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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-11
(45)【発行日】2024-12-19
(54)【発明の名称】複動式装具用継手、装具、及び使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61H 3/00 20060101AFI20241212BHJP
   A61F 5/01 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
A61H3/00 B
A61F5/01 N
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2022535177
(86)(22)【出願日】2020-12-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-13
(86)【国際出願番号】 US2020064287
(87)【国際公開番号】W WO2021119294
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2023-12-04
(31)【優先権主張番号】62/946,338
(32)【優先日】2019-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517430565
【氏名又は名称】ベッカー オーソペディック アプライアンス カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】レクルシ,ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ヤンカ,ベアトリス
【審査官】村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-175315(JP,A)
【文献】特開2016-083100(JP,A)
【文献】特開平05-137742(JP,A)
【文献】米国特許第06001075(US,A)
【文献】国際公開第2016/121019(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 3/00
A61F 5/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装具用継手装置であって、
前記継手装置のジョイントピボットの回りに第1の方向及び前記第1の方向とは反対の第2の方向に回転するために、前記継手装置に回転自在に取り付けられた取付部材と、
前記第1の方向への前記取付部材の回転に抵抗するための抵抗要素と、
前記抵抗要素から前記取付部材へ第1の方向の抵抗力を伝達するための第1のレバーであって、前記第1のレバーは、前記ジョイントピボットと同軸ではない第1のピボットを有する、第1のレバーと、を含み、
前記抵抗要素は、前記第1の方向への前記取付部材の回転が第1の方向の回転閾値を上回るとき、前記第1の方向への前記取付部材の前記回転に抵抗する、
装具用継手装置。
【請求項2】
前記第1のレバーによって前記取付部材に作用する前記抵抗要素の第1の機械的利益をさらに含み、
前記第1のピボットのロケーションは、前記第1の機械的利益を選択するために選択可能である、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
複数の第1のレバーアパーチャと、第1のレバーピボットピンと、をさらに含み、
前記第1のピボットの前記ロケーションは、前記第1のレバーアパーチャのうちの1つに前記第1のレバーピボットピンを配置することによって、選択可能である、
請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記複数の第1のレバーアパーチャは、前記第1のレバーピボットピンの配置によって、前記第1の方向への前記取付部材の回転を防止するアパーチャを含む、
請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第1のレバーは前記第1のレバーアパーチャを含む、
請求項2に記載の装置。
【請求項6】
第1のリンクをさらに含み、
前記第1の方向への前記取付部材の回転が前記第1の方向の回転閾値を上回るとき、前記第1のレバーは前記第1のリンクを押圧し、かつ、前記第1のリンクは、前記抵抗要素を押圧する、
請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記第1のリンクは、第1の従動節肩部を有する第1の従動節を含み、
前記装置は、第1の従動節座部をさらに含み、
前記第1の従動節肩部は、前記第1の方向への前記取付部材の回転が前記第1の方向の回転閾値を下回るとき、前記第1の従動節座部と係合され、かつ、前記第1の方向への前記取付部材の回転が前記第1の方向の回転閾値を上回るとき、前記第1の従動節座部と係合されない、
請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記第1の従動節は、前記第1の方向への前記取付部材の回転が前記第1の方向の閾値を上回るとき、前記第1のレバーが押圧する第1の従動節面を有し、
前記第1のレバーは、前記取付部材が中立位置にあり且つ前記第1のレバーが前記取付部材と接触しているとき、中立角度位置を有し、
前記第1の方向の閾値は、前記第1の従動節面と前記中立角度位置にある前記第1のレバーとの間の距離に応じる、
請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記抵抗要素は、バネ要素を含み、
前記装置は、中立軸をさらに含み、
