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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-11
(45)【発行日】2024-12-19
(54)【発明の名称】送液装置
(51)【国際特許分類】
   B01J 4/00 20060101AFI20241212BHJP
   F04B 9/137 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
B01J4/00 103
F04B9/137
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020164549
(22)【出願日】2020-09-30
(65)【公開番号】P2022056678
(43)【公開日】2022-04-11
【審査請求日】2023-08-21
(73)【特許権者】
【識別番号】598140434
【氏名又は名称】株式会社コンヒラ
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】小峰 高幸
(72)【発明者】
【氏名】越前 浩
【審査官】太田 一平
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-255696(JP,A)
【文献】国際公開第2019/039079(WO,A1)
【文献】特開2015-226873(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 4/00 - 7/02
F04B 9/00 - 15/08
C02F 1/00
C02F 1/04
B01D 61/00 - 61/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理槽に収容された廃液を濃縮する廃液処理装置に適用され、複数の容器それぞれに収容された前記廃液を前記処理槽に送る送液装置であって、
前記複数の容器それぞれから前記処理槽の供給口に至る流路を構成する送液管と、
前記流路に設けられ、駆動されることによって、前記複数の容器に収容された前記廃液を前記送液管を通じて前記処理槽へ向けて送出する廃液送出手段と、
前記複数の容器から順次前記廃液が送出されるように前記廃液送出手段の駆動を制御する制御部と、を備える送液装置。
【請求項2】
前記廃液送出手段は、前記複数の容器それぞれに収容された前記廃液を前記送液管へ向けて送出する複数の第1ポンプを含み、
前記制御部は、前記複数の容器から順次前記廃液が送液されるように前記複数の第1ポンプそれぞれの駆動を制御する、請求項1に記載の送液装置。
【請求項3】
前記送液管は、前記複数の容器から延びる複数の一次送液管と、前記複数の一次送液管の流出口をまとめて一つに接続する集合接続部と、前記集合接続部から前記処理槽の前記供給口に至る二次送液管と、を含み、
前記第1ポンプは、前記複数の一次送液管それぞれに設けられている、請求項2に記載の送液装置。
【請求項4】
前記二次送液管に設けられ、前記廃液を前記処理槽へ向けて送出する第2ポンプを更に備える、請求項3に記載の送液装置。
【請求項5】
前記二次送液管に設けられ、前記廃液を前記処理槽へ向けて送出する第2ポンプを更に備え、
前記第1ポンプ及び前記第2ポンプは、圧縮空気が供給されることにより駆動する圧縮空気駆動式ポンプである、請求項に記載の送液装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1ポンプに供給される前記圧縮空気の供給路に設けられた電動弁、及び前記第2ポンプに供給される前記圧縮空気の供給路に設けられた電動弁それぞれの開閉を制御することにより前記第1ポンプ、及び前記第2ポンプの駆動を制御する、請求項5に記載の送液装置。
【請求項7】
前記二次送液管に設けられ、前記二次送液管内における前記廃液の送液状態を検知するセンサーを更に備え、
前記制御部は、前記センサーの検知結果に基づいて前記複数の第1ポンプの駆動を順次切り替える、請求項から6のいずれかに記載の送液装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記複数の第1ポンプのうちのいずれか一つが駆動中に前記センサーの出力値が所定の閾値未満になった場合に、次の第1ポンプに駆動を切り替える、請求項7に記載の送液装置。
【請求項9】
前記センサーは、前記二次送液管において前記第2ポンプよりも送液方向の上流側に設けられている、請求項7又は8に記載の送液装置。
【請求項10】
前記集合接続部は、前記一次送液管から送液される前記廃液を一時的に貯留する一次貯留タンクを兼ねる、請求項3から9のいずれかに記載の送液装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工場などから排出される廃液を処理するために収容する処理槽に他の容器に収容された廃液を送る送液装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、処理槽に収容された廃水を加熱することにより水分を蒸発させる蒸発工程と、蒸発によって廃水の液面の位置が所定水位まで低下した場合に処理槽に処理前の廃水を供給(補給)する供給工程と、が繰り返し行われて、廃水を濃縮する処理装置が知られている(特許文献1参照)。前記供給工程では、処理槽に設けられた水位センサー(水位計)によって廃水の液面の位置が検知され、その検知結果に基づいて廃水の供給が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-044752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、廃水や廃油などの廃棄対象の廃液を処理する廃液処理装置では、従来、処理前の廃液を比較的大型の廃液タンクに一時的に貯留しておき、廃液タンクから処理槽に廃液を供給している。一方、工場などで排出される廃液は、一般に、回収の容易性や、運搬の容易性などが考慮されて、前記廃液タンクのような大型のタンクに収容されず、前記廃液タンクに比べて容量の小さい小型の容器に収容されて、廃液処理場まで運搬される。廃液が貯留された小型の廃液容器は、例えば、15リットルから200リットル程度の容器であり、具体的には、一斗缶(約18リットルの缶容器)、ペール缶(18リットル又は20リットルの缶容器)、或いは、200リットルの所謂ドラム缶などである。
