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特許7602774電磁波式発信機探知装置および電磁波式発信機探知方法並びに電磁波式発信機探知プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-11
(45)【発行日】2024-12-19
(54)【発明の名称】電磁波式発信機探知装置および電磁波式発信機探知方法並びに電磁波式発信機探知プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01R 29/08 20060101AFI20241212BHJP
   H04N 23/45 20230101ALI20241212BHJP
   H04N 23/90 20230101ALI20241212BHJP
   G01S 13/89 20060101ALI20241212BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20241212BHJP
【FI】
G01R29/08 A
H04N23/45
H04N23/90
G01S13/89
H04N23/60 500
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2024100140
(22)【出願日】2024-06-21
【審査請求日】2024-07-02
(31)【優先権主張番号】P 2023103022
(32)【優先日】2023-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523235138
【氏名又は名称】株式会社YSK
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 憲由
【審査官】島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-130466(JP,A)
【文献】特開2017-156248(JP,A)
【文献】特開2016-223779(JP,A)
【文献】特開2003-121526(JP,A)
【文献】国際公開第2016/171088(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2007-0015784(KR,A)
【文献】特開2006-300852(JP,A)
【文献】特開2012-204982(JP,A)
【文献】国際公開第2021/039487(WO,A1)
【文献】特開2023-057805(JP,A)
【文献】特開2009-010675(JP,A)
【文献】国際公開第2022/080353(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/028186(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2007-0015786(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2007-0015785(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 29/08
H04N 23/60
H04N 23/45
H04N 23/90
G01S 13/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波式発信機を探知する電磁波式発信機探知装置であって、
筐体と、
可視光成分の波長に受光感度を有する第1撮像素子を備えると共に前記筐体に配置された少なくとも1つの第1カメラと、
前記電磁波式発信機が発信する電磁波の周波数に合わせて設定された受光感度を有する第2撮像素子を備えると共に前記第1カメラと略等しいカメラポジションおよびカメラアングルとなるよう前記筐体に配置された少なくとも1つの第2カメラと、
前記第2カメラで撮像した第2画像をモノクロ調の第3画像に変換可能な画像変換部と、
前記第1カメラで撮像した第1画像上に前記第3画像を被せた合成画像を生成する画像合成部と、
前記画像合成部で生成した前記合成画像を出力可能な出力部と、を備え、
前記第3画像は感知した前記電磁波の強度がゼロの部分は透明であるとともに感知される前記電磁波の強度に応じて所定の単色の濃度が濃くなるように変換される画像であり、前記電磁波の強度について所定の最小値と最大値とが設定され、感知した前記電磁波の強度が前記最小値以下の部分はすべて透明であり、感知した前記電磁波の強度が前記最大値以上の部分はすべて前記単色の濃度範囲の最大濃度である、
電磁波式発信機探知装置。
【請求項2】
前記合成画像を表示可能な表示部と、
前記第3画像に基づき前記電磁波式発信機の所在を特定する所在特定部と、
をさらに備え、
前記表示部は、前記所在特定部によって特定された前記電磁波式発信機の所在を視覚的に確認できる態様で報知する、
請求項1に記載の電磁波式発信機探知装置。
【請求項3】
電磁波式発信機を探知する電磁波式発信機探知装置であって、
可視光成分の波長を透過可能な可視光透過材および前記電磁波式発信機が発信する電磁波の周波数に合わせて設定された波長を透過可能な電磁波透過材をパターン化して配置したフィルタと、前記フィルタを透過する波長に受光感度を有する撮像素子と、を備える少なくとも1つのカメラと、
前記カメラで撮像した画像をモノクロ調のモノクロ変換画像に変換可能な画像変換部と、
前記カメラで撮像した画像上に前記モノクロ変換画像を被せた合成画像を生成する画像合成部と、
前記画像合成部で生成した前記合成画像を出力可能な出力部と、を備え、
前記モノクロ変換画像は感知した前記電磁波の強度がゼロの部分は透明であるとともに感知される前記電磁波の強度に応じて所定の単色の濃度が濃くなるように変換される画像であり、前記電磁波の強度について所定の最小値と最大値とが設定され、感知した前記電磁波の強度が前記最小値以下の部分はすべて透明であり、感知した前記電磁波の強度が前記最大値以上の部分はすべて前記単色の濃度範囲の最大濃度である、
電磁波式発信機探知装置。
【請求項4】
前記合成画像を表示可能な表示部と、
前記モノクロ変換画像に基づき前記電磁波式発信機の所在を特定する所在特定部と、
をさらに備え、
前記表示部は、前記所在特定部によって特定された前記電磁波式発信機の所在を視覚的に確認できる態様で報知する、
請求項3に記載の電磁波式発信機探知装置。
【請求項5】
電磁波式発信機を探知する電磁波式発信機探知方法であって、
(a)可視光成分の波長に受光感度を有する第1撮像素子を備える少なくとも1つの第1カメラと、前記電磁波式発信機が発信する電磁波の周波数に合わせて設定された受光感度を有する第2撮像素子を備える少なくとも1つの第2カメラと、を略等しいカメラポジションおよびカメラアングルとなるように配置する工程と、
(b)前記第1および第2カメラによって、探知対象の空間を撮像する工程と、
(c)前記第2カメラで撮像した第2画像をモノクロ調の第3画像に変換する工程と、
(d)前記第1カメラで撮像した第1画像上に前記第3画像を被せた合成画像を生成する工程と、
(e)生成した前記合成画像を出力する工程と、を備え、
前記第3画像は感知した前記電磁波の強度がゼロの部分は透明であるとともに感知される前記電磁波の強度に応じて所定の単色の濃度が濃くなるように変換される画像であり、前記電磁波の強度について所定の最小値と最大値とが設定され、感知した前記電磁波の強度が前記最小値以下の部分はすべて透明であり、感知した前記電磁波の強度が前記最大値以上の部分はすべて前記単色の濃度範囲の最大濃度である、
電磁波式発信機探知方法。
【請求項6】
前記工程(b)は、少なくとも前記第2画像を動画として撮像する工程を含む、
請求項5に記載の電磁波式発信機探知方法。
【請求項7】
電磁波式発信機を探知する電磁波式発信機探知プログラムであって、
請求項5または6に記載の電磁波式発信機探知方法の少なくとも前記工程(b)乃至(e)をコンピュータに実行させる電磁波式発信機探知プログラム。
【請求項8】
電磁波式発信機を探知する電磁波式発信機探知方法であって、
(f)可視光成分の波長を透過可能な可視光透過材および前記電磁波式発信機が発信する電磁波の周波数に合わせて設定された波長を透過可能な電磁波透過材をパターン化して配置したフィルタと、前記フィルタを透過する波長に受光感度を有する撮像素子と、を備える少なくとも1つのカメラによって、探知対象の空間を撮像する工程と、
(g)前記カメラで撮像した画像をモノクロ調のモノクロ変換画像に変換する工程と、
(h)前記カメラで撮像した画像上に前記モノクロ変換画像を被せた合成画像を生成する工程と、
(i)生成した前記合成画像を出力する工程と、を備え、
前記モノクロ変換画像は感知した前記電磁波の強度がゼロの部分は透明であるとともに感知される前記電磁波の強度に応じて所定の単色の濃度が濃くなるように変換される画像であり、前記電磁波の強度について所定の最小値と最大値とが設定され、感知した前記電磁波の強度が前記最小値以下の部分はすべて透明であり、感知した前記電磁波の強度が前記最大値以上の部分はすべて前記単色の濃度範囲の最大濃度である、
電磁波式発信機探知方法。
【請求項9】
前記工程(f)は、少なくとも前記画像を動画として撮像する工程を含む、
請求項8に記載の電磁波式発信機探知方法。
【請求項10】
電磁波式発信機を探知する電磁波式発信機探知プログラムであって、
請求項8または9に記載の電磁波式発信機探知方法をコンピュータに実行させる電磁波式発信機探知プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波式発信機を探知する電磁波式発信機探知装置および電磁波式発信機探知方法並びに電磁波式発信機探知プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2001-7771号公報(特許文献1)には、単発信号を発生させる単発信号発生器と、盗聴器などの電波式発信機が単発信号発生器から送信された単発信号を受信したことに基づき当該電波式発信機から送信される電波を受信復調する受信復調回路と、単発信号発生器が単発信号を発生してから受信復調回路によって当該単発信号に応じた電波を受信して復調出力されるまでの遅延時間を検出する遅延時間検出器と、検出した遅延時間に応じて次の単発信号を発生させるまでのタイミングを変化させるタイミング発生器と、を備える電波式発信機探知装置が記載されている。