前記抵抗要素が前記取付部材に正味の力を加えない位置に前記取付部材があり且つ静止しているとき、前記中立軸は、前記取付部材の少なくとも上方部分の中心軸であり、
前記第1の従動節は、前記中立軸に対して実質的に垂直である移動方向を有する、
請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記抵抗要素は、バネ要素を含み、
前記装置は、中立軸をさらに含み、
前記抵抗要素が前記取付部材に正味の力を加えない位置に前記取付部材があり且つ静止しているとき、前記中立軸は、前記取付部材の少なくとも上方部分の前記中心軸であり、
前記バネ要素は、コイルバネ、機械加工されたらせんバネ、カップスプリング、及びこれらの組み合わせからなる群からのバネを含み、
前記バネ要素は、前記中立軸に対して実質的に垂直である圧縮軸を有する、
請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記第1の方向における可動域を制限するために、第1の調整可能な可動域リミッターをさらに含む、
請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記装置は、第1のねじ付き通路をさらに含み、
前記第1の調整可能な可動域リミッターは、第1のねじ込みスクリューを含み、
その前記第1の通路内でのロケーションは、前記第1のねじ込みスクリューをねじ込んだり又は回して緩めたりすることによって、調整可能である、
請求項11に記載の装置。
【請求項13】
第1の調整可能な予圧バネをさらに含み、
前記第1の調整可能な予圧バネは、前記第1の方向への前記取付部材の前記回転に対する予圧の抵抗力を調整するためのものである、
請求項1に記載の装置。
【請求項14】
第2の方向の抵抗力を前記抵抗要素から前記取付部材へ伝達するための第2のレバーをさらに含み、
前記抵抗要素はまた、前記第2の方向への前記取付部材の回転が第2の方向の回転閾値を上回るとき、前記第2の方向への前記取付部材の前記回転に抵抗する、
請求項1に記載の装置。
【請求項15】
第1の従動節であって、前記抵抗要素はバネ要素を含み、前記第1の方向への前記取付部材の回転が前記第1の方向の回転閾値を上回るとき、前記第1のレバーは前記第1の従動節を押圧し、及び前記第1の従動節は前記バネ要素を押圧する、第1の従動節と、
第2の従動節であって、前記第2の方向への前記取付部材の回転が前記第2の方向の回転閾値を上回るとき、前記第2のレバーは前記第2の従動節を押圧し、及び前記第2の従動節は、前記バネ要素を押圧する、第2の従動節と、
をさらに含む、
請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記第1の従動節は、第1の従動節肩部を有し、
前記装置は、第1の従動節座部をさらに含み、
前記第1の従動節肩部は、前記第1の方向への前記取付部材の回転が前記第1の方向の回転閾値を下回るとき、前記第1の従動節座部と係合され、かつ、前記第1の方向への前記取付部材の回転が前記第1の方向の回転閾値を上回るとき、前記第1の従動節座部と係合されず、
前記第2の従動節は、第2の従動節肩部を有し、
前記装置は、第2の従動節座部をさらに含み、
前記第2の従動節肩部は、前記第2の方向への前記取付部材の回転が前記第2の方向の回転閾値を下回るとき、前記第2の従動節座部と係合され、かつ、前記第2の方向への前記取付部材の回転が前記第2の方向の回転閾値を上回るとき、前記第2の従動節座部と係合されないようにする、
請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記第1のレバーは、リンクによって前記抵抗要素に接続され、前記第1のレバーは、別のリンクによって、前記取付部材に接続される、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
ヒトのための装具であって、前記装具は、
装具用継手装置であって、(1)前記継手装置のジョイントピボットの回りに第1の方向及び前記第1の方向とは反対の第2の方向に回転するために、前記継手装置に回転自在に取り付けられた第1の取付部材、(2)前記第1の方向への前記取付部材の回転に抵抗するための抵抗要素、(3)第1の方向の抵抗力を前記抵抗要素から前記第1の取付部材へ伝達するための第1のレバーであって、前記第1のレバーは、前記ジョイントピボットと同軸ではない第1のピボットを有し、前記抵抗要素は、前記第1の方向への前記取付部材の回転が第1の方向の回転閾値を上回るとき、前記第1の方向への前記第1の取付部材の前記回転に抵抗する、第1のレバー、及び(4)前記装具用継手装置に取り付けられた第2の取付部材を含む、装具用継手装置、
を含み、
前記第1の取付部材及び前記第2の取付部材のいずれか一方は、前記ヒトの下腿に取り付けられるように構成されており、他方は、前記ヒトの足に取り付けられるように構成されている、装具。
【請求項19】
継手本体をさらに含み、
前記第2の取付部材は、前記下腿に取り付けられるように構成されており、且つ前記継手本体に対して回転されてロックされ得る、
請求項18に記載の装具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2019年12月10日出願の米国仮特許出願第62/946,338号の優先権を主張し、その内容全体を本願明細書に援用する。
【0002】
発明の分野
[0002] 本発明は、装具用の継手、及びそれらの継手を用いる装具、一般に、歩行中に装着者の足関節を支援するもの、例えば短下肢装具(AFO:ankle-foot orthoses)及び長下肢装具(KAFO:knee-ankle-foot orthoses)に関する。より詳細には、使用者の足首の背屈及び底屈に抵抗することによって、装着者の足関節を支援する装置に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
