板状に形成されている。板状部81bは、各板面が左右方向を向いて配置されている。
ここで、板状部81bは、当該板状部81bの周方向における両側縁に、それぞれ径方向に延在する側縁部を有する。これら縁部のうち、先端側の縁部に沿って第1壁部81cが配置されており、基端側の縁部に沿って第2壁部81dが配置されている。
第1壁部81c及び第2壁部81dは、それぞれ平板状に形成されている。第1壁部81c、第2壁部81dは、それぞれ各板面が扇形部80の周方向を向いて配置されている。
周壁部81a、第1壁部81c及び第2壁部81dの各々は、板状部81bから左右方向にそれぞれ起立している。また、周壁部81a、第1壁部81c及び第2壁部81dの各々は、互いに同等の左右幅寸法に設定されている。
また、第1壁部81cの径方向における外側の端部は、周壁部81aの先端部と接続されており、第2壁部81dの径方向における外側の端部は、周壁部81aの基端部と接続されている。
また、第1壁部81cの径方向における内側の端部と、第2壁部81dの径方向における内側の端部とが、互いに接続されている。したがって、側面視において、第1壁部81cと第2壁部81dとのなす角度が、扇形部80の中心角である。
扇形部80の中心角度は特に限定されないが、70度以上170度以下であることが好ましく、90度以上150度以下であることが好ましい。
また、周壁部81aにおいて、第1壁部81c側が先端側、第2壁部81d側が基端側である。
また、本体ケース72の内部において、扇形部80は、周面80aが上側、扇形部80の揺動軸が下側に配置された姿勢で軸支されている。
【0089】
本変形例の場合、扇形部80は当該扇形部80の中心部(第1壁部81cと第2壁部81dとの接続部の近傍)において軸支されている。扇形部80の揺動軸は左右方向に延在している。したがって、操作受部75は、例えば、扇形部80の周面80aの周方向における一方向と、扇形部80の周面80aの周方向における当該一方向に対する反対方向と、にそれぞれ揺動可能となっている。
扇形部80の揺動軸は、本体ケース72の長手方向すなわち先基端方向の成分を含む方向に対して直交している。したがって、扇形部80の揺動方向すなわち操作受部75の揺動方向は、先基端方向の成分を含む方向であり、操作線50の牽引方向も、先基端方向の成分を含む方向である。
本変形例の場合、操作受部75を周方向における一方に揺動させることにより、操作線50を基端側に牽引し張力を与えることができる。また、操作受部75を周方向における当該一方に対する反対方向に揺動させることにより、操作線50を先端側に移動させ弛緩させることができる。このようにして、管状体10の遠位端部10aを屈曲又は伸長させることができる。
【0090】
より詳細には、
図8(a)及び
図8(b)に示すように、扇形部80の中心部には、当該扇形部80を左右方向に貫通している第1軸孔部85が形成されている。また、第1本体部材72a及び第2本体部材72bの各内側面において、第1軸孔部85と対向している箇所には、それぞれ保持部(不図示)が形成されている。保持部は、第1軸孔部85と同軸に配置された保持孔を有する。一方の保持孔から第1軸孔部85を通して他方の保持孔に亘って、左右方向に長尺な棒状に形成されている1本の第1軸部材86が挿通されている。こうして、扇形部80は第1軸部材86によって軸支されている。
【0091】
ここで、
図11(e)及び
図11(f)に示すように、板状部81bには、空白95が形成されている。空白95は、板状部81bの厚み方向における全体に形成されている。空白95は、周壁部81aに沿って周方向に延在している。
また、板状部81bの各板面において、空白95と対応している部分には、例えば、それぞれ第2板状部87a、87bが配設されている。第2板状部87a、87bは、それぞれ平板状に形成されている。第2板状部87a、87bの各々の各板面は、左右方向を向いて配置されている。また、第2板状部87a、87bは、互いに対向して配置されている。
第2板状部87aの左側面は、板状部81bの右側面と同一平面上に配置されている。また、第2板状部87bの右側面が、板状部81bの左側面と同一平面上に配置されている。そして、第2板状部87aが空白95を右側から塞いでいる。また、第2板状部87bが空白95における基端側の端部を左側から塞いでおり、空白95における第2板状部87bよりも先端側の部分は、左側に向けて開口している。
更に、第2板状部87a、87bには、それぞれ円筒部84a、84b(
図11(e)及び
図11(f)参照)が設けられている。第2板状部87aに設けられている円筒部84aは、第1本体部材72a側に向けて突出しており、第2板状部87bに設けられている円筒部84bは、第2本体部材72b側に向けて突出している。
