(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-11
(45)【発行日】2024-12-19
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
F24F 11/65 20180101AFI20241212BHJP
F24F 110/10 20180101ALN20241212BHJP
F24F 110/12 20180101ALN20241212BHJP
【FI】
F24F11/65
F24F110:10
F24F110:12
(21)【出願番号】P 2021024336
(22)【出願日】2021-02-18
【審査請求日】2023-07-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(74)【代理人】
【識別番号】100192533
【氏名又は名称】奈良 如紘
(72)【発明者】
【氏名】豊田 竜
(72)【発明者】
【氏名】莅戸 智史
【審査官】塩田 匠
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-200127(JP,A)
【文献】特開2020-063903(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/65
F24F 110/10
F24F 110/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒が循環して流れる冷媒回路と、
前記冷媒回路に設けられて冷媒を圧縮可能な圧縮機と、前記冷媒回路に設けられて冷媒の圧力を下げる膨張弁と、
前記冷媒回路に設けられて冷媒の流れる方向を切り替える四路切替弁と、
前記冷媒回路に設けられて冷媒と室内の空気との間で熱交換を行う室内熱交換器と、
室内から空気を取り込むと共に室内へ空気を送風する室内ファンと、
室内の温度を検出する室温センサと、
前記圧縮機と、前記膨張弁、前記四路切替弁及び前記室内ファンを制御することにより、室内を暖める暖房運転と、前記室内熱交換器による熱交換を行わずに前記室内ファンにより室内へ風を送る送風運転と、前記室内熱交換器の表面を結露させて前記室内熱交換器の表面を洗浄するための洗浄用冷房運転とを、実行する制御部と、を備えており、
前記制御部は、前記圧縮機と、前記膨張弁と、前記室内ファンとを制御することにより、前記洗浄用冷房運転を実行した後に、前記室内熱交換器の表面を乾燥させる乾燥運転を実行し、
前記制御部は、前記乾燥運転を前記暖房運転から開始し、前記乾燥運転の運転中に前記室温センサにより室温を検出し、検出された室温が予め設定された温度に達した際に、前記暖房運転と前記送風運転とを切り替え、
前記洗浄用冷房運転の開始前に、前記室温センサ、又は、外気温を検出する外気温センサにより、温度が検出され、
検出された前記温度が第1基準温度以下のときには、前記乾燥運転を開始する際に設定される前記暖房運転の開始温度は、第1開始温度に設定され、
検出された前記温度が前記第1基準温度よりも高い第2基準温度以上の場合には、前記開始温度は前記第1開始温度よりも高い第2開始温度に設定され、
検出された前記温度が前記第1基準温度よりも大きく前記第2基準温度よりも小さい場合には、前記開始温度は、前記第1開始温度から前記第2開始温度の範囲内にて、検出された前記温度が高くなるにつれて、高くなるように設定されている
、空気調和機。
【請求項2】
冷媒が循環して流れる冷媒回路と、
前記冷媒回路に設けられて冷媒を圧縮可能な圧縮機と、前記冷媒回路に設けられて冷媒の圧力を下げる膨張弁と、
前記冷媒回路に設けられて冷媒の流れる方向を切り替える四路切替弁と、
前記冷媒回路に設けられて冷媒と室内の空気との間で熱交換を行う室内熱交換器と、
室内から空気を取り込むと共に室内へ空気を送風する室内ファンと、
室内の温度を検出する室温センサと、
前記圧縮機と、前記膨張弁、前記四路切替弁及び前記室内ファンを制御することにより、室内を暖める暖房運転と、前記室内熱交換器による熱交換を行わずに前記室内ファンにより室内へ風を送る送風運転と、前記室内熱交換器の表面を結露させて前記室内熱交換器の表面を洗浄するための洗浄用冷房運転とを、実行する制御部と、を備えており、