[0003] 人々が高齢化し、且つ高齢化する人々に影響を及ぼす病状が広く認められるようになってきているため、装具などの補助器具が一般的になりつつある。これらの患者に対して提供される装具(orthotic)による医療処置は複雑であるが、高齢の患者、特に脳卒中などの神経学的病状に罹患している人を治療し且つそのリハビリを行うために、様々な恩恵をもたらす。装具用構成要素の近年の進歩によって、抵抗トルクの増加がこれらの矯正具には必要であることを証明した。これらの病状を治療するために必要なトルクは大きく、及びそのトルクを伝え得る継手は、より大型のバネ及び他の抵抗要素に適応させるために、どんどん大きくなっている。より大型の装具用継手は、脚により高い重量が取り付けられ、患者の受容が低い不十分な美容術(cosmesis)であり、及び装具設計がより嵩張る点で、不利である。
【0004】
[0004] AFO及びKAFO装具は、立脚期及び遊脚期の歩行運動学を制御することによって、患者の歩行機能を改善する。エビデンス及び装具の臨床診療によって、これらの装置が、患者の機能に最善の結果及び最大の影響をもたらすためにカスタマイズされて細かく調節されるべきであることが示唆されている。装具用構成要素の抵抗、アライメント及び可動域設定のこの調節は、一般に、歩行の観察分析を使用して行われ、それは、特定の遊脚期及び立脚期の歩行異常を特定するのを助ける器械使用を伴って又は伴わずに、行われる。脳卒中又は他の病状の神経運動状態からの回復における状態及び支援のニーズが異なる多くの患者では、この調節が繰り返し行われ、構成要素が再調整される必要があるかもしれない。この再調整は、装具の複数の部品が、装具の所望の機械的特性を達成するために、取り替える必要があるかもしれないことを意味することが多い。これは、装具士、代理店及び製造者が複数の部品の在庫を抱える必要があることを意味し、これは、部品のコストだけでなく、患者の状態に適応させるために構成要素を再構成するために、構成要素を交換するのに必要な時間にもよって、治療費を増加させ得る。これはまた、患者の通院時間も増やし得、及び時には、部品がなくなっていたり、又は入手できなかったりする場合に、治療を遅延させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[0005] 上記を鑑みて、小さいフォームファクタ(form factor)に高トルクをもたらし、且つ部品を取り替える必要なく高度の調整機能を有する、コンパクトな装具用継手に対するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の概要
[0006] 本発明の第1の実施形態では、装具用継手装置が提供される。装置は、第1の方向及び第1の方向とは反対の第2の方向に回転するために、継手装置に回転自在に取り付けられた取付部材を有する。装置はまた、第1の方向への取付部材の回転に抵抗するための抵抗要素、及び抵抗要素から取付部材へ第1の方向の抵抗力を伝達するための第1のレバーを有する。抵抗要素は、第1の方向への取付部材の回転が第1の方向の回転閾値を上回るとき、第1の方向への取付部材の回転に抵抗する。取付部材は、バー、又はバーを受け入れるためのレールボックスとし得る。第1の方向の回転閾値は、中立軸に対してゼロとし得る。好ましくは、装置は、取付部材が周りを回転するピボットを有する継手本体を有する。第1のレバーは、取付部材と分離されても、又は取付部材の一部としてもよい。
【0007】
[0007] 装置はまた、第1のレバーのための第1のピボット、及び第1のレバーによって取付部材に作用する抵抗要素の第1の機械的利益を有し得る。第1のピボットのロケーションは、第1の機械的利益を選択するために選択可能である。好ましくは、装置は、複数の第1のレバーアパーチャ及び第1のレバーピボットピンを有して、第1のピボットのロケーションが、第1のレバーアパーチャのうちの1つに第1のレバーピボットピンを配置することによって、選択可能であるようにする。好ましくは、複数の第1のレバーアパーチャは、第1のレバーピボットピンの配置によって第1の方向への取付部材の回転を防止するアパーチャを有する。状況次第では、第1のレバーに第1のレバーアパーチャが設けられていることが望ましい。第1のレバーアパーチャが第1のレバーにではなく、その代わりに継手本体に設けられ、それにより、支点の機能を果たすことも可能である。
【0008】
[0008] 装置はまた、第1のリンクを有し得、第1の方向への取付部材の回転が第1の方向の回転閾値を上回るとき、第1のレバーが第1のリンクを押圧し、及び第1のリンクが抵抗要素を押圧するようにする。第1のリンクは、一般に、レバーの回転を直線運動(translation motion)に変換する。押圧は、直接でも又は間接的でもよいが、直接が好ましい。間接的な押圧は、押圧を伝達するために別のリンクが使用されるために、発生し得る。抵抗要素が板バネ、片持ちバネ、又は継手本体と一体である曲げ要素である場合、ほとんど不利益なく、第1のリンクを省略することが可能かもしれない。好ましくは、第1のリンクは、第1の従動節肩部を有する第1の従動節を有し、及び装置は、第1の従動節座部を有して、第1の従動節肩部が、第1の方向への取付部材の回転が第1の方向の回転閾値を下回るとき、第1の従動節座部と係合され、及び第1の方向への取付部材の回転が第1の方向の回転閾値を上回るとき、第1の従動節座部と係合されないようにする。好ましくは、第1の従動節は、第1の方向への取付部材の回転が第1の方向の閾値を上回るとき、第1のレバーが押圧する第1の従動節面を有する。第1のレバーは、取付部材が中立位置にあり且つ第1のレバーが取付部材と接触しているとき、中立角度位置を有して、第1の方向の閾値が、第1の従動節面と中立角度位置にある第1のレバーとの間の距離に応じるようにする。この距離は、調整可能とし得る、又は固定され得る。好ましくは、装置は中立角度を有し、これは、バネ要素が取付部材に正味の力(net force)を加えない位置に取付部材があるとき、取付部材の少なくとも上方部分の中心軸であり、及び第1の従動節は、移動方向に対して実質的に垂直である移動方向を有する。