【0003】
当該装置では、盗聴器などの電波式発信機から遠ざかると単発信号の周期が長くなり、盗聴器などの電波式発信機に近付くと単発信号の周期が短くなるように動作するため、簡単な回路構成で確実に盗聴器などの電波式発信機の場所を見つけ出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-7771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、盗聴器などの電波式発信機において、単発信号を含む音声を受信したタイミングで、当該音声に対応した電波を送信するのではなく、単発信号を含む音声を受信したタイミングとは異なるタイミング、即ち、ランダムなタイミングで、音声に対応した電波を送信する盗聴器なども出現している。こうした盗聴器では、どのタイミングで電波が送信されるのかが不明であるため、上述した公報に記載の電波式発信機探知装置では対応できず、探知性能の向上という点において、なお改良の余地がある。
【0006】
そこで本発明は、1つの側面では、電磁波式発信機の存在および所在を確実に探知することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る電磁波式発信機探知装置は、電磁波式発信機を探知する電磁波式発信機探知装置であって、筐体と、可視光成分の波長に受光感度を有する第1撮像素子を備えると共に前記筐体に配置された少なくとも1つの第1カメラと、前記電磁波式発信機が発信する電磁波の周波数に合わせて設定された受光感度を有する第2撮像素子を備えると共に前記第1カメラと略等しいカメラポジションおよびカメラアングルとなるよう前記筐体に配置された少なくとも1つの第2カメラと、前記第2カメラで撮像した第2画像をモノクロ調の第3画像に変換可能な画像変換部と、前記第1カメラで撮像した第1画像と、前記第3画像と、を合成した合成画像を生成する画像合成部と、前記画像合成部で生成した前記合成画像を出力可能な出力部と、を備える、ようにしてもよい。
【0008】
ここで、本発明における「筐体」とは、典型的には箱型の容器がこれに該当するが、枠状の構造物(枠体)を好適に包含する。また、本発明における「画像」は、静止画のみならず動画を好適に包含する。
【0009】
本発明によれば、第2撮像素子が、電磁波式発信機が発信する電磁波の波長に受光感度(言い換えると、電磁波の受信感度)を有するため、第2カメラによって電磁波式発信機から発信された電磁波を撮像することができる。そして、電磁波式発信機から発信された電磁波を撮像した第2画像をモノクロ調の第3画像に変換すると共に、第2カメラと略等しいカメラポジションおよびカメラアングルで配置された第1カメラによって撮像された第1画像と、第3画像と、を合成した合成画像を出力するため、ランダムなタイミングで電磁波を送信する盗聴器などの電磁波式発信機であっても、探知対象の空間に存在するか否かのみならず、当該探知対象の空間のどの位置に電磁波式発信機が存在するのかを確実に探知することができる。
【0010】
本発明に係る電磁波式発信機探知装置は、電磁波式発信機を探知する電磁波式発信機探知装置であって、可視光成分の波長を透過可能な可視光透過材および前記電磁波式発信機が発信する電磁波の周波数に合わせて設定された波長を透過可能な電磁波透過材をパターン化して配置したフィルタと、前記フィルタを透過する波長に受光感度を有する撮像素子と、を備える少なくとも1つのカメラと、前記カメラで撮像した画像をモノクロ調のモノクロ変換画像に変換可能な画像変換部と、前記カメラで撮像した画像と、前記モノクロ変換画像と、を合成した合成画像を生成する画像合成部と、前記画像合成部で生成した前記合成画像を出力可能な出力部と、を備える、ようにしてもよい。
【0011】
本発明によれば、カメラが、可視光成分の波長を透過可能な可視光透過材および電磁波式発信機が発信する電磁波の波長を透過可能な電磁波透過材をパターン化して配置したフィルタと、フィルタを透過する波長に受光感度を有する撮像素子と、を有しているため、当該カメラにより撮像した探知対象の空間の画像に、電磁波式発信機から発信された電磁波を撮像することができる。これにより、ランダムなタイミングで電磁波を送信する盗聴器などの電磁波式発信機であっても、探知対象の空間に存在するか否かのみならず、当該探知対象の空間のどの位置に電磁波式発信機が存在するのかを確実に探知することができる。
【0012】
また、本発明に係る電磁波式発信機探知方法は、電磁波式発信機を探知する電磁波式発信機探知方法であって、(a)可視光成分の波長に受光感度を有する第1撮像素子を備える少なくとも1つの第1カメラと、前記電磁波式発信機が発信する電磁波の周波数に合わせて設定された受光感度を有する第2撮像素子を備える少なくとも1つの第2カメラと、を略等しいカメラポジションおよびカメラアングルとなるように配置する工程と、(b)前記第1および第2カメラによって、探知対象の空間を撮像する工程と、(c)前記第2カメラで撮像した第2画像をモノクロ調の第3画像に変換する工程と、(d)前記第1カメラで撮像した第1画像と、前記第3画像と、を合成した合成画像を生成する工程と、(e)生成した前記合成画像を出力する工程と、を備える、ようにしてもよい。
【0013】
ここで、本発明における「画像」は、静止画のみならず動画を好適に包含する。
【0014】
本発明によれば、第2撮像素子が、電磁波式発信機が発信する電磁波の波長に受光感度(言い換えると、電磁波の受信感度)を有するため、第2カメラによって電磁波式発信機から発信された電磁波を撮像することができる。そして、電磁波式発信機から発信された電磁波を撮像した第2画像をモノクロ調の第3画像に変換すると共に、第2カメラと略等しいカメラポジションおよびカメラアングルで配置された第1カメラによって撮像された第1画像と、第3画像と、を合成した合成画像を出力するため、ランダムなタイミングで電磁波を送信する盗聴器などの電磁波式発信機であっても、探知対象の空間に存在するか否かのみならず、当該探知対象の空間のどの位置に電磁波式発信機が存在するのかを確実に探知することができる。
【0015】
また、本発明に係る電磁波式発信機探知プログラムは、上述した本発明に係る電磁波式発信機探知方法の少なくとも工程(b)乃至(e)をコンピュータに実行させる、ようにしてもよい。
【0016】
本発明によれば、上述した本発明に係る電磁波式発信機探知方法が奏する効果と同様の効果、例えば、ランダムなタイミングで電磁波を送信する盗聴器などの電磁波式発信機であっても、探知対象の空間に存在するか否かのみならず、当該探知対象の空間のどの位置に電磁波式発信機が存在するのかを確実に探知することができるという効果などを奏することができる。
【0017】
本発明に係る電磁波式発信機探知方法は、電磁波式発信機を探知する電磁波式発信機探知方法であって、(f)可視光成分の波長を透過可能な可視光透過材および前記電磁波式発信機が発信する電磁波の周波数に合わせて設定された波長を透過可能な電磁波透過材をパターン化して配置したフィルタと、前記フィルタを透過する波長に受光感度を有する撮像素子と、を備える少なくとも1つのカメラによって、探知対象の空間を撮像する工程と、(g)前記カメラで撮像した画像をモノクロ調のモノクロ変換画像に変換する工程と、(h)前記カメラで撮像した画像と、前記モノクロ変換画像と、を合成した合成画像を生成する工程と、(i)生成した前記合成画像を出力する工程と、を備える、ようにしてもよい。
【0018】
ここで、本発明における「画像」は、静止画のみならず動画を好適に包含する。
【0019】
本発明によれば、可視光成分の波長を透過可能な可視光透過材および電磁波式発信機が発信する電磁波の波長を透過可能な電磁波透過材をパターン化して配置したフィルタと、フィルタを透過する波長に受光感度を有する撮像素子と、を有するカメラによって、探知対象の空間を撮像するため、当該探知対象の空間の画像に、電磁波式発信機から発信された電磁波を撮像することができる。これにより、ランダムなタイミングで電磁波を送信する盗聴器などの電磁波式発信機であっても、探知対象の空間に存在するか否かのみならず、当該探知対象の空間のどの位置に電磁波式発信機が存在するのかを確実に探知することができる。
【0020】
本発明に係る電磁波式発信機探知プログラムは、上述した本発明に係る電磁波式発信機探知方法(具体的には、少なくとも工程(f)乃至(i))をコンピュータに実行させる、ようにしてもよい。
【0021】
本発明によれば、上述した本発明に係る電磁波式発信機探知方法が奏する効果と同様の効果、例えば、ランダムなタイミングで電磁波を送信する盗聴器などの電磁波式発信機であっても、探知対象の空間に存在するか否かのみならず、当該探知対象の空間のどの位置に電磁波式発信機が存在するのかを確実に探知することができるという効果などを奏することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、1つの側面では、電磁波式発信機の存在および所在を確実に探知することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施例1に係る電磁波式発信機探知装置の構成の概略を示す概略構成図である。
図2図1の電磁波式発信機探知装置の可視光ビデオカメラの構成の概略を示す概略構成図である。
図3図1の電磁波式発信機探知装置の電磁波ビデオカメラの構成の概略を示す概略構成図である。
図4】本発明の実施例1に係る電磁波式発信機探知装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
図5】可視光動画データの1フレームの一例を示す説明図である。
図6】電磁波動画データの1フレームの一例を示す説明図である。
図7】合成動画データの1フレームの一例を示す説明図である。
図8】可視光動画データの1フレームの一例を示す説明図である。
図9】電磁波動画データの1フレームの一例を示す説明図である。
図10】可視光動画データの1フレームの一例を示す説明図である。
図11】本発明の実施例2に係る電磁波式発信機探知装置の構成の概略を示す概略構成図である。
