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  • 特許-シート送り装置および画像形成装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-11
(45)【発行日】2024-12-19
(54)【発明の名称】シート送り装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/06 20060101AFI20241212BHJP
   B65H 11/00 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
B65H3/06 340D
B65H11/00 H
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021141257
(22)【出願日】2021-08-31
(65)【公開番号】P2023034822
(43)【公開日】2023-03-13
【審査請求日】2024-03-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168217
【弁理士】
【氏名又は名称】大村 和史
(72)【発明者】
【氏名】古本 晴久
(72)【発明者】
【氏名】藤田 正彦
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-060066(JP,A)
【文献】特開2021-075365(JP,A)
【文献】特開2017-030914(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0031295(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106395443(CN,A)
【文献】実開平03-051729(JP,U)
【文献】特開2018-016458(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00- 3/68
B65H 11/00-11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレー上に載置されたシート状媒体を画像形成装置に取り込むシート送り装置であって、
前記トレーの画像形成装置側に設けられ、シート状媒体を取り込む方向と直交する軸線を有する回動軸を中心として前記トレー側が回動可能なローラ保持体、
前記ローラ保持体に保持されて前記トレー上のシート状媒体を取り込むためのピックアップローラ、
前記ローラ保持体の下方に設けられ、シート状媒体を取り込む方向と直交する軸線を有する支軸を中心として前記画像形成装置側が回動可能な分離前ガイド、および
前記分離前ガイドに設けられ、前記ローラ保持体の前記トレー側を持ち上げ、前記分離前ガイドの前記画像形成装置側を持ち上げたとき、前記ローラ保持体の適宜の部位に当接し、前記ローラ保持体を支持する当り部を備える、シート送り装置。
【請求項2】
前記ローラ保持体は前記ピックアップローラを収容するするカバーを備え、前記当り部は前記カバーの下面に当たる、請求項1記載のシート送り装置。
【請求項3】
前記カバーは側面部を有し、前記当り部は前記側面部の下辺に当たる、請求項2記載のシート送り装置。
【請求項4】
前記側面部の下辺に形成された凹部を備え、前記当り部は前記凹部において前記下辺に当たる、請求項3記載のシート送り装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載のシート送り装置を備える、画像形成装置。
【請求項6】
前記シート送り装置は、手差し給紙部に設けられる、請求項5記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シート送り装置および画像形成装置に関し、特にたとえば、画像形成装置の手差し給紙部のように、シートを軟質のピックアッアプローラによって画像形成装置の内部に取り込む、シート送り装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の背景技術の一例が特許文献1に開示される。この特許文献1の技術では、レバーを有する給紙カバーに回動自在に支持アームを設け、その先端にピックアップローラを設けて、レバーの操作に連動して、支持アームの第1係合部とレバーの第2係合部の係合を解除する。係合の解除状態で、支持アームを回動させて、ピックアップローラを交換し易い位置に移動させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007‐168930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術は、給紙カバーに支持アームを設ける構造であるため、給紙カバーのない手差し給紙部等には適用できない。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、シート送り装置および画像形成装置を提供することである。
