(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-11
(45)【発行日】2024-12-19
(54)【発明の名称】撮像装置、撮像装置の制御方法、システム、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 23/667 20230101AFI20241212BHJP
H04N 23/60 20230101ALI20241212BHJP
H04N 23/66 20230101ALI20241212BHJP
H04N 23/695 20230101ALI20241212BHJP
H04N 5/268 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
H04N23/667
H04N23/60
H04N23/66
H04N23/695
H04N5/268
(21)【出願番号】P 2020148448
(22)【出願日】2020-09-03
【審査請求日】2023-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 友範
【審査官】池田 博一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-124975(JP,A)
【文献】特開平08-195949(JP,A)
【文献】国際公開第2003/041411(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/667
H04N 23/60
H04N 23/66
H04N 23/695
H04N 5/268
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置であって、
撮像
手段と、
前記撮像
手段が撮像した画像を外部装置に出力する制御を行う制御手段と、
前記外部装置に前記画像を出力する際の同期を制御する同期制御手段と、
を備え、
前記同期制御手段は第1の同期信号を生成し、前記第1の同期信号を外部から入力された第2の同期信号と同期させることにより、前記画像を出力する際の同期を制御し、
前記制御手段は、前記撮像装置の動作モードを、前記画像を前記外部装置へ出力する第1の動作モードと、前記画像を前記外部装置へ出力しない
スタンバイモードとの間で切り替え、
前記動作モードを前記
スタンバイモードから前記第1の動作モードに切り替える
切替指示に応じて、前記同期制御手段は前記第1の同期信号と前記第2の同期信号とが安定的に同期しているかどうかを判定し、
前記制御手段は前記
安定的に同期していると判定された場合
、前記制御手段は前記
スタンバイモードから前記第1の動作モードに切り替え
、安定的に同期していると判定されなかった場合は、安定的に同期するまで前記第1の動作モードへの切り替えを行わず、安定的に同期した後に、前記制御手段は前記スタンバイモードから前記第1の動作モードに切り替える
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記同期制御手段は、前記第1の同期信号と前記第2の同期信号との差分に基づいて、前記安定的に同期しているかどうかを判定することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記同期制御手段は、前記第1の同期信号と前記第2の同期信号との同期を開始した後、所定時間が経過したか否かに基づいて、前記安定的に同期しているかどうかを判定することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記撮像装置の撮像方向を制御する方向制御手段を更に備え、
前記動作モードが前記第1の動作モードから前記
スタンバイモードに切り替わる場合に、前記方向制御手段は前記撮像方向が第1の方向となるように制御し、
前記切替指示に応じて、前記方向制御手段は前記撮像方向が前記第1の方向とは異なる第2の方向となるように制御し、
前記同期制御手段は、前記撮像方向が前記第2の方向となった後に前記判定を行うことを特徴とする請求項
1から3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第2の方向は、前記
スタンバイモードに切り替わる前の前記第1の動作モードにおける撮像方向であることを特徴とする請求項
4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記方向制御手段は、前記動作モードが前記第1の動作モードから前記スタンバイモードに切り替わる場合に前記第2の方向を記憶部に記憶させることを特徴とする請求項
5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記第2の方向は、前記方向制御手段が制御する前記撮像装置の撮像方向の初期値であることを特徴とする請求項
4に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記撮像装置の撮像方向を制御する方向制御手段を更に備え、
