(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-11
(45)【発行日】2024-12-19
(54)【発明の名称】機器制御システム及び機器制御方法
(51)【国際特許分類】
E05B 49/00 20060101AFI20241212BHJP
H04M 1/72 20210101ALI20241212BHJP
H05B 47/19 20200101ALI20241212BHJP
【FI】
E05B49/00 K
H04M1/72
H05B47/19
(21)【出願番号】P 2021192863
(22)【出願日】2021-11-29
【審査請求日】2024-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】518135412
【氏名又は名称】株式会社リクルート
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100139066
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】菅原 健翁
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-149643(JP,A)
【文献】特開2003-250186(JP,A)
【文献】特開2010-112044(JP,A)
【文献】特開2018-129751(JP,A)
【文献】特開2002-138752(JP,A)
【文献】特開2017-110431(JP,A)
【文献】特開平7-224560(JP,A)
【文献】国際公開第2020/003487(WO,A1)
【文献】特開平10-140891(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0150041(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0309562(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0011088(US,A1)
【文献】国際公開第2017/111619(WO,A1)
【文献】特開2020-057946(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-85/28
E05C 1/00-21/02
H03J 9/00- 9/06
H04M 1/00
H04M 1/24- 1/82
H04M 99/00
H04Q 9/00- 9/16
H05B 47/19-47/195
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器ごとに設定される作動条件に基づいて作動する複数の電子機器と、
センシングする対象物の状態を検知し、当該検知した前記対象物の状態に基づいて
前記電子機器に対するブロードキャストを有効又は無効のいずれかに設定する複数のセンサと、
ユーザの操作指示に従って前記電子機器に対する操作命令をブロードキャストする操作端末と、
を備え、
前記作動条件は、前記操作命令を受信することの他に、少なくともいずれか一つ以上の前記対象物の状態を要件に含む、
機器制御システム。
【請求項2】
前記対象物の状態は、扉又は窓の開閉状態、電気製品のオンオフ状態、照明器具の点灯消灯状態、及び、防犯又は防火システムの作動状態のいずれかである、
請求項1記載の機器制御システム。
【請求項3】
前記対象物の状態は、扉又は窓の開閉状態であり、前記電子機器は、電子錠である、
請求項1又は2記載の機器制御システム。
【請求項4】
前記センサは、扉又は窓が閉まっている状態である場合に、
前記電子錠に対するブロードキャストを有効にし、
前記電子錠は、前記操作命令を受信し、かつ、前記作動条件に設定されている扉又は窓が閉まっている状態である場合に、施錠する、
請求項3記載の機器制御システム。
【請求項5】
複数のセンサが、それぞれ
センシングする対象物の状態を検知し、当該検知した前記対象物の状態に基づいて
複数の電子機器に対するブロードキャストを有効又は無効のいずれかに設定することと、
操作端末が、機器ごとに設定される作動条件に基づいて作動する
前記電子機器に対する操作命令をブロードキャストすることと、
を含み、
前記作動条件は、前記操作命令を受信することの他に、少なくともいずれか一つ以上の前記対象物の状態を要件に含む、
