(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-11
(45)【発行日】2024-12-19
(54)【発明の名称】リフトトラックアタッチメント用の同期されたハイブリッドクランプ力コントローラ
(51)【国際特許分類】
F15B 11/028 20060101AFI20241212BHJP
F15B 11/16 20060101ALI20241212BHJP
B66F 9/22 20060101ALI20241212BHJP
B66F 9/14 20060101ALI20241212BHJP
B66F 9/08 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
F15B11/028 B
F15B11/16 B
B66F9/22 X
B66F9/14 G
B66F9/08 L
(21)【出願番号】P 2022576417
(86)(22)【出願日】2021-06-16
(86)【国際出願番号】 US2021037692
(87)【国際公開番号】W WO2021257740
(87)【国際公開日】2021-12-23
【審査請求日】2023-06-29
(32)【優先日】2020-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592229487
【氏名又は名称】カスケード コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】CASCADE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ウォルサーズ, クリストファー, エム.
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】特開昭52-029066(JP,A)
【文献】実開平01-111694(JP,U)
【文献】特開昭60-067399(JP,A)
【文献】特開2002-089517(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0210851(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/08
B66F 9/14
B66F 9/22
F15B 11/028
F15B 11/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプから加圧
入力流体を受け取り、非加圧流体をリザーバに戻すように構成された入力ポートと、
第1の出力ポートおよび第2の出力ポートであって、前記第1の出力ポート
および前記第2の出力ポートが
それぞれ、対応する油圧アクチュエータに接続可能であり、前記第1の出力ポートおよび前記第2の出力ポー
トがそれぞれ、前記第1の出力ポートおよび前記第2の出力ポートのそれぞれ
に接続された油圧アクチュエータに加圧流体
を送達
すると同時に、前記油圧アクチュエータから送出された流体を受け取るように構成された、第1の出力ポートおよび第2の出力ポートと、
一方の油圧アクチュエータから送出された流体を
、他方の油圧アクチュエー
タに送達され
る流体を加圧する
ために選択的に使用することができるセレクタと
を備える油圧制御回路であって、
他方の油圧アクチュエー
タに送達され
る流体を加圧するために
、一方の油圧アクチュエータから
流体が送出されないとき、
それぞれの油圧アクチュエータに供給される流体が、分流器から出力された入力流体を再合流させるかどうかを決定する弁によって、互いに異なる圧力にあり、一方の油圧アクチュエータに供給され
る流体が
他方の油圧アクチュエータに供給され
る流体と異なる圧力であっても、前記
一方の油圧アクチュエータおよび前記
他方の油圧アクチュエータは同期的に伸張および後退をす
る、油圧制御回路。
【請求項2】
前記セレクタが、
当該油圧制御回路に供給される流体圧力の大きさに基づいて、一方の油圧アクチュエータから送出された流体を、
他方の油圧アクチュエー
タに送達され
る流体を自動的に加圧する
ために選択的に使用する、請求項1に記載の油圧制御回路。
【請求項3】
前記セレクタが、
入力ポートのどの接続部が加圧流体を受け取るかに基づいて、一方の油圧アクチュエータから送出された流体
を、他方の油圧アクチュエー
タに送達され
る流体を自動的に加圧
するために選択的に使用する、請求項1に記載の油圧制御回路。
【請求項4】
当該油圧制御回路は、クランプを有するリフトトラックアタッチメントに接続されており、前記セレクタが、
前記クランプが荷と係合したときに、一方の油圧アクチュエータから送出された流体
を、他方の油圧アクチュエー
タに送達され
る流体を自動的に加圧する
ために選択的に使用する、請求項1に記載の油圧制御回路。
【請求項5】
前記セレクタが、
前記油圧アクチュエータの開放移動中に、一方の油圧アクチュエータから送出された流体
を、他方の油圧アクチュエー
タに送達され
る流体を自動的に加圧する
ために選択的に使用する、請求項1に記載の油圧制御回路。
【請求項6】
前記セレクタが、
前記油圧アクチュエータの閉鎖移動の一部の間および前記油圧アクチュエータの開放移動の間に、一方の油圧アクチュエータから送出された流体
を、他方の油圧アクチュエー
タに送達され
る流体を自動的に加圧する
ために選択的に使用する、請求項1に記載の油圧制御回路。
【請求項7】
前記セレクタが、前記油圧アクチュエータが直列に連結される第1のモードと、前記油圧アクチュエータが直列に連結されない第2のモードとの間で前記制御回路を交番させる、請求項1に記載の油圧制御回路。
【請求項8】
前記第2のモードでは、前記油圧アクチュエータが並列に駆動される、請求項7に記載の油圧制御回路。
