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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-11
(45)【発行日】2024-12-19
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 25/77 20230101AFI20241212BHJP
   H04N 25/78 20230101ALI20241212BHJP
   H04N 25/76 20230101ALI20241212BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
H04N25/77
H04N25/78
H04N25/76
H01L27/146 A
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2020177921
(22)【出願日】2020-10-23
(65)【公開番号】P2022069011
(43)【公開日】2022-05-11
【審査請求日】2023-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100136799
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 亜希
(72)【発明者】
【氏名】黒田 享裕
【審査官】櫃本 研太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-029694(JP,A)
【文献】特開2019-186598(JP,A)
【文献】特開2020-010093(JP,A)
【文献】特開2019-009768(JP,A)
【文献】国際公開第2020/095540(WO,A1)
【文献】特開2020-150377(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0252563(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/30-5/33、23/11
23/20-23/30、25/00
25/20-25/61、
25/615-25/79
H01L 27/14-27/148、
29/762-29/768
H10K 39/30-39/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光の入射に応じて信号を出力する複数の画素に対応して複数の行及び複数の列をなすように配され、対応する画素からの出力に応じて各々が第1デジタル信号を出力する複数の第1信号生成部と、
遮光されており、前記複数の行及び前記複数の列の少なくとも一部に対応して配され、各々が所定のデジタル値を有する第2デジタル信号を出力する複数の第2信号生成部と、
遮光されている複数の画素に対応して配され、対応する画素からの出力に応じて各々が第4デジタル信号を出力する複数の第3信号生成部と、
前記複数の第1信号生成部及び前記複数の第2信号生成部のうちの選択された一部から出力された前記第1デジタル信号及び前記第2デジタル信号の少なくとも1つに基づく信号を出力する読み出し部と
を有し、
前記複数の画素の各々は、アバランシェフォトダイオードを含み、
前記第2信号生成部は、前記複数の第1信号生成部と前記複数の信号生成部が設けられたチップの端部との間に配され、
前記第2信号生成部は、前記第1信号生成部と前記第3信号生成部の間に配されている、
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記複数の第2信号生成部は、前記複数の行のうちのすべての行に対応するように配されている
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記複数の第2信号生成部は、前記複数の列のうちのすべての列に対応するように配されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2デジタル信号は、複数のビットを有し、
前記複数のビットのすべてが同一のレベルである
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2デジタル信号は、複数のビットを有し、
前記複数のビットのうち、すべての偶数番目のビットがハイレベルでありすべての奇数番目のビットがローレベルであるか、又はすべての偶数番目のビットがローレベルでありすべての奇数番目のビットがハイレベルである
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記複数の第2信号生成部の各々は、入力された制御信号に含まれるパルスのカウント数に基づいて、前記第2デジタル信号を生成する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記読み出し部は、第1モードにおいて前記第2デジタル信号を出力せず、第2モードにおいて前記第2デジタル信号を出力する
ことを特徴とする請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記読み出し部は、前記第1モード及び前記第2モードのいずれにおいても前記第1デジタル信号を出力する
ことを特徴とする請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記読み出し部は、前記第1モードにおいて前記第1デジタル信号を出力し、前記第2モードにおいて前記第1デジタル信号を出力しない
ことを特徴とする請求項7に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第2モードは、前記読み出し部の検査を行う検査モードである
ことを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記複数の第1信号生成部、前記複数の第2信号生成部及び前記読み出し部は、第1基板に配され、
前記複数の画素は第2基板に配される
ことを特徴とする請求項10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記読み出し部は、前記第1デジタル信号と前記第2デジタル信号とが結合された第3デジタル信号を出力する
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第3デジタル信号は、前記第1デジタル信号を出力した第1信号生成部のアドレスを示す情報を含む
ことを特徴とする請求項12に記載の半導体装置。
【請求項14】
第1基板を更に有し、
前記複数の第1信号生成部、前記複数の第2信号生成部及び前記読み出し部は、前記第1基板に配されている
ことを特徴とする請求項1乃至10、12及び13のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記読み出し部から外部に信号を出力するための端子電極が前記第1基板に配されている
ことを特徴とする請求項14に記載の半導体装置。
【請求項16】
第2基板を更に有し、
前記複数の画素は、前記第2基板に配されている
ことを特徴とする請求項14又は15に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記第1基板と前記第2基板は互いに積層されており、
前記光の入射に応じて信号を出力する複数の画素の各々は、前記複数の第1信号生成部のうちの対応する1つと電気的に接続されている
ことを特徴とする請求項16に記載の半導体装置。
【請求項18】
前記複数の第1信号生成部の各々は、前記アバランシェフォトダイオードの電位の変化をカウントするカウンタ回路を含む
ことを特徴とする請求項1乃至17のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項19】
前記第1デジタル信号と、前記第4デジタル信号とに基づき、黒レベルの補正を行う
ことを特徴とする請求項1乃至18のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項20】
