(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-11
(45)【発行日】2024-12-19
(54)【発明の名称】リニアモータおよびリニアヘッドモジュール
(51)【国際特許分類】
H02K 41/03 20060101AFI20241212BHJP
H05K 13/04 20060101ALN20241212BHJP
【FI】
H02K41/03 A
H05K13/04 A
(21)【出願番号】P 2021098055
(22)【出願日】2021-06-11
【審査請求日】2024-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000180025
【氏名又は名称】山洋電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 聡
(72)【発明者】
【氏名】恩田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】三澤 康司
【審査官】谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-009564(JP,A)
【文献】特開2015-065746(JP,A)
【文献】特開2014-192959(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 41/03
H05K 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スラスト軸線方向に延びる出力軸部を有する可動子と、
前記出力軸部の前記スラスト軸線方向の位置を検出可能な検出部と、
前記可動子に固定された被検出部と、を有し、
前記可動子はさらに、
前記被検出部が取り付けられる取付台座と、
前記取付台座を前記出力軸部の前記スラスト軸線方向の一方の端面に締結する金属製の締結部材と、を有し、
前記取付台座は、
前記出力軸部の前記スラスト軸線方向の一方の端面と前記締結部材との間に挟まれる金属製の被締結部と、
前記スラスト軸線からずれた位置に設けられた前記被検出部の取付面を有する樹脂製の取付部と、を有する、リニアモータ。
【請求項2】
前記取付部は、前記被締結部と連結されて前記スラスト軸線と交差する方向に延びる連結部を有し、
前記取付面は、前記連結部から前記スラスト軸線の他方側に延びる台座部に設けられている、請求項1に記載のリニアモータ。
【請求項3】
前記取付台座はインサート成形により形成されている、請求項1に記載のリニアモータ。
【請求項4】
請求項1に記載の複数の前記リニアモータを有するリニアヘッドモジュールであって、
前記可動子を前記スラスト軸線方向へ移動可能に支持するハウジングを有し、
前記ハウジングは、前記スラスト軸線の一方側に設けられ、前記スラスト軸線と交差する方向に延びて前記可動子を前記スラスト軸線方向に移動可能に支持する反出力側支持壁を有し、
前記反出力側支持壁には、前記取付部の少なくとも一部が挿通可能な貫通孔が設けられている、リニアヘッドモジュール。
【請求項5】
複数の前記リニアモータが前記スラスト軸線方向と交差する第一配列方向に配列されており、
前記貫通孔は、前記スラスト軸線方向から見て、前記第一配列方向に隣り合う前記出力軸部の間に設けられている、請求項4に記載のリニアヘッドモジュール。
【請求項6】
前記第一配列方向に配列された複数の前記リニアモータが、前記第一配列方向に交差する第二配列方向にも配列されており、
前記貫通孔は、前記スラスト軸線方向から見て、互いに隣接して矩形状をなす4つの前記出力軸部の間に設けられている、請求項5に記載のリニアヘッドモジュール。
【請求項7】
前記反出力側支持壁の前記スラスト軸線の他方側には、前記貫通孔から露出する前記取付部の少なくとも一部を収容する収容室を前記反出力側支持壁よりも前記スラスト軸線方向の他方側の空間から隔てる仕切りカバーが設けられている、請求項4に記載のリニアヘッドモジュール。
【請求項8】
複数の前記被検出部が各々の前記可動子に設けられており、
複数の前記検出部が単一の回路基板に設けられている、請求項4に記載のリニアヘッドモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リニアモータおよびリニアヘッドモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1のリニアヘッドモジュールが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のリニアヘッドモジュールは、複数のリニアモータを有している。このリニアモータの可動子において、スラスト軸線に沿って延びる出力軸部にブロック部材が接続され、ブロック部材に延出部材がねじ止めされている。