前記方向制御手段は、前記動作モードが前記第1の動作モードから前記スタンバイモードに切り替わった後に前記撮像方向に変化が生じた場合に、前記切替指示に応じて、前記撮像装置の撮像方向を第3の方向とするように制御し、
前記同期制御手段は、前記撮像方向が前記第3の方向となった後に前記判定を行うことを特徴とする請求項
1から3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記撮像方向の変化は前記撮像装置の外的要因によるものであり、
前記第3の方向は、前記方向制御手段が制御する前記撮像装置の撮像方向の初期値であることを特徴とする請求項
8に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記第2の同期信号が入力されなくなった場合に、前記制御手段は、前記同期制御手段による前記判定の結果に関わらず前記
スタンバイモードから前記第1の動作モードに切り替えることを特徴とする請求項1から
9のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項11】
請求項1から
10のいずれか1項に記載の複数の撮像装置と、
前記複数の撮像装置のそれぞれに前記第2の同期信号を出力する出力装置と、
前記複数の撮像装置のそれぞれから出力される画像を切り替えて表示部に表示させるコントローラと
を備えるシステム。
【請求項12】
撮像装置の制御方法であって、
外部装置に画像を出力する際の同期を制御する同期制御
工程であって、
第1の同期信号を生成し、前記第1の同期信号を外部から入力された第2の同期信号と同期させることにより、
撮像手段が撮像した画像を
外部装置に出力する際の同期を制御する同期制御
工程と、
前記撮像装置の動作モードを、前記画像を前記外部装置へ出力する第1の動作モードと、前記画像を前記外部装置へ出力しない
スタンバイモードとの間で切り替え
る切替工程と、
前記動作モードを前記
スタンバイモードから前記第1の動作モードに切り替える
切替指示に応じて、
前記第1の同期信号と前記第2の同期信号とが安定的に同期しているかどうかを判定する
判定工程と
を有し、
前記切替工程において、
前記第1の同期信号と前記第2の同期信号とが安定的に同期していると判定された場合に、前記
スタンバイモードから前記第1の動作モードに切り替え
、安定的に同期していると判定されなかった場合は、安定的に同期するまで前記第1の動作モードへの切り替えを行わず、安定的に同期した後に、前記スタンバイモードから前記第1の動作モードに切り替える
をことを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項13】
コンピュータを請求項1から
10のいずれか1項に記載の撮像装置の各手段として動作させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、撮像装置の制御方法、システム、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スイッチャー等で複数のカメラ画像を切り替える場合、画像が乱れることなく切替を可能とする機能としてGenlock機能が知られている。また、カメラ自体の動作モードを通常の撮像モードからスタンバイモード(例えば、撮像処理を停止させて撮像装置を後方へ向かせるモード)に切り替える技術がある。更に、Genlock機能を有効化した後、Genlockが不安定な場合には黒画像を出力する方法がある(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記において、Genlock機能が有効化された直後に、カメラの動作モードをスタンバイモードから通常撮像モードへ復帰させた際、Genlockが不安定な場合には黒画像が出力され、実際の画像が出力されないという課題があった。
【0005】
そこで、Genlock機能が有効化された直後にスタンバイモードから通常撮像モードに移行した場合でも、安定的に画像出力させる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための発明は、撮像装置であって、
撮像手段と、
前記撮像手段が撮像した画像を外部装置に出力する制御を行う制御手段と、
前記外部装置に前記画像を出力する際の同期を制御する同期制御手段と、
を備え、
前記同期制御手段は第1の同期信号を生成し、前記第1の同期信号を外部から入力された第2の同期信号と同期させることにより、前記画像を出力する際の同期を制御し、
前記制御手段は、前記撮像装置の動作モードを、前記画像を前記外部装置へ出力する第1の動作モードと、前記画像を前記外部装置へ出力しないスタンバイモードとの間で切り替え、
前記動作モードを前記スタンバイモードから前記第1の動作モードに切り替える切替指示に応じて、前記同期制御手段は前記第1の同期信号と前記第2の同期信号とが安定的に同期しているかどうかを判定し、
