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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-11
(45)【発行日】2024-12-19
(54)【発明の名称】部品実装機
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20241212BHJP
   H05K 13/08 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
H05K13/04 Z
H05K13/08 Q
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020170103
(22)【出願日】2020-10-07
(65)【公開番号】P2022061872
(43)【公開日】2022-04-19
【審査請求日】2023-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 元和
(72)【発明者】
【氏名】安井 義博
【審査官】丹治 和幸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/229924(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/003267(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/085782(WO,A1)
【文献】特開平07-122900(JP,A)
【文献】特開平07-038294(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/30、
13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのジョブを含む生産計画を実行することにより、基板に部品を実装する部品実装機であって、
第1の部品を前記基板に実装するジョブを少なくとも含む一方で、前記第1の部品とは異なる第2の部品を前記基板に実装するジョブを含まない生産計画を記憶する記憶部と、
生産対象となる基板に前記第1の部品を実装する実装部と、
部品を撮像する撮像部と、
前記撮像部を制御する制御部であって、前記生産計画の実行中であって前記実装部が前記基板に対して前記第1の部品を実装していない所定の期間に、前記第2の部品を前記撮像部により撮像させる、前記制御部と、
を備え
前記部品実装機は、複数の他の部品実装機を含む生産ラインに設置されており、
前記部品実装機と前記複数の他の部品実装機のそれぞれとは、互いに通信可能であり、
前記制御部は、他の前記部品実装機から前記生産計画の進行に関する所定の情報を受信した場合に、前記撮像部により前記第2の部品を撮像させる、部品実装機。
【請求項2】
生産対象となる前記基板を部品実装位置に搬入する搬送部をさらに備えており、
前記所定の期間は、前記生産計画の実行中であって前記搬送部により前記基板が前記部品実装位置に搬入されていない期間である、請求項1に記載の部品実装機。
【請求項3】
前記部品を供給する部品フィーダが複数取り付けられるフィーダ保持部と、
前記部品フィーダから供給される前記部品を吸着するノズルと、をさらに備えており、
前記フィーダ保持部には、前記第1の部品が収容された第1の部品フィーダと、前記第2の部品が収容された第2の部品フィーダとが取り付けられ、
前記制御部は、前記所定の期間に、前記ノズルに前記第2の部品フィーダから供給される第2の部品を吸着させて、前記撮像部により前記第2の部品を撮像させる、請求項1又は2に記載の部品実装機。
【請求項4】
前記部品フィーダを前記フィーダ保持部に着脱可能な自動配置機構をさらに備えており、
前記制御部は、前記生産計画に基づいて、前記所定の期間が生じると判断した場合に、前記フィーダ保持部に前記第2の部品フィーダを取り付けるように前記自動配置機構を制御する、請求項3に記載の部品実装機。
【請求項5】
前記制御部は、前記撮像部による前記第2の部品の撮像が終了した場合に、前記第2の部品フィーダを前記フィーダ保持部から取り外すように前記自動配置機構を制御する、請求項4に記載の部品実装機。
【請求項6】
