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  • 特許-粉粒体の加熱処理装置及び加熱処理方法 図1
  • 特許-粉粒体の加熱処理装置及び加熱処理方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-11
(45)【発行日】2024-12-19
(54)【発明の名称】粉粒体の加熱処理装置及び加熱処理方法
(51)【国際特許分類】
   F27B 7/02 20060101AFI20241212BHJP
   F27B 7/16 20060101ALI20241212BHJP
   F27D 17/00 20060101ALI20241212BHJP
   F27D 13/00 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
F27B7/02
F27B7/16
F27D17/00 101G
F27D13/00 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020069690
(22)【出願日】2020-04-08
(65)【公開番号】P2021165617
(43)【公開日】2021-10-14
【審査請求日】2023-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000226482
【氏名又は名称】日工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】蓬莱 秀人
【審査官】岩見 勤
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04439141(US,A)
【文献】特開2013-150981(JP,A)
【文献】特開2001-038323(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27B 7/02
F27B 7/16
F27D 17/00
F27D 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体を所定温度にて加熱する熱風供給用バーナを有した一のロータリーキルンである加熱炉と、未加熱の粉粒体を予熱する他のロータリーキルンである予熱炉と、該予熱炉から排出される予熱した粉粒体を前記加熱炉へ供給する供給手段とを有した粉粒体の加熱処理装置であって、前記予熱炉は未加熱の粉粒体を投入する回転自在に備えた内筒と、該内筒の外周を覆うように備えかつ前記加熱炉から排出される高温の粉粒体を加熱源として投入する外筒とからなる間接加熱式の二重筒構造とし、前記供給手段の途中には前記予熱炉にて予熱した粉粒体を前記加熱炉に供給する前に一時的に貯蔵可能とする一時貯蔵ビンを介在させ、該一時貯蔵ビンの下端部にはロータリーバルブを備え、該ロータリーバルブの回転動作によって予熱済みの粉粒体を前記加熱炉へと投入可能な構成としたことを特徴とする粉粒体の加熱処理装置。
【請求項2】
前記予熱炉は、前記外筒に投入する加熱した粉粒体の流下方向と前記内筒に投入する未加熱の粉粒体の流下方向とが対向する向流方式であることを特徴とする請求項1記載の粉粒体の加熱処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の粉粒体の加熱処理装置の運転方法であって、前記加熱処理装置の運転終了時に前記内筒内に残留する予熱済みの粉粒体を前記一時貯蔵ビンに貯蔵しておき、運転再開時には前記一時貯蔵ビンから予熱済みの粉粒体を前記加熱炉に投入するようにしたことを特徴とする粉粒体の加熱処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、廃石膏から無水石膏を加熱再生する場合、油等に汚染された土壌を加熱浄化する場合等、被処理物である粉粒体を比較的高温で加熱処理する必要がある場合に使用する粉粒体の加熱処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、廃石膏からII型無水石膏を加熱再生する場合、油やVOC等に汚染された土壌を加熱浄化する場合等においては、前記各種粉粒体を加熱炉にて数百℃~千数百℃程度もの比較的高温で加熱処理する必要がある。