(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-11
(45)【発行日】2024-12-19
(54)【発明の名称】固体-固体積層造形法の利用によるオブジェクトの一層ずつの製造の自動化のための方法および装置
(51)【国際特許分類】
B29C 64/147 20170101AFI20241212BHJP
B23P 23/04 20060101ALI20241212BHJP
B29C 64/194 20170101ALI20241212BHJP
B29C 64/227 20170101ALI20241212BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20241212BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20241212BHJP
【FI】
B29C64/147
B23P23/04
B29C64/194
B29C64/227
B33Y30/00
B33Y10/00
(21)【出願番号】P 2021577966
(86)(22)【出願日】2020-06-26
(86)【国際出願番号】 EP2020068126
(87)【国際公開番号】W WO2020260652
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2023-06-22
(32)【優先日】2019-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】521568166
【氏名又は名称】シルテ エスアールシー
(73)【特許権者】
【識別番号】521568177
【氏名又は名称】バーリエ クロード
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】バーリエ クロード
(72)【発明者】
【氏名】ペライングレ シリル
(72)【発明者】
【氏名】ディ ジュゼッペ ダヴィド
(72)【発明者】
【氏名】クニン ドゥニ
(72)【発明者】
【氏名】リカッテ ユーゴ
(72)【発明者】
【氏名】デレベーク ベノワ
(72)【発明者】
【氏名】ギローム トマ
【審査官】藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06745446(US,B1)
【文献】米国特許第05847958(US,A)
【文献】欧州特許出願公開第00369909(EP,A1)
【文献】英国特許出願公開第02011814(GB,A)
【文献】特表平11-514304(JP,A)
【文献】特開平08-318575(JP,A)
【文献】特開2000-177017(JP,A)
【文献】特開平10-305488(JP,A)
【文献】特開2006-051821(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/147
B33Y 30/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体/固体積層造形法を用いたオブジェクトの一層ずつの製造の自動化を可能にする装置であって、該装置は、
真空によって維持される機械加工テーブル(2;5)と、
前記
機械加工テーブルの上方にて変位移動可能に取り付けられた少なくとも1つの機械加工工具と、
を備え、
前記装置は旋回ステーション(4)を更に備え、該旋回ステーションは、
前記
機械加工テーブル(2;5)の上方にて長手方向に移動可能であるとともに、上下方向に移動可能なクロス部材(42)であって、該クロス部材(42)に平行な軸に沿って回転運動可能に取り付けられた、プレート(M)の把持手段(43;48)を運ぶ、クロス部材(42)と、
前記プレート(M)を、その2つの面(R,V)のうちいずれか一方で、前記把持手段(43)を介して把持可能にし得るように設計された、プレート(M)の支持手段(45;46;22)と、
プレート(M)、セット(P)、またはシート(S)の、マーキングおよび位置決めを可能にし得る、XおよびY方向の楔留め手段(21)と、
を備え
、
前記旋回ステーション(4)の前記把持手段(43)を運ぶ前記クロス部材(42)は、2つのベンチ(30,31)上に移動可能に取り付けられ、一方、工具保持部(33;80)は、同じ2つのベンチ上の可動クロス部材(32;8)に沿って移動可能に取り付けられている、装置。
【請求項2】
プレート(M)の前記把持手段(48)は、2つの可動支柱(47)によって運ばれる、請求項
1に記載の装置。
【請求項3】
前記工具保持部(
33;80)には、切削したパーツを把持する手段、ならびに接着手
