(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-11
(45)【発行日】2024-12-19
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/06 20120101AFI20241212BHJP
G06Q 30/0601 20230101ALI20241212BHJP
【FI】
G06Q20/06
G06Q30/0601
(21)【出願番号】P 2022205248
(22)【出願日】2022-12-22
(62)【分割の表示】P 2022121307の分割
【原出願日】2022-07-29
【審査請求日】2022-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】江田 哲平
(72)【発明者】
【氏名】下平 正人
(72)【発明者】
【氏名】辻 恭平
【審査官】小原 正信
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-258969(JP,A)
【文献】韓国登録特許第2349632(KR,B1)
【文献】特開2020-000769(JP,A)
【文献】特開2022-085428(JP,A)
【文献】特開2020-201554(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
購入要求者が仮想空間上の領域内の仮想的な店舗である仮想店舗において商品を購入するための購入要求を受け付ける受付部と、
前記領域又は前記仮想店舗が、前記購入要求者を識別するための識別情報に関連付けられた
第1口座において管理されている暗号資産を決済に利用可能な実空間上の地域又は前記実空間上の店舗である実店舗に関連付けられていることを条件として、前記購入要求における前記商品の代金
に対応する前記暗号資産を
、前記
第1口座
から、前記仮想店舗を識別するための識別情報に関連付けられた第2口座に移転するための指示を出力する出力部と、
を有する、情報処理装置。
【請求項2】
前記購入要求者が利用する情報端末において、前記領域内に前記仮想店舗の情報を表示させる表示制御部をさらに有する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記受付部は、前記購入要求者が、前記情報端末において前記仮想空間上で前記仮想店舗を指定する操作を行ったことに応じて、前記購入要求を受け付ける、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記出力部は、前記購入要求者が前記仮想店舗において前記商品を購入したことに対する対価を、前記仮想店舗から前記領域の運営者に支払うための対価支払指示をさらに出力する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記領域又は前記仮想店舗が、前記地域又は前記実店舗に関連付けられているか否かを判定する判定部をさらに有する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記出力部は、前記領域が前記地域を管轄する自治体又は前記地域内の事業者によって運営されていることを条件として、前記指示を出力する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記暗号資産の原資は、前記自治体又は前記事業者によって提供される、
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記出力部は、前記仮想店舗を運営する事業者と前記実店舗を運営する事業者とが同一であること又は所定の関係にあることを条件として、前記指示を出力する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記出力部は、前記仮想空間が前記実空間を模擬することによって前記仮想空間と前記実空間とが予め関連付けられている場合に、前記領域又は前記仮想店舗と前記地域又は前記実店舗とが所定の位置関係にあることを条件として、前記指示を出力する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記出力部は、ブロックチェーン上に記録された、前記領域又は前記仮想店舗と前記地域又は前記実店舗とが関連付けられているか否かを示す関連付け情報において、前記領域又は前記仮想店舗が、前記地域又は前記実店舗に関連付けられていることを条件として、前記指示を出力する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