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特許7602861複合粉体、皮膚外用組成物、及び無機蛍光粉体の蛍光強度増強方法
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  • 特許-複合粉体、皮膚外用組成物、及び無機蛍光粉体の蛍光強度増強方法 図1
  • 特許-複合粉体、皮膚外用組成物、及び無機蛍光粉体の蛍光強度増強方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-11
(45)【発行日】2024-12-19
(54)【発明の名称】複合粉体、皮膚外用組成物、及び無機蛍光粉体の蛍光強度増強方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/19 20060101AFI20241212BHJP
   A61K 8/23 20060101ALI20241212BHJP
   A61K 8/24 20060101ALI20241212BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20241212BHJP
   A61K 8/26 20060101ALI20241212BHJP
   A61K 8/27 20060101ALI20241212BHJP
   A61K 8/29 20060101ALI20241212BHJP
   A61Q 1/12 20060101ALI20241212BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
A61K8/19
A61K8/23
A61K8/24
A61K8/25
A61K8/26
A61K8/27
A61K8/29
A61Q1/12
A61Q17/04
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018200695
(22)【出願日】2018-10-25
(65)【公開番号】P2020066599
(43)【公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-10-21
【審判番号】
【審判請求日】2023-04-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000115991
【氏名又は名称】ロート製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】岡 真佐人
【合議体】
【審判長】井上 典之
【審判官】冨永 保
【審判官】齊藤 真由美
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-89898(JP,A)
【文献】特表2006-518398(JP,A)
【文献】特開2008-150518(JP,A)
【文献】特開2016-26404(JP,A)
【文献】特開2014-201648(JP,A)
【文献】国際公開第2017/142057(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/00-8/99
A61Q1/00-90/00
C09K11/00-11/89
H01L33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともa)無機蛍光粉体の表面の一部を、b)非蛍光粉体が被覆しており、a)無機蛍光粉体とb)非蛍光粉体の比率が、a成分:b成分=90(重量%):10(重量%)~70(重量%):30(重量%)であり、
b)非蛍光粉体が、酸化チタン、非蛍光性酸化亜鉛、マイカ、シリカ、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化セシウム、硫酸バリウム、タルク、セリサイト、カオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリコーン、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、窒化ホウ素、ポリエチレン、ポリアミド、架橋ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、セルロース、カルバメート、フッ素樹脂、ポリオレフィン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、小麦でんぷん、シルク、長鎖脂肪酸塩、セラミド、及びリン脂質からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする皮膚外用組成物用複合粉体(但し、a)無機蛍光粉体が、酸窒化物または窒化物で形成された蛍光体であるもの、及びYAl12:Ce3+である蛍光体であるものを除く)。
【請求項2】
a)無機蛍光粉体の有する蛍光波長が、440nm~520nm又は640nm~700nmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の皮膚外用組成物用複合粉体。
【請求項3】
a)無機蛍光粉体が、結晶母体及び/又は賦活剤としてAl(アルミニウム)、Zn(亜鉛)、Mg(マグネシウム)、Si(ケイ素)、Mn(マンガン)、Ca(カルシウム)、Ti(チタン)、Ce(セリウム)、Ba(バリウム)、O(酸素)、P(リン)、S(硫黄)の中から選択される少なくとも1種以上の元素を含有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の皮膚外用組成物用複合粉体。
【請求項4】
