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特許7602794法面保護ブロック基礎構築用部材および法面保護ブロック基礎
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-11
(45)【発行日】2024-12-19
(54)【発明の名称】法面保護ブロック基礎構築用部材および法面保護ブロック基礎
(51)【国際特許分類】
   E02D 17/20 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
E02D17/20 103H
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021120193
(22)【出願日】2021-07-21
(65)【公開番号】P2023016117
(43)【公開日】2023-02-02
【審査請求日】2024-05-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000126447
【氏名又は名称】アスザック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗原 正徳
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-032804(JP,A)
【文献】特開2013-221366(JP,A)
【文献】登録実用新案第3222780(JP,U)
【文献】米国特許第05820305(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 17/20
E02B 3/14
E02D 29/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
法面保護ブロックを敷設する際の敷設起点となる法面保護ブロック基礎を構築するための法面保護ブロック基礎構築用部材であって、
側面視形状が直角台形状をなし、傾斜辺が法面の側の上部に位置するように立設された前面ブロックと、
前記前面ブロックと同一断面形状に形成され、前記前面ブロックよりも前記法面の側に所要間隔をあけた位置において、前記傾斜辺が前記法面の側の上部に位置するように立設された背面ブロックと、
前記前面ブロックおよび前記背面ブロックを保持する、棒状体である複数の保持体と、を具備し、
前記前面ブロックおよび前記背面ブロックには前記法面の側から貫通する貫通孔が所要間隔をあけてそれぞれ複数穿設されており、
各前記保持体は、前記前面ブロックの前記貫通孔および前記背面ブロックの各前記貫通孔にそれぞれ挿通されていることを特徴とする法面保護ブロック基礎構築用部材。
【請求項2】
棒状体である各前記保持体は、第1端部が前記貫通孔に係合する係合端部に形成されていて、第2端部が締結端部に形成された同一形状の前面ブロック側保持体および背面ブロック側保持体と、前記前面ブロック側保持体の前記締結端部と前記背面ブロック側保持体の前記締結端部とを締結する締結部材と、を有し、
前記前面ブロックの前記貫通孔に前記前面ブロック側保持体の前記係合端部を係合させた前記前面ブロック側保持体の前記締結端部と、前記背面ブロックの前記貫通孔に前記背面ブロック側保持体の前記係合端部を係合させた前記背面ブロック側保持体の前記締結端部とが、前記締結部材により前記前面ブロックと前記背面ブロックとの離間距離が調整可能に連結されていることを特徴とする請求項1記載の法面保護ブロック基礎構築用部材。
【請求項3】
法面保護ブロックを敷設する際の敷設起点となる法面保護ブロック基礎であって、
側面視形状が直角台形状をなし、傾斜辺が法面の側の上部に位置するように立設された前面ブロックと、
前記前面ブロックと同一断面形状に形成され、前記前面ブロックよりも前記法面の側に所要間隔をあけた位置において、前記傾斜辺が前記法面の側の上部に位置するように立設された背面ブロックと、
前記前面ブロックおよび前記背面ブロックを保持する、棒状体である複数の保持体と、を具備し、
前記前面ブロックおよび前記背面ブロックには前記法面の側から貫通する貫通孔が所要間隔をあけてそれぞれ複数穿設されており、
各前記保持体は、前記前面ブロックの前記貫通孔および前記背面ブロックの各前記貫通孔にそれぞれ挿通されており、
前記前面ブロックと前記背面ブロックとの間が充填体により充填されることにより一体化されていることを特徴とする法面保護ブロック基礎。
【請求項4】
棒状体である各前記保持体は第1端部が前記貫通孔に係合する係合端部に形成されていて、第2端部が締結端部に形成された同一形状の前面ブロック側保持体および背面ブロック側保持体と、前記前面ブロック側保持体の前記締結端部と前記背面ブロック側保持体の前記締結端部とを締結する締結部材と、を有し、
