(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-11
(45)【発行日】2024-12-19
(54)【発明の名称】工作機械用の操作盤
(51)【国際特許分類】
B23Q 11/12 20060101AFI20241212BHJP
B23Q 11/14 20060101ALI20241212BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
B23Q11/12 A
B23Q11/14
H05K7/20 G
(21)【出願番号】P 2022558632
(86)(22)【出願日】2020-10-27
(86)【国際出願番号】 JP2020040203
(87)【国際公開番号】W WO2022091200
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2023-10-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 広志
【審査官】荻野 豪治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0068425(US,A1)
【文献】特開平9-051189(JP,A)
【文献】特開2012-227295(JP,A)
【文献】実開平4-038651(JP,U)
【文献】特開2014-044816(JP,A)
【文献】特開2001-148589(JP,A)
【文献】特開2012-222112(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 11/12 - 11/14
H05K 7/00 - 7/20
G05B 19/409
G06F 1/20
H05B 6/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却対象物を収容する筐体と、
前記筐体内に配置される送風装置と、
前記筐体内に空気流路を形成し、前記送風装置から送り出される空気を前記空気流路を通じて前記冷却対象物に向けて導く導風部材とを備え、
前記空気流路は、前記空気流路の流路面積が空気流れの上流側から下流側に向かうに従って大きくなる拡大流路部を有
し、
前記送風装置は、所定軸の周方向に互いに間隔を設けて配置され、前記所定軸を中心に回転する複数枚の羽根部を有し、
前記拡大流路部は、前記所定軸の周方向に延び、
前記送風装置は、前記所定軸の軸方向に空気を送り出す軸流タイプであり、
前記拡大流路部は、前記所定軸の軸方向において前記複数枚の羽根部と対向する位置で、前記所定軸の周方向に延びる、工作機械用の操作盤。
【請求項2】
前記送風装置は、
前記所定軸を中心とする円柱形状を有し、前記複数枚の羽根部に対して前記所定軸の半径方向内側に配置される中心軸部と、
前記中心軸部に収容されるモータと、
前記複数枚の羽根部の外周上を取り囲むファンガードと、
前記中心軸部および前記ファンガードの間で延び、前記モータからの配線が配索されるリブ部とをさらに有し、
前記導風部材は、前記所定軸の軸方向に見た場合に前記リブ部と重なる位置に配置される壁部を有し、
前記拡大流路部は、前記所定軸の軸方向に見た場合に、前記壁部を隔てた一方の空間を始点として前記中心軸部の周りを延び、さらに、前記壁部を隔てた他方の空間を通って、前記中心軸部から離れる方向に延びる、請求項
1に記載の工作機械用の操作盤。
【請求項3】
前記拡大流路部は、前記送風装置から送り出される空気が流入し、前記所定軸の軸方向における流路深さが、空気流れの上流側から下流側に向かうに従って大きくなり、前記所定軸の半径方向における流路幅が一定である第1区間部を有する、請求項
1または2に記載の工作機械用の操作盤。
【請求項4】
前記拡大流路部は、前記送風装置から送り出される空気が流入し、前記第1区間部よりも空気流れの下流側に配置され、前記所定軸の軸方向における流路深さと、前記所定軸の半径方向における流路幅とが、空気流れの上流側から下流側に向かうに従って大きくなる第2区間部をさらに有する、請求項
3に記載の工作機械用の操作盤。
【請求項5】
前記拡大流路部は、前記送風装置から送り出される空気が流入し、前記第2区間部よりも空気流れの下流側に配置され、前記所定軸の軸方向における流路深さが一定であり、前記所定軸の半径方向における流路幅が、空気流れの上流側から下流側に向かうに従って大きくなる第3区間部をさらに有する、請求項
4に記載の工作機械用の操作盤。
【請求項6】
電子部品をさらに備え、
前記冷却対象物は、前記電子部品と前記所定軸の軸方向に積み重なって配置され、前記電子部品と接続されるヒートシンクであり、
前記導風部材は、
前記送風装置が接続され、前記所定軸に直交する平面方向に延在する第1平面部と、
前記空気流路を前記所定軸の半径方向外側を向いて開口させる開口部が設けられ、前記所定軸の半径方向において前記第1平面部から離れた位置であって、前記所定軸の軸方向において前記第1平面部とずれた位置に配置され、前記所定軸に直交する平面方向に延在する第2平面部と、
前記第1平面部および前記第2平面部の間で前記所定軸に対して斜め方向に延びる傾斜部とを有し、
前記送風装置、前記第2平面部および前記ヒートシンクは、挙げた順に、前記所定軸の半径方向内側から半径方向外側に並んで設けられ、
前記第1平面部および前記電子部品は、挙げた順に、前記所定軸の半径方向内側から半径方向外側に並んで設けられる、請求項