【請求項9】
前記第2のモードでは、一方の油圧アクチュエータが前記制御回路によって移動され、一方、他方の油圧アクチュエータが前記制御回路によって移動が防止される、請求項7に記載の油圧制御回路。
【請求項10】
ポンプから加圧
入力流体を受け取り、非加圧流体をリザーバに戻すように構成された油圧制御回路であって、
当該油圧制御回路は、前記制御回路が第1の油圧アクチュエータおよび第2の油圧アクチュエータに接続されたときに第1の状態と第2の状態との間で交互に動作可能なセレクタを備え、前記第1の状態では、前記第1の油圧アクチュエータ
と前記第2の油圧アクチュエータ
とが油圧式に連結され、前記第2の状態では、前記第1の油圧アクチュエータ
と前記第2の油圧アクチュエータ
とが油圧式に連結されず、
当該油圧制御回路は、前記第1の油圧アクチュエータの作動と前記第2の油圧アクチュエータの作動とが同時に
かつ同期して行われている間
に、
他方の油圧アクチュエータに送達され
る流体
を加圧
するために
、一方の油圧アクチュエータから流体が送出されないとき、
それぞれの油圧アクチュエータに供給される流体が、分流器から出力された入力流体を再合流させるかどうかを決定する弁によって、互いに異なる圧力にあるように構成される、油圧制御回路。
【請求項11】
前記セレクタが、当該油圧制御回路に供給され
る流体圧力の大きさに基づいて
、前記第1の状態と前記第2の状態とを自動的に交番させる、請求項
10に記載の油圧制御回路。
【請求項12】
前記セレクタが、入力ポートのどの接続部が加圧流体を受け取るかに基づいて、前記第1の状態と前記第2の状態とを自動的に交番させる、請求項
10に記載の油圧制御回路。
【請求項13】
前記第1の油圧
アクチュエータを前記第2の油圧
アクチュエータと再同期させるように動作可能な再同期弁を含む、請求項
10に記載の油圧制御回路。
【請求項14】
前記第1の油圧アクチュエータおよび前記第2の油圧アクチュエータを有するリフトトラックアタッチメントに含まれる、請求項
10に記載の油圧制御回路。
【請求項15】
前記第1の油圧アクチュエータおよび前記第2の油圧アクチュエータのうちの少なくとも一方が、
対応する油圧アクチュエータのロッド側とヘッド側との間
を流体
が通過
することを選択的に可能にする弁として動作する、請求項
14に記載の油圧制御回路。
【請求項16】
少なくとも1つの前記弁が、前記第1の油圧アクチュエータを前記第2の油圧アクチュエータと再同期させるように構成された再同期弁である、請求項
15に記載の油圧制御回路。
【請求項17】
少なくとも1つの前記弁が、閉鎖移動のストロークの終点において
、対応する油圧アクチュエータのロッド側とヘッド側との間を
流体が通過することを可能にする、請求項
16に記載の油圧制御回路。
【請求項18】
少なくとも1つの前記弁が、開放移動のストロークの終点において
、対応する油圧アクチュエータの前記ロッド側と前記ヘッド側との間を
流体が通過することを可能にする、請求項
17に記載の油圧制御回路。
【請求項19】
少なくとも1つの前記弁が、閉鎖移動のストロークの終点において
、対応する油圧アクチュエータの前記ロッド側と前記ヘッド側との間を
流体が通過することを可能にする、請求項
15に記載の油圧制御回路。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
[0001]本出願は、2020年6月18日に出願された米国仮特許出願第63/041,014号の利益を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
[0002]本出願の主題は、一般に、荷を把持して移動させるために使用されるリフトトラックアタッチメントを作動させるための改良されたシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]リフトトラック等のマテリアルハンドリング車両は、ある場所から別の場所に荷を取り上げて移動させるために使用される。リフトトラックは、典型的には多くの異なるタイプの荷を輸送しなければならないため、リフトトラックは、通常、垂直方向に伸張可能なキャリッジを支持するマストを含み、これは、各々がある特定のタイプの荷に確実に係合して移動させるように意図された、様々な異なる油圧作動式リフトトラックアタッチメントのうちのいずれか1つに選択的に相互接続され得る。例えば、特定のリフトトラックアタッチメントは、移動される荷を支持するパレットのそれぞれのスロット内に摺動するように意図された、一対の水平方向に離間したフォークを含み得る。別のリフトトラックアタッチメントは、リフトトラックが荷を持ち上げて荷を移動させることができるように、荷の側面を堅く把持するように意図された、一対の対向し垂直に向けられたクランプを含み得る。
【0004】
[0004]この後者のタイプのアタッチメントの例には、箱または他の矩形の荷を把持するように意図されたカートンクランプアタッチメント、円筒形の荷を把持するように意図されたペーパーロールクランプ等が含まれる。カートンまたはロールクランプアタッチメント等のリフトトラックアタッチメントは、荷の損傷を回避するように設計された油圧制御システムを必要とする。一例として、クランプ型アタッチメント用の油圧制御システムは、輸送中に荷が落下しないように、荷を確実に把持するのに十分な横方向の力を提供する必要があるが、同時に荷にそれほど大きな力を加えて荷を損傷しないようにする必要がある。したがって、クランプアタッチメント用の油圧制御システムは、典型的には、制御システムとともに比較的低い初期圧力からスリップすることなく荷が持ち上げられるちょうど十分な圧力まで、自動的に把持流体圧力を徐々に増加させることによって把持力を調節する、ある種の荷重量検知機構を含む。
