(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-11
(45)【発行日】2024-12-19
(54)【発明の名称】レーザーアブレーション用セル
(51)【国際特許分類】
G01N 27/62 20210101AFI20241212BHJP
G01N 21/71 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
G01N27/62 F
G01N21/71
(21)【出願番号】P 2024086302
(22)【出願日】2024-05-28
【審査請求日】2024-06-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524188284
【氏名又は名称】ジェイ・エス・ティ有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002055
【氏名又は名称】弁理士法人iRify国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 淳一
【審査官】吉田 将志
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-035932(JP,A)
【文献】特開2008-180581(JP,A)
【文献】特表2024-520543(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/60 - G01N 27/70
G01N 21/62 - G01N 21/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セル本体と、
前記セル本体の搬送ガスの導入側に接続される導入部と、
前記セル本体の搬送ガスの導出側に接続される導出部と、
前記セル本体と前記導入部の接続端に介在するスリット部材と、を備え、
前記スリット部材は、前記導入部の導入口の一部を遮蔽することで前記搬送ガスの前記セル本体への導入量を制御
し、
前記スリット部材は、前記導入部側に装着され、前記導入部への装着位置を高さ方向に調整することで、前記遮蔽の大きさを調整する
レーザーアブレーション用セル。
【請求項2】
前記セル本体の内部に、底面と平行となる位置関係で挿入されるインナー部材を更に備え、前記インナー部材は、前記セル本体の内部の前記搬送ガスの充填空間の大きさを規制することで、前記搬送ガスの前記セル本体の内部での流速を制御する
請求項
1に記載のレーザーアブレーション用セル。
【請求項3】
上部に開口部を備えたセル本体と、
前記開口部に配設される窓部と、
前記セル本体に設置される設置台と、
前記セル本体の搬送ガスの導入側に接続される導入部と、
前記セル本体の搬送ガスの導出側に接続される導出部と、
前記セル本体の内部に、
前記窓部と前記設置台との位置関係を変えることなく前記設置台と対向するように挿入され
前記窓部と前記設置台との間に介在するもので、中央部に孔部が設けられたインナー部材と、
を備え、
前記インナー部材は、前記セル本体の内部の前記搬送ガスの充填空間の大きさを規制することで、前記搬送ガスの前記セル本体の内部での流速を制御する
レーザーアブレーション用セル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザーアブレーション用セルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザーアブレーションによる元素分析法(所謂LA-ICP-MS)においては、レーザーにより測定対象物面を照射することにより測定対象物をエアロゾル化(粒子化)する。このエアロゾル(粒子)を後段のICP-MSやICP-OES等の分析装置に導入することにより、元素分析を行う。
【0003】
これらICP-MSやICP-OES等の分析装置の導入口は、ガス雰囲気化でプラズマが発生している。そのため、対象物をレーザー照射し、直接分析装置へエアロゾル(粒子)を搬送するために、照射面もガス雰囲気化するためにセルが必要となる。また、エアロゾルの搬送のために、ガスはセル入り口から出口を介して分析装置へと流れる。
【0004】
このとき、分析装置側の制限により、ガスの流量上限は制限されるため、セル内の流速が十分に上がらず、サンプル周辺ではガスの対流等が生じ、測定対象物の設置場所によって精度に影響が発生することがある。例えば、
図10は従来技術に係るセルにおける上下方向の対流の様子を、
図11は従来技術に係るセルにおける奥行き方向の対流の様子を示している。
図10,