このとき、前記加熱炉から排出する粉粒体は高温となっており、そのままではハンドリング性が悪いため、前記加熱炉の排出部下位に適宜の冷却機等を備えて排出直後の高温の粉粒体を取り扱いやすい適当な温度まで冷却処理するようにしているものもあり、本出願人も加熱炉にて比較的高温で加熱処理した粉粒体を取り扱いやすい適当な温度まで冷却処理する冷却機を備えた粉粒体の加熱処理装置を出願している。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2013-150981号公報)には、油やVOC等に汚染された土壌を予備加熱キルン、加熱処理キルンの二つのキルンに順次投入して略600℃程度まで加熱処理し、汚染土壌中に含まれる前記汚染物質を揮発・分解させて土壌を浄化処理するようにしている一方、高温となって排出される浄化土壌に対して適宜量の水を直接噴霧して取り扱いやすい温度まで冷却処理する略ドラム形状の土壌冷却装置を備えた汚染土壌の加熱浄化装置が記載されている。
【0004】
また、特許文献2(特開2016-75418号公報)には、粉粒体状の廃石膏を向流式のキルンにて略800℃程度まで加熱処理し、二水石膏の状態にある廃石膏をII型無水石膏として再生処理するようにしている一方、高温となって排出されるII型無水石膏を略スクリューコンベヤ形状の冷却機内へ投入し、該冷却機の外周部を被覆したジャケット部に供給される冷却水にて間接的にII型無水石膏を取り扱いやすい温度まで冷却処理するようにした粉粒体の加熱処理装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-150981号公報
【文献】特開2016-75418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来装置のように加熱炉にて高温に加熱処理した粉粒体をハンドリング性の問題からただ単に冷却機にて冷却処理するのでは熱エネルギー的にみれば無駄が大きく、省エネ面を考慮すると改善の余地があると考えられる。
【0007】
本発明は上記の点に鑑み、加熱炉から排出する高温の粉粒体を冷却処理する際に熱回収を行って有効利用可能とした粉粒体の加熱処理装置及び加熱処理方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る請求項1記載の粉粒体の加熱処理装置では、粉粒体を所定温度にて加熱する熱風供給用バーナを有した一のロータリーキルンである加熱炉と、未加熱の粉粒体を予熱する他のロータリーキルンである予熱炉と、該予熱炉から排出される予熱した粉粒体を前記加熱炉へ供給する供給手段とを有した粉粒体の加熱処理装置であって、前記予熱炉は未加熱の粉粒体を投入する回転自在に備えた内筒と、該内筒の外周を覆うように備えかつ前記加熱炉から排出される高温の粉粒体を加熱源として投入する外筒とからなる間接加熱式の二重筒構造とし、前記供給手段の途中には前記予熱炉にて予熱した粉粒体を前記加熱炉に供給する前に一時的に貯蔵可能とする一時貯蔵ビンを介在させ、該一時貯蔵ビンの下端部にはロータリーバルブを備え、該ロータリーバルブの回転動作によって予熱済みの粉粒体を前記加熱炉へと投入可能な構成としたことを特徴としている。
【0009】
また、請求項2記載の粉粒体の加熱処理装置では、前記予熱炉は、前記外筒に投入する加熱した粉粒体の流下方向と前記内筒に投入する未加熱の粉粒体の流下方向とが対向する向流方式であることを特徴としている。
【0010】