段が適用可能である、請求項
1または請求項
2に記載の装置。
【請求項4】
機械加工手段(34)も、前記工具保持部(33)に適用可能である、請求項
1から3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記工具保持部(33)に適用可能である、前記
機械加工テーブル(2;5)の清掃手段(35)を更に備える、請求項
1から4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
組み立て領域(9)を備え、該組み立て領域は、製造対象の前記オブジェクト(O)を、前記機械加工テーブル(2)の高さに依存する高さに維持することが可能な昇降機に関連付けられた、載置テーブル(90)を備える、請求項
1から5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記組み立て領域は、組み立て中および接着後に、前記載置テーブル(90)に対して前記オブジェクト(O)を締め付ける手段(93)を備え、該手段は、前記オブジェクト(O)の押圧を行うために、前記
載置テーブル(90)の前記昇降機と協働する、請求項
6に記載の装置。
【請求項8】
プレート(P)の前記支持手段(45;46)は、前記機械加工テーブル(2)に格納可能に取り付けられている、請求項
6または請求項7に記載の装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の装置を用いて、固体/固体積層造形法を用いた
前記オブジェクトの一層ずつの製造を自動化する方法であって、
デジタルスライスによって、前記オブジェクトを1つまたは複数の軸と厚みとに沿って、複数の異なるシート(S,S1,S2,S3,S4,S5)にデジタル的に分解する工程と、
原料プレート(M)上に、前記複数の
異なるシート(S,S1,S2,S3,S4,S5)をセット(P)として最適に分布させる工程と、
切削および/または機械加工用の1つまたは複数の工具の複数の軌道を計算する工程と、
前記複数の
異なるシート(S,S1,S2,S3,S4,S5)をデジタルスライスし、続いて、前記セット(P)の前記複数の
異なるシート(S,S1,S2,S3,S4,S5)の表側を、仕上げにおいてマイクロフライス加工する工程と、
前記セット(P)を上下反転させる工程と、
前記セットを楔留め、マーキング、および位置決めする工程と、
前記複数の
異なるシート(S,S1,S2,S3,S4,S5)の裏側を、荒加工において、セットでマイクロフライス加工する工程と、
前記セット(P)のうち第1のシート(S1)を抜き出し、続いて、いわゆる水平XY平面において変位させ、載置および仕上げ領域上で前記
第1のシート(S1)を角度位置決めする工程と、
前記第1のシート(S1)上に接着剤を載置する工程と、
前記セット(P)のうち第2のシート(S2)を抜き出し、続いて、前記
水平XY平面に沿って変位させ、前記
第2のシート(S2)を角度位置決めし、前記第1のシート(S1)の上に載置および維持し、続いて、まだ組み立てられていない前記複数の
異なるシートの各々について、接着および抜き出しの工程を繰り返す工程と、
を備える方法。
【請求項10】
前記オブジェクトの内部または外部の複数の組み立て要素の性質、形状、および配置を決定する工程が、前記オブジェクトをデジタル的に分解する工程と、セットで最適に分布させる工程との間に介在する、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
接着剤塗布後に1つのシート(S,S1,S2,S3,S4,S5)を別のシートの上に載置する作業の各々に続いて、仕上げと、前記接着に起因する接合部の余分な材料の除去と、積層に関連する欠陥の修正とを目的として、裏側においてマイクロフライス加工する工程が行われる、請求項
9または請求項
10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明の主題は、Stratoconception(登録商標)として知られているような、固体-固体積層造形法によるオブジェクトの一層ずつの製造の自動化のための方法および装置である。
【0002】
本出願人により開発された、いわゆる積層造形プロセスStratoconception(登録商標)は、その最も単純なバージョンでは、製造対象のオブジェクトをデジタル化することと、それを複数の異なる相補的な基本層にデジタル的に分解することと、セットにすることと、続いて、これらの複数の異なる層を切削作業および/または機械加工作業によって複製して複数のシートを得ることと、最後に、上記複数の異なるシートを、重ね合わせおよび/または並置、位置決め、組み立て、ならびに一体化して製造対象のオブジェクトを複製することと、から構成される。