1から5のいずれか1項に記載の工作機械用の操作盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、工作機械用の操作盤に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、特表2016-530658号公報(特許文献1)には、数値制御工作機械のための制御コンソールが開示されている。制御コンソールは、ハウジングと、ハウジングにおいて前側に配置されるスクリーンと、電気部品を有する少なくとも1つの回路基板と、流体が中を通ることができる冷却チャネルとを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1に開示されるように、工作機械用の操作盤が知られている。このような工作機械用の操作盤においては、操作盤の筐体内に、工作機械の運転に伴って温度上昇する各種の冷却対象物が収容されるため、筐体内の限られたスペースで、これら冷却対象物を効率的に冷却することが求められる。
【0005】
そこでこの発明の目的は、上記の課題を解決することであり、筐体内に収容される冷却対象物を効率的に冷却することが可能な工作機械用の操作盤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に従った工作機械用の操作盤は、冷却対象物を収容する筐体と、筐体内に配置される送風装置と、筐体内に空気流路を形成し、送風装置から送り出される空気を空気流路を通じて冷却対象物に向けて導く導風部材とを備える。空気流路は、空気流路の流路面積が空気流れの上流側から下流側に向かうに従って大きくなる拡大流路部を有する。
【0007】
このように構成された工作機械用の操作盤によれば、拡大流路部は、空気流路の流路面積が空気流れの上流側から下流側に向かうに従って大きくなるように構成されるため、拡大流路部において空気を円滑に流すことができる。これにより、冷却対象物に向かう空気流量が増大するため、冷却対象物の冷却効率を向上させることができる。
【0008】
また好ましくは、送風装置は、所定軸の周方向に互いに間隔を設けて配置され、所定軸を中心に回転する複数枚の羽根部を有する。拡大流路部は、所定軸の周方向に延びる。
【0009】
このように構成された工作機械用の操作盤によれば、所定軸の周方向に延びる拡大流路部において、空気を円滑に流すことができる。
【0010】
また好ましくは、送風装置は、所定軸の軸方向に空気を送り出す軸流タイプである。拡大流路部は、所定軸の軸方向において複数枚の羽根部と対向する位置で、所定軸の周方向に延びる。
【0011】
このように構成された工作機械用の操作盤によれば、複数枚の羽根部と対向する位置で所定軸の周方向に延びる拡大流路部において、空気を円滑に流すことができる。
【0012】
また好ましくは、送風装置は、所定軸を中心とする円柱形状を有し、複数枚の羽根部に対して所定軸の半径方向内側に配置される中心軸部と、中心軸部に収容されるモータと、複数枚の羽根部の外周上を取り囲むファンガードと、中心軸部およびファンガードの間で延び、モータからの配線が配索されるリブ部とをさらに有する。導風部材は、所定軸の軸方向に見た場合にリブ部と重なる位置に配置される壁部を有する。拡大流路部は、所定軸の軸方向に見た場合に、壁部を隔てた一方の空間を始点として中心軸部の周りを延び、さらに、壁部を隔てた他方の空間を通って、中心軸部から離れる方向に延びる。
【0013】
このように構成された工作機械用の操作盤によれば、壁部を隔てた一方の空間から、壁部の他方の空間を通って、送風装置の中心軸部から離れる方向に延びる拡大流路部において、空気を円滑に流すことができる。この際、壁部は、送風装置において送風を妨げているリブ部と重なる位置に配置されるため、壁部の有無に拘わらず、送風装置から空気流路への送風量を保持することができる。
【0014】
また好ましくは、拡大流路部は、送風装置から送り出される空気が流入し、所定軸の軸方向における流路深さが、空気流れの上流側から下流側に向かうに従って大きくなり、所定軸の半径方向における流路幅が一定である第1区間部を有する。
【0015】
このように構成された工作機械用の操作盤によれば、第1区間部において、流路深さの増大に伴って拡大流路部の流路面積が徐々に大きくなるため、円滑な空気流れを実現することができる。また、第1区間部において、流路幅が一定であるため、導風部材が所定軸の半径方向に大型化することを防止できる。
【0016】
また好ましくは、拡大流路部は、送風装置から送り出される空気が流入し、第1区間部よりも空気流れの下流側に配置され、所定軸の軸方向における流路深さと、所定軸の半径方向における流路幅とが、空気流れの上流側から下流側に向かうに従って大きくなる第2区間部をさらに有する。
【0017】
このように構成された工作機械用の操作盤によれば、第2区間部において、流路深さおよび流路幅の増大に伴って拡大流路部の流路面積が迅速に大きくなるため、さらに円滑な空気流れを実現することができる。
【0018】
また好ましくは、拡大流路部は、送風装置から送り出される空気が流入し、第2区間部よりも空気流れの下流側に配置され、所定軸の軸方向における流路深さが一定であり、所定軸の半径方向における流路幅が、空気流れの上流側から下流側に向かうに従って大きくなる第3区間部をさらに有する。
【0019】
このように構成された工作機械用の操作盤によれば、第3区間部において、流路幅の増大に伴って拡大流路部の流路面積が徐々に大きくなるため、円滑な空気流れを実現することができる。また、第3区間部において、流路深さが一定であるため、導風部材が所定軸の軸方向に大型化することを防止できる。
【0020】
また好ましくは、工作機械用の操作盤は、電子部品をさらに備える。冷却対象物は、電子部品と所定軸の軸方向に積み重なって配置され、電子部品と接続されるヒートシンクである。導風部材は、送風装置が接続され、所定軸に直交する平面方向に延在する第1平面部と、空気流路を所定軸の半径方向外側を向いて開口させる開口部が設けられ、所定軸の半径方向において第1平面部から離れた位置であって、所定軸の軸方向において第1平面部とずれた位置に配置され、所定軸に直交する平面方向に延在する第2平面部と、第1平面部および第2平面部の間で所定軸に対して斜め方向に延びる傾斜部とを有する。送風装置、第2平面部およびヒートシンクは、挙げた順に、所定軸の半径方向内側から半径方向外側に並んで設けられる。第1平面部および電子部品は、挙げた順に、所定軸の半径方向内側から半径方向外側に並んで設けられる。
