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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-11
(45)【発行日】2024-12-19
(54)【発明の名称】振動減衰装置
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/03 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
F16F15/03 G
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2024061694
(22)【出願日】2024-04-05
【審査請求日】2024-04-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524132977
【氏名又は名称】ティーワイネット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004174
【氏名又は名称】弁理士法人エピファニー特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】南田 純
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-314608(JP,A)
【文献】中国実用新案第203463241(CN,U)
【文献】実開昭59-068838(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 15/00-15/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に沿って相対的に往復移動可能に構成された内側部材及び外側部材を備える振動減衰装置であって、
前記内側部材は、
第1方向に直交する第2方向において前記外側部材の内側に配置されており、
磁性体で構成された端部部材を備え、
前記端部部材は、
第1方向に隔離して配置された第1端部及び第2端部から構成され、
前記外側部材は、
平衡状態において、前記端部部材を吸着するように構成された磁気デバイスを備え、
前記磁気デバイスは、
一対の磁極が第1方向に沿って配置され、
前記一対の磁極のそれぞれは、
平衡状態において、前記第1端部及び前記第2端部と第2方向に対向して配置され、
前記第1端部及び前記第2端部は、
平衡状態において、第2方向に対向する前記磁気デバイスの磁極に吸着するように構成されており、
前記端部部材と前記磁気デバイスとは、
当接しないように第2方向への移動が制限されている、
振動減衰装置。
【請求項2】
請求項1に記載の振動減衰装置であって、
前記磁気デバイスは、
複数の磁気デバイスから構成されており、
前記複数の磁気デバイスは、
前記内側部材を挟んで第2方向において対向する位置に配置されている少なくとも一対の磁気デバイスを含む、
振動減衰装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の振動減衰装置であって、
前記端部部材は、
永久磁石により構成されており、
前記磁気デバイスの磁極は、
前記端部部材と極性が反対になるように設定されている、
振動減衰装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の振動減衰装置であって、
前記端部部材は、
軟磁性材料により構成されている、
振動減衰装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の振動減衰装置であって、
前記端部部材は、
前記内側部材の中心軸を含む断面において、第2方向の先端が中心軸から外側に向かうに従い第1方向の幅が狭くなる構造を有する、
振動減衰装置。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の振動減衰装置であって、
前記内側部材と前記外側部材との第1方向への相対移動に応じて、移動方向と反対向きに荷重を付加する弾性部材を更に備える、
振動減衰装置。
【請求項7】
請求項6に記載の振動減衰装置であって、
前記弾性部材は、
前記内側部材及び前記外側部材の少なくとも一方に連結されている、
振動減衰装置。
【請求項8】
請求項1に記載の振動減衰装置であって、
前記磁気デバイスは、
前記一対の磁極が第1方向に移動可能に構成された電磁石である、
振動減衰装置。
【請求項9】
第1方向に沿って相対的に往復移動可能に構成された内側部材及び外側部材を備える振動減衰装置であって、
前記内側部材は、
第1方向に直交する第2方向において前記外側部材の内側に配置されており、
前記外側部材の磁極に対し第2方向において対向して配置され、磁性体で構成された端部部材を備え、
前記外側部材は、
平衡状態において、前記端部部材を吸着するように構成された磁気デバイスを備え、
前記端部部材と前記磁気デバイスとは、
当接しないように第2方向への移動が制限されており、
前記磁気デバイスは、
通電する部分を変動させることにより一対の磁極が第1方向に移動可能に構成された電磁石である、
振動減衰装置。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の振動減衰装置であって、
前記磁気デバイスは、
中心軸が第1方向に沿うように並べられた複数のコイルを備え、
前記複数のコイルのうち通電する一部のコイルを変動させることにより磁極が第1方向に移動する、
振動減衰装置。
【請求項11】
第1方向に沿って相対的に往復移動可能に構成された内側部材及び外側部材を備える振動減衰装置であって、
前記内側部材は、
第1方向に直交する第2方向において前記外側部材の内側に配置されており、
前記外側部材の磁極に対し第2方向において対向して配置され、磁性体で構成された端部部材を備え、
前記外側部材は、
平衡状態において、前記端部部材を吸着するように構成された磁気デバイスを備え、
前記端部部材と前記磁気デバイスとは、
当接しないように第2方向への移動が制限されており、
前記端部部材は、
前記内側部材の中心軸を含む断面において、第2方向の先端が中心軸から外側に向かうに従い第1方向の幅が狭くなる構造を有する、
