(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-11
(45)【発行日】2024-12-19
(54)【発明の名称】液体スプレーシステム
(51)【国際特許分類】
B60S 1/48 20060101AFI20241212BHJP
B60S 1/62 20060101ALI20241212BHJP
B08B 3/02 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
B60S1/48 Z
B60S1/62 120B
B60S1/48 A
B08B3/02 G
(21)【出願番号】P 2022545865
(86)(22)【出願日】2020-12-14
(86)【国際出願番号】 EP2020085933
(87)【国際公開番号】W WO2021151573
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2023-08-31
(32)【優先日】2020-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】512092737
【氏名又は名称】ヴァレオ システム デシュヤージュ
【氏名又は名称原語表記】VALEO SYSTEMES D’ESSUYAGE
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100202304
【氏名又は名称】塙 和也
(72)【発明者】
【氏名】マキシム、ボドワン
(72)【発明者】
【氏名】テオフィル、ジュリアン
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/226763(WO,A1)
【文献】特開2007-152208(JP,A)
【文献】実開平01-072452(JP,U)
【文献】特開平09-019666(JP,A)
【文献】特開2000-312865(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/48
B60S 1/62
B08B 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄液をスプレーするための
、自動車用のスプレーシステム(1)であって、
少なくとも1つの弁(11)であって、前記少なくとも1つの弁(11)は、タンク(3)及び少なくとも1つのスプレー部材(5)にそれぞれ結合されるように意図され、前記タンク(3)からポンプで圧送された洗浄液を前記少なくとも1つのそれぞれのスプレー部材(5)に選択的に送るように構成される、少なくとも1つの弁(11)を備え、
前記少なくとも1つの弁(11)が、分配ブロック(9)の形態で配置され、前記ブロックの入口(9a)が、前記ポンプ(7)に流体接続されるように構成され、並列に配置され前記少なくとも1つのスプレー部材(5)に接続されるように意図された流体コネクタ(31)を備え、前記分配ブロック(9)がまた、前記流体コネクタ(31)と並列に配置され、前記分配ブロック(9)の前記流体コネクタ(31)のうちの1つに嵌合するように構成された機械式過圧弁(13)を備える、
スプレーシステム(1)。
【請求項2】
複数のスプレー部材(5)と、前記複数のスプレー部材(5)にそれぞれ結合された複数の弁(11)とが存在する、請求項1に記載のスプレーシステム(1)。
【請求項3】
前記機械式過圧弁(13)が、その入口に1/4ターンインターフェースを含む、請求項1又は2に記載のスプレーシステム(1)。
【請求項4】
前記過圧弁(13)が、前記タンク(3)の方向にリターンホース(15)に流体接続されるように構成された出口ノーズを備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のスプレーシステム(1)。
【請求項5】
前記過圧弁(13)は、圧力が所定の値を超えたときにボール(23)がシール(25)から離れるように構成されたシール(25)、ボール(23)、ばね(21)によるアセンブリを備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のスプレーシステム(1)。
【請求項6】
前記過圧弁はまた、前記所定の値を調整するように構成された前記ばね(21)用のねじ又は予圧ナット(27)を備える、請求項
5に記載のスプレーシステム(1)。
【請求項7】
前記所定の値が5~6バールである、請求項5又は6に記載のスプレーシステム(1)。
【請求項8】
前記過圧弁(13)が、プラスチック材料で作られたケーシングを備える、請求項1~7のいずれか一項に記載のスプレーシステム(1)。
【請求項9】
前記弁(11)が電磁弁である、請求項1~8のいずれか一項に記載のスプレーシステム(1)。
【請求項10】
前記分配ブロック(9)が、供給されるスプレー部材(5)の数に応じて弁(11)の数を適合させることができるモジュール式ブロックである、請求項1~9のいずれか一項に記載のスプレーシステム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用の液体スプレーシステムの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車は全て、車両のフロントガラスを清潔に保ち、運転者が最適に見えるようにするための洗浄液スプレーシステムを有する。