【0005】
[0005]しかしながら、低い初期圧力を用いると、荷係合面を閉鎖して荷と最初に接触させることができる速度が制限され、それによって荷クランプシステムの生産性が制限される。この問題は、高速の閉鎖が所望の低い閾値圧力よりも高い閉鎖圧力を必要とするために発生し、そのようなより高い圧力は、最初の閉鎖中に流体入力逆止弁によってシステム内に閉じ込められ、その結果、把持圧力の自動調節が開始され得る前に所望のより低い閾値圧力を超える。
【0006】
[0006]クランプアタッチメント用の油圧制御システムはまた、典型的には、荷に向かうクランプの移動を協調させ、その結果、一方のクランプが荷に早まって衝突して損傷を与えたり、荷を他方のクランプに向かって滑らせたりすることがない。この目的のために、そのような制御システムは、典型的には、スプール分流器およびギヤ分流器等の分流器を利用して、油圧流体をクランプの各々に均等に分ける。スプール型分流器は、圧力補償された固定オリフィスを通る流れを分け、これにより、入口および/または出口圧力が変動してもオリフィスを通るほぼ等しい流れが保証される。しかしながら、スプール分流器は、確度と故障することなく油汚染に耐える能力とのバランスを取らなければならない。スプール分流器は、狭い範囲流量内でのみ流れを正確に分割するように設計されておりスプール分流器は固定オリフィスを使用するため、ある特定の分流器の定格流量未満で使用されたときに、流れの均等な分割は発生しない可能性があり、かつ流れが弁の定格を超える場合、弁全体にわたる大きな圧力降下により性能が低下しかつ流体加熱を引き起こす。ギヤ分流器は、スプール分流器よりも広い範囲の作動流量にわたって動作することができるが、一般に非常に高価であり、かつ1つのクランプが移動を制限された場合に増圧を防止するように油圧回路を適切に設計しなければならない。
【0007】
[0007]油圧クランプ制御システムにおけるスプール分流器およびギヤ分流器等の分流器の使用はまた、対向するクランプが荷に向かって移動する閉鎖速度を制限する傾向がある。具体的には、前述したように、各クランプの内向きの速度を増加させるにはより高い圧力が必要であるため、かつ各クランプが同じ圧力で荷に向かって駆動されるため、クランプが同時に荷に接触するときにその荷に対するクランプ力は非常に高くなり得る。したがって、2つの対向するクランプが分流器を通して供給される流体で制御された瞬間に、荷に対する力を制限することは、閉鎖圧力、したがって閉鎖速度を制限することを意味する。高速の閉鎖および低い初期クランプ力を提供するために、複雑な油圧制御システムは、クランプ閉鎖速度に応じて手動または自動のいずれかで選択可能なハイリリーフ設定およびローリリーフ設定を提供し得る。
【0008】
[0008]したがって、荷に向かう対向するクランプの高速かつ同期された閉鎖を可能にし、かつクランプによる接触時の荷への損傷を防止する、改良された油圧制御回路が望まれる。
【0009】
[0009]本発明をよりよく理解するために、かつ本発明をどのように実施することができるかを示すために、ここで例として添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】各々がリフトトラックアタッチメント上のそれぞれのクランプを駆動し得るそれぞれの油圧シリンダを作動させるためにリフトトラックから供給される流体を使用する、例示的な油圧制御回路を示す。
【
図2】
図1の回路によって制御される油圧シリンダによって加えられる圧力および力を示す。
【
図3】ピボットアームクランプを作動させるために使用される一対の油圧シリンダに接続された
図1の例示的な油圧制御回路を示す。
【
図4】
図1の油圧制御回路に使用され得る第1の例示的な同期プランジャを示す。
【
図5A】中間ストローク位置にあり、ロッド側から加圧された
図3の同期プランジャを示す。
【
図5B】ストロークの終点位置にあり、ロッド側から加圧された
図3の同期プランジャを示す。
【
図5C】中間ストローク位置にあり、ヘッド側から加圧された
図3の同期プランジャを示す。
【
図6】
図1の油圧制御回路に使用され得る第2の例示的な同期プランジャを示す。
【
図7A】中間ストローク位置にあり、ロッド側から加圧された
図5の同期プランジャを示す。
【
図7B】ストロークの終点位置にあり、ロッド側から加圧された
図5の同期プランジャを示す。
【
図7C】中間ストローク位置にあり、ヘッド側から加圧された
図5の同期プランジャを示す。
【
図7D】ストロークの終点位置にあり、ヘッド側から加圧された
図5の同期プランジャを示す。
【
図8】リフトトラックアタッチメントのそれぞれの油圧作動式モータを制御するために使用される代替の制御回路を示す。
【
図9】油圧アクチュエータの移動を協調させることができる代替の制御回路を示し、そのようなアクチュエータは連結されるか連結されないかのいずれかである。
【
図10】双方向リリーフ弁、および開位置において油圧シリンダを再同期させる複数のシーケンス弁を使用する、代替の制御回路を示す。
【
図11A】シングルパレットモードのマルチロードハンドラ(MLH)アタッチメントを示す。
【
図11B】ダブルパレットモードのマルチロードハンドラ(MLH)アタッチメントを示す。
【
図12A】ダブルパレットモードにあるときに、荷を互いに離れる方向に移動させるMLHの動作を示す。
【
図12B】ダブルパレットモードにあるときに、荷を互いに向かう方向に移動させるMLHの動作を示す。
【