【0006】
この発明の他の目的は、手差し給紙部にも適用でき、ピックアップローラの交換を容易にする、シート送り装置および画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。なお、括弧内の参照符号および補足説明等は、この発明の理解を助けるために記述する実施形態との対応関係を示したものであって、この発明を何ら限定するものではない。
【0008】
第1の発明は、トレー上に載置されたシート状媒体を画像形成装置に取り込むシート送り装置であって、トレーの画像形成装置側に設けられ、シート状媒体を取り込む方向と直交する軸線を有する回動軸を中心として回動可能なローラ保持体、ローラ保持体に保持されてトレー上のシート状媒体を取り込むためのピックアップローラ、ローラ保持体の下方に設けられ、シート状媒体を取り込む方向と直交する軸線を有する支軸を中心として画像形成装置側が回動可能な分離前ガイド、および分離前ガイドに設けられ、ローラ保持体のトレー側を持ち上げ、分離前ガイドの画像形成装置側を持ち上げたとき、ローラ保持体の適宜の部位に当接し、ローラ保持体を支持する当り部を備える、シート送り装置である。
【0009】
第1の発明では、シート送り装置(10:実施例において相当する部分を例示する参照符号。以下同様。)は、トレー(112)上に載置されたシート状媒体を取り込む。シート送り装置(10)は、トレーの奥側すなわちトレーの画像形成装置側に設けられ、奥側に設けられてトレーからシート状媒体を取り込む方向と直交する(垂直な)軸線を有する回動軸(38)を中心としてトレー側が回動可能なローラ保持体(20)を備える。このローラ保持体は、トレー(112)上のシート状媒体を取り込むためのピックアップローラ(46)を回転可能に保持する。ローラ保持体は、奥側に設けた回動軸(38)で支持されているので、ローラ保持体の前側(ピックアップローラが設けられている側)すなわちトレー側を持ち上げることができる。分離前ガイド(24)がローラ保持体の下方に設けられる。分離前ガイドは、ピックアップローラ(46)でシート状媒体を取り込むとき、シート状媒体の重送を防止する分離パッドとして機能する。分離前ガイドは、前側に設けられてトレーからシート状媒体を取り込む方向と直交する(垂直な)軸線を有する支軸(52)を中心として奥側すなわち画像形成装置側が回動可能に支持される。つまり、分離前ガイドは前側すなわちトレー側の支軸(52)で支持されているので、分離前ガイドの奥側すなわち画像形成装置側を持ち上げることができる。当り部(56)は、分離前ガイドに設けられ、ローラ保持体(20)の前側すなわちトレー側を持ち上げ、分離前ガイド(24)の奥側すなわち画像形成装置側を持ち上げたとき、下方からローラ保持体に当接して、ローラ保持体を支持する。
【0010】
第1の発明によれば、ローラ保持体が分離前ガイドに下から支えられた状態となるので、ローラ保持体が下降するのが防止でき、ピックアップローラの交換を容易にすることができる。
【0011】
第2の発明は、第1の発明に従属し、ローラ保持体はピックアップローラを収容するカバーを備え、当り部はカバーの下面に当たる、シート送り装置である。
【0012】
第2の発明では、当り部(56)がローラ保持体(20)のカバー(26)の下面に当たって、分離前ガイド(24)がローラ保持体を下から支持する。
【0013】
第3の発明は、第2の発明に従属し、カバーは側面部を有し、当り部は側面部の下辺に当たる、シート送り装置である。
【0014】
第3の発明では、カバー(26)の側面部(32)の下辺(32a)に当たる。
【0015】
第4の発明は、第3の発明に従属し、側面部の下辺に形成された凹部を備え、当り部は凹部において下辺に当たる、シート送り装置である。
【0016】
第4の発明では、カバー(26)の側面部(32)の下辺(32a)に凹部(58)を形成し、当り部(56)はその凹部において、下辺にあたる。
【0017】
第4の発明によれば、凹部を設けたことにより、当り部と下辺とが接触する接触場所とローラ保持体の回動軸との間の距離が遠いので、ローラ保持体を大きく持ち上げることができるし、分離前ガイドを引き起こすとき、あまり大きな力を必要としない。
【0018】
第5の発明は、第1ないし第4の発明のいずれかのシート送り装置を備える、画像形成装置である。
【0019】
第5の発明では、画像形成装置(100)がシート送り装置(10)を備える。
【0020】
第6の発明は、第5の発明に従属し、シート送り装置は、手差し給紙部に設けられる、画像形成装置である。
【0021】
第6の発明では、画像形成装置(100)は、手差し給紙部(110)を含み、トレー(112)は手差し給紙部に設けられる。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、手差し給紙部にも適用でき、ピックアップローラの交換を容易にすることができる、シート送り装置を得ることができる。