記仮想店舗における前記購入要求者による前記暗号資産を利用した決済と、前記実空間上の店舗における前記購入要求者による前記暗号資産を利用した決済と、は前記購入要求者を識別するための共通の又は互いに関連付けられた前記識別情報を用いて実行される、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記暗号資産を用いた決済は、前記実空間上の前記地域内の店舗において実行可能であり、前記実空間上の前記地域外の店舗において実行不可能である、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記指示は、ブロックチェーンに対して、前記暗号資産を前記購入要求者の口座から前記仮想店舗の口座に移転することを示すデータを追加するための指示である、
請求項
1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項14】
プロセッサが実行する、
購入要求者が仮想空間上の領域内の仮想的な店舗である仮想店舗において商品を購入するための購入要求を受け付けるステップと、
前記領域又は前記仮想店舗が、前記購入要求者を識別するための識別情報に関連付けられた
第1口座において管理されている暗号資産を決済に利用可能な実空間上の地域又は前記実空間上の店舗である実店舗に関連付けられていることを条件として、前記購入要求における前記商品の代金
に対応する前記暗号資産を
、前記
第1口座
から、前記仮想店舗を識別するための識別情報に関連付けられた第2口座に移転するための指示を出力するステップと、
を有する、情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暗号資産に関する情報を処理するための情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ユーザがインターネット上で購入する商品の代金を、仮想通貨等の暗号資産を用いて決済するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特定の地域又は店舗における経済循環を活性化させるために、当該地域又は店舗で利用可能な暗号資産をユーザに対して発行することが考えられる。このような暗号資産を用いてインターネット上で自由に商品を購入できるようにすると、暗号資産が特定の地域又は店舗以外に容易に流出するため、特定の地域又は店舗における経済循環を活性化させる目的を十分に達成できない可能性がある。一方、暗号資産を用いてインターネット上で商品を購入できないようにすると、暗号資産の利便性が低下し、暗号資産の普及が妨げられる可能性がある。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、特定の地域又は店舗における経済循環を活性化させることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の情報処理装置は、購入要求者が仮想空間上の領域内の仮想的な店舗である仮想店舗において商品を購入するための購入要求を受け付ける受付部と、前記領域又は前記仮想店舗が、暗号資産を決済に利用可能な実空間上の地域又は前記実空間上の店舗である実店舗に関連付けられていることを条件として、前記購入要求における前記商品の代金を前記暗号資産により支払うための指示を出力する出力部と、を有する。
【0007】
前記情報処理装置は、前記購入要求者が利用する情報端末において、前記領域内に前記仮想店舗の情報を表示させる表示制御部をさらに有してもよい。
【0008】
前記受付部は、前記購入要求者が、前記情報端末において前記仮想空間上で前記仮想店舗を指定する操作を行ったことに応じて、前記購入要求を受け付けてもよい。
【0009】
前記出力部は、前記購入要求者が前記仮想店舗において前記商品を購入したことに対する対価を、前記仮想店舗から前記領域の運営者に支払うための対価支払指示をさらに出力してもよい。
【0010】
前記情報処理装置は、前記領域又は前記仮想店舗が、前記地域又は前記実店舗に関連付けられているか否かを判定する判定部をさらに有してもよい。
【0011】
前記出力部は、前記領域が前記地域を管轄する自治体又は前記地域内の事業者によって運営されていることを条件として、前記指示を出力してもよい。
【0012】
前記暗号資産の原資は、前記自治体又は前記事業者によって提供されてもよい。
【0013】
前記出力部は、前記仮想店舗を運営する事業者と前記実店舗を運営する事業者とが同一であること又は所定の関係にあることを条件として、前記指示を出力してもよい。
【0014】