前記前面ブロックの前記貫通孔に前記前面ブロック側保持体の前記係合端部を係合させた前記前面ブロック側保持体の前記締結端部と、前記背面ブロックの前記貫通孔に前記背面ブロック側保持体の前記係合端部を係合させた前記背面ブロック側保持体の前記締結端部とが、前記締結部材により前記前面ブロックと前記背面ブロックとの離間距離が調整可能に連結されていることを特徴とする請求項3記載の法面保護ブロック基礎。
【請求項5】
前記充填体は少なくとも底面側所要高さ範囲および上面側所要高さ範囲がコンクリートにより形成されていることを特徴とする請求項3または請求項4記載の法面保護ブロック基礎。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は法面保護ブロック基礎構築用部材および法面保護ブロック基礎に関する。
【背景技術】
【0002】
法面を保護するための法面保護ブロックの敷設を行う際には、法面の所定位置に法面保護ブロック基礎を構築する必要がある。このような法面保護ブロック基礎にはいわゆる現場打コンクリート方式とプレキャスト方式のものがある。このうちプレキャスト方式の法面保護ブロック基礎としては、特許文献1(特開平9-189018号公報)に開示されている構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-189018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているプレキャスト方式の法面保護ブロック基礎は、いわゆるポット型に形成されたプレキャストボックスであるため、生産工場から設置現場までの運搬効率が悪いといった課題を有している。また、プレキャストボックスのサイズが決まっているため、設置現場に応じて異なる寸法の製品を製造しなければならず煩雑であるといった課題も有している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで本発明においては、生産工場から設置現場までの運搬効率の向上が可能であると共に、設置現場に応じて多様な寸法の法面保護ブロック基礎を構築することが可能な法面保護ブロック基礎構築用部材および法面保護ブロック基礎の提供を目的としている。
【0006】
すなわち本発明は、法面保護ブロックを敷設する際の敷設起点となる法面保護ブロック基礎を構築するための法面保護ブロック基礎構築用部材であって、側面視形状が直角台形状をなし、傾斜辺が法面の側の上部に位置するように立設された前面ブロックと、前記前面ブロックと同一断面形状に形成され、前記前面ブロックよりも前記法面の側に所要間隔をあけた位置において、前記傾斜辺が前記法面の側の上部に位置するように立設された背面ブロックと、前記前面ブロックおよび前記背面ブロックを保持する、棒状体である複数の保持体と、を具備し、前記前面ブロックおよび前記背面ブロックには前記法面の側から貫通する貫通孔が所要間隔をあけてそれぞれ複数穿設されており、各前記保持体は、前記前面ブロックの前記貫通孔および前記背面ブロックの各前記貫通孔にそれぞれ挿通されていることを特徴とする法面保護ブロック基礎構築用部材である。
【0007】
これにより、法面保護ブロック基礎構築部材は平板形状の前面ブロックおよび背面ブロックと保持体に分離することができるため、生産工場から設置現場までの運搬効率を大幅に向上させることができる。また、設置現場においては、設置現場に応じて前面ブロックと背面ブロックの保持間隔を変更することで、法面保護ブロック基礎の寸法を容易に変更することができ、同一構成の材料であっても、多様な寸法の法面保護ブロック基礎を構築することが可能になる。
また、これにより、保持体を前面ブロックと背面ブロックの間に収容することができる。
【0010】
また、棒状体である各前記保持体は、第1端部が前記貫通孔に係合する係合端部に形成されていて、第2端部が締結端部に形成された同一形状の前面ブロック側保持体および背面ブロック側保持体と、前記前面ブロック側保持体の前記締結端部と前記背面ブロック側保持体の前記締結端部とを締結する締結部材と、を有し、前記前面ブロックの前記貫通孔に前記前面ブロック側保持体の前記係合端部を係合させた前記前面ブロック側保持体の前記締結端部と、前記背面ブロックの前記貫通孔に前記背面ブロック側保持体の前記係合端部を係合させた前記背面ブロック側保持体の前記締結端部とが、前記締結部材により前記前面ブロックと前記背面ブロックとの離間距離が調整可能に連結されていることが好ましい。
【0011】
これにより、設置現場に応じた前面ブロックと背面ブロックの保持間隔の変更がより簡単に行うことができ、法面保護ブロック基礎の寸法の変更幅を拡大することができる。
