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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-11
(45)【発行日】2024-12-19
(54)【発明の名称】汎用運搬装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 8/00 20060101AFI20241212BHJP
   B62D 9/00 20060101ALI20241212BHJP
   B60G 5/02 20060101ALN20241212BHJP
【FI】
B60K8/00
B62D9/00
B60G5/02
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021558504
(86)(22)【出願日】2020-03-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-24
(86)【国際出願番号】 CZ2020000008
(87)【国際公開番号】W WO2020192806
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-12-16
(31)【優先権主張番号】PV2019-185
(32)【優先日】2019-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CZ
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521436946
【氏名又は名称】ドボラック - スヴァホヴェ セカキー エス.アール.オー.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴォンドラチェク、パヴェル
【審査官】神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-231043(JP,A)
【文献】国際公開第2010/147100(WO,A1)
【文献】中国実用新案第205768356(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第107878594(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108422809(CN,A)
【文献】実開昭53-132127(JP,U)
【文献】実開昭61-110431(JP,U)
【文献】特開平11-034680(JP,A)
【文献】国際公開第2002/046022(WO,A1)
【文献】特開昭62-128833(JP,A)
【文献】米国特許第06491127(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0256868(US,A1)
【文献】特表2020-513375(JP,A)
【文献】特開2009-006792(JP,A)
【文献】登録実用新案第3140380(JP,U)
【文献】特表2022-526568(JP,A)
【文献】国際公開第2020/192805(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 17/00 - 17/36
B60K 1/00 - 1/04
B60B 33/00 - 33/08
B60K 1/00 - 6/12
B60K 7/00 - 8/00
B60K 16/00
B60G 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アーム(2)と、
前記アーム(2)の前端に配置された前輪(4a)と、
前記アーム(2)の後端に配置された後輪(4b)と、
前記前輪(4a)用の前部部材(3a)と、
前記後輪(4b)用の後部部材(3b)と、
前記アーム(2)内に配置された動力駆動ユニット(5)、操舵駆動ユニット(6a、6b)、操舵伝達システム(7a、7b)及び駆動伝達システム(8a、8b)と、を備える汎用運搬装置であって、
前記前部部材(3a)及び前記後部部材(3b)が、前記動力駆動ユニット(5)からの駆動トルク伝達される角度チェーン伝達装置(24)を備え、
前記角度チェーン伝達装置(24)は、
長手軸(13)を有する駆動シャフト(9)と、
長手軸(14)を有する従動シャフト(10)と、
前記駆動シャフト(9)と前記従動シャフト(10)とを接続するためのリンク・チェーン(11)と、
前記駆動シャフト(9)の前記長手軸(13)と前記従動シャフト(10)の前記長手軸(14)との間の角度(α)を定めるための前記リンク・チェーン(11)の滑車角度システム(12)と
を備え、
前記前部部材(3a)及び前記後部部材(3b)は、前記操舵伝達システム(7a,7b)を介して前記操舵駆動ユニット(6a,6b)によって前記駆動シャフト(9)の前記長手軸(13)周りで回転可能であり、