振動減衰装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁力を利用した振動減衰装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、「ベースと、上環状永久磁石と、下環状永久磁石と、連接棒と、中心永久磁石とを含み、前記ベースの上表面には金属導体スリーブが連結されており、前記金属導体スリーブは中空の金属円筒であり、前記ベースは金属導体スリーブの下端面を密閉しており、前記上環状永久磁石と下環状永久磁石は形状が同じで、いずれも中空の円環であり、前記上環状永久磁石及び下環状永久磁石は、それぞれ上環状ブッシュ及び下環状ブッシュ内に嵌め込まれており、上環状ブッシュ及び下環状ブッシュは、それぞれ前記金属導体スリーブの内壁の上端及び下端に連結され、前記上環状永久磁石、下環状永久磁石及び前記金属導体スリーブを軸方向において同心にするとともに、前記上環状永久磁石と下環状永久磁石の対向する面の磁極の極性を反対にしており、前記連接棒の軸線は前記金属導体スリーブの中軸線と同軸であり、前記中心永久磁石は中空の円環で、連接棒を同心に被せて固接されており、前記連接棒の上端は前記上環状永久磁石の中心孔を貫通し、前記中心永久磁石は前記上環状永久磁石と下環状永久磁石の間に位置して、前記連接棒とともに上環状永久磁石と下環状永久磁石の間を軸方向に運動することができ、中心永久磁石と上環状永久磁石の対向する面の磁極の極性は反対であり、中心永久磁石と下環状永久磁石の対向する面の磁極の極性は反対であることを特徴とする」一自由度磁力防振装置が知られている(例えば、引用文献1を参照)。
【0003】
引用文献1に開示された一自由度磁力防振装置は、「エネルギー供給を必要とせず、かつ信頼性が高く、静磁力と動磁力を生成することができる。静磁力は、永久磁石の異極が相互に引きつけ合うことにより実現され、動磁力は金属導体スリーブと永久磁石の相対運動により生じる渦電流ダンパにより実現される。静磁力の大きさは変位にのみ関係し、本発明の装置が静止している時も磁力は存在するので、一種の剛性力と見なすことができ、渦電流ダンパは相対運動速度にのみ関係し、磁力機構に運動が発生した時だけ存在するので、一種の粘性減衰力と見なすことができる」ものである。また、この一自由度磁力防振装置は、「剛性コイルバネや空気バネなどの受動防振構造と並列することで、受動防振システムの高周波数減衰性能に影響を与えることなく、固有周波数における振幅値の拡大を小さくし、元のシステムの受動防振性能を効果的に改善することができる」ものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6317822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている一自由度磁力防振装置は、「前記上環状永久磁石と下環状永久磁石の対向する面の磁極の極性を反対にし」、「前記中心永久磁石は前記上環状永久磁石と下環状永久磁石の間に位置して、前記連接棒とともに上環状永久磁石と下環状永久磁石の間を軸方向に運動する」ものであるから、中心永久磁石は、平衡状態から上下の何れかの方向に移動する際に延長線上に上環状永久磁石又は下環状永久磁石が存在するため、移動量が制限される、という課題があった。
【0006】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、磁力を利用した振動減衰装置において、磁力を作用させる部材の移動量の制限を抑えた振動減衰装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る振動減衰装置は、第1方向に沿って相対的に往復移動可能に構成された内側部材及び外側部材を備える振動減衰装置であって、前記内側部材は、第1方向に直交する第2方向において前記外側部材の内側に配置されており、前記外側部材の磁極に対し第2方向において対向して配置され、磁性体で構成された端部部材を備え、前記外側部材は、平衡状態において、前記端部部材を吸着するように構成された磁気デバイスを備え、前記端部部材と前記磁気デバイスとは、当接しないように第2方向への移動が制限されている、ものである。
【発明の効果】
【0008】
上記の発明によれば、内側部材と外側部材との間に吸着する方向の磁力が発生し、内側部材及び外側部材は、それぞれの移動経路が交差しないため、お互いに移動を制限することがない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る振動減衰装置100の主な構成の概略図である。
図2図1の第1端部13及び磁気デバイス21の磁極21aの拡大図である。
図3図1に示した振動減衰装置100の内側部材10がz方向に移動した状態を示す概略図である。
図4】実施の形態1に係る振動減衰装置100の内側部材10の移動距離と発生する磁力との関係を示す図である。
図5】実施の形態1に係る振動減衰装置100の変形例である振動減衰装置100Aの主な構成の概略図である。
図6図5に示す変形例に係る振動減衰装置100Aの内側部材10の移動距離と発生する磁力との関係を示す図である。
図7】実施の形態1に係る振動減衰装置100及び100Aを平面視した(z方向から見た)状態の概略図の一例である。
図8】実施の形態1に係る振動減衰装置100及び100Aを平面視した(z方向から見た)状態の概略図の他の例である。
図9】実施の形態1に係る振動減衰装置100の変形例である振動減衰装置100Bの主な構成の概略図である。
図10】実施の形態1に係る振動減衰装置100の変形例である振動減衰装置100Cの主な構成の概略図である。
図11】実施の形態2に係る振動減衰装置200の主な構成の概略図である。
図12図1に示す振動減衰装置100における内側部材10の移動距離と発生する荷重との関係及び弾性部材30の伸縮量と発生する荷重との関係を示す図である。
図13】実施の形態2に係る振動減衰装置200の内側部材10の移動距離と発生する磁力との関係を示す図である。
図14図11に示す振動減衰装置200における振動減衰装置100を図5に示す振動減衰装置100Aに置換した場合の内側部材10の移動距離と発生する磁力との関係を示す図である。
図15】実施の形態3に係る振動減衰装置300の主な構成の概略図である。
図16図15に示す状態の振動減衰装置300から内側部材10がz2方向に移動した状態の概略図である。
図17】実施の形態1に係る振動減衰装置100から第2端部12を取り除いた変形例である振動減衰装置100Dの主な構成の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の振動減衰装置の好ましい実施の形態を、図面を参照して詳しく説明する。なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0011】
実施の形態1.
