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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-11
(45)【発行日】2024-12-19
(54)【発明の名称】人工ニップル取付具
(51)【国際特許分類】
   A61J 11/04 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
A61J11/04 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022082661
(22)【出願日】2022-05-19
(65)【公開番号】P2022179445
(43)【公開日】2022-12-02
【審査請求日】2024-01-15
(31)【優先権主張番号】P 2021086562
(32)【優先日】2021-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000204882
【氏名又は名称】株式会社ダイナックス
(74)【代理人】
【識別番号】110003856
【氏名又は名称】弁理士法人テックロー国際知財事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100180079
【弁理士】
【氏名又は名称】亀卦川 巧
(74)【代理人】
【識別番号】230101177
【弁護士】
【氏名又は名称】木下 洋平
(72)【発明者】
【氏名】上田 千草
【審査官】今関 雅子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0125762(US,A1)
【文献】特表平03-500372(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状のベースと、環状のカバーと、内径の大きさを変動させる内径可変機構を具え、
前記ベースの内周側に雌ねじが形成され、
前記内径可変機構が少なくとも一対の弧状の羽根であり、
前記羽根は、それぞれ、一端側に孔が、他端側に外周方向に延出するレバーが形成されており、
前記カバーは、前記孔をそれぞれ貫通する、点対称の位置に設けられた少なくとも一対の軸と、前記レバーが外周方向に突出し、周方向に可動となる範囲で、下方側に向けて切り欠かれた切欠部が設けられ、
前記ベースは、前記軸がそれぞれ挿入される穴が設けられている、
人工ニップル取付具。
【請求項2】
環状のベースと、環状のカバーと、内径の大きさを変動させる内径可変機構を具え、
前記ベースの内周側に雌ねじが形成され、
前記内径可変機構が少なくとも一対の弧状の羽根であり、
前記羽根は、それぞれ、一端側に孔が、他端側に外周方向に延出するレバーが形成されており、
前記カバーは、前記孔をそれぞれ貫通する、点対称の位置に設けられた少なくとも一対の軸が設けられ、
前記ベースは、前記レバーが外周方向に突出し、周方向に可動となる範囲で、上方側に向けて切り欠かれた切欠部と、前記軸がそれぞれ挿入される穴が設けられている、
工ニップル取付具。
【請求項3】
環状のベースと、環状のカバーと、内径の大きさを変動させる内径可変機構を具え、
前記ベースの内周側に雌ねじが形成され、
前記内径可変機構が少なくとも一対の弧状の羽根であり、
前記羽根は、それぞれ、一端側に孔が、他端側に外周方向に延出するレバーが形成されており、
前記ベースは、前記孔をそれぞれ貫通する、点対称の位置に設けられた少なくとも一対の軸と、前記レバーが外周方向に突出し、周方向に可動となる範囲で、上方側に向けて切り欠かれた切欠部が設けられ、
前記カバーは、前記軸がそれぞれ挿入される穴が設けられている、
工ニップル取付具。
【請求項4】
環状のベースと、環状のカバーと、内径の大きさを変動させる内径可変機構を具え、
前記ベースの内周側に雌ねじが形成され、
前記内径可変機構が少なくとも一対の弧状の羽根であり、
前記羽根は、それぞれ、一端側に孔が、他端側に外周方向に延出するレバーが形成されており、
前記ベースは、前記孔をそれぞれ貫通する、点対称の位置に設けられた少なくとも一対の軸が設けられ、
前記カバーは、前記レバーが外周方向に突出し、周方向に可動となる範囲で、下方側に向けて切り欠かれた切欠部と、前記軸がそれぞれ挿入される穴が設けられている、
工ニップル取付具。
【請求項5】
環状のベースと、内径の大きさを変動させる内径可変機構を具え、
前記ベースの内周側に雌ねじが形成され、
前記内径可変機構が一対の弧状の羽根であり、