請求項1乃至19のいずれか1項に記載の半導体装置を含む光電変換装置と、
前記光電変換装置から出力される信号を処理する信号処理部と、
を有することを特徴とする光電変換システム。
【請求項21】
移動体であって、
請求項1乃至19のいずれか1項に記載の半導体装置を含む光電変換装置と、
前記光電変換装置からの信号に基づく視差画像から、対象物までの距離情報を取得する距離情報取得手段と、
前記距離情報に基づいて前記移動体を制御する制御手段と
を有することを特徴とする移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アバランシェフォトダイオード等の光電変換素子に入射する光子のカウント値に応じたデジタル信号を出力する半導体装置が知られている。特許文献1には、各々がアバランシェフォトダイオードを含み、光子の受光頻度に応じたデジタル信号を出力する画素が複数個配列された半導体装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-9768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1においては、入射光に基づく情報以外の情報を含むデジタル信号を半導体装置から出力することについては検討がなされていない。
【0005】
そこで、本発明の目的は、入射光に基づく情報以外の情報を含むデジタル信号を出力し得る半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一観点によれば、光の入射に応じて信号を出力する複数の画素に対応して複数の行及び複数の列をなすように配され、対応する画素からの出力に応じて各々が第1デジタル信号を出力する複数の第1信号生成部と、遮光されており、前記複数の行及び前記複数の列の少なくとも一部に対応して配され、各々が所定のデジタル値を有する第2デジタル信号を出力する複数の第2信号生成部と、遮光されている複数の画素に対応して配され、対応する画素からの出力に応じて各々が第4デジタル信号を出力する複数の第3信号生成部と、前記複数の第1信号生成部及び前記複数の第2信号生成部のうちの選択された一部から出力された前記第1デジタル信号及び前記第2デジタル信号の少なくとも1つに基づく信号を出力する読み出し部とを有し、前記複数の画素の各々は、アバランシェフォトダイオードを含み、前記第2信号生成部は、前記複数の第1信号生成部と前記複数の信号生成部が設けられたチップの端部との間に配され、前記第2信号生成部は、前記第1信号生成部と前記第3信号生成部の間に配されている、ことを特徴とする半導体装置が提供される
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、入射光に基づく情報以外の情報を含むデジタル信号を出力し得る半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る半導体装置のブロック図の一例である。
図2】第1実施形態に係る画素回路領域の等価回路図の一例である。
図3】第1実施形態に係る信号生成部の出力信号を説明するための概念図である。
図4】第1実施形態に係る半導体装置の通常モード時におけるタイミング図の一例である。
図5】第1実施形態に係る半導体装置の検査モード時におけるタイミング図の一例である。
図6】第2実施形態に係る半導体装置の検査モード時におけるタイミング図の一例である。
図7】第3実施形態に係る画素回路領域の等価回路図の一例である。
図8】第3実施形態に係る信号処理回路及び信号生成回路におけるカウント動作を説明するためのタイミング図の一例である。
図9】第4実施形態に係る半導体装置の出力信号を説明するための概念図である。
図10】第5実施形態に係る半導体装置のブロック図の一例である。
図11】第6実施形態に係る半導体装置の構成図である。
図12】第6実施形態に係るセンサチップのブロック図の一例である。
図13】第6実施形態に係る回路チップのブロック図の一例である。
図14】第6実施形態に係る画素領域の等価回路図の一例である。
図15】第6実施形態に係る半導体装置の断面図の一例である。
図16】第7実施形態に係る撮像システムの構成例を示すブロック図である。
図17】第8実施形態に係る撮像システム及び移動体の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を説明する。複数の図面にわたって同一の要素又は対応する要素には共通の符号が付されており、その説明は省略又は簡略化されることがある。
【0010】
[第1実施形態]
図1は、本実施形態に係る半導体装置100のブロック図の一例である。図1において、半導体装置100は、画素回路領域22と読み出し回路領域23を含む。
【0011】
画素回路領域22は、第1画素回路領域22aと第2画素回路領域22bを含む。第1画素回路領域22aは、複数の行及び複数の列に渡って二次元状に配された複数の画素部103を含む。画素部103は、入射光に応じた信号を出力する光電変換素子を含む。図1に示す例では、第1画素回路領域22aは、第1行から第5行までの5行と、第1列から第5列までの5列に配された25個の画素部103を含む。図1では、画素部103を示すボックス内に行番号及び列番号を示す符号が表記されている。例えば、第1行、第4列に配された画素部103には、「S14」と表記されている。なお、第1画素回路領域22aに含まれる画素部103の行数及び列数は、特に限定されるものではない。
【0012】
第2画素回路領域22bは、第1画素回路領域22aに沿って1行及び1列をなすように配された複数の信号生成部104を含む。図1に示す例では、第2画素回路領域22bは、第0行の各列及び第0列の各行に配された11個の信号生成部104を含む。図1では、信号生成部104を示すボックス内に列番号及び行番号を示す符号が表記されている。第0行の第0列から第5列に配された信号生成部104には、「S00」~「S05」と表記されている。第0列の第1行から第5行に配された信号生成部104には、「S10」~「S50」と表記されている。このように、複数の信号生成部104は、複数の画素部103の複数の行及び複数の列の少なくとも一部に対応して配されている。なお、第2画素回路領域22bの行数、列数等の配置は、図示したものに限定されるものではない。なお、第2画素回路領域22bは、画素部103を含まないため、遮光層等により光学的に遮光されていてもよい。
【0013】
読み出し回路領域23(読み出し部)は、垂直走査回路110と、列回路112と、水平走査回路111と、制御パルス生成部115と、信号出力回路114とを含む。画素回路領域22の複数の画素部103及び信号生成部104の各行には、第1の方向(図1において縦方向)に延在して、複数の制御線116が配されている。複数の制御線116は、第1の方向に並ぶ画素部103及び信号生成部104にそれぞれ接続され、共通信号線を成している。制御線116の延在する第1の方向は、行方向又は水平方向と表記することがある。なお、図1では、制御線116の各々に、行番号を付した符号を表記している。例えば、第1行の制御線116は、「VSEL[1]」と表記されている。
【0014】
各行の制御線116は、垂直走査回路110に接続されている。垂直走査回路110は、画素部103及び信号生成部104を駆動するための制御信号を、制御線116を介して画素部103及び信号生成部104に供給する。
【0015】
画素回路領域22の複数の画素部103及び信号生成部104の各列には、第1の方向と交差する第2の方向(図1において横方向)に延在して、信号線113が配されている。信号線113は、第2の方向に並ぶ画素部103及び信号生成部104にそれぞれ接続され、共通の信号線をなしている。信号線113の延在する第2の方向は、列方向又は垂直方向と表記されることがある。
【0016】
