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特許7602959ハウジングカバー、光学箱および画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-11
(45)【発行日】2024-12-19
(54)【発明の名称】ハウジングカバー、光学箱および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/47 20060101AFI20241212BHJP
   B41J 2/255 20060101ALI20241212BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
B41J2/47 101Z
B41J2/255 C
H04N1/00 519
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021074621
(22)【出願日】2021-04-27
(65)【公開番号】P2022168926
(43)【公開日】2022-11-09
【審査請求日】2024-03-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168217
【弁理士】
【氏名又は名称】大村 和史
(72)【発明者】
【氏名】山本 弥史
(72)【発明者】
【氏名】中尾 篤夫
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 秀礼
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-075654(JP,A)
【文献】特開平08-167668(JP,A)
【文献】特開2015-028612(JP,A)
【文献】特開2016-224149(JP,A)
【文献】特開2006-150687(JP,A)
【文献】特開2010-054803(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0070196(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/47
B41J 2/255
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学部品を収納するハウジングの上部に開かれた開口を塞ぐためのハウジングカバーであって、
前記開口を塞ぐ閉塞部、
前記閉塞部の周縁部に下方へ突出して設けられた側壁部、および
前記側壁部に外側へ向けて弾性変形可能に設けられ、前記ハウジングの側面に設けられた複数の突起部に係止される複数の爪部を備え、
前記爪部は、前記側壁部の下端から下方へ突出して設けられた突出部と、前記突出部の上方に形成され、前記突出部を上方から挿入可能な凹部とを有する、ハウジングカバー。
【請求項2】
前記側壁部の表面に対して平行であって、かつ、上下方向に対して垂直な方向を幅方向としたとき、前記突出部は、幅方向長さが下方に向かうにつれて徐々に狭くなるように形成され、
前記突出部の基端における幅方向の両端を通って上下方向へ延びる2本の仮想挿入基準線は、前記凹部の開口端における幅方向の両端を通って上下方向へ延びる2本の仮想受入基準線の内側に配置される、請求項1記載のハウジングカバー。
【請求項3】
前記突出部の突出長さをhとし、前記凹部の深さをDとしたとき、「D>h」の関係を満たす、請求項2記載のハウジングカバー。
【請求項4】
前記突出部および前記凹部のそれぞれは、幅方向において対称形状に形成され、
上下方向へ延びる仮想基準線に対する前記突出部の幅方向側縁の傾斜角度をθ1とし、
上下方向へ延びる仮想基準線に対する前記凹部の幅方向側縁の傾斜角度をθ2としたとき、
「0度<θ1<90度」かつ「θ1=θ2」の関係を満たす、請求項3記載のハウジングカバー。
【請求項5】
前記突出部の内面および外面は、前記側壁部の内面および外面と面一に形成される、請求項1から4のいずれかに記載のハウジングカバー。
【請求項6】
前記閉塞部は、平面視で四角形に形成され、
前記側壁部は、4つの壁部を有する四角形の枠状に形成され、
前記爪部は、4つの前記壁部のそれぞれに設けられる、請求項1から5のいずれかに記載のハウジングカバー。
【請求項7】
前記閉塞部は、前記光学部品から出射された光を通す長方形の窓を有しており、