また、請求項3記載の粉粒体の加熱処理方法では、前記加熱処理装置の運転終了時に前記内筒内に残留する予熱済みの粉粒体を前記一時貯蔵ビンに貯蔵しておき、運転再開時には前記一時貯蔵ビンから予熱済みの粉粒体を前記加熱炉に投入するようにしたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る請求項1記載の粉粒体の加熱処理装置によれば、熱風供給用バーナを有した一のロータリーキルンである加熱炉と、未加熱の粉粒体を予熱する他のロータリーキルンである予熱炉と、該予熱炉から排出される予熱した粉粒体を前記加熱炉へ供給する供給手段とを有した粉粒体の加熱処理装置であって、前記予熱炉は未加熱の粉粒体を投入する回転自在に備えた内筒と、該内筒の外周を覆うように備えかつ前記加熱炉から排出される高温の粉粒体を加熱源として投入する外筒とからなる間接加熱式の二重筒構造とし、前記供給手段の途中には前記予熱炉にて予熱した粉粒体を前記加熱炉に供給する前に一時的に貯蔵可能とする一時貯蔵ビンを介在させ、該一時貯蔵ビンの下端部にはロータリーバルブを備え、該ロータリーバルブの回転動作によって予熱済みの粉粒体を前記加熱炉へと投入可能な構成としたので、前記加熱炉から排出される高温の粉粒体を冷却処理する際に未加熱の粉粒体の予熱ができ、熱回収を図れて有効利用できる。
【0012】
また、本発明に係る請求項2記載の粉粒体の加熱処理装置によれば、前記予熱炉は、前記外筒に投入する加熱した粉粒体の流下方向と前記内筒に投入する未加熱の粉粒体の流下方向とが対向する向流方式であるので、高温の粉粒体と未加熱の粉粒体とを効率よく熱交換でき、より効果的に熱回収を図れて有効利用できる。
【0013】
また、本発明に係る請求項3記載の粉粒体の加熱処理方法によれば、前記加熱処理装置の運転終了時に前記内筒内に残留する予熱済みの粉粒体を前記一時貯蔵ビンに貯蔵しておき、運転再開時には前記一時貯蔵ビンから予熱済みの粉粒体を前記加熱炉に投入するようにしたので、運転終了時に内筒内に残留する予熱済みの粉粒体を運転再開時には加熱炉にてそのまま加熱処理でき、熱エネルギー的にも無駄の少ない好適なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る粉粒体の加熱処理装置及び加熱処理方法の一実施例を示す概略説明図である。
図2】予熱炉の外筒及び内筒の一部を切り欠いた要部拡大図である。
図3】予熱炉の外筒の一部を切り欠いた要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る粉粒体の加熱処理装置及び加熱処理方法にあっては、廃石膏や汚染土壌等、各種の粉粒体を所定温度にて加熱する熱風供給用のバーナを有した、例えばロータリーキルン等の加熱炉と、未加熱の粉粒体を予熱する予熱炉と、該予熱炉から排出される予熱した粉粒体を前記加熱炉へ供給する適宜の供給手段とを有する。
【0016】
前記予熱炉は、未加熱の粉粒体を投入する回転自在に備えた内筒と、該内筒の外周を覆うように備えかつ前記加熱炉から排出される高温の粉粒体を予熱用の加熱源として投入する外筒とからなる間接加熱式の二重筒構造とする。
【0017】
また、前記内筒の内壁面と外壁面とにはそれぞれ適宜の送り羽根を周設し、前記内筒の回転動作に伴って内筒内に投入した未加熱の粉粒体と外筒内に投入した高温の粉粒体とを共に内筒と外筒の各排出部側へ送り出せる構成とする。なお、前記各送り羽根を略螺旋形状とすれば被搬送物である粉粒体との接触面積をより大きく確保できて伝熱フィン代わりにもなり、前記外筒内の高温の粉粒体と前記内筒内の未加熱の粉粒体との熱交換効率(熱回収率)を高められて好ましい。
【0018】
また、好ましくは、前記予熱炉の前記外筒に投入する高温の粉粒体の流下方向と前記内筒に投入する未加熱の粉粒体の流下方向とが対向する向流方式としてもよく、これにより前記同様に、前記外筒内の高温の粉粒体と前記内筒内の未加熱の粉粒体との熱交換効率の向上が一層期待できるものとなる。
【0019】
そして、上記構成の装置を用いて、適宜の粉粒体を加熱処理するときには、前記粉粒体を前記加熱炉に投入し、前記バーナからの熱風に晒して所定温度に加熱処理する。そして、加熱処理を経て前記加熱炉から排出される高温の粉粒体はそのまま前記予熱炉の外筒に投入する一方、予熱炉の内筒には未加熱(常温)の粉粒体を投入する。