図11に示されるセル100では、セル本体102の導入側、導出側にそれぞれポートブロック101A,101Bが接続されており、セル本体102の上面は開口され、窓部106がカバー部材105により固定されている。セル本体102の凹部102Aには、試料台103が置かれ、その上に測定対象の試料104が置かれている。ポートブロック101Aの導入路101A-1から導入された搬送ガスは、セル本体2の内部に導かれ、エアゾルは導出路101B-1を介して導出される。導出された搬送ガスは、
図10において符号T1で示すように上下方向に対流し、
図11において符号T2,T3で示すように奥行方向に対流する。
【0005】
2次元または3次元の分布(イメージング)分析を行う場合、セル内の流速が上げられないため、空間分解能を上げるためには、隣接する箇所のレーザー照射までの時間を十分空ける必要があり、測定に時間がかかるといった欠点がある(間隔が短いと前段のエアロゾルと混ざってしまう)。
【0006】
例えば、
図10には、2次元または3次元の分布分析を行う際のエアロゾルの流れも併せて示している。図中、左側の一点をレーザーで照射すると、そのエアロゾルが分析装置に流れ込む(符号U1)。この分析装置にエアロゾルが流れ込み、分析が終わったタイミングをみて、隣の一点をレーザーで照射すると、そのエアロゾルが分析装置に流れ込む(符号U2)。この繰り返しにより、分布状況を分析することができる。このため、より空間分解能を向上させ、測定時間を短縮するために、従来技術では、セル内容量の小さなセルなどを別途用いて、セル内の流速を上げる工夫がなされていた。
【0007】
ここで、特許文献1では、試料ステージと、レーザー照射部と、気流搬送系と、イオン源と、分析部とを備えたレーザーアブレーション質量分析装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1等の従来技術では、セル内の対流や搬送ガスのセル内流速をセル側で制御することはできなかった。
【0010】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、セル内の対流抑制を図り、搬送ガスの流速を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係るレーザーアブレーション用セルは、セル本体と、前記セル本体の搬送ガスの導入側に接続される導入部と、前記セル本体の搬送ガスの導出側に接続される導出部と、前記セル本体と前記導入部の接続端に介在するスリット部材と、を備え、前記スリット部材は、前記導入部の導入口の一部を遮蔽することで前記搬送ガスの前記セル本体への導入量を制御し、前記スリット部材は、前記導入部側に装着され、前記導入部への装着位置を高さ方向に調整することで、前記遮蔽の大きさを調整する。
【0012】
本発明の他の態様に係るレーザーアブレーション用セルは、上部に開口部を備えたセル本体と、前記開口部に配設される窓部と、前記セル本体に設置される設置台と、前記セル本体の搬送ガスの導入側に接続される導入部と、前記セル本体の搬送ガスの導出側に接続される導出部と、前記セル本体の内部に、前記窓部と前記設置台との位置関係を変えることなく前記設置台と対向するように挿入され前記窓部と前記設置台との間に介在するもので、中央部に孔部が設けられたインナー部材と、を備え、前記インナー部材は、前記セル本体の内部の前記搬送ガスの充填空間の大きさを規制することで、前記搬送ガスの前記セル本体の内部での流速を制御する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、セル内の対流抑制を図り、搬送ガスの流速を向上させる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係るレーザーアブレーション用セルの構成図である。
【
図2】
図2は、同レーザーアブレーション用セルにおける測定対象物の設置方法を説明する図である。
【
図3】
図3は、同レーザーアブレーション用セルにおけるスリット部材の装着状態と稼働方向などを示す構成図である。
【
図4】
図4は、同レーザーアブレーション用セルにおけるスリット部材周辺のガスの流れを示す図である。
【
図5】
図5(a)、
図5(b)は、同レーザーアブレーション用セルにおけるスリット部材の稼働状態を示す構成図である。
【
図6】
図6(a)、
図6(b)は、同レーザーアブレーション用セルにおけるスリット部材の改良例を示す構成図である。
【
図7】
図7は、本発明の第2実施形態に係るレーザーアブレーション用セルの構成図である。
【
図8】
図8は、同レーザーアブレーション用セルの一部断面図である。
【
図9】
図9(a)、