前記出力部は、前記仮想空間が前記実空間を模擬することによって前記仮想空間と前記実空間とが予め関連付けられている場合に、前記領域又は前記仮想店舗と前記地域又は前記実店舗とが所定の位置関係にあることを条件として、前記指示を出力してもよい。
【0015】
前記出力部は、ブロックチェーン上に記録された、前記領域又は前記仮想店舗と前記地域又は前記実店舗とが関連付けられているか否かを示す関連付け情報において、前記領域又は前記仮想店舗が、前記地域又は前記実店舗に関連付けられていることを条件として、前記指示を出力してもよい。
【0016】
前記仮想店舗における前記購入要求者による前記暗号資産を利用した決済と、前記実空間上の店舗における前記購入要求者による前記暗号資産を利用した決済と、は前記購入要求者を識別するための共通の又は互いに関連付けられたユーザ識別情報を用いて実行されてもよい。
前記暗号資産を用いた決済は、前記実空間上の前記地域内の店舗において実行可能であり、前記実空間上の前記地域外の店舗において実行不可能であってもよい。
前記指示は、前記暗号資産を、前記購入要求者の口座から前記仮想店舗の口座に移転するための指示であってもよい。
前記指示は、ブロックチェーンに対して、前記暗号資産を前記購入要求者の口座から前記仮想店舗の口座に移転することを示すデータを追加するための指示であってもよい。
【0017】
本発明の第2の態様の情報処理方法は、プロセッサが実行する、購入要求者が仮想空間上の領域内の仮想的な店舗である仮想店舗において商品を購入するための購入要求を受け付けるステップと、前記領域又は前記仮想店舗が、暗号資産を決済に利用可能な実空間上の地域又は前記実空間上の店舗である実店舗に関連付けられていることを条件として、前記購入要求における前記商品の代金を前記暗号資産により支払うための指示を出力するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、特定の地域又は店舗における経済循環を活性化させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施形態に係る情報処理システムの模式図である。
【
図2】実施形態に係る情報処理システムのブロック図である。
【
図3】情報処理システムが暗号資産を管理する方法を説明するための模式図である。
【
図4】関連付け情報を説明するための模式図である。
【
図5】仮想空間を表示しているユーザ端末の模式図である。
【
図6】購入要求者、仮想店舗及び運営者の関係を説明するための模式図である。
【
図7】実施形態に係る情報処理システムが実行する例示的な情報処理方法のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[情報処理システムSの概要]
図1は、本実施形態に係る情報処理システムSの模式図である。情報処理システムSは、管理サーバ1と、ユーザ端末2と、を含む。情報処理システムSは、その他のサーバ、端末等の機器を含んでもよい。
【0021】
管理サーバ1(情報処理装置)は、暗号資産に関する情報を管理するとともに、仮想空間に関する情報を管理するコンピュータである。管理サーバ1は、ネットワークを介してユーザ端末2と通信可能である。
【0022】
仮想空間は、コンピュータ上に形成された仮想的な空間である。仮想空間は、ユーザ端末2において面積又は体積を有する領域として表示される。仮想空間は、例えば、一又は複数の仮想的な領域である仮想領域に分割されている。各仮想領域は、所定の自治体や事業者等の運営者に関連付けられており、当該運営者によって運営される。各仮想領域内には、仮想的な店舗である一又は複数の仮想店舗が配置される。
【0023】
一方、ユーザが生活する実際の空間を実空間といい、実空間上の地域(例えば、都道府県又は市区町村)に配置された店舗を実店舗という。仮想領域は、所定の地域に関連付けられていてもよい。この場合に、仮想領域は、例えば、地域を管轄する自治体又は地域内の事業者によって運営されている。また、仮想店舗は、所定の実店舗に関連付けられていてもよい。この場合に、例えば、仮想店舗を運営する事業者と実店舗を運営する事業者とが同一である。
【0024】
ユーザは、ユーザ端末2を用いて、インターネット等のネットワークを介して、仮想空間にアクセスし、仮想店舗において暗号資産を利用して商品を購入することができる。仮想店舗において売買される商品は、例えば、デジタルデータ、サービス、物品等である。ユーザが仮想店舗において物品を購入した場合に、仮想店舗は当該物品を実空間においてユーザの住所に送付してもよい。
【0025】