【0023】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1はこの発明の一実施例の画像形成装置を示す図解図である。
図2図2図1に示す画像実施例装置から取り出したシート送り装置であって、分離前ガイドを伏せた状態(使用状態)を示す図解図である。
図3図3図2に示すシート送り装置において分離前ガイドを起こした状態(ピックアップローラ交換時等)を示す図解図である。
図4図4は第1実施例の構成においてピックアップローラを交換するときの操作を示す図解図であり、図4(A)は通常使用状態を示し、図4(B)は交換時の状態を示す。
図5図5は第2実施例の構成においてピックアップローラを交換するときの操作を示す図解図であり、図5(A)は通常使用状態を示し、図5(B)は交換時の状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1はこの発明の一実施例である画像形成装置100を示す図解図である。図1に示す画像形成装置100は、本体102を含み、この本体102の内部に、画像形成部(図示せず)が設けられる。
【0026】
本体102の上端には原稿読取り部104が設けられ、原稿読取り部104は原稿送り部104aを含み、この原稿送り部104aから送られる原稿をスキャナ(図示せず)で読取り、読み取った原稿画像が画像形成部で記録紙などのシート状記録媒体(以下、これらをまとめて「記録シート」または「シート状媒体」という)上に印刷される。
【0027】
原稿読取り部104の前方(手前側)にはテンキーやタッチパネルを含む操作部106が設けられる。操作部106は、実行すべきジョブ(コピー、印刷、ファクシミリ等)を設定したり、たとえば、画像形成部で画像を印刷する際の条件(たとえば、印刷部数、片面/両面等)を設定したりするために利用される。
【0028】
本体102の下部には、周知のように各記録シートのサイズ毎に、複数の給紙カセット108が挿入/引き出し可能に設けられる。
【0029】
これらの給紙カセット108からの自動給紙とは別に、手動で記録シートを供給するための手差し給紙部110が本体102の側面(この実施例では右側面)に設けられる。
【0030】
手差し給紙部110は、送り込むべき記録シートを載置しておく給紙トレー112から記録シートを取り込むシート送り部10を含む。給紙トレー112に記録シートが堆積して載置される場合には、シート送り部10はその最上位の記録シートから順に本体102の内部に取り込む。
【0031】
図2および図3はそれぞれシート送り部10を本体102(図1)から取り出して示した図であるが、図解を容易にする目的で、図1とは左右逆にしている。
【0032】
なお、分離パッドとして機能する後述の分離前ガイド24は、矢印A方向に起伏可能に設けられていて、図2が分離前ガイド24を伏せた通常使用状態を示し、図3がたとえばピックアップローラを交換する際などのように、分離前ガイド24を前方へ起こした状態を示す。
【0033】
シート送り部10は、全体構造を保持する合成樹脂からなるケース12を含み、このケース12は、左右の取り付け部14によって、図1に示す本体102の側面の給紙トレー112の奥に取り外し可能に取り付けられる。ケース12の前面下部には、連結部16が設けられる。この連結部16には、図1に示す給紙トレー112の基端が一体的に連結される。
【0034】
ケース12の前面には、ローラアセンブリ20を取り付けるための開口18が形成され、その開口18の左右の内壁はローラアセンブリ20を装着する保持フレーム22として機能する。つまり、この開口18の内壁には軸受け(図示せず)が設けられ、その軸受けによって、ローラアセンブリ20の回動軸38(後述)を、ローラアセンブリ20が矢印B(B1またはB2)方向に回動可能に、支持する。
【0035】
連結部16の開口18に対応する位置に、上述の分離前ガイド24が設けられる。分離前ガイド24は、給紙トレー112からシート送り部10によって記録シートが取り込まれるときに、記録シートが重なって取り込まれるのを防止するものである。分離前ガイド24は、上述のように、矢印A(A1またはA2)方向に回動可能に、連結部16に支持される。
【0036】
この実施例のシート送り部10は、図4に示すように、いずれも給紙トレー112の奥側、すなわち給紙トレー112の画像形成装置100側に設けた、ローラアセンブリ20とその下方の分離前ガイド24という主要部品の組み合わせによって構成される。なお、以下の説明において、「奥側」の語は、画像形成装置100側を示し、「前側」の語は給紙トレー112側を示すものとする。
【0037】
まず、ローラアセンブリ20は、ピックアップローラ46と、送りローラ42と、図示しない駆動伝達機構と、合成樹脂からなるカバー26を含む。カバー26は、平坦部28、その平坦部28の先端に形成される湾曲部30および平坦部28と湾曲部30を連結する側面部32を含む。側面部32の所定の位置には、透孔34が形成される。
