(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-11
(45)【発行日】2024-12-19
(54)【発明の名称】イヌ白内障の検査方法、イヌ白内障の検査をするための試薬、及びイヌ白内障の検査キット
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/6827 20180101AFI20241212BHJP
C12Q 1/686 20180101ALI20241212BHJP
C12Q 1/6881 20180101ALI20241212BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
C12Q1/6827 Z ZNA
C12Q1/686 Z
C12Q1/6881 Z
C12N15/12
(21)【出願番号】P 2020184342
(22)【出願日】2020-11-04
【審査請求日】2023-09-25
(31)【優先権主張番号】P 2019203233
(32)【優先日】2019-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000138082
【氏名又は名称】株式会社メニコン
(73)【特許権者】
【識別番号】518439103
【氏名又は名称】アニコム先進医療研究所株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】今安 正樹
(72)【発明者】
【氏名】渡部 桂
【審査官】福澤 洋光
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2007/110644(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00-15/90
C12Q 1/00- 3/00
CAplus/BIOSIS/MEDLINE/EMBASE(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一塩基多型国際番号rs23483462の多型部位の塩基(イヌ第29染色体のMMP16遺伝子におけるヌクレオチド配列289,560塩基のうち、96,874番目の塩基)、
一塩基多型国際番号rs23507002の多型部位の塩基(イヌ第29染色体のTMEM64遺伝子におけるヌクレオチド配列159,571塩基のうち、109,224番目の塩基)、
及びそれらの多型と連鎖不平衡の状態にある多型部位の塩基からなる群より選択される少なくとも1個の多型部位の塩基を同定することを含
み、
前記それらの多型と連鎖不平衡にある多型とは、rs23483462若しくはrs23507002のLDブロック内にある多型、イヌ第29染色体のMMP16及びTMEM64を含む領域内にある白内障個体と健常個体間での有意差の指標であるp値が0.05未満の他の多型、又はrs23483462若しくはrs23507002のSNPとの間のD'がより大きい多型である、イヌ白内障の検査方法。
【請求項2】
下記の(a)及び(b)の成分からなる群より選択される少なくとも1つの成分を含む、イヌ白内障の検査をするための試薬。
(a)一塩基多型国際番号rs23483462の多型部位の塩基(イヌ第29染色体のMMP16遺伝子におけるヌクレオチド配列289,560塩基のうち、96,874番目の塩基)、
一塩基多型国際番号rs23507002の多型部位の塩基(イヌ第29染色体のTMEM64遺伝子におけるヌクレオチド配列159,571塩基のうち、109,224番目の塩基)、
及びそれらの多型と連鎖不平衡の状態にある多型部位の塩基からなる群より選択される少なくとも1個の多型部位の塩基を含む領域を増幅することができ
、
前記それらの多型と連鎖不平衡にある多型とは、rs23483462若しくはrs23507002のLDブロック内にある多型、イヌ第29染色体のMMP16及びTMEM64を含む領域内にある白内障個体と健常個体間での有意差の指標であるp値が0.05未満の他の多型、又はrs23483462若しくはrs23507002のSNPとの間のD'がより大きい多型であるプライマー、
(b)一塩基多型国際番号rs23483462の多型部位の塩基(イヌ第29染色体のMMP16遺伝子におけるヌクレオチド配列289,560塩基のうち、96,874番目の塩基)、
一塩基多型国際番号rs23507002の多型部位の塩基(イヌ第29染色体のTMEM64遺伝子におけるヌクレオチド配列159,571塩基のうち、109,224番目の塩基)、
及びそれらの多型と連鎖不平衡の状態にある多型部位の塩基からなる群より選択される少なくとも1個の多型部位の塩基を含む領域にハイブリダイズすることができ
、
前記それらの多型と連鎖不平衡にある多型とは、rs23483462若しくはrs23507002のLDブロック内にある多型、イヌ第29染色体のMMP16及びTMEM64を含む領域内にある白内障個体と健常個体間での有意差の指標であるp値が0.05未満の他の多型、又はrs23483462若しくはrs23507002のSNPとの間のD'がより大きい多型であるプローブ。
【請求項3】
