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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-11
(45)【発行日】2024-12-19
(54)【発明の名称】容器の蓋装置
(51)【国際特許分類】
   B65D 41/28 20060101AFI20241212BHJP
   B65D 47/30 20060101ALI20241212BHJP
   F16K 5/04 20060101ALN20241212BHJP
【FI】
B65D41/28
B65D47/30
F16K5/04 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020195176
(22)【出願日】2020-11-25
(65)【公開番号】P2022083694
(43)【公開日】2022-06-06
【審査請求日】2023-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】591029921
【氏名又は名称】フジモリ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085556
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100115211
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 三十義
(72)【発明者】
【氏名】小石川 雄一
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-223930(JP,A)
【文献】特開平07-206018(JP,A)
【文献】特開2015-155322(JP,A)
【文献】特開2009-269609(JP,A)
【文献】特開平09-049575(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 41/28
B65D 47/30
F16K 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の口部に設けられる蓋装置であって、
前記口部の開口に被さる蓋天板と、
前記蓋天板の内側面から突出して前記口部の内周に嵌め込まれるインナーリングと、を備え、
前記インナーリングには、それぞれ5個以上の薄肉部と厚肉部とが、該インナーリングの周方向の全周にわたって一定ピッチで交互に形成され、前記インナーリングの内周面には、それぞれ5個以上の径方向へ突出する山部と径方向へ凹む谷部が前記周方向の全周にわたって一定ピッチで交互に形成されていることを特徴とする蓋装置。
【請求項2】
容器の口部に設けられる蓋装置であって、
前記口部の開口に被さる蓋天板と、
前記蓋天板の内側面から突出して前記口部の内周に嵌め込まれるインナーリングと、を備え、
前記インナーリングには、それぞれ5個以上の薄肉部と厚肉部とが、該インナーリングの周方向の全周にわたって一定ピッチで交互に形成され、
前記インナーリングの外周面が円筒面であり、
前記インナーリングの内周面には、それぞれ5個以上の山部と谷部が前記周方向の全周にわたって一定ピッチで交互に形成されていることを特徴とする蓋装置。
【請求項3】
前記蓋天板には蓋開口が形成され、前記蓋天板の外側面には前記蓋開口を開閉するハンドル付きノズルが設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の蓋装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッグインボックス、ブローボトルその他の容器における口部を開閉するコックやキャップ等の蓋装置に関し、特に容器の口部に嵌め込まれるインナーリングを有する蓋装置に関する
【背景技術】
【0002】
各種容器におけるインナーリング付きのキャップ(蓋装置)は公知である。
また、例えば特許文献1には、バッグインボックス用のコック(蓋装置)が開示されている。コックは、ハンドル付きノズルと、容器の口部に装着された蓋部を備えている。蓋部は、口部に被さる蓋天板と、該蓋天板の内側面から突出するインナーリングとを含む。インナーリングは、周方向に一定の厚みの筒状に形成されている。該インナーリングが、口部の内周に嵌め込まれることによって、蓋部が口部から抜け止めされるとともに、蓋部と口部との間が液密にシールされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-155322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種のインナーリング付きの蓋装置を有する容器においては、公差ないしは製造誤差、若しくは僅かな仕様の違い等によって、インナーリングと口部との嵌め込みがゆる過ぎたり、きつ過ぎたりすることがある。ゆる過ぎると、蓋装置を口部にしっかり止めることができなくなったり、液漏れしたりすることがある。きつ過ぎると、蓋装置の着脱ひいては容器の開け閉めが容易でない。圧入によるインナーリングの収縮度合いが周方向にばらつくこともある。