前記制御手段は前記安定的に同期していると判定された場合、前記制御手段は前記スタンバイモードから前記第1の動作モードに切り替え、安定的に同期していると判定されなかった場合は、安定的に同期するまで前記第1の動作モードへの切り替えを行わず、安定的に同期した後に、前記制御手段は前記スタンバイモードから前記第1の動作モードに切り替えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
Genlock機能が有効化された直後にスタンバイモードから通常撮像モードへ移行した場合でも、安定的に映像出力させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に対応するシステム構成の一例を示す図。
【
図2】実施形態に対応するシステム構成における各装置の機能構成の一例を示す図、及び、撮像装置のハードウェア構成の一例を示す図。
【
図3】実施形態に対応する撮像装置の処理の一例を示すフローチャート。
【
図4】実施形態に対応する撮像装置の他の処理の一例を示すフローチャート。
【
図5】実施形態に対応する撮像装置の更に他の処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
[実施形態1]
以下、第1の実施形態について添付の図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、実施形態1に対応する撮像システムの構成例を示す。本実施形態における撮像システム10は複数台のカメラ100、コントローラ120、ディスプレイ130、同期信号出力装置140によって構成されている。本実施形態では、2台のカメラ100(カメラ1とカメラ2)の画像出力をコントローラ120で切り替えて、ディスプレイ130に表示することを想定している。また、同期信号出力装置140から出力された同期信号が、カメラ1とカメラ2に入力される。入力された同期信号に合わせて、カメラ1とカメラ2の画像出力が同期される。従って、コントローラ120において画像出力をカメラ2からカメラ1に切り替えた場合でも、画像の途切れが発生することない。実施形態では2台のカメラ100を切り替える場合を説明するが、3台以上のカメラ100を接続して画像出力を同期させ、コントローラ120により画像出力の切り替えを行うことも可能である。
【0011】
次に、
図2(A)を参照して、撮像システム10を構成する各装置の機能構成について説明する。
図2(A)は、実施形態に対応する撮像システム10の各装置の機能構成の一例を示す。
【0012】
カメラ100は、撮像装置、リモートカメラ、或いは、ネットワークカメラとも呼ぶことができ、監視対象区域の被写体画像を撮像する。カメラ100は、撮像部101、画像処理部102、システム制御部103、記憶部104、パン駆動部105、チルト駆動部106、速度制御部107、スタンバイモード制御部108、同期信号入力部109、Genlock制御部110、Genlock安定化判定部111、通信部112を備えるように構成される。以下、各構成要素について説明する。
【0013】
撮像部101は、レンズ等の光学系およびCOMSイメージセンサ等の撮像素子から構成され、監視対象区域における被写体画像を撮像し、アナログ画像信号を生成する。アナログ画像信号はデジタル画像信号に変換され、画像処理部102に出力される。画像処理部102は、撮像部101から出力されたデジタル画像信号に、例えば、ディベイヤ処理、ホワイトバランス処理、階調変換処理等の現像処理を含む所定の画像処理や圧縮符号化処理を行って画像データを生成して、システム制御部103へ出力する。
【0014】
システム制御部103は、カメラ100の全体的な動作を制御する。より具体的には、撮像部101で撮像され画像処理部102を介して取得された画像データを、通信部112を介してコントローラ120に出力する。また、通信部112を介してコントローラ120から制御コマンドを受信し、受信コマンドを解析してコマンドに応じた処理を行う。例えば、画像処理部102に対して画質調整を設定するコマンドや、パン駆動部105、チルト駆動部106に対してパン・チルト動作を設定するコマンドを受信した場合、当該コマンドを解析して画質調整やパン・チルト動作を実行する。また、Genlock有効化・無効化を指示するコマンドを受信すると、Genlock制御部110に対して、有効化或いは無効化の指示を行う。
【0015】
記憶部104は、カメラ100内の制御データや、撮像された画像データを記憶する。具体的には、画質調整のパラメータ、ネットワークの設定値、或いは、カメラ100の撮像方向の情報を記憶しておくことができる。撮像方向の情報は、例えば、パン駆動部105、チルト駆動部106におけるパン角度及びチルト角度として記憶してもよい。システム制御部103は、カメラ100が再起動された場合でも以前設定した値を記憶部104を参照して取得することが可能である。
【0016】