図12図11の電磁波式発信機探知装置のビデオカメラの構成の概略を示す概略構成図である。
図13】本発明の実施例2に係る電磁波式発信機探知装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施例(実施の形態)について添付図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0025】
実施例1に係る電磁波式発信機探知装置1は、図1に示すように、部屋などの探知対象の空間に設置された電磁波式発信機、具体的には、盗聴器を探知可能な装置として構成されている。
【0026】
実施例1に係る電磁波式発信機探知装置1は、探知対象の空間の撮像を行う撮像機2と、当該撮像機2に有線で接続されるパーソナルコンピュータ(以下、「PC」という)50と、を備えている。本実施例では、撮像機2とPC50とを有線で接続する構成としたが、撮像機2とPC50を無線で接続する構成であってもよいことは言うまでもない。
【0027】
盗聴器は、本発明における「電磁波式発信機」に対応する実施構成の一例である。ただし、本発明における「電磁波式発信機」は、盗聴器に限定されるものではなく、様々な情報を電磁波で発信する種々の機器が広く該当する。
【0028】
撮像機2は、図1に示すように、筐体4と、当該筐体4の各面に配置された可視光ビデオカメラ10および電磁波ビデオカメラ30と、を有している。
【0029】
筐体4は、6つの面を有する多面体として構成されている。筐体4の底面には、4本の支持脚6,6,6,6が着脱可能に取付けられている。
【0030】
本実施例では、撮像機2は、筐体4に支持脚6,6,6,6を取り付けて、据え付けた状態で撮像する構成としたが、撮像機2は、手で持った状態で撮像する構成としてもよいことは言うまでもない。
【0031】
可視光ビデオカメラ10は、図2に示すように、一般的なデジタルビデオカメラとして構成されており、レンズ12と、カラーフィルタ13を有するイメージセンサ14と、当該イメージセンサ14に電気的に接続された画像処理エンジン16と、当該画像処理エンジン16に電気的に接続された映像出力端子18,記録メディア20,音声受信部22,液晶モニター24およびファインダー26と、これらを収容するカメラボディ28と、を有している。
【0032】
イメージセンサ14は、本実施の形態では、半導体受光素子からなるCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)を用いる構成としており、可視光成分の波長、例えば、360nm~830nm(周波数に換算すると、361THz~833THz)の範囲に受光感度を有している。なお、イメージセンサ14が備える半導体受光素子は、CCD(Charge Coupled Device)であってもよい。
【0033】
画像処理エンジン16は、イメージセンサ14によって生成された動画データを映像として視認可能なファイルに変換する部分である。また、画像処理エンジン16は、視認可能なファイルに変換された画像や映像を、音声受信部22によって受信された音声信号と関連付けて、映像出力端子18を介してPC50に出力すると共に記録メディア20にも出力する。さらに、画像処理エンジン16は、視認可能なファイルに変換された画像や映像を液晶モニター24およびファインダー26に出力する。なお、映像出力端子18とPC50とは、アダプター80を介してケーブル82により接続されている(図1参照)。
【0034】
可視光ビデオカメラ10は、本発明における「第1カメラ」に対応し、イメージセンサ14は、本発明における「第1撮像素子」に対応する実施構成の一例である。
【0035】
なお、画像処理エンジン16において視認可能なファイルに変換された画像や映像に関連付けられる情報は、音声(具体的には、音声信号)に限定されるものではなく、例えば温度センサによって測定される温度の情報であってもよく、さらに言えば、種々のセンサ等で感知されうる様々な情報であってよい。
【0036】
電磁波ビデオカメラ30は、図3に示すように、レンズ32と、イメージセンサ34と、当該イメージセンサ34に電気的に接続された画像処理エンジン36と、当該画像処理エンジン36に電気的に接続された映像出力端子38および記録メディア40と、これらを収容するカメラボディ44と、レンズ32よりも前部に取り付けられたバンドパスフィルタ46と、を有している。なお、バンドパスフィルタ46は、レンズ32よりも後部に取り付けられてもよい。
【0037】
イメージセンサ34は、本実施の形態では、半導体受光素子からなるCMOSを用いる構成としている。なお、イメージセンサ34が備える半導体受光素子は、CCDであってもよい。
【0038】
イメージセンサ34は、本実施の形態では、盗聴器が発信する電磁波の周波数、例えば、145MHz~430MHzの範囲に受光感度(言い換えると、電磁波の受信感度)を有している。これにより、盗聴器が発信する電磁波を受光して撮像することができるため、盗聴器の所在を探知することができる。イメージセンサ34は、盗聴器が発信する電磁波の周波数として800MHz~2GHzの範囲に受光感度(言い換えると、電磁波の受信感度)を有するようにしてもよい。
【0039】
画像処理エンジン36は、イメージセンサ34によって生成された動画データを映像として視認可能なファイルに変換する部分である。また、画像処理エンジン36は、視認可能なファイルに変換された画像や映像を、映像出力端子38を介してPC50に出力すると共に記録メディア20にも出力する。なお、映像出力端子38とPC50とは、アダプター80を介してケーブル82により接続されている(図1参照)。
【0040】
バンドパスフィルタ46は、700nm以上(周波数に換算すると、428THz以下)の波長を透過可能な特性を有している。即ち、バンドパスフィルタ46は、可視光はほぼ透過せず、概ね遠赤外線以上の波長を透過するフィルタとして構成されている。バンドパスフィルタ46が透過させる波長は、700nm以上(周波数に換算すると、428THz以下)に限定されるものではなく、可視光を透過させず(又は、ほぼ透過させず)、概ね遠赤外線以上の波長を透過させうる範囲に設定される。
【0041】
電磁波ビデオカメラ30は、本発明における「第2カメラ」に対応し、イメージセンサ34は、本発明における「第2撮像素子」に対応する実施構成の一例である。
【0042】
ここで、電磁波ビデオカメラ30(具体的には、イメージセンサ34)が受光対象/受信対象とする電磁波の波長/波長帯/周波数/周波数帯の範囲は、145MHz~430MHzや800MHz~2GHzの範囲に限定されるものではなく、1Hz~1PHzの範囲のうちの少なくとも一部であってよい。電磁波ビデオカメラ30(具体的には、イメージセンサ34)が受光対象/受信対象とする電磁波の波長/波長帯/周波数/周波数帯の範囲は、例えば、探知対象物の機器としての電磁波式発信機が発信する(又は、発信すると想定される)電磁波の波長/波長帯/周波数/周波数帯を含むように適宜設定されてよい。なお、一般での使用が制限されている部分の電磁波周波数帯、赤外線電磁波周波数帯、紫外線電磁波周波数帯、2.4GHz、100MHz、200MHz、300MHz、400MHz、700MHz、800MHz、および1200MHzは除かれてもよい。
【0043】
PC50は、図示しないCPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、各種処理プログラムを記憶するROM(図示せず)、一時的にデータを記憶するRAM(図示せず)、画像処理を行う際に必要な計算処理や行列演算処理を行うGPU(図示せず)、本発明に係る電磁波式発信機探知プログラムを含む各種アプリケーションプログラム(単にアプリケーションと称する)や画像データや動画データを含む各種データを記憶する大容量メモリである図示しないハードディスク(HDD)、外部機器とのデータの入出力を行う図示しない入出力インターフェイス(I/F)などを備えている。PC50は、ユーザが各種指令を入力するキーボードおよびマウス等の図示しない入力装置や、各種情報を表示するディスプレイ52などを備えている。CPUやROM、RAM、GPU、HDD、I/F、入力装置、および、ディスプレイ52などは、バス(図示せず)によって電気的に接続され、互いに各種制御信号やデータのやり取りができるように構成されている。
【0044】
PC50には、CPUやROM、RAM、GPU、HDD、I/F、入力装置、ディスプレイ52などの前述したハードウェア資源と、各種アプリケーションやプログラムといったソフトウェアと、の一方または双方の協働により、図4に示すように、可視光動画取得部61や、電磁波動画取得部62、動画変換部63、動画合成部64、所在特定部65、記憶部66、出力部67、表示部68等が機能ブロックとして構成される。換言すれば、これらの各部(可視光動画取得部61や、電磁波動画取得部62、動画変換部63、動画合成部64、所在特定部65、記憶部66、出力部67、表示部68)は、HDDからRAM上に展開されたアプリケーションを実行するCPUからの命令によって、各構成要素(CPUやROM、RAM、GPU、HDD、I/F、入力装置、ディスプレイ52など)が単独あるいは協働して動作することにより実現される機能であると言うことができる。なお、可視光動画取得部61や、電磁波動画取得部62、動画変換部63、動画合成部64、所在特定部65、記憶部66、出力部67、表示部68等は、アドレスバスやデータバスなどのバスライン(図示せず)によって電気的に接続されている。
【0045】
可視光動画取得部61は、筐体4の各面に配置された各可視光ビデオカメラ10(図1参照)によって撮像された可視光動画データを取得し、取得した当該可視光動画データが、6つの可視光ビデオカメラ10のうち、どの可視光ビデオカメラ10によって撮像されたものかが識別可能な態様で、動画合成部64や記憶部66などに供給する。可視光動画データは、本発明における「第1画像」に対応する実施構成の一例である。
【0046】
可視光動画(第1画像)は、すなわち、可視光を対象とした画像であり、カラー画像であってもよく、或いは、グレースケール画像であってもよい。
【0047】