<振動減衰装置100>
図1は、実施の形態1に係る振動減衰装置100の主な構成の概略図である。図1に示す振動減衰装置100は、z方向に移動可能な内側部材10と、固定された外側部材20を備えるものである。振動減衰装置100は、例えば、内側部材10が他の構造物に連結されており、構造物のz方向の変位を磁力により抑えるように作用するものである。振動減衰装置100は、例えば、自動車のダンパ、建物の免震装置又は機械の制振装置等の振動を減衰させる目的で利用されるものである。なお、実施の形態1においては、内側部材10がz方向に移動する例を説明するが、振動減衰装置100は、z方向において、内側部材10と外側部材20とが相対移動できる構造であればよい。
【0012】
振動減衰装置100は、例えば外側部材20が筒状に形成されている。外側部材20は、z方向に直交する方向から内側部材10を包囲している。外側部材20は、磁気デバイス21を備える。磁気デバイス21は、z方向に平行な断面において、一対の磁極21a及び21bがz方向に沿って配置されている。図1においては、磁気デバイス21A及び磁気デバイス21Bは、S極がz1方向の端に、N極がz2方向の端に位置するように配置されている。なお、磁気デバイス21A及び磁気デバイス21Bは、一体の磁気デバイスでもよいし、それぞれ別体の磁気デバイスでもよい。なお、z方向を第1方向、z方向に直交する方向を第2方向と呼ぶ場合がある。
【0013】
内側部材10は、z方向に直交する方向(xy方向)において外側部材20の内側に配置されている。内側部材10は、z方向に隔離されて配置された第1端部13及び第2端部12を備える。第1端部13及び第2端部12は、それぞれ磁性体で構成されている。図1においては、第1端部13及び第2端部12は、それぞれ磁石で構成されているが、例えば鉄、ニッケルなどの軟磁性体であってもよい。つまり、第1端部13及び第2端部12は、それ自身は磁力を有しない又はほとんど有しないが、磁気デバイス21に吸着するものであってもよい。
【0014】
第1端部13及び第2端部12は、z方向に連結部材11によって連結されている。連結部材11は、第1端部13と第2端部12との距離を一定に保つための部材である。連結部材11は、例えば樹脂材料などの非磁性体でもよいし、磁性体を含む金属であってもよい。また、内側部材10は、z方向の端部において第1端部13及び第2端部12をそれぞれ支持する構造体を備え、構造体同士を連結部材11でz方向に連結してもよい。また、第1端部13及び第2端部12をそれぞれ支持する構造体は、連結部材11と一体に形成された部材でもよいし、別体の部材をボルトなどの部材や溶接などの手段によって接続されていてもよい。なお、第1端部13と第2端部12とをまとめて端部部材と称する場合がある。つまり、第1端部13及び第2端部12は、端部部材を構成している。
【0015】
第1端部13及び第2端部12は、図1に示す平衡状態において、磁気デバイス21の磁極21a又は21bに吸着するように構成されている。第1端部13の先端13aは、磁気デバイス21の磁極21aに吸着するように構成されており、図1に示す例においてはN極となっている。第2端部12の先端12aは、磁気デバイス21の磁極21bに吸着するように構成されており、図1に示す例においてはS極となっている。
【0016】
図1において、内側部材10及び外側部材20のそれぞれを支持する構造は図示されていないが、振動減衰装置100は、内側部材10及び外側部材20をそれぞれ支持している構造が設けられていてもよい。または、内側部材10が外側部材20に吸着されるように構成されているため、第1端部13の先端13a及び第2端部12の先端12aが磁極21a及び磁極21bに当接しないように、内側部材10及び外側部材20の間に所定の距離を保てるようにスペーサ又はベアリングなどが設けられていてもよい。また、内側部材10及び外側部材20のz方向に直交する方向の距離は、動的に制御できるように構成されていてもよい。端部部材(第1端部13及び第2端部12)と磁気デバイス21とのz方向に直交する方向の距離を動的に制御することにより、吸着する磁力を制御できる。これにより、振動減衰装置100の減衰力を制御できる。
【0017】
図2は、図1の第1端部13及び磁気デバイス21の磁極21aの拡大図である。図2(a)においては、第1端部13に発生する磁力を模式的に説明している。図2(b)は、磁気デバイス21の磁力線の分布を模式的に表したものである。図1及び図2を用いて振動減衰装置100の作動原理について説明する。
【0018】
内側部材10の第1端部13の先端13aは、磁気デバイス21の磁極21aとx方向において対向するように位置している。第1端部13の先端13aは、N極であり、図2(b)に示す磁気デバイス21の磁極21aから生じる磁力線に沿って、吸着する方向の磁力を受ける。そのため、図2(a)に示すように、先端13aの端面のz2側の端は、磁力faが生じ、先端13aの端面のz1側の端は、磁力fbが生じる。それらの磁力fa及びfbを分解すると、x方向の分力xa,xb、z方向の分力za,zbに分解される。図2(a)においては、振動減衰装置100の平衡状態(初期位置)を示しており、z方向の分力zaと分力zbとが釣り合っている。また、x方向の分力xa及びxbは、図1に示すx2側に位置する第1端部13の先端13aと磁気デバイス21Aの磁極21aとの間に生じる磁力と釣り合う。