暗号資産は、地域又は実店舗における代金の決済等に利用可能な電子的な資産である。暗号資産は、法定通貨(日本円や米国ドル等)とは異なる電子的な資産である。暗号資産は、法定通貨を裏付けとした電子的な資産、例えば法定通貨と同等の価値及び保証を有する電子的な資産であってもよい。暗号資産は、例えば、ステーブルコインやデジタル通貨を含む。暗号資産は、例えば、地域を管轄する自治体又は地域内の事業者によってユーザに対して発行される。暗号資産は、例えば、記憶装置において当該暗号資産を保有するユーザに関連付けられており、決済に利用される際にあるユーザから別のユーザに移転される。
【0026】
暗号資産は、例えば、ブロックチェーンによって管理される電子的な資産である。また、暗号資産は、ブロックチェーンに限られず、データベース等によって管理される電子的な資産であってもよい。暗号資産は、決済に利用される所定の単位(例えば、流通する単位)である資産単位で管理される。以下、暗号資産の資産単位をコインと呼ぶが、その他の名称であってもよい。
【0027】
本実施形態において、暗号資産は、例えば、所定の地域において利用可能な地域デジタル通貨である。地域デジタル通貨である暗号資産を用いた決済は、実空間上の所定の地域内の店舗において実行可能であり、実空間上の当該地域外の店舗において実行不可能である。また、暗号資産は、例えば、所定の実店舗において利用可能な店舗内通貨であってもよい。店舗内通貨である暗号資産を用いた決済は、実空間上の所定の実店舗において実行可能であり、実空間上の当該実店舗以外の店舗において実行不可能である。
【0028】
また、2人のユーザ間で商品の売買(例えば、個人間取引のWebサイトにおける売買)がなされる場合に、商品を販売するユーザ個人を店舗として扱ってもよい。この場合に、商品を販売するユーザの住所に基づいて、店舗が地域内にあるか否かの判定が行われてもよい。
【0029】
管理サーバ1は、各ユーザが保有する暗号資産を、当該ユーザに関連付けられた暗号資産口座において管理する。管理サーバ1は、例えば、ブロックチェーンにおいて暗号資産の保有者をあるユーザから別のユーザに変更することにより、暗号資産をあるユーザの暗号資産口座から別のユーザの暗号資産口座に移転する。
【0030】
ユーザ端末2は、購入要求者であるユーザが利用する情報端末である。購入要求者は、例えば、仮想店舗において暗号資産を利用して商品の購入を希望するユーザである。ユーザ端末2は、例えば、スマートフォン、タブレット端末又はパーソナルコンピュータである。ユーザ端末2は、操作を受け付けるためのタッチパネルやキーボード等の操作部と、情報を表示するための液晶ディスプレイ等の表示部と、を有する。ユーザ端末2は、ネットワークを介して管理サーバ1と通信可能である。
【0031】
本実施形態に係る情報処理システムSが実行する処理の概要を以下に説明する。管理サーバ1は、仮想空間内の仮想店舗に関する情報を表示するための表示情報をユーザ端末2に送信する(1)。表示情報は、各仮想領域内の一又は複数の仮想店舗の店舗情報を含む。ユーザ端末2は、表示部において、仮想空間上の仮想領域内に仮想店舗の店舗情報を表示する。
【0032】
購入要求者は、ユーザ端末2を用いて、仮想店舗において購入を希望する商品を指定する。管理サーバ1は、購入要求者が利用しているユーザ端末2から、暗号資産を利用して商品を購入するための購入要求を受け付ける(2)。
【0033】
管理サーバ1は、購入要求が示す仮想店舗が配置されている仮想領域又は当該仮想店舗が、購入要求が示す暗号資産を利用可能な地域又は実店舗に関連付けられているか否かを判定する(3)。管理サーバ1は、例えば、仮想領域が地域を管轄する自治体又は地域内の事業者によって運営されていることを条件として、仮想領域が地域に関連付けられていると判定する。また、管理サーバ1は、例えば、仮想店舗を運営する事業者と実店舗を運営する事業者とが同一であることを条件として、仮想店舗が実店舗に関連付けられていると判定する。
【0034】
管理サーバ1は、仮想領域又は仮想店舗が地域又は実店舗に関連付けられていると判定されたことを条件として、商品を購入要求者に提供するための提供指示を出力するとともに(4)、商品の代金を購入要求者から仮想店舗に暗号資産により支払うための代金支払指示を出力する(5)。仮想店舗は、提供指示に従って商品を購入要求者に提供する。管理サーバ1は、代金支払指示に従って暗号資産を購入要求者の暗号資産口座から仮想店舗の暗号資産口座に移転する。
【0035】
このように、情報処理システムSは、購入要求者が商品を購入しようとしている仮想空間上の仮想領域又は仮想店舗が、実空間上の地域又は実店舗に関連付けられていることを条件として、購入要求者が暗号資産を利用して当該商品を購入可能にする。これにより、情報処理システムSは、暗号資産を利用可能な地域又は実店舗に関連のある仮想領域又は仮想店舗においてのみ当該暗号資産を利用可能にできるため、当該地域又は実店舗における経済循環を活性化させることができる。
