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特許7602950撮像装置、撮像方法、撮像プログラム及び記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-11
(45)【発行日】2024-12-19
(54)【発明の名称】撮像装置、撮像方法、撮像プログラム及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/60 20230101AFI20241212BHJP
   H04N 5/77 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
H04N23/60 300
H04N23/60 100
H04N5/77
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021058062
(22)【出願日】2021-03-30
(65)【公開番号】P2022154830
(43)【公開日】2022-10-13
【審査請求日】2024-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新居 健太
【審査官】櫃本 研太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-197793(JP,A)
【文献】特開2018-038009(JP,A)
【文献】特開2010-181280(JP,A)
【文献】特開2019-027824(JP,A)
【文献】特開2015-122101(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/222-5/257、
5/76-5/775,5/80-5/956、
7/18
23/00、23/40-23/76、
23/90-23/959
B60R 1/00-1/04、1/08-1/31、
9/00-11/06
G07C 1/00-15/00
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-21/36、23/00-25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体と共に移動する撮像部により最近撮像された連続画像を記憶する記憶部と、
ユーザー操作による撮像指示を受付ける受付部と、
前記受付部が撮像指示を受付けた時点から第1時間遡った時点までの期間内において、前記移動体が予め設定された撮像地点に位置していた場合に、当該撮像地点に前記移動体が位置していた時点を基準とする1又は複数のタイミングの各々で前記撮像部により撮像された所定数の画像を前記記憶部から撮像画像として抽出する抽出部と、
を備える撮像装置。
【請求項2】
前記移動体の現在位置に対応する電子地図上の位置を特定する位置特定部を備え、
前記抽出部は、前記位置特定部により特定された位置が前記電子地図において予め設定された前記撮像地点に位置していた時点を基準とする所定時間幅内において、前記撮像部により撮像された所定数の画像を前記記憶部から撮像画像として抽出する請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記移動体の現在位置に対応する電子地図上の位置を特定する位置特定部を備え、
前記抽出部は、前記位置特定部により特定された位置が前記電子地図において予め設定された前記撮像地点を基準とする所定距離内に位置していた際に前記撮像部により撮像された所定数の画像を、前記記憶部から撮像画像として抽出する請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記受付部は、前記ユーザーの発話および接触操作に基づいて前記撮像指示を受付け、
前記抽出部は、前記受付部が前記発話に基づいて前記撮像指示を受付けた場合は、前記受付部が前記接触操作に基づいて前記撮像指示を受付けた場合よりも、前記第1時間を長く設定する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記抽出部は、前記受付部が撮像指示を受付けた時点から前記第1時間遡った時点までの期間内に前記移動体が予め設定された撮像地点に位置しなかった場合に、前記撮像指示を受付けた時点から第2時間遡ったタイミングで前記撮像部により撮像された所定数の画像を前記記憶部から撮像画像として抽出する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記受付部は、前記ユーザーの発話および接触操作に基づいて前記撮像指示を受付け、
前記抽出部は、前記受付部が撮像指示を受付けた時点から前記第1時間遡った時点までの期間内に前記移動体が予め設定された撮像地点に位置しなかった場合において、前記受付部が前記発話に基づいて前記撮像指示を受付けた場合は、前記受付部が前記接触操作に基づいて前記撮像指示を受付けた場合よりも、前記第2時間を長く設定する請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記抽出部は、前記撮像地点に前記移動体が位置していた時点を基準とする1のタイミングで前記撮像部により撮像された1つの画像を抽出する請求項1乃至6のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記予め設定された撮像地点は、景観の良い地点として設定された地点を含む請求項1乃至7のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記抽出部により抽出された画像を、外部装置に送信する送信部を備える請求項1乃至8のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項10】
撮像装置によって実行される撮像方法であって、
移動体と共に移動する撮像部により最近撮像された連続画像を記憶部に記憶する記憶ステップと、
ユーザー操作による撮像指示を受付ける受付ステップと、
前記受付ステップにおいて前記撮像指示を受付けた時点から第1時間遡った時点までの期間内において、前記移動体が予め設定された撮像地点に位置していた場合に、当該撮像地点に前記移動体が位置していた時点を基準とする1又は複数のタイミングの各々で前記撮像部により撮像された所定数の画像を前記記憶部から撮像画像として抽出する抽出ステップと、
を含む撮像方法。
【請求項11】
コンピュータを備える撮像装置によって実行される撮像プログラムであって、前記コンピュータに、