本発明は、かかる事情に鑑み、蓋装置や口部に公差ないしは製造誤差、若干の仕様の違い等があっても、蓋装置のインナーリングが容器本体の口部に適度な嵌め込み力で確実に嵌め込まれるようにでき、口部の内径許容範囲が広がり汎用的に使える蓋装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本発明は、
容器の口部に設けられる蓋装置であって、
前記口部の開口に被さる蓋天板と、
前記蓋天板の内側面から突出して前記口部の内周に嵌め込まれるインナーリングと、を備え、
前記インナーリングには、薄肉部と厚肉部とが、該インナーリングの周方向の全周にわたって交互に形成されていることを特徴とする。
好ましくは、インナーリングの外径は、該インナーリングが口部に対して圧入される大きさにする。これによって、蓋装置を口部に装着する際、インナーリングが口部の内径ないしは形状に倣って径方向に収縮変形される。好ましくは、インナーリングが周方向に均一に収縮変形される。この結果、インナーリングが口部に適度な嵌め込み力で確実に嵌め込まれるようにできる。かつ、口部の内径許容範囲を広げることができる。
【0006】
前記インナーリングの外周面が円筒面であり、
前記インナーリングの内周面には、山部と谷部が前記周方向に交互に形成されていることが好ましい。
これによって、インナーリングの外周面が全周にわたって口部の内周面に圧接、密着されるようにでき、蓋部と口部との間のシール性を確保できる。
【0007】
前記蓋装置は、キャップでもよく、コックでもよい。
コックからなる蓋装置は、前記蓋天板には蓋開口が形成され、前記蓋天板の外側面には前記蓋開口を開閉するハンドル付きノズルが設けられていてもよい。
前記コックは、前記蓋天板及び前記インナーリングを有し、前記蓋天板には蓋開口が形成された蓋板部材と、
前記蓋天板の外側面に設けられて、前記蓋開口を開閉するハンドル付きノズルと、
前記蓋板部材とは別体をなして前記蓋板部材を囲む筒状の蓋外筒部材と、
を備え、前記蓋外筒部材の内周面には前記口部の外周の雄ネジに螺合される雌ネジが形成され、
前記蓋外筒部材の前記ハンドル付きノズル側の縁には、径方向内側へ突出する内鍔部が形成され、
前記内鍔部が、前記ハンドル付きノズルと前記蓋天板とにより挟まれていることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、蓋装置や口部に公差ないしは製造誤差、若干の仕様の違い等があっても、蓋装置のインナーリングが口部に適度な嵌め込み力で確実に嵌め込まれるようにでき、口部の内径許容範囲が広がることで、蓋装置を汎用的に使うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係るバッグインボックスからなる容器の要部の断面図である。
図2図2は、前記容器の蓋装置であるコックの平面図である。
図3図3は、前記コックの斜視図である。
図4図4は、前記コックの底面図である。
図5図5は、本発明の第2実施形態に係る容器の要部の断面図である。
図6図6は、前記第2実施形態に係る蓋装置であるキャップの底面図である。
図7図7は、キャップの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。
<第1実施形態(図1図4)>
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る容器1は、バッグインボックスによって構成されている。容器1は、内容液が収容される容器本体1aと、該容器本体1aを開閉するコック3(蓋装置)を備えている。容器本体1aの上面部又は側面部に概略筒形状の口部2が設けられている。口部2の外周には雄ネジ2bが形成されている。好ましくは、口部2の内周面は、先端(図1において上端)へ向かって緩やかに拡径するテーパ面となっている。該口部2にコック3が着脱可能に設けられている。
【0011】
図1図3に示すように、コック3は、蓋部4と、ハンドル付きノズル30を備えている。蓋部4は、蓋外筒部材10と、蓋板部材20を含む。蓋外筒部材10及び蓋板部材20は、互いに別体になっている。