パン駆動部105、チルト駆動部106及び速度制御部107は、カメラ100の撮像方向を制御するための方向制御機構である。パン駆動部105は、システム制御部103からの制御命令に従いパン動作を行うメカ駆動系とその駆動源のモータにより構成され、モータが駆動されることによりパン駆動機構がパン方向に駆動する。チルト駆動部106は、システム制御部103からの制御命令に従いチルト動作を行うメカ駆動系とその駆動源のモータにより構成され、モータが駆動されることによりチルト駆動機構がチルト方向に駆動する。速度制御部107は、システム制御部103からの制御命令に従い現在速度、目標速度、加速度の値または加減速テーブルの情報に基づいて次に指示する駆動速度を算出し、パン駆動部105、チルト駆動部106をそれぞれ算出した速度で駆動させるよう指示する。
【0017】
スタンバイモード制御部108は、カメラ100の動作モードを通常撮像モード(第1の動作モード)とスタンバイモード(第2の動作モード)との間で切り替えるモード切替制御を行う。スタンバイモード制御部108は、通信部112とシステム制御部103を介してコントローラ120からスタンバイモード或いは通常撮像モードへの切替指示(移行指示)が入力されたか否かを判定し、カメラ100の動作モードを設定する。スタンバイモード制御部108は、例えば現在の動作モードを0、1の設定値により示すようにしてもよい。例えば、0はスタンバイモードを示し、1は通常撮像モードを示すようにしてもよい。
【0018】
システム制御部103は、スタンバイモード制御部108の設定値を参照して、動作モードを判定し、第1の動作モードである通常撮像モードでは、撮像部101、画像処理部102、システム制御部103、通信部112の各処理部を介して、画像データをコントローラ120に出力する。また、パン駆動部105、チルト駆動部106、速度制御部107によるパン・チルト駆動が可能となる。システム制御部103は、第2の動作モードであるスタンバイモードでは、画像データのコントローラ120への上記出力を停止する。また、パン駆動部105、チルト駆動部106、速度制御部107によるパン・チルト駆動を停止する。なお、スタンバイモード制御部108は、システム制御部103とは別個のブロックとして記載しているが、システム制御部103の一部として構成されてもよい。
【0019】
同期信号入力部109は、同期信号出力装置140から出力された同期信号をカメラ100に入力する。Genlock制御部110は、Genlock制御部110が生成した第1の同期信号を、同期信号入力部109から入力された第2の同期信号に同期させて、システム制御部103及びカメラ100全体を同期制御する。これにより、通常撮像モードにおいて、第2の同期信号と同期してコントローラ120に画像出力することができる。
【0020】
また、Genlock制御部110は、Genlockの有効化・無効化の切り替え制御を行う。Genlockの有効化とは、同期信号入力部109から同期信号が入力された状態で、コントローラ120からのGenlock有効化指示を契機として同期信号との同期を開始することを意味する。一方、Genlockの無効化とは、コントローラ120からのGenlock無効化指示を契機として同期信号との同期を停止して、Genlock制御部110で生成された同期信号のみで制御することを意味する。Genlockの技術については公知であるため、詳細な説明は省略する。
【0021】
Genlock安定化判定部111は、両同期信号が安定的に同期しているか(Genlockが安定しているか)否かを判定する。判定手法としては、例えばGenlock制御部110が生成したH/V同期信号(第1の同期信号)と同期信号入力部109から入力されたH/V同期信号(第2の同期信号)との差分を取得し、差分が±所定クロック数以内に所定期間以上収まっていれば、両同期信号は安定的に同期していると判定する。一方、差分が±所定クロック数以内に所定期間以上収まっていなければ、両同期信号は安定的に同期していないと判定する。また、Genlock制御部110がGenlockを有効化して同期を開始すると、第1の同期信号が同期信号入力部109から入力された第2の同期信号と安定的に同期するまで数秒程度必要となる。その間、Genlock開始から数秒(例えば7秒)程度は不安定となる。そこで、別の判定手法としては、Genlock制御部110がGenlockを有効化して同期を開始してから所定時間(上記の7秒に対応)が経過したか否かにより安定的に同期しているかどうかを判定してもよい。通信部112は、例えばLANによるネットワーク通信の処理を行う。
【0022】
コントローラ120は、ディスプレイ130に表示させる画像を切り替える切替装置、スイッチャー、或いは、表示制御装置として動作する。コントローラ120は、入力部121、システム制御部122、通信部123を備えて構成される。入力部121は、ボタン、ジョイスティックなどで構成され、ユーザからの各種操作を受け付ける。当該操作には、例えば画像出力を行うカメラ100の切り替え操作、カメラ100のスタンバイモードと通常撮像モードとの切替操作、Genlock有効化、或いは、無効化の操作などが含まれる。システム制御部122は、ユーザから受け付けた操作に応じて、通信部123を介してカメラ100に操作に対応する制御コマンドを送信する。通信部123は、LANによるネットワーク通信の処理を行う。
【0023】
