(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-11
(45)【発行日】2024-12-19
(54)【発明の名称】置換縮合イミダゾール誘導体並びに鎌状赤血球症及び関連する合併症を処置する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/428 20060101AFI20241212BHJP
A61K 31/437 20060101ALI20241212BHJP
A61P 7/06 20060101ALI20241212BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241212BHJP
C07D 417/12 20060101ALI20241212BHJP
C07D 471/04 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
A61K31/428
A61K31/437
A61P7/06
A61P43/00 111
A61P43/00 121
C07D417/12 CSP
C07D471/04 107E
(21)【出願番号】P 2021541543
(86)(22)【出願日】2020-01-15
(86)【国際出願番号】 US2020013616
(87)【国際公開番号】W WO2020150306
(87)【国際公開日】2020-07-23
【審査請求日】2023-01-12
(32)【優先日】2019-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515293333
【氏名又は名称】ブイティーブイ・セラピューティクス・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オティス クリントン アタックス
【審査官】春日 淳一
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-520420(JP,A)
【文献】PLOS ONE,2018年,Vol.13, No.7,e0199461
【文献】British Journal of Heamatology,2013年,Vol.162,p.120-129
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K,A61P,C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鎌状赤血球障害又はその合併症を処置するための医薬品の製造における式(I)の化合
物又はその医薬的に許容される塩の使用であって、
式(I)の化合物は以下に示す構造
【化1】
を有し、式中、
X
1は、=N-又は=CH-であり、
X
2は、=C(R
1)-であり、そしてX
3は、=C(-L-G)-であり
、Gは、-
CH
2Y
3、-CH
2CH
2Y
3、
又は-CH
2CH
2CH
2Y
3
であり、
式中、Y
3は
、-OCF
3、-OCH
3、-OCH
2CH
3、-O(CH
2)
2-OH
、又は-C(O)-Y
4であり、ここでY
4は
、-NH-CH
3、-NH-CH
2CH
3、-N(CH
3)
2、
又は、-N(CH
2CH
3)
2
であり、
Lは
、-C(O)N(R
6)
-であり、
R
1は、水
素であり
、
R
2は
、-CF
3
又は-OCF
3
であり、
R
3は、水
素であり
、
R
4は
、メチル又はエチルであり、
R
6は、水
素であり、
及び
vは、
1であ
る、
使用。
【請求項2】
前記化合
物は、3-メチル-2-(6-トリフルオロメトキシ-ベンゾチアゾール-2-イルアミノ)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-6-カルボン酸(2-メトキシ-エチル)-アミドまたはその薬学的に許容される塩である、請求項
1に記載の使用。
【請求項3】
前記化合
物は、1-メチル-2-(6-トリフルオロメチル-ベンゾチアゾール-2-イルアミノ)-1H-ベンゾイミダゾール-5-カルボン酸ジメチルカルバモイルメチル-アミドまたはその薬学的に許容される塩である、請求項
1に記載の使用。
【請求項4】
前記化合
物は、1-メチル-2-(6-トリフルオロメチル-ベンゾチアゾール-2-イルアミノ)-1H-ベンゾイミダゾール-5-カルボン酸[2-(2-ヒドロキシ-エトキシ)-エチル]-アミドまたはその薬学的に許容される塩である、請求項
1に記載の使用。
【請求項5】
前記化合
物は、N-[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル]-3-メチル-2-[[6-(トリフルオロメチル)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]アミノ]イミダゾ[4,5-b]ピリジン-6-カルボキサミドまたはその薬学的に許容される塩である、請求項
1に記載の使用。
【請求項6】
前記化合
物は、1-エチル-N-[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル]-2-[[5-(トリフルオロメトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]アミノ]ベンゾイミダゾール-5-カルボキサミドまたはその薬学的に許容される塩である、請求項
1に記載の使用。
【請求項7】
治療有効量が、
対象体における胎児ヘモグロビン発現(HbF)の発現を高めるのに十分な量である、
請求項
1~
6のいずれか
1つに記載の使用。
【請求項8】
治療有効量が、
HbSの重合を阻害する、
対象体の血液中の溶存酸素レベルを上昇させる、又は
反応性酸素種(ROS)のレベルを低減させる、
のに十分な量である、
請求項
1~
6のいずれか
1つに記載の使用。
【請求項9】
治療有効量が、
空気圧の低減、気圧の低減、酸素分圧の低減、又は低酸素症に対する応答における血球の鎌状化を低減させる、
のに十分な量である、
請求項
1~
6のいずれか
1つに記載の使用。
【請求項10】
治療有効量が、
有痛発作の発生率若しくは割合を低減させる、
入院を必要とする有痛発作の発生率若しくは割合を低減させる、
胸部症候群の発生率を低減させる、
輸血事象の数を低減させる、又は
1回の事象当たりの輸血単位数を低減させる、
のに十分な量である、
請求項2~8のいずれか
1つに記載の使用。
【請求項11】
治療有効量が、溶血性貧血
、血管閉塞性クリーゼ
、又は微小梗塞による多臓器損傷を処置するのに十分な量である、
請求項
1~
6のいずれか
1つに記載の使用。
【請求項12】
対象体が、鎌状赤血球症、ベータサラセミア、又は関連障害の臨床症状の1以上を呈するとき、
対象体が処置のために選択される、請求項
1~6のいずれか1つに記載の使用。
【請求項13】
対象体が、鎌状赤血球症、ベータサラセミア、又は関連障害の遺伝的又は生化学的指標を呈するとき
、対象体が処置のために選択される、請求項
1~6のいずれか1つに記載の使用。
【請求項14】
前記式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩が、別の活性化合物と組み合わせて投与され
、ここで、前記別の活性化合物が、ヒドロキシ尿素、フマル酸ジメチル、フマル酸モノメチル、及びバルドキソロンメチルからなる群より選択される、請求項1~
6のいずれか
1つに記載の使用。
【請求項15】
N-[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル]-3-メチル-2-[[6-(トリフルオロメチル)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]アミノ]イミダゾ[4,5-b]ピリジン-6-カルボキサミドである化合物、又はその医薬的に許容される塩。
【請求項16】
1-エチル-N-[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル]-2-[[5-(トリフルオロメトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]アミノ]ベンズイミダゾール-5-カルボキサミドである化合物、又はその医薬的に許容される塩。
【請求項17】
請求項
15または
16に記載の化合物及び医薬的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(I)の化合物及びその医薬組成物を単独で又は他の活性作用薬と組み合わせて使用して、鎌状赤血球症及び関連する合併症を処置する方法を提供する。本発明はまた、化合物及び医薬組成物も提供する。
【背景技術】
【0002】
鎌状赤血球症(SCD)は、生命を脅かす単一遺伝子障害である。SCDは、異常な鎌状赤血球ヘモグロビン(HbS)の発現により、多臓器合併症を生じる重度のヘモグロビン症である。SCDの最も一般的なタイプは、HbSを引き起こす突然変異に同型接合性がある鎌状赤血球貧血(SCA)(HbSS症若しくはSS症又はヘモグロビンSとも称される)である。突然変異について異型接合性(HbSを引き起こす突然変異の1つのコピー及び別の異常なヘモグロビン対立遺伝子についての1つのコピー)が存在する、より稀少なタイプのSCDには、鎌状赤血球ヘモグロビンC(HbSC)、鎌状赤血球β+サラセミア(HbS/β+)及び鎌状赤血球症β0サラセミア(HbS/β0)が含まれる。
【0003】
鎌状赤血球症(SCD)は、赤血球変形又は鎌状赤血球を引き起こす点突然変異から生じる。鎌状赤血球は、貧血、再発性有痛性血管閉塞発作、感染症、急性胸部症候群、肺高血圧症、卒中、持続勃起、骨壊死、腎不全、下腿潰瘍、網膜症、及び心疾患のようなSCDの臨床症状発現と関係している。
【0004】
SCDは、HBBグロビン遺伝子のコドン6の単一点突然変異(GAG>GTG)から生じる。脱酸素状態の静脈循環は、鎌状赤血球ヘモグロビン分子(HbS)を生成し、赤血球の膜及び細胞骨格を損傷する自己集合(重合)のプロセスを引き起こす。HbSは、鎌状赤血球をもたらす赤血球膜への損傷(虚血再灌流(IR)損傷)を漸次上昇させる鎌状化及び非鎌状化の周期へと繰り返し入る。結果として、これらの硬い血球は、細い毛細血管を通過するときに変形することができず、血管閉塞及び虚血につながる。この病気の実際の貧血は、赤血球の変形によって引き起こされる赤血球の破壊である溶血によって引き起こされる。
【0005】
C反応性タンパク質(CRP)及び酸化ストレスのマーカーは、IR損傷後に有意に増加する。続いて起こる酸化ストレスは、溶血、一酸化窒素(NO)の不活性化、並びに赤血球、白血球及び血小板の接着特性に寄与する。
【0006】
鎌状赤血球は、内皮細胞、活性化した白血球、血小板及び血漿タンパク質と一緒に、多段階血管閉塞プロセスに関与する。
ヘムオキシゲナーゼ1(HO-1)及びインターロイキン10(IL-10)は、誘発された炎症に対抗する試みにおいてSCD患者で上昇することが特徴的に見られる。HO-1は、溶血中に放出されたヘムを分解し、それによって酸化ストレス及び炎症を制限するのに対し、IL-10は、炎症促進性サイトカインの産生を制限する。
【0007】
鎌状赤血球は白血球動員を刺激する:炎症刺激に続いて、白血球は静脈循環の活性化内皮に動員され、そこで活性化内皮及び鎌状赤血球との接着相互作用を形成し、血流の低減及び最終的に血管閉塞につながる。
【0008】
SCD血小板は、セレクチンP(SELP)、活性化αIIbβ3(GP)及びより高濃度の血小板活性化マーカーの表面発現の上昇を示す。健常な個体では、血小板付着は抗血栓因子NOによって阻害されるのに対し、SCD血小板付着は活性化内皮によって刺激される。血小板及び鎌状赤血球は、トロンボスポンジン架橋の形成を介して凝集し、それによって血管閉塞に寄与することが実証されている。
【0009】
ヒドロキシ尿素(HU)は、SCDの疾患プロセスを変更するための承認された処置である。HUは、胎児ヘモグロビン(HbF)含有赤血球の産生を上昇させ、SCDの病態生理学と関係する遺伝子発現及びタンパク質を間接的に変化させることによって、SCDの病態生理学的性質に対抗する。HbF含有赤血球の濃度の上昇は、鎌状赤血球の濃度を希釈し、それによって、溶血の低下、NOのバイオアベイラビリティの上昇及び内皮活性化の低下を順次引き起こす可能性がある。しかしながら、HUは、療法下にある患者の白血球数を低減させることが実証されている。HUは、疼痛及び血管閉塞の緊急事態、急性胸部症候群、輸血の必要性、並びに入院を低減させることによって臨床症状を改善したが、HUを用いて処置されたSCD患者は、DNA損傷の誘導、精子数の低減、並びに鉄ニトロシルHbの産生のような副作用を実証している。
【0010】
したがって、当該技術分野では、新たな、改善された、及び/又は無料のSCD療法についての必要性がある。
【発明の概要】
【0011】
PCT公開番号国際公開第2011/103018号(「国際公開第’018号」は、インビトロでのHMOX1の発現をアップレギュレートする置換縮合イミダゾール誘導体を説明している。PCT公開国際公開第2012/094580号(「国際公開第’580号」)は、国際公開第’018号に開示されている化合物と類似の又は同じ構造を有する縮合イミダゾール誘導体を含む、細胞酸化ストレスを調節する様々な化合物を説明している。
【0012】
本発明は、1以上の血液障害の処置と関係する方法及び組成物に関する。特定の態様では、血液障害はSCDであるが、具体的な態様では、1以上の他の血液障害を、本発明を用いて処置することができる。例えば、出血障害(例えば、凝固障害、過凝固能亢進、血友病、又はフォンウィルブランド病を含む)、血小板障害(例えば、本態性又は原発性の血小板血症又は血小板減少症)、及び/又は血友病若しくは貧血である。本発明の特定の態様では、鎌状赤血球症(鎌状赤血球貧血(又は貧血(SCA))又は鎌状血球症と称することもある)の処置及び/又は予防のための方法及び組成物がある。
【0013】
哺乳動物の及び/又は非ヒトの哺乳動物又は細胞株を鎌状赤血球モデルとして使用することができる。本発明の方法及び/又は組成物を用いて処置される個体は、具体的な症例では、入院を必要とするかもしれないし又は必要としないかもしれない血管閉塞性クリーゼ、急性胸部クリーゼ、有痛性胸部症候群を経験していることがある。具体的な態様では、個体は、直接的に又は間接的に凝固の高まり及び/又は炎症の高まりをもたらす薬物のような薬物の負の副作用を経験していることがあるか、又は経験することがあり、具体的な態様では、薬物はHUである。
【0014】
本発明のある特定の態様では、本発明の化合物は単独で投与される。他の態様では、本発明の化合物は、SCDの処置のために1以上の他の薬物(その一部はHbF産生を誘導してもしなくてもよい)と共に投与される。例えば、本発明の化合物は、SCDの処置のためにHUと組み合わせて投与することができる。別の例では、本発明の化合物は、フマル酸エステル(MMF又はDMF)及びバルドキソロンメチルのような、Nrf2活性体と組み合わせて投与することができる。
処置される個体は、SCDに罹患していることが既知であることがあり、SCDに罹患
【0015】
している疑いがあり、又はSCDに罹患していることについてのリスクがある。本発明の態様では、個体は、本発明の処置を受ける前に鎌状赤血球症と診断されている。
本発明はまた、式(I)の化合物及びその医薬的に許容される塩、並びに式(I)とその医薬的に許容される塩とを含む医薬組成物、並びにその製造方法にも関する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1A】それぞれ、様々な濃度(0、0.5、2.5、5、10、及び20μM)の化合物73、化合物134、化合物473、及び化合物236の存在下でのKU812細胞の相対的な細胞成長及び細胞生存率を示す。
【
図1B】それぞれ、様々な濃度(0、0.5、2.5、5、10、及び20μM)の化合物73、化合物134、化合物473、及び化合物236の存在下でのKU812細胞の相対的な細胞成長及び細胞生存率を示す。
【
図1C】それぞれ、様々な濃度(0、0.5、2.5、5、10、及び20μM)の化合物73、化合物134、化合物473、及び化合物236の存在下でのKU812細胞の相対的な細胞成長及び細胞生存率を示す。
【
図1D】それぞれ、様々な濃度(0、0.5、2.5、5、10、及び20μM)の化合物73、化合物134、化合物473、及び化合物236の存在下でのKU812細胞の相対的な細胞成長及び細胞生存率を示す。データを平均±標準偏差で提示する(n=3)。
*,p<0.05
【
図1E】KU812細胞を、様々な濃度(0、0.5、2.5、5、10、及び20μM)の化合物73、化合物134、化合物473、及び化合物236を用いて処理した後のHbFの誘導レベルを示すウエスタンブロットを含む。HbF誘導陽性対照としてヒドロキシ尿素(HU)及びヘミンを使用し、タンパク質負荷対照としてβアクチンを使用した。
【
図2】FACによって得られ、平均蛍光強度(MFI)によって測定された細胞1個当たりのHbFの平均濃度として分析されたKU812細胞のHbFタンパク質発現レベルを示す。
【
図3A】鎌状赤血球前駆細胞を、化合物473(0.5及び2.5μM)を用いて48時間処理したときのHbF及びHbSの誘導レベルを示すウエスタンブロットを含む。HbF誘導陽性対照としてヒドロキシ尿素(HU)及びヘミンを使用し、タンパク質負荷対照としてβアクチンを使用した。
【
図3B】鎌状赤血球前駆細胞を化合物473(0.5及び2,5μM)を用いて48時間処理し、フローサイトメトリーによって分析したときのHbF陽性細胞(F細胞)の百分率を示す。HbF誘導陽性対照としてヒドロキシ尿素(HU)及びヘミンを使用した。
【
図4A】10日間培養し、0.5μM及び2.5μMの濃度の化合物473を用いて48時間、又はヘミン(約50μM)を用いて若しくはヒドロキシ尿素(HU)(約100μM)を用いて処理し、次いで、細胞を低酸素条件(1%O
2及び5%CO
2)に供した後の鎌状赤血球前駆細胞の画像を含有する。
【
図4B】鎌状赤血球前駆細胞を10日間培養し、0.5μM及び2.5μMの濃度の化合物473を用いて48時間、又はヘミン(約50μM)を用いて若しくはヒドロキシ尿素(HU)(約100μM)を用いて処理し、次いで、低酸素条件(1%O
2及び5%CO
2)に供したときの鎌状赤血球の百分率を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
I.定義
以下の定義は、定義される用語を明確化するためのものである。本明細書に使用される特別な用語が具体的に定義されないとしても、その用語が不確定であるとみなしてはならない。むしろ、そのような未定義の用語は、本発明が指向する技術分野(複数)の当業者にとって簡明で通常の意味に従って解釈されるべきである。
【0018】
本明細書に使用するように、「アルキル」という用語は、本明細書に更に記載されるように、許容される2以上の置換度で置換されていてもよい、1~10の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖の飽和炭化水素を指す。本明細書に使用する「アルキル」の例には、以下には限定されないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、イソブチル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、イソペンチル、n-ペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、及び2-エチルヘキシルが含まれる。
アルキル基中の炭素原子数は、本明細書に定義されるように、x~yを含め炭素原子を含有するアルキル基を指す「Cx~yアルキル」という句によって表される。したがって、C1~6アルキルは、1~6の炭素原子を有するアルキル鎖を表し、例えば、以下には限定されないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、イソブチル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、イソペンチル、n-ペンチル、ネオペンチル、及びn-ヘキシルを含む。
【0019】
本明細書に使用するように、「アルキレン」という用語は、本明細書に更に記載されるように、許容される2以上の置換度で置換されていてもよい、1~10の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖の二価飽和炭化水素残基を指す。本明細書に使用する「アルキレン」の例には、以下には限定されないが、メチレン、エチレン、n-プロピレン、1-メチルエチレン、2-メチルエチレン、ジメチルメチレン、n-ブチレン、1-メチル-n-プロピレン、及び2-メチル-n-プロピレンが含まれる。
【0020】
アルキレン基中の炭素原子数は、本明細書に定義されるように、x~yを含め炭素原子を含有するアルキレン基を指す「Cx~yアルキレン」という句によって表される。類似の用語法が他の用語及び範囲にも同様に適用される。したがって、C1~4アルキレンは、1~4の炭素原子を有するアルキレン鎖を表し、例えば、以下には限定されないが、メチレン、エチレン、n-プロピレン、1-メチルエチレン、2-メチルエチレン、ジメチルメチレン、n-ブチレン、1-メチル-n-プロピレン、及び2-メチル-n-プロピレンを含む。
