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特許7602772ブロッコリーエクソソームを有効成分として含む抗老化、抗酸化化粧料組成物、及びそれを含む機能性化粧品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-11
(45)【発行日】2024-12-19
(54)【発明の名称】ブロッコリーエクソソームを有効成分として含む抗老化、抗酸化化粧料組成物、及びそれを含む機能性化粧品
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/9789 20170101AFI20241212BHJP
   A61Q 19/08 20060101ALI20241212BHJP
   A61Q 17/00 20060101ALI20241212BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241212BHJP
   A61P 39/06 20060101ALI20241212BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20241212BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20241212BHJP
   A61K 36/31 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61Q19/08
A61Q17/00
A61P43/00
A61P39/06
A61P17/00
A61P29/00
A61K36/31
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023533206
(86)(22)【出願日】2021-08-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-22
(86)【国際出願番号】 KR2021010439
(87)【国際公開番号】W WO2022031124
(87)【国際公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-02-07
(31)【優先権主張番号】10-2020-0099518
(32)【優先日】2020-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517146460
【氏名又は名称】株式会社エキソステムテック
【氏名又は名称原語表記】EXOSTEMTECH CO.,LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】512293921
【氏名又は名称】インダストリー-ユニバーシティー コーペレイション ファンデーション ハンヤン ユニバーシティー エリカ キャンパス
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】チョ,ヨン ウ
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ジ スク
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ヨン チャン
(72)【発明者】
【氏名】チョ,スン ヒ
(72)【発明者】
【氏名】ミン,ソ ヒ
【審査官】阪▲崎▼ 裕美
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-518877(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2008-0060380(KR,A)
【文献】韓国登録特許第10-2125567(KR,B1)
【文献】特開2009-114152(JP,A)
【文献】特開2019-156743(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
J-DreamIII
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロッコリー新芽を含むブロッコリー原料物質から分離したブロッコリーエクソソームを有効成分として含む肌美白またはヒアルロン酸生成
【請求項2】