前記プローブが固相に固定されている請求項2に記載の試薬。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の試薬を含む、イヌ白内障の検査キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の多型部位の塩基を同定するためのイヌ白内障の検査方法、イヌ白内障の検査をするための試薬、及びイヌ白内障の検査キットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に白内障は、透明な水晶体が、水晶体の核や皮質のたんぱく質の変性等により透明性を維持できなくなり、混濁することにより発症する。臨床的に白内障の混濁程度により「初発期」、「未熟期」、「成熟期」、「過熟期」に分類される。初発期では視力はほとんど障害されないが、水晶体の白濁が進み、症状が進行すると視力が徐々に低下する。そして、柱や壁によくぶつかるようになったり、ちょっとした物音にも異常に敏感に反応するようになり、日常の生活に支障を来たすようになる。また、水晶体の白濁の度合いは、症状が進行すると人間の肉眼でも見分けられるようになる。そのため、イヌの白内障は、症状が進行したときに初めて飼い主に気付かれることが多い。
【0003】
白内障には有効な治療薬はなく、早期発見することができれば、内科的治療法、例えば点眼薬(N-アセチルカルノシン、ピレノキシン系目薬等)の投与により病気の進行を抑えることができる。症状が進行し、視力が障害されている白内障の場合、点眼薬では視力を回復させることはできず、外科的療法による治療が必要となる。白内障の早期発見は、定期検査以外に十分に行うことができず、早期により確実に診断可能な方法が求められている。
【0004】
病因別には、遺伝的要因等により発症する「先天性白内障」と、加齢による老齢性、糖尿病等の代謝性、網膜症等により発生する「後天性白内障」に分類される。遺伝性の白内障の場合、若齢期に発見されることも多くみられる。従来より、イヌの白内障に関しては、疾患感受性遺伝子の探索が進められている。例えば、非特許文献1に開示されるように、疾患と顕著な相関を示すCRYAA遺伝子の14SNPs,CRYBA1遺伝子の6SNPsのうち、CRYBA1遺伝子のintron 3領域に1つの白内障関連多型部位が認められている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】印牧信行ら、麻布大学雑誌、第28巻(2016年)第78頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、イヌ白内障の検査に有用なイヌ白内障の検査方法、イヌ白内障の検査をするための試薬、及びイヌ白内障の検査キットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、イヌ白内障の検査・診断に有用な疾患感受性遺伝子を見出したことに基づくものである。
上記目的を達成するために本発明の一態様のイヌ白内障の検査方法は、一塩基多型国際番号rs23483462の多型部位の塩基(イヌ第29染色体のMMP16遺伝子におけるヌクレオチド配列289,560塩基のうち、96,874番目の塩基)、一塩基多型国際番号rs23507002の多型部位の塩基(イヌ第29染色体のTMEM64遺伝子におけるヌクレオチド配列159,571塩基のうち、109,224番目の塩基)、及びそれらの多型と連鎖不平衡の状態にある多型部位の塩基からなる群より選択される少なくとも1個の多型部位の塩基を同定することを含んでいる。
【0008】
本発明の別態様のイヌ白内障の検査をするための試薬は、下記の(a)及び(b)の成分からなる群より選択される少なくとも1つの成分を含んでいる。
(a)一塩基多型国際番号rs23483462の多型部位の塩基(イヌ第29染色体のMMP16遺伝子におけるヌクレオチド配列289,560塩基のうち、96,874番目の塩基)、一塩基多型国際番号rs23507002の多型部位の塩基(イヌ第29染色体のTMEM64遺伝子におけるヌクレオチド配列159,571塩基のうち、109,224番目の塩基)、及びそれらの多型と連鎖不平衡の状態にある多型部位の塩基からなる群より選択される少なくとも1個の多型部位の塩基を含む領域を増幅することができるプライマー。
【0009】
(b)一塩基多型国際番号rs23483462の多型部位の塩基(イヌ第29染色体のMMP16遺伝子におけるヌクレオチド配列289,560塩基のうち、96,874番目の塩基)、一塩基多型国際番号rs23507002の多型部位の塩基(イヌ第29染色体のTMEM64遺伝子におけるヌクレオチド配列159,571塩基のうち、109,224番目の塩基)、及びそれらの多型と連鎖不平衡の状態にある多型部位の塩基からなる群より選択される少なくとも1個の多型部位の塩基を含む領域にハイブリダイズすることができるプローブ。
【0010】
前記試薬において、前記プローブが固相に固定されていてもよい。
本発明の別態様の検査キットは、前記試薬を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、イヌ白内障の検査の有用性を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