なお、図1では、信号線113の各々に、列番号を付した符号を表記している。例えば、第4列の信号線113は、「POUT4」と表記されている。信号線113の各々は、nビットのデジタル信号を伝送するためのn本の信号線を備えている。信号線113は、列回路112に接続されている。列回路112は、画素回路領域22の複数の画素部103及び信号生成部104の各列に対応してそれぞれ設けられており、対応する列の信号線113に接続されている。列回路112は、対応する列の信号線113を介して画素部103及び信号生成部104から読み出された信号を保持する機能を備える。
【0017】
水平走査回路111は、列回路112から信号を読み出すための制御信号を列回路112に供給する。水平走査回路111は、各列の列回路112に、制御線117を介して制御信号を供給する。水平走査回路111から制御信号を受信した列回路112は、保持している信号を水平出力線HSIGを介し、信号出力回路114に出力する。なお、図1では、制御線117の各々に、列番号を示す符号を表記している。例えば、第4列の制御線117は、「HSEL[4]」と表記されている。水平出力線HSIGは、nビットのデジタル信号を伝送するためのn本の信号線を備えている。
【0018】
信号出力回路114は、画素回路領域22からの出力に応じた信号を半導体装置100の出力信号SOUTとして出力する。制御パルス生成部115は、外部入力クロック信号MCLKにより駆動され、垂直走査回路110、水平走査回路111、列回路112の動作及びこれらの動作タイミングを制御する制御信号を供給する。なお、垂直走査回路110、水平走査回路111、列回路112の動作及びこれらの動作タイミングを制御する制御信号の少なくとも一部は、半導体装置100の外部から供給されてもよい。
【0019】
図2は、図1における画素回路領域22の等価回路図の一例である。図2には、簡略化のため、第0行から第2行及び第0列から第2列に配された4個の画素部103及び5個の信号生成部104が示されている。
【0020】
複数の画素部103の各々は、光電変換部であるアバランシェフォトダイオード(以下、APD)201と、クエンチ素子202と、信号処理回路211と、選択回路212とを含む。
【0021】
APD201に光が入射されると、光電変換により入射光に応じた電荷対が生成される。APD201のアノードには、電圧VL(第1電圧)が供給される。また、APD201のカソードには、アノードに供給される電圧VLよりも高い電圧VH(第2電圧)が供給される。APD201のアノードとカソードには、APD201がアバランシェ増倍動作をするような逆バイアス電圧が供給される。このような電圧を供給した状態とすることで、入射光によって生じた電荷がアバランシェ増倍を起こし、アバランシェ電流が発生する。逆バイアス電圧が供給される場合の動作モードには、アノード及びカソードの電位差が降伏電圧より大きな電位差で動作させるガイガーモードと、アノード及びカソードの電位差が降伏電圧近傍、もしくはそれ以下の電圧差で動作させるリニアモードがある。ガイガーモードで動作させるAPDをSPADと呼ぶ。
【0022】
クエンチ素子202は、電圧VHを供給する電源とAPD201のカソードの間に接続される。クエンチ素子202は、APD201で生じたアバランシェ電流の変化を電圧信号に置き換える機能を有する。クエンチ素子202は、アバランシェ増倍による信号増倍時に負荷回路(クエンチ回路)として機能し、APD201に供給する電圧を抑制して、アバランシェ増倍を抑制する働きを持つ(クエンチ動作)。
【0023】
信号処理回路211(第1信号生成部)は、光子検出時に得られるAPD201のカソードの電位変化をカウントする機能を有する。この機能は、例えば、信号処理回路211が、カソードの電位変化により生じたパルスをカウントするカウンタ回路を備えることにより実現され得る。これにより、信号処理回路211は、APD201に入射した光子の数に応じたカウント値(第1デジタル信号)を出力することができる。信号処理回路211は、制御線213を介して入力される制御信号に応じてカウンタ回路の初期化等を行う。
【0024】
選択回路212は、図1の垂直走査回路110から制御線214を介して供給される制御信号により、信号処理回路211と信号線113との電気的な接続、非接続を制御する。選択回路212は、例えば、電気的な接続、非接続を制御するスイッチ、信号を出力するためのバッファ回路等を含む。
【0025】
本実施形態において、画素部103は、APD201に入射する光子のカウント値をデジタル信号として出力する機能を有しているものとするが、これに限るものではない。信号処理回路211は、時間-デジタル変換回路(Time to Digital Converter:以下、TDC)及びメモリを含んでもよい。この場合、画素部103は、典型的には、画像を形成するための画素であるが、TOF(Time of Flight)に用いる場合には、必ずしも画像を形成しなくてもよい。すなわち、画素部103は、光が到達した時刻と光量を測定するための画素であってもよい。
【0026】
複数の信号生成部104の各々は、信号生成回路215及び選択回路212を含む。信号生成回路215(第2信号生成部)は、所定のnビット(nは自然数)のデジタル値を有するデジタル信号(第2デジタル信号)を出力するように構成されている。このデジタル信号は、例えば、読み出し回路領域23における配線、回路動作等の検査に用いられ得る。また、信号生成回路215は、制御線213を介して入力される制御信号に応じて初期化等の信号生成に関する処理を行う。信号生成部104の選択回路212は、図1の垂直走査回路110から制御線214を介して供給される制御信号により、信号生成回路215と信号線113との電気的な接続、非接続を制御する。
【0027】
このように、信号線113には、垂直走査回路110により選択された行の、信号処理回路211から出力されたカウント値又は信号生成回路215から出力された所定のnビットのデジタル値を有するデジタル信号が出力される。これらの信号は、列回路112に記憶され、水平走査回路111の走査に応じて信号出力回路114を介して半導体装置100の外部に出力される。
【0028】
ここで、図3(a)から図3(d)を参照して、信号生成回路215から出力される所定のデジタル値の具体例を説明する。図3(a)から図3(d)は、本実施形態に係る信号生成部104の出力信号を説明するための概念図である。図3(a)から図3(d)は、信号生成回路215から出力されるnビットのデジタル信号の値を示している。なお、本例においては、デジタル信号は複数のビットを有する(すなわち、nが2以上の整数)ものとする。なお、図中の「MSB」は最上位ビット(Most Significant Bit)を示しており、図中の「LSB」は最下位ビット(Least Significant Bit)を示している。また、以下の説明においては、「k番目のビット」は最下位から数えてk番目の位置のビットを意味するものとする。すなわち、図3(a)から図3(d)におけるLSBは1番目のビット(すなわち奇数番目のビット)であり、図3(a)から図3(d)におけるMSBはn番目のビットであるものとする。また、本実施形態のデジタル信号は、ローレベルが0に対応し、ハイレベルが1に対応する正論理であるものとするが、これとは逆の負論理であってもよい。
【0029】
図3(a)は、すべてのビットが0(ローレベル)である場合の例である。図3(b)は、すべてのビットが1(ハイレベル)である場合の例である。このように、信号生成回路215から出力されるデジタル信号のすべてのビットが同一のレベルであり得る。
【0030】
図3(c)は、すべての奇数番目のビットが0であり、すべての偶数番目のビットが1である場合の例である。図3(d)は、すべての奇数番目のビットが1であり、すべての偶数番目のビットが0である場合の例である。このように、信号生成回路215から出力されるデジタル信号は、ビット間でハイレベルとローレベルが交互に繰り返されるものであり得る。
【0031】
入射光に基づく信号は上述のように規則的なものである可能性は低い。そのため、上述のような規則的なビット値を有するデジタル信号を検査信号に用いることにより、入射光に基づく信号と検査信号の混同を避けることができる。また、ビット値が規則的であることにより、読み出し回路領域23における配線、回路動作等の不具合により、出力される検査信号が変動した場合に、変動が生じたことを検出しやすくなる。
【0032】