前記制御部は、前記撮像部により撮像した画像に基づいて、前記第2の部品の部品データを作成する、請求項1~のいずれか一項に記載の部品実装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、部品実装機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、基板に実装する部品の部品データを作成する部品実装機が開示されている。この部品実装機では、生産に使用する部品の形状や寸法を記述したCADデータと、部品実装機の稼働中(生産中)にカメラで実際に撮像された当該部品の画像データとに基づいて、部品データを作成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-211088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、部品実装機の稼働中に、実際に基板に実装される部品をカメラで撮像して、当該部品の部品データを作成する。したがって、当該部品実装機において、他の部品(すなわち、部品実装機の稼働中に生産に使用されない部品)の部品データを作成する場合には、部品実装機の稼働を停止する必要がある。本明細書では、生産効率を低下させることなく、部品データの作成等に要する様々な種類の部品を撮像することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に開示する部品実装機は、少なくとも1つのジョブを含む生産計画を実行することにより、基板に部品を実装する。前記部品実装機は、記憶部と、実装部と、撮像部と、制御部を備えている。前記記憶部は、第1の部品を前記基板に実装するジョブを少なくとも含む一方で、前記第1の部品とは異なる第2の部品を前記基板に実装するジョブを含まない生産計画を記憶する。前記実装部は、生産対象となる基板に前記第1の部品を実装する。前記撮像部は、部品を撮像する。前記制御部は、前記撮像部を制御し、前記生産計画の実行中であって前記実装部が前記基板に対して前記第1の部品を実装していない所定の期間に、前記第2の部品を前記撮像部により撮像させる。
【0006】
部品実装機で基板を生産する場合、一般的に、ジョブ(生産する基板の種類や枚数等を含む指令)を含む生産計画が予め作成されており、当該生産計画に従って基板に対して所定の部品が実装される。ここで、生産計画に従って実際に基板を生産する際には、例えば、他の作業機の工程待ち等に起因して、部品実装機内の実装部が稼働しない所定の期間(すなわち、実装部が部品を実装していない時間(いわゆる空き時間))が生じ得る。上記の部品実装機では、この所定の期間に、生産計画に基づいて基板に実装される第1の部品とは異なる第2の部品(詳細には生産に使用されない部品)を撮像する。したがって、部品実装機による生産を停止することなく、当該生産に使用されない第2の部品の画像を撮像することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施例の部品実装機が配置された生産ラインの概略構成を示す図。
図2】実施例の部品実装機の概略構成を示す図。
図3図2のIII-III線における断面図。
図4】実施例の管理装置が実行する処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。
【0009】
本技術の一実施形態では、前記部品実装機は、生産対象となる前記基板を部品実装位置に搬入する搬送部をさらに備えてもよい。前記所定の期間は、前記生産計画の実行中であって前記搬送部により前記基板が前記部品実装位置に搬入されていない期間であってもよい。
【0010】
生産計画に従って部品を実装するときには、例えば、他の作業機の工程待ち等に起因して、基板が部品実装機内に搬入されていない期間が生じ得る。上記の構成では、このような期間に第2の部品を撮像することにより、生産効率の低下を抑制することができる。
【0011】
本技術の一実施形態では、前記部品実装機は、前記部品を供給する部品フィーダが複数取り付けられるフィーダ保持部と、前記部品フィーダから供給される前記部品を吸着するノズルと、をさらに備えてもよい。前記フィーダ保持部には、前記第1の部品が収容された第1の部品フィーダと、前記第2の部品が収容された第2の部品フィーダとが取り付けられてもよい。前記制御部は、前記所定の期間に、前記ノズルに前記第2の部品フィーダから供給される第2の部品を吸着させて、前記撮像部により前記第2の部品を撮像させてもよい。
【0012】
