(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-11
(45)【発行日】2024-12-19
(54)【発明の名称】独立電源装置給電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/34 20060101AFI20241212BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20241212BHJP
H02J 7/35 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
H02J7/34 G
H02J7/00 P
H02J7/35 K
(21)【出願番号】P 2020199778
(22)【出願日】2020-12-01
【審査請求日】2023-10-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【氏名又は名称】石田 喜樹
(72)【発明者】
【氏名】平井 孝資
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 圭
(72)【発明者】
【氏名】品田 小有里
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-146436(JP,A)
【文献】特表2019-518406(JP,A)
【文献】特開2014-023377(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L1/00-3/12
B60L7/00-13/00
B60L15/00-58/40
H02J3/00-7/12
H02J7/34-7/36
H02J13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池及び当該蓄電池を充電するための発電装置を備えた複数の独立電源装置と、通信ネットワークを介して前記独立電源装置を管理する管理サーバと、前記独立電源装置を充電することが可能な複数の電動車両とを具備する独立電源装置給電システムであって、
前記独立電源装置は、前記電動車両による給電を行うための充電コネクタと、
前記管理サーバと通信する通信部と、
前記蓄電池の残量条件を含む所定の第1の条件を満たしたら、前記管理サーバに電動車両による給電を要求する要求判断部と、
通信機能を維持させるために、外部からの制御により消費電力を削減して動作する非常時モードへ移行する動作制御部と、を有すると共に、
前記管理サーバは、個々の前記電動車両及びその管理者を登録した車両情報記憶部を有し、前記独立電源装置から前記電動車両による給電要求を受けたら、前記車両情報記憶部から電動車両を選択し、選択した電動車両の管理者に電力供給の為の配車を要求することを特徴とする独立電源装置給電システム。
【請求項2】
前記第1の条件が、前記蓄電池の残量が満充電の所定の割合以下で、且つ接続された外部負荷に電力を供給している状態であることを特徴とする請求項1記載の独立電源装置給電システム。
【請求項3】
前記要求判断部は、前記非常時モード状態では、前記第1の条件と同一、或いは前記蓄電池の残量条件が前記第1の条件より多く設定された所定の第2の条件を満たしたら、前記管理サーバに電動車両による給電を要求することを特徴とする請求項1又は2記載の独立電源装置給電システム。
【請求項4】
蓄電池及び当該蓄電池を充電するための発電装置を備えた複数の独立電源装置と、通信ネットワークを介して前記独立電源装置を管理する管理サーバと、前記独立電源装置を充電することが可能な複数の電動車両と、を具備する独立電源装置給電システムであって、
前記独立電源装置は、前記電動車両による給電を行うための充電コネクタと、
前記管理サーバと通信する通信部と、
外部からの指示を受けて、通信機能を維持するために消費電力を削減して動作する非常時モードへ移行制御する動作制御部と、
前記非常時モードの状態で、前記蓄電池の残量条件を含む所定の条件を満たしたら、前記管理サーバに電動車両による給電を要求する要求判断部とを有すると共に、
前記管理サーバは、個々の前記電動車両及びその管理者を登録した車両情報記憶部を有し、
前記独立電源装置から電動車両による給電要求を受けたら、前記車両情報記憶部から電動車両を選択し、選択した電動車両の管理者に電力供給の為の配車を要求することを特徴とする独立電源装置給電システム。
【請求項5】
前記管理サーバは、前記独立電源装置と登録された前記電動車両とを地図上の位置情報で登録した地図情報記憶部を有し、
前記独立電源装置に向かわせる前記電動車両を選択する際に、前記地図情報記憶部を参照して距離を算出し、算出した距離情報から配車車両を決定するマッチング処理を実施するマッチング処理部を有し、