【0019】
内側部材10の第1端部13の先端13a及び第2端部12の先端12aは、それぞれ図2(a)に示すような分力が生じているため、z方向及びz方向に直交する方向(図2においてはx方向)において磁力が釣り合い、静止している。振動減衰装置100がこのように静止した状態を平衡状態と呼ぶ。内側部材10と外側部材20との間に生じる磁力が、理想的に釣り合っていれば、内側部材10及び外側部材20とは、支持構造が無くとも平衡状態を維持できるが、振動減衰装置100は、外部の構造と接続され、外力を受けるため、少なくとも内側部材10及び外側部材20がz方向に直交する方向に移動するのを制限するような構造を有している。内側部材10及び外側部材20は、ベアリングなどの支持部材によって支持されて、z方向に直交する方向への移動が制限されていてもよいし、一方が固定されていてもよい。いずれにしても、内側部材10及び外側部材20は、少なくともz方向に、互いに相対的に移動できるように構成されている。
【0020】
なお、図2(a)は、平衡状態として、内側部材10の第1端部13の先端13aのz方向の幅の中心と、外側部材20の磁気デバイス21Bの先端面とが、z方向の位置が一致している。しかし、例えば内側部材10が重力などの外力の影響を受ける場合、平衡状態は、重力方向にずれる。このとき、内側部材10は、重力方向に受ける荷重と第1端部13及び第2端部12に生じる磁力とがz方向において釣り合っており、この位置が平衡状態となる。
【0021】
図3は、図1に示した振動減衰装置100の内側部材10がz方向に移動した状態を示す概略図である。図3(a)は、内側部材10がz1方向に移動した状態を示しており、図3(b)は、内側部材がz2方向に移動した状態を示している。内側部材10は、第1端部13及び第2端部12が磁気デバイス21の磁極21a、21bに吸着するように構成されている。そのため、内側部材10は、z1方向又はz2方向の何れに移動しても、移動した方向と反対側に磁力を受ける。つまり、内側部材10は、平衡状態からz1方向に移動したときはz2方向に磁力を受け、平衡状態からz2方向に移動したときにはz1方向に磁力を受ける。このように、振動減衰装置100は、内側部材10が動いた方向とは逆向きに磁力が生じるため、例えば内側部材10に接続された構造に変位が生じた場合に動いた方向とは逆向きに磁力が生じ、内側部材10を平衡状態に戻そうとする力が生じる。よって、振動減衰装置100は、内側部材10に接続された構造に生じた振動を減衰する。
【0022】
図4は、実施の形態1に係る振動減衰装置100の内側部材10の移動距離と発生する磁力との関係を示す図である。なお、移動距離は、内側部材10と外側部材20とのz方向における相対的な距離の変動を示すものであり、移動距離が大きいということは、磁気デバイス21A及び21Bの磁極21a及び21bと第1端部13の先端13a及び第2端部12の先端12aとがz方向に離れた状態であることを意味する。また、振動減衰装置100の平衡状態は、移動距離0として示している。また、図4における荷重は、絶対値を示している。つまり、図1及び図3において、z1方向に内側部材10が移動した場合は、移動距離に応じてz2方向に図4に示す荷重が働き、z2方向に内側部材10が移動した場合は、移動距離に応じてz1方向に図4に示す荷重が働くことになる。
【0023】
磁力は、磁力が働く物体の距離の2乗に反比例する。したがって、図4に示すように、内側部材10が外側部材20に対しz方向に移動した場合、移動距離が大きいほど内側部材10を平衡状態に引き戻そうとする力は低くなる。
【0024】
図5は、実施の形態1に係る振動減衰装置100の変形例である振動減衰装置100Aの主な構成の概略図である。図5に示すように、振動減衰装置100Aの内側部材10の第1端部13の先端13a及び第2端部12の先端12aは、z方向に直交する方向において外側に向かうに従い、幅が狭くなるように構成されている。図5(a)に示すように、第1端部13の先端13a及び第2端部12の先端12aは、エッジ部13c、12cが尖った形状に形成されていてもよいし、図5(b)に示すようにエッジ部13c、12cに平坦面が残っていてもよい。つまり、内側部材10の第1端部13の先端13a及び第2端部12の先端12aは、先端に向かうに従いz方向の幅が小さくなるような傾斜部13d、12dを備えている台形状を有していてもよい。さらには、図5(c)に示すように、先端13a及び先端12aは、段差が形成された構造であってもよい。このときエッジ部13cに対し内側に位置する端面13eは、複数設けられていてもよい。つまり、先端13a及び先端12aは、階段状に形成されていてもよい。
【0025】
図6は、図5に示す変形例に係る振動減衰装置100Aの内側部材10の移動距離と発生する磁力との関係を示す図である。振動減衰装置100Aの場合、内側部材10の第1端部13の先端13aの幅が狭くなっているため、主に先端13aのエッジ部13cの磁力の影響が大きく、傾斜部13dの磁力の影響が小さい。従って、図5に示す平衡状態からz方向に移動したときに、エッジ部13cに生じる磁力の影響が支配的になる。
【0026】