本明細書に使用するように、「シクロアルキル」という用語は、本明細書に更に記載されるように、許容される2以上の置換度で置換されていてもよい、飽和で3~10員の環式炭化水素環を指す。そのような「シクロアルキル」基は、単環式、二環式、又は三環式である。本明細書に使用する「シクロアルキル」基の例には、以下には限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、ノルボニル、及びアダマンチルが含まれる。
【0021】
シクロアルキル基中の炭素原子数は、本明細書に定義されるように、x~yを含め炭素原子を含有するシクロアルキル基を指す「Cx~yシクロアルキル」という句によって表される。類似の用語法が他の用語及び範囲にも同様に適用される。したがって、C3~10シクロアルキルは、上記に記載のような、3~10の炭素を有するシクロアルキル基を表し、例えば、以下には限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、ノルボルニル、及びアダマンチルを含む。
【0022】
本明細書に使用するように、「複素環」又は「ヘテロシクリル」という用語は、1以上のヘテロ原子を含有する、置換されていてもよい単環又は多環式の飽和環系を指す。このような「複素環」又は「ヘテロシクリル」基は、本明細書に更に記載されるように、許容される2以上の置換度で置換されていてもよい。本明細書に使用する「複素環」又は「ヘテロシクリル」という用語には、1以上の芳香族環を含有する環系が含まれない。ヘテロ原子の例には、窒素、酸素、又はイオウの原子を含むN-オキシド、酸化イオウ、及び二酸化イオウが含まれる。典型的には、その環は、3~12員である。このような環は、別の複素環式環(複数)又はシクロアルキル環(複数)の1以上へ縮合していてもよい。本明細書に使用するように、「複素環式」基の例には、以下には限定されないが、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキサン、ピペリジン、ピロリジン、モルホリン、テトラヒドロチオピラン、及びテトラヒドロチオフェンが含まれ、ここで、付加は、その付加が化学的に実現可能である限りにおいて、該環上のどの点でも起こり得る。したがって、例えば、「モルホリン」は、モルホリン-2-イル、モルホリン-3-イル、及びモルホリン-4-イルを指す。
【0023】
本明細書に使用するように、「複素環」又は「ヘテロシクリル」が可能な置換基として引用されるとき、「複素環」又は「ヘテロシクリル」基は、その点での付加が化学的に実現可能である程度で、炭素原子又はあらゆるヘテロ原子のいずれかを介して付加することができる。例えば、「ヘテロシクリル」には、ピロリジン-1-イル、ピロリジン-2-イル、及びピロリジン-3-イルが含まれよう。「複素環」又は「ヘテロシクリル」基が環中に窒素原子を含有するとき、窒素原子を介した付加は、代替的に、「-イノ(ino)」の接尾辞をその環名とともに使用することによって示してよい。例えば、ピロリジノは、ピロリジン-1-イルを指す。
【0024】
本明細書に使用するように、「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素を指す。
本明細書に使用するように、「オキソ」という用語は、>C=O置換基を指す。オキソ置換基が、オキソ置換シクロアルキル基(例、3-オキソ-シクロブチル)の場合のように、他の点では飽和した基に出現するとき、その置換された基は、依然として飽和した基であることが意図されている。
【0025】
本明細書に使用するように、「ヘテロアリール」という用語は、少なくとも1つの芳香族環を含有して、1以上のヘテロ原子も含有する、置換されていてもよい5~14員の単環又は多環式の環系を指す。そのような「ヘテロアリール」基は、本明細書に更に記載されるように、許容される2以上の置換度で場合により置換されていてもよい。少なくとも1つの芳香族環と少なくとも1つの非芳香族環を含有する多環式の「ヘテロアリール」基において、芳香族環(複数)は、ヘテロ原子を含有する必要がない。したがって、例えば、本明細書に使用する「ヘテロアリール」には、インドリルが含まれよう。更に、付加点は、その付加点を含有する環が芳香族であるか、又はヘテロ原子を含有するかにかかわらず、その環系内のどの環に対してでもよい。したがって、例えば、本明細書に使用する「ヘテロアリール」には、インドリン-1-イル、インドリン-3-イル、及びインドリン-5-イルが含まれよう。ヘテロ原子の例には、窒素、酸素、又はイオウ原子が含まれて、実現可能な場合、N-オキシド、酸化イオウ、及び二酸化イオウが含まれる。本明細書に使用する「ヘテロアリール」基の例には、以下には限定されないが、フリル、チオフェニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、インドリル、イソインドリル、ベンゾ[b]チオフェニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、プテリジニル、及びフェナジニルが含まれ、ここで付加は、その付加が化学的に実現可能である限りにおいて、該環上のどの点でも起こり得る。したがって、例えば、「チアゾリル」は、チアゾール-2-イル、チアゾール-4-イル、及びチアゾール-5-イルを指す。
【0026】
本明細書に使用するように、「ヘテロアリール」が可能な置換基として引用されるとき、「ヘテロアリール」基は、その点での付加が化学的に実現可能である程度で、炭素原子又はあらゆるヘテロ原子のいずれかを介して付加することができる。
本明細書に使用するように、「ヘテロシクリレン」という用語は、場合により置換されていてもよい二価のヘテロシクリル基(上記に定義されるような)を指す。付加点は、その付加が化学的に実現可能である限りにおいて、同一の環原子に対しても、異なる環原子に対してでもよい。2つの付加点は、付加が化学的に実現可能である限りにおいて、それぞれ独立して、炭素原子又はヘテロ原子のいずれに対してもあり得る。例としては、以下には限定されないが、
【0027】
【化1】
が挙げられ、ここで、*印は付加点を示す。
【0028】
本明細書に使用するように、「ヘテロアリーレン」という用語は、場合により置換されていてもよい二価のヘテロアリール基(上記に定義されるような)を指す。付加点は、その付加が化学的に実現可能である限りにおいて、同一の環原子に対しても、異なる環原子に対してでもよい。2つの付加点は、付加が化学的に実現可能である限りにおいて、それぞれ独立して、炭素原子又はヘテロ原子のいずれに対してもあり得る。例としては、以下には限定されないが、
【化2】
が挙げられ、*印は付加点を示す。
【0029】
他の様々な化学用語又は略語が当業者にとって標準的なその意味を有する。例えば:「ヒドロキシル」は-OHを指し;「メトキシ」は-OCH3を指し;「シアノ」は-CNを指し;「アミノ」は-NH2を指し;「メチルアミノ」は-NHCH3を指し;「スルホニル」は-SO2-を指し;「カルボニル」は-C(O)-を指し;「カルボキシ」又は「カルボキシル」は、-CO2Hを指す、等である。更に、1つの名称が複数の部分を引用するとき(例、「メチルアミノカルボニル-メチル」)、より先に引用される部分は、どの後の引用部分よりも付加点から離れている。したがって、「メチルアミノカルボニルメチル」のような用語は、-CH2-C(O)-NH-CH3を指す。
【0030】
本明細書に使用するように、「置換(された)」という用語は、指定された部分の1以上の水素が、列挙された単数又は複数の置換基で置換されることを指し、他に述べない限り、その置換が安定しているか又は化学的に実現可能な化合物をもたらすという条件で、2以上の置換度が許容される。安定した化合物又は化学的に実現可能な化合物とは、湿気若しくは他の化学的に反応性のある条件の非存在下で、約-80℃~約+40℃の温度で保存されるときに、少なくとも1週間、その化学構造が実質的には変化しない化合物、又は対象体への治療的又は予防的な投与に有用であるのに十分長い間その完全性を維持する化合物のことである。本明細書に使用するように、「1以上の・・・で置換された」又は「・・・で1回以上置換された」という句は、上記の安定性及び化学的実現性の条件が満たされることを条件として、利用可能な結合部位の数に基づいて可能な1~最大数の置換基に等しい置換基の数を指す。
【0031】
本明細書に使用するように、表される様々な官能基は、ハイフン若しくはダッシュ(-)又は*印(*)を有する官能基に付加点を有すると理解されよう。言い換えると、-CH2CH2CH3の場合、付加点は、左端のCH2基にあると理解されよう。ある基が*印もダッシュも無しに引用される場合、付加点は、引用された基の簡明で通常の意味によって示される。
【0032】
何らかの可変残基が、何らかの1つの構成要素(例、Rd)又は複数の構成要素において1回より多く出現するとき、各出現での該可変残基の定義は、他のあらゆる出現時の該可変残基の定義とは無関係である。
本明細書に使用するように、複数原子の二価分子種は、左から右へ読むべきである。例えば、明細書又は特許請求の範囲がA-D-Eを引用して、Dが-OC(O)-として定義される場合、Dを置き換えて生じる基は、A-OC(O)-Eであって、A-C(O)O-Eではない。
【0033】
本明細書に使用するように、「場合により」という用語は、後続して記載される事象(複数)が起きても起きなくてもよいことを意味する。
【0034】
本明細書に使用するように、「投与する」又は「投与すること」は、対象体へ化合物又は組成物を導入することのように、導入することを意味する。この用語は、いかなる具体的な送達形式にも限定されず、例えば、静脈内送達、経皮送達、経口送達、経鼻送達、及び直腸送達を含むことができる。更に、送達の様式により、投与することは、例えば、医療専門家(例、医師、看護師、等)、薬剤師、又は対象体(すなわち、自己投与)を含む、様々な個人によって行うことができる。
【0035】
本明細書に使用するように、「処置する」或いは「処置すること」或いは「処置」は、疾患或いは容態及び疾患或いは容態の特徴的な症状の性質により、疾患若しくは容態の進行を遅滞させること、疾患若しくは容態を制御すること、疾患若しくは容態の発症を遅滞させること、疾患若しくは容態を特徴付ける1以上の症状を寛解させること、或いは疾患若しくは容態又はその特徴的な症状の再発を遅滞させること、の1以上を指すことができる。「処置する」又は「処置すること」又は「処置」はまた、身体的に、(例えば、識別可能な症状の安定化)、生理学的に、(例えば、物理的パラメータの安定化)又はその両方のいずれかで疾患を阻害すること、及び対象体に認識可能であってもなくてもよい少なくとも1つの物理的パラメータを阻害することも指すことができる。特定の態様では、「処置する」又は「処置すること」又は「処置」は、対象体がまだ疾患の症状を経験していないか又は示していない場合であっても、疾患に曝露されていてもよいか又は易罹患性であってもよい対象体における該疾患又はその少なくとも1以上の症状の発症を遅滞させることを指す。
【0036】
本明細書に使用するように、「対象体」は、以下には限定されないが、ヒトのようなあらゆる哺乳動物を参照させることができる。1つの態様において、対象体は、ヒトである。別の態様において、宿主は、疾患又は容態を特徴付ける1以上の症状を呈するヒトである。「対象体」という用語は、どの病院、診療所、又は研究施設に関していかなる特別な状況を有すること(例、入院患者、試験参加者、等として)も対象体に要求しない。一態様において、対象体は「・・・を必要とする対象体」であってもよい。
【0037】
「治療有効量」は、疾患又は疾患の臨床症状の少なくとも1を処置するために対象体に投与されたとき、疾患又はその症状のこのような処置に影響を及ぼすのに十分である化合物の量を指す。「治療有効量」は、例えば、化合物、疾患及び/若しくは疾患の症状、疾患の重症度及び/又は疾患若しくは障害の症状、処置される対象体の齢、体重及び/又は健康状態、並びに担当医の判断によって異なっていてもよい。何らかの所与の場合における適切な量は、当業者によって確認されることができるか、又は日常的な実験によって決定することが可能であってもよい。
【0038】
本明細書に使用するように、「化合物」という用語には、式(I)の化合物の遊離酸、遊離塩基、及びそれらのあらゆる塩が含まれる。したがって、「態様1の化合物」又は「特許請求項1の化合物」のような句は、態様1又は特許請求項1によりそれぞれ含まれる、あらゆる遊離酸、遊離塩基、及びそれらのあらゆる塩を意味する。
【0039】
II.処置方法
A.本発明の化合物を用いたSCD及び関連障害の処置
一態様において、本発明は、特定の細胞、例えば赤血球又は網膜色素上皮(RPE)細胞を、治療有効量の本発明の化合物と接触させることによって、細胞におけるHbFの発現を高める方法を提供する。他の態様において、本発明は、本発明の化合物を、それを必要とする対象体に投与することによって、細胞におけるHbFの発現を高める方法を提供する。態様において、HbFの発現は、HbFが、対象体における又は対象体から採取された試料における総ヘモグロビンの1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、14%、16%、18%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、80%、又は90%以上であるように高まる。態様において、HbFの発現は、HbFが、対象体の処置前に採取されたベースライン試料に対して、対象体における又は対象体から採取した試料における総ヘモグロビンの%点である少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、14%、16%、18%、20%ほど高まるように高まる。対象体が19歳未満のヒトである別の態様において、HbFの発現は、HbFが、対象体における又は対象体から採取された試料における総ヘモグロビンの1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、14%、16%、18%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、80%、又は90%以上であるように高まる。この方法は、βグロビン遺伝子又はその発現制御配列における1以上の突然変異、例えば、ヘモグロビンのHbS形態の発現をもたらす突然変異を有する細胞において、ヒトβグロビン遺伝子における突然変異を補償するために使用することができる。突然変異を補償することは、非処置対象体、又は対象体の処置前と比較して、対象体のHbFの量を増加させること、及びHbSの量を低減させることを含むが、それらには限定されない。別の態様において、処置方法は、それを必要とする対象体の細胞において発現するHbFとHbSとの比の上昇をもたらす。この方法は、鎌状赤血球症、例えば、鎌状赤血球貧血、及び他のヘモグロビン症又はサラセミア、並びにSCDに関する合併症、例えば、網膜症を処置するために使用することができる。
【0040】
別の態様において、本発明は、本発明の化合物を、それを必要とする対象体に投与することによって、HbSの重合を阻害する、対象体の血液中の溶存酸素レベルを上昇させる、反応性酸素種(ROS)のレベルを低減させる、又はそれらの何らかの組み合わせの方法を提供する。
【0041】
別の態様において、本発明は、本発明の化合物をそれを必要とする対象体に投与することによって、空気圧の低減、気圧の低減、酸素分圧の低減若しくは低酸素症に応答して鎌状化を低減させる、有痛発作の発生率若しくは割合を低減させる、入院を必要とする有痛発作の発生率若しくは割合を低減させる、胸部症候群の発生率を低減させる、輸血事象の数を低減させる、1回の事象当たりの輸血単位数を低減させる方法、又はそれらの何らかの組み合わせを提供する。発生率又は割合の低減は、1週間、1か月間、又は1年間にわたって起こり得る。
【0042】
別の態様において、本発明は、態様1~250のいずれか1に記載の化合物(又は塩)を対象体へ投与することを含む、処置の方法を提供する。別の態様において、本発明は、態様1~250のいずれか1に記載の化合物(又は塩)の0.1ミリグラム~2グラムを対象体へ投与することを含む、処置の方法を提供する。
【0043】
上記に記載の方法又は使用の各々において、態様1~250のいずれか1の化合物(又は塩)を、本明細書に記載されるように、医薬製剤の一部として対象体へ投与してよい。
本明細書に記載される方法の各々において、本方法は、対象体が、SCDと関係する1以上の遺伝性変化を有するかどうかを判定するステップ、又は対象体が、SCDと関係する生化学的又は形態学的な変化を有するかどうかを最初に判定するステップを更に含み得る。
【0044】
本明細書に記載される方法の各々において、本方法は、本発明の化合物の投与がHbFの発現の上昇、SCD(そのようなROS)と関係するバイオマーカーの低下、又はSCDと関係する症状の低減を有するかどうかを判定するステップを更に含み得る。本方法は、対象体で、HbFの発現が上昇しなかった、SCD(そのようなROS)と関係するバイオマーカーが低下しなかった、又はSCDと関係する症状が低減しなかった場合、より高用量の本発明の化合物を投与するステップを更に含み得る。
B.HU又はNrf2活性体と組み合わせた処置
本明細書に記載されるSCD又はその合併症を処置する方法はまた、本発明の化合物をHU又はNrf2活性体と組み合わせて又は交互に投与することも含み得る。この組み合わせは、HbFの発現を誘導する又は高めるのに有効な量で投与され得る。
【0045】
C.処置される疾患
本明細書に記載される本発明の化合物及び組み合わせは、βグロビン遺伝子(HBB遺伝子)に1以上の突然変異を有する対象体を処置するために使用することができる。βグロビン遺伝子の突然変異は、鎌状赤血球症、ベータサラセミア、又はその関連する疾患若しくは容態を引き起こすことができる。後でより詳細に考察するように、βグロビン遺伝子の突然変異は、疾患の臨床症状の発現の前又は後に同定することができる。組成物は、臨床症状の発症の前又は後にβグロビン遺伝子に1以上の突然変異を有する対象体に投与することができる。それゆえ、いくつかの態様では、組成物は、βグロビン遺伝子に1以上の突然変異があると診断されたが、臨床症状をまだ呈していない対象体に投与される。いくつかの態様では、組成物は、βグロビン遺伝子の1以上の突然変異と関係するか、又は該突然変異によって引き起こされる疾患、容態、又は症候群の1以上の症状を呈する対象体に投与される。
【0046】
1.鎌状赤血球症
鎌状赤血球症(SCD)は、典型的には、ヘモグロビンのβ鎖遺伝子の第6のコドンにおいてアデニンに対してチミンで置換する(すなわち、HBB遺伝子のGAGからGTGへの)突然変異から生じる。この突然変異は、Hbβ鎖の6位においてグルタミン酸からバリンへの置換を引き起こす。HbSと称される得られたHbは、デオキシ条件下でポリマーを形成する物理的特性を有する。SCDは、典型的には常染色体劣性障害である。それゆえ、いくつかの態様において、開示される組成物及び方法を使用して、ヘモグロビンのβ鎖遺伝子における常染色体劣性突然変異について同型接合性である(すなわち、鎌状赤血球ヘモグロビン(HbS)について同型接合性である)対象体を処置する。HbSS症又は鎌状赤血球貧血(最も一般的な形態)とも称され、Sグロビンの同型接合体である対象体は、典型的には重度又は中等度に重度の表現型を呈し、ヘモグロビン症の生存期間が最も短い。
【0047】
鎌状赤血球の形質又はその担体状態は、約40%のHbSの存在、貧血の非存在、尿を濃縮することができないこと(等張尿)、及び血尿を特徴とする異型接合形態である。低酸素症につながる条件下では、鎌状赤血球形質又はその担体の状態は病理学的危険因子となり得る。したがって、いくつかの態様において、開示される組成物及び方法を使用して、ヘモグロビンのβ鎖遺伝子における常染色体劣性突然変異について異型接合性の(すなわち、HbSについて異型接合性の)対象体を処置する。
【0048】
2.ベータサラセミア
ベータサラセミア(βサラセミア)は、βグロビンの合成の低減又は非存在をもたらし無効造血、赤血球破壊の加速、及び重度の貧血を引き起こす不対の不溶性α鎖の凝集体の蓄積につながる様々な突然変異機序によって引き起こされる、一群の遺伝性血液障害である。ベータサラセミアに罹患している対象体は、重度の貧血から臨床的に無症候性の個体までの範囲の可変表現型を呈する。βサラセミアに存在する遺伝子突然変異は多様であり、いくつかの異なる突然変異によって引き起こされることができる。突然変異は、βグロビン遺伝子内、該遺伝子の近傍又は上流の単一の塩基の置換又は欠失又は挿入を含むことができる。例えば、突然変異は、ベータグロビン遺伝子に先行するプロモーター領域において生じるか、又は異常なスプライス変異体の産生を引き起こす。サラセミアの例としては、軽症型サラセミア、中間型サラセミア及び重症型サラセミアが挙げられる。
【0049】
3.鎌状赤血球関連障害
鎌状赤血球形質の担体はSCDに罹患していないが、HbSの1つのコピー、及びHbC又はHbベータサラセミアのような、ヘモグロビンの別の異常な変異体をコードする遺伝子の1つのコピーを有する個体は、疾患の重症度がより低い。HbS及びHbCについての二重異型接合体(HbSC症)である対象体は、典型的には、中等度の臨床的重症度の症状を特徴とする。ベータグロビンの別の一般的な構造変異体は、ヘモグロビンE又はヘモグロビンE(HbE)である。HbS及びHbEについての二重異型接合体である対象体は、HbS/HbE症候群に罹患しており、該症候群は通常、以下で考察されるHbS/b+サラセミアに類似する表現型を引き起こす。
