(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-11
(45)【発行日】2024-12-19
(54)【発明の名称】樹脂封止装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/56 20060101AFI20241212BHJP
B29C 45/02 20060101ALI20241212BHJP
B29C 45/17 20060101ALI20241212BHJP
B29C 33/12 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
H01L21/56 R
B29C45/02
B29C45/17
B29C33/12
(21)【出願番号】P 2021192691
(22)【出願日】2021-11-29
【審査請求日】2024-02-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000144821
【氏名又は名称】アピックヤマダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135677
【氏名又は名称】澤井 光一
(72)【発明者】
【氏名】田上 秀作
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 誠
【審査官】今井 聖和
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-054301(JP,A)
【文献】特開平11-179747(JP,A)
【文献】特開昭62-259731(JP,A)
【文献】特開平01-220500(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0362382(US,A1)
【文献】特開平10-107052(JP,A)
【文献】特開2004-071894(JP,A)
【文献】特開2004-235419(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/56
B29C 45/02
B29C 45/17
B29C 33/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品とともに金型内で樹脂封止される板状部材を整列させ、第1方向における水平移動を規制するインデックスと、
前記インデックスから前記板状部材を持ち上げて、前記金型内の所定の位置、又は、前記金型内に前記板状部材を搬入するローダ内の所定の位置、のいずか一方に前記板状部材を配置するピックアンドプレイスと、を備え、
前記ピックアンドプレイスは、
前記インデックスによって前記第1方向における水平移動が規制された状態の前記板状部材を持ち上げ、前記金型内又は前記ローダ内の前記所定の位置に前記板状部材を降ろす保持部材と、
少なくとも前記第1方向に交差する第2方向から前記板状部材を挟むように配置されて該板状部材の前記第2方向における水平移動を規制する第1及び第2ガイドピンと、を備えた、
樹脂封止装置。
【請求項2】
前記第1及び前記第2ガイドピンの各々は、鉛直方向において前記保持部材が持ち上げた前記板状部材の底面よりも下方まで延在している、
請求項1に記載の樹脂封止装置。
【請求項3】
前記第1及び前記第2ガイドピンの各々は、鉛直方向において断面積が一定である、
請求項1又は2に記載の樹脂封止装置。
【請求項4】
前記第1及び前記第2ガイドピンの間隔を変更する駆動源を備えている、
請求項1から3のいずれか一項に記載の樹脂封止装置。
【請求項5】
前記保持部材は、前記第1方向から前記板状部材に対向するフックであり、該フックの先端に設けられた鉤状の爪が前記板状部材の底面に当接して持ち上げる、
請求項1から4のいずれか一項に記載の樹脂封止装置。
【請求項6】
前記保持部材は、前記板状部材を吸着して持ち上げる吸着保持部材であることを特徴とした請求項1から4のいずれか一項に記載の樹脂封止装置。
【請求項7】
前記板状部材は、ヒートスプレッダ、シールド板又は板状樹脂である、
請求項1から6のいずれか一項に記載の樹脂封止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂封止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