【0005】
工場などの廃液発生元から複数の前記廃液容器に収容された状態で廃液が廃液処理場に運ばれた場合、作業員が手作業で、又は重機によって、複数の前記廃液容器から廃液を一つずつ前記廃液タンクに移している。しかしながら、前記廃液容器が複数あるため、作業員の作業負担が大きい。また、当該作業に多大な時間を要するため、作業効率が悪い。また、大型の前記廃液タンクを設ける必要があるため、前記廃液タンクのメンテナンス等が必要となり、メンテナンス作業が増えるだけでなく、メンテナンス費用が嵩むことになる。
【0006】
本発明の目的は、大型の廃液タンクを排除することができ、また、廃液容器から前記廃液タンクに廃液を移す作業を排除することが可能であり、更には、作業員の作業負担の軽減および作業効率の向上を実現することが可能な送液装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 本発明の一実施形態に係る送液装置は、処理槽に収容された廃液を濃縮する廃液処理装置に適用され、複数の容器それぞれに収容された前記廃液を前記処理槽に送るように構成されている。前記送液装置は、前記複数の容器それぞれから前記処理槽の供給口に至る流路を構成する送液管と、前記流路に設けられ、駆動されることによって、前記複数の容器に収容された前記廃液を前記送液管を通じて前記処理槽へ向けて送出する廃液送出手段と、前記複数の容器から順次前記廃液が送出されるように前記廃液送出手段の駆動を制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
このように構成されているため、作業者は、複数の容器を送液装置にセットするだけで、廃液処理装置の処理槽への廃液供給の準備を完了させることができる。これにより、作業者の作業負担を軽減するとともに、作業効率を向上させることができる。また、予め定められた順番で廃液の供給が行われるため、全ての容器の廃水の完了を待つことなく、廃水が終了して空になった空容器から順次撤去を行うことができる。これにより、作業者の作業効率を更に向上させることができる。
【0009】
(2) 前記廃液送出手段は、前記複数の容器それぞれに収容された前記廃液を前記送液管へ向けて送出する複数の第1ポンプを含む。この場合、前記制御部は、前記複数の容器から順次前記廃液が送液されるように前記複数の第1ポンプそれぞれの駆動を制御する。
【0010】
(3) 前記送液管は、前記複数の容器から延びる複数の一次送液管と、前記複数の一次送液管の流出口をまとめて一つに接続する集合接続部と、前記集合接続部から前記処理槽の前記供給口に至る二次送液管と、を含む。この場合、前記第1ポンプは、前記複数の一次送液管それぞれに設けられている。
【0011】
(4) 本発明の送液装置は、前記二次送液管に設けられ、前記廃液を前記処理槽へ向けて送出する第2ポンプを更に備えることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、廃液をより確実に処理槽に送ることができる。
【0013】
(5) 前記第1ポンプ及び前記第2ポンプは、圧縮空気が供給されることにより駆動する圧縮空気駆動式ポンプである。
【0014】
容器に収容されている廃液には、発火性のある危険な物質を含む場合がある。このため、第1ポンプ及び第2ポンプは、電動ポンプのような高圧電力を要するものよりも、圧縮空気駆動式ポンプのように高圧電力を用いないポンプであるほうが安全である。
【0015】
(6) 前記制御部は、前記第1ポンプに供給される前記圧縮空気の供給路に設けられた電動弁、及び前記第2ポンプに供給される前記圧縮空気の供給路に設けられた電動弁それぞれの開閉を制御することにより前記第1ポンプ、及び前記第2ポンプの駆動を制御する。
【0016】
(7) 本発明の送液装置は、前記二次送液管に設けられ、前記二次送液管内における前記廃液の送液状態を検知するセンサーを更に備える。この場合、前記制御部は、前記センサーの検知結果に基づいて前記複数の第1ポンプの駆動を順次切り替える。
【0017】
この構成によれば、複数の容器それぞれにセンサーを設ける必要がないため好ましい。
【0018】
(8) 前記制御部は、前記複数の第1ポンプのうちのいずれか一つが駆動中に前記センサーの出力値が所定の閾値未満になった場合に、次の第1ポンプに駆動を切り替える。
【0019】
(9) 前記センサーは、前記二次送液管において前記第2ポンプよりも送液方向の上流側に設けられている。
【0020】
(10) 前記集合接続部は、前記一次送液管から送液される前記廃液を一時的に貯留する一次貯留タンクを兼ねるものであることが好ましい。
【0021】
なお、本発明は、上述の送液装置を備えることを特徴とする廃液処理装置として捉えることも可能である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、大型の廃液タンクを排除することができ、また、廃液容器から前記廃液タンクに廃液を移す作業を排除することが可能であり、更には、作業員の作業負担の軽減および作業効率の向上を実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明の実施形態に係る送液装置60、及び廃水処理装置10の構成を示す図である。