【0005】
特許文献1のリニアヘッドモジュールにおいては、出力軸部から離れた位置でスラスト軸線方向に対してねじれた方向に延びるねじにより延出部材をブロック部材に固定している。可動子が急加速・急停止した際には、延出部材にはスラスト軸線方向に大きな慣性力が作用する。ねじは軸部でこの慣性力を受け止めることができるため、特許文献1の装置は合理的な設計である。
【0006】
ところで近年では、可動子の高速度化が益々求められている。高速で動作することが求められるリニアヘッドモジュールにおいて可動子に急加速・急減速が作用すると、特許文献1に記載の装置では、金属製のねじにも大きな慣性力が作用する。ねじに大きな慣性力が作用すると、スラスト軸線方向に交差する方向の大きな力が出力軸に作用し、出力軸部を支える軸受に無理な荷重が生じる虞がある。
【0007】
そこで本発明は、出力軸部を支える軸受に無理な力が生じにくいリニアモータおよびこれを備えたリニアヘッドモジュールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面に係るリニアモータは、
スラスト軸線方向に延びる出力軸部を有する可動子と、
前記出力軸部の前記スラスト軸線方向の位置を検出可能な検出部と、
前記可動子に固定された被検出部と、を有し、
前記可動子はさらに、
前記被検出部が取り付けられる取付台座と、
前記取付台座を前記出力軸部の前記スラスト軸線方向の一方の端面に締結する金属製の締結部材と、を有し、
前記取付台座は、
前記出力軸部の前記スラスト軸線方向の一方の端面と前記締結部材との間に挟まれる金属製の被締結部と、
前記スラスト軸線からずれた位置に設けられた前記被検出部の取付面を有する樹脂製の取付部と、を有する。
【0009】
本発明の一側面に係るリニアヘッドモジュールは、
上記の複数の前記リニアモータを有するリニアヘッドモジュールであって、
前記可動子を前記スラスト軸線方向へ移動可能に支持するハウジングを有し、
前記ハウジングは、前記スラスト軸線の一方側に設けられ、前記スラスト軸線と交差する方向に延びて前記可動子を前記スラスト軸線方向に移動可能に支持する反出力側支持壁を有し、
前記反出力側支持壁には、前記取付部の少なくとも一部が挿通可能な貫通孔が設けられている。
【0010】
本発明によれば、出力軸部を支える軸受に無理な力が生じにくいリニアモータおよびリニアヘッドモジュールが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係るリニアヘッドモジュールの斜視図である。
【
図3】可動子の後出力軸部を拡大して示す図である。
【
図4】取付台座の周囲を拡大して示す斜視図である。
【
図5】反出力側支持壁をスラスト軸線の出力側から見た図である。
【
図6】貫通孔が設けられた反出力側支持壁を示す断面図である。
【
図7】本発明の変形例に係るリニアヘッドモジュールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、実施形態の説明において既に説明された部材と同一の参照番号を有する部材については、説明の便宜上、その説明は省略する。また、本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係るリニアモータ10を含むリニアヘッドモジュール1の斜視図である。
図1において、符号Fは前方、符号Bは後方、符号Uは上方、符号Dは下方、符号Rは右方、符号Lは左方をそれぞれ示している。
以降の説明では、説明の便宜上、「左右方向」、「前後方向」、「上下方向」について適宜言及する。ここで、「上下方向」は、「上方向」及び「下方向」を含む方向である。「前後方向」は、「前方向」及び「後方向」を含む方向である。「左右方向」は、「左方向」及び「右方向」を含む方向である。以降の説明では、リニアヘッドモジュール1のスラスト軸線T方向を前後方向と呼んでいる。
【0014】
図1に示したように、リニアヘッドモジュール1は、前後方向(スラスト方向)に移動する可動子60を有する複数のリニアモータ10と、ハウジング11と、センサユニット40(
図2参照)を有している。図示した例では、リニアヘッドモジュール1は8つのリニアモータ10を有している。上段に左右方向に4つのリニアモータ10が配列されており、下段に左右方向に4つのリニアモータ10が配列されている。