なお、上述のデジタル信号はあくまでも一例である。受信側で検査信号であることが判別できるように事前に定義されている形式であれば、これら以外のものであってもよい。
【0033】
第2画素回路領域22bにおける複数の信号生成部104がそれぞれ出力する複数のデジタル信号のすべてが同じ値でなくてもよい。例えば、行ごとに信号生成部104が出力するデジタル信号の値が異なってもよい。また、信号生成回路215の各々が、複数の値のうちの1つを選択的に出力できるように構成されていてもよい。
【0034】
図4及び図5は、本実施形態の半導体装置100の動作を説明するためのタイミング図である。本実施形態の半導体装置100は、通常モード(第1モード)と検査モード(第2モード)とにより動作するように構成されている。通常モードでは、半導体装置100は、複数の信号生成部104からの出力に応じた検査信号を出力せず、複数の画素部103からの出力に応じた画素信号を出力する。検査モードでは、半導体装置100は、複数の信号生成部104からの出力に応じた検査信号を出力する。図4は、通常モード時におけるタイミング図の一例であり、図5は、検査モード時におけるタイミング図の一例である。図4及び図5は、垂直走査回路110から制御線VSEL[0]~VSEL[5]に供給される信号のタイミングと、水平走査回路111より制御線HSEL[0]~HSEL[5]に供給される信号のタイミングとを示している。また、図4及び図5は、出力信号SOUTの出力タイミングと、出力信号SOUTに対応する画素部103又は信号生成部104の位置とを示している。
【0035】
まず、通常モード時の動作の一例を、図4を用いて説明する。時刻t1において、制御線VSEL[1]の電位がハイレベルになり、その後、時刻t2において、制御線VSEL[1]の電位がローレベルになる。これにより、時刻t1から時刻t2の期間内において、第1行の複数の画素部103から信号が出力され、各列に対応した信号線113を介して列回路112に保持される。
【0036】
時刻t3において、制御線HSEL[1]の電位がハイレベルになり、その後、時刻t4において、制御線HSEL[1]の電位がローレベルになる。これにより、時刻t3から時刻t4の期間内において、第1列の列回路112から信号出力回路114に信号が出力される。信号出力回路114は、第1行第1列の画素部103(S11)からの出力に応じた画素信号を含む出力信号SOUTを出力する。
【0037】
時刻t5において、制御線HSEL[2]の電位がハイレベルになり、その後、時刻t6において、制御線HSEL[2]の電位がローレベルになる。これにより、時刻t5から時刻t6の期間内において、第2列の列回路112から信号出力回路114に信号が出力される。信号出力回路114は、第1行第2列の画素部103(S12)からの出力に応じた画素信号を含む出力信号SOUTを出力する。
【0038】
時刻t7から時刻t8の期間、時刻t9から時刻t10の期間及び時刻t11から時刻t12の期間においても3列目以降の列回路112からの信号出力処理が繰り返される。すなわち、信号出力回路114は、第1行第3列から第1行第5列の画素部103(S13からS15)からの出力に応じた画素信号を含む出力信号SOUTを順次出力する。
【0039】
時刻t13において、制御線VSEL[2]の電位がハイレベルになり、その後、時刻t14において、制御線VSEL[2]の電位がローレベルになる。これにより、時刻t13から時刻t14の期間内において、第2行の複数の画素部103から信号が出力され、各列に対応した信号線113を介して列回路112に保持される。
【0040】
時刻t15以降、時刻t3から時刻t12の期間と同様に、第2行の各列の画素部103(S21からS25)からの出力に応じた画素信号を含む出力信号SOUTが順次出力される。第3行目以降についても同様にして、第1画素回路領域22a内の画素部103の出力に応じた画素信号を含む出力信号SOUTが行ごと及び列ごとに順次出力される。このように、通常モードにおいては、半導体装置100は、複数の画素部103からの出力に応じた画素信号を出力するが、複数の信号生成部104からの出力に応じた検査信号を出力しない。このように検査を行わない通常時には、検査信号の出力を省略することで読み出し等の処理が高速化される。
【0041】
次に、検査モード時の動作の一例を、図5を用いて説明する。時刻t21において制御線VSEL[0]の電位がハイレベルとなり、その後、時刻t22において、制御線VSEL[0]の電位がローレベルになる。これにより、時刻t21から時刻t22の期間内において、第0行の複数の信号生成部104から信号が出力され、各列に対応した信号線113を介して列回路112に保持される。
【0042】
時刻t23において、制御線HSEL[0]の電位がハイレベルになり、その後、時刻t24において、制御線HSEL[0]の電位がローレベルになる。これにより、時刻t23から時刻t24の期間内において、第0列の列回路112から信号出力回路114に信号が出力される。信号出力回路114は、第0行第0列の信号生成部104(S00)からの出力に応じた検査信号を含む出力信号SOUTを出力する。
【0043】
時刻t25において、制御線HSEL[1]の電位がハイレベルになり、その後、時刻t26において、制御線HSEL[1]の電位がローレベルになる。これにより、時刻t25から時刻t26の期間内において、第1列の列回路112から信号出力回路114に信号が出力される。信号出力回路114は、第0行第1列の信号生成部104(S01)からの出力に応じた検査信号を含む出力信号SOUTを出力する。
【0044】
時刻t27から時刻t28の期間、時刻t29から時刻t30の期間、時刻t31から時刻t32の期間及び時刻t33から時刻t34の期間においても2列目以降の列回路112からの信号出力処理が繰り返される。すなわち、信号出力回路114は、第0行第2列から第0行第5列の信号生成部104(S02からS05)からの出力に応じた検査信号を含む出力信号SOUTを順次出力する。
【0045】
時刻t35において、制御線VSEL[1]の電位がハイレベルとなり、その後、時刻t36において、制御線VSEL[1]の電位がローレベルになる。これにより、時刻t35から時刻t36の期間内において、第1行第0列の信号生成部104及び第1行の複数の画素部103から信号が出力され、各列に対応した信号線113を介して列回路112に保持される。
【0046】
時刻t37において、制御線HSEL[0]の電位がハイレベルになり、その後、時刻t38において、制御線HSEL[0]の電位がローレベルになる。これにより、時刻t37から時刻t38の期間内において、第0列の列回路112から信号出力回路114に信号が出力される。信号出力回路114は、第1行第0列の信号生成部104(S10)からの出力に応じた検査信号を含む出力信号SOUTを出力する。
【0047】
時刻t39において、制御線HSEL[1]の電位がハイレベルになり、その後、時刻t40において、制御線HSEL[1]の電位がローレベルになる。これにより、時刻t39から時刻t40の期間内において、第1列の列回路112から信号出力回路114に信号が出力される。信号出力回路114は、第1行第1列の画素部103(S11)からの出力に応じた画素信号を含む出力信号SOUTを出力する。
【0048】
時刻t41から時刻t42の期間、時刻t43から時刻t44の期間、時刻t45から時刻t46の期間及び時刻t47から時刻t48の期間においても2列目以降の列回路112からの信号出力処理が繰り返される。すなわち、信号出力回路114は、第1行第2列から第1行第5列の画素部103(S12からS15)からの出力に応じた画素信号を含む出力信号SOUTを順次出力する。
【0049】
時刻t49において、制御線VSEL[2]の電位がハイレベルになり、その後、時刻t50において、制御線VSEL[2]の電位がローレベルになる。これにより、時刻t49から時刻t50の期間内において、第2行第0列の信号生成部104及び第2行の複数の画素部103から信号が出力され、各列に対応した信号線113を介して列回路112に保持される。
【0050】