【0009】
[0009] 好ましくは、抵抗要素はバネ要素を有し、及び装置は、バネ要素が取付部材に正味の力を加えない位置に取付部材があり且つ静止しているとき、取付部材の少なくとも上方部分の中心軸である中立軸を有する。好ましくは、バネ要素は、コイルバネ、機械加工されたらせんバネ、又は中立角度に対して実質的に垂直である圧縮軸を有するカップスプリングを有する。実質的に垂直は、垂直の15°又はπ/12ラジアン以内であると定義される。一層好ましくは、圧縮の軸は、圧縮の軸に対して垂直の10°(π/18ラジアン)以内、最も好ましくは、5°(π/36ラジアン)以内である。圧縮の軸が中立角度と同じ平面にない場合、圧縮の軸と中立角度との間が実質的な垂直であるか/角度があるかどうかは、圧縮の軸を、圧縮の軸に対して平行であり且つ中立角度を含む平面に投影し、その後、中立角度に対して、投影された圧縮の軸の角度を測定することによって、決定されるべきである。
【0010】
[0010] 抵抗要素は、コイルバネ、ポリマーマトリックス内に共同成形された(co-molded)コイルバネ、機械加工されたらせんバネ、ポリウレタンバネ、ガススプリング、カップスプリング、ダンパー、ねじりバネ、板バネ、片持ちバネ、装置の継手本体と一体である曲げ要素、及びこのリストからのバネの組み合わせとし得るバネ要素を有し得る。片持ちバネは、バネの率及び所望の撓み並びに構成要素本体に対するような所望の形状に最もよく合うようにするために、v字形状、u字形状、馬蹄形状又はサーペンタイン(serpentine)形状を有し得る。抵抗要素は、この段落でバネ要素に関してリストしたバネ、ダンパー又はダッシュポットのいずれかを有し得る。
【0011】
[0011] 装置は、第1の方向における可動域を制限するための第1の調整可能な可動域リミッターを有し得る。好ましくは、装置は、一般に継手本体にある第1のねじ付き通路を有し、及び第1の調整可能な可動域リミッターは、第1のねじ込みスクリューを有し、その第1の通路内でのロケーションは、第1のねじ込みスクリューをねじ込んだり又は回して緩めたりすることによって、調整可能である。好ましくは、第1の調整可能な可動域リミッターは、第1のレバーと接触することによって、第1の方向への回転を制限する。
【0012】
[0012] 装置は、第1の方向への取付部材の回転に対する予圧の抵抗力を調整するために、第1の調整可能な予圧バネを有し得る。
【0013】
[0013] 抵抗要素はまた、停止部、運動リミッター、又は第1の方向への取付部材の回転に対する抵抗力を感知するためのセンサーを有し得る。
【0014】
[0014] 上述の継手は、継手装置のユーザに、1つの方向において抵抗をもたらすために使用され得るが、好ましくは、第1及び第2の方向の双方においても抵抗をもたらす。プッシュプッシュ実施形態では、継手は、両方向に抵抗をもたらす。2つの異なる抵抗要素がこの形態では使用され得るが、コンパクトさを増すために、同じ抵抗要素が、第1及び第2の方向の双方の抵抗に使用され得る。それゆえ、単一の抵抗要素のプッシュプッシュ実施形態は、第1のレバーと同様の第2のレバーを有するが、第2の方向の抵抗力を抵抗要素から取付部材へ伝達して、抵抗要素がまた、取付部材の第2の方向への回転が第2の方向の回転閾値を上回るときには、第2の方向への取付部材の回転に抵抗するようにする。この実施形態はまた、調整可能な第2のピボット、第2のレバーアパーチャ、第2のレバーピボットピン、第2のリンク、第2の従動節、第2の従動節座部、第2の調整可能な可動域リミッター、及び第2の調整可能な予圧バネを有し得るが、これらは、調整可能な第1のピボット、第1のレバーアパーチャ、第1のレバーピボットピン、第1のリンク、第1の従動節、第1の従動節座部、第1の調整可能な可動域リミッター、及び第1の調整可能な予圧バネと同様又は同一であるが、これは、これらのうちの第2のもの、例えば、第2のレバー、第2のリンク及び第2の調整可能な予圧バネが、第2の方向への動きに抵抗するためのものである点を除く。
【0015】
[0015] 好ましくは、抵抗要素はバネ要素を有し、及び装置は第1の従動節を有して、第1の方向への取付部材の回転が第1の方向の回転閾値を上回るとき、第1のレバーが第1の従動節を押圧し、及び第1の従動節がバネ要素を押圧するようにする。また、装置は第2の従動節を有して、第2の方向への取付部材の回転が第2の方向の回転閾値を上回るとき、第2のレバーが第2の従動節を押圧し、及び第2の従動節がバネ要素を押圧するようにする。好ましくは、第1の従動節は第1の従動節肩部を有し、及び装置はまた、第1の従動節座部を有する。取付部材の回転が第1の方向の回転閾値を下回るとき、第1の従動節肩部は、第1の従動節座部と係合され、及び第1の方向への取付部材の回転が第1の方向の回転閾値を上回るとき、第1の従動節座部と係合されない。好ましくは、第2の従動節は第2の従動節肩部を有し、及び装置はまた、第2の従動節座部を有する。第2の方向への取付部材の回転が第2の方向の回転閾値を下回るとき、第2の従動節肩部は、第2の従動節座部と係合され、及び第2の方向への取付部材の回転が第2の方向の回転閾値を上回るとき、第2の従動節座部と係合されないようにする。好ましくは、バネ要素は、第1の従動節座部と第2の従動節座部との間に位置する。好ましくは、バネ要素は、第2の従動節肩部を第2の従動節座部に押圧して、第1の方向の抵抗力を発生させ、及びバネ要素は第1の従動節肩部を第1の従動節座部に押圧して、第2の方向の抵抗力を発生させる。好ましくは、装置はまた、第1及び第2の従動節肩部が第1及び第2の従動節座部とそれぞれ係合されるとき、第1の従動節と第2の従動節との間の従動節距離を有する。取付部材は、従動節距離に応じる、第1の範囲の回転を有する。