各円筒部84a、84bは、本体ケース72の軸心を基準として、互いに対称形状に形成されている。各円筒部84a、84bは、それぞれ円筒状に形成されており、その軸方向は操作受部75の揺動軸と平行である。また、各円筒部84a、84bは、互いに同軸に配置されている。また、第2板状部87aは、円筒部84aと同軸に配置された貫通孔を有し、第2板状部87bは、円筒部84bと同軸に配置された貫通孔を有する。
ここで、円筒部84aの内腔から第2軸孔部77dを通して円筒部84bの内腔に亘って、左右方向に長尺な棒状に形成されている1本の第3軸部材88が挿通されている。
各円筒部84a、84bの各々の内腔は、第2板状部87a、87bの各々の貫通孔を介して、空白95と連通しており、第3軸部材88の長さ方向における中央部は、空白95の内部に配置されている。そして、この第3軸部材88の中央部には、操作線50の基端部50bが連結されている。
より詳細には、操作線50の基端は、環状の引っ掛け部51となっており、当該引っ掛け部51が第3軸部材88に対して係止されることによって、操作線50の基端部50bは操作受部75に対して連結されている。
操作受部75が揺動する際には、第3軸部材88は第1軸部材86を中心として弧状に揺動し、操作線50の基端部50bは、第3軸部材88に伴って弧状の経路で牽引される。
【0092】
ここで、
図11(a)、
図11(b)及び
図11(c)に示すように、周壁部81aと第1壁部81cとに亘ってスリット部83aが形成されている。
本変形例の場合、スリット部83aは、空白95と連通しており、補強チューブ40の基端側の開口から引き出された操作線50の基端部50bは、例えば、スリット部83aを介して、空白95内の第3軸部材88に導かれている。
スリット部83aは、操作受部75のいずれの角度においても、扇形部80と操作線50の基端部50bとが互いに干渉しないように、形状及び寸法の各々が設定されている。
より詳細には、スリット部83aの一部分は、例えば、周面80aにおける先端側の部分に形成されており、スリット部83aの残りの部分は、第1壁部81cにおける先端側の部分に形成されている。
スリット部83aにおいて、周壁部81aに形成されている部分は、周方向に延在しているとともに、当該周壁部81aを扇形部80の径方向に貫通している。また、スリット部83aにおいて、第1壁部81cに形成されている部分は、扇形部80の径方向に延在しているとともに、当該第1壁部81cを扇形部80の周方向に貫通している。
【0093】
本変形例の場合、周壁部81aの外周面が周面80aを構成している。すなわち、周壁部81aに、複数の凹凸76aを含む凹凸構造部76が形成されている。
より詳細には、凹凸構造部76は、周面80aにおける基端側の部分に形成されている。複数の凹凸76aは、周方向に互いに隣接して配置されている。
複数の凹凸76aの各凹部は、それぞれ扇形部80の径方向における内方に向けて凹に形成されており、複数の凹凸76aの各凸部は、それぞれ扇形部80の径方向における外方に向けて凸に形成されている。
本変形例の場合、一例として、凹凸76aの数は、7つである。したがって、操作受部75は、7段階の揺動角度のうちのいずれか1つの角度に保持され、管状体10の屈曲角度も、7段階の屈曲角度のうちのいずれかの1つの角度に保持される。
ただし、凹凸76aの数は特に限定されず、上記揺動角度の所望の段階数に応じて適宜設定することができる。
【0094】
ここで、複数の凹凸76aにおいて、最先端には凹部が配置されており、当該凹部の底面は、例えば、嵌合部78が定位置に嵌合せず摺動する摺動部75a(
図8(b)等参照)を構成している。また、複数の凹凸76aにおいて、摺動部75aが形成されている凹部を除いた残りの凹凸76a(以下、単に残りの凹凸76aと称する場合がある)は、互いに同様の形状に形成されており、例えば、先端側から、凸、凹、の順に交互に配置されている。
より詳細には、周方向において、摺動部75aが形成されている凹部の長さ寸法は、残りの凹凸76aの各凹部の長さ寸法よりも大きい。摺動部75aは、その全体が、操作受部75の揺動軸を中心とする円弧状の滑らかな湾曲面となっている。したがって、摺動部75aは、周方向における位置にかかわらず揺動軸からの距離が等しい。また、摺動部75aが形成されている凹部の形成深さは、残りの凹凸76aの各凹部の形成深さよりも大きい。すなわち、摺動部75aの位置は、残りの凹凸76aの各凹部における最深部よりも扇形部80の軸心に近い。また、摺動部75aが形成されている凹部を画定している凸部の傾斜は、残りの凹凸76aの各凸部の傾斜よりも大きい(急角度である)。