電磁波動画取得部62は、筐体4の各面に配置された各電磁波ビデオカメラ30(図1参照)によって撮像された電磁波動画データを取得し、取得した当該電磁波動画データが、6つの電磁波ビデオカメラ30のうち、どの電磁波ビデオカメラ30によって撮像されたものかが識別可能な態様で、動画変換部63や動画合成部64、記憶部66などに供給する。電磁波動画データは、本発明における「第2画像」に対応する実施構成の一例である。
【0048】
電磁波動画(第2画像)は、すなわち、電磁波式発信機(例えば、盗聴器)が発信する電磁波の波長を対象とした画像であり、言い換えると、電磁波式発信機が発信する電磁波の感知の状況を表す画像であり、カラー画像であってもよく、或いは、グレースケール画像であってもよい。
【0049】
動画変換部63は、電磁波動画取得部62から電磁波動画データを取得し、当該電磁波動画データをモノクロ調のモノクロ電磁波動画データに変換すると共に、変換した当該モノクロ電磁波動画データを動画合成部64、所在特定部65、および記憶部66に供給する。動画変換部63は、本発明における「画像変換部」に対応する実施構成の一例である。モノクロ電磁波動画データは、本発明における「第3画像」に対応する実施構成の一例である。
【0050】
モノクロ電磁波動画(第3画像)は、すなわち、電磁波動画(第2画像)をモノクロ調に変換した画像である。
【0051】
モノクロ電磁波動画データ(第3画像)は、例えば、透明と白色との動画(画像)であり、感知した電磁波の強度によって色が増すように変換される動画(画像)である(即ち、感知した電磁波の強度がゼロの部分は透明である)。なお、モノクロ電磁波動画データ(第3画像)は、透明と或る単色(言い換えると、所定の単色)との動画(画像)であれば透明と白色との動画(画像)に限定されるものではなく、例えば、透明と黒色との動画(画像)、透明と赤色との動画(画像)、透明と青色との動画(画像)、又は透明と緑色との動画(画像)などであってもよい。
【0052】
動画合成部64は、可視光動画取得部61からの可視光動画データと、動画変換部63からのモノクロ電磁波動画データと、を合成すると共に、6つの可視光ビデオカメラ10および6つの電磁波ビデオカメラ30のうち、どの可視光ビデオカメラ10および電磁波ビデオカメラ30によって撮像されたものかが識別可能な態様で、合成した各合成動画データを記憶部66や出力部67に供給する。動画合成部64は、本発明における「画像合成部」に対応する実施構成の一例である。
【0053】
モノクロ電磁波動画データ(第3画像)は、透明と或る単色(所定の単色)との動画(画像)であり、感知した電磁波の強度によって色が増すように変換された動画(画像)であるところ、動画合成部64は、可視光動画データ(第1画像)とモノクロ電磁波動画データ(第3画像)とを合成する処理として、例えば、可視光動画(第1画像;具体的には、可視光動画データの各フレーム)上にモノクロ電磁波動画(第3画像;具体的には、モノクロ電磁波動画データの各フレーム)を重畳させる(言い換えると、被せる)ことによって合成画像を生成する(図9図10参照)。なお、図9では、盗聴器(具体的には、電磁波式発信機としての盗聴器から発信される電磁波)が撮像された部分が分かり易いように、モノクロ電磁波動画(第3画像)において透明な部分を黒色で表示している。
【0054】
合成画像は、可視光動画(第1画像)とモノクロ電磁波動画(第3画像)とを合成した画像であり、例えば、カラー画像(第1画像)に、感知した電磁波の強度がゼロ(又は所定の閾値以下)の部分は透明であるとともに感知した電磁波の強度に応じて色が増すように変換されたモノクロ調の画像(第3画像)が重畳された画像である。
【0055】
所在特定部65は、動画変換部63からのモノクロ電磁波動画データを用いて、当該モノクロ電磁波動画データに盗聴器(具体的には、電磁波式発信機としての盗聴器から発信される電磁波)が撮像されたフレームが含まれるか否かを判定し、盗聴器が撮像されているフレームがある場合には、当該フレームにおいて盗聴器の所在(即ち、場所、位置)を特定する。
【0056】
具体的には、所在特定部65は、画像処理によってモノクロ電磁波動画データの各フレームに白光する部分があるか否かを判定し、白光する部分がある場合、当該白光する部分を盗聴器の所在として特定する。そして、所在特定部65は、モノクロ電磁波動画データのフレームにおいて特定した盗聴器の所在を、当該のフレームにおける位置情報として表示部68に供給する。所在特定部65は、本発明における「フレーム特定部」および「所在特定部」に対応する実施構成の一例である。
【0057】
モノクロ電磁波動画データの各フレームに白光する部分(即ち、電磁波式発信機としての盗聴器から発信される電磁波が撮像された部分)があるか否かを判定する際の、言い換えると、モノクロ電磁波動画データの各フレームに白光する部分に該当する画素があるか否かを判定する際の、画素ごとの単色強度の閾値が設定されてよく、また、画素の集まりの程度に間する閾値が設定されるようにしてもよい。
【0058】
本発明では、モノクロ電磁波動画データにおける或る単色(言い換えると、所定の単色)としての白色、黒色、緑色、赤色、および青色などのうちのいずれかの単色の濃さのことを「単色強度」と定義する。単色強度は、0が透明(即ち、可視光動画(第1画像)の地の色、つまり可視光動画のまま)であり、最大値が単色最大濃度であるとする。
【0059】
そして、モノクロ電磁波動画データの各フレームにおける白光する部分の単色強度に関連して、モノクロ調の画像(第3画像)では、電磁波式発信機(例えば、盗聴器)から発信されて感知される電磁波(白光する部分)の強度が強ければ強いほど、白光する部分の単色の濃度が濃くなる(即ち、単色強度が強くなる)。ここで、電磁波の強度範囲は0から無限大であるのに対し、単色の濃度範囲は透明(即ち、可視光動画(第1画像)の地の色)から単色最大濃度であるため有限である。このため、受光感度(言い換えると、電磁波の受信感度)の最小値と最大値とが設けられ、合成画像において白光する部分が上手く(言い換えると、見易く)表示されるように最小値と最大値とが調整されてそれぞれ設定されるようにしてよい。
【0060】
この場合、モノクロ調の画像(第3画像)における透明(即ち、単色強度=0)の部分が電磁波式発信機(盗聴器)から発信される電磁波の強度の受信感度の最小値に対応し、当該最小値以下の電磁波の強度は全て透明(即ち、単色強度=0)になる。また、モノクロ調の画像(第3画像)における単色強度=単色最大濃度が電磁波式発信機(盗聴器)から発信される電磁波の強度の受信感度の最大値に対応し、当該最大値以上の電磁波の強度は全て単色強度=単色最大濃度になる。そして、電磁波式発信機(盗聴器)から発信される電磁波の強度の受信感度の最小値および最大値はそれぞれ適宜設定可能であるようにされてよい。
【0061】
なお、モノクロ電磁波動画データにおける或る単色は白色、黒色、緑色、赤色、および青色のうちのいずれかに選択的に設定可能であるようにしてよい。単色最大濃度は、それぞれ、真白、真黒、真緑、真赤、真青となる。また、例えば、可視光動画(第1画像)が明るく白っぽい画像である場合に、単色(即ち、白光する部分)を分かり易くするために、単色が白色から黒色などに変更できるようにしてもよい。
【0062】
記憶部66は、6つの可視光ビデオカメラ10および6つの電磁波ビデオカメラ30のうち、どの可視光ビデオカメラ10および電磁波ビデオカメラ30によって撮像されたものかが識別可能な態様で、可視光動画データや電磁波動画データ、モノクロ電磁波動画データ、および、合成動画データを記憶する。
【0063】
出力部67は、6つの可視光ビデオカメラ10および6つの電磁波ビデオカメラ30のうち、どの可視光ビデオカメラ10および電磁波ビデオカメラ30によって撮像されたものかが識別可能な態様で、動画合成部64において生成された合成動画データを表示部68に出力する。
【0064】
表示部68は、6つの可視光ビデオカメラ10および6つの電磁波ビデオカメラ30のうち、どの可視光ビデオカメラ10および電磁波ビデオカメラ30によって撮像されたものかが識別可能な態様で、出力部67からの合成動画データをディスプレイ52に表示する。また、表示部68は、合成動画データが盗聴器を含むフレームを有している場合、所在特定部65によって特定された盗聴器の所在を、視覚的に確認できる態様で表示する。本実施例では、盗聴器の所在を枠で囲って表示する構成とした(図10参照)。なお、盗聴器の所在は、矢印などのマークによって指し示されて表示されるようにしてもよい。
【0065】
次に、こうして構成された電磁波式発信機探知装置1の動作、特に、盗聴器を探知する際の動作について説明する。盗聴器を探知するにあたっては、まず、盗聴器が設置された疑いのある部屋などの探知対象の空間に、電磁波式発信機探知装置1を設置する。
【0066】
探知対象の空間への電磁波式発信機探知装置1の設置が完了すると、撮像機2を起動すると共に、PC50を操作して、本発明に係る電磁波式発信機探知プログラムを実行させる。これにより、ROMを含むメモリ内に保存された本発明に係る電磁波式発信機探知プログラムがCPUによって読み出され、当該プログラムにより指示される工程に従って情報が処理されて、本発明に係る電磁波式発信機探知方法が実行される。
【0067】
電磁波式発信機探知プログラムが実行されると、まず、可視光動画取得部61および電磁波動画取得部62が、6つの可視光ビデオカメラ10および6つの電磁波ビデオカメラ30それぞれから可視光動画データおよび電磁波動画データを取得する処理を実行する。続いて、電磁波動画取得部62が取得した各電磁波動画データを、動画変換部63が取得すると共に、当該各電磁波動画データをモノクロ調のモノクロ電磁波動画データに変換する処理を実行する。
【0068】
モノクロ電磁波動画データが生成されると、動画合成部64は、可視光動画取得部61が取得した各可視光動画データと、これに対応する各モノクロ電磁波動画データと、をそれぞれ合成して合成動画データを生成する。そして、出力部67が生成された各合成動画データを表示部68に出力する処理を実行する。
【0069】
一方、所在特定部65は、生成された各モノクロ電磁波動画データを用いて、当該モノクロ電磁波動画データに盗聴器(具体的には、電磁波式発信機としての盗聴器から発信される電磁波)が撮像されたフレームが含まれるか否かを判定する処理を実行する。
【0070】