【0016】
[0016] 一実施形態では、継手は、第1のレバーがリンクによって抵抗要素に接続され及び第1のレバーが別のリンクによって取付部材に接続されるプッシュプル(push-pull)形態を有する。
【0017】
[0017] 本発明の第2の実施形態では、ヒト用の短下肢装具が提供される。装具は、取付部材が第1の取付部材を構成する、上述のような装具用継手装置を有する。装具は、装具用継手装置に取り付けられた第2の取付部材を有する。第1の取付部材及び第2の取付部材の一方は、ヒトの下腿に取り付けられるように構成され、及び他方は、ヒトの足に取り付けられるように構成されている。好ましくは、第1の方向は底屈方向であり、及び第2の方向は背屈方向である。好ましくは、装具は継手本体を有し、及び第2の取付部材は、下腿に取り付けられるように構成され、且つ継手本体に対して回転されてロックされ得る。
【0018】
[0018] 本発明の第3の実施形態では、背屈及び底屈の可動域においてヒトの足首を支える方法が提供される。方法は、上述の装具を使用する。方法は、前記足首に対応する下腿又は足に第1の取付部材を取り付けること、並びに足及び下腿の他方に第2の取付部材を取り付けることを含む。
【0019】
[0019] 本発明の恩恵の多くは、第1のレバー(及び存在する場合には第2のレバー)に関する。第1のレバーを有することによって、抵抗要素、特に高トルクをもたらす抵抗要素を位置決めし且つその向きを決定することが可能になり、継手装置をよりコンパクトにする。さらに、両方向における運動に抵抗する抵抗要素、特にバネ要素を有することによってコンパクトさが達成される。レバーの機械的利益を調整可能にすることによって、複数の部品を取り替える必要なく、高度の調整機能を有することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図面の簡単な説明
図1】[0020]短下肢装具用の継手の斜視図である。
図2】[0021]片側か見た図1の継手の正面図である。
図3】[0022]図1の継手の前面図である。
図4】[0023]図1の継手の平面図である。
図5】[0024]図4に示す線5-5に沿って取った断面図である。
図6】[0025]図1の継手の分解斜視図である。
図7】[0026]背屈状態における図1の継手本体の平面図である。
図8】[0027]図7に示す線8-8に沿って取った断面図である。
図8A】[0028]図8の丸で囲んだ部分の拡大図である。
図9】[0029]底屈状態における図1の継手本体の平面図である。
図10】[0030]図9に示す線10-10に沿って取った断面図である。
図11】[0031]短下肢装具のための第2の継手本体の斜視図である。
図12】[0032]片側か見た図11の継手本体の正面図である。
図13】[0033]図11の継手本体の前面図である。
図14】[0034]図11の継手本体の平面図である。
図15】[0035]図14に示す線15-15に沿って取った断面図である。
図16】[0036]図11の継手本体の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
発明の詳細な説明
[0037] 足継手
[0038] 継手装置10の第1の実施形態が、図1~6を参照して説明される。継手装置10は、ピボットブシュ15によって提供されるピボット14を有する本体12と、取付部材16と、回転に抵抗するための抵抗要素18と、第1のレバー20aと、第2のレバー20bとを有する。本体12は、図示の通りユニタリーとしても、又は複数の本体部品で構成されてもよい。図示の通り、ピボット14は、継手本体12にあるピボットアパーチャ24に収まり、且つ任意の好適な手段によってそこに保持される。ピボット14は、ジャーナル軸受、ころ軸受、又は玉軸受によって支持され得る。取付部材16は、ピボット14の周りで第1及び第2の方向62a及び62bに旋回する。図示の通り、取付部材16は、あぶみ様部分(stirrup)26であり、及び継手装置10は、短下肢装具又は長下肢装具において使用するための足継手である。あぶみ様部分26は、任意の好適な手段によって足底板(図示せず)に取り付けられ得る。或いは、取付部材16は、同様にあぶみ様部分に取り付けられるバー又はレールボックスとし得る。あぶみ様部分26は、第1及び第2のレバー20a及び20bと、それぞれそれらの底端部にある湾曲した突起28a及び28bのところで接触する。図示の通り、第1のレバー20aは右側に、及び第2のレバー20bは左側にある。それらの相対的な位置関係は逆にし得る。慣例として、本明細書では、参照文字「a」は、第1の又は1つ以上の同様の部品を指し、及び「b」は、同様の部品の第2の部品を指すために使用される。レバー20は、抵抗要素18によってあぶみ様部分26に対して適所に保持される、この抵抗要素は、圧縮コイルバネ30として示されているが、機械加工されたバネ、又は一般に非常に異なる特性を有するバネの組み合わせなどの任意の好適なバネとし得る。
【0022】
[0039] バネ30は、本明細書では第1及び第2の従動節32a及び32bと呼ばれる第1及び第2のリンクを保持しており、従動節は、第1及び第2のレバー20a及び20bを、それぞれそれらの上端部にある湾曲した突起34a及び34bのところで押す。各従動節32は、シリンダー状内側部分36と、シリンダー状外側部分37と、内面38及び外面40を有するカラー39と、端面41とを有する。従動節32a及び32bは、図示の通り同一としても、又は異なってもよい。両内側部分36はバネ30内へと延在する。バネ30は内面38を押して、従動節32を外向きに押す。端面41(別名従動節面41)は、平らでも又は湾曲していてもよい。端面41に対してある程度の凸性があること好都合とし得るが、いくつかの図面では、説明を容易にするために、端面41は、平らであるとして示されている。シリンダー状内側部分36が、バネ30内に位置する内側バネを押して、バネ30によってもたらされる抵抗に補助的な抵抗をもたらすことも可能である。