a)無機蛍光粉体が、酸化(Al/Ca/マンガン)、酸化(Mg/マンガン/チタン)、酸化亜鉛蛍光体、及び、リン酸(Ca/セリウム)からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1~3のいずれか記載の皮膚外用組成物用複合粉体。
【請求項5】
a)無機蛍光粉体の粒子径が、1μm以上200μm以下であることを特徴とする、請求項1~のいずれか記載の皮膚外用組成物用複合粉体。
【請求項6】
b)非蛍光粉体の粒子径が、1nm以上100nm以下であることを特徴とする、請求項1~のいずれか記載の皮膚外用組成物用複合粉体。
【請求項7】
請求項1~のいずれか記載の皮膚外用組成物用複合粉体を含有する、皮膚外用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機蛍光粉体と非蛍光粉体の複合粉体、それを含有する皮膚外用組成物、及び無機蛍光粉体の蛍光強度増強方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料では、目的に応じて様々な粉体が含有されている。特にメーキャップ化粧料や日焼け止め化粧料においては、粉体によってツヤ感、ソフトフォーカス性、色補正、紫外線防御能等の効果を付与することが一般的である。
【0003】
粉体の中で、蛍光粉体は、一般にディスプレイや照明、遊具や塗料等の用途に使用されているが、化粧料においてもメーキャップ効果を高める目的で使用されている。例えば、化粧料に蛍光粉体を用いることで、ソフトフォーカス性等の付与だけでなく、蛍光色による色補正効果の付与もできる。
【0004】
特許文献1では無機蛍光粉体であるアルミネート複合酸化物を含有させることでソフトフォーカス性を向上させた化粧料が開示されている。特許文献2では非晶質シリカ粒子を含んだ青色蛍光粉体が開示されており、化粧料への適用についても記載されている。しかし、特許文献1や特許文献2に記載されている蛍光粉体は発光強度が十分でないため、化粧料として効果を発揮するには配合量を多くする必要があった。また、これらの蛍光粉体はソフトフォーカス性が高いため、ツヤ感を高める効果をもたせた化粧料には不向きであった。
【0005】
そのような中、蛍光粉体において、その蛍光強度を増強させることで、メーキャップ効果を高める技術が開発されている。例えば特許文献3には、無機蛍光粉体と他の粉体を含有させることで発光強度がより効果的に高められた化粧料が開示されている。しかし、この文献に記載の技術では、蛍光粉体の蛍光強度の増強効果が不十分である場合がある。
【0006】
一方、化粧料分野においては様々な複合粉体が使用されており、複合化する粉体の組み合わせ等により、様々な化粧料効果が得られることが知られている。例えば特許文献4では無機粉体上に特定の方法でシリカを複合化することでソフトフォーカス効果を高めた複合粉体が開示されている。特許文献5では窒化ホウ素に金属酸化物を複合化することでツヤを高めた複合粉体が開示されている。
【0007】
しかし特許文献4、5においては、蛍光粉体に関する記述は一切なく、蛍光粉体の蛍光強度を増強するという課題は、これらの文献を参考にしても解決することができない。また、色補正効果についても何ら記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2014-5255号公報
【文献】特開2016-141780号公報
【文献】国際公開公報2017/142057号
【文献】特開2015-113306号公報
【文献】特開2011-236137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、無機蛍光体の蛍光強度の新規増強方法、この方法を用いて得られた蛍光強度が増強された無機蛍光体、それを含有する化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討した結果、無機蛍光粉体の表面の少なくとも一部に非蛍光粉体を被覆させることで蛍光強度が増強することを見出した。
【0011】
即ち、本発明の要旨は以下の通りである。
【0012】
[1]少なくともa)無機蛍光粉体の表面の一部を、b)非蛍光粉体が被覆していることを特徴とする複合粉体。
[2]a)無機蛍光粉体の有する蛍光波長が、440nm~520nm又は640nm~700nmの範囲内であることを特徴とする[1]に記載の複合粉体。
[3]a)無機蛍光粉体が、結晶母体及び/又は賦活剤としてAl(アルミニウム)、Zn(亜鉛)、Mg(マグネシウム)、Si(ケイ素)、Mn(マンガン)、Ca(カルシウム)、Ti(チタン)、Ce(セリウム)、Ba(バリウム)、O(酸素)、P(リン)、S(硫黄)の中から選択される少なくとも1種以上の元素を含有していることを特徴とする[1]又は[2]に記載の複合粉体。
[4]a)無機蛍光粉体が、酸化(Al/Ca/マンガン)、酸化(Mg/マンガン/チタン)、酸化亜鉛蛍光体、及び、リン酸(Ca/セリウム)からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする[1]~[3]のいずれか記載の複合粉体。
[5]b)非蛍光粉体が、酸化チタン、非蛍光性酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アルミニウム(アルミナ)、及び、シリカからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする[1]~[4]のいずれか記載の複合粉体。
[6]a)無機蛍光粉体の粒子径が、1μm以上200μm以下であることを特徴とする、[1]~[5]のいずれか記載の複合粉体。
[7]b)非蛍光粉体の粒子径が、1nm以上100nm以下であることを特徴とする、[1]~[6]のいずれか記載の複合粉体。
[8]複合粉体におけるa)無機蛍光粉体とb)非蛍光粉体の比率が、a成分:b成分=95(重量%):5(重量%)~70(重量%):30(重量%)であることを特徴とする、[1]~[7]のいずれか記載の複合粉体。