図13】MLHを制御するために使用され得る例示的な油圧制御回路を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0028]本開示は、リフトトラックまたはリフトトラックアタッチメント等の産業機器上の油圧アクチュエータが、アクチュエータが油圧式に連結されている第1の構成と、アクチュエータが油圧式に連結されていない第2の構成との間で交番することを可能にする、今までにないシステムおよび方法を説明する。本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「油圧アクチュエータ」という用語は、第1および第2の流体ライン接続部を有する任意のデバイスを指し、ここでは接続部にわたる流体圧力の差が、アクチュエータに運動を付与するために用いられる。油圧アクチュエータの例には、油圧シリンダおよび油圧作動式モータが含まれるが、これらに限定されない。本明細書および特許請求の範囲で使用されるように、1つ以上のそのようなアクチュエータを制御するために使用される油圧制御回路を指す場合、「入力ポート」という用語は、制御回路の動作中に、リフトトラック等の外部源から加圧流体を受け取り、それによって、後に定義されるように、制御回路の少なくとも1つの出力ポートを加圧すると同時に、非加圧流体を外部源、例えばリフトトラックに戻すことができる、一対の接続部を指す。同様に、本明細書および特許請求の範囲で使用される「出力ポート」は、油圧制御回路を指す場合、一対の接続部であって、制御回路の動作中に、および先に定義したように両方が油圧アクチュエータに接続されている場合に、制御回路の入力ポートによって加圧された流体を油圧アクチュエータに送達し、同時に油圧アクチュエータから制御回路に流体を戻すことができる、一対の接続部を指す。また、本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、2つ以上の油圧アクチュエータを指す場合の「油圧式に連結された」、「油圧式に連結している」という用語、および同様の用語は、第1のアクチュエータの送出側の流体圧力が第2のアクチュエータの入力側に流体連通している、すなわち油圧式に連結されたアクチュエータが直列に接続されていることを意味する。さらに、本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、2つの油圧アクチュエータに関して使用される「油圧式に連結されていない」、「油圧式に連結していない」という語句、および同様の用語は、いずれかのアクチュエータの送出側の流体圧力が他方のアクチュエータの入力側に接続されていないことを意味する。また、本明細書で使用される場合、2つ以上の油圧アクチュエータ、油圧シリンダ、クランプ等に関して使用される場合の「協調された」という用語は、そのような要素の移動が一緒に発生しなければならないことを意味し、一方、「協調されていない」という用語は、1つの油圧アクチュエータ、油圧シリンダ、クランプ等の移動が他のそのような要素とは独立して発生し得ることを意味する。本開示の目的のために、本明細書は特に油圧シリンダを指すこととなるが、当業者は、流体動力アクチュエータを通る流体圧力の変化の結果としての拡張、収縮、回転、または他の方法で移動することによって接続されるデバイスを移動させる任意の流体動力アクチュエータが、開示されたシステムおよび方法で使用され得ることを認識するであろう。
【0012】
[0029]前述したように、荷を把持して移動させるマテリアルハンドリング車両は、典型的には、異なる動作モード間で交番する。一例として、ペーパーロールクランプまたはカートンクランプは、荷を確実に持ち上げるようにクランプアームに荷に対する力を加えさせるために油圧アクチュエータを使用することとなるだけではなく、最初に荷に接触するように一緒に移動するか、または荷を解放するために離れるように移動するかのいずれかによってクランプアームを位置決めすることとなる。そのような用途では、クランプアームが高速かつ低い力で位置決めされる場合に効率が改善されるが、荷をクランプしているときに荷を損傷しないように、低速かつ高い力が望まれる。別の例として、いくつかのマテリアルハンドリング機器は、把持された荷を軸線の周りで回転させることを可能にし、したがって、クランプが最初に荷と位置合わせするために回転し、次いで荷が把持された後に回転することを必要とする。ここでも、効率的な動作のために、荷が把持されていないときには高速、低トルクで回転するが、荷の損傷または車両への過度の慣性の付与を回避するために、荷が把持されているときには低速、高トルクで回転することが望ましい場合がある。さらに別の例として、サイドシフトフォークは、フォーク間に所望の間隔を設けるために独立して移動しなければならないことが多いが、やはりフォーク上に保持された荷をサイドシフトするときに協調して移動する。
【0013】
[0030]これらの例示的な例の各々において、本出願によって開示される今までにないシステムおよび方法は、有利には、マテリアルハンドリング車両、アタッチメント等が、1つの動作モード中にアクチュエータを油圧式に連結し、別の動作モード中にその油圧連結を解除することを可能にする。例えば、前の段落で説明したクランプアタッチメントを参照すると、2つのクランプの荷への移動または荷からの移動を協調させるとき、クランプを移動させる油圧シリンダまたは他のアクチュエータを同時に作動させることは、高速動作で実行することができるが、その高速動作は、接触後に荷を損傷するリスクがある。このリスクは、油圧シリンダを直列に作動させることによって低減することができるが、これは、クランプ力を発生させるために使用される有効シリンダエリアを低減することにより、クランプが荷を把持する効率が低下し得る。したがって、開示されたシステムおよび方法の一実施形態は、クランプの位置決め中、すなわち、クランプが荷を解放するため等に外側に移動されているときに、かつ/または荷をクランプするように、クランプが荷に向かって内側に移動されているときに、有効シリンダエリアが増加し、クランプ力制御をより効率的に調整できるように、油圧シリンダがもはや連結されていない時点であるクランプが荷を把持する直前まで、シリンダを油圧的に連結する。開示されたシステムおよび方法の他の代替の実施形態は、例えば、開放移動中にクランプを移動させ、かつ閉鎖移動中に油圧連結機構をバイパスするシリンダを油圧式に連結し得る。当業者であれば、同様の利点が、他のタイプのマテリアルハンドリング用途、例えば、サイドシフトフォークアタッチメント、回転子クランプ等において達成されることを理解するであろう。