前記ブロッコリー原料物質は、ブロッコリー花及びブロッコリー茎からなる群より選択される一つ以上をさらに含む、請求項1に記載の肌美白剤またはヒアルロン酸生成剤
【請求項3】
前記ブロッコリーエクソソームは、前記肌美白剤またはヒアルロン酸生成剤1mLの単位体積当り10個~1013個の含量で含まれる、請求項1に記載の肌美白剤またはヒアルロン酸生成剤
【請求項4】
前記肌美白剤またはヒアルロン酸生成剤は、水溶液、懸濁液、乳化液、クリーム、凍結溶液、噴霧乾燥粉末及び凍結乾燥粉末からなる群より選択される剤形である、請求項1に記載の肌美白剤またはヒアルロン酸生成剤
【請求項5】
前記ブロッコリーエクソソームは、ポリフェノールを含む、請求項1に記載の肌美白剤またはヒアルロン酸生成剤
【請求項6】
前記肌美白剤またはヒアルロン酸生成剤は、コラーゲン生成用途、抗老化用途または抗酸化用途をさらに有する、請求項1に記載の肌美白剤またはヒアルロン酸生成剤
【請求項7】
化粧品の製造における、請求項1から6のいずれか一項に記載の肌美白剤またはヒアルロン酸生成剤の使用
【請求項8】
前記化粧品は、ミスト、セラム、栄養化粧水、柔軟化粧水、柔軟水、乳液、スキンローション、スキンソフナー、スキントナー、アストリンゼント、ローション、ミルクローション、モイスチャーローション、栄養ローション、マッサージクリーム、栄養クリーム、モイスチャークリーム、ハンドクリーム、ファンデーション、パウダー、メイクアップベース、エッセンス、栄養エッセンス、パック、せっけん、クレンジングフォーム、クレンジングローション、クレンジングクリーム、ボディーローション、ボディークレンザー、洗顔剤、トリートメント、美容液、美容パック、軟膏剤、ゲル剤、リニメント剤、液剤、パッチ、噴霧剤、入浴剤、サンスクリーン剤、サンオイル及びヘアー製品からなる群より選択される剤形である、請求項7に記載の肌美白剤またはヒアルロン酸生成剤の使用
【請求項9】
前記化粧品は、肌美白、及びヒアルロン酸生成からなる群より選択される一つ以上の効能を有する機能性化粧品である、請求項7に記載の肌美白剤またはヒアルロン酸生成剤の使用
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本出願は、2020年8月7日付け出願の韓国特許出願第10-2020-0099518号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、抗老化、抗酸化及び抗炎症用化粧料組成物、及びそれを含む機能性化粧品に関する。
【0003】
〔背景技術〕
肌老化には多様な原因があるが、特に紫外線と呼吸を通じて生成される活性酸素は肌老化の最も重要な原因として挙げられる。活性酸素は正常な代謝過程で生成され、疾病状態や身体ストレスが高い場合、過剰に生成される。また、紫外線への露出によっても活性酸素が生成される。活性酸素は肌細胞及び組織の損傷を主導する。正常な場合であれば、異常な且つ老化した細胞を死滅させてバランスをとるが、過剰に発生すると、肌抗酸化防御ネットワークを破壊して脂質過酸化、タンパク質酸化、細胞間質成分を破壊し、コラーゲンとエラスチンなどの肌タンパク質を破壊して、その結果、弾力の減少、しわ、色素沈着などの肌老化につながる。
【0004】
真皮層の結合組織を含む肌タンパク質は、肌の弾力と保湿の維持に重要な役割を果たし、これは細胞の構成と生成に必須なタンパク質に起因すると見られる。タンパク質の摂取と肌水分の増加との正の相関を立証する最近の研究結果あり、栄養学的な面で良質のタンパク質の摂取が肌の健康に密接に関連すると推論できる。しかし、食品を通じるタンパク質の摂取が肌に及ぼす影響は僅かな程度に過ぎない。
【0005】
抗酸化、抗老化などの特定の薬理作用を有する植物抽出物は韓国内に約500種以上が知られているが、肌に及ぼす効果が殆ど検証されていない状態であり、植物抽出物内には多くの成分が多様な比率で存在しているため、ある効果を有する有効物質を見つけ出すことは難しい過程である。また、植物成分において、効果を奏する有効物質が一つの成分として単独で作用することもあるが、複数の成分の相互作用を通じてその効果が奏されることもある。さらに、従来の多様な植物抽出物は、肌障壁を通過し難く、単に肌に塗布することだけでは効果が制限的になることが知られている。
【0006】
本明細書の全体にわたって多数の文献が参照され、その引用が示されている。引用された文献の開示内容は、その全体が本明細書に参照として援用されることで、本発明が属する技術分野の水準及び本発明の内容がより明確に説明される。