時刻t51以降、時刻t37から時刻t48の期間と同様に、第2行の各列の信号生成部104(S20)又は画素部103(S21からS25)からの出力に応じた検査信号又は画素信号を含む出力信号SOUTが順次出力される。第3行目以降についても同様にして、第2画素回路領域22b内の信号生成部104又は第1画素回路領域22a内の画素部103の出力に応じた検査信号又は画素信号を含む出力信号SOUTが行ごと及び列ごとに順次出力される。このように、検査モードにおいては、半導体装置100は、複数の画素部103からの出力に応じた画素信号と、複数の信号生成部104からの出力に応じた検査信号との両方を出力する。
【0051】
このように、本実施形態の半導体装置100は、検査モードによる動作が可能である。検査モード時において、半導体装置100は、第1画素回路領域22aに沿って配された複数の信号生成部104からの出力に応じた検査信号を含む信号を出力する。このとき、複数の信号生成部104は、図3に例示されているような所定のデジタル信号を出力するように構成されている。検査モード時に出力されたデジタル信号が上述の所定のデジタル信号と一致しているか否かを確認することにより、所定のデジタル信号が通過する経路に存在する要素、例えば、読み出し回路領域23における配線又は回路動作の状態を検査することができる。
【0052】
このように、本実施形態においては、検査モードにおいて、入射光に基づかずに検査信号を出力可能である。したがって、本実施形態によれば、入射光に基づく情報以外の情報を含むデジタル信号を出力し得る半導体装置100が提供される。
【0053】
検査用のデジタル信号が入射光に基づくものである場合、入射光量に応じてデジタル信号の値が変動するため適正な検査が困難になる場合がある。この場合であっても入射光量を一定にして検査用のデジタル信号を生成する等により、適正な検査信号の生成は可能であるものの、検査用に特殊な処理が必要であり、検査の処理が煩雑になり得る。また、煩雑な検査を行うことにより、大きな検査時間が必要となる場合もある。この課題は、検査対象が入射光に対する感度が高いアバランシェフォトダイオードを含んでいる場合には、より顕著になり得る。これに対し、本実施形態の半導体装置100が出力する検査用の信号は入射光に依存しない所定のデジタル値を有するデジタル信号であるため、検査が簡略化される。したがって、本実施形態によれば、検査の簡略化が可能な半導体装置100が提供される。
【0054】
また、本実施形態では、半導体装置100は、検査モードにおいて複数の画素部103からの出力に応じた画素信号と、複数の信号生成部104からの出力に応じた検査信号との両方を出力することができる。これにより、検査モード時においても通常モードと同様に画素信号の出力を行うことができるため、画素信号の出力と並行して検査信号に基づく検査を行うことができる。
【0055】
なお、上述の検査は、例えば、半導体装置100の製造の過程で良否の判定等の検査を行う検査工程において行われるものであり得る。この場合において、検査工程は、完成品の半導体装置100に対するものであってもよく、半製品の半導体装置100に対するものであってもよい。また、上述の検査は、半導体装置100の出荷後の使用時等において装置状態の検査を行うためのものであってもよい。
【0056】
複数の信号生成部104は、図1に示されているように、複数の画素部103のすべての行に対応するように配されていることが望ましい。この構成によれば、すべての行について、読み出し回路領域23における行選択の機能の検査を行うことができる。また、複数の信号生成部104は、図1に示されているように、複数の画素部103のすべての列に対応するように配されていることが望ましい。この構成によれば、すべての列について、読み出し回路領域23における信号読み出しの機能の検査を行うことができる。しかしながら、複数の信号生成部104が複数の画素部103のすべての行又はすべての列に対応するように配されていることは必須ではない。
【0057】
[第2実施形態]
本実施形態は、第1実施形態における検査モード時の動作タイミングの変形例である。本実施形態において、検査モード時の動作タイミング以外の構成は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0058】
図6は、本実施形態に係る半導体装置100の検査モード時におけるタイミング図の一例である。図6における時刻t21から時刻t34までの動作は、図5における時刻t21から時刻t34までの動作と同様であるため説明を省略する。すなわち、当該期間において、信号出力回路114は、第0行第0列から第0行第5列の信号生成部104(S00からS05)からの出力に応じた検査信号を含む出力信号SOUTを順次出力する。
【0059】
時刻t61において、制御線VSEL[1]の電位がハイレベルとなり、その後、時刻t62において、制御線VSEL[1]の電位がローレベルになる。これにより、時刻t61から時刻t62の期間内において、第1行第0列の信号生成部104及び第1行の複数の画素部103から信号が出力され、各列に対応した信号線113を介して列回路112に保持される。
【0060】
時刻t63において、制御線HSEL[0]の電位がハイレベルになり、その後、時刻t64において、制御線HSEL[0]の電位がローレベルになる。これにより、時刻t63から時刻t64の期間内において、第0列の列回路112から信号出力回路114に信号が出力される。信号出力回路114は、第1行第0列の信号生成部104(S10)からの出力に応じた検査信号を含む出力信号SOUTを出力する。
【0061】
時刻t65において、制御線VSEL[2]の電位がハイレベルとなり、その後、時刻t66において、制御線VSEL[2]の電位がローレベルになる。これにより、時刻t65から時刻t66の期間内において、第2行第0列の信号生成部104及び第2行の複数の画素部103から信号が出力され、各列に対応した信号線113を介して列回路112に保持される。
【0062】
時刻t67において、制御線HSEL[0]の電位がハイレベルになり、その後、時刻t68において、制御線HSEL[0]の電位がローレベルになる。これにより、時刻t67から時刻t68の期間内において、第0列の列回路112から信号出力回路114に信号が出力される。信号出力回路114は、第2行第0列の信号生成部104(S20)からの出力に応じた検査信号を含む出力信号SOUTを出力する。
【0063】
第3行目以降についても同様にして、第2画素回路領域22b内の信号生成部104の出力に応じた検査信号を含む出力信号SOUTが行ごとに順次出力される。
【0064】
本実施形態の動作タイミングにおいては、半導体装置100は、検査モード時において、複数の画素部103からの画素信号を出力せず、複数の信号生成部104からの出力に応じた検査信号のみを出力する。これにより、出力する信号の個数を少なくすることができるため、本実施形態によれば、検査が更に簡略化され得る半導体装置100が提供される。また、信号の出力時間が検査時間のボトルネックになっているような場合には、本実施形態の動作タイミングを適用して出力する信号の個数を少なくすることで、検査時間が短縮され得る。
【0065】
[第3実施形態]
本実施形態は、第1実施形態における画素回路領域22の変形例である。本実施形態において、画素回路領域22の回路構成と、当該回路に含まれるカウンタ回路に供給される信号以外の構成については第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0066】
図7は、本実施形態に係る画素回路領域22の等価回路図の一例である。本実施形態においては、複数の信号生成部104の各々に設けられている信号生成回路215が、信号線216を介して入力される制御信号のパルスをカウントする機能を有している。この機能は、例えば、信号生成回路215がパルスをカウントするカウンタ回路を備えることにより実現され得る。また、信号生成回路215は、制御線213を介して入力される制御信号に応じて保持しているカウント値の初期化等を行う。各行において、信号線216は、同じ行の信号生成回路215に共通接続されている。また、各行において、制御線213は、同じ行の信号生成回路215及び信号処理回路211に共通接続されている。