【0014】
[0031]さらに、このような利益は、好ましくは、分流器を使用せずに達成され得る。前述したように、荷に係合して荷を移動させる既存のマテリアルハンドリング機器は、典型的には、分流器を使用してクランプ、フォーク、または他のそのような部材の互いに接近および離間する動きを協調させるように設計されている。各そのようなクランプ、フォーク等は、典型的には、それぞれの流体動力アクチュエータ、例えば油圧シリンダによって駆動され、分流器は、それぞれのクランプを移動させる油圧アクチュエータの各々に向けて加圧された流れを等しく分けるために使用される。したがって、分流器は、対向するクランプが本質的に同一の圧力下で互いに向かってまたは互いに離れるように協調して移動することを保証するが、そうすると、クランプが最初に荷に接触するときに低い初期圧力が求められるため、クランプの移動する速度が抑制される。しかしながら、開示されるシステムおよび方法は、クランプを移動させる流体動力アクチュエータを油圧的に連結することによって、分流器に流体を通過させることなく、対向するクランプの互いへのおよび互いからの移動を協調するために使用され得る。
【0015】
[0032]
図1は、例えばポンプまたはモータ14およびリザーバ16を有するリフトトラックまたは他の産業機器から供給される加圧流体を使用して油圧アクチュエータ20および22を作動させる油圧制御回路12を含む、例示的なシステム10を示している。好ましくは、油圧回路12は、接続部19aおよび19bを有する入力ポートを含み、したがってリフトトラックまたは他の産業機器への流体接続を可能にし、その結果、流体が圧力下において入力接続部19a、19bのうちの一方に供給され得、一方、減圧された流体が入力接続部19a、19bのうちの他方を介してリフトトラックに戻される。当業者であれば、制御回路12の動作中、接続部19aおよび19bの各々は、例えばシリンダ20、22が後退しているか伸張しているか等、流体が回路を通って流れている方向に応じて、交互に加圧流体を受け取り、非加圧流体を吐出することを理解するであろう。
【0016】
[0033]油圧回路12は、好ましくは、接続部21a、21bを有する第1の出力ポートと、接続部23a、23bを有する第2の出力ポートと、を含む。各出力ポートは、シリンダ20、22のうちの一方等のそれぞれの油圧アクチュエータに選択的に接続可能であり、その結果、アクチュエータは、それぞれの出力ポートのどの接続部を加圧するかを選択することによって所望の方向または他のモードで駆動され、その一方で、それによってアクチュエータから吐出された流体が出力ポートの他の接続部から回路12に戻ることを可能にする。例えば、
図1に示すように、接続部21aがシリンダ20のロッド側に接続され、接続部21bがシリンダ20のヘッド側に接続されているときに、出力接続部21aが加圧された場合、流体はシリンダ20のロッド側に流入し、その後それが後退し、流体はシリンダ20のヘッド側から吐出され、接続部21bを通じて回路12内に戻ることとなる。あるいは、出力接続部21bが加圧された場合、流体がシリンダ20のヘッド側に流れ、それが拡張して流体をシリンダ20から接続部21aを通じて回路21内に戻るように流すこととなる。
【0017】
[0034]油圧回路12はまた、本明細書で後に詳細に説明するように、第1の出力ポート21a、21bおよび第2の出力ポート23a、23bが直列で作動されるか否かを判定する、
図1のシーケンス弁28等のセレクタを含むことが好ましい。当業者であれば、セレクタとして使用されるある特定の1つのデバイスまたは複数のデバイスは、回路によって制御されている油圧デバイスのタイプ(単数または複数)に基づいて変化し得るが、広くは、セレクタは、一方の油圧アクチュエータから制御回路12に戻される流体が別の油圧アクチュエータのポートの接続部を加圧するために使用されるように、制御回路12が出力ポートを相互接続するか否かを交互に選択することができる油圧回路12内に構成されたデバイスまたはデバイスの配置であることを理解するであろう。いくつかの実施形態では、後述するように、セレクタは、接続された油圧アクチュエータが制御回路12の入力ポートに直列に接続されるか、または接続された油圧アクチュエータが制御回路12の入力ポートに並列に接続されるかを交互に選択し得る。他の実施形態では、セレクタは、接続された油圧アクチュエータが制御回路12の入力ポートに直列に接続されるか、または一方の油圧アクチュエータが制御回路の入力ポートによって加圧され、入力ポートに向かって流体を排出する一方で、別の油圧アクチュエータが入力ポートによって加圧されず、入力ポートに向かって流体を排出しないかを選択し得る。そのような変形にかかわらず、油圧アクチュエータが直列に連結されるか否かを選択的に判定することによって、制御回路12は、リフトトラックアタッチメント等の様々な異なる油圧作動式デバイスで使用されて、より効率的に動作し得る。
【0018】
[0035]例えば、
図1の実施形態は、カートンクランプまたはロールクランプアタッチメントに典型的な一対の油圧シリンダ20および22に加圧流体を供給するために使用される回路12を示しており、ここではシリンダ20および22のロッドの後退によりクランプが合わさり、シリンダ20および22のロッドの伸張によりクランプが離れるように移動する。シリンダ20および22の開閉鎖移動は、方向制御弁18によって手動で選択可能であり、方向制御弁18は、