【0012】
また、法面保護ブロックを敷設する際の敷設起点となる法面保護ブロック基礎であって、側面視形状が直角台形状をなし、傾斜辺が法面の側の上部に位置するように立設された前面ブロックと、前記前面ブロックと同一断面形状に形成され、前記前面ブロックよりも前記法面の側に所要間隔をあけた位置において、前記傾斜辺が前記法面の側の上部に位置するように立設された背面ブロックと、前記前面ブロックおよび前記背面ブロックを保持する、棒状体である複数の保持体と、を具備し、前記前面ブロックおよび前記背面ブロックには前記法面の側から貫通する貫通孔が所要間隔をあけてそれぞれ複数穿設されており、各前記保持体は、前記前面ブロックの前記貫通孔および前記背面ブロックの各前記貫通孔にそれぞれ挿通されており、前記前面ブロックと前記背面ブロックとの間が充填体により充填されることにより一体化されていることを特徴とする法面保護ブロック基礎の発明もある。
【0013】
これにより、法面保護ブロック基礎を構築する部材は平板形状の前面ブロックおよび背面ブロックと保持体に分離することができるため、生産工場から設置現場までの運搬効率を大幅に向上させることができる。また、設置現場においては、設置現場に応じて前面ブロックと背面ブロックの保持間隔を変更することで、法面保護ブロック基礎の寸法を容易に変更することができ、同一構成の材料であっても、法面保護ブロック基礎を多様な寸法に構築することが可能になる。
また、これにより、保持体を前面ブロックと背面ブロックの間に収容することができる。
【0016】
また、棒状体である各前記保持体は第1端部が前記貫通孔に係合する係合端部に形成されていて、第2端部が締結端部に形成された同一形状の前面ブロック側保持体および背面ブロック側保持体と、前記前面ブロック側保持体の前記締結端部と前記背面ブロック側保持体の前記締結端部とを締結する締結部材と、を有し、前記前面ブロックの前記貫通孔に前記前面ブロック側保持体の前記係合端部を係合させた前記前面ブロック側保持体の前記締結端部と、前記背面ブロックの前記貫通孔に前記背面ブロック側保持体の前記係合端部を係合させた前記背面ブロック側保持体の前記締結端部とが、前記締結部材により前記前面ブロックと前記背面ブロックとの離間距離が調整可能に連結されていることが好ましい。
【0017】
これにより、設置現場に応じた前面ブロックと背面ブロックの保持間隔の変更がより簡単に行うことができ、法面保護ブロック基礎の寸法の変更幅を拡大することができる。
【0018】
また、前記充填体は少なくとも底面側所要高さ範囲および上面側所要高さ範囲がコンクリートにより形成されていることが好ましい。
【0019】
これにより、法面保護ブロック基礎の外観品質を向上させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明における法面保護ブロック基礎構築用部材および法面保護ブロック基礎の構成によれば、法面保護ブロック基礎構築用部材は平板形状の前面ブロックおよび背面ブロックと保持体に分離することができるため、生産工場から設置現場までの運搬効率を大幅に向上させることができる。また、設置現場においては、設置現場に応じて前面ブロックと背面ブロックの保持間隔を変更することで、最終的に形成される法面保護ブロック基礎の寸法を容易に変更することができ、同一構成の材料であっても、法面保護ブロック基礎を多様な寸法に構築することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本実施形態における法面保護ブロック基礎構築用部材の背面側組立斜視図である。
図2図1中のII線における断面図である。
図3】本実施形態における法面保護ブロック基礎構築用部材を用いた法面保護ブロック基礎の製造工程の一例を示す側方断面図である。
図4図3に続く側方断面図である。
図5図4に続く側方断面図である。
図6図5に続く側方断面図である。
図7図6に続く側方断面図である。
図8図7に続く側方断面図である。
図9図8に続く側方断面図である。
図10図9に続く側方断面図である。
図11】法面保護ブロック基礎用部材により構築された法面保護ブロック基礎に法面保護ブロックを敷設した状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明における法面保護ブロック基礎構築用部材100の具体的な構成について図面を参照しながら説明を行う。図1に示すように本実施形態における法面保護ブロック基礎構築用部材100は、前面ブロック10、背面ブロック20、保持体30および側面被覆体40を具備し、これらを組み立てることにより形成されている。したがって、生産工場から設置現場までの運搬時にはそれぞれを別体にすることで運搬時容積を小さくすることができ、効率的な運搬が可能になる。また、本実施形態における法面保護ブロック基礎構築用部材100は、個別に分離可能な構成であるため、各構成の重量が少なく各構成のハンドリングも容易になる点で好都合である。