βグロビン遺伝子のいくつかの突然変異は、ヘモグロビンの他の構造変異を引き起こす可能性があり、又は産生されるβグロビンの量の不足を引き起こす可能性がある。これらのタイプの突然変異はベータサラセミア突然変異と称される。ベータグロビンがないものは、ベータゼロ(β-0)サラセミアと称される。HbS及びβ-0サラセミアについての二重異型接合体(すなわち、HbS/β-0サラセミア)である対象体は、鎌状赤血球貧血と臨床的に区別できない症状を患う可能性がある。ベータグロビンの量の低減は、βプラス(β+)サラセミアと称される。HbS及びβ+サラセミアについての二重異型接合体(すなわち、HbS/β+サラセミア)である対象体は、臨床症状の重症度が軽度から中等度で、異なる民族間で変動性がある可能性がある。HbSと他の異常なヘモグロビンとの稀少な組み合わせとしては、HbDロサンゼルス、G-フィラデルフィア、HbOアラブ、等が挙げられる。
【0050】
それゆえ、いくつかの態様において、開示される組成物及び方法は、HbS/β-0遺伝子型、HbS/β+遺伝子型、HBSC遺伝子型、HbS/HbE遺伝子型、HbDロサンゼルス遺伝子型、G-フィラデルフィア遺伝子型、又はabHbOアラブ遺伝子型を有する対象体を処置するために使用される。
上記で考察したように、SCDによる網膜症はまた、有効量の本発明の化合物を、場合により、網膜細胞における、例えばRPE細胞におけるHbFの発現を誘導するのに有効な量でHUと若しくはNrf2活性体と組み合わせて、又はそれらと交互に投与することによって処置することもできる。場合によりHUと又はNrf2活性体と組み合わせた本発明の化合物の投与は、鎌状赤血球患者の周辺網膜における閉塞の形成を低減又は阻害し得る。
【0051】
4.非赤血球関連障害
赤血球は、ヘモグロビンの主要な産生体であるが、マクロファージ、網膜色素細胞、並びに肺胞II型(ATII)細胞及びクララ細胞のような肺胞上皮細胞を含むがこれらには限定されない他の非造血細胞もヘモグロビンを合成することが複数の報文で示されている。いくつかの態様において、本明細書に開示される組成物を使用して、マクロファージ、網膜色素細胞、並びに肺胞II型(ATII)細胞及びクララ細胞を含むがこれらには限定されない非赤血球系細胞においてHbF発現を高める。いくつかの態様において、本明細書に開示される組成物は、眼及び肺を含むがこれらには限定されない、酸素-二酸化炭素拡散が起こる界面での非赤血球系細胞においてHbF発現を高めるために使用される。いくつかの態様において、この組成物は、加齢黄斑変性又は糖尿病性網膜症の1以上の症状を予防、低減、又は緩和するための有効量で、網膜色素細胞においてヘモグロビン合成を誘導、上昇、又は増強するために使用される。
【0052】
D.SCD、ベータサラセミア、及び関連障害の症状
いくつかの態様において、本明細書に開示される組成物は、鎌状赤血球症、ベータサラセミア、又は関連障害の1以上の症状を処置するのに有効な量で対象体に投与される。
ベータサラセミアには、貧血、疲労及び脱力、皮膚蒼白又は黄疸、脾臓及び肝臓の腫大を伴う腹部の突出、濃い尿、顔面骨の異常、成長不良、並びに食欲不振のような症状が含まれ得る。
【0053】
鎌状赤血球症、又は関連障害に罹患している対象体において、RBCの生理学的変化は、以下の徴候を有する疾患をもたらし得る:(1)溶血性貧血;(2)血管閉塞性クリーゼ;並びに(3)心臓、骨格、脾臓、及び中枢神経系を含む、微小梗塞による多臓器損傷。
【0054】
III.SCD及び関連障害を処置する上での使用のための組成物
A.本発明の化合物(式(I)の化合物))
式(I)の化合物は、以下に示す構造
【化3】
を有し、式中、
X
1は、=N-又は=CH-であり、
X
2は、=C(R
1)-であり、そしてX
3は、=C(-L-G)-であり、又はX
2は、=C(-L-G)-であり、そしてX
3は、=C(R
1)-であり、
Gは、水素、-C
1~8アルキル、-C
3~10シクロアルキル、-C
1~6アルキレン-C
3~10シクロアルキル、ヘテロシクリル、-C
1~6アルキレン-C
3~10ヘテロシクリル、フェニル、ヘテロアリール、若しくはNR
hR
kであり、ここで該アルキル、アルキレン、シクロアルキル、ヘテロシクリル、フェニル、及びヘテロアリール基は、R
cより独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよい;又はGは、-CH
2Y
3、-CH
2CH
2Y
3、-CH
2CH
2CH
2Y
3、-CH(CH
3)CH
2Y
3、-CH
2CH(Y
3)CH
3、-CH(Y
3)CH
3、-CH
2C(Y
3)(CH
3)
2、-C(Y
3)(CH
3)
2、若しくは
【化4】
{式中、Y
3は、シクロプロピル、-CF
3、-OCF
3、-OCH
3、-OCH
2CH
3、-F、-Cl、-OH、-O(CH
2)
2-OH、-O(CH
2)
2-F、-SCH
3、-S(O)
2-CH
3、-SCH
2CH
3、-S(O)
2CH
2CH
3、-NH-CH
3、-NH-CH
2CH
3、-N(CH
3)
2、テトラヒドロピラン-4-イル、テトラヒドロフラン-2-イル、モルホリン-2-イル、モルホリン-4-イル、ピペリジン-1-イル、4-ヒドロキシ-ピペリジン-1-イル、3-ヒドロキシ-ピペリジン-1-イル、-NH-C(O)-CH
3、-NH-C(O)-CH
2CH
3、テトラヒドロフラン-2-イル-メチルオキシ、又は-C(O)-Y
4であり、ここでY
4は、-OH、-OCH
3、-OCH
2CH
3、-OC(CH
3)
3、-NH
2、-NH-CH
3、-NH-CH
2CH
3、-N(CH
3)
2、-N(CH
2CH
3)
2、モルホリン-4-イル、4-メチル-ピペラジン-1-イル、ピロリジン-1-イル、又はピペラジン-1-イルである}であり;
Lは、-CH
2-C(O)N(R
6)-、-C(O)N(R
6)-、-C(O)-O-、-SO
2-、-C(O)-、R
xより独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよいヘテロアリーレン、若しくはR
xより独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよいヘテロシクリレンである;又は基-L-Gは、-シアノであり;
R
1は、水素、R
a、フェニル、又はヘテロアリールであり、ここで該フェニル及びヘテロアリール基は、R
xより独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよく;
R
2は、R
bであり;
R
3は、水素、-C
1~6アルキル、又は-C
1~6アルキレン-C
3~10シクロアルキルであり、ここで該アルキル、アルキレン、及びシクロアルキル基は、R
zより独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよく;
R
4は、-C
1~6アルキル又は-C
1~6アルキレン-C
3~10シクロアルキルであり、ここで該アルキル、アルキレン、及びシクロアルキル基は、R
yより独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよく;
R
6は、水素、-C
1~6アルキル、-C
1~6アルキレン-C
3~10シクロアルキルであり、ここで該アルキル、アルキレン、及びシクロアルキル基は、R
xより独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよく;
R
aは、
a)-ハロゲン、
b)-C
1~6アルキル、
c)-C
3~10シクロアルキル、
d)-ヘテロシクリル、
e)-シアノ、
f)-CF
3、
g)-OCF
3、
h)-O-R
d、
i)-S(O)
w-R
d、
j)-S(O)
2O-R
d、
k)-NR
dR
e、
l)-C(O)-R
d、
m)-C(O)-O-R
d、
n)-OC(O)-R
d、
o)-C(O)NR
dR
e、
p)-C(O)-ヘテロシクリル、
q)-NR
dC(O)R
e、
r)-OC(O)NR
dR
e、
s)-NR
dC(O)OR
d、又は
t)-NR
dC(O)NR
dR
eであり、ここで該アルキル、シクロアルキル、及びヘテロシクリル基は、R
yより独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよく;
R
bは、
a)-ハロゲン、
b)-C
1~6アルキル、
c)-C
3~10シクロアルキル、
d)-ヘテロシクリル、
e)-フェニル、
f)-ヘテロアリール、
g)-シアノ、
h)-CF
3、
i)-OCF
3、
j)-O-R
f、
k)-S(O)
w-R
f、
l)-S(O)
2O-R
f、
m)-NR
fR
g、
n)-C(O)-R
f、
o)-C(O)-O-R
f、
p)-OC(O)-R
f、
q)-C(O)NR
fR
g、
r)-C(O)-ヘテロシクリル、
s)-NR
fC(O)R
g、
t)-OC(O)NR
fR
g、
u)-NR
fC(O)OR
f、又は
v)-NR
fC(O)NR
fR
gであり、ここで該アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、フェニル、及びヘテロアリール基は、R
zより独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよく;
R
cは、
a)-ハロゲン、
b)-C
1~6アルキル、
c)-C
3~10シクロアルキル、
d)-ヘテロシクリル、
e)-シアノ、
f)-CF
3、
g)-OCF
3、
h)-O-R
h、
i)-S(O)
w-R
h、
j)-S(O)
2O-R
h、
k)-NR
hR
k、
l)-C(O)-R
h、
m)-C(O)-O-R
h、
n)-OC(O)-R
h、
o)-C(O)NR
hR
k、
p)-C(O)-ヘテロシクリル、
q)-NR
hC(O)R
k、
r)-OC(O)NR
hR
k、
s)-NR
hC(O)OR
k、
t)-NR
hC(O)NR
hR
k、
u)-NR
hS(O)
wR
k、
v)-フェニル、
w)-ヘテロアリール、又は
x)-O-(C
1~4アルキレン)-O-(C
1~4アルキレン)-N(R
h)C(O)-OR
kであり、ここで該アルキレン、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、フェニル、及びヘテロアリール基は、R
xより独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよく;
R
dとR
eは、独立して、水素、C
1~6アルキル、又はC
3~10シクロアルキルであり、ここで該アルキル及びシクロアルキル基は、R
yより独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよい;又は、R
dとR
eがともに同じ窒素原子へ付くならば、その窒素原子と一緒に、アゼチジノ、ピロリジノ、ピラゾリジノ、イミダゾリジノ、オキサゾリジノ、イソオキサゾリジノ、チアゾリジノ、イソチアゾリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、及びアゼパノからなる群より選択される複素環式環を形成してもよく、ここでそれぞれの環は、R
yより独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよい;
R
fとR
gは、独立して、水素、C
1~6アルキル、C
3~10シクロアルキル、フェニル、又はヘテロアリールであり、ここで該アルキル、シクロアルキル、フェニル、及びヘテロアリール基は、R
zより独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよい;又は、R
fとR
gがともに同じ窒素原子へ付くならば、その窒素原子と一緒に、アゼチジノ、ピロリジノ、ピラゾリジノ、イミダゾリジノ、オキサゾリジノ、イソオキサゾリジノ、チアゾリジノ、イソチアゾリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、及びアゼパノからなる群より選択される複素環式環を形成してもよく、ここでそれぞれの環は、R
zより独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよい;
R
hとR
kは、独立して、水素、C
1~6アルキル、C
3~10シクロアルキル、ヘテロシクリル、フェニル、又はヘテロアリールであり、ここで該アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、フェニル、及びヘテロアリール基は、R
xより独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよい;又は、R
hとR
kがともに同じ窒素原子へ付くならば、その窒素原子と一緒に、アゼチジノ、ピロリジノ、ピラゾリジノ、イミダゾリジノ、オキサゾリジノ、イソオキサゾリジノ、チアゾリジノ、イソチアゾリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、及びアゼパノからなる群より選択される複素環式環を形成してもよく、ここでそれぞれの環は、R
xより独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよい;
R
yは、
a)-ハロゲン、
b)-NH
2、
c)-シアノ、
d)-カルボキシ、
e)-ヒドロキシ、
f)-チオール、
g)-CF
3、
h)-OCF
3、
i)-C(O)-NH
2、
j)-S(O)
2-NH
2、
k)オキソ、
l)ハロゲン、-OH、-O-C
1~6アルキル、-NH
2、-NH-C
1~6アルキル、及び-N(C
1~6アルキル)
2からなる群より独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよい、-C
1~6アルキル、
m)ハロゲン、-OH、-O-C
1~6アルキル、-NH
2、-NH-C
1~6アルキル、及び-N(C
1~6アルキル)
2からなる群より独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよい、-ヘテロシクリル、
n)ハロゲン、-OH、-O-C
1~6アルキル、-NH
2、-NH-C
1~6アルキル、及び-N(C
1~6アルキル)
2からなる群より独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよい、-C
3~10シクロアルキル、
o)ハロゲン、-OH、-O-C
1~6アルキル、-NH
2、-NH-C
1~6アルキル、及び-N(C
1~6アルキル)
2からなる群より独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよい、-O-C
1~6アルキル、
p)ハロゲン、-OH、-O-C
1~6アルキル、-NH
2、-NH-C
1~6アルキル、及び-N(C
1~6アルキル)
2からなる群より独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよい、-O-C
3~10シクロアルキル、
q)ハロゲン、-OH、-O-C
1~6アルキル、-NH
2、-NH-C
1~6アルキル、及び-N(C
1~6アルキル)
2からなる群より独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよい、-NH-C
1~6アルキル、
r)ハロゲン、-OH、-O-C
1~6アルキル、-NH
2、-NH-C
1~6アルキル、及び-N(C
1~6アルキル)
2からなる群より独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよい、-N(C
1~6アルキル)
2、
s)ハロゲン、-OH、-O-C
1~6アルキル、-NH
2、-NH-C
1~6アルキル、及び-N(C
1~6アルキル)
2からなる群より独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよい、-C(O)-C
1~6アルキル、
t)ハロゲン、-OH、-O-C
1~6アルキル、-NH
2、-NH-C
1~6アルキル、及び-N(C
1~6アルキル)
2からなる群より独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよい、-C(O)-O-C
1~6アルキル、
u)ハロゲン、-OH、-O-C
1~6アルキル、-NH
2、-NH-C
1~6アルキル、及び-N(C
1~6アルキル)
2からなる群より独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよい、-S-C
1~6アルキル、
v)ハロゲン、-OH、-O-C
1~6アルキル、-NH
2、-NH-C
1~6アルキル、及び-N(C
1~6アルキル)
2からなる群より独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよい、-S(O)
2-C
1~6アルキル、
w)ハロゲン、-OH、-O-C
1~6アルキル、-NH
2、-NH-C
1~6アルキル、及び-N(C
1~6アルキル)
2からなる群より独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよい、-C(O)-NH-C
1~6アルキル、
x)ハロゲン、-OH、-O-C
1~6アルキル、-NH
2、-NH-C
1~6アルキル、及び-N(C
1~6アルキル)
2からなる群より独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよい、-C(O)-N(C
1~6アルキル)
2、
y)ハロゲン、-OH、-O-C
1~6アルキル、-NH
2、-NH-C
1~6アルキル、及び-N(C
1~6アルキル)
2からなる群より独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよい、-S(O)
2-NH-C
1~6アルキル、
z)ハロゲン、-OH、-O-C
1~6アルキル、-NH
2、-NH-C
1~6アルキル、及び-N(C
1~6アルキル)
2からなる群より独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよい、-S(O)
2-N(C
1~6アルキル)
2、
aa)ハロゲン、-OH、-O-C
1~6アルキル、-NH
2、-NH-C
1~6アルキル、及び-N(C
1~6アルキル)
2からなる群より独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよい、-NH-C(O)-C
1~6アルキル、又は
bb)ハロゲン、-OH、-O-C
1~6アルキル、-NH
2、-NH-C
1~6アルキル、及び-N(C
1~6アルキル)
2からなる群より独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよい、-NH-S(O)
2-C
1~6アルキルであり;
R
xは、
a)-R
y
b)ハロゲン、-OH、-O-C
1~6アルキル、-NH
2、-NH-C
1~6アルキル、及び-N(C
1~6アルキル)
2からなる群より独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよい、-フェニル;
c)ハロゲン、-OH、-O-C
1~6アルキル、-NH
2、-NH-C
1~6アルキル、及び-N(C
1~6アルキル)
2からなる群より独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよい、-ヘテロアリール;
d)-O-フェニル、
e)-O-ヘテロアリール、
f)-C(O)-フェニル、
g)-C(O)-ヘテロアリール、
h)-C(O)-O-フェニル、又は
i)-C(O)-O-ヘテロアリールであり;
R
zは、
a)-R
y;
b)-フェニル、
c)-ヘテロアリール;
d)-O-フェニル、
e)-O-ヘテロアリール、
f)-C(O)-フェニル、
g)-C(O)-ヘテロアリール、
h)-C(O)-O-フェニル、又は
i)-C(O)-O-ヘテロアリールであり;
vは、0~4の整数であり、そして
wは、0~2の整数である。
【0055】
態様2:Gが、水素、-C
1~8アルキル、-C
3~10シクロアルキル、-C
1~6アルキレン-C
3~10シクロアルキル、ヘテロシクリル、フェニル、ヘテロアリール、又はNR
hR
kであり、ここで該アルキル、アルキレン、シクロアルキル、ヘテロシクリル、フェニル、及びヘテロアリール基は、R
cより独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよい;又はGは、-CH
2Y
3、-CH
2CH
2Y
3、-CH
2CH
2CH
2Y
3、-CH(CH
3)CH
2Y
3、-CH
2CH(Y
3)CH
3、-CH(Y
3)CH
3、-CH
2C(Y
3)(CH
3)
2、-C(Y
3)(CH
3)
2、又は
【化5】
{式中、Y
3は、-シクロプロピル、-CF
3、-OCF
3、-OCH
3、-OCH
2CH
3、-F、-Cl、-OH、-O(CH
2)
2-OH、-O(CH
2)