【0015】
図2は、リニアヘッドモジュール1の断面図である。
図2は、前後方向および上下方向に延びる断面でリニアヘッドモジュール1を見た図である。
図2に示したように、各々のリニアモータ10は、ハウジング11に固定される固定子50と、固定子50に対して前後方向に移動可能な可動子60を有している。
【0016】
可動子60は、前後方向に延びる出力軸部61と、磁石62を有している。複数の磁石62は前後方向に一列に配列され、互いに連結されている。出力軸部61は、前後方向に延びる棒状の部材である。出力軸部61は、磁石62よりも前方に設けられた前出力軸部61aと、磁石62よりも後方に設けられた後出力軸部61bとを備えている。前出力軸部61aの前部が、リニアヘッドモジュール1によって駆動したい駆動対象物に接続される。
【0017】
固定子50は、バックヨーク51とコイル52を有している。図示した例において、固定子50はさらに、コイル52へ電力を供給してコイル52を制御する駆動用回路基板53と、駆動用回路基板53を収容するカバー54を有している。固定子50は、ハウジング11に固定されている。
【0018】
バックヨーク51は、鉄などの磁性材料で構成された部材である。図示した例において、バックヨーク51は出力軸部61に沿って延びる円筒形の部材である。円筒状のバックヨーク51の内部に、出力軸部61が前後方向に移動可能に収容されている。また、円筒形のバックヨーク51の内部に、複数のコイル52が設けられている。コイル52は、前後方向に延びる軸線を中心とする筒状に電線が巻かれて構成されている。バックヨーク51は、このコイル52から生じる磁束線を収束させて磁力を高めている。
【0019】
駆動用回路基板53は、図示せぬ電源から延びる電線が接続されている。駆動用回路基板53は、円筒状のバックヨーク51の外周側に設けられた、駆動用回路基板53を収容する板状のカバー54に収容されている。駆動用回路基板53からはコイル52へ電線が延びており、コイル52へ電力を供給する。駆動用回路基板53がコイル52へ供給する電流の流れる向きや電流量を制御することにより、コイル52に生じる磁力線の向きや強さを制御する。これにより、出力軸部61の動く向きや速さを制御する。
【0020】
図2に示したように、固定子50は、第一軸受ホルダ20を有している。第一軸受ホルダ20は、ハウジング11に取り付けられ、固定子50のバックヨーク51の出力側端部を支持している。第一軸受ホルダ20は、バックヨーク51の出力側端部に設けられている。第一軸受ホルダ20は、出力軸部61を前後方向に移動可能に支持する第一軸受21を有している。
【0021】
固定子50は、第二軸受ホルダ30を有している。第二軸受ホルダ30は、ハウジング11に取り付けられ、固定子50のバックヨーク51の反出力側端部を支持している。第二軸受ホルダ30はバックヨーク51の反出力側端部に設けられている。第二軸受ホルダ30は、出力軸部61を前後方向に移動可能に支持する第二軸受31を有している。
つまり、ハウジング11は、これら第一軸受21および第二軸受31を介して可動子60をスラスト軸線T方向に移動可能に支持している。
【0022】
センサユニット40は、出力軸部61のスラスト軸線T方向の位置を検出する。センサユニット40は、センシング回路基板41(回路基板)と、検出部42と、可動子60に固定された被検出部43とを備えている。センシング回路基板41はハウジング11に固定されている。検出部42は、センシング回路基板41に搭載されている。このため、検出部42はハウジング11に対して移動不能である。
【0023】
本実施形態におけるセンサユニット40は、光学式のセンサで構成されている。検出部42は、発光部と受光部を備えている。発光部から発した光が被検出部43で反射され、この反射光を受光部で検出する。被検出部43には所定の幅を有する反射部と、スリット反射部よりも反射率の低い非反射部(またはスリット)とが、スラスト軸線T方向に沿って交互に配列されている。出力軸部61がスラスト軸線T方向に移動すると、検出部42で反射光を検出したり検出しなかったりし、検出部42の出力が変化する。この検出部42の出力の変化に基づき、出力軸部61のスラスト軸線T方向の位置が特定できる。
【0024】
図3は、可動子60の後出力軸部61bを拡大して示す図である。
