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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-11
(45)【発行日】2024-12-19
(54)【発明の名称】口腔用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/34 20060101AFI20241212BHJP
   A61K 8/42 20060101ALI20241212BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20241212BHJP
   A61K 8/84 20060101ALI20241212BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20241212BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20241212BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20241212BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20241212BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20241212BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20241212BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20241212BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20241212BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20241212BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20241212BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
A61K8/34
A61K8/42
A61K8/81
A61K8/84
A61K9/06
A61K9/08
A61K9/12
A61K9/14
A61K9/70
A61K47/18
A61K47/26
A61K47/32
A61K47/34
A61P1/02
A61Q11/00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020219314
(22)【出願日】2020-12-28
(65)【公開番号】P2022104235
(43)【公開日】2022-07-08
【審査請求日】2023-07-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塩崎 侑季
(72)【発明者】
【氏名】吉田 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】川延 勇介
【審査官】山田 陸翠
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/131575(WO,A1)
【文献】特開平08-333227(JP,A)
【文献】特開2019-167297(JP,A)
【文献】特開平04-074114(JP,A)
【文献】特開2012-153619(JP,A)
【文献】特開2015-204849(JP,A)
【文献】特開2009-274967(JP,A)
【文献】特開2011-098918(JP,A)
【文献】特開2011-046654(JP,A)
【文献】特開2007-001954(JP,A)
【文献】特開2020-083828(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61K 9/06
A61K 9/08
A61K 9/12
A61K 9/14
A61K 9/70
A61K 47/18
A61K 47/26
A61K 47/32
A61K 47/34
A61K 47/36
A61K 47/38
A61P 1/02
A61Q 1/00-99/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)湿潤剤、
(B)水溶性高分子、及び
(C)N-(2-ヒドロキシ-2-フェニルエチル)-2-イソプロピル-5,5-ジメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミドを含有し、
(A)成分が、糖アルコール、2~3価の多価アルコール、及びポリグリセリンからなる群より選ばれる1種以上であり、
(B)成分が、ポリグルタミン酸又はその塩、及びアクリル酸系ポリマーからなる群より選ばれる1種以上であり、
(A)成分の含有量が、1~50質量%であり、
(B)成分の含有量が、0.01~1質量%であり、
(C)成分の含有量が、0.00001~0.1質量%であり
液体である口腔用組成物。
【請求項2】
洗口剤又はマウススプレーである、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項3】
(A)湿潤剤、
(B)水溶性高分子
(C)N-(2-ヒドロキシ-2-フェニルエチル)-2-イソプロピル-5,5-ジメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド
を含有し、
(A)成分が、糖アルコール、2~3価の多価アルコール、及びポリグリセリンからなる群より選ばれる1種以上であり、
(B)成分が、ポリグルタミン酸又はその塩、及びアクリル酸系ポリマーからなる群より選ばれる1種以上であり、
(A)成分の含有量が25~70質量%であり、
(B)成分の含有量が、0.1~3質量%であり、
(C)成分の含有量が、0.00001~0.1質量%であり、
非液体である口腔用組成物。
【請求項4】
練歯磨剤、ジェル歯磨剤、粉歯磨剤、シート状歯磨剤、又は固形歯磨剤である、請求項3に記載の口腔用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
口腔用組成物に湿潤剤や水溶性高分子を配合すると、使用時のまろやかさを付与することが可能である(例えば、特許文献1及び2)。歯磨剤においては、水溶性高分子の配合により起泡性が向上するメリットもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平5-194165号公報
【文献】特開2020-83831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、これらの成分は、液体口腔用組成物の吐出後、若しくは、半固形又は固形口腔用組成物のすすぎ後にべたつきを感じる等、不快な使用感が残る原因となることがある。本発明は、水溶性高分子、湿潤剤を含み、使用中にまろやかさが感じられ、良好な起泡性を発揮しながらも、使用後のべたつき感が抑制され、すっきりとした使用感を発揮できる口腔用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち、本発明は、以下の〔1〕~〔8〕を提供する。
〔1〕(A)湿潤剤、
(B)水溶性高分子、及び
(C)N-(2-ヒドロキシ-2-フェニルエチル)-2-イソプロピル-5,5-ジメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド
を含有する液体である口腔用組成物。
〔2〕以下の少なくともいずれかを満たす、〔1〕に記載の組成物:
(A)成分の含有量が、1~50質量%であること;
(B)成分の含有量が、0.01~1質量%であること;および
(C)成分の含有量が、0.00001~0.1質量%であること。
〔3〕洗口剤又はマウススプレーである、〔1〕又は〔2〕に記載の口腔用組成物。
〔4〕(A)湿潤剤、
(B)水溶性高分子
(C)N-(2-ヒドロキシ-2-フェニルエチル)-2-イソプロピル-5,5-ジメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド
を含有し、
(A)成分の含有量が25~70質量%であり、
非液体である口腔用組成物。
〔5〕以下の少なくともいずれかを満たす、〔4〕に記載の口腔用組成物:
(B)成分の含有量が、0.1~3質量%であること;及び
(C)成分の含有量が、0.00001~0.1質量%であること。
〔6〕練歯磨剤、ジェル歯磨剤、粉歯磨剤、シート状歯磨剤、又は固形歯磨剤である、〔4〕又は〔5〕に記載の口腔用組成物。
〔7〕(A)成分が、糖アルコール、2~3価の多価アルコール、及びポリグリセリンからなる群より選ばれる1種以上である、〔1〕~〔6〕のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
〔8〕(B)成分が、多糖類、ポリグルタミン酸又はその塩、及びアクリル酸系ポリマーからなる群より選ばれる1種以上である、〔1〕~〔7〕記載のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、使用中にまろやかさが感じられ、起泡性もよく、かつ、使用後のべたつき感が抑制され、すっきりとした使用感を有する口腔用組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0008】
〔口腔用組成物の剤形〕
本発明の口腔用組成物は、液体口腔用組成物か、若しくは、非液体口腔用組成物である。本明細書において液体口腔用組成物とは、常温(20℃)で液体状である口腔用組成物であり、例えば、洗口剤、マウススプレー(スプレー剤)、液体歯磨、泡状歯磨、液状の塗布剤が挙げられ、洗口剤、マウススプレーが好ましい。本明細書において、非液体口腔用組成物とは、液体口腔用組成物以外の(非液体状)口腔用組成物を意味し、通常は、常温で保型性を有する半固体または固体状(例えば、ペースト状、ジェル状、粒状、錠剤)である。非液体口腔用組成物としては、例えば、液体歯磨以外の歯磨剤(例えば、練歯磨剤、潤製歯磨剤、ジェル状歯磨剤等)、非液体状の塗布剤(軟膏剤等)、貼付剤、口腔内溶解剤(錠剤、フィルム剤等)、又は口腔内崩壊剤(錠剤等)等が挙げられる。
【0009】
本発明の口腔用組成物は、下記(A)~(C)成分を含有する。
【0010】
[(A)成分]
(A)成分は、湿潤剤である。(A)成分を含むことにより、使用中にまろやかさを感じさせることができる。
【0011】