前記制御部は、前記圧縮機と、前記膨張弁と、前記室内ファンとを制御することにより、前記洗浄用冷房運転を実行した後に、前記室内熱交換器の表面を乾燥させる乾燥運転を実行し、
前記制御部は、前記乾燥運転を前記暖房運転から開始し、前記乾燥運転の運転中に前記室温センサにより室温を検出し、検出された室温が予め設定された温度に達した際に、前記暖房運転と前記送風運転とを切り替え、
前記洗浄用冷房運転の開始前に、前記室温センサ、又は、外気温を検出する外気温センサにより、温度が検出され、
検出された前記温度が基準温度以下のときには、前記乾燥運転を開始する際に設定される前記暖房運転の開始温度は、第1開始温度に設定され、
検出された前記温度が前記基準温度を超えるときには、前記開始温度は、前記第1開始温度よりも高い第2開始温度に設定されている
、空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内熱交換器の表面を洗浄する洗浄運転機能を備えた空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機が長期間使用されると、室内熱交換器に塵埃が付着する。そのため、空気調和機には、塵埃が付着した室内熱交換器の表面を洗浄する洗浄機能を備えたものがある。このような洗浄機能を備えた空気調和機に関する従来技術として、特許文献1に開示された技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、室内熱交換器を結露させて洗浄した後には、室内熱交換器を乾燥させる乾燥運転が実施される。具体的には、この乾燥運転は、乾燥を促進させるために高温に設定された設定温度に基づく暖房運転が実施される。
【0005】
高温の暖房運転が一律に実施されると、人が快適と感じる室温よりも室温が高くなってしまうことも想定される。さらに、高温の暖房運転では、乾燥運転後の室温が高すぎるため、室内に入ったユーザが不快であり、消費電力も大きくなる。
【0006】
本発明は、室内熱交換器を乾燥させる乾燥運転の際に、精度良く室温を制御することにより、室温の上昇を抑制できる空気調和機の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1では、冷媒が循環して流れる冷媒回路と、
前記冷媒回路に設けられて冷媒を圧縮可能な圧縮機と、前記冷媒回路に設けられて冷媒の圧力を下げる膨張弁と、
前記冷媒回路に設けられて冷媒の流れる方向を切り替える四路切替弁と、
前記冷媒回路に設けられて冷媒と室内の空気との間で熱交換を行う室内熱交換器と、
室内から空気を取り込むと共に室内へ空気を送風する室内ファンと、
室内の温度を検出する室温センサと、
前記圧縮機と、前記膨張弁、前記四路切替弁及び前記室内ファンを制御することにより、室内を暖める暖房運転と、前記室内熱交換器による熱交換を行わずに前記室内ファンにより室内へ風を送る送風運転と、前記室内熱交換器の表面を結露させて前記室内熱交換器の表面を洗浄するための洗浄用冷房運転とを、実行する制御部と、を備えており、
前記制御部は、前記圧縮機と、前記膨張弁と、前記室内ファンとを制御することにより、前記洗浄用冷房運転を実行した後に、前記室内熱交換器の表面を乾燥させる乾燥運転を実行し、
前記制御部は、前記乾燥運転を前記暖房運転から開始し、前記乾燥運転の運転中に前記室温センサにより室温を検出し、検出された室温が予め設定された温度に達した際に、前記暖房運転と前記送風運転とを切り替える、空気調和機が提供される。
【0008】
請求項2に記載のごとく、好ましくは、前記洗浄用冷房運転の開始前に、前記室温センサ、又は、外気温を検出する外気温センサにより、温度が検出され、
検出された前記温度が第1基準温度以下のときには、前記乾燥運転を開始する際に設定される前記暖房運転の開始温度は、第1開始温度に設定され、
検出された前記温度が前記第1基準温度よりも高い第2基準温度以上の場合には、前記開始温度は前記第1開始温度よりも高い第2開始温度に設定され、
検出された前記温度が前記第1基準温度よりも大きく前記第2基準温度よりも小さい場合には、前記開始温度は、前記第1開始温度から前記第2開始温度の範囲内にて、検出された前記温度が高くなるにつれて、高くなるように設定されている。
【0009】
請求項3に記載のごとく、好ましくは、前記洗浄用冷房運転の開始前に、前記室温センサ、又は、外気温を検出する外気温センサにより、温度が検出され、