放熱効率を高めるヒートスプレッダ、電磁ノイズを遮蔽するシールド板等の板状部材を備えた半導体パッケージは、そのような板状部材を半導体チップ等の電子部品とともに樹脂封止する樹脂封止装置によって製造される(例えば、特許文献1及び2参照)。板状部材は、樹脂封止の前工程において樹脂封止装置の金型内の所定の位置に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6639931号
【文献】特許第6298719号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかるに、板状部材は、生産性を最大化するためにパイロット穴が加工されていない矩形の板状のまま金型内に搬入されて樹脂封止される。パイロット穴にパイロットピンを挿入して位置の誤差を補正できるリードフレーム等の基板と比べて、板状部材を金型内の所定の位置に精度よく配置することは難しかった。
【0005】
そこで、本発明は、板状部材を高精度に位置決めできる樹脂封止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る樹脂封止装置は、電子部品とともに金型内で樹脂封止される板状部材を整列させ、第1方向における水平移動を規制するインデックスと、インデックスから板状部材を持ち上げて、金型内の所定の位置、又は、金型内に板状部材を搬入するローダ内の所定の位置、のいずれか一方に板状部材を配置するピックアンドプレイスと、を備えている。ピックアンドプレイスは、インデックスによって第1方向における水平移動が規制された状態の板状部材を持ち上げ、金型内又はローダ内の所定の位置に板状部材を降ろす保持部材と、少なくとも第1方向に交差する第2方向から板状部材を挟むように配置されて該板状部材の第2方向における水平移動を規制する第1及び第2ガイドピンと、を備えている。
【0007】
この態様によれば、インデックスによって第1方向に位置決めされた板状部材がピックアンドプレイスによって第2方向に位置決めされて金型内やローダ内に配置される。金型内に板状部材を直接的又は間接的に搬入する際の位置精度が向上するため、樹脂封止品において板状部材を高精度に位置決めできる。
【0008】
上記態様において、第1及び第2ガイドピンの各々は、鉛直方向において保持部材が持ち上げた板状部材の底面よりも下方まで延在していてもよい。
【0009】
ピックアンドプレイスから板状部材を降ろすとき、保持部材と金型やローダとの間には僅かな隙間がある。この態様によれば、保持部材から離れた板状部材が第1及び第2ガイドピンに沿って落下する。第1方向において板状部材が位置ずれしないように落下中の水平移動を規制できる。
【0010】
上記態様において、第1及び第2ガイドピンの各々は、鉛直方向において断面積が一定であってもよい。
【0011】
この態様によれば、保持部材から落下中ずっと、板状部材と各ガイドピンとの隙間が広がらない。第1及び第2ガイドピンが先細りの場合と比べて、より確実に位置ずれを防止できる。
【0012】
上記態様において、第1及び第2ガイドピンの間隔を変更する駆動源を備えていてもよい。
【0013】
この態様によれば、第1ガイドピンと第2ガイドピンとの間隔を広げて板状部材に干渉しないようにピックアンドプレイスをインデックスに向かって降下させ、第1ガイドピンと第2ガイドピンとの間隔を狭めて板状部材を第2方向に高精度に位置決めした状態で搬送し、ローダ内や金型内に搬入できる。
【0014】
上記態様において、保持部材は、第1方向から板状部材に対向するフックであり、該フックの先端に設けられた鉤状の爪が板状部材の底面に当接して持ち上げてもよい。
【0015】
この態様によれば、板状部材の底面をフックで引っ掛けて持ち上げるため、板状部材の外縁を挟持する場合と比べて板状部材に負荷がかかりにくい。ガイドピンにより板状部材をピックアップで保持するとき、及び持ち上げた板状部材降ろすとき、位置ずれしにくいため、インデックスや第1及び第2ガイドピンによって位置決めされた位置関係を維持することができる。
【0016】
上記態様において、保持部材は、板状部材を吸着して持ち上げる吸着保持部材であってもよい。
【0017】