図2図2は、送液装置60の構成の詳細を示す図である。
図3図3は、送液装置60、及び廃水処理装置10の構成を示すブロック図である。
図4図4は、送液装置60において実行される廃水供給処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、送液装置60において実行される廃水補給処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明を具体化した一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0025】
[廃水処理装置10]
図1に示す廃水処理装置10は、工場などから排出される廃水(廃液)を処理するものであり、具体的には、前記廃水から水分を蒸発させて前記廃水を濃縮化するとともに、前記廃水から生じた気体に含まれている難分解性物質を分解浄化するものである。
【0026】
以下においては、廃水処理装置10における処理対象として、工場や事業所などで使用された後に廃棄されるものであり、不純物や有害物質などによって汚染された廃水である。具体例としては、例えば、金属の切削加工の際に潤滑及び冷却に用いられた使用済みの切削油剤が前記廃水に該当する。ここで、切削油剤は、JIS K 2241に定められるA1種の水溶性切削油剤であり、これは、水よりも密度の小さいものである。また、廃水には、前記切削油剤だけでなく、切削加工によって生じた金属粉も含まれる。なお、廃水処理装置10による処理対象は、A1種の水溶性切削油剤を含む廃水に限られず、例えば、他の水溶性切削油剤(A2種及びA3種)、或いは、JIS K 2241に定められる不水溶性切削油剤(N1~N4種)を含む廃水であってもよい。
【0027】
なお、本実施形態では、前記廃水を処理する廃水処理装置10を例示して説明するが、送液装置60が適用される廃液処理装置は、廃水処理装置10に限られず、例えば、工場などから排出される使用済みの廃油(廃液)などを処理する廃油処理装置にも送液装置60は適用可能である。
【0028】
図1に示すように、廃水処理装置10は、大別すると、廃水濃縮装置11(本発明の廃液処理装置の一例)と、分解処理装置12と、廃水濃縮装置11の動作を制御する制御盤30(図3参照)と、を有している。廃水濃縮装置11と分解処理装置12とは、廃水濃縮装置11から分解処理装置12へ蒸気を含む気体が送り込まれるように、互いに連結ダクト14によって連結されている。なお、制御盤30は、廃水濃縮装置11のみならず、後述する送液装置60の動作を制御する。
【0029】
[廃水濃縮装置11]
廃水濃縮装置11は、処理槽16に収容された廃水を加熱することにより水分を蒸発させて前記廃水を濃縮するものであり、図1に示すように、処理槽16(本発明の処理槽の一例)と、水位槽18と、第1加熱器22と、第2加熱器23と、送気ブロアー24と、排出ポンプ29と、を備えている。
【0030】
処理槽16は、処理対象である廃水を収容するためのものである。処理槽16の内部に、所定量の廃水が貯留される。廃水を濃縮処理する工程においては、廃水の水位が後述する上限水位H1(第1水位)となるように、廃水が処理槽16に供給される。つまり、前記上限水位H1は、廃水を濃縮処理する工程において廃水が処理槽16に貯留される上限水位である。
【0031】
本実施形態では、処理槽16に貯留されて濃縮処理される廃水は、例えば、工場などにおいて工業生産に水が使用され、その使用後に廃棄される汚水(所謂工業廃水)である。前記廃水は、上述したように、JIS K 2241に定められるA1種の水溶性切削油剤(以下、単に「水溶性切削油剤」と称する場合がある。)、前記金属粉、及び水を含むものである。A1種の水溶性切削油剤は、水に溶け難い疎水性物質の一例である油成分(鉱油又は脂肪油など)と、乳化剤としての界面活性剤とを含み、水に希釈されることにより乳化して乳白色のエマルション(乳濁液)となる。前記廃水における水溶性切削油剤の含有率は概ね10~20%程度であり、それ以外は主に水である。
【0032】
処理対象である廃水は、後述する送液装置60に装着される複数の容器Ck(k=1,2,・・・、n)に貯留されている。送液装置60は、配管51によって処理槽16に接続されている。制御盤30の制御部100(図3参照)によって送液装置60が制御されることにより、複数の容器Ckから処理槽16に廃水が供給される。
【0033】
配管51には、処理槽16の供給口16Aよりも上流側に、電気駆動によって開閉される電動弁51Aが設けられている。電動弁51Aが制御部100による制御によって開けられ、そして、送液装置60が制御部100によって駆動されることにより、送液装置60から配管51を通じて送り出された廃水が供給口16Aから処理槽16の内部に供給される。つまり、送液装置60から処理槽16に廃水が送液される。また、電動弁51Aが閉じられて、送液装置60の駆動が停止されると、前記廃水の供給が停止する。
【0034】
処理槽16の底部には、多数の小孔が形成されたバブリング管26が設けられている。バブリング管26は、エアー配管57によって、外部に設置された圧縮空気源としてのエアータンク37(圧縮空気供給部)と接続されている。エアー配管57に設けられた電磁弁57Aが動作されて圧縮空気がエアー配管57に供給されると、バブリング管26から無数の気泡が生じ、処理槽16内の廃水が前記気泡の上昇流によって撹拌される。なお、前記圧縮空気源は、エアコンプレッサーであってもよい。
【0035】
第1加熱器22は、処理槽16内に貯留された廃水を加熱するものであり、処理槽16に設けられている。第1加熱器22は、例えば、バーナー22Aと、バーナー22Aによる燃焼を制御する第1加熱制御部22Bとが一体に構成されたユニットタイプのものである。バーナー22Aは、処理槽16の外部に設けられており、処理槽16の内部に設けられた燃焼炉22C内で灯油又は燃焼ガスなどの燃料を燃焼させる。燃焼後の排気ガスは、燃焼炉22Cから、処理槽16に接続された排気管31に送出され、排気管31から外部へ排出される。