検出された前記温度が基準温度以下のときには、前記乾燥運転を開始する際に設定される前記暖房運転の開始温度は、第1開始温度に設定され、
検出された前記温度が前記基準温度を超えるときには、前記開始温度は、前記第1開始温度よりも高い第2開始温度に設定されている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1では、制御部は、圧縮機と、膨張弁と、室内ファンとを制御することにより、洗浄用冷房運転を実行した後に、室内熱交換器の表面を乾燥させる乾燥運転を実行する。さらに、制御部は、乾燥運転を暖房運転から開始し、乾燥運転の運転中に室温センサにより室温を検出し、検出された室温が予め設定された温度に達した際に、暖房運転と送風運転とを切り替える。予め定められた高温の暖房運転のみを実行する乾燥運転と比較すると、暖房運転と送風運転とを組み合わせて乾燥運転を実行することにより、精度良く室温を制御し、室温の上昇を抑制できる。消費電力を小さくすることもできる。
【0011】
請求項2では、洗浄用冷房運転の開始前に、室温センサ、又は、外気温を検出する外気温センサにより、温度が検出される。検出された温度が第1基準温度以下のときには、乾燥運転を開始する際に設定される暖房運転の開始温度は、第1開始温度に設定される。検出された温度が第1基準温度よりも高い第2基準温度以上の場合には、開始温度は第1開始温度よりも高い第2開始温度に設定される。検出された温度が第1基準温度よりも大きく第2基準温度よりも小さい場合には、開始温度は、第1開始温度から第2開始温度の範囲内にて、室温が高くなるにつれて、高くなるように設定される。
【0012】
即ち、室温が低くなるにつれて、乾燥運転を開始する際に設定される暖房運転の開始温度も低く、又は、一定に設定されている。高温の暖房運転のみを実行する乾燥運転と比較すると、室温が高くなりすぎることをさらに抑制できる。
【0013】
請求項3では、洗浄用冷房運転の開始前に、室温センサ、又は、外気温を検出する外気温センサにより、温度が検出される。検出された温度が基準温度以下のときには、乾燥運転を開始する際に設定される暖房運転の開始温度は、第1開始温度に設定される。検出された温度が基準温度を超えるときには、開始温度は、第1開始温度よりも高い第2開始温度に設定される。
【0014】
即ち、室温が低くなるにつれて、乾燥運転を開始する際に設定される暖房運転の開始温度も低く、又は、一定に設定されている。高温の暖房運転のみを実行する乾燥運転と比較すると、室温が高くなりすぎることをさらに抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】
図1に示された空気調和機のブロック図である。
【
図3】
図1に示された空気調和機の洗浄用冷房運転の制御内容を説明するフローチャートである。
【
図4】
図1に示された空気調和機の乾燥運転の制御内容を説明するフローチャートである。
【
図5】洗浄用冷房運転開始前の室温と、暖房運転を開始する際に設定される開始温度との関係を示したマップである。
【
図6】乾燥運転における暖房運転と送風運転との切替を説明する図である。
【
図7】洗浄用冷房運転開始前の外気温と、暖房運転を開始する際に設定される開始温度との関係を示したマップである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
【0017】
<実施例1>
図1には、内部を冷媒が流れる冷媒回路11を備えたエアコン装置10(空気調和機)が示されている。エアコン装置10は、室内Rを冷却する冷房運転と、室内Rを暖める暖房運転と、を行う機能を備えている。冷媒回路11は、室外Ouに配置された室外機20と、室内Rに配置された室内機30とを、含んでいる。以下、特に説明のない限り、冷媒の循環する方向は、冷房運転時を基準とする。
【0018】
室外機20は、冷房運転時及び暖房運転時における冷媒の循環する方向を切り替える四路切替弁21と、この四路切替弁21を通過した冷媒が流され冷媒を圧縮する圧縮機22と、この圧縮機22において圧縮され高温高圧となった冷媒が流れる室外熱交換器23と、この室外熱交換器23に向かって風を送るプロペラファン24と、室外熱交換器23を通過した冷媒を減圧する膨張弁25と、を有する。