図1に示す中立位置から左に移動されたときに、制御回路12のポート19aに加圧流体を供給し、かつ制御回路12のポート19bを通じて非加圧流体をタンク16に戻すことによってクランプを荷に向かって閉鎖することとなり、
図1に示す中立位置から右に移動されたときに、制御回路12のポート19bに加圧流体を供給し、かつ制御回路12のポート19aを通じて非加圧流体をタンク16に戻すことによってクランプを荷から離れるように開放する。典型的には、ポンプまたはモータ14、リザーバまたはタンク16、および方向制御弁18は各々、リフトトラックのマストを越えてアタッチメントまで延在する流体ラインを介して、リフトトラックアタッチメントに加圧流体を供給するリフトトラック上に配置されており、アタッチメントは、典型的には、アタッチメントを作動させるために使用される油圧シリンダ20および22ならびにそれらの関連するクランプと、制御回路12と、を含む。
【0019】
[0036]リフトトラックのオペレータが最初にセレクタ弁18を移動させて制御回路12のポート19aを加圧したとき、加圧流体は、一次シリンダ20内の荷把持力(圧力)を維持するために使用されるパイロット操作逆止弁24を通り出力ポート接続部21aを通って一次シリンダ20のロッド側に流れることとなり、一次シリンダ20のロッド側はそれに応じて収縮してその関連するクランプを内側に、例えば荷に向かって移動させることとなる。次いで、流体は、制御回路12の出力ポート接続部21bを通じて一次シリンダ20のヘッド側から吐出されることとなる。流体シーケンス弁28(前述のセレクタとしての動作は後述する)は、流体がポート19bを通ってタンク16に戻ることを防止するため、一次シリンダ20から吐出された流体は、パイロット操作逆止弁26を通って制御回路12の出力ポート接続部23aを通り、二次シリンダ22のロッド側に流入することとなり、二次シリンダ22もまた収縮して、その関連するクランプを内側に、例えば荷に向かって移動させることとなる。次いで、流体は、二次シリンダ22のヘッド側から出力ポート接続部23b内に吐出されて、制御回路12のポート19bを介してタンク16に戻ることとなる。したがって、
図1に示すようにシーケンス弁28が閉位置に維持されている場合、シリンダ20および22は直列に接続されており、クランプが荷に接触する前に荷に向かって内側に移動している間にクランプの移動が協調され、分流器を使用することなく、クランプ速度の改善をもたらす。
【0020】
[0037]クランプが荷に接触したとき、シーケンス弁28が接続されているライン30内の圧力が上昇する。圧力が、荷がクランプされていることを示すシーケンス弁28の閾値設定に到達したとき、その弁が開いて流体が一次シリンダ20のヘッド側から非加圧タンク16に流入することを可能にし、したがって、流体がシリンダ22のロッド側に流入するのを防止する。荷が一次シリンダ20によってさらにクランプされると、二次シリンダ22は所定の位置にロックされ、パイロット弁26のポート3が減圧されてポート1が加圧されるため、流体が二次シリンダ22のロッド側に入ってロッドを後退させることはできず、一方、パイロット弁26がシリンダ22のロッド側からの流出を遮断するため、同様に二次シリンダ22はそのロッドを伸張することができない。したがって、シーケンス弁28は、閉鎖移動中の一次および二次シリンダ20、22の動作モードを、一次および二次シリンダ20、22が一次シリンダの第1の運動範囲にわたって油圧式に連結される第1の動作モードと、一次および二次シリンダ20、22が一次シリンダの第2の運動範囲にわたって油圧式に連結されない第2の動作モードとの間で交番させるように動作する。
図1は、荷がクランプされたときにシーケンス弁28が圧力の上昇によって作動されることを示しているが、当業者であれば、クランプアームまたはシリンダがある特定の場所を超えて拡張または後退するときに作動される弁を使用すること、またはセンサ作動式ソレノイド弁を使用すること等、シーケンス弁を作動させるため、またはシリンダ20および22を第1の油圧式連結モードから第2の非油圧式連結モードに切り替えるために他の手段が採用され得ることを認識するであろう。このようにして、例えば、一次および二次シリンダは、クランプが荷に近接する場所に到達するがまだ荷に接触していないときに、油圧式連結から切り替え得る。
【0021】
[0038]リフトトラックのオペレータが、セレクタ弁18を
図1に示す位置に対して右に移動させて、制御回路12のポート19bを加圧したとき、加圧流体が二次シリンダ22のヘッド側に流れてそのロッドを伸張することとなる。パイロット操作逆止弁24のポート3およびパイロット操作逆止弁26のポート3は各々、二次シリンダ22に供給する目下加圧されているライン32に接続されているため、逆止弁24および逆止弁26の各々はここで開き、シーケンス弁28のばね力に加えられたライン32内の圧力はシーケンス弁28を閉鎖することとなる。したがって、二次シリンダ22が伸張すると、流体がそのロッド側から吐出されてパイロット操作逆止弁26を通って一次シリンダ20のヘッド側に入り、一次シリンダ20は二次シリンダ22と協調して伸張し、それによってクランプを、互いに協調して離れるように移動させる。一次シリンダ20が伸張すると、流体は、そのロッド側から吐出されてパイロット操作逆止弁24を通り、タンク16に戻る。
【0022】