【0038】
さらに、側面部32および湾曲部30の先端に、前方に突出するレバー36が形成される。このレバー36は、ローラアセンブリ20を全体として、矢印B(B1またはB2)方向へ回動するための把手となる。
【0039】
なお、図4で見えている側面部32の反対側においても側面部は形成されている。この反対側の側面部は図示されていないが、同じ参照番号「32」で言及することがある。
【0040】
カバー26の基端部には、側面部34(両側)から外方に突出して、回動軸38が、側面部32と一体的に形成される。この回動軸38は、給紙トレー112からシートを取り込む方向と直交する(垂直な)方向に軸線を有し、開口18(図2図3)の内壁の保持フレーム22に形成されている軸受け(図示せず)に支持される。したがって、ローラアセンブリ20が先に説明したように、回動軸38を中心として矢印B1またはB2方向に回動可能に開口18内に取り付けられる。つまり、ローラアセンブリ20は、回動軸38を中心として前側を持ち上げることができる。
【0041】
回動軸38は中空軸であり、中空部にはローラ軸40が挿通される。ローラ軸40は送りローラ42を回転可能に支持する。
【0042】
また、カバー26の先端の湾曲部30で覆われる位置には、上述の透孔34によって、ローラ軸44が固定的に支持される。このローラ軸44は、ピックアップローラ46を回転可能に支持する。なお、透孔34の内形およびローラ軸44の外形を真円ではなく、一部の円弧を切り取ったような異形にしたことによって、ローラ軸44の追従回転を防止している。
【0043】
このように、ローラアセンブリ20すなわちカバー26は、送りローラ42やピックアップローラ46を保持しているので、ローラ保持体として機能することがわかる。ただし、ローラ保持体としては、少なくともピックアップローラ46を保持していればいい。
【0044】
ピックアップローラ46は周知のように、給紙トレー112上に載置されている、または堆積されている記録シート(図示せず)を取り込むためのローラである。そのために、ピックアップローラ46は、硬質の中心部とその外側の軟質層からなり、軟質の外側層が摩擦によって記録シートを取り込む。
【0045】
送りローラ42とピックアップローラ46とはカバー28の内部においてタイミングベルト(図示せず)で連結されていて、両者は同期して回転される。それによって、記録シートを、撓みなどを生じることなく、安定して取り込むことができる。
【0046】
なお、ピックアップローラ46の外側層がすり減ったときには、記録シートの取り込みができないので、ピックアップローラ46を全体として、新品に交換する。
【0047】
この実施例は、このような、分離前ガイド24と協働する、ピックアップローラ46の交換時の特別の構成に向けられるものである。
【0048】
ローラアセンブリ20とともにシート送り部10を構成する分離前ガイド24は、合成樹脂からなる「そり」のような形状の本体48を含み、本体48の両側にはそり型の側面部50が形成される。側面部50のそり型の先端(手前側先端)に支軸52が形成さる。この支軸52によって、分離前ガイド24が連結部16(図2図3)の中央に装着される。そして、この分離前ガイド24は支軸52を中心として矢印A(A1またはA2)方向に起伏(回動)できる。つまり、分離前ガイド24は、支軸52を中心として前側すなわち給紙トレー112(図1)側を持ち上げることができる。この支軸52も、ローラアセンブリ20の回動軸と同様に、給紙トレー112からシートを取り込む方向と直交する(垂直な)軸線を有する。
【0049】
分離前ガイド24の本体48には、奥側に向かって上昇する傾斜面が形成され、その傾斜面に貼り付けられて、同様に奥側に向かって上昇するように傾斜するマイラシート54が設けられる。ただし、このマイラシート54はよく知られているように、合成樹脂からなり、柔軟性、耐熱性、絶縁性を有するフィルムシートである。マイラシート54は、裏面全面が傾斜面に貼り付けられているのではなく、図示のように、たとえば手前側の半分ぐらいだけが傾斜面によって支持されている。したがって、先端側(奥側)の下面には傾斜面(支持部)はなく、揺動自在とされている。つまり、このマイラシート54の先端のしなりによって、記録シートの重送が効果的に防止されている。
【0050】
分離前ガイド24の一方の側面部50(この実施例では、右側の側面部)の奥側先端は、奥側に向かうにつれて下降する形状の当り部56として形成される。
【0051】
図4(A)に示す通常使用状態では、図2にも示すように、分離前ガイド24は伏せられたままである。なお、図4(A)では、ローラアセンブリ20は持ち上げられた状態を図示しているが、これは分離前ガイド24等を全体的に図解するためであり、実際の使用状態ではローラアセンブリ20は、矢印B2方向へ回動され、図4(A)より下降位置にあると理解されたい。
【0052】
したがって、給紙トレー112上の記録シートがピックアップローラ46によってピックアップされ(取り込まれ)、送りローラ42で本体102内部に送り込まれる。このとき、分離前ガイド24が記録シートの重送を防止することは上述の通りである。