【0036】
燃焼炉22Cは、処理槽16の内部において高さ方向の中間位置よりも下方に設けられており、処理槽16に前記所定量の廃水が貯留された状態でその全部が液体中に配置される。第1加熱器22は、制御部100によって駆動されることにより、前記廃水を加熱する。具体的には、制御部100から駆動信号が第1加熱制御部22Bに送られると、第1加熱制御部22Bは、前記駆動信号に基づいてバーナー22Aを作動させて加熱制御する。なお、第1加熱器22は、処理槽16内の廃水を加熱するものであれば、如何なる構成のものであってもよく、バーナー22Aや燃焼炉22Cに替えて、電気ヒーターを用いたものであってもよい。
【0037】
送気ブロアー24(図1参照)は、電気駆動される送風機である。送気ブロアー24は、第1加熱器22による加熱によって処理槽16内の廃水から生じた蒸気を処理槽16から外部へ向けて送出する。送気ブロアー24は、配管25によって、連結ダクト14の一部である中間ダクト14Aに連結されている。中間ダクト14Aは、処理槽16の上面から上方へ延出するダクト部材である。送気ブロアー24から送出された空気は、配管25を通じて中間ダクト14Aの内部に送り込まれる。本実施形態では、送気ブロアー24によって送出された空気は、配管25によって、中間ダクト14Aの内部に上向きの気流を生じさせる方向へ送り込まれる。中間ダクト14Aに送り込まれた空気による気流によって、処理槽16で発生した蒸気等を含む気体が連結ダクト14へ導かれ、これにより、前記気体が処理槽16の外部に排出される。なお、連結ダクト14に入り込んだ前記気体は、連結ダクト14を通って分解処理装置12に送り込まれる。
【0038】
第2加熱器23は、連結ダクト14に設けられている。第2加熱器23は、連結ダクト14を通過する気体(蒸気及び空気)を加熱する。第2加熱器23は、例えばハロゲンヒーターなどの電気ヒーター23Aと、電気ヒーター23Aを駆動させるドライバー回路を含む第2加熱制御部23Bとが一体に構成されたユニットタイプのものである。電気ヒーター23Aは、連結ダクト14の内部に設けられており、第2加熱制御部23Bは、連結ダクト14の外部に配置されている。第2加熱器23は、制御部100によって駆動されることによって連結ダクト14内の気体を加熱する。具体的には、制御部100から駆動信号が第2加熱制御部23Bに送られると、第2加熱制御部23Bは、前記駆動信号に基づいて電気ヒーター23Aを駆動させて加熱制御する。なお、第2加熱器23は、連結ダクト14内の気体を加熱するものであれば、抵抗加熱方式、赤外線加熱方式、マイクロ波加熱方式、 誘電加熱方式、誘導加熱方式のいずれの加熱方式のものであってもよい。
【0039】
また、処理槽16には、水道源又は水タンクなどの水供給源(不図示)から延びる給水管28が接続されている。給水管28には、水の供給又は停止をするための電動弁28Aが設けられている。電動弁28Aは、例えば電動ボールバルブである。電動弁28Aの開閉が制御盤30の制御部100によって制御されることにより、必要に応じて、給水管28から処理槽16に水が供給される。
【0040】
排出ポンプ29は、電動ポンプである。排出ポンプ29は、必要に応じて、処理槽16に貯留されている廃水を処理槽16の外部に排出する。本実施形態では、排出ポンプ29は、濃縮処理後の処理槽16内の濃縮水を外部タンク36に送る用途に用いられる。処理槽16の底部に配管54が接続されており、この配管54は、外部タンク36に接続されている。排出ポンプ29は、配管54に設けられている。
【0041】
また、配管54には、排出ポンプ29よりも上流側に、電気駆動によって開閉される電動弁54Aが設けられている。電動弁54Aが制御部100による制御によって開けられ、そして、排出ポンプ29が制御部100によって駆動されることにより、処理槽16内の廃水(濃縮水)が外部タンク36に排出される。また、電動弁54Aが閉じられて、排出ポンプ29の駆動が停止されると、前記廃水の排出が停止する。
【0042】
水位槽18は、処理槽16に並ぶように併設されており、処理槽16と同様に、内部に廃水を貯留可能に形成されている。水位槽18は、大気と連通する開口やダクト等を有しておらず、密閉型に形成されている。水位槽18は、後述するように、内部に廃水を貯留させ、その廃水の水位を測定する用途に用いられる。水位槽18は、高さ方向のサイズが処理槽16と同じであり、高さ方向において処理槽16と同じ位置に設置されている。水位槽18は、このような用途に適用可能な容量であれば十分であり、本実施形態では、処理槽16に比べて容量が小さい。
【0043】
図1に示すように、処理槽16の下部と水位槽18の下部とが、両槽間で廃水が流通可能なように、連結管52によって連結されている。このように、処理槽16及び水位槽18それぞれが連結管52によって連結されているため、処理槽16に廃水が供給されると、その廃水が水位槽18に行き渡り、水位槽18における廃水の液面の位置(水位)が処理槽16内の廃水の液面の位置と同じ高さとなる。
【0044】
また、処理槽16の上部と水位槽18の上部とが連結管53で連結されており、処理槽16の上部の空気層と水位槽18の上部の空気層とが連結管52によって連通している。したがって、水位槽18は、連結管53、及び処理槽16を介して、大気連通可能である。
【0045】
水位槽18には、液面センサー34が設けられている。液面センサー34は、水位槽18に貯留されている前記廃水の液面の位置(水位)を検知するものであり、具体的には、液面へ向けて送出して液面で反射したパルス信号を受信することにより、液面の位置(水位)を検知するガイドパルス式のセンサーである。液面センサー34は、廃水の液面が、水位槽18に定められた前記上限水位H1、前記上限水位H1よりも低い補給水位H2(第2水位)、或いは、前記補給水位H2よりも更に低い下限水位H3のいずれかに達したことを検知するために用いられる。