【0023】
[0040] 従動節32及びバネ30は、本体12にあるチャンネル42内に位置する。チャンネル42は、従動節32に従動節座部44を提供する。従動節32(特に外面40)は、バネ30によって、図1~6に示すような座部44に載置される。外側部分37は、座部44を越えて延在する。
【0024】
[0041] レバー20に戻ると、レバー20は、ピボット46の周りで回転する。ピボット46は、ここでは、ピン48として示されている。ピボット46のロケーションは調整可能である。この調整機能は、各レバー20の一列のピボットアパーチャ52によって提供される。各列は、その中立位置においてそのレバー20に対して平行であり、中立位置は、中立角度(後述する)にある取付部材16に対応する。図示の通り、ピボットアパーチャ52は、好都合には、レバー20に設けられており、その場合、2つのピン48がレバー20に挿入されて、その回転を防止し得る。ピボットアパーチャ52は、継手本体12内で、その対応するレバー20の外部であるが、その中立位置において、対応するレバーに隣接した位置にあってもよい。継手本体12はまた、対応するレバー20がその中立位置にあるときにピボットアパーチャ52と位置合わせしているアパーチャ54を有してもよい。一般的に、継手本体12内のいずれのアパーチャ52又は54も、継手本体12を通って延在して、ピン48の取り出し、すなわち、押出しを容易にする。
【0025】
[0042] 継手装置10はまた、それぞれ第1の方向及び第2の方向における可動域を制限するための可動域リミッター56a及び56bを有する。リミッター56は、レバー20と接触するためのゴム製バンパーを有し得る。図面は概略的であるため、リミッター56の外観及びロケーションは、図面毎に異なるかもしれない。可動域リミッター56は、リミッター56が設置される通路58(継手本体12にある)のねじ山にねじ式に係合するためのねじ山を有する。リミッター56は、取付部材16の可動域を調整するために、ねじ込まれたり又は回して緩められたりしてもよい。
【0026】
[0043] 継手装置10は、第2の取付部材を取り付けるために、継手本体12にアパーチャ60が設けられている。本出願人の米国特許出願第14/738,212号に開示されているように、アパーチャ60は、第2の取付部材を旋回式に(又は非旋回式に)取り付けるために使用され得る。
【0027】
[0044] ここで、継手装置10の動作について説明する。図1~6は、取付部材16が中立位置にある状態の継手装置10を示す。中立位置では、取付部材16への第1及び第2の方向の正味の力はない。中立位置は、一般に、真っ直ぐ立つことができる患者の立位に対応する。そのような患者では、従動節32の移動軸は水平方向である。
【0028】
[0045] 第1のレバー20aがあぶみ様部分26若しくは第1の従動節32aに接触しない場合、又は第2のレバー20bがあぶみ様部分26若しくは第2の従動節32bに接触しない場合、中立軸(図示せず)の周りでの自由な可動域があるかもしれない。好ましくは、図示の通り、第1のレバー20aは、あぶみ様部分26、及び第1の従動節座部44aに載置される第1の従動節32aの両方に接触し、並びに第2のレバー20bは、あぶみ様部分26、及び第2の従動節座部44bに載置される第2の従動節32bの両方に接触する。
【0029】
[0046] ここで図9及び図10を参照して説明すると、あぶみ様部分26は、中立位置26n(中立位置にあるあぶみ様部分26の輪郭を破線で示している)に対して第1の方向62a(ここでは、底屈方向として示されている)に回転されており、レバー20aが可動域リミッター56aと接触するまで、レバー20aをピボット46aの周りで反時計回りに押している。レバー20aは、第1の従動節32aを左側に押して、外面40aを第1の従動節座部44aから係合解除し、且つバネ30を圧縮する。あぶみ様部分26は、図示の通り、載置されたままの第2の従動節32bとの接触を維持している第2のレバー20bから離れるように回転されている。考えられる限りでは、第2のレバー20bは、レバー20bがもはや従動節32b及びあぶみ様部分26によって適所に保持されなくなるため、重力によって、あぶみ様部分26の方へ向かって、第2の従動節32bから離れるように、ピボット46bの周りで回転され得る。
【0030】
[0047] ここで、図7~8Aを参照して説明すると、あぶみ様部分26は、中立位置26n(中立位置にあるあぶみ様部分26の輪郭を破線で示す)に対して第2の方向62b(ここでは、背屈方向として示されている)に回転されており、レバー20bが可動域リミッター56bと接触するまで、レバー20bをピボット46bの周りで時計回りに押している。レバー20bは、第1の従動節32bを右側へ押して、外面40bを第2の従動節座部44bから係合解除し、且つバネ30を圧縮する。あぶみ様部分26は、図8Aに最もよく示すように、第1のレバー20aから離れるように回転されるが、図示の通り、載置されたままである第1の従動節32aとの接触を維持したままである。
【0031】
[0048] 図7~10から分かるように、ピボット46a及び46bのロケーションは、あぶみ様部分26に作用する抵抗要素30の機械的利益を決定するため、時計回り方向及び反時計回り方向への回転に対するあぶみ様部分26の抵抗を決定する。図8及び図10におけるバネ30の移動は、ほぼ同じであるが、図10での第1の方向62aにおけるあぶみ様部分26の回転の量は、図8での第2の方向62bにおける回転よりも遥かに多い。あぶみ様部分26の移動量に影響を及ぼすことに加えて、ピボット46のロケーションの変化は、バネ30とあぶみ様部分26との間の機械的利益、それゆえ足首の運動に対するあぶみ様部分26の抵抗に影響を及ぼす。