2-F、-SCH
3、-S(O)
2-CH
3、-SCH
2CH
3、-S(O)
2CH
2CH
3、-NH-CH
3、-NH-CH
2CH
3、-N(CH
3)
2、テトラヒドロピラン-4-イル、テトラヒドロフラン-2-イル、モルホリン-2-イル、モルホリン-4-イル、ピペリジン-1-イル、4-ヒドロキシ-ピペリジン-1-イル、3-ヒドロキシ-ピペリジン-1-イル、-NH-C(O)-CH
3、-NH-C(O)-CH
2CH
3、テトラヒドロフラン-2-イル-メチルオキシ、又は-C(O)-Y
4であり、ここでY
4は、-OH、-OCH
3、-OCH
2CH
3、-OC(CH
3)
3、-NH
2、-NH-CH
3、-NH-CH
2CH
3、-N(CH
3)
2、-N(CH
2CH
3)
2、モルホリン-4-イル、4-メチル-ピペラジン-1-イル、ピロリジン-1-イル、又はピペラジン-1-イルである}であり;
R
cは、
a)-ハロゲン、
b)-C
1~6アルキル、
c)-C
3~10シクロアルキル、
d)-ヘテロシクリル、
e)-シアノ、
f)-CF
3、
g)-OCF
3、
h)-O-R
h、
i)-S(O)
w-R
h、
j)-S(O)
2O-R
h、
k)-NR
hR
k、
l)-C(O)-R
h、
m)-C(O)-O-R
h、
n)-OC(O)-R
h、
o)-C(O)NR
hR
k、
p)-C(O)-ヘテロシクリル、
q)-NR
hC(O)R
k、
r)-OC(O)NR
hR
k、
s)-NR
hC(O)OR
k、
t)-NR
hC(O)NR
hR
k、
u)-フェニル、
v)-ヘテロアリール、又は
w)-O-(C
1~4アルキレン)-O-(C
1~4アルキレン)-N(R
h)C(O)-OR
kであり、ここで該アルキレン、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、フェニル、及びヘテロアリール基は、R
xより独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよく;
R
hとR
kは、独立して、水素、C
1~6アルキル、C
3~10シクロアルキル、フェニル、又はヘテロアリールであり、ここで該アルキル、シクロアルキル、フェニル、及びヘテロアリール基は、R
xより独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよい;又は、R
hとR
kがともに同じ窒素原子へ付くならば、その窒素原子と一緒に、アゼチジノ、ピロリジノ、ピラゾリジノ、イミダゾリジノ、オキサゾリジノ、イソオキサゾリジノ、チアゾリジノ、イソチアゾリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、及びアゼパノからなる群より選択される複素環式環を形成してもよく、ここでそれぞれの環は、R
xより独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよい;そして
R
yは、
a)-ハロゲン、
b)-NH
2、
c)-シアノ、
d)-カルボキシ、
e)ハロゲンで1回以上置換されていてもよい、-C
1~6アルキル、
f)ハロゲンで1回以上置換されていてもよい、-ヘテロシクリル、
g)ハロゲンで1回以上置換されていてもよい、-C
3~10シクロアルキル、
h)ハロゲンで1回以上置換されていてもよい、-O-C
1~6アルキル、
i)ハロゲンで1回以上置換されていてもよい、-O-C
3~10シクロアルキル、
j)-ヒドロキシ、
k)-チオール、
l)-CF
3、
m)-OCF
3、
n)ハロゲンで1回以上置換されていてもよい、-C(O)-C
1~6アルキル、
o)ハロゲンで1回以上置換されていてもよい、-C(O)-O-C
1~6アルキル、
p)ハロゲンで1回以上置換されていてもよい、-S-C
1~6アルキル、又は
q)ハロゲンで1回以上置換されていてもよい、-S(O)
2-C
1~6アルキルである、態様1に従う化合物。
【0056】
態様3:R3が水素である、態様2に従う化合物。
態様4:R3がメチルである、態様2に従う化合物。
態様5:X1が=N-である、態様2~4のいずれか1つに従う化合物。
態様6:X1が=CH-である、態様2~4のいずれか1つに従う化合物。
態様7:vが0~2の整数である、態様2~6のいずれか1つに従う化合物。
態様8:vが0又は1である、態様2~6のいずれか1つに従う化合物。
態様9:vが1である、態様2~6のいずれか1つに従う化合物。
態様10:vが1であり、そしてR2がベンゾチアゾール環の5位又は6位のいずれかに付く、態様2~6のいずれか1つに従う化合物。
態様11:vが1であり、そしてR2がベンゾチアゾール環の6位に付く、態様2~6のいずれか1つに従う化合物。
態様12:vが2であり、そしてR2がベンゾチアゾール環の6位に付く、態様2~68のいずれか1つに従う化合物。
態様13:vが2であり、そしてR2がベンゾチアゾール環の5位と6位に付く、態様2~6のいずれか1つに従う化合物。
態様14:R2が、-ハロゲン、-C1~6アルキル、-CF3、-OCF3、-O-Rf、又は-S(O)w-Rfであり、ここで該アルキル基は、Rzより独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよい、態様2~13のいずれか1つに従う化合物。
態様15:R2が、-ハロゲン、-メチル、-CF3、-OCF3、-SCF3、-O-ヘテロアリール、又は-S(O)2-CH3である、態様2~13のいずれか1つに従う化合物。
態様16:R2が、-Cl、-F、-CF3、及び-OCF3より選択される、態様2~13のいずれか1つに従う化合物。
態様17:R2が-OCF3である、態様2~13のいずれか1つに従う化合物。
態様18:R2が-CF3である、態様2~13のいずれか1つに従う化合物。
態様19:R2が-Fである、態様2~13のいずれか1つに従う化合物。
態様20:R2が-Clである、態様2~13のいずれか1つに従う化合物。
態様21:R4が、-メチル、-エチル、-n-プロピル、-イソプロピル、-n-ブチル、-sec-ブチル、-イソブチル、-tert-ブチル、-(CH2)1~2-OCH3、-(CH2)1~2-F、-(CH2)1~2-Cl、-(CH2)1~2-OCF3、-(CH2)1~2-NH2、-(CH2)1~2-CN、-(CH2)1~2-OH、-(CH2)1~2-CF3、-(CH2)1~2-CO2H、-(CH2)1~2-SH、-(CH2)1~2-SCH3、-(CH2)1~2-S(O)2CH3、-(CH2)1~2-OCH2CH3、-(CH2)1~2-SCH2CH3、-(CH2)1~2-S(O)2CH2CH3、-(CH2)1~2-NH-CH3、又は-(CH2)1~2-N(CH3)2である、態様2~20のいずれか1つに従う化合物。
態様22:R4が、-メチル、-エチル、-イソプロピル、-イソブチル、-CH2CH2-OCH3、-CH2CH2-F、又は-CH2CH2-NH2である、態様2~21のいずれか1つに従う化合物。
態様23:R4が-メチル、-エチル、-イソプロピル、又は-イソブチルである、態様2~22のいずれか1つに従う化合物。
態様24:R4が-メチルである、態様2~23のいずれか1つに従う化合物。
態様25:R4が-エチルである、態様2~23のいずれか1つに従う化合物。
態様26:R4が、-(CH2)2-OCH3、-(CH2)2-F、-(CH2)2-Cl、-(CH2)2-OCF3、-(CH2)2-NH2、-(CH2)2-CN、-(CH2)2-OH、-(CH2)2-CF3、-(CH2)2-CO2H、-(CH2)2-SH、-(CH2)2-SCH3、又は-(CH2)2-S(O)2CH3である、態様2~21のいずれか1つに従う化合物。
態様27:R1が、水素、-OCH3、-F、-Cl、-NH2、-シアノ、-OH、-CF3、-OCF3、-SH、-S-C1~6アルキル、-S(O)2-C1~6アルキル、-CO2H、-NH-C1~6アルキル、-N(C1~6アルキル)2、及び-NH-C1~6アルキルより独立して選択される、態様2~26のいずれか1つに従う化合物。
態様28:R1が、-OCH3、-F、-CF3、-OCF3、-N(CH3)2、-N(CH2CH3)2、及び-N(CH3)(CH2CH3)より独立して選択される、態様2~26のいずれか1つに従う化合物。
態様29:R1が、水素、-OCH3、及び-Fより独立して選択される、態様2~26のいずれか1つに従う化合物。
態様30:R1が水素である、態様2~26のいずれか1つに従う化合物。
【0057】
態様31:Gが、水素、-C
1~8アルキル、-C
3~10シクロアルキル、-C
1~6アルキレン-C
3~8シクロアルキル、ヘテロシクリル、又はNR
hR
kであり、ここで該アルキル、アルキレン、シクロアルキル、及びヘテロシクリル基は、R
cより独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよい;又はGが、-CH
2Y
3、-CH
2CH
2Y
3、-CH
2CH
2CH
2Y
3、-CH(CH
3)CH
2Y
3、-CH
2CH(Y
3)CH
3、-CH(Y
3)CH
3、-CH
2C(Y
3)(CH
3)
2、-C(Y
3)(CH
3)
2、又は
【化6】
{式中、Y
3は、-シクロプロピル、-CF
3、-OCF
3、-OCH
3、-OCH
2CH
3、-F、-Cl、-OH、-O(CH
2)
2-OH、-O(CH
2)
2-F、-SCH
3、-S(O)
2-CH
3、-SCH
2CH
3、-S(O)
2CH
2CH
3、-NH-CH
3、-NH-CH
2CH
3、-N(CH
3)
2、テトラヒドロピラン-4-イル、テトラヒドロフラン-2-イル、モルホリン-2-イル、モルホリン-4-イル、ピペリジン-1-イル、4-ヒドロキシ-ピペリジン-1-イル、3-ヒドロキシ-ピペリジン-1-イル、-NH-C(O)-CH
3、-NH-C(O)-CH
2CH
3、テトラヒドロフラン-2-イル-メチルオキシ、又は-C(O)-Y
4であり、ここでY
4は、-OH、-OCH
3、-OCH
2CH
3、-OC(CH
3)
3、-NH
2、-NH-CH
3、-NH-CH
2CH
3、-N(CH
3)
2、-N(CH
2CH
3)
2、モルホリン-4-イル、4-メチル-ピペラジン-1-イル、ピロリジン-1-イル、又はピペラジン-1-イルである}であり;
Lは、-CH
2-C(O)N(R
6)-、-C(O)N(R
6)-、-C(O)-O-、-SO
2-、-C(O)-、又はR
xより独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよいヘテロシクリレンである;又は基-L-Gは、-シアノであり;
R
1は、水素又はR
aであり;
R
cは、
a)-ハロゲン、
b)-C
1~6アルキル、
c)-C
3~10シクロアルキル、
d)-ヘテロシクリル、
e)-シアノ、
f)-CF
3、
g)-OCF
3、
h)-O-R
h、
i)-S(O)
w-R
h、
j)-S(O)
2O-R
h、
k)-NR
hR
k、
l)-C(O)-R
h、
m)-C(O)-O-R
h、
n)-OC(O)-R
h、
o)-C(O)NR
hR
k、
p)-C(O)-ヘテロシクリル、
q)-NR
hC(O)R
k、
r)-OC(O)NR
hR
k、
s)-NR
hC(O)OR
k、
t)-NR
hC(O)NR
hR
k、又は
u)-O-(C
1~4アルキレン)-O-(C
1~4アルキレン)-N(R
h)C(O)-OR
kであり、ここで該アルキレン、アルキル、シクロアルキル、及びヘテロシクリル基は、R
xより独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよく;
R
hとR
kは、独立して、水素、C
1~6アルキル、又はC
3~10シクロアルキルであり、ここで該アルキル及びシクロアルキル基は、R
xより独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよい;又は、R
hとR
kがともに同じ窒素原子へ付くならば、その窒素原子と一緒に、アゼチジノ、ピロリジノ、ピラゾリジノ、イミダゾリジノ、オキサゾリジノ、イソオキサゾリジノ、チアゾリジノ、イソチアゾリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、及びアゼパノからなる群より選択される複素環式環を形成してもよく、ここでそれぞれの環は、R
xより独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよい;そして
R
xは、R
yである、態様2~30のいずれか1つに従う化合物。
【0058】
態様32:-L-Gが-シアノでない、態様2~31のいずれか1つに従う化合物。
態様33:-L-Gが-C(O)NRhRkである、態様2~32のいずれか1つに従う化合物。
態様34:Lが-C(O)N(R6)-又は-C(O)-O-である、態様2~32のいずれか1つに従う化合物。
態様35:Lが-C(O)N(R6)-である、態様2~32のいずれか1つに従う化合物。
態様36:Lが-CH2-C(O)N(R6)-でない、態様2~32のいずれか1つに従う化合物。
態様37:Lが-C(O)-O-である、態様2~32のいずれか1つに従う化合物。
態様38:Lが-C(O)-である、態様2~32のいずれか1つに従う化合物。
態様39:Lが-S(O)2-である、態様2~32のいずれか1つに従う化合物。
態様40:Lが、Rxより独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよいヘテロアリーレンである、態様2~30のいずれか1つに従う化合物。
態様41:R6が水素である、態様2~40のいずれか1つに従う化合物。
態様42:R6が水素又は-メチルである、態様2~40のいずれか1つに従う化合物。
態様43:Gが、水素、-C1~8アルキル、-C3~10シクロアルキル、又は-C1~6アルキレン-C3~8シクロアルキルであり、ここで該アルキル、シクロアルキル、及びアルキレン基は、Rxより独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよい、態様2~42のいずれか1つに従う化合物。
【0059】
態様44:Gが、-H、-メチル、-エチル、-n-プロピル、-イソプロピル、-イソブチル、-CH2Y3、-CH2CH2Y3、-CH2CH2CH2Y3、-CH(CH3)CH2Y3、-CH2CH(Y3)CH3、-CH(Y3)CH3、-CH2C(Y3)(CH3)2、又は-C(Y3)(CH3)2であり、ここでY3は、-シクロプロピル、-CF3、-OCF3、-OCH3、-OCH2CH3、-F、-OH、-O(CH2)2-OH、-O(CH2)2-F、-SCH3、-S(O)2-CH3、-SCH2CH3、-S(O)2CH2CH3、-NH-CH3、-NH-CH2CH3、-N(CH3)2、-NH-C(O)-CH3、-NH-C(O)-CH2CH3、又はC(O)-Y4であり、ここでY4は、-OH、-OCH3、-OCH2CH3、-OC(CH3)3、-NH2、-NH-CH3、-NH-CH2CH3、-N(CH3)2、又は-N(CH2CH3)2である、態様2~42のいずれか1つに従う化合物。
態様45:Gが、-メチル、-エチル、-n-プロピル、-イソプロピル、又は-イソブチルであり、ここでそれぞれは、-CF3、-OCF3、-OCH3、-OCH2CH3、-F、-OH、-O(CH2)2-OH、-O(CH2)2-F、-SCH3、-SCH2CH3、-NH-CH3、-NH-CH2CH3、及び-N(CH3)2より独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよい、態様2~42のいずれか1つに従う化合物。
【0060】
態様46:GがHである、態様2~42のいずれか1つに従う化合物。
態様47:Gが、ハロゲンで1回以上置換されていてもよいC1~8アルキルである、態様2~42のいずれか1つに従う化合物。
態様48:Gが、ハロゲンで1回以上置換されていてもよいC3~10シクロアルキルである、態様2~42のいずれか1つに従う化合物。
態様49:Gが、ハロゲンで1回以上置換されていてもよいヘテロシクリルである、態様2~42のいずれか1つに従う化合物。
態様50:Gが、ハロゲンで1回以上置換されていてもよい-C1~6アルキレン-C3~10シクロアルキルである、態様2~42のいずれか1つに従う化合物。
態様51:GがNRhRkである、態様2~42のいずれか1つに従う化合物。
態様52:Gが-CH2-Rcである、態様2~42のいずれか1つに従う化合物。
態様53:Gが-CH2CH2-Rcである、態様2~42のいずれか1つに従う化合物。
態様54:Gが-CH2CH2CH2-Rcである、態様2~42のいずれか1つに従う化合物。
態様55:Gが-CH(CH3)CH2Rcである、態様2~42のいずれか1つに従う化合物。
態様56:Gが-CH2CH(Rc)CH3である、態様2~42のいずれか1つに従う化合物。
態様57:Gが-CH(Rc)CH3である、態様2~42のいずれか1つに従う化合物。
態様58:Gが-CH2C(Rc)(CH3)2である、態様2~42のいずれか1つに従う化合物。
態様59:Gが-C(Rc)(CH3)2である、態様2~42のいずれか1つに従う化合物。
【0061】
態様60:Gが、イミダゾール-2-イル、チアゾール-2-イル、オキサゾール-2-イル、ピラゾール-1-イル、フラン-2-イル、チオフェン-2-イル、ピロール-1-イル、1H-1,2,4-トリアゾリル-3-イル、5-メチル-1H-1,2,4-トリアゾリル-3-イル、-(CH2)1~3-(イミダゾール-2-イル)、-(CH2)1~3-(チアゾール-2-イル)、-(CH2)1~3-(オキサゾール-2-イル)、-(CH2)1~3-(ピラゾール-1-イル)、-(CH2)1~3-(フラン-2-イル)、-(CH2)1~3-(チオフェン-2-イル)、-(CH2)1~3-(ピロール-1-イル)、-(CH2)1~3-(1H-1,2,4-トリアゾリル-3-イル)、又は-(CH2)1~3-(5-メチル-1H-1,2,4-トリアゾリル-3-イル)である、態様2~42のいずれか1つに従う化合物。
態様61:その遊離(非塩)型である、態様2~60のいずれか1つに従う化合物。
態様62:医薬的に許容される塩の形態である、態様2~60のいずれか1つに従う化合物。
【0062】
態様63:その中に存在するどの「ヘテロシクリル」基も、アゼチジン-1-イル、アゼチジン-2-イル、アゼチジン-3-イル、ピロリジン-1-イル、ピロリジン-2-イル、ピロリジン-3-イル、テトラヒドロフラン-2-イル、テトラヒドロフラン-3-イル、テトラヒドロチオフェン-2-イル、テトラヒドロチオフェン-3-イル、ピラゾリジン-1-イル、ピラゾリジン-3-イル、ピラゾリジン-4-イル、イミダゾリジン-1-イル、イミダゾリジン-2-イル、イミダゾリジン-4-イル、オキサゾリジン-2-イル、オキサゾリジン-3-イル、オキサゾリジン-4-イル、オキサゾリジン-5-イル、イソオキサゾリジン-2-イル、イソオキサゾリジン-3-イル、イソオキサゾリジン-4-イル、イソオキサゾリジン-5-イル、チアゾリジン-2-イル、チアゾリジン-3-イル、チアゾリジン-4-イル、チアゾリジン-5-イル、イソチアゾリジン-2-イル、イソチアゾリジン-3-イル、イソチアゾリジン-4-イル、イソチアゾ
リジン-5-イル、1,3-ジオキソラン-2-イル、1,3-ジオキソラン-4-イル、1,3-オキサチオラン-2-イル、1,3-オキサチオラン-4-イル、1,3-オキサチオラン-5-イル、1,2-ジチオラン-3-イル、1,2-ジチオラン-4-イル、1,3-ジチオラン-2-イル、1,3-ジチオラン-4-イル、ピペリジン-1-イル、ピペリジン-2-イル、ピペリジン-3-イル、ピペリジン-4-イル、テトラヒドロピラン-2-イル、テトラヒドロピラン-3-イル、テトラヒドロピラン-4-イル、チアン-2-イル、チアン-3-イル、チアン-4-イル、ピペラジン-1-イル、ピペラジン-2-イル、モルホリン-2-イル、モルホリン-3-イル、モルホリン-4-イル、チオモルホリン-2-イル、チオモルホリン-3-イル、チオモルホリン-4-イル、1,4-ジオキサン-2-イル、1,3-ジオキサン-2-イル、1,3-ジオキサン-4-イル、1,3-ジオキサン-5-イル、1,4-ジチアン-2-イル、1,3-ジチアン-2-イル、1,3-ジチアン-4-イル、1,3-ジチアン-5-イル、1,2-ジチアン-3-イル、1,2-ジチアン-4-イル、アゼパン-1-イル、アゼパン-2-イル、アゼパン-3-イル、及びアゼパン-4-イルからなる群より選択され、ここでこれらの列挙した環のそれぞれは、ハロゲン、-NH2、シアノ、カルボキシ、C1~4アルキル、C3~10シクロアルキル、ヒドロキシル、チオール、-CF3、-OCF3、-O-C1~4アルキル、-NH-C1~4アルキル、-N(C1~4アルキル)2、-S-C1~4アルキル、-S(O)2-C1~4アルキル、-C(O)-C1~4アルキル、-C(O)O-C1~4アルキル、-C(O)NH2、-C(O)NH-C1~4アルキル、及び-C(O)N(C1~4アルキル)2より独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよく、そしてここでこれらの列挙した環のいずれにもあるどの窒素原子も、化学的に実現可能である場合は酸化されていてもよく、そしてここでこれらの列挙した環のいずれにもあるどのイオウ原子も、化学的に実現可能である場合は1回又は2回酸化されていてもよい、態様1~62のいずれか1つに従う化合物。