湿潤剤としては、例えば、糖アルコール、糖アルコール以外の多価アルコールが挙げられ、糖アルコール、2~3価の多価アルコール、ジグリセリン、ポリグリセリンが好ましい。糖アルコールとしては、例えば、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マンニトール、還元澱粉糖化物、マルチトール、ラクチトールが挙げられる。2~3価の多価アルコールとしては、例えば、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコールが挙げられる。ポリエチレングリコールの平均重合度は、通常、200~1500、好ましくは200~1000である。ポリエチレングリコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール600、ポリエチレングリコール1000が挙げられる。ポリグリセリンの平均重合度は、通常、3~20、好ましくは3~10である。ポリグリセリンとしては、例えば、ポリグリセリン-3、ポリグリセリン-4、ポリグリセリン-6、ポリグリセリン-10が挙げられる。本明細書において、ポリエチレングリコールの平均分子量は、通常、医薬部外品原料規格2006記載の平均分子量である。また、ポリグリセリンの平均重合度は、通常、水酸基価から以下の式(1)により算出される重合度である。
[式(1)]
平均重合度=(112.2×103-18×水酸基価)/(74×水酸基価-56.1×103)
式(1)中の水酸基価は「基準油脂分析試験法」(日本油化学会制定)に準拠し測定できる。
(A)成分は、湿潤剤1種でも2種以上の組み合わせでもよい。
【0012】
(A)成分の含有量は、口腔用組成物全体(100質量%)に対し、液体剤形の場合、好ましくは1質量%以上が好ましく、非液体の剤形の場合、25質量%以上である。これにより、使用中のまろやかさをより感じることができる。上限は、液体の剤形の場合、好ましくは50質量%以下であり、より好ましくは40質量%以下であり、特に好ましくは20質量%以下である。非液体剤型の場合、好ましくは70質量%以下であり、より好ましくは、60質量%以下である。これにより、べたつきの発生による香味発現の低下を抑制できる。従って、(A)成分の含有量は、非液体の剤形の場合、好ましくは、25~70質量%、より好ましくは、25~60質量%、液体の剤形の場合、好ましくは1~50質量%、より好ましくは1~40質量%、特に好ましくは1~20質量%である。
【0013】
[(B)成分]
(B)成分は、水溶性高分子である。(B)成分を含有させることで、使用中にまろやかさを感じさせることができる。また、非液体の剤形の場合にはさらに、泡量が適度となるように調整できる。
【0014】
水溶性高分子としては、例えば、多糖類、ポリグルタミン酸又はその塩、アクリル酸系ポリマー等が挙げられる。多糖類としては、例えば、アルギン酸もしくはそのエステルまたは塩、カラギーナン、グアガム、キサンタンガム、トラガントガム、カラヤガム、アラビヤガム、ローカストビーンガム、ゼラチン、ジェランガム、ヒアルロン酸またはその塩、水溶性セルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カチオン化セルロース)、アルギン酸プロピレングリコール等が挙げられる。アクリル酸系ポリマーとしては、例えば、ポリアクリル酸塩、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキルコポリマー等が挙げられる。他の水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。中でも、多糖類、ポリグルタミン酸又はその塩、アクリル酸系ポリマーが好ましい。上記各塩としては、例えばアルカリ金属塩が挙げられ、好ましくはナトリウム塩である。アルギン酸エステルとしては、例えば、アルギン酸プロピレングリコールエステルが挙げられる。(B)成分は、水溶性高分子1種単独でもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
【0015】
(B)成分の含有量は、液体又は非液体口腔用組成物全体(100質量%)に対し、通常、0.01質量%以上、好ましくは、0.1質量%以上である。これにより、使用中のまろやかさをより感じることができる。更に非液体の剤形の場合、より好ましくは0.5質量%以上である。これにより、非液体の剤形(例えば、歯磨剤形)の場合、泡の量がより適切となり得る。上限は、口腔用組成物全体(100質量%)に対し、通常、3質量%以下であり、非液体の剤形の場合、より好ましくは、2.5質量%以下であり、液体の剤形の場合、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下である。これにより、べたつきの発生による香味発現の低下を抑制できる。従って、(B)成分の含有量は、口腔用組成物全体(100質量%)に対し、通常、0.01~3質量%であり、非液体剤形の場合、好ましくは、0.1~3質量%、より好ましくは、0.5~2.5質量%であり、液体の剤形の場合、好ましくは0.01~1質量%、より好ましくは0.1~0.5質量%である。
【0016】
[(C)成分]
(C)成分は、N-(2-ヒドロキシ-2-フェニルエチル)-2-イソプロピル-5,5-ジメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミドである。(C)成分を含有することにより、使用後のべたつき感の改善効果が高く、すっきり感を得ることができる。
【0017】
(C)成分の含有量は、口腔用組成物全体(100質量%)に対し、好ましくは0.00001質量%以上、より好ましくは、0.00005質量%以上である。これにより、べたつき感の改善効果がより発揮される。上限は、好ましくは、0.1質量%以下、より好ましくは、0.005質量%以下である。これにより、刺激が強くなり過ぎることによる後味の悪化を抑制できる。従って、(C)成分の含有量は、好ましくは、0.00001~0.1質量%、より好ましくは、0.00005~0.005質量%である。
【0018】
[任意成分]
口腔用組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、既に説明した(A)~(C)成分以外の任意成分を含有していてもよい。