前記ベースは、対向する位置に、上方側に突出した一対のレール壁が形成され、
前記羽根が前記レール壁の任意の位置で掛止されるように構成されている、
工ニップル取付具。
【請求項6】
環状のベースと、内径の大きさを変動させる内径可変機構を具え、
前記ベースの内周側に雌ねじが形成され、
前記内径可変機構が弧状の羽根であり、
前記ベースは、対向する位置に、上方側に突出した一対のレール壁と、該レール壁と連続する弧状の側壁が形成され、
前記羽根が前記レール壁の任意の位置で掛止されるように構成されている、
工ニップル取付具。
【請求項7】
前記羽根とベースの間に配設され、前記孔に対応する位置に前記軸を貫通する軸貫通孔が設けられている、環状の羽根固定リングをさらに具える、請求項又はに記載の人工ニップル取付具。
【請求項8】
前記羽根とカバーの間に配設され、前記孔に対応する位置に前記軸を貫通する軸貫通孔が設けられている、環状の羽根固定リングをさらに具える、請求項又はに記載の人工ニップル取付具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、哺乳瓶や紙パック、ペットボトル等の容器本体に人工ニップルを取付ける際に用いられる人工ニップル取付具(以下、単に、「取付具」ということもある。)に関する。
【背景技術】
【0002】
ミルク等の乳幼児用の飲料を収容する容器本体に、人工ニップルを装着するという哺乳器具が多く開発されている。人工ニップルは、取付具によって容器本体に装着されるという構成が一般的である。このような哺乳器具の例として、以下に挙げるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-166267号公報
【文献】特開2021-036960号公報
【0004】
哺乳器具は、人工ニップルや容器本体の形状に合わせて、取付具の構造が決定されているのが一般的である。しかし、人工ニップル、容器本体、取付具の形状は製造業者によって異なるため、一の人工ニップル、容器本体、及び取付具の組合せで使用する必要があり、例えば、一の人工ニップルを他の取付具や容器本体に装着させることが出来難いという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、複数種の人工ニップルを容器本体に装着させ易い人工ニップル取付具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、環状のベースと、環状のカバーと、内径の大きさを変動させる内径可変機構を具え、
前記ベースの内周側に雌ねじが形成され、
前記内径可変機構が少なくとも一対の弧状の羽根であり、
前記羽根は、それぞれ、一端側に孔が、他端側に外周方向に延出するレバーが形成されており、
前記カバーは、前記孔をそれぞれ貫通する、点対称の位置に設けられた少なくとも一対の軸と、前記レバーが外周方向に突出し、周方向に可動となる範囲で、下方側に向けて切り欠かれた切欠部が設けられ、
前記ベースは、前記軸がそれぞれ挿入される穴が設けられている人工ニップル取付具、
又は、
環状のベースと、環状のカバーと、内径の大きさを変動させる内径可変機構を具え、
前記ベースの内周側に雌ねじが形成され、
前記内径可変機構が少なくとも一対の弧状の羽根であり、
前記羽根は、それぞれ、一端側に孔が、他端側に外周方向に延出するレバーが形成されており、
前記カバーは、前記孔をそれぞれ貫通する、点対称の位置に設けられた少なくとも一対の軸が設けられ、
前記ベースは、前記レバーが外周方向に突出し、周方向に可動となる範囲で、上方側に向けて切り欠かれた切欠部と、前記軸がそれぞれ挿入される穴が設けられている工ニップル取付具、
又は、
環状のベースと、環状のカバーと、内径の大きさを変動させる内径可変機構を具え、
前記ベースの内周側に雌ねじが形成され、
前記内径可変機構が少なくとも一対の弧状の羽根であり、
前記羽根は、それぞれ、一端側に孔が、他端側に外周方向に延出するレバーが形成されており、
前記ベースは、前記孔をそれぞれ貫通する、点対称の位置に設けられた少なくとも一対の軸と、前記レバーが外周方向に突出し、周方向に可動となる範囲で、上方側に向けて切り欠かれた切欠部が設けられ、
前記カバーは、前記軸がそれぞれ挿入される穴が設けられている工ニップル取付具、
又は、
環状のベースと、環状のカバーと、内径の大きさを変動させる内径可変機構を具え、
前記ベースの内周側に雌ねじが形成され、
前記内径可変機構が少なくとも一対の弧状の羽根であり、
前記羽根は、それぞれ、一端側に孔が、他端側に外周方向に延出するレバーが形成されており、
前記ベースは、前記孔をそれぞれ貫通する、点対称の位置に設けられた少なくとも一対の軸が設けられ、