前記窓の延びる方向において対向する2つの前記壁部に設けられた前記爪部は、平面視で前記窓の延長線上から外れた位置に設けられる、請求項6記載のハウジングカバー。
【請求項8】
光学部品を収納するハウジング、および
請求項1から7のいずれかに記載のハウジングカバーを備える、光学箱。
【請求項9】
請求項8記載の光学箱を備える、画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はハウジングカバー、光学箱および画像形成装置に関し、特にたとえば、光学部品を収納する光学箱に用いられるハウジングカバーおよびそれを備える光学箱ならびに画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の光学箱の一例が特許文献1に開示されている。特許文献1の光学箱は、上方へ向けて開かれた開口を有するハウジングと、ハウジングの開口を塞ぐ蓋とを備える。ハウジングの側壁部には、複数の凹部が内側に窪むように設けられ、各凹部には、突起部が設けられる。蓋は、ハウジングの側壁部に対して外側から嵌合される防塵壁を有し、防塵壁には、その下端から下方へ突出してU字状の爪片が設けられる。ハウジングの開口を蓋で塞ぐと、U字状の爪片がハウジングの突起部に引っ掛かる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-54803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光学箱の蓋(ハウジングカバー)を輸送する際には、輸送コストを低減させる観点から、複数の蓋を互いに密に重ね合わせることが望ましい。しかし、特許文献1の光学箱の蓋では、防塵壁の下端から爪片が突出しているので、重ね合わせたときに、上側の蓋の爪片が下側の蓋の上面に当たって隙間が生じていた。そのため、重ね合わせた複数の蓋全体の体積が大きくなり、輸送コストが高くなるという問題があった。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、ハウジングカバー、光学箱および画像形成装置を提供することである。
【0006】
この発明の他の目的は、輸送コストを低減できる、ハウジングカバーおよびそれを備える光学箱ならびに画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、光学部品を収納するハウジングの上部に開かれた開口を塞ぐためのハウジングカバーであって、開口を塞ぐ閉塞部、閉塞部の周縁部に下方へ突出して設けられた側壁部、および側壁部に外側へ向けて弾性変形可能に設けられ、ハウジングの側面に設けられた複数の突起部に係止される複数の爪部を備え、爪部は、側壁部の下端から下方へ突出して設けられた突出部と、突出部の上方に形成され、突出部を上方から挿入可能な凹部とを有する、ハウジングカバーである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、複数のハウジングカバーを上下に重ねることができ、ハウジングカバーの輸送コストを低減できる。
【0009】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う後述の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】この発明の実施例に係る光学箱が組み込まれた画像形成装置の内部構造を示す概略断面図である。
図2】この発明の実施例に係る光学箱の構成を示す斜視図である。
図3】この発明の実施例に係る光学箱の構成を示す分解斜視図である。
図4図2の一部を拡大した部分拡大斜視図である。
図5図3の一部を拡大した部分拡大斜視図である。
図6】この発明の実施例に係るハウジングカバーの要部の構成を示す拡大正面図である。
図7図6に示すハウジングカバーを二段に重ねた状態を示す拡大正面図である。
図8図3に示すハウジングカバーを五段に重ねた状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、この発明の実施例に係る光学箱60が組み込まれた画像形成装置10の内部構造を示す概略断面図である。本実施例の光学箱60は、画像形成装置10を構成する露光ユニット32の各光学部品を収容する筐体である。以下では、まず、画像形成装置10の構成について説明し、その後、光学箱60の構成について詳細に説明する。
【0012】
[画像形成装置の構成]
