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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-11
(45)【発行日】2024-12-19
(54)【発明の名称】周辺装置、及び表示制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20241212BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
H04N1/00 127B
G03G21/00 388
G03G21/00 386
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021006082
(22)【出願日】2021-01-18
(65)【公開番号】P2022007943
(43)【公開日】2022-01-13
【審査請求日】2023-12-15
(31)【優先権主張番号】P 2020108324
(32)【優先日】2020-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 康隆
(72)【発明者】
【氏名】宮川 修
(72)【発明者】
【氏名】松尾 仁
(72)【発明者】
【氏名】七野 伸幸
【審査官】松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-170555(JP,A)
【文献】特開2009-015798(JP,A)
【文献】特開2015-155159(JP,A)
【文献】特開2010-187089(JP,A)
【文献】特開2008-294792(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00 - 1/64
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザ端末により共用される周辺装置であって、
前記周辺装置に対するユーザ端末の接続履歴を格納する履歴格納部と、
前記周辺装置の動作を指定する設定情報を前記ユーザ端末の識別情報に関連付けて格納する設定格納部と、
ユーザ端末に対する通信の可否を判定する接続判定部と、
前記履歴格納部に格納されている接続履歴と、前記接続判定部による判定結果とに基づいて、前記設定格納部に格納されている設定情報、又は、ユーザ端末の識別情報を選択する選択部と
前記選択部により選択された設定情報又は識別情報を表示装置に表示させる表示制御部と、
を有する周辺装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記選択部により選択された設定情報又はユーザ端末の識別情報を前記表示装置に表示させ、他のユーザ端末に関する情報を非表示とす
求項1に記載の周辺装置。
【請求項3】
前記選択部は、前記周辺装置の起動時に、前記履歴格納部に格納されている接続履歴に基づいて、前記周辺装置に対して最後に接続したユーザ端末の、設定情報又は識別情報を選択し、
前記表示制御部は、前記周辺装置の起動時に、最後に接続したユーザ端末の設定情報又は識別情報を前記表示装置に表示させる
請求項2に記載の周辺装置。
【請求項4】
前記周辺装置を使用するユーザ端末の切替操作を検知する切替検知部
をさらに有し、
前記表示制御部は、前記切替検知部により切替操作が検知された場合に、複数のユーザ端末の識別情報を選択肢として前記表示装置に表示させ、選択されたユーザ端末の設定情報を前記表示装置に表示させる
請求項に記載の周辺装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記切替検知部により切替操作が検知された場合に、前記履歴格納部に格納されているユーザ端末の識別情報を切り替えの選択肢として表示させる
請求項に記載の周辺装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、切り替えの選択肢を、接続履歴の順に配列して表示させる
請求項に記載の周辺装置。
【請求項7】
複数のユーザ端末により共用される周辺装置の表示制御方法であって、
前記周辺装置に対するユーザ端末の接続履歴を格納する履歴格納ステップと、
前記周辺装置の動作を指定する設定情報を前記ユーザ端末の識別情報に関連付けて格納する設定格納ステップと、
ユーザ端末に対する通信の可否を判定する接続判定ステップと、
前記履歴格納ステップにより格納された接続履歴と、前記接続判定ステップによる判定結果とに基づいて、前記設定格納ステップにより格納された設定情報、又は、ユーザ端末の識別情報を選択する選択ステップと、
前記選択ステップにより選択された設定情報又は識別情報を表示する表示ステップと
を有する周辺装置の表示制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周辺装置及び表示制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1及び特許文献2には、複数のPCを示す識別情報を表示部810に表示すると共に、表示された複数の識別情報の中からスキャン設定特定情報を表示部820に選択可能に表示する表示手段と、選択されたスキャン設定特定情報にてスキャンを実行するように要求する要求手段と、要求に応じて選択されたスキャン設定特定情報によって特定されたスキャン設定を含んだスキャン指示を受信する受信手段と、受信に応じてスキャン設定に従って画像の読取処理を実行させる読取制御手段と、読み取られた原稿の画像データをPCに送信する送信手段とを備える画像処理装置が開示されている。
また、特許文献3には、入力されたデータを保存する保存先を選択するための情報を表示する場合に、各保存先の優先度を決定し、決定した優先度に基づいて、それぞれの保存先を示す情報を表示することができるデータ処理装置が開示されている。
また、特許文献4には、デジタルカメラ100に適用され、情報処理装置であるPC(パーソナルコンピュータ)101に無線接続する無線通信機能を有し、該PC101にUSBケーブルを介して接続して通信相手となるPC101を特定するためのペアリング情報を予め設定し、PC101との接続開始が指示されると、設定されたペアリング情報に基づいて、PC101との無線接続が可能な状態に遷移する画像入力装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-153536