上記の構成では、第2の部品が収容された第2の部品フィーダがフィーダ保持部に取り付けられるため、部品を実装するためのノズルを利用して(すなわち、ノズルに第2の部品を吸着させて)第2の部品を撮像することができる。
【0013】
本技術の一実施形態では、前記部品実装機は、前記部品フィーダを前記フィーダ保持部に着脱可能な自動配置機構をさらに備えてもよい。前記制御部は、前記生産計画に基づいて、前記所定の期間が生じると判断した場合に、前記フィーダ保持部に前記第2の部品フィーダを取り付けるように前記自動配置機構を制御してもよい。
【0014】
上記の構成では、所定の期間が生じると判断された場合に、第2の部品フィーダがフィーダ保持部に自動的に取り付けられる。このため、作業者が手動で第2の部品フィーダを取り付ける必要がなく、利便性が向上する。
【0015】
本技術の一実施形態では、前記制御部は、前記撮像部による前記第2の部品の撮像が終了した場合に、前記第2の部品フィーダを前記フィーダ保持部から取り外すように前記自動配置機構を制御してもよい。
【0016】
上記の構成では、第2の部品の撮像が終了すると、第2の部品フィーダが自動的にフィーダ保持部から取り外される。このため、例えば、さらに他の部品(すなわち、第3の部品)を撮像したい場合に、第2の部品フィーダが取り付けられていた位置に、当該他の部品を収容した部品フィーダを取り付けることができる。
【0017】
本技術の一実施形態では、前記部品実装機は、複数の他の部品実装機を含む生産ラインに設置されてもよい。前記部品実装機と前記複数の他の部品実装機のそれぞれとは、互いに通信可能であってもよい。前記制御部は、他の前記部品実装機から前記生産計画の進行に関する所定の情報を受信した場合に、前記撮像部により前記第2の部品を撮像させてもよい。
【0018】
生産ラインにおいて生産計画に従って部品を実装する場合、いずれかの部品実装機において生産計画の進行を妨げる事象が生じる場合がある。例えば、他の部品実装機においてエラー等が生じた場合には、基板の搬送等が滞り、基板に対する処理を実行することができない期間が生じ得る。上記の構成では、このような場合に当該他の部品実装機から生産計画に関する所定の情報を受信することに応じて第2の部品を撮像する。したがって、生産ラインにおいて意図しないタイミングでエラー等が生じた場合に、部品実装機が稼働できない期間を利用して第2の部品を撮像することができる。
【0019】
本技術の一実施形態では、前記制御部は、前記撮像部により撮像した画像に基づいて、前記第2の部品の部品データを作成してもよい。
【0020】
上記の構成では、撮像した画像に基づいて、第2の部品の部品データを作成することにより、第2の部品を実装する際に当該部品データを利用することができる。
【0021】
(実施例)
以下、図面を参照して、実施例の部品実装機10について説明する。図1に示すように、部品実装機10は、管理装置8に通信可能に接続されている。管理装置8は、複数の部品実装機10を管理している。管理装置8と、複数の部品実装機10によって生産ライン100が構成されている。管理装置8は、CPU及びメモリを備えるコンピュータを用いて構成されている。管理装置8は、各部品実装機10の動作を制御することで、生産ライン100全体を制御している。すなわち、管理装置8は、複数の部品実装機10のそれぞれに対して、その部品実装機10で基板2に実装する電子部品4の種類及び位置等を決定し、それらを部品実装機10に指示する。各部品実装機10が、管理装置8の指示に基づいて動作することで、基板2に必要な電子部品4が実装される。なお、図1に示す生産ライン100の構成は一例であり、生産すべき基板2の種類等に応じて、印刷機や検査機といった他の基板作業機を併設してもよい。
【0022】
部品実装機10は、基板2に電子部品4を実装する。部品実装機10は、表面実装機やチップマウンタとも称される。基板2は、生産ライン100の一端から他端に向かって送られる。基板2には、各部品実装機10において、予め定められた電子部品4が実装される。生産ライン100の他端まで送られた基板2は、最終製品として出荷、又は半製品として後工程に送られる。
【0023】
図2及び図3に示すように、部品実装機10は、実装部5と、複数の部品フィーダ12と、フィーダ保持部14と、下面撮像カメラ22と、操作パネル28と、ローダ30と、制御装置40とを備えている。
【0024】