【0021】
このように構成された工作機械用の操作盤によれば、送風装置、導風部材、電子部品およびヒートシンクを、所定軸の軸方向においてコンパクトな空間に配置することができる。
【発明の効果】
【0022】
以上に説明したように、この発明に従えば、筐体内に収容される冷却対象物を効率的に冷却することが可能な工作機械用の操作盤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】この発明の実施の形態1における操作盤が用いられる工作機械を示す斜視図である。
【
図3】
図2中のIII-III線上の矢視方向に見た操作盤を示す断面図である。
【
図4】
図3中の導風部材および送風装置を示す斜視図である。
【
図5】
図4中の矢印Vに示す方向に見た導風部材および送風装置を示す平面図である。
【
図9】
図8中のIX-IX線上の矢視方向に見た導風部材を示す断面図である。
【
図10】
図8中のX-X線上の矢視方向に見た導風部材を示す断面図である。
【
図11】
図8中のXI-XI線上の矢視方向に見た導風部材を示す断面図である。
【
図12】
図8中のXII-XII線上の矢視方向に見た導風部材を示す断面図である。
【
図13】
図8中のXIII-XIII線上の矢視方向に見た導風部材を示す断面図である。
【
図14】この発明の実施の形態2における操作盤の導風部材の内部構造を示す平面図である。
【
図15】
図14中のXV-XV線上の矢視方向に見た導風部材を示す断面図である。
【
図16】
図14中のXVI-XVI線上の矢視方向に見た導風部材を示す断面図である。
【
図17】
図14中のXVII-XVII線上の矢視方向に見た導風部材を示す断面図である。
【
図18】
図14中のXVIII-XVIII線上の矢視方向に見た導風部材を示す断面図である。
【
図19】
図14中のXIX-XIX線上の矢視方向に見た導風部材を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0025】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1における操作盤が用いられる工作機械を示す斜視図である。
図1を参照して、工作機械100は、ワークに回転する工具を接触させることによって、ワーク加工を行なうマシニングセンタであり、より特定的には、工具の回転中心軸が水平方向に延びる横形マシニングセンタである。工作機械100は、コンピュータによる数値制御によって、ワーク加工のための各種動作が自動化されたNC(Numerically Control)工作機械である。
【0026】
工作機械100は、カバー体21を有する。カバー体21は、加工エリアを区画形成するとともに、工作機械100の外観をなしている。加工エリアは、ワークの加工が行なわれる空間であり、ワーク加工に伴う切屑または切削油等の異物が加工エリアの外部に漏出しないように密閉されている。
【0027】
カバー体21は、正面カバー23と、扉部25とを有する。正面カバー23には、開口部26が設けられている。開口部26は、加工エリアを外部空間に開放している。扉部25は、開口部26に設けられている。扉部25は、開口部26を開状態とする開位置と、開口部26を閉状態とする閉位置(
図1中に示される扉部25の位置)との間において、スライド動作可能である。
【0028】
工作機械100は、操作盤10をさらに有する。操作盤10は、加工エリアの外部に設けられている。操作盤10は、正面カバー23に取り付けられている。操作盤10は、開口部26と隣り合って設けられている。
【0029】
なお、本発明における操作盤は、横形マシニングセンタに限られず、たとえば、旋盤、立形マシニングセンタ、旋削機能と、ミーリング機能とを有する複合加工機、または、ワークの付加加工(AM(Additive manufacturing)加工)と、ワークの除去加工(SM(Subtractive manufacturing)加工)とが可能なAM/SMハイブリッド加工機にも適用可能である。
【0030】
続いて、操作盤10の全体構造について説明する。
図2は、
図1中の操作盤を示す斜視図である。
図2を参照して、操作盤10は、筐体31を有する。筐体31は、操作盤10の外観をなしている。
【0031】
筐体31は、第1筐体31Uと、第2筐体31Lとを有する。第1筐体31Uは、第2筐体31Lよりも上方に配置されている。第1筐体31Uは、第2筐体31Lに対して、回動中心軸120を中心に回動可能に連結されている。第1筐体31Uおよび第2筐体31Lの各々は、平板形状を有する。第1筐体31Uおよび第2筐体31Lの各々は、回動中心軸120を含む平面に平行な平板形状を有する。
【0032】
操作盤10は、作業者が工作機械100を操作する際に用いる各種のボタン、ダイヤルまたはスイッチ等の操作部32、ならびに、工作機械100におけるワークの加工状態等を示す表示部36などを含む。ボタン、ダイヤルまたはスイッチ等の操作部32は、第2筐体31Lに設けられている。表示部36は、第1筐体31Uに設けられている。
【0033】
図3は、
図2中のIII-III線上の矢視方向に見た操作盤を示す断面図である。
図2および
図3を参照して、第1筐体31Uは、対向壁52を有する。対向壁52は、表示部36の裏側に配置されている。対向壁52は、第1筐体31Uの厚み方向に直交する平面方向に延在している。対向壁52および表示部36は、第1筐体31Uの厚み方向において、互いに間隔を設けて配置されている。対向壁52は、表示部36とともに、後述する送風装置61等を収容する内部空間を区画形成している。
【0034】
