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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-11
(45)【発行日】2024-12-19
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 25/10 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
B65D25/10
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2022503504
(86)(22)【出願日】2020-07-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-07
(86)【国際出願番号】 AU2020050727
(87)【国際公開番号】W WO2021011995
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2023-06-19
(31)【優先権主張番号】2019208141
(32)【優先日】2019-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】519440799
【氏名又は名称】ビーボックス・フォー・キッズ・ディベロップメンツ・プロプリエタリー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】B.BOX FOR KIDS DEVELOPMENTS PTY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェーンベリ,リサ,エドランド
(72)【発明者】
【氏名】アマトリー,シルバイン・ジャック
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-315088(JP,A)
【文献】実開平05-082860(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2011/0121002(US,A1)
【文献】特開平09-202363(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0068766(US,A1)
【文献】特開2015-166259(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 25/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品容器であって、
底部と前記底部から立ち上がり容器基部内部を画定する壁部とを有する容器基部と、
上部カバーと側縁とを有する容器蓋であって、前記容器基部を前記容器蓋で閉じたときに、前記上部カバーが前記容器基部内部を密閉する容器蓋と、
を有し、
記上部カバーは弾性変形部と非弾性部とを含み、
前記容器基部を前記容器蓋で閉じたときに、前記弾性変形部と前記非弾性部とはそれぞれ前記容器基部内部の異なる部分を覆い、
前記非弾性部は開口部を有し、前記弾性変形部よりも前記容器基部内部をより広範囲に覆い、
前記弾性変形部は、前記開口部を横断して延在しており、
前記弾性変形部は物品と接触している前記底部から離れる外方に弾性変形することにより、前記弾性変形部の下の前記底部の部分に配置されており且つ前記容器基部を前記容器蓋で閉じる際に前記弾性変形部に接触する前記物品を、前記容器基部内部に収容することを容易にする食品容器。
【請求項2】
請求項1に記載の食品容器であって、
前記容器基部が前記容器基部内部に少なくとも1つの隔壁を含むことにより少なくとも2つの区画を形成しており、
前記弾性変形部が前記区画の1つを覆う食品容器。
【請求項3】
請求項2に記載の食品容器であって、
前記弾性変形部が前記区画のうちの2つ以上を覆う食品容器。
【請求項4】
請求項3に記載の食品容器であって、
第1の弾性変形部が前記区画のうちの1つの区画を覆い、第2の弾性変形部が前記区画のうちの他の区画を覆う食品容器。
【請求項5】
請求項4に記載の食品容器であって、
前記第1の弾性変形部と前記第2の弾性変形部とが前記非弾性部によって分離されている食品容器。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の食品容器であって、
前記上部カバーの前記弾性変形部の肉厚が、前記非弾性部の肉厚よりも薄い食品容器。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の食品容器であって、