図3に示したように、可動子60は、後出力軸部61b(出力軸部)と、被検出部43が取り付けられる取付台座70と、取付台座70を後出力軸部61bに締結する金属製の締結部材63を有している。図示した例において、締結部材63は、後出力軸部61bのスラスト軸線T方向の反出力側端面61cにねじ込まれた、ねじ部と頭部を有するボルトである。後出力軸部61bの反出力側端面61cには、内周面にねじ溝が形成されたねじ孔が設けられている。締結部材63はこのねじ孔にねじ込まれている。
【0025】
取付台座70は、金属製の被締結部71と、樹脂製の取付部72を有している。被締結部71は、後出力軸部61bの反出力側端面61cと締結部材63の頭部との間に挟まれている。被締結部71は、締結部材63が挿通されるスラスト軸線T方向に貫通する貫通孔71aを有する円筒状の部材である。貫通孔71aの直径は、締結部材63のねじ部の直径よりも大きく、締結部材63の頭部の直径よりも小さい。被締結部71の反出力側端面61cは、締結部材63の頭部と当接する。
取付部72は、被検出部43が取り付けられる取付面73を有している。この取付面73は、スラスト軸線Tからずれた位置に設けられている。取付面73は、スラスト軸線Tと平行に延びている。
【0026】
つまり、本実施形態に係るリニアモータ10は、
スラスト軸線T方向に延びる出力軸部61を有する可動子60と、
出力軸部61のスラスト軸線T方向の位置を検出可能な検出部42と、
可動子60に固定された被検出部43と、を有し、
可動子60はさらに、
被検出部43が取り付けられる取付台座70と、
取付台座70を出力軸部61のスラスト軸線T方向の一方の端面61cに締結する金属製の締結部材63と、を有し、
取付台座70は、
出力軸部61のスラスト軸線T方向の一方の端面61cと締結部材63との間に挟まれる金属製の被締結部71と、
スラスト軸線Tからずれた位置に設けられた被検出部43の取付面73を有する樹脂製の取付部72と、を有する。
【0027】
本実施形態に係るリニアモータ10によれば、スラスト軸線Tからずれた位置に設けられた被検出部43の取付面73を含む取付部72を軽量の樹脂で構成したため、可動子60が急加速・急減速しても、可動子60に生じる慣性力を小さく抑えることができる。
さらに、金属製の締結部材63が後出力軸部61bの反出力側端面61cに締結されているので、可動子60にはスラスト軸線Tから離れた位置に大きな慣性モーメントが生じず、出力軸部61を支持する第一軸受21および第二軸受31に無理な力が作用しにくい。なお本発明とは異なり、特許文献1の構成では、この慣性モーメントを受け止めるために、金属製の取付台座を移動可能に支持するリニアガイドをハウジングに設けていた。本実施形態に係るリニアモータ10によれば、このようなリニアガイドを設ける必要がない。
さらに本実施形態に係るリニアモータ10によれば、被締結部71を金属で構成しているので、被締結部71を樹脂で構成した場合に比べて、締結部材63を被締結部71に強く締め付けることができる。このため、出力軸部61が急加速・急減速しても取付台座70が変形しにくいので、被検出部43をスラスト軸線Tに平行な軌跡に正確に移動させやすく、検出部42の検出精度を保ちやすい。
なお、キャビティ内に金属製の被締結部71を配置してから樹脂原料を流し込むインサート成形により、取付台座70を形成することが好ましい。
【0028】
図3に示したように、取付部72は、連結部74と、取付面73が設けられた台座部75を有している。連結部74は、被締結部71と連結されてスラスト軸線Tと交差する方向に延びている。台座部75は、連結部74から出力側に延びている。
本実施形態に係るリニアモータ10によれば、台座部75が後出力軸部61bの反出力側端面61cから出力側に折り返された位置に設けられているため、リニアモータ10のスラスト軸線T方向の寸法を小型に構成できる。
【0029】
また本実施形態のリニアヘッドモジュール1は、複数の上述したリニアモータ10を有している。このリニアヘッドモジュール1は、可動子60をスラスト軸線T方向へ移動可能に支持するハウジング11を有している。
図4は、取付台座70の周囲を拡大して示す斜視図である。
図4に示したように、ハウジング11は、スラスト軸線Tの反出力側に設けられ、スラスト軸線Tと交差する方向に延びて可動子60をスラスト軸線T方向に移動可能に支持する反出力側支持壁14を有している。この反出力側支持壁14には、取付部72の少なくとも一部である台座部75が挿通可能な挿通孔12が設けられている。
