(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-11
(45)【発行日】2024-12-19
(54)【発明の名称】燃料電池システム、及び燃料電池システム運転方法
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04701 20160101AFI20241212BHJP
H01M 8/0432 20160101ALI20241212BHJP
H01M 8/04007 20160101ALI20241212BHJP
F24H 1/00 20220101ALI20241212BHJP
H01M 8/12 20160101ALN20241212BHJP
F24D 17/00 20220101ALN20241212BHJP
H01M 8/00 20160101ALN20241212BHJP
【FI】
H01M8/04701
H01M8/0432
H01M8/04007
F24H1/00 631A
H01M8/12 101
F24D17/00 C
H01M8/00 Z
(21)【出願番号】P 2021064390
(22)【出願日】2021-04-05
【審査請求日】2023-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊東 卓也
(72)【発明者】
【氏名】安藤 大樹
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 崇之
(72)【発明者】
【氏名】濱口 直大
(72)【発明者】
【氏名】斎宮 久幸
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-027222(JP,A)
【文献】特開2018-173228(JP,A)
【文献】特開2019-078513(JP,A)
【文献】特開2018-096682(JP,A)
【文献】特開2018-195452(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24D 17/00-18/00
F24H 1/00
F24H 1/18- 1/20
F24H 4/00- 4/06
H01M 8/04- 8/0668
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電を行う燃料電池モジュールが設けられた燃料電池ユニットと、
前記燃料電池ユニットにおける熱交換で加熱された湯を貯留する貯湯タンクと、
前記燃料電池ユニットに設けられ、前記貯湯タンクに貯留された湯の温度を計測する温度センサと、
前記燃料電池ユニットに設けられ、前記貯湯タンクに貯留された湯の熱を利用し、前記燃料電池ユニットから送出される湯の温度を出湯目標温度に調整する温度調整部と、
前記温度センサで計測した温度に基づき、前記貯湯タンクに貯留された湯の温度が前記出湯目標温度よりも高い切換温度以下となった場合に、前記出湯目標温度を通常出湯目標温度から該通常出湯目標温度よりも低い低温出湯目標温度へ切り換える目標温度切換部と、
前記燃料電池ユニット、前記
温度調整部、及び前記目標温度切換部と非通信とされ、ガスの燃焼による熱を用いて前記燃料電池ユニットから送出された湯を加熱可能な熱源機ユニットと、
を備えた燃料電池システム。
【請求項2】
前記切換温度は、前記通常出湯目標温度よりもα℃高い温度に設定されている、
請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記低温出湯目標温度は、前記通常出湯目標温度よりもβ℃低い温度で設定され、α>βの関係とされている、
請求項2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記切換温度よりも低い第2切換温度が設定され、
前記目標温度切換部は、前記貯湯タンクに貯留された湯の温度が前記第2切換温度以下となった場合に、前記出湯目標温度を前記低温出湯目標温度から該低温出湯目標温度よりも低い第2低温出湯目標温度へ切り換える、
請求項1~3のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記通常出湯目標温度は、前記貯湯タンクに貯留された湯の温度が前記切換温度よりも高い場合には一定に維持されている、
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
【請求項6】
燃料電池ユニットにおいて、発電を行う燃料電池モジュールからの排熱で加熱された湯を貯湯タンクに貯留し、
前記貯湯タンクに貯留された湯の熱を利用し、前記燃料電池ユニットから送出される湯の温度を
温度調整部で出湯目標温度に調整すると共に、
温度センサで計測された前記貯湯タンクに貯留された湯の温度が通常出湯目標温度よりも高い所定の切換温度以下となった場合に、前記燃料電池ユニットから送出される湯の温度が前記通常出湯目標温度から該通常出湯目標温度よりも低い低温出湯目標温度となるように
目標温度切換部で調整を切り換え、
ガスの燃焼による熱を用いて前記燃料電池ユニットから送出された湯を加熱可能、且つ前記燃料電池ユニット、
前記温度調整部、及び前記目標温度切換部と非通信とされた熱源機ユニットへ送出する、
燃料電池システム運転方法。
【請求項7】
前記切換温度は、前記通常出湯目標温度よりもα℃高い温度に設定され、
前記低温出湯目標温度は、前記通常出湯目標温度よりもβ℃低い温度で設定され、
α>βの関係とされている、
請求項6に記載の燃料電池システム運転方法。
【請求項8】
前記切換温度よりも低い第2切換温度が設定され、
前記貯湯タンクに貯留された湯の温度が前記第2切換温度以下となった場合に、前記出湯目標温度を前記低温出湯目標温度から該低温出湯目標温度よりも低い第2低温出湯目標温度へ切り換える、
請求項6または請求項7に記載の燃料電池システム運転方法。
【請求項9】