また、残りの凹凸76aの各凹部は、側面視において、それぞれ円弧状となっている。本変形例の場合、このような略円弧状の凹部が連なって配置されており、凹部どうしの境界部が凸部である。したがって、残りの凹凸76aの各凸部は、側面視において、それぞれ先端側(凸部の突出方向における先端側)に向けて先細りした形状となっている。そして、本変形例の場合、残りの凹凸76aにおいて、凸部の頂点から次の凸部の頂点までの間が凹部である。
また、残りの凹凸76aにおいて、各凸部の寸法は互いに等しく、扇形部80の揺動軸から各凸部の頂点までの距離は互いに等しい。
また、
図9に示すように、複数の凹凸76aの各凹部は、例えば、それぞれ扇形部80の揺動軸に沿って延在する溝状に形成されている。すなわち、各凹部は中心に向けて窪んだ湾曲面である。このため、各凸部は、それぞれ扇形部80の揺動軸に沿って延在する突条となっている。
【0095】
扇形部80は、例えば、硬質の樹脂材料によって全体が一体成形されている。硬質の樹脂材料としては、特に限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体などが挙げられる。
なお、扇形部80は、例えば、別々の部材を組み合わせることによって構成されていてもよい。
【0096】
図8(a)及び
図8(b)に示すように、本変形例の場合、当接部材77は、本体ケース72に対して揺動可能に軸支されている。
より詳細には、当接部材77には、当該当接部材77を左右方向に貫通している第2軸孔部77dが形成されている。また、第1本体部材72a及び第2本体部材72bの各内側面において、第2軸孔部77dと対向している箇所には、それぞれ第2保持部(不図示)が形成されている。各第2保持部は、第2軸孔部77dと同軸に配置された第2保持孔を有する。一方の第2保持孔から第2軸孔部77dを通して他方の第2保持孔に亘って、左右方向に長尺な棒状に形成されている1本の第2軸部材721cが挿通されている。
このようにして、当接部材77は、第2軸部材721cの軸回りに揺動可能となっている。したがって、当接部材77の揺動方向は、操作受部75の揺動方向と一致している。なお、本体ケース72の内部において、当接部材77の揺動軸の位置は、例えば、操作受部75の揺動軸よりも基端側に配置されている。また、当接部材77の揺動領域は、譬える、操作受部75の揺動領域よりも基端側に配置されている。
【0097】
ここで、当接部材77において、複数の凹凸76aと対向する部位には嵌合部78が形成されている。
また、当接部材77において、嵌合部78が形成されている側とは反対側の面に対して付勢部79が作用するようになっている。
本変形例の場合、付勢部79は、一例として、コイルスプリングである。
ここで、本体ケース72の内部には、付勢部79を収容する収容部89が形成されている。
より詳細には、第1本体部材72aの内面には、側面視コの字状(U字状)(扇形部80側に向けて開放したコの字状(U字状))に配置された3つの板状部が形成されている。各板状部は、第1本体部材72aの内面において、第2本体部材72bと対向する部位から第2本体部材72bに向けて起立している。3つの板状部には、互いに平行に配置されている一対の第1板状部89aと、これら一対の第1板状部89aの端部どうしを接続している第2板状部89bと、が含まれている。
収容部89は、一対の第1板状部89aと、第2板状部89bと、第1本体部材72aの内側面と、第2本体部材72bの内側面によって画定されている。付勢部79は、例えば、収容部89の内部に配置されている。
付勢部79は、第2板状部89bと当接部材77との間に挟持されており、扇形部80の周面80a側に向けて当接部材77を付勢している。より詳細には、付勢部79の一端が当接部材77に当接しており、付勢部79の他端が第2板状部89bに当接している。一対の第1板状部89aは、付勢部79の軸方向への伸縮をガイドしている。
また、当接部材77における付勢部79が作用する側の面には、コイルスプリングがずれないように円柱状の突起部77aが形成されており、付勢部79は、突起部77aに外挿されている。
このように、本変形例の場合、保持機構74は、嵌合部78を含む当接部材77と、嵌合部78が操作受部75に対して圧接されるよう当接部材77を付勢する付勢部79と、を有する。
【0098】
当接部材77は、例えば、硬質の樹脂材料によって全体が一体成形されている。硬質の樹脂材料としは、特に限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体などが挙げられる。
なお、当接部材77は、例えば、別々の部材を組み合わせることによって構成されていてもよい。
【0099】