[0039]このようにして、油圧制御回路12は、一次および二次シリンダ20、22の動作モードを、シリンダ20および22が油圧式に連結されるクランプ開放移動と、シリンダ20および22が閉鎖移動の少なくとも一部にわたって油圧式に連結されないクランプ閉鎖移動との間で交番させるように動作する。当業者であれば、代替の実施形態が、シリンダ20および22が開放移動の全体の間にわたって連結され、閉鎖移動の全体の間にわたって連結されない油圧制御回路を含み得ることを認識するであろう。
【0023】
[0040]
図2は、前述したように、油圧制御回路12の動作に起因して一次および二次シリンダ20および22ならびにそれらに関連するクランプを通じて圧力および力がどのように伝達されるかを全体的に示している。好ましくは、一次シリンダ20のロッド側エリアA
1は、予想される入力油圧で必要な荷把持力をもたらすように設計される。例えば、必要なシリンダ力が2000psiの入力圧力で4,180lbsである場合、必要なロッド側エリアA
1は2.09in
2である。このエリアは、1.10インチ(28mm)のロッド直径および1.97インチ(50mm)のボアを使用することによって達成することができる。二次シリンダ22のロッド側エリアA
3は、好ましくは、一次シリンダのヘッド側エリアA
2と等しいまたはほぼ等しいエリアを有するように設計される。この一致したエリアは、各シリンダの等しい移動を可能にし、すなわち、一次シリンダ20のロッドの移動の1インチは、一次シリンダ22のロッドの移動の1インチをもたらすこととなる。例えば、1.10インチ(28mm)のロッド直径および1.97インチ(50mmのボア直径)の寸法を有する一次シリンダ20を使用すると、一次シリンダのロッド側エリアA
1は2.09in
2であり、ヘッド側エリアA
2は3.04in
2である。したがって、二次シリンダ22は、好ましくは、3.04in
2の等しいロッ川該エリアA
3を有する。そのようなシリンダは、1.26インチ(32mm)のロッド直径および2.34インチ(59.4mm)のボア直径で構成され得る。
【0024】
[0041]
図2から判断され得るように、二次シリンダ22のロッド側エリアA
3が一次シリンダ20のヘッド側エリアに等しいと仮定すると、シーケンス弁28の作動により、荷F
P、F
Sに対するクランプ力は2倍になる。具体的には、シリンダが油圧的に連結されているか否かにかかわらず、両方の力が同じ不動の荷に対して作用するため、F
PとF
Sとは等しくなければならず、油圧的に連結されている場合、F
PはP
1A
1-P
2A
2に等しく、F
Sは単にP
3A
3に等しく、P
4はタンク圧力に接続されているため0に等しい。さらに、A
2はA
3に等しくなるように設計されており、油圧連結機構に起因してP
2がP
3に等しくなければならないことを考えると、P
2A
2はP
3A
3に等しくなければならない。これらの関係を考えると、
F
P=F
S=P
3A
3=P
2A
2
したがって、
F
P=P
1A
1-P
2A
2=P
1A
1-F
Pである。
式を並べ替えると、
F
P=(1/2)P
1A
1である。
【0025】
[0042]しかしながら、シーケンス弁28の作動が油圧連結機構を無効にすると、P4およびP2は両方ともタンクに接続されているためゼロになり、
P3A3=FS=FP=P1A1
したがって、シリンダ20とシリンダ22とが油圧式に連結されていない場合、FPはシリンダ20とシリンダ22とが油圧式に連結されている場合の2倍の値となる。したがって、位置決め中にシリンダを油圧的に連結することによって、クランプアームの移動は、(入口流量に不利に制限を課すことになる)分流器を使用せずに協調され得、荷が最初にクランプされるときに荷にかかる力を最小限に抑えながら高速で行われ得る。クランプが行われると、シリンダ20および22の油圧連結機構がバイパスされ得、これにより、クランプ力をより効果的に加えることができる。
【0026】
[0043]
図3は、
図1の制御回路12を使用して、典型的にはピボットアームクランプに見られる油圧アクチュエータまたはシリンダ27、29を制御し得る代替の実施形態を示しており、ここではシリンダ27、29の伸張が荷に把持力をもたらし、シリンダ27、29の後退が荷を解放する。したがって、
図1の実施形態とは異なり、シリンダ27、29は制御回路に接続されており、その結果、クランプの閉鎖動作中に、加圧流体が一次シリンダ27のヘッド側に供給され、かつシリンダ27のロッド側から吐出され、油圧式に連結されている場合、シリンダ29のロッド側が接続部23b、したがって19bに接続されている状態でシリンダ27のロッド側から吐出された流体がシリンダ29のヘッド側に供給される。この実施形態では、シリンダ29のヘッド側エリアは、シリンダ27のロッド側エリアに等しいことが好ましく、油圧的に連結されているときにシリンダ27、29の等しい移動が生じることを保証する。
【0027】
[0044]
図1および
図3を参照すると、先に説明したように、シーケンス弁28が開き、それによって一次油圧シリンダ20と二次油圧シリンダ22との間の油圧連結機構をバイパスして荷をさらにクランプしたとき、いくつかの実施形態では、一次シリンダ20が追加のクランプ力を加える間、二次シリンダ22は静止したままであり得る。一次および二次シリンダのこの非同期挙動に起因して、油圧回路10の継続的な使用により、シリンダ20、22のうちの一方が他方のシリンダが到達する前にそれらのストロークの終点に到達する場合があり、それは、荷を適切にクランプするかまたはクランプをそれらの完全な後退位置に後退させるいずれかのシステムの能力を抑制し得る。
【0028】