前記通常出湯目標温度は、前記貯湯タンクに貯留された湯の温度が前記切換温度よりも高い場合には一定に維持されている、
請求項6~請求項8のいずれか1項に記載の燃料電池システム運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システム、及び燃料電池システム運転方法に関し、詳しくは、貯湯タンクを備えたコジェネレーションであり、給湯加熱用のバックアップ熱源機(BB)を有する燃料電池システム、及び当該燃料電池システムの運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料電池ユニットで発電すると共に、燃料電池ユニットの排熱を利用して給湯を行うコジェネレーションの燃料電池システムが提案されている。当該燃料電池システムでは、燃料電池ユニットの排熱で加熱された湯を貯湯タンクに湯を貯留している。また、補助熱源を有する給湯ユニットが備えられ、貯湯タンクに貯留された湯の温度が所望の温度よりも低温の場合に、当該給湯ユニットで、貯湯タンクからの湯を加熱する。
【0003】
ところで、貯湯タンクに貯留された湯の温度が低下した場合に、補助熱源での急激な加熱は難しい。そこで、特許文献1では、貯湯タンクの上層温度が設定温度Tよりもβ高い温度(T+β)を下回った場合に、熱量不足を予測して、補助熱源を動作させている。貯湯タンクの設けられた燃料電池ユニット側の制御機器と、補助熱源を有する給湯ユニット側の制御機器との間で通信を行うことにより、燃料電池ユニット側から補助熱源側へ温度情報を伝達して、予め補助熱源を起動させておくことが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、燃料電池ユニットを既存の熱源機に対して追加設置した(後付けした)場合など、燃料電池ユニット側の制御機器と補助熱源を備えた給湯ユニット(バックアップ熱源機ユニット)側の制御機器との間で通信できない場合には、貯湯タンクの温度情報をバックアップ熱源機側へ伝達できず、バックアップ熱源機ユニット側で貯湯タンク側の温度変化に追従しにくい状態が発生する場合もある。燃料電池ユニット側に設けられた制御機器がバックアップ熱源機ユニット側の制御機器と通信できない場合であっても、バックアップ熱源機ユニットから供給される湯の急激な温度変化を抑制することが求められる。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてされたものであって、燃料電池ユニットとバックアップ熱源機ユニットとの通信が行われない燃料電池システムにおいて、バックアップ熱源機ユニットから供給される湯の急激な温度変化を抑制することを目的とする
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1態様に係る燃料電池システムは、発電を行う燃料電池モジュールが設けられた燃料電池ユニットと、前記燃料電池ユニットにおける熱交換で加熱された湯を貯留する貯湯タンクと、前記燃料電池ユニットに設けられ、前記貯湯タンクに貯留された湯の熱を利用し、前記燃料電池ユニットから送出される湯の温度を出湯目標温度に調整する温度調整部と、前記貯湯タンクに貯留された湯の温度が前記出湯目標温度よりも高い切換温度以下となった場合に、前記出湯目標温度を通常出湯目標温度から該通常出湯目標温度よりも低い低温出湯目標温度へ切り換える目標温度切換部と、前記燃料電池ユニットと非通信とされ、ガスの燃焼による熱を用いて前記燃料電池ユニットから送出された湯を加熱可能な熱源機ユニットと、を備えている。
【0008】
第1態様に係る燃料電池システムは、燃料電池ユニット、貯湯タンク、及び熱源機ユニットを備えている。貯湯タンクには、燃料電池ユニットにおける熱交換で加熱された湯が貯留される。熱源機ユニットは、ガスの燃焼による熱を用いて燃料電池ユニットから送出された湯を加熱する。
【0009】
燃料電池ユニットから送出される湯の温度は、貯湯タンクに貯留された湯の熱を利用して、温度調整部により出湯目標温度に調整される。ここで、熱源機ユニットは、燃料電池ユニットと非通信であるため、燃料電池ユニットから送出される湯の温度変化があっても、変化当初は当該温度変化に追従できず、所定の燃焼号数で燃料電池ユニットからの湯を加熱する。したがって、貯湯タンクに貯留された湯の温度が低下して、温度調整部により通常出湯目標温度に調整できなくなった場合、熱源機ユニットからユーザーへ供給される湯の温度が急激に低下する可能性がある。
【0010】
そこで、貯湯タンクに貯留された湯の温度が所定の切換温度以下となった場合に、温度調整部の調整対象である出湯目標温度を、目標温度切換部によって、通常出湯目標温度から該通常出湯目標温度よりも低い低温出湯目標温度へ切り換える。これにより、貯湯タンクに貯留された湯の温度が出湯目標温度よりも高い切換温度以下となった時点から、熱源機ユニットへ供給する湯の温度が下がる。そして、熱源機ユニットでは、通常出湯目標温度から低温出湯目標温度に対応した加熱が実施される。その結果、貯湯タンクに貯留された湯の温度低下の速度が抑制される。また、熱源機ユニットでは、ユーザーへの給湯温度の変化を、通常出湯目標温度と低温出湯目標温度との温度差程度に抑制することができる。このように、熱源機ユニットにおいて貯湯タンクの湯温情報を得ることなく、ユーザーへ供給する湯の急激な温度変化を抑制することができる。
【0011】
第2態様に係る燃料電池システムは、前記切換温度は、前記通常出湯目標温度よりもα℃高い温度に設定されている。
【0012】
ここでの「通常出湯目標温度よりもα℃高い温度」は、通常出湯目標温度よりも高いことを意味している。このように切換温度を設定することにより、出湯目標温度について通常出湯目標温度を維持できなくなる前に、熱源機ユニットへ供給する湯の温度が下がり、熱源機ユニットにおいて、湯の温度に応じた加熱を開始することができる。
【0013】