【0019】
任意成分としては、例えば、研磨剤、界面活性剤、甘味剤、香料、薬効成分、油性成分、研磨剤、防腐剤、湿潤剤、粘結剤、pH調整剤、着色剤(色素)、溶媒が挙げられる。以下、具体的に説明する。
【0020】
-研磨剤-
研磨剤としては、無機研磨剤及び有機研磨剤のいずれでもよい。無機研磨剤としては、例えば、無水ケイ酸、結晶性シリカ、非晶性シリカ、シリカゲル、アルミノシリケート、ジルコノシリケート、ゼオライト、沈降性シリカ、チタン結合性シリカ等のシリカ系研磨剤;リン酸水素カルシウム無水和物、リン酸水素カルシウム2水和物、第1リン酸カルシウム、第3リン酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、不溶性メタリン酸カルシウム、第3リン酸カルシウム、第4リン酸カルシウム、第8リン酸カルシウム等のリン酸カルシウム;炭酸カルシウム(軽質、重質)、水酸化カルシウム、硫酸カルシウム等のカルシウム塩;炭酸水素ナトリウム;水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、アルミナ等のアルミニウム系研磨剤;炭酸マグネシウム、第3リン酸マグネシウムのマグネシウム塩;ハイドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、カルシウム欠損アパタイト等のアパタイト類;ベントナイト;二酸化チタンが挙げられる。有機研磨剤としては、例えば、合成樹脂系研磨剤、ポリメチルメタアクリレートが挙げられる。中でも、無機研磨剤が好ましく、シリカ系研磨剤及びアルミニウム系研磨剤がより好ましく、無水ケイ酸、酸化アルミニウム、がより好ましい。
研磨剤の含有量は、歯磨剤口腔用組成物全体(100質量%)に対し、通常、70質量%以下、好ましくは50質量%以下、より好ましくは8~50質量%である。
【0021】
-界面活性剤-
界面活性剤としては、例えば、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。
【0022】
アニオン界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸塩、アシルアミノ酸塩、アシルタウリン塩、α-オレフィンスルホン酸塩、水素添加ココナッツ脂肪酸モノグリセリドモノ硫酸塩、ラウリルスルホ酢酸塩が挙げられる。アルキル基、アシル基は直鎖及び分岐鎖のいずれでもよく、飽和及び不飽和のいずれでもよく、その炭素原子数は通常10~20であり、好ましくは12~18であり、より好ましくは12~14である。塩は、薬理学的に許容される塩から選択され得る。薬理学的に許容される塩としては、例えば、塩基付加塩及びアミノ酸塩が挙げられる。その具体例としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩等の無機塩基塩;トリエチルアンモニウム塩、トリエタノールアンモニウム塩、ピリジニウム塩、ジイソプロピルアンモニウム塩等の有機塩基塩;アルギニン塩等の塩基性アミノ酸塩が挙げられる。中でも、無機塩基塩が好ましく、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩)又はアンモニウム塩がより好ましく、ナトリウム塩がさらに好ましい。
【0023】
アルキル硫酸塩としては、例えば、ラウリル硫酸塩(ラウリル硫酸ナトリウム)、ミリストイル硫酸塩が挙げられる。アシルアミノ酸塩としては、例えば、ラウロイルサルコシン塩、ミリストイルサルコシン塩等のアシルサルコシン塩;ラウロイルグルタミン酸塩、ミリストイルグルタミン酸塩、パルミトイルグルタミン酸塩等のアシルグルタミン酸塩;N-ラウロイル-N-メチルグリシン塩、ココイルグリシン塩等のアシルグリシン塩;N-ラウロイル-β-アラニン塩、N-ミリスチル-β-アラニン塩、N-ココイル-β-アラニン塩、N-ラウロイル-N-メチル-β-アラニン塩、N-ミリストイル-N-メチル-β-アラニン塩、N-メチル-N-アシルアラニン塩等のアシルアラニン塩;ラウロイルアスパラギン酸塩等のアシルアスパラギン酸塩が挙げられる。アシルタウリン塩としては、例えば、ラウロイルメチルタウリン塩、N-メチル-N-アシルタウリン塩、N-ココイルメチルタウリン塩が挙げられる。α-オレフィンスルホン酸塩としては、テトラデセンスルホン酸塩等の炭素原子数12~18のα-オレフィンスルホン酸塩が挙げられる。アニオン界面活性剤の他の例としては、水素添加ココナッツ脂肪酸モノグリセリドモノ硫酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウムが挙げられる。
【0024】
アニオン界面活性剤は、泡立ち、泡質の良さの点で、スルホン酸基を含有することが好ましく、アルキル硫酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩がより好ましい。
【0025】
ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート)、アルキロールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル(例、マルトース脂肪酸エステル)、糖アルコール脂肪酸エステル(例、マルチトール脂肪酸エステル、ラクチトール脂肪酸エステル)、脂肪酸ジエタノールアミド(例、ラウリル酸モノ又はジエタノールアミド)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン脂肪酸エステルが挙げられる。ポリオキシエチレンアルキルエーテルのアルキル鎖の炭素原子数は、通常、14~18であり、エチレンオキサイド平均付加モル数は、通常、5~30モルである。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油のエチレンオキサイド平均付加モル数は、通常20~100モル、好ましくは20~60モルである。ソルビタン脂肪酸エステルの脂肪酸の炭素原子数は、通常12~18である。ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの脂肪酸の炭素原子数は、通常16~18であり、エチレンオキサイド平均付加モル数は、通常10~40モルである。アルキロールアミドのアルキル鎖の炭素原子数は、通常12~14である。ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましい。
【0026】
両性界面活性剤としては、例えば、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン(例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン)、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン(例えば、コカミドプロピルベタイン)等のベタイン型両性界面活性剤;N-脂肪酸アシル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルエチレンジアミン塩(例えば、N-ヤシ油脂肪酸アシル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン)、ヤシ油脂肪酸イミダゾリニウムベタイン、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等のイミダゾリン型両性界面活性剤;ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタインが挙げられる。
【0027】
界面活性剤の含有量は、口腔用組成物全体(100質量%)に対し、好ましくは0.1~5質量%、より好ましくは0.5~3質量%である。
【0028】
-薬用成分-
薬用成分としては、例えば、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、イソプロピルメチルフェノール、グルコン酸亜鉛、クエン酸亜鉛、トリクロサン、チモール、ヒノキチオール、塩化リゾチーム等の殺菌又は抗菌剤;デキストラナーゼ、ムタナーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、リテックエンザイム等の酵素;フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化スズ等のフッ化物;ε-アミノカプロン酸、アラントイン、トラネキサム酸、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、アズレン、ジヒドロコレステロールグリチルリチン酸塩(例えば、グリチルリチン2カリウム塩)、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸誘導体(例えば、グリチルレチン酸ステアリル)等の抗炎症剤;亜鉛塩、銅塩、スズ塩等の金属塩;縮合リン酸塩、エタンヒドロキシジホスフォネート等の歯石予防剤;ビタミンE(例えば、酢酸トコフェロール)等の血流促進剤;硝酸カリウム、乳酸アルミニウム、塩化ストロンチウム等の知覚過敏抑制剤;ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド等のコーティング剤;ビタミンC(例えば、アスコルビン酸またはその塩)、塩化リゾチーム等の収斂剤;銅クロロフィル、グルコン酸銅等の水溶性銅化合物;歯石予防剤、アラニン、グリシン、プロリン等のアミノ酸類、タイム、オウゴン、チョウジ、ハマメリス等の植物エキス;カロペプタイド、ポリビニルピロリドンを挙げることができる。薬用成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記薬用成分の含有量は、常法に従って有効量を適宜設定できる。
【0029】
-香料-
組成物が香料を含むことにより、使用感をより向上させることができる。香料としては、例えば、ペパーミント油、スペアミント油、和種ハッカ油、アニス油、カシア油、ユーカリ油、ウィンターグリーン油、マスチック油、ネロリ油(オレンジフラワー油)、レモングラス油、ジャスミン油、ローズ油、イリス油、クローブ油、タイム油、セージ油、カルダモン油、ローズマリー油、ローレル油、カモミル油、キャラウェイ油、バジル油、マジョラム油、レモン油、オレンジ油、ライム油、グレープフルーツ油、マンダリン油、柚子油、ナツメグ油、ラベンダー油、パラクレス油、バニラ油、桂皮油、ピメント油、桂葉油、シソ油、冬緑油、コリアンダー油等の天然精油;メントール、カルボン、シンナミックアルデヒド、p-メトキシシンナミックアルデヒド、アネトール、1,8-シネオール、メチルサリシレート、オイゲノール、チモール、リナロール、リモネン、メントン、メンチルアセテート、シトラール、デカナール、カンファー、ボルネオール、ピネン、スピラントール、n-デシルアルコール、シトロネロール、α-テルピネオール、シトロネリルアセテート、シネオール、エチルリナロール、ワニリン等の上記天然精油中に含まれる香料成分;エチルアセテート、エチルブチレート、イソアミルアセテート、ヘキサナール、ヘキセナール、シス-3-ヘキセノール、トランス-2-ヘキセナール、メチルアンスラニレート、エチルメチルフェニルグリシデート、ベンズアルデヒド、バニリン、エチルバニリン、フラネオール、メンソフラン、ウンデカラクトン、デカラクトン、リナロールオキサイド、バニリルブチルエーテル、ヘキシルアセテート、エチル-2-メチルブチレート、ベンジルアルコール、リナリルアセテート、フェニルエチルグリシデート、フェニルエチルアルコール、アリルヘキサノエート、オクタノール、メチルシンナメート、メチルヘプチンカーボネート、ヨノン、エチル-β-メチルチオプロピオネート、シス-6-ノネノール、キャローン、メチルジャスモネート、マルトール、エチルマルトール、フラネオール、エチルシクロペンテノロン、3-ヒドロキシ-4,5-ジメチルフラン-2-オン、シクロテン、2-メチルブチリックアシッド、アセチックアシッド、プロピオニックアシッド等の香料成分;トウガラシ抽出物、ジンジャー抽出物、ペッパー抽出物等の植物抽出物及びいくつかの香料成分や天然精油を組み合わせてなるミント系、フルーツ系、ハーブ系等の各種調合フレーバーが挙げられる。香料としては、上記例示の香料を1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0030】
-甘味剤-
組成物が甘味剤を含むことにより、使用感をより向上させることができる。甘味剤としては、例えば、サッカリン、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、ステビオサイド、ステビアエキス、パラメトキシシンナミックアルデヒド、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、ペリラルチン、グリチルリチン、ソーマチン、アスパラチルフェニルアラニンメチルエステル等が挙げられる。甘味剤としては、上記例示の甘味剤を1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0031】
-油性成分-
油性成分としては、例えば、スクワラン、流動パラフィン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類;高級アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール等の炭素原子数8~22のアルコール);高級脂肪酸(例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、イソステアリン酸等の炭素原子数8~22の脂肪酸)、オリーブ油、ひまし油、やし油等の植物油;ミリスチン酸イソプロピル等の脂肪酸エステルが挙げられる。
【0032】
-防腐剤-
組成物が防腐剤を含むことにより、製剤の防腐力を確保できる。防腐剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸エステル(例えば、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチル)、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。防腐剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0033】
-粘結剤-
組成物が任意の粘結剤を含むことにより、粘度を最適化でき、保形性、使用感をより向上させることができる。任意の粘結剤としては、水溶性高分子以外の粘結剤、例えば、増粘性シリカ、ケイ酸アルミニウム、モンモリロナイト等の無機粘結剤が挙げられる。任意の粘結剤の含有量は、口腔用組成物全体(100質量%)に対し、0~10質量%が好ましく、1~8質量%がより好ましい。
【0034】
-pH調整剤-
組成物がpH調整剤を含むことにより、製剤のpH安定性を確保できる。pH調整剤としては、例えば、フタル酸、クエン酸、コハク酸、酢酸、フマル酸、リンゴ酸、及び乳酸等の有機酸又はそれらの塩(クエン酸ナトリウム)、リン酸(オルトリン酸)等の無機酸又はそれらの塩(例えば、カリウム塩、ナトリウム塩及びアンモニウム塩)、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化物が挙げられる。
【0035】
pH調整剤の含有量は、通常、添加後の口腔用組成物のpHが5~9、好ましくは6~8.5となる量とすることができる。
【0036】
本明細書において、pH値は、通常、測定開始から25℃、3分後の値をいう。pH値は、例えば、東亜電波工業社製のpHメーター(型番Hm-30S)を用いて測定することができる。
【0037】
-着色剤-
着色剤としては例えば、ベニバナ赤色素、クチナシ黄色素、クチナシ青色素、シソ色素、紅麹色素、赤キャベツ色素、ニンジン色素、ハイビスカス色素、カカオ色素、スピルリナ青色素、タマリンド色素等の天然色素や、赤色2号、赤色3号、赤色104号、赤色105号、赤色106号、赤色227号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号等の法定色素、リボフラビン、銅クロロフィンナトリウム、二酸化チタン等が挙げられる。口腔用組成物が着色剤を含む場合、その含有量は、口腔用組成物の全体に対し0.00001~3質量%とすることが好ましい。
【0038】
-溶媒-
溶媒としては、例えば、水(精製水)、エタノールが挙げられる。溶媒は1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。溶剤の含有量は、組成物全量に対し、通常1~90質量%、好ましくは15~80質量%、より好ましくは20~60質量%であり、液体か、又は非液体か、に応じて適宜定めることができる。混合溶剤の場合、エタノールの添加量は、通常組成物中1~30質量%、好ましくは1~20質量%である。