従って、例えば第1端部13の先端13aのエッジ部13cがz1方向に微小に移動したときを想定すると、エッジ部13cには、z2方向に生じる磁力により平衡状態に引き戻す力が生じる。これに対し、傾斜部13dに生じる磁力の影響はエッジ部13cに生じる磁力の影響よりも小さく、エッジ部13cをz2方向に引き戻す磁力を打ち消す磁力は小さい。そのため、第1端部13の先端13aを平衡状態に引き戻す力は、図2に示すような先端13aがz方向に沿った平面を有する場合よりも大きくなる。
【0027】
一方、図2に示すように、先端13aがz方向に沿った平面を有する場合に、先端13aがz1方向に移動すると、磁力faが大きくなり、磁力fbが小さくなる。この場合、磁力faのz方向成分(つまり、z1方向に向いた力)が磁力fbのz方向成分(つまり、z2方向に向いた力)よりも大きく、先端13aをz2方向に引き戻す力は、磁力faのz方向成分と磁力fbのz方向成分とが相殺し、小さくなる。
【0028】
従って、図5に示す変形例の振動減衰装置100Aの場合、図6のグラフに示す実線のように、内側部材10のz方向の移動による荷重の減少は緩やかになる。
【0029】
また、図5に示す第1端部13の先端13a及び第2端部12の先端12aの幅が狭くなるように構成する場合、例えば図1に示すような平坦面となっている先端13a及び12aよりもエッジ部13c及び12cが磁気デバイス21の磁極の近くに位置するように構成するとよい。このように構成することにより、図5に示す振動減衰装置100Aは、振動減衰装置100に対し内側部材10に作用する磁力の低下を抑えつつ、図6に示すように内側部材10のz方向の移動による荷重の減少が緩やかになる。
【0030】
図7は、実施の形態1に係る振動減衰装置100及び100Aを平面視した(z方向から見た)状態の概略図の一例である。図7(a)は、外側部材20が内側部材10をx方向及びy方向から包囲するように構成した場合の図である。図7(a)に示すように、振動減衰装置100及び100Aは、外側部材20が矩形の筒状に形成されており、その内側に内側部材10を配置するように構成してもよい。図1及び図5に示す構造は、図7(a)のA-A部の断面構造を示しており、z方向に平行かつx方向に平行な断面の構造を示している。なお、図7(a)に示す振動減衰装置100及び100Aにおいては、z方向に平行かつy方向に平行な断面の構造も図1及び図5に示す構造と同じである。
【0031】
また、図7(b)は、振動減衰装置100及び100Aを平面視した(z方向から見た)状態の他の例の概略図である。外側部材20は、必ずしも内側部材10の周囲を全周に亘って包囲している必要はなく、x方向の両端に磁気デバイス21を配置した構造であってもよい。
【0032】
さらには、外側部材20は、平面視した状態で円形であってもよいし、その他の形状であってもよい。つまり、磁気デバイス21の磁極21a及び21bが第1端部13の先端13a及び第2端部13bに対しz方向に直交する方向において対向するように配置されていればよい。
【0033】
図8は、実施の形態1に係る振動減衰装置100及び100Aを平面視した(z方向から見た)状態の概略図の他の例である。内側部材10は、平面視において三角形に形成された磁性体を備えていてもよい。また、磁性体は、平面視において三角形に限定されず、矩形などその他の形状であってもよい。
【0034】
また、図7(a)及び(b)の外側部材20の磁気デバイス21は、平面視したときに磁極21aの極性が全て同じであるが、磁気デバイス21の向きはこれに限定されない。図8に示すように、矩形の外側部材20の四辺にそれぞれ配置された4つの磁気デバイス21は、左右の対向する二辺にN極が、上下の対向する二辺にS極が見えるようにそれぞれ配置されている。内側部材10の磁石の磁極は、外側部材20の磁気デバイス21に合わせて配置されている。
【0035】
図9は、実施の形態1に係る振動減衰装置100の変形例である振動減衰装置100Bの主な構成の概略図である。振動減衰装置100Bは、内側部材10の第1端部13の先端13a及び第2端部12の先端12aを、磁石の一対の磁極で構成したものである。外側部材20が備える磁気デバイス21は、第1端部13の先端13a及び第2端部12の先端12aの磁極に合わせて、磁極が配置されている。このように構成することにより、内側部材10の第1端部13及び第2端部12は、x方向の幅が小さくなり、振動減衰装置100Bの幅をコンパクトに構成できる。
【0036】
図10は、実施の形態1に係る振動減衰装置100の変形例である振動減衰装置100Cの主な構成の概略図である。振動減衰装置100Cは、図1に示す内側部材10のx1側に配置された第1端部13及び第2端部12を廃止したものである。内側部材10は、x方向の移動を制限し、z方向の移動をガイドするように構成することにより、x方向において対称的に配置された一方の第1端部13及び第2端部12を廃止することができる。この構造であっても、内側部材10は、z方向に移動したときに平衡状態に戻そうとする力が働くため、図1に示す振動減衰装置100と同様に機能する。
【0037】
以上に説明した振動減衰装置100、100A、100B及び100Cによれば、z方向に相対的に往復移動可能な内側部材10と外側部材20とを備える構造において、磁力の作用により内側部材10及び外側部材20を平衡状態に戻そうとする構造を得ることができる。振動減衰装置100、100A、100B及び100Cは、外側部材20が内側部材10の移動方向と干渉しない位置に配置されているため、内側部材10が外側部材20に対しz1方向及びz2方向の何れに移動したときにおいても、磁力の作用で平衡状態に戻ろうとする荷重が内側部材10に働き、振動する変位を減衰させることが可能となる。