機器制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器制御システム及び機器制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、住居等の建物にある複数の窓やドアを外出先等の遠隔地から施錠又は解錠する遠隔制御装置が開示されている。この遠隔制御装置では、一回の操作で建物内にある全ての窓やドアを施錠又は解錠する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、一回の操作で全てのドアや窓を一律に施錠又は解錠することができても、一部のドアや窓のみを施錠又は解錠する場合には、個別に施錠又は解錠する必要がある。したがって、施錠又は解錠する操作に手間がかかる。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、作動条件が異なる複数の機器を一回の操作で個別に作動させることができる機器制御システム及び機器制御方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様である機器制御システムは、機器ごとに設定される作動条件に基づいて作動する複数の電子機器と、対象物の状態を検知し、当該検知した前記対象物の状態に基づいてブロードキャストを有効又は無効のいずれかに設定する複数のセンサと、ユーザの操作指示に従って前記電子機器に対する操作命令をブロードキャストする操作端末と、を備え、前記作動条件は、前記操作命令を受信することの他に、少なくともいずれか一つ以上の前記対象物の状態を要件に含む。
【0007】
上記対象物の状態は、扉又は窓の開閉状態、電気製品のオンオフ状態、照明器具の点灯消灯状態、及び、防犯又は防火システムの作動状態のいずれかであってもよい。
【0008】
上記対象物の状態は、扉又は窓の開閉状態であり、前記電子機器は、電子錠であってもよい。
【0009】
上記センサは、扉又は窓が閉まっている状態である場合に、ブロードキャストを有効にし、上記電子錠は、前記操作命令を受信し、かつ、前記作動条件に設定されている扉又は窓が閉まっている状態である場合に、施錠してもよい。
【0010】
本発明の他の態様である機器制御方法は、複数のセンサが、それぞれの対象物の状態を検知し、当該検知した前記対象物の状態に基づいてブロードキャストを有効又は無効のいずれかに設定することと、操作端末が、機器ごとに設定される作動条件に基づいて作動する複数の電子機器に対する操作命令をブロードキャストすることと、を含み、前記作動条件は、前記操作命令を受信することの他に、少なくともいずれか一つ以上の前記対象物の状態を要件に含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、作動条件が異なる複数の機器を一回の操作で個別に作動させることができる機器制御システム及び機器制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態に係る機器制御システムの構成を例示する模式図である。
【
図3】ドアセンサがブロードキャストを有効にしている状態を例示する模式図である。
【
図4】窓センサがブロードキャストを有効にしている状態を例示する模式図である。
【
図5】電子錠操作端末がブロードキャストを有効にしている状態を例示する模式図である。
【
図6】実施形態に係る機器制御システムの動作を例示するシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。また、図面は模式的なものであるため、各構成要素の寸法や比率は実際のものとは相違する。
【0014】
図1は、実施形態に係る機器制御システムの一例を示す模式図である。同図に示すように、本実施形態に係る機器制御システム1は、例えば、玄関ドア5に取り付けられた電子錠2a及びドアセンサ3aと、窓6に取り付けられた窓センサ3bと、勝手口ドア7に取り付けられた電子錠2bと、ユーザが操作する電子錠操作端末4と、を備える。以下において、電子錠2a、2bを特に区別して記載する必要がない場合には、電子錠2と称し、ドアセンサ3a及び窓センサ3bを特に区別して記載する必要がない場合には、センサ3と称する。
【0015】
電子錠2、センサ3及び電子錠操作端末4は、相互に無線通信することができる。センサ3及び電子錠操作端末4は、ブロードキャストする機能を有する。ブロードキャストは、例えば、SSID(Service Set Identifier)を利用して行うこととしてもよいし、ブロードキャストアドレスを利用して行うこととしてもよい。
【0016】
電子錠2は、電子錠2ごとに設定される作動条件に基づいて作動する。作動条件には、例えば、電子錠2を施錠するための条件や、電子錠2を解錠するための条件が含まれる。作動条件の詳細については、後述する。
【0017】
図2に示すように、電子錠2は、例えば、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、錠前機構24とを備える。
【0018】
制御部21は、例えばCPU等のプロセッサであり、記憶部22に記憶されているプログラム221を実行することにより、電子錠2の各種機能を実現する。
【0019】