【0007】
〔発明の概要〕
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は、ブロッコリーから分離・精製したエクソソーム(Exosome)の抗老化、抗酸化、抗炎症効能に関し、抗老化、抗酸化、抗炎症機能を有するブロッコリーエクソソームを有効成分とする化粧料組成物を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、前記組成物を化粧品原料として用いて製造した、肌保護、しわ改善及び肌美白などの機能性化粧品を提供することを他の目的とする。
【0009】
また、本発明は、ブロッコリーエクソソームを含む化粧料組成物を対象体に適用することを含む、肌抗酸化方法を提供することをさらに他の目的とする。
【0010】
また、本発明は、ブロッコリーエクソソームを含む化粧料組成物の肌抗酸化のための化粧品用途を提供することをさらに他の目的とする。
【0011】
また、本発明は、ブロッコリーエクソソームを含む化粧料組成物の肌美白、しわ改善及び肌細胞再生のための化粧品用途を提供することをさらに他の目的とする。
【0012】
より詳しくは、本発明は、以下の具現例を提供することを目的とする。
【0013】
具現例1.ブロッコリーエクソソームを含む組成物または化粧料組成物;ブロッコリーエクソソームを含む組成物または分離した(isolated)ブロッコリーエクソソームを対象体に適用することを含む、肌老化防止、肌抗酸化、肌美白、肌しわ改善、肌細胞再生、保湿、肌障壁改善または肌抗炎症の方法;ブロッコリーエクソソームを含む組成物または分離したブロッコリーエクソソームの、肌老化防止、肌抗酸化、肌美白、肌しわ改善、肌細胞再生、保湿、肌障壁改善または肌抗炎症のための用途または化粧品用途(cosmetic use);若しくは、肌老化防止、肌抗酸化、肌美白、肌しわ改善、肌細胞再生、保湿、肌障壁改善または肌抗炎症用化粧品の製造のためのブロッコリーエクソソームを含む組成物または分離したブロッコリーエクソソームの応用。
【0014】
具現例2.具現例1において、前記ブロッコリーエクソソームは、ブロッコリー新芽、ブロッコリー花及びブロッコリー茎からなる群より選択される一つ以上から由来した組成物;方法;用途;または応用。
【0015】
具現例3.先行する具現例のいずれか一つにおいて、前記ブロッコリーエクソソームは、組成物1mLの単位体積当り10個~1013個の含量で含まれる組成物;方法;用途;または応用。
【0016】
具現例4.先行する具現例のうちのいずれか一つにおいて、前記組成物は水溶液、懸濁液、乳化液、クリーム、凍結溶液、噴霧乾燥粉末及び凍結乾燥粉末からなる群より選択される剤形である組成物;方法;用途;または応用。
【0017】
具現例5.先行する具現例のうちのいずれか一つにおいて、前記ブロッコリーエクソソームはポリフェノールを含む組成物;方法;用途;または応用。
【0018】
具現例6.先行する具現例のうちのいずれか一つにおいて、前記組成物は抗老化または抗酸化用途を有する組成物;方法;用途;または応用。
【0019】
具現例7.先行する具現例のうちのいずれか一つによる組成物を含む、化粧品。
【0020】
具現例8.先行する具現例のうちのいずれか一つにおいて、前記化粧品はミスト、セラム、栄養化粧水、柔軟化粧水、柔軟水、乳液、スキンローション、スキンソフナー、スキントナー、アストリンゼント、ローション、ミルクローション、モイスチャーローション、栄養ローション、マッサージクリーム、栄養クリーム、モイスチャークリーム、ハンドクリーム、ファンデーション、パウダー、メイクアップベース、エッセンス、栄養エッセンス、パック、せっけん、クレンジングフォーム、クレンジングローション、クレンジングクリーム、ボディーローション、ボディークレンザー、洗顔剤、トリートメント、美容液、美容パック、軟膏剤、ゲル剤、リニメント剤、液剤、パッチ、噴霧剤、入浴剤、サンスクリーン剤、サンオイル及びヘアー製品からなる群より選択される剤形である、化粧品。
【0021】
具現例9.先行する具現例のうちのいずれか一つにおいて、前記化粧品は肌老化防止、肌美白、しわ改善、肌細胞再生、保湿、肌障壁改善及び抗炎症からなる群より選択される一つ以上の効能を有する機能性化粧品である、化粧品。
【0022】