【0038】
また、特許文献1に開示されている一自由度磁力防振装置は、上下方向の何れかの変位量が増加すれば増加するほど磁力が強くなるように構成されている。しかし、この一自由度磁力防振装置は、「前記上環状永久磁石と下環状永久磁石の対向する面の磁極の極性を反対にし」、「前記中心永久磁石は前記上環状永久磁石と下環状永久磁石の間に位置して、前記連接棒とともに上環状永久磁石と下環状永久磁石の間を軸方向に運動する」ものであるから、中心永久磁石は、平衡状態から上下の何れかの方向に移動すると移動した方向への磁力が大きくなり、平衡状態に引き戻すには磁力よりも大きい外力が必要になる。また、中心永久磁石の移動する経路の延長線上に上環状永久磁石又は下環状永久磁石が存在するため、移動量が制限される。一方、実施の形態1に係る振動減衰装置100、100A、100B及び100Cは、内側部材10の移動経路上に外側部材20が存在しないため、内側部材10及び外側部材20が互いに移動を制限することがない。
【0039】
実施の形態2.
実施の形態2に係る振動減衰装置200について説明する。実施の形態2に係る振動減衰装置200は、実施の形態1に係る振動減衰装置100と弾性部材30とを組み合わせたものである。なお、実施の形態1と同一の機能及び作用を有する構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0040】
図11は、実施の形態2に係る振動減衰装置200の主な構成の概略図である。振動減衰装置200は、振動減衰装置100に更に弾性部材30を組み合わせたものである。弾性部材30は、例えば弦巻バネで構成されており、内側部材10に連結されており、内側部材10がz方向に移動すると移動した方向と逆向きに荷重が加わるように構成されている。弾性部材30は、支持体31にも固定されており、内側部材10の移動に伴い伸縮できるように構成されている。
【0041】
図12は、図1に示す振動減衰装置100における内側部材10の移動距離と発生する荷重との関係及び弾性部材30の伸縮量と発生する荷重との関係を示す図である。図12(a)に示すように、図1に示す振動減衰装置100は、内側部材10に磁力のみが作用するため、移動距離が増加するとその距離の2乗に反比例して荷重が減少する。図12(b)に示すように、図11に示す弾性部材30は、z方向に伸縮すると、伸縮方向逆向きに伸縮量に比例した荷重が発生する。
【0042】
図13は、実施の形態2に係る振動減衰装置200の内側部材10の移動距離と発生する磁力との関係を示す図である。振動減衰装置200は、内側部材10の変位に応じて、磁力と弾性部材30の伸縮による荷重とが内側部材10に作用するため、図12(a)に示す磁力のみの作用と比較して、内側部材10に掛かる荷重の減少が抑えられる。従って、内側部材10がz方向に変位すると、変位量が小さいうちは内側部材10を平衡状態に引き戻す力は減少していくが、変位量が大きくなると弾性部材30の作用により内側部材10を平衡状態に戻す力が増加する。
【0043】
つまり、実施の形態2に係る振動減衰装置200は、実施の形態1に係る振動減衰装置100よりも平衡状態に引き戻す力の変化が小さくなる。
【0044】
図14は、図11に示す振動減衰装置200における振動減衰装置100を図5に示す振動減衰装置100Aに置換した場合の内側部材10の移動距離と発生する磁力との関係を示す図である。図14に示す二点鎖線は、図11に示した振動減衰装置200の内側部材10の変位と荷重との関係を示しており、図14に示す実線が図11に示す内側部材10を図5に示す振動減衰装置100Aのものに置換した場合の内側部材10の変位と荷重との関係を示している。図5に示す振動減衰装置100Aは、図6に示すように内側部材10の変位に対する荷重の変化が緩やかであるため、弾性部材30と組み合わせると、より平衡状態に引き戻す力の変化が小さくなり荷重の変化が平坦に近くなる。
【0045】
なお、弾性部材30は、弦巻バネに限定されるものではなく、板バネ又はゴムなど、変形により弾性力が生じるものであればよい。また、実施の形態2においては、内側部材10の下方に弾性部材30を連結しているが、弾性部材30の配置は適宜変更できるものである。例えば、弾性部材30を、内側部材10の移動方向に間隔を置いて配置し、内側部材10の移動量が所定以上になったときに弾性部材30による荷重が内側部材10に作用するように構成されていてもよい。また、振動減衰装置200の外側部材20が移動するように構成されている場合は、弾性部材30による荷重を外側部材20に作用させてもよい。
【0046】
また、図11に示した弾性部材30は、内側部材10の第1端部13と第2端部12との間に配置されていても良い。例えば、弾性部材30は、内側部材10の第1端部13と第2端部12との間に配置され、外側部材20に固定されていてもよい。これにより、内側部材10が外側部材20に対しz方向に移動したときに、内側部材10が弾性部材30に当接し、弾性部材30は、図11に示す振動減衰装置200の弾性部材30と同様に機能させることができる。
【0047】
実施の形態3.