【0063】
態様64:その中に存在するどの「ヘテロアリール」基も、1H-ピロール-1-イル、1H-ピロール-2-イル、1H-ピロール-3-イル、フラン-2-イル、フラン-3-イル、チオフェン-2-イル、チオフェン-3-イル、1H-イミダゾール-1-イル、1H-イミダゾール-2-イル、1H-イミダゾール-4-イル、1H-イミダゾール-5-イル、1H-ピラゾール-1-イル、1H-ピラゾール-3-イル、1H-ピラゾール-4-イル、1H-ピラゾール-5-イル、オキサゾール-2-イル、オキサゾール-4-イル、オキサゾール-5-イル、チアゾール-2-イル、チアゾール-4-イル、チアゾール-5-イル、イソオキサゾール-3-イル、イソオキサゾール-4-イル、イソオキサゾール-5-イル、イソチアゾール-3-イル、イソチアゾール-4-イル、イソチアゾール-5-イル、1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル、1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル、1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル、1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル、1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル、1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル、フラザン-3-イル、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イル、ピリダジン-3-イル、ピリダジン-4-イル、ピリミジン-2-イル、ピリミジン-4-イル、ピリミジン-5-イル、ピラジン-2-イル、1,3,5-トリアジン-2-イル、1H-インドール-1-イル、1H-インドール-2-イル、1H-インドール-3-イル、2H-イソインドール-1-イル、2H-イソインドール-2-イル、キノリン-2-イル、キノリン-3-イル、キノリン-4-イル、イソキノリン-1-イル、イソキノリン-3-イル、イソキノリン-4-イル、ベンゾオキサゾール-2-イル、ベンゾチアゾール-2-イル、1H-ベンゾイミダゾール-1-イル、1H-ベンゾイミダゾール-2-イル、ベンゾフラン-2-イル、ベンゾフラン-3-イル、ベンゾチオフェン-2-イル、及びベンゾチオフェン-3-イルからなる群より選択され、ここでこれらの列挙した環のそれぞれは、ハロゲン、-NH2、シアノ、カルボキシ、C1~4アルキル、C3~10シクロアルキル、ヒドロキシル、チオール、-CF3、-OCF3、-O-C1~4アルキル、-NH-C1~4アルキル、-N(C1~4アルキル)2、-S-C1~4アルキル、-S(O)2-C1~4アルキル、-C(O)-C1~4アルキル、-C(O)O-C1~4アルキル、-C(O)NH2、-C(O)NH-C1~4アルキル、-C(O)N(C1~4アルキル)2、及びフェニルより独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよい、態様1~63のいずれか1つに従う化合物。
【0064】
態様65:その中に存在するどの「ヘテロアリーレン」基も、1H-ピロール-2,5-ジイル、フラン-2,5-ジイル、チオフェン-2,5-ジイル、1H-イミダゾール-2,4-ジイル、1H-イミダゾール-2,5-ジイル、オキサゾール-2,4-ジイル、オキサゾール-2,5-ジイル、チアゾール-2,4-ジイル、チアゾール-2,5-ジイル、1H-1,2,4-トリアゾール-3,5-ジイル、及び2H-イソインドール-1,3-ジイルからなる群より選択され、ここでこれらの列挙した環のそれぞれは、ハロゲン、-NH2、シアノ、カルボキシ、-C1~4アルキル、-C3~10シクロアルキル、ヒドロキシル、チオール、-CF3、-OCF3、-O-C1~4アルキル、-NH-C1~4アルキル、-N(C1~4アルキル)2、-S-C1~4アルキル、-S(O)2-C1~4アルキル、-C(O)-C1~4アルキル、-C(O)O-C1~4アルキル、-C(O)NH2、-C(O)NH-C1~4アルキル、-C(O)N(C1~4アルキル)2、及びフェニルより独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよい、態様1~64のいずれか1つに従う化合物。
【0065】
態様66:態様1に従う化合物。
態様67:R3が水素である、態様66に従う化合物。
態様68:R3がメチルである、態様66に従う化合物。
態様69:R3がエチルである、態様66に従う化合物。
態様70:R3がイソプロピルである、態様66に従う化合物。
態様71:X1が=N-である、態様66~70のいずれか1つに従う化合物。
態様72:X1が=CH-である、態様66~70のいずれか1つに従う化合物。
態様73:vが、0、1又は2である、態様66~72のいずれか1つに従う化合物。
態様74:vが、1又は2である、態様66~72のいずれか1つに従う化合物。
態様75:vが1である、態様66~72のいずれか1つに従う化合物。
態様76:vが1であり、そしてR2がベンゾチアゾール環の5位又は6位のいずれかに付く、態様66~72のいずれか1つに従う化合物。
態様77:vが1であり、そしてR2がベンゾチアゾール環の6位に付く、態様66~72のいずれか1つに従う化合物。
態様78:vが2であり、そしてR2がベンゾチアゾール環の6位に付く、態様66~72のいずれか1つに従う化合物。
態様79:vが2であり、そしてR2がベンゾチアゾール環の5位と6位に付く、態様66~72のいずれか1つに従う化合物。
【0066】
態様80:R2が、-ハロゲン、-C1~6アルキル、-CF3、-OCF3、-O-Rf、又は-S(O)w-Rfであり、ここで該アルキル基は、Rzより独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよい、態様66~79のいずれか1つに従う化合物。
態様81:R2が、-ハロゲン、-メチル、エチル、イソプロピル、-OCH3、-OCH2CH3、-OCH(CH3)2、-CF3、-OCF3、-SCF3、-S(O)2-CH3、-O-フェニル、-O-(2-ピリジル)、-O-(3-ピリジル)、又は-O-(4-ピリジル)である、態様66~79のいずれか1つに従う化合物。
態様82:R2が、-ハロゲン、-メチル、エチル、イソプロピル、-OCH3、-OCH2CH3、-OCH(CH3)2、-CF3、-OCF3、-SCF3、-S(O)2-CH3、又は-O-(3-ピリジル)である、態様66~79のいずれか1つに従う化合物。
態様83:R2が、-Cl、-F、-CF3、又は-OCF3である、態様66~79のいずれか1つに従う化合物。
態様84:R2が-OCF3である、態様66~79のいずれか1つに従う化合物。
態様85:R2が-CF3である、態様66~79のいずれか1つに従う化合物。
態様86:R2が-Fである、態様66~79のいずれか1つに従う化合物。
態様87:R2が-Clである、態様66~79のいずれか1つに従う化合物。
態様88:R2が-SO2CH3である、態様66~79のいずれか1つに従う化合物。
態様89:R2が、メチル、エチル、又はイソプロピルである、態様66~79のいずれか1つに従う化合物。
態様90:R2がメチルである、態様66~79のいずれか1つに従う化合物。
態様91:R2が-OCH2CH3である、態様66~79のいずれか1つに従う化合物。
態様92:R2が-O-フェニルである、態様66~79のいずれか1つに従う化合物。
態様93:R2が、-O-(2-ピリジル)、-O-(3-ピリジル)、又は-O-(4-ピリジル)である、態様66~79のいずれか1つに従う化合物。
態様94:R2が-O-(3-ピリジル)である、態様66~79のいずれか1つに従う化合物。
【0067】
態様95:R4が、-メチル、-エチル、-n-プロピル、-イソプロピル、-n-ブチル、-sec-ブチル、-イソブチル、-tert-ブチル、-(CH2)1~2-OCH3、-(CH2)1~2-F、-(CH2)1~2-Cl、-(CH2)1~2-OCF3、-(CH2)1~2-NH2、-(CH2)1~2-CN、-(CH2)1~2-OH、-(CH2)1~2-CF3、-(CH2)1~2-CO2H、-(CH2)1~2-SH、-(CH2)1~2-SCH3、-(CH2)1~2-S(O)2CH3、-(CH2)1~2-OCH2CH3、-(CH2)1~2-SCH2CH3、-(CH2)1~2-S(O)2CH2CH3、-(CH2)1~2-NH-CH3、又は-(CH2)1~2-N(CH3)2である、態様66~94のいずれか1つに従う化合物。
【0068】
態様96:R4が、-メチル、-エチル、-イソプロピル、-イソブチル、-CH2CH2-OCH3、-CH2CH2-F、-CH2CH2-NH2、又は-CH2CH2-NH-CH3である、態様66~94のいずれか1つに従う化合物。
態様97:R4が、-メチル、-エチル、-イソプロピル、又は-イソブチルである、態様66~94のいずれか1つに従う化合物。
態様98:R4が-メチルである、態様66~94のいずれか1つに従う化合物。
態様99:R4が-エチルである、態様66~94のいずれか1つに従う化合物。
態様100:R4が-イソプロピルである、態様66~94のいずれか1つに従う化合物。
態様101:R4が-イソブチルである、態様66~94のいずれか1つに従う化合物。
態様102:R4が-CH2CH2-OCH3である、態様66~94のいずれか1つに従う化合物。
態様103:R4が-CH2CH2-Fである、態様66~94のいずれか1つに従う化合物。
態様104:R4が-CH2CH2-NH2である、態様66~94のいずれか1つに従う化合物。
態様105:R4が-CH2CH2-NH-CH3である、態様66~94のいずれか1つに従う化合物。
【0069】
態様106:R1が、水素、-OCH3、-F、-Cl、-NH2、-シアノ、-OH、-CF3、-OCF3、-SH、-S-C1~6アルキル、-S(O)2-C1~6アルキル、-CO2H、-NH-C1~6アルキル、-N(C1~6アルキル)2、又は-NH-C1~6アルキルである、態様66~105のいずれか1つに従う化合物。
態様107:R1が、-OCH3、-F、-CF3、-OCF3、-N(CH3)2、-N(CH2CH3)2、又は-N(CH3)(CH2CH3)である、態様66~105のいずれか1つに従う化合物。
態様108:R1が水素、-OCH3、又はFである、態様66~105のいずれか1つに従う化合物。
態様109:R1が水素である、態様66~105のいずれか1つに従う化合物。
態様110:R1が-Fである、態様66~105のいずれか1つに従う化合物。
態様111:R1が-OCH3である、態様66~105のいずれか1つに従う化合物。
態様112:R1が-N(CH2CH3)2である、態様66~105のいずれか1つに従う化合物。
【0070】
態様113:Gが、水素、-C
1~8アルキル、-C
3~10シクロアルキル、-C
1~6アルキレン-C
3~10シクロアルキル、ヘテロシクリル、-C
1~6アルキレン-C
3~10ヘテロシクリル、又はNR
hR
kであり、ここで該アルキル、アルキレン、シクロアルキル、及びヘテロシクリル基は、R
cより独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよい;又はGが、-CH
2Y
3、-CH
2CH
2Y
3、-CH
2CH
2CH
2Y
3、-CH(CH
3)CH
2Y
3、-CH
2CH(Y
3)CH
3、-CH(Y
3)CH
3、-CH
2C(Y
3)(CH
3)
2、-C(Y
3)(CH
3)
2、又は
【化7】
{式中、Y
3は、-シクロプロピル、-CF
3、-OCF
3、-OCH
3、-OCH
2CH
3、-F、-Cl、-OH、-O(CH
2)
2-OH、-O(CH
2)
2-F、-SCH
3、-S(O)
2-CH
3、-SCH
2CH
3、-S(O)
2CH
2CH
3、-NH-CH
3、-NH-CH
2CH
3、-N(CH
3)
2、テトラヒドロピラン-4-イル、テトラヒドロフラン-2-イル、モルホリン-2-イル、モルホリン-4-イル、ピペリジン-1-イル、4-ヒドロキシ-ピペリジン-1-イル、3-ヒドロキシ-ピペリジン-1-イル、-NH-C(O)-CH
3、-NH-C(O)-CH
2CH
3、テトラヒドロフラン-2-イル-メチルオキシ、又は-C(O)-Y
4であり、ここでY
4は、-OH、-OCH
3、-OCH
2CH
3、-OC(CH
3)
3、-NH
2、-NH-CH
3、-NH-CH
2CH
3、-N(CH
3)
2、-N(CH
2CH
3)
2、モルホリン-4-イル、4-メチル-ピペラジン-1-イル、ピロリジン-1-イル、又はピペラジン-1-イルである}であり;
Lは、-CH
2-C(O)N(R
6)-、-C(O)N(R
6)-、-C(O)-O-、-SO
2-、-C(O)-、又はR
xより独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよいヘテロシクリレンである;又は基-L-Gは、-シアノであり;
R
1は、水素又はR
aであり;
R
cは、
a)-ハロゲン、
b)-C
1~6アルキル、
c)-C
3~10シクロアルキル、
d)-ヘテロシクリル、
e)-シアノ、
f)-CF
3、
g)-OCF
3、
h)-O-R
h、
i)-S(O)
w-R
h、
j)-S(O)
2O-R
h、
k)-NR
hR
k、
l)-C(O)-R
h、
m)-C(O)-O-R
h、
n)-OC(O)-R
h、
o)-C(O)NR
hR
k、
p)-C(O)-ヘテロシクリル、
q)-NR
hC(O)R
k、
r)-OC(O)NR
hR
k、
s)-NR
hC(O)OR
k、
t)-NR
hC(O)NR
hR
k、
u)-NR
hS(O)
wR
k、又は
v)-O-(C
1~4アルキレン)-O-(C
1~4アルキレン)-N(R
h)C(O)-OR
kであり、ここで該アルキレン、アルキル、シクロアルキル、及びヘテロシクリル基は、R
xより独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよく;
R
hとR
kは、独立して、水素、C
1~6アルキル、又はC
3~10シクロアルキルであり、ここで該アルキル及びシクロアルキル基は、R
xより独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよい;又は、R
hとR
kがともに同じ窒素原子へ付くならば、その窒素原子と一緒に、アゼチジノ、ピロリジノ、ピラゾリジノ、イミダゾリジノ、オキサゾリジノ、イソオキサゾリジノ、チアゾリジノ、イソチアゾリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、及びアゼパノからなる群より選択される複素環式環を形成してもよく、ここでそれぞれの環は、R
xより独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよい;そして
R
xは、R
yである、態様66~112のいずれか1つに従う化合物。
【0071】
態様114:-L-Gが-シアノでない、態様66~112のいずれか1つに従う化合物。
態様115:Lが-C(O)N(R6)-である、態様66~112のいずれか1つに従う化合物。
態様116:R6が水素である、態様115に従う化合物。
態様117:R6がメチルである、態様115に従う化合物。
態様118:Gが-N(CH3)2である、態様117に従う化合物。
態様119:-L-Gが-C(O)NRhRkである、態様66~112のいずれか1つに従う化合物。
態様120:NRhRkが、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、4-メチル-ピペラジノ、又はモルホリノであり、ここで上述のそれぞれは、-(CH2)1~3-OHで1回置換されていてもよい、態様119に従う化合物。
態様121:NRhRkが、ピロリジノ、4-(2-ヒドロキシエチル)-ピペラジノ、又は4-(3-ヒドロキシプロピル)-ピペリジノである、態様120に従う化合物。
態様122:NRhRkがN[(CH2)2-OH]2である、態様119に従う化合物。
態様123:Lが-CH2-C(O)N(R6)-でない、態様66~114のいずれか1つに従う化合物。
態様124:Lがヘテロシクリレンでない、態様66~123のいずれか1つに従う化合物。
態様125:Lが-S(O)2-である、態様66~112のいずれか1つに従う化合物。
態様126:Gがメチル又は-CF3である、態様125に従う化合物。
態様127:Lが、Rxより独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよいヘテロアリーレンである、態様66~112のいずれか1つに従う化合物。
態様128:-L-Gが、イミダゾール-2-イル、1,2,4-トリアゾール-3-イル、又は5-メチル-1,2,4-トリアゾール-3-イルである、態様127に従う化合物。
態様129:Lが-C(O)-O-である、態様66~112のいずれか1つに従う化合物。
【0072】
態様130:Gが、水素又は-C1~8アルキルであり、ここで該アルキル基は、Rcより独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよい、態様129に従う化合物。
態様131:Gがメチル又はエチルである、態様130に従う化合物。
態様132:Gが水素である、態様130に従う化合物。
態様133:Gが、-C1~8アルキル、-C3~10シクロアルキル、-C1~6アルキレン-C3~10シクロアルキル、ヘテロシクリル、又は-C1~6アルキレン-C3~10ヘテロシクリルであり、ここで該アルキル、アルキレン、シクロアルキル、及びヘテロシクリル基は、Rcより独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよい、態様66~116のいずれか1つに従う化合物。
態様134:Gが、Rcより独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよい-C1~8アルキルである、態様133に従う化合物。
態様135:Gが、メチル、エチル、イソプロピル、n-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、又はイソブチルである、態様134に従う化合物。
態様136:Gが、メチル、エチル、又はn-プロピルである、態様134に従う化合物。
態様137:Gが、2-フルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、又は2,2,2-トリフルオロエチルである、態様134に従う化合物。
態様138:Gが2-シアノエチルである、態様134に従う化合物。
態様139:Gが、-C(O)-O-Rhによって1回置換された-C1~8アルキルである、態様134に従う化合物。
【0073】
態様140:Gが-CH2-C(O)-O-Rhである、態様139に従う化合物。
態様141:Rhが水素又はメチルである、態様140に従う化合物。
態様142:Gが-CH2CH2-C(O)-O-Rhである、態様139に従う化合物。
態様143:Rhが水素又はメチルである、態様142に従う化合物。
態様144:Gが-C(CH3)2-C(O)-O-Rhである、態様139に従う化合物。
態様145:Rhが水素又はメチルである、態様144に従う化合物。
態様146:Gが-CH(CH3)-C(O)-O-Rhである、態様139に従う化合物。
態様147:Rhが水素又はメチルである、態様146に従う化合物。
態様148:Gが-C(O)NRhRkによって1回置換された-C1~8アルキルである、態様134に従う化合物。
態様149:GがCH2-C(O)-O-NRhRkである、態様148に従う化合物。
【0074】
態様150:NRhRkが、メチルアミノ、ジメチルアミノ、又はジエチルアミノである、態様149に従う化合物。
態様151:NRhRkがチオモルホリノ又は1,1-ジオキソチオモルホリノである、態様149に従う化合物。
態様152:NRhRkが、モルホリノ、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、又は4-メチルピペラジノである、態様149に従う化合物。
態様153:NRhRkが、ピロリジノ、3-ヒドロキシ-ピロリジノ、3-メトキシ-ピロリジノ、3-アミノ-ピロリジノ、3-(メチルアミノ)-ピロリジノ、3-(ジメチルアミノ)-ピロリジノ、2-(ヒドロキシメチル)-ピロリジノ、2-(ジメチルアミノカルボニル)-ピロリジノ、又は3,4-ジヒドロキシ-ピロリジノである、態様149に従う化合物。
態様154:NRhRkが、ピペラジノ、4-メチルピペラジノ、4-(メチルスルホニル)-ピペラジノ、又は4-(ジメチルアミノスルホニル)-ピペラジノである、態様149に従う化合物。