移動体と共に移動する撮像部により最近撮像された連続画像を記憶部に記憶する記憶ステップと、
ユーザー操作による撮像指示を受付ける受付ステップと、
前記受付ステップにおいて前記撮像指示を受付けた時点から第1時間遡った時点までの期間内において、前記移動体が予め設定された撮像地点に位置していた場合に、当該撮像地点に前記移動体が位置していた時点を基準とする1又は複数のタイミングの各々で前記撮像部により撮像された所定数の画像を前記記憶部から撮像画像として抽出する抽出ステップと、
を実行させる撮像プログラム。
【請求項12】
請求項11に記載の撮像プログラムを格納し、コンピュータが読取可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、撮像方法、撮像プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
予め撮影された複数の画像の中から、ベストショットの静止画等の目的の画像を抽出する技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、動画データを静止画像化する場合に、撮影タイミング(シャッター操作タイミング)で得られた画像をメインフレームとして配置すると共に、その撮影タイミングの前に得られた所定数分のフレーム画像をその他のフレーム画像として配置した静止画を作成する撮像装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-318773
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような撮像装置において、ユーザーからの指示のタイミングと、目的の画像が実際に撮影されたタイミングとが合わない場合も多く、ユーザーからの指示があったタイミングで得られた画像を静止画像化しても、ユーザーが撮像したいと希望する画像が抽出されない場合もあることが課題の1つとして挙げられる。
【0006】
本発明は上記した点に鑑みてなされたものであり、ユーザーによる撮像指示に従って撮像する撮像装置において、ユーザーが撮像を希望する風景が映った画像を高い確率で取得することを可能とする撮像装置、撮像方法、撮像プログラム及び記録媒体を提供することを目的の1つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、移動体と共に移動する撮像部により最近撮像された連続画像を記憶する記憶部と、ユーザー操作による撮像指示を受付ける受付部と、前記受付部が撮像指示を受付けた時点から第1時間遡った時点までの期間内において、前記移動体が予め設定された撮像地点に位置していた場合に、当該撮像地点に前記移動体が位置していた時点を基準とする1又は複数のタイミングの各々で前記撮像部により撮像された所定数の画像を前記記憶部から撮像画像として抽出する抽出部と、を備える。
【0008】
請求項10に記載の発明は、撮像装置によって実行される撮像方法であって、移動体と共に移動する撮像部により最近撮像された連続画像を記憶部に記憶する記憶ステップと、ユーザー操作による撮像指示を受付ける受付ステップと、前記受付ステップにおいて前記撮像指示を受付けた時点から第1時間遡った時点までの期間内において、前記移動体が予め設定された撮像地点に位置していた場合に、当該撮像地点に前記移動体が位置していた時点を基準とする1又は複数のタイミングの各々で前記撮像部により撮像された所定数の画像を前記記憶部から撮像画像として抽出する抽出ステップと、を含む。
【0009】
請求項11に記載の発明は、コンピュータを備える撮像装置によって実行される撮像プログラムであって、前記コンピュータに、移動体と共に移動する撮像部により最近撮像された連続画像を記憶部に記憶する記憶ステップと、ユーザー操作による撮像指示を受付ける受付ステップと、前記受付ステップにおいて前記撮像指示を受付けた時点から第1時間遡った時点までの期間内において、前記移動体が予め設定された撮像地点に位置していた場合に、当該撮像地点に前記移動体が位置していた時点を基準とする1又は複数のタイミングの各々で前記撮像部により撮像された所定数の画像を前記記憶部から撮像画像として抽出する抽出ステップと、を実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例に係る撮像装置が搭載されている車両の前席部分を示す図である。
図2】実施例に係る撮像装置の構成を示すブロック図である。
図3】実施例に係る電子地図に含まれる情報の一例を示す図である。
図4】実施例に係る撮像装置の撮像のタイミングの一例を示す図である。
図5】実施例に係る撮像装置によって実行されるルーチンの一例を示すフローチャートである。
図6】実施例に係る撮像装置によって実行されるサブルーチンの一例を示すフローチャートである。
図7】実施例に係る撮像装置によって実行されるサブルーチンの他の一例を示すフローチャートである。
図8】実施例に係る撮像装置によって実行されるルーチンの他の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の実施例について詳細に説明する。なお、以下の説明及び添付図面においては、実質的に同一又は等価な部分には同一の参照符号を付している。
【実施例
【0012】
図1図3を参照しつつ、実施例に係る撮像装置10の構成について説明する。図1は、実施例に係る撮像装置10が搭載されている移動体の一例としての車両Mの前席部分を示す図である。
【0013】
図1に示すように、撮像装置10は、車両Mのセンターコンソールに配置されている。撮像装置10は、車両Mから外部の風景を映した映像を取得し、ユーザーからの撮像の指示に応じて当該映像から撮像画像として画像を抽出する装置である。
【0014】
撮像部としての前方カメラ11は、ルームミラーRMの裏、すなわちフロントガラスFGに対向する面に設けられている。前方カメラ11は、車両Mの進行方向を撮影方向としている。車両Mの進行方向を前方としたとき、前方カメラ11は、車両Mの前方、右前方及び左前方を含む範囲の画像を撮影可能に配置されている。従って、前方カメラ11は、車両Mの前席に搭乗するユーザーの前方を見ている際の視界の範囲内の画像を撮影可能である。前方カメラ11は、撮像装置10と通信可能に接続されており、撮影した映像の信号を撮像装置10に送信することが可能である。
【0015】
前方カメラ11は、車両Mの前方の映像を撮影可能であれば車両Mのいずれの箇所に設けられてもよい。例えば、前方カメラ11は、ダッシュボードDB上に配されていてもよく、車両Mの外側面(外装面)、例えばボンネット上またはフロントバンパー等に設けられていてもよい。