ディスプレイ130は、表示部131を備えて構成される。ディスプレイ130は、カメラ100から出力された画像データをコントローラ120を介して受信し、表示部131に表示する。表示部131は、例えば液晶ディスプレイなどの表示デバイスである。
【0024】
同期信号出力装置140は、同期信号出力部141を備えて構成される。同期信号出力部141は、複数台のカメラ100を同期して動作させるための基準信号となる同期信号(上述の第2の同期信号に対応)を出力する。本実施形態では、カメラ100の各同期信号入力部109に、同期信号出力装置140からの同期信号が入力されることを想定している。
【0025】
次に、
図2(B)を参照してカメラ100のハードウェア構成の一例を説明する。CPU201は、カメラ100の全体的な制御やデータの計算・加工・管理を行う装置であり、システム制御部103、速度制御部107、スタンバイモード制御部108、Genlock制御部110等として機能することができる。また、CPU201は、カメラユニット206から出力されたデジタル画像信号を圧縮・符号化して画像データを生成する画像処理部102としても機能してもよい。或いは、これらの機能ブロックを専用のプロセッサにより個別に或いはまとめて実現してもよい。
【0026】
RAM202は、揮発性のメモリであり、CPU201の主メモリ、ワークエリア等の一時記憶領域として用いられる。ROM203は、不揮発性のメモリであり、画像データやその他のデータ、CPU201が動作するための各種プログラム等が、それぞれ所定の領域に格納されている。CPU201は、例えばROM203に格納されるプログラムに従い、RAM202をワークメモリとして用いて、カメラ100の各部を制御する。尚、CPU201が動作するためのプログラムは、ROM203に格納されるものに限られず、記憶装置204に記憶されていてもよい。
【0027】
記憶装置204は、例えばHDDやフラッシュメモリなどの磁気ディスクにより構成され記憶部104として機能することができる。記憶装置204には、アプリケーションプログラム、OS、制御プログラム、関連プログラム等が格納される。記憶装置204は、CPU201の制御に基づき、データを読み出したり、書き込みしたりすることができる。記憶装置204をRAM202やROM203の代わりに使用してもよい。
【0028】
通信装置205は、CPU201の制御に基づき、コントローラ120と通信するための通信インタフェースであり、通信部112として機能することができる。通信装置205は、無線通信モジュールを含むことができ、当該モジュールはアンテナシステム、RF送受信器、1つ以上の増幅器、同調器、1つ以上の発振器、デジタル信号プロセッサ、CODECチップセット、加入者識別モジュールカード、メモリなどを含む、周知の回路機構を含むことができる。また、有線接続のための有線通信モジュールを含むことができる。有線通信モジュールは1つ以上の外部ポートを介して他のデバイスとの通信を可能とする。また、データを処理する様々なソフトウェアコンポーネントを含むことができる。外部ポートは、イーサーネット、USBやIEEE1394等を介して、直接的に、又はネットワークを介して間接的に他のデバイスと結合する。尚、以上の各装置と同等の機能を実現するソフトウェアにより、ハードウェア装置の代替として構成することもできる。
【0029】
カメラユニット206は、撮像光学系、CCDやCMOSなどの撮像センサ、現像処理部等を含む撮像部101、及び、撮像光学系、撮像方向や画角を制御する可動雲台などからなるパン駆動部105、チルト駆動部106として機能することができ、実空間である監視対象区域内の所定領域を撮像して画像を生成する。カメラユニット206では、CCDやCMOSイメージセンサなどの撮像素子を用いて光電変換により得られたアナログ画像信号をA/D変換によりデジタル画像信号に変換してCPU201に出力する。カメラユニット206では、例えば、静止画像のほかに、1秒間に所定数のフレーム分(例えば、30フレーム)の画像を取得して、監視領域の30fpsの動画像(ライブ映像)を取得することが可能である。操作部207は、例えばボタン、十字キー、タッチパネル等で構成され、使用者からの操作入力を受け付ける。
【0030】
図2(B)は、カメラ100のハードウェア構成図として示しているが、コントローラ120のハードウェア構成も
図2(B)に準ずるものとすることができる。その場合、カメラユニット206は構成から除外される。また、操作部207は入力部121として機能し、キーボードやマウスをさらに備えることができる。
【0031】
次に、
図3に示すフローチャートを参照して、本実施形態における処理の流れを説明する。
図3のフローチャートに対応する処理は、CPU201が対応するプログラム(ROM203や記憶装置204等に格納)を実行してシステム制御部103、スタンバイモード制御部108、Genlock制御部110として機能することで実現される。本実施形態では、既にカメラ100、コントローラ120、ディスプレイ130、同期信号出力装置140の起動は完了し、コントローラ120はユーザの入力操作が受付可能な状態であるとする。また、本フローチャートの開始条件は、ユーザからの指示に応じたものでもよいし、カメラ100を起動後、カメラ100が自動で判定してもよい。