蓋外筒部材10及び蓋板部材20の材質は、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、エラストマーなどの樹脂である。
【0012】
図1図3に示すように、蓋外筒部材10は、筒状ないしは環状に形成され、蓋板部材20を囲んでいる。蓋外筒部材10の内周面には雌ネジ13が形成されている。雌ネジ13が雄ネジ2bに螺合されることによって、コック3が口部2に装着される。蓋外筒部材10の上端縁(後記ノズル30側の縁)には、径方向内側へ突出する環状の内鍔部12が形成されている。
【0013】
図1及び図4に示すように、蓋板部材20は、蓋天板21と、ノズルホルダ22と、インナーリング23を有している。蓋天板21は円板形状に形成されている。コック3を口部2に装着したとき、蓋天板21が、口部2の開口2aに被さることによって口部2を塞ぐ。蓋天板21には蓋開口26が形成されている。
【0014】
図1及び図2に示すように、蓋天板21の上面(外側面)には、円筒状のノズルホルダ22が一体に形成されている。ノズルホルダ22の筒軸は、蓋天板21の上面に沿っている。蓋開口26がノズルホルダ22の内周面に開口されている。ノズルホルダ22にハンドル付きノズル30が回転可能に保持されている。ノズル30は、ノズルホルダ22より長く、かつノズルホルダ22より小径の円筒形状に形成されている。該ノズル30がノズルホルダ22内に圧入状態で挿通されている。ノズル30の周壁部には連通穴36が形成されている。ノズル30の先端部は、吐出口31を構成している。ノズル30の基端部には、レバー状のハンドル32が設けられている。該ハンドル32を操作して、ノズル30の角度を調整することによって、連通穴36を蓋開口26と連通・遮断させて、蓋開口26を開閉できる。これによって、容器1の内容液を吐出口31から出したり止めたりできる。
【0015】
図1に示すように、内鍔部12が、ノズルホルダ22ひいてはノズル30と蓋天板21とにより挟まれている。これによって、蓋外筒部材10と蓋板部材20とが、互いに回転可能かつ軸方向(上下方向)へ分離不能に係合されている。
【0016】
図3に示すように、蓋天板21にはインナーリング23が一体に設けられている。図1及び図4に示すように、インナーリング23は、蓋天板21と同心かつ蓋天板21より小径の環状に形成され、蓋天板21の底面(内側面)から突出して、口部2の内周に嵌め込まれる。図1に示すように、インナーリング23の外周面は、周方向に凹凸が無く滑らかな断面円形に形成されており、好ましくは先端(図1において下端)へ向かって縮径するテーパ状(円錐面状)に形成されている。より好ましくは、インナーリング23の外周面は、蓋天板21から中間部までの傾斜が緩やかな緩テーパ部23aと、前記中間部から先端までの傾斜が急な急テーパ部23bとを有している。インナーリング23は、口部2に対して圧入されるように、緩テーパ部23aの各高さ位置における外径が口部2の対応する位置の内径より大径に形成されている。好ましくは、口部2及びコック3に公差ないしは製造誤差、若しくは僅かな仕様の違いがあっても、圧入状態が維持されるように、緩テーパ部23aの前記外径が口部2の前記内径に対して大きめに設定されている。
【0017】
図4に示すように、インナーリング23には、薄肉部24と厚肉部25とが、該インナーリング23の周方向の全周にわたって一定ピッチで交互に形成されている。詳しくは、インナーリング23の内周面には、凹状の谷部24aと、凸状の山部25aとが、周方向に一定ピッチで交互に形成されている。谷部24aによって薄肉部24が形成され、山部25aによって厚肉部25が形成されている。薄肉部24及び厚肉部25は、好ましくはインナーリング23の高さ方向の全域に及んでいる。すなわち、薄肉部24及び厚肉部25の上端部は、蓋天板21に達している。薄肉部24及び厚肉部25の下端部は、インナーリング23の下端縁に達している。
【0018】
具体的には、インナーリング23の内周面は、周方向に山と谷が交互に連続する正弦波形状に形成されている。インナーリング23の内周面の波形状は、正弦波状に限らず、三角波形状であってもよく、矩形波形状であってもよい。インナーリング23の内周面における山部25aと谷部24aの高低差Hは、好ましくは内直径φの0.01倍~0.3倍程度、より好ましくは0.05倍程度である。なお、内直径φは、インナーリング23における山部25aの頂部と内接する内接円の直径に相当する。インナーリング23における山部25aの数は、好ましくは5個~50個程度、より好ましくは16個程度である。
【0019】
前記のコック3(蓋装置)を口部2に装着する際は、蓋外筒部材10を回して、雌ネジ13を雄ネジ2bに螺合させる。このとき、蓋天板21及びノズル30は回転されないよう一定の向きに保持しておくことができる。インナーリング23の先端部(下端部)が先細の急テーパ部23bになっているため、インナーリング23を口部2の内部に差し込みやすい。