[9]皮膚外用組成物用である、[1]~[8]のいずれか記載の複合粉体。
[10][1]~[9]のいずれか記載の複合粉体を含有する、皮膚外用組成物。
[11]a)無機蛍光粉体の表面の一部をb)非蛍光粉体で被覆することを特徴とする、無機蛍光粉体の蛍光強度増強方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、a)無機蛍光粉体の表面の少なくとも一部にb)非蛍光粉体を被覆させた複合粉体とすることで、a)無機蛍光粉体の蛍光強度を顕著に向上させることができる。また、a)無機蛍光粉体の表面の少なくとも一部にb)非蛍光粉体を被覆させた本発明の複合粉体は、優れた発光性を示すため、化粧料に含有させることで、よりメーキャップ効果の高い化粧料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施例1の無機蛍光複合粉体の走査型電子顕微鏡画像である。
図2】比較例2の無機蛍光粉体混合物の走査型電子顕微鏡画像である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書中で使用される用語は、特に言及しない限り、当該技術分野で通常用いられる意味で解釈される。
【0016】
また、本明細書中で使用される%は、特に言及しない限り重量%を指す。
【0017】
<複合粉体>
本発明の複合粉体は、少なくともa)無機蛍光粉体の表面の一部をb)非蛍光粉体が被覆していることを特徴とする。ここで、被覆とは、a)無機蛍光粉体の表面の少なくとも一部をb)非蛍光粉体が覆っていることを意味し、a)無機蛍光粉体の表面の一部を覆っている場合、a)無機蛍光粉体の表面の全部を覆っている場合のいずれも含む。本願発明の複合粉体の被覆率は30%以上が好ましく、40%以上がより好ましく、50%以上がさらに好ましい。
【0018】
本願発明における被覆率とは、a)無機蛍光粉体の表面積に対する、a)無機蛍光粉体の表面積と複合粉体における被覆されていない表面の表面積の差の割合のことであり、下記のような式で表すことができる。
【数1】
【0019】
被覆率を求める方法としては、例えば、走査型電子顕微鏡観察画像において複合粉体の表面を観察し、複合粉体の表面全体と、b)非蛍光粉体が被覆されていない面の表面積を画像解析等により求め、上記式により各複合粉体の被覆率を算出し、複数の複合粉体の被覆率の平均値を本発明における複合粉体の被覆率とすることができる。
【0020】
本発明で用いられるa)無機蛍光粉体は、蛍光特性を有する無機粉体であればよく、形状、大きさは限定されない。
【0021】
a)無機蛍光粉体としては、蛍光特性を有する無機粉体であればよく、結晶母体単体で蛍光特性を有する賦活剤を含まない無機蛍光粉体でも、結晶母体と賦活剤(不純物)からなる賦活型蛍光体でもよい。本明細書における結晶母体とは、結晶体でも非晶体でもよい。また、それ以外の賦活剤等を含んでも、含まなくてもよく、賦活剤等を含まない場合においても通常用いられる結晶体及び非晶体と同等の意味で用いられる。結晶母体としては、金属酸化物、リン酸化合物、金属硫化物、金属硫酸化物、ハロリン酸化合物等が挙げられ、金属酸化物又はリン酸化合物が好ましい。
【0022】
本発明で用いられるa)無機蛍光粉体の結晶母体としては、Al(アルミニウム)、Ti(チタン)、Zn(亜鉛)、Ge(ゲルマニウム)、Si(ケイ素)、Fe(鉄)、Zr(ジルコニウム)、Mn(マンガン)、Mg(マグネシウム)、Ca(カルシウム)、Zn(亜鉛)の中から選択される1種以上の元素を含有していることが好ましい。中でもAl(アルミニウム)、Zn(亜鉛)、Mg(マグネシウム)、Ca(カルシウム)、Ti(チタン)、Ba(バリウム)、O(酸素)、P(リン)、S(硫黄)の中から選択される1種以上の元素を含有していることが好ましく、特にO(酸素)及び/又はP(リン)を含有し、かつAl(アルミニウム)、Zn(亜鉛)、Mg(マグネシウム)、Ca(カルシウム)、Ti(チタン)、Ba(バリウム)から選ばれる1種以上の元素を含有していることが好ましい。
【0023】
本発明で用いられる賦活剤を含むa)無機蛍光粉体の賦活剤としては、Mn(マンガン)、Eu(ユウロピウム)、Cr(クロム)、Ce(セリウム)、Pr(プラセオジム)、La(ランタン)、Gd(ガドリニウム)、Tb(テルビウム)、Dy(ジスプロシウム)、Ho(ホルミウム)、Er(エルビウム)、Tm(ツリウム)、Yb(イッテルビウム)、Fe(鉄)、Zn(亜鉛)、Ti(チタン)等が用いられるが、特にこれらに限定されない。
【0024】
本発明で用いられるa)無機蛍光粉体は、結晶母体及び/又は賦活剤としてAl(アルミニウム)、Zn(亜鉛)、Mg(マグネシウム)、Si(ケイ素)、Mn(マンガン)、Ca(カルシウム)、Ti(チタン)、Ce(セリウム)、Ba(バリウム)、O(酸素)、P(リン)、S(硫黄)の中から選択される少なくとも1種以上の元素を含有していることが好ましく、特に酸化(Al/Ca/マンガン)、酸化(Mg/マンガン/チタン)、酸化亜鉛蛍光体、リン酸(Ca/セリウム)が好ましい。
【0025】
本発明で用いられるa)無機蛍光粉体は、いずれの色の蛍光を発するものであってよく、特に赤色蛍光粉体、緑色蛍光粉体、青色蛍光粉体が好ましい。
【0026】
a)無機蛍光粉体の有する最大蛍光波長は、440nm~520nm又は640nm~700nmの範囲であることが好ましい。
【0027】
本発明で用いられるa)無機蛍光粉体の市販品としては、例えば、Lumate R(堺化学工業社製)、Lumate G(堺化学工業社製)、Lumate B(堺化学工業社製)等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。
【0028】