この態様によれば、開閉するフックに干渉しないようにインデックス等をレイアウトする必要がないため、フックの爪で板状部材を持ち上げる場合と比べて樹脂封止装置をコンパクトに構成できる。
【0018】
上記態様において、板状部材は、ヒートスプレッダ、シールド板又は板状樹脂であってもよい。
【0019】
この態様によれば、板状部材の外縁に近接して第1及び第2ガイドピンを配置し、パイロット穴を使用せずに水平移動を規制できるため、パイロット穴がないヒートスプレッダ、シールド板又は板状樹脂に好適である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、板状部材を高精度に位置決めできる樹脂封止装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態に係る樹脂封止装置の構成を概略的に示す平面図である。
【
図2】
図1に示された金型及び成形品の構成を概略的に示す断面図である。
【
図3】
図1に示された第1ローダ及び第2ローダの動きを概略的に示す平面図である。
【
図4】板状部材受渡部を構成するインデックスの斜視図である。
【
図5】板状部材受渡部を構成するピックアンドプレイスの斜視図である。
【
図6】
図4に示されたインデックスの断面図である。
【
図7】ピックアンドプレイスがインデックスから板状部材を持ち上げる動きを示す断面図である。
【
図8】
図7に示された保持部材の先端を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。各実施形態の図面は例示であり、各部の寸法や形状は模式的なものであり、本発明の技術的範囲を当該実施形態に限定して解するべきではない。以下、
図1から
図8を参照して各構成について詳しく説明する。
【0023】
図1は、一実施形態に係る樹脂封止装置1の構成を概略的に示す平面図である。各々の図面には、各々の図面相互の関係を明確にし、各部材の位置関係を理解する助けとするために、便宜的に前後左右の方向を付している。左右方向は第1方向の一例であり、前後方向は第2方向の一例である。また、短冊状に形成された板状部材Hの短手方向は第1方向の他の一例であり、長手方向は第2方向の他の一例である。
【0024】
樹脂封止装置1は、基材S及び電子部品Pを含むワークWに対して樹脂Rを溶融させて電子部品Pを樹脂封止し、成形品Mを製造する製造装置である。樹脂封止装置1は、ワークWと一緒に板状部材Hに対しても樹脂封止する。板状部材Hは、例えば、成形品Mの基材Sが露出する側とは反対側に露出するように設けられる。基材Sは、例えば、インタポーザ基板、リードフレーム、粘着シート付きキャリアプレート、半導体基板、等である。電子部品Pは、例えば、ICチップ等の半導体素子であるがこれに限定されるものではなく、各種の能動素子や受動素子、MEMSデバイス等であってもよい。
【0025】
板状部材Hは、例えば、電子部品Pが発する熱を放出するヒートスプレッダや電磁ノイズを遮蔽するシールド板であり、成形後に露出させるが、それらに限定されるものではない。板状部材は、短冊状の固形又は半固形の板状樹脂(ガイドピンによる位置決めが可能であればシート状樹脂を含む)であってもよい。板状樹脂の場合は、それ自体が溶融し、電子部品Pを成形するものであり、必ずしも露出を目的にはしていない。樹脂Rは、例えば顆粒状の熱硬化性樹脂である。樹脂Rが粉状の熱硬化性樹脂であってもよい。樹脂Rの形状は顆粒状に限定されるものではなく、液状やタブレット状であってもよい。本実施形態に係る樹脂封止装置1はコンプレッション方式の樹脂封止装置である。樹脂封止装置1はコンプレッション方式に限定されるものではなく、トランスファ方式の樹脂封止装置であってもよい。
【0026】
図1に示すように、樹脂封止装置1は、例えば、ワーク供給ユニット10、樹脂供給ユニット40、板状部材供給ユニット50、プレスユニット20,30、成形品回収ユニット90、第1ローダ60、第2ローダ70等を備えている。プレスユニット20,30はいずれか一方のみの構成であってもよい。図示した例では、ワーク供給ユニット10、樹脂供給ユニット40、プレスユニット20,30及び成形品回収ユニット90が、左右方向に並んで配置され、板状部材供給ユニット50は、樹脂供給ユニット40の前後方向に配置されている。
【0027】