態様155:NRhRkが、ピペリジノ、3-ヒドロキシピペリジノ、4-ヒドロキシピペリジノ、2-(ヒドロキシメチル)-ピペリジノ、3-(ヒドロキシメチル)-ピペリジノ、4-(ヒドロキシメチル)-ピペリジノ、3-メトキシ-ピペリジノ、4-(メトキシメチル)-ピペリジノ、4-(フルオロメチル)-ピペリジノ、4-(トリフルオロメチル)-ピペリジノ、4-シアノ-ピペリジノ、4-カルバモイル-ピペリジノ、4-(メチルアミノ)-ピペリジノ、4-(ジメチルアミノ)-ピペリジノ、4-(メチルアミノメチル)-ピペリジノ、又は4-(ジメチルアミノメチル)-ピペリジノである、態様149に従う化合物。
態様156:NRhRkがNHRkであり、ここでRkは、2-ヒドロキシプロピル、2-(メチルスルホニル)-エチル、テトラヒドロフラン-3-イル、テトラヒドロピラン-4-イル、1-メチルピペリジン-4-イル、ピペリジン-3-イル、又は1-メチルピペリジン-3-イルである、態様149に従う化合物。
態様157:NRhRkがN(CH3)Rkであり、ここでRkは、2-ヒドロキシエチル、テトラヒドロピラン-4-イル、ピロリジン-3-イル、1-メチルピロリジン-3-イル、又はピペラジン-3-イルである、態様149に従う化合物。
態様158:NRhRkがN(CH2CH2OH]2である、態様149に従う化合物。
態様159:Gが-(CH2)2~3-C(O)-N(CH3)2である、態様148に従う化合物。
【0075】
態様160:Gが-(CH2)3-C(O)-(4-メチルピペラジノ)である、態様148に従う化合物。
態様161:Gが-CH(CH3)-C(O)-NRhRkであり、ここでNRhRkは、メチルアミノ、ジメチルアミノ、4-メチルピペラジノ、又はモルホリノである、態様148に従う化合物。
態様162:Gが-C(CH3)2-C(O)-N(CH3)2である、態様148に従う化合物。
態様163:Gが、-CH-[C(O)-N(CH3)2]-[CH2OH]、-CH-[C(O)-N(CH3)2]-[(CH2)4-NH2]、又は-CH-[C(O)-N(CH3)2]-[(CH2)4-N(CH3)2]である、態様134に従う化合物。
態様164:Gが、-O-Rhによって1回置換された-C1~8アルキルである、態様134に従う化合物。
態様165:Gが-(CH2)2-O-Rhである、態様164に従う化合物。
態様166:Rhが、水素、メチル、又はエチルである、態様165に従う化合物。
態様167:Rhが、トリフルオロメチル、2-フルオロエチル、3-フルオロプロピル、又は2,2-ジフルオロエチルである、態様165に従う化合物。
態様168:Rhがテトラヒドロフラン-2-イルメチルである、態様165に従う化合物。
態様169:Rhが2-ヒドロキシエチルである、態様165に従う化合物。
【0076】
態様170:Rhが3-ヒドロキシプロピルである、態様165に従う化合物。
態様171:Rhが2-メトキシエチルである、態様165に従う化合物。
態様172:Rhが2-(2-ヒドロキシエトキシ)-エチルである、態様165に従う化合物。
態様173:Rhが、2-ヒドロキシプロピル又は1-ヒドロキシプロパ-2-イルである、態様165に従う化合物。
態様174:Rhが、2-シアノエチル、2-(メチルカルボニルアミノ)-エチル、又は2-(メチルスルホニルアミノ)-エチルである、態様165に従う化合物。
態様175:Rhが、2-アミノエチル、2-(メチルアミノ)-エチル、又は2-(ジメチルアミノ)-エチルである、態様165に従う化合物。
態様176:Rhがカルバモイルメチルである、態様165に従う化合物。
態様177:Gが-(CH2)3-O-Rhである、態様164に従う化合物。
態様178:Rhが、水素、メチル、又はエチルである、態様177に従う化合物。
態様179:Rhが2-ヒドロキシエチルである、態様177に従う化合物。
【0077】
態様180:Gが、-(CH2)4-OH、-(CH2)5-OH、-CH2C(CH3)2-OH、-CH2C(CH3)2-OCH3、-CH2C(CH3)2-CH2-OH、-CH(CH3)-CH2-OCH3、-(CH2)3C(CH3)2-CH2-OH、-(CH2)2CH(CH3)-CH2-OH、又は-(CH2)2CH(CH3)-OHである、態様164に従う化合物。
態様181:Gが-CH2CH(CH3)-O-Rhである、態様164に従う化合物。
態様182:Rhが、水素、メチル、又はエチルである、態様181に従う化合物。
態様183:Gが-CH2-CH(OH)-CH2-OHである、態様134に従う化合物。
態様184:Gが、-NRhRkによって1回置換された-C1~8アルキルである、態様134に従う化合物。
態様185:Gが-(CH2)2-NRhRkである、態様184に従う化合物。
態様186:NRhRkが、アミノ、メチルアミノ、又はジメチルアミノである、態様185に従う化合物。
態様187:NRhRkがメチルカルボニルアミノである、態様185に従う化合物。
態様188:NRhRkが、(ジメチルアミノ)メチルカルボニルアミノ、ヒドロキシメチルカルボニルアミノ、又は1-ヒドロキシエチルカルボニルアミノである、態様185に従う化合物。
態様189:NRhRkがメチルスルホニルアミノである、態様185に従う化合物。
【0078】
態様190:NRhRkが、ピペリジノ、4-ヒドロキシピペリジノ、又は3-ヒドロキシピペリジノである、態様185に従う化合物。
態様191:NRhRkが、ピペリジノ、4,4-ジフルオロピペリジノ、又は3,3-ジフルオロピペリジノである、態様185に従う化合物。
態様192:NRhRkが、2-オキソ-ピロリジノ、2-オキソ-イミダゾリジノ、又は3-オキソ-ピペラジノである、態様185に従う化合物。
態様193:NRhRkが、ピペラジノ、4-メチルピペラジノ、モルホリノ、又は1,1-ジオキソ-チオモルホリノである、態様185に従う化合物。
態様194:Gが-(CH2)3-NRhRkである、態様184に従う化合物。
態様195:NRhRkが、アミノ、ジメチルアミノ、又はジエチルアミノである、態様194に従う化合物。
態様196:NRhRkが、ピペリジノ、4-メチルピペラジノ、又はモルホリノである、態様194に従う化合物。
態様197:Gが-(CH2)4-NRhRkである、態様184に従う化合物。
態様198:NRhRkが、アミノ、ジメチルアミノ、又はジエチルアミノである、態様197に従う化合物。
態様199:Gが-C1~6アルキレン-ヘテロシクリルであり、ここで該アルキレン及びヘテロシクリル基は、Rcより独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよい、態様133に従う化合物。
【0079】
態様200:Gが-CH2-ヘテロシクリルであり、ここで該ヘテロシクリル基は、Rcより選択される置換基で1回置換されていてもよい、態様199に従う化合物。
態様201:ヘテロシクリル基が、テトラヒドロピラン-4-イル、テトラヒドロフラン-2-イル、1,4-ジオキサン-2-イル、モルホリン-2-イル、テトラヒドロピラン-2-イル、ピペリジン-4-イル、1-(2-ヒドロキシエチル)-ピペリジン-4-イル、1-(ジメチルアミノメチルカルボニル)-ピペリジン-4-イル、ピペラジン-2-イル、又は1-メチル-ピペラジン-2-イルである、態様200に従う化合物。
態様202:Gが、Rcより独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよいC3~10シクロアルキルである、態様133に従う化合物。
態様203:Gが、4-ヒドロキシ-シクロヘキシル、4-カルボキシ-シクロヘキシル、又は4-(ジメチルアミノカルボニル)-シクロヘキシルである、態様202に従う化合物。
態様204:Gが、1-カルボキシ-シクロプロピル、1-(エトキシカルボニル)-シクロプロピル、又は1-(ジメチルアミノ-カルボニル)-シクロプロピルである、態様202に従う化合物。
態様205:GがC1~6アルキレン-C3~10シクロアルキルであり、ここで該アルキレン及びシクロアルキル基は、Rcより独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよい、態様133に従う化合物。
態様206:Gが-CH2-(4-ヒドロキシ-シクロヘキシル)である、態様205に従う化合物。
態様207:Gが-(CH2)2-(4-ヒドロキシ-シクロヘキシル)である、態様205に従う化合物。
態様208:Gが-CH2-[4-(ヒドロキシメチル)-シクロヘキシル]である、態様205に従う化合物。
態様209:Gが、Rcより独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよいヘテロシクリルである、態様133に従う化合物。
【0080】
態様210:Gが、ピペリジン-4-イル、1-メチル-ピペリジン-4-イル、1-カルボキシ-ピペリジン-4-イル、1-(メチルスルホニル)-ピペリジン-4-イル、1-(2-ヒドロキシエチル)-ピペリジン-4-イル、1-(ジメチル-アミノカルボニル)ピペリジン-4-イル、又は1-(ジメチルアミノメチルカルボニル)-ピペリジン-4-イルである、態様209に従う化合物。
態様211:Gがピペリジン-3-イル又は1-(ジメチルアミノメチルカルボニル)-ピペリジン-3-イルである、態様209に従う化合物。
態様212:Gが1,1-ジオキソ-テトラヒドロチオフェン-3-イルである、態様209に従う化合物。
態様213:Gが、ピロリジン-3-イル、1-メチル-ピロリジン-3-イル、1-(2-ヒドロキシエチル)-ピロリジン-3-イル、1-(2-ヒドロキシプロピル)-ピロリジン-3-イル、1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-ピロリジン-3-イル、1-(1-ヒドロキシエチルカルボニル)-ピロリジン-3-イル、1-(2-カルボキシエチル)-ピロリジン-3-イル、又は1-(2-メチルスルホニルアミノ-エチル)-ピロリジン-3-イルである、態様209に従う化合物。
態様214:Gが、-S-Rhによって1回置換された-C1~8アルキルである、態様134に従う化合物。
態様215:Gが-(CH2)2-S-Rhである、態様214に従う化合物。
態様216:Rhがメチル又はエチルである、態様215に従う化合物。
態様217:Rhが2-ヒドロキシエチルである、態様215に従う化合物。
態様218:Gが-(CH2)3-S-Rhである、態様214に従う化合物。
態様219:Rhがメチルである、態様218に従う化合物。
【0081】
態様220:Gが、-SO2-Rhによって1回置換された-C1~8アルキルである、態様134に従う化合物。
態様221:Gが-(CH2)2-SO2-Rhである、態様220に従う化合物。
態様222:Rhがメチル又はエチルである、態様221に従う化合物。
態様223:Rhが2-ヒドロキシエチルである、態様221に従う化合物。
態様224:Gが-(CH2)3-SO2-Rhである、態様220に従う化合物。
態様225:Rhがメチルである、態様224に従う化合物。
態様226:Gが-CH(CH3)-NRhRkであり、ここでNRhRkは、ピロリジノ、ピペリジノ、4-メチル-ピペラジノ、モルホリノ、又はジメチルアミノである、態様133に従う化合物。
態様227:Gが1-(2-ヒドロキシプロピル)-ピロリジン-3-イル又は1-(1-ヒドロキシエチルカルボニル)-ピロリジン-3-イルである、態様133に従う化合物。
態様228:Gが1-(ジメチルアミノメチルカルボニル)-ピペリジン-4-イルである、態様133に従う化合物。
態様229:Gが-(CH2)3~5-OHである、態様133に従う化合物。
【0082】
態様230:Gが4-ヒドロキシ-シクロヘキシルメチルである、態様133に従う化合物。
態様231:Gが-(CH2)2-NHC(O)-CH2-N(CH3)2である、態様133に従う化合物。
態様232:Gが4-ヒドロキシ-シクロヘキシルメチルである、態様133に従う化合物。
態様233:Gが-CH2-C(O)-NRhRkであり、ここでNRhRkは、3-ヒドロキシ-ピロリジノ又は3-(ジメチル-アミノ)-ピロリジノである、態様133に従う化合物。
態様234:Gが-CH2-C(O)-NRhRkであり、ここでNRhRkはモルホリノである、態様133に従う化合物。
態様235:Gが-CH2-C(O)-NRhRkであり、ここでNRhRkは、4-ヒドロキシ-ピペリジノ、4-メトキシ-ピペリジノ、4-(ヒドロキシメチル)-ピペリジノ、3-ヒドロキシ-ピペリジノ、3-メトキシ-ピペリジノ、3-(ヒドロキシメチル)-ピペリジノ、又は4,4-ジフルオロピペリジノである、態様133に従う化合物。
態様236:Gが-CH2-C(O)-NRhRkであり、ここでNRhRkはジメチルアミノである、態様133に従う化合物。
態様237:Gが-(CH2)2-O-(CH2)2-OHである、態様133に従う化合物。
態様238:Gが-(CH2)2-O-(CH2)2-OCH3である、態様133に従う化合物。
態様239:Gが-CH2-CH(CH3)-OHである、態様133に従う化合物。
【0083】
態様240:LがC(O)NHであり、Gが、ヘテロアリール基によって1回置換されたC1~8アルキルであり、ここで該ヘテロアリール基は、Rxより独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよい、態様66~112のいずれか1つに従う化合物。
態様241:Gが、-CH2-(2-フリル)、-CH2-(2-チエニル)、-CH2-(2-オキサゾリル)、又は-CH2-(2-チアゾリル)である、態様240に従う化合物。
態様242:Gが、-(CH2)2~3-(1-ピロリル)、-(CH2)2~3-(1-ピラゾリル)、又は-(CH2)2~3-(1-イミダゾリル)である、態様240に従う化合物。
態様243:LがC(O)NHであり、そしてGは、フェニル基によって1回置換されたC1~8アルキルであり、ここで該フェニル基は、Rxより独立して選択される置換基で1回以上置換されていてもよい、態様66~112のいずれか1つに従う化合物。
態様244:Gが-(-CH2)1~2-(4-ヒドロキシフェニル)又は-(-CH2)1~2-(4-メトキシ-3-ヒドロキシフェニル)である、態様243に従う化合物。
態様245:LがC(O)NHであり、そしてGが-CH2-C(O)NH-CH2-(4-ヒドロキシフェニル)である、態様66~112のいずれか1つに従う化合物。
態様246:LがC(O)NHであり、そしてGが-CH2-C(O)-[4-(ピリミジン-2-イルオキシ)-ピペリジノ]である、態様66~112のいずれか1つに従う化合物。
態様247:X2が=C(R1)-であり、そしてX3が=C(-L-G)-である、態様1~246のいずれか1つに従う化合物。
態様248:遊離酸又は遊離塩基の形態である、態様1~247のいずれか1つに従う化合物。
態様249:医薬的に許容される塩の形態である、態様1~247のいずれか1つに従う化合物。
【0084】
態様250:表Aの化合物又はその医薬的に許容される塩である、態様1に従う化合物。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
【表1-9】
【表1-10】
【表1-11】
【表1-12】
【表1-13】
【表1-14】
【表1-15】
【表1-16】
【表1-17】
【0085】
表Aの化合物1~474は、国際公開第’018号、又は当業者に明らかな他の方法に記載されるように調製され得る。例えば、表Aの化合物473及び474は、以下の実施例の節に記載されるように調製され得る。
【0086】
別の局面において、本発明は、鎌状赤血球症又は関連障害を処置する上での使用のための式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を提供する。別の態様において、本発明は、態様1~250(上記に引用した)のいずれか1つの化合物(又は塩)及び医薬担体を含む医薬組成物を提供する。別の態様において、医薬組成物は、実施例のいずれか1つの化合物(又は塩)及び医薬的に許容される担体を含んでなる。
【0087】
したがって、別の態様において、本発明は、式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩及び医薬的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。別の態様において、本発明は、態様1~250のいずれか1つの化合物(又は塩)及び医薬的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0088】
別の態様において、本発明は、式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩を医薬品における使用に提供する。別の態様において、本発明は、医薬品における使用のための態様1~250のいずれか1つの化合物(又は塩)を提供する。
【0089】
B.併用投与
本発明は更に、1以上の活性化合物と組み合わせた、式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩の、同時投与、逐次投与又は順次投与のための使用を準備する。本発明はまた、1以上の医学的に有効な活性化合物と組み合わせた、態様1~250のいずれか1つの化合物(又は塩)の、同時投与、逐次投与、又は順次投与のための使用も準備する。このような有効成分の例としては、以下には限定されないが、HU、Nrf2活性体、酸化防止剤、解毒剤、及び抗炎症剤が挙げられる。1つの態様において、本発明は、態様1~250のいずれか1つの化合物(又は塩)と、HU、Nrf2活性体、酸化防止剤、解毒剤、及び抗炎症剤より選択される少なくとも1の他の医学的に有効な有効成分を含む医薬組成物を提供する。別の態様において、本発明は、Nrf2活性体、酸化防止剤、解毒剤、及び抗炎症剤より選択される少なくとも1の他の医学的に有効な有効成分と組み合わせた、態様1~250のいずれか1つの化合物(又は塩)の、同時投与、逐次投与、又は順次投与のための使用を準備する。
【0090】
Nrf2活性化剤は、Michael付加アクセプター、1以上のフマル酸エステル、すなわち、フマル酸水素モノメチル、フマル酸ジメチル、フマル酸水素モノエチル、及びフマル酸ジエチルのようなフマル酸水素モノアルキル及びフマル酸ジアルキル、更なるエタクリン酸、バルドキソロンメチル(メチル2-シアノ-3,12-ジオキソオレアナ-1,9(11)ジエン-28-オアート)、スルホラファンのようなイソチオシアナート、オルチプラズのような1,2-ジチオール-3-チオン、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシトルエン、3-ヒドロキシクマリン、又は上述の作用薬の薬理活性のある誘導体若しくは類似体からなる群より選択され得るフマル酸水素モノアルキル及び/又はフマル酸ジアルキルを含み得る。1つの態様において、本発明の化合物と組み合わせて使用するためのNrt2活性体は、バルドキソロンメチル及びフマル酸エステルである。
【0091】
Nrf2活性体化合物は、それらの化学構造に基づいて分類することができる:ジフェノール、Michael反応アクセプター、イソチオシアナート、チオカルバマート、三価ヒ素、1,2-ジチオール-3-チオン、ヒドロペルオキシド、ビシナルジメルカプタン、重金属、及びポリエン。一般に、Nrf2活性体は、それらが、グルタチオントランスフェラーゼの基質という求電子剤であり得る、及び/又はアルキル化、酸化若しくは還元によってスルフヒドリル基を修飾することができる、という点で化学的な反応性がある。
【0092】
別の態様において、Nrf2活性体は、バルドキソロンメチル並びにフマル酸ジメチル及びフマル酸ジエチルのようなフマル酸ジアルキルである。
別の態様において、Nrf2活性体は、2-トリフルオロメチル-2’-メトキシカルコンのようなカルコン誘導体、オーラノフィン、エブセレン、1,2-ナフトキノン、ケイ皮アルデヒド、カフェイン酸及びそのエステル、クルクミン、レゼルバトロール、アルテスナート、tert-ブチルヒドロキノン、及びtert-ブチルキノン、(tBHQ、tBQ)、ビタミンK1、K2及びK3、メナジオン、フマル酸エステル、すなわち、フマル酸水素モノメチル、フマル酸ジメチル(DMF)、フマル酸水素モノエチル、及びフマル酸ジエチルのような、フマル酸水素モノアルキル及びフマル酸ジアルキルからなる群より選択され得るフマル酸水素モノエステル及び/若しくはフマル酸ジエステル、2-シクロペンテノン、エタクリン酸及びそのアルキルエステル、バルドキソロンメチル(メチル2-シアノ-3,12-ジオキソオレアナ-1,9(11)ジエン-28-オアート)(CDDO-Me、RTA-402)、エチル2-シアノ-3,12-ジオキソオレアナ-1,9(11)ジエン-28-酸(CDDO)、1[2-シアノ-3,12-ジオキソオレアナ-1,9(11)-ジエン-28-オイル]イミダゾール(CDDO-Im)、(2-シアノ-N-メチル-3,12-ジオキソオレアナ-1,9(11)-ジエン-28アミド(CDDO-メチルアミド、CDDO-MA)、スルホラファンのようなイソチオシアナート、オルチプラズのような1,2-ジチオール-3-チオン、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシトルエン、3-ヒドロキシクマリン、4-ヒドロキシノネナール、4-オキソノネナール、マロンジアルデヒド、(E)-2-ヘキセナール、カプサイシン、アリシン、アリルイソチオシアナート、6-メチルチオヘキシルイソチオシアナート、7-メチルチオヘプチルイソチオシアナート、スルホラファン、8-メチルチオオクチルイソチオシアナート、デキサメタゾンのようなコルチコステロイド、8-イソプロスタグランジンA2、ピルビン酸メチル及びピルビン酸エチルのようなピルビン酸アルキル、オキサロプロピオン酸ジエチル若しくはオキサロプロピオン酸ジメチル、2-アセトアミドアクリラート、メチル-2-アセトアミドアクリラート若しくはエチル-2-アセトアミドアクリラート、ヒペストキシド、パルテノリド、エリオジクチオール、4-ヒドロキシ-2-ノネナール、4-オキソ-2ノネナール、ゲラニアール、ゼルンボン、オーロン、イソリキリチゲニン、キサントフモール、[10]-ショウガオール、オイゲノール、1’-アセトキシカビコールアセタート、アリルイソチオシアナート、ベンジルイソチオシアナート、フェネチルイソチオシアナート、4-(メチルチオ)-3-ブテニルイソチオシアナート及び6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアナート、フェルラ酸及びフェルラ酸エチルエステルとフェルラ酸メチルエステルのようなそのエステル、ソファルコン、4-メチルダフネチン、インペラトリン、アウラプテン、ポンシマリン、ビス[2-ヒドロキシベンジリデン]アセトン、アリシルクルクミノイド(alicylcurcuminoid)、4-ブロモフラボン、ベータナフトフラボン、サッパノンA、オーロン及びベンジリデン-インドール-2-オンのようなその相応するインドール誘導体、ペリルアルデヒド、クエルセチン、フィセチン、コパリン、ゲニステイン、タンシノンHA、BHA、BHT、PMX-290、AL-1、アビシンD、ゲズニン、フィセチン、アンドログラホリド、並びに三環式ビス(シアノエノン)TBE-31[(±)-(4bS,8aR,10aS)-10a-エチニル-4-b,8,8-トリメチル-3,7-ジオキソ-3,4-b,7,8,-8a,9,10,10a-オクタヒドロフェナントレン-2,6-ジカルボニトリル]より選択される。