図8(a)及び
図8(b)に示すように、当接部材77は、例えば、側面視くの字状(dogleg shape:中心角が鈍角のL字状)に屈曲した板状に形成されている。
より詳細には、当接部材77は、嵌合部78が形成されている先端側部分77bと、先端側部分77bと連接されている基端側部分77cと、を有する。
先端側部分77b及び基端側部分77cは、それぞれ平板状に形成されている。先端側部分77b及び基端側部分77cの各々の各板面は、左右方向に沿って配置されている。
先端側部分77bにおいて、複数の凹凸76aと対向する側の面には嵌合部78が形成されており、その反対側の面には突起部77aが形成されており、付勢部79が当接している。基端側部分77cの中央部(基端側部分77cの延在方向における中央部)には、第2軸孔部77dが形成されている。
嵌合部78は、例えば、先端側部分77bから凹凸76aに向けて突出している円柱状に形成されている。嵌合部78の突出方向は、例えば、扇形部80の径方向と略一致している。
また、突起部77aは、嵌合部78の突出方向とは反対方向に突出している。突起部77aの先端部(突起部77aの突出方向における先端部)は、例えば、収容部89の内部に配置されている。
本変形例の場合、付勢部79の付勢の方向は、例えば、嵌合部78の突出方向と略一致している。
【0100】
そして、付勢部79によって、先端側部分77bが扇形部80の周面80a側に付勢されることにより、嵌合部78の先端面78aの少なくとも一部分が周面80aに対して当接する。
より詳細には、操作受部75の揺動角度に応じて、嵌合部78の先端面78aは、凹凸構造部76又は摺動部75aのいずれか一方に対して当接する。
図8(a)に示すように、付勢部79によって付勢されて、嵌合部78がいずれか一つの凹凸76aに対して嵌合することにより、操作受部75の揺動が規制される。
そして、操作受部75を揺動させることによって、当該凹凸76aに対する嵌合部78の嵌合を解除し、別の凹凸76aに対して嵌合部78を嵌合させたり、摺動部75a上に移動させたりすることができる。
より詳細には、複数の凹凸76aの各凹部の、周方向における寸法は、例えば、嵌合部78の直径と略同等の寸法に設定されている。したがって、嵌合部78が凹凸76aに対して良好に嵌合することとなる。
また、
図8(b)に示すように、嵌合部78の先端面78aが、摺動部75aに対して当接している状態においては、操作受部75は複数段階の揺動角度のいずれかの角度に保持されない。
より詳細には、摺動部75aの長さ寸法は、例えば、嵌合部78の直径よりも大きい寸法に設定されている。このため、嵌合部78が摺動部75aに対して当接している状態において、嵌合部78は操作受部75に対して変位可能となっている。
また、上述のように、摺動部75aが形成されている凹部の形成深さは、残りの凹凸76aの各凹部の形成深さよりも大きい。よって、嵌合部78が当該残りの凹凸76aに対して当接している状態と比較して、嵌合部78が摺動部75aに対して当接している状態において、付勢部79はその軸方向により長く伸びた状態となっているので、付勢部79の付勢力はより小さくなる。このため、操作受部75は容易に揺動することができる。
なお、操作受部75は、例えば、摺動部75aを有していなくてもよい。この場合、複数の凹凸76aは、例えば、互いに同形状となっている。
【0101】
ここで、周面80aには、牽引操作を受け付ける突出部82が形成されている。突出部82は、一例として、複数の凹凸76aの形成領域よりも先端側の部分に形成されている。扇形部80の径方向における外方に向けて突出している突出部82(
図9及び
図11(a)参照)が形成されている。
突出部82の先端部82a(突出部82の延在方向における先端部)は、例えば、突出部82の基端部82b(突出部82の延在方向における基端部)よりも周方向において幅広に形成されているとともに、先端側に向けて先細りしている。
【0102】
更に、本体ケース72の上端部には、本体ケース72の内部空間と本体ケース72の外部とを相互に連通させている開口部73(
図9等参照)が形成されている。開口部73は、例えば、平面視において、本体ケース72の長手方向に長尺な略矩形状に形成されている。開口部73を介して、突出部82の先端部82aが本体ケース72の外部に突出している。術者は、例えば、片手で本体ケース72を把持しつつ、本体ケース72を把持している手の指によって先端部82aを周方向に揺動させることにより、操作受部75を揺動させることができる。すなわち、片手で本体ケース72を把持しつつ、牽引操作を容易に行うことができる。