ここで、盗聴器が撮像されたフレームが含まれるか否かの判定は、所在特定部65が各モノクロ電磁波動画データを画像処理することによって、当該各モノクロ電磁波動画データの各フレームに白光する部分があるか否かを判定することにより行うことができる。この場合、モノクロ電磁波動画データの各フレームに白光する部分に該当する画素があるか否かを判定するための、画素ごとの単色強度の閾値が設定されてよく、また、画素の集まりの程度に間する閾値が設定されるようにしてもよい。
【0071】
モノクロ電磁波動画データのいずれかに盗聴器が撮像されているフレームがあると判定した場合には、当該フレームにおいて盗聴器の所在(即ち、場所、位置)を特定する。具体的には、当該フレームにおいて、白光する部分を盗聴器の所在として特定する。そして、所在特定部65は、モノクロ電磁波動画データのフレームにおいて特定した盗聴器の所在を、当該のフレームにおける位置情報として表示部68に供給する。
【0072】
最後に、表示部68は、各合成動画データをディスプレイ52に表示する処理を実行する。このとき、表示部68は、各合成動画データを構成する各モノクロ電磁波動画データのいずれかに、盗聴器が撮像されたフレームが含まれる場合、該当する合成動画データ上において、盗聴器の所在を枠で囲って表示する。
【0073】
図5および図8は、それぞれ、6つの可視光ビデオカメラ10のうち任意の2つの可視光ビデオカメラ10(以下、便宜上、「第1可視光ビデオカメラ」および「第2可視光ビデオカメラ」ということがある)によって撮像された第1および第2可視光動画データの1フレームの一例を示す説明図であり、図6および図9は、6つの電磁波ビデオカメラ30のうち前述した任意の2つの第1および第2可視光ビデオカメラと対をなす2つの電磁波ビデオカメラ30(以下、便宜上、「第1電磁波ビデオカメラ」および「第2電磁波ビデオカメラ」ということがある)によって撮像された第1および第2電磁波動画データをモノクロ調に変換した第1および第2モノクロ電磁波動画データの1フレームの一例を示す説明図であり、図7および図10は、第1および第2可視光動画データと第1および第2モノクロ電磁波動画データとがそれぞれ合成された第1および第2合成動画データの1フレームの一例を示す説明図である。
【0074】
なお、モノクロ電磁波動画データ(第3画像)は、透明と或る単色との動画(画像)であり、感知した電磁波の強度によって色が増すように変換された動画(画像)であるところ、図6および図9では、盗聴器(具体的には、電磁波式発信機としての盗聴器から発信される電磁波)が撮像された部分が分かり易いように、動画(画像)において透明な部分を黒色で表示している。
【0075】
盗聴器が設置されていない空間を撮像した場合、図6および図7に示すように、第1モノクロ電磁波動画データおよび第1合成動画データには、白光する部分は撮像されない。一方、盗聴器が設置された空間を撮像した場合、図9および図10に示すように、第2モノクロ電磁波動画データおよび第2合成動画データには、白光する部分が撮像されると共に、ディスプレイ52において、当該第2合成動画上の白光する部分が枠によって囲まれて表示される。
【0076】
以上説明した実施例1に係る電磁波式発信機探知装置1によれば、可視光成分の波長に受光感度を有するイメージセンサ14を備える6つの可視光ビデオカメラ10と、当該6つの可視光ビデオカメラ10とほぼ同じポジションおよびアングルで配置され、盗聴器が発信する電磁波の波長に受光感度を有するイメージセンサ34を有する6つの電磁波ビデオカメラ30と、によって、探知対象の空間を撮像し、可視光ビデオカメラ10によって撮像された各可視光動画データと、電磁波ビデオカメラ30で撮像した各電磁波動画データをモノクロ調に変換した各モノクロ電磁波動画データと、を合成して出力するため、盗聴器が設置されているか否か、および、その所在を確実に探知することができる。なお、探知対象の空間を動画で撮像するため、ランダムなタイミングで電磁波を送信する盗聴器であっても、盗聴器が設置されているか否か、および、その所在を確実に探知することができる。また、6つの可視光ビデオカメラ10および6つの電磁波ビデオカメラ30を用いるため、探知対象の空間のあらゆる方向を同時に探知することができるため、盗聴器を短時間で探知することができる。さらに、盗聴器が設置されている場合、ディスプレイ52に表示される合成動画上において、盗聴器の所在に枠が表示さるため、盗聴器の所在を簡易に知ることができる。
【0077】
実施例1の電磁波式発信機探知装置1では、撮像機2は、可視光ビデオカメラ10および電磁波ビデオカメラ30を有する構成としたが、これに限らない。例えば、撮像機2は、可視光ビデオカメラ10に代えて可視光デジタルカメラを備える構成や、電磁波ビデオカメラ30に代えて電磁波デジタルカメラを備える構成としてもよい。なお、撮像機2が、可視光デジタルカメラおよび電磁波ビデオカメラ30を有する構成の場合、動画合成部64は、動画変換部63によって変換されたモノクロ動画データの中から1つのフレーム(以下、「モノクロ画像データ」という)を選択し、可視光デジタルカメラで撮像した可視光画像データと、当該モノクロ画像データと、を合成する構成とすればよい。なお、モノクロ動画データの中に盗聴器が撮像されたフレームがある場合、動画合成部64は、当該盗聴器が撮像されたモノクロ画像データを選択して可視光画像データと合成する。
【0078】
実施例1の電磁波式発信機探知装置1では、撮像機2は、6つの可視光ビデオカメラ10および6つの電磁波ビデオカメラ30を有する構成としたが、これに限らない。例えば、撮像機2は、一組の可視光ビデオカメラ10および電磁波ビデオカメラ30のみを有する構成や、2~5つ、または、7つ以上の可視光ビデオカメラ10および電磁波ビデオカメラ30を有する構成としてもよい。
【0079】
実施例1の電磁波式発信機探知装置1では、電磁波式発信機探知装置1は、動画変換部63を備え、当該動画変換部63が電磁波動画データをモノクロ調のモノクロ電磁波動画データに変換する構成としたが、これに限らない。例えば、電磁波ビデオカメラ30の画像処理エンジン36が電磁波動画データをモノクロ調のモノクロ電磁波動画データに変換する構成としてもよい。
【実施例2】
【0080】
次に、実施例2に係る電磁波式発信機探知装置100について説明する。実施例2に係る電磁波式発信機探知装置100は、図11に示すように、部屋などの探知対象の空間に設置された電磁波式発信機、具体的には、盗聴器を探知可能な装置として構成されている。
【0081】
実施例2に係る電磁波式発信機探知装置100は、探知対象の空間の撮像を行う撮像機102と、当該撮像機102に有線で接続されるPC150と、を備えている。本実施例では、撮像機102とPC150とを有線で接続する構成としたが、撮像機102とPC150を無線で接続する構成であってもよいことは言うまでもない。
【0082】
この実施例2に係る電磁波式発信機探知装置100は、実施例1に係る電磁波式発信機探知装置1に対して、可視光ビデオカメラ10および電磁波ビデオカメラ30をビデオカメラ110に置き換えると共に、これに伴って、可視光動画取得部61および電磁波動画取得部62を動画取得部161に置き換えると共に、動画変換部63および動画合成部64を削除した構成を有している(尚、後述するように、動画変換部63および動画合成部64を備える構成としてもよい)。重複する説明を回避するため、実施例2に係る電磁波式発信機探知装置100の構成のうち実施例1に係る電磁波式発信機探知装置1の構成に相当する構成については、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0083】
実施例2のビデオカメラ110は、図12に示すように、レンズ112と、フィルタ113を有するイメージセンサ114と、当該イメージセンサ114に電気的に接続された画像処理エンジン116と、当該画像処理エンジン116に電気的に接続された映像出力端子118,記録メディア120および音声受信部122と、これらを収容するカメラボディ124と、を有している。
【0084】
フィルタ113は、可視光成分の波長、例えば、360nm~830nm(周波数に換算すると、361THz~833THz)の範囲の波長を透過可能な可視光透過材(例えば、赤、緑、青のカラーレジスト)および盗聴器が発信する電磁波の周波数、例えば、145MHz~430MHzの範囲の波長を透過可能な電磁波透過材がパターン化して配置された構成を有している。フィルタ113は、盗聴器が発信する電磁波の周波数として800MHz~2GHzの範囲の波長を透過可能な電磁波透過材がパターン化して配置された構成を有するようにしてもよい。
【0085】
イメージセンサ114は、本実施の形態では、半導体受光素子からなるCMOSを用いる構成としている。なお、イメージセンサ114が備える半導体受光素子は、CCDであってもよい。
【0086】
イメージセンサ114は、可視光成分の波長、例えば、360nm~830nm(周波数に換算すると、361THz~833THz)の範囲、および、盗聴器が発信する電磁波の周波数、例えば、145MHz~430MHzの範囲、それぞれに受光感度(言い換えると、電磁波の受信感度)を有している。これにより、探知対象の空間の画像(動画)を撮像することができると共に、盗聴器が発信する電磁波を受光して撮像することができる。この結果、盗聴器の所在を探知することができる。イメージセンサ114は、盗聴器が発信する電磁波の周波数として800MHz~2GHzの範囲に受光感度(言い換えると、電磁波の受信感度)を有するようにしてもよい。
【0087】
画像処理エンジン116は、イメージセンサ114によって生成された動画データを映像として視認可能なファイルに変換する部分である。また、画像処理エンジン116は、視認可能なファイルに変換された画像や映像を、映像出力端子118を介してPC150に出力すると共に記録メディア120にも出力する。なお、映像出力端子118とPC150とは、アダプター80を介してケーブル82により接続されている(図11参照)。
【0088】
ビデオカメラ110は、本発明における「カメラ」に対応し、イメージセンサ114は、本発明における「撮像素子」に対応する実施構成の一例である。
【0089】