第3態様に係る燃料電池システムは、前記低温出湯目標温度が、前記通常出湯目標温度よりもβ℃低い温度で設定され、α>βの関係とされている。
【0014】
このように低温出湯目標温度を設定することにより、熱源機ユニットへ供給される湯の温度下げ幅は、α℃よりも小さくなる。したがって、熱源機ユニットでは、小さい温度変化に追従するように加熱制御すればよく、貯湯タンクの湯温情報を得ることなく、ユーザーへ供給する湯の急激な温度変化を抑制することができる。
【0015】
第4態様に係る燃料電池システムは、前記切換温度よりも低い第2切換温度が設定され、前記目標温度切換部は、前記貯湯タンクに貯留された湯の温度が前記第2切換温度以下となった場合に、前記出湯目標温度を前記低温出湯目標温度から該低温出湯目標温度よりも低い第2低温出湯目標温度へ切り換える。
【0016】
第4態様に係る燃料電池システムでは、貯湯タンクに貯留された湯の温度が、切換温度よりもさらに低下した第2切換温度以下となった場合に、出湯目標温度を低温出湯目標温度からさらに低い第2低温出湯目標温度へ切り換える。したがって、複数段階で出湯目標温度を下げることができ、熱源機ユニットでは、貯湯タンクの湯温情報を得ることなく、ユーザーへ供給する湯の温度変化を緩やかにすることができる。
【0017】
第5態様に係る燃料電池システムは、前記出湯目標温度は、前記貯湯タンクに貯留された湯の温度が前記切換温度よりも高い場合には一定に維持されている。
【0018】
このように、出湯目標温度を一定に維持することにより、熱源機ユニットでは、燃料電池ユニットから供給される湯の温度変化に対応した制御を行う機会が低減され、熱源機ユニットからユーザーへ供給される湯の温度の急激な変化を抑制することができる。
【0019】
第6態様に係る燃料電池システム運転方法は、燃料電池ユニットにおいて、発電を行う燃料電池モジュールからの排熱で加熱された湯を貯湯タンクに貯留し、前記貯湯タンクに貯留された湯の熱を利用し、前記燃料電池ユニットから送出される湯の温度を出湯目標温度に調整すると共に、前記貯湯タンクに貯留された湯の温度が通常出湯目標温度よりも高い所定の切換温度以下となった場合に、前記燃料電池ユニットから送出される湯の温度を前記通常出湯目標温度から該通常出湯目標温度よりも低い低温出湯目標温度となるように切り換え、ガスの燃焼による熱を用いて前記燃料電池ユニットから送出された湯を加熱可能、且つ前記燃料電池ユニットと非通信とされた熱源機ユニットへ送出する。
【0020】
燃料電池ユニットから送出される湯の温度は、貯湯タンクに貯留された湯の熱を利用して、低温出湯目標温度に調整される。ここで、熱源機ユニットは、燃料電池ユニットと非通信であるため、燃料電池ユニットから送出される湯の温度変化があっても、変化当初は当該温度変化に追従できず、所定の燃焼号数で燃料電池ユニットから送出される湯を加熱する。したがって、貯湯タンクに貯留された湯の温度が低下して、通常出湯目標温度に調整できなくなった場合、熱源機ユニットからユーザーへ供給される湯の温度が急激に低下する可能性がある。
【0021】
そこで、貯湯タンクに貯留された湯の温度が所定の切換温度以下となった場合に、燃料電池ユニットから送出される湯の温度が通常出湯目標温度から通常出湯目標温度よりも低い低温出湯目標温度となるように調整を切り換える。これにより、貯湯タンクに貯留された湯の温度が切換温度以下となった時点から、熱源機ユニットへ供給する湯の温度が下がる。そして、熱源機ユニットでは、通常出湯目標温度から低温出湯目標温度に対応した加熱が実施される。その結果、貯湯タンクに貯留された湯の温度低下の速度が抑制される。また、熱源機ユニットでは、ユーザーへの給湯温度の変化を、通常出湯目標温度と低温出湯目標温度との温度差程度に抑制することができる。このように、熱源機ユニットにおいて貯湯タンクの湯温情報を得ることなく、ユーザーへ供給する湯の急激な温度変化を抑制することができる。
【0022】
第7態様に係る燃料電池システム運転方法は、前記切換温度は、前記通常出湯目標温度よりもα℃高い温度に設定され、前記低温出湯目標温度は、前記通常出湯目標温度よりもβ℃低い温度で設定され、α>βの関係とされている。
【0023】
ここでの「通常出湯目標温度よりもα℃高い温度」は、通常出湯目標温度よりも高いことを意味している。このように切換温度および低温出湯目標温度を設定することにより、熱源機ユニットへ供給される湯の温度下げ幅は、α℃よりも小さくなる。したがって、熱源機ユニットでは、小さい温度変化に追従するように加熱制御すればよく、貯湯タンクの湯温情報を得ることなく、ユーザーへ供給する湯の急激な温度変化を抑制することができる。
【0024】
第8態様に係る燃料電池システム運転方法は、前記切換温度よりも低い第2切換温度が設定され、前記貯湯タンクに貯留された湯の温度が前記第2切換温度以下となった場合に、前記出湯目標温度を前記低温出湯目標温度から該低温出湯目標温度よりも低い第2低温出湯目標温度へ切り換える。
【0025】
第8態様に係る燃料電池システム運転方法では、貯湯タンクに貯留された湯の温度が、切換温度よりもさらに低下した第2切換温度以下となった場合に、燃料電池ユニットから送出される湯の温度を低温出湯目標温度からさらに低い第2低温出湯目標温度へ切り換える。したがって、複数段階で燃料電池ユニットから送出される湯の温度を下げることができ、熱源機ユニットでは、貯湯タンクの湯温情報を得ることなく、ユーザーへ供給する湯の温度変化を緩やかにすることができる。
【0026】
第9態様に係る燃料電池システム運転方法は、前記出湯目標温度は、前記貯湯タンクに貯留された湯の温度が前記切換温度よりも高い場合には一定に維持されている。
【0027】
このように、出湯目標温度を一定に維持することにより、熱源機ユニットでは、燃料電池ユニットから供給される湯の温度変化に対応した制御を行う機会が低減され、熱源機ユニットからユーザーへ供給される湯の温度の急激な変化を抑制することができる。
【発明の効果】
【0028】