本発明で用いられるa)無機蛍光粉体の粒子径は特に限定されないが、0.5μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましい。また、a)無機蛍光粉体の粒子径は、300μm以下であり、200μm以下であることが好ましく、150μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることがさらに好ましい。本発明で用いられるa)無機蛍光粉体の粒子径としては、十分な蛍光強度が得られ、化粧料等に用いた場合に使用感に優れる等の観点から、1μm以上200μm以下であることが好ましく、2μm以上100μm以下であることがより好ましい。
【0029】
なお、本願発明で用いる粒子径とは、透過型電子顕微鏡で観察した時の一次粒子における平均径のことを指す。
【0030】
本発明で用いられるb)非蛍光粉体は、蛍光特性を有さない粉体であれば特に限定されず、無機粉体でも有機粉体でもよく、形状や大きさも限定されない。
【0031】
無機粉体としては、酸化チタン、非蛍光性酸化亜鉛、酸化鉄(ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄)、シリカ、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化セシウム、酸化クロム、水酸化クロム、硫酸バリウム、合成金雲母、マイカ、タルク、セリサイト、カオリン、グンジョウ、コンジョウ、カーボンブラック、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリコーン、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、窒化ホウ素等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。
【0032】
無機粉体の市販品としては、例えば、MP-1133AQ(テイカ社製)、MP-1133WP(テイカ社製)、MT-100WP(テイカ社製)、MT-100SA(テイカ社製)、MT-500B(テイカ社製)、MZ-300(テイカ社製)、MTZ-3040TSW(テイカ社製)、MZ-500(テイカ社製)、FINEX-30(堺化学工業社製)、FINEX-50(堺化学工業社製)、FINEX-30W(堺化学工業社製)、FINEX-50W(堺化学工業社製)、FINEX-50W-LP2(堺化学工業社製)、AEROSIL 200(日本アエロジル社製)、AEROSIL Alu C(日本アエロジル社製)、LL-100HP(チタン工業社製)、R-516HP(チタン工業社製)、BL-100HP(チタン工業社製)、セリサイトFSE(三信鉱工社製)、シリカマイクロビード P-1500(日揮触媒化成社製)、KSP-100(信越化学工業社製)、KSP-300(信越化学工業社製)等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。
【0033】
有機粉体としては、ポリエチレン、ポリアミド、架橋ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、セルロース、カルバメート、フッ素樹脂、ポリオレフィン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、小麦でんぷん、シルク、長鎖脂肪酸塩、セラミド、リン脂質等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。
【0034】
有機粉体の市販品としては、例えば、ガンツパールGMX-0610(アイカ工業社製)、ガンツパールGMX-0610AQ(アイカ工業社製)、SP-500(東レ社製)、Ceramide I(Evonik社製)、Ceramide III(Evonik社製)、Ceramide VI(Evonik社製)、Phytopresome Care-V(日本精化社製)、Ceramide TIC-001(高砂香料工業社製)、SLP-PC70(辻精油社製)、SLP-PC92H(辻精油社製)、NIKKOL レシノールS-10(日光ケミカルズ社製)等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。
【0035】
本発明で用いられる非蛍光粉体は無機粉体が好ましく、中でも金属酸化物、金属水酸化物、ケイ酸化物が好ましい。さらに金属酸化物とケイ酸化物は好ましく、酸化チタン、非蛍光性酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アルミニウム(アルミナ)、シリカが特に好ましい。
【0036】
また、本発明で用いられるb)非蛍光粉体の粒子径は、本願発明で用いられる無機蛍光粉体の粒子径よりも小さい方が好ましく、250nm以下であることが好ましく、100nm以下の微粒子であることがより好ましい。また、本発明の複合粒子の蛍光強度を向上させる効果の観点から、0.1nm以上であることが好ましく、1nm以上であることがより好ましい。本発明で用いられる非蛍光粉体の粒子径としては、0.1nm以上150nm以下であることが好ましく、1nm以上100nm以下であることがより好ましい。
【0037】
本願発明で用いられるa)無機蛍光粉体及び/又はb)非蛍光粉体は、複合化させる粉体の組み合わせによって、粉体同士の付着性を向上させたり、得られる複合粉体の蛍光強度をより高める等の目的で、表面処理がなされていてもよい。この表面処理は、複合化前のそれぞれの粉体に対して行ってもよいし、得られた複合粉体に対して行ってもよい。
【0038】