前記弾性変形部は、前記容器基部内部の物品と接触していないときに略波形の断面を有する食品容器。
【請求項8】
請求項1~5のいずれか1項に記載の食品容器であって、
前記上部カバーは、前記非弾性部を形成する非弾性材料の基板と、前記基板に形成された前記開口部とを有する食品容器。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の食品容器であって、
前記開口部が円形である食品容器。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の食品容器であって、
前記開口部は縁部を有し、
前記弾性変形部が前記縁部に取付けられている食品容器。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の食品容器であって、
前記開口部は縁部を有し、
前記弾性変形部が前記縁部と前記縁部から離間する前記上部カバーの内側表面とに取り付けられている食品容器。
【請求項12】
請求項11に記載の食品容器であって、
前記弾性変形部が取り付けられる前記上部カバーの内側表面は、少なくとも一部に溝を有し、
前記弾性変形部の一部は前記溝に収容されて固定される食品容器。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の食品容器であって、
前記弾性変形部はシールの一部として形成されており、
前記シールは、前記容器蓋の内側に取り付けられており、前記容器基部が前記容器蓋で閉じられているときに前記容器基部の表面を密封する食品容器。
【請求項14】
請求項13に記載の食品容器であって、
前記容器基部が前記容器蓋で閉じられているときに、前記シールが前記容器基部の前記壁部の上端を密封する食品容器。
【請求項15】
請求項14に記載の食品容器であって、
前記シールは溝を有し、
前記容器基部が前記容器蓋で閉じられているときに、前記容器基部の前記壁部の上端は前記溝に嵌入する食品容器。
【請求項16】
請求項2に従属する請求項13に記載の食品容器であって、
前記容器基部が前記容器蓋で閉じられているときに、前記シールが前記隔壁の上端を密封する食品容器。
【請求項17】
請求項16に記載の食品容器であって、
前記シールは溝を有し、
前記容器基部が前記容器蓋で閉じられているときに、前記隔壁の上端が前記溝に嵌入する食品容器。
【請求項18】
請求項2に従属する請求項13に記載の食品容器であって、
前記容器基部が前記容器蓋で閉じられているときに、前記シールが前記容器基部の前記壁部の上端と前記隔壁の上端とを密閉する食品容器。
【請求項19】
請求項18に記載の食品容器であって、
前記シールは溝を有し、
前記容器基部が前記容器蓋で閉じられているときに、前記容器基部の前記壁部の上端と前記隔壁の上端とが前記溝に嵌入する食品容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を収納・運搬するための容器に関する。本発明は、後で消費する食品、通常は当日消費する食品を保存するための食品容器として開発されたものである。したがって、その用途に関連して本発明を説明するのが便宜であろう。しかしながら、本発明の容器は食品容器に限定されるものではなく、任意の適切な物品を収容するための容器であり得ることを理解されたい。
【0002】
食品容器に関して、食品容器の用途の一例として、学童期の子供が学校で食べる昼食やおやつの時間用に親が用意する食品を保存することが挙げられる。
【0003】
優先権の相互参照
本願は、2019年7月22日に出願されたオーストラリア特許出願第2019208141号の優先権を主張し、その内容は、この参照により本明細書に組み込まれたものとみなされる。
【背景技術】
【0004】
以下の発明の背景に関する考察は、本発明の理解を容易にするためのものである。しかしながら、この考察は、考察のいかなる側面も、本願の優先日時点での一般的常識の一部であったことを認めたり自白したりするものではないことを理解されたい。
【0005】
食品を後で食べるために保存して持ち運ぶための食品容器は入手可能である。多くの幼児や学童は、幼稚園や学校での一日分の食事をそのような容器に入れて持って行く。同様に、多くの成人労働者は、軽食や昼食を食品容器に入れて職場に持って行く。このように使用される食品容器は、ほとんどが実質的に硬質プラスチックでできており、基部と蓋とを備えている。通常、基部は食品を格納するための格納空間の主要な部品を提供するが、蓋も同様に格納空間に寄与することができる。