以上詳述したように、本発明によれば、燃料電池ユニットとバックアップ熱源機ユニットとの通信が行われない場合でも、バックアップ熱源機ユニットから供給される湯の急激な温度変化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】第1実施形態に係る燃料電池システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】第1実施形態に係るFC制御部の電気的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】第1実施形態に係るBB制御部の電気的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】第1実施形態に係るFC制御部の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】第1実施形態に係る出湯目標温度調整処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図6】第1実施形態に係る出湯目標温度調整処理の温度調整処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図7】第1実施形態に係る給湯温度調整処理の温度調整処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図8】第2の実施形態に係る第2出湯目標温度調整処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の一例について詳細に説明する。
【0031】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る燃料電池システム10の構成の一例を示す図である。
図1に示すように、本実施形態に係る燃料電池システム10は、大きく分けて、燃料電池ユニット12と、熱源機ユニットの一例である給湯ユニット14との2ユニットで構成されている。
【0032】
燃料電池ユニット12は、燃料ガス及び水を用いて発電を行う。また、貯湯タンク48を備え、発電により生じた熱を熱交換で回収する伝熱媒体としての湯を貯湯タンク48に蓄える。給湯ユニット14は、燃料電池ユニット12で加熱された上水を目的の温度まで加熱して供給する。なお、貯湯タンク48には、一例として、開放式のタンクを用いているが、加圧式のタンクを用いてもよい。
【0033】
また、貯湯タンク48は、燃料電池モジュール20と同一の筐体内に設けられていてもよいし、燃料電池モジュール20と別の筐体内に設けられていてもよい。貯湯タンク48が燃料電池モジュール20と別の筐体内に設けられている場合には、後述する混合弁72や上水熱交換器54等の器機は、燃料電池モジュール20側の筐体内に設けられていてもよいし、貯湯タンク48側の筐体内に設けられていてもよい。
【0034】
燃料電池ユニット12は、発電を行う燃料電池の一例である燃料電池モジュール20を備えている。燃料電池モジュール20は、筐体の内部に、改質器、バーナ、及び燃料電池スタックを主要な構成として備えている。燃料電池モジュール20には、不図示の供給路から原料ガス、酸化剤ガス(空気)、改質水等が供給される。
【0035】
この燃料電池モジュール20に備えられた改質器は、原料ガスを改質水により改質して水素を生成する。
【0036】
この改質器では、供給された原料ガスを、バーナ(不図示)の燃焼熱で加熱し、吸熱反応により水素ガスを含む燃料ガスを生成する。この燃料ガスは、燃料電池モジュール20内の燃料電池スタックの燃料極に供給される。
【0037】
燃料電池スタックは、例えば、固体酸化物形の燃料電池スタックであり、積層された複数の燃料電池セルを有している。各燃料電池セルは、電解質層と、この電解質層の表裏面にそれぞれ積層された燃料極と空気極とを有している。
【0038】
空気極には、酸化ガス(外部の空気)が供給される。この空気極では、下記式(1)で示されるように、酸化ガス中の酸素と電子とが反応して酸素イオンが生成される。この酸素イオンは、電解質層を通って燃料極に到達する。
【0039】
(空気極反応)
1/2O2+2e- →O2- ・・・(1)
【0040】
一方、燃料極では、下記式(2)及び式(3)で示されるように、電解質層を通ってきた酸素イオンが燃料ガス中の水素及び一酸化炭素と反応し、水(水蒸気)及び二酸化炭素と、電子が生成される。燃料極で生成された電子は、外部回路を通って空気極に到達する。そして、このようにして電子が燃料極から空気極に移動することにより、各燃料電池セルにおいて発電される。また、各燃料電池セルは、発電時に上記反応に伴って発熱する。
【0041】
(燃料極反応)
H2 +O2- →H2O+2e- ・・・(2)
CO+O2- →CO2+2e- ・・・(3)
【0042】
燃料極から排出された燃料極排ガスと、空気極から排出された空気極排ガスとは、バーナにバーナガスとして供給される。バーナでの燃焼により生じたバーナ排ガスは、排出路34により排気熱交換器36へ排出される。
【0043】
排出路34には、排気熱交換器36が設けられており、排気熱交換器36より下流側が排ガス流路30に接続されている。燃料電池モジュール20からの燃焼排ガスは、排気熱交換器36で後述する伝熱媒体50との熱交換により冷却され、排気される。なお、燃焼排ガスに含有されている水蒸気を凝縮させて、水とガスとに分けれ、水は改質水として再利用することもできる。
【0044】
排気熱交換器36には、伝熱媒体50を排気熱交換器36と貯湯タンク48との間で循環させる熱回収循環路42が接続されている。排気熱交換器36と貯湯タンク48とを接続する熱回収循環路42の一方の流路である第一流路42aには、熱回収ポンプ44が設けられている。この第一流路42aの熱回収ポンプ44より上流側は、貯湯タンク48に接続されている。貯湯タンク48には、伝熱媒体として湯が貯留されている。貯湯タンク48の上部は大気開放されている。また、貯湯タンク48には、貯湯タンク48内の上部の湯の温度を計測するタンク温度センサ52が設けられている。