【文献】特開2010-187089
【文献】特開2007-329663
【文献】特開2006-067231
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
閲覧性又は操作性に優れたユーザインタフェースを備えた周辺装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る周辺装置は、複数のユーザ端末により共用される周辺装置であって、前記周辺装置に対するユーザ端末の接続履歴を格納する履歴格納部と、前記周辺装置の動作を指定する設定情報を前記ユーザ端末の識別情報に関連付けて格納する設定格納部と、前記履歴格納部に格納されている接続履歴に基づいて、前記設定格納部に格納されている設定情報、又は、ユーザ端末の識別情報を選択する選択部とを有する。
【0006】
好適には、表示装置と、前記選択部により選択された設定情報又はユーザ端末の識別情報を前記表示装置に表示させ、他のユーザ端末に関する情報を非表示とする表示制御部とをさらに有する。
【0007】
好適には、前記選択部は、前記周辺装置の起動時に、前記履歴格納部に格納されている接続履歴に基づいて、前記周辺装置に対して最後に接続したユーザ端末の、設定情報又は識別情報を選択し、前記表示制御部は、前記周辺装置の起動時に、最後に接続したユーザ端末の設定情報又は識別情報を前記表示装置に表示させる。
【0008】
好適には、ユーザ端末に対する接続の可否を判定する接続判定部をさらに有し、前記選択部は、前記履歴格納部に格納されている接続履歴と、前記接続判定部による判定結果とに基づいて、ユーザ端末の設定情報又は識別情報を選択する。
【0009】
好適には、前記周辺装置を使用するユーザ端末の切替操作を検知する切替検知部をさらに有し、前記表示制御部は、前記切替検知部により切替操作が検知された場合に、複数のユーザ端末の識別情報を選択肢として前記表示装置に表示させ、選択されたユーザ端末の設定情報を前記表示装置に表示させる。
好適には、前記表示制御部は、前記切替検知部により切替操作が検知された場合に、前記履歴格納部に格納されているユーザ端末の識別情報を切り替えの選択肢として表示させる。
好適には、前記表示制御部は、切り替えの選択肢を、接続履歴の順に配列して表示させる。
【0010】
また、本発明に係る周辺装置は、複数のユーザ端末により共用される周辺装置であって、あるユーザに対する前記周辺装置の占有状態を設定する占有制御部と、前記ユーザの、前記周辺装置に関する設定情報を取得する設定情報取得部と、前記設定情報取得部により取得された設定情報を表示する表示部とを有する。
【0011】
好適には、前記占有制御部により前記周辺装置の占有状態が解除された場合に、前記設定情報取得部により取得された設定情報を消去する設定情報消去部をさらに有する。
好適には、前記設定情報取得部は、前記占有制御部により他のユーザに占有状態を切り替えた時に、新たなユーザの設定情報を取得し、前記設定情報消去部は、前記占有制御部により他のユーザに占有状態を切り替える時に、元のユーザの設定情報を消去する。
【0012】
好適には、ユーザの設定情報を揮発性メモリのみに記録する第1の動作モードと、不揮発性メモリに記録する第2の動作モードとを切り替えるモード切替部をさらに有し、前記表示部は、前記モード切替部により前記第1の動作モードに設定されている場合に、前記設定情報取得部により取得された設定情報を表示する。
好適には、前記モード切替部により前記第1の動作モードに設定されている場合に、前記設定情報取得部は、前記ユーザ端末と接続する都度、設定情報を取得して前記揮発性メモリに記録し、前記表示部は、前記揮発性メモリに記録された設定情報を表示し、前記モード切替部により前記第2の動作モードに設定されている場合に、前記表示部は、前記不揮発性メモリに記録されている設定情報を表示する。
【0013】
また、本発明に係る表示制御方法は、複数のユーザ端末により共用される周辺装置の表示制御方法であって、前記周辺装置に対するユーザ端末の接続履歴を格納する履歴格納ステップと、前記周辺装置の動作を指定する設定情報を前記ユーザ端末の識別情報に関連付けて格納する設定格納ステップと、前記履歴格納ステップにより格納された接続履歴に基づいて、前記設定格納ステップにより格納された設定情報、又は、ユーザ端末の識別情報を選択する選択ステップと、前記選択ステップにより選択された設定情報又は識別情報を表示する表示ステップとを有する。
【発明の効果】
【0014】
閲覧性又は操作性に優れたユーザインタフェースを備えた周辺装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】スキャナ共有システム1の全体構成を例示する図である。
図2】スキャナ装置2のうち、制御部分のハードウェア構成を中心に例示する図である。
図3】ユーザ端末4のハードウェア構成を例示する図である。
図4】スキャナ装置2の機能構成を、占有制御及び表示制御の部分を中心に例示する図である。
図5】ユーザ端末4の機能構成を例示する図である。
図6】(A)は、スキャナ装置2の設定DB370に登録される情報を例示し、(B)は、プロファイルを例示し、(C)は、接続履歴DB372に登録される情報を例示する。
図7】ユーザ端末4による端末側接続処理(S10)を説明するフローチャートである。
図8】スキャナ装置2によるスキャナ側起動時処理(S20)を説明するフローチャートである。
図9】スキャナ装置2によるユーザの切替処理(S30)を説明するフローチャートである。
図10】検索通知を受信した場合のスキャナ装置2の処理(S40)を説明するフローチャートである。
図11】タッチパネル208の表示画面を例示する図である。
図12】スキャナ共有システム1におけるプロファイル作成時のシーケンス図(S50)である。
図13】スキャナ共有システム1におけるスキャン時のシーケンス図(S60)である。
図14】スキャナ共有システム1におけるユーザ端末切替時のシーケンス図(S70)である。
図15】変形例1におけるスキャナ装置2の機能構成を、占有制御及び表示制御の部分を中心に例示する図である。
図16】変形例1におけるスキャナ装置2のスキャナ側起動時処理(S22)を説明するフローチャートである。