【0016】
撮像部としての側方カメラ13は、左前側のドアの上方に取り付けられている。側方カメラ13は、車両Mの側方、すなわち車両Mの進行方向に垂直な水平方向を撮影方向としている。車両Mの進行方向を前方としたとき、側方カメラ13は、左側方、左前方及び左後方を含む範囲の画像を撮影可能に配置されている。従って、側方カメラ13は、車両Mの前席の左側又は後部座席の左側に搭乗するユーザーの左側方を見ている際の視界の範囲内の画像を撮影可能である。側方カメラ13は、撮影した映像の信号を撮像装置10に送信することが可能である。
【0017】
側方カメラ13は、車両Mの側方の映像を撮影可能であれば車両Mのいずれの箇所に設けられてもよい。例えば、側方カメラ13は、車両Mの外装面の、例えばドアの上方に配されていてもよい。
【0018】
なお、上記前方カメラ11及び側方カメラ13と同様のカメラ(図示せず)が、車両Mの右側方を含む範囲の画像を撮影可能に車両Mに取り付けられていてもよい。また、上記前方カメラ11及び側方カメラ13と同様のカメラが、車両Mの後方を撮影可能なリアカメラとして車両Mに取り付けられていてもよい。
【0019】
マイク15は、車両M内の音声を取得可能に配置された音声入力装置である。マイク15は、撮像装置10と通信可能に接続されており、取得した音声を電気信号に変換して撮像装置10に送信することが可能である。撮像装置10は、マイク15から信号を受信して、ユーザーの発話に基づく音声について音声認識を行い、特定の言葉を認識した場合に、当該音声をユーザーからの撮像指示として認識する。
【0020】
タッチパネルディスプレイ17は、タッチパネル及びディスプレイからなる。タッチパネルディスプレイ17は、撮像装置10と通信可能に接続されている。タッチパネルディスプレイ17のディスプレイは、撮像装置10から供給される画像を表示する。タッチパネルディスプレイ17のタッチパネルは、タッチパネルへの接触による入力操作を示す信号を撮像装置10に送信する。
【0021】
例えば、タッチパネルディスプレイ17は、撮像装置10への撮像指示を示すボタンをディスプレイに表示する。例えば、撮像装置10は、当該撮像指示を示すボタンが押されると、タッチパネルディスプレイ17のタッチパネルを介して、ユーザーからの撮像指示を受け付ける。
【0022】
GNSS受信機19は、GNSS(Global Navigation Satellite System)衛星からの信号(GNSS信号)を受信する装置である。GNSS受信機19は、例えば、ダッシュボードDB上に配されている。なお、GNSS受信機19は、GNSS信号が受信できればいずれの箇所に配されていてもよい。
【0023】
GNSS受信機19は、撮像装置10と通信可能に接続されており、受信したGNSS信号を撮像装置10に送信することが可能である。撮像装置10は、GNSS信号を用いて車両Mの現在位置情報を取得して記憶する。
【0024】
撮像装置10は、前方カメラ11及び側方カメラ13によって撮像された動画を取得して記憶する。言い換えれば、本実施例において、撮像装置10は、いわゆるドライブレコーダと同様の機能を有する。
【0025】
撮像装置10は、マイク15又はタッチパネルディスプレイ17を介してユーザーからの音声操作又はタッチパネルの接触操作による撮像指示を示す入力操作を受け付けると、記憶した動画を用いて撮像画像としての静止画を撮像する。具体的には、撮像装置10は、記憶されている動画を構成する多数のフレーム画像の中から所定数のフレーム画像を抽出して静止画を生成する。撮像装置10は、当該抽出された静止画をサーバ(図示せず)に送信する、すなわちアップロードする。
【0026】
図2は、撮像装置10の構成を示すブロック図である。図2に示すように、撮像装置10は、システムバス21を介して各部が接続されて構成されている。
【0027】
入力部23は、撮像装置10と車両M1に備えられた機器とを通信可能に接続するインターフェースである。
【0028】
入力部23は、撮像装置10と、前方カメラ11及び側方カメラ13とを通信可能に接続する。また、入力部23は、撮像装置10と、マイク15とを通信可能に接続する。
【0029】
入力部23は、撮像装置10と、タッチパネルディスプレイ17のタッチパネルとを通信可能に接続する。
【0030】
入力部23は、撮像装置10とGNSS受信機19及び車両Mに備えられたセンサ24とを通信可能に接続するインターフェースである。センサ24は、加速度センサ及びジャイロセンサを含むセンサ群である。例えば、加速度センサは撮像装置10に内蔵されていてもよい。
【0031】
撮像装置10は、GNSS受信機19、及びセンサ24のセンサ信号から、車両Mの現在位置を含む車両Mの走行に関する情報を取得して記憶することで車両Mの走行履歴を作成する。
【0032】
大容量記憶装置25は、例えば、ハードディスク装置、SSD(solid state drive)、フラッシュメモリ等により構成された記憶装置である。大容量記憶装置25は、撮像装置10において実行される各種プログラムを記憶する。なお、各種プログラムは、例えば他のサーバ装置等からネットワークを介して取得されてもよく、記録媒体に記録されて各種ドライブ装置を介して読み込まれてもよい。例えば、大容量記憶装置25は、撮像装置10によって、動画から画像を抽出して静止画を作成する場合に実行される撮像プログラムを記憶する。
【0033】
大容量記憶装置25は、各種プログラムを実行するために必要な情報を記憶する。例えば、大容量記憶装置25は、車両Mの走行履歴に関する情報を記憶する。具体的には、当該走行履歴には、例えば、所定間隔の時刻毎の車両Mの位置が当該時刻に対応付けられた情報が含まれる。
【0034】
大容量記憶装置25は、各種プログラムを実行するために必要なデータが格納されたデータベースを記憶している。
【0035】
大容量記憶装置25は、地図情報データベース(以下、地図情報DBと称する)25Aを含む。地図情報DB25Aには、車両Mが走行する領域の地図情報(以下、電子地図とも称する)が記憶されている。
【0036】
図3は、地図情報DB25Aにおいて電子地図とともに記憶されている情報の一例を示す図である。地図情報DB25Aには、電子地図上の地点のうち、移動体が位置した際に撮像が推奨される地点、またはユーザーが撮像を希望すると予想される地点として予め設定された地点である設定地点が当該電子地図に対応付けられて記憶されている。以下の説明において、設定地点を「撮像地点」とも称する。
【0037】