前記動力駆動ユニット(5)は、前記駆動伝達システム(8a,8b)に接続されて、前記駆動伝達システム(8a,8b)、前記駆動シャフト(9)、前記リンク・チェーン(11)及び前記従動シャフト(10)を介して駆動トルクを伝達して、前記前輪(4a)及び前記後輪(4b)を駆動する、
ことを特徴とする、汎用運搬装置。
【請求項2】
前記駆動シャフト(9)の前記長手軸(13)と前記従動シャフト(10)の前記長手軸(14)との間の前記角度(α)が、90°であることを特徴とする、請求項1に記載の汎用運搬装置。
【請求項3】
前記リンク・チェーン(11)を引き締めるようにされる前記滑車角度システム(12)が、
ピン(19)によって前記前部部材(3a)及び前記後部部材(3b)に取り付けられる滑車(16)を備えた一対の引張レバー(15)と、
前記引張レバー(15)の取付けピン(18)を圧迫する一対のくさび(22)とを備え、
案内バー(21)に収容された前記くさび(22)の各々は、前記前部部材(3a)及び前記後部部材(3b)の各々に係合される1つの引張ばね(20)によって固着され、
前記ピン(19)により前記前部部材(3a)及び前記後部部材(3b)に結合される前記引張レバー(15)が、前記リンク・チェーン(11)の張力を決定する位置決め圧縮ばね(17)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の汎用運搬装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に汎用運搬装置フレームの車軸に関する。
【背景技術】
【0002】
幾つかのタイプの車軸が、実践から知られている。
【0003】
剛性車軸(板ばね車軸、統合された変速機及びパナール・ロッドを備えた車軸、ド・ディオン車軸)が知られており、さらに、リジッド・ハーフ車軸(rigid half axle)(連結車軸)、並びに独立車軸(台形車軸(trapezoidal axle)、マクファーソン車軸、マルチリンク懸架装置)、等が知られている。
【0004】
上述の車軸の欠点は、具体的には、多数のばね下質量、及び、広い設置スペースが必要とされるという事実である。
【0005】
幾つかのタイプの矩形変速機が知られており、それらは、例えば、傘歯車装置、ウォーム歯車装置、ハイポイド歯車装置、又は角度遊星歯車装置(angular planetary gear)である。
【0006】
従来技術の歯車装置の欠点は、具体的には、車輪懸架装置のその長手軸の周りでの360°の範囲内の無制限回転を可能にするための、フレームにおける車輪懸架装置の広い設置スペースの必要性である。
【0007】
これらの知られた歯車装置の別の欠点は、車軸懸架装置のサブ構成要素の製造コストの高さである。
【0008】
それらの長手軸の周りで回転する幾つかのタイプの車輪懸架装置が知られているが、360°回転を提供する製造業者は存在しない。
【0009】
従来技術の製造業者の中には、狭い設置スペース及び安価な構成要素製造により360°の角度にわたるその長手軸の周りでの車輪懸架装置の制限のない回転範囲を可能にする、車輪懸架装置内の角度チェーン伝達装置(angular chain transmission)を含む車軸を提供するものはない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、従来技術の上述の欠点を克服すること、及び、駆動シャフトのその長手軸の周りで制限のない360°の角度の範囲内で角度チェーン伝達装置により駆動トルクを伝達することが可能となる、車軸車輪のための、特に汎用運搬装置のための、懸架装置を提供することである。
【0011】
したがって、本発明の目的は、特に汎用運搬装置フレームの新規の車軸解決法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、上記の目的は、特に汎用運搬装置フレームの車軸であって、
車軸アームと、
動力駆動ユニットと、
旋回駆動ユニットと、
旋回分配システムと、
走行分配システムと
を備え、
前輪の前部門形懸架装置が、車軸アームの一方の端部に回転可能に配置され、
後輪の後部門形懸架装置が、車軸アームの他方の端部に回転可能に配置される、車軸を提供することによって達成された。
【0013】
前輪前部懸架装置及び後輪後部懸架装置は、
長手軸を有する駆動シャフトと、
長手軸を有する従動シャフトと、
駆動シャフトと従動シャフトとを接続するためのリンク・チェーンと、
駆動シャフトの長手軸と従動シャフトの長手軸との間の角度を画定するための滑車角度リンク・チェーン・システムと
を含む角度チェーン伝達装置を備える。
【0014】
本発明による車軸の好ましい実施例では、駆動シャフトの長手軸と従動シャフトの長手軸との間の角度は、特に90°である。