図17】「接続中のユーザ」モードである場合の接続処理(S45)を説明するフローチャートである。
図18】変形例1における表示画面を例示する図である。
図19】「接続中のユーザ」モードが設定されている場合のプロファイル作成時のシーケンス図(S52)である。
図20】「接続中のユーザ」モードが設定されている場合のユーザ端末切替時のシーケンス図(S80)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、スキャナ共有システム1の全体構成を例示する図である。
図1に例示するように、スキャナ共有システム1は、スキャナ装置2と、複数のユーザ端末4とを含み、これらは互いにネットワーク7で接続している。
スキャナ装置2は、複数のユーザ端末4で共用される周辺装置の一例であり、原稿から画像を読み取る画像読取装置である。周辺装置は、スキャナ装置2に限定されるものではなく、例えば、ネットワーク7上で共有されるディスプレイ、プロジェクタ、又はスピーカーであってもよい。本例のスキャナ装置2は、タッチスクリーンなどの操作画面を搭載したネットワークスキャナである。
ユーザ端末4は、ユーザが使用するコンピュータ端末であり、例えば、ユーザの操作に応じて、スキャナ装置2と通信を行い、スキャナ装置2を制御する。
ネットワーク7は、例えば、LAN(Local Area Network)である。
【0017】
上記構成において、スキャナ装置2は、スキャン時の設定(保存先や保存形式、解像度など)を、ユーザ端末4にインストールされたドライバソフトウェアで作成・管理している。ユーザ端末4で作成したスキャン設定情報は、プロファイルと呼び、スキャナ装置2と同期して、スキャナ装置2の操作画面にも同じプロファイルが表示される。
一般的に、プロファイルは、スキャンする媒体(原稿、名刺、レシートなど)によって異なることが多いため、1ユーザにつき複数作成されることが多い。ユーザは、ドライバソフトウェアまたはスキャナ装置2の操作画面からスキャン原稿や保存先に合わせたプロファイルを選択し、スキャンボタンを押すことで、スキャナ装置2によるスキャンが開始される。原稿は、プロファイルに従った読み取り面・解像度などでスキャンされ、ユーザ端末4に送信される。ユーザ端末4では、ドライバソフトウェアがプロファイルの設定に従い、画像処理やタイトル抽出処理などを行い、その結果を保存する。
スキャナ装置2を複数のユーザ端末で共有している場合、スキャナ装置2の操作画面には全ユーザの全プロファイルが表示され、操作画面が混雑する場合がある。スキャン時は、操作画面から自分が作成したプロファイルを選択してスキャンするが、その際、誤って別のユーザのプロファイルを選択し、別のユーザ端末4にスキャン結果を保存したり、ユーザ端末4の電源がOFFでスキャンが開始できないなどの問題があった。
この問題に対する一つの解決策として、特定のユーザ端末4とスキャナ装置2を1対1で接続(占有)することで他のユーザのプロファイルを表示しないようにできる。
しかしこの手法には別の問題があり、スキャナ装置2を共有する場合に、接続中のユーザ端末4との切断や他のユーザ端末4への接続切り替え手順が複雑で、複数のユーザでスキャナ装置2を共有することが難しかった。
そこで、これらの問題を解消するために、スキャナ装置2の操作画面を利用したユーザの簡単な切り替え、および自動接続の方法を検討した。
【0018】
なお、マルチファンクションプリンタの場合、性質上、多くのユーザ端末からコピーの接続やスキャンの接続が行われるため、マルチファンクションプリンタの起動時に特定のユーザ端末と占有接続するという機能を有していない。本実施形態では、スキャナ装置2を複数のユーザで共有するという中で、特定のユーザがスキャナ装置2をしばらく借りるような、連続でスキャナ装置2を利用するシーンで、より簡単に利用できるよう、スキャナ起動時に特定のユーザー端末と占有接続する機能とした。
【0019】
図2は、スキャナ装置2のうち、制御部分のハードウェア構成を中心に例示する図である。
図2に例示するように、スキャナ装置2は、CPU200、揮発性のメモリ202、不揮発性メモリ204、ネットワークインタフェース206(ネットワークIF206)、及び、タッチパネル208を有し、これらの構成はバス212を介して互いに接続している。
CPU200は、例えば、中央演算装置である。
メモリ202は、例えば、揮発性メモリであり、主記憶装置として機能する。
不揮発性メモリ204は、例えば、不揮発性の記録装置としてコンピュータプログラム(例えば、図4のスキャナプログラム3)やその他のデータファイルを格納する。
ネットワークIF206は、有線又は無線で通信するためのインタフェースである。
タッチパネル208は、操作画面の一例であり、例えば、液晶タッチパネルである。
【0020】
図3は、ユーザ端末4のハードウェア構成を例示する図である。
図3に例示するように、ユーザ端末4は、CPU400、メモリ402、HDD404、ネットワークインタフェース406(ネットワークIF406)、表示装置408、及び、入力装置410を有し、これらの構成はバス412を介して互いに接続している。
CPU400は、例えば、中央演算装置である。
メモリ402は、例えば、揮発性メモリであり、主記憶装置として機能する。
HDD404は、例えば、ハードディスクドライブ装置であり、不揮発性の記録装置としてコンピュータプログラム(例えば、図5のドライバプログラム5)やその他のデータファイルを格納する。
ネットワークIF406は、有線又は無線で通信するためのインタフェースである。
表示装置408は、例えば、液晶ディスプレイである。
入力装置410は、例えば、キーボード及びマウスである。
【0021】
図4は、スキャナ装置2の機能構成を、占有制御及び表示制御の部分を中心に例示する図である。
図4に例示するように、スキャナ装置2には、スキャナプログラム3がインストールされると共に、設定データベース370(設定DB370)及び接続履歴データベース372(接続履歴DB372)が構成される。スキャナプログラム3は、例えば、CD-ROM等の記録媒体に格納されており、この記録媒体を介して、スキャナ装置2にインストールされる。
スキャナプログラム3は、端末検索部300、接続要求部310、選択部320、表示制御部330、切替検知部340、及び占有制御部350を有する。表示制御部330は、プロファイル表示部332及び一覧表示部334を含む。