【0003】
更に、センサ、特に、光学式運転支援センサの増加により、スプレーシステムの数が増加して、一般に外部環境からの汚れに曝されるこれらの光学センサの適切な動作が可能になっている。
【0004】
部品数の増加を避けるために、異なるスプレーシステム間でポンプ又はタンクなどのスプレーシステムの特定の部品を共有することが知られている。次いで、弁を使用して、ポンプで圧送された洗浄液を、選択されたスプレーエンドピース(又はスプレーノズル)に導き、送る。
【0005】
しかしながら、このような構成は、フロントガラス専用の「従来の」洗浄システムと比較して、より強力なポンプ及びより高い圧力レベル、例えば、6バールを超えるレベルを必要とする。
【0006】
しかしながら、このような圧力レベルは、材料への損傷のリスク及びユーザの安全に対するリスクをもたらす可能性がある。
【0007】
したがって、より安価な部品を使用できるようにし、このようなリスクを回避できるようにするために、スプレーシステムの油圧回路内の最大圧力を制御できることが必要である。
【発明の概要】
【0008】
この目的を達成するために、洗浄液をスプレーするためのシステムが提案され、このシステムは、
-洗浄液タンクと、
-タンクに流体接続された少なくとも1つのスプレー部材と、
-少なくとも1つのスプレー部材に洗浄液を供給するように構成されたポンプと、
-少なくとも1つのスプレー部材にそれぞれ結合され、ポンプで圧送された洗浄液を前記少なくとも1つのそれぞれのスプレー部材に選択的に送るように構成された少なくとも1つの弁とを備え、
少なくとも1つの弁が分配ブロックの形態で配置され、ブロックの入口がポンプに流体接続されるように構成され、並列に配置され少なくとも1つのスプレー部材に接続されるように意図された流体コネクタを備え、分配ブロックがまた、流体コネクタと並列に配置され、かつ分配ブロックの1つの流体コネクタに嵌合するように構成された機械式過圧弁も備える。
【0009】
分配ブロックに過圧弁を使用することにより、スプレーシステム内の圧力を制限することができ、ユーザの保護を確保しつつ、堅牢性が低い要素、したがってより安価な要素を使用することができる。更に、分配ブロック内に配置することにより、高レベルのモジュール化、小型化、及びメンテナンスの簡素化が可能になる。
【0010】
一実施形態によれば、複数のスプレー部材と、前記複数のスプレー部材にそれぞれ結合された複数の弁とが存在する。
【0011】
一実施形態によれば、機械式過圧弁は、その入口に1/4ターンインターフェースを備える。
【0012】
別の実施形態によれば、過圧弁は、タンクの方向にリターンホースに流体接続されるように構成された出口ノーズを備える。
【0013】
別の実施形態によれば、過圧弁は、圧力が所定の値を超えたときにボールがシールから離れるように構成されたシールボールばね組立体を備える。
【0014】
別の実施形態によれば、過圧弁はまた、所定の値を調整するように構成された、ばね用のねじ又は予圧ナットを備える。
【0015】
別の実施形態によれば、所定の値は5~6バールである。
【0016】
別の実施形態によれば、過圧弁は、プラスチック材料で作られたケーシングを備える。
【0017】
別の実施形態によれば、弁は電磁弁である。
【0018】
別の実施形態によれば、分配ブロックは、供給されるスプレー部材の数に応じて弁の数を適合させることができるモジュール式ブロックである。
【0019】
別の実施形態によれば、流体コネクタは標準的なコネクタである。
【0020】
本発明の更なる特徴及び利点は、例示的かつ非限定的な例として与えられる以下の説明及び添付の図面を読むことにより、より明確に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】洗浄液をスプレーするためのシステムの図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
これらの図において、同一の要素には同じ参照符号が付されている。
【0023】
以下の実施形態は例である。本説明では1つ又は複数の実施形態に言及しているが、これは必ずしも各参照が同じ実施形態に関連していること、又は特徴が1つの実施形態にのみ適用されることを意味するものではない。様々な実施形態の個々の特徴を組み合わせたり置き換えたりして、他の実施形態を提供することもできる。
【0024】
本発明の実施形態は、
図1に概略的に示されている、特に、自動車用の洗浄液をスプレーするためのシステム1に関する。スプレーシステム1は、洗浄液タンク3と、複数のスプレー部材5(この場合は6つ)、例えば、スプレーノズルと、ポンプ7と、複数の弁11(この場合は6つ)及び機械式過圧弁13を備える分配ブロック9とを備える。スプレーシステム1の異なる要素は、例えば、パイプ又はホース15によって流体接続される。パイプ15上の矢印は洗浄液の流れ方向を示している。
【0025】