【0046】
本実施形態では、前記上限水位H1は、例えば、処理槽16に500リットルの廃水が貯留されたときの水位に定められている。また、前記補給水位H2は、処理槽16に450リットルの廃水が貯留されたときの水位に定められている。前記補給水位H2は、処理槽16の廃水が蒸発して減少したことにより、廃水の補給が必要か否かを判定するために用いられる水位である。前記下限水位H3は、処理槽16内の濃縮水が排出されて、処理槽16内が空か否かを判定するために用いられる水位である。
【0047】
液面センサー34は、廃水の液面の位置に対応する検知信号を制御部100に送り、制御部100は、その検知信号のレベルが前記上限水位H1や前記補給水位H2、或いは前記下限水位H3に対応するレベル値であるか否かによって、液面が前記上限水位H1、又は前記補給水位H2に達したか否か、或いは、処理槽16が空であるか否かを判定する。なお、液面センサー34は、例えば、フロートスイッチタイプのものや静電容量式のものを適用することも可能である。
【0048】
[分解処理装置12]
分解処理装置12は、連結ダクト14よりも下流側に設けられている。分解処理装置12は、筒状の筐体41と、酸化触媒43と、排気ダクト44と、を備えている。
【0049】
筐体41は、鉛直方向に延びる断面円形の筒形状に形成されている。筐体41の一方側(入口側)は連結ダクト14の出口側に連結しており、連結ダクト14から案内された気体を内部に流入させる。筐体41の他方側(出口側)には排気ダクト44が連結されている。連結ダクト14から送られてきた気体(蒸気)は、筐体41の内部を通って上方へ案内されて、排気ダクト44に流入する。つまり、筐体41の内部では、下部から上方へ向かう気流が生じる。
【0050】
酸化触媒43は、筐体41の内部に設けられている。酸化触媒43は、白金を主成分とする金属触媒であり、ハニカム構造を有する所謂メタルハニカム触媒である。ハニカム構造の内部を連結ダクト14から送り込まれた蒸気を含む気体が通ることによって、その気体に含まれている難分解性の物質と酸化触媒43とが酸化反応して、当該物質が分解される。
【0051】
[送液装置60]
図2は、送液装置60の構成を示す図である。図2に示す送液装置60は、工場などで回収された廃水を廃水濃縮装置11の処理槽16に送るものである。送液装置60は、後述するように、工場などで回収された廃水を収容する複数の容器Ck(本発明の容器の一例)から廃水を吸引して、配管51を通じて処理槽16へ向けて廃水を送り出す。
【0052】
ここで、容器Ckは、金属製の容器であり、所謂ドラム缶である。容器Ckは、例えば、15リットルから200リットル未満の金属製の中小型のドラム缶や、200リットルを超える容量の大型のドラム缶などである。容器Ckは、工場では廃液の貯留用として用いられ、廃棄処理場に廃水が持ち込まれる際は運搬用として用いられる。本実施形態では、容器Ckは、200リットルの金属製のドラム缶として説明する。もちろん、容器Ckは、その材質や容量、サイズ、形状が特に限定されることはなく、処理槽16よりも小容量の容器であれば如何なる構成のものでも適用可能である。
【0053】
図2に示すように、送液装置60は、各容器Ckから処理槽16の供給口16Aに至る流路を構成する複数の供給管61および供給管62(いずれも本発明の送液管の一例)と、各容器Ck内の廃水を供給管61,62を通じて処理槽16へ向けて送出する複数の第1ポンプ63(本発明の廃液送出手段、第1ポンプの一例)と、を有する。この送液装置60は、制御盤30の制御部100によって制御されるものであり、制御盤30は、送液装置60の構成するコントローラーでもある。なお、上述したように、制御盤30は、廃水処理装置10が備えるものとして説明したが、制御盤30が備える制御部100とは異なる制御部が送液装置60に備えられていてもよい。
【0054】
送液装置60は、複数の供給管61と供給管62とを接続する中継タンク64(本発明の集合接続部、一次貯留タンクの一例)と、供給管62に設けられた第2ポンプ65(本発明の第2ポンプの一例)と、を更に備える。
【0055】
複数の供給管61それぞれの一方端は、対応する容器Ckに接続されており、複数の供給管61の他方端は、中継タンク64に接続されている。複数の容器Ckから延びる複数の供給管61は、これらの他方端にある流出口がまとめて、中継タンク64に接続されている。また、中継タンク64から廃水排出用の供給管62が延出しており、その他方端が配管51に接続されている。中継タンク64は、複数の容器Ckから供給された廃水を一時的に貯留するバッファタンクの役割を果たすものである。ここで、複数の供給管61は、本発明の複数の一次送液管の一例であり、供給管62は、本発明の二次送液管の一例である。
【0056】
後述するように、第1ポンプ63は、圧縮空気駆動式のポンプである。そのため、第1ポンプ63による単位時間当たりの廃水の供給量は電動ポンプに比べて安定していない。そのため、中継タンク64が設けられた構成であれば、中継タンク64において一時的に貯留された廃水を第2ポンプ65が安定して汲み上げて処理槽16に供給することができる。
【0057】
なお、中継タンク64は、廃水を一時的に貯留するタンクの機能を有する必要はなく、少なくとも、複数の供給管61を一つにまとめて1本の供給管62に排出する機能があればよい。
【0058】
第1ポンプ63は、複数の供給管61それぞれの流路に設けられている。例えば、第1ポンプ63は、供給管61の上流端に接続されている。また、第1ポンプ63の吸水口には、容器Ckの内部を底面へ向けて延出する吸い上げようのパイプ69が取り付けられている。複数の第1ポンプ63は、それぞれ、駆動されることによって対応する容器Ckに収容された廃水をパイプ69を通じて吸い上げて、供給管61を通じて処理槽16へ向けて廃水を送出する。