なお、スキャナプログラム3の一部又は全部は、ASICなどのハードウェアにより実現されてもよく、また、OS(Operating System)の機能を一部借用して実現されてもよい。
【0022】
スキャナプログラム3において、端末検索部300は、ネットワーク7に接続しているユーザ端末4を検索する。例えば、端末検索部300は、スキャナ装置2の電源ON時に、電源がONになったことを示す電源ON通知をネットワーク7にブロードキャストし、これに対する応答に基づいて、ネットワーク7に接続しているユーザ端末を特定する。端末検索部300は、本発明に係る接続判定部の一例である。
【0023】
接続要求部310は、端末検索部300により検索されたユーザ端末4の中から、接続するユーザ端末4を選択し、選択されたユーザ端末4に対して、接続要求を行う。本例の接続要求部310は、端末検索部300により検索されたユーザ端末4に対して、最後に接続されたユーザ端末の識別情報が含まれたスキャナ装置情報を送信する。
【0024】
選択部320は、接続履歴DB372に格納されている接続履歴に基づいて、設定DB370に格納されている設定情報、又は、ユーザ端末の識別情報を選択する。より具体的には、選択部320は、接続履歴DB372に格納されている接続履歴と、端末検索部300による検索結果とに基づいて、ユーザ端末の設定情報又は識別情報を選択する。例えば、選択部320は、スキャナ装置2の起動時に、接続履歴DB372に格納されている接続履歴に基づいて、端末検索部300により検索されたユーザ端末2の中から、スキャナ装置2に対して最後に接続したユーザ端末の設定情報又は識別情報を、表示すべき情報として選択する。
【0025】
表示制御部330は、選択部320により選択された設定情報又はユーザ端末の識別情報をタッチパネル208に表示させ、他のユーザ端末に関する情報を非表示とする。非表示とは、ユーザによる能動的な操作が無い限り、表示されない状態を意味する。本例では、プロファイル表示部332が、選択部320により選択されたユーザ端末4のプロファイル(設定情報)をタッチパネル208に表示させ、他のユーザ端末4のプロファイルをタッチパネル208に表示させない。
【0026】
また、表示制御部330は、切替検知部340により切替操作が検知された場合に、複数のユーザ端末の識別情報を選択肢としてタッチパネル208に表示させ、選択されたユーザ端末の設定情報をタッチパネル208に表示させる。本例では、切替検知部340により切替操作が検知された場合に、一覧表示部334が、接続履歴DB372を参照して、スキャナ装置2に接続したことがあるユーザ端末4の識別情報をタッチパネル208にリスト表示する。
【0027】
切替検知部340は、スキャナ装置2を使用するユーザ端末4の切替操作を検知する。本例の切替検知部340は、タッチパネル208に対するユーザのタッチ操作に基づいて、ユーザ端末4の切替操作を検知する。
【0028】
占有制御部350は、ユーザ端末4から受信した占有コマンドに従って、スキャナ装置2の占有状態を制御する。本例の占有制御部350は、ユーザ端末4から占有コマンドを受信すると、このユーザ端末4がスキャナ装置2を占有している状態にし、切替検知部340によりユーザ端末4の切替操作が検知されると、占有状態を解除する。
【0029】
図5は、ユーザ端末4の機能構成を例示する図である。
図5に例示するように、ユーザ端末4には、ドライバプログラム5がインストールされると共に、設定データベース570(設定DB570)が構成される。ドライバプログラム5は、例えば、CD-ROM等の記録媒体に格納されており、この記録媒体を介して、ユーザ端末4にインストールされる。
ドライバプログラム5は、占有コマンド送信部500、プロファイル編集部510、及び画像処理部520を有する。
なお、ドライバプログラム5の一部又は全部は、ASICなどのハードウェアにより実現されてもよく、また、OS(Operating System)の機能を一部借用して実現されてもよい。
【0030】
ドライバプログラム5において、占有コマンド送信部500は、スキャナ装置2を占有するための占有コマンドをスキャナ装置2に送信する。本例の占有コマンド送信部500は、スキャナ装置2から受信したスキャナ装置情報に含まれる「最後に接続していたユーザ端末の識別情報」が自機である場合に、占有コマンドをスキャナ装置2に送信する。
【0031】
プロファイル編集部510は、ユーザの操作に応じて、スキャナ装置2の動作を定義する設定情報のセットをプロファイルとして編集する。プロファイル編集部510により編集されたプロファイルは、設定DB570に格納される。さらに、設定DB570に格納されたプロファイルは、スキャナ装置2の設定DB370にも格納される。
【0032】
画像処理部520は、ユーザにより選択されたプロファイルに従って、スキャナ装置2から受信した画像データに対して、画像処理、タイトル抽出処理、及びフォルダ自動登録処理等の処理を実施する。
【0033】
図6(A)は、スキャナ装置2の設定DB370に登録される情報を例示し、図6(B)は、プロファイルを例示し、図6(C)は、接続履歴DB372に登録される情報を例示する。
図6(A)に例示するように、スキャナ装置2の設定DB370は、各ユーザにより設定されたプロファイルをユーザ端末に関連付けて格納する。本例の設定DB370には、一人のユーザに対して、複数のプロファイルが登録されている。
図6(B)に例示するように、登録されるプロファイルには、ユーザを識別するためのユーザID、及び、プロファイルを識別するためのプロファイル名に関連付けて、スキャンした画像データのファイル形式(PDF/JPG)を指定する情報、スキャン時におけるカラーモード(自動判別/カラー/グレー/白黒)を指定する情報、スキャン時の読取面(片面/両面)を指定する情報、及び、スキャン画質(DPI)を指定する情報などが含まれる。なお、ファイル形式を指定する情報は、ユーザ端末4側の設定DB570のみに登録され、スキャナ装置2側の設定DB370には登録されない。
【0034】
図6(C)に例示するように、接続履歴DB372は、スキャナ装置2に接続したユーザ端末4の接続履歴情報を格納する。接続履歴情報には、ユーザ端末4を特定するためのユーザIDと、スキャナ装置2に接続した日時を示す情報とが含まれている。本例の接続履歴DB372に登録される接続日時は、スキャナ装置2に接続するたびに、直近の接続日時に更新される。