第1ローダ60は第1ガイド部60Rに沿って移動可能に構成されている。第1ガイド部60Rは、ワーク供給ユニット10、プレスユニット20,30、樹脂供給ユニット40及び成形品回収ユニット90に亘って左右方向に延在している。第2ローダ70は、第2ガイド部70Rに沿って移動可能に構成されている。第2ガイド部70Rは、例えば樹脂供給ユニット40に設けられ、前後方向に延在している。図示した例では、第2ガイド部70Rが第1ガイド部60Rと交差している。
【0028】
ワーク供給ユニット10は、ワークWを供給する。図示した例では、ワーク供給ユニット10が、樹脂封止装置1の平面レイアウトの左端に配置されている。ワーク供給ユニット10は、例えば、ワーク収納部11、ワーク受渡部13、ワーク予熱部15等を備えている。ワーク供給ユニット10は、ワークWの体積を測定する体積測定部、ワークWの外観を検査する外観検査部等を更に備えていてもよい。
【0029】
ワーク収納部11は、複数のワークWを収納し、ワークWを順次送り出す。ワーク受渡部13は、ワーク収納部11から受け取ったワークWをワーク予熱部15に引き渡す。ワーク予熱部15は、ワーク受渡部13から受け取ったワークWを予熱し、第1ローダ60に引き渡す。ワーク受渡部13は、ワーク収納部11が送り出したワークWを受け取ってワーク予熱部15に引き渡す。
【0030】
成形品回収ユニット90は、成形品Mを回収する。図示した例では、成形品回収ユニット90が、樹脂封止装置1の平面レイアウトの右端に配置されている。成形品回収ユニット90は、例えば、成形品受取部91、成形品受渡部93、成形品収納部95等を備えている。成形品回収ユニット90は、成形品Mの体積を測定する体積測定部、成形品Mの外観を検査する外観検査部等を更に備えていてもよい。
【0031】
樹脂封止装置1がトランスファ方式である場合、成形品回収ユニットは、カルやライナと呼ばれる不要樹脂を成形品Mから分離するディゲート部、分離した不要樹脂を回収するためのスクラップボックス等を更に備えていてもよい。
【0032】
成形品受取部91は、第1ローダ60から受け取った成形品Mを成形品受渡部93に引き渡す。成形品受取部91は、例えば、成形品Mを冷却する冷却パレット等を備えている。成形品受渡部93は、成形品受取部91から受け取った成形品Mを成形品収納部95に引き渡す。成形品受渡部93は、成形品受取部91が送り出した成形品Mを受け取って成形品収納部95に引き渡す。成形品収納部95は、成形品Mを受け取って収納する。
【0033】
プレスユニット20、30は、ワークW及び板状部材Hに対して樹脂Rを成形する。図示した例では、プレスユニット20が、樹脂封止装置1の平面レイアウトにおいてワーク供給ユニット10の右側に連結され、プレスユニット30が、樹脂封止装置1の平面レイアウトにおいて成形品回収ユニット90の左側に連結されている。プレスユニット20は、例えば、金型21、フィルムハンドラ27等を備えている。同様に、プレスユニット30は、例えば、金型31、フィルムハンドラ37等を備えている。
【0034】
フィルムハンドラ27は、金型21にフィルムFを供給する。フィルムFは、上型23の隙間への樹脂Rの侵入を阻害するとともに、上型23からの成形品Mの剥離を容易にする離型フィルムである。フィルムハンドラ27は、例えば、未使用のフィルムFを供給する巻出部、使用済みのフィルムFを回収する巻取部等を備えている。なお、プレスユニット30の構成はプレスユニット20の構成と同様のため、金型31、フィルムハンドラ37等についての説明は省略する。
【0035】
樹脂供給ユニット40は、第2ローダ70に顆粒状の樹脂Rを供給する。図示した例では、樹脂供給ユニット40が、プレスユニット20の右側かつプレスユニット30左側に連結されている。樹脂供給ユニット40は、例えば、樹脂供給部41、樹脂供給ユニット40は、樹脂Rの重量を測定する重量測定部、樹脂Rを予熱する樹脂予熱部、樹脂Rを囲む枠体として用いるレジンガード、樹脂Rを振動によって分散させる加振部、樹脂Rの分散を検査する検査部等を備えている。
【0036】
樹脂供給部41は、例えば、ホッパ、フィーダ等を備えている。ホッパは、樹脂Rを貯留している。フィーダは、ホッパから受け取った樹脂Rを送り出す。なお、樹脂が液状の場合、樹脂供給部は、樹脂を貯留するシリンジ、樹脂を押し出すピストン、シリンジの先端を開閉するピンチバルブ等を備えていてもよい。樹脂供給部が液状樹脂を供給する場合、樹脂供給部は、ワーク上に液状樹脂を塗布してもよい。
【0037】