より詳細には、例えば、操作部70は、第2指から第5指及び手の平で本体ケース72の下側の部分を把持しつつ第1指で突出部82を操作するのに適した構造となっている。なお、突出部82を操作する指は、特に限定されず、第2指等であってもよい。
【0103】
また、本変形例の場合、突出部82の揺動角度の範囲が開口部73によって制限されることにより、操作受部75の揺動角度の範囲が制限されている。
より詳細には、突出部82は、突出部82の基端部82bが開口部73の先端側の縁部に対して当接する位置(
図8(a)参照)から突出部82の基端部82bが開口部73の基端側の縁部に対して当接する位置(
図8(b)参照)までの角度の範囲において移動可能となっている。したがって、開口部73の先端側の縁部から開口部73の基端側の縁部までの角度の範囲において操作受部75は揺動可能となっている。
また、操作受部75の揺動角度の範囲が制限されることによって、嵌合部78が、周面80aにおける摺動部75aよりも先端側の領域に当接しないとともに、最も基端側に配置されている凸部を乗り越えてしまうことが抑制されている構造となっている(基端側に脱落してしまうことが抑制されている)。換言すると、操作受部75のいずれの揺動角度においても、嵌合部78は、摺動部75a又は凹凸構造部76のいずれか一方に対して当接するようになっている。
【0104】
そして、本変形例の場合、突出部82を開口部73の基端側の縁部に近づく方向に揺動させることにより、操作線50を基端側に牽引し張力を与えることができる。また、突出部82を開口部73の先端側の縁部に近づく方向に揺動させることにより、操作線50を先端側に移動させ弛緩させることができる。このようにして、管状体10の遠位端部10aを屈曲又は伸長させることができる。
【0105】
より詳細には、例えば、
図10(a)及び
図10(d)に示すように、突出部82の基端部82bが開口部73の先端側の縁部に対して当接している状態において、管状体10の遠位端部10aは伸長している(屈曲していない)。また、嵌合部78は、最も基端側に配置されている凹凸76aに対して嵌合している。
そして、
図10(a)に示す状態から、
図10(b)及び
図10(e)に示すように、突出部82を基端側に揺動させると、操作線50の基端部50bは基端側に牽引され、管状体10の軸心を基準として、操作線50が挿通されている第2のルーメン22側に、管状体10の遠位端部10aが屈曲する。また、嵌合部78は、操作受部75に押圧されて操作受部75の揺動方向の反対方向に揺動し、最も基端側に配置されている凹凸76aよりも先端側に配置されているいずれかの凹凸76aに対して嵌合することとなる。
次に、
図10(b)に示す状態から、
図10(c)及び
図10(f)に示すように、操作受部75を開口部73の基端側の縁部に近づく方向に更に揺動させると、操作線50の基端部50bは基端側に更に牽引され、管状体10の軸心を基準として、操作線50が挿通されている第2のルーメン22側に、管状体10の遠位端部10aがより大きい屈曲角度で屈曲する。また、嵌合部78は、より先端側に配置されているいずれかの凹凸76aに対して嵌合することとなる。そして、基端部82bが開口部73の基端側の縁部に対して当接する又は近接する位置まで操作受部75を揺動させると、凹凸76aに対する嵌合部78の嵌合が解除され、嵌合部78は凹凸構造部76の先端側に配置されている摺動部75aに対して当接することなる。
一方、操作受部75を開口部73の先端側の縁部に近づく方向に揺動させると、基端部50bが先端側に移動することにより操作線50は弛緩し、遠位端部10aの屈曲角度が小さくなる。そして、
図10(a)及び
図10(d)に示すように、突出部82が開口部73の先端側の縁部に対して当接するまで操作受部75を一方向に揺動させると、管状体10の遠位端部10aは伸長状態となる。すなわち、突出部82が開口部73の前端部に対して当接するまで操作受部75を他方向に揺動させることにより、管状体10の遠位端部10aの屈曲状態を解除することができる。
このように、操作部70の操作受部75に対する操作によって、操作線50を牽引又は弛緩させることにより、管状体10の遠位端部10aを、互いに同一平面に含まれる複数の方向に選択的に屈曲させることができる。
【0106】
操作受部75の揺動角度の範囲は特に限定されないが、例えば、20度以上60度以下に設定されていることが好ましく、30度以上50度以下に設定されていることがより好ましい。
操作受部75の揺動角度の範囲が20度以上に設定されていることによって、管状体10の遠位端部10aの屈曲角度の範囲を十分に確保することができる。
操作受部75の揺動角度の範囲が60度以下に設定されていることによって、片手で操作部70を把持した状態を維持しつつ、操作部70を把持している手の指で最小の揺動角度から最大の揺動角度まで操作受部75を容易に揺動させることができる。