【0032】
S301において、システム制御部103はカメラ100の各ブロックを制御し、通常撮像モードでの動作を開始させる。このとき、スタンバイモード制御部108は、設定値を通常撮像モードを示す1に設定する。その後、スタンバイモード制御部108は、通信部112を介したコントローラ120からのスタンバイモードへの切替指示を監視し、スタンバイモードへの切替指示を受け付けた場合には、設定値を0にする。
【0033】
続くS302では、Genlock制御部110は、コントローラ120からGenlock有効化の指示を受け付けたか否かを判定する。Genlock有効化の指示を受け付けたと判定した場合、処理はS303に進む。Genlock有効化の指示を受け付けたと判定されなかった場合、処理はS304に進む。
【0034】
S303において、Genlock制御部110が、Genlockを開始する。続くS304において、Genlock制御部110は、コントローラ120からGenlock無効化の指示を受け付けたか否かを判定する。Genlock無効化の指示を受け付けたと判定された場合、処理はS305に進む。Genlock無効化の指示を受け付けたと判定されなかった場合、処理はS306に進む。
【0035】
S305においてGenlock制御部110は、Genlockを無効化する。続くS306において、システム制御部103は、スタンバイモード制御部108の設定値を参照し、設定値がスタンバイモードへの切替指示を受け付けたことを示す0であるか否かを判定する。スタンバイモードへの切替指示が入力されたと判定された場合、処理はS307に進む。その後、スタンバイモード制御部108は、通信部112を介したコントローラ120からの通常撮像モードへの切替指示を監視し、通常撮像モードへの切替指示がされた場合には、設定値を1にする。一方、設定値が1のままでスタンバイモードへの切替指示が入力されていないと判定された場合、処理はS301に戻って、通常撮像モードを継続する。
【0036】
S307では、システム制御部103は、カメラ100の各ブロックの動作を制御して、動作モードを画像データをコントローラ120に出力する通常撮像モードから、当該出力を行わないスタンバイモードに移行する。続くS308では、システム制御部103は、スタンバイモード制御部108の設定値を参照し、設定値が通常撮像モードへの切替指示を受け付けたことを示す1であるか否かを判定する。システム制御部103により通常撮像モードへの切替指示が入力されたと判定された場合、処理はS309に進む。一方、通常撮像モードへの切替指示が入力されていないと判定された場合、S308の判定処理を繰り返し、通常撮像モードへの切替指示を受け付けるのを待機する。
【0037】
通常撮像モードへの切替指示を受け付けると、S309においてGenlock安定化判定部111はGenlockが安定であるか否かを判定する。当該Genlockが安定であるかどうかの判定手法は、上述の通りであり、同期信号の差分に基づいてもよいし、Genlock開始時からの経過時間に基づいてもよい。Genlockが安定であると判定された場合、処理はS310に進む。Genlockが安定と判定されなかった場合、S309の判定処理を継続し、Genlockが安定するまで待機し、Genlock安定化が完了したら、処理はS310に進む。S310では、システム制御部103は、カメラ100の各ブロックの動作を制御して、動作モードを、画像データをコントローラ120に出力する通常撮像モードに移行する処理を行う。
【0038】
以上に説明した処理によれば、カメラ100の動作モードがスタンバイモードから通常撮像モードに移行した場合、通常撮像モードに移行した直後から、Genlockが安定した状態で画像出力ができる。よって、通常撮像モードに移行した直後から、画像が乱れることなく安定的な画像出力を提供できる。
【0039】
[実施形態2]
以下、第2の実施形態を説明する。本実施形態におけるシステム構成は、
図1に示したものと同様である。また、撮像システム10を構成する装置の機能構成も
図2に示したものと同様である。そこで、実施形態1と同様の構成要素については既に使用した符号を用いることで、それらの詳細な説明を省略し、実施形態1との相違点を中心に説明する。
【0040】
まず、
図4に本実施形態に対応する処理の一例に対応するフローチャートを示す。
図4においてS301からS310の処理は、
図3のS301からS310の処理と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0041】