図1に示すように、画像形成装置10は、複写機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能などを有する複合機であって、電子写真方式によって用紙(記録媒体)に多色または単色の画像を形成する。
【0013】
なお、本実施例では、画像形成装置10を操作するユーザの立ち位置に対向する面、つまり、操作パネル(図示せず)が設けられる側の面を前面(正面)として画像形成装置10およびその構成部材の前後方向(奥行方向)を規定する。また、画像形成装置10およびその構成部材の左右方向(横方向)は、ユーザから画像形成装置10を見た状態を基準として規定する。前後、左右および上下の各方向は、図中に矢印で示す方向と一致する。
【0014】
図1に示すように、画像形成装置10は、装置本体12およびその上方に配置される画像読取装置14を含む。画像読取装置14は、透明材によって形成される原稿載置台16を備える。原稿載置台16の上部には、ヒンジ等を介して原稿押えカバー18が開閉自在に取り付けられる。原稿押えカバー18には、原稿載置トレイ20および原稿載置トレイ20に載置された原稿を画像読取位置22に対して1枚ずつ自動的に給紙するADF(自動原稿送り装置)24が設けられる。
【0015】
図示は省略するが、原稿載置台16の前面側には、ユーザによる印刷指示などの入力操作を受け付ける操作パネルが設けられる。この操作パネルには、タッチパネルディスプレイ等のディスプレイおよび各種の操作ボタン等が適宜設けられる。
【0016】
また、画像読取装置14には、光源、複数のミラー、結像レンズおよびラインセンサ等を備える画像読取部26が内蔵される。画像読取部26は、原稿表面を光源によって露光し、原稿表面から反射した反射光を複数のミラーによって結像レンズに導く。そして、結像レンズによって反射光をラインセンサの受光素子に結像させる。ラインセンサでは、受光素子に結像した反射光の輝度や色度が検出され、原稿表面の画像に基づく画像データが生成される。ラインセンサとしては、CCD(Charge Coupled Device)やCIS(Contact Image Sensor)等が用いられる。
【0017】
装置本体12には、CPUやメモリ等を含む制御部28および画像形成部30等が内蔵される。制御部28は、タッチパネル等の操作部への入力操作などに応じて、画像形成装置10の各部位に制御信号を送信し、画像形成装置10に種々の動作を実行させる。
【0018】
画像形成部30は、露光ユニット32、現像ユニット34、感光体ドラム36、クリーナユニット38、帯電器40、中間転写ベルトユニット42、転写ローラ44および定着ユニット46等を備え、給紙トレイ48等から搬送される用紙上に画像を形成し、画像形成済みの用紙を排紙トレイ50に排出する。用紙上に画像を形成するための画像データとしては、画像読取部26で読み取った画像データまたは外部コンピュータから送信された画像データ等が利用される。
【0019】
なお、画像形成装置10において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)の4色のカラー画像に応じたものである。このため、現像ユニット34、感光体ドラム36、クリーナユニット38および帯電器40のそれぞれは、各色に応じた4種類の潜像を形成するように4個ずつ設けられ、これらによって4つの画像ステーションが構成される。
【0020】
感光体ドラム36は、導電性を有する円筒状の基体の表面に感光層が形成された静電潜像担持体であり、図示しない駆動部によって軸線回りに回転可能とされる。帯電器40は、この感光体ドラム36の表面を所定の電位に帯電させる部材である。
【0021】
露光ユニット32は、レーザダイオード(LD)32aおよびポリゴンミラー32b等の光学部品を備えたレーザスキャニングユニットとして構成され、感光体ドラム36の下方に配置される。露光ユニット32は、帯電された感光体ドラム36の表面を露光することによって、画像データに応じた静電潜像を感光体ドラム36の表面に形成する。露光ユニット32を構成する各光学部品は、後述する光学箱60に収容される。
【0022】
現像ユニット34は、感光体ドラム36の表面に形成された静電潜像を4色(YMCK)のトナーによって顕像化する(トナー像を形成する)ものであり、感光体ドラム36にトナーを供給する現像ローラ等を備える。クリーナユニット38は、中間転写ベルト52へのトナー像の転写後において、感光体ドラム36の表面に残留したトナーを除去して回収する。