記憶部22は、例えば半導体メモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。記憶部22には、例えば、電子錠2の各種機能を実現するためのプログラム221や、そのプログラム221で使われる各種のデータ等が格納される。各種のデータには、例えば、作動条件222が含まれる。作動条件222の詳細については、後述する。
【0020】
通信部23は、ネットワークに接続し、ネットワーク上の他の端末と通信するためのインタフェースである。通信は無線通信の他、有線通信に対応してもよい。
【0021】
錠前機構24は、錠前により構成され、制御部21からの指示に従って施錠又は解錠を行う機構である。
【0022】
なお、本実施形態では、電子錠2が錠前機構24を備える場合について説明するが、錠前機構24を備えずに、扉に内蔵されている錠前の部分に後付けする電子錠にも本発明を適用することができる。この場合の電子錠は、錠前機構24の替りに、錠前を作動させるサムターンのつまみ部を回転させる機構を備えることとすればよい。
【0023】
図1に示すセンサ3は、センシングする対象物の状態を検知し、検知した対象物の状態に基づいて自センサによるブロードキャストを有効(オン)又は無効(オフ)のいずれかに設定する。
【0024】
対象物の状態には、例えば、ドアの開閉状態や、窓の開閉状態が含まれる。ブロードキャストを有効に設定すると、ブロードキャストが開始され、ブロードキャストを無効に設定すると、ブロードキャストが停止する。
【0025】
本実施形態では、例示的に、ドアセンサ3a又は窓センサ3bが、玄関ドア5又は窓6が閉まっている状態であることを検知した場合に、ブロードキャストを有効に設定し、ドアセンサ3a又は窓センサ3bが、玄関ドア5又は窓6が開いている状態であることを検知した場合に、ブロードキャストを無効に設定する。なお、ブロードキャストを有効又は無効に設定する条件は、上記の開閉状態を逆にしたものであってもよい。
【0026】
図3を参照して、ドアセンサ3aがブロードキャストを有効にしている状態を説明する。同図に示すように、ドアセンサ3aは、玄関ドア5が閉まっていることを検知している間、ブロードキャストを有効にする。これにより、電子錠2は、玄関ドア5が閉まっていると判定することが可能になる。
【0027】
他方、窓センサ3bは、窓6が開いていることを検知している間、ブロードキャストを無効にする。これにより、電子錠2は、窓6が開いていると判定することが可能になる。
【0028】
図4を参照して、窓センサ3bがブロードキャストを有効にしている状態を説明する。同図に示すように、窓センサ3bは、窓6が閉まっていることを検知している間、ブロードキャストを有効にする。これにより、電子錠2は、窓6が閉まっていると判定することが可能になる。
【0029】
他方、ドアセンサ3aは、玄関ドア5が開いていることを検知している間、ブロードキャストを無効にする。これにより、電子錠2は、玄関ドア5が開いていると判定することが可能になる。
【0030】
図1に示す電子錠操作端末4は、ユーザの操作指示に従って電子錠2に対する操作命令をブロードキャストする。操作命令には、例えば、電子錠2を施錠するための施錠命令や、電子錠2を解錠するための解錠命令が含まれる。電子錠操作端末4は、電子錠2を操作するための専用の端末であってもよいし、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話機、携帯情報端末(PDA)、ノートPC等の無線通信可能な端末であってもよい。また、電子錠操作端末4は、ドアや窓が配置された建物の内部で操作されることに限定されず、建物の外部で操作されてもよい。
【0031】
図5を参照して、電子錠操作端末4がブロードキャストを有効にした状態で操作命令を送信する態様について説明する。同図に示すように、電子錠操作端末4は、ユーザが操作命令を入力すると、ブロードキャストを有効にして操作命令を送信する。これにより、電子錠2は、電子錠操作端末4からブロードキャストされた操作命令を受信することが可能になる。
【0032】
なお、電子錠操作端末4が、ブロードキャストを有効にするトリガーは、操作命令が入力されることに限定されない。例えば、ブロードキャストを有効にする操作をユーザから受け付けてもよい。他方、ブロードキャストを有効から無効に切り替えるタイミングは、ブロードキャストを有効にしてから経過した時間に基づいて適宜切り替えてもよいし、ブロードキャストを無効にする操作をユーザから受け付けてもよい。
【0033】
次に、電子錠2ごとに設定される作動条件222の一例について、以下(A)及び(B)に具体例を挙げて説明する。
【0034】
(A)玄関ドア5の電子錠2aに対し、例えば、以下(A1)乃至(A3)の要件を含む作動条件222を設定することができる。
【0035】
(A1)電子錠操作端末4から施錠命令を受信すること、かつ(A2)玄関ドア5が閉まった状態であること、かつ(A3)窓6が閉まった状態であること。