板状部材供給ユニット50は、第2ローダ70を介して金型21,31に板状部材Hを供給する。板状部材供給ユニット50が直に金型21,31に板状部材Hを供給するように構成してもよい。図示した例では、板状部材供給ユニット50が、樹脂供給ユニット40の前側に連結されている。板状部材供給ユニット50は、例えば、板状部材収納部51、板状部材受渡部53等を備えている。
【0038】
板状部材収納部51は、複数の板状部材Hを収納し、板状部材Hを順次送り出す。板状部材収納部51は、例えば、それぞれに複数の板状部材Hが重なるように収納された複数の板状部材マガジン、複数の板状部材マガジンの位置を調整して板状部材Hを送り出す板状部材エレベーション等を備えている。
【0039】
板状部材受渡部53は、板状部材収納部51から受け取った板状部材Hを第2ローダ70又は金型21,31に引き渡す。板状部材受渡部53は、例えば、板状部材収納部51が送り出した板状部材Hを受け取って整列させる板状部材用のインデックス100、インデックス100が整列させた板状部材Hを第2ローダ70又は金型21,31に引き渡す板状部材用のピックアンドプレイス200等を備えている。板状部材受渡部53については、
図4から
図8を参照して後で詳しく説明する。
【0040】
図2は、
図1に示された金型21及び成形品Mの構成を概略的に示す断面図である。金型21は、内部のキャビティ25に樹脂Rを充填して成形する、一対の開閉可能な樹脂封止金型である。金型21は、下型22及び上型23を備えている。図示した例では、上型23にキャビティ25が形成された、いわゆる上キャビティ構造の樹脂封止金型として金型21が構成されている。
【0041】
図2に示すように、上型23は、上プレート23A、キャビティ駒23B、クランパ23C、付勢部材23D等を備えている。キャビティ駒23Bは、上プレート23Aの下面に固定して組み付けられている。クランパ23Cは、キャビティ駒23Bを囲うように枠状に構成されている。クランパ23Cは、付勢部材23Dを介して、上プレート23Aに対して上下動可能に組み付けられている。
【0042】
下型22は、下プレート22A、キャビティプレート22B等を備えている。キャビティプレート22Bは、下プレート22Aの上面に固定して組み付けられている。上型23には、クランパ23Cを貫通する吸引路23E,23F、上プレート23A及びキャビティ駒23Bを貫通する吸引路23G等が設けられている。下型22には、下プレート22A及びキャビティプレート22Bを貫通する吸引路22Cが設けられている。
【0043】
ピックアンドプレイス200が板状部材Hを配置する所定の位置が金型21内にある場合、ピックアンドプレイス200によって金型21内に搬入された板状部材Hは、ワークWの上に載置される。ワークWは、下型22の吸引路22Cに吸着されて位置決めされている。なお、ワークWを上型23の吸引路23Gに吸着させてもよい。その場合、下型22のキャビティ内に板状部材Hを載置してもよい。
【0044】
ピックアンドプレイス200が板状部材Hを配置する所定の位置が第2ローダ70内にある場合、該第2ローダ70によって金型21内に搬入された板状部材Hが、上型23の吸引路23Gに吸着されるように構成してもよい。その場合、フィルムFには、吸引路23Gに対応する位置に貫通孔Tが形成される。あるいは、第2ローダ70によって金型21内に搬入された板状部材HをワークWの上に載置するように構成してもよい。あるいは、第2ローダ70内に板状部材Hを載置後に板状部材H上に樹脂Rを散布し、下型22のキャビティ内に板状部材Hと樹脂Rとを載置するように構成してもよい。
【0045】
図3は、
図1に示された第1ローダ及び第2ローダの動きを概略的に示す平面図である。第1ローダ60は、例えば、第1ローダハンド61、第1ベース62、第1ガイドロッド63等を備えている。第2ローダ70は、例えば、第2ローダハンド71、第2ベース72、第2ガイドロッド73等を備えている。
【0046】
図3に示すように、第1ローダ60は、第1ガイド部60Rに沿って移動可能に構成され、ワークW又は成形品Mを搬送する。第1ローダハンド61は、ワークW又は成形品Mの保持機構を備えている。また、第1ローダハンド61は、金型21,31に対して進退可能に構成されている。第1ベース62は、第1ガイド部60Rに対して左右方向に移動可能に接続されており、前後方向への移動は制限されている。