なお、実施例2のビデオカメラ110も、実施例1の可視光ビデオカメラ10と同様に、音声受信部22を有するようにしてよい。そして、画像処理エンジン116において視認可能なファイルに変換された画像や映像が、音声受信部22によって受信された音声信号と関連付けられて、映像出力端子118を介してPC150に出力されると共に記録メディア120にも出力されるようにしてよい。この場合、画像処理エンジン116において視認可能なファイルに変換された画像や映像に関連付けられる情報は、音声(具体的には、音声信号)に限定されるものではなく、例えば温度センサによって測定される温度の情報であってもよく、さらに言えば、種々のセンサ等で感知されうる様々な情報であってよい。
【0090】
ここで、ビデオカメラ110のフィルタ113の電磁波透過材が透過対象とすると共にイメージセンサ114が受光対象/受信対象とする、盗聴器が発信する電磁波の波長/波長帯に対応する電磁波の周波数/周波数帯の範囲は、145MHz~430MHzや800MHz~2GHzの範囲に限定されるものではなく、1Hz~1PHzの範囲のうちの少なくとも一部であってよい。ビデオカメラ110のフィルタ113の電磁波透過材が透過対象とすると共にイメージセンサ114が受光対象/受信対象とする電磁波の波長/波長帯/周波数/周波数帯の範囲は、例えば、探知対象物の機器としての電磁波式発信機が発信する(又は、発信すると想定される)電磁波の波長/波長帯/周波数/周波数帯を含むように適宜設定されてよい。なお、イメージセンサ114が受光対象/受信対象とする電磁波の波長/波長帯/周波数/周波数帯の範囲には、可視光成分の波長/波長帯/周波数/周波数帯が含まれてよい。また、一般での使用が制限されている部分の電磁波周波数帯、赤外線電磁波周波数帯、紫外線電磁波周波数帯、2.4GHz、100MHz、200MHz、300MHz、400MHz、700MHz、800MHz、および1200MHzは除かれてもよい。
【0091】
実施例2のPC150は、図示しないCPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、各種処理プログラムを記憶するROM(図示せず)、一時的にデータを記憶するRAM(図示せず)、画像処理を行う際に必要な計算処理や行列演算処理を行うGPU(図示せず)、本発明に係る電磁波式発信機探知プログラムを含む各種アプリケーションプログラム(単にアプリケーションと称する)や画像データや動画データを含む各種データを記憶する大容量メモリである図示しないハードディスク(HDD)、外部機器とのデータの入出力を行う図示しない入出力インターフェイス(I/F)などを備えている。PC150は、ユーザが各種指令を入力するキーボードおよびマウス等の図示しない入力装置や、各種情報を表示するディスプレイ52などを備えている。CPUやROM、RAM、GPU、HDD、I/F、入力装置、および、ディスプレイ52などは、バス(図示せず)によって電気的に接続され、互いに各種制御信号やデータのやり取りができるように構成されている。
【0092】
PC150には、CPUやROM、RAM、GPU、HDD、I/F、入力装置、ディスプレイ52などの前述したハードウェア資源と、各種アプリケーションやプログラムといったソフトウェアと、の一方または双方の協働により、図13に示すように、動画取得部161や、所在特定部65、記憶部66、出力部67、表示部68等が機能ブロックとして構成される。換言すれば、これらの各部(動画取得部161や、所在特定部65、記憶部66、出力部67、表示部68)は、HDDからRAM上に展開されたアプリケーションを実行するCPUからの命令によって、各構成要素(CPUやROM、RAM、GPU、HDD、I/F、入力装置、ディスプレイ52など)が単独あるいは協働して動作することにより実現される機能であると言うことができる。なお、動画取得部161や、所在特定部65、記憶部66、出力部67、表示部68等は、アドレスバスやデータバスなどのバスライン(図示せず)によって電気的に接続されている。
【0093】
動画取得部161は、筐体4の各面に配置されたビデオカメラ110(図11参照)によって撮像された動画データを取得し、取得した当該動画データが、6つのビデオカメラ110のうち、どのビデオカメラ110によって撮像されたものかが識別可能な態様で、所在特定部65や、記憶部66、出力部67などに供給する。動画データは、本発明における「画像」に対応する実施構成の一例である。
【0094】
動画(画像)は、すなわち、可視光を対象とした画像であるとともに、電磁波式発信機(例えば、盗聴器)が発信する電磁波の波長を対象とした画像であり、言い換えると、電磁波式発信機が発信する電磁波の感知の状況を表す画像であり、カラー画像であってもよく、或いは、グレースケール画像であってもよい。
【0095】
実施例2に係る電磁波式発信機探知装置100も動画変換部63および動画合成部64を備えるようにしてもよい。実施例2に係る電磁波式発信機探知装置100の動画変換部63は、動画取得部161から動画データを取得し、当該動画データをモノクロ調のモノクロ動画データに変換すると共に、変換した当該モノクロ動画データを動画合成部64、所在特定部65、および記憶部66に供給する。モノクロ動画データは、本発明における「モノクロ変換画像」に対応する実施構成の一例である。
【0096】
モノクロ動画(モノクロ変換画像)は、すなわち、動画取得部161から供給される動画(画像)をモノクロ調に変換した画像である。モノクロ動画(モノクロ変換画像)は、実施例1におけるモノクロ電磁波動画(第3画像)と同様の特性を備える動画(画像)である。
【0097】
実施例2に係る電磁波式発信機探知装置100の動画合成部64は、動画取得部161からの動画データと、動画変換部63からのモノクロ動画データと、を合成すると共に、6つのビデオカメラ110のうち、どのビデオカメラ110によって撮像されたものかが識別可能な態様で、合成した各合成動画データを記憶部66や出力部67に供給する。
【0098】
実施例2に係る電磁波式発信機探知装置100の所在特定部65は、動画取得部161からの動画データまたは動画変換部63からのモノクロ動画データを用いて、当該動画データまたはモノクロ動画データに盗聴器(具体的には、電磁波式発信機としての盗聴器から発信される電磁波)が撮像されたフレームが含まれるか否かを判定し、盗聴器が撮像されているフレームがある場合には、当該フレームにおいて盗聴器の所在(即ち、場所、位置)を特定する。
【0099】
具体的には、所在特定部65は、画像処理によって動画データまたはモノクロ動画データの各フレームに白光する部分があるか否かを判定し、白光する部分がある場合、当該白光する部分を盗聴器の所在として特定する。そして、所在特定部65は、動画データまたはモノクロ動画データのフレームにおいて特定した盗聴器の所在を、当該のフレームにおける位置情報として表示部68に供給する。
【0100】
モノクロ動画データの各フレームに白光する部分(即ち、電磁波式発信機としての盗聴器から発信される電磁波が撮像された部分)があるか否かを判定する際の、言い換えると、モノクロ動画データの各フレームに白光する部分に該当する画素があるか否かを判定する際の、画素ごとの単色強度の閾値が設定されてよく、また、画素の集まりの程度に間する閾値が設定されるようにしてもよい。
【0101】
実施例2に係る電磁波式発信機探知装置100の動画合成部64は、動画データ(画像)とモノクロ動画データ(モノクロ変換画像)とを合成する処理として、例えば、動画(画像;具体的には、動画データの各フレーム)上にモノクロ動画(モノクロ変換画像;具体的には、モノクロ動画データの各フレーム)を重畳させる(言い換えると、被せる)ことによって合成画像を生成する。
【0102】
合成画像は、動画取得部161から供給される動画(画像)とモノクロ動画(モノクロ変換画像)とを合成した画像であり、例えば、カラー画像(動画取得部161から供給される画像)に、感知した電磁波の強度がゼロ(又は所定の閾値以下)の部分は透明であるとともに感知した電磁波の強度に応じて色が増すように変換されたモノクロ調の画像(モノクロ変換画像)が重畳された画像である。
【0103】
記憶部66は、6つのビデオカメラ110のうち、どのビデオカメラ110によって撮像されたものかが識別可能な態様で、動画データ、モノクロ動画データ、および合成動画データを記憶する。
【0104】
出力部67は、6つのビデオカメラ110のうち、どのビデオカメラ110によって撮像されたものかが識別可能な態様で、当該動画データや合成動画データを表示部68に出力する。
【0105】
表示部68は、6つのビデオカメラ110のうち、どのビデオカメラ110によって撮像されたものかが識別可能な態様で、出力部67からの動画データや合成動画データをディスプレイ52に表示する。また、表示部68は、動画データや合成動画データが盗聴器を含むフレームを有している場合、所在特定部65によって特定された盗聴器の所在を、視覚的に確認できる態様で表示する。本実施例では、盗聴器の所在を枠で囲って表示する構成とした(図10参照)。
【0106】
次に、こうして構成された電磁波式発信機探知装置100の動作、特に、盗聴器を探知する際の動作について説明する。盗聴器を探知するにあたっては、まず、盗聴器が設置された疑いのある部屋などの探知対象の空間に、電磁波式発信機探知装置100を設置する。
【0107】
探知対象の空間への電磁波式発信機探知装置100の設置が完了すると、撮像機102を起動すると共に、PC150を操作して、本発明に係る電磁波式発信機探知プログラムを実行させる。これにより、ROMを含むメモリ内に保存された本発明に係る電磁波式発信機探知プログラムがCPUによって読み出され、当該プログラムにより指示される工程に従って情報が処理されて、本発明に係る電磁波式発信機探知方法が実行される。
【0108】
電磁波式発信機探知プログラムが実行されると、まず、動画取得部161が、6つのビデオカメラ110それぞれから動画データを取得する処理を実行すると共に、所在特定部65が、動画データまたはモノクロ動画データを用いて、当該動画データまたはモノクロ動画データに盗聴器(具体的には、電磁波式発信機としての盗聴器から発信される電磁波)が撮像されたフレームが含まれるか否かを判定する処理を実行する。
【0109】