表面処理に用いられる物質の種類としては、シリカ、アルギン酸、酸化アルミニウム(アルミナ)、POE/ジメチコン共重合体、ポリエチレングリコール、水酸化アルミニウム、アミノ酸、金属石ケン、パーフルオロアルキルエチルリン酸エステルジエタノールアミン酸、フッ素アルキルアクリレート/ポリアルキレングリコールアクリレートポリマー、パーフルオロポリエーテルリン酸、パーフルオロポリエーテル鎖を有するアニオン性又はカチオン性高分子、水素添加レシチン、アシル化アミノ酸、α-トコフェロールリン酸エステル酸、メチルハイドロジェンポリシロキサン、α-モノアルコキシポリジメチルシロキサン、α-ジアルコキシポリジメチルシロキサン、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルジメチコン、アモジメチコン、トリエトキシカプリリルシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン、パーフルオロオクチルトリエトキシシラン、等が挙げられるが、これらに限定されない。中でも、親水性の表面処理が好ましく、特に、シリカ、アルギン酸、酸化アルミニウム(アルミナ)、POE/ジメチコン共重合体、ポリエチレングリコール、水酸化アルミニウムが好ましい。
【0039】
また、a)無機蛍光粉体及び/又はb)非蛍光粉体に対しては、複数の表面処理がなされていてもよく、表面処理率(粉体に対する表面処理剤量の割合)や表面処理方法も特に限定されない。
【0040】
本発明において用いられるa)無機蛍光粉体及び/又はb)非蛍光粉体は、後述する複合粉体の調製方法での湿式処理において付着力が高いという点で、表面が親水性であることが好ましい。中でも、少なくとも1つ以上の親水性の表面処理がなされていることが好ましく、最表面に親水性の表面処理がなされていることが特に好ましい。ここで、親水性の表面処理としては、例えばシリカ、アルギン酸、酸化アルミニウム(アルミナ)、水酸化アルミニウム、アミノ酸、ポリエチレングリコール、POE/ジメチコン共重合体処理等が挙げられるが特にこれらに限定されない。
【0041】
本願発明における複合粉体の調製方法は特に限定されないが、湿式処理が好ましい。
【0042】
湿式処理では、分散媒中にa)無機蛍光粉体とb)非蛍光粉体を分散し、b)非蛍光粉体をa)無機蛍光粉体の表面の少なくとも一部に被覆させることが好ましい。また、a)無機蛍光粉体及び/又はb)非蛍光粉体を機械的撹拌力・解砕力により十分に分散させる方が好ましく、具体的にはマグネチックスターラー、ミキサー、超音波、ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、ディスパーミキサー、ビーズミル、コロイドミル、ローラーミル、三本ローラーミル、スタンプミル、ロッドミル、ボールミル、ジョークラッシャー、ニーダー、プラネタリーミキサー等が挙げられるが特にこれらに限定されず、2つ以上用いても構わない。
【0043】
また、ろ過や遠心分離、乾燥等の工程を付与してもよい。乾燥方法も特に限定されない。得られる複合粉体は、分散体やペーストとして用いてもよく、粉体として用いてもよい。
【0044】
湿式処理において用いる分散媒も特に限定されず、水、アルコール、炭化水素油、エステル油、シリコーン油、有機溶媒等が挙げられ、分散媒中に界面活性剤や塩、キレート剤等の成分を含有させてもよい。
【0045】
湿式処理において用いる分散媒は、粉体同士の付着力が向上する等の理由から、親水性の分散媒が好ましく、少なくとも水を含んでいることが好ましい。
【0046】
本発明の複合粉体におけるa)無機蛍光粉体とb)非蛍光粉体の重量の割合は、a)無機蛍光粉体とb)非蛍光粉体のそれぞれの形状や大きさ等により適宜調整すればよいが、a成分(重量%):b成分(重量%)=95:5~70:30が好ましく、特に90:10~70:30が好ましい。また、上記割合は、例えば、複合粉体を調製する際の、a)成分、b)成分の仕込み量(重量%)の割合としてもよい。
【0047】
本発明の複合粉体は、蛍光強度が強いことから、様々な形態の化粧料等の皮膚外用組成物に好適に用いることができる。また、蛍光を活用できる照明や遊具、塗料等の分野においても好適に使用することができる。
【0048】
<皮膚外用組成物>
本発明の外用組成物は、上述した本発明の複合粉体を含有する。本発明の複合粉体は、蛍光強度が強く、優れた発光性、色補正効果を示すため、これを含有する皮膚外用組成物は、傷痕を目立たなくしたり、肌の色味を整える、メーキャップ効果を付与する等の目的で、医薬品、医薬部外品、化粧料などの皮膚外用剤全般に使用できる。特にメーキャップ効果に優れることから、化粧品として好適に使用できる。
【0049】
本発明の皮膚外用組成物における複合粉体の含有量としては、0.0001重量%以上50重量%以下であり、0.001重量%以上30重量%以下であることが好ましく、0.01重量%以上20重量%以下であることがより好ましく、0.01重量%以上10重量%以下であることがさらに好ましく、0.01重量%以上5重量%以下であることが特に好ましい。
【0050】
本発明の皮膚外用組成物は、本発明の複合粉体以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分を含んでいてもよい。
【0051】
その他の成分としては、種々の目的に応じて、油分、親油性非イオン界面活性剤、親水性非イオン界面活性剤、その他の界面活性剤、金属イオン封鎖剤、天然の水溶性高分子、半合成の水溶性高分子、合成の水溶性高分子、無機の水溶性高分子、各種の抽出液、各種粉体、保湿成分、多価アルコール、スクラブ剤、紫外線散乱成分、収斂成分、ペプチド又はその誘導体、アミノ酸又はその誘導体、洗浄成分、角質柔軟成分、細胞賦活化成分、老化防止成分、血行促進作用成分、美白成分、DNAの損傷の予防及び/又は修復作用を有する成分、抗炎症成分、抗酸化成分、ビタミン類、皮脂吸着成分、抗菌成分等のその他の成分を、本発明の効果を損なわない範囲で含んでいてもよい。本発明の皮膚外用組成物において、これらの成分は、1種又は2種以上組み合わせて配合してもよい。なお、これらの各成分としては、医薬品、医薬部外品、化粧品分野等において使用され得るものであれば特に制限されず、任意のものを適宜選択し使用することができる。