以下、本発明のイヌ白内障の検査方法(以下、単に「検査方法」という)を具体化した一実施形態を説明する。本実施形態の検査方法により同定される塩基は、一塩基多型国際番号(NCBIのSNPデータベースであるdbSNPにおけるreference SNP ID番号、以下単に「rs」という)23483462の多型部位の塩基(イヌ第29染色体のMMP16遺伝子におけるヌクレオチド配列289,560塩基のうち、96,874番目の塩基)、rs23507002の多型部位の塩基(イヌ第29染色体のTMEM64遺伝子におけるヌクレオチド配列159,571塩基のうち、109,224番目の塩基)、及びそれらの多型と連鎖不平衡の状態にある多型部位の塩基からなる群より選択される少なくとも1個の多型部位の塩基である。
【0013】
rs23483462の多型部位の塩基は、上述したようにイヌ第29染色体のMMP16遺伝子におけるヌクレオチド配列289,560塩基のうち、96,874番目の塩基である。
rs23507002の多型部位の塩基は、上述したようにイヌ第29染色体のTMEM64遺伝子におけるヌクレオチド配列159,571塩基のうち、109,224番目の塩基である。
【0014】
rs23483462又はrs23507002の多型と連鎖不平衡にある多型は、rs23483462又はrs23507002のLDブロック内にある多型であるとよい。rs23483462又はrs23507002の多型と連鎖不平衡にある多型は、イヌ第29染色体のMMP16及びTMEM64を含む領域内にあるp値(白内障個体と健常個体間での有意差の指標)が0.05未満の他の多型であるかもしれない。
【0015】
SNP間のD'が大きければ連鎖不平衡にあると考えられている(Barrett JC, Fry B, Maller J, Daly MJ. Haploview: analysis and visualization of LD and haplotype maps. Bioinformatics. 2005;21(2):263-265.; Gabriel SB, Schaffner SF, Nguyen H, et al. The structure of haplotype blocks in the human genome. Science. 2002;296(5576):2225-2229.)。従って、rs23483462又はrs23507002の多型と連鎖不平衡にある多型は、例えば、これらのSNPとの間のD'がより大きい多型である。
【0016】
LDブロックはHaploviewソフト(Barrett JC, Fry B, Maller J, Daly MJ. Haploview: analysis and visualization of LD and haplotype maps. Bioinformatics. 2005;21(2):263-265.)を用いてGabrielらの方法(Gabriel SB, Schaffner SF, Nguyen H, et al. The structure of haplotype blocks in the human genome. Science. 2002;296(5576):2225-2229.)で決定することができる。
【0017】
なお、本明細書において、一塩基多型(SNP)は、NCBIのSNPデータベースであるdbSNPにおけるreference SNP ID番号であるrs番号で示す。また、塩基の位置はENSEMBLデータベースCanFam3.1(GCA_000002285.2)に基づく。
【0018】
本明細書において、「白内障の検査」とは、被検個体が白内障に罹患する可能性が高いか低いかを判定するための検査、すでに被検個体が白内障に罹患している場合にはその確定診断を行うための検査が含まれる概念である。白内障の検査は、好ましくは遺伝的要因により発症する若年性白内障の検査に適用される。
【0019】
rs23483462は、イヌ第29染色体のMMP16遺伝子におけるヌクレオチド配列289,560塩基のうち、96,874番目の塩基におけるアデニン(A)/グアニン(G)の多型であり、この部位の塩基がGである場合には、白内障に罹患する可能性が高い、あるいは白内障に罹患していると判定される。
【0020】
rs23507002は、イヌ第29染色体のTMEM64遺伝子におけるヌクレオチド配列159,571塩基のうち、109,224番目の塩基におけるアデニン(A)/グアニン(G)の多型であり、この部位の塩基がAである場合には、白内障に罹患する可能性が高い、あるいは白内障に罹患していると判定される。
【0021】
また、MMP16遺伝子及びTMEM64遺伝子の近傍にあるイヌ第29番染色体のNBN遺伝子も白内障との関連性が示唆されている。そのため、NBN遺伝子における特定のSNPsを検査することで、rs23483462又はrs23507002と同等のイヌ白内障の検査の有用性が得られる可能性がある。
【0022】
同定するSNPは、一種類でもよいし、複数を組み合わせてもよい。また、遺伝子のセンス鎖を解析してもよいし、アンチセンス鎖を解析してもよい。