【0006】
基部と蓋とは、通常、一方の縁にあるヒンジと、反対側の縁にある協働するクリップまたはラッチ部品とによって一緒に接続されている。そのクリップ又はラッチ部品は協働して、蓋を基部に対して閉じた状態で固定する。
【0007】
容器を閉じた状態において、容器内の収容空間の高さは、基部と蓋の向かい合う面の間の間隔によって設定される。この高さが設定されることによって、収容空間の高さよりも大きい高さを有する食品は容器内に格納することができなくなる。基部と蓋が硬いということは、収容空間の高さより大きい高さを有する食品を食品容器内に収納する場合、蓋を基部に対して少し開いたままにして大きい食品を収容するか、あるいは食品を食品容器とは別に持ち運ばなければならないことを意味している。蓋を基部に対して開けたままにしておくと、容器内から食品が外に出てしまうことがあり、一方、食品を食品容器とは別に運ぶと、消費の際に見落としてしまうことがあるため、どちらの結果も望ましくない場合がある。食品を小さく切ることもできるが、より多くの準備を必要とし、食品を容器内で長期間保存する場合には食品の外観や栄養価の劣化につながるため好ましくない場合がある。
【0008】
UNIKIA AS名義のノルウェー意匠登録第084240号には、外側に突出したドームを一端に有する食品容器が示されている。ドームは場合によっては、容器の他の部分に収まらない食品をドーム部分に収めることを可能にする。しかし、ドームの形状が固定されているため、そのような物品を収容する性能には限界がある。すなわち、四角い物品がドームの外周に向かってドームの内側表面に当たる場合、ドームの全高を利用しても物品を収容することはできない。さらに、ドームは形状が固定されているため、ドームは常に容器蓋から突出しており、容器の嵩が恒久的に増す。したがって、当該意匠登録に係る食品容器では、食品容器の収容空間の高さよりも大きい高さを有する物品を収容するという課題を容易に解決することはできない。
【0009】
本発明は、現在流通している容器の上記の欠点を解消、又は少なくとも緩和する食品容器などの容器を提供するものである。
【発明の概要】
【0010】
本発明は容器を提供するものであって、容器は、容器基部および容器蓋を有する。容器基部は、底部と、底部から立ち上がり容器基部内部を画定する壁部とを有する。容器蓋は、上部カバーと側縁とを有し、蓋と基部を閉じたときに上部カバーが底部を覆っている。上部カバーは、弾性変形部と非弾性部とを含み、蓋と基部を閉じたときに、弾性変形部と非弾性部はそれぞれ底部の異なる部分を覆っている。弾性変形部が物品と接触している底部から離れる外側に弾性変形することによって、蓋と容器基部が閉じるように変化する。そのため、弾性変形部は、弾性変形部の下にある底部の部分に載せられ弾性変形部と接触するほどに延在する物品を、容器基部内部に収容することを容易にする。
【0011】
本発明による容器は、収容空間の高さが高くなるように弾性変形部が外側に弾性変形することによって、容器の収容空間の高さを超える高さを有する食品などの物品の収容を有利に容易にすることができる。弾性変形をさせた物品を容器から取り出せば、弾性変形した部分は変形前の状態または形状に戻ることができるので、弾性変形による収容空間の増大は一時的なものである。以下、このような物品を「オーバーサイズ」物品という。
【0012】
有利なことに、弾性変形部が弾性変形することにより、オーバーサイズ物品を容器内に収容することができ、容器蓋で容器基部を塞ぐことができ、その結果、容器を閉じることができる。これにより、オーバーサイズ物品を容器内に入れるために蓋を容器基部に対して半開きにした場合に発生する可能性のある、容器内から物品が外に出てしまうという事態を防ぐことができる。さらに、容器基部に対して蓋を閉じると蓋と容器基部が密閉する容器においては、オーバーサイズ物品を収容可能にする本発明の弾性変形機能により、容器内にオーバーサイズ物品が存在していても密閉することが可能となる。つまり、腐敗や漏れを防ぐために容器を密閉する必要がある食品は、オーバーサイズ物品が容器内に存在していても、容器内に保管することができる。さらに、本発明による容器では、容器内の他の物品とともにオーバーサイズ物品を保持することができるので、オーバーサイズ物品が消費の際に見落とされる可能性が低くなる。
【0013】