図9(b)、
図9(c)は、同レーザーアブレーション用セルのインナー部材の構成を示す図である。
【
図10】
図10は、従来技術に係るセルにおけるガスの上下方向の対流を示す図である。
【
図11】
図11は、従来技術に係るセルにおけるガスの奥行方向の対流を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
【0016】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係るレーザーアブレーション用セルは、セル内に可変または脱着式のスリット部材を設けることでセル本体内のガス経路を制御するものである。
【0017】
図1には、本発明の第1実施形態に係るレーザーアブレーション用セルの構成を斜視図で示し、
図2には、同セルの設置ブロックを引き出した様子を斜視図で示し説明する。
【0018】
図1,
図2に示されるように、レーザーアブレーション用セル1は、セル本体2の搬送ガスの導入側側面に導入部としてのポートブロック3A、導出側側面に導出部としてのポートブロック3Bがそれぞれ装着され、更にセル本体2に着脱自在の設置ブロック7が装着され、構成されている。セル本体2へのポートブロック3A,3Bの装着に際して、この例では、ボルト12が用いられている。セル本体2は内部が中空で、その上面は開口部となっており、当該開口部には窓部4がカバー部材5により設置されている。この窓部4のカバー部材5による設置に際して、この例では、ボルト11が用いられている。
【0019】
搬送ガスの導入側のポートブロック3Aには、バルブ8Aを介して搬送チューブ9Aが接続されており、導出側のポートブロック3Bには、バルブ8Bを介して搬送チューブ9Bが接続されている。搬送チューブ9Bのポートブロック3Bへの接続端と反対の端部はICP-MS(OES)の導入口(プラズマイオン源)50に接続されている。
【0020】
ここでは不図示のレーザー光源のレーザー光は、図中符号D3で示す方向からセル本体2の試料11に照射され、搬送ガスは、図中符号D1で示す方向から導入され、エアゾルは、図中符号D2で示す方向に導出される。
【0021】
図2に示されるように、設置ブロック7は、セル本体2の開口部2Aよりセル本体2の内部に奥行方向(Z軸方向)に挿入することで当該セル本体2に装着される。設置ブロック7の設置ブロック平面部7Aには、ハンドル部6Cにより操作されるロック部材6A,6Bが、それぞれ設けられており、ハンドル部6Cを操作することで、ポートブロック3A,3Bに設けられたロック部材3A-2,3B-2に対するロックの開閉がなされる。すなわち、設置ブロック7をセル本体2の開口部2Aから挿入し、ハンドル部6Cを操作することで、ロック部材6A,6Bがロック部材3A-2,3B-2に係合し、位置固定される。設置ブロック7の凹部7Cには、設置台10が装着され、当該設置台10の上部平面に測定対象の試料11が置かれる。
【0022】
図3、
図4、及び
図5(a)、
図5(b)には、レーザーアブレーション用セルにおけるスリットの装着状態と稼働方向などを示し説明する。
【0023】
図3に示されるように、ポートブロック3Aの導入路3A-1より導入された搬送ガスは、セル本体2の内部に導入されるが、本実施形態に係るレーザーアブレーション用セル1では、セル本体2とポートブロック3Aとの接続端にスリット13を介在させて、セル本体2の内部に導入される搬送ガスの気流を制御する。
【0024】
より詳細には、スリット13は、この例では、ポートブロック3Aの接続端の平面にボルト14A~14Cで位置固定されるようになっているが、ボルトを挿入するスリット13側の孔が高さ方向(Y軸方向)に幅のある長孔となっているため、ボルトの締め付け位置を調整することで、スリット13によりポートブロック3Aの導入路3A-1の接続端での導出口の開口面積を高さ方向に調整することができる。このように、スリット13を高さ方向に稼働することにより、搬送ガスのセル本体2内での上下の気流を制御することが可能であり、例えば
図4に示されるような状態では、搬送ガスは、導入路3A-1からスリット通過時に測定対象物の試料11の表面へと下降気流となって向けられる。
【0025】
ここで、
図5(a)はスリット13を上限まで上げて位置固定した様子を示し、
図5(b)はスリット13を下限まで下げて位置固定した様子を示している。この例では、スリット13には、奥行き方向に等間隔で並んで3カ所の縦方向の長孔部13A,13B,13Cが設けられており、それぞれ、ボルト14A,14B,14Cによりポートブロック3Aの接続端の平面に位置固定される。
【0026】