【0019】
室内機30は、室内Rにおいて壁Waに掛けられている。室内機30は、室内から空気を取り込むと共に室内へ空気を送風する室内ファン31と、この室内ファン31が取り込んだ空気を冷却する室内熱交換器32と、室内ファン31及び室内熱交換器32を収納しているケース33と、を有している。
【0020】
ケース33は、室内ファン31が送り出す風の吹出口となる送風口33aを有する。送風口33aには、吹き出される送風の左右の向きを調整する左右ルーバ34と、吹き出される送風の上下の向きを調整する上下ルーバ35と、が配置されている。
【0021】
冷房運転について説明する。圧縮機22により高温高圧とされた冷媒は、室外熱交換器23において外気と熱交換を行い、熱を放出する。このとき、プロペラファン24が回転することによって、外気を強制的に室外熱交換器23の外周に流し、熱交換を促す。室外熱交換器23を通過し熱を放出した冷媒は、膨張弁25において減圧され、温度が低下する。温度が低下した冷媒は、室内熱交換器32へ流れる。
【0022】
室内熱交換器32に流れ込んだ低温の冷媒は、室内熱交換器32において室内Rの空気と熱交換を行い、室内Rの空気を冷却する。冷却された空気は、室内ファン31によって室内Rに送風される。室内ファン31は、空気を強制的に室内熱交換器32の外周に流し、冷媒との熱交換を促す。
【0023】
暖房運転時には、四路切替弁21が冷媒の流路を切り替え、冷房運転時とは逆方向に冷媒を循環させる。さらに、エアコン装置10は、室内熱交換器32による熱交換を行わずに室内ファン31により室内へ風を送る送風運転を行う機能も備えている。
【0024】
図2には、エアコン装置10(
図1参照)の制御ブロック図が示されている。室内機30は、室内ファン31と、左右ルーバ34と、上下ルーバ35とを制御する室内制御部40(制御部)と、室内の温度を検出する室温センサ41と、室内制御部40により運転状況を表示する表示ランプ42と、リモコン12との間で所定の情報をやり取りするリモコン送受信部43と、を内蔵している。
【0025】
室内制御部40は、リモコン送受信部43を介して受信したデータや、室温センサ41の検出値や、後述する設定温度や基準時間や、その他所定のプログラム等が記憶される記憶部44と、各種運転の経過時間を計測するタイマt1,t2と、を有している。
【0026】
室外機20は、室内制御部40と電気的に接続している室外制御部45を有している。室内制御部40は、室外制御部45を介して、四路切替弁21と、圧縮機22と、プロペラファン24と、膨張弁25とを制御可能である。
【0027】
エアコン装置10は、室内熱交換器32(
図1参照)の表面に付着した塵埃を洗浄する洗浄運転を行う機能も備えている。以下、エアコン装置10の洗浄運転の制御内容を説明する。
【0028】
リモコン12(
図2参照)から室内制御部40へ洗浄運転開始の信号が送信された場合、又は、冷房運転又は暖房運転の終了後、所定の条件を満たしている場合(例えば前回の洗浄運転の終了から所定の時間が経過しているなど)、室内制御部40は、表示ランプ42を洗浄運転を行っている旨を示す態様で洗浄運転を開始する。
【0029】
なお、洗浄運転とは、結露により室内熱交換器32の表面に水滴を生成させて塵埃を洗い流す洗浄用冷房運転と、洗浄用冷房運転後に実行されて室内熱交換器32の表面を乾燥させる乾燥運転とを含むものである。
【0030】
(洗浄用冷房運転)
図3を参照する。洗浄運転が開始されると(スタート)、ステップSt1では、第1のタイマt1が”0”からスタートする。
【0031】
ステップSt2では、室温センサ41が検出した室温Tr1を室内制御部40が取得する。室温Tr1は、洗浄用冷房運転の開始前に検出される温度である。
【0032】
ステップSt3では、洗浄用冷房運転を実行する。洗浄用冷房運転は、通常の冷房運転と同様に、室内制御部40からの指令を受けた室外制御部45が、圧縮機22と膨張弁25及び四路切替弁21とを制御することにより実行される。
【0033】
洗浄用冷房運転は、予め設定された条件に基づいて実行される。例えば、洗浄用冷房運転の設定温度は、所定の温度とし、左右ルーバ34及び上下ルーバ35は、風量最大時における位置で固定する。風量は適宜変化させる。
【0034】