[0045]したがって、いくつかの実施形態では、油圧回路10は、好ましくは、一方のシリンダが他方のシリンダの前にそのストロークの終点に達したときに流体が油圧連結機構をバイパスすることを可能にする、任意選択の再同期弁25を含み得る。再同期弁25は、シリンダ20、22のロッドを後退させる際に、一次シリンダ20のロッド側と二次シリンダ22のロッド側との圧力差が再同期弁25のばね設定によって設定された閾値量を超えるたびに、油が加圧されたライン30から二次シリンダ22のロッド側へ直接流れることを可能にする。例えば、圧力がクランプポート19aに提供されている間に一次シリンダ20のロッドが完全に後退した場合、圧力が、再同期弁25が開くまでライン30内で上昇して、流体が加圧されたライン30から二次シリンダ22のロッド側内に直接流れることを可能にし、二次シリンダ22はシリンダ20、22を再同期させるように完全後退位置に移動し続けることができる。逆に、二次シリンダ22が一次シリンダ20の前にそのストロークの終点に達する場合、シーケンシング弁28の圧力設定値に達するまでライン30内で圧力が増加し、両方のシリンダが完全に同期されるまで一次シリンダ20のヘッド側から油を排出することができる。
【0029】
[0046]再同期弁25のばね設定は、再同期弁25が開く前にシーケンス弁28が開くことを保証することと、そうでなければ、シリンダ20、22が油圧式に連結されているときに荷をクランプする前に荷に向かって位置決めされている間、弁25が開くのを防止することと、の両方を行うために、十分に高くなければならない。その場合、一次シリンダ20のヘッド側は二次シリンダ22のロッド側に接続されているため、弁25のばねの圧力設定は、位置決め中の一次シリンダ20全体の最大の予想される圧力降下よりも高い値に設定されるべきであり、これは今度は弁回路10の最大の意図された位置決め速度に関連する。一次シリンダ20および二次シリンダ22が荷上にクランプしているとき、シリンダ20と22とが油圧式に連結されているか否かにかかわらず、かつ一次シリンダがストロークの終点にない限り、両方のシリンダのロッド側の圧力は同じになり、したがって、上記の条件を満たす弁25の任意のばね設定は常に弁を閉じたままにする。好ましい実施形態では、再同期弁25のばね設定は、システム圧力設定よりも約150psi低く設定されることが好ましい場合がある。
【0030】
[0047]両方のシリンダのロッドを完全後退位置に移動させることによってシリンダ20および22を再同期させるように構成された再同期弁25は、代わりに、例えば再同期弁25の入力をライン30の代わりにライン32に接続し、再同期弁25の出力を二次シリンダ22のロッド側の代わりに一次シリンダ20のヘッド側に接続することによって、両方のシリンダのロッドを完全伸張位置に移動させることによりシリンダ20および22を再同期させるように構成されてもよいことが当業者には理解されよう。
【0031】
[0048]再同期弁25を使用する代わりとして、一次および二次シリンダ20、22のうちの一方または両方が、シリンダがストロークの終点位置に達したときに、油がシリンダのロッド側からヘッド側に、またはその逆に流れることを可能にすることによって再同期を可能にする弁として選択的に作動するように構成されてもよい。例えば、
図4を参照すると、一次または二次シリンダ20または22のいずれかまたは両方は、摺動ピストン46のねじ穴48に固定された摺動シリンダロッド44の少なくとも一部を囲むシリンダシェル42を有する同期シリンダ40を備え得る。ピストン46は、シリンダシェル42内のピストンのシールされた摺動移動を提供するために、摩耗バンド50およびピストンシール52を含むことが好ましい。シリンダロッド44は、加圧された油がシリンダ40のロッド側エリア(すなわち、
図2のエリアA
1またはA
3)とピストン46の内部との間を前後に流れるための導管を画定し得る。例えば、シリンダロッド44は、ピストン46に埋め込まれたロッド44の端部から軸方向内側に延在する第1の部分からシリンダロッド44の周囲への複数の半径方向通路を含む第2の部分までを有する通路を備える導管53を含み得る。導管53のピストン側は、逆止ボール58を導管53の第1の軸方向部分に向かって押すばね56上に取り付けられた逆止ボール58によって選択的にシールされ得る。また逆止ボール58とは反対側のばね56の端部は、摺動プランジャ54のフランジの周りにしっかりと固定されている。プランジャ54のフランジは、ピストン46の内部の油がシリンダ40のヘッド側エリア(すなわち、
図2のエリアA
2またはA
4)に入ること、またはプランジャ54のフランジがリテーナ59の座部内に載っているときに反対方向に流れることからシールされるように、リテーナ59の座部内に嵌合する。
【0032】
[0049]
図5Aを参照すると、シリンダ40がロッドを後退させるようにロッド側から加圧され、かつストロークの終点位置にないとき、加圧された油は、シリンダ40のロッド側エリアから半径方向部分、次いで通路52の軸方向部分を通って流れて逆止ボール58を内側に押し、油をピストン46の内部空洞に到達させることができる。しかしながら、ばね56は、プランジャ54をリテーナ59の座部に対して押し付け、したがって油がシリンダ40のヘッド側エリアに流入するのを防止する。しかしながら、
図5Bに見られるように、シリンダ40がロッドのストロークの終点位置に到達するのに十分な距離だけロッドを後退させたとき、プランジャ54は、プランジャ54のフランジと着座していない逆止ボール58との間で、プランジャ54がリテーナ59の座部から外れるようにばね56を圧縮するシリンダヘッド57に接触し、油がシリンダ40のロッド側エリアからピストン46の内部に流れ、さらにシリンダ40のヘッド側エリアに流出し、そして最終的にはポーティング55を介して他のシリンダ20もしくは22(またはタンク16)に流れることが可能になり、再同期を可能にする。
図5Cに示すように、シリンダ40がヘッド側から加圧されたとき、中間ストローク位置において、加圧された油はプランジャ54をリテーナ59の