【0059】
なお、複数の供給管61それぞれには、第1ポンプ63よりも下流側に、電気駆動によって開閉される電動弁61Aが設けられている。第1ポンプ63から廃水が供給される場合、制御部100による制御によって電動弁61Aが開けられ、第1ポンプ63による廃水の供給が停止されると、電動弁61Aは閉じられる。
【0060】
第1ポンプ63は、例えば、圧縮空気が供給されることにより駆動する圧縮空気駆動式ポンプである。したがって、送液装置60には、エアータンク37から圧縮空気を各第1ポンプ63に供給するためのエアー配管66と、エアー配管66から分岐して各第1ポンプに接続される分岐配管67とが備えられている。分岐配管67それぞれには、分岐配管67における空気の流路を導通又は遮断する電磁弁67Aが設けられている。電磁弁67Aは、制御部100によってその動作が制御される。つまり、制御部100によって電磁弁67Aの開閉が制御される。電磁弁67Aが開位置にある場合、エアー配管66及び分岐配管67を通って圧縮空気が第1ポンプに供給される。これにより、第1ポンプ63が駆動して、容器Ck内の廃水を吸い上げて供給することが可能となる。なお、容器Ck内の廃水が空になると、電磁弁67Aは元の閉位置に戻されて、分岐配管67が遮断される。
【0061】
なお、第1ポンプ63として、電動ポンプを適用することも可能であるが、本実施形態では、圧縮空気駆動式ポンプが好適である。容器Ckに収容されている廃水には、発火性のある危険な物質を含む場合がある。このため、第1ポンプ63は、電動ポンプのような高圧電力を要するものよりも、圧縮空気駆動式ポンプのように高圧電力を用いないポンプであるほうが安全という観点から好ましい。
【0062】
また、送液装置60は、供給管62に設けられたセンサー71(本発明のセンサーの一例)と、フィルター73と、を更に備える。
【0063】
センサー71は、供給管62において、中継タンク64よりも下流側に設けられている。また、フィルター73は、供給管62において、センサー71よりも下流側であって、第2ポンプ65よりも上流側に設けられている。
【0064】
センサー71は、供給管62の内部における廃水の供給状態を検知するものであり、例えば、圧力センサーである。送液装置60によって廃水が供給管62内を処理槽16を向けて流れている場合、センサー71は、廃水の流量や廃水による水圧などに応じた所定の閾値以上の圧力を検知する。一方、容器Ckが空になった状態で当該容器Ckからの供給動作が行われている場合、供給管62内に廃水が流れていない状態では、センサー71は、前記閾値未満の圧力を検知する。センサー71による検知信号は制御部100に送られて、制御部100による所定の判定処理に用いられる。前記判定処理は、例えば、容器Ck内に廃液があるか否かの判定処理であり、或いは、廃水の供給によって容器Ck内の廃水が空になったか否かの判定処理である。
【0065】
なお、センサー71は、前記判定処理が可能であれば、圧力センサーに限られない。例えば、センサー71は、供給管62内の廃水の流速を検知するもの、或いは、廃水の有無を検知するものであってもよい。或いは、容器Ck内の廃液の水位を直接的に検知する水位センサーであってもよい。
【0066】
第2ポンプ65は、第1ポンプ63によって送り出された廃水を、供給管62を通じて更に下流側へ向けて送り出す。具体的には、第2ポンプ65は、中継タンク64内の廃水を供給管62及び配管51を通じて処理槽16へ向けて送出する。第2ポンプ65は、例えば、電動ポンプであり、制御部100からの駆動信号(電気信号)を受けることによって駆動制御される。
【0067】
[制御盤30]
制御盤30は、送液装置60における第1ポンプ63及び第2ポンプ65等による廃水の供給動作の制御、第1加熱器22による処理槽16内の廃水の加熱の制御、第2加熱器23による気体(蒸気又は空気)の加熱の制御、排出ポンプ29等により濃縮処理後の濃縮水を排出する動作の制御、などを行う。
【0068】
図3に示すように、制御盤30は、その内部に、シーケンサーなどの制御部100や、HDD或いはフラッシュメモリなどの記憶部105などを備えている。また、制御盤30の筐体には、液晶モニター106や、操作部107などが設けられている。
【0069】
制御部100に、記憶部105、液晶モニター106、操作部107、第1加熱制御部22B、第2加熱制御部23B、各種の電動弁28A,51A,54A、第1ポンプ63を動作させるための電磁弁67A、各種のセンサー34,71、排出ポンプ29や第2ポンプ65などの電動ポンプなどが接続されており、互いに信号やデータの相互通信が可能に構成されている。液晶モニター106には、液面センサー34の出力に基づいて、処理槽16の廃水の水位が表示される。
【0070】
制御部100は、CPU101、ROM102、RAM103、EEPROM104(登録商標)等を有するコンピューターであり、廃水処理装置10を統括的に制御する。ROM102に制御プログラムが記憶されており、CPU101が前記制御プログラムを読み出した実行することによって、廃水濃縮装置11における濃縮処理や、送液装置60における廃水供給処理又は廃水補給処理が実行される。
【0071】
記憶部105には、後述の廃水供給処理又は廃水補給処理が行される際に参照される設定データが格納されている。前記設定データには、複数の容器Ckから選定されたいずれか一つの容器が廃水の送液対象として設定されている。ここで、前記送液対象とは、廃水を供給する供給元となる容器Ckのことである。例えば、容器C1が送液対象である場合、容器C1に対応する第1ポンプ63を駆動させるための電磁弁67Aの識別コードが前記設定データに含まれる。また、各容器Ck(容器C1~Cn)それぞれに関する順位(順番)を示す順位情報も前記設定データに含まれている。以下、一番目の容器C1を第1容器C1と称し、二番目の容器C2を第2容器C2と称し、n番目の容器を第n容器Cnと称する。なお、本実施形態では、前記設定データが記憶部105に格納されているものとして説明するが、例えば、前記設定データに含まれる情報がCPU101のキャッシュメモリ或いはレジスタに格納されていてもよい。