具現例10.ブロッコリーを破砕する段階;遠心分離を行う段階;及び接線流濾過(tangential-flow filtration、TFF)を行う段階を含む、先行する具現例のうちのいずれか一つによる組成物または化粧料組成物の製造方法。
【0023】
本発明の他の目的及び利点は、下記の発明の詳細な説明、特許請求の範囲及び図面によってより明確になる。
【0024】
〔課題を解決するための手段〕
本発明の一態様は、ブロッコリー新芽エクソソームを有効成分として含む化粧料組成物を提供する。
【0025】
本発明で使われる用語「ブロッコリーエクソソーム」とは、ブロッコリーから抽出された50~300nm程度の大きさ、望ましくは50~200nmの大きさを有するエクソソームまたはエクソソームを含む細胞外小胞体を通称する。ブロッコリーエクソソームは脂質二重膜からなる形態の50~200nmの均一な大きさの粒子を形成している。
【0026】
従来、多様な植物抽出物が抗老化及び抗酸化物質を含むと知られているが、水溶性抽出物の形態では肌障壁を通過し難く、また抽出過程で有効成分が抽出溶媒に露出し、破壊され易いため、化粧品原料への適用が困難であるという問題点があった。一方、エクソソームは脂質二重膜からなるナノ粒子であって、受容体依存性エンドサイトーシス(receptor-mediated endocytosis)及び膜融合(membrane fusion)によって肌細胞に吸収され、また内部に含まれている有効成分が外部に直接露出しないため変質せずに生物学的活性を長期間維持することができることから、化粧品産業における商業的利用に非常に有利である。
【0027】
本発明において、ブロッコリーエクソソームは、ブロッコリー新芽を含めて原料物質であるブロッコリーから由来した抗老化及び抗酸化成分により、肌老化、色素沈着及び炎症の原因になる活性酸素を抑制する機能を有するため、抗老化及び/または抗酸化用途を果たす。具体的には、ポリフェノール及び抗酸化酵素促進剤などを含有するブロッコリーエクソソームは、肌細胞に蓄積された活性酸素を抑制して肌再生、しわ改善、美白及び炎症緩和などの効能を見せる。
【0028】
本発明の原料植物であるブロッコリーは、アブラナ属の一種類であるヤセイカンラン(Brassica Oleracea L.)を含む。原料植物部位としては、ブロッコリー全体、または、花、茎、新芽などを含む一つ以上の部位を混合して使用し得る。
【0029】
本発明において、ブロッコリー/ブロッコリー新芽から抽出したブロッコリー/ブロッコリー新芽エクソソームは、組成物1mLの単位体積当り1×10~1×1013個、望ましくは1×10~1×1013個粒子の含量で含まれ得る。
【0030】
ブロッコリー/ブロッコリー新芽エクソソームは、自体的にスーパーオキシドディスムターゼ(superoxide dismutase、SOD)と類似の抗老化及び抗酸化機能を有し、これは細胞外部に存在する活性酸素と細胞内部に蓄積された活性酸素の分解を促進させ、コラーゲン生成促進、ヒアルロン酸生成促進及びメラニン合成抑制、炎症物質生成抑制などの効能を見せる。
【0031】
また、良質のタンパク質供給は、肌水分の増加と肌健康に密接な関連があるが、本発明のブロッコリーエクソソームはタンパク質を10~1,000μg/mL、望ましくは100~1,000μg/mLの高濃度で含み、肌に植物タンパク質を効果的に伝達することができる。
【0032】
一具現例において、本発明のブロッコリー/ブロッコリー新芽エクソソームを有効成分として含む抗酸化用化粧料組成物は、水溶液、懸濁液、乳化液、クリーム、凍結溶液、噴霧乾燥粉末及び凍結乾燥粉末からなる群より選択される剤形で提供され得る。
【0033】
本発明の他の一態様は、ブロッコリー/ブロッコリー新芽エクソソームを有効成分として含む抗酸化用化粧料組成物を含む化粧品を提供する。
【0034】
前記化粧品は、通常肌化粧品の製造に使われる一般的な成分、例えば油分、水、界面活性剤、保湿剤、低級アルコール、増粘剤、キレート剤、色素、防腐剤、香料などを必要に応じて適用して配合し得る。また、前記化粧品は、ミスト、セラム、栄養化粧水、柔軟化粧水、柔軟水、乳液、スキンローション、スキンソフナー、スキントナー、アストリンゼント、ローション、ミルクローション、モイスチャーローション、栄養ローション、マッサージクリーム、栄養クリーム、モイスチャークリーム、ハンドクリーム、ファンデーション、パウダー、メイクアップベース、エッセンス、栄養エッセンス、パック、せっけん、クレンジングフォーム、クレンジングローション、クレンジングクリーム、ボディーローション、ボディークレンザー、洗顔剤、トリートメント、美容液、美容パック、軟膏剤、ゲル剤、リニメント剤、液剤、パッチ、噴霧剤、入浴剤、サンスクリーン剤、サンオイル及びヘアー製品からなる群より選択される剤形で製造され得、これらの剤形に適合して当業界に周知の各種の通常の担体と添加剤を含み得る。