操作盤10は、隔壁部55をさらに有する。隔壁部55は、第1筐体31U内に配置されている。隔壁部55は、対向壁52と間隔を設けて対向している。隔壁部55は、対向壁52と平行に延在している。第1筐体31Uの厚み方向における対向壁52および隔壁部55の間の距離は、第1筐体31Uの厚み方向における表示部36および隔壁部55の間の距離よりも小さい。
【0035】
対向壁52および隔壁部55の間には、空気通路54が形成されている。対向壁52には、吸気口53が設けられている。吸気口53は、対向壁52を貫通する貫通孔からなる。吸気口53は、空気通路54と、第1筐体31Uの外部との間を連通させている。
【0036】
操作盤10は、表示装置41をさらに有する。表示装置41は、液晶パネルまたは有機EL等の表示パネルからなる。表示装置41は、薄板形状を有し、第1筐体31Uの厚み方向に直交する平面と平行に配置されている。表示部36は、表示装置41の表示面から構成されている。
【0037】
操作盤10は、電子部品43と、ヒートシンク47とをさらに有する。電子部品43およびヒートシンク47は、第1筐体31Uの厚み方向において、表示装置41および隔壁部55の間に配置されている。電子部品43は、CPU(Central Processing Unit)からなる。電子部品43は、基板42に実装されている。基板42は、対向壁52および隔壁部55と平行に配置されている。電子部品43は、基板42に対して表示装置41の反対側に配置されている。
【0038】
ヒートシンク47は、アルミニウム等の金属製である。ヒートシンク47は、第1筐体31U内に収容されている。ヒートシンク47は、第1筐体31Uの厚み方向において、電子部品43および隔壁部55の間に配置されている。
【0039】
ヒートシンク47は、電子部品43と接続されている。ヒートシンク47は、電子部品43と熱的に接続されている。ヒートシンク47および電子部品43の間には、グリスまたは熱伝導性シートが介挿されてもよい。ヒートシンク47は、第1筐体31Uの厚み方向(後述する中心軸130の軸方向)において、電子部品43と積み重なって配置されている。
【0040】
ヒートシンク47は、放熱板44と、複数枚のフィン45とを有する。放熱板44は、対向壁52および隔壁部55と平行に配置されている。放熱板44は、電子部品43を介して基板42と対向している。放熱板44は、電子部品43と接続されている。複数枚のフィン45は、第1筐体31Uの厚み方向において、隔壁部55および放熱板44の間に配置されている。複数枚のフィン45は、放熱板44と一体に設けられている。複数枚のフィン45は、放熱板44から隔壁部55に向けて延出している。複数枚のフィン45は、第1筐体31Uの厚み方向に直交する方向において、互いに間隔を設けて配置されている。
【0041】
操作盤10は、送風装置61と、導風部材81とをさらに有する。送風装置61および導風部材81は、第1筐体31U内に配置されている。送風装置61および導風部材81は、第1筐体31Uの厚み方向において、表示装置41および隔壁部55の間に配置されている。送風装置61は、導風部材81と接続されている。送風装置61は、隔壁部55に取り付けられている。送風装置61は、空気通路54を介して対向壁52と対向している。空気通路54は、送風装置61の吸い込み側と連通している。
【0042】
導風部材81は、第1筐体31U内に空気流路90を形成する。導風部材81は、空気流路90を形成するダクトからなる。
【0043】
導風部材81には、上流側開口部84と、下流側開口部85(開口部)とが設けられている。空気流路90は、上流側開口部84および下流側開口部85の間で延びている。上流側開口部84は、空気流路90における空気流れの上流側の端部に設けられている。空気流路90は、上流側開口部84を通じて、送風装置61の噴き出し側と連通している。
【0044】
下流側開口部85は、空気流路90における空気流れの下流側の端部に設けられている。下流側開口部85は、放熱板44および隔壁部55の間の空間に開口している。下流側開口部85は、ヒートシンク47と対向して開口している。下流側開口部85は、複数枚のフィン45と対向して開口している。
【0045】
送風装置61の駆動に伴って、第1筐体31Uの外部の空気が、吸気口53を通じて第1筐体31U内の空気通路54に取り込まれる。空気通路54を流れる空気は、送風装置61から空気流路90に送り出される。空気は、空気流路90を通り、ヒートシンク47(複数枚のフィン45)に向けて導かれる。ヒートシンク47との熱交換により温度上昇した空気は、隔壁部55の端部57を回り込んで空気通路54に流出する。空気通路54に流出した空気は、対向壁52に設けられた排気口(不図示)を通じて、第1筐体31Uの外部に排出される。
【0046】
続いて、送風装置61および導風部材81のより具体的な構造について説明する。
図4は、
図3中の導風部材および送風装置を示す斜視図である。
図5は、
図4中の矢印Vに示す方向に見た導風部材および送風装置を示す平面図である。
図6および
図7は、
図3中の送風装置を示す斜視図である。
図6中には、吸い込み側の送風装置61が示され、
図7中には、噴き出し側の送風装置61が示されている。
【0047】
図3から
図7を参照して、送風装置61は、複数枚の羽根部66と、中心軸部63と、モータ62とを有する。
【0048】
複数枚の羽根部66は、仮想上の直線である中心軸130の周方向において、互いに間隔を設けて配置されている。複数枚の羽根部66は、中心軸130の周方向において等間隔に設けられている。中心軸130は、第1筐体31Uの厚み方向に延びている。中心軸130の軸方向は、第1筐体31Uの厚み方向に対応している。
【0049】