【0032】
[0049] 取付部材16は、バネ要素18が取付部材16に正味の力を加えない中立位置を有する。好ましくは、中立位置において、バネ要素18は、第1及び第2の方向の双方に力を加えるが、正味の力はゼロであるため、取付部材が中立位置から離れるように回転するときに、直後の抵抗がある。取付部材16は、ピボット14の中心及びアパーチャ60の中心を通って延在する軸64を有する。軸64は、取付部材16の上方部分66の中心軸とみなされ得る。中立位置では、軸64は、第1及び第2の従動節30の移動方向67並びにバネ30の軸68に対して実質的に垂直である中立軸に対応する。図5に示す通り、軸64及び中立軸は垂直方向であり,並びに移動方向67及び軸68は水平方向である。この垂直の配置構成は、一般的に、継手装置10をコンパクトにするために、バネ30に最適なアライメントをもたらす。
【0033】
[0050] 継手装置110の第2の実施形態について、図11~16を参照して説明し、これら図面は、概略的であり、且つ中立位置にある継手装置110を示す。部品は第1の実施形態と同じ又は同様であるが、参照符号は、第1の実施形態の対応する部品と100だけ異なるものが使用され得る。継手装置110は、ピボット114を有する本体112と、取付部材116と、バネ要素118と、第1のレバー120aと、第2のレバー120bとを有する。ピボット114は、継手本体112に設けられたピボットアパーチャ124に収まるピボットブシュ121によって備えつけられ、且つそこにピボットスクリュー123によって保持される。取付部材116は、ピボット114の周りを第1及び第2の方向162a及び162bに旋回される。図示の通り、取付部材116はあぶみ様部分126であり、及び継手装置110は、短下肢装具又は長下肢装具において使用するための足継手である。あぶみ様部分126は、任意の好適な手段によって足底板(図示せず)に取り付けられ得る。あぶみ様部分126は、レバー120に接触し且つそれらの間にあるクランク部分127を有する。レバー120は、バネ要素118によってクランク部分127に対して適所に保持され、バネ要素は、圧縮コイルバネ130として示されるが、任意の好適なバネ、例えば機械加工されたバネ、又は一般に、他の箇所で説明したように、非常に異なる特性を有するバネの組み合わせとし得る。
【0034】
[0051] バネ130は、本明細書では第1及び第2の従動節132a及び132bと称する第1及び第2のリンクを保持しており、これらは、第1及び第2のレバー120a及び120bを押す。各従動節132は、シリンダー状内側部分136、内側肩部138、及び端面141を有する。従動節32a及び32bは、図示の通り同一としても、又は異なってもよい。両内側部分136はバネ130内へ延在する。バネ130は内側肩部138を押して、従動節132を外向きに押す。端面141(別名従動節面141)は、平らでも又は湾曲していてもよい。端面141に対するある程度の凸性があることが、一般的に好ましい。バネ130は、レバー120を、本体112内の対向する内部側壁143に押し付けて、本質的にレバー120を内部側壁143に載置させる。
【0035】
[0052] レバー120に戻ると、レバー120は、ピン148によって提供されたピボット又は支点146の周りで回転する。ピン148のロケーションは、調整可能であり、且つ任意の好適な手段によって適所に保持され得る。例えば、第1及び第2の側壁143は、ピン148を様々な位置に保持するための複数の凹部(図示せず)を有し得る。或いは、レバー用の支点は、スライダーナットで構成され、調整用ねじによって移動され、且つレバーと構成要素本体の内面との間にピン留めされ得る。ピン148aは、レバー120aの回転を防止し(すなわち、レバー120aをロックアウトしている)、それゆえ第1の方向へのあぶみ様部分126の動きを防止するロケーションで示されている。
【0036】
[0053] 継手装置10とは異なり、継手装置110はまた、抵抗アセンブリ149を、好ましくは両側のレバー20に1つずつで2つ、有する。図示の通り、各抵抗アセンブリ149は、あぶみ様部分30の運動をバネ153a及び153bへ結合する抵抗玉軸受151、又はその代わりにシリンダー状ピン、抵抗バネ153a、運動制限ピン155、並びに調整ねじ157を有する。各抵抗アセンブリ149は、本体112に設けられたチャンネル159内に位置する。調整ねじ157は、バネ153の圧縮を調整し、並びに運動制限ピン155によって運動が制限されるまで許されるバネの最大の能動的な圧縮を決定するために使用される。調整ねじ157は、バネ153の圧縮を調整することによって、その中立位置から離れるように動かすために必要な、あぶみ様部分126に対する予圧の力を決定する。考えられる限りでは、抵抗バネ153は、抵抗玉軸受151から調整ねじ157まで延在せず、抵抗バネ153が、初めは、あぶみ様部分126の回転に抵抗せず、その代わりに、ひとたびあぶみ様部分126が特定の回転閾値を上回ると、バネ130/バネ要素118に追加的に抵抗をもたらすようにする。抵抗バネ153は、図示の通り、コイルバネであるが、らせんバネ又は任意の好適なバネとし得る。バネ153は玉軸受151を押すが、チャンネル159も可動域リミッターの機能を果たすように設計されて、玉軸受151の動き及びバネ153の圧縮に対するあぶみ様部分の最大許容偏位を決定する。
【0037】