蓋と容器基部を閉じたとき、上部カバーの弾性変形部および非弾性部のそれぞれが容器基部の底部から間隔をおいて配置されることにより、蓋と容器基部が閉じるように変化したときに、物品がそれぞれ弾性変形部および非弾性部の下に配置可能であることが意図されている。したがって、容器基部内部に配置された物品は、それらが弾性変形部または非弾性部のいずれかの下に配置できるように意図されている。しかし、物品が非弾性部の下に置かれたときに、蓋と容器基部が閉じるように変化するのを妨げる、あるいは妨げうるサイズまたは高さを有する場合、その物品は、弾性変形部の下に配置、移動することができる。それにより、弾性変形部が外向きに変形し、蓋と容器基部を閉じることが容易となる。
【0014】
本発明による容器は、例えば、略正方形、長方形、円形、または楕円形などの任意の適切な形状とすることができる。本発明による容器は、取り外し可能な蓋としての容器蓋を有することにより、蓋を容器基部から完全に取り外して容器を開くことができる。あるいは、ヒンジなどによって、蓋を容器基部に恒久的に取り付けることができる。容器は、容器を閉じるときに蓋と容器基部を固定するための適切なクリップまたはラッチ構成を含むことができる。
【0015】
本発明による容器は、容器基部が容器基部内部に少なくとも1つの隔壁を含むことにより、少なくとも2つの区画を形成することができる。個別の区画があるため、容器内に収容される物品を互いに分離することができる。例えば、果物や飲み物などの予め冷蔵され、容器内で露がつく可能性のある食品を、サンドイッチなどの吸湿性のある食品から分離することができる。容器基部内部は、2つの区画に分けることができる。あるいは、2つ以上の区画を設けることもできる。区画は、同じサイズでも、異なるサイズであってもよい。3つ以上の区画を設ける場合、2つの区画が同じサイズであってもよく、1つ以上の区画は異なるサイズであってもよい。
【0016】
本発明の上記の形態では、弾性変形部は、区画の1つを覆うことができる。あるいは、弾性変形部は、2つ以上の区画を覆うことができる。例えば、弾性変形部は、隣接する区画間の隔壁の上に架設されるように、隣接する2つの区画にまたがって延在することができる。あるいは、第1の弾性変形部が1つの区画を覆い、第2の弾性変形部が隣接する区画などの他の区画を覆うことができる。あるいは、第1の弾性変形部および第2の弾性変形部が覆う区画は、他の中間区画によって互いに離間させることもできる。本発明のこれらの形態では、第1の弾性変形部および第2の弾性変形部は、非弾性部によって分離することができる。
【0017】
第1の弾性変形部および第2の弾性変形部は、隔壁が設けられていない容器であっても用いることができる。第1の弾性変形部および第2の弾性変形部は、容器内にオーバーサイズ物品を収容するために必要であるか、または望ましいと考えられる場合に簡単に設けることができる。
【0018】
弾性変形部は、任意の適切な形状を有することができる。弾性変形部は、例えば、略正方形、長方形、円形又は楕円形のいずれであってもよいが、円形が最も適切であると考えられる。弾性変形時に弾性変形部に生じる圧力は、概ね弾性変形部全体に等しく生じるからである。しかしながら、上部カバーは、必要に応じて、さまざまな形状の弾性変形部を含むことができる。例えば、弾性変形部が2つの隣接する区画にまたがる場合、この部分は幅よりも長くなる可能性があるので、長方形または楕円形にすることができる。
【0019】
容器蓋によって容器基部を閉じる際に弾性変形部がオーバーサイズ物品と係合しておらず、弾性変形部が変形していない状態または休止状態である場合、弾性変形部は略平面形状を有する。本発明のこの形態では、弾性変形部は、その部分の材料が伸びることによって外向きに変形する。あるいは、弾性変形部は、変形していない状態または休止状態において、概して波形の断面を有するように形成することができる。円形の弾性変形部の場合、波形は、直径が大きくなる円形として形成することができる。本発明のこの後者の形態では、弾性変形部が外向きに変形すると、波形の断面自体が、波形が消失するまで、波形がより浅くなるように変形する。そして、弾性変形部の素材が伸びることで、さらに変形することができる。波形の断面は、弾性変形部の非平面形状の一例であり、他の非平面形状も本発明の範囲内である。
【0020】
弾性変形部および非弾性部は、任意の適切な方法で容器蓋の上部カバーに形成することができる。例えば、弾性変形部と非弾性部を一体的に形成することができる。これは、弾性変形部を非弾性部と同じ材料で形成し、弾性変形部の肉厚を非弾性部より薄くすることで実現できる。例えば、弾性部分と非弾性部の共通の材料をポリプロピレンとし、非弾性部の肉厚を2~4mmとする一方、弾性変形部の肉厚を0.2~1mmとすることができる。本発明のこの形態は、上部カバーを成型により形成することによって製造することができる。
【0021】