【0035】
図7は、ユーザ端末4による端末側接続処理(S10)を説明するフローチャートである。
図7に例示するように、ステップ100(S100)において、ユーザ端末4のドライバプログラム5は、既定のタイミングが到来したか否かを判定し、既定のタイミングが到来した場合に、S105の処理に移行し(S100:Yes)、既定のタイミングが到来していない場合に、待機する(S100:No)。既定のタイミングとは、例えば、ドライバプログラム5の起動時、スキャナ装置2から電源ON通知又は状態変更通知を受信した時、及び、スキャナ装置2と未接続状態で既定時間(1分)経過した時である。
【0036】
ステップ105(S105)において、ユーザ端末4の占有コマンド送信部500は、スキャナ装置2を検索するためのスキャナ検索通知を送信する。
ステップ110(S110)において、占有コマンド送信部500は、スキャナ検索通知に対する応答として、スキャナ装置2からスキャナ装置情報を受信する。
【0037】
ステップ115(S115)において、占有コマンド送信部500は、受信したスキャナ装置情報に含まれるユーザ端末の識別情報が自機の識別情報であるか否かを判断し、自機の識別情報である場合に、S120の処理に移行し、自機の識別情報ではない場合に、端末側接続処理(S10)を終了する。
ステップ120(S120)において、占有コマンド送信部500は、占有コマンドをスキャナ装置2に送信する。
これにより、スキャナ装置2は、ユーザ端末4に占有された状態となる。
【0038】
図8は、スキャナ装置2によるスキャナ側起動時処理(S20)を説明するフローチャートである。
図8に例示するように、ステップ200(S200)において、スキャナ装置2は、電源ONの操作を検知すると、S205の処理に移行し(S200:Yes)、電源ONの操作が検知されない場合に、電源ON操作が行われるまで待機する(S200:No)。
【0039】
ステップ205(S205)において、スキャナ装置2は、起動処理を実行する。
ステップ210(S210)において、スキャナ装置2の端末検索部300は、起動処理が完了すると、電源ON通知をネットワーク7にブロードキャストする。
これにより、ユーザ端末4は、スキャナ装置2のスキャナ検索が可能になったことを認識する。
【0040】
図9は、スキャナ装置2によるユーザの切替処理(S30)を説明するフローチャートである。
図9に例示するように、ステップ300(S300)において、スキャナ装置2の切替検知部340は、ユーザにより切替操作が検知されるまで待機し(S300:No)、切替操作が検知されると、S305の処理に移行する。具体的には、図11(A)に例示するように、タッチパネル208には、ユーザを切り替えるための切替ボタン906が配置された表示画面9が表示され、切替検知部340は、この切替ボタン906に対するユーザのタッチ操作を切替操作として検知する。
ステップ305(S305)において、切替検知部340は、接続履歴DB372から接続履歴情報を読み出す。
【0041】
ステップ310(S310)において、一覧表示部334は、接続履歴DB372から読み出された接続履歴情報に基づいて、接続順に配列されたユーザIDのリストを作成し、図11(B)に例示するように、ユーザIDのリストが配置された切替表示92をタッチパネル208に表示させる。
ステップ315(S315)において、切替検知部340は、ユーザにより選択されたユーザIDが現在のユーザであるか他のユーザであるかを判定し、他のユーザが選択された場合に、S320の処理に移行し、現在のユーザが選択された場合に、切替処理(S30)を終了する。
【0042】
ステップ320(S320)において、切替検知部340は、最後に接続したユーザ端末の識別情報を、ユーザにより選択されたユーザのユーザ端末に更新する。
ステップ325(S325)において、切替検知部340は、現在のスキャナ装置2とユーザ端末4との接続を切断する。
ステップ330(S330)において、切替検知部340は、スキャナ装置2の状態変更通知をネットワーク7にブロードキャストする。
これにより、状態変更通知を受信した切替先のユーザ端末4が、スキャナ装置情報を取得し、これに応じて占有コマンドをスキャナ装置2に送信して、スキャナ装置2と接続する。
【0043】
図10は、検索通知を受信した場合のスキャナ装置2の処理(S40)を説明するフローチャートである。
図10に例示するように、ステップ400(S400)において、スキャナ装置2の接続要求部310は、ユーザ端末4からスキャナ検索通知を受信するまで待機し(S400:No)、ユーザ端末4からスキャナ検索通知を受信すると、S405の処理に移行する(S400:Yes)。
【0044】
ステップ405(S405)において、接続要求部310は、スキャナ検索通知に対する応答として、スキャナ装置情報(最後に接続していたユーザ端末の識別情報が含まれている)をユーザ端末4に送信する。
ステップ410(S410)において、スキャナプログラム3は、いずれかのユーザ端末4から占有コマンドを受信した場合に、S415の処理に移行し、既定の期間内にいずれのユーザ端末4からも占有コマンドを受信しなかった場合に、処理(S40)を終了する。
【0045】
ステップ415(S415)において、占有制御部350は、いずれかのユーザ端末4から占有コマンドを受信すると、このユーザ端末4による占有状態に移行する。
【0046】
ステップ420(S420)において、選択部320は、占有状態となっているユーザ端末4のプロファイルを設定DB370から読み出す。
ステップ425(S425)において、プロファイル表示部332は、選択部320により読み出されたプロファイルのみをタッチパネル208に表示させ、他のユーザのプロファイルの表示を禁止する。具体的には、図11(A)に例示するように、タッチパネル208には、表示画面9が表示される。表示画面9のウインドウタイトルには、占有しているユーザ端末4の識別情報が表示される占有ユーザ表示902が表示され、プロファイルが表示される表示領域には、占有しているユーザ端末4のプロファイルを示すプロファイルアイコン904が配置される。いずれかのプロファイルアイコン904が選択された状態で、スキャン開始ボタン908がタッチされると、選択されたプロファイルに従ったスキャン処理が開始される。
【0047】