各部品フィーダ12は、複数の電子部品4を収容している。部品フィーダ12は、フィーダ保持部14に着脱可能に取り付けられ、ヘッド16へ電子部品4を供給する。部品フィーダ12の具体的な構成は特に限定されない。各部品フィーダ12は、例えば、巻テープ状に複数の電子部品4を収容するテープ式フィーダ、トレイ上に複数の電子部品4を収容するトレイ式フィーダ、又は、容器内に複数の電子部品4をランダムに収容するバルク式フィーダのいずれであってもよい。
【0025】
フィーダ保持部14は、複数のスロットを備えており、複数のスロットのそれぞれには、部品フィーダ12を着脱可能に設置することができる。フィーダ保持部14は、部品実装機10に固定されたものであってもよいし、部品実装機10に対して着脱可能なものであってもよい。
【0026】
ローダ30は、フィーダ保持部14への部品フィーダ12の取り付け及び取り外しを自動で行う装置である。ローダ30は、交換対象の部品フィーダ12をフィーダ保持部14から取り外して回収するとともに、生産に使用される部品フィーダ12をフィーダ保持部14に取り付けるように構成されている。生産ライン100を構成する各部品実装機10は、一方向に沿って配列されており、ローダ30は、当該一方向(図3のX方向)に沿って設けられたガイドレール(不図示)によって、各部品実装機10のフィーダ保持部14の各スロットに対して並行に移動可能に構成されている。ローダ30は、制御装置(不図示)を備えており、当該制御装置は、各部品実装機10の制御装置40と通信可能に構成されている。
【0027】
実装部5は、電子部品4を基板2に実装する。実装部5は、ヘッド16と、側面撮像カメラ20と、ヘッド16及び側面撮像カメラ20を移動させる移動装置18と、基板コンベア26とを備えている。
【0028】
移動装置18は、部品フィーダ12と基板2との間でヘッド16及び側面撮像カメラ20を移動させる。本実施例の移動装置18は、移動ベース18aをX方向及びY方向に移動させるXYロボットである。移動装置18は、移動ベース18aを案内するガイドレールや、移動ベース18aをガイドレールに沿って移動させる移動機構、また当該移動機構を駆動するモータ等によって構成されている。移動装置18は、部品フィーダ12及び基板2の上方に配置されている。移動ベース18aに対してヘッド16及び側面撮像カメラ20が取り付けられている。ヘッド16及び側面撮像カメラ20は、移動装置18によって部品フィーダ12の上方及び基板2の上方を移動する。
【0029】
ヘッド16は、電子部品4を吸着する1又は複数のノズル6を備えている。ノズル6は、ヘッド16に対して着脱可能である。ノズル6は、上下方向(図2のZ方向)に移動可能にヘッド16に保持されている。ノズル6は、ヘッド16に収容されたアクチュエータ(不図示)によって上下方向に昇降するとともに、電子部品4を吸着可能に構成されている。ヘッド16により電子部品4を基板2に実装するには、まず、移動装置18によりヘッド16を部品吸着位置に移動させる。次に、ノズル6の下面(吸着面)が部品フィーダ12に収容された電子部品4に当接するまで、ノズル6を下方に移動させる。次いで、移動装置18によりヘッド16を部品実装位置に移動させ、基板2に対して位置決めする。次いで、ノズル6を基板2に向かって下降させることで、基板2に電子部品4を実装する。
【0030】
側面撮像カメラ20は、移動ベース18aに取り付けられている。このため、ヘッド16が移動すると、側面撮像カメラ20も一体となって移動する。側面撮像カメラ20は、ノズル6の側方(Y方向)に配置されている。側面撮像カメラ20は、ノズル6に吸着された電子部品4を側方から撮像する。側面撮像カメラ20には、例えばCCDカメラが用いられる。側面撮像カメラ20によって撮像された画像のデータは、制御装置40に送信される。
【0031】
下面撮像カメラ22は、フィーダ保持部14と基板コンベア26の間に配置されている。下面撮像カメラ22は、撮像光軸が上方(Z方向)に向かうように設置されており、ノズル6に吸着された電子部品4を下方から撮像する。下面撮像カメラ22には、例えばCCDカメラが用いられる。下面撮像カメラ22によって撮像された画像のデータは、制御装置40に送信される。
【0032】