図3に示すように、設定地点を示す位置情報の各々に、設定地点の各々を識別するための設定地点IDが対応付けられている。なお、設定地点を示す位置情報は、道路リンク又は車線リンクを示す情報であってもよく、領域を示す情報であってもよい。
【0038】
上述のように、設定地点は、移動体が位置した際に撮像が推奨される地点、またはユーザーが撮像を希望すると予想される地点である。設定地点は、例えば、景観の良い地点である。例えば、設定地点は、当該設定地点に移動体が位置する際に、移動体から山、海または建物等の見ごたえのある地物が視認可能である地点である。撮像装置10は、車両Mが設定地点に位置していたタイミングに基づいて、抽出すべき画像を特定することで、ユーザーが撮像を希望する風景が映った画像を取得する確率を高めることを可能とする。
【0039】
再び図2を参照すると、大容量記憶装置25は、動画記憶部25Bを有している。動画記憶部25Bは、前方カメラ11及び側方カメラ13によって撮像された動画像を記憶する。動画記憶部25Bは、例えば、一定時間分の動画像を保持する。また、動画記憶部25Bは、例えば、所定容量分の動画像を記憶する。
【0040】
さらに、大容量記憶装置25は、画像一時保存部25Cを有している。画像一時保存部25Cには、例えば、動画記憶部25Bに記憶されている動画像に含まれる画像が一部抜粋されて一時保存される。例えば、画像一時保存部25Cは、リングバッファのように、時々刻々と新しい画像が保存されるメモリ部分である。画像一時保存部25Cには、例えば、数十秒分の動画像の中の複数のフレーム画像が保存され得る。例えば、画像一時保存部25Cには、動画像の中から所定時間毎に抽出されたフレーム画像が保存される。画像一時保存部25Cにおいて、古いフレーム画像が新しいフレーム画像によって書き換えられることで、時々刻々と画像の更新がなされる。
【0041】
例えば、画像一時保存部25Cは、動画記憶部25Bに記憶されている動画像が15~30fps程度(例えば、27.5fps)のフレームレートで撮像されている場合に、例えば、約1秒毎に1つのフレーム画像を10枚、すなわち約10秒間分保存してもよい。例えば、1秒間に6つ程度の画像を等時間間隔で数十秒分保存してもよい。
【0042】
大容量記憶装置25の動画記憶部25B及び画像一時保存部25Cには、移動体と共に移動する撮像部により最近撮像された連続画像が記憶される。なお、連続画像とは、時系列に沿って並んでいる画像を指す。
【0043】
制御部27は、CPU(Central Processing Unit)27A、ROM(Read Only Memory)27B、RAM(Random Access Memory)27C等により構成され、コンピュータとして機能する。そして、CPU27Aが、ROM27Bや大容量記憶装置25に記憶された各種プログラムを読み出し実行することにより各種機能を実現する。
【0044】
制御部27は、大容量記憶装置25に記憶された撮像プログラムを読み出して実行することで、ユーザーからの撮像指示に応じて撮像画像を抽出する。
【0045】
制御部27は、入力部23を介して、前方カメラ11及び側方カメラ13によって取得された動画像を大容量記憶装置25の動画記憶部25Bに記憶する。また、制御部27は、動画記憶部25Bに記憶されている動画像に含まれる画像を一部抜粋して画像一時保存部25Cに一時保存する。
【0046】
換言すれば、制御部27は、移動体と共に移動する撮像部により最近撮像された連続画像を、記憶部としての動画記憶部25B又は画像一時保存部25Cに記憶する記憶ステップを実行する。
【0047】
制御部27は、入力部23を介して、車両M内の音声をマイク15から取得し、音声認識を行う。制御部27は、車両M内に居るユーザーの発話に基づいて特定の音声を認識した場合に、当該ユーザーからの撮像指示を受け付ける。例えば、制御部27は、所定のウェイクワード及び音声コマンドを認識した場合に、ユーザーからの撮像指示を受け付ける。言い換えれば、制御部27は、ユーザーの音声操作による撮像指示を受け付ける。
【0048】
制御部27は、入力部23を介して、タッチパネルディスプレイ17を用いた入力操作を認識する。制御部27は、タッチパネルディスプレイ17のタッチパネルになされた特定の接触操作を認識した場合に、ユーザーからの撮像指示を受け付ける。例えば、制御部27は、タッチパネルディスプレイ17のディスプレイに表示された撮像指示のボタンが押されたことを認識した場合に、ユーザーからの撮像指示を受け付ける。
【0049】
このように、制御部27は、ユーザーの発話による音声操作又はユーザーのタッチパネルへの接触操作等のユーザー操作を認識することによって当該ユーザーからの撮像指示を受け付ける。制御部27は、ユーザー操作による撮像指示を受付ける受付ステップを実行する受付部として機能する。
【0050】
制御部27は、入力部23を介してGNSS受信機19及びセンサ24から取得したデータに基づいて、車両Mの現在位置を取得する。また、制御部27は、地図情報DB25Aに記憶されている電子地図を参照して車両Mの現在位置に対応する電子地図上の位置を特定し、位置特定部として機能する。
【0051】
また、制御部27は、車両Mの現在位置と、現在時刻とを対応付けた情報を含む走行履歴を生成して大容量記憶装置25に記憶させる。
【0052】
制御部27は、ユーザーからの撮像指示を受け付けると、大容量記憶装置25に記憶された画像の中から所定数の画像を撮像画像として抽出する。
【0053】
より詳細には、制御部27は、撮像指示を受付けた時点から所定の長さの時間(第1時間)だけ遡った時点までの期間内において、車両Mが予め設定された撮像地点に位置していた場合に、当該撮像地点に車両Mが位置していた時点を基準とする1又は複数のタイミングの各々で撮像部としての前方カメラ11又は側方カメラ13により撮像された所定数の画像を記憶部としての画像一時保存部25Cから撮像画像として抽出する抽出ステップを実行する抽出部として機能する。
【0054】
制御部27は、画像一時保存部25Cに記憶されている画像から所定数の画像を抽出する。画像一時保存部25Cにおいて、動画を構成する多数のフレーム画像を予め間引いた画像が保存されていることによって、撮像画像の抽出が効率良く実行される。なお、制御部27は、動画記憶部25Bに記憶されている動画像から所定数の画像を抽出してもよい。
【0055】
出力部29は、車両Mに備えられたタッチパネルディスプレイ17のディスプレイに接続されている。出力部29は、制御部27からの命令に従って、ディスプレイに表示させるための各種情報を供給するためのインターフェースである。
【0056】