【0072】
ところで、処理槽16に供給する廃水を一時的に貯留しておく従来のような大型の廃水貯留タンクは、廃水処理装置10や廃水濃縮装置11には設けられていない。本実施形態では、工場などから持ち運ばれた複数の容器Ckから廃水を直接に汲み上げて、送液装置60が廃水濃縮装置11の処理槽16に汲み上げた廃水を供給するように構成されている。具体的には、制御部100によって、複数の容器Ckから廃水が順次送出されるように第1ポンプ63及び第2ポンプ65などが駆動制御される。
【0073】
このため、複数の容器Ck内の廃水を別の貯留タンクに移し替えるという負担の大きい煩雑な作業を行う必要がなくなり、また、作業員による作業の効率を向上させることができる。
【0074】
[廃水供給処理]
以下、図4のフローチャートを用いて、送液装置60において制御部100によって実行される廃水供給処理の手順の一例について説明する。ここで、図4は、廃水濃縮装置11の処理槽16が空の状態であり、濃縮処理の準備のために複数の容器Ckから送液装置60によって廃水が順次供給される廃水供給処理の手順の一例を示すフローチャートである。図中のS11、S12、・・・は処理手順(ステップ)の番号を表している。各ステップにおける処理は、制御部100によって、より詳細にはCPU101がROM102内の制御プログラムを実行することによって行われる。
【0075】
以下においては、説明の便宜上、廃水濃縮装置11において、処理槽16及び水位槽18それぞれが空の状態であり、電動弁51A,54A,61Aが閉状態であり、電磁弁67Aが閉位置にあるものとする。また、送液装置60において、第1ポンプ63、及び第2ポンプ65が停止しており、各容器Ckに廃水が十分に収容された状態であるものとする。
【0076】
ステップS11では、制御部100は、廃水供給指示が入力したか否かを判定する。例えば、送液装置60によって廃液供給が可能な状態となるように複数の容器Ckが送液装置60にセットされ、その後、作業員が制御盤30の操作部107から廃液供給指示を入力した場合に、その支持信号に基づいて、制御部100は、廃液供給指示が入力されたと判定する。
【0077】
次のステップS12では、制御部100は、液面センサー34から出力される検知信号に基づいて、前記検知信号が示す水位が前記下限水位H3未満であるか否かを判定する。ここで、前記下限水位H3未満と判定されると、処理槽16内が空であるとみなされ、処理槽16への廃水の供給が可能な状態と判定される。
【0078】
次のステップS13では、制御部100は、一番最初に廃水を汲み上げて供給する送液対象の容器Ckを順番が一番の第1容器C1に設定し、その設定情報を記憶部105の設定データに記憶する。その後、制御部100は、電動弁51Aを開状態となるように動作させ、更に第2ポンプ65を駆動させる(S14)。
【0079】
第2ポンプ65の駆動後に、制御部100は、ステップS13で設定された第1容器C1からの廃水の供給を開始し、そして、第1容器C1が空になるまで第1ポンプ63を駆動し、第1容器C1が空になると第1ポンプ63を停止させる(S15~S20)。
【0080】
まず、制御部100は、第1容器C1に対応する電動弁61Aを開状態にすることにより、第1容器C1に対応する供給管61の供給路を開通させる(S15)。その後、制御部100は、第1容器C1に対応する第1ポンプ63を駆動させる(S16)。具体的には、制御部100は、第1ポンプ63を駆動させるために電磁弁67Aを閉位置から開位置に切り替えて、第1ポンプ63に圧縮空気を供給する。
【0081】
続いて、ステップS17において、制御部100は、第1容器C1に実際に廃水が入っているか否かを判定する。かかる判定は、センサー71から出力される検知信号に基づいて行われる。例えば、廃水供給処理の開始直後の供給管62には廃水が存在していないため、前記検知信号が前記閾値よりも低く、廃水の供給動作が開始されて供給管62に廃水が満たされると、前記検知信号は前記閾値よりも高くなる。このときの検知信号の変化、つまり、前記検知信号が前記閾値よりも低いLOWレベルから前記閾値よりも高いHIGHレベルに変化した場合に、制御部100は、第1容器C1に廃水が収容されていると判定する。一方、廃水の供給動作が開始されても、前記検知信号が前記LOWレベルのままを維持している場合は、制御部100は、第1容器C1に廃水が収容されていない、つまり、第1容器C1は空であると判定する。
【0082】
ステップS17において、第1容器C1に廃水があると判定されると、処理はステップS18に進む。一方、第1容器C1に最初から廃水が収容されていないと判定されると、処理はステップS21に進む。
【0083】
ステップS18では、制御部100は、廃水の供給動作が継続されたことによって第1容器C1が空になったか否かを判定する。かかる判定は、センサー71から出力される検知信号に基づいて行われる。例えば、センサー71の検知信号が前記HIGHレベルから前記LOWレベルに変化した場合に、制御部100は、第1容器1の廃水がすべて送液されたと判定し、第1容器C1が空であると判定する。一方、前記検知信号が前記HIGHレベルのままを維持している場合は、制御部100は、第1容器C1に廃水がまだ残っていると判定し、第1ポンプ63による廃水の供給を継続する。
【0084】
ステップS18において、第1容器C1が空になったと判定されると、制御部100は、第1容器C1に対応する第1ポンプ63を停止させる(S19)。具体的には、制御部100は、第1ポンプ63を停止させるために電磁弁67Aを開位置から閉位置に切り替えて、第1ポンプ63に供給されている圧縮空気を停止する。その後、第1容器C1に対応する電動弁61Aを閉状態にすることにより、第1容器C1に対応する供給管61の供給路を遮断する(S20)。第1容器C1が空となり、第1ポンプ63の駆動が停止されると、処理はステップS21に進む。