基板コンベア26は、基板2をX方向へ搬送する。本実施例の基板コンベア26は、一対のベルトコンベアと、ベルトコンベアに取り付けられるとともに基板2を下方から支持する支持装置と、ベルトコンベアを駆動する駆動装置により構成されている。基板コンベア26は、一方側に隣接する基板作業機から基板2を受け取って部品実装機10内へ搬入し、基板2を部品実装位置へ位置決めする。基板コンベア26は、基板2に対する電子部品4の実装が完了すると、基板2を部品実装機10から搬出し、他方側に隣接する基板作業機へ受け渡す。
【0033】
操作パネル28は、作業者に部品実装機10の各種の情報を提供する表示装置であるとともに、作業者からの指示や情報を受け付ける入力装置である。制御装置40は、CPU及びメモリを備えるコンピュータを用いて構成されている。制御装置40は、管理装置8から送信される生産計画に基づいて、部品実装機10の各部の動作を制御する。また、制御装置40は、生産ライン100を構成する他の部品実装機10の制御装置それぞれと通信可能に構成されている。
【0034】
基板2に電子部品4を実装する際には、ノズル6に吸着された電子部品4を側面撮像カメラ20や下面撮像カメラ22で撮像し、撮像した画像を予め制御装置40のメモリに記憶されている部品データ(電子部品4の種類、寸法、形状等が記述されたデータ)と照合することにより、当該電子部品4の種類が適切か否か、また、当該電子部品4に欠損等が生じていないか等を検出する。このため、例えば、制御装置40に部品データが記憶されていない種類の電子部品4を実装する場合には、部品データを新たに作成する必要がある。
【0035】
上述の通り、生産ライン100では、各部品実装機10が管理装置8から送信される生産計画に従った処理をそれぞれ実行することにより、当該生産計画に応じた基板2が生産される。各部品実装機10に送信される生産計画は、対応する部品実装機10に実行させるべき1又は複数のジョブ(生産する基板の種類や枚数、実装すべき電子部品4の種類等を含む指令)を含んでおり、各部品実装機10は、当該ジョブに従って、基板2に対して電子部品4を実装する。ここで、生産計画に従って実際に基板2を生産する際には、例えば、他の部品実装機の工程待ち等に起因して、部品実装機10内の実装部5が稼働しない(すなわち、実装部5が電子部品4を実装していない)所定の期間が生じ得る。本実施例では、この所定の期間に、電子部品4の部品データを作成するための画像が撮像される。特に、本実施例では、生産計画に基づいて基板2に実装される電子部品4a(以下、第1の部品4aという。)とは異なる電子部品4b(以下、第2の部品4bという。)の撮像が実行される。第2の部品4bは、生産計画に基づく基板2の生産において、基板2に実装されない部品である。すなわち、部品実装機10に送信される生産計画は、第1の部品4aを実装するジョブを含む一方、第2の部品4bを実装するジョブを含まない。なお、生産計画は、第1の部品4a以外の電子部品4(ただし、第2の部品4bを除く)を実装するジョブを含んでもよい。
【0036】
以下、図4を参照して、部品実装機10によって第2の部品4bの部品データを作成する処理について説明する。部品データを作成する場合、まず、作業者が部品データを作成すべき第2の部品4bの情報(例えば、部品メーカが提供する規格表に記載の各情報)を管理装置8に入力する。また、作業者は、第2の部品4bが収容された部品フィーダ12bをローダ30にセットする。また、作業者は、生産すべき基板2の種類や枚数等を含む情報を管理装置8に入力する。当該情報が入力されることに応じて、図4の処理が開始される。
【0037】
S12において、管理装置8は、入力された情報(生産すべき基板2の種類や枚数等を含む情報)に基づいて、生産計画を作成する。すなわち、管理装置8は、生産ライン100を構成する各部品実装機10のそれぞれが実行する処理を決定する。そして、S14において、管理装置8は、作成した生産計画を各部品実装機10の制御装置40に送信する。
【0038】
S16において、管理装置8は、撮像対象の部品情報がメモリに記憶されているか否かを判断する。ここでは、作業者によって第2の部品4bの情報が予め入力されている場合には、管理装置8は、撮像対象の部品情報が記憶されていると判断してS18に進む。一方、管理装置8は、撮像対象の部品情報が記憶されていないと判断する場合(S16でNO)には、S24に進む。
【0039】