このように、スキャナ装置2は、最後に接続していたユーザ端末と占有接続し、このユーザ端末のプロファイルをタッチパネル208に表示する。
【0048】
図12は、スキャナ共有システム1におけるプロファイル作成時のシーケンス図(S50)である。
図12に例示するように、ユーザが、ユーザ端末4でドライバプログラム5を起動させ、プロファイルの値を設定し、設定DB570に保存すると、ユーザ端末4は、設定DB570に保存されたプロファイルを、スキャナ装置2に送信して、設定DBを同期させる(S500)。
スキャナ装置2は、受信したプロファイルを設定DB370に保存し、タッチパネル208に表示すると、プロファイルの登録完了をユーザ端末4に通知する(S502)。ユーザ端末4は、登録完了通知に応じて、登録されたプロファイルを表示する。
【0049】
図13は、スキャナ共有システム1におけるスキャン時のシーケンス図(S60)である。
図13に例示するように、ユーザが、スキャナ装置2のタッチパネル208に表示された表示画面900(図11(A))において、所望のプロファイルアイコン904を選択操作すると(S600)、スキャナ装置2は、選択されたプロファイルの設定情報を読み出す。
次に、ユーザが、タッチパネル208に表示されたスキャン開始ボタン908をタッチすると(S602)、スキャナ装置2は、読み出されたプロファイル(設定情報)に従って、スキャン処理を実行し、スキャンデータをユーザ端末4に送信する(S604)。
ユーザ端末4は、スキャナ装置2から受信したスキャンデータに対して、選択されたプロファイルに対応する処理(画像処理やタイトル抽出処理等)を実行し、処理の結果をプロファイルに従って保存する。
【0050】
図14は、スキャナ共有システム1におけるユーザ端末切替時のシーケンス図(S70)である。
図14に例示するように、ユーザXのユーザ端末4がスキャナ装置2を占有している期間は、スキャナ装置2は、スキャン開始ボタンのタッチ操作を検知すると(S700)、スキャン処理を実行し、スキャンデータをユーザXのユーザ端末4に送信する。
ユーザXがスキャナ装置2に対して電源OFF操作を行うと(S702)、スキャナ装置2は、ユーザ端末4との接続を切断し、シャットダウンする。
次に、ユーザAがスキャナ装置2に対して電源ON操作を行うと(S710)、スキャナ装置2は、起動処理を実施し、起動処理が完了すると、電源ON通知をネットワーク7上の全てのユーザ端末4に送信する。各ユーザ端末4は、電源ON通知に応じて、スキャナ検索通知をスキャナ装置2に送信し、スキャナ装置2からスキャナ装置情報を受信する。スキャナ装置2は、スキャナ装置情報に、「最後に接続していたユーザ端末の識別情報(ユーザX)」を挿入している。
各ユーザ端末4は、スキャナ装置2から受信したスキャナ装置情報に基づいて、「最後に接続していたユーザ端末の識別情報」が自機であるか否かを判断し、自機であると判断したユーザ端末4のみが、占有コマンドをスキャナ装置2に送信して、接続を確立する。この結果、最後に接続していたユーザXのユーザ端末4がスキャナ装置2を引き続き占有する(S712)。
【0051】
次に、ユーザAが、スキャナ装置2に対して、ユーザAへの切替操作を行うと(S720)、スキャナ装置2は、「最後に接続していたユーザ端末の識別情報」をユーザAの識別情報に書き換え、ネットワーク7上の全てのユーザ端末4に状態変更通知を送信する。
各ユーザ端末4は、状態変更通知に応じて、スキャナ検索通知をスキャナ装置2に送信し、スキャナ装置2からスキャナ装置情報を受信する。
各ユーザ端末4は、スキャナ装置2から受信したスキャナ装置情報に基づいて、「最後に接続していたユーザ端末の識別情報」が自機であるか否かを判断し、自機であると判断したユーザ端末4のみが、占有コマンドをスキャナ装置2に送信して、接続を確立する。「最後に接続していたユーザ端末の識別情報」がユーザAの識別情報に書き換えられているため、ユーザAのユーザ端末4がスキャナ装置2に接続し占有する(S722)。
その結果、スキャナ装置2のタッチパネル208には、ユーザAのプロファイルが表示され、スキャンデータは、ユーザAのユーザ端末4に送信される。
【0052】
以上説明したように、本実施形態のスキャナ共有システム1によれば、接続履歴に応じて、接続先、及び、表示するプロファイルを選択するため、接続/切断の手間が減ると共に、タッチパネル208の限られた表示領域に、必要なプロファイルのみを表示させ、プロファイルの選択操作が容易になる。特に、スキャナ装置2のように、特定のユーザが連続的に使用する周辺装置に好適である。
【0053】
[変形例1]
次に、上記実施形態の変形例を説明する。
上記実施形態では、特定ユーザのプロファイル(設定情報)に絞り込んで表示する形態を説明したが、変形例1では、複数の動作モードが用意されており、動作モードによって、プロファイルを表示するユーザの範囲を変更する形態を説明する。具体的には、「選択中のユーザ」モード、「すべてのユーザ」モード、及び「接続中のユーザ」モードの3つの動作モードが用意されている形態を説明する。
「選択中のユーザ」モードは、上記実施形態に相当する動作モードであり、選択された特定ユーザのプロファイルのみを表示する。選択されているユーザを切り替えることにより、他のユーザのプロファイルを表示させることができる。
「すべてのユーザ」モードは、スキャナ装置2に登録された全てのプロファイルを表示する動作モードである。スキャナ装置2を共有する全ユーザ名及びプロファイルを表示させることができる。
「接続中のユーザ」モードは、スキャナ装置2に接続しているユーザのプロファイルのみを表示する動作モードであり、他のユーザのプロファイルを表示させることはできない。
変形例1では、上記動作モードを切り替えることにより、セキュリティレベルの異なるユーザインタフェースを提供する。
【0054】
図15は、変形例1におけるスキャナ装置2の機能構成を、占有制御及び表示制御の部分を中心に例示する図である。なお、本図の各構成のうち、図4の構成と実質的に同一のものには同一の符号が付されている。
図15に例示するように、変形例1のスキャナプログラム32は、端末検索部300、接続要求部310、選択部320、表示制御部331、切替検知部340、占有制御部350、モード切替部360、設定情報取得部370、保存先制御部380、及び設定情報消去部390を有する。表示制御部331は、プロファイル表示部332及び一覧表示部334を含む。