【0036】
[情報処理システムSの構成]
図2は、本実施形態に係る情報処理システムSのブロック図である。
図2において、矢印は主なデータの流れを示しており、
図2に示したもの以外のデータの流れがあってもよい。
図2において、各ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、
図2に示すブロックは単一の装置内に実装されてもよく、あるいは複数の装置内に分かれて実装されてもよい。ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてもよい。
【0037】
管理サーバ1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13と、を有する。管理サーバ1は、2つ以上の物理的に分離した装置が有線又は無線で接続されることにより構成されてもよい。また、管理サーバ1は、コンピュータ資源の集合であるクラウドによって構成されてもよい。
【0038】
通信部11は、ネットワークを介してユーザ端末2との間でデータを送受信するための通信コントローラを有する。通信部11は、ユーザ端末2からネットワークを介して受信したデータを制御部13に通知する。また、通信部11は、ネットワークを介して、制御部13から出力されたデータをユーザ端末2に送信する。
【0039】
記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを予め記憶している。また、記憶部12は、仮想空間における各仮想領域内の一又は複数の仮想店舗の店舗情報を記憶している。また、記憶部12は、仮想領域又は仮想店舗と地域又は実店舗とを関連付けた関連付け情報を予め記憶している。記憶部12は、管理サーバ1の外部に設けられてもよく、その場合にネットワークを介して制御部13との間でデータの授受を行ってもよい。
【0040】
制御部13は、表示制御部131と、受付部132と、取得部133と、判定部134と、出力部135と、暗号資産処理部136と、を有する。制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、表示制御部131、受付部132、取得部133、判定部134、出力部135及び暗号資産処理部136として機能する。表示制御部131、受付部132、取得部133、判定部134、出力部135及び暗号資産処理部136それぞれが行う処理については後述する。
【0041】
[口座の説明]
まず、情報処理システムSが暗号資産を管理する方法を説明する。
図3は、情報処理システムSが暗号資産を管理する方法を説明するための模式図である。管理サーバ1は、複数のユーザそれぞれが保有する暗号資産を、暗号資産口座において管理する。複数のユーザそれぞれの暗号資産口座は、当該ユーザを識別するためのユーザ識別情報(ユーザID(Identification))に関連付けられている。管理サーバ1は、暗号資産の管理として、暗号資産口座に対して暗号資産を入金及び出金し、又は複数の暗号資産口座間で通貨を移転する。
【0042】
管理サーバ1は、例えば、ブロックチェーンを用いて、コインを資産単位として暗号資産を管理する。管理サーバ1は、例えば、ユーザのユーザIDと、当該ユーザの暗号資産口座における取引の内容と、を関連付けたデータ(ブロック)を、ネットワーク上の一又は複数の記憶装置上にブロックチェーンとして記憶する。各ブロックは、ユーザの暗号資産口座間で暗号資産が移転されたことを示す一又は複数のトランザクションを含む。ブロックチェーン内の各ブロックには所定の規則で生成されたハッシュ値が含まれており、ブロック間のハッシュ値の整合性を確認することによりブロックチェーン全体の正しさが担保される。
【0043】
管理サーバ1は、ブロックチェーンに限られず、例えば、ユーザのユーザIDと、当該ユーザの暗号資産口座において管理されている暗号資産と、を関連付けたデータを、管理サーバ1が有する記憶部12上にデータベースとして記憶してもよい。
【0044】
[関連付け情報の説明]
次に、記憶部12が記憶する関連付け情報を説明する。
図4(a)、
図4(b)は、関連付け情報を説明するための模式図である。関連付け情報は、仮想領域又は仮想店舗と地域又は実店舗とが関連付けられていることを示す情報である。
【0045】