【0023】
中間転写ベルトユニット42は、中間転写ベルト52、駆動ローラ、従動ローラおよび4つの中間転写ローラ54等を備え、感光体ドラム36の上方に配置される。中間転写ベルト52は、各感光体ドラム36に接触するように設けられる。中間転写ローラ54を用いて、各感光体ドラム36に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト52に順次重ねて転写することによって、中間転写ベルト52上に多色のトナー像が形成される。また、駆動ローラの近傍には、転写ローラ44が配置され、中間転写ベルト52と転写ローラ44との間のニップ域を用紙が通過することによって、中間転写ベルト52に形成されたトナー像が用紙に転写される。
【0024】
定着ユニット46は、ヒートローラおよび加圧ローラを備え、転写ローラ44の上方に配置される。ヒートローラは、所定の定着温度となるように設定され、ヒートローラと加圧ローラとの間のニップ域を用紙が通過することによって、用紙に転写されたトナー像が溶融、混合および圧接されて、用紙に対してトナー像が熱定着される。
【0025】
また、装置本体12内には、給紙トレイ48等からの用紙をレジストローラ56、転写ローラ44および定着ユニット46を経由させて排紙トレイ50に送るための第1用紙搬送路L1が形成される。また、装置本体12内には、用紙に対して両面印刷を行う際に、片面印刷が終了して定着ユニット46を通過した後の用紙を、転写ローラ44の用紙搬送方向の上流側において第1用紙搬送路L1に戻すための第2用紙搬送路L2が設けられる。第1用紙搬送路L1および第2用紙搬送路L2には、用紙に補助的に推進力を与えるための複数の搬送ローラ58が適宜設けられる。
【0026】
[光学箱の構成]
図2は、光学箱60の構成を示す斜視図であり、図3は、光学箱60の構成を示す分解斜視図である。図4は、図2の一部を拡大した部分拡大斜視図であり、図5は、図3の一部を拡大した部分拡大斜視図である。図2および図3に示すように、光学箱60は、露光ユニット32(図3)の各光学部品を収容するハウジング62(第1筐体)と、ハウジング62の上部に着脱自在に取り付けられるハウジングカバー64(第2筐体)とを備える。
【0027】
図2および図3に示すように、ハウジング62は、平面視で四角形の底板部66と、底板部66の周縁から立ち上がって形成された環状の側壁部68と、複数(本実施例では8個)の突起部70とを有する。図3に示すように、側壁部68の上端68aおよび下端68bは、互いに平行に形成され、側壁部68の上端部は、開口Gを構成する開口部72となる。そして、側壁部68の外面68cすなわちハウジング62の外側面62aに複数の突起部70が設けられる。
【0028】
図5に示すように、複数の突起部70のそれぞれは、下方へ向かうにつれてハウジング62の外側面62aからの離間距離が長くなるように傾斜して形成された傾斜面70aと、傾斜面70aの下端に繋がって外側面62aに対して垂直に形成されたストッパー面70bとを有する。図3に示すように、本実施例では、側壁部68を構成する4つの壁部すなわち前壁部74a、後壁部74b、左壁部74cおよび右壁部74dのそれぞれに対して、2つの突起部70が水平方向に互いに間隔を隔てて設けられる。また、各突起部70は、側壁部68の上端68aから下方へ一定間隔を隔てて設けられる。
【0029】
図3に示すように、ハウジングカバー64は、ハウジング62の上部に開かれた開口Gを塞ぐための閉塞部76と、ハウジング62の開口部72に外側から嵌合される側壁部78(篏合壁部)とを備える。閉塞部76は、平面視で四角形の板状に形成され、閉塞部76には、露光ユニット32の光学部品から出射された光を通す4つの長方形の窓76aが、前後方向へ延びて左右方向に互いに間隔を隔てて形成される。また、閉塞部76における前端部および後端部には、線状の補強リブ80が左右方向へ延びて形成される。
【0030】
側壁部78は、閉塞部76の周縁部に下方へ突出して設けられる。側壁部78の上端78aおよび下端78bは互いに平行に形成され、これにより、ハウジングカバー64の上下方向長さ(高さ)が均一に定められる。
【0031】