【0035】
このような本発明の化粧品は、肌老化防止、肌美白、しわ改善及び肌細胞再生からなる群より選択される一つ以上の効能を有する機能性化粧品であり得る。
【0036】
本発明のさらに他の一態様は、前記ブロッコリー/ブロッコリー新芽エクソソームを有効成分として含む抗老化及び抗酸化用化粧料組成物の製造方法であって、ブロッコリーとブロッコリー新芽を破砕する段階と、遠心分離を行う段階と、接線流濾過(TFF)を行う段階と、を含む製造方法を提供する。
【0037】
前記原料植物を破砕する過程は、原料植物とバッファー溶液とを重量比で1:1~1:10の範囲で混合した混合物を機械的粉砕する過程を含むものであり得、これは10~1,000rpmの速度で回転するブレードによって機械的に植物混合物を粉砕することで行われ得る。
【0038】
前記遠心分離方法は、低速遠心分離(low-speed centrifugation)、高速遠心分離(high-speed centrifugation)、超遠心分離(ultracentrifugation)及びこれらの組み合わせから選択され得るが、望ましくは超遠心分離を含むものであり得る。低速遠心分離は6,000rpm(6,000×g)以下の速度を出して、主に細胞や核などのように容易に沈殿する試料の遠心分離に用いられ、高速遠心分離は最高速度が20,000~25,000rpm(60,000×g)程度であり、超遠心分離は最高速度が40,000~80,000rpm(600,000×g)程度である遠心分離法を意味する。
【0039】
前記接線流濾過法(tangential-flow filtration、TFF)は、溶液が濾過膜の直角方向に流れながら溶液内に存在する小さい不純物を濾過し、大きいエクソソームを分離する濾過方式である。従来の濾過方式に比べて、濾過フィルターの気孔にエクソソームが吸着するかまたは膜気孔が詰まることを最小化することができ、それによって工程のスケールアップ(process scale-up)及びcGMP(cosmetic good manufacturing procedure)工程への応用に容易である。前記接線流濾過は、限外濾過を実行可能な中空繊維(hollow fiber)TFF及び膜(membrane)TFFからなる群より選択される一つ以上であり得、望ましくは分画分子量(Molecular weight cutoff、MWCO)が100,000Da~500,000DaであるTFFフィルターを使用するものであり得る。
【0040】
このように本発明によるブロッコリー/ブロッコリー新芽エクソソームは、機械的な破砕、段階的な超遠心分離及び接線流濾過法を通じてブロッコリー及びブロッコリー新芽から分離され、これらエクソソームは抗老化及び抗酸化機能を有するポリフェノールなどを多量含んでいる。
【0041】
〔発明の効果〕
ブロッコリーエクソソームは、脂質二重膜構造であって、肌細胞に吸収される。吸収されたブロッコリーエクソソームのポリフェノール成分は、肌細胞内で活性酸素を除去し、抗酸化シグナル伝達機構を刺激して美白、しわ改善、肌老化防止、肌障壁改善、炎症緩和、肌細胞活性化などの多様な機能性化粧品用途を有する。また、ブロッコリーエクソソームの優れた安定性は、水溶液、凍結溶液及び凍結乾燥粉末などの多様な形態で機能性化粧品に活用可能である。
【0042】
〔図面の簡単な説明〕
図1〕植物エクソソームの分離方法を示した工程模式図である。
【0043】
図2〕ブロッコリー新芽エクソソームの形態分析(TEM)結果である。
【0044】
図3〕ブロッコリー新芽エクソソームの特性分析(NTA及びタンパク質アッセイ)結果である。
【0045】
図4〕ブロッコリー新芽エクソソームのポリフェノール含量及び銅還元力の分析結果である。
【0046】
図5〕ブロッコリー新芽エクソソームのメラニン生成抑制能の評価結果である。
【0047】
図6〕ブロッコリー新芽エクソソームのa-MSHによってメラニン生成が促進された細胞モデルにおけるメラニン生成抑制能の評価結果である。