前記マッチング処理部が選択した電動車両の管理者に前記配車要求を出すことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の独立電源装置給電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光や風力等の自然エネルギーを利用して発電した電力で蓄電池を充電し、充電した蓄電電力を負荷に供給する独立電源装置に関し、特に独立電源装置の蓄電池を自然エネルギーだけでなく、電動車両の電力でも充電できる独立電源装置給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、商用電源と連系しない独立電源装置がある(例えば、特許文献1参照)。独立電源装置の多くは、太陽光や風力等の自然エネルギーを利用して発電し、その発電電力を蓄電池に蓄えて、蓄電した電力が例えば各種表示器の電源やキャンプ場等の電源として使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の独立電源装置は、商用電力が配設されていない山間部のキャンプ場等のエリアであっても、電気機器に電力を供給できたし、災害発生時の停電に対して携帯電話の充電や照明に電力を供給できるため有効であった。
【0005】
しかしながら、蓄電した電力が無くなったら、太陽光発電等による充電を待つしかないため、安定した状態で使用することが難しかった。特に、災害発生等で大規模停電が発生した際には、この独立電源装置の需要が高まるが、一旦蓄電電力を使い切ると自然エネルギーで蓄電池を満充電にするには時間を要するし、同時に多数の独立電源装置が使用不能な状態になることが考えられる。
そのため、そのような事態に備えて、非常時には自然エネルギー発電に頼らない速やかな充電形態が求められている。
【0006】
この非常時の充電形態として、電気自動車等の電動車両を独立電源装置に接続し、電動車両から独立電源装置を充電すれば、速やかに充電できると考えられる。しかし、多数の独立電源装置の蓄電池が一斉に空になった場合、配車が混乱して電動車両が特定の独立電源装置に集中して、効率の良い配車ができないことが考えられる。そのため、電動車両のバランスの取れた配車システムを用意する必要がある。
【0007】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、大規模停電発生等の非常時であっても、複数の電動車両を各独立電源装置にバランスよく配車することができる独立電源装置給電システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、蓄電池及び当該蓄電池を充電するための発電装置を備えた複数の独立電源装置と、通信ネットワークを介して独立電源装置を管理する管理サーバと、独立電源装置を充電することが可能な複数の電動車両とを具備する独立電源装置給電システムであって、独立電源装置は、電動車両による給電を行うための充電コネクタと、管理サーバと通信する通信部と、蓄電池の残量条件を含む所定の第1の条件を満たしたら、管理サーバに電動車両による給電を要求する要求判断部と、通信機能を維持させるために、外部からの制御により消費電力を削減して動作する非常時モードへ移行する動作制御部と、を有すると共に、管理サーバは、個々の電動車両及びその管理者を登録した車両情報記憶部を有し、独立電源装置から電動車両による給電要求を受けたら、車両情報記憶部から電動車両を選択し、選択した電動車両の管理者に電力供給の為の配車を要求することを特徴とする。
この構成によれば、蓄電池残量を含む条件が所定の条件を満たしたら、電動車両による給電を要求するため、例えば満充電の10%以下になったら外部電源からの給電を要求することで、遅滞の無い給電が可能となり独立電源装置の継続利用が可能となる。
そして、電動車両による給電を可能とすることで、大規模停電の発生等で電源が必要な場合に、独立電源装置が使えなくなるような事態を防ぐことができる。
一方、電動車両による給電要求を受けた管理サーバは、選択した電動車両の管理者に配車要求を出すため、複数の配車要求が同時に発生しても要求元毎の配車が可能となる。
加えて、外部操作で消費電力を削減する非常時モードへ移行するため、大規模災害等の発生を受けて速やかに非常時モードに移行させることができ、通信機能を維持させることができる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成において、第1の条件が、蓄電池の残量が満充電の所定の割合以下で、且つ外部負荷が接続されて電力を供給している状態であることを特徴とする。
この構成によれば、蓄電池の残量が僅かであっても、外部負荷に電力を供給していなければ、電動車両による給電を要求せずに自身の発電装置による充電を待つ。よって、電動車両による給電要求を最小限にとどめることができる。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の構成において、要求判断部は、非常時モード状態では、第1の条件と同一、或いは蓄電池の残量条件が第1の条件の蓄電池の残量条件より多い所定の第2の条件を満たしたら、管理サーバに電動車両による給電を要求することを特徴とする。