【0107】
<第2変形例>
次に、
図12(a)及び
図12(b)を用いて実施形態の第2変形例を説明する。
第2変形例に係るカテーテル100は、以下に説明する点で、上記の第1変形例に係るカテーテル100と相違しており、その他の点では、上記の第1変形例に係るカテーテル100と同様に構成されている。なお、
図12(a)及び
図12(b)において第2本体部材72bの図示を省略している。
【0108】
本変形例における保持機構74は、例えば、操作受部75を無段階の揺動角度に保持させる機構である。
これにより、操作部70の保持機構74は、操作受部75を無段階の揺動角度のいずれかの角度に保持させることが可能であるため、管状体10の遠位端部10aを、無段階の屈曲角度に調整することができる。これにより、遠位端部10aの屈曲角度を、より細かく調整することができる。
【0109】
このように、本変形例に係るカテーテル100は、操作線50の牽引操作により管状体10の遠位端部10aを屈曲させるための操作部70を更に備え、操作部70は、術者に把持される本体ケース72と、操作線50の基端部50bが固定されているとともに本体ケース72に対して揺動可能に軸支されている操作受部75と、を有し、牽引操作は、操作受部75を揺動させる操作であり、操作部70は、更に、遠位端部10aを屈曲状態に保持させる保持機構74を有し、保持機構74は、操作受部75を無段階の揺動角度に保持させる機構である。
【0110】
本変形例の場合、
図12(a)及び
図12(b)に示すように、保持機構74は、摩擦部91と、摩擦部91に対して圧接される圧接部92と、を有し、圧接部92が摩擦部91に対して圧接されることによって、操作受部75が無段階の揺動角度のいずれかの角度に保持される。
より詳細には、操作部70は、例えば、牽引操作が行われると、圧接部92が摩擦部91におけるいずれかの領域に対して圧接されるように構成されている。そして、この状態において、圧接部92によって操作受部75の揺動が規制されている。このため、牽引操作が解除された際に、別の操作を行うことなく、操作受部75を牽引操作が解除されたときの揺動角度に保持させることができる。よって、カテーテル100の操作性を向上させることができる。
本変形例の場合、圧接部92は、摩擦部91におけるいずれの領域に対しても圧接可能となっている。このため、操作受部75を無段階の揺動角度に保持させることができる。
より詳細には、圧接部92が摩擦部91に対して圧接している状態において、圧接部92の先端面92aの先端角部は、例えば、摩擦部91に対して食い込んでいる。
【0111】
また、本変形例の場合、扇形部80の扇形の弧状の周面80aには、凹凸構造部76の代わりに、摩擦部91が配設されている。また、第1変形例と同様に、周面80aには、摺動部93が配設されている。
本変形例の場合、摩擦部91と圧接部92との間に生じる摩擦力は、摺動部93と圧接部92との間に生じる摩擦力よりも大きい。そして、圧接部92が摩擦部91におけるいずれかの領域に対して圧接されている状態において、操作受部75の揺動が規制されるようになって、操作受部75が無段階の揺動角度のいずれかの角度に保持される。また、圧接部92が摺動部93に対して圧接されている状態において、操作受部75の揺動が規制されないようになっている。
摺動部93は、例えば、第1変形例における摺動部75aと同様の構造となっている。すなわち、周面80aにおける摩擦部91よりも基端側の部分には、扇形部80の径方向における内方に向けて窪んだ凹部が形成されており、当該凹部の底面が摺動部93を構成している。
また、圧接部92も、例えば、第1変形例における嵌合部78と同様の構造となっている。このため、圧接部92は、付勢部79により付勢されて操作受部75に対して圧接されることとなる。また、牽引操作を行うことにより、圧接部92に対する摩擦部91の位置を変更し、操作受部75の揺動角度を変更することができる。
【0112】
摩擦部91は、例えば、上述の扇形部80を構成している樹脂材料よりも摩擦係数の大きい材料によって構成されているシート材を張り付けることによって形成されている。
このような材料は、特に限定されないが、ポリウレタンエラストマー、ポリアミドエラストマー、シリコーンゴムまたはラテックスゴムなどのゴム材料であることが挙げられる。
ただし、摩擦部91は、例えば、複数の微小の凹凸が形成されている粗面であってもよい。
【0113】
以上、図面を参照して各実施形態を説明したが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0114】