図示の例とは異なり、挿通孔が設けられていない場合、可動子が可動範囲の出力側の限界まで位置したときに、台座部が反出力側支持壁と干渉する恐れがある。このため、可動子の可動範囲を小さくせざるを得なかったり、リニアヘッドモジュールをスラスト軸線T方向に大きくせざるを得なかったりする。これに対して本実施形態に係るリニアヘッドモジュール1によれば、可動子60が可動範囲の出力側の限界まで位置したときに、台座部75を反出力側支持壁14よりも出力側の空間に位置させることができる。このため、可動子60の可動範囲を大きくする、あるいは、リニアヘッドモジュール1のスラスト軸線T方向の小型化を図ることができる。
【0030】
図5は、反出力側支持壁14をスラスト軸線Tの出力側から見た図である。
図5に示した例においては、複数のリニアモータ10がスラスト軸線T方向と交差する第一配列方向A1に配列されている。つまり、図示の例では4つのリニアモータ10が左右方向に配列されている。挿通孔12は、スラスト軸線T方向から見て、第一配列方向A1に隣り合う後出力軸部11bの間に設けられている。
本実施形態に係るリニアヘッドモジュール1によれば、複数のリニアモータ10の間の空間を効率よく使って台座部75を収容する空間を設けることができる。
【0031】
図5に示した例においては、第一配列方向A1に配列された複数のリニアモータ10子が、第一配列方向A1に交差する第二配列方向A2にも配列されている。つまり、左右方向に配列された4つのリニアモータ10が上下方向に2段設けられ、合計8つのリニアモータ10が設けられている。挿通孔12は、スラスト軸線T方向から見て、互いに隣接して矩形状をなす4つの後出力軸部61bの間に設けられている。
本実施形態に係るリニアヘッドモジュール1によれば、複数のリニアモータ10の間の空間をさらに効率よく使って台座部75を収容する空間を設けることができる。
【0032】
図6は、挿通孔12が設けられた反出力側支持壁14を示す断面図である。
図6に示したように、反出力側支持壁14の出力側には、仕切りカバー13が設けられている。仕切りカバー13は、挿通孔12から露出する取付部72の少なくとも一部を収容する収容室を、反出力側支持壁14よりも出力側の空間から仕切っている。
反出力側支持壁14よりも出力側の空間には、
図2に示したように、第一軸受21や第二軸受31が位置している。これらの第一軸受21や第二軸受31には、潤滑油が用いられている。この油が蒸発して電子部品に付着すると電子部品に悪影響が生じる。あるいは、油が被検出部43に付着するとセンサユニット40の感度が低下する恐れがある。挿通孔12を設けたことにより、反出力側支持壁14よりも出力側の空間で生じた油分が被検出部43やセンシング回路基板41に付着する恐れがある。
本実施形態に係るリニアヘッドモジュール1によれば、仕切りカバー13によって油が被検出部43やセンシング回路基板41に付着しにくくなっている。
なお、図示の都合上、
図2には仕切りカバー13を図示していない。
【0033】
本実施形態に係るリニアヘッドモジュール1において、複数の被検出部43が各々の可動子60に設けられており、複数の検出部42が単一のセンシング回路基板41に設けられている。これにより、部品点数を削減することができる。
【0034】
以上、本発明の実施形態について説明をしたが、本発明の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は単なる一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【0035】
例えば、上述した実施形態においては、台座部75が後出力軸部61bの反出力側端面61cから出力側へ折り返された形状を説明したが、
図7に示した例のように、台座部175が後出力軸部61bの反出力側端面61cから反出力側へ延びるように構成されていてもよい。
【0036】
上述した実施形態においては、円筒状の磁性材を説明したが、磁性材の形状はこれに限られない。例えば磁性材は、角筒状であったり、板状であったりしてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 リニアヘッドモジュール
10 リニアモータ
11 ハウジング
12 挿通孔
13 仕切りカバー
14 反出力側支持壁
20 第一軸受ホルダ
21 第一軸受
30 第二軸受ホルダ
31 第二軸受
40 センサユニット
42 検出部
43 被検出部
50 固定子
51 バックヨーク
52 コイル
53 駆動用回路基板
60 可動子
61 出力軸部
61a 前出力軸部
61b 後出力軸部
63 締結部材
70 取付台座
71 被締結部
72 取付部
73 取付面