別の態様において、Nrf2活性体は、カルノシン酸、2-ナフトキノン、桂皮アルデヒド、カフェイン酸及びそのエステル、クルクミン、レゼルバトロール、アルテスナート、tert-ブチルヒドロキノン、ビタミンK1、K2及びK3、フマル酸エステル、すなわち、フマル酸水素モノメチル、フマル酸ジメチル、フマル酸水素モノエチル、及びフマル酸ジエチルのようなフマル酸フマル酸水素モノアルキル及びフマル酸ジアルキルからなる群より好ましく選択されるフマル酸モノエステル及び/若しくはフマル酸ジエステル、スルホラファンのようなイソチオシアナート、オルチプラズのような1,2-ジチオール-3-チオン、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシトルエン、3-ヒドロキシクマリン、4-ヒドロキシノネナール、4-オキソノネナール、マロンジアルデヒド、(E)-2-ヘキセナール、カプサイシン、アリシン、アリルイソチオシアナート、6-メチルチオヘキシルイソチオシアナート、7-メチルチオヘプチルイソチオシアナート、スルホラファン、8-メチルチオオクチルイソチオシアナート、8-イソプロスタグランジンA2、ピルビン酸メチル及びピルビン酸エチルのようなピルビン酸アルキル、オキサロプロピオン酸ジエチル若しくはオキサロプロピオン酸ジメチル、2-アセトアミドアクリラート、メチル-2-アセトアミドアクリラート若しくはエチル-2-アセトアミドアクリラート、ヒペストキシド、パルテノリド、エリオジクチオール、4-ヒドロキシ-2-ノネナール、4-オキソ-2ノネナール、ゲラニアール、ゼルンボン、オーロン、イソリキリチゲニン、キサントフモール、[10]-ショウガオール、オイゲノール、1’-アセトキシカビコールアセタート、アリルイソチオシアナート、ベンジルイソチオシアナート、フェネチルイソチオシアナート、4-(メチルチオ)-3-ブテニルイソチオシアナート及び6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアナート、並びに上述のキノン及びヒドロキノン誘導体のそれぞれのキノン又はヒドロキノン形態より選択される。
別の態様において、Nrf2活性体は、フマル酸ジメチルイソチオシアナート、フマル酸水素モノメチルイソチオシアナート及び1,2-ジチオール-3-チオンのようなMichael反応アクセプターであり得る。別の態様において、Nrf2活性体は、フマル酸水素モノメチル、フマル酸ジメチル、オルチプラズ、1,2-ナフトキノン、tert-ブチルヒドロキノン、ピルビン酸メチル又はピルビン酸エチル、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシトルエン、ジエチルオキサロプロピオナート及びジメチルオキサロプロピオナート、ヒペストキシド、パルテノリド、エリオジクチオール、4-ヒドロキシ-2-ノネナール、4-オキソ-2ノネナール、ゲラニアール、ゼルンボン、オーロン、イソリキリチゲニン、キサントフモール、[10]-ショウガオール、オイゲノール、1’-アセトキシカビコールアセタート、アリルイソチオシアナート、ベンジルイソチオシアナート、フェネチルイソチオシアナート、4-(メチルチオ)-3-ブテニルイソチオシアナート並びに6-メチルスルフニルヘキシルイソチオシアナートより選択される。
【0093】
酸化防止剤の例には、ビタミンC、ビタミンE、カロテノイド、レチノイド、ポリフェノール、フラボノイド、リグナン、セレン、ブチル化ヒドロキシアニソール、エチレンジアミン四酢酸塩、二ナトリウムカルシウム、アセチルシステイン、プロブコール、及びテンポが含まれる。
解毒剤の例には、ジメチルカプロール、グルタチオン、アセチルシステイン、メチオニン、炭酸水素ナトリウム、メシル酸デフェロキサミン、エデト酸二ナトリウムカルシウム、塩酸トリエンチン、ペニシラミン、及び医薬用木炭が含まれる。
【0094】
抗炎症剤には、ステロイド系抗炎症剤と非ステロイド系抗炎症剤が含まれる。ステロイド系抗炎症剤の例には、酢酸コーチゾン、ヒドロコルチゾン、酢酸パラメタゾン、プレドニゾロン、プレドニゾロン、メチルプレドニン、デキサメタゾン、トリアムシノロン、及びベタメタゾンが含まれる。非ステロイド系抗炎症剤の例には、アスピリン、ジフィウニサール(difiunisal)、アスピリン+アスコルビン酸、及びジアルミン酸アスピリンのようなサリチル酸非ステロイド系抗炎症剤;ジクロフェナクナトリウム、スリンダク、フェンブフェン、インドメタシン、インドメタシンファルネシル、アセメタシン、マレイン酸プログルメタシン、アンフェナクナトリウム、ナブメトン、モフェゾラク、及びエトドラグのようなアリール酸非ステロイド系抗炎症剤;メフェナム酸、フルフェナム酸アルミニウム、トルフェナム酸、及びフロクタフェニンのようなフェナム酸非ステロイド系抗炎症剤;イブプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、プラノプロフェン、フェノプロフェンカルシウム、チアプロフェン、オキサプロジン、ロキソプロフェンナトリウム、アルミノプロフェン、及びザルトプロフェンのようなプロピオン酸非ステロイド系抗炎症剤;ピロキシカム、アンピロキシカム、テノキシカム、ロルノキシカム、及びメロキシカムのようなオキシカム非ステロイド系抗炎症剤;並びに、塩酸チアラミド、エピリゾール、及びエモルファゾンのような塩基性非ステロイド系抗炎症剤が含まれる。
【0095】
順次投与のための適切な時間経過は、患者の病気の性質、及び個々の活性作用薬の投与のための患者の容態のような要因により、医師によって選択され得る。ある特定の態様において、順次投与は、1週間、72時間、48時間、24時間、又は12時間の期間内での1以上の追加の活性作用薬の併用投与を含む。
いくつかの態様において、本明細書に開示される組成物は、鎌状赤血球症、ベータサラセミア、又は関連障害の処置のための1以上の追加の活性作用薬と組み合わせて併用投与される。このような追加の活性作用薬には、以下には限定されないが、葉酸、ペニシリン又は別の抗生物質、好ましくはキノロン又はマクロライド、抗ウイルス薬、抗マラリア予防薬、及び疼痛クリーゼを制御するための鎮痛薬が含まれ得る。
いくつかの態様において、組成物は、HbFの発現を高める1以上の追加の作用薬、例えば、ヒドロキシ尿素(HU)と共に併用投与される。
いくつかの態様において、組成物は、1以上の追加の処置プロトコル、例えば、輸血療法、幹細胞療法、遺伝子療法、骨髄移植、腎疾患のための透析又は腎移植、胆石症に罹患している人々における胆嚢摘除、股関節の無血管性壊死のための股関節置換術、眼の問題のための手術、及び脚潰瘍のための創傷ケアと共に併用投与される。
【0096】
C.有効量
いくつかの態様において、組成物は、組成物が投与されていない対照と比較して、薬理学的な、生理学的な、又は分子としての効果を誘導するのに有効な量で投与される。いくつかの態様において、組成物は、対象体におけるHbFの発現を高めるために、それを必要とする対象体に投与される。
適切な対照は当該技術分野で公知であり、処置される疾患に基づいて決定することができる。適切な対照には、以下には限らないが、鎌状赤血球症、ベータサラセミア、若しくは鎌状赤血球関連障害に罹患していない;又は処置の開始に先立ってこの疾患若しくは障害に罹患している対象体の容態若しくは状態がない、1又は複数の対象体が含まれる。
【0097】
D.薬用量及び薬用量投与計画
選択される薬用量は、所望の治療効果、投与経路、及び所望の処置期間による。一般に、1日当たり0.001~100mg/kg体重の薬用量レベルが哺乳動物に投与される。一般に、静脈内への注射又は注入の場合、薬用量はより低くてもよい。
本発明で使用するための式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩の適切な用量は、いくつかの十分に確立されたプロトコルのいずれか1つによって決定され得る。例えば、マウス、ラット、イヌ及び/又はサルを使用する試験のような動物試験を使用して、適切な用量の医薬化合物を決定することができる。動物試験からの結果を外挿して、例えば、ヒトのような他の種において使用するための用量を決定することができる。
式(I)の化合物又はその医薬的に許容され得る塩は、1kg当たり0.1mg~15mgの1日薬用量で投与され得る。別の態様において、対象体がヒトである場合、日用量は1mg~1000mgであり得る。別の態様において、式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩は、10mg/日~1000mg/日、又は、25mg/日~800mg/日、又は37mg/日~750mg/日、又は75mg/日~700mg/日、又は100mg/日~600mg/日、又は150mg/日~500mg/日、又は200mg/日~400mg/日の量で投与される。他の態様において、式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩の量のこれまでの1日の投与期間は、6時間、12時間、48時間、72時間、96時間、1週間、又は2週間ごとの期間へ変更することができる。
【0098】
いくつかの態様において、DMF、MMF、又はそれらの組み合わせのような、フマル酸エステルを含む組成物である、ヒトにおけるフマル酸エステルについての1日薬用量は、フマル酸エステル又はその薬理活性のある塩の約1mg~約5,000mg、約10mg~約2,500グラム、又は約50mg~約2,000グラムの範囲であり得る。別の態様において、対象体に投与されるDMF又はMMFの有効量は、例えば経口で、1日当たり約0.1g~約1g以上、1日当たり約200mg~約800mg、1日当たり約240mg~約720mg、1日当たり約480mg~約720mg、又は1日当たり約720mgであり得る。日用量は、2、3、4、又は6回の等量の別々の投与で投与することができる。1以上のフマル酸エステル又はその薬理活性のある塩、誘導体、類似体若しくはプロドラッグのいくつかの態様において、医薬製剤中に存在する。いくつかの態様において、組成物は、患者に1日3回(TID)投与される。いくつかの態様において、医薬製剤は、患者に1日2回(BID)投与される。いくつかの態様において、組成物は、食物が患者によって消費される少なくとも1時間前又は1時間後に投与される。
【0099】
いくつかの態様において、組成物は、投薬投与計画の一部として投与される。例えば、患者には、第1の用量の組成物を第1の投薬期間にわたって、第2の用量の組成物を第2の投薬期間にわたって投与することができ、それに続いて1以上の追加の用量を1以上の追加の投薬期間にわたって投与してもよい。第1の投薬期間は、1週間未満、1週間、又は1週間超であり得る。
【0100】
いくつかの態様において、薬用量投与計画は、用量漸増薬用量投与計画である。第1の用量は、低用量であり得、続いてHbF発現レベルの測定、次いで用量を減少、維持又は増加させるステップであり得る。
鎌状赤血球症のためのヒドロキシ尿素の現行の標識された投薬は、2週間ごとに患者の血球数を監視しながら、単回用量の形態で15mg/kg/日の初回用量の投与を必要とする。血球数が許容範囲内である場合、用量は、35mg/kg/日のMTDに達するまで、12週間ごとに5mg/kg/日だけ上げてもよい。医薬組成物は、MMFのような、1mg/kg~50mg/kgのフマル酸エステルを、1mg/kg~35mg/kgのHUと組み合わせて含有することができる。組み合わせ製剤は、5、10、15、20、25、30、35、40、45又は50mg/kgのHUを含有することができる。
【0101】
E.製剤
本発明の化合物を含む医薬組成物が開示される。医薬組成物は、経口、非経口(筋肉内、腹腔内、静脈内(IV)又は皮下注射)、経皮(受動的に、又はイオン導入法又は電気穿孔法を使用して)、若しくは経粘膜(鼻、膣、直腸、又は舌下)投与経路又は生分解性インサートを使用することによる投与のためであり得、各投与経路に適した単位剤形で製剤することができる。
赤血球の系譜の細胞である赤血球は、ヘモグロビンの主要な産生体である。それゆえ、1つの態様において、本発明の化合物又は医薬組成物は、造血幹細胞においてHbFを誘導するのに有効な量で対象体に投与される。それゆえ、いくつかの態様において、本発明の化合物又は医薬組成物は、骨髄(すなわち、赤色骨髄)、肝臓、脾臓、又はそれらの組み合わせにおける赤血球の系譜の細胞においてHbF発現を誘導するための有効量で投与される。
【0102】
更なる態様において、本発明の化合物又は医薬組成物は、ヘモグロビンを合成するか又は合成するように拘束された細胞においてHbFを誘導する。例えば、好ましい態様において、本発明の化合物は、一般に正赤芽球とも称される好塩基球性正常赤芽球/初期正常赤芽球、多染性正常赤芽球/中間正常赤芽球、正染性正常赤芽球/後期正常赤芽球、又はそれらの組み合わせにおいてHbFを誘導する。
いくつかの態様において、本発明の化合物又は医薬組成物は、療法を必要とする部位に局所投与される。赤血球は、ヘモグロビンの主要な産生体であるが、マクロファージ、網膜色素細胞、並びに肺胞II型(ATII)細胞及びクララ細胞のような肺胞上皮細胞を含む他の非造血細胞もヘモグロビンを合成し得る。それゆえ、いくつかの態様において、本発明の化合物又は医薬組成物は、眼又は肺を含むがこれらには限定されない酸素-二酸化炭素拡散が起こる界面に局所投与される。
【0103】
いくつかの態様において、本発明の化合物又は医薬組成物を眼に局所投与して、網膜症、又は鎌状赤血球症若しくは関連障害と関係する別の眼の症状発現を処置する。
1つの態様において、医薬組成物は経口送達用に製剤される。経口固体剤形は一般的に、Remington’s Pharmaceutical Sciences,21th Ed.2005の第45章に記載されている。固体剤形としては、錠剤、カプセル剤、丸剤、トローチ剤若しくはロゼンジ剤、サシェ剤、ペレット剤、散剤若しくは顆粒剤、又はポリ乳酸、ポリグリコール酸などのようなポリマー化合物の粒状調製物への、若しくはリポソームへの材料の組み込みが挙げられる。このような組成物は、開示の物理的状態、安定性、インビボでの放出速度、及びインビボでのクリアランス速度に影響を及ぼし得る。この組成物は、液状で調製されてもよく、又は乾燥粉末(例えば、凍結乾燥)状であってもよい。別の態様は、不活性希釈剤;湿潤剤、乳化剤及び懸濁剤のようなアジュバント;並びに甘味料、風味料(flavoring agent)、及び香料を含む他の構成要素を含有し得る、医薬的に許容されるエマルション、液剤、懸濁剤、及びシロップ剤を含む、経口投与用の液体剤形を提供する。
放出制御経口製剤が望まれることがある。本発明の化合物は、拡散機序又は浸出機序のいずれかによる放出を可能にする不活性マトリックス、例えばガムへと組み込むことができる。緩徐に変性するマトリックスもまた製剤へと組み込むことができる。
経口製剤の場合、放出の場所は、胃、小腸(十二指腸、空腸、又は回腸)、又は大腸であり得る。
【0104】
IV.診断方法
本明細書中に開示される処置方法は、処置のために対象体を選択する第1のステップを含み得る。いくつかの態様において、対象体は、対象体が鎌状赤血球症、ベータサラセミア、又は上記に考察したもののような関連障害の臨床症状の1以上を呈するとき、処置のために選択される。いくつかの態様において、対象体は、対象体が鎌状赤血球症、ベータサラセミア、又は関連障害の遺伝的又は生化学的指標を呈するとき、処置のために選択される。例えば、対象体は、ヘモグロビン又はヘモグロビン合成細胞における生化学的若しくは形態学的な変化、又はそれらの組み合わせによるベータグロビン遺伝子又はその発現制御配列における遺伝的な変化、欠陥、又は突然変異の同定に基づいて処置のために選択することができる。
【0105】
いくつかの態様において、対象体は、臨床症状と遺伝的又は生化学的な変化との組み合わせが同定されたときに選択される。いくつかの態様において、対象体は、1以上の臨床症状、又は1以上の遺伝的若しくは生化学的な変化に基づいて選択される。例えば、対象体は、対象体が鎌状赤血球症、ベータサラセミア、又は関連障害の臨床症状を呈する前に、遺伝的変化、生化学的若しくは形態学的な変化、又はそれらの組み合わせの同定に基づいて処置のために選択することができる。
【0106】
いくつかの態様において、処置方法は更に、対象体から生物学的試料を得るか、又は得たことによって、該対象体が、鎌状赤血球症、ベータサラセミア、若しくは関連障害のリスクがあるか、又はこれらに罹患しているかどうかを判定するステップ、そして該対象体が鎌状赤血球症、ベータサラセミア、又は関連障害と関係したバイオマーカー又は遺伝子突然変異を有するかどうかを判定するために、該生物学的試料に対して体液試験を実施するか又は実施したステップを含み得る。対象体が鎌状赤血球症、ベータサラセミア又は関連障害についてのリスクがある又はそれらに罹患していると判定された場合、本方法は更に、治療有効量の式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩を対象体に投与することを含む。
【0107】
先行の方法のいずれかにおいて、該方法は更に、対象体から一定期間にわたって生物学的試料を得るか又は得たこと、そして1以上の生化学的マーカーのレベルが上昇しているか又は低下しているかを判定するために、生物学的試料に対して体液試験を実施するか又は実施したこと、そして1以上の生化学的マーカーのレベルが所望の方向の傾向にない場合、より高用量の式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩を投与することを含み得る。例えば、試料中のHbF対HbSの比を測定することができ、対象体の第1の試料に対する第2の試料中のHbF対HbSの量の顕著な増加は、式(I)又はその医薬的に許容される塩の薬用量が治療有効薬用量であることを示す。逆に、対象体の第1の試料に対する第2の試料中のHbF対HbSの量に変化がないか、又は有意な変化がないことは、式(I)又はその医薬的に許容される塩の薬用量が治療有効薬用量ではなく、薬用量を増加させる必要があり得ることを示し得る。
【0108】
いくつかの態様において、式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩は、CRP又はROSのような1以上のバイオマーカーのマーカーレベルを低下させる量で、それを必要とする対象体に投与される。
生物学的試料の収集間の期間は、1週間、2週間、3週間、4週間、2か月、3か月、6か月、9か月、又は12か月であり得、式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩は、この期間中に投与され得る。
【0109】
A.遺伝的変化の同定
いくつかの態様において、対象体は、ヒトベータグロビン遺伝子又はその発現制御配列の1以上の対立遺伝子における1以上の遺伝的変化の同定に基づいて処置のために選択される。鎌状赤血球症、ベータサラセミア、又は関連障害を示す遺伝的変化には、上記に考察した例示的な突然変異、又はヒトベータグロビンタンパク質の合成、構造、若しくは機能の低減につながる他の突然変異が含まれる。
ベータグロビン遺伝子又はその発現制御配列の1以上の対立遺伝子に1以上の遺伝的変化を有する対象体を選択する方法は、生物学的試料を得るステップ、そして1以上の遺伝的変化の有無を検出するステップを含む。1つの態様において、得られた生物学的試料は対象体からの核酸を含有し、検出するステップは、生物学的試料中のベータグロビン遺伝子又はその発現制御配列の1以上の対立遺伝子における1以上の遺伝的変化の有無を検出する。組織試料及び血液試料を含む、診断される対象体のDNAを含有するいかなる生物学的試料も使用することができ、有核血球は特に便利な供給源である。DNAは、遺伝的変化の有無についてDNAを試験するのに先立って、生物学的試料から単離され得る。