このような構成において、設置ブロック7に設置された設置台10に測定対象となる試料11を置き、設置ブロック7をセル本体2に収容した状態でハンドル6Cを操作してロック部材6A,6Bをロック部材3A-2,3B-2に係合させロックする。そして、ポートブロック3Aの導入路3A-1より搬送ガスをセル本体2の内部に導入する。このとき、ポートブロック3Aとセル本体2の間には、スリット13が介在しているので、導入口の広さ(開口面積)が規制(制御)され、それにより、搬送ガスは、スリット通貨時に下降気流となって測定対象物の試料11の表面に向けられる。そして、この状態において、不図示のレーザー光源からのレーザー光を、窓部4を介して測定対象物たる試料11に向けて照射し、エアロゾル(粒子)をポートブロック3Bの導出路3B-1、バルブ8B、及び搬送チューブ9Bを介して、ICP-MSの導入口へと搬送する。
【0027】
本発明の実施形態に係るレーザーアブレーション用セル1を用いたレーザーアブレーションによる元素分析法では、レーザーを照射した箇所のみを選択的に分析可能であり、主に定量分析、2次元または3次元の分布分析が可能である。
【0028】
ここで、
図6(a)、
図6(b)には、レーザーアブレーション用セルにおけるスリットの改良例の構成を示し説明する。
【0029】
図6(a)に示される例では、スリット20の上方には、セル本体2の奥行き方向(スリット20の長手方向)に、非等間隔で複数の孔部20Aが設けられており、孔部20Aの下方にボルトで位置固定するための孔部20B,20C,20Dが設けられている。このように、セル本体2の奥行き方向に非等間隔で複数の孔部20Aを有したスリット20に交換することにより、奥行き方向のガス噴出量を制御することが可能となる。
【0030】
図6(b)に示される例では、スリット21は、セル本体2の奥行き方向(スリット21の長手方向)延びた長孔部21Aが設けられており、孔部21Aの下方にボルトで位置固定するための孔部21B,21C,21Dが設けられている。このように、セル本体2の奥行き方向に長孔部21Aを有したスリット21に交換することにより、奥行きと上限の気流を制限することができる。
【0031】
本発明の第1実施形態に係るレーザーアブレーション用セルによれば、セル本体と導入側のポートブロックとの間にスリット部材を介在させることで、ポートブロックの導出口の大きさを規制することで、セル本体内のガス経路を制御することが可能となる。
【0032】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態に係るレーザーアブレーション用セルはセル内に脱着式のインナー部材を設けることでセル本体内のガス流速を制御するものである。
【0033】
図7には、本発明の第2実施形態に係るレーザーアブレーション用セルの構成を斜視図で示し、
図8には同セルの一部断面図を示し、説明する。
【0034】
これらの図に示されるように、第2実施形態に係るレーザーアブレーション用セル31では、セル本体2の側面のポートブロック33Bを外し、インナー部材40を挿入または取り外し可能となっている。
【0035】
図7、
図8に示されるように、レーザーアブレーション用セル31は、セル本体32の搬送ガスの導入側、及び導出側側面にポートブロック33A,33Bが装着され、更にセル本体32に着脱自在の設置ブロック37が装着され、構成されている。セル本体32は内部が中空で、その上面は開口部となっており、当該開口部には窓部34がカバー部材35により設置されている。搬送ガスの導入側のポートブロック33Aには、バルブ38Aを介して搬送チューブが接続され、導出側のポートブロック33Bには、バルブ38Bを介して搬送チューブが接続される。ここでは不図示のレーザー光源のレーザー光は、セル本体32の高さ方向、上方から下方に向けて、窓部34を介して試料に照射される。
【0036】
セル本体32からポートブロック33Bを外すと、セル本体2の平面に開口部32Aが露呈する。この開口部32Aにインナー部材40を挿入し、ポートブロック33Bを再びセル本体2に装着することで、セル本体2において、試料11がおかれた空間(搬送ガスの充填空間)が規制され狭くなるので、ガスの流速を向上させることが可能となる。
【0037】
図9(a)、
図9(b)、
図9(c)には、レーザーアブレーション用セルのインナー部材の構成を示し説明する。
図9(a)は左方側面図、
図9(b)は平面図、
図9(c)は右方側面図である。
【0038】
これらの図に示されるように、インナー部材40は中央にレーザー照射用の孔部40Aが設けられており、当該孔部40Aを中心としてガス経路方向に導出路40Bが刻まれている。導出路40Bは、孔部40Aを挟んで導入側は広く、導出側は導入側に比べて狭くなるように形成されている。これにより、不要な箇所へのガス充填を抑制し、レーザー照射箇所のガスの流速を上げることが可能となる。