洗浄用冷房運転の開始後、ステップst4では、第1のタイマt1による計測時間(洗浄用冷房運転の継続時間)が、予め設定された基準時間m1を経過したか判断する(t1 > m1)。
【0035】
第1のタイマt1による計測時間が基準時間m1を経過している場合(t1 > m1)、
図4に示す乾燥運転のフローチャートに進む。
【0036】
第1のタイマt1による計測時間が基準時間m1を経過していない場合(t1 ≦ m1)、ステップSt5では、室温センサ41が検出した室温Tr2を室内制御部40が取得する。室温Tr2は、洗浄用冷房運転の運転中に検出される温度である。
【0037】
その後、ステップSt6では、洗浄用冷房運転により室温Tr2が予め設定された設定温度Tpを下回ったか判断する(Tr2 < Tp)。室温Tr2が設定温度Tp以上の場合(Tr2 ≧ Tp)洗浄用冷房運転を継続する。室温Tr2が設定温度Tp1を下回った場合(Tr2 < Tp)、
図4に示す乾燥運転のフローチャートに進む。
【0038】
(乾燥運転)
図4を参照する。室内制御部40は、乾燥運転を暖房運転から開始する。さらに、室内制御部40は、室温が予め設定された温度に達した際に、暖房運転と送風運転とを切り替える。以下、詳細に説明する。
【0039】
ステップSt7では、第2のタイマt2が”0”からスタートする。
【0040】
(暖房運転の開始温度Ts)
ステップSt8では、室温Tr1(洗浄用冷房運転の開始前に検出された室温(ステップSt2参照))に応じて、乾燥運転を開始する際に設定される暖房運転の開始温度Tsが決められる。
【0041】
図5は、室温Tr1と開始温度Tsとの関係を示したグラフ形式のマップである。室温Tr1が第1基準温度Ta1以下のときには(Tr1 ≦ Ta1)、開始温度Tsは第1開始温度Ts1に設定される(Ts = Ts1)。第1基準温度Ta1よりも高い温度を第2基準温度Ta2とする(Ta1 < Ta2)。第1開始温度Ts1よりも高い温度を第2開始温度Ts2とする(Ts1 < Ts2)。室温Tr1が第2基準温度Ta2以上のときには(Tr1 ≧ Ta2)、開始温度Tsは、第2開始温度Ts2に設定される(Ts = Ts2)。
【0042】
室温Tr1が、第1基準温度Ta1よりも大きく、第2基準温度Ta2よりも小さい場合には(Ta1 < Tr1 < Ta2)、開始温度Tsは、第1開始温度Ts1から第2開始温度Ts2の範囲内にて(Ts1 ≦ Ts ≦ Ts2)、室温Tr1が高いほど開始温度Tsも高くなるように設定される。
【0043】
図4に戻る。ステップSt9では、ステップSt8にて決定された開始温度Tsにより暖房運転が実行される。上下ルーバ35及び左右ルーバ34は、風量最大時における位置で固定する。風量は適宜変化させる。
【0044】
暖房運転の開始後、ステップSt10では、室温センサ41が検出した室温Tr3を室内制御部40が取得する。室温Tr3は、乾燥運転の運転中に検出される温度である。
【0045】
乾燥運転が開始されると、暖房運転が実行されるため、室温Tr3が上昇する(
図6参照)。ステップSt11では、室温Tr3が、暖房運転と送風運転とを切り替えるために予め設定された切替温度Tcに達したか判断する(Tr3 ≧ Tc)。
【0046】
室温Tr3が切替温度Tcに達した場合(Tr3 ≧ Tc)、ステップSt12では、室内制御部40は暖房運転を停止し送風運転に切り替える。
【0047】
ステップSt13では、室温センサ41が検出した室温Tr3を室内制御部40が取得する。
図6を参照する。暖房運転から送風運転へ切り替えた直後は、室内熱交換器32の余熱により室温Tr3は上昇し続ける。その後、送風運転を継続すると、例えば、室温Tr3が一定に推移し続ける場合や、室温Tr3が一定に推移した後に下降し始める場合がある。
【0048】
ステップSt14では、室温Tr3が切替温度Tcを下回ったか判断する(Tr3 < Tc)。室温Tr3が切替温度Tcを下回った場合(Tr3 < Tc)、室内制御部40は、送風運転を停止して暖房運転に切り替える。
【0049】
再度開始される暖房運転の開始温度Tsは、ステップst8にて決定された温度である。
【0050】
なお、ステップst11にて、室温Tr3が切替温度Tcに達しない場合、ステップst15では、第2のタイマt2による計測時間(乾燥運転の継続時間)が、予め設定された基準時間m2を経過したか判断する。