S306においてスタンバイモードへの切替指示を受け付けた場合、S401では、システム制御部103が、速度制御部107を介して、パン駆動部105とチルト駆動部106が撮像部101のレンズと撮像素子が所定の第1の方向(例えば、通常撮像モードにおける撮像方向に対して反対側、後方、或いは、任意の方向)を向くようにパン・チルト動作する。また、システム制御部103は、パン・チルト動作を開始する際、或いは、開始する直前の撮像方向(第2の方向)を示すパン駆動部105とチルト駆動部106のパン・チルト角度を記憶部104に保持しておく。その後、処理はS307、S308に進む。なお、撮像方向を第1の方向へ向ける動作は、S307のスタンバイモードへの移行後であってもよい。スタンバイモードへ移行後に、S308において通常撮像モードへの切替指示を受け付けた場合、処理はS402に進む。
【0042】
S402において、システム制御部103は、S401において記憶部104に記憶した第2の方向(パン・チルト角度)に戻るように、速度制御部107を介してパン駆動部105とチルト駆動部106との動作を制御する。続くS403において、システム制御部103は、パン駆動部105とチルト駆動部106が、S401で記憶したパン・チルト角度までパン・チルト動作が完了したか否かを判定する。パン・チルト動作が完了したと判定された場合、処理はS309に進む。パン・チルト動作が完了したと判定されなかった場合、S402に戻りPT駆動を継続する。
【0043】
本処理においては、スタンバイモードへ移行する場合にパン・チルトを所定の第1の方向に変更し、その後に通常撮像モードへの切替指示を受け付けた場合には、パン・チルトを元の撮像方向に戻している間にGenlockが安定する時間を確保することができる。
【0044】
なお、上記においてS402ではS401で記憶した元のパン・チルト角度に戻る場合を説明したが、実施の形態はこれ限られるものではない。例えば、予め決められた所定角度(例えば、パン駆動部105及びチルト駆動部106の制御値の初期値、即ち、チルトパン・チルト角度が0°)にパン・チルト動作させるようにしても良い。
【0045】
また、上記実施形態においてS403におけるパン・チルト動作は、S401で記憶したパン・チルト角度への復帰動作を想定していた。しかし、実施形態はこれに限らず、例えばスタンバイモードの最中にカメラ100の外的要因(物がぶつかる、或いは、操作者によって所定方向に向けられる等)によってパン・チルト角度が変化した場合、S401、S402、S403の処理を行う代わりに
図5(A)に示すように初期位置(パン・チルト角度が0°)にパン・チルト動作させる処理を同様に想定しても良い。具体的には、S308における通常撮像モードへの切替指示を受け付けた後、S501において、システム制御部103は、パン駆動部105とチルト駆動部106とのうち少なくともいずれかについて、パン・チルト角度の変化を検知したか否かを判定する。パン・チルト角度の変化が検知された場合、処理はS502に進む。S502において、システム制御部103は、パン駆動部105とチルト駆動部106とを制御して、初期位置(パン・チルト角度が0°)にパン・チルト動作させる。一方、パン・チルト角度の変化を検知したと判定されなかった場合には、処理はS309に進む。
【0046】
以上の本実施形態によれば、スタンバイモードから通常撮像モードに移行する場合、所定の撮像方向に対応するパン・チルト角度までパン・チルト駆動して戻っている間にGenlockを安定化させることができる。よって、パン・チルト動作完了後にGenlockが安定化していれば、直ちにスタンバイモードから復帰することができる。
【0047】
[実施形態3]
以下に、第3の実施形態を説明する。本実施形態におけるシステム構成は、
図1に示したものと同様である。また、撮像システム10を構成する装置の機能構成も
図2に示したものと同様である。そこで、実施形態1と同様の構成要素については既に使用した符号を用いることで、それらの詳細な説明を省略し、実施形態1との相違点を中心に説明する。
【0048】
まず、
図5(B)に本実施形態に対応する処理の一例に対応するフローチャートを示す。
図5(B)においてS511の処理は、
図3のS309の処理でNOの判定だった場合に実行される。それ以外の処理については
図3に示したものと同様であるのでここでの説明は省略する。
【0049】
S511では、同期信号入力部109が、同期信号出力装置140から入力されていた同期信号が入力解除されたか否かを判定する。同期信号の入力解除とは、例えば、同期信号出力装置140とカメラ100との接続が外れ、同期信号が入力されなくなる状況が考えられる。入力解除されたと判定された場合、S309における判定結果に関わらず、処理はS310に進む。一方、入力解除されたと判定されなかった場合、S309の判定処理を継続し、Genlockが安定するまで待機し、Genlock安定化が完了したら、処理はS310に進む。
【0050】
以上によれば、スタンバイモードから通常撮像モードに移行する場合、Genlock安定化する以前に同期信号の入力が解除された場合、Genlockが安定するのを待たずに直ちに通常撮像モードへの移行ができる。
【0051】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【0052】
(その他の実施例)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。