【0003】
付随的に、製造対象部分の複雑さによっては、組み立て中にある部分を別の部分に対して指標付けできるように、複数のシートの製造中に、作製される形状に対して、拡張部またはトリガーガードなどの複数の組み立て要素を、後に除去する想定で、追加することが検討され得る。指標付けの目的で、位置決めピンとシート間のリンクとの両機能を果たす、複数のインサートを使用することも検討され得る点に注意されたい。
【0004】
一般に、複数の異なるシートは同じ厚さを有し、単一材料からなる1つまたは複数のプレートから切り抜かれる。プレート上における複数の異なるシートの配置と向きは、最適化を目的として選択され、結果としてシートのセットが構築される。
【0005】
注意すべき更なる難点は、プレートにそもそも厚さのばらつきがあるために、寸法に準拠しない可能性があるという点である。較正済みのプレートを使用したり、使用前にプレートを再較正したりすることは勿論可能であるが、それはコストの増大をもたらす結果となる。
【0006】
他方、接着作業中に各シート間に生成される接合部も考慮に入れる必要がある。接合部の厚さは、載置中に較正されるとはいえ、複製されるオブジェクトの最終的な寸法に影響を与え得るからである。
【0007】
製造対象のオブジェクトによっては、その複雑さ、すなわち複数の異なるシートの複雑さは、プレートを切削することだけにとどまらず、必要に応じて、シートのセットを上下反転させることに関連して、設計されアンダーカットされた部分を作製するために3Dフライス作業を実施することも招き得る。
【0008】
このような製造プロセスは、フランス特許出願公開第2789188号明細書に記載されるように、職人的な方法で実施される場合には生産上の問題をもたらすことはないが、産業化および自動化されなければならない場合には問題となる。当該文献では、Stratoconception(登録商標)として知られているような、一層ずつの固体/固体積層造形法を、製造の自動化について触れることなく、職人的な、手動的でさえあるバージョンで、提示している。
【0009】
職人的な製造から自動化への移行は、単に手動操作を置き換えることからなるものではないことは、誰もが知るところである。
【0010】
したがって、本発明の主題は、固体/固体積層造形に従うオブジェクトの一層ずつの製造のそのような自動化を可能にする方法を提供することであり、また、いかなる手動的介入をも排除することを目的とする。
【0011】
固体/固体積層造形法を用いたオブジェクトの一層ずつの製造を自動化する方法は、
デジタルスライスによって、前記オブジェクトを1つまたは複数の軸と厚みとに沿って、複数の異なるシートにデジタル的に分解する工程と、
原料プレート上に、前記複数のシートをセットとして最適に分布させる工程と、
切削および/または機械加工用の1つまたは複数の工具の複数の軌道を計算する工程と、
前記複数のシートをデジタルスライスし、続いて、前記セットの前記複数のシートの表側を、仕上げにおいてマイクロフライス加工する工程と、
前記セットを上下反転させる工程と、
前記セットを楔留め、マーキング、および位置決めする工程と、
前記複数のシートの裏側を、荒加工において、セットでマイクロフライス加工する工程と、
前記セットのうち第1のシートを抜き出し、続いて、いわゆる水平XY平面において変位させ、載置および仕上げ領域上で前記シートを角度位置決めする工程と、
前記第1のシート上に接着剤を載置する工程と、
前記セットのうち第2のシートを抜き出し、続いて、前記XY平面に沿って変位させ、前記シートを角度位置決めし、前記第1のシートの上に載置および維持し、続いて、まだ組み立てられていない前記複数のシートの各々について、接着および抜き出しの工程を繰り返す工程と、
を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る方法の更なる特徴によれば、前記オブジェクトの内部または外部の複数の組み立て要素の性質、形状、および配置を決定する工程が、前記オブジェクトをデジタル的に分解する工程と、セットで最適に分布させる工程との間に介在する。
【0013】
本発明に係る方法の更なる特徴によれば、接着剤塗布後に1つのシートを別のシートの上に載置する作業の各々に続いて、裏側においてマイクロフライス加工する工程が行われる。
【0014】
このマイクロフライス加工の作業の目的は、仕上げに加えて、接着に起因する余分な接合部材料を除去すること、そして何より、すなわち積層に関連する欠陥を修正することである。この作業は、各レベルで寸法パラメータを再調整するために、各シートの積層後に行われる。これは例えば、積層作業の最後にオブジェクトを一度3D機械加工することは、おそらく効果がない、あるいは実施不可能でさえあるという知見に基づく。