【0052】
本発明の皮膚外用組成物は、本発明の複合粉体の他に、複合化していない蛍光粉体を含んでいてもよい。
【0053】
本発明の皮膚外用組成物の製造方法は特に制限されず、必須成分である本発明の複合粉体、及び上記その他の成分等から適宜選択した成分を、配合して、常法により、混合して製造することができる。
【0054】
本発明の皮膚外用組成物の具体的用途としては、例えば、化粧水、保湿液、乳液、美容液、パック、ハンドクリーム、ボディローション、ボディークリーム、リップクリームのような基礎化粧料;洗顔料、メイク落とし、ボディーシャンプーのような洗浄用化粧料;ファンデーション、化粧下地、アイカラー、アイシャドー、アイライナー、アイブロウ、ハイライト、コントロールカラー、チーク、マスカラ、口紅、ファイスパウダーのようなメーキャップ化粧料;日焼け止め化粧料等の化粧料に用いることができる。また、これら化粧料の機能を1つの製剤にまとめた多機能型製剤も挙げられる。さらに、創傷用軟膏、ニキビ用外用剤等の医薬品・医薬部外品等にも用いることができる。
【0055】
中でも、ファンデーション、化粧下地、アイカラー、アイシャドー、アイライナー、アイブロウ、ハイライト、コントロールカラー、チーク、マスカラ、口紅、ファイスパウダーのようなメーキャップ化粧料;日焼け止め化粧料等の化粧料が、特に好ましい。
【0056】
<無機蛍光粉体の蛍光強度増強方法>
本発明は、a)無機蛍光粉体の表面の一部にb)非蛍光粉体を被覆させることを特徴とする、無機蛍光粉体の蛍光強度増強方法も含む。また、a)無機蛍光粉体の表面の一部にb)非蛍光粉体を被覆させて得られた本発明の複合粉体は、優れた発光性を示すため、化粧料に含有させることで、よりメーキャップ効果の高い化粧料を提供することができるものである。なお、無機蛍光粉体の蛍光強度増強方法におけるa)無機蛍光粉体、b)非蛍光粉体の説明、これらを用いて調製される複合粉体の具体的な説明は、「複合粉体」の項の説明を適用できる。
【実施例
【0057】
次にa)無機蛍光粉体の表面の少なくとも一部をb)非蛍光粉体が被覆している複合粉体について実施例を挙げ、詳細を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0058】
(実施例1)
シリカ処理酸化(Al/Ca/マンガン)(板状・粒子径40μm・水酸化アルミニウム処理 4.5%後、シリカ処理 1.0%・蛍光波長は660nm)4.5gを水45.5g中に入れ、ディスパーミルで十分に分散させ、酸化(Al/Ca/マンガン)水分散体を得た。次にアルミナ処理微粒子酸化チタン(針状・粒子径15nm・水酸化Al処理 6%)0.5gを水49.5g中に入れ、ディスパーミルで十分に分散させ、アルミナ処理微粒子酸化チタン水分散体を得た。酸化(Al/Ca/マンガン)水分散体中にアルミナ処理微粒子酸化チタン水分散体を混合させ、ディスパーミルで十分に分散後、ろ過、60℃で一晩乾燥させた。乾燥後に凝集物をミルグラインダーで解砕し、無機蛍光複合粉体を得た。
【0059】
(比較例1)
シリカ処理酸化(Al/Ca/マンガン)(板状・粒子径40μm・水酸化アルミニウム処理 4.5%後、シリカ処理 1.0%・蛍光波長は660nm。)4.5gとアルミナ処理微粒子酸化チタン(針状・粒子径15nm・水酸化Al処理 6%)0.5gをミルグラインダーで粉砕し、無機蛍光粉体混合物を得た。
【0060】
(比較例2)
比較例2として、シリカ処理酸化(Al/Ca/マンガン)(板状・粒子径40μm・水酸化アルミニウム処理 4.5%後、シリカ処理 1.0%・蛍光波長は660nm)を用いた。
【0061】
<複合化の確認>
走査型電子顕微鏡 VE-8800(キーエンス社製)を用いて実施例1の無機蛍光複合粉体と比較例2の無機蛍光粉体混合物を観察した。それぞれの顕微鏡写真を図1(実施例1)、図2(比較例2)として示した。
【0062】
図1図2を比較すると、明らかに実施例1においてシリカ処理酸化(Al/Ca/マンガン)の表面にアルミナ処理微粒子酸化チタンが付着し、非蛍光粉体であるアルミナ処理微粒子酸化チタンが、無機蛍光粉体であるシリカ処理酸化(Al/Ca/マンガン)の表面を被覆していることを確認できた。
【0063】
<試験1 蛍光強度の評価>
プレート(50mm×50mm HELIOPLATE HD6、HelioScreen Labs製)に両面テープを貼り、刷毛で均一に試料を塗布。分光変角色差計GC-5000(日本電色工業社製)を用い、プレートの試料が塗布された面側に入射角45°で光をあて、正反射角の反射強度を測定した。a)成分の蛍光波長における強度において、a)無機蛍光粉体のみの時の強度を1とした時の、各試料の蛍光波長における強度を比較した。
【0064】
【表1】
【0065】
比較例2:a)無機蛍光粉体単体と、比較例1:a)無機蛍光粉体とb)非蛍光粉体の単純混合の、蛍光波長660nmにおける反射強度を比較すると、a)無機蛍光粉体とb)非蛍光粉体を単純混合するだけでも約9倍に蛍光強度が増加した。実施例1:a)無機蛍光粉体とb)非蛍光粉体を複合粉体は、比較例1の約14倍の強度を示し、複合化により、さらに蛍光強度が増加することが確認できた。
【0066】
また、蛍光波長(660nm)の場合と、蛍光波長(400nm)の場合で、蛍光強度を比較すると、蛍光波長(660nm)の方がより、蛍光強度が増加しており、a)成分の蛍光波長において、より顕著な強度増加が確認された。蛍光波長660nmの蛍光強度が顕著に増強されることにより、赤味の映える粉体となった。
【0067】
(実施例2)