あるいは、弾性変形部と非弾性部とを別々に形成することもできる。本発明のこの形態は、成形工程において、一方は弾性変形可能な部分用であり、他方は非弾性の部分用である、2つの別々の材料をオーバーモールドすることによって、上部カバーを成形により形成することによっても製造することができる。
【0022】
本発明の他の形態では、上部カバーは、上部カバーの非弾性部を形成するための非弾性材料の基板を含み、基板に弾性変形部を受容するための開口部が形成されている。開口部は、円形の開口部、または正方形、長方形、楕円形の開口部など、必要とされる弾性変形部の形状を形成するのに適した任意の適切な形状の開口部とすることができる。本発明のこの形態では、弾性変形部は、開口部の上方または開口部の下方などから開口部を横断して延在することができる。あるいは、弾性変形部は、開口部の縁などに接続することができる。
【0023】
弾性変形部を開口部の縁に接続することができるが、本発明による代替構成では、弾性変形部は、上部カバーの非弾性部の外側表面又は内側表面に接続することもでき、接続点又は接続範囲は縁から内方に離間して配置される。このような構成とすることで、上部カバーの弾性変形部と非弾性部とをより確実に接続することができる。
【0024】
上部カバーの非弾性部を外側表面又は内側表面へ接続するには、接着剤による接続など、任意の適切な方法を用いることができる。しかし、弾性変形部を非弾性部の表面に着脱自在に接続することによって、洗浄するのに有利となる。したがって、本発明のいくつかの形態では、弾性変形部が取り付けられる非弾性部の表面には、弾性変形部の一部を受容して固定する溝を含む。溝は、弾性変形部が延在する開口部を完全に囲み得る。あるいは、弾性変形部の個別部分を受容して固定する溝部を設けることができる。本発明の他の形態では、弾性変形部と非弾性部との間にプレスフィット接続を行うことができる。これは、非弾性部に形成された開口部に押し込まれて接続状態を維持する弾性変形部上の突起を含むことができる。
【0025】
上部カバーの非弾性部の外側表面または内側表面への接続は、弾性変形部が非弾性部の開口部の縁に接続されていてもいなくても、可能である。本発明のいくつかの形態では、弾性変形部は非弾性部の外側表面または内側表面に接続され、弾性変形部は開口部の縁に接続することなく非弾性部の開口部にわたり広がっている。本発明の他の形態では、弾性変形部と開口部の縁との間に係合があるが、その係合は支承係合または接触係合のみである。このような係合は、弾性変形部を所定の位置に固定するのに役立つ。
【0026】
上記の考察では、弾性変形部が上部カバーの非弾性部の外側表面又は内側表面のいずれかに接続する選択肢について言及したが、接続がされる場合、通常は、非弾性部の内側表面に接続されることが想定される。この構成では、弾性変形部と開口部の縁との間の係合が支承係合または接触係合のみである場合、弾性変形部が非弾性部の内側表面に接続され、弾性変形部の一部が非弾性部の開口部に延在して開口部の縁の対向縁部に支承することが可能である。
【0027】
弾性変形部は、容器蓋の内側に取り付けられており且つ蓋と基部を閉じたときに容器基部の表面を密封するシールの一部として形成することができる。例えば、シールは、容器基部の壁部の上端または対向縁部、および容器基部内部に設けられた隔壁の上端または対向縁部を密封することができる。シールには、蓋と基部を閉じたときに、容器基部の壁部および/または任意の隔壁の上端が嵌入する密封のための溝を含むことができる。
【0028】
シールは、任意の適切な方法で容器蓋に取り付けることができ、弾性変形部の蓋への接続は、上述したのと同様の取り付け構成によって取り付けることができる。
【0029】
したがって、シールは、シール部と弾性変形部とを含み、これらの2つの部分は同じ材料であってよいため、シールを単一部品とすることができる。シール部は、弾性変形部が覆う底部の部分を除き、容器基部の底部全体にわたって延在することができる。または、容器基部が仕切られている場合、シール部は1つ以上の区画にわたって延在することができる。本発明のいくつかの形態では、弾性変形部が区画の一方を覆い、シール部が区画の他方を覆うことにより、シールが2つの区画にまたがって延在する。本発明の一形態において、容器基部は3つの区画を含み、シールが区画の2つを覆っている。
【0030】