【0020】
このとき、前記予熱炉では、外筒内を流下する高温の粉粒体と内筒内を流下する未加熱の粉粒体との間で間接的に熱交換が行われ、高温の粉粒体は取り扱いやすい温度まで冷却されて回収される一方、未加熱の粉粒体は予熱される。そして、予熱された粉粒体を前記供給手段にて前記加熱炉へと供給し、前記同様に所定温度に加熱処理する。このとき、前記加熱炉に投入する粉粒体は予熱されていることで効率よく所定温度まで加熱処理できる。
【0021】
なお、好ましくは、前記供給手段の途中に一時貯蔵ビンを介在させ、前記加熱処理装置の運転終了時に前記内筒内に残留する予熱済みの粉粒体を前記一時貯蔵ビンに一旦貯蔵しておき、運転再開時には前記一時貯蔵ビンから予熱済みの粉粒体を前記加熱炉に投入するようにしてもよい。これにより、運転終了時に内筒内に残留する予熱済みの粉粒体を運転再開時にはそのまま加熱炉にて加熱処理でき、熱エネルギー的にも無駄の少ない好適なものとなる。
【0022】
このように、本発明の粉粒体の加熱処理装置及び加熱処理方法によれば、加熱炉から高温状態で排出される粉粒体を取り扱いやすい温度まで冷却しながら未加熱の粉粒体の予熱も同時に行え、比較的簡単な構成ながらも粉粒体同士間で好適に熱回収を図れて無駄なく有効利用できる。
【実施例
【0023】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
【0024】
図中の1は、例えば、廃石膏ボード等を破砕・分別処理して得られる二水石膏の状態にある粉粒体状の廃石膏を加熱処理し、II型無水石膏等に転位させてセメントの原材料等に再生処理する粉粒体の加熱処理装置であって、ロータリーキルン構造の加熱炉2と、加熱再生処理したII型無水石膏を冷却処理しながら未加熱の廃石膏を予熱する予熱炉3と、該予熱炉3から排出される予熱した廃石膏を前記加熱炉2へと供給する、例えばコンベヤやエア圧送装置等の供給手段4とを備えている。
【0025】
前記加熱炉2は、基台5上に円筒状のキルン本体6を回転自在に傾斜支持し、駆動用モータ(図示しない)により所定の速度で回転駆動するようにしている。また、加熱処理する廃石膏の流下方向と、後述のバーナから供給する熱風の流下方向とが対向する向流方式を採用している。
【0026】
前記キルン本体6の内壁面には掻き上げ機能を有さない耐熱性のキャスター(図示しない)を周設し、上端側(熱風下流側)にはコールドホッパ7を、下端側(熱風上流側)にはホットホッパ8を備えている。前記コールドホッパ7には粉粒体状の廃石膏を投入する投入部9を備えている一方、前記ホットホッパ8には熱風供給用のバーナ10、加熱再生処理により転位したII型無水石膏を排出する排出部11を備えている。
【0027】
図中の12は前記バーナ10の燃焼量を制御するバーナ燃焼制御器であって、前記排出部11に備えた温度センサ13にて検出されるキルン本体6から排出するII型無水石膏の温度検出値と、予め設定した任意の温度設定値との差値量に基づいてバーナ10の燃焼量を制御するようにしている。前記バーナ燃焼制御器12に設定する温度設定値には、用途に応じた性状のII型無水石膏を再生処理するのに適した任意の温度値を設定するとよいが、例えば、セメントの原材料として有効に利用可能な性状のII型無水石膏を再生処理する場合には、約800℃程度の温度値を設定すると好ましい。
【0028】
前記予熱炉3は、未加熱の廃石膏を投入する回転自在に備えた円筒状の内筒14と、該内筒14の長手方向の中間部外周を覆うように備え、かつ前記加熱炉2から排出される高温のII型無水石膏を予熱用の加熱源として投入する外筒15とからなる間接加熱式の二重筒構造としている。なお、前記内筒14内に投入した未加熱の廃石膏と前記外筒15内に投入した高温のII型無水石膏の流下方向が対向する向流方式を採用しており、前記廃石膏とII型無水石膏の熱交換効率を高められるように図っている。
【0029】