シリカ処理酸化(Al/Ca/マンガン)(板状・粒子径40μm・水酸化アルミニウム処理 4.5%後、シリカ処理 1.0%・蛍光波長660nm)0.95gを水49.05g中に入れ、ディスパーミルで十分に分散させ、酸化(Al/Ca/マンガン)水分散体を得た。次にアルミナ処理微粒子酸化チタン(針状・粒子径15nm・水酸化Al処理 6%)0.05gを水49.9g中に入れ、ディスパーミルで十分に分散させ、アルミナ処理微粒子酸化チタン水分散体を得た。酸化(Al/Ca/マンガン)水分散体中にアルミナ処理微粒子酸化チタン水分散体を混合させ、ディスパーミルで十分に分散後、ろ過、60℃で一晩乾燥させた。乾燥後に凝集物をミルグラインダーで解砕し、無機蛍光複合粉体を得た。
【0068】
(実施例3)
シリカ処理酸化(Al/Ca/マンガン)(板状・粒子径40μm・水酸化アルミニウム処理 4.5%後、シリカ処理 1.0%・蛍光波長660nm)0.80gを水49.20g中に入れ、ディスパーミルで十分に分散させ、酸化(Al/Ca/マンガン)水分散体を得た。次にアルミナ処理微粒子酸化チタン(針状・粒子径15nm・水酸化Al処理 6%)0.20gを水49.80g中に入れ、ディスパーミルで十分に分散させ、アルミナ処理微粒子酸化チタン水分散体を得た。酸化(Al/Ca/マンガン)水分散体中にアルミナ処理微粒子酸化チタン水分散体を混合させ、ディスパーミルで十分に分散後、ろ過、60℃で一晩乾燥させた。乾燥後に凝集物をミルグラインダーで解砕し、無機蛍光複合粉体を得た。
【0069】
(実施例4)
シリカ処理酸化(Al/Ca/マンガン)(板状・粒子径40μm・水酸化アルミニウム処理 4.5%後、シリカ処理 1.0%・蛍光波長660nm)0.70gを水49.30g中に入れ、ディスパーミルで十分に分散させ、酸化(Al/Ca/マンガン)水分散体を得た。次にアルミナ処理微粒子酸化チタン(針状・粒子径15nm・水酸化Al処理 6%)0.30gを水49.70g中に入れ、ディスパーミルで十分に分散させ、アルミナ処理微粒子酸化チタン水分散体を得た。酸化(Al/Ca/マンガン)水分散体中にアルミナ処理微粒子酸化チタン水分散体を混合させ、ディスパーミルで十分に分散後、ろ過、60℃で一晩乾燥させた。乾燥後に凝集物をミルグラインダーで解砕し、無機蛍光複合粉体を得た。
【0070】
複合化処理を行った実施例1~4の蛍光強度を、複合化前のa)無機蛍光粉体である比較例2の強度を1として、比較した。結果は表2に示す。
【0071】
【表2】
【0072】
(実施例5)
実施例1のシリカ処理酸化(Al/Ca/マンガン)を、粒子径10μmのシリカ処理酸化(Al/Ca/マンガン)(板状・粒子径10μm・水酸化アルミニウム処理 4.5%後、シリカ処理 3.0%・蛍光波長660nm)に変え、無機蛍光複合粉体を得た。
【0073】
(実施例6)
実施例3のシリカ処理酸化(Al/Ca/マンガン)を、粒子径10μmのシリカ処理酸化(Al/Ca/マンガン)(板状・粒子径10μm・水酸化アルミニウム処理 4.5%後、シリカ処理 3.0%・蛍光波長660nm)に変え、無機蛍光複合粉体を得た。
【0074】
(実施例7)
実施例4のシリカ処理酸化(Al/Ca/マンガン)を、粒子径10μmのシリカ処理酸化(Al/Ca/マンガン)(板状・粒子径10μm・水酸化アルミニウム処理 4.5%後、シリカ処理 3.0%・蛍光波長660nm)に変え、無機蛍光複合粉体を得た。
【0075】
(比較例3)
比較例3として、シリカ処理酸化(Al/Ca/マンガン)(板状・粒子径10μm・水酸化アルミニウム処理 4.5%後、シリカ処理 3.0%・蛍光波長660nm)を用いた。
【0076】
複合化処理を行った実施例5~7の蛍光強度を、複合化前のa)無機蛍光粉体である比較例3の強度を1として、比較した。結果を表3に示す。
【0077】
【表3】
【0078】
実施例1~4と比較例2より、a)成分とb)成分の比率を変えても、複合化により、蛍光強度の増強が確認できた。
【0079】
また、a)成分の粒子径を変えても(実施例5~7)同様に、複合化により、蛍光強度の増強が確認できた。特にa:b=90:10~70:30において顕著に蛍光強度が上昇した。
【0080】
(実施例8)
実施例1のシリカ処理酸化(Al/Ca/マンガン)をアルギン酸処理酸化(Al/Ca/マンガン)(板状・粒子径40μm・アルギン酸処理 3%・蛍光波長は660nm)に変え、無機蛍光複合粉体を得た。
【0081】
(実施例9)
実施例8のアルミナ処理微粒子酸化チタンをシリカ処理微粒子酸化チタン(針状・粒子径15nm・シリカ処理 30%)に変え、無機複合粉体を得た。
【0082】
(実施例10)
実施例1のアルミナ処理微粒子酸化チタンをアルミナ(略球状・粒子径13nm・表面処理なし)に変え、無機蛍光複合粉体を得た。
【0083】
(実施例11)
実施例1のシリカ処理酸化(Al/Ca/マンガン)をアルギン酸処理酸化(Al/Ca/マンガン)(板状・粒子径40μm・アルギン酸処理 1%・蛍光波長は660nm)に変え、さらにアルミナ処理微粒子酸化チタンをシリカ(略球状・粒子径12nm・表面処理なし)に変え、無機蛍光複合粉体を得た。
【0084】
(実施例12)
実施例3のシリカ処理酸化(Al/Ca/マンガン)をアルギン酸処理酸化(Al/Ca/マンガン)(板状・粒子径40μm・アルギン酸処理 1%・蛍光波長は660nm)に変え、さらにアルミナ処理微粒子酸化チタンをシリカ処理顔料級酸化チタン(略球状・粒子径250nm・水酸化Al処理 2.6%後にシリカ処理 5.0%)に変え、無機複合粉体を得た。
【0085】
(実施例13)
実施例12のシリカ処理顔料級酸化チタンをPOE・ジメチコン共重合体処理微粒子酸化亜鉛(略球状・粒子径35nm・トリエトキシカプリリルシラン処理 3.6%後、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体処理 10.0%)に変え、無機蛍光複合粉体を得た。
【0086】