【0047】
第1ベース62は、第1ガイドロッド63を介して第1ローダハンド61を支持している。平面視したとき、第1ガイドロッド63は、第1ベース62に接続された箇所を起点に伸縮する。これにより、第1ガイドロッド63は、第1ローダハンド61を前後方向に移動させる。
【0048】
第1ローダハンド61は、例えば、ワーク受渡部13でワークWを受け取った後、第1ベース62によって右方に搬送され、前後方向で金型21と対向する位置に移動する。次に、第1ローダハンド61は、第1ガイドロッド63の伸縮によって後方から金型21に進入し、金型21にワークWを搬入する。
【0049】
ワークWを金型21に引き渡した第1ローダハンド61は、第1ガイドロッド63の伸縮によって金型21の後方へと退出する。ワークWの搬入時と同様の動作によって金型21から成形品Mを搬出した第1ローダハンド61は、第1ベース62によって右方に搬送され、成形品受取部91に移動し、成形品Mを引き渡す。
【0050】
第2ローダ70は、樹脂R及び/又は板状部材Hを搬送する。図示した例では、第2ローダ70が、樹脂R及び板状部材Hを同時に搬送するが、これに限定されるものではない。樹脂R及び板状部材Hの一方を搬送してから他方を搬送してもよい。
【0051】
第2ローダハンド71は、樹脂R及び板状部材Hの保持機構を備えている。具体的には、第2ローダハンド71は、樹脂Rを囲む枠体としてレジンガード77を備えている。第2ローダハンド71は、板状部材Hを保持するサイドレール、チャック、吸着機構等を備えていてもよい。
【0052】
樹脂Rは、樹脂供給部41において、ホッパから第2ローダハンド71に送り出される。樹脂Rは、レジンガード77に囲まれた領域において、加振部等によって、平坦に均される。ピックアンドプレイス200が板状部材Hを配置する所定の位置が第2ローダ70内にある場合、ピックアンドプレイス200によって第2ローダ70内に搬入された板状部材Hは、平坦に均された樹脂Rの所定の位置に載置される。
【0053】
第2ローダハンド71は、金型21,31に対して進退可能に構成されている。第2ベース72は、第2ガイド部70Rに対して前後方向に移動可能に接続されており左右方向への移動は制限されている。第2ローダハンド71において樹脂Rが脱落するおそれが低い場合、第2ローダハンド71のレジンガード77を省略してもよい。
【0054】
第2ベース72は、第2ガイドロッド73を介して第2ローダハンド71を支持している。平面視したとき、第2ガイドロッド73は、第2ベース72に接続された箇所を起点に伸縮及び旋回する。これにより、第2ガイドロッド73は、第2ローダハンド71を前後又は左右方向に移動させ、また、第2ベース72を中心に第2ローダハンド71を旋回させる。
【0055】
第2ローダハンド71は、例えば、樹脂供給部41で樹脂Rを受け取った後、第2ベース72によって前方に搬送され、前後方向で樹脂供給部41と対向する位置P1に移動する。次に、第2ローダハンド71は、第2ガイドロッド73の旋回によって、前後方向で板状部材受渡部53と対向する位置P2に移動する。次に、第2ローダハンド71は、第2ガイドロッド73の伸縮によって、板状部材受渡部53に移動して板状部材Hを受け取った後、位置P2に戻る。
【0056】
次に、第2ローダハンド71は、第2ガイドロッド73の旋回によって、左右方向で金型21と対向する位置P3に移動する。次に、第2ローダハンド71は、第2ガイドロッド73の伸縮によって右方から金型21に進入し、金型21に樹脂R及び板状部材Hを搬入する。樹脂R及び板状部材Hを金型21に引き渡した第2ローダハンド71は、第2ガイドロッド73の伸縮によって金型21の右方へと退出する。
【0057】
なお、第2ローダハンド71は、例えば樹脂Rを受け取ってから板状部材Hを受け取り、その両方を同時に金型21に搬入しているが、これに限定されるものではない。第2ローダハンド71は、板状部材Hを受け取ってから樹脂Rを受け取ってもよい。また、第2ローダハンド71は、樹脂R及び板状部材Hの一方を金型21に搬入してから他方を金型21に搬入してもよい。
【0058】
このように、第2ガイドロッド73の伸縮によって第2ローダハンド71が板状部材受渡部53に移動する構成であれば、第2ガイド部70Rを板状部材供給ユニット50まで延長しなくても、板状部材供給ユニット50を挿脱することができる。第2ローダ70において、第2ガイドロッド73を旋回させる機構を省略してもよい。その場合、第2ガイド部70Rを板状部材供給ユニット50まで延伸してもよい。