【0015】
一層ずつの固体/固体積層造形法を実施するための複数の作業の一部を実行可能にする自動装置が既に存在する。
【0016】
そのような装置は、好ましくは真空タイプであるテーブルと、例えばクロス部材を介して、このテーブルの上方にて変位移動可能に取り付けられた複数の機械加工工具と、を備え、このクロス部材は、このテーブルの上方にて長手方向に移動可能であるとともに、クロス部材に沿って移動可能な複数の機械加工工具を備え、そのような移動は中央演算装置によって管理される。
【0017】
しかしながら、そのような装置は用途が限定的であり、本発明に係るプロセス全体の実施を可能にするものではない。
【0018】
したがって、本願の主題はまた、このような欠陥を克服するとともに本発明に係る方法を実施することを可能にする装置でもある。
【0019】
本発明に係る、固体/固体積層造形法に従ったオブジェクトの一層ずつの製造の自動化を可能にする装置は、
真空によって保持される機械加工テーブルと、
前記テーブルの上方にて変位移動可能に取り付けられた少なくとも1つの機械加工工具と、
を備え、
前記装置は旋回ステーションを更に備え、該旋回ステーションは、
前記テーブルの上方にて長手方向に移動可能であるとともに、上下方向に移動可能なクロス部材であって、該クロス部材に平行な軸の周りに回転運動可能に取り付けられた、プレートの把持手段を運ぶ、クロス部材と、
前記プレートを、その2つの面のうちいずれか一方で、前記把持手段を介して把持可能にし得るように設計された、プレートの支持手段と、
プレート、セット、またはシートの、マーキングおよび位置決めを可能にし得る、XおよびY方向の楔留め手段と、
を備える、ことを特徴とする。
【0020】
この旋回ステーションは、セットを上下反転させることに何より適しているが、単なるプレートを上下反転させるのも可能であるのと同様に、必要に応じて、シートを上下反転させるように構成することが十分可能である、ということに注目すべきである。
【0021】
本発明に係る装置の更なる特徴によれば、前記旋回ステーションの前記把持手段が運ぶ前記クロス部材は、2つのベンチ上に移動可能に取り付けられ、一方、工具保持部は、同じ2つのベンチ上の可動クロス部材に沿って移動可能に取り付けられている。
【0022】
本発明に係る装置の別の更なる特徴によれば、前記工具保持部には、切削したパーツを把持する手段、ならびに接着手段などが適用可能である。
【0023】
本発明に係る装置の変形例によれば、機械加工手段も、前記工具保持部に適用可能である。
【0024】
実際、既存の装置はそれぞれ、既に述べたように、テーブルと、このテーブルの上方にて変位移動可能に取り付けられた複数の機械加工工具と、を備える。本発明に適合させることを目的として、これら既存のテーブルを適用することが可能である。したがって、セットを得るためにプレートを切削および機械加工することが可能なこれら既存のテーブルに、一方で旋回手段、ならびに工具保持部、およびセットに由来するパーツを把持および接着する複数の工具が追加される。
【0025】
既存の装置への適応を構成しない装置では、工具保持部は、切削工具および機械加工工具も運ぶように構成される。
【0026】
本発明に係る装置の別の更なる特徴によれば、該装置は、前記工具保持部に関連付けられた、前記テーブルの清掃手段を更に備える。
【0027】
本発明に係る装置の別の更なる特徴によれば、該装置は、組み立て領域を備え、該組み立て領域は、製造対象の前記オブジェクトを、前記機械加工テーブルの高さに依存する高さに維持することが可能な昇降機に関連付けられた、載置テーブルを備える。
【0028】
本発明に係る装置の別の更なる特徴によれば、前記組み立て領域は、組み立て中および接着後に、前記載置テーブルに対して前記オブジェクトを締め付ける手段を備え、該手段は、前記オブジェクトの押圧を行うために、前記テーブルの前記昇降機と協働する。
【0029】
本発明に係る装置の別の更なる特徴によれば、プレートの前記支持手段は、前記機械加工テーブルに格納可能に取り付けられている。
【0030】
本発明に係る方法および装置の利点および特徴は、それらの非限定的な複数の実施形態を表す添付の図面に関連する、以下の説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明に係る方法を用いた、オブジェクトを構築する種々の工程の概略斜視図を示す。
【
図2】本発明に係る方法を用いた、オブジェクトを構築する種々の工程の概略斜視図を示す。
【