【0023】
前面ブロック10は、図1図2に示すように、長方形の1箇所(ここでは背面側の上部(法面Nの側の上部))の角部が所要範囲にわたって切除された傾斜辺11に形成された、いわゆる直角台形状の側面視形状が図2の奥行方向に所要長さ範囲に延びてなる板状のブロック体である。ここで直角台形状とは、直角台形はもちろんのこと、図1図2に示されているような、輪郭線が略直角台形になるような五角形をも含む概念である。また、本実施形態における背面とは法面Nの側に向けられる面(傾斜辺11が形成されている側(直角台形の上底13の側))の面であり、前面とは法面Nの側に向けられる面とは反対側(直角台形の下底12の側)の面のことをいう。さらに左側とは前面に向かって左側であり、右側とは前面に向かって右側のことをいう。
【0024】
前面ブロック10には、法面Nの側から厚さ方向に貫通する(前面と背面に両端開口部を有する)貫通孔14が所要間隔をあけて複数穿設されている。また、背面の下側端部(設置面)から所要高さ上側の位置には、後述する充填空間50に底板52を形成する際のコンクリートCの打設高さの目印となる目印凹溝13Aが前面ブロック10の奥行方向(左右方向)に延設されている。また、前面ブロック10の傾斜辺11により規定される傾斜面の右側端縁15および左側端縁16にはそれぞれ連結具取付部17が設けられている。このような前面ブロック10は即時脱型型枠により製造することができる。
【0025】
背面ブロック20も図1図2に示すように、長方形の1箇所の(背面側上部(法面Nの側の上部))の角部が所要範囲にわたって切除された傾斜辺21に形成された、いわゆる直角台形状の側面視形状が図2の奥行方向に所要長さ範囲に延びてなる板状のブロック体である。背面ブロック20の前面、背面、左側面および右側面は、前面ブロック10における前面、背面、左側面および右側面と同様である。
【0026】
背面ブロック20には、法面Nの側から厚さ方向に貫通する(前面と背面に両端開口部を有する)貫通孔24が所要間隔をあけて複数穿設されている。背面の下側端部(設置面)から所要高さ上側の位置には、前面ブロック10と同様に目印凹溝23Aが背面ブロック20の奥行方向(左右方向)に延設されている。また、背面ブロック20の傾斜辺21により規定される傾斜面の右側端縁25および左側端縁26にはそれぞれ連結具取付部27が設けられている。このように本実施形態における背面ブロック20は、前面ブロック10と同一形状(同一断面形状でもある)に形成されているため、同一形状の型枠によって製造することができ、製造コストの大幅な低減が可能である。本実施形態における背面ブロック20は前面ブロック10と同一形状にしているため目印凹溝23Aを有しているが、この構成は特に使用されるものではない。
【0027】
前面ブロック10の貫通孔14と背面ブロック20の貫通孔24のそれぞれには、保持体30が挿通され、前面ブロック10と背面ブロック20とが前面―背面の方向に所要間隔をあけて保持されている。前面ブロック10と背面ブロック20とは、前面ブロック10の傾斜辺11と背面ブロック20の傾斜辺21がそれぞれ背面側の上部に位置するように立設されている。本実施形態における保持体30は、前面ブロック側保持体30A、背面ブロック側保持体30Bおよびこれらを締結する締結部材30Cを有している。
【0028】
前面ブロック側保持体30Aは、前面ブロック10の貫通孔14の開口部で前面ブロック10の前面に係合する係合端部に形成された第1端部31Aと締結部材30Cに締結可能な締結端部に形成された第2端部32Aとを有している。本実施形態においては、係合端部を貫通孔14の開口部に係合するフランジ状部に形成し、締結端部を締結部材30Cに形成されたねじ山に螺合するねじ部に形成されたボルトを例示することができる。
【0029】
背面ブロック側保持体30Bは、背面ブロック20の貫通孔24の開口部で背面ブロック20の背面に係合する係合端部に形成された第1端部31Bと締結部材30Cに締結可能な締結端部に形成された第2端部32Bとを有している。本実施形態においては、係合端部を貫通孔14の開口部に係合するフランジ状部に形成し、締結端部を締結部材30Cに形成されたねじ山に螺合するねじ部に形成されたボルトを例示することができる。このように背面ブロック側保持体30Bは前面ブロック側保持体30Aと同一形状に形成することができ、製造コストを低減させることができる。
【0030】