【0055】
変形例1の選択部320は、「選択中のユーザ」モードである場合に、スキャナ装置2の起動時に、接続履歴DB372に格納されている接続履歴に基づいて、端末検索部300により検索されたユーザ端末4の中から、スキャナ装置2に対して最後に接続したユーザ端末の設定情報又は識別情報を、表示すべき情報として選択し、「すべてのユーザ」モードである場合に、設定DB370に格納されている全ユーザ端末の設定情報又は識別情報を、表示すべき情報として選択し、「接続中のユーザ」モードである場合に、設定情報取得部370により取得された設定情報を、表示すべき情報として選択する。
【0056】
表示制御部331は、「接続中のユーザ」モードである場合に、スキャナ装置2に接続しているユーザ端末4から設定情報取得部370により取得された設定情報(プロファイル)のみを、タッチパネル208に表示させる。
【0057】
モード切替部360は、ユーザの設定情報(プロファイル)を揮発性メモリのみに記録する第1の動作モードと、不揮発性メモリに記録する第2の動作モードとを切り替える。本変形例において、第1の動作モードは「接続中のユーザ」モードであり、第2の動作モードは「選択中のユーザ」モード及び「すべてのユーザ」モードである。本変形例では、動作モードの設定は、図18(A)に例示するモード選択画面93において随時行うことができる。
【0058】
設定情報取得部370は、「接続中のユーザ」モードである場合に、スキャナ装置2を占有しているユーザ端末4から、このスキャナ装置2に関する設定情報(具体的には、プロファイル)を取得する。より具体的には、設定情報取得部370は、「接続中のユーザ」モードである場合に、ユーザ端末4がスキャナ装置2に接続する都度、このスキャナ装置2のプロファイルをこのユーザ端末4から取得する。
【0059】
保存先制御部380は、動作モードに応じて、ユーザ端末4から取得した設定情報(プロファイル)の保存場所を切り替える。より具体的には、保存先制御部380は、「接続中のユーザ」モードである場合に、ユーザ端末4から取得した設定情報(プロファイル)を揮発性メモリ(メモリ202)に保存させ、「選択中のユーザ」モード又は「すべてのユーザ」モードである場合に、ユーザ端末4から取得した設定情報(プロファイル)を不揮発性メモリ204に保存させる。
【0060】
設定情報消去部390は、「接続中のユーザ」モードである場合に、占有制御部350によりスキャナ装置2の占有状態が解除される時に、設定情報取得部370により取得された設定情報(プロファイル)を保存場所から消去する。すなわち、設定情報消去部390は、「接続中のユーザ」モードである場合に、占有制御部350により他のユーザに占有状態を切り替える時に、元のユーザの設定情報をメモリ202から消去する。
【0061】
図16は、変形例1におけるスキャナ装置2のスキャナ側起動時処理(S22)を説明するフローチャートである。なお、本図に示された各ステップのうち、図8に示されたステップと実質的に同一のものには、同一の符号が付されている。
図16に例示するように、ステップ200(S200)において、スキャナ装置2は、電源ONの操作が検知されない場合に、電源ON操作が行われるまで待機し(S200:No)、電源ONの操作を検知すると、S205の処理に移行する(S200:Yes)。
ステップ205(S205)において、スキャナ装置2は、起動処理を実行する。
【0062】
ステップ207(S207)において、スキャナ装置2は、動作モードを判定し、動作モードが「接続中のユーザ」モードである場合に、S215の処理に移行し、動作モードが「選択中のユーザ」モード又は「すべてのユーザ」モードである場合に、S210の処理に移行する。
【0063】
ステップ210(S210)において、スキャナ装置2の端末検索部300は、電源ON通知をネットワーク7にブロードキャストし、これに応答したユーザ端末4に対して、自動接続を行うための情報が含まれたスキャナ装置情報を返信する。
ステップ215(S215)において、端末検索部300は、電源ON通知をネットワーク7にブロードキャストし、これに応答したユーザ端末4に対して、自動接続を行うための情報を含まないスキャナ装置情報を返信する。
【0064】
このように、変形例1では、「接続中のユーザ」モードである場合に、ユーザ端末4からの自動接続を禁止し、ユーザの接続操作によるスキャナ装置2への手動接続のみを許容する。
【0065】
図17は、「接続中のユーザ」モードである場合の接続処理(S45)を説明するフローチャートである。
図17に例示するように、ステップ450(S450)において、スキャナ装置2の接続要求部310は、ユーザ端末4からスキャナ検索通知を受信するまで待機し(S450:No)、ユーザ端末4からスキャナ検索通知を受信すると、S455の処理に移行する(S450:Yes)。
【0066】
ステップ455(S455)において、接続要求部310は、スキャナ検索通知に対する応答として、スキャナ装置情報(いずれのユーザ端末とも不一致となるダミーの識別情報が含まれている)をユーザ端末4に送信する。すなわち、接続要求部310は、ユーザ端末4の自動接続を禁止したスキャナ装置情報を送信する。
【0067】
ステップ460(S460)において、スキャナプログラム3は、いずれかのユーザ端末4から占有コマンドを受信した場合に、S465の処理に移行し、既定の期間内にいずれのユーザ端末4からも占有コマンドを受信しなかった場合に、接続処理(S45)を終了する。
【0068】
ステップ465(S465)において、占有制御部350は、いずれかのユーザ端末4から占有コマンドを受信すると、このユーザ端末4による占有状態に移行する。
ステップ470(S470)において、設定情報取得部370は、占有状態となっているユーザ端末4から、プロファイルを受信する。
ステップ475(S475)において、保存先制御部380は、設定情報取得部370が受信したプロファイルをメモリ202のみに保存させる。
ステップ480(S480)において、表示制御部331は、メモリ202に保存されているプロファイルのみをタッチパネル208に表示させる。
【0069】
ステップ485(S485)において、占有制御部352は、別端末からの接続要求を検知するまで、接続中のユーザ端末4による占有状態を維持し(S485:No)、ユーザの切替操作を検知すると、S490の処理に移行する(S485:Yes)。