図3】本発明に係る方法を用いた、オブジェクトを構築する種々の工程の概略斜視図を示す。
【
図4】本発明に係る方法を用いた、オブジェクトを構築する種々の工程の概略斜視図を示す。
【
図5】本発明に係る方法を用いた、オブジェクトを構築する種々の工程の概略斜視図を示す。
【
図6】本発明に係る方法を用いた、オブジェクトを構築する種々の工程の概略斜視図を示す。
【
図8】本発明に係る方法を実施する種々の連続工程における、同装置の概略斜視図を示す。
【
図9】本発明に係る方法を実施する種々の連続工程における、同装置の概略斜視図を示す。
【
図10】本発明に係る方法を実施する種々の連続工程における、同装置の概略斜視図を示す。
【
図11】本発明に係る方法を実施する種々の連続工程における、同装置の概略斜視図を示す。
【
図12】本発明に係る方法を実施する種々の連続工程における、同装置の概略斜視図を示す。
【
図13】本発明に係る方法を実施する種々の連続工程における、同装置の概略斜視図を示す。
【
図14】本発明に係る方法を実施する種々の連続工程における、同装置の概略斜視図を示す。
【
図15】本発明に係る方法を実施する種々の連続工程における、同装置の概略斜視図を示す。
【
図16】本発明に係る方法を実施する種々の連続工程における、同装置の概略斜視図を示す。
【
図17】本発明に係る方法を実施する種々の連続工程における、同装置の概略斜視図を示す。
【
図18】本発明に係る方法を実施する種々の連続工程における、同装置の概略斜視図を示す。
【
図19】本発明に係る方法を実施する種々の連続工程における、同装置の概略斜視図を示す。
【
図20】本発明に係る方法を実施する種々の連続工程における、同装置の概略斜視図を示す。
【
図21】本発明に係る装置の変形例の概略斜視図を示す。
【
図22】本発明に係る装置の別の変形例の概略斜視図を示す。
【
図23】本発明に係る同装置の別の変形例の概略斜視図を示す。
【
図24】特定の使用構成における、本装置のこの同変形例の部分概略斜視図を表す。
【
図25】特定の使用構成における、本装置のこの同変形例の部分概略斜視図を表す。
【
図26】特定の使用構成における、本装置のこの同変形例の部分概略斜視図を表す。
【
図27】特定の使用構成における、本装置のこの同変形例の部分概略斜視図を表す。
【
図28】特定の使用構成における、本装置のこの同変形例の部分概略斜視図を表す。
【
図29】特定の使用構成における、本装置のこの同変形例の部分概略斜視図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1を参照すると、Stratoconception(登録商標)として知られているような、固体/固体積層造形法を用いてオブジェクトを一層ずつ製造するための材料プレートMを作製する3つの工程を見ることができる。
【0033】
本発明の方法によれば、複製されるオブジェクトは、この例では1つの軸のみであるが、1つまたは複数の軸と、厚みとに沿って、複数の異なるシートに予めデジタル的に分解されている。これらのシートは、プレートM上にセットPとして配置され、一方、切削および機械加工用の1つまたは複数の工具の複数の軌道が規定されている。
【0034】
図1において、工程Aは、3D仕上げにおける、プレートMの表側Rのスライス加工およびマイクロフライス加工に相当し、工程Bは、裏側Vを工具に露出させるためのプレートMの上下反転に相当し、工程Cは、2D荒加工における、この例では5つのシートS1、S2、S3、S4、およびS5である、複数のシートの裏側のセットに対するマイクロフライス加工に相当する。
【0035】
図2では、シートS1がセットPから抜き出され、位置決めがされ、また、一方で、3D仕上げのマイクロフライス加工、および、その上縁への接着剤塗布が施される。
【0036】
図3では、シートS2がセットPから抜き出され、シートS1に対する載置、位置決め、および組み立てが行われ、続いて、その全体に対して、3D仕上げのマイクロフライス加工、およびシートS2の上縁への接着剤塗布が施される。
【0037】
図4では、シートS3がセットPから抜き出され、シートS2に対する載置、位置決め、および組み立てが行われ、続いて、その全体に対して、マイクロフライス加工、3D仕上げにおける接合部の余剰分の除去、およびシートS3の上縁への接着剤塗布が施される。
【0038】
図5では、シートS4がセットPから抜き出され、シートS3に対する載置、位置決め、および組み立てが行われ、続いて、その全体に対して、マイクロフライス加工、3D仕上げにおける接合部の余分な材料の除去、およびシートS4の上縁への接着剤塗布が施される。
【0039】
最後に、
図6では、シートS5がセットPから抜き出され、シートS4に対する載置および組み立てが行われ、続いて、オブジェクトOを得るために、その全体に対して3D仕上げのマイクロフライス加工が施される。
【0040】
各工程において、マイクロフライス加工をすることによって、各プレートおよび接合部の厚さの潜在的なばらつきに関連する、XY平面に直交するいわゆる垂直Z軸に沿った欠陥を修正することも可能になる点に注意されたい。
【0041】
ここで
図7を参照すると、上述した方法を自動的に実施することを可能にする、本発明に係る装置1を見ることができる。
【0042】
この装置1は、好ましくは真空テーブルであるテーブル2と、横方向および縦方向にテーブル2に隣接する2つのベンチ30および31を含む、デカルトガントリ3と、を備える。デカルトガントリ3上を、可動クロス部材が長手方向に移動可能であり、可動クロス部材上には、可動クロス部材に沿って工具保持部33が移動可能に取り付けられている。一方、テーブル2の一端には、工具保持部33に適用することを意図した複数の工具34が保管されている。
【0043】
本装置の表現は限定的ではなく、本装置は、例えば長手方向の移動がベースのレベルで実行されるように設計され得る、という点に注意されたい。
【0044】
装置1はまた、2つのベンチ30および31と協働する搭載/旋回ステーション4を備え、搭載/旋回ステーション4は、それぞれベンチ30および31上を変位移動可能な2つの搬送部40および41と、搬送部40および41上を上下方向に移動可能であるとともに軸回転運動可能であり、把持手段43を運ぶ、クロス部材42と、を備える。旋回ステーション4はまた、工具34が保管されている側とは反対側のテーブル2の端部に配置されたコンソール44を備え、コンソール44は、把持手段43が通過可能な中央の空間を形成するために互いから離隔した、2つのブラケット45を基本的に備える。
【0045】
別の構成では、2つのブラケット45は、
図22に示すように、テーブル2の中に格納可能なフォークの複数の歯46と置き換え可能である。
【0046】
ここで
図8~19を参照して、装置1を用いて実施される製造方法の各工程について説明する。
【0047】
図8では、把持手段43は、テーブル2の上に載置するために材料プレートMを保管場所から取り出しており、いわゆる水平XY平面における位置決めは、この例では複数のスタッド21に対して押し付けて楔留めすることによって行われる。
【0048】
図9では、セットPを作製するために、プレートMの表側Rが工具34を用いてスライス加工され、3D仕上げにおいて機械加工される。
【0049】
図10~14は、セットPの上下反転に関する。
図10では、プレートMは把持手段43によって把持され、続いて
図11では、その裏側Vを下にしてコンソール44の上に載置され、続いて
図12では、その裏側VでプレートMを把持するために、把持手段43がブラケット45の間においてプレートMの下方に位置し、最終的に
図13では、プレートMは上下反転され、
図14に示すように、その表側Rを下にしてテーブル2の上に載置される。
【0050】
図13において見ることができることとして注目すべき点は、プレートMを上下反転させる段階で、テーブル2の清掃がマスク期間中に行われ、工具保持部33は、スクレーパや電気掃除機などの清掃手段35を把持しており、清掃手段35は、機械加工残留物をテーブル2から押し出したり吸引したりするために、この例では容器20の中に落とし込むために、表面上を移動する、という点である。
【0051】
図15では、プレートMの裏側Vが2D荒加工において機械加工され、一方、
図16では、層S1がセットPから取り出され、
図17では、載置/積層領域においてプレートMと並べてテーブル2の上に載置される。
【0052】
図面に示された載置/積層領域と機械加工領域とは、例えば
図22に示すように、置き換え可能であり得る点に注意されたい。
図18では、シートS2がセットから取り出されてシートS1と並べて載置され、一方、
図19では、シートS3がセットから取り出され、機械加工後のシートS1およびS2の上に載置され、次にそれらは接着される。
【0053】
図20では、工具保持部33および清掃手段35が残留物を排出する一方、完成したオブジェクトOを見ることができる。
【0054】
ここで
図21を参照すると、本発明に係る装置の変形例、より具体的には既存の装置への適用例を見ることができる。
【0055】
この既存の装置は、可動ガントリ6が関連付けられたテーブル5を備え、可動ガントリ6は、テーブル5に沿って移動可能な2つの横方向支柱60および61と、それらを接続するクロス部材62と、を備え、クロス部材62は、それゆえテーブル5の上方にて移動可能であり、また、テーブル5の端部に保管された機械加工工具64を把持可能な工具保持部63が、クロス部材62に沿って移動可能である。