前記内筒14は、基台16上に回転自在にかつ長手方向に略水平に支持し、駆動用モータ(図示しない)により所定の速度で回転駆動するようにしている。また、前記内筒14の内壁面には略螺旋形状の送り羽根17を周設し、前記内筒14の一端部には隔壁18を介して未加熱の粉粒体状の廃石膏を供給する供給ホッパ19とスクリューコンベヤ20を備えている一方、前記内筒14の他端部には排出ホッパ21を備え、該排出ホッパ21の下端部には予熱した廃石膏を排出する排出部22を備えている。そして、図2に示すように、前記内筒14がX方向(図2中、右側から見て反時計回り)に回転するのに伴い、前記内筒14内に投入した廃石膏を矢印Aの方向に送り出せる構成としている。
【0030】
一方、前記外筒15は、前記内筒14内に供給した未加熱の廃石膏を間接加熱する加熱源としての高温のII型無水石膏を通過させるものであって、前記基台16上に固定支持していると共に、その長手方向の両端部には耐熱性のシール部材(図示せず)を具備しており、回転自在に支持される前記内筒14の外壁面との隙間を閉塞して前記外筒15内から高温のII型無水石膏が噴き出すのを防止している。
【0031】
また、前記外筒15の内壁面には耐熱性のキャスター23を周設している一方、前記外筒15に覆われた内筒14の外壁面には、前記送り羽根17と逆方向に旋回形成した略螺旋形状の送り羽根24を突設しており、図3に示すように、前記内筒14がX方向(図3中、右側から見て反時計回り)に回転するのに伴い、前記外筒15内(外筒15と内筒14との隙間空間F)に投入した高温のII型無水石膏を、内筒14内の廃石膏の流下方向Aと逆行する矢印Bの方向に送り出せる構成としている。
【0032】
なお、前記内筒14の内壁面、外壁面に形成する送り羽根は前記構造に何ら限定されるものではなく、例えば、複数の不連続の送り羽根等でもよいが、本実施例のように連続する螺旋形状の羽根を採用すれば、被搬送物であるII型無水石膏及び廃石膏との接触面積をより大きく確保できてそれ自体が伝熱フィン代わりにもなり、外筒15内のII型無水石膏と内筒14内の廃石膏との熱交換の効率を高められて好ましい。
【0033】
また、前記矢印Bの上流側には外筒15内に高温のII型無水石膏を投入する投入部25を、矢印Bの下流側には外筒15内にて廃石膏との熱交換を経て冷却処理されたII型無水石膏を排出する排出部26を備え、前記投入部25は前記加熱炉2の排出部11と直結している。また、前記排出部26より排出する冷却処理したII型無水石膏は、適宜の搬送装置(図示しない)により別途設置される貯蔵ビン(図示しない)へと搬送するようにしている。
【0034】
図1中の27は、前記予熱炉3にて予熱した廃石膏を前記加熱炉2に供給する前に一時的に貯蔵可能とする一時貯蔵ビンであって、前記供給手段4の途中に介在させている。前記一時貯蔵ビン27の内壁面には保温用のキャスター(図示しない)を周設していると共に、下端部にはロータリーバルブ28を備え、該ロータリーバルブ28の回転動作によって予熱済みの廃石膏を下位の加熱炉2の投入部9へと投入可能としている。
【0035】
図中の29は前記加熱処理装置1の運転を制御する運転制御器であって、前記加熱炉2のキルン本体6や前記予熱炉3の内筒14の回転駆動、前記加熱炉2のバーナ10の着火・消火、前記予熱炉3一端部のスクリューコンベヤ20や前記一時貯蔵ビン27下端部のロータリーバルブ28の回転駆動等、前記加熱処理装置1を構成する各装置の運転制御を可能としている。
【0036】
そして、上記構成の粉粒体の加熱処理装置1を使用して二水石膏の状態にある粉粒体状の廃石膏をII型無水石膏に加熱再生処理するときは、先ず、セメントの原材料として利用可能な性状のII型無水石膏を再生処理するのに適した温度設定値として、例えば800℃程度を予め前記バーナ燃焼制御器12に設定入力しておく。そして、前記運転制御器29にて加熱炉2のバーナ10を着火・燃焼させて高温の熱風をキルン本体6内に供給しつつ、二水石膏の状態にある廃石膏を前記キルン本体6内に投入していく。
【0037】
前記加熱炉2のキルン本体6内に投入した廃石膏は、キルン本体6内のキャスター上を流下していく間に前記バーナ10からの熱風による高温雰囲気に晒されると共に、バーナ火炎からの輻射熱にも晒され、上記設定温度まで加熱処理されて二水石膏からII型無水石膏へと転位していく。そして、前記II型無水石膏は前記ホットホッパ8下端部の排出部11より排出され、下位の予熱炉3の外筒15内へと順次投入されていく。
【0038】
一方、前記運転制御器29では、前記加熱炉2の排出部11に備えた温度センサ13にて所定温度以上(例えば、前記設定温度程度)の温度値を検出すると、前記キルン本体6より高温のII型無水石膏が排出されたと判定し、それを契機に前記予熱炉3一端部のスクリューコンベヤ20を駆動させ、前記供給ホッパ19内に貯留する未加熱の廃石膏を前記予熱炉3の内筒14内へと供給していく。
【0039】
そして、前記予熱炉3では、前記外筒15内に投入した高温のII型無水石膏と前記内筒14内を流下する廃石膏とを間接的に熱交換させ、前記内筒14内の常温の廃石膏を、例えば約40~50℃程度まで予熱する一方、前記外筒15内の約800℃程度のII型無水石膏を比較的取り扱いやすい約300℃程度まで冷却処理する。
【0040】
前記外筒15内にて冷却処理したII型無水石膏は排出部26から順次排出し、適宜の搬送装置により別途配設した貯蔵ビンへと搬送する一方、前記内筒14内にて予熱した廃石膏は前記排出ホッパ21下端部の排出部22から順次排出し、前記搬送手段4により前記一時貯蔵ビン27へと搬送する。そして、前記予熱済みの廃石膏は前記一時貯蔵ビン27内で一時的に貯蔵した後、或いは即座に排出し、下位の前記加熱炉2の投入部9を介してキルン本体6内へと投入し、該キルン本体6では前記同様に所定温度にて加熱処理してII型無水石膏へと再生処理する。このとき、前記加熱炉2のキルン本体6内に投入される廃石膏は、予熱されていることにより効率よく所定温度まで加熱処理できる。
【0041】
一方、廃石膏のII型無水石膏への加熱再生処理を終了するときには、前記運転制御器29にて、先ず、前記一時貯蔵ビン27下端部のロータリーバルブ28を停止させ、前記加熱炉2のキルン本体6への廃石膏の投入を停止する。そして、前記加熱炉2の排出部11に備えた温度センサ13が所定温度以上(例えば、前記設定温度程度)の温度値を所定時間以上検出しなくなると、前記キルン本体6からのII型無水石膏の排出が止まったと判定し、それを契機に前記予熱炉3一端部のスクリューコンベヤ20を停止させて前記内筒14内への廃石膏の投入を停止する。
【0042】
このとき、前記スクリューコンベヤ20の停止後も前記内筒14内に残留する(予熱処理中の)廃石膏が暫く排出されることとなるが、前記供給手段4を介して残らず前記一時貯蔵ビン27へと搬送・投入して一時的に貯蔵しておく。これにより、運転再開時には前記加熱炉2へは最初から予熱済みの廃石膏を投入することができ、熱エネルギー的に無駄の少ない好適なものとなる。
【0043】
このように、上記構成の粉粒体の加熱処理装置1にて廃石膏をII型無水石膏へと加熱再生処理する際には、前記加熱炉2より排出される高温のII型無水石膏をただ単に冷却処理するのではなく、未加熱の廃石膏の予熱用の加熱源として用いることにより、熱回収を図れて有効利用ができて好適である。
【0044】
なお、本実施例のように、加熱処理直後の約800℃程度のII型無水石膏が保有する熱エネルギーでもって未加熱の廃石膏を予熱するようにしたことにより、廃石膏に含まれる表面水の一部を揮発・乾燥でき、予熱炉3を有さない場合と比較して約15%程度の省エネルギー化が期待できるものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、石膏や土壌等、各種の粉粒体を比較的高温にて加熱処理する加熱処理装置に対して広く利用できる。
【符号の説明】
【0046】
1…粉粒体の加熱処理装置 2…加熱炉
3…予熱炉 4…供給手段
6…キルン本体 10…バーナ
12…バーナ燃焼制御器 13…温度センサ
14…内筒 15…外筒
17、24…送り羽根 20…スクリューコンベヤ
27…一時貯蔵ビン 29…運転制御器
図1
図2
図3