【0039】
-他の任意成分-
上記以外の任意成分の例としては、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ウレタン、シリコン、天然ゴムが挙げられる。これら他の任意成分の含有量は、本発明の効果を妨げない範囲で適宜設定できる。
【0040】
〔組成物の製造方法〕
口腔用組成物の製造方法は特に限定されず、剤形に応じて、それぞれの通常の方法で調製され得る。
液体口腔用組成物の製造方法としては、精製水等の溶媒中に原料成分を順次加えて攪拌し、均一に溶解して製造する方法が挙げられる。調製後、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ガラス、ポリプロピレン、ポリエチレン等の収容容器に収容できる。香料の吸着抑制の観点から、収容容器は、PET又はガラス製収容容器が好ましい。
練歯磨剤等の非液体口腔用組成物の製造方法としては、溶媒に溶解する成分を調製した後、それ以外の不溶性成分を混合し、必要に応じて脱泡(例えば、減圧等)を行う方法が挙げられる。得られる練歯磨は、容器に収容して製品とすることができる。容器は、形状、材質は特に制限されず、通常の歯磨剤組成物に使用される容器を使用でき、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロンなどのプラスチック製のラミネートチューブ等の容器等が挙げられる。
【実施例
【0041】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、各例中の%はいずれも質量百分率である。
【0042】
実施例1-1~1-26及び比較例1-1~1-4(洗口剤)、並びに実施例2-1~2-25及び比較例2-1~2-4(練歯磨剤)
表1~9に示す組成の口腔用組成物(表1~5:洗口剤;表6~9:練歯磨剤)を常法によって調製した。練歯磨剤は、通常の口腔用製剤容器(ラミネートチューブ)に収容した。これらをサンプルとして用い、下記に示す方法で評価した。結果を表1~9に併記した。
【0043】
[使用した原料]
-(A)成分-
ソルビット液(70%):(三菱商事ライフサイエンス(株)製)
プロピレングリコール:((株)ADEKA製)
グリセリン:(阪本薬品工業(株)製)
ポリエチレングリコール:(三洋化成工業(株)製、ポリエチレングリコール400)
1,3-ブチレングリコール:(高級アルコール工業(株)製)
【0044】
-(B)成分-
キサンタンガム:(DSP五協フード&ケミカル(株)製)
ポリアクリル酸ナトリウム:(東亞合成(株)製、レオジック(登録商標)250H)
カルボキシメチルセルロースナトリウム:(ダイセルファインケム(株)製、CMC1260)
カラギーナン:(CPケルコジャパン(株)製)
アルギン酸ナトリウム:((株)キミカ製)
ヒアルロン酸ナトリウム:(ヒアルロンサンHA‐LQ、ヒアルロンサン HA-LQH、キユーピー(株)製)
【0045】
-(C)成分及びその代替成分-
N-(2‐ヒドロキシ-2-フェニルエチル)-2-イソプロピル-5、5-ジメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド:(高砂香料工業(株)製、Coolact(登録商標)370)
N-エチル-p-メンタン-3-カルボキサミド:(WS-3、シムライズジャパン(株)製)
【0046】
-(A)~(C)成分以外の成分-
クエン酸:(扶桑化学工業(株)製)
クエン酸ナトリウム:(扶桑化学工業(株)製)
サッカリンナトリウム:(愛三化学工業(株)製)
増粘性シリカ:(Carplex(登録商標)#67、DSLジャパン(株)製)
研磨性シリカ:(Tixosil(登録商標)73、Solvay製)
フッ化ナトリウム:(ステラケミファ(株)製)
ラウリル硫酸ナトリウム:(BASFジャパン(株)製)
香料A:後段に記載
上記以外の成分については医薬部外品原料規格2006に適合した原料を用いた。
【0047】
[洗口剤の評価方法]
洗口剤20mLを口に含み、30秒間すすいだ後、使用中のまろやかさ、使用後のべたつき、使用後の刺激、香味発現のよさについて、それぞれ下記評点基準により5段階で評価した。4名の平均点を算出し、下記の判定基準に従い、◎、○、×(使用中のまろやかさは◎、○、△、×)で示した。
【0048】
<使用中のまろやかさ>
評点基準
5:非常に感じる
4:感じる
3:やや感じる
2:あまり感じない
1:非常に感じない
評価基準
◎:4点以上
○:3点以上4点未満
△:2点以上3点未満
×:1点以上2点未満
【0049】
<使用後のべたつき>
評点基準
5:全く感じない
4:ほとんど感じない
3:あまり感じない
2:やや感じる
1:非常に感じる
評価基準
◎:4点以上
○:3点以上4点未満
×:3点未満
【0050】
<香味発現のよさ>
評点基準
5:非常によい
4:よい
3:ややよい
2:あまりよくない
1:よくない
評価基準
◎:4点以上
○:3点以上4点未満
×:3点未満
【0051】
<使用後の刺激>
評点基準
5:全く感じない
4:ほとんど感じない
3:あまり感じない
2:やや感じる
1:非常に感じる
評価基準
◎:4点以上
○:3点以上4点未満
×:3点未満
【0052】
[歯磨剤組成物の評価方法]
歯磨剤組成物1gを歯ブラシ(クリニカアドバンテージハブラシ、4列コンパクトふつうタイプ、ライオン(株)製)に載せ、通常の方法でブラッシングし水で1回すすいだ。ブラッシング中の泡量、まろやかさ、刺激、香味発現のよさ、すすぎ後のべたつき感の有無について、下記に示す評点基準によって、5段階で評価した。試験者4名の平均点を算出し、次の評価基準に従って、◎、○、×で表に示した。