【0056】
本発明によれば、既存のテーブル5は、本発明に係る方法を再現可能となるために、ガントリ3と、旋回ステーション4とを付加することによって補完される。ガントリ3は、2つのベンチ30および31と、工具保持部33を移動させることを意図する可動クロス部材32と、を備える。工具保持部33は、複数のシートを把持、接着、および押圧する作業、ならびに、テーブル5を清掃する作業に供される。旋回ステーション4は、2つの搬送部40および41と、クロス部材42と、把持手段43と、コンソール44と、を備える。
【0057】
図示された実施形態では、本装置は、機械加工ステーション7に外付けで関連付けられており、機械加工ステーション7は、仕上げ作業、すなわち、限定されるものではないが、指標付けに使用された拡張部またはトリガーガードの除去を行うことが可能である。
【0058】
ステーション7は、5軸での機械加工のための、2つの回転軸を有する工具保持部、または双回転ヘッドを介して、機械加工工具を工具保持部33に関連付けることと、有利に置き換えることができることに注意されたい。このような構成は、すなわち、全ての機能を同じ装置に統合することを可能にする。
【0059】
ここで
図22を参照すると、別の変形例、すなわち、
図7に示す装置の変形例を見ることができる。
【0060】
この装置には、機械加工/清掃機能と接着/積層機能とを分離できるように、組み立て用の複数のシートの接着および取扱いに特化した工具保持部80が関連付けられた、更なる可動クロス部材8が追加されている。このように分離することによって、マスク期間中におけるより効率的な処理が可能になる。
【0061】
ここで
図23、ならびに
図24、25、26、27、28、および29を参照すると、本発明に係る方法を自動的に実施することを可能にする本装置の変形例を見ることができ、その変形例では、1つまたは複数の作業に特化した種々のステーションは、上述したものとは別様に設計されている。
【0062】
そして、本装置全体を示す
図23では、本装置が、テーブル2と、工具保持部63を備えた可動式ガントリ6と、把持プレート48が間を移動可能である2つの可動式支柱47を備える可動式ガントリからなる、複数のプレートMのための搭載/旋回ステーション4と、最後に、製造されるオブジェクトを載置することに特化した組み立て領域9と、を備えているのが分かる。
【0063】
図24および25においてより詳細に見ることができるように、組み立て領域9は載置テーブル90を備え、載置テーブル90は、載置されているオブジェクトが漸進的に下降することができるように昇降機に関連付けられており、その結果、最後に組み立てられたシートは、常に機械加工テーブル2と同じレベルにあることが可能である。
【0064】
更に、載置テーブル90は、組み立て後のオブジェクトを抜き出すことができるように、複数の穴92を通して載置テーブル90を貫通可能な複数の持ち上げスタッド91と協働する。
【0065】
ここで
図26を参照すると、載置テーブル90は、その昇降機ならびに搭載/旋回ステーション4の把持プレート48に関連付けられることで、接着後の押圧作業を容易にし得ることが分かる。
【0066】
そして、把持プレート48は、載置テーブル90上に配置された、接着されたばかりの複数のシートの積層体(図示せず)の上で上下反転され、一方で、組み立て領域に含まれる複数のフランジ93が、載置テーブル90の周辺部において、把持プレート48を締め付け、他方で、その昇降機に関連付けられた載置テーブル90が、下から上へ積層体を押圧する。
【0067】
有利には、この押圧力は、搭載/旋回ステーション4のガントリによってではなく、複数のフランジ93によって受け止められる。
【0068】
ここで
図27および28を参照すると、テーブル2にはフォーク22が組み込まれているのが分かり、フォーク22はテーブル2から引き出され得て、プレートM(図示せず)が表側において機械加工された後にそれを持ち上げる。それにより、プレートMを上下反転することを視野に入れて、機械加工されていないその裏側でプレートMを把持するために把持プレート48がその下方を通過できるようにする。機械加工されていない裏側で把持することは、プレートMの把持を容易にする。
【0069】
図29を参照すると、ガントリ6には、3つの把持点66を備えた把持部65が装備されており、非常に安定した形で複数のシートを把持することができることが分かる。
【0070】
これらの図面に示す本装置によれば、よりコンパクトで剛性のある設計でありながら、上述した各装置と同じように本発明に係る方法を実行することが可能である。