【0051】
第2のタイマt2による計測時間が、基準時間m2を経過しない場合、暖房運転を継続する。第2のタイマt2による計測時間が、基準時間m2を経過した場合、室内制御部40は暖房運転を停止し、洗浄運転が終了する(エンド)。
【0052】
同様に、ステップst14にて、室温Tr3が切替温度Tcを下回らない場合、ステップst16では、第2のタイマt2による計測時間(乾燥運転の継続時間)が、基準時間m2を経過したか判断する。
【0053】
第2のタイマt2による計測時間が、基準時間m2を経過しない場合、送風運転を継続する。第2のタイマt2による計測時間が、基準時間m2を経過した場合、室内制御部40は送風運転を停止し、洗浄運転が終了する(エンド)。なお、送風運転の運転中に、第2のタイマt2による計測時間が、基準時間m2を経過した場合、さらに、暖房運転を所定の時間行って、洗浄運転を終了してもよい。室内熱交換器32の乾き残しを防止できる。
【0054】
(実施例の効果)
(暖房運転と送風運転による室温Tr3の制御)
図4を参照する。室内制御部40は、乾燥運転を暖房運転から開始する(ステップst9参照)。さらに、室内制御部40は、室温Tr3が切替温度Tcに達した際に、暖房運転と送風運転とを切り替える(ステップst11,ステップst14参照)。
【0055】
予め定められた高温の暖房運転のみを実行する乾燥運転と比較すると、暖房運転と送風運転とを組み合わせて乾燥運転を実行することにより、精度良く室温を制御し、室温の上昇を抑制できる。消費電力を小さくすることもできる。
【0056】
図6を参照する。加えて、切替温度Tcは、乾燥運転を開始する際に設定される暖房運転の開始温度Tsよりも低く設定されている(Tc < Ts)。室温Tr3が開始温度Tsに達するよりも前に、暖房運転から送風運転へ切り替えられるため、室温Tr3が開始温度Tsを超えにくくなり、室温Tr3の上昇をさらに抑制できる。
【0057】
(室温Tr1に応じた暖房運転の開始温度Ts)
図4を参照する。ステップSt8では、室温Tr1(洗浄用冷房運転の開始直前の室温(ステップst2参照))に応じて、乾燥運転を開始する際に設定される暖房運転の開始温度Tsが決められる。詳細には、
図5に示すとおり、室温Tr1が低くなるにつれて、暖房運転の開始温度Tsも低く、又は、一定に設定される。室温に関わらず、一定の設定温度で暖房運転を実行する場合と比較すると、乾燥運転により室温が高温になることを抑制できる。
【0058】
<実施例2>
図2及び
図4を参照する。室外機20は、外気温センサ26も備えている。乾燥運転を開始する際に設定される暖房運転の開始温度Tsは、室温Tr1に代えて、洗浄用冷房運転の開始前に外気温センサ26により検出される外気温Toに応じて設定してもよい。さらに、
図5のマップに代えて、
図7のマップに基づいて開始温度Tsを設定しても良い。
【0059】
図7を参照する。外気温Toが基準温度Tb以下のときには、開始温度Tsは、第1開始温度Ts1に設定される。外気温Toが基準温度Tbを超えるときには、第1開始温度Ts1よりも高い第2開始温度Ts2に設定される。即ち、基準温度Tb以下のときには、開始温度Tsが低く設定される。室温に関わらず、一定の設定温度で暖房運転を実行する場合と比較すると、室温が高温になることを抑制できる。
【0060】
本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、本発明は実施例に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の空気調和装置は、家庭用のエアコン装置に好適である。
【符号の説明】
【0062】
10…エアコン装置(空気調和機)
11…冷媒回路
21…四路切替弁
22…圧縮機
25…膨張弁
26…外気温センサ
32…室内熱交換器
40…室内制御部(制御部)
41…室温センサ
Tr1…洗浄用冷房運転の開始前に検出される温度(室温)
To…洗浄用冷房運転の開始前に検出される(外気温)
Tc…暖房運転と送風運転とを切り替える切替温度
Tr3…乾燥運転の運転中に室温センサにより検出される室温
Ta1…第1基準温度
Ta2…第2基準温度
Ts…乾燥運転を開始する際に設定される暖房運転の開始温度
Ts1…第1開始温度
Ts2…第2開始温度
Tb…基準温度