また、ハウジングカバー64は、ハウジング62の外側面62aに設けられた複数の突起部70に係止される(引っ掛けられる)複数(本実施例では8個)の爪部82を備える。本実施例では、ハウジングカバー64の側壁部78が、4つの壁部すなわち前壁部84a、後壁部84b、左壁部84cおよび右壁部84dを有する四角形の枠状に形成され、爪部82は、4つの壁部84a,84b,84c,84dのそれぞれに、ハウジング62の突起部70に対応して2つずつ設けられる。窓76aの延びる方向(前後方向)において対向する2つの壁部(前壁部84aおよび後壁部84b)に設けられた爪部82は、平面視で窓76aの延長線上から外れた位置に設けられる。
【0032】
図5に示すように、複数の爪部82のそれぞれは、ハウジングカバー64の側壁部78の下端78bから下方へ突出して設けられた突出部86と、突出部86の上方に突出部86を上方から挿入可能(受け入れ可能)な形状および大きさで形成された凹部88とを有する。凹部88の底部には、突起部70のストッパー面70bに下方から当接する位置決め突部90が上方へ突出して設けられる。また、複数の爪部82のそれぞれは、ハウジングカバー64の側壁部78に、外側へ向けて弾性変形可能に設けられる。つまり、ハウジングカバー64の全体は、合成樹脂の射出成形により形成され、これにより、爪部82は、その厚さ方向に弾性変形可能となる。
【0033】
本実施例では、突出部86の内面(図示省略)および外面86cは、側壁部78の内面(図示省略)および外面78cと面一に形成される。したがって、側壁部78の一部である凹部88の内周部92は、突出部86に対して同じ厚さで連続し、内周部92と突出部86とが一体となって爪部82が構成される。
【0034】
図6は、ハウジングカバー64の要部の構成を示す拡大正面図である。図6に示すように、側壁部78の表面に対して平行であって、かつ、上下方向に対して垂直な方向を幅方向としたとき、突出部86および凹部88のそれぞれは、幅方向長さ(幅)が下方に向かうにつれて徐々に狭くなるように、幅方向において対称となる台形状に形成される。
【0035】
側壁部78の下端78bからの突出部86の突出長さをhとし、側壁部78の上端78aからの凹部88の見かけ上の深さをdとし、位置決め突部90の突出長さをtとしたとき、凹部88の実施的な深さ(以下、単に「深さ」という。)Dは、「D=d-t」で表すことができる。そして、突出部86の突出長さhと凹部88の深さDとの間では、「D>h」の関係が満たされる。なお、位置決め突部90は省略されてもよく、その場合には、「t=0」となる。
【0036】
また、上下方向へ延びる仮想基準線Tを想定し、突出部86の幅方向側縁86aの仮想基準線Tに対する傾斜角度をθ1とし、凹部88の幅方向側縁88aの仮想基準線Tに対する傾斜角度をθ2としたとき、「0度<θ1<90度」かつ「θ1=θ2」の関係が満たされる。これにより、突出部86および凹部88は、幅方向において対称な台形状となり、かつ、突出部86の幅方向側縁86aと凹部88の幅方向側縁88aとが平行になる。
【0037】
さらに、突出部86の基端86bにおける幅方向の両端P1,P2を通って上下方向へ延びる2本の仮想挿入基準線V1,V2は、凹部88の開口端88bにおける幅方向の両端Q1,Q2を通って上下方向へ延びる2本の仮想受入基準線X1,X2の内側に配置される。つまり、仮想挿入基準線V1と仮想受入基準線X1との間隔をδ1とし、仮想挿入基準線V2と仮想受入基準線X2との間隔をδ2としたとき、「δ1>0」かつ「δ2>0」の関係が満たされる。
【0038】
たとえば、d=11.5mm,t=1.00mm,h=5.60mm,θ1=θ2=21.49度,δ1=δ2=0.30mmのとき、上記の各関係式が満たされる。このとき、位置決め突部90の幅Wは、たとえば、3.00mmに定められる。なお、突出部86の幅方向側縁86aと凹部88の幅方向側縁88aとの間隔を広くして爪部82の強度を十分に確保するためには、「15度<θ1<60度,(θ1=θ2)」の関係を満たすことが望ましい。この場合、間隔δ1,δ2は、「0mm<δ1<5.1mm,(δ1=δ2)」の範囲となる。
【0039】
図7は、図6に示すハウジングカバー64を二段に重ねた状態を示す拡大正面図である。図7に示すように、上記の各関係式を満たすハウジングカバー64を二段に重ねると、突出部86が凹部88に完全に収容される。これにより、上側のハウジングカバー64における側壁部78の下端78bと下側のハウジングカバー64における側壁部78の上端78aとを接触させることができ、2つのハウジングカバー64を密に重ねることができる。
【0040】