検出するステップは、対象体が遺伝的変化について異型接合性であるか同型接合性であるかを判定することを含み得る。遺伝的変化の有無を検出するステップは、対象体のいずれの染色体にもおける変化の有無を検出するステップ(すなわち、マーカー又は機能的多型を含有する1又は2の対立遺伝子の有無を検出するステップ)を含み得る。遺伝的変化の2以上のコピー(すなわち、遺伝子マーカーについて同型接合性の対象体)は、鎌状赤血球症、ベータサラセミア、又は関連障害を発症するリスクがより高いことを示し得る。いくつかの態様において、対象体は、ベータ-グロビン遺伝子における2以上の遺伝的変化について異型接合性である(本明細書では二重異型接合体、三重異型接合体などとも称される)。ベータグロビン遺伝子における2以上の遺伝的変化の1つのコピーは、鎌状赤血球症、ベータサラセミア、又は関連障害を発症するより大きなリスクを示し得る。
【0110】
ヒトベータグロビン遺伝子の遺伝子配列を決定するプロセスは、遺伝子型決定と称される。いくつかの態様において、ヒトベータグロビン遺伝子が配列決定される。DNA断片を増幅し、それらを配列決定する方法は、当該技術分野で周知である。例えば、ベータグロビン遺伝子を配列決定するために利用することができる自動配列決定手順には、質量分析単一分子リアルタイム配列決定法、イオン半導体(イオントレント配列決定法)、ピロシーケンス法(454)、合成による配列決定、ライゲーションによる配列決定、連鎖停止反応(Sanger配列決定法)による配列決定が含まれるが、これらには限定されない。
【0111】
いくつかの態様では、対象体の遺伝子型は、鎌状赤血球症、ベータサラセミア、又は関連障害と関係する1以上の一塩基多型(SNP)の存在を同定することによって決定される。SNP遺伝子型決定のための方法は一般的に、当該技術分野において公知である。SNP遺伝子型決定には、対象から生物学的試料(例えば、組織、細胞、流体、分泌物などの試料)を収集するステップ、試料の細胞からゲノムDNAを単離するステップ、標的核酸領域のハイブリッド形成及び増幅が起こるような条件下で、標的SNPを含有する単離された核酸の領域に特異的にハイブリッド形成する1以上のプライマーと、核酸を接触させるステップ、そして関心対象のSNP位置に存在するヌクレオチドを決定するステップ、又はいくつかのアッセイにおいては、増幅産物の有無を検出するステップが含まれ得る(特定のSNP対立遺伝子が存在するか又は存在しない場合にのみハイブリッド形成及び/又は増幅が起こるようにアッセイを設計することができる)。いくつかのアッセイにおいて、増幅産物の大きさが検出され、対照試料の長さと比較される;例えば、欠失及び挿入は、正常な遺伝子型と比較した増幅産物の大きさの変化によって検出することができる。
隣接配列は、オリゴヌクレオチドプローブ及びプライマーのようなSNP検出試薬を設計するために使用することができる。一般的なSNP遺伝子型決定法には、TaqManアッセイ、分子ビーコンアッセイ、核酸アレイ、対立遺伝子特異的プライマー伸長、対立遺伝子特異的PCR、配列プライマー伸長、均一プライマー伸長アッセイ、質量分析による検出を伴うプライマー伸長、ピロシーケンス法、遺伝子アレイ上で選別された多重プライマー伸長、ローリングサークル増幅を伴うライゲーション、均質ライゲーション、遺伝子アレイ上で選別された多重ライゲーション反応、制限-断片長多型、一塩基伸長-タグアッセイ、及びInvaderアッセイが含まれるが、これらには限定されない。このような方法は、例えば、発光検出又は化学発光検出、蛍光検出、時間分解蛍光検出、蛍光共鳴エネルギー移動、蛍光偏光、質量分析、及び電気検出などの検出機序と組み合わせて使用することができる。
【0112】
多型を検出するための他の適切な方法としては、開裂剤からの防護を使用してRNA/RNA二重鎖又はRNA/DNA二重鎖におけるミスマッチを形成した塩基を検出する方法、変異体及び野生型の核酸分子の電気泳動による移動度の比較、並びに変性勾配ゲル電気泳動法(DGGE)を使用して、変性剤の勾配を含有するポリアクリルアミドゲルにおける多型又は野生型の断片の移動をアッセイする方法が挙げられる。具体的な位置における配列変異はまた、Rnアーゼ及びS1保護のようなヌクレアーゼ保護アッセイ、又は化学的開裂法によって評価することもできる。
SNPを遺伝子型決定するための別の方法は、オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ(OLA)における2のオリゴヌクレオチドプローブの使用である。SNPを遺伝子型決定するために使用することができる他の方法としては、一本鎖立体配座多型(SSCP)が挙げられる。
【0113】
B.生化学的及び形態学的な変化の同定
いくつかの態様において、対象体は、ヘモグロビン、又は造血幹細胞、赤血球前駆細胞、赤血球、マクロファージ、網膜色素上皮細胞、肺胞II型(ATII)細胞などのようなヘモグロビン合成細胞における生化学的又は形態学的な変化又は異常の同定に基づいて処置のために選択される。この方法は、典型的には、ヒトベータグロビン遺伝子の遺伝的変化と関係しているか、そうでなければ鎌状赤血球症、ベータサラセミア、又は関連障害の診断と関係している1以上の生化学的又は形態学的な変化を同定することを含む。ヘモグロビン又はヘモグロビン合成細胞の生化学的又は形態学的な変化によって鎌状赤血球症、ベータサラセミア、又は関連障害を診断する方法は、当該技術分野で公知であり、赤血球形態学的性質、浸透圧の脆弱性、ヘモグロビン組成、グロビン合成速度、及び赤血球指数の分析を含むが、これらには限定されない。
【0114】
いくつかの態様において、この方法は、まず、HbSについて対象体の血液を試験すること、そしてHbSが存在する場合、処置のために対象体を選択することを含む。HbSの存在について対象体の血液を試験するための方法としては、溶解度試験(例えば、SICKLEDEX)及び鎌状化試験が挙げられる。SICKLEDEX試験では、試料中にHbSが存在する場合、HbSは不溶性になり、濁度のある懸濁液を形成する。他のヘモグロビンはより可溶性であり、透明な溶液を形成する。鎌状化試験は、血液試料を還元剤と混合した後に、赤血球が鎌状に変化するかどうかを、顕微鏡検査によって赤血球の形状に対する形態学的変化(すなわち、「鎌状化」)を同定することで判定するために使用することができる。赤血球の形状変化はまた、Amnis ImageStreamX Mark II Imaging Flow Cytometer(MilliporeSigma)のようなフローサイトメーターを使用して形状変化について分析することもできる。赤血球の形状変化は、「Imaging flow cytometry for automated detection of hypoxia-induced erythrocyte shape change in sickle cell disease.」van Beers EJ,et al.Am J Hematol.2014;89(6):598-603;又は「Sickle Cell Imaging Flow Cytometry Assay(SIFCA).」Fertrin KY,et al.Methods Mol Biol.2016;1389:279-292において記載のような改変プロトコルを用いたIDEASアプリケーションソフトウェア(MilliporeSigma)Iのようなソフトウェアプログラムを用いて定量してもよい。
【0115】
他の適切な試験としては、対象から得られた血液試料から様々な種類のヘモグロビンを分離するためにゲル電気泳動技術を採用するヘモグロビン電気泳動法が挙げられる。この試験は、HbSの異常レベル、及びヘモグロビンCのような他の異常ヘモグロビンを検出することができる。この試験はまた、様々なサラセミアの場合のように、ヘモグロビンの正常なあらゆる形態に欠損があるかどうかを判定するために使用することもできる。電気泳動技術の代替としては、等電点電気泳動法及びクロマトグラフィー技術が挙げられる。本明細書中に開示される組成物及び方法を使用した処置に向けて対象体を選択するために使用することができる他の試験としては、ヘモグロビン異常症スクリーニングの一部として典型的に採用される試験、例えば、全血球計算(CBC)又は鉄検査(フェリチン)が挙げられる。例えば、血球計算を使用して貧血及び血液スメアを検出することができ、血球計算を使用して鎌状赤血球を識別することができる。
【実施例】
【0116】
一般手順A:6-クロロ-5-ニトロ-ニコチン酸メチルエステルのイプソ置換
6-クロロ-5-ニトロ-ニコチン酸メチルエステルのDMF又はTHFの溶液に、THF中2Mメチルアミンを添加し、反応混合物を室温で16時間撹拌する。得られた混合物を水中に注いで、生成物を沈殿させる。沈殿物を濾過し、乾燥させて生成物を得てもよく、これを次の工程で使用する前に更に精製しなくてもよい。
【0117】
一般手順B:ニトロ基からアミンへの還元
このニトロ化合物のメタノール溶液へ10%Pd/Cを添加する。得られた混合物をH2雰囲気下に室温で16時間撹拌する。次いで、この内容物をセライトのパッド又はシリカゲルで濾過して、固形物を少々のメタノールで洗浄してもよい。濾液と洗液を合わせて蒸発させて相応のアミンを得るが、これを更に精製せずに、次の工程に使用してもよい。
【0118】
一般手順C:チオ尿素形成及び2-アミノ-イミダゾピリジンへのその変換
1,1’-チオカルボニルイミダゾールを、アセトニトリル(10mL)中のトリエチルアミン(1当量)を含有するアミンの溶液に添加する。この反応混合物を室温で撹拌する(1~24時間)。次いで、溶媒を蒸発させ、生成物をアセトニトリル中に懸濁する。次いで、溶媒を蒸発させて、生成物を沈殿物として生成する。沈殿物を濾過し、アセトニトリルで洗浄し、乾燥させる。この生成物を更に精製せずに次の工程に直接使用してもよい。
すぐ上で得られた生成物に、室温でEDAC、引き続いて置換ジアミノピリジンを添加し、反応混合物を90℃で16時間撹拌する。次いで、この反応混合物を室温に冷却し、冷水に注ぎ入れ、固形物を濾過によって回収する。このようにして得られた粗生成物をメタノールでの摩砕によって精製してもよい。
【0119】
一般手順D:エステルの加水分解
エステルのTHF/MeOH(1:1)溶液へNaOHの水溶液を添加して、得られた混合物を60℃で16時間撹拌する。この反応の完了後、この混合物を真空下に濃縮する。得られた懸濁液のpHを6N HClの滴下によってpH約3へ調整して、沈殿物を濾過によって回収し、水で洗浄して真空下に乾燥させてもよい。この所望のカルボン酸を精製せずに使用してもよい。
【0120】
一般手順F:HBTUをカップリング試薬として使用するアミド生成
カルボン酸の無水DMF溶液に、DIEA、引き続いてHBTUを添加し、この反応混合物を室温で30分間撹拌する。次いで、適当な量のアミンを添加し、反応物を室温で16時間撹拌する。内容物を氷水で希釈し、生成物を沈殿させてもよい。純粋な生成物を、濾過後に、後続の水及びDCM/メタノールでの洗浄を用いるか、又はヘキサン/酢酸エチル(80:20~60:40)を溶離系として使用するシリカゲルクロマトグラフィーを経るかのいずれかで単離してもよい。
【0121】
化合物473
N-[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル]-3-メチル-2-[[6-(トリフルオロメチル)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]アミノ]イミダゾ[4,5-b]ピリジン-6-カルボキサミド
【化8】
THF(150mL)中の6-クロロ-5-ニトロ-ニコチン酸メチルエステル(5.0g)及びメチルアミン(EtOH中33%,24mL)より出発し、一般手順Aに従うことによって、6-メチルアミノ-5-ニトロ-ニコチン酸メチルエステル(5.0g)を製造した。この粗生成物を更に精製せずに次の工程に使用した。
6-メチルアミノ-5-ニトロ-ニコチン酸メチルエステル(5.0g)とPd/C(20重量%,1.0g)のメタノール:THF(1:1,50mL)溶液より出発し、一般手順Bに従うことによって、5-アミノ-6-メチルアミノ-ニコチン酸メチルエステル(4.8g)を製造した。この粗生成物を更に精製せずに次の工程に使用した。
6-(トリフルオロメチル)-1,3-ベンゾチアゾール-2-アミン(5.0g)、5-アミノ-6-メチルアミノ-ニコチン酸メチルエステル(5.0g)、1,1’-チオカルボニル-ジイミダゾール(5.0g)、及びEDAC(4.5g)より出発し、一般手順Cに従うことによって、メチル3-メチル-2-[[6-(トリフルオロメチル)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]アミノ]イミダゾ[4,5-b]ピリジン-6-カルボキシラート(5.0g)を製造した。この粗生成物を更に精製せずに次の工程に使用した。
メチル3-メチル-2-[[6-(トリフルオロメトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]アミノ]イミダゾ[4,5-b]ピリジン-6-カルボキシラート(5.0g)とNaOH(2N,25mL)のメタノール:THF(2:1,50mL)溶液より出発し、一般手順Dに従うことによって、3-メチル-2-[[6-(トリフルオロメチル)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]アミノ]イミダゾ[4,5-b]ピリジン-6-カルボン酸(4.2g)を製造した。この粗生成物を更に精製せずに次の工程に使用した。
【0122】
DMF(2.0mL)中の3-メチル-2-[[6-(トリフルオロメチル)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]アミノ]イミダゾ[4,5-b]ピリジン-6-カルボン酸(100mg)、2-(2-アミノエトキシ)エタノール(100mg)、HBTU(200mg)及びDIEA(0.2mL)より出発し、一般手順Eに従うことによって、N-[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル]-3-メチル-2-[[6-(トリフルオロメチル)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]アミノ]イミダゾ[4,5-b]ピリジン-6-カルボキサミド(40mg)を製造した。LC/MS:m/z 481.7.1H NMR(DMSO-d6,400MHz):δ 8.67-8.59(m,2H),8.29-8.23(d,2H),7.71-7.69(d,1H),4.61(s,1H),3.68(br s,3H),3.57-3.44(m,8H),3.32(br s,2H)。
【0123】
化合物474
1-エチル-N-[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル]-2-[[5-(トリフルオロメトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]アミノ]ベンズイミダゾール-5-カルボキサミド
【化9】
3-エチル-2-[[6-(トリフルオロメトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]アミノ]イミダゾ[4,5-b]ピリジン-6-カルボン酸(100mg)(国際公開第’018号を参照されたい)、2-(2-アミノエトキシ)エタノール(100mg)、HBTU(200mg)及びDIEA(0.2mL)のDMF(2.0mL)溶液より出発し、一般手順Eに従うことによって、1-エチル-N-[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル]-2-[[5-(トリフルオロメトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]アミノ]ベンズイミダゾール-5-カルボキサミド(40mg)を製造した。LC/MS:m/z 510.7。
【0124】
一般的なアッセイ法
ウエスタンブロットアッセイ
約20~50μgのタンパク質をSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動法によって分離し、ニトロセルロースメンブレンに転写する。メンブレンを、TBS-Tを含有する5%粉乳中で30分間、続いて1時間ブロッキングし、HbF又はアクチン抗体と共にインキュベートする。数回洗浄した後、メンブレンを、1:10000希釈したHRP結合二次抗体(Thermo Scientific)と共にインキュベーションし、ECL Prime試薬(GE Healthcare Bio-sciences)を用いて発色させる。画像をBio-Rad Chemi-Doc MP Imaging Systemで捕捉し、タンパク質バンドをデンシトメトリーによって定量してもよい。
フローサイトメトリーアッセイ
化合物で処理した後、約5×105個の細胞を回収し、氷冷リン酸緩衝塩類溶液で2回洗浄し、4%パラホルムアルデヒド中に37℃40分間再懸濁する。固定した細胞を氷冷アセトン/メタノール(4:1)で透過処理し、リン酸緩衝塩類溶液で洗浄した後、FITC結合抗HbF抗体(1:1000,Abcam)と共に20分間インキュベートする。標識した細胞を、Becton Dickerson LSR-IIフローサイトメーター(BD Bioscience,米国カリフォルニア州サンノゼ市)及びFlowJo第0.9版ソフトウェアを用いて分析してもよい。
【0125】
実施例1
胎児ガンマグロビン及び成体ベータグロビンの遺伝子を発現するヒト白血病細胞株であるKU812をスクリーニングのための系として使用した。KU812細胞は、潜在的HbF誘導因子による処理後の初代赤血球と同等のグロビン遺伝子応答パターンを有する。(Zein S,Lou RF,Sivanand S,Ramakrishnan V,Mackie A,Li W,Pace BS.KU812 Cell Line:model for identifying fetal hemoglobin inducing drugs.Exp Biol Med(Maywood)235:1385-94,2010を参照されたい。)KU812細胞を、Iscove変法Dulbecco培地(IMDM)及び10%ウシ胎児血清中で対数期増殖になるまで成長させた。
【0126】
対数増殖期のKU812細胞を、0.5、2.5、5.0及び20μMの用量の化合物73、134、473及び236(表Aを参照されたい)で48時間処理した。回収時に、細胞数及び生存率を0.4%トリパンブルー除去法によって測定した。
図1A~
図1Dを参照されたい。化合物134及び化合物473は、細胞増殖速度に対して最小限の効果があり、生存率は、最も広い薬物濃度範囲で>90%のままであった(それぞれ
図1B及び
図1Cを参照されたい)。
【0127】
ウエスタンブロット分析を行って、化合物73、134、473、及び236によるKU812細胞におけるHbFの誘導レベルも決定した。ヒドロキシ尿素及びヘミンを陽性対照として使用し、βアクチンをタンパク質負荷対照として使用した。化合物73、134及び473はそれぞれHbF誘導を示し、化合物134及び473は0.5~5μMの濃度でHbFを増加させた(
図1E)。化合物236は、試験した濃度ではウエスタンブロット分析によってHbFの有意な誘導を示さなかった。
様々な濃度(0.5、2.5、5、10、及び20μM)の化合物473及び化合物236で処理した後のKU812細胞について、フローサイトメトリーを行った。化合物473については、HbF陽性細胞(F細胞)の数の増加及び平均蛍光強度(MFI)の上昇が観察された(
図2)。対照的に、化合物236は、これらの濃度でF細胞を有意に増加させなかったが、MFIのいくらかの上昇が観察された(データ非表示)。化合物73及び化合物134は、フローサイトメトリーによって分析しなかった。
【0128】
実施例2
SCDに罹患しているものについて生理学的条件をより厳密にモデル化した条件下で化合物を試験するために、鎌状赤血球前駆細胞を10日間培養し、次いで0.5μM及び2.5μMの濃度で48時間、化合物473で処理した。処理した細胞を、DMSO、ヘミン、又はHUで処理した細胞と比較して、HbF、HbS、及びβアクチンの発現レベルについてウエスタンブロットによって分析した。同じ処理細胞をまた、DMSO、ヘミン、又はHUで処理した細胞と比較して、γグロビン遺伝子発現についてフローサイトメトリーによっても分析した。化合物473(0.5μM及び2.5μM)は、HbSタンパク質レベルに影響を及ぼすことなく、γグロビン遺伝子発現をそれぞれ1.6倍及び1.9倍誘導した。
図3Aを参照されたい。F細胞レベルの上昇がフローサイトメトリーによって観察された。
図3Bを参照されたい。
【0129】
低酸素条件下で処理細胞において抗鎌状化活性が観察された。上記のように、鎌状赤血球前駆細胞を10日間培養し、次いで、0.5μM及び2.5μMの濃度の化合物473又はヘミン(約50μM)又はHU(約100μM)で48時間処理した。次いで、処理細胞を低酸素条件(1%O
2及び5%CO
2)に供した。0.5μM及び2.5μMの濃度の化合物473で処理した細胞は、DMSO対照と比較して鎌状赤血球の割合を有意に低下させた。
図4A及び
図4Bを参照されたい。