出力部29は、制御部27からの指示に応じて、タッチパネルディスプレイ17のディスプレイに表示させるための画像を出力する。例えば、出力部29は、撮像指示を受け付けるための撮像指示ボタンをユーザーに提示するための画像をディスプレイに供給する。
【0057】
なお、出力部29は、車両M内に備えられたスピーカー(図示せず)に通信可能に接続されていてもよく、例えば撮像指示を受け付けた旨又は撮像が完了したことをユーザーに向けて音声によって報知してもよい。
【0058】
送受信部31は、無線装置(図示せず)に接続されているNIC(Network Interface Card)等のネットワークアダプタである。送受信部31は、制御部27からの命令に従って、撮像装置10と外部とのデータの送受信を行う。
【0059】
例えば、送受信部31は、撮像装置10において撮像画像として抽出された画像をサーバに送信する送信部として機能する。また、例えば、送受信部31は、地図情報DBの更新のための地図情報を受信してもよい。
【0060】
図4を参照しつつ、制御部27による撮像画像の抽出について説明する。図4は、道路Lに沿って車両Mが走行する様子を模式的に示す図である。
【0061】
ところで、ユーザーが撮像指示の操作を行ってから、撮像装置10の制御部27がユーザー操作による撮像指示を受付けるまでには、制御部27が撮像指示を認識するための処理時間を要する。さらに、ユーザーが撮像したいと思った時点から実際に撮像指示の操作を行うまでにも任意の時間を要する。特に車両Mが高速で走行している場合や、カーブを走行している場合、これらの時間分の遅れにより、撮像装置10の制御部27が撮像指示を認識したタイミングで前方カメラ11又は側方カメラ13により撮像されている風景と、ユーザーが撮影したいと思った風景は、大きく乖離している可能性がある。
【0062】
図4において、撮像装置10の制御部27がユーザーからの撮像指示を受け付けた時点(t)の車両MをM(t)、当該撮像指示を受け付けた時点に車両Mが位置していた地点をP1と示している。また、図4において、撮像指示を受け付けた時点から所定の長さの時間T1(第1時間)遡った時点(t1)における車両MをM(t1)、当該時間T1遡った時点に車両Mが位置していた地点をP2と示している。また、図4中、道路L上の設定地点S1を示している。例えば、設定地点S1は、設定地点S1に位置する移動体から地物Aが視認可能であることから撮像が推奨される地点である。
【0063】
制御部27は、ユーザーからの撮像指示を受け付けると、撮像指示を受け付けた時点から時間T1(第1時間)遡った時点(t1)から、撮像指示を受け付けた時点(t)までの期間の車両Mの走行履歴及び地図情報を参照する。上述したように、走行履歴において、車両Mが位置していた地点と時刻とが対応付けられている。また、上述したように、地図情報には、予め設定されている地点である設定地点の位置情報が含まれている(図3参照)。
【0064】
制御部27は、当該走行履歴において、車両Mが予め設定された設定地点に位置していたか否かを判定する。制御部27は、車両Mが時点(t1)から時点(t)までの期間に走行した経路(道程)に、設定地点が含まれるか否かを判定する。
【0065】
制御部27は、車両Mが設定地点に位置していたと判定した場合に、当該設定地点に車両Mが位置していた時点を基準とする1又は複数のタイミングで所定数の画像を画像一時保存部25Cから撮像画像として抽出する。
【0066】
例えば、図4の例においては、車両Mが時点(t1)から時点(t)までの期間に走行した経路(道程)に、設定地点S1が含まれる。図4において、設定地点S1に位置していた時点の車両MをM(t)として示している。この場合、例えば、制御部27は、設定地点S1に車両Mが位置していた時点(t)に、前方カメラ11又は側方カメラ13によって撮像された画像を抽出する。
【0067】
なお、例えば、地図情報において、カメラ毎に設定地点が設定されていても良い。例えば、前方カメラ11用の設定地点と、側方カメラ13用の設定地点があっても良い。例えば、車両Mの前方に撮影が望まれるだろう地物がある地点は、前方カメラ11用の設定地点となり得る。例えば、車両Mの側方に撮影が望まれるだろう地物がある地点は、側方カメラ13用の設定地点となり得る。例えば、図4の例においては、設定地点S1は、前方カメラ11用の設定地点として設定されていてもよく、前方カメラ11によって撮像された画像が優先的に抽出されてもよい。
【0068】
なお、例えば、設定地点には、当該設定地点から視認可能である地物の位置を示す情報が対応付けられていてもよい。例えば、撮像装置10は、設定地点と当該地物との位置関係に応じて、前方カメラ11又は側方カメラ13のいずれかによって撮像された画像を優先的に抽出してもよい。例えば、図4の例においては、設定地点S1に対する地物Aの相対位置が設定地点S1に対応付けられており、当該相対位置に基づいて、前方カメラ11によって撮像された画像が優先的に抽出されてもよい。
【0069】
図4に示す例のように、制御部27がユーザーからの指示を受け付けた時点(t)よりも前に、車両Mが設定地点S1に位置していた場合、ユーザーは、設定地点S1から視認可能な地物である地物Aを含む画像の撮像を希望していた可能性が高い。
【0070】
例えば、撮像指示を受け付けた時点(t)は、車両Mが設定地点S1に位置していた時点(t)から、撮像指示を認識するためにかかる時間に加えて、ユーザーが地物Aを撮像したいと思った時点からユーザーが撮像指示を実際に行うまでの時間の分の遅れが発生している可能性がある。
【0071】
本実施例では、制御部27が、撮像指示を受け付けた時点(t)から所定時間T1遡って、車両Mが設定地点に位置していた時点(t)を基準とする1又は複数のタイミングで画像を抽出することで、例えば、車両Mが高速で走行している場合や、カーブを走行している場合であっても、より確実にユーザーが希望する画像を抽出することができる。
【0072】
制御部27は、例えば、車両Mが設定地点に位置していた時点(t)に撮像された1つの画像を抽出する。制御部27は、例えば、車両Mが設定地点に位置していた時点(t)に撮像された1つの画像を中心として、複数のタイミングの各々で撮像された複数の画像を抽出してもよい。例えば、当該複数のタイミングは、等時間間隔のタイミングであってもよい。
【0073】
制御部27は、例えば、車両Mの位置として特定された電子地図上の位置が、当該電子地図において予め設定された撮像地点に位置していた時点を基準とする所定時間幅内において、撮像部により撮像された所定数の画像を画像一時保存部25Cから撮像画像として抽出してもよい。