実施の形態3に係る振動減衰装置300について説明する。実施の形態3に係る振動減衰装置300は、実施の形態1に係る振動減衰装置100の外側部材20の磁気デバイス21A及び21Bとして、電磁石を用いたものである。なお、実施の形態1及び2と同一の機能及び作用を有する構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0048】
図15は、実施の形態3に係る振動減衰装置300の主な構成の概略図である。実施の形態3に係る振動減衰装置300は、実施の形態1に係る振動減衰装置100の外側部材20が備える磁気デバイス21を電磁石に置換したものである。電磁石で構成された磁気デバイス321は、部分的に電流を流すことにより、磁極21a及び21bの位置を変更できる。図15において磁気デバイス321のうち実線で示した部分は、電流が流れており、破線で示した部分は電流が流れていない。図15に示す磁気デバイス321は、第1端部13の先端13a及び第2端部12の先端12aに対応する位置に磁極が配置されるように通電される。
【0049】
図16は、図15に示す状態の振動減衰装置300から内側部材10がz2方向に移動した状態の概略図である。図16において、外側部材20が備える磁気デバイス321は、内側部材10の移動に合わせて通電範囲をz2方向に移動させている。このように、磁気デバイス321の磁極21a及び21bが内側部材10の移動に合わせて移動するため、振動減衰装置300は、内側部材10が移動しても同じ磁力が掛かるように制御できる。実施の形態1に係る振動減衰装置100は、図4に示すように、z方向に移動すると移動量が多くなるに従い磁力が低下するが、実施の形態3に係る振動減衰装置300によれば、内側部材10がz方向に移動しても内側部材10に働く磁力を略一定に維持できる。
【0050】
振動減衰装置100の磁気デバイス321は、例えば複数のコイル324をz方向に連結して構成されており、内側部材10の移動に合わせて通電するコイル324を選択できるように構成されている。例えば、磁気デバイス321は、複数のコイル324を巻線の中心軸がz方向に沿うようにして配置して構成され、複数のコイル324のそれぞれに流れる電流を制御できるように構成されている。つまり、磁気デバイス321は、複数のコイル324に流れる電流を制御することにより磁極がz方向に移動可能に構成されている。なお、磁気デバイス321は、図15及び図16に示すように複数のコイル324を連続的にz方向に沿って並べて構成されたものに限定されず、間隔を置いて複数のコイルを配置するなど、適宜変更できる。
【0051】
なお、図15及び図16において、外側部材20は、磁気デバイス321A及び321Bを備えているが、これらは一体の磁気デバイス321であってもよい。
【0052】
また、磁気デバイス321A及び321Bは、コイル324に流れる電流を制御することにより第1端部13及び第2端部12を吸着する磁力を制御してもよい。これにより、振動減衰装置300の減衰力を制御できる。
【0053】
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【0054】
図17は、実施の形態1に係る振動減衰装置100から第2端部12を取り除いた変形例である振動減衰装置100Dの主な構成の概略図である。実施の形態1から3に示した振動減衰装置100、100A、100B、100C、200、300は、端部部材を構成する第1端部13又は第2端部12の何れかを省略した構造であっても振動減衰装置として作用する。図17の変形例においては、第1端部13を構造体14により支持し、構造体14は、一例としてボールベアリング15によりガイドされている。この場合であっても第1端部13には、図2(a)で示した力が作用するため、磁力により振動減衰装置として作用する。また、この場合、磁気デバイス21は、一対の磁極がz方向に沿って配置されていなくともよく、少なくとも一方の磁極が第1端部13とz方向に直交する方向において対向して配置されていればよい。
【0055】
また、図17に示した構造体14及びボールベアリング15は、振動減衰装置100A、100B、100C、200、300にも適用できる。また、構造体14及びボールベアリング15の構造は適宜変更できるし、ボールベアリング15を滑り軸受やその他の支持構造に置換することもできる。
【0056】
また、上記において振動減衰装置100、100A、100B、100C、100D、200、300を用いて説明された本発明は、以下の付記1~10に示す各特徴の組み合わせも含み得るものである。その組み合わせについて下記に示す。