【0045】
第一流路42aは、貯湯タンク48の下部に接続されており、貯湯タンク48の下部に貯留された湯が優先的に排気熱交換器36へ送られる。貯湯タンク48から熱回収循環路42の第一流路42aに供給された湯は、熱回収ポンプ44によって排気熱交換器36へ送られる。
【0046】
貯湯タンク48から第一流路42aを介して排気熱交換器36へ送られた湯は、熱回収循環路42の他方の流路である第二流路42eを介して貯湯タンク48に戻される。第二流路42eは、貯湯タンク48の上部に接続されている。燃料電池モジュール20からの燃焼排ガスの熱は、排気熱交換器36によって伝熱媒体50へ移動され、この熱で加熱された伝熱媒体50は、貯湯タンク48の上部に戻される。これにより、燃料電池モジュール20で発生した熱により貯湯タンク48内の湯が加熱される。
【0047】
貯湯タンク48に貯留された湯は、熱回収循環路42と異なる熱供給循環路58を介して、燃料電池ユニット12に設けられた上水熱交換器54に供給される。貯湯タンク48の湯は、熱供給循環路58に設けられた上水熱交換器54を経て貯湯タンク48へ戻される。
【0048】
熱供給循環路58の上水熱交換器54よりも上流側の第一流路58aには、熱供給ポンプ56が設けられている。熱供給ポンプ56は、貯湯タンク48の湯の熱を利用して上水等を加熱する際に作動する。
【0049】
第一流路58aの上流端は、貯湯タンク48の上部に接続されており、貯湯タンク48の上部に貯留された湯が第一流路58aへ送出される。タンク温度センサ52は、第一流路58aの貯湯タンク48との接続部分の近傍の高さに配置されている。タンク温度センサ52により、貯湯タンク48に貯留された湯の上部の温度(以下「タンク湯温情報TT」という)が検知される。第一流路58aの下流端は、上水熱交換器54と接続され、貯湯タンク48の上部に貯留された湯が上水熱交換器54へ供給される。熱供給循環路58の下流側の第二流路58eは、貯湯タンク48の下部に接続されており、上水熱交換器54で熱が奪われた湯は、貯湯タンク48の下部側に戻される。
【0050】
上水熱交換器54には、流入側分岐点60aを有する流入路60が接続されている。流入路60は、入側管継手62に接続されている。入側管継手62は、例えば水道管の給水管64に接続されており、流入路60には、上水が供給される。
【0051】
上水熱交換器54には、流入路60からの上水が熱交換後に流出する流出路66が接続されている。
【0052】
流出路66の流出側分岐点66aの下流には、混合弁72が設けられている。混合弁72は、バイパス路74を介して流入側分岐点60aに接続されている。混合弁72は、流入路60からの上水と上水熱交換器54からの湯とを混合する弁であり、流出温度が予め定められた出湯目標温度T0となるように、流入路60からの上水と上水熱交換器54からの湯との混合比を調整する。混合弁72は、後述するFC制御部110と接続されている。
【0053】
なお、混合弁72から流出する湯の温度は、後述する出湯温度計67で計測される出湯温度情報TDに対応する。出湯目標温度T0は、ユーザーが任意に設定する要求給湯温度よりも低く設定されている。また、出湯目標温度T0は、給水管64から供給される上水の温度よりも高く設定されている。このように、出湯目標温度T0を上水温度よりも高温にすることにより、燃料電池ユニット12の排熱を予熱に有効利用することができる。
【0054】
流出路66の混合弁72より下流側には、流量計65及び出湯温度計67が設けられている。流量計65では、混合弁72から流出した湯の流量を計測する。出湯温度計67では、混合弁72から流出した湯の温度を計測する。流量計65及び出湯温度計67は、後述するFC制御部110と接続されており、流量計65からは計測した湯の流量(以下「出湯流量RF」という)がFC制御部110へ送信され、出湯温度計67からは計測した出湯温度情報TDがFC制御部110へ送信される。
【0055】
流出路66の流量計65及び出湯温度計67より下流側は出側継手76に接続されており、出側継手76は、出湯管78を介して、給湯ユニット14の入水継手80に接続されている。
【0056】
給湯ユニット14のガス継手82には、ガス供給管24が接続されており、給湯ユニット14のバーナ150には、ガス供給管24からの都市ガスが供給される。バーナ150の燃焼熱により、熱交換器154を通過する湯が加熱される。
【0057】
本実施形態でのバーナ150の最小号数をG0とする。ここでの最小号数とは、給湯ユニット14のバーナ150の火力を最小にした状態で連続的に駆動燃焼させた場合の燃焼号数である。
【0058】
給湯ユニット14の給湯継手84には、給湯管86が接続されており、給湯管86は、湯が利用される給湯箇所へ配索されている。
【0059】
給湯ユニット14の入水継手80には、入水路152が接続されており、入水路152は、熱交換器154に接続されている。熱交換器154は、混合弁156を有する給湯路158を介して給湯継手84に接続されており、混合弁156は、バイパス路160を介して入水路152の入水側分岐点152aに接続されている。また、入水継手80と入水側分岐点152aとの間には、BB流量計53が設けられている。
【0060】
BB流量計53は、燃料電池ユニット12から出湯管78を介して給湯ユニット14へ供給される湯の流量(BB流量情報RB)を計測する。BB流量計53は、後述するBB制御部170と接続されており、BB制御部170へ計測したBB流量情報RBを出力する。
【0061】
混合弁156は、入水路152からの湯と熱交換器154からの湯とを混合する弁であり、入水路152からの湯と熱交換器154からの湯との混合比を、ユーザーの要求温度に応じて調整する。混合弁156には、混合弁156から送出される湯の温度(以下「給湯温度情報TS」という)を計測する給湯温度計157が設けられている。給湯温度計157は、後述するBB制御部170と接続されており、BB制御部170へ給湯温度情報TSを出力する。