ポンプ7は、タンク3から洗浄液を圧送して分配ブロック9及びスプレー部材5に送るように構成されている。分配ブロック9の弁11は、異なるスプレー部材5にそれぞれ流体接続されるように構成されている。弁11は、ポンプで圧送された洗浄液を関連するスプレー部材5に選択的に送るように構成されている。弁11は、例えば、電磁弁である。弁11は並列に配置されており、これは、それらが全て分配ブロック9の流体チャネルに接続されていることを意味する。この流体チャネルは、ポンプ7に接続された分配ブロック9の入口9aと、タンク3に接続された分配ブロック9の出口9bとに接続されている。過圧弁13は、例えば、分配ブロック9の出口9bに配置される。
【0026】
したがって、動作中、ポンプ7の作動により、洗浄液をタンク3から分配ブロック9及び関連する弁11が開いているスプレー部材5に送ることができる。更に、分配ブロック9内の洗浄液の圧力が所定の値を超えると、過圧弁13は、液体をタンク3に戻すことを可能にし、したがって、スプレーシステム1、特に、分配ブロック9内及びホース15内の圧力を制限するように構成されている。このように圧力を制限することにより、自動車のスプレーシステムの場合、車両の乗員の安全を確保しつつ、様々な要素が破損するリスクを制限し、より安価で軽量な要素を使用することができる。
【0027】
図2は、機械式過圧弁13の長手方向断面図を示し、ボール23をシール25、例えば、Oリングシールに対して付勢するように構成された弾性要素21、この場合はコイルばねを備える。ばね21の剛性は、所定の圧力値に応じて選択することができる。更に、ばね21は、調整可能なストッパ27、例えば、ねじ又は予圧ナットなどに当接していてもよく、これにより、所定の圧力値を調整することができるようにコイルばね21に予圧を加えることができる。所定の値は、例えば、5~6バールである。
【0028】
過圧弁13はまた、弁13の出口13bと流体連通する入口13aと、入口13aを出口13bに接続し、ボール23が配置される流体チャネル13cとを備える。入口13a及び出口13bの矢印は、液体の流れの方向を示している。したがって、動作中、流体の圧力が所定の弁を下回る限り、洗浄液はOリングシール25と接触しているボール23によって停止される。ボール23での液体圧力が所定の圧力を超えると、ボール23は、ボール23とOリングシール25との間に空間が形成されるようにばね21を圧縮し、これにより洗浄液を通過させることができる。圧力が再び所定の値未満に低下すると、ばね21の作用で、ボール23は再びOリングシール25に当接し、ボール23は洗浄液の通過を防止するようになる。このボール23とばね21との組合せにより、所定の値に対して不確かさが約+/-5%を得ることが可能となる。
【0029】
更に、
図3~
図6でよりよく分かるように、過圧弁13は、入口13aに1/4ターンインターフェースを含むことができ、流体コネクタ31(
図7に見える)に対応する分配ブロック9の相補的なエンドピースに迅速かつ容易に固定することができる。例えば、円錐形シールタイプのシール(図示せず)を入口13aに配置して、相補的なエンドピースの接続部の耐漏洩性を確保することもできる。過圧弁13はまた、ホース又はパイプ15を固定できるように、カラー29を有し、かつその出口でその端部に向かって狭くなる形状を有するノーズを備えていてもよい。ノーズの形状はまた、流体コネクタ31とパイプ15との間に過圧弁を挿入できるように、流体コネクタ31の形状に対応する。過圧弁13のケーシングは、一体に作られてもよく、プラスチック材料で作られてもよい。
【0030】
図7は、分配ブロック9の例示的な実施形態を示し、並列に配置され、かつスプレー部材5に接続されるように意図された3つの流体コネクタ31にそれぞれ関連付けられた3つの電磁弁11を備える。電磁弁11は、分配ブロック9の入口9aと出口9bとを接続する流体チャネルに沿って配置されている。分配ブロック9の出口9bにも、上述したような過圧弁13が配置されている。過圧弁13は、分配ブロック9の標準的な流体コネクタ31に嵌合するように構成されている。しかしながら、過圧弁13は、別の場所、例えば、流体コネクタ31のうちの1つの場所に配置することもでき、過圧弁13の出口13bは依然としてタンク3に流体接続されていることに留意すべきである。分配ブロック9はモジュール式ブロックであるため、スプレーシステム1が自動車に配置される場合、例えば、自動車のモデルに応じて、スプレー部材5の数に適合するように電磁弁11の数を容易に変更することができる。異なる分配ブロック9を組み合わせることもできる。この場合、過圧弁13は、一組の分配ブロック9の共通の出口に配置されてもよい。分配ブロック9の流体コネクタ31は、例えば、標準的なコネクタである。
【0031】
したがって、モジュール式分配ブロックの使用により、供給されるスプレー部材の数に応じて分配ブロックのサイズを調整することができ、標準的な流体コネクタの使用により、ホース又はパイプ15及び過圧弁の接続が可能になる。過圧弁により、スプレーシステム内の圧力が閾値を超えないようにすることができ、ユーザの安全性を確保しつつ、閾値を超える圧力に対する耐性を必要とする機器を使用することができ、これにより、より低コストの機器を使用することができる。