【0048】
図7〕ブロッコリー新芽エクソソームのコラーゲン生成能の評価結果である。
【0049】
図8〕ブロッコリー新芽エクソソームのヒアルロン酸生成能の評価結果である。
【0050】
図9〕ブロッコリー新芽エクソソームのNO生成抑制能の評価結果である。
【0051】
図10〕ブロッコリー新芽エクソソームのヒト線維芽細胞(HDF)、B16F10メラノーマ、マウスマクロファージ(RAW 264.7)に対する細胞毒性の評価結果である。
【0052】
〔発明を実施するための形態〕
以下、実施例を挙げて本発明をより詳しく説明する。これらの実施例は単に本発明をより具体的に説明するためのものであって、本発明の範囲を制限するものではないということは、本発明が属する技術分野で通常の知識を持つ者にとって自明であろう。
【0053】
<実施例>
<実施例1>植物エクソソームの分離
原料植物としてブロッコリーとブロッコリー新芽、アロエベラの皮及びホウレンソウを使用し、超遠心分離と接線流濾過(TFF)方法を用いてこれらから植物エクソソームを分離した。具体的には、きれいに洗浄及び粉砕した植物原料をリン酸緩衝食塩水(phosphate-buffered saline、PBS)と1:1(w/w)~1:10(w/w)の重量比でブレンダーに投入し粉砕した。1,000×gで10分間遠心分離して上澄み液を収集し、上澄み液を2,000×gで20分、3,000×gで30分、そして10,000×gで60分間、順次に遠心分離した。その後、上澄み液を4℃、100,000×gで70分間超遠心分離し、この過程を通じて液胞(vacuole)を除去した。最終的に上澄み液は捨て、残ったペレットを懸濁した後、TFFシステムを通じてエクソソームを分離した。具体的には、TFFシステム内の100~500kDaの分画分子量を有するフィルターを用いて濾過して、フィルターの気孔よりも小さいその他の不純物粒子を除去し、エクソソームを含む溶液を濃縮した。分離したエクソソームは使用するまで-70℃以下で冷凍保管した(図1)。
【0054】
<実施例2>エクソソームタンパク質含量の評価
分離したブロッコリー新芽エクソソーム、アロエエクソソーム及びホウレンソウエクソソームに含まれているタンパク質含量をサーモサイエンティフィック社製のMicro BCA(登録商標)タンパク質アッセイキットを用いて測定した。試料は、分離直後のもの、及び-70℃で1ヶ月間保管した後解凍したエクソソーム試料を使用した。具体的には、ピペットを用いて各標準及び試料1.0mLをテストチューブに入れ、WR1.0mLを各チューブに添加した後、混合した。チューブを覆い、37℃で30分間、水槽でインキュベーションした後、室温でクーリングした。分光光度計を562nmに設定した状態で、蒸留水で満たされたキュベットで機器をゼロ点調整し、10分以内で試料の吸光度を測定した。総タンパク質濃度に対するタンパク質標準を測定し、各標準に対する平均ブランク補正された562nm読取値をフローティングして標準曲線を準備した。前記標準曲線を用いて試料のタンパク質含量を測定し、その結果を下記表1に示した。
【0055】
【表1】
【0056】
実験の結果、ブロッコリー新芽エクソソームは、解凍後にも1mLの単位体積当り100μg/mL以上のタンパク質を含むことが確認された。タンパク質含有量が高いと確認されたブロッコリー新芽エクソソームを用いて追加的な特性評価を行った。
【0057】
<実施例3>ブロッコリー新芽エクソソームの特性評価
実施例1で分離したブロッコリー新芽エクソソームに対し、以下の方法で追加的なエクソソーム特性評価を行った。エクソソームの模様は、走査電子顕微鏡(SEM)を用いて200nm以下の球状の微細構造を確認した(スケールバー50nm)(図2)。微細粒子の大きさはナノ粒子トラッキング解析(NTA)を通じて分析し、50~300nmの大きさを有することを確認した(図3)。ナノ粒子トラッキング解析(NTA)を通じて1mLの単位体積当り1×10~1×1013のエクソソーム濃度を確認した(図3)。エクソソーム内のタンパク質含量は、サーモサイエンティフィック社製のMicro BCA(登録商標)タンパク質アッセイキットを用いて追加的に数回測定し、1mLの単位体積当り10~1,000μg/mLのタンパク質を含んでいることを確認した(図3)。
【0058】
<実施例4>ブロッコリー新芽エクソソームのポリフェノール含量の評価