図4(a)の例では、仮想空間における仮想領域と実空間における地域とが関連付けられている。関連付け情報は、例えば、仮想領域が実空間における地域を管轄する自治体によって運営されていること、又は仮想領域が実空間における地域内の事業者によって運営されていることを示すことにより、仮想領域と地域とが関連付けられていることを示す。この場合に、地域を管轄する自治体又は地域内の事業者は、例えば、暗号資産の原資を提供する主体である。仮想領域を運営することは、例えば、仮想領域の権利を保有していること、仮想領域の権利を保有している者から営業権が付与されていること、仮想領域に配置されている全ての店舗を運営する事業者であること等を含む。関連付け情報は、NFT(Non-Fungible Token)としてブロックチェーン上に記録されてもよい。1つの仮想領域は、複数の地域に関連付けられていてもよい。また、複数の仮想領域は、1つの地域に関連付けられていてもよい。
【0046】
図4(b)の例では、仮想空間における仮想店舗と実空間における実店舗とが関連付けられている。関連付け情報は、例えば、仮想店舗を運営する事業者と実店舗を運営する事業者とが同一であること又は所定の関係(提携関係、支配関係等)にあることを示すことにより、仮想店舗と実店舗とが関連付けられていることを示す。1つの仮想店舗は、複数の実店舗に関連付けられていてもよい。また、複数の仮想店舗は、1つの実店舗に関連付けられていてもよい。
【0047】
関連付け情報は、上述の具体的な関係に限られず、仮想領域又は仮想店舗と地域又は実店舗とが所定の関係により関連付けられていることを示せばよい。関連付け情報は、例えば、仮想空間が実空間を模擬することによって仮想空間と実空間とが予め関連付けられている場合に、仮想領域又は仮想店舗(座標等)と地域又は実店舗(市区町村等)とが所定の位置関係にあることにより、仮想領域又は仮想店舗と地域又は実店舗とが関連付けられていることを示してもよい。また、関連付け情報は、仮想領域と実店舗とが関連付けられていることを示してもよく、仮想店舗と地域とが関連付けられていることを示してもよい。
【0048】
[購入処理の説明]
情報処理システムSが購入要求者に仮想店舗から商品を購入させる処理を実行するための構成を以下に説明する。管理サーバ1において、表示制御部131は、記憶部12に予め記憶された、仮想領域における各仮想領域内の一又は複数の仮想店舗の店舗情報を取得する。店舗情報は、例えば、仮想店舗が位置する仮想空間上の座標と、仮想店舗が販売する商品の内容及び価格等の情報と、を含む。例えば、仮想店舗が位置する仮想空間上の座標が特定の仮想領域に含まれている場合に、当該仮想店舗は当該仮想領域内に配置される。
【0049】
表示制御部131は、取得した店舗情報を含む表示情報をユーザ端末2に送信することにより、ユーザ端末2において仮想領域内に仮想店舗の店舗情報を表示させる。ユーザ端末2は、管理サーバ1から受信した表示情報に従って、表示部において、仮想空間上の仮想領域内に仮想店舗の店舗情報を表示する。
【0050】
図5は、仮想空間を表示しているユーザ端末2の模式図である。購入要求者は、操作部を用いて仮想空間上で購入要求者に対応する画像(アバタ、アイコン等)を操作することによって、仮想店舗を指定する。ユーザ端末2は、管理サーバ1から受信した表示情報が含む店舗情報に基づいて、購入要求者が指定した仮想店舗が販売する商品の内容及び価格を表示する。
【0051】
ユーザ端末2は、購入者が指定した仮想店舗において、購入要求者が購入を希望する商品と、商品の購入に利用する暗号資産と、の指定を受け付ける。ユーザ端末2は、購入要求者によって所定の操作が行われたことに応じて、指定された暗号資産を利用して指定された商品を購入するための購入要求を管理サーバ1に送信する。購入要求は、例えば、購入要求者のユーザIDと、仮想店舗を識別するための店舗識別情報(店舗ID)と、購入要求者によって指定された商品と、購入要求者によって指定された暗号資産と、を示す情報である。
【0052】
管理サーバ1において、受付部132は、ユーザ端末2から購入要求を受け付ける。取得部133は、記憶部12に予め記憶された関連付け情報を取得する。関連付け情報は、
図4(a)、
図4(b)に例示した、仮想領域又は仮想店舗と地域又は実店舗とが関連付けられていることを示す情報である。
【0053】
判定部134は、取得部133が取得した関連付け情報に基づいて、購入要求が示す仮想店舗が配置されている仮想領域又は当該仮想店舗が、購入要求が示す暗号資産を利用可能な地域又は実店舗に関連付けられているか否かを判定する。
【0054】
判定部134は、例えば、購入要求が示す仮想店舗が配置されている仮想領域が、購入要求が示す暗号資産を利用可能な地域を管轄する自治体又は当該地域内の事業者によって運営されていると関連付け情報が示す場合に、当該仮想領域が当該地域に関連付けられていると判定し、そうでない場合に、当該仮想領域が当該地域に関連付けられていないと判定する。