送風装置61は、中心軸130の軸方向に空気を送り出す軸流タイプである。送風装置61は、プロペラファンである。送風装置61は、中心軸130の軸方向が厚み方向となる平板状の外観を有する。中心軸130の軸方向に沿った一方向を向く送風装置61の端面側が、吸い込み側に対応し、中心軸130の軸方向に沿った逆方向を向く送風装置61の端面側が、噴き出し側に対応している。
【0050】
中心軸部63は、中心軸130の軸上に設けられている。中心軸部63は、中心軸130を中心とする円柱形状を有する。中心軸部63は、複数枚の羽根部66に対して、中心軸130の半径方向内側に配置されている。
【0051】
中心軸部63は、第1円盤部64と、第2円盤部67と、円筒部65とを有する。第1円盤部64および第2円盤部67は、中心軸130を中心とする円盤形状を有する。第1円盤部64および第2円盤部67は、中心軸130の軸方向において互いに間隔を設けて配置されている。第1円盤部64は、吸い込み側に配置され、第2円盤部67は、噴き出し側に配置されている。
【0052】
円筒部65は、中心軸130を中心とする円筒形状を有する。円筒部65は、中心軸130の軸方向における一方端において、第1円盤部64と接続されている。円筒部65は、第2円盤部67とは分離されている。複数枚の羽根部66の根元部は、円筒部65に接続されている。
【0053】
モータ62は、中心軸部63に収容されている。モータ62は、第1円盤部64、第2円盤部67および円筒部65により囲まれた空間に配置されている。モータ62は、第2円盤部67により支持されている。モータ62の出力軸は、第1円盤部64と接続されている。モータ62からの回転が第1円盤部64および円筒部65に伝達されることによって、複数枚の羽根部66が、中心軸130を中心にして、
図5中に示される矢印140に示す方向に回転する。
【0054】
送風装置61は、ファンガード70と、複数のリブ部68とをさらに有する。ファンガード70は、複数枚の羽根部66の外周上を取り囲むように設けられている。ファンガード70は、中心軸部63から中心軸130の半径方向外側に離れた位置に設けられている。中心軸130の半径方向における中心軸部63およびファンガード70の間の空間72には、複数枚の羽根部66が配置されている。中心軸130の半径方向におけるファンガード70および複数枚の羽根部66の間には、隙間が設けられている。
【0055】
複数のリブ部68は、ファンガード70および中心軸部63の間で延びている。複数のリブ部68は、中心軸130の周方向において互いに間隔を設けて配置されている。リブ部68は、中心軸130の周方向にずれながら、中心軸130の半径方向内側から半径方向外側に向けて延びている。リブ部68は、中心軸130の半径方向内側における端部において、第2円盤部67の外周縁に連なっている。リブ部68は、中心軸130の半径方向外側における端部において、ファンガード70に連なっている。
【0056】
複数のリブ部68は、リブ部68jを含む。
図7に示されるように、リブ部68jには、モータ62から延出する配線71が配索されている。配線71は、モータ62の動力線および信号線を含む。配線71は、モータ62が収容される中心軸部63から、リブ部68jを通ってファンガード70に引き出されている。中心軸130の周方向におけるリブ部68jの幅は、中心軸130の周方向における、リブ部68j以外のリブ部68の幅よりも大きい。
【0057】
導風部材81は、第1平面部86と、傾斜部87と、第2平面部88とを有する。第1平面部86および第2平面部88は、中心軸130の軸方向が厚み方向となる平板形状を有する。傾斜部87は、第1平面部86および第2平面部88を接続している。傾斜部87は、第1平面部86および第2平面部88に対して斜め方向に延在する平板形状を有する。
【0058】
第1平面部86には、送風装置61が接続されている。第1平面部86は、中心軸130に直交する平面方向に延在している。送風装置61は、第1平面部86と中心軸130の軸方向に積み重なって設けられている。上流側開口部84は、第1平面部86に設けられている。上流側開口部84は、空気流路90を中心軸130の軸方向を向いて開口させている。上流側開口部84は、中心軸130の軸方向において、中心軸部63および空間72が投影される範囲で開口している。
【0059】
第2平面部88は、中心軸130の半径方向において第1平面部86から離れた位置であって、中心軸130の軸方向において第1平面部86とずれた位置に配置されている。第2平面部88は、中心軸130に直交する平面方向に延在している。下流側開口部85は、第2平面部88に設けられている。下流側開口部85は、空気流路90を中心軸130の半径方向外側を向いて開口させている。
【0060】
第2平面部88は、第1平面部86から、中心軸130の軸方向において隔壁部55に近づく方向にずれた位置に設けられている。第2平面部88は、第1平面部86とともに、中心軸130の軸方向における段差形状をなしている。送風装置61は、第1平面部86および第2平面部88がなす段差部分に配置されている。
【0061】
傾斜部87は、中心軸130の半径方向において、第1平面部86および第2平面部88の間に配置されている。傾斜部87は、第1平面部86および第2平面部88の間で中心軸130に対して斜め方向に延びている。
【0062】
送風装置61、第2平面部88およびヒートシンク47(複数枚のフィン45)は、挙げた順に、中心軸130の半径方向内側から半径方向外側に並んで設けられている。送風装置61、第2平面部88およびヒートシンク47(複数枚のフィン45)は、中心軸130に直交する同一平面内に設けられている。第2平面部88は、中心軸130の半径方向において、傾斜部87を介して送風装置61と対向して設けられている。ヒートシンク47(複数枚のフィン45)は、中心軸130の半径方向において第2平面部88と対向して設けられている。
【0063】