この構成によれば、非常時モードへ移行することで、蓄電池残量が比較的多い状態でも電動車両による給電を要求するため、大規模停電の発生等で電源が必要な緊急時に、独立電源装置が使えなくなるような事態を防ぐことができる。
【0011】
請求項4の発明は、蓄電池及び当該蓄電池を充電するための発電装置を備えた複数の独立電源装置と、通信ネットワークを介して独立電源装置を管理する管理サーバと、独立電源装置を充電することが可能な複数の電動車両と、を具備する独立電源装置給電システムであって、独立電源装置は、電動車両による給電を行うための充電コネクタと、管理サーバと通信する通信部と、外部からの指示を受けて、通信機能を維持するために消費電力を削減して動作する非常時モードへ移行制御する動作制御部と、非常時モードの状態で、蓄電池の残量条件を含む所定の条件を満たしたら、管理サーバに電動車両による給電を要求する要求判断部とを有すると共に、管理サーバは、個々の電動車両及びその管理者を登録した車両情報記憶部を有し、独立電源装置から電動車両による給電要求を受けたら、車両情報記憶部から電動車両を選択し、選択した電動車両の管理者に電力供給の為の配車を要求することを特徴とする。
この構成によれば、独立電源装置は、外部操作で消費電力を削減する非常時モードへ移行するため、大規模災害等の発生を受けて速やかに非常時モードに移行させることができ、通信機能を維持させることができる。
また、蓄電池残量を含む条件が所定の条件を満たしたら、管理サーバに電動車両による給電を要求することで、同時に複数の独立電源装置が電動車両による給電要求が発生しても、蓄電電力を使い切る前に外部電源による給電が可能であり、遅滞の無い給電が可能となる。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れかに記載の構成において、管理サーバは、独立電源装置と登録された電動車両とを地図上の位置情報で登録した地図情報記憶部を有し、独立電源装置に向かわせる電動車両を選択する際に、地図情報記憶部を参照して距離を算出し、算出した距離情報から配車車両を決定するマッチング処理を実施するマッチング処理部を有し、マッチング処理部が選択した電動車両の管理者に配車要求を出すことを特徴とする。
この構成によれば、移動距離を加味して電動車両を割り当てるマッチング処理が行われるため、無駄な距離を走行しないよう適切な配車を実施できる。また、給電要求が出てから電動車両が到着するまでの時間を短くできる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、蓄電池残量を含む条件が所定の第1の条件を満たしたら、電動車両による給電を要求するため、例えば満充電の20%以下になったら外部電源からの給電を要求でき、遅滞の無い給電が可能となり独立電源装置の継続利用が可能となる。
また、電動車両による給電を可能とすることで、大規模停電の発生等で電源が必要な緊急時に、独立電源装置が使えなくなるような事態を防ぐことができる。
一方、電動車両による給電要求を受けた管理サーバは、選択した電動車両の管理者に配車要求を出すため、複数の配車要求が同時に発生してもバランスの取れた配車が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る独立電源装置給電システムの一例を示す構成図である。
【
図2】独立電源装置の電動車両による充電の流れを示すフローチャートである。
【
図3】独立電源装置給電システムの動作の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係る独立電源装置給電システムの一例を示す構成図である。独立電源装置給電システム1は、独立電源装置2、電動車両3、管理サーバ4、防災拠点6等で構成されている。
管理サーバ4は、独立電源装置2、防災拠点6と通信ネットワークNを介して接続されている。
【0016】
独立電源装置2は、太陽光発電装置21a及び風力発電装置21b等の自家発電設備(発電設備)21、蓄電池22、充放電制御部23、電動車両3から電力を取り出すための充電コネクタ24、電源を切り替える切替部25、100V等の交流電力を出力するためのDC/ACインバータ26、図示しない防犯カメラや照明等の内部負荷27、外部負荷5が接続されるコンセント28、独立電源装置2の各部を制御する独立電源装置CPU29、外部と通信する通信部30等を備えており、システム内に複数設置されている。
独立電源装置CPU29は、管理サーバ4に対して電動車両3による給電を要求する制御を実施し、その際の判断条件が2種類(第1の条件、第2の条件)設定されており、後述する非常時モード状態であるかどうかで、判断する条件を変更して制御する。
【0017】
そして、独立電源装置2は、通常モード動作と非常時モードの2通りの動作モードで動作し、非常時モードへは外部からの制御で移行する。
通常モードでは、自家発電設備21で発電した電力により蓄電池22が充電され、この蓄電電力が、内部負荷27及び外部負荷5に供給される。また、所定の条件(第1の条件)を満たしたら、電動車両3による蓄電池22の充電を管理サーバ4へ要求する。