前記カバーは、前記レバーが外周方向に突出し、周方向に可動となる範囲で、下方側に向けて切り欠かれた切欠部と、前記軸がそれぞれ挿入される穴が設けられている工ニップル取付具、
又は、
環状のベースと、内径の大きさを変動させる内径可変機構を具え、
前記ベースの内周側に雌ねじが形成され、
前記内径可変機構が一対の弧状の羽根であり、
前記ベースは、対向する位置に、上方側に突出した一対のレール壁が形成され、
前記羽根が前記レール壁の任意の位置で掛止されるように構成されている工ニップル取付具、
又は、
環状のベースと、内径の大きさを変動させる内径可変機構を具え、
前記ベースの内周側に雌ねじが形成され、
前記内径可変機構が弧状の羽根であり、
前記ベースは、対向する位置に、上方側に突出した一対のレール壁と、該レール壁と連続する弧状の側壁が形成され、
前記羽根が前記レール壁の任意の位置で掛止されるように構成されている工ニップル取付具によって前記課題を解決した。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、環状のベースが内径の大きさを変動させる内径可変機構を具え、内径可変機構によって内径可変機構の内周面で形成する径を大小可変にすることができるから、径の異なる人工ニップルであっても、羽根で人工ニップルを挟持又は抜止めして、容器本体に装着させることができるので、複数種の人工ニップルを容器本体に装着させ易い人工ニップル取付具とすることができる。
【0008】
人工ニップル取付具は、環状のカバーをさらに具え、内径可変機構が少なくとも一対の弧状の羽根であり、羽根には、それぞれ、一端側に孔が、他端側に外周方向に延出するレバーが形成されており、カバーには、孔をそれぞれ貫通する、点対称の位置に設けられた少なくとも一対の軸と、レバーが外周方向に突出し、周方向に可動となる範囲で、下方側に向けて切り欠かれた切欠部が設けられ、ベースには、軸がそれぞれ挿入される穴が設けられている構成とすることができる。本構成によれば、羽根のレバーを周方向に移動させることにより、一対の羽根の内周面で形成する径を大小可変にすることができる。
【0009】
また、環状のカバーをさらに具え、内径可変機構が少なくとも一対の弧状の羽根であり、羽根には、それぞれ、一端側に孔が、他端側に外周方向に延出するレバーが形成されており、カバーには、孔をそれぞれ貫通する、点対称の位置に設けられた少なくとも一対の軸が設けられ、ベースには、レバーが外周方向に突出し、周方向に可動となる範囲で、上方側に向けて切り欠かれた切欠部と、軸がそれぞれ挿入される穴が設けられている構成としてもよい。本構成によっても、羽根のレバーを周方向に移動させることにより、一対の羽根の内周面で形成する径を大小可変にすることができる。
【0010】
また、環状のカバーをさらに具え、内径可変機構が少なくとも一対の弧状の羽根であり、羽根には、それぞれ、一端側に孔が、他端側に外周方向に延出するレバーが形成されており、ベースには、孔をそれぞれ貫通する、点対称の位置に設けられた少なくとも一対の軸と、レバーが外周方向に突出し、周方向に可動となる範囲で、上方側に向けて切り欠かれた切欠部が設けられ、カバーには、前記軸がそれぞれ挿入される穴が設けられている構成としてもよい。本構成によっても、羽根のレバーを周方向に移動させることにより、一対の羽根の内周面で形成する径を大小可変にすることができる。
【0011】
また、環状のカバーをさらに具え、内径可変機構が少なくとも一対の弧状の羽根であり、羽根には、それぞれ、一端側に孔が、他端側に外周方向に延出するレバーが形成されており、ベースには、孔をそれぞれ貫通する、点対称の位置に設けられた少なくとも一対の軸が設けられ、カバーには、レバーが外周方向に突出し、周方向に可動となる範囲で、下方側に向けて切り欠かれた切欠部と、軸がそれぞれ挿入される穴が設けられている構成としてもよい。本構成によっても、羽根のレバーを周方向に移動させることにより、一対の羽根の内周面で形成する径を大小可変にすることができる。
【0012】
また、羽根とベース又はカバーの間に配設され、羽根の孔に対応する位置に軸貫通孔が設けられている、環状の羽根固定リングをさらに具える構成とすれば、人工ニップル取付具を組立てるときに、羽根が軸から抜けることを防止し易いので、組立て易くすることができる。
【0013】
また、内径可変機構が一対の弧状の羽根であり、ベースには、対向する位置に、上方側に突出した一対のレール壁が形成され、羽根がレール壁の任意の位置で掛止されるように構成してもよい。本構成によれば、レール壁に沿って一対の羽根を移動させることにより、一対の羽根の内周面で形成する径を大小可変にすることができる。