第1平面部86および電子部品43は、挙げた順に、中心軸130の半径方向内側から半径方向外側に並んで設けられている。第1平面部86および電子部品43は、中心軸130に直交する同一平面内に設けられている。電子部品43は、中心軸130の半径方向において、傾斜部87を介して電子部品43と対向して設けられている。
【0064】
第2平面部88は、中心軸130の軸方向において、放熱板44と積み重なって設けられている。
【0065】
このような構成によれば、導風部材81の第1平面部86および第2平面部88がなす段差形状を利用することにより、送風装置61、導風部材81、電子部品43およびヒートシンク47を、中心軸130の軸方向においてコンパクトな空間に配置することができる。これにより、第1筐体31Uを薄型化することができる。
【0066】
続いて、導風部材81に設けられる空気流路90の具体的な構造について説明する。
図8は、導風部材の内部構造を示す平面図である。
図9は、
図8中のIX-IX線上の矢視方向に見た導風部材を示す断面図である。
図10は、
図8中のX-X線上の矢視方向に見た導風部材を示す断面図である。
図11は、
図8中のXI-XI線上の矢視方向に見た導風部材を示す断面図である。
図12は、
図8中のXII-XII線上の矢視方向に見た導風部材を示す断面図である。
図13は、
図8中のXIII-XIII線上の矢視方向に見た導風部材を示す断面図である。
【0067】
図4から
図13を参照して、空気流路90は、周回部90Aと、延伸部90Bとを有する。
【0068】
周回部90Aは、上流側開口部84を通じて、中心軸130の軸方向を向いて開口している。周回部90Aには、送風装置61から送り出される空気が流入する。延伸部90Bは、周回部90Aよりも空気流路90における空気流れの下流側に配置されている。延伸部90Bは、下流側開口部85を通じて、中心軸130の半径方向外側を向いて開口している。
【0069】
周回部90Aは、中心軸130の周方向に延びている。周回部90Aは、中心軸130の軸方向において複数枚の羽根部66と対向する位置で、中心軸130の周方向に延びている。周回部90Aは、中心軸130の軸方向において空間72と対向する位置で、中心軸130の周方向に延びている。
【0070】
周回部90Aは、第1平面部86に設けられている。導風部材81(第1平面部86)は、頂部160と、内周側壁部161と、外周側壁部162とを有する。
【0071】
頂部160は、中心軸130を中心とする円盤形状を有する。頂部160は、中心軸130の軸方向において、送風装置61の中心軸部63(第2円盤部67)と対向している。内周側壁部161は、頂部160の周縁部から、中心軸130の軸方向において送風装置61より遠ざかる方向に延出している。内周側壁部161は、中心軸130の半径方向外側を向いて、中心軸130の周方向に延在している。内周側壁部161は、中心軸130の周方向の位置に拘わらず、中心軸130を中心に一定の半径を有する。
【0072】
外周側壁部162は、中心軸130の半径方向内側を向いて、中心軸130の周方向に延在している。外周側壁部162は、中心軸130の半径方向において、内周側壁部161と対向している。周回部90Aは、中心軸130の半径方向において、内周側壁部161および外周側壁部162の間に形成されている。
【0073】
延伸部90Bは、空気流路90における空気流れの下流側の周回部90Aの端部から、下流側開口部85に向けて延びている。延伸部90Bは、中心軸130の半径方向内側から半径方向外側に向けて延びている。
【0074】
延伸部90Bは、傾斜部87および第2平面部88に設けられている。導風部材81(傾斜部87,第2平面部88)は、第1側壁部163と、第2側壁部164とを有する。第1側壁部163および第2側壁部164は、互いに対向している。第1側壁部163は、後述する壁部165から下流側開口部85の開口縁に向けて延びている。第2側壁部164は、外周側壁部162から下流側開口部85の開口縁に向けて延びている。
【0075】
延伸部90Bは、第1側壁部163および第2側壁部164の間に形成されている。第1側壁部163および第2側壁部164の間の距離は、空気流路90における空気流れの上流側から下流側に向かうに従って大きくなる。
【0076】
導風部材81(第1平面部86)は、壁部165をさらに有する。壁部165は、内周側壁部161および第1側壁部163の間で延びている。壁部165は、中心軸130の周方向にずれながら、中心軸130の半径方向内側から半径方向外側に向けて延びている。中心軸130の周方向における壁部165の幅は、中心軸130の周方向におけるリブ部68jの幅よりも小さい。
【0077】
図5に示されるように、壁部165は、中心軸130の軸方向に見た場合に、リブ部68jと重なる位置に配置されている。なお、中心軸130の軸方向に見た場合に、壁部165およびリブ部68jが部分的に重なり合う構成であってもよい。
【0078】
空気流路90は、拡大流路部150を有する。拡大流路部150の流路面積は、空気流れの上流側から下流側に向かうに従って大きくなる。拡大流路部150の流路面積とは、空気流路90における空気流れに直交する平面により切断された場合の拡大流路部150の開口面積である。
【0079】
本実施の形態では、拡大流路部150が、周回部90Aおよび延伸部90Bの全範囲に渡っている。
図5および
図8に示されるように、拡大流路部150は、中心軸130の軸方向に見た場合に、壁部165を隔てた一方の空間210を始点として中心軸部63の周りを延び、さらに、壁部165を隔てた他方の空間220を通って、中心軸部63から離れる方向に延びている。空間210および空間220は、中心軸130の軸方向に見た場合に、壁部165を挟んだ両側に設けられている。
【0080】
拡大流路部150(周回部90A)が、中心軸130を中心に、空間210を始点として空間220に向けて周回する方向は、送風装置61における複数枚の羽根部66の回転方向と同じ方向である。
【0081】