【0036】
上記(A1)で施錠命令を受信したかどうかは、例えば、電子錠操作端末4からブロードキャストされる信号に施錠命令が含まれているかどうかにより判定することができる。
【0037】
上記(A2)で玄関ドア5が閉まった状態であるかどうかは、例えば、ドアセンサ3aからブロードキャストされる信号を受信しているかどうかにより判定することができる。ドアセンサ3aは、玄関ドア5が閉まっている場合に、ブロードキャストを有効するため、ドアセンサ3aからブロードキャストされる信号を受信している間は、玄関ドア5が閉まった状態であると判定することができる。
【0038】
上記(A3)で窓6が閉まった状態であるかどうかは、例えば、窓センサ3bからブロードキャストされる信号を受信しているかどうかにより判定することができる。窓センサ3bは、窓6が閉まっている場合に、ブロードキャストを有効するため、窓センサ3bからブロードキャストされる信号を受信している間は、窓6が閉まった状態であると判定することができる。
【0039】
(B)勝手口ドア7の電子錠2bに対し、例えば、以下(B1)乃び(B2)の要件を含む作動条件222を設定することができる。
【0040】
(B1)電子錠操作端末4から施錠命令を受信すること、かつ(B2)玄関ドア5が閉まった状態であること。
【0041】
上記(B1)で施錠命令を受信したかどうかは、上記(A1)と同様に判定することができる。また、上記(B2)で玄関ドア5が閉まった状態であるかどうかは、上記(A2)と同様に判定することができる。
【0042】
次に、
図6を参照して実施形態に係る機器制御システム1の動作の一例について説明する。機器制御システム1は、例示的に、
図1に示すように構成されていることとする。
【0043】
最初に、電子錠操作端末4は、電子錠2を施錠するための施錠操作をユーザから受け付ける(ステップS101)。
【0044】
続いて、電子錠操作端末4は、電子錠2に対する施錠命令をブロードキャストする(ステップS102)。
【0045】
続いて、施錠命令を受信した電子錠2aは、電子錠2aに設定されている作動条件222を満たすかどうかを判定する(ステップS103)。この判定がNOである場合(ステップS103;NO)には、本動作が終了する。
【0046】
上記ステップS103で作動条件222を満たすと判定した場合(ステップS103;YES)に、電子錠2aは、施錠する(ステップS105)。そして、本動作を終了する。
【0047】
一方上記ステップS102でブロードキャストされた施錠命令を受信した電子錠2bは、電子錠2bに設定されている作動条件222を満たすかどうかを判定する(ステップS104)。この判定がNOである場合(ステップS104;NO)には、本動作が終了する。
【0048】
上記ステップS104で作動条件222を満たすと判定した場合(ステップS104;YES)に、電子錠2bは、施錠する(ステップS106)。そして、本動作を終了する。
【0049】
上述したように、実施形態に係る機器制御システム1によれば、各センサ3が、対象物であるドアや窓の状態を検知して、その検知した状態に基づいてブロードキャストを有効又は無効のいずれかに設定するとともに、電子錠操作端末4が、操作命令をブロードキャストすることで、電子錠2ごとに設定される作動条件222に基づいて、各電子錠2の作動を個別に制御することが可能となる。
【0050】
それゆえ、実施形態に係る機器制御システム1によれば、作動条件222が異なる複数の電子錠2を一回の操作で個別に作動させることが可能となる。
【0051】
[変形例]
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、他の様々な形で実施することができる。このため、上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。例えば、上述した各処理(ステップ)は処理内容に矛盾を生じない範囲で任意に順番を変更し、又は並列に実行することができる。
【0052】
また、上述した実施形態では、窓6に窓センサ3bが取り付けられ、電子錠は取り付けられていないが、電子錠を取り付けることとしてもよい。この場合、窓6に取り付けた電子錠は、他の電子錠2と同様に作動させることができる。さらに、勝手口ドア7には、電子錠2bが取り付けられ、ドアセンサは取り付けられていないが、ドアセンサを取り付けることとしてもよい。この場合、勝手口ドア7に取り付けたドアセンサは、他のセンサ3と同様に用いることができる。
【符号の説明】
【0053】
1…機器制御システム、2…電子錠、2a…電子錠、2b…電子錠、3a…ドアセンサ、3b…窓センサ、4…電子錠操作端末、5…玄関ドア、6…窓、7…勝手口ドア、21…制御部、22…記憶部、23…通信部、24…錠前機構、221…プログラム、222…作動条件