例えば、上述において、管状体10の内壁が、複数のルーメン20をそれぞれ画定している例を説明したが、本発明はこの例に限らず、複数のチューブが管状体10の内部に埋設されており、複数のチューブの内壁が、複数のルーメン20をそれぞれ画定していてもよい。
【0115】
また、第1変形例において、操作受部75に凹凸構造部76が形成されている例を説明したが、例えば、本体ケース72の内面に凹凸構造部76が形成されていてもよい。この場合、例えば、扇形部80(操作受部75)の板状部81bに嵌合部78が設けられており、当該嵌合部78が凹凸構造部76に対して嵌合することによって、操作受部75の揺動角度が所定の角度の範囲に保持されるようになっている。
【0116】
また、例えば、第2変形例において、操作受部75に配設されている摩擦部91と当接部材77に含まれる圧接部92との摩擦によって、操作受部75の揺動が規制される例を説明した。ただし、本発明はこの例に限らず、操作受部75と本体ケース72の内面との摩擦によって、操作受部75の揺動が規制されるようになっていてもよい。
より詳細には、例えば、扇形部80に摩擦部91が形成されているとともに本体ケース72の内面に圧接部92が形成されていてもよいし、扇形部80に圧接部92が形成されているとともに本体ケース72の内側面に摩擦部91が形成されていてもよい。
なお、本体ケース72の内側面に摩擦部91が形成されている場合、圧接部92は、例えば、扇形部80の側面に形成されていることが好ましい。また、本体ケース72の内側面には、例えば、左右方向における厚みが相対的に小さい薄肉部と、左右方向における厚みが相対的に大きい厚肉部と、がそれぞれ形成されていることが好ましい。この薄肉部及び厚肉部によって、圧接部92が摩擦部91に対して圧接する状態と、圧接部92が摩擦部91に対して圧接していない状態と、を切り替えることができる。
なお、薄肉部及び厚肉部は、それぞれ扇形部80に形成されていてもよい。
更に、本体ケース72の内側面に、例えば、扇形部80側に向けて相対的に突出している突出領域と、当該突出領域が形成されていない非突出領域と、がそれぞれ形成されていることも好ましい。この突出領域及び非突出領域によって、圧接部92が摩擦部91に対して圧接する状態と、圧接部92が摩擦部91に対して圧接していない状態と、を切り替えることができる。
なお、突出領域及び非突出領域は、それぞれ扇形部80に形成されていてもよい。
【0117】
また、例えば、第2変形例において、操作受部75に配設されている摩擦部91と当接部材77に含まれる圧接部92との摩擦によって、操作受部75の揺動が規制される例を説明した。ただし、本発明はこの例に限らず、扇形部80を軸支している第1軸部材86と扇形部80との摩擦によって、操作受部75の揺動が規制されてもよい。
より詳細には、例えば、扇形部80を軸支している第1軸部材86と扇形部80の第1軸孔部85との摩擦によって、操作受部75の揺動が規制されてもよい。この場合、第1軸部材86に摩擦部91が形成されており、第1軸孔部85の内周面に圧接部92が形成されていてもよいし、第1軸部材86に圧接部92が形成されており、第1軸孔部85の内周面に摩擦部91が形成されていてもよい。
また、例えば、第1軸部材86と本体ケース72に形成されている保持部との摩擦によって、操作受部75の揺動が規制されてもよい。この場合、保持部に摩擦部91が形成されており、第1軸部材86に圧接部92が形成されていてもよいし、保持部に圧接部92が形成されており、第1軸部材86に摩擦部91が形成されていてもよい。
【0118】
また、例えば、第1変形例及び第2変形例において、突出部82が開口部73の先端部又は基端部に対して当接することによって、操作受部75の揺動の角度の範囲が規制される例を説明した。ただし、本発明はこの例に限らず、操作受部75の揺動は、例えば、本体ケース72の内面に形成されている凸部(不図示)が操作受部75に対して当接することによって、操作受部75の揺動の角度の範囲が規制されるように構成されていてもよい。
【0119】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)心臓の冠状静脈洞に留置されて冠動脈に心筋保護液を供給するカテーテルであって、
複数のルーメンを有する管状体と、
前記管状体の遠位端部に形成されており、第1の前記ルーメンと連通している前記心筋保護液の供給用の孔部と、
第2の前記ルーメンに挿通されている補強チューブと、
前記補強チューブに挿通されている操作線と、
を有し、
前記補強チューブは、前記管状体の近位側から前記遠位端部に亘って延在しており、
前記操作線の先端部は、前記補強チューブの遠位端から導出されて、前記補強チューブの前記遠位端よりも遠位側において前記管状体の遠位端部に固定されているカテーテル。