ここで、盗聴器が撮像されたフレームが含まれるか否かの判定は、所在特定部65が各動画データまたはモノクロ動画データを画像処理することによって、当該動画データまたはモノクロ動画データの各フレームに白光する部分があるか否かを判定することにより行うことができる。動画データまたはモノクロ動画データのいずれかに盗聴器が撮像されているフレームがあると判定した場合には、当該フレームにおいて盗聴器の所在(即ち、場所、位置)を特定する。具体的には、当該フレームにおいて、白光する部分を盗聴器の所在として特定する。そして、所在特定部65は、動画データまたはモノクロ動画データのフレームにおいて特定した盗聴器の所在を、当該のフレームにおける位置情報として表示部68に供給する。
【0110】
最後に、表示部68は、各動画データまたは各合成動画データをディスプレイ52に表示する処理を実行する。このとき、表示部68は、各動画データまたは各合成動画データを構成する各モノクロ動画データのいずれかに、盗聴器が撮像されたフレームが含まれる場合、該当する動画データまたは合成動画データ上において、盗聴器の所在を枠で囲って表示する。
【0111】
以上説明した実施例2に係る電磁波式発信機探知装置100においても、実施例1に係る電磁波式発信機探知装置1が奏する作用効果と同様の作用効果、具体的には、ランダムなタイミングで電磁波を送信する盗聴器であっても、盗聴器が設置されているか否か、および、その所在を確実に探知することができるという作用効果や、探知対象の空間のあらゆる方向を同時に探知することができるため、盗聴器を短時間で探知することができるという作用効果、盗聴器の所在を簡易に知ることができるという作用効果などを奏することができる。また、実施例2に係る電磁波式発信機探知装置100によれば、筐体4の各面に1つのビデオカメラ110を配置するのみであるため、部品点数の削減を図ることができる。
【実施例3】
【0112】
次に、実施例3に係る探知装置200について説明する。実施例3に係る探知装置200は、探知対象の地中に設置された電磁波反射物、具体的には、地雷を探知可能な装置として構成されている。ただし、本発明における「電磁波反射物」は、地雷に限定されるものではなく、電磁波を反射しうる種々の機器、物体が広く該当する。探知装置200は、本発明における「電磁波反射物探知装置」に対応する実施構成の一例である。
【0113】
実施例3に係る探知装置200は、実施例1に係る電磁波式発信機探知装置1或いは実施例2に係る電磁波式発信機探知装置100の構成に加えて電磁波を発信する機序(電磁波発信部)を備える構成である。そして、探知装置200は、電磁波発信部によって地中へと向けて送信波として電磁波を発信し、この電磁波が地中に存在する探知対象物である電磁波反射物で反射されて戻って来た応答波(即ち、電磁波)を受光/受信することで、地中データを取得する。すなわち、探知装置200は、地中の状態を深さ方向に検出する仕組みとして構成される。なお、電磁波発信部から地中へと向けて発信される電磁波はパルス状の電磁波であってもよい。
【0114】
探知装置200の動作は、地中へと向けて送信波として発信された電磁波が地中に存在する探知対象物である電磁波反射物で反射されて戻って来た応答波(即ち、電磁波)を受信するタイミングで、可視光動画取得部61および電磁波動画取得部62が可視光ビデオカメラ10および電磁波ビデオカメラ30それぞれから可視光動画データおよび電磁波動画データを取得する処理を実行したり(実施例1に係る電磁波式発信機探知装置1に対応する構成の場合)、動画取得部161がビデオカメラ110から動画データを取得する処理を実行したり(実施例2に係る電磁波式発信機探知装置100に対応する構成の場合)するほかは、実施例1に係る電磁波式発信機探知装置1や実施例2に係る電磁波式発信機探知装置100と同様である。
【0115】
なお、可視光ビデオカメラ10および電磁波ビデオカメラ30それぞれ(実施例1に係る電磁波式発信機探知装置1に対応する構成の場合)のカメラアングルや、ビデオカメラ110(実施例2に係る電磁波式発信機探知装置100に対応する構成の場合)のカメラアングルは、電磁波発信部から地中へと向けて送信波として発信された電磁波が地中に存在する探知対象物である電磁波反射物で反射されて戻って来た応答波(即ち、電磁波)を受信しうるカメラアングルに調整される。具体的には例えば、地面(地表面)と対向するカメラアングルに調整される。
【0116】
探知装置200が電磁波反射物として地中の地雷を探知する場合に、地中へと向けて発信される電磁波(また、地中の地雷で反射されて戻って来た応答波としての電磁波)の波長/波長帯/周波数/周波数帯の範囲は、特定の波長/波長帯/周波数/周波数帯に限定されるものではなく、地中の地雷としてはプラスチック製や金属製など種々のものが存在するので、地雷に使われていると想定される素材や、また、地雷が埋設されている地表部分の土の組成が考慮されるなどしたうえで適宜設定される。
【0117】
探知装置200は電磁波反射物として地中の水道管の水漏れを探知するようにしてもよく、水漏れを探知する場合に、地中へと向けて発信される電磁波(また、地中の水道管や水道管から水漏れした水で反射されて戻って来た応答波としての電磁波)の波長/波長帯/周波数/周波数帯の範囲は、特定の波長/波長帯/周波数/周波数帯には限定されない。探知装置200が地中の水道管や水道管からの水漏れを探知する場合に、地中へと向けて発信される電磁波(また、地中の水道管や水で反射されて戻って来た応答波としての電磁波)の波長/波長帯/周波数/周波数帯の範囲は、例えば、電磁波の反射対象を水道管と水とのうちのどちらにするのかが考慮されたり、水道管に使われている素材や、また、水道管が埋設されている土地の土の組成が考慮されたりなどしたうえで適宜設定される。
【0118】
なお、実施例1および実施例2の電磁波式発信機探知装置1,100並びに実施例3の探知装置200では、電磁波式発信機探知装置1,100並びに探知装置200は、撮像機2,102と、PC50,150と、を備える構成としたが、これに限らない。電磁波式発信機探知装置1,100並びに探知装置200は、撮像機2,102がPC50,150の機能を備える構成としてもよい。即ち、電磁波式発信機探知装置1,100並びに探知装置200が撮像機2,102とPC50,150とを別体に備える構成ではなく、撮像機2,102とPC50,150とが一体にされた専用装置として構成してもよい。
【0119】
(作用効果)
実施例1,2(実施の形態)に係る電磁波式発信機探知装置1,100によれば、モノクロ調に変換した画像から電磁波式発信機が発信する電磁波が撮像されたと推測されるフレームを特定するようにしているので、電磁波式発信機の存在および所在を確実に探知することが可能となる。また、実施例3(実施の形態)に係る探知装置200によれば、モノクロ調に変換した画像から電磁波反射物で反射して戻ってくる電磁波が撮像されたと推測されるフレームを特定するようにしているので、電磁波反射物の存在および所在を確実に探知することが可能となる。
【0120】
以上、本発明の実施例(実施の形態)について説明したが、本発明の具体的な構成態様は上記の実施例に限定されるものではなく、上記の実施例に、本発明の要旨を逸脱しない範囲の変形や変更などが加えられた形態も本発明に含まれる。
【0121】
(付記)
本発明に係る第1の電磁波式発信機探知装置の好ましい形態によれば、筐体と、当該筐体に配置された少なくとも1つの第1カメラと、当該第1カメラと略等しいカメラポジションおよびカメラアングルとなるように筐体に配置された少なくとも1つの第2カメラと、画像変換部と、画像合成部と、出力部と、を備えている。第1カメラは、可視光成分の波長に受光感度を有する第1撮像素子を備えている。第2カメラは、赤外線成分の波長以上に受光感度を有する第2撮像素子を備えている。画像変換部は、第2カメラで撮像した第2画像をモノクロ調の第3画像に変換可能である。画像合成部は、第1カメラで撮像した第1画像と、第3画像と、を合成した合成画像を生成する。そして、出力部は、画像合成部で生成した合成画像を出力可能である。ここで、本発明における「筐体」とは、典型的には箱型の容器がこれに該当するが、枠状の構造物(枠体)を好適に包含する。また、本発明における「画像」は、静止画のみならず動画を好適に包含する。
【0122】
本発明によれば、第2撮像素子が、電磁波式発信機が発信する電磁波の波長に受光感度を有するため、第2カメラによって電磁波式発信機から発信された電磁波を撮像することができる。そして、電磁波式発信機から発信された電磁波を撮像した第2画像をモノクロ調の第3画像に変換すると共に、第2カメラと略等しいカメラポジションおよびカメラアングルで配置された第1カメラによって撮像された第1画像と、第3画像と、を合成した合成画像を出力するため、ランダムなタイミングで電磁波を送信する盗聴器などの電磁波式発信機であっても、探知対象の空間に存在するか否かのみならず、当該探知対象の空間のどの位置に電磁波式発信機が存在するのかを確実に探知することができる。
【0123】
本発明に係る第1の電磁波式発信機探知装置の更なる形態によれば、少なくとも第2画像は、動画である。
【0124】
本形態によれば、ランダムなタイミングで、音声に対応した電磁波を送信する盗聴器などの電磁波式発信機の探知に、より好適に適用可能である。
【0125】
本発明に係る第1の電磁波式発信機探知装置の更なる形態によれば、第2画像から電磁波式発信機が撮像されたと推測されるフレームを特定可能なフレーム特定部をさらに備えている。そして、画像変換部は、フレームをモノクロ調に変換することで第3画像を生成する。
【0126】
本形態によれば、第1画像が静止画である場合においても良好に適用可能である。
【0127】
本発明に係る第1の電磁波式発信機探知装置の更なる形態によれば、筐体は、複数の面を有する多面体である。そして、第1および第2カメラは、複数の面それぞれに配置されている。
【0128】
本形態によれば、探知対象の空間のあらゆる方向を同時に撮像することができるため、電磁波式発信機の存在の有無および所在を、簡易かつ確実かつ短時間で探知することができる。
【0129】
本発明に係る第1の電磁波式発信機探知装置の更なる形態によれば、合成画像を表示可能な表示部と、第3画像に基づき電磁波式発信機の所在を特定する所在特定部と、をさらに備えている。そして、表示部は、所在特定部によって特定された電磁波式発信機の所在を視覚的に確認できる態様で報知する。
【0130】