【0015】
滑車角度システムは、リンク・チェーンを引き締めるように構成されることが好ましい。
【0016】
したがって、本発明に従って、無制限の360°回転を提供する、門形車輪懸架装置を含む車軸が開発された。
【0017】
各門形懸架装置において、駆動シャフト、従動シャフト、及びリンク・チェーンが取り付けられる。リンク・チェーンは、駆動シャフトの駆動トルクを従動シャフトへ伝達し、リンク・チェーンは、滑車角度システムによって張力をかけられている。
【0018】
車軸は、車輪、動力ユニット、及び分配システムを含む門形懸架装置を装着される。
【0019】
分配システムは、ベルト、駆動Vベルト、歯付きベルト、伝達チェーン、歯車、等から成る群から選択されることが好ましい。
【0020】
駆動ユニットは、内燃機関、液圧モータ、電気モータ、等から成る群から選択されることが好ましい。
【0021】
本発明による解決法は、特に以下の特徴によって特徴付けられる。
門形車輪懸架装置における駆動シャフトの長手軸は、門形車輪懸架装置における従動シャフトの長手軸とともに、特に90°の角度を作り、
門形車輪懸架装置は、軸受フランジを介した車軸内へのその取付けにより、角度範囲360°にわたる駆動シャフトの長手軸の周りでの無制限の回転を可能にする。
【0022】
本発明の上記の目的及びその他の目的は、添付の図面に基づいた、本発明の好ましい実施例に関する以下の詳細な説明に基づいて明確にされるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の例示的な車軸の等角図である。
図2】旋回分配システムを通じた門形懸架装置の前輪及び後輪への駆動トルク及び曲げトルクの伝達を示す、本発明の例示的な実施例の等角図である。
図3】門形懸架装置の前輪への曲げトルク及び駆動トルクの伝達を示す、本発明の簡易化した例示的な実施例の斜視図である。
図4】本発明の例示的な実施例の図3における線F-Fに沿った断面図である。
図5】本発明の例示的な実施例による滑車角度リンク・チェーン・システムの等角図である。
図6】本発明の例示的な実施例の上面図である。
図7】本発明の例示的な構成に対する図6の線E-Eに沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明に従って、無制限の360°回転を提供する、車輪4a及び4bの門形懸架装置3a及び3bを含む車軸が開発された。
【0025】
各門形懸架装置3a及び3bは、駆動シャフト9、従動シャフト10、及びリンク・チェーン11を備える角度チェーン伝達装置24を収容する。
【0026】
駆動チェーン11は、駆動トルクを駆動シャフト9から従動シャフト10へ伝達し、リンク・チェーン11は、滑車角度システム12によって張力をかけられている。
【0027】
車軸1上には、車輪4a及び4b、動力駆動ユニット5、旋回駆動ユニット6a及び6b、旋回分配システム7a及び7b、並びに走行分配システム8a及び8bを含む、門形懸架装置3a及び3bが設けられる。
【0028】
旋回分配システム7a、7b及び走行分配システム8a、8bは、ベルト、Vベルト、歯付きベルト、伝達チェーン、歯車装置、等から成る群から選択されることが好ましい。
【0029】
駆動ユニット5、6a及び6bは、内燃機関、液圧モータ、電気モータ、等から成る群から選択されることが好ましい。
【0030】
本発明による解決法は、特に各門形懸架装置3a及び3bのための以下の特徴によって特徴付けられる。
- 原則的に、門形車輪懸架装置3a及び3bにおける駆動シャフト9の垂直長手軸13は、従動シャフト10の水平軸14とともに特に90°の角度を作り、
- 門形車輪懸架装置3a及び3bは、軸受フランジ23を介した車軸1内へのその取付けにより、原則的に角度範囲360°にわたる駆動シャフト9の長手軸13の周りでの無制限の回転を可能にする。
【0031】
明瞭さのために、本発明の特徴を説明するために本明細書及び特許請求の範囲において使用される一般用語及び技術用語は以下の意味を有することが理解されるべきである。
- 駆動ユニットは、一般に内燃機関、液圧モータ、電気モータ、等の、車軸及び車輪懸架装置に駆動トルクを提供するためのデバイスであり、
- 分配システムは、ベルト、駆動Vベルト、歯付きベルト、伝達チェーン、歯車装置、等から成る群から選択される、駆動トルクの伝達を提供するための力学的な機械要素を表す。
【0032】
本発明の好ましい例示的な実施例が、添付の図面に示されている。
【0033】
図1から図7に示されるように、特に汎用運搬装置の車軸1は、例えば溶接ハウジングであり得る車軸1のアーム2を持ち、このアーム2内には、
前輪4aの旋回駆動ユニット6a、
後輪4aの旋回駆動ユニット6b、
動力ユニット5
が取り付けられる。
【0034】
これらのユニットは、例えば、電気モータ、液圧モータ、等であり得る。
【0035】