弾性変形部は、外側基板と内側基板からなる2つの別々の基板を含むことができ、それぞれの基板は非弾性部の開口部にわたって延在している。本発明のいくつかの形態において、外側基板は開口部の縁に取り付けることができる。内側基板は、縁から間隔をあけて、上部カバーの非弾性部の内側表面または外側表面に取り付けることができる。通常、内側基板は非弾性部の内側表面に作られることが想定される。本発明のこの形態では、内側基板と非弾性部の内側表面との一方が溝を画定し、内側基板と非弾性部の内側表面との他方が、溝内に受容される突起を有することができる。これにより、溝内に突起を受容することで、内部基板が非弾性部の内側表面に取り付けられる。本発明の他の形態では、内側基板と非弾性部の内側表面との間にプレスフィット接続を行うことができる。これは、非弾性部に形成された開口部内に押し込まれ接続状態を維持する内側基板上の突起を含むことができる。
【0031】
本発明の上記態様では、外側基板はオーバーモールドであり、内側基板は取り外し可能なシールである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本発明をより完全に理解するために、いくつかの実施形態を、以下の図を参照して説明する。
【0033】
図1図1は、容器を閉じた状態の、本発明による容器を示す。
図2図2は、容器の蓋がわずかに開いた位置、または半開きの位置にある、図1の容器を示す。
図3図3は、図1の容器を図1のA-A線で切断した断面図である。
図4図4は、図2の容器を図1のA-A線で切断した断面図であるが、図2に示されているように、容器の蓋がわずかに開いた位置、または半開きの位置にある。
図5図5は、弾性変形部が外側に変形している状態を示す、図1の容器の断面図である。
図6図6は、容器の蓋が完全に開いた状態の図1の容器を示す。
図7図7は、弾性変形部を形成する異なる構成を示す。
図8図8は、弾性変形部を形成する異なる構成を示す。
図9図9は、弾性変形部を形成する異なる構成を示す。
図10図10は、弾性変形部を形成する異なる構成を示す。
図11図11は、弾性変形部を形成する異なる構成を示す。
図12図12は、弾性変形部を形成する異なる構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
添付の図は、本発明の一実施形態に係る食品容器を示している。しかしながら、図の食品容器10は、本発明が適用される容器の一形態に過ぎないことを理解されたい。
【0035】
図1および図2の食品容器は、容器基部11と容器蓋12とを含む。容器基部11は底部13を有し、底部13から壁部14が立ち上がっている。底部13と壁部14は、容器基部内部15を画定している。キャリーストラップ16が、前壁14に固定されている。
【0036】
容器蓋12は、矩形の上部カバー18と、側縁19とを有する。側縁19は上部カバー18の外周から下向きに延びる縁であり、容器10を閉じた状態において、壁部14の上端と重なる。側縁19は、上部カバー18に対してほぼ垂直に延在している。
【0037】
蓋12は、後部ヒンジ21とヒンジ付きクリップ又はラッチ22とによって容器基部11に接続され、図1に示す閉じた状態で、ラッチ22は突起23にロックされる。容器10は、ラッチ22を突起23から解放することによって開くことができ、蓋12はヒンジ21を中心に上方に回転して、基部11から離れることができることは容易に明らかであろう。
【0038】
容器10は、弾性変形部25と非弾性部26とを含む。図3図5では、非弾性部26が弾性変形部25で途切れている。非弾性部26は、容器10における上部カバー18の主要部分を形成している。図1から明らかなように、容器10の閉状態において、弾性変形部25と非弾性部26は、いずれも容器基部11の底部13を覆っている。ただし、弾性変形部25と非弾性部26はそれぞれ、底部13の異なる部分を覆っている。
【0039】
図1の閉じた状態における図1のA-A線で切断した容器10の断面図を、図3に示す。図4および図5も、容器10をA-A線で切断した断面図である。図4では、蓋12が基部11からわずかに開いた状態であり、図5では、蓋は閉じた状態であるが弾性変形部25が外側に変形した状態を示す。図4および5のそれぞれにおいて、リンゴの形態をした球形の食品30が、容器基部内部15内に示されている。
【0040】
図6は、蓋12を容器基部11に対して完全に開いた状態の、容器10の斜視図である。図6は、容器基部11が、底部13から上方に延在する隔壁31を含むことを示している。図2も同様に、一部隠れているが、隔壁31を示している。このように、容器基部11には、異なる食品を別々に保管するための別々の区画が形成されている。図3~5からは、2つの区画32、区画33が明らかであるが、図6では、容器10が3つの区画32~34を含むことを示している。区画32、33は、形状および構成が実質的に同一であり、ほぼ正方形状である。一方、区画34は、容器基部11の側面に沿って前後方向に延在し、区画32と区画33を合わせた大きさとほぼ同じ大きさである、単一の、略長方形の区画を形成している。