(2)前記管状体の遠位端部の外周に設けられており、第3の前記ルーメンと連通しているバルーンを更に有し、
前記補強チューブは、前記管状体の近位側から前記バルーンの配置領域の近位側近傍の部位に亘って延在している(1)に記載のカテーテル。
(3)前記補強チューブの遠位端は、前記バルーンの配置領域よりも近位側に配置されている(2)に記載のカテーテル。
(4)前記孔部として、前記管状体の遠位端に形成されている第1孔部と、前記管状体の前記遠位端部の周面に形成されている第2孔部と、を有する(1)から(3)のいずれか一項に記載のカテーテル。
(5)当該カテーテルは、経皮的に静脈に穿刺されたイントロデューサを通じて前記静脈に挿入されるものであり、
前記管状体に外挿されていて軸方向に伸縮可能な可撓性のスリーブと、
前記スリーブの遠位端部に対して周回状に液密に設けられて、前記管状体に対して軸方向に摺動可能となっている筒状の連結部と、
を更に備え、
前記連結部を前記イントロデューサに対して着脱可能に連結可能である(1)から(4)のいずれか一項に記載のカテーテル。
(6)前記操作線の牽引操作により前記管状体の遠位端部を屈曲させるための操作部を更に備え、
前記操作部は、
術者に把持される本体ケースと、
前記操作線の基端部が固定されているとともに前記本体ケースに対して揺動可能に軸支されている操作受部と、
を有し、
前記牽引操作は、前記操作受部を揺動させる操作であり、
前記操作部は、更に、前記遠位端部を屈曲状態に保持させる保持機構を有し、
前記保持機構は、前記操作受部を予め設定されている複数段階の揺動角度のいずれかの角度に保持させる機構であるか、又は、前記操作受部を無段階の揺動角度に保持させる機構である(1)から(5)のいずれか一項に記載のカテーテル。
(7)前記保持機構は、複数の凹凸を含む凹凸構造部と、前記凹凸構造部の前記複数の凹凸のうち、前記操作受部の揺動角度に応じた凹凸に対して嵌合する嵌合部と、を有し、
前記凹凸構造部と前記嵌合部とのいずれか一方が前記操作受部に形成されており、
前記嵌合部が前記凹凸構造部のいずれかの凹凸に対して嵌合することによって、前記操作受部が前記複数段階の揺動角度のいずれかの角度に保持される(6)に記載のカテーテル。
(8)前記操作受部は、扇形に形成されている扇形部を有するとともに、前記扇形部の周方向に揺動可能に軸支されており、
前記扇形部の弧状の周面の周方向に、前記複数の凹凸が並んで配置されている(7)に記載のカテーテル。
(9)前記凹凸構造部が前記操作受部に形成されており、
前記保持機構は、前記嵌合部を含む当接部材と、前記嵌合部が前記操作受部に対して圧接されるよう前記当接部材を付勢する付勢部と、を有する(7)又は(8)に記載のカテーテル。
【符号の説明】
【0120】
10 管状体
10a 遠位端部
11 マーカー
12 接着剤
13 孔部
13a 第1孔部
13b 第2孔部
14 柔軟部
15 連結部
17 ロック操作部
18 切欠形状部
18a 直線部
18b 交差部
20 ルーメン
21 第1のルーメン
22 第2のルーメン
23 第3のルーメン
23a バルーン用孔部
24 第4のルーメン
30 分岐部
31 送液用枝管
31a 送液用コネクタ
32 バルーン用枝管
32a バルーン用コネクタ
33 圧モニタ用枝管
33a 圧モニタ用コネクタ
33b 圧モニタ用キャップ
34 開閉部材
35 カバー部材
40 補強チューブ
40a 遠位端
50 操作線
50a 先端部
50b 基端部
51 引っ掛け部
60 バルーン
61 遠位端部
62 近位端部
63 中間部
65 スリーブ
70 操作部
71 ホイール操作部
72 本体ケース
72a 第1本体部材
721c 第2軸部材
72b 第2本体部材
73 開口部
74 保持機構
75 操作受部
75a 摺動部
76 凹凸構造部
76a 凹凸
77 当接部材
77a 突起部
77b 先端側部分
77c 基端側部分
77d 第2軸孔部
78 嵌合部
78a 先端面
79a 先端角部
79 付勢部
80 扇形部
80a 周面
81a 周壁部
81b 板状部
81c 第1壁部
81d 第2壁部
82 突出部
82a 先端部
82b 基端部
83a スリット部
84a、84b 円筒部
85 第1軸孔部
86 第1軸部材
87 第2板状部
88 第3軸部材
89 収容部
89a 第1板状部
89b 第2板状部
91 摩擦部
92 圧接部
92a 先端面
93 摺動部
95 空白
100 カテーテル
110 イントロデューサ
112 筒状本体
113 第2連結部
114 サイドポート
114a チューブ
114b 三方活栓
116 突出部