【0053】
<泡量>
評点基準
5:非常によい
4:よい
3:ややよい
2:あまりよくない
1:よくない
評価基準
◎:4点以上
○:3点以上4点未満
×:3点未満
【0054】
<使用中のまろやかさ>
評点基準
5:非常に感じる
4:感じる
3:やや感じる
2:あまり感じない
1:非常に感じない
評価基準
◎:4点以上
○:3点以上4点未満
×:3点未満
【0055】
<使用後のべたつき>
評点基準
5:全く感じない
4:ほとんど感じない
3:あまり感じない
2:やや感じる
1:非常に感じる
評価基準
◎:4点以上
○:3点以上4点未満
×:3点未満
【0056】
<香味発現のよさ>
評点基準
5:非常によい
4:よい
3:ややよい
2:あまりよくない
1:よくない
評価基準
◎:4点以上
○:3点以上4点未満
×:3点未満
【0057】
<使用後の刺激>
評点基準
5:全く感じない
4:ほとんど感じない
3:あまり感じない
2:やや感じる
1:非常に感じる
評価基準
◎:4点以上
○:3点以上4点未満
×:3点未満
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
【表3】
【0061】
【表4】
【0062】
【表5】
【0063】
【表6】
【0064】
【表7】
【0065】
【表8】
【0066】
【表9】
【0067】
〔表の脚注〕
*香料Aの組成は、下記表に示すとおりである。なお、上記実施例において、下記香料Aに代えて、表の香料B~Hのいずれかを用いても、上記と同様の結果が得られた。
【0068】
【表10】
【0069】
【表11】
【0070】
表10及び11中のフレーバー1~7及び溶剤の組成を以下に示す。
【0071】
-フレーバー1-
質量部
リナロール 1
メンソフラン 1
アネトール 1
メントン 1
メンチルアセテート 1
合計 5
【0072】
-フレーバー2-
質量部
オレンジ油 1
オレンジ精製油(前流部80%カット) 1
レモン油 1
レモン精製油(前流部95%カット) 1
ライム油 1
グレープフルーツ油 1
マンダリン油 1
柚子油 1
シトラール 1
デカナール 1
合計 10
【0073】
-フレーバー3-
質量部
アニス油 1
ユーカリ油 1
カシア油 1
クローブ油 1
タイム油 1
セージ油 1
カルダモン油 1
コリアンダー油 1
ローズマリー油 1
ローレル油 1
カモミル油 1
キャラウェイ油 1
バジル油 1
合計 13
【0074】
-フレーバー4-
質量部
ウィンターグリーン油 1
マスチック油 1
ラベンダー油 1
ネロリ油(オレンジフラワー油) 1
レモングラス油 1
ジャスミン油 1
ローズ油 1
イリス油 1
バニラ油 1
合計 9
【0075】
-フレーバー5-
質量部
スピラントール 1
リナロールオキサイド 1
バニリルブチルエーテル 1
トウガラシ抽出物 1
ジンジャー抽出物 1
ペッパー抽出物 1
合計 6
【0076】
-フレーバー6-
質量部
マルトール 1
エチルマルトール 1
バニリン 1
エチルバニリン 1
フラネオール 1
エチルシクロペンテノロン 1
3-ヒドロキシ-4,5-ジメチルフラン-2-オン 1
シクロテン 1
2-メチルブチリックアシッド 1
アセチックアシッド 1
プロピオニックアシッド 1
合計 11
【0077】
-フレーバー7-
質量部
p-メトキシシンナミックアルデヒド 1
シス-3-ヘキセノール 1
トランス-2-ヘキセナール 1
ウンデカラクトン 1
デカラクトン 1
エチルブチレート 1
イソアミルアセテート 1
ベンズアルデヒド 1
ヘキシルアセテート 1
エチル-2-メチルブチレート 1
ベンジルアルコール 1
α-テルピネオール 1
リナリルアセテート 1
フェニルエチルグリシデート 1
フェニルエチルアルコール 1
アリルヘキサノエート 1
オクタノール 1
メチルシンナメート 1
メチルヘプチンカーボネート 1
ヨノン 1
エチル-β-メチルチオプロピオネート 1
シス-6-ノネノール 1
キャローン 1
メチルジャスモネート 1
合計 24
【0078】
-溶剤-
質量部
プロピレングリコール 1
グリセリン脂肪酸エステル 1
トリアセチン 1
エタノール 1
合計 4
【0079】
洗口剤の表1~5からは、以下のことが分かる。(A)成分を含有しない比較例1-1では、まろやかさの評価が低く及び(B)成分を含有しない比較例1-2でも、まろやかさは不十分であった。一方、(C)成分を含有しない比較例1-3及び(C)成分の代わりに他の冷感剤を含有する比較例1-4では、使用後のべたつきが感じられた。これに対し、(A)~(C)成分を含有する実施例1-1~1-26では、泡量、まろやかさ、べたつきのいずれの評価もバランスよく良好であり、香味が良好に発現し、使用後の刺激感も抑制されていた。
【0080】
歯磨剤の表6~9からは、以下のことが分かる。(A)成分を含有しない比較例2-1では、まろやかさの評価が低く、(B)成分を含有しない比較例2-2では、泡量が少なく、(C)成分を含有しない比較例2-3及び(C)成分の代わりに他の冷感剤を含有する比較例2-4では、使用後のべたつきが感じられた。これに対し、(A)~(C)成分を含有する実施例2-1~2-25では、泡量、まろやかさ、べたつきのいずれの評価もバランスよく良好であり、香味が良好に発現し、使用後の刺激感も抑制されていた。
【0081】
これらの結果は、本発明の口腔用組成物が、べたつき感を抑制しつつ、まろやかさを発揮でき、かつ、非液体口腔用組成物においては、起泡性も良好であることを示している。