ステップ490(S490)において、占有制御部352は、ユーザの切替操作に応じて、接続中のユーザ端末4の占有状態を解除し、設定情報消去部390は、メモリ202に保存されているプロファイル(このユーザ端末4のプロファイル)を消去する。
【0070】
このように、変形例1のスキャナ装置2は、ユーザ端末4からの接続要求に応じて接続すると、都度、ユーザ端末4からプロファイルを受信し、受信したプロファイルを揮発性メモリ(メモリ202)のみに保存し、このユーザ端末4の占有状態を解除する時に、保存されているプロファイルを消去する。
【0071】
図18は、変形例1における表示画面を例示する図である。
図18(A)のモード選択画面93において、「選択中のユーザ」モードが選択されると、表示制御部331は、図18(B)に例示する表示画面94をタッチパネル208に表示させる。「選択中のユーザ」モードの表示画面94には、接続中のユーザ端末名が表示される。表示されるプロファイルは、このユーザ端末4で定義したもののみが表示される。 表示画面94において、ユーザアイコンを選択すると、過去に接続した順に選択候補のリストが表示され、接続中のユーザ端末を切り替えることが可能であり、異なったユーザ端末を選択することも可能である。
【0072】
また、図18(A)のモード選択画面93において、「すべてのユーザ」モードが選択されると、表示制御部331は、図18(C)に例示する表示画面95をタッチパネル208に表示させる。「すべてのユーザ」モードの表示画面95には、スキャナ装置2に登録されているすべてのユーザ端末のプロファイルが表示される。どのプロファイルでも選択できてしまうため、自分が選択したいプロファイルが分かりにくく、誤送信の可能性が高い。
一方、図18(A)のモード選択画面93において、「接続中のユーザ」モードが選択されると、表示制御部331は、図18(D)に例示する表示画面96をタッチパネル208に表示させる。「接続中のユーザ」モードの表示画面96には、スキャナ装置2に接続しているユーザ端末で定義したプロファイルのみが表示され、ユーザアイコンは表示されない。自分が定義したプロファイルしか表示されず、タッチパネル208上から別のユーザに切り替える方法も無いため、誤送信のリスクもない。ユーザ端末4を切断もしくはスキャナ装置2の電源をOFFした時点で、接続情報はスキャナ装置4上から消えるため、高いセキュリティが確保される。
【0073】
図19は、「接続中のユーザ」モードが設定されている場合のプロファイル作成時のシーケンス図(S52)である。
図19に例示するように、ユーザが、ユーザ端末4でドライバプログラム5を起動させ、スキャナ装置α用にプロファイルの値を設定し、スキャナ装置αに関連付けて設定DB570に保存すると、ユーザ端末4は、設定DB570に保存されたプロファイルを、スキャナ装置αに送信して、設定DBを同期させる(S520)。
スキャナ装置αは、受信したプロファイルをメモリ202のみに保存し、タッチパネル208に表示すると、プロファイルの登録完了をユーザ端末4に通知する(S522)。ユーザ端末4とスキャナ装置αの接続が切れると、メモリ202上のプロファイルは消去される。
また、ユーザ端末4は、別のスキャナ装置βに接続して、このスキャナ装置βのためのプロファイルを設定して、設定DBを同期させると(S530)、スキャナ装置βは、受信したプロファイルをメモリ202のみに保存し、タッチパネル208に表示すると、プロファイルの登録完了をユーザ端末4に通知する(S532)。
【0074】
図20は、「接続中のユーザ」モードが設定されている場合のユーザ端末切替時のシーケンス図(S80)である。
図20に例示するように、ユーザXのユーザ端末4がスキャナ装置2を占有している期間は、スキャナ装置2は、スキャン開始ボタンのタッチ操作を検知すると(S800)、スキャン処理を実行し、スキャンデータをユーザXのユーザ端末4に送信する。
ユーザXがスキャナ装置2に対して電源OFF操作を行うと(S802)、スキャナ装置2は、ユーザ端末4との接続を切断し、シャットダウンする。メモリ202上に保存されたプロファイルは消去される。
次に、ユーザAがスキャナ装置2に対して電源ON操作を行うと(S810)、スキャナ装置2は、起動処理を実施し、起動処理が完了すると、電源ON通知をネットワーク7上の全てのユーザ端末4に送信する。各ユーザ端末4は、電源ON通知に応じて、スキャナ検索通知をスキャナ装置2に送信し、スキャナ装置2からスキャナ装置情報を受信する。スキャナ装置2は、スキャナ装置情報に、いずれのユーザ端末とも適合しない「ダミーの識別情報」を挿入している。
各ユーザ端末4は、スキャナ装置2から受信したスキャナ装置情報内の識別情報と、自機の識別情報とを比較し、いずれも一致しないため、何も行わない(S812)。
【0075】
次に、ユーザAが、スキャナ装置2に対して、ユーザAへの接続操作を行い、プロファイルを送信すると(S820)、スキャナ装置2は、ユーザAの占有状態となり、ユーザAのプロファイルをメモリ202に保存して、ユーザAのプロファイルを用いたスキャン動作が可能になる(S822)。
このように、変形例1のスキャナ装置2は、セキュリティレベルの異なる3つの動作モードを提供し、ユーザの使用環境や要望に応じたスキャナ装置の使い方を可能にする。
【0076】
上記実施形態及び変形例では、スキャナ装置2にネットワーク上で共有する場合を具体例として説明したが、これに限定されるものではなく、例えばディスプレイ、プロジェクタ、スピーカーにも適用可能である。ディスプレイを例にすると、以下のシーンで効果が期待できる。
会議室に設置するような共用目的のディスプレイを複数ユーザ端末から接続するシーンを考える。様々なユーザが次々とディスプレイを利用する場合は、ディスプレイからのユーザ端末の切り替えで簡単に接続してディスプレイへの表示が可能である。
また、あるユーザがしばらくそのディスプレイを使い続ける場合は、ディスプレイを起動するだけで、すぐにあるユーザのユーザ端末から占有接続されて、ディスプレイに表示される。
【符号の説明】
【0077】
1 スキャナ共有システム
2 スキャナ装置
3,32 スキャナプログラム
4 ユーザ端末
5 ドライバプログラム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20