前部門形懸架装置3a及び後部門形懸架装置3bは、例えばチェーン及びベルト・トルク分配装置であり得る旋回分配システム7a及び7bにより、無制限の360°回転を可能にする。
【0036】
前輪4aの走行のための駆動トルクは、前輪4aの走行分配システム8aにより、前輪4aの従動シャフト10にさらに分配される。
【0037】
車軸1のアーム2において、前部門形懸架装置3aは、一方の端部に取り付けられ、後部門形懸架装置3bは、他方の端部に取り付けられ、その両方が軸受フランジ23を備え、ここで、車軸1におけるそれらの取付けが、駆動シャフト9の長手軸13の周りでの無制限の360°回転を提供する。
【0038】
各門形懸架装置3a及び3bは、駆動シャフト9及び従動シャフト10を含む角度チェーン伝達装置24を備え、この角度チェーン伝達装置24は、リンク・チェーン11により、例えば液圧モータによって形成された動力駆動ユニット5からの駆動トルクを伝達する。
【0039】
駆動シャフト9の実質的に垂直な長手軸13は、従動シャフト10の実質的に水平な長手軸14とともに90°の角度αを作る。
【0040】
駆動シャフト9からの駆動トルクを従動シャフト10へ伝達するリンク・チェーン11は、滑車角度システム12によって張力をかけられる。
【0041】
本発明による滑車角度システム12は、例えば、ピン19により門形懸架装置3a及び3b内に取り付けられる、滑車16を含むテンション・レバー15の対によって形成され、このテンション・レバー15は、回転運動を可能にする。
【0042】
リンク・チェーン11の滑車角度システム12は、テンション・レバー15の取付けピン18を圧迫するくさび22の対を備える。
【0043】
案内バー21内に収容された各くさび22は、それぞれの門形懸架装置3a、3b内に係合される1つの引張ばね20によって固着される。
【0044】
滑車16を備える引張レバー15は、リンク・チェーン11の張力を決定する位置決め圧縮ばね17をさらに備える。引張レバー15は、ピン19により所与の門形懸架装置3a及び3bに接続される。
【0045】
リンク・チェーン11を緩めると、案内バー21内に収容された引張くさび22のうちの一方が、圧縮ばね20のうちの一方の力によって下降される。取付けピン18は、上記の運動を伝達し、且つ、リンク・チェーン11に張力をかけてリンク・チェーン11の最適な緊張クリアランスを作り出すために、テンション・レバー15を傾斜させる。
【0046】
リンク・チェーン11の滑車角度システム12は、テンション・レバー15上に圧縮ばね17を備え、この圧縮ばね17は、リンク・チェーン11の最適な緊張を保証する。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明によれば、その両端に門形懸架装置が配置される車軸が開発されており、門形懸架装置は、軸受フランジを介したそれらの取付け、及び旋回駆動ユニットにより、360°の角度の範囲内での駆動シャフトのそれらの長手軸の周りでの無制限の回転を可能にする。
【0048】
車軸は、分配システムを越えて駆動シャフトまで駆動トルクを分配する動力駆動ユニットをさらに含む。
【0049】
各門形懸架装置は、互いに90°の角度で間隔を空けられた駆動シャフトと従動シャフトとを含む角度チェーン伝達装置を備え、駆動トルクは、引張システムを含むリンク・チェーンによって伝達される。
【0050】
本発明は、車輪の門形懸架装置内に角度チェーン伝達装置を使用して車軸のための狭い設置スペースを解決し、したがって、低コストの要素の使用を解決した。
【0051】
本発明は、360°の角度の範囲内での車軸における門形車輪懸架装置の無制限の回転を解決した。
【0052】
本発明による車輪懸架装置における角度チェーン伝達車軸は、例えば、自動車又は汎用運搬装置のフレームに応用される。
【符号の説明】
【0053】
1 車軸
2 車軸1のアーム2
3a 前部門形懸架装置
3b 後部門形懸架装置
4a 前部門形懸架装置3aの前輪4a
4b 後部門形懸架装置3bの後輪4b
5 動力駆動ユニット
6a 前輪4aの旋回駆動ユニット6a
6b 後輪4bの旋回駆動ユニット6a
7a 前輪4aの旋回分配システム7a
7b 後輪4bの旋回分配システム7b
8a 前輪4aの走行分配システム8a
8b 後輪4bの走行分配システム8b
9 駆動シャフト
10 従動シャフト
11 リンク・チェーン
12 リンク・チェーン11の滑車角度システム12
13 駆動シャフト9の長手軸13
14 従動シャフト10の長手軸14
15 テンション・レバー
16 滑車
17 圧縮ばね
18 取付けピン
19 ピン
20 引張ばね
21 案内バー
22 くさび
23 軸受フランジ
24 角度チェーン伝達装置
α 駆動シャフト9の長手軸13と従動シャフト10の長手軸14との間の角度α
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7