【0041】
図3~5から明らかなように、弾性変形部25は、各区画32、区画33にわたって延在し密封している大きなシール部材35の一部である。図3に示すように、弾性変形部25は、区画33のみを覆っている。もちろん、弾性変形部25は、区画32にも延在する構成とすることもできる。あるいは、区画32に延在するための別の弾性変形部を含むことも可能である。したがって、弾性変形部25の配置は、図3では区画33を覆うように示されているが、その位置に限定されるものではなく、また、単一の区画のみを覆うように限定されるものでもない。
【0042】
このように、シール部材35は、シール部36と弾性変形部25とを含む。シール部36は非弾性部26の一部の下にあり、シール部材35は突起37、38、および39が蓋12に形成された溝内に受容されることによって蓋12に固定される。弾性変形部25は、上部カバー18の非弾性部26の開口部40にわたって延在し、弾性変形部25の外周縁内に形成された対応する凹部内で開口部40の縁41に係合する。開口部40は円形の開口部であるため、縁41も円形の縁部である。
【0043】
シール部材35全体は、弾性変形可能な材料、好ましくはシリコーンで形成されている。したがって、弾性変形部25の材料は、シール部36および各突起37、38、および39にわたって続く。シール部材35は、区画32、33を画定する壁部14および隔壁31の上端または縁を密封するためのものである。シール部材35は、区画34を覆っていないため、区画34を覆って密封しない。この構成は、単に本発明の一態様を説明するための例として採用された構成である。したがって、容器基部に設けられ得る種々の区画または全ての区画を密封するための種々のシール構成を提供することが可能である。
【0044】
図1、3および5に示すような容器10の閉状態においては、区画34に収容可能な物品の最大高さは、所定高さH34であることが理解されよう。その高さは、蓋12と底部13の内面間の間隔であり、区画34に関しては、これらの面の間にシールが介在していない。このことから、区画32に収容できる物品の最大高さは、シール部36の存在により、区画34よりも若干低くなる。シール部36は弾性変形可能な材料で形成されているので、底部13の内側表面とシール部36の対向面との間隔よりも大きな高さを有する物品は、シール部36を蓋12側に変形させるが、シール部36が蓋12の内側表面にかかるとすぐに変形は終了する。その結果、容器基部11と蓋12を閉じたときに、区画32、34に収容できる物品には、実質的に同じ最大高さが適用される。
【0045】
ただし、区画33に配置される物品については、同様の高さ制限は適用されない。図5から明らかなように、高さが所定高さH34を超えるために、区画32または34に収まらない食品30は、区画33に首尾よく配置して、容器基部11に蓋12を閉じることができる。これは、蓋12と容器基部11を閉じた状態に移行する際に、食品30が弾性変形部25と係合することにより、弾性変形部25が外側に(基部13から離れる方向に)弾性的に変形することによる。
【0046】
食品30は球状の物品として示されているが、区画33内にある、底部13と弾性変形部25の内側表面45との対向面間の高さを超える任意の物品が、弾性変形部25と接触すると、弾性変形部25が外側に弾性変形すると理解することが重要である。さらに、弾性変形部25は、物品が係合しているとき以外は、常に略平面的な構成である。係合時には、弾性変形部25が外側に変形して、区画33内に物品が収容される。もちろん、弾性変形部25の外向きの変形が起こり得る範囲には限界があるが、容器10内に配置される物品は、通常、所定高さH34より低いか、所定高さH34よりも高い場合には少しだけ高いものであることが想定される。すなわち、弾性変形部25は、通常、所定高さH34より少しだけ高い物品を収容するために設けられている。
【0047】
図7~10には、弾性変形部25を形成する様々な構成を示す。図7~11の構成は、弾性変形部25が図3~6に示されている態様と異なる。図7~11はそれぞれ、容器蓋の非弾性部50と、蓋の弾性変形部を示している。各図では、弾性変形部を、休止位置(上の図)と弾性変形位置(下の図)の2つの位置で示している。
【0048】
図7を参照すると、弾性変形部51の両側に非弾性部50がある一体構造が図示されている。弾性変形部51は、非弾性部50と同じ材質の薄肉部であり、例えば、弾性変形部50および非弾性部51の両方をポリプロピレンで形成することができる。上述のように、非弾性部50の肉厚を2~4mmとする一方、弾性変形部51の肉厚を0.2~1mmとすることができる。