【0053】
ピックアップローラ46を交換するとき、図4(B)に示すように、ユーザまたはサービスパーソンは、レバー36を持って、ローラアセンブリ20を矢印B1方向へ持ち上げるとともに、分離前ガイド24を矢印A1方向へ引き起こす。そうすると、分離前ガイド24の当り部56がカバー26の側面部32の下辺32aに当たる。そのため、ローラアセンブリ20が分離前ガイド24に下から支えられた状態となり、レバー36から手を放しても、ローラアセンブリ20が下降するのが防止できる。したがって、ユーザないしサービスパーソンは、両手を使って、ピックアップローラ46を交換することができる。
【0054】
ピックアップローラ46を交換する具体的な方法は、上述のように起こした分離前ガイド24でローラアセンブリ20の下降を防いだ状態で、ピックアップローラ46のローラ軸44を、カバー26の側面部32から押すことによって、側面部32の透孔34から取り外す。そのとき、ローラ軸44がピックアップローラ46からも外され、ピックアップローラ46だけを取り外すことができる。
【0055】
新しいピックアップローラ46を装着するには、ローラ軸44を新しいピックアップローラ46に挿通した状態でローラ軸44を透孔34に嵌め込めばよい。
【0056】
次に、図5を参照して、第2実施例について説明する。ただし、以下では、図4に示す第1実施例と異なる点についてのみ、説明する。
【0057】
図4に示す第1実施例では、ローラアセンブリ20のカバー26の側面部32の下辺32aは、ストレート(直線)であったが、第2実施例では、側面部32の下辺32aには、凹部58が形成されている。
【0058】
このように、下辺32aに凹部58を形成すると、ピックアップローラ46の交換のために図5(B)に示すようにローラアセンブリ20を矢印B1方向へ持ち上げ、分離前ガイド24を矢印A1方向へ引き起こすとき、分離前ガイド24の側面部50の奥側先端の当り部56が側面部32の下辺32aに当たる場所が、ローラアセンブリ20の回動軸38から、図4の第1実施例に比べて、遠くなる、
図4の第1実施例では分離前ガイド24によるローラアセンブリ20の支持のために、分離前ガイド24を矢印A1方向に引き起こすとき、当り部56と下辺32aとの接触場所とローラアセンブリ20の回動軸38との間の距離が近いので、分離前ガイド24を引き起こすとき、比較的大きな力を必要とする。
【0059】
これに対して、図5の第2実施例では、当り部56と下辺32aすなわち凹部58との接触場所とローラアセンブリ20の回動軸38との間の距離が遠いので、ローラアセンブリ20を大きく持ち上げることができる。しかも、当り部56と凹部58との接触場所と回動軸38との間の距離が遠いので、分離前ガイド24を引き起こすとき、あまり大きな力を必要としない。
【0060】
これらの実施例ではいずれも分離前ガイド24を引き起こす際に、分離前ガイド24の部品、たとえばマイラシート54などがローラアセンブリ20に当たらないように各部が配置されている。この条件を満たせばこの発明は上述の実施例に限ったものではない。
【0061】
上述の実施例はいずれも、分離前ガイド24に形成した当り部56がローラアセンブリ20のカバー26の側面部32の下辺32a(凹部58を含む)に接触することで、分離前ガイド24が前側を持ち上げた状態のローラアセンブリ20を支持するようにした。つまり、当り部56は、ローラ保持体のカバー28の下面に当たることで、ローラ保持体を下から支持する。
【0062】
しかしながら、この当り部56が当たるローラ保持体の部位は、側面部32の下辺32aに限らず、たとえば側面部32から外方に突出する突起(図示せず)を設け、その突起に当たるようにしてもよい。つまり、当り部56は、ローラ保持体の適宜の部位に接触することによって、ローラ保持体を支持することができる。
【0063】
さらに、分離前ガイド24に設けた当り部56がローラアセンブリ20すなわちローラ保持体に接触するようにしたが、当り部56の位置や形状は実施例のものに限られるものではない。分離前ガイド24がローラアセンブリ20に接触する場所が当り部として機能する。
【0064】
なお、上述の実施例では、シート送り装置10を図1に示す画像形成装置100の手差し給紙部に採用した場合について説明した。しかしながら、この発明は、図1に示す画像形成装置100の原稿送り部104aなどにも適用できることはいうまでもない。この場合には、原稿がシート状媒体となる。
【符号の説明】
【0065】
10 …シート送り装置
20 …ローラアセンブリ(ローラ保持体)
24 …分離前ガイド
26 …カバー
32 …側面部
32a …下辺
38 …回動軸
40、44…ローラ軸
42 …送りローラ
46 …ピックアップローラ
50 …側面部
52 …支軸
56 …当り部
58 …凹部
100 …画像形成装置
104a …原稿送り部
112 …給紙トレー
図1
図2
図3
図4
図5