前面ブロック側保持体30Aの第2端部32Aおよび背面ブロック側保持体30Bの第2端部32Bには締結部材30Cの端部31Cが連結されることにより両者が締結され、前面ブロック10と背面ブロック20とを所要間隔をあけた状態で保持することができる。このような締結部材30Cとしては、所要長さの異径鉄筋に代表される棒状体の両端部に雌ねじ部からなる端部31Cが取り付けられた、いわゆるLインサート部材を例示することができる。このような保持体30の構成を採用することにより、前面ブロック10と背面ブロック20との離間距離を任意の離間距離で保持することができるため、施工現場の状況に応じた寸法調整をすることができる点で好都合である。
【0031】
このように保持体30によって厚さ方向に所要間隔をあけて配設された前面ブロック10と背面ブロック20との間には、必要に応じて側面被覆体40を取り付けることができる。具体的には、法面保護ブロック基礎構築用部材100の配設方向両端部位置において、前面ブロック10の右側面18と背面ブロック20の右側面28とに掛け渡され、開口部を閉塞する側面被覆体40を取り付けることができる。また、これと同様に、前面ブロック10の左側面19と背面ブロック20の左側面29とに掛け渡すように側面被覆体40を取り付けることもできる。本実施形態においては、伸縮目地に用いられるエラストマ製の板材を側面被覆体40として用い、前面ブロック10の連結具取付部17および背面ブロック20の連結具取付部27との重複には連結具CTを挿通させるための連結具挿通孔42が形成されている。
【0032】
本実施形態においては、前面ブロック10の右側面18および背面ブロック20の右側面28に側面被覆体40を取り付けているが、施工現場の状況に応じて、前面ブロック10の左側面19および背面ブロック20の左側面29に側面被覆体40を取り付けることもできる。さらには、前面ブロック10の右側面18および背面ブロック20の右側面28と、前面ブロック10の左側面19および背面ブロック20の左側面29と、のそれぞれ(両面)に側面被覆体40を取り付けることもできる。
【0033】
このようにして前面ブロック10、背面ブロック20、保持体30および側面被覆体40により法面保護ブロック基礎構築用部材100が形成される。また、前面ブロック10、背面ブロック20および側面被覆体40により囲まれた空間により、充填体の充填空間50が形成されている。この充填空間50に現場発生コンクリート殻や生コンクリートに代表される充填体を充填することで法面保護ブロック基礎200が形成される。伸縮目地に用いられるエラストマ製の板材を側面被覆体40として用いる場合は、法面保護ブロック基礎構築用部材100の配設方向両端部位置ではない中間位置に配設することもできる。このようにすることで、充填空間50を伸縮目地としての側面被覆体40で法面保護ブロック基礎構築用部材100の配設方向に細切れにすることができ、生コンクリート打設時にコールドジョイントの発生を防止でき、熱膨張による悪影響を防止または軽減することができる点において好都合である。
【0034】
次に本実施形態における法面保護ブロック基礎構築用部材100を用いた法面保護ブロック基礎200の構築方法の一例が図面に基づいて説明される。なお、図3以降における図面はいずれも断面図ではあるが、図面を簡略化するため部材毎のハッチングの表示は省略している。作業者は法面保護ブロック敷設現場の法面Nの所定範囲を所定深さに掘削した後、図3に示すように、前面ブロック10を予め設定された位置に載置する。次に作業者は図4に示すように、前面ブロック10の前面から貫通孔14および貫通孔14に位置合わせして配設したワッシャWに前面ブロック側保持体30Aを挿入し、第2端部32Aを前面ブロック10の背面側に突出させ、突出させた第2端部32Aを締結部材30Cの端部31Cに締結させる。前面ブロック10の側の締結部材30Cの端部31Cの位置は前面ブロック10の背面位置に位置合わせされている。
【0035】
次に作業者は図5に示すように、前面ブロック10の背面から所定距離離れた位置に背面ブロック20を載置する。ここでは、背面ブロック20の前面の位置に締結部材30Cの端部31Cが位置している。締結部材30Cの長さを前面ブロック10と背面ブロック20の離間距離と等しく形成しておけば、背面ブロック20の側の締結部材30Cの端部31Cの位置が背面ブロック20の前面位置になっているか否かで前面ブロック10と背面ブロック20の離間距離を確認することができる。続けて作業者は図6に示すように、背面ブロック20の背面側から貫通孔24および貫通孔24に位置合わせして配設したワッシャWに背面ブロック側保持体30Bを挿入し、背面ブロック20の前面側に位置する締結部材30Cの端部31Cに第2端部32Bを締結させる。
【0036】