(比較例4)
比較例4として、アルギン酸処理酸化(Al/Ca/マンガン)(板状・粒子径4μm・アルギン酸処理 3%・蛍光波長660nm)を用いた。
【0087】
(比較例5)
比較例5として、アルギン酸処理酸化(Al/Ca/マンガン)(板状・粒子径4μm・アルギン酸処理 1%・蛍光波長660nm)を用いた。
【0088】
それぞれの実施例で得られた無機蛍光複合粉体において、複合していないa)無機蛍光粉体と蛍光強度を1として比較した結果は表4のようになった(実施例8、9は比較例4と、実施例10は比較例2と、実施例11~13は比較例5で強度の比を求めた)。
【0089】
【表4】
【0090】
(実施例14)
実施例1のシリカ処理酸化(Al/Ca/マンガン)をリン酸(Ca/セリウム)(Lumate B(堺化学工業社製、最大蛍光波長 460nm))に変え、無機蛍光複合粉体を得た。
【0091】
(実施例15)
実施例1のシリカ処理酸化(Al/Ca/マンガン)を酸化亜鉛蛍光体(Lumate G(堺化学工業社製、最大蛍光波長 500nm))に変え、アルミナ処理微粒子酸化チタンをシリカ処理微粒子酸化チタン(針状・粒子径15nm・シリカ処理 30%)に変え、無機蛍光複合粉体を得た。
【0092】
(実施例16)
実施例1のシリカ処理酸化(Al/Ca/マンガン)を酸化(Mg/マンガン/チタン)(Lumate R(堺化学工業社製、最大蛍光波長660nm))に変え、アルミナ処理微粒子酸化チタンをシリカ処理微粒子酸化チタン(針状・粒子径15nm・シリカ処理 30%)に変え、無機蛍光複合粉体を得た。
【0093】
(比較例6)
比較例6として、リン酸(Ca/セリウム)(Lumate B(堺化学工業社製、最大蛍光波長 460nm))を用いた。
【0094】
(比較例7)
比較例7として、酸化亜鉛蛍光体(Lumate G(堺化学工業社製、最大蛍光波長 500nm))を用いた。
【0095】
(比較例8)
比較例8として、酸化(Mg/マンガン/チタン)(Lumate R(堺化学工業社製、最大蛍光波長660nm)を使用。)を用いた。
【0096】
実施例14と比較例6の460nmにおける蛍光強度の比較と、実施例15と比較例7の500nmにおける蛍光強度の比較、実施例16と比較例8の660nmにおける蛍光強度の比較をそれぞれ行った結果は表5のようになった。いずれも比較例の強度を1として強度比を求めた。
【0097】
【表5】
【0098】
<化粧料への応用例>
次に無機蛍光複合粉体を配合した皮膚外用組成物(化粧料)の処方例を示すが、これらに限定されるものではない。
【0099】
[パウダーファンデーション]
成分名 配合量[%]
シリコーン処理タルク 残余
フッ素処理セリサイト 5
シリコーン処理顔料級酸化チタン 5
シリコーン処理微粒子酸化チタン 5
窒化ホウ素 3
(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー 2
ナイロン末 1
ステアリン酸Mg 1
実施例1の無機蛍光複合粉体 3
メチルフェニルポリシロキサン 7
パラメトキシケイヒ酸2-エチルヘキシル 5
ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン 1
イソステアリン酸ソルビタン 0.5
着色顔料 適量
防腐剤 適量
合計 100
【0100】
メーキャップ効果の優れたパウダーファンデーションが得られた。
【0101】
[ルースパウダー]
成分名 配合量[%]
シリコーン処理タルク 残余
フッ素処理セリサイト 5
ポリメチルシルセスキオキサン 7
実施例1の無機蛍光複合粉体 5
シリコーン処理顔料級酸化チタン 3
雲母チタン 3
着色顔料 適量
防腐剤 適量
合計 100
【0102】
[化粧下地]
成分名 配合量[%]
水 残余
BG 10
1,3-ペンタンジオール 1
キサンタンガム 0.1
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.2
(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー
0.5
ポリソルベート60 1.5
ステアリン酸グリセリル 1.5
パラメトキシケイヒ酸2-エチルヘキシル 8
イソステアリン酸処理微粒子酸化亜鉛 2
ジエチルアミノヒドロキシ安息香酸ヘキシル 3
イソノナン酸イソノニル 3
メチルポリシロキサン 3
実施例3の無機蛍光複合粉体 1
雲母チタン 1
着色顔料 適量
防腐剤 適量
合計 100
【0103】
メーキャップ効果の優れた化粧下地が得られた。
【0104】
[サンスクリーン]
成分名 配合量[%]
シクロペンタシロキサン 残余
メチルフェニルポリシロキサン 5
パラメトキシケイヒ酸2-エチルヘキシル 6
ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン 3
イソノナン酸イソノニル 7
シリコーン処理微粒子酸化亜鉛 3
ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン 2
イソステアリン酸ソルビタン 1
ステアリン酸処理した実施例1の無機蛍光複合粉体 1
水 25
DPG 5
キサンタンガム 0.1
エタノール 5
防腐剤 適量
合計 100
【0105】
メーキャップ効果の優れたサンスクリーンが得られた。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明によれば、無機蛍光粉体が本来有する蛍光強度を顕著に向上させた複合粉体を提供することができる。また、本発明の複合粉体は、優れた発光性を示すため、化粧料に含有させることで、よりメーキャップ効果の高い様々な形態の化粧料を提供することができる。さらに化粧料だけでなく、照明や遊具、塗料等の分野においても使用することができる。
図1
図2