【0074】
例えば、図4に示す例においては、制御部27は、設定地点S1に車両Mが位置していた時点(t)を含む所定期間内において、前方カメラ11又は側方カメラ13により撮像された所定数の画像を画像一時保存部25Cから撮像画像として抽出してもよい。
【0075】
制御部27は、例えば、車両Mの位置として特定された電子地図上の位置が、当該電子地図において予め設定された撮像地点を基準とする所定距離内に位置していた際に、撮像部により撮像された所定数の画像を画像一時保存部25Cから撮像画像として抽出してもよい。
【0076】
なお、撮像地点を基準とする所定距離とは、直線距離ではなく、車両Mが走行した道程のうちの所定の区間、すなわち道程上の所定の距離であってもよい。
【0077】
例えば、図4に示す例においては、制御部27は、設定地点S1を基準とする所定距離内に、車両Mが位置していた際に前方カメラ11又は側方カメラ13により撮像された所定数の画像を画像一時保存部25Cから撮像画像として抽出してもよい。
【0078】
なお、上記の説明において、制御部27が、撮像指示を受け付けた時点から第1時間遡った時点(t1)から撮像指示を受け付けた時点(t)までの期間に車両Mが走行した経路(道程)に、設定地点が含まれるか否かを判定する例について説明したが、これに限られない。例えば、第1時間遡った時点(t1)を基準とする所定期間内に設定地点が含まれるか否かを判定してもよい。例えば、第1時間遡った時点(t1)よりも前の所定期間内、又は時点(t1)の前後の所定期間内に、設定地点が含まれるか否かを判定してもよい。
【0079】
図5図8を参照しつつ、本実施例における撮像装置10によって撮像が行われる際に制御部27によって実行される情報処理について説明する。
【0080】
図5は、制御部27によって実行されるルーチンの一例である撮像ルーチンRT1を示すフローチャートである。制御部27は、例えば、撮像装置10に電源が投入されると、撮像ルーチンRT1を開始する。また、制御部27は、例えば、撮像装置10に電源が投入されると、前方カメラ11及び側方カメラ13によって取得された動画像の動画記憶部25Bへの記憶を開始する。また、制御部27は、例えば、動画像の動画記憶部25Bへの記憶を開始すると、動画記憶部25Bに記憶されている動画像に含まれる画像の画像一時保存部25Cへの一時保存を開始する。
【0081】
制御部27は、撮像ルーチンRT1を開始すると、ユーザーからの撮像指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS101)。ステップS101において、例えば、制御部27は、マイク15から入力された音声について音声認識を行い、例えばウェイクワードに続いて撮像指示を示す所定の音声コマンドを認識した場合に、ユーザーからの撮像指示を受け付けたと判定する。
【0082】
ステップS101において、例えば、制御部27は、タッチパネルディスプレイ17のディスプレイに表示された撮像指示のボタンが、タッチパネルへの接触操作によって押されたことを認識した場合に、撮像指示を受け付けたと判定してもよい。
【0083】
ステップS101において、制御部27は、ユーザー操作による撮像指示を受付ける受付部として機能する。
【0084】
制御部27は、ステップS101において、撮像指示を受け付けていないと判定する(ステップS101:NO)と、ステップS101を繰り返し、撮像指示を受け付けたか否かを再び判定する。
【0085】
制御部27は、ステップS101において、撮像指示を受け付けたと判定する(ステップS101:YES)と、撮像指示を受け付けた時点から所定の長さの時間(第1時間)遡って、走行履歴を参照する(ステップS102)。ステップS102において、例えば、制御部27は、撮像指示を受付けた時点から第1時間遡った時点までの期間内の走行履歴を参照する。
【0086】
また、例えば、ステップS102において、第1時間遡った時点の前又は前後の所定時間幅の走行履歴が参照されてもよい。また、例えば、ステップS102において、第1時間遡った時点に車両Mが位置していた地点の所定距離内の走行履歴が参照されてもよい。
【0087】
制御部27は、ステップS102の実行後、画像抽出サブルーチンを実行し、画像一時保存部25Cに記憶されている画像から撮像画像を抽出する(ステップS103)。ステップS103において、例えば、制御部27は、ステップS102で参照した走行履歴において、車両Mが予め設定された撮像地点(設定地点)に位置していた場合に、当該設定地点に位置していた時点に基づいたタイミングに撮像された画像を撮像画像として抽出する。ステップS103において、例えば、当該設定地点に位置していた時点に撮像された画像が抽出される。
【0088】
ステップS103において、例えば、当該設定地点に位置していた時点に撮像された画像を中心として、当該時点の前後の時間に撮像された複数の画像が抽出されてもよい。また、ステップS103において、例えば、当該設定地点に位置していた時点に撮像された画像を中心として、当該設定地点の前後の地点に車両Mが位置していた際に撮像された画像を含む複数の画像が抽出されてもよい。
【0089】
制御部27は、ステップS103の実行後、ステップS103において抽出された画像を外部に送信する(ステップS104)。ステップS104において、例えば、制御部27は、抽出された画像を予め設定されたサーバに送信する。ステップS104において、例えば、制御部27は、抽出された画像をユーザーが保有する端末装置に送信してもよい。
【0090】
制御部27は、ステップS104の実行後、撮像ルーチンRT1を終了し、新たに撮像ルーチンRT1を開始する。
【0091】
図6は、撮像ルーチンRT1のステップS103において、抽出部としての制御部27によって実行される画像抽出サブルーチンの一例である画像抽出サブルーチンRT2を示すフローチャートである。
【0092】
制御部27は、画像抽出サブルーチンRT2を開始すると、撮像ルーチンRT1のステップS102で参照した走行履歴において、車両Mが予め設定された撮像地点(設定地点)に位置していたか否かを判定する(ステップS201)。
【0093】
例えば、撮像ルーチンRT1のステップS102において、撮像指示を受付けた時点から第1時間遡った時点までの期間(以下、第1期間とも称する)内の走行履歴が参照された場合、制御部27は、ステップS201において、当該第1期間内に車両Mが走行した経路中に設定地点が含まれる場合に、車両Mが設定地点に位置していたと判定する。
【0094】