次に作業者は図7に示すように、法面保護ブロック基礎構築用部材100の配設延長方向(前面ブロック10と背面ブロック20との離間方向に対して水平面内で直交する方向)において隣接する前面ブロック10どうしを連結具CTを用いて連結する。具体的には、前面ブロック10どうしを連結具取付部17の位置で、背面ブロック20どうしを連結具取付部27においてそれぞれ連結具CTを介して連結している。法面保護ブロック基礎構築用部材100が配設延長方向に所定数配設された後、作業者は図7に示すように、側面被覆体40を適宜位置に配設することで充填体を充填する充填空間50を形成する。
【0037】
次に作業者は図8に示すように、充填空間50の底面側所要高さの範囲に充填体の一部であるコンクリートCを打設する。コンクリートCを打設する際には、目印凹溝13Aがすべて隠れる高さまで打設すれば、充填空間50の底板52を所定高さ寸法で形成することができる。充填空間50の底板52としてのコンクリートCが硬化した後、作業者は図9に示すように、施工現場で発生したコンクリート殻および砂利等に代表される現場発生材Gを充填体の一部として充填空間50に充填する。現場発生材Gの大きさにもよるが、充填空間50の現場発生材Gを充填する際は転圧を行いながら行うことが好ましい。現場発生材Gが充填空間50の所要高さ位置まで充填された後、作業者は図10に示すように、充填空間50の上面側所要高さ範囲に構築され充填空間50の上面開口部を閉塞するための蓋部54のコンクリートCを打設する。
【0038】
ここで、蓋部54のコンクリートCの打設開始高さ位置は、連結具取付部17の下端部高さ位置にすること好ましい。これにより、連結具CTをコンクリートCに埋設させることができ、連結具CTの劣化を防止することができる。続いて作業者は、蓋部54のコンクリートCの上面を平坦面に仕上げ、コンクリートCの硬化が完了すれば、法面保護ブロック基礎200の構築が完了する。この後作業者は図11に示すように、背面ブロック20の背面側の作業スペースを埋め戻し、構築された法面保護ブロック基礎200の背面側の傾斜面210(背面ブロック20の傾斜辺21により規定される傾斜面)を敷設起点として法面Nに沿って法面保護ブロックBを敷設する。
【0040】
また、本実施形態における保持体30は、3ピース構造の保持体30を例示しているがこの形態に限定されない。貫通孔14および貫通孔24に挿通され、第1端部(基部)が係合片に形成され第2端部(先端部)が雄ねじ部に形成された挿通体と第2端部の雄ねじ部に螺着する締結体からなる2ピース構造にすることもできる。また、貫通孔14および貫通孔24を段付き孔に形成すれば、保持体30の端部を前面ブロック10または背面ブロック20の厚さ内に収めることができ、外観を良好にすることができる。
【0041】
また、本実施形態においては、法面保護ブロック基礎構築用部材100を左右方向に複数配設し、配設方向の端部位置に側面被覆体40が配設された形態を例示しているがこの形態に限定されない。法面保護ブロック基礎構築用部材100の配設数は1つのみであってもよい。また、側面被覆体40の配設を省略した形態を採用することもできる。このような形態であっても、前面ブロック10と背面ブロック20との間にコンクリートC等の充填体を充填することは可能である。
【0042】
また、以上の実施形態においては、充填空間50の底部(設置面)から所要高さ範囲にコンクリートCを打設して底板52を構築した上で充填体として現場発生材Gを充填した形態を例示しているが、コンクリートCの打設による底板52の構築は省略することもできる。また、充填体のすべてをコンクリートCまたは現場発生材Gのみにすることもできる。
【0043】
さらには、以上に説明した本実施形態の構成に対し、明細書中に記載されている変形例や、他の公知の構成を適宜組み合わせた形態を採用することもできる。
【符号の説明】
【0044】
10:前面ブロック
11:傾斜辺,12:下底,13:上底,13A:目印凹溝,14:貫通孔,
15:右側端縁,16:左側端縁,17:連結具取付部,18:右側面,19:左側面
20:背面ブロック
21:傾斜辺,22:下底,23:上底,23A:目印凹溝,24:貫通孔,
25:右側端縁,26:左側端縁,27:連結具取付部,28:右側面,29:左側面
30:保持体
30A:前面ブロック側保持体,31A:第1端部,32A:第2端部
30B:背面ブロック側保持体,31B:第1端部,32B:第2端部
30C:締結部材,31C:端部
40:側面被覆体,42:連結具挿通孔
50:充填空間
52:底板,54:蓋部
100:法面保護ブロック基礎構築用部材
200:法面保護ブロック基礎
210:傾斜面(敷設起点)
B:法面保護ブロック
C:コンクリート(充填体)
CT:連結具
G:現場発生材
N:法面
W:ワッシャ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図11