実施例1で分離したブロッコリー新芽エクソソームに対し、以下の方法でエクソソーム内のポリフェノール含量を評価した。BioVision社製のフェノール化合物アッセイキットを用いてブロッコリーエクソソーム内のポリフェノールの含量を測定した。測定方法はキット製造社のプロトコルに従った。10個のブロッコリーエクソソームの内部に50~500pmolのポリフェノールが含有されていることを確認した(図4)。
【0059】
<実施例5>ブロッコリー新芽エクソソームの抗酸化能の評価
実施例1で分離したブロッコリー新芽エクソソームに対し、以下の方法でエクソソーム内のポリフェノール含量を評価した。セルバイオラボ製のOxiSelect(登録商標)トータル抗酸化能(Total Antioxidant Capacity、TAC)アッセイキットを用いてブロッコリーエクソソームの抗酸化能を評価した。測定方法はキット製造社のプロトコルに従った。評価の結果、ブロッコリー新芽エクソソームは1mLの単位体積当り10~100μMのCu(II)イオンをCu(I)イオンに還元する能力を有することを確認した(図4)。
【0060】
<実施例6>ブロッコリー新芽エクソソームのイン・ビトロ美白効能の評価
実施例1で分離したブロッコリー新芽エクソソームの抗酸化効能を評価するため、代表的にエクソソームの美白効能を評価した。5×10~1×10個の皮膚メラノーマ(B16F10)細胞にブロッコリーエクソソームを含む細胞培養液を処理し、3日間培養した後、細胞の内部及び外部に蓄積されたメラニンの含量を測定した。細胞内部に蓄積されたメラニンは、細胞を溶解バッファー(lysis buffer)を用いて破壊した後、紫外可視分光光度計を用いて475nmで溶液の吸光度を測定した。細胞外部に蓄積されたメラニンは、3日間培養した細胞培養液を収集した後、紫外可視分光光度計を用いて490nmで溶液の吸光度を測定した。陰性対照群としては如何なる処理も施していない細胞培養液(GM)を使用し、陽性対照群としては美白効能の評価に広く活用される0.5mMアルブチン(arbutin)を使用した。
【0061】
ブロッコリー新芽エクソソームは、5×10以上の容量で細胞外及び細胞内メラニン生成を抑制し、特に5×10個を処理したとき、メラニン生成抑制に有意な効果があることを確認した(p<0.05)(図5)。
【0062】
実施例1で分離したブロッコリー新芽エクソソームの美白効能は、皮膚メラノーマ(B16F10)細胞に100nMのα-MSHを処理してメラニン合成分泌を促進させたモデルを用いて追加的な評価を行った。α-MSHとブロッコリーエクソソームを含む細胞培養液を処理した後、3日間培養し、細胞内部に蓄積されたメラニンと細胞外部に分泌されたメラニンの総含量を紫外可視分光光度計を用いて測定した。タンパク質含量測定はブラッドフォード(Bradford)法で定量した後、メラニン量はタンパク質当りメラニン量に換算した。陰性対照群として、エクソソームを処理していない細胞培養培地を使用し、陽性対照群として、美白効能の評価に広く活用される0.36mMアルブチンを使用した。ブロッコリー新芽エクソソームは、2×10以上の容量で総メラニン生成を抑制した(p<0.05)(図6)。
【0063】
<実施例7>ブロッコリー新芽エクソソームのイン・ビトロコラーゲン生成の評価
実施例1で分離したブロッコリー新芽エクソソームのコラーゲン生成に対する効能を評価するため、ヒト皮膚線維芽細胞(HDFs)にエクソソームを処理して細胞内コラーゲン生成量を確認した。HDFs細胞にブロッコリーエクソソームを含む細胞培養液を処理し、2日間培養した後、遠心分離して上澄み液でプロコラーゲンの量を測定した。プロコラーゲンの量はプロコラーゲンタイプI型C-ペプチド(PIP)ELISAキットを用いて450nmで吸光度を測定した。陰性対照群としては如何なる処理も施していない細胞培養液(GM)を使用し、陽性対照群としてはコラーゲン生成を誘導すると知られているTGF-β1を使用した。ブロッコリー新芽エクソソームは、陰性対照群に比べて1.3×10~1×10の濃度で細胞内コラーゲンの生成を増加させるのに有意な効果があることを確認した(p<0.05)(図7)。これは陽性対照群であるTGF-β1と類似した効能である。
【0064】
<実施例8>ブロッコリー新芽エクソソームのイン・ビトロヒアルロン酸生成の評価