【0067】
図8(a)は、本実施形態に係る信号処理回路211におけるカウント動作を説明するためのタイミング図の一例であり、図8(b)は、本実施形態に係る信号生成回路215におけるカウント動作を説明するためのタイミング図の一例である。
【0068】
まず、図8(a)を参照して、信号処理回路211の動作を説明する。図8(a)は、制御線213に供給される信号RSTと、APD201のカソード電位VPDと、信号処理回路211から出力されるカウント値PCNTとを示している。また、図8(a)において、カソード電位VPDには、カソードに印加される電圧VHと、カウントの閾値Vtとが破線により図示されている。
【0069】
時刻t81において、信号RSTがハイレベルになると、信号処理回路211がリセットされ、カウント値PCNTは0になる。その後、信号RSTがローレベルとなった後の時刻t82において、APD201に光子が入射すると、カソード電位VPDは、アバランシェ増倍に基づいて降下する。カソード電位VPDが閾値Vtよりも低くなると、カウント値PCNTは0から1に変化する。同様にして、時刻t83においてAPD201に更に光子が入射すると、カウント値PCNTは1から2に変化し、時刻t84においてAPD201に更に光子が入射すると、カウント値PCNTは2から3に変化する。このようにして、信号処理回路211は、光子の検出時に生じるAPD201のカソード電位の変化の回数をカウントする。
【0070】
次に、図8(b)を参照して、信号生成回路215の動作を説明する。図8(b)は、制御線213に供給される信号RSTと、信号線216に供給される信号CCKと、信号生成回路215から出力されるカウント値SCNTとを示している。
【0071】
時刻t91において、信号RSTがハイレベルになると、信号生成回路215がリセットされ、カウント値SCNTは0となる。その後、信号RSTがローレベルとなった後の時刻t92において、信号CCKがハイレベルとなると、カウント値SCNTは0から1に変化する。以降の時刻t93、t94、t95、t96、t97においても同様にして、信号CCKがローレベルからハイレベルに遷移するごとにカウント値SCNTの値が1ずつ増加する。このようにして、信号生成回路215は、信号CCKのパルスの数をカウントする。
【0072】
本実施形態の構成において、半導体装置100は、信号線216に供給されるパルス信号に含まれるパルスのカウント数に応じて、出力する検査信号の値を設定可能である。これにより、検査時に半導体装置100を制御して、検査信号の値を適宜設定することができるため、本実施形態によれば、検査信号の自由度を向上させることができる半導体装置100が提供される。
【0073】
[第4実施形態]
本実施形態は、第1実施形態における出力信号SOUTの変形例である。本実施形態において、画素回路領域22の回路構成等は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0074】
図9(a)及び図9(b)は、本実施形態に係る半導体装置100からの出力信号SOUTを説明するための概念図である。第1実施形態においては、出力信号SOUTは、検査信号又は画素信号のいずれかであるが、本実施形態においては、出力信号SOUTは、検査信号等の付加信号と画素信号が結合された信号である。
【0075】
図9(a)に示されるように、出力信号SOUTは、付加信号と画素信号が結合されたnビットのデジタル信号である。第1実施形態と同様に、画素信号は、画素部103からの出力に応じた信号であり、付加信号は、信号生成部104からの出力に応じた信号である。付加信号は、出力信号に付加的な情報を付与するものであり得る。また、付加信号は、第1実施形態と同様に検査信号として用いることもできる。また、付加信号は、例えば、画素回路領域22のアドレスを示す信号であってもよい。付加信号と画素信号を結合する処理は、例えば、列回路112で行われ得る。
【0076】
図9(b)は、第4行、第3列の画素部103(S43)からの出力に応じた画素信号に、この画素信号のアドレスを示す付加信号が結合された出力信号SOUT(第3デジタル信号)の一例である。第2画素回路領域22bにおける信号生成部104の各々は、対応する行又は列の位置に応じた値を出力する。ここでは、一例として、画素部103(S40)は「4」(2進数表記で「100」)、画素部103(S03)は「3」(2進数表記で「011」)を出力するものとする。出力信号SOUTは、nビットのデジタル信号であり、上位6ビットが付加信号であるものとする。更に、付加信号の上位3ビットが行番号を示す信号に割り当てられおり、下位3ビットが列番号を示す信号に割り当てられているものとする。このとき、図9(b)に示されるように、付加信号の値は、2進数表記で「100011」である。この付加信号は、画素信号のアドレスが第4行、第3列であることを示している。なお、付加信号が示す情報は、行のみ、あるいは列のみのアドレス情報であってもよく、アドレス情報以外の固有の情報であってもよい。
【0077】
本実施形態によれば、半導体装置100は、画素信号に付加情報が付された信号を出力することができる。また、この付加情報がアドレスである場合には、画素信号が出力された画素部103のアドレスについての情報を付加信号から得ることができる。
【0078】
[第5実施形態]
本実施形態は、第1実施形態における画素回路領域22の変形例である。本実施形態において、画素回路領域22内の画素部103及び信号生成部104の配置以外の構成については第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0079】
図10は、本実施形態に係る半導体装置100のブロック図の一例である。画素回路領域22は、第1画素回路領域22aと、第2画素回路領域22bと、第3画素回路領域22cとを含む。第1画素回路領域22aは、複数の行及び複数の列に渡って二次元状に配された複数の画素部103を含む。画素部103は、入射光に応じた信号を出力する光電変換素子を含む。図10に示す例では、第1画素回路領域22aは、第2行から第5行までの4行と、第2列から第5列までの4列に配された16個の画素部103を含む。図1と同様に、図10においても画素部103を示すボックス内に行番号及び列番号を示す符号が表記されている。なお、第1画素回路領域22aに含まれる画素部103の行数及び列数は、特に限定されるものではない。
【0080】
第2画素回路領域22bは、第1画素回路領域22aに沿って1行及び1列をなすように配された複数の信号生成部104を含む。図10に示す例では、第2画素回路領域22bは、第1行の各列及び第1列の各行に配された11個の信号生成部104を含む。図1と同様に、図10においても信号生成部104を示すボックス内に行番号及び列番号を示す符号が表記されている。なお、第2画素回路領域22bの行数、列数等の配置は、図示したものに限定されるものではない。
【0081】
第3画素回路領域22cは、第2画素回路領域22bに沿って、第1画素回路領域22aの反対側に配されている。言い換えると、第2画素回路領域22bが、第1画素回路領域22aと第3画素回路領域22cの間に配されている。第3画素回路領域22cの画素部103は、第1画素回路領域22aの画素部103と同様に、入射光に応じた信号を出力する光電変換素子を含む。図10に示す例では、第3画素回路領域22cは、第0行の第0列及び第2列から第5列と、第0列の第2行から第5行に配された9個の画素部103を含む。
【0082】
第2画素回路領域22b及び第3画素回路領域22cは、遮光層等により光学的に遮光されている。これにより、第3画素回路領域22c内の画素部103(第3信号生成部)には光が入射されないため、これらの画素部103は黒レベルの基準信号(第4デジタル信号)を出力することができる。第1画素回路領域22aの画素部103から出力される信号から第3画素回路領域22c内の画素部103から出力される信号を減算する等の処理により、黒レベルの補正を行い、ノイズを低減することができる。
【0083】