非常時モード状態では、通信機能を維持させるために内部負荷27及び外部負荷5へ供給する電力が削減される。加えて、所定の条件(第2の条件)を満たしたら、電動車両3による給電を管理サーバ4へ要求し、配車された電動車両3により、蓄電池22が充電される。
【0018】
電動車両3は、EV(Electric Vehicle)やPHV(Plug-in Hybrid Vehicle)等の電気を外部に供給可能な車両であり、このシステムでは複数の電動車両3を含み、個人所有の車両群、協力企業所有の車両群、公用車から成る車両群等で構成されている。
【0019】
管理サーバ4は、防災拠点6或いは通信ネットワークN上に配置され、登録された電動車両3の車両情報及びその管理者情報を蓄積した車両情報記憶部41、独立電源装置2及び電動車両3の場所を地図情報と共に記憶する地図情報記憶部42、管理サーバ4を制御する管理サーバCPU43、通信ネットワークNを介して通信するサーバ通信部44等を備えている。
管理サーバCPU43は、独立電源装置2と電動車両3との地図情報(距離情報)を基に、マッチング処理を行い、独立電源装置2から電動車両3による給電の要求を受けたら、算出した距離を加味して向かわせる電動車両3を選択する。
【0020】
防災拠点6は、市役所等に設置された災害発生時の復旧対策を指揮する拠点であり、管理サーバ4と通信する通信手段(図示せず)が設置されている。災害の有無にかかわらず担当者により管理サーバ4から個々の独立電源装置2の情報が入手されて管理される。
【0021】
上記の如く構成された独立電源装置給電システム1の動作を次に説明する。但し、ここでは、非常時モードに移行した場合の動作を中心に説明する。また、給電に使用する電動車両3は、個人や企業が所有する車両を前提に説明する。
図2は、非常時モードへの移行指示を受けた独立電源装置2の動作の流れを示し、このフローに基づいて、まず独立電源装置2の動作を説明する。
通常モードで運転(S1)している独立電源装置2は、管理サーバ4から非常時モード運転への移行指示を受けると(S2でYES)、通常モード運転から非常時モード運転に移行する(S3)。
【0022】
尚、非常時モードへの移行指示は、災害等の発生で大規模停電が発生した際に、防災拠点6から各独立電源装置2に対して出される。この指示は、管理サーバ4を介して各独立電源装置2に通知される。そして、非常時モード状態は、防災拠点6から解除指示が出されるまで継続される。
【0023】
この移行指示を受けて、独立電源装置CPU29の制御により通信部30以外の電力消費が抑制(S4)される。そして、蓄電池22の蓄電状態と外部負荷5の状態が監視され、蓄電池22の充電量(蓄電量)が満充電の規定量(第2の規定量)以下(例えば、30%以下)となり(S5でYes)、加えて外部負荷5への電力供給が成されていたら(S6でYes)、電動車両配車要求が管理サーバ4に対して実施される(S7)。即ち、蓄電量が満充電の一定量以下で且つ外部負荷5へ電力が供給されているとする条件(第2の条件)を満たしていたら、電動車両3による蓄電池22の充電要求が管理サーバ4へ送信され、返信を待つ。
【0024】
その後、管理サーバ4から、マッチング成立の通知を受けたら(S8)、電動車両3の到着を待つ。
配車された電動車両3が到着し、運転手等の操作で充電コネクタ24が電動車両3に接続され(S9でYes)、電動車両3との間で通信を開始(S10)し、通信が成立(S11でYes)したら、蓄電池22の充電電源を自家発電設備21から電動車両3に切り替えて電力の取り出しを開始する(S12)。
【0025】
このように、独立電源装置2は外部操作で消費電力を削減する非常時モードへ移行するため、大規模災害等の発生を受けた場合に非常時モードへ移行させることで、消費電力を削減して通信機能を維持させることができる。そして、非常時モードへ移行することで、蓄電池22の残量の条件を含む所定の条件(第2の条件)を満たしたら電動車両3による給電を要求するため、大規模停電の発生等で電源が必要な緊急時に、独立電源装置2が使用できなくなるような事態を防ぐことができる。また、同時に複数の独立電源装置2が電動車両3による給電要求が発生しても、車両により給電するため、蓄電電力を使い切る前に給電が可能であり、遅滞の無い給電が可能となる。
【0026】
図3は独立電源装置給電システム1の動作の流れを示すシーケンス図であり、非常時モードでの電動車両3の配車の流れを示している。この図を参照してシステムの動作を説明する。
防災拠点6から各独立電源装置2に対する非常時モードへの移行操作(S21)が行われると、管理サーバ4にその通知が行き、管理サーバ4から各独立電源装置2に非常時モード移行要求が出される(S22)。
【0027】
この移行要求を受けた独立電源装置2は、非常時モードに移行(S23)し、非常時モードに移行したことを管理サーバ4に返信する(S24)。