【0062】
なお、給湯ユニット14には、暖房用の暖房管や、ふろ追焚き用のふろ管などが配策されており、各々循環路を構成すると共に、熱交換器154での熱交換により循環路内の湯が加熱される。これら暖房管、ふろ管については図示を省略している。
【0063】
給湯ユニット14は、燃料電池ユニット12で加熱された湯、暖房管、ふろ管内を流れる水を必要に応じて加熱するバックアップ用の熱源機として機能する。
【0064】
燃料電池ユニット12には、コントローラとしてのFC制御部110が設けられている。FC制御部110により、燃料電池ユニット12の動作が制御される。また、FC制御部110には、リモコン装置51が接続されている。リモコン装置51は、ユーザーからの操作入力を受け付けると共に、燃料電池ユニット12の状態情報、エラー情報等の各種の情報を表示する。
【0065】
図2は、第1実施形態に係るFC制御部110の電気的な構成の一例を示すブロック図である。
【0066】
図2に示すように、本実施形態に係るFC制御部110は、CPU(Central Processing Unit)111と、ROM(Read Only Memory)112と、RAM(Random Access Memory)113と、入出力インターフェース(I/O)114と、記憶部115と、外部インターフェース(以下、「外部I/F」という。)116と、を備えている。
【0067】
CPU111、ROM112、RAM113、及びI/O114は、バスを介して各々接続されている。I/O114には、記憶部115と、外部I/F116と、を含む各機能部が接続されている。これらの各機能部は、I/O114を介して、CPU111と相互に通信可能とされる。
【0068】
記憶部115としては、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等が用いられる。記憶部115には、燃料電池ユニット12の動作を制御するための制御プログラム115Aが記憶される。なお、この制御プログラム115Aは、ROM112に記憶されていてもよい。
【0069】
制御プログラム115Aは、例えば、FC制御部110に予めインストールされていてもよい。制御プログラム115Aは、不揮発性の記憶媒体に記憶して、又はネットワークを介して配布して、FC制御部110に適宜インストールすることで実現してもよい。なお、不揮発性の記憶媒体の例としては、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、光磁気ディスク、HDD、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、フラッシュメモリ、メモリカード等が想定される。
【0070】
本実施形態では、制御プログラム115Aの一部として、出湯目標温度調整処理のプログラムが格納されている。また、出湯目標温度調整処理に使用されるデータとして、通常出湯目標温度T1、低温出湯目標温度T2、切換温度TCが格納されている。
【0071】
出湯目標温度調整処理は、出湯温度計67で計測される湯の温度である出湯温度情報TDを、出湯目標温度T0を挟んだ上下の温度幅である出湯目標範囲TR(T0±γ℃)内になるように調整すると共に、タンク湯温情報TTが切換温度TC以下となった場合に、出湯目標温度T0を、通常出湯目標温度T1から低温出湯目標温度T2へ切り換える。
【0072】
ここで、切換温度TCは、設定されている出湯目標温度T0よりも高い温度とされている。本実施形態では、出湯目標温度T0の初期値として、通常出湯目標温度T1が設定されており、通常出湯目標温度T1よりもα℃高い温度が切換温度TCとして設定されている。また、低温出湯目標温度T2は、通常出湯目標温度T1よりもβ℃低い温度が設定されている。そして、切換温度TCと通常出湯目標温度T1との温度差α℃が、通常出湯目標温度T1と低温出湯目標温度T2との温度差β℃よりも大きく設定されている。
【0073】
外部I/F116には、例えば、リモコン装置51、タンク温度センサ52、流量計65、出湯温度計67、混合弁72、熱回収ポンプ44、熱供給ポンプ56、が接続されている。これらのリモコン装置51、タンク温度センサ52、流量計65、出湯温度計67、混合弁72、熱回収ポンプ44、熱供給ポンプ56は、外部I/F116を介して、CPU111と通信可能に接続される。
【0074】
図3は、第1実施形態に係るBB制御部170の電気的な構成の一例を示すブロック図である。BB制御部170は、FC制御部110と接続されておらず、FC制御部110と非通信となっている。
【0075】
図3に示すように、本実施形態に係るBB制御部170は、FC制御部110と同様に、CPU171と、ROM172と、RAM173と、入出力インターフェース(I/O)174と、記憶部175と、外部インターフェース(以下、「外部I/F」という。)176と、を備えている。
【0076】
CPU171、ROM172、RAM173、及びI/O174は、バスを介して各々接続されている。I/O174には、記憶部175と、外部I/F176と、を含む各機能部が接続されている。これらの各機能部は、I/O174を介して、CPU171と相互に通信可能とされる。
【0077】
記憶部175には、給湯ユニット14の動作を制御するための制御プログラム175Aが記憶される。なお、この制御プログラム175Aは、ROM172に記憶されていてもよい。制御プログラム175Aの一部として、給湯温度調整処理のプログラムが格納されている。給湯温度調整処理により、給湯ユニット14からユーザーへ供給される湯の温度が調整される。また、記憶部175には、ユーザーが要求する湯の温度(以下「要求温度情報TU」という)が記憶されている。要求温度情報TUとしては、ユーザーが不図示の入力部から任意の温度を設定し、随時変更することができる。