本実施形態においては、入射光を検出可能な第1画素回路領域22aと、黒レベルの基準信号を出力する第3画素回路領域22cの間に、遮光された第2画素回路領域22bが配されている。第2画素回路領域22bは、入射光に基づく情報以外の情報を含むデジタル信号を出力する機能を有している。更に、第2画素回路領域22bは、第1画素回路領域22aに入射された光が回折して第3画素回路領域22cに入射することによる、基準信号の精度低下等の影響を低減するダミー画素の機能を有している。したがって、本実施形態によれば、高精度に黒レベルの補正を行うことができる半導体装置100が提供される。
【0084】
[第6実施形態]
本実施形態は、積層された複数のチップにより構成された半導体装置100の構成例である。本実施形態において、第1実施形態と共通する要素についての説明は省略する。
【0085】
図11は、本実施形態に係る半導体装置100の構成図の一例である。図11には、半導体装置100の概略構成が分解斜視図の形式で図示されている。半導体装置100は、積層されたセンサチップ11と回路チップ21を含む。センサチップ11と回路チップ21は、相互に電気的に接続されている。センサチップ11は、画素領域12を含む。回路チップ21は、画素回路領域22と読み出し回路領域23を含む。読み出し回路領域23は、回路チップ21において、画素回路領域22の外側に配されている。
【0086】
図12は、本実施形態に係るセンサチップ11のブロック図の一例である。センサチップ11の画素領域12は、複数の行及び複数の列に渡って二次元状に配された複数の画素101を含む。複数の画素101の各々は、APDを含む光電変換部102を備える。図12に示す例では、画素領域12は、第1行から第5行までの5行と、第1列から第5列までの5列に配された25個の画素101を含む。図12では、画素101を示すボックス内に行番号及び列番号を示す符号が表記されている。例えば、第1行、第4列に配された画素101には、「P14」と表記されている。なお、画素領域12に含まれる画素101の行数及び列数は、特に限定されるものではない。
【0087】
図13は、本実施形態に係る回路チップ21のブロック図の一例である。回路チップ21は、第1画素回路領域22aと第2画素回路領域22b及び読み出し回路領域23を含む。なお、読み出し回路領域23の構成は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0088】
第1画素回路領域22aは、複数の行及び複数の列に渡って二次元状に配された複数の画素部105を含む。図13に示す例では、第1画素回路領域22aは、第1行から第5行までの5行と、第1列から第5列までの5列に配された25個の画素部105を含む。図13では、画素部105を示すボックス内に行番号及び列番号を示す符号が表記されている。例えば、第1行、第4列に配された画素部105には、「C14」と表記されている。なお、第1画素回路領域22aに含まれる画素部105の行数及び列数は、特に限定されるものではない。
【0089】
第2画素回路領域22bは、第1画素回路領域22aに沿って1行及び1列をなすように配された複数の信号生成部106を含む。図13に示す例では、第2画素回路領域22bは、第0行の各列及び第0列の各行に配された11個の信号生成部106を含む。図13では、信号生成部106を示すボックス内に列番号及び行番号を示す符号が表記されている。第0行の第0列から第5列に配された信号生成部106には、「C00」~「C05」と表記されている。第0列の第1行から第5行に配された信号生成部106には、「C10」~「C50」と表記されている。なお、第2画素回路領域22bの行数、列数等の配置は、図示したものに限定されるものではない。
【0090】
図14は、本実施形態に係る画素領域12の等価回路図の一例である。図14には、簡略化のため、第0行から第2行及び第0列から第2列に配された4個の画素部105及び5個の信号生成部106が示されている。
【0091】
複数の画素部105の各々は、図14に示すように、画素101と電気的に接続されている。より具体的には、複数の画素部105の各々のクエンチ素子202と信号処理回路211の接続ノードが、画素101のAPD201のカソードと電気的に接続されている。これ以外の回路構成については第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0092】
本実施形態の半導体装置100は、第1実施形態と同様に、複数の画素部105からの出力に応じた画素信号を出力する通常モードと、複数の信号生成部106からの出力に応じた検査信号を出力する検査モードとにより動作するように構成されている。
【0093】
なお、図14の回路構成は第1実施形態の図2と同様のものを例示しているが、第3実施形態の図7のように、信号線216が設けられ、信号生成回路215が信号線216を介して入力される制御信号のパルスをカウントする機能を有していてもよい。
【0094】
図15は、本実施形態に係る半導体装置100の断面図の一例である。半導体装置100は、センサチップ11と回路チップ21を有している。センサチップ11と回路チップ21は、接合面150において接合されている。
【0095】
センサチップ11は基板154(第2基板)を有しており、基板154は、例えばシリコン基板である。基板154において、配線層が形成される面を主面155とし、その反対の面を裏面156とする。センサチップ11の基板154の主面155側の上部には、第1配線層171と第2配線層172とを含む多層配線構造157を有する。ここで、第1配線層171の配線と第2配線層172の配線は、例えば、タングステン等の導電体を材料とするプラグによって接続される。また、センサチップ11に形成されるMOSトランジスタのゲート電極と第1配線層171の配線も、同様に、例えば、プラグによって接続される。
【0096】
基板154には、例えばP型のウエル160が設けられている。ウエル160において、活性領域と非活性領域(フィールド領域)が素子分離領域163によって、区分されている。ウエル160の中には、APD201を構成するN型領域161とP型領域162が設けられている。基板154の裏面156側には、カラーフィルタ層180が設けられている。カラーフィルタ層180の下には、マイクロレンズ181がAPD201に対応して設けられている。
【0097】
回路チップ21は、基板254(第1基板)を有している。基板254も、例えばシリコン基板である。基板254は、主面255と裏面256を有する。回路チップ21の基板254の主面255側の上部には、第1配線層271と第2配線層272とを含む多層配線構造257を有する。ここで、第1配線層271の配線と第2配線層272の配線は、例えば、タングステン等の導電体を材料とするプラグによって接続される。また、回路チップ21に形成されるMOSトランジスタのゲート電極と第1配線層271の配線も、同様に、例えば、プラグによって接続される。
【0098】
基板254の主面255側に配された素子分離領域263は、活性領域と非活性領域を区分する。基板254には、ウエル270が形成されている。ウエル270には、ゲート電極266、ソース・ドレイン領域265、N型ウエル領域264、P型ウエル領域267を有する複数のトランジスタが形成されている。すなわち、基板254には、各々がN型ウエル領域264を有する複数のPMOSトランジスタと、各々がP型ウエル領域267を有する複数のNMOSトランジスタが形成されている。
【0099】
多層配線構造157の最上層である第2配線層172の配線と、多層配線構造257の最上層である第2配線層272の配線は、接合面150で接触している。これにより、これらの配線間の電気的な接続が確保されている。
【0100】
第2配線層272の一部は、端子電極280を構成する。端子電極280は、半導体装置100を駆動し、信号を取り出すための電気接続部である。端子電極280は、第1配線層271の配線を介して、センサチップ11及び回路チップ21内の回路に電気的に接続されている。
【0101】