【0055】
また、判定部134は、例えば、購入要求が示す仮想店舗を運営する事業者と、購入要求が示す暗号資産を利用可能な実店舗を運営する事業者と、が同一であると関連付け情報が示す場合に、当該仮想店舗が当該実店舗に関連付けられていると判定し、そうでない場合に、当該仮想領域が当該地域に関連付けられていないと判定する。判定部134は、ここに示した具体的な基準に限られず、その他の基準で仮想領域又は仮想店舗が地域又は実店舗に関連付けられているか否かを判定してもよい。
【0056】
出力部135は、仮想領域又は仮想店舗が地域又は実店舗に関連付けられていないと判定部134が判定したことを条件として、購入要求者が指定した暗号資産で商品を購入できないことを示す情報をユーザ端末2に送信する。ユーザ端末2は、管理サーバ1から受信した情報に基づいて、購入要求者が指定した暗号資産で商品を購入できないことを示す情報を表示部上に表示する。
【0057】
出力部135は、仮想領域又は仮想店舗が地域又は実店舗に関連付けられていると判定部134が判定したことを条件として、商品を購入要求者に提供するための提供指示(第1指示)と、商品の代金を購入要求者から仮想店舗に暗号資産により支払うための代金支払指示(第2指示)と、を出力する。また、出力部135は、提供指示及び代金支払指示に加えて、購入要求者が仮想店舗において商品を購入したことに対する対価を、仮想店舗から仮想領域の運営者に支払うための対価支払指示(第3指示)を出力してもよい。
【0058】
図6は、購入要求者、仮想店舗及び運営者の関係を説明するための模式図である。提供指示は、例えば、購入要求者が指定した商品と、購入要求者のユーザIDと、を示す情報である。商品が物品である場合に、提供指示は、ユーザ端末2において入力された、購入要求者に対して商品を送付するための情報(住所等)を示してもよい。出力部135は、例えば、提供指示を、仮想店舗に関連付けられた情報端末に送信する。仮想店舗は、出力部135が出力した提供指示に従って、デジタルデータである商品を購入要求者に送信し、サービスである商品を購入要求者に提供し、又は物品である商品を購入要求者に送付する。
【0059】
代金支払指示は、例えば、購入要求者が指定した商品の代金に対応する、購入要求者が指定した暗号資産の金額と、購入要求者のユーザIDと、仮想店舗(仮想店舗を運営する事業者)のユーザIDと、を示す情報である。出力部135は、例えば、代金支払指示を、暗号資産処理部136に通知する。暗号資産処理部136は、出力部135が出力した代金支払指示に従って、暗号資産を購入要求者の暗号資産口座から仮想店舗の暗号資産口座に移転する。暗号資産処理部136は、例えば、ブロックチェーンに対して、商品の代金に対応する一又は複数のコインを購入要求者の暗号資産口座から仮想店舗の暗号資産口座に移転することを示すトランザクションを追加する。
【0060】
これにより、管理サーバ1は、仮想領域又は仮想店舗が地域又は実店舗に関連付けられていることを条件として、購入要求者に仮想店舗から暗号資産を利用して商品を購入させることができる。
【0061】
対価支払指示は、例えば、仮想店舗が仮想領域の運営者に支払う対価と、仮想店舗のユーザIDと、仮想領域の運営者のユーザIDと、を示す情報である。対価は、例えば、所定の暗号資産、又は日本円等の法定通貨である。出力部135は、例えば、所定の算出式を用いて購入要求者が指定した商品の代金から対価を算出し、算出した対価を示す対価支払指示を出力する。
【0062】
対価が暗号資産である場合に、出力部135は、例えば、対価支払指示を、暗号資産処理部136に通知する。暗号資産処理部136は、出力部135が出力した対価支払指示に従って、暗号資産を仮想店舗の暗号資産口座から仮想領域の運営者の暗号資産口座に移転する。暗号資産処理部136は、例えば、ブロックチェーンに対して、対価に対応する一又は複数のコインを仮想店舗の暗号資産口座から仮想領域の運営者の暗号資産口座に移転することを示すトランザクションを追加する。
【0063】
対価が法定通貨である場合に、出力部135は、例えば、対価支払指示を、法定通貨を取り扱う銀行の銀行サーバに通知する。銀行サーバは、出力部135が出力した対価支払指示に従って、対価を仮想店舗の銀行口座から仮想領域の運営者の銀行口座に送金する。
【0064】
これにより、管理サーバ1は、購入要求者が仮想店舗で商品を購入したことに応じて仮想領域の運営者に対して対価を付与し、運営者が仮想領域を運営することに対するモチベーションを向上させることができる。
【0065】