S18において、管理装置8は、生産計画に従って処理を実行する各部品実装機10の中に、非稼働期間がある部品実装機10が存在するか否かを判断する。基板2に対して実装する電子部品4の数や種類は、それぞれの部品実装機10で異なり得る。このため、生産計画に従った処理を実行すると、1枚の基板2に対する処理時間がそれぞれの部品実装機10で異なり得る。したがって、基板2に対する処理時間が短い部品実装機10では、生産計画の実行中に、実装部5が稼働しない(例えば、実装部5が電子部品4を実装しない)非稼働期間が生じる。S18では、管理装置8は、作成した生産計画に基づいて、非稼働期間が生じる部品実装機10が存在するか否かを判断する。管理装置8は、非稼働期間が生じる部品実装機10が存在すると判断する場合(S18でYES)にはS20に進み、非稼働期間が生じる部品実装機10が存在しないと判断する場合(S18でNO)にはS24に進む。
【0040】
S20において、管理装置8は、S18で特定した部品実装機10に空きスロットが存在するか否かを判断する。各部品実装機10に送信される生産計画は、基板2に実装すべき電子部品4の種類や数が定められた1又は複数のジョブを含んでいる。したがって、各部品実装機10のフィーダ保持部14には、当該ジョブに対応する電子部品4を収容する1又は複数の部品フィーダ12が取り付けられる。ここで、フィーダ保持部14は、複数のスロットを備えているため、部品フィーダ12が取り付けられないスロット(空きスロット)が存在し得る。S20では、管理装置8は、S18において特定した部品実装機10にこの空きスロットが存在するか否かを判断する。管理装置8は、空きスロットが存在すると判断する場合(S20でYES)にはS22に進み、空きスロットが存在しないと判断する場合(S20でNO)にはS24に進む。
【0041】
S22において、管理装置8は、S18で特定した部品実装機10の制御装置40に対して、非稼働期間に第2の部品4bを撮像する撮像指示を送信する。撮像指示は、生産計画とは独立した指示であり、S18で特定した部品実装機10以外の部品実装機10には送信されない。具体的には、管理装置8は、S18で特定した部品実装機10の制御装置40に対して、第2の部品4bが収容された部品フィーダ12bをフィーダ保持部14に取り付け、当該第2の部品4bを非稼働期間に側面撮像カメラ20及び下面撮像カメラ22により撮像する指示を送信する。
【0042】
S24において、管理装置8は、作成した生産計画に従った処理を実行する操作入力を作業者から受け付けたか否かを判断する。管理装置8は、当該操作入力を受け付けたと判断する場合(S24でYES)、S26において、各部品実装機10に対して、生産計画に従った処理を実行する実行指示を送信する。管理装置8は、S26の処理を実行すると、一連の処理を終了する。
【0043】
一方、実行指示を受信した各部品実装機10は、生産計画に含まれるジョブに従って処理を実行する。ここで、S22において撮像指示を受信した部品実装機10の制御装置40は、第2の部品4bが収容された部品フィーダ12bをフィーダ保持部14の空きスロットに取り付けるように、ローダ30を制御する。そして、ローダ30は、図3の矢印に示すように、当該部品フィーダ12bをフィーダ保持部14の空きスロットに取り付ける。図3では、第1の部品4aを収容する部品フィーダ12aを含む複数の部品フィーダ12がフィーダ保持部14に取り付けられており、フィーダ保持部14の複数のスロットのうち、図面下側の2つのスロットが空きスロットとなっている。
【0044】
その後、制御装置40は、生産計画に含まれるジョブを実行している間に、非稼働期間が到来すると、部品フィーダ12bから供給される第2の部品4bをノズル6に吸着させる。そして、制御装置40は、側面撮像カメラ20及び下面撮像カメラ22によってノズル6に吸着された第2の部品4bを撮像させる。そして、制御装置40は、撮像された第2の部品4bの画像を管理装置8に送信する。また、制御装置40は、第2の部品4bの撮像が終了すると、部品フィーダ12bをフィーダ保持部14から取り外すようにローダ30を制御する。一方、第2の部品4bの画像を受信した管理装置8は、当該画像に基づいて第2の部品4bの部品データを作成する。
【0045】
以上に説明したように、本実施例の部品実装機10では、生産計画の実行中に実装部5が稼働しない期間(実装部5が電子部品4を実装しない期間)を算出し、当該期間に第2の部品4b(すなわち、生産に使用されない部品)を撮像する。したがって、生産ライン100における生産効率を低下させることなく、生産に使用されない第2の部品4bの画像を撮像することができる。
【0046】