インナーリング23の緩テーパ部23aの各高さ位置における外径が、口部2の対応する位置の内径より大径に形成されているために、インナーリング23の外周面が口部2の内周面に圧接され、インナーリング23が口部2に圧入されるように嵌め込まれる。公差ないしは製造誤差、若しくは僅かな仕様の違いを考慮して、インナーリング23の外径を大きめに設定しておくことによって、インナーリング23と口部2との嵌め込みが緩くなり過ぎるのを防止できる。
【0020】
圧入されたインナーリング23は、口部2の内径ないしは口部2の形状に倣って収縮変形される。このとき、薄肉部24及び厚肉部25の作用によって、インナーリング23が周方向に均一に収縮されて縮径される。詳細には、各薄肉部24が前記周方向に収縮されるように撓み、各薄肉部24を挟んで隣接する厚肉部25どうしが接近される。言い換えると、各谷部24aの幅が狭まり、隣接する山部25aどうしの間隔が縮まる。
このため、インナーリング23の外径が大きめであっても、口部2への嵌め込みがきつくなり過ぎることがなく、コック3の装着操作を容易に行うことができる。かつ、圧入によるインナーリング23の収縮度合いが周方向にばらつくのを防止できる。
【0021】
当該インナーリング23は、周方向に一定の厚みの一般的なインナーリングと比べて、縮径可能量が大きい。したがって、多少の公差ないしは製造誤差、若干の仕様の違い等があっても、緩テーパ部23aの各高さ位置における外径が、口部2の対応する位置の内径より大径である限り、インナーリング23を確実に収縮変形させながら圧入できる。すなわち、口部2の内径許容範囲を広げることができる。しかも、収縮され易い部位すなわち薄肉部24がインナーリング23の周方向に均等に分布されているために、インナーリング23を一様に収縮させやすい。
【0022】
このようにして、蓋や口部に公差ないしは製造誤差、若干の仕様の違い等があっても、インナーリング23が口部2に適度な嵌め込み力で確実に嵌め込まれるようにできる。そして、インナーリング23の外周面が全周にわたって口部2の内周面に密着される。これによって、口部2とコック3との間が液密にシールされる。口部の内径許容範囲が広がることで、蓋装置を汎用的に使うことができる。
【0023】
コック3を口部2から取り外すと、インナーリング23の薄肉部24等に対する圧縮変形力が解除され、インナーリング23が弾性的に元の大きさ及び形状に復帰される。
【0024】
次に、本発明の他の実施形態を説明する。以下の実施形態において既述の形態と重複する構成に関しては、図面に同一符号を付して説明を適宜省略する。
<第2実施形態(図5図7)>
図5に示すように、第2実施形態の容器1Bにおけるキャップ40(蓋装置)は、蓋外周部41と、蓋天板42を一体に有している。図6及び図7に示すように、蓋天板42の内側面(底面)に、インナーリング43が一体に設けられ、該インナーリング43には薄肉部44(谷部44a)と厚肉部45(山部45a)が周方向に交互に設けられ、更にインナーリング43の外周面が緩テーパ部43aと急テーパ部43bを有していることは、第1実施形態と同様である。
【0025】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変をなすことができる。
例えば、インナーリング23,43の外周面にも山部及び谷部が周方向に交互に形成されていてもよい。
第1実施形態において、蓋外周部10と蓋天板21とが一体になっていてもよい。
本発明に係る蓋装置は、バッグインボックスに限らず、ブローボトルその他種々の容器に適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、例えばバッグインボックスやブローボトル等の容器の蓋に適用できる。
【符号の説明】
【0027】
1 容器
1a 容器本体
2 口部
2a 開口
2b 雄ネジ
3 コック(蓋装置)
4 蓋部
10 蓋外筒部材
12 内鍔部
13 雌ネジ
20 蓋板部材
21 蓋天板
22 ノズルホルダ
23 インナーリング
23a 緩テーパ部
23b 急テーパ部
24 薄肉部
24a 谷部
25 厚肉部
25a 山部
26 蓋開口
30 ノズル
31 吐出口
32 ハンドル
36 連通穴
40 キャップ(蓋装置)
41 蓋外周部
42 蓋天板
43 インナーリング
43a 緩テーパ部
43b 急テーパ部
44 薄肉部
44a 谷部
45 厚肉部
45a 山部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7