本実施形態の半導体装置100においては、信号生成部104を含む画素回路領域22と読み出し回路領域23が回路チップ21に配されている。検査モード時において、半導体装置100の回路チップ21は、第1画素回路領域22aに沿って配された複数の信号生成部104からの出力に応じた検査信号を含む信号を出力する。また、半導体装置100は、端子電極280を回路チップ21側に備えている。すなわち、検査モード時においては、センサチップ11に設けられている素子の機能が要求されない。したがって、本実施形態によれば、センサチップ11と接合する前の回路チップ21の検査を行うことができる半導体装置100が提供される。
【0102】
なお、図15において、センサチップ11において、接合時に回路チップ21の端子電極280に対応する部分には、貫通孔が設けられている。これにより、本実施形態によれば、センサチップ11と接合した後の回路チップ21に対しても検査を行うことができる半導体装置100が提供される。
【0103】
[第7実施形態]
本発明の第7実施形態による撮像システムについて、図16を用いて説明する。図16は、本実施形態による撮像システム500の概略構成を示すブロック図である。図16に示す撮像装置10は、上述の第1乃至第6実施形態で述べた半導体装置100を有する光電変換装置である。すなわち、本実施形態による撮像システム500は、上述の第1乃至第6実施形態で述べ半導体装置100を含む光電変換装置が適用され得る光電変換システムの一例である。
【0104】
本実施形態による撮像システム500は、特に限定されるものではないが、例えば、デジタルスチルカメラ、デジタルカムコーダ、カメラヘッド、複写機、ファックス、携帯電話、車載カメラ、観測衛星等に適用可能である。
【0105】
撮像システム500は、図16に示すように、撮像装置10、レンズ502、絞り504、バリア506、信号処理部508、タイミング発生部520、全体制御・演算部518を有している。撮像システム500は、また、メモリ部510、記録媒体制御I/F部516、外部I/F部512を有している。
【0106】
レンズ502は、被写体の光学像を撮像装置10の撮像領域に結像するためのものである。絞り504は、レンズ502を通った光量を可変にするためのものである。バリア506は、レンズ502の保護のためのものである。撮像装置10は、レンズ502により結像された光学像に基づく信号を信号処理部508に出力するものである。
【0107】
信号処理部508は、撮像装置10より出力される信号に対して、所望の処理、補正、データ圧縮等を行うものである。信号処理部508により行われる処理には、画像データの生成、被写体までの距離情報を取得する処理等が含まれる。信号処理部508は、撮像装置10を構成する基板に搭載されていてもよいし、別の基板に搭載されていてもよい。また、信号処理部508の一部の機能が撮像装置10を構成する基板に搭載され、信号処理部508の他の一部の機能が別の基板に搭載されていてもよい。
【0108】
タイミング発生部520は、撮像装置10及び信号処理部508に、各種タイミング信号を出力するためのものである。全体制御・演算部518は、撮像システム500の全体の駆動及び演算処理を司る制御部である。ここで、タイミング信号等の制御信号は撮像システム500の外部から入力されてもよく、撮像システム500は、少なくとも撮像装置10と、撮像装置10から出力された信号を処理する信号処理部508とを有していればよい。
【0109】
メモリ部510は、画像データを一時的に記憶するためのフレームメモリ部である。記録媒体制御I/F部516は、記録媒体514への記録及び記録媒体514からの読み出しを行うためのインターフェース部である。外部I/F部512は、外部コンピュータ等と通信するためのインターフェース部である。記録媒体514は、撮像データの記録又は読み出しを行うための半導体メモリ等の着脱可能な記録媒体である。
【0110】
このようにして、第1乃至第6実施形態による半導体装置100を適用した撮像システム500が提供される。
【0111】
[第8実施形態]
図17(a)及び図17(b)は、本実施形態による撮像システム600及び移動体の構成を示す図である。図17(a)は、車載カメラに関する撮像システム600の一例を示したものである。撮像システム600は、上述の第1乃至第6実施形態のいずれかに記載の半導体装置100を含む光電変換装置の一例である撮像装置10を有する。撮像システム600は、撮像装置10により取得された複数の画像データに対し、画像処理を行う画像処理部612と、撮像システム600により取得された複数の画像データから視差(視差画像の位相差)の算出を行う視差算出部614を有する。また、撮像システム600は、算出された視差に基づいて対象物までの距離を算出する距離計測部616と、算出された距離に基づいて衝突可能性があるか否かを判定する衝突判定部618と、を有する。ここで、視差算出部614及び距離計測部616は、対象物までの距離情報を取得する距離情報取得手段の一例である。すなわち、距離情報とは、視差、デフォーカス量、対象物までの距離等に関する情報である。衝突判定部618はこれらの距離情報のいずれかを用いて、衝突可能性を判定してもよい。距離情報取得手段は、専用に設計されたハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアモジュールによって実現されてもよい。また、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等によって実現されてもよいし、これらの組合せによって実現されてもよい。
【0112】
撮像システム600は、車両情報取得装置620と接続されており、車速、ヨーレート、舵角などの車両情報を取得することができる。また、撮像システム600には、衝突判定部618での判定結果に基づいて、車両に対して制動力を発生させる制御信号を出力する制御装置である制御ECU630が接続されている。すなわち、制御ECU630は、距離情報に基づいて移動体を制御する移動体制御手段の一例である。また、撮像システム600は、衝突判定部618での判定結果に基づいて、ドライバーへ警報を発する警報装置640とも接続されている。例えば、衝突判定部618の判定結果として衝突可能性が高い場合、制御ECU630はブレーキをかける、アクセルを戻す、エンジン出力を抑制するなどして衝突を回避、被害を軽減する車両制御を行う。警報装置640は、音等の警報を鳴らす、カーナビゲーションシステムなどの画面に警報情報を表示する、シートベルトやステアリングに振動を与える等によりユーザに警告を行う。
【0113】
本実施形態では、車両の周囲、例えば前方又は後方を撮像システム600で撮像する。図17(b)に、車両前方(撮像範囲650)を撮像する場合の撮像システム600の構成を示す。車両情報取得装置620は、撮像システム600を動作させ撮像を実行させるように指示を送る。
【0114】
このようにして、第1乃至第6実施形態による半導体装置100を適用した撮像システム600及び移動体が提供される。
【0115】
以上の説明では、他の車両と衝突しないように制御する例を述べたが、他の車両に追従して自動運転する制御、車線からはみ出さないように自動運転する制御等にも適用可能である。更に、撮像システムは、自車両等の車両に限らず、例えば、船舶、航空機、産業用ロボット等の移動体(移動装置)に適用することができる。加えて、移動体に限らず、高度道路交通システム(ITS)等、広く物体認識を利用する機器に適用することができる。
【0116】
[変形実施形態]
本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、いずれかの実施形態の一部の構成を、他の実施形態に追加した実施形態、あるいは他の実施形態の一部の構成と置換した実施形態も本発明を適用し得る実施形態であると理解されるべきである。
【0117】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0118】
なお、上述の実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0119】
22a 第1画素回路領域
22b 第2画素回路領域
23 読み出し回路領域
100 半導体装置
103、105 画素部
104、106 信号生成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17