また、多型のホモ接合性又はヘテロ接合性が、診断の指標となる場合もある。
【0023】
rs23483462及びrs23507002は、遺伝子のイントロン中に存在し、他にもエキソン中に存在するSNPsもみられる。これらの多型と連鎖不平衡の状態にある多型は、遺伝子のエキソン中、遺伝子の発現を制御する領域(例えば、プロモーター領域、エンハンサー領域等)中、遺伝子のイントロン中、あるいはこれら遺伝子と連鎖不平衡にあるその前後の領域に存在しうる。多型の種類としては、例えば、一塩基多型、一から数十塩基(時には数千塩基)が置換、欠失、挿入、転移あるいは逆位している多型などが挙げられるが、これらに特に限定されない。
【0024】
本発明の検査方法において、多型部位の塩基の同定(すなわち、塩基種の決定)は、公知の一塩基多型解析方法によって行うことができる。一塩基多型解析方法としては、シークエンス解析、PCR、PCR-SSCP、ハイブリダイゼーション、RFLP法、Taqman-PCR法、インベーダー法、cycleave-PCR法、HRM法などを例示することができるが、これらに限定されるわけではない。
【0025】
多型部位の塩基を同定するために、被検個体の生体試料からゲノムDNAを抽出するとよい。生体試料は、例えば、被検個体の血液、皮膚、口腔粘膜、手術により採取あるいは切除した組織又は細胞、検査等の目的で採取された体液(唾液、リンパ液、気道粘膜、精液、汗、尿など)等である。生体試料としては、四肢のいずれか又は首などの静脈から採血した全血が好ましい。市販のDNA抽出キットを用いて、生体試料からゲノムDNAを抽出することができる。次いで、必要に応じて、多型部位を含むDNAを単離する。該DNAの単離は、多型部位を含むDNAにハイブリダイズすることができるプライマーを用いて、ゲノムDNA、あるいはRNAを鋳型としたPCR等によって行うことができる。
【0026】
白内障の検査の対象となる犬種は、特に限定されないが、白内障に罹患しやすい犬種を対象とすることが好ましい。例えば、シバイヌ、アメリカン・コッカー・スパニエル、ダックスフンド、ビーグル、シェットランド・シープドック、シーズー、ルブラドール・レトリバー、マルチーズ、ミニチュア・ピンシャー、パグ、コーギー、チワワ等が挙げられる。
【0027】
(第2実施形態)
以下、本発明のイヌ白内障の検査キット(以下、単に「検査キット」という)を具体化した一実施形態を説明する。本実施形態の検査キットは、下記の(a)及び(b)の成分からなる群より選択される少なくとも1つの成分を含有する、イヌ白内障の検査をするための試薬を含んでいる。
【0028】
(a)成分は、第1実施形態欄において述べたrs23483462の多型部位の塩基、rs23507002の多型部位の塩基、及びそれらの多型と連鎖不平衡の状態にある多型部位の塩基からなる群より選択される少なくとも1個の多型部位の塩基を含む領域を増幅することができるプライマーである。
【0029】
(b)成分は、第1実施形態欄において述べたrs23483462の多型部位の塩基、rs23507002の多型部位の塩基、及びそれらの多型と連鎖不平衡の状態にある多型部位の塩基からなる群より選択される少なくとも1個の多型部位の塩基を含む領域にハイブリダイズすることができるプローブである。
【0030】
本実施形態の試薬の成分である上述したプライマー及びプローブは、少なくとも15ヌクレオチドの鎖長を有するオリゴヌクレオチドであることが好ましい。該オリゴヌクレオチドをプライマーとして用いる場合、その長さは、例えば15bp~100bpであり、好ましくは17bp~30bpである。プライマーは、上記多型部位を含むDNAの少なくとも一部を増幅しうるものであれば、特に制限されない。プライマーが増幅することができるDNAの長さは、例えば15~1000bp、好ましくは20~500bp、より好ましくは20~200bpである。
【0031】
また、該オリゴヌクレオチドをプローブとして用いる場合、その長さは、例えば5bp~200bpであり、好ましくは7bp~100bpであり、より好ましくは7bp~50bpである。プローブは、上記多型部位を含むDNAとハイブリダイズしうるものであれば、特に制限されない。
【0032】
本実施形態において、多型部位を含む領域を増幅することができるプライマーは、多型部位を含むDNAを鋳型として、多型部位に向かって相補鎖合成を開始することができるものであることが好ましい。
【0033】
本実施形態の試薬の成分であるプライマーとしては、例えばフォワードプライマー(Forward Primer)とリバースプライマー(Reverse Primer)からなるプライマー対を挙げることができる。
【0034】
rs23483462の多型部位の塩基を含む領域を増幅することができるプライマーとしては、以下のようなフォワードプライマーとリバースプライマーからなるプライマー対を挙げることができる。
【0035】
Forward Primer: 5’-TGAATAGAACTCTCACCAGTAA-3’(配列番号1)
Reverse Primer: 5’-GTGCTTAATCCAATACTCAA-3’(配列番号2)
また、rs23507002の多型部位の塩基を含む領域を増幅することができるプライマーとしては、以下のようなフォワードプライマーとリバースプライマーからなるプライマー対を挙げることができる。