【0049】
図8は、他の一体構造を示すが、図8では、弾性変形部は波形部分で形成される。そのため、はじめに、弾性変形部52の波形の外形が変形することによって外向きに弾性変形し、次いで、波形自体が直線化または平坦化することによってさらに変形する。さらに、波形が平坦化した後は、弾性変形部51が弾性伸長することにより変形することができる。
【0050】
図9は、TPE(熱可塑性エラストマー)、またはTPU(熱可塑性ポリウレタン)などの適切な軟質弾性材料の部分53が、非弾性部50の非弾性プラスチック材料(PP-ポリプロピレンなど)でオーバーモールドされた、オーバーモールド構成を示す。軟質弾性材料の部分53の両側端を、非弾性部50の対向する縁に接続して、2つの材料を結合させるオーバーモールド時に、化学結合を形成する。
【0051】
図10は、非弾性部50が下方に延在する突起54を含み、弾性変形可能であるが取り外し可能なシール55が突起54に固定される構成を示す。シール55は、図9について上述したのと同様の方法で非弾性部50に成形することができるオーバーモールド部56の下にある。
【0052】
図10の構成はまた、全体的なシール部材35のシール部36を設けることなく、弾性変形部25がどのように容器10に適合され得るかを示す。したがって、図3において、弾性変形部25はシール部36まで延在するのではなく、突起38を終端とすることができる。このような構成では、図6も参照すると、区画33のみが密封される。
【0053】
図11は、図10と類似の構成を示し、非弾性部50、および非弾性部50の間に接続されたオーバーモールド部56を示しているが、下向きに延在する突起54に適合する取り外し可能な周辺シール58も示している。周辺シール58は、図11のオーバーモールド部56の下にあるのではなく、オーバーモールド部56の周囲に延在、または周囲を取り囲んでいる。
【0054】
図12は、図8と類似の構成を示し、弾性変形部60の両側にある非弾性部50を含む一体構造を示している。弾性変形部60は、非弾性部50と一体で同じ材料である薄肉部61を含む。薄肉部61は、波形部である。弾性変形部60はさらに、薄肉部61の上面にある波形上に成形されたオーバーモールド部62を含む。図12の構成は、オーバーモールド部62が弾性変形部60の外側表面を形成し、波形部61が弾性変形部60の内側表面を形成している。
【0055】
この構成の利点は、食品グレードの容器に最も適切である。食品グレードの容器では、通常、食品と接触する表面にシリコーンが使用される。しかし、シリコーンは他の材料よりも高価である。ところが、図12では、薄い波形の食品グレードのPP(薄肉部61)と、オーバーモールドされたTPE(オーバーモールド部62)との組み合わせが使用されている。これにより、(薄肉部61が薄いので)使用するシリコーンの量を減らしつつ、好適に着色することができ手触りが柔らかいTPEを使用することによって、容器の外側を審美的に好ましく見せることが容易となる。
【0056】
図3および4に戻ると、弾性変形部25は、非弾性部26の平面的な上面にほぼ続いている。審美的にはこれが好ましいのであるが、本発明の他の形態では、オーバーモールド部56を除いた図10の構成を採用することができる。したがって、非変形状態では、弾性変形部55は非弾性部50の外側表面の下に延在する。しかし物品との係合時には、弾性変形部55は、物品を収容するために必要な変形量に応じて、非弾性部50の外側表面を超えて押し上げられる。
【0057】
食品容器10は、収容空間の高さH34が増大するように弾性変形部25が外側に弾性変形することによって、容器10の収容空間の高さH34を超える高さを有する食品などの物品の収容を有利に容易にすることができる。
【0058】
本明細書(特許請求の範囲を含む)において、「comprise」、「comprises」、「comprised」又は「comprising」のいずれか又はすべてが使用される場合、それらは、記載された特徴、整数、ステップ又は成分の存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ又は成分の存在を排除するものではないと解釈されるものとする。
【0059】
当業者は、本明細書に記載されている本発明が、具体的に記載されているもの以外の変形および修正を受けやすいことを理解するであろう。本発明は、本発明の精神および範囲内にあるそのようなすべての変形および修正を含むと理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12