【0078】
外部I/F176には、例えば、給湯温度計157、混合弁156、BB流量計53が接続されている。これらの給湯温度計157、混合弁156、BB流量計53は、外部I/F176を介して、CPU171と通信可能に接続される。
【0079】
図4は、第1実施形態に係るFC制御部110の機能的な構成の一例を示すブロック図である。本実施形態に係るFC制御部110のCPU111は、記憶部115に記憶されている制御プログラム115AをRAM113に書き込んで実行することにより、
図4に示す各部として機能する。
図4に示すように、本実施形態に係るFC制御部110のCPU111は、温度調整部111A及び目標温度切換部111Bとして機能する。
【0080】
温度調整部111Aは、燃料電池ユニット12から給湯ユニット14へ供給される湯の温度を、出湯目標温度T0に調整する。目標温度切換部111Bは、タンク湯温情報TTが切換温度TC以下となった場合に、出湯目標温度T0を通常出湯目標温度T1から低温出湯目標温度T2へ切り換える。
【0081】
次に、
図5、
図6を参照して、第1実施形態に係るFC制御部110の作用について説明する。
【0082】
図5は、第1実施形態に係る制御プログラム115Aの内、出湯目標温度調整処理を示すフローチャートである。上述したように、燃料電池ユニット12では、燃料電池モジュール20での発電による排熱で貯湯タンク48の湯が加熱されるため、貯湯タンク48に貯留された湯の温度は変化する。そこで、燃料電池ユニット12の運転中は、出湯目標温度調整処理が実行される。なお、出湯目標温度T0は、初期値として、通常出湯目標温度T1に設定されている。
【0083】
まず、ステップS12で、タンク温度センサ52で検知されたタンク湯温情報TTを取得する。ステップS14で、取得したタンク湯温情報TTが切換温度TC以下か否かを判断する。ステップS14での判断が肯定された場合には、ステップS16で、出湯目標温度T0を低温出湯目標温度T2に切り換える。ステップS14での判断が否定された場合には、ステップS18で、出湯目標温度T0を通常出湯目標温度T1に切り換える。
【0084】
ステップS16、ステップS18の後、ステップS20で、温度調整処理を実行する。温度調整処理は、
図6に示されるように、ステップS22で、出湯温度計67で計測された出湯温度情報TDを取得する。ステップS24で、出湯温度情報TDが出湯目標範囲TR内か否かを判断する。ステップS24での判断が否定された場合には、ステップS26で、混合弁72の開度を調整し、ステップS24へ戻る。混合弁72の開度調整は、出湯温度情報TDが出湯目標範囲TR内となるまで繰り返され、いわゆるフィードバック制御が実行される。ステップS24での判断が肯定された場合には、温度調整処理を終了し、
図5のステップS12へ戻る。
【0085】
そして、給湯ユニット14のCPU171では、ユーザーから給湯要求がある場合に、
図7に示す給湯温度調整処理が実行される。
【0086】
ステップS40で、要求温度情報TUを取得し、ステップS41で給湯温度情報TSを取得し、ステップS42で、BB流量情報RBを取得する。ステップS44で、取得した要求温度情報TU、給湯温度情報TS、及びBB流量情報RBに基づいて、ステップS44でバーナ出力制御処理を実行し、ステップS46で混合弁の開度調整処理を実行する。バーナ出力制御処理及び混合弁の開度調整処理は、給湯温度情報TSが要求温度情報TUに近づくように、バーナ150の出力が決定されると共に、混合弁156の開度が決定されて実行される。
【0087】
ステップS48で、給湯終了か否かを判断する。給湯の終了は、BB流量情報RBが0となることで検知することができる。ステップS48での判断が否定された場合には、ステップS40へ戻り、上記の処理を繰り返す。ステップS48での判断が肯定された場合には、給湯温度調整処理を終了する。
【0088】
本実施形態の燃料電池ユニット12では、このようにして給湯ユニット14へ供給される湯の温度が、出湯目標温度T0に近い出湯目標範囲TR内に調整される。このように、出湯目標温度T0を一定の範囲内に維持することにより、給湯ユニット14では、燃料電池ユニット12から供給される湯の温度変化に対応した制御を行う機会が低減される。したがって、給湯ユニット14が燃料電池ユニット12と非通信であっても、給湯ユニット14からユーザーへ供給される湯の温度の急激な変化を抑制することができる。
【0089】
また、タンク湯温情報TTが切換温度TC以下となった場合に、出湯目標温度T0を通常出湯目標温度T1から低温出湯目標温度T2へ切り換える。この切換えにより、給湯ユニット14へ供給される湯の温度は、貯湯タンクに貯留された湯の温度が通常出湯目標温度T1よりも高い切換温度TC以下となった時点から下がる。これにより、比較的長時間にわたって湯の供給が継続されている場合(例えば浴槽への湯溜)でも、貯湯タンク48に貯留された湯から上水へ伝達される熱量が減少し、貯湯タンク48の湯の温度低下の速度を抑制することができる。
【0090】
一方、給湯ユニット14では、給湯温度調整処理により、燃料電池ユニット12から供給された湯を、要求温度になるように処理する。燃料電池ユニット12から供給される湯は、通常出湯目標温度T1から低温出湯目標温度T2に変更された場合、この変更に対応した加熱が実施される。その結果、給湯ユニット14では、変化当初において、ユーザーへの給湯温度の変化を、通常出湯目標温度T1と低温出湯目標温度T2の温度差β℃程度に抑制することができる。これにより、給湯ユニット14では、貯湯タンクの湯温情報を得ることなく、ユーザーへ供給する湯の急激な温度変化を抑制することができる。
【0091】
なお、本実施形態では、通常出湯目標温度T1と低温出湯目標温度T2の温度差β℃を、切換温度TCと通常出湯目標温度T1の温度差α℃よりも小さく設定したが、必ずしもそのように設定する必要はない。本実施形態のように、α℃>β℃となるように設定することにより、温度変化の幅を小さくすることができる。