このような構成によれば、拡大流路部150が、空気流路90の流路面積が空気流れの上流側から下流側に向かうに従って大きくなるように構成されるため、拡大流路部150において空気を円滑に流すことができる。
【0082】
また、本実施の形態では、周回部90Aにおいて、送風装置61から送り出される空気が中心軸130の軸方向に流入し、中心軸130の周方向に方向を変えて、空気流路90における空気流れの上流側から下流側に向けて流れる。この場合、周回部90Aにおける空気流れの流量は、空気流路90における空気流れの上流側から下流側に向かうほど大きくなるため、空気流れの下流側の圧力が上流側の圧力よりも大きくなる。これに対して、周回部90Aの流路面積が空気流れの上流側から下流側に向かうに従って大きくなるため、周回部90Aにおいて空気を円滑に流すことができる。
【0083】
以上の理由により、ヒートシンク47に供給される空気流量を増大させて、ヒートシンク47、延いては、電子部品43の冷却効率を向上させることができる。
【0084】
また、本実施の形態では、中心軸130の軸方向に見て、壁部165が、送風装置61から空気流路90への送風を妨げているリブ部68jと重なる位置に設けられている。このため、壁部165の有無に拘わらず、送風装置61から空気流路90への送風量を保持することができる。
【0085】
図8から
図13を参照して、拡大流路部150(周回部90A)は、第1区間部91と、第2区間部92と、第3区間部93とを有する。
【0086】
第1区間部91、第2区間部92および第3区間部93には、送風装置61から送り出される空気が中心軸130の軸方向に流入する。第2区間部92は、第1区間部91よりも、空気流路90における空気流れの下流側に配置されている。第2区間部92は、空気流路90における空気流れの下流側の第1区間部91の端部に接続されている。第3区間部93は、第2区間部92よりも、空気流路90における空気流れの下流側に配置されている。第3区間部93は、空気流路90における空気流れの下流側の第2区間部92の端部に接続されている。
【0087】
図8から
図10に示されるように、第1区間部91は、空間210を始点として、中心軸130を中心とする90°未満の角度範囲に渡っている。第1区間部91における拡大流路部150の流路面積は、空気流れの上流側から下流側に向かうに従って大きくなる(S1<S2)。第1区間部91では、中心軸130の軸方向における流路深さが、空気流路90における空気流れの上流側から下流側に向かうに従って大きくなり(H1<H2)、中心軸130の半径方向における流路幅が一定である(B1=B2)。
【0088】
第1区間部91において、中心軸130を中心とする外周側壁部162の半径は、一定である。内周側壁部161および外周側壁部162の間の距離は、空気流路90における空気の流れ方向に沿った位置に拘わらず、一定である。
【0089】
図8、
図10および
図11に示されるように、第2区間部92は、中心軸130を中心とする90°の角度範囲に渡っている。第2区間部92における拡大流路部150の流路面積は、空気流れの上流側から下流側に向かうに従って大きくなる(S2<S3)。第2区間部92では、中心軸130の軸方向における流路深さと、中心軸130の半径方向における流路幅とが、空気流路90における空気流れの上流側から下流側に向かうに従って大きくなる(H2<H3,B2<B3)。
【0090】
第2区間部92において、中心軸130を中心とする外周側壁部162の半径は、空気流路90における空気流れの上流側から下流側に向かうに従って大きくなる。
【0091】
図8、
図11から
図13に示されるように、第3区間部93は、中心軸130を中心とする90°を越え180°未満の角度範囲に渡っている。第3区間部93における拡大流路部150の流路面積は、空気流れの上流側から下流側に向かうに従って大きくなる(S3<S4<S5)。第3区間部93では、中心軸130の軸方向における流路深さが一定であり、中心軸130の半径方向における流路幅が、空気流路90における空気流れの上流側から下流側に向かうに従って大きくなる(H3=H4=H5,B3<B4<B5)。
【0092】
第3区間部93において、中心軸130を中心とする外周側壁部162の半径は、空気流路90における空気流れの上流側から下流側に向かうに従って大きくなる。第2区間部92および第3区間部93における外周側壁部162は、中心軸130の軸方向に見た場合に、対数螺旋に沿って延びる軌跡を有してもよい。空気流路90の底部は、空気流路90の側部をなす内周側壁部161および外周側壁部162と湾曲面により接続されることが好ましい。
【0093】
中心軸130を中心とする第2区間部92の角度範囲は、中心軸130を中心とする第1区間部91の角度範囲よりも大きい。中心軸130を中心とする第3区間部93の角度範囲は、中心軸130を中心とする第2区間部92の角度範囲よりも大きい。
【0094】
このような構成によれば、第1区間部91において、流路深さの増大に伴って拡大流路部150の流路面積が徐々に大きくなるため、円滑な空気流れを実現することができる。また、第1区間部91において、流路幅が一定であるため、
図8中に示される導風部材81の幅Wを小さく抑えることができる。これにより、導風部材81をコンパクトに構成することができる。
【0095】
また、第2区間部92において、流路深さおよび流路幅の増大に伴って拡大流路部150の流路面積が迅速に大きくなるため、さらに円滑な空気流れを実現することができる。
【0096】
また、第3区間部93において、流路幅の増大に伴って拡大流路部150の流路面積が徐々に大きくなるため、円滑な空気流れを実現することができる。また、第3区間部93において、流路深さが一定であるため、
図4中に示される導風部材81の厚みTを小さく抑えることができる。これにより、導風部材81をさらにコンパクトに構成することができる。