また、本実施例では、ノズル6に吸着させた第2の部品4bを側面撮像カメラ20及び下面撮像カメラ22により撮像する。したがって、基板2に対する実装時と同様の撮像条件で第2の部品4bの画像を取得することができるため、作成した部品データの信頼性が高い。
【0047】
また、本実施例では、第2の部品4bを撮像するにあたり、ローダ30によって自動的に部品フィーダ12bがフィーダ保持部14に対して着脱される。このため、作業者が手動で部品フィーダ12bを取り付ける必要がなく、利便性が向上する。
【0048】
(対応関係)
側面撮像カメラ20及び下面撮像カメラ22が、「撮像部」の一例である。制御装置40のメモリが、「記憶部」の一例である。管理装置8及び制御装置40が、「制御部」の一例である。非稼働期間が、「所定の期間」の一例である。基板コンベア26が、「搬送部」の一例である。ローダ30が、「自動配置機構」の一例である。
【0049】
上述した実施例では、第2の部品4bが収容された部品フィーダ12bをローダ30によりフィーダ保持部14に対して着脱したが、部品実装機10は、ローダ30を備えていなくてもよい。この場合、管理装置8は、部品フィーダ12bを取り付けるべき部品実装機10を特定し、例えば、部品フィーダ12bを取り付けるべきスロットの位置を示す情報を当該特定した部品実装機10の操作パネル28に表示してもよい。作業者は、当該情報を確認して、部品フィーダ12bを部品実装機10の空きスロットに取り付けてもよい。
【0050】
また、上述した実施例では、第2の部品4bのみを撮像対象として説明したが、生産計画の実行中に複数種類の電子部品4を撮像してもよい。
【0051】
また、非稼働期間は、生産計画に基づいて算出される期間でなくてもよい。例えば、或る部品実装機10において基板2への電子部品4の実装を完了したが、下流側の部品実装機10における後工程が滞っている場合には、実装を完了した基板2を搬出することができない期間が生じる。このため、例えば、管理装置8が、後工程が滞っているという情報を当該下流側の部品実装機10から受信した場合には、この基板2を搬出することができない期間に、第2の部品4bを撮像するように部品実装機10を制御してもよい。すなわち、図4のS18でNOと判断された場合であっても、S26を実行した後に、上記の情報を受信した場合には、撮像指示を送信してもよい。本変形例では、基板2を搬出することができない期間が「所定の期間」の一例であり、後工程が滞っているという情報が、「所定の情報」の一例である。
【0052】
また、上流側の部品実装機10においてエラーや電子部品4のピックアップミス等が生じたことにより基板2の搬送が遅れている場合には、部品実装機10に基板2が搬入されない期間が生じる。このため、例えば、管理装置8が、エラーや電子部品4のピックアップミス等が生じたことにより基板2の搬送が遅れているという情報を当該上流側の部品実装機10から受信した場合には、この基板2が搬入されない期間に、第2の部品4bを撮像するように部品実装機10を制御してもよい。すなわち、図4のS18でNOと判断された場合であっても、S26を実行した後に、上記の情報を受信した場合には、撮像指示を送信してもよい。本変形例では、基板2が搬入されない期間が「所定の期間」の一例であり、基板2の搬送が遅れているという情報が、「所定の情報」の一例である。
【0053】
また、管理装置8は、S18において、複数の部品実装機10において非稼働期間が存在すると判断し、S20において、当該複数の部品実装機10の複数台に空きスロットが存在すると判断する場合があり得る。このような場合には、管理装置8は、当該複数の部品実装機10のうちから、第2の部品4bの吸着に最適なノズル6や第2の部品4bの撮像に最適な性能(分解能や照明配置)を有するカメラ20、22が設けられた部品実装機10を特定する処理を実行してもよい。そして、管理装置8は、特定した部品実装機10に対して撮像指示を送信してもよい。
【0054】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0055】
2:基板
4:電子部品
4a:第1の部品
4b:第2の部品
5:実装部
6:ノズル
8:管理装置
10:部品実装機
12:部品フィーダ
14:フィーダ保持部
16:ヘッド
18:移動装置
18a:移動ベース
20:側面撮像カメラ
22:下面撮像カメラ
26:基板コンベア
28:操作パネル
30:ローダ
40:制御装置
100:生産ライン
図1
図2
図3
図4