【0036】
Forward Primer: 5’-AATTACACGGATGCTACAATA-3’(配列番号3)
Reverse Primer: 5’-CAACTGCAGTGAAGACAGG-3’(配列番号4)
その他のプライマーは、多型部位を含む領域にハイブリダイズできる塩基配列を有し、配列番号1~4の塩基配列と同一又は相補的な多型部位を含む領域から数塩基ずつずらした領域と同一又は相補的な配列であってもよい。
【0037】
プライマーには、多型部位を含む領域の塩基配列と同一又は相補的な塩基配列に加え、任意の塩基配列を付加することができる。例えば、IIs型の制限酵素を利用した多型の解析方法のためのプライマーにおいては、IIs型制限酵素の認識配列を付加したプライマーが利用される。更に、プライマーは修飾してもよい。例えば、蛍光物質や、ビオチン又はジゴキシンのような結合親和性物質で標識したプライマーを利用してもよい。
【0038】
本実施形態において、多型部位を含む領域にハイブリダイズすることができるプローブは、多型部位を含む領域の塩基配列を有するポリヌクレオチドとハイブリダイズすることができるものであればよく、多型部位を含む領域の塩基配列を有するDNAに特異的にハイブリダイズするものが好ましい。ここで「特異的にハイブリダイズする」とは、通常のハイブリダイゼーション条件下、好ましくはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下(例えば、サムブルックら,Molecular Cloning,Cold Spring Harbour Laboratory Press,New York,USA,第2版1989に記載の条件)において、多型部位を含む領域の塩基配列を有するDNA以外のDNAとクロスハイブリダイゼーションを有意に生じないことを意味する。より具体的には、プローブの塩基配列中に多型部位を含むプローブが好ましい。あるいは、多型部位における塩基の解析方法によっては、プローブの末端が多型部位に隣接する塩基に対応するように、デザインされる場合もある。従って、プローブ自身の塩基配列には多型部位が含まれないが、多型部位に隣接する領域に相補的な塩基配列を含むプローブも、本発明における望ましいプローブとして示すことができる。
【0039】
rs23483462の多型部位の塩基を含む領域にハイブリダイズすることができるプローブとしては、以下の配列を挙げることができる。
Probe 1:5’-CCTTCAAATrAGT-3’(配列番号5)
なお、配列中の3’末端から3番目の塩基アデニン「rA」はRNAを示す。
【0040】
Probe 2:5’-CTTCAAACrAGT-3’(配列番号6)
なお、配列中の3’末端から3番目の塩基アデニン「rA」はRNAを示す。
また、rs23507002の多型部位の塩基を含む領域にハイブリダイズすることができるプローブとしては、以下の配列を挙げることができる。
【0041】
Probe 3:5’-TGAAGrGGCT-3’(配列番号7)
なお、配列中の3’末端から4番目の塩基グアニン「rG」はRNAを示す。
Probe 4:5’-TTGAAGrAGCT-3’(配列番号8)
なお、配列中の3’末端から4番目の塩基アデニン「rA」はRNAを示す。
【0042】
プローブには、プライマーと同様に、塩基配列の改変、塩基配列の付加、あるいは修飾が許される。例えば、Invader法に用いるプローブは、フラップを構成するゲノムとは無関係な塩基配列が付加される。このようなプローブも、多型部位を含む領域にハイブリダイズする限り、本実施形態のプローブに含まれる。本実施形態のプローブを構成する塩基配列は、ゲノムにおける本実施形態の多型部位の周辺DNA領域の塩基配列をもとに、解析方法に応じてデザインすることができる。
【0043】
当業者であれば、多型部位を含む周辺DNA領域についての塩基配列情報を基に、解析手法に応じたプライマー及びプローブをデザインすることができる。プライマー及びプローブを構成する塩基配列は、ゲノムの塩基配列に対して完全に相補的な塩基配列のみならず、適宜改変することができる。
【0044】
プライマー及びプローブは、それを構成する塩基配列をもとに、任意の方法によって合成することができる。与えられた塩基配列に基づいて、当該塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを合成する手法は公知である。更に、オリゴヌクレオチドの合成において、蛍光色素、ビオチン等で修飾されたヌクレオチド誘導体を利用して、オリゴヌクレオチドに任意の修飾を導入することもできる。あるいは、合成されたオリゴヌクレオチドに、蛍光色素などを結合する方法も公知である。
【0045】