【0057】
[付記1]
第1方向に沿って相対的に往復移動可能に構成された内側部材及び外側部材を備える振動減衰装置であって、
前記内側部材は、
第1方向に直交する第2方向において前記外側部材の内側に配置されており、
前記外側部材の磁極に対し第2方向において対向して配置され、磁性体で構成された端部部材を備え、
前記外側部材は、
平衡状態において、前記端部部材を吸着するように構成された磁気デバイスを備え、
前記端部部材と前記磁気デバイスとは、
当接しないように第2方向への移動が制限されている、
振動減衰装置。
[付記2]
付記1に記載の振動減衰装置であって、
前記内側部材は、
第1方向に隔離して配置された第1端部及び第2端部から構成された前記端部部材と、
前記第1端部及び前記第2端部を第1方向に連結する連結部材と、を備え、
前記磁気デバイスは、
一対の磁極が第1方向に沿って配置され、
前記一対の磁極のそれぞれは、
平衡状態において、前記第1端部及び前記第2端部と第2方向に対向して配置され、
前記第1端部及び前記第2端部は、
平衡状態において、第2方向に対向する前記磁気デバイスの磁極に吸着するように構成されている、
振動減衰装置。
[付記3]
付記1又は2に記載の振動減衰装置であって、
前記磁気デバイスは、
複数の磁気デバイスから構成されており、
前記複数の磁気デバイスは、
前記内側部材を挟んで第2方向において対向する位置に配置されている少なくとも一対の磁気デバイスを含む、
振動減衰装置。
[付記4]
付記1~3の何れか1項に記載の振動減衰装置であって、
前記端部部材は、
永久磁石により構成されており、
前記磁気デバイスの磁極は、
前記端部部材と極性が反対になるように設定されている、
振動減衰装置。
[付記5]
付記1~3の何れか1項に記載の振動減衰装置であって、
前記端部部材は、
軟磁性材料により構成されている、
振動減衰装置。
[付記6]
付記1~5の何れか1項に記載の振動減衰装置であって、
前記端部部材は、
前記内側部材の中心軸を含む断面において、第2方向の先端が中心軸から外側に向かうに従い第1方向の幅が狭くなる構造を有する、
振動減衰装置。
[付記7]
付記1~6の何れか1項に記載の振動減衰装置であって、
前記内側部材と前記外側部材との第1方向への相対移動に応じて、移動方向と反対向きに荷重を付加する弾性部材を更に備える、
振動減衰装置。
[付記8]
付記7に記載の振動減衰装置であって、
前記弾性部材は、
前記内側部材及び前記外側部材の少なくとも一方に連結されている、
振動減衰装置。
[付記9]
付記1~8の何れか1項に記載の振動減衰装置であって、
前記磁気デバイスは、
前記一対の磁極が第1方向に移動可能に構成された電磁石である、
振動減衰装置。
[付記10]
付記9に記載の振動減衰装置であって、
前記磁気デバイスは、
中心軸が第1方向に沿うように並べられた複数のコイルを備え、
前記複数のコイルのうち通電する一部のコイルを変動させることにより磁極が第1方向に移動する、
振動減衰装置。
【符号の説明】
【0058】
10 :内側部材
11 :連結部材
12 :第2端部
12a :先端
12c :エッジ部
13 :第1端部
13a :先端
13c :エッジ部
13d :傾斜部
14 :構造体
15 :ボールベアリング
20 :外側部材
21 :磁気デバイス
21A :磁気デバイス
21B :磁気デバイス
21a :磁極
21b :磁極
30 :弾性部材
31 :支持体
100 :振動減衰装置
100A :振動減衰装置
100B :振動減衰装置
100C :振動減衰装置
200 :振動減衰装置
300 :振動減衰装置
321 :磁気デバイス
321A :磁気デバイス
321B :磁気デバイス
324 :コイル

【要約】
【課題】磁力を利用した振動減衰装置において、磁力を作用させる部材の移動量の制限を抑えた振動減衰装置を提供する。
【解決手段】振動減衰装置は、第1方向に沿って相対的に往復移動可能に構成された内側部材及び外側部材を備える振動減衰装置であって、内側部材は、第1方向に直交する第2方向において外側部材の内側に配置されており、外側部材の磁極に対し第2方向において対向して配置され、磁性体で構成された端部部材を備え、外側部材は、平衡状態において、端部部材を吸着するように構成された磁気デバイスを備え、端部部材と磁気デバイスとは、当接しないように第2方向への移動が制限されている。
【選択図】図1

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17