【0014】
また、内径可変機構が弧状の羽根であり、ベースには、対向する位置に、上方側に突出した一対のレール壁と、レール壁と連続する弧状の側壁が形成され、羽根がレール壁の任意の位置で掛止されるように構成することもできる。本構成によれば、レール壁に沿って羽根を移動させることにより、羽根と側壁の内周面で形成する径を大小可変にすることができる。
【0015】
また、内径可変機構が環状の弾性部材である構成としてもよい。本構成によれば、環状の弾性部材を変形させることにより、弾性部材の内周面で形成する径を大小可変にすることができる。
【0016】
また、雌ねじに螺合可能な、容器本体と連結される連結アタッチメントをさらに具える構成とすれば、様々な形態の容器本体に連結可能な人工ニップル取付具とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第一実施形態の人工ニップル取付具に第一人工ニップルを取付けた状態の縦断面図。
図2図1の人工ニップル取付具の組立前の斜視図。
図3図1の人工ニップル取付具の組立時の開状態の斜視図。
図4図1の人工ニップル取付具の組立時の閉状態の斜視図。
図5図1の人工ニップル取付具に第二人工ニップルを取付けた状態の縦断面図。
図6図1の人工ニップル取付具のカバー、羽根、固定リングの組立を説明する斜視図。
図7図1の人工ニップル取付具の開状態を説明する、ベースを省略した底面図。
図8図1の人工ニップル取付具の閉状態を説明する、ベースを省略した底面図。
図9】本発明の第二実施形態の人工ニップル取付具の開状態の平面図。
図10】本発明の第二実施形態の人工ニップル取付具の閉状態の平面図。
図11】本発明の第三実施形態の人工ニップル取付具の開状態の平面図。
図12】本発明の第三実施形態の人工ニップル取付具の閉状態の平面図。
図13】本発明の第四実施形態の人工ニップル取付具の開状態の縦断面図。
図14】本発明の第四実施形態の人工ニップル取付具の閉状態の縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施例を、図1~14を参照して説明する。但し、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態の人工ニップル取付具10に第一人工ニップル30を取付けた状態の縦断面図である。人工ニップル取付具10は、後に詳述するように、容器本体(図示省略)に装着される。
【0020】
人工ニップル取付具10は、環状のベース12、環状のカバー14、内径の大きさを変動させる内径可変機構である弧状の第一乃至第四羽根22,24,26,28、環状の羽根固定リング16を具えている。第一羽根22と第二羽根24、及び第三羽根26と第四羽根28は、それぞれで対をなしている。ベース12、カバー14、第一乃至第四羽根22,24,26,28、及び羽根固定リング16は、公知の樹脂素材や金属素材で形成することができる。
【0021】
図2は、人工ニップル取付具10の組立前の斜視図である。ベース12の内周側には、雌ねじ13が形成されている。雌ねじ13を哺乳瓶やペットボトル等の容器本体の開口部に設けられている雄ねじに螺合させることにより、人工ニップル取付具10は、容器本体に装着される。なお、雌ねじ13にねじ込まれる、ストロー程度の径の孔を具えた連結アタッチメント(図示省略)を具える構成とすることにより、紙パック等のストロー差込口に挿入して人工ニップル取付具10を使用することもできる。このように、連結アタッチメントをさらに具える構成とすれば、様々な形態の容器本体に連結可能な人工ニップル取付具10とすることができる。
【0022】
ベース12の上面には、複数の穴12aが点対称の位置に設けられている。穴12aは、有底でも無底でもよい。穴12aには、後述するように、カバー14に設けられている、穴12aと同数の軸14aがそれぞれ挿入される。また、ベース12の側面には、その上方に向けて切り欠かれたベース切欠部12bが設けられている。ベース切欠部12bには、カバー14の下方に向けて延出する凸部14cが隙間なく嵌合する(図3も参照)。本構成により、カバー14の軸14aとベース12の穴12aの位置合わせをし易くすることができる。なお、ベース切欠部12bと凸部14cは、少なくとも1つ設けられていればよい。
【0023】
カバー14の軸14aは、ベース12の穴12aの位置に対応するように、点対称の位置に対で設けられている。カバー14には、下方側に向けて切り欠かれた複数の切欠部14bが形成されている。切欠部14bは、後述する第一乃至第四羽根22,24,26,28が有する第一乃至第四レバー22a,24a,26a,28aが外周方向に突出し、周方向に可動となる範囲で設けられている(図3も参照)。