プローブは、固相に固定されていてもよい(DNAアレイ)。DNAアレイは、同一平面上に配置した多数のプローブに対してサンプルDNA(あるいはRNA)をハイブリダイズさせ、当該平面をスキャンすることによって、各プローブに対するハイブリダイズが検出される。多くのプローブに対する反応を同時に観察することができることから、例えば、多数の多型部位について同時に解析するには、DNAアレイは有用である。ヌクレオチドの固定(アレイ)方法として、Affymetrix社開発によるオリゴヌクレオチドを基本としたアレイが例示できる。オリゴヌクレオチドのアレイにおいて、オリゴヌクレオチドは通常in situで合成される。例えば、リソグラフィー方式(Affymetrix社)、インクジェット方式(Agilent社)、ビーズアレイ方式(Illumina社)等によるオリゴヌクレオチドのin situ合成法が知られている。
【0046】
オリゴヌクレオチドは、検出すべき多型部位を含む領域に相補的な塩基配列で構成される。基板に結合させるヌクレオチドプローブの長さは、オリゴヌクレオチドを固定する場合は、例えば10~100bpであり、好ましくは10~50bpであり、さらに好ましくは15~25bpである。
【0047】
DNAアレイ法によるSNP検出のための試料は、被検個体から採取された生体試料をもとに当業者に周知の方法で調製することができる。生体試料は特に限定されない。例えば被検個体の血液、皮膚、口腔粘膜等の組織又は細胞、涙、唾液、尿、糞便又は毛髪から抽出したゲノムDNAから、DNA試料を調製することができる。判定すべき多型部位を含む領域を増幅するためのプライマーを用いて、ゲノムDNAの特定の領域が増幅される。このとき、マルチプレックスPCR法によって複数の領域を同時に増幅することができる。マルチプレックスPCR法とは、複数組のプライマーセットを、同じ反応液中で用いるPCR法である。複数の多型部位を解析するときには、マルチプレックスPCR法が有用である。
【0048】
一般にDNAアレイ法においては、PCR法によってDNA試料を増幅するとともに、増幅産物が標識される。増幅産物の標識には、標識を付したプライマーが利用される。例えば、まず多型部位を含む領域に特異的なプライマーセットによるPCR法でゲノムDNAを増幅する。次に、ビオチンラベルしたプライマーを使ったラベリングPCR法によって、ビオチンラベルされたDNAを合成する。こうして合成されたビオチンラベルDNAを、チップ上のオリゴヌクレオチドプローブにハイブリダイズさせる。ハイブリダイゼーションの反応液及び反応条件は、固相に固定するヌクレオチドプローブの長さや反応温度等の条件に応じて、適宜調整することができる。当業者は、適切なハイブリダイゼーションの条件をデザインすることができる。ハイブリダイズしたDNAを検出するために、蛍光色素で標識したアビジンが添加される。アレイをスキャナで解析し、蛍光を指標としてハイブリダイズの有無を確認する。
【0049】
上記試薬によりDNAアレイ法を用いて第1実施形態の検査方法を実施する手順の一例を示せば、まず被検個体から調製した多型部位を含むDNA及びヌクレオチドプローブが固定された固相を用意した後、該DNAと該固相を接触させる。次いで、固相に固定されたヌクレオチドプローブにハイブリダイズしたDNAを検出することにより、多型部位の塩基種を決定する。
【0050】
本明細書において「固相」とは、ヌクレオチドを固定することが可能な材料を意味する。固相は、ヌクレオチドを固定することが可能であれば特に制限はないが、具体的には、マイクロプレートウェル、プラスチックビーズ、磁性粒子、基板などを含む固相等を例示することができる。固相としては、一般にDNAアレイ技術で使用される基板を好適に用いることができる。本明細書において「基板」とは、ヌクレオチドを固定することが可能な板状の材料を意味する。また、本発明においてヌクレオチドには、オリゴヌクレオチド及びポリヌクレオチドが含まれる。
【0051】
上記の方法以外にも、特定部位の塩基を検出するために、アレル特異的オリゴヌクレオチド(Allele Specific Oligonucleotide/ASO)ハイブリダイゼーション法が利用できる。アレル特異的オリゴヌクレオチド(ASO)は、検出すべき多型部位が存在する領域にハイブリダイズする塩基配列で構成される。ASOを試料DNAにハイブリダイズさせるとき、多型によって多型部位にミスマッチが生じるとハイブリッド形成の効率が低下する。ミスマッチは、サザンブロット法や、特殊な蛍光試薬がハイブリッドのギャップにインターカレーションすることにより消光する性質を利用した方法等によって検出することができる。また、リボヌクレアーゼAミスマッチ切断法によって、ミスマッチを検出することもできる。
【0052】
本実施形態の検査キットには、塩基の同定方法に応じて、上述した試薬の他、各種の酵素、酵素基質、緩衝液等を含めることができる。酵素としては、DNAポリメラーゼ、DNAリガーゼ、IIs制限酵素等の、上記の塩基同定方法として例示した各種の解析方法に必要な酵素が挙げられる。緩衝液は、これらの解析に用いる酵素の活性の維持に好適な緩衝液が、適宜選択される。更に、酵素基質としては、例えば相補鎖合成用の基質等が用いられる。
【0053】