制御部27は、ステップS201において、車両Mが設定地点に位置していたと判定する(ステップS201:YES)と、当該設定地点に車両Mが位置していた時点に撮像された画像を特定する(ステップS202)。ステップS202において、例えば、制御部27は、大容量記憶装置25の画像一時保存部25Cを参照し、設定地点に車両Mが位置していた時点(以下、特定時点とも称する)に最も近い時刻に撮像された画像を特定する。
【0095】
制御部27は、ステップS202の実行後、特定時点を基準とする所定時間幅内に撮像された所定数の画像を抽出する(ステップS203)。ステップS203において、例えば、特定時点に撮像された1つの画像が抽出される。また、ステップS203において、例えば、特定時点を基準とする所定時間幅内に撮像された画像のうち、特定時点に撮像された1つの画像を含む複数の画像が抽出されてもよい。
【0096】
ステップS203において、例えば、特定時点よりも前の所定時間前までの期間内に撮像された所定数の画像が抽出されてもよい。また、ステップS203において、例えば、特定時点の前後の所定の期間内に撮像された所定数の画像が抽出されてもよい。
【0097】
ステップS203において、例えば、画像一時保存部25Cに記憶された画像から撮像画像が抽出される。これによって、効率良く抽出がなされる。なお、ステップS203において、動画記憶部25Bに記憶された画像から撮像画像が抽出されてもよい。
【0098】
制御部27は、ステップS201において、車両Mが設定地点に位置していなかったと判定する(ステップS201:NO)と、撮像指示を受け付けた時点から、第1時間とは異なる第2時間だけ遡ったタイミングで撮像部により撮像された1つの画像又は複数の画像を抽出する(ステップS204)。
【0099】
例えば、第2時間として、制御部27が撮像指示を受け付けるための音声認識又はタッチパネルへの接触操作の認識にかかる時間に加えて、ユーザーが撮像を希望した時点からユーザーが撮像指示を行った時点までの時間を統計的に考慮して予め設定された長さの時間が設定される。
【0100】
制御部27は、ステップS203の実行後又はステップS204の実行後、画像抽出サブルーチンRT2を終了する。
【0101】
画像抽出サブルーチンRT2によれば、ステップS203において、特定時点を基準とする所定時間幅内に撮像された画像を抽出することで、ユーザーが撮像を希望する画像を抽出する確率を高めることが可能となる。
【0102】
また、画像抽出サブルーチンRT2のステップS204によって、例えば、ユーザーが撮像を希望する画像が、設定地点とは関係の無い地点で撮像された画像である場合であっても、ユーザーが希望する画像を抽出する確率を高めることができる。
【0103】
なお、画像抽出サブルーチンRT2によって、1つ以上の画像が抽出されるが、例えば1つの画像のみが抽出される場合、抽出された画像を保存する際の容量を小さくすることができる。また、1つの画像のみが抽出される場合、ユーザーにとっても撮像画像の取扱が容易になる。
【0104】
図7は、撮像ルーチンRT1のステップS103において、抽出部としての制御部27によって実行される画像抽出サブルーチンの他の一例である画像抽出サブルーチンRT3を示すフローチャートである。画像抽出サブルーチンRT3は、ステップS303を除いて画像抽出サブルーチンRT2(図6参照)と同様に進行するため、説明の一部を省略する。
【0105】
制御部27は、画像抽出サブルーチンRT3を開始すると、撮像ルーチンRT1のステップS102で参照した走行履歴において、車両Mが予め設定された撮像地点(設定地点)に位置していたと判定する(ステップS301:YES)と、当該設定地点に車両Mが位置していた時点に撮像された画像を特定する(ステップS302)。
【0106】
制御部27は、ステップS302の実行後、当該設定地点を基準とする所定距離内に車両Mが位置していた際に、撮像部により撮像された所定数の画像を画像一時保存部25Cから撮像画像として抽出する(ステップS303)。
【0107】
ステップS303において、設定地点を基準とする所定距離内とは、直線距離ではなく、車両Mが走行した道程のうちの所定の区間であり、道程上の所定距離であってもよい。
【0108】
ステップS303において、例えば、設定地点に車両Mが位置していた際に撮像された1つの画像が抽出される。ステップS303において、例えば、設定地点を中心として、設定地点の前後の所定道程内に車両Mが位置していた時点に撮像された所定数の画像が抽出されてもよい。
【0109】
制御部27は、ステップS301において、車両Mが設定地点に位置していなかったと判定する(ステップS301:NO)と、撮像指示を受け付けた時点から、第1時間とは異なる第2時間だけ遡ったタイミングで撮像部により撮像された1つの画像又は複数の画像を抽出する(ステップS304)。
【0110】
制御部27は、ステップS303の実行後又はステップS304の実行後、画像抽出サブルーチンRT3を終了する。
【0111】
このように、画像抽出サブルーチンRT3によれば、当該設定地点を基準とする所定距離内に車両Mが位置していた際に撮像された画像を抽出することができる。このような画像の抽出方法であっても、ユーザーの所望の画像を抽出する確率を高めることができる。
【0112】
図8は、制御部27によって実行されるルーチンの他の一例である撮像ルーチンRT4を示すフローチャートである。撮像ルーチンRT4は、図6において説明した撮像ルーチンRT1と、ステップS402及びステップS403を含む点において異なり、その他の点においては同様に進行するため、説明の一部を省略する。
【0113】
制御部27は、撮像ルーチンRT4を開始すると、ユーザーからの撮像指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS401)。
【0114】
ステップS401において、制御部27は、ユーザーの発話に基づく撮像指示又はユーザーの接触操作に基づく撮像指示を受け付ける。例えば、制御部27は、マイク15から入力された、ユーザーの発話による音声について音声認識を行い、例えばウェイクワードに続いて撮像指示を示す所定の音声コマンドを認識した場合に、ユーザーからの撮像指示を受け付けたと判定する。例えば、制御部27は、タッチパネルディスプレイ17のタッチパネルへの接触操作による撮像指示を認識した場合に、撮像指示を受け付けたと判定する。
【0115】
制御部27は、ステップS401において、撮像指示を受け付けたと判定する(ステップS401:YES)と、受け付けた撮像指示がユーザーの発話に基づく撮像指示であるか否かを判定する(ステップS402)。ステップS402において、例えば、制御部27は、ステップS401において音声認識を実行していた場合に、ユーザーの発話に基づく撮像指示であると判定する。