【0024】
第一乃至第四羽根22,24,26,28は、基本的には同様の構成を有している。第一羽根22と第二羽根24、第三羽根26と第四羽根28は、それぞれ対をなしており、いずれか一対を省略した構成としてもよい。また、人工ニップル取付具10では、第一乃至第四羽根22,24,26,28は、半弧形状で約180°の範囲で形成されているが、後述する機能を発揮可能であれば、その角度は任意で設定すればよい。
【0025】
第一乃至第四羽根22,24,26,28は、それぞれ、一端側に、カバー14の軸14aが貫通する大きさの第一乃至第四孔22c,24c,26b,28bが形成されている。一方、他端側には、外周方向に延出する第一乃至第四レバー22a,24a,26a,28aが形成されている。第一乃至第四レバー22a,24a,26a,28aは、カバー14の切欠部14bからそれぞれ外周方向に突出する程度の寸法を有する(図3も参照)。
【0026】
羽根は、第一・第二羽根22,24のように、内周側に肉厚部22b,24bが形成された構成としてもよい。肉厚部22b,24bの有無やその厚みを変更することにより、羽根の内周側の厚みのバリエーションを増やし、様々な人工ニップルに合った羽根とすることができる。
【0027】
人工ニップル取付具10は、第三・第四羽根26,28とベース12の間に配設される、環状の羽根固定リング16を具えた構成とすることができる。羽根固定リング16には、第一乃至第四羽根22,24,26,28の第一乃至第四孔22c,24c,26b,28bに対応する位置に、カバー14の軸14aがそれぞれ貫通する軸貫通孔16aが設けられている。また、羽根固定リング16の側面には、カバー14の凸部14cが嵌る凹部16bを設けることもできる。
【0028】
羽根固定リング16を具えることにより、人工ニップル取付具10を組立てるときに、第一乃至第四羽根22,24,26,28が軸14aから抜けることを防止し易いので、組立て易くすることができる。具体的には、図6に示すように、カバー14の軸14aに、第一・第二羽根22,24の第一・第二孔22c,24cを嵌め、次いで第三・第四羽根26,28の第三・第四孔26b,28bを嵌める。このとき、第一乃至第四羽根22,24,26,28の第一乃至第四レバー22a,24a,26a,28aがカバー14の切欠部14bからそれぞれ外周方向に突出するように配設する。その次に、羽根固定リング16の軸貫通孔16aに軸14aを貫通させる。このとき、羽根固定リング16に凹部16bが設けられていれば、軸貫通孔16aの軸14aに対する位置決めをし易くすることができる。このとき、羽根固定リング16を保持すれば、第一乃至第四羽根22,24,26,28が軸14aから抜けることを防止することができるので、人工ニップル取付具10を組立て易くすることができる。
【0029】
図3は、人工ニップル取付具10の組立時の開状態の斜視図である。開状態とは、第一・第二羽根22,24、及び第三・第四羽根26,28のそれぞれの対の内周面で形成される径が大径である状態のことである。図3に示されているように、人工ニップル取付具10の組立時の開状態のとき、第一・第二羽根22,24は、それらの間に間隔を有するように、すなわち、第一羽根22と第二羽根24が接しない状態で配設される。これは、第三・第四羽根26,28も同様である。
【0030】
図4は、人工ニップル取付具10の組立時の閉状態の斜視図である。閉状態とは、第一・第二羽根22,24、及び第三・第四羽根26,28のそれぞれの対の内周面で形成される径が小径である状態のことである。開状態と閉状態は、図7及び図8に示すように、第一乃至第四羽根22,24,26,28の第一乃至第四レバー22a,24a,26a,28aをそれぞれ周方向に移動させることにより、第一乃至第四羽根22,24,26,28が、第一乃至第四孔22c,24c,26b,28bを貫通するそれぞれの軸14aを中心に回動することによって切り換えられる。このとき、第一・第二羽根22,24、及び第三・第四羽根26,28のそれぞれの対の内周面で形成される径、すなわち空間11の大きさが大小で切換る。なお、開状態と閉状態の間の任意の位置で第一乃至第四レバー22a,24a,26a,28aの周方向移動を固定するロック機構を具える構成としてもよい。
【0031】