図8は、図3に示すハウジングカバー64を五段に重ねた状態を示す正面図である。上記の通り、ハウジングカバー64どうしを隙間なく密に重ね合わせることができるので、ハウジングカバー64の数が多くなった場合でも、全体の体積を小さく抑えることができる。これにより、梱包材を小型化できる。
【0041】
[実施例の効果]
上記実施例の光学箱60およびハウジングカバー64によれば、上記構成により、以下の効果を奏することができる。すなわち、図7に示すように、爪部82は、突出部86と、突出部86を上方から挿入可能な凹部88とを有しているので、2つのハウジングカバー64を上下に重ねたときには、上側のハウジングカバー64の突出部86を下側のハウジングカバー64の凹部88に収容できる。また、上側のハウジングカバー64における側壁部78の下端78bと下側のハウジングカバー64における側壁部78の上端78aとを隙間なく接触させることができる。これにより、複数のハウジングカバー64を最密に重ねることが可能であり、全体の体積を小さくして輸送コストを低減できる。
【0042】
図7に示すように、爪部82の突出部86は、下方に向かうにつれて徐々に幅が狭くなるように形成されるので、2つのハウジングカバー64を上下に重ねるときに、上側のハウジングカバー64の突出部86を下側のハウジングカバー64の凹部88に挿入し易い。また、このとき、傾斜角度θ1と傾斜角度θ2とが同じであるため(図6)、突出部86の幅方向側縁86aを凹部88の幅方向側縁88aに対して線または面で接触させることが可能であり、突出部86の幅方向への動きを効果的に規制できる。さらに、爪部82が弾性変形される方向に対して直交する方向において、突出部86と凹部88とを互いに接触させることができるので、爪部82の破損を抑制できる。
【0043】
図5に示すように、突出部86と側壁部78とを連続する板状に形成できるので、構成が簡単であり、ハウジングカバー64を安価に製造できる。
【0044】
図3に示すように、側壁部78は、4つの壁部84a,84b,84c,84dを有する四角形の枠状に形成され、爪部82は、4つの壁部84a,84b,84c,84dのそれぞれに設けられるので、ハウジング62に対するハウジングカバー64の前後、左右および上下の各方向の動きを効果的に規制できる。
【0045】
図3に示す閉塞部76における窓76aの延長線上に位置する部分は、他の部分に比べて強度が低くなるが、平面視で窓76aの延長線上から外れた位置に爪部82が設けられるので、当該部分の破損を抑制できる。
【0046】
[変形例]
なお、本明細書中で挙げた、画像形成装置10の具体的な構成は、いずれも単なる一例であり、実際の製品の仕様に応じて適宜変更可能である。たとえば、画像形成装置10は、必ずしも複合機である必要はなく、複写機、ファクシミリおよびプリンタ等のいずれか、またはこれらの少なくとも2つを組み合わせた複合機であってもよい。また、画像形成装置10は、記録媒体に対して単色の画像を形成するモノクロ機であってもよい。
【0047】
また、上記実施例の説明で挙げた具体的な部品形状、部品数および寸法などは、いずれも単なる一例であり、製品の仕様などの必要に応じて適宜変更可能である。たとえば、上記実施例では、ハウジング62の側壁部68を構成する4つの壁部74a,74b,74c,74dのそれぞれに2つの突起部70が形成されるが、突起部70の数は、適宜変更されてもよい。たとえば、4つの壁部74a,74b,74c,74dのそれぞれに、1つまたは3つ以上の突起部70が形成されてもよい。また、前壁部74aおよび後壁部74bのそれぞれに1つ以上の突起部70が形成されてもよいし、左壁部74cおよび右壁部74dのそれぞれに1つ以上の突起部70が形成されてもよい。これらの場合には、突起部70の数および位置に応じて、ハウジングカバー64の爪部82の数および位置が定められる。
【0048】
また、爪部82を構成する突出部86および凹部88は、幅方向において非対称形状に形成されてもよいし、台形状以外の形状に形成されてもよい。たとえば、突出部86は、その先端部が円弧状に湾曲した形状に形成されてもよい。
【符号の説明】
【0049】
10 …画像形成装置
T …仮想基準線
V1,V2 …仮想挿入基準線
X1,X2 …仮想受入基準線
60 …光学箱
62a …外側面
62 …ハウジング
64 …ハウジングカバー
70 …突起部
76 …閉塞部
78 …側壁部
82 …爪部
84a~84d …壁部
86 …突出部
88 …凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8