実施例1で分離したブロッコリー新芽エクソソームのヒアルロン酸生成に対する効能を評価するため、ヒト皮膚線維芽細胞(HDFs)にエクソソームを処理して細胞内ヒアルロン酸生成量を確認した。HDFs細胞にブロッコリーエクソソームを含む細胞培養液を処理し、2日間培養した後、遠心分離して上澄み液でヒアルロン酸の生成量を測定した。ヒアルロン酸の生成量はヒトヒアルロン酸(HA)ELISAキットを用いて450nmで吸光度を測定した。陰性対照群としては如何なる処理も施していない細胞培養液(GM)を使用し、陽性対照群としてはヒアルロン酸の生成を誘導するレチノイン酸を使用した。ブロッコリー新芽エクソソームは、陰性対照群に比べて2.5×10~1×10の濃度で細胞内ヒアルロン酸の生成を増加させるのに有意な効果があることを確認した(p<0.05)(図8)。これは陽性対照群であるレチノイン酸と類似した効能である。
【0065】
<実施例9>ブロッコリー新芽エクソソームのイン・ビトロ一酸化窒素(nitric oxide、NO)生成抑制の評価
実施例1で分離したブロッコリー新芽エクソソームの一酸化窒素(NO)生成抑制効能を評価するため、マウスマクロファージ(RAW 264.7細胞)にエクソソームを処理してNO生成の抑制如何を確認した。1.8×10個のRAW 264.7細胞を20時間培養した後、リポ多糖(Lipopolysaccharide、LPS)1μg/mLとブロッコリーエクソソームを含む新たな細胞培養液で交換した後、24時間培養した。24時間後、培養液とNO検出試薬とを10分間反応させ、540nmで溶液の吸光度を測定した。NO生成量は総タンパク質量で補正して評価し、陽性対照群としては炎症抑制作用があるデキサメタゾン7.8μg/mLを使用した。
【0066】
ブロッコリー新芽エクソソームは、2×10以上でNO生成を抑制する効能があることを確認した(p<0.05)(図9)。望ましくは、2~4×10個のエクソソームで細胞のNO生成を効果的に抑制し、これは陽性対照群であるデキサメタゾンと類似した効能である。
【0067】
<実施例10>ブロッコリー新芽エクソソームの細胞毒性の評価
実施例1で分離したブロッコリー新芽エクソソームの細胞毒性を確認するため、エクソソーム処理後のヒト細胞2種及びマウスマクロファージの細胞生存率をMTTアッセイを用いて評価した。
【0068】
ヒト皮膚線維芽細胞を5×10細胞/ウェル濃度で接種して24時間培養した後、濃度別にブロッコリーエクソソームを処理し、さらに24時間培養した。B16F10メラノーマ細胞を1.5×10細胞/ウェル濃度で接種して24時間培養した後、濃度別にブロッコリーエクソソームを処理し、72時間培養した。マウスマクロファージ(RAW 264.7)を1.8×10細胞/ウェル濃度で接種して20時間培養した後、濃度別にブロッコリーエクソソームを処理し、24時間培養した。それぞれのウェルにMTT試薬を細胞培養培地の0.05%濃度で処理した後、4時間培養した。培養液を除去した後、DMSOを1mL/ウェルで接種して10分間撹拌し、DMSO溶液を回収して540nmで吸光度を測定した。細胞生存率はエクソソーム未処理群と比べて百分率で示した(図10)。実験の結果、ブロッコリー新芽エクソソームはすべての濃度で細胞毒性を有さないことが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0069】
図1】植物エクソソームの分離方法を示した工程模式図である。
図2】ブロッコリー新芽エクソソームの形態分析(TEM)結果である。
図3】ブロッコリー新芽エクソソームの特性分析(NTA及びタンパク質アッセイ)結果である。
図4】ブロッコリー新芽エクソソームのポリフェノール含量及び銅還元力の分析結果である。
図5】ブロッコリー新芽エクソソームのメラニン生成抑制能の評価結果である。
図6】ブロッコリー新芽エクソソームのa-MSHによってメラニン生成が促進された細胞モデルにおけるメラニン生成抑制能の評価結果である。
図7】ブロッコリー新芽エクソソームのコラーゲン生成能の評価結果である。
図8】ブロッコリー新芽エクソソームのヒアルロン酸生成能の評価結果である。
図9】ブロッコリー新芽エクソソームのNO生成抑制能の評価結果である。
図10】ブロッコリー新芽エクソソームのヒト線維芽細胞(HDF)、B16F10メラノーマ、マウスマクロファージ(RAW 264.7)に対する細胞毒性の評価結果である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10