さらに、本実施形態の検査キットには、多型部位における塩基が明らかな対照を添付することができる。対照としては、予め多型部位の塩基種が明らかなゲノムDNA、又はゲノムDNAの断片を用いることができる。ゲノムDNAは、細胞から抽出されたものを対照として添付してもよいし、あるいは、細胞又は細胞の分画を対照として添付しておき、そこから使用者がゲノムDNAを抽出してもよい。細胞を対照として用いれば、対照の結果によってゲノムDNAの抽出操作が正しく行われたことを証明することができる。あるいは、多型部位を含む塩基配列からなるDNAを対照として用いることもできる。具体的には、多型部位における塩基種が明らかにされたゲノム由来のDNAを含むYACベクターやBACベクターを対照として用いてもよい。あるいは多型部位に相当する数十から数百bpのみを切り出して挿入したベクターを対照として用いることもできる。
【0054】
上記実施形態のイヌ白内障の検査方法、イヌ白内障の検査をするための試薬、及びイヌ白内障の検査キットの作用及び効果について説明する。
(1)上記実施形態では、rs23483462又はrs23507002の多型部位の塩基等の多型部位の塩基を同定する構成又は同定するための試薬を含んでいる。したがって、上記実施形態によれば、イヌ白内障の検査の有用性を高めることができる。より具体的には、イヌの白内障をより早期、かつより正確に検査・診断することができる。既に発症した個体では確定診断ができ、積極的な治療を行うことができる。また、未発症個体では発症の予測が可能となり、検査を頻回に行うことを勧め、早期発見につなげることができる。そのため、本発明は、獣医学、診断等の分野において広く利用することができる。
【0055】
尚、上記実施形態は、以下のように変更して実施できる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
・上記実施形態は、イヌのメイティングのために適用してもよい。
【実施例】
【0056】
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態を更に具体的に説明する。尚、本発明は、実施例欄記載の構成に限定されるものではない。
<実施例1群>
(A)イヌ白内障の診断及びDNAの精製
1)麻布大学附属動物病院を来院した若年(6歳未満)のシバイヌ(純系)について両眼の検診を行った。左右いずれかの眼において白内障の症状として「初発期」以降の症状が発症している個体を白内障、それ以外の個体を健常と判定した。全55匹について検診を行い、白内障を発症している個体が9匹、健常の個体が46匹であった。
【0057】
2)各個体の頚静脈より血液を1cc採取し、DNA全血キット・スピン法(FUJI FILM社製)でDNAを精製した。
3)DNAの濃度と純度をGeneQuant Pro(GEヘルスサイエンス社製)で測定した。
【0058】
(B)SNPの解析
rs23483462の多型部位の塩基を含む領域を増幅することができるプライマー(配列番号1,2)及びプローブ(配列番号5,6)を試薬として使用した。
【0059】
4)CycleavePCR Reaction MixとCycleavePCR 2プローブセットを用いてCycleavePCRを実施した。
5)CycleavePCRの条件を以下に示す。
【0060】
<試薬>
CycleavePCR Reaction Mix 12.5μL
プライマー(配列番号1)(5μM) 1μL
プライマー(配列番号2)(5μM) 1μL
プローブ(配列番号5)(5μM) 1μL
プローブ(配列番号6)(5μM) 1μL
Template 1μL
dH2O 7.5μL
総容量 25μL
<CycleavePCR条件>
95℃ 10秒 1サイクル
95℃ 5秒
55℃ 10秒 45サイクル
72℃ 20秒
6)リアルタイムPCR装置付属の解析ソフト(Thermal Cycler Dice Real Time System Ver 3.00)でSNPを解析した。
【0061】
7)イヌMMP16遺伝子のSNP(rs23483462)について、FAMの蛍光強度が強い場合をノンリスク型(non-risk)、ROXの蛍光強度が強い場合をリスク型(risk)、両方の蛍光強度が強い場合をヘテロ型(hetero)と判定した。
【0062】
8)なお、後述するイヌTMEM64遺伝子のSNP(rs23507002)についても、FAMの蛍光強度が強い場合をノンリスク型(non-risk)、ROXの蛍光強度が強い場合をリスク型(risk)、両方の蛍光強度が強い場合をヘテロ型(hetero)と判定した。
【0063】
9)各SNPがリスク型、ヘテロ型、ノンリスク型のときのリスクアレル数をそれぞれ2個、1個、0個とし、リスクアレル頻度を求めた。
10)白内障群(若年性と老年性を区分して解析)と健常群のリスクアレル頻度を比較し、オッズ比検定とFisher確率変数検定を行った。
【0064】
11)イヌMMP16遺伝子の1か所のSNP(rs23483462)の塩基配列よりサンプルの遺伝子型(ノンリスクホモ、ヘテロ、リスクホモ)を判定した。
白内障シバイヌ9匹と健常シバイヌ46匹の遺伝子多型解析結果を表1に示す。
【0065】
実施例1群におけるrs23483462の多型部位では、白内障群のリスクアレル頻度は約27.8%、健常群のリスクアレル頻度は約2.2%となった。両群を比較したとき、リスクアレルを保持している場合の白内障の発症リスクは17.31倍となり、χ自乗検定で有意差(P<0.01)を認めた。
【0066】
<実施例2群>