【0039】
本発明の第2実施形態に係るレーザーアブレーション用セルによれば、セル本体内にインナー部材を挿入することで、搬送ガスが充満する空間を狭小化することで、セル本体内のガス流速を制御することが可能となる。
【0040】
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、第1に、セル本体2と、セル本体2の搬送ガスの導入側に接続される導入部としてのポートブロック3Aと、セル本体2の搬送ガスの導出側に接続される導出部としてのポートブロック3Bと、セル本体2と導入部としてのポートブロック3Aの接続端に介在するスリット部材13とを備え、スリット部材13は、導入部としてのポートブロック3Aの導入口の一部を遮蔽することで搬送ガスのセル本体2への導入量を制御するレーザーアブレーション用セルが提供される。
【0041】
ここで、スリット部材13は、導入部としてのポートブロック3A側に、例えばボルト等を用いて装着され、導入部としてのポートブロック3Aへの装着位置を高さ方向に調整することで、遮蔽の大きさを調整するようにしてよい。
【0042】
あるいは、スリット部材20は、長手方向に複数の孔部20Aが形成されたスリット部20、または1つの長孔部21Aが形成されたスリット部21としてもよい。
【0043】
このほか、セル本体2の内部に、底面と平行となる位置関係で挿入されるインナー部材40を更に備え、インナー部材40は、セル本体2の内部の搬送ガスの充填空間の大きさを高さ方向から規制することで、搬送ガスのセル本体2の内部での流速を制御するようにしてもよい。
【0044】
第2に、セル本体32と、セル本体32の搬送ガスの導入側に接続される導入部としてのポートブロック33Aと、セル本体32の搬送ガスの導出側に接続される導出部としてのポートブロック33Bと、セル本体2の内部に、底面と平行となる位置関係で挿入されるインナー部材40と、を備え、インナー部材40は、前記セル本体32の内部の前記搬送ガスの充填空間の大きさを高さ方向から規制することで、搬送ガスのセル本体32の内部での流速を制御するレーザーアブレーション用セルが提供される。
【0045】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなくその趣旨を逸脱しない範囲で種々の改良・変更が可能であることは勿論である。
【0046】
例えば、前述したスリットの孔部の数や形状は、前述したものには限定されず、用途や計測条件に応じたに設計することが可能である。インナー部材についても、導出路の形状や設置位置(高さ)は、用途や計測条件に応じて設計することが可能である。更に第1実施形態と第2実施形態を組み合わせて、スリット部材、インナー部材を共に備えたアブレーション用セルとすることも可能である。
【符号の説明】
【0047】
1…レーザーアブレーション用セル、2…セル本体、3A,3B…ポートブロック、3A-1…導入路、3A-2…ロック部材、3B-1…導出路、3B-2…ロック部材、4…窓部、5…カバー部材、6…ハンドル部、6A,6B,6C…ロック部材、7…設置ブロック、7A…設置ブロック平面部、7B…設置ブロック本体、7C…凹部、8A,8B…バルブ、9A,9B…搬送チューブ、10…設置台、11…試料、11,12…ネジ部材、13…スリット部材、13A,13B,13C…長孔部、14…ボルト、14A,14B,14C…ボルト、20…スリット、20A…孔部、20B,20C,20D…孔部、21…スリット、21A…長孔部、21B,21C,21D…孔部、31…レーザーアブレーション用セル、32…セル本体、32A…開口部、33A,33B…ポートブロック、33A-2,33B-2…ロック部材、34…窓部、35…カバー部材、36…ハンドル部、36A,36B…ロック部材、36C…ハンドル部、37…設置ブロック、37A…凹部、38A,38B…バルブ、40…インナー部材、40A…孔部、40B…導出路、50…ICP-MSの導入口(プラズマイオン源)。
【要約】
【課題】セル内の対流抑制を図り、搬送ガスの流速を向上させる。
【解決手段】本発明は、セル本体2と、セル本体の搬送ガスの導入側に接続されるポートブロック3Aと、セル本体の搬送ガスの導出側に接続されるポートブロック3Bと、セル本体2とポートブロック3Aの接続端に介在するスリット部材13とを備え、スリット部材13はポートブロック3Aの導入口の一部を遮蔽することで搬送ガスのセル本体2への導入量を制御するレーザーアブレーション用セルである。
【選択図】
図3