図1は、開状態の人工ニップル取付具10に第一人工ニップル30を取付けた状態の縦断面図であり、図5は、閉状態の人工ニップル取付具10に第二人工ニップル30aを取付けた状態の縦断面図である。このように、人工ニップル取付具10によれば、第一乃至第四羽根22,24,26,28の第一乃至第四レバー22a,24a,26a,28aを周方向に移動させることにより、第一・第二羽根22,24、及び第三・第四羽根26,28のそれぞれの対の内周面で形成する径を大小可変にすることができるから、径の異なる第一・第二人工ニップル30,30aであっても、第一乃至第四羽根22,24,26,28で第一又は第二人工ニップル30,30aを挟持又は抜止めして、容器本体に装着させることができる。
【0032】
図示しての説明は省略するが、他の実施形態として、カバー14に切欠部14bを設けることに換えて、ベースに切欠部を設けた構成とすることも可能である。また、カバー14が軸14aを有する構成に換えて、ベースが軸を具え、ベース12の穴12aに換えて、カバーが孔を具える構成としてもよい。このとき、羽根固定リングは、羽根とカバーの間に配設されるようにすればよい。
【0033】
図9は、本発明の第二実施形態の人工ニップル取付具40の開状態の平面図である。人工ニップル取付具40は、ベース42と、一対の弧状の羽根52から構成される内径可変機構を有する。ベース42には、対向する位置に、上方側に突出した一対のレール壁43が形成されている。
【0034】
羽根52は、レール壁43の任意の位置で掛止されるように構成されている。具体的には、レール壁43の対向する面には、連続する凹部44が形成され、羽根52には、凹部44に嵌合する凸部54が形成されている。凸部54は、羽根52をレール壁43に沿って移動させた際に、連続する凹部44と順に嵌合するように弾性を有するように形成されている。
【0035】
本構成によれば、レール壁43に沿って一対の羽根52を移動させることにより、一対の羽根52の内周面で形成する径を大小可変にすることができる(図10も参照)。なお、一対の羽根52をレール壁43に沿って移動させ易くするために、羽根52に突起部56(凹み部でもよい)を設けるのがよい。また、凹部44とこれに対応する凸部54は、レール壁43の対向面の一方のみに設ける構成としてもよく、凹部44の数は2個以上であればよい。
【0036】
図11は、本発明の第三実施形態の人工ニップル取付具60の開状態の平面図である。人工ニップル取付具60は、ベース62と、弧状の羽根72から構成される内径可変機構を有する。ベース62には、対向する位置に、上方側に突出した一対のレール壁63と、レール壁63と連続する弧状の側壁65が形成されている。
【0037】
羽根72は、レール壁63の任意の位置で掛止されるように構成されている。具体的には、レール壁63の対向する面には、連続する凹部64が形成され、羽根72には、凹部64に嵌合する凸部74が形成されている。凸部74は、羽根72をレール壁63に沿って移動させた際に、連続する凹部64と順に嵌合するように弾性を有するように形成されている。
【0038】
本構成によれば、レール壁63に沿って羽根72を移動させることにより、羽根72と側壁65の内周面で形成する径を大小可変にすることができる(図12も参照)。なお、羽根72をレール壁63に沿って移動させ易くするために、羽根72に突起部76(凹み部でもよい)を設けるのがよい。また、凹部64とこれに対応する凸部74は、レール壁63の対向面の一方のみに設ける構成としてもよく、凹部44の数は2個以上であればよい。
【0039】
図13は、本発明の第四実施形態の人工ニップル取付具80の開状態の縦断面図である。人工ニップル取付具80は、ベース82と、ベース82に取付けられた環状の弾性部材84から構成される内径可変機構を有する。弾性部材84としては、ゴムやシリコンを使用することができる。本構成によれば、環状の弾性部材84を変形させることにより、弾性部材84の内周面で形成する径を大小可変にすることができる(図14も参照)。
【0040】
以上に説明した通り、本発明によれば、複数種の人工ニップルを容器本体に装着させ易い人工ニップル取付具とすることができる。
【符号の説明】
【0041】
10,40,60,80 人工ニップル取付具
12,42,62,82 ベース
12a 穴
13 雌ねじ
14 カバー
14a 軸
14b 切欠部
16 羽根固定リング
16a 軸貫通孔
22,24,26,28,52,72 羽根(内径可変機構)
84 弾性部材(内径可変機構)
22a,24a,26a,28a レバー
22c,24c,26b,28b 孔
43,63 レール壁

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14