【0085】
ステップS21では、制御部100は、液面センサー34から出力される検知信号に基づいて、前記検知信号が示す水位が前記上限水位H1以上であるか否かを判定する。ここで、前記上限水位H1以上と判定されると、処理槽16内が廃水で満たされたとみなされる。つまり、処理槽16が廃水で満杯であると判定される。
【0086】
ステップS21において、処理槽16が廃水で満杯であると判定された場合、処理はステップS24に進み、記憶部105の前記設定データを参照して、現在の送液対象である容器Ckの識別コードにフラグ情報を付加する。その後、制御部100は、第2ポンプ65を停止させて(S25)、一連の廃水供給処理が終了する。これにより、処理槽16の廃水を濃縮する濃縮処理の準備が完了する。
【0087】
一方、処理槽16の廃水が満杯ではない、つまり、廃水の水位が前記上限水位H1未満であると判定された場合は、処理はステップS22に進み、制御部100は、まだ送液していない容器Ckがあるか否かを判定する。かかる判定は、例えば、前記設定データに含まれる前記順位情報に基づいて行われる。例えば、第1容器C1の廃水の供給が終了した場合は、制御部100は、前記順位情報を参照することにより、次の順番の第2容器C2の有無を把握することができ、これにより、次の未送液の容器の有無を判定することができる。ステップS22において、未送液の容器が無いと判定されると、すべての容器Ckの廃水の送液が終了したため、制御部100は、第2ポンプ65を停止させて(S25)、一連の廃水供給処理が終了する。この場合、制御部100は、全ての容器Ckの廃水供給処理が終了したことを示すメッセージまたはインジケータを液晶モニター106に表示出力するとともに、処理槽16がまだ満杯ではないことを示すメッセージまたはインジケータを液晶モニター106に表示出力する。
【0088】
ステップS22において、まだ送液していない容器Ckがあると判定されると、制御部100は、前記設定データの前記順位情報を参照して、次順の容器Ck+1を送液対象に設定し、その設定情報を記憶部105の設定データに記憶する(S23)。その後、処理は、ステップS15に戻り、制御部100は、ステップS23で設定された容器Ck+1に対して、ステップS15以降の処理を繰り返し実行する。
【0089】
[廃水補給処理]
以下、図5のフローチャートを用いて、送液装置60において制御部100によって実行される廃水補給処理の手順の一例について説明する。ここで、図5は、廃水濃縮装置11の処理槽16の廃水に対して濃縮処理が行われている過程で、処理槽16内の廃水の水位が前記補給水位H2未満になった場合に行われる廃水補給処理の手順の一例を示すフローチャートである。図5において、図4に示す処理と同じ処理については、同じステップ番号を付し示すことにより、その説明を省略する。
【0090】
以下においては、説明の便宜上、廃水濃縮装置11において、処理槽16及び水位槽18の廃水の水位が前記補給水位H2であり、電動弁51A,54A,61Aが閉状態であり、電磁弁67Aが閉位置にあるものとする。また、送液装置60において、第1ポンプ63、及び第2ポンプ65が停止しており、各容器Ckのうち、第1容器C1が空であり、順位が二番目以降の容器C2~Cnに廃水が収容された状態であるものとする。
【0091】
ステップS31では、制御部100は、液面センサー34から出力される検知信号に基づいて、処理槽16内の廃水の水位が前記補給水位H2未満になったか否かを判定する。
【0092】
その後、ステップS32では、制御部100は、未送液の容器Ckがある否かを判定する。かかる判定は、記憶部105の前記設定データを参照して、ステップS24で前記フラグ情報が付加された前記識別コードがあるか否かによって判定する。前記フラグ情報が付加されている場合、そのフラグ情報が付加された識別コードに対応する容器Ckが未送液の容器である。その後、当該識別コードの容器Ckを、廃液を補給する場合の送液対象に設定する(S33)。その後、ステップS14以降の処理が実行される。
【0093】
なお、ステップS32において、未送液の容器Ckが無いと判定された場合は、補給すべき廃水が無いため、廃水補給処理が行われずに、一連の廃水補給処理が終了する。
【0094】
このように、送液装置60において前記廃水供給処理(図4参照)、及び前記廃水補給処理(図5参照)が行われるため、作業者は、持ち込んだ複数の容器Ckを送液装置60にセットするだけで、処理槽16への廃水供給の準備を完了させることができる。これにより、作業負担を軽減するとともに、作業効率を向上させることができる。また、予め定められた順番で廃水の供給が行われるため、全ての容器Ckの廃水の供給の完了を待つことなく、廃水が終了して空になったものから空容器の撤去を行うことができる。
【0095】
なお、上述した実施形態では、本発明の送液装置として、廃水処理装置10又は廃水濃縮装置11に適用される送液装置60を例示するが、本発明はこの構成に限られない。本発明は、送液装置60を備える廃水処理装置10、又は、送液装置60を備える廃水濃縮装置として捉えることも可能である。
【符号の説明】
【0096】
10 :廃水処理装置、 11 :廃水濃縮装置、 12 :分解処理装置、
14 :連結ダクト、 16 :処理槽、 16A :供給口、
18 :水位槽、 22 :第1加熱器、 23 :第2加熱器、
34 :液面センサー、 36 :外部タンク、 37 :エアータンク、
51 :配管、 60 :送液装置 63 :第1ポンプ、
64 :中継タンク、 65 :第2ポンプ、 66 :エアー配管、
67 :分岐配管、 67A :電磁弁、 71 :センサー、
73 :フィルター、 100 :制御部
図1
図2
図3
図4
図5