[0054] 取付部材116は、バネ要素118が取付部材116に正味の力を加えない中立位置を有する。取付部材116は、ピボット114の中心を通って延在する軸164を有する。軸164は、クランク部分127を含む取付部材16の上方部分166の中心軸であるとみなされ得る。軸164はまた、特に図示の通りここに固定されるときの、第2の取付部材172の中心軸とし得る。中立位置では、軸164は中立角度にあり、これは、第1及び第2の従動節132の移動方向167及びバネ130の軸168に対して実質的に垂直である。図15に示す通り、軸164及び中立角度は垂直方向であり、及び移動方向167及び軸168は水平方向である。この垂直の配置構成は、一般的に、継手装置110をコンパクトにするために、バネ130に最適なアライメントをもたらす。
【0038】
[0055] 継手装置110はまた、第2の近位取付部材172を有する。継手装置110はまた、あぶみ様部分126の滑らかで制限されていない回転を可能にしている最中の、あぶみ様部分126の軸外し及び望ましくない動きを低減させるために、一対のあぶみ様部分装着用パッド174を含み得る。取付部材172は、図示の通り、固定されるか、又は継手本体112に対して可動とし得る。取付部材172は、バーの形にあり、他の装具用構成要素に取り付けられ得る2つの孔がある。或いは、取付部材172は、継手装置110を装具の一部にするためにレールボックス又は他の好適な構造とし得る。
【0039】
[0056] 継手装置110の動作についてここで説明する。図11~16は、取付部材116が中立角度にある中立位置にある継手装置110を示す。図示の通り、取付部材116は、ピン148aがクランク部分127及びレバー120aの移動経路にあるため、方向62aに回転できず、これは、一部の患者には望ましいとし得る。これは、ピン128aのロックされた調整設定である。ピン148aがクランク部分127より上方のロケーションまで動かされた場合、取付部材116を方向62aに回転させることが可能になるであろう。次に説明する方向62bへの回転と同様であるため、この取り得る回転を説明する必要はない。取付部材116が方向62b回転されると、クランク部分127はレバー120bを押し、レバーはピン148bの周りで回転し、それにより、従動節132bを押して、バネ130/バネ要素118を圧縮する。同時に、取付部材116は、抵抗玉軸受151bを上向きに押し、それにより、抵抗バネ153bを調整ねじ157bに対して圧縮する。方向62bへのさらなる回転は、従動節132が互いに接触するまで又は抵抗玉軸受151bが制限ピン155bを調整ねじ157bに押し付けるまで、可能である。この回転の最中、抵抗玉軸受151aは、玉軸受151aの偏位を制限するように働く抵抗バネ153aによって、チャンネル159の底部に載置されており、あぶみ様部分が玉軸受151aから離れるように動くときに、あぶみ様部分116に続くことができないようにする。レバー120aは、バネ130及び従動節132aによって側壁143aに対して適所に保持されているため、多かれ少なかれ同じ位置に留まる。
【0040】
[0057] プッシュプル継手装置(図示せず)も可能である。そのような装置は、足継手装置10と同様のものを含め、多くの形を取り得る。2つのレバー20の代わりに、単一のレバーを有するであろう。レバー20は、1つの剛体リンクによってあぶみ様部分26へ、及び別の剛体リンクによってバネ30へ接続されるため、押す力及び引く力が、あぶみ様部分26へ及びそこから、バネ30へ及びそこから、伝達され得る。バネ30は、圧縮だけを受けるのではなく、張力も受ける。
【0041】
[0058] 装具
[0059] 短下肢装具(AFO)又は長下肢装具(KAFO)とし得る装具(図示せず)の好ましい実施形態では、装具は、1つ以上の継手装置、例えば継手装置10及び110を含む。2つの継手装置は、例えば、同じ継手の対向する側で使用され得る。装具は、第1及び第2の取付部材を有し、そのうちの一方は、装置のヒト装着者の下腿に取り付けられるように構成されており、及び他方は、装置のヒト装着者の足に取り付けられるように構成されている。取付部材のうちの一方は、取付部材16及び116に対応し得、且つ足底板(図示せず)に、任意の好適な手段によって、例えば足底板の構造にラミネートされるか、機械的な締結具を使用して取り付けられるか、又はあぶみ様部分の周りに高分子シートを手動で真空熱成形することにより封入されることによって、取り付けられ得る。他方の取付部材は、取付部材172、又はアパーチャ60によって継手装置10に接続された取付部材に対応し得る。他方の取付部材は、ブレーシング(bracing)、ストラップ、パッドなどを含む任意の好適な手段によって、装着者の下腿に接続される。AFO又はKAFOでは、第1の方向62aは底屈方向であり、及び第2の方向62bは背屈方向である。
【0042】
[0060] 使用方法
[0061] 背屈及び底屈の可動域においてヒトの足首を支える方法がまた、上述の装具のために提供される。第1の取付部材は、前記足首に対応する下腿又は足に取り付けられる。第2の取付部材は、他方の下腿又は足に取り付けられる。継手装置は、装置10、装置110又は別のものであるかどうかに関わらず、約20°(π/9rad)までの底屈可動域、及び約20°(π/9rad)までの背屈可動域を有し得る。装具士は、装着者のニーズに適合するために、これらの可動域を制限できる。
【0043】
[0062] 本発明は、いくつかの実施形態に対して説明されたが、当業者には認識されるように、本発明は、多数の変更、修正及び再配置を行うことができ、並びにそのような変更、修正及び再配置は、以下の特許請求の範囲によって網羅されるものとすることが理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8-8A】
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16