本形態によれば、電磁波式発信機の存在の有無およびその位置を、より確実に知らせることができる。
【0131】
本発明に係る第2の電磁波式発信機探知装置の好ましい形態によれば、少なくとも1つのカメラと、当該カメラで撮像した画像を出力可能な出力部と、を備えている。カメラは、可視光成分の波長を透過可能な可視光透過材および電磁波式発信機が発信する電磁波の波長を透過可能な電磁波透過材をパターン化して配置したフィルタと、可視光成分の波長以上に受光感度を有する撮像素子と、を有している。本発明における「画像」は、静止画のみならず動画を好適に包含する。
【0132】
本発明によれば、カメラが、可視光成分の波長を透過可能な可視光透過材および電磁波式発信機が発信する電磁波の波長を透過可能な電磁波透過材をパターン化して配置したフィルタと、可視光成分の波長以上に受光感度を有する撮像素子と、を有しているため、当該カメラにより撮像した探知対象の空間の画像に、電磁波式発信機から発信された電磁波を撮像することができる。これにより、ランダムなタイミングで電磁波を送信する盗聴器などの電磁波式発信機であっても、探知対象の空間に存在するか否かのみならず、当該探知対象の空間のどの位置に電磁波式発信機が存在するのかを確実に探知することができる。
【0133】
本発明に係る第2の電磁波式発信機探知装置の更なる形態によれば、画像は、動画である。
【0134】
本形態によれば、ランダムなタイミングで、音声に対応した電磁波を送信する盗聴器などの電磁波式発信機の探知に、より好適に適用可能である。
【0135】
本発明に係る第2の電磁波式発信機探知装置の更なる形態によれば、カメラを支持可能な筐体をさらに備えている。当該筐体は、複数の面を有する多面体である。そして、カメラは、複数の面それぞれに配置されている。
【0136】
本形態によれば、探知対象の空間のあらゆる方向を同時に撮像することができるため、電磁波式発信機の存在の有無および所在を、簡易かつ確実かつ短時間で探知することができる。
【0137】
本発明に係る第2の電磁波式発信機探知装置の更なる形態によれば、画像を表示可能な表示部と、画像に基づき電磁波式発信機の所在を特定する所在特定部と、をさらに備えている。そして、表示部は、所在特定部によって特定された電磁波式発信機の所在を視覚的に確認できる態様で報知する。
【0138】
本形態によれば、電磁波式発信機の存在の有無およびその位置を、より確実に知らせることができる。
【0139】
本発明に係る第1の電磁波式発信機探知方法の好ましい形態によれば、(a)可視光成分の波長に受光感度を有する第1撮像素子を備える少なくとも1つの第1カメラと、電磁波式発信機が発信する電磁波の波長に受光感度を有する第2撮像素子を備える少なくとも1つの第2カメラと、を略等しいカメラポジションおよびカメラアングルとなるように配置する工程と、(b)第1および第2カメラによって、探知対象の空間を撮像する工程と、(c)第2カメラで撮像した第2画像をモノクロ調の第3画像に変換する工程と、(d)第1カメラで撮像した第1画像と、第3画像と、を合成した合成画像を生成する工程と、(e)生成した合成画像を出力する工程と、を備えている。ここで、本発明における「画像」は、静止画のみならず動画を好適に包含する。
【0140】
本発明によれば、第2撮像素子が、電磁波式発信機が発信する電磁波の波長に受光感度を有する構ため、第2カメラによって電磁波式発信機から発信された電磁波を撮像することができる。そして、電磁波式発信機から発信された電磁波を撮像した第2画像をモノクロ調の第3画像に変換すると共に、第2カメラと略等しいカメラポジションおよびカメラアングルで配置された第1カメラによって撮像された第1画像と、第3画像と、を合成した合成画像を出力するため、ランダムなタイミングで電磁波を送信する盗聴器などの電磁波式発信機であっても、探知対象の空間に存在するか否かのみならず、当該探知対象の空間のどの位置に電磁波式発信機が存在するのかを確実に探知することができる。
【0141】
本発明に係る第1の電磁波式発信機探知方法の更なる形態によれば、工程(b)は、少なくとも第2画像を動画として撮像する工程を含んでいる。
【0142】
本形態によれば、ランダムなタイミングで、音声に対応した電磁波を送信する盗聴器などの電磁波式発信機の探知に、より好適に適用可能である。
【0143】
本発明に係る第2の電磁波式発信機探知方法の好ましい形態によれば、(f)可視光成分の波長を透過可能な可視光透過材および電磁波式発信機が発信する電磁波の波長を透過可能な電磁波透過材をパターン化して配置したフィルタと、可視光成分の波長以上に受光感度を有する撮像素子と、を備える少なくとも1つのカメラによって、探知対象の空間を撮像する工程と、(g)カメラで撮像した探知対象の空間の画像を出力する工程と、を備えている。ここで、本発明における「画像」は、静止画のみならず動画を好適に包含する。
【0144】
本発明によれば、可視光成分の波長を透過可能な可視光透過材および電磁波式発信機が発信する電磁波の波長を透過可能な電磁波透過材をパターン化して配置したフィルタと、可視光成分の波長以上に受光感度を有する撮像素子と、を有するカメラによって、探知対象の空間を撮像するため、当該探知対象の空間の画像に、電磁波式発信機から発信された電磁波を撮像することができる。これにより、ランダムなタイミングで電磁波を送信する盗聴器などの電磁波式発信機であっても、探知対象の空間に存在するか否かのみならず、当該探知対象の空間のどの位置に電磁波式発信機が存在するのかを確実に探知することができる。
【0145】
本発明に係る第2の電磁波式発信機探知方法の更なる形態によれば、工程(f)は、少なくとも画像を動画として撮像する工程を含んでいる。
【0146】
本形態によれば、ランダムなタイミングで、音声に対応した電磁波を送信する盗聴器などの電磁波式発信機の探知に、より好適に適用可能である。
【0147】
本発明に係る第1の電磁波式発信機探知プログラムの好ましい形態によれば、上述したいずれかの本発明に係る電磁波式発信機探知方法の少なくとも工程(b)乃至(e)をコンピュータに実行させる。当該プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体、例えば、ハードディスクやROM、SSD、フラッシュメモリ(USBメモリ、SDカードなど)、フロッピーディスク、CD、DVDなどに記録されていてもよいし、伝送媒体、例えば、インターネットやLANなどの通信網を介して、あるコンピュータから別のコンピュータへ配信されてもよいし、あるいは、その他如何なる態様で授受されてもよい。
【0148】
本発明によれば、上述した本発明に係る電磁波式発信機探知方法が奏する効果と同様の効果、例えば、ランダムなタイミングで電磁波を送信する盗聴器などの電磁波式発信機であっても、探知対象の空間に存在するか否かのみならず、当該探知対象の空間のどの位置に電磁波式発信機が存在するのかを確実に探知することができるという効果などを奏することができる。
【0149】
本発明に係る第2の電磁波式発信機探知プログラムの好ましい形態によれば、上述したいずれかの本発明に係る電磁波式発信機探知方法をコンピュータに実行させる。当該プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体、例えば、ハードディスクやROM、SSD、フラッシュメモリ(USBメモリ、SDカードなど)、フロッピーディスク、CD、DVDなどに記録されていてもよいし、伝送媒体、例えば、インターネットやLANなどの通信網を介して、あるコンピュータから別のコンピュータへ配信されてもよいし、あるいは、その他如何なる態様で授受されてもよい。
【0150】
本発明によれば、上述した本発明に係る電磁波式発信機探知方法が奏する効果と同様の効果、例えば、ランダムなタイミングで電磁波を送信する盗聴器などの電磁波式発信機であっても、探知対象の空間に存在するか否かのみならず、当該探知対象の空間のどの位置に電磁波式発信機が存在するのかを確実に探知することができるという効果などを奏することができる。
【符号の説明】
【0151】
1 電磁波式発信機探知装置(実施例1の電磁波式発信機探知装置)
2 撮像機
4 筐体(筐体)
6 支持脚
10 可視光ビデオカメラ(第1カメラ)
12 レンズ
13 カラーフィルタ
14 イメージセンサ(第1撮像素子)
16 画像処理エンジン
18 映像出力端子
20 記録メディア
22 音声受信部
24 液晶モニター
26 ファインダー
28 カメラボディ
30 電磁波ビデオカメラ(第2カメラ)
32 レンズ
34 イメージセンサ(第2撮像素子)
36 画像処理エンジン
38 映像出力端子
44 カメラボディ
46 バンドパスフィルタ
50 PC
52 ディスプレイ
61 可視光動画取得部
62 電磁波動画取得部
63 動画変換部(画像変換部)
64 動画合成部(画像合成部)
65 所在特定部(フレーム特定部、所在特定部)
66 記憶部
67 出力部(出力部)
68 表示部(表示部)
80 アダプター
82 ケーブル
100 電磁波式発信機探知装置(実施例2の電磁波式発信機探知装置)
102 撮像機
110 ビデオカメラ(カメラ)
112 レンズ
113 フィルタ(フィルタ)
114 イメージセンサ(撮像素子)
116 画像処理エンジン
118 映像出力端子
120 記録メディア
122 音声受信部
124 カメラボディ
161 動画取得部
200 探知装置(実施例3の電磁波反射物探知装置)
【要約】
【課題】電磁波式発信機の存在および所在を確実に探知すること。
【解決手段】可視光成分の波長に受光感度を有するイメージセンサ14を備える可視光ビデオカメラ10と、盗聴器が発信する電磁波の波長に受光感度を有するイメージセンサ34を有する電磁波ビデオカメラ30と、によって、探知対象の空間を撮像する。そして、可視光ビデオカメラ10によって撮像された可視光動画データと、電磁波ビデオカメラ30で撮像した電磁波動画データをモノクロ調に変換した各モノクロ電磁波動画データと、を合成して出力する。電磁波ビデオカメラ30は、可視光ビデオカメラ10とほぼ同じポジションおよびアングルで配置する。これにより、盗聴器が設置されているか否か、および、その所在を確実に探知することができる。
【選択図】図1
図1
図2
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図13