仮想店舗における購入要求者による暗号資産を利用した決済と、実店舗における購入要求者による暗号資産を利用した決済と、は購入要求者を識別するための共通の又は互いに関連付けられたユーザIDを用いて実行されることが望ましい。この場合に、仮想店舗における決済に用いられるユーザID又は当該ユーザIDに関連付けられたユーザIDによって実店舗における決済が実行され、実店舗における決済に用いられるユーザID又は当該ユーザIDに関連付けられたユーザIDによって仮想店舗における決済が実行される。すなわち、購入要求者は、仮想空間においてユーザIDを用いて仮想店舗で暗号資産を利用して商品を購入できるとともに、実空間において当該ユーザIDを用いて実店舗で暗号資産を利用して商品を購入できる。これにより、購入要求者は、仮想空間と実空間とでユーザIDを別々に管理することなく、容易に商品を購入できる。
【0066】
[情報処理方法のシーケンス]
図7は、本実施形態に係る情報処理システムSが実行する例示的な情報処理方法のシーケンス図である。ユーザ端末2は、購入者が指定した仮想店舗において、購入要求者が購入を希望する商品と、商品の購入に利用する暗号資産と、の指定を受け付ける。ユーザ端末2は、購入要求者によって所定の操作が行われたことに応じて、指定された暗号資産を利用して指定された商品を購入するための購入要求を管理サーバ1に送信する(S11)。
【0067】
管理サーバ1において、受付部132は、ユーザ端末2から購入要求を受け付ける。取得部133は、記憶部12に予め記憶された関連付け情報を取得する(S12)。
【0068】
判定部134は、取得部133が取得した関連付け情報に基づいて、購入要求が示す仮想店舗が配置されている仮想領域又は当該仮想店舗が、購入要求が示す暗号資産を利用可能な地域又は実店舗に関連付けられているか否かを判定する(S13)。
【0069】
出力部135は、仮想領域又は仮想店舗が地域又は実店舗に関連付けられていないと判定部134が判定したことを条件として(S14のNO)、購入要求者が指定した暗号資産で商品を購入できないことを示す情報をユーザ端末2に送信する。ユーザ端末2は、管理サーバ1から受信した情報に基づいて、購入要求者が指定した暗号資産で商品を購入できないことを示す情報を表示部上に表示する。
【0070】
出力部135は、仮想領域又は仮想店舗が地域又は実店舗に関連付けられていると判定部134が判定したことを条件として(S14のYES)、商品を購入要求者に提供するための提供指示を出力する(S15)。仮想店舗は、出力部135が出力した提供指示に従って、デジタルデータである商品を購入要求者に送信し、サービスである商品を購入要求者に提供し、又は物品である商品を購入要求者に送付する。
【0071】
また、出力部135は、商品の代金を購入要求者から仮想店舗に暗号資産により支払うための代金支払指示を出力する(S16)。暗号資産処理部136は、出力部135が出力した代金支払指示に従って、暗号資産を購入要求者の暗号資産口座から仮想店舗の暗号資産口座に移転する。
【0072】
また、出力部135は、購入要求者が仮想店舗において商品を購入したことに対する対価を、仮想店舗から仮想領域の運営者に支払うための対価支払指示を出力する(S17)。対価が暗号資産である場合に、暗号資産処理部136は、出力部135が出力した対価支払指示に従って、暗号資産を仮想店舗の暗号資産口座から仮想領域の運営者の暗号資産口座に移転する。対価が法定通貨である場合に、銀行サーバは、例えば、出力部135が出力した対価支払指示に従って、対価を仮想店舗の銀行口座から仮想領域の運営者の銀行口座に送金する。
【0073】
[実施形態の効果]
本実施形態に係る情報処理システムSによれば、管理サーバ1は、購入要求者が指定した商品を販売する仮想店舗が配置されている仮想領域又は当該仮想店舗が、購入要求者が指定した暗号資産を利用可能な地域又は実店舗に関連付けられていることを条件として、購入要求者が暗号資産を利用して当該商品を購入可能にする。これにより、情報処理システムSは、暗号資産を利用可能な地域又は実店舗に関連のある仮想領域又は仮想店舗においてのみ当該暗号資産を利用可能にできるため、当該地域又は実店舗における経済循環を活性化させることができる。
【0074】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0075】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0076】
S 情報処理システム
1 管理サーバ
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 表示制御部
132 受付部
133 取得部
134 判定部
135 出力部
136 暗号資産処理部
2 ユーザ端末