【0059】
図4は、板状部材受渡部53を構成するインデックス100の斜視図である。
図5は、板状部材受渡部53を構成するピックアンドプレイス200の斜視図である。前述したように、板状部材受渡部53は、板状部材収納部51が送り出した板状部材Hを受け取って整列させるインデックス100と、インデックス100が整列させた板状部材Hを第2ローダ70又は金型21,31に引き渡すピックアンドプレイス200と、を備えている。
【0060】
インデックス100は、例えば、一対のレール110L,110R、板状部材Hを移動させるチャック等を備えている。
図4に示すように、一対のレール110L,110Rは、第2方向に沿って延在し、ピックアンドプレイス200の保持部材230L,230Rの各々の先端に設けられた爪に対応する位置に切欠き(逃げ)120が形成されている。
【0061】
板状部材収納部51が順次供給する板状部材Hは、図示しないプッシャに押し出されて板状部材収納部51の筐体から部分的にはみ出した状態で待機している。インデックス100の図示しないチャックは、レール110L,110Rに沿って板状部材Hを引っ張り出す。第2方向における板状部材Hの位置は、チャックの移動量によって決定される。
図4に示すように、一対のレール110L,110R間の距離は、第1方向の幅が板状部材Hと略同一であるため、板状部材Hは、第1方向において水平移動を規制される。
【0062】
図5に示すように、ピックアンドプレイス200は、ベース210と、ベース210に吊り下げるように取り付けられた少なくとも一つのハンド220と、を備えている。ピックアンドプレイス200は、インデックス100から板状部材Hを持ち上げて、第2ローダ70内の所定の位置、又は、金型21,31内の所定の位置、のいずれか一方の位置に板状部材Hを配置する。
【0063】
ベース210は、インデックス100と第2ローダ70又は金型21,31との間を往復移動可能に構成されている。ベース210は、各々のハンド220の向きを変える回転機構を備えていてもよい。
図2に示した例では、第2ガイドロッド73を旋回させて第2ローダ70を板状部材受渡部53に接近させると、第2ローダ70が金型21,31に対して90度回転した向きに配置されていた。各々のハンド220の向きを90度回転させれば、90度回転した向きの第2ローダ70の所定の位置に板状部材Hを載置できる。
【0064】
金型21,31内に三枚の板状部材Hを搬入する場合、ベース210に三つのハンド220が取り付けられていてもよい。その場合、インデックス100に対して各々のハンド220の位置を合わせるようにベース210が移動し、全てのハンド220がインデックス100から板状部材Hを受け取るように構成してもよい。
【0065】
各々のハンド220は、保持部材230L,230R、第1及び第2ガイドピン241,242、駆動源253,254等を備えている。保持部材230L,230Rは、インデックス100によって第1方向における水平移動が規制された状態の板状部材Hの底面を持ち上げて、第2ローダ70内又は金型21,31内の所定の位置に板状部材を降ろす。
【0066】
保持部材230L,230Rは、第1方向から板状部材Hに対向するフックであり、該フックの先端に設けられた鉤状の爪が板状部材Hの底面に当接する。一対の保持部材230L,230Rは、第1方向において板状部材Hを挟むように配置されている。エアシリンダやサーボモータ等の駆動源253は、保持部材230L,230Rの間隔を変更する。図示した例では、各々のハンド220が、一対の保持部材230L,230Rを四組備えている。
【0067】
第1及び第2ガイドピン241,242は、第2方向から板状部材Hを挟むように配置され、板状部材Hの第2方向における水平移動を規制する。エアシリンダやサーボモータ等の駆動源254は、第1及び第2ガイドピン241,242の間隔を変更する。第1及び第2ガイドピン241,242の各々は、テーパが付与されていないストレート形状であり、鉛直方向において断面積が一定である。また、第1及び第2ガイドピン241,242の各々は、鉛直方向において保持部材230L,230Rが持ち上げた板状部材Hの底面よりも下方まで延在している。
【0068】
図6は、