【0116】
制御部27は、ステップS402において発話による撮像指示であると判定する(ステップS402:YES)と、撮像指示を受け付けた時点から遡って、抽出すべき画像を特定するための時間である第1時間をユーザーの接触操作による撮像指示を受け付けた場合よりも長く設定する(ステップS403)。
【0117】
ステップS403において、例えば、音声認識によるユーザーからの撮像指示の認識に係る時間が、タッチパネルへの接触操作の認識にかかる時間を超える分だけ、第1時間を長く設定する。
【0118】
制御部27は、ステップS402において、ユーザーの発話に基づく撮像指示ではないと判定した場合(ステップS402:NO)、又はステップS403の実行後、第1時間遡って走行履歴を参照する(ステップS404)。その後、制御部27は、画像抽出サブルーチンを実行して撮像画像として画像を抽出する(ステップS405)。
【0119】
ステップS405において、例えば、図6に示した画像抽出サブルーチンRT2又は図7に示した画像抽出サブルーチンRT3等のサブルーチンが実行される。
【0120】
制御部27は、ステップS405の実行後、サーバ等の外部装置に抽出した画像を送信し(ステップS406)、撮像ルーチンRT4を終了して新たに撮像ルーチンRT4を繰り返す。
【0121】
撮像ルーチンRT4によれば、ユーザーが撮像指示を行う際の操作方法に応じて適切に第1時間を設定することができる。従って、例えば音声認識に要する時間が接触操作の認識に要する時間よりも長い場合でも、車両Mが設定地点に位置していた時点に基づいて、撮像画像を抽出することができる。従って、ユーザーが撮像を希望する風景が映った画像を抽出する確率を高めることができる。
【0122】
なお、撮像ルーチンRT4ステップS405において、例えば、第1時間遡って走行履歴を参照しても車両Mが設定地点に位置していなかった場合(ステップS201:NO、又はステップS301:NO)であって、ユーザーの発話に基づく撮像指示が受付けられていた場合(ステップS402:YES)には、サブルーチンにおける第2時間(ステップS204又はステップS304)の長さについても、ユーザーの接触操作に基づく指示が受付けられていた場合よりも長く設定されてもよい。
【0123】
それによって、車両Mが設定地点に位置していなかった場合であっても、ユーザーが撮像指示を行う際の操作方法に応じて適切に第2時間を設定することができる。従って、例えば音声認識に要する時間が接触操作の認識に要する時間よりも長い場合でも、ユーザーが撮像を希望する風景が映った画像を抽出する確率を高めることができる。
【0124】
以上、詳細に説明したように、本実施例の撮像装置10は、移動体と共に移動する撮像部により最近撮像された連続画像を記憶する記憶部と、ユーザー操作による撮像指示を受付ける受付部と、受付部が撮像指示を受付けた時点から第1時間遡った時点までの期間内において、移動体が予め設定された撮像地点に位置していた場合に、当該撮像地点に移動体が位置していた時点を基準とする1又は複数のタイミングで撮像部により撮像された所定数の画像を記憶部から撮像画像として抽出する抽出部と、を備える。
【0125】
従って、撮像装置10によれば、移動体が予め設定された撮像地点に位置していた場合、当該撮像地点に移動体が位置していた時点を基準とするタイミングで撮像された画像を抽出することができる。
【0126】
当該撮像地点に移動体が位置していた時点を基準とするタイミングで撮像された画像は、ユーザーが撮像を希望する風景が映っている画像である可能性が高い。
【0127】
従って、撮像装置10によれば、ユーザーによる撮像指示に従って撮像する撮像装置において、ユーザーが撮像を希望する風景が映った画像を高い確率で取得することを可能とする撮像装置、撮像方法、撮像プログラム及び記録媒体を提供することができる。
【0128】
当該第1時間として、任意の長さの時間を設定することができ、例えば、ユーザーからの撮像指示を受け付けるために必要な時間に加えて、ユーザーが撮像を希望する画像が撮像されたタイミングと、ユーザーが撮像指示を行ったタイミングとの差を考慮した十分に長い時間を設定することができる。
【0129】
なお、上記の実施例において、撮像装置10は、ユーザーからの撮像指示をタッチパネルディスプレイ17を介して受け付けることが可能である場合について説明したが、これに限られない。例えば、撮像装置10は、タッチパネルディスプレイ17に接続されていなくともよい。例えば、車両Mにタッチパネルディスプレイ17が備えられていなくともよい。例えば、撮像装置10は、音声認識のみによって撮像指示を受け付けても良い。また、例えば、撮像装置10は、音声認識に加えて、例えば、タッチパネルディスプレイではないプッシュボタンを用いたボタン操作による撮像指示を受け付け可能に構成されていてもよい。
【0130】
なお、上記の実施例において、撮像装置10は、大容量記憶装置25が有する画像一時保存部25Cに保存されている画像から撮像画像を抽出する例について説明したが、これに限られない。例えば、撮像装置10は、動画記憶部25Bに逐次記憶されて一定時間保持されている動画から、撮像画像を抽出してもよい。
【0131】
なお、上記の実施例において、撮像画像として抽出した画像により静止画を生成する例について説明したが、これに限られない。撮像装置10は、例えば、撮像画像として抽出した複数のフレーム画像からなる動画を生成してもよい。
【0132】
なお、上記の実施例において、撮像装置10は、抽出した撮像画像をサーバに送信する例について説明したが、これに限られない。撮像装置10は、抽出した撮像画像を、ユーザーが保有する端末等の他の外部装置に送信してもよく、記憶部に保持してもよい。また、撮像装置10は、抽出した撮像画像を、移動体に備えられたディスプレイに表示してもよい。
【0133】
上述した実施例における構成及びルーチンは例示に過ぎず、用途等に応じて適宜選択及び変更可能である。
【符号の説明】
【0134】
10 撮像装置
11 前方カメラ
13 側方カメラ
15 マイク
17 タッチパネルディスプレイ
19 GNSS受信機
21 システムバス
23 入力部
24 センサ
25 大容量記憶装置
25A 地図情報DB
25B 動画記憶部
25C 画像一時保存部
27 制御部
29 出力部
31 送受信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8