実施例1群とは異なる老年のシバイヌ(純系)について両眼の検診を行った。左右いずれかの眼において白内障の症状として「初発期」以降の症状が発症している個体を白内障、それ以外の個体を健常と判定した。全67匹について検診を行い、白内障を発症している個体が21匹、健常の個体が46匹であった。
【0067】
実施例1と同様の方法にて、遺伝子多型解析を行った。結果を表1に示す。
実施例2群におけるrs23483462の多型部位では、白内障群のリスクアレル頻度は約23.8%、健常群のリスクアレル頻度は約2.2%となった。両群を比較したとき、リスクアレルを保持している場合の白内障の発症リスクは14.06倍となり、χ自乗検定で有意差(P<0.01)を認めた。
【0068】
<実施例3群>
若年(6歳未満)のビーグル(純系)について両眼の検診を行った。左右いずれかの眼において白内障の症状として「初発期」以降の症状が発症している個体を白内障、それ以外の個体を健常と判定した。全18匹について検診を行い、白内障を発症している個体が3匹、健常の個体が15匹であった。
【0069】
実施例1と同様の方法にて、遺伝子多型解析を行った。結果を表1に示す。
実施例3群におけるrs23483462の多型部位では、白内障群のリスクアレル頻度は0%、健常群のリスクアレル頻度は0%となった。
【0070】
【表1】
<実施例4群>
実施例1群の若年のシバイヌ(純系)のDNAを試料として使用した。rs23507002の多型部位の塩基を含む領域を増幅することができるプライマー(配列番号3,4)及びプローブ(配列番号7,8)を試薬として使用した。その他は実施例1と同様の方法にて遺伝子多型解析を行った。結果を表2に示す。
【0071】
実施例4群におけるrs23507002の多型部位では、白内障群のリスクアレル頻度は約27.8%、健常群のリスクアレル頻度は約1.1%となった。両群を比較したとき、リスクアレルを保持している場合の白内障の発症リスクは35倍となり、χ自乗検定で有意差(P<0.01)を認めた。
【0072】
<実施例5群>
実施例2群の老年のシバイヌ(純系)のDNAを試料として使用した。rs23507002の多型部位の塩基を含む領域を増幅することができるプライマー(配列番号3,4)及びプローブ(配列番号7,8)を試薬として使用した。その他は実施例1と同様の方法にて遺伝子多型解析を行った。結果を表2に示す。
【0073】
実施例5群におけるrs23507002の多型部位では、白内障群のリスクアレル頻度は約23.8%、健常群のリスクアレル頻度は約1.1%となった。両群を比較したとき、リスクアレルを保持している場合の白内障の発症リスクは28.44倍となり、χ自乗検定で有意差(P<0.01)を認めた。
【0074】
<実施例6群>
実施例3群の若年のビーグル(純系)のDNAを試料として使用した。rs23507002の多型部位の塩基を含む領域を増幅することができるプライマー(配列番号3,4)及びプローブ(配列番号7,8)を試薬として使用した。その他は実施例1と同様の方法にて遺伝子多型解析を行った。結果を表2に示す。
【0075】
実施例6群におけるrs23507002の多型部位では、白内障群のリスクアレル頻度は100%、健常群のリスクアレル頻度は約43.3%となった。両群を比較したとき、リスクアレルを保持している場合の白内障の発症リスクは16.85倍となり、χ自乗検定で有意差(P<0.05)を認めた。
【0076】
【表2】
なお、本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。
【0077】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(イ)下記の(a)及び(b)の成分からなる群より選択される少なくとも1つの成分を含む、イヌ白内障の検査をするための試薬。
【0078】
(a)配列番号1~4のいずれか一つのプライマー、
(b)配列番号5~8のいずれか一つのプローブ。
従って、この(イ)に記載の発明によれば、イヌ白内障の検査の有用性をより高めることができる。
【配列表フリーテキスト】
【0079】
<配列番号1>
配列番号1は、rs23483462の多型部位検出に用いたForward Primerの塩基配列を示す。
<配列番号2>
配列番号2は、rs23483462の多型部位検出に用いたReverse Primerの塩基配列を示す。
【0080】
<配列番号3>
配列番号3は、rs23507002の多型部位検出に用いたForward Primerの塩基配列を示す。
<配列番号4>
配列番号4は、rs23507002の多型部位検出に用いたReverse Primerの塩基配列を示す。
【0081】
<配列番号5>
配列番号5は、rs23483462の多型部位の塩基を含む領域にハイブリダイズすることができるプローブを示す。
【0082】
<配列番号6>
配列番号6は、rs23483462の多型部位の塩基を含む領域にハイブリダイズすることができるプローブを示す。
【0083】
<配列番号7>
配列番号7は、rs23507002の多型部位の塩基を含む領域にハイブリダイズすることができるプローブを示す。
【0084】
<配列番号8>
配列番号8は、rs23507002の多型部位の塩基を含む領域にハイブリダイズすることができるプローブを示す。
【配列表】