【0097】
以上に説明した、この発明の実施の形態1における工作機械用の操作盤10の構造についてまとめると、本実施の形態における工作機械用の操作盤10は、冷却対象物としてのヒートシンク47を収容する筐体としての第1筐体31Uと、第1筐体31U内に配置される送風装置61と、第1筐体31U内に空気流路90を形成し、送風装置61から送り出される空気を空気流路90を通じてヒートシンク47に向けて導く導風部材81とを備える。空気流路90は、空気流路90の流路面積が空気流れの上流側から下流側に向かうに従って大きくなる拡大流路部150を有する。
【0098】
このように構成された、この発明の実施の形態1における工作機械用の操作盤10によれば、空気流路90に、流路面積が空気流れの上流側から下流側に向かうに従って大きくなる拡大流路部150を設けることによって、空気流路90において空気を円滑に流すことが可能となる。これにより、第1筐体31U内に収容されるヒートシンク47を効率的に冷却することができる。
【0099】
なお、本実施の形態では、本発明における送風装置が軸流タイプである場合を説明したが、これに限られず、本発明における送風装置は、たとえば、シロッコファンであってもよいし、クロスフローファンであってもよい。
【0100】
(実施の形態2)
図14は、この発明の実施の形態2における操作盤の導風部材の内部構造を示す平面図である。
図14は、実施の形態1における
図8に対応している。
図15は、
図14中のXV-XV線上の矢視方向に見た導風部材を示す断面図である。
図16は、
図14中のXVI-XVI線上の矢視方向に見た導風部材を示す断面図である。
図17は、
図14中のXVII-XVII線上の矢視方向に見た導風部材を示す断面図である。
図18は、
図14中のXVIII-XVIII線上の矢視方向に見た導風部材を示す断面図である。
図19は、
図14中のXIX-XIX線上の矢視方向に見た導風部材を示す断面図である。
【0101】
本実施の形態における操作盤は、実施の形態1における操作盤10と比較して、基本的には同様の構造を備える。以下、重複する構造については、その説明を繰り返さない。
【0102】
図14から
図19を参照して、本実施の形態では、空気流路90が、一定流路部155と、拡大流路部150とを有する。
【0103】
図14から
図16に示されるように、一定流路部155は、実施の形態1における周回部90Aの第1区間部91に対応する位置に設けられている。一定流路部155は、空気流路90における空気の流れ方向の位置に拘わらず、一定の流路面積を有する(S6=S7)。一定流路部155では、中心軸130の軸方向における流路深さが一定であり(H6=H7)、中心軸130の半径方向における流路幅が一定である(B6=B7)。
【0104】
図14に示されるように、拡大流路部150は、実施の形態1における周回部90Aの第2区間部92および第3区間部93と、実施の形態1における延伸部90Bとに対応する位置に設けられている。拡大流路部150(周回部90A)は、実施の形態1における周回部90Aの第2区間部92に対応する位置に、第4区間部96を有する。拡大流路部150(周回部90A)は、実施の形態1における周回部90Aの第3区間部93に対応する位置に、第5区間部97を有する。
【0105】
図14、
図16および
図17に示されるように、第4区間部96における拡大流路部150の流路面積は、空気流れの上流側から下流側に向かうに従って大きくなる(S7<S8)。第4区間部96では、中心軸130の軸方向における流路深さが一定であり、中心軸130の半径方向における流路幅が、空気流路90における空気流れの上流側から下流側に向かうに従って大きくなる(H7=H8,B7<B8)。
【0106】
図14、
図17から
図19に示されるように、第5区間部97における拡大流路部150の流路面積は、空気流れの上流側から下流側に向かうに従って大きくなる(S8<S9<S10)。第5区間部97では、中心軸130の軸方向における流路深さが一定であり、中心軸130の半径方向における流路幅が、空気流路90における空気流れの上流側から下流側に向かうに従って大きくなる(H8=H9=H10,B8<B9<B10)。
【0107】
本実施の形態では、空気流路90が、一定流路部155および拡大流路部150から構成されており、流路面積が空気流れの上流側から下流側に向かうに従って小さくなる区間を有しない。
【0108】
このように構成された、この発明の実施の形態2における工作機械用の操作盤によれば、実施の形態1に記載の効果を同様に奏することができる。
【0109】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0110】
この発明は、工作機械に用いられる操作盤に適用される。
【符号の説明】
【0111】
10 操作盤、21 カバー体、23 正面カバー、25 扉部、26 開口部、31 筐体、31L 第2筐体、31U 第1筐体、32 操作部、36 表示部、41 表示装置、42 基板、43 電子部品、44 放熱板、45 フィン、47 ヒートシンク、52 対向壁、53 吸気口、54 空気通路、55 隔壁部、57 端部、61 送風装置、62 モータ、63 中心軸部、64 第1円盤部、65 円筒部、66 羽根部、67 第2円盤部、68,68j リブ部、70 ファンガード、71 配線、81 導風部材、84 上流側開口部、85 下流側開口部、86 第1平面部、87 傾斜部、88 第2平面部、90 空気流路、90A 周回部、90B 延伸部、91 第1区間部、92 第2区間部、93 第3区間部、96 第4区間部、97 第5区間部、100 工作機械、120 回動中心軸、130 中心軸、150 拡大流路部、155 一定流路部、160 頂部、161 内周側壁部、162 外周側壁部、163 第1側壁部、164 第2側壁部、165 壁部、210,220 空間。