【0092】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態では、第1実施形態と同様の部分については同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0093】
本実施形態では、燃料電池システム10の構成は、第1実施形態と同様である(
図1~
図4参照)。本実施形態では、出湯目標温度T0を切り換える切換温度を複数有すると共に、各々の切換温度に対応して低温出湯目標温度が設定されている。
【0094】
本実施形態では、制御プログラム115Aの一部として、第2出湯目標温度調整処理のプログラムが格納されている。また、第2出湯目標温度調整処理に使用されるデータとして、通常出湯目標温度T1、第1低温出湯目標温度T2-1、第2低温出湯目標温度T2-2、第1切換温度TC-1、第2切換温度TC-2、が格納されている。
【0095】
第2出湯目標温度調整処理は、出湯温度計67で計測される湯の温度である出湯温度情報TDを、出湯目標温度T0を挟んだ上下の温度幅である出湯目標範囲TR内になるように調整すると共に、タンク湯温情報TTが第1切換温度TC-1以下となった場合に、出湯目標温度T0を通常出湯目標温度T1から第1低温出湯目標温度T2-1へ切り換え、タンク湯温情報TTが第2切換温度TC-2以下となった場合に、出湯目標温度T0を、低温出湯目標温度T2-1から第2低温出湯目標温度T2-2へ切り換える。
【0096】
ここで、第1切換温度TC-1は、設定されている出湯目標温度T0よりも高い温度とされている。本実施形態では、出湯目標温度T0の初期値として、通常出湯目標温度T1が設定されており、通常出湯目標温度T1よりもα℃高い温度が第1切換温度TC-1として設定されている。低温出湯目標温度T2-1は、通常出湯目標温度T1よりもβ℃低い温度が設定されている。そして、第1切換温度TC-1と通常出湯目標温度T1との温度差α℃が、通常出湯目標温度T1と第1低温出湯目標温度T2-1との温度差β℃よりも大きく設定されている。
【0097】
また、第1低温出湯目標温度T2-1よりもα℃高い温度が第2切換温度TC-2として設定され、第1低温出湯目標温度T2-1よりもβ℃低い温度が第2低温出湯目標温度T2-2として設定されている。そして、第2切換温度TC-2は、第1切換温度TC-1よりも低く、通常出湯目標温度T1よりも高い温度に設定されている。
【0098】
温度調整部111Aは、燃料電池ユニット12から給湯ユニット14へ供給される湯の温度を、出湯目標温度T0に調整する。目標温度切換部111Bは、タンク湯温情報TTが第1切換温度TC-1となった場合に、出湯目標温度T0を通常出湯目標温度T1から第1低温出湯目標温度T2-1へ切り換え、タンク湯温情報TTが第2切換温度TC-2となった場合に、出湯目標温度T0を第1低温出湯目標温度T2-1から第2低温出湯目標温度T2-2へ切り換える。
【0099】
次に、
図8を参照して、第2実施形態に係るFC制御部110の作用について説明する。
【0100】
図8は、第2実施形態に係る制御プログラム115Aの内、第2出湯目標温度調整処理を示すフローチャートである。燃料電池ユニット12の運転中は、第2出湯目標温度調整処理が実行される。なお、出湯目標温度T0は、初期値として、通常出湯目標温度T1に設定されている。
【0101】
まず、ステップS12で、タンク温度センサ52で検知されたタンク湯温情報TTを取得する。ステップS34で、取得したタンク湯温情報TTが第1切換温度TC-1以下か否かを判断する。ステップS34での判断が否定された場合には、ステップS18で、出湯目標温度T0を通常出湯目標温度T1に切り換える。
【0102】
ステップS34での判断が肯定された場合には、ステップS36で、取得したタンク湯温情報TTが第2切換温度TC-2以下か否かを判断する。ステップS36での判断が否定された場合には、ステップS37で、出湯目標温度T0を第1低温出湯目標温度T2-1に切り換える。ステップS36での判断が肯定された場合には、ステップS38で、出湯目標温度T0を第2低温出湯目標温度T2-2に切り換える。
【0103】
ステップS18、ステップS37、ステップS38の後、ステップS20で、温度調整処理を実行する(
図5参照)。
【0104】
本実施形態では、貯湯タンク48に貯留された湯の温度が、第1切換温度TC-1よりもさらに低下した第2切換温度TC-2以下となった場合に、燃料電池ユニット12から送出される湯の温度を第1低温出湯目標温度T2-1からさらに低い第2低温出湯目標温度T2-2へ切り換える。したがって、複数段階(2段階)で燃料電池ユニット12から送出される湯の温度を下げることができ、給湯ユニット14では、ユーザーへ供給する湯の温度変化を緩やかにすることができる。
【0105】
なお、本実施形態では、2段階で出湯目標温度T0を下げたが、3段階、4段階以上で出湯目標温度T0を下げてもよい。
【0106】
また、前述の第1、第2本実施形態において、燃料電池ユニット12から給湯ユニット14へ供給される湯の流量が所定の切換流量R0以下となった場合に、出湯目標温度T0を下げる制御を行ってもよい。この場合、流量計65で計測される流量(出湯流量R1)に基づいて、切換流量R0を検出することができる。
【符号の説明】
【0107】
10 燃料電池システム
12 燃料電池ユニット
14 給湯ユニット(熱源機ユニット)
20 燃料電池モジュール
48 貯湯タンク
52 タンク温度センサ
67 出湯温度計
110 FC制御部
111A 温度調整部
111B 目標温度切換部
T0 出湯目標温度
T1 通常出湯目標温度
T2 低温出湯目標温度
T2-1 第1低温出湯目標温度
T2-2 第2低温出湯目標温度
TC 切換温度
TC-1 第1切換温度
TC-2 第2切換温度