図4に示されたインデックスの断面図である。
図7は、ピックアンドプレイス200がインデックス100から板状部材Hを持ち上げる動きを示す断面図である。
図6及び
図7に示すように、各々の切欠き120は、一対のレール110L,110Rに載置された状態の板状部材Hの外縁よりも外側にピックアンドプレイス200の保持部材230L,230Rの先端よりも大きな空隙を形成するとともに、板状部材Hの底面よりも下方に保持部材230L,230Rの先端よりも大きな空隙を形成している。
【0069】
図8は、
図7に示された保持部材230L,230Rの先端を拡大して示す断面図である。
図8に示すように、レール110L,110Rの間隔は、板状部材Hの幅よりも僅かに大きい。保持部材230L,230Rは、板状部材Hの外縁との間に僅かな隙間をあけて板状部材Hの底面を持ち上げる。つまり、保持部材230L,230Rは、板状部材Hを第1方向から押圧して挟持しているわけではなく、鉛直方向下側から板状部材Hを支持している。
【0070】
以上のように構成された本実施形態の樹脂封止装置1によれば、インデックスによって第1方向に位置決めされた板状部材がピックアンドプレイスによって第2方向に位置決めされて金型内やローダ内に配置される。金型内に板状部材を直接的又は間接的に搬入する際の位置精度が向上するため、樹脂封止品において板状部材が高精度に位置決めできる。
【0071】
第1及び第2ガイドピン241,242の各々は、保持部材230L,230Rが持ち上げた板状部材Hよりも下方まで延在しているため、保持部材230L,230Rから離れた板状部材Hが第1及び第2ガイドピン241,242に沿って落下する。第1方向において板状部材Hが位置ずれしないように落下中の水平移動を規制できる。第1及び第2ガイドピン241,242は、テーパがついていないストレートな形状であるため、保持部材230L,230Rから落下中ずっと、板状部材Hと各ガイドピン241,242との隙間が広がらない。
【0072】
駆動源254を備えているため、第1ガイドピン241と第2ガイドピン242との間隔を狭めることにより、板状部材Hを第2方向に高精度に位置決めした状態で第2ローダ70内や金型21,31内に搬入できる。パイロット穴を使用せずに板状部材Hの水平移動を規制できるため、パイロット穴を形成しにくいヒートスプレッダやシールド板の樹脂封止に好適である。
【0073】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【0074】
例えば、ピックアンドプレイス200のハンド220は、第1方向から板状部材Hを挟むように配置されて該板状部材Hの第1方向の水平移動を規制する第3及び第4ガイドピンを更に備えていてもよい。この態様によれば、保持部材230L,230Rから離れた板状部材Hが第1乃至第4ガイドピンに沿って落下する。第1方向と第2方向と双方において板状部材Hが位置ずれしないように落下中の水平移動を規制できる。あるいは、第1方向に対向する保持部材230L,230Rに加えて、第2方向に対向する保持部材を更に備えていてもよい。また、例えば、保持部材は板状部材の底面を持ち上げるフック形状に限定されない。板状部材の天面を吸着して保持することができる吸着パッド等を備えた吸着保持部材であってもよい。
【符号の説明】
【0075】
1…樹脂封止装置、10…ワーク供給ユニット、11…ワーク収納部、13…ワーク受渡部、15…ワーク予熱部、20,30…プレスユニット、21,31…金型、25,35…キャビティ、27,37…フィルムハンドラ、40…樹脂供給ユニット、41…樹脂供給部、50…板状部材供給ユニット、51…板状部材収納部、53…板状部材受渡部、
60…第1ローダ、60R…第1ガイド部、61…第1ローダハンド、62…第1ベース、63…第1ガイドロッド、70…第2ローダ、70R…第2ガイド部、71…第2ローダハンド、72…第2ベース、73…第2ガイドロッド、77…レジンガード、90…成形品回収ユニット、91…成形品受取部、93…成形品受渡部、95…成形品収納部、100…インデックス、110L,110R…レール、120…切欠き、200…ピックアンドプレイス、210…ベース、220…ハンド、230L,230R…保持部材、241,242…第1及び第2ガイドピン、253,254…駆動源、F…フィルム、H…板状部材、M…成形品、P…電子部品、R…樹脂、S…基材、W…ワーク。