その時点で、或いはその後、所定の条件(第2の条件)を満たしたら、即ち上述したように蓄電池22の残量が第2の規定量以下になり、且つ接続されている外部負荷5に電力を供給している状態であれば、電動車両配車要求を実行(S25)し、管理サーバ4に配車要求(S26)が送信される。
配車要求を受けた管理サーバ4は、車両情報記憶部41から登録されている電動車両3の管理者3aを読み取り、管理者の例えば携帯電話に電動車両3の配車要求が発生した旨がメール等で通知される(S27)。
【0028】
その後、管理サーバ4から、エリアを絞った管理者3aに対して救援可否の応答を要求する(S28)。この救援要求を受けた電動車両3の管理者3aは、今の段階で給電のために電動車両3を向かわせることが可能かどうかの返信をする(S29)。
この返信を受けた管理サーバ4は、救援可の応答をした管理者3aの中から最も適した管理者3aを選択するマッチング処理を行い、マッチングが成立(S29)したら、独立電源装置2及び選択した管理者3aに対してマッチング成立情報を通知(S31、S32)する。このマッチング処理は、配車要求をした全ての独立電源装置2に対して実施される。
こうして、マッチング成立の通知を受けた電動車両3の管理者は、電動車両3を指示された独立電源装置2に向かわせ、独立電源装置2は到着を待つ(S33)。到着したら電動車両3による独立電源装置2の給電が実施される。
【0029】
このように、独立電源装置2は、外部操作で消費電力を削減する非常時モードへ移行するため、大規模災害等で広範囲な停電が発生した際には、速やかに非常時モードに移行させれば、少なくとも通信機能を維持させることができる。
また、蓄電池22の残量を含む条件が所定の条件を満たしたら、管理サーバ4に電動車両3による給電を要求することで、同時に複数の独立電源装置2が電動車両3による給電要求が発生しても、蓄電電力を使い切る前に外部電源による給電が可能であり、遅滞の無い給電が可能となる。
更に、移動距離を加味して電動車両3を割り当てるマッチング処理が行われるため、無駄な距離を走行しないよう適切な配車を実施でき、給電要求が出てから電動車両3が到着するまでの時間を短くできるし、充電量を多く残すことができる。
また、電動車両3による給電要求を受けた管理サーバ4は、選択した電動車両3の管理者に配車要求を出すため、複数の配車要求が同時に発生しても要求元毎の配車が可能となる。
加えて、電動車両3による給電を可能とすることで、大規模停電の発生等で電源が必要な場合に、独立電源装置2が使えなくなるような事態を防ぐことができる。
【0030】
次に、非常時モードに移行しない通常モードにおいて独立電源装置2が電動車両3による給電を要求する流れを説明する。
但し、上記非常時モード状態では、蓄電量が満充電の30%以下で且つ外部負荷が接続されてて使用されている場合に配車要求を実行したが、非常時モードに移行しない場合は緊急時ではない場合が多いため、要求する条件(第1の条件)は上記第2の条件より厳しい数値で設定されている。
【0031】
例えば、蓄電池22の蓄電量が満充電の規定量(第1の規定量)以下、(例えば、10%以下)で、且つ外部負荷5に電力を供給しているとする条件(第1の条件)を満たしたら、電動車両3の配車要求が実行される。配車要求を受けた管理サーバ4の動作は上記形態と同様であり、マッチング処理を実施して選択した電動車両3を要求元へ向かわせる。
【0032】
このように、非常時モードに移行しなくても、蓄電池22の残量を含む条件が所定の条件(第1の条件)を満たしたら、電動車両3による給電を要求するため、遅滞の無い給電が可能となり独立電源装置の継続利用が可能となる。
そして、非常モード時に比べて配車要求条件が厳しいため、電動車両3による給電要求を最小限にとどめることができる。逆に、上記非常時モード状態では、蓄電残量が比較的多い状態で電動車両3による給電を要求するため、電動車両3による給電の要求が同時に多数発生しても、独立電源装置2が使えなくなる事態を防ぐことができる。
尚、通常モードでの電動車両3による給電要求を実施する判断基準は、非常時モード時の条件と同一であっても良い。
【0033】
尚、上記実施形態は、給電に派遣する電動車両3が、個人や企業が管理している車両の場合を前提に説明しているが、派遣する電動車両3が防災拠点6が管理する車両である場合は、車両の管理者は防災担当者であるため、管理者に対して電動車両3による救援可否要求等をする必要がなく、管理サーバ4はマッチング処理を行う程度となる。
また、非常時モードへの移行の有無に関わらず、独立電源装置2が所定の条件を満たしたら、電動車両3による給電要求を行うが、非常時モードへ移行した場合のみ、所定の条件を満たしたら電動車両3による給電要求を行う構成であっても良い。
【符号の説明】
【0034】
1・・独立電源装置給電システム、2・・独立電源装置、3・・電動車両、4・・管理サーバ、5・・外部負荷。6・・防災拠点、21・・自家発電設備(発電設備)22・・蓄電池、29・・独立電源装置CPU(要求判断部、動作制御部)、30・・通信部、41・・車両情報記憶部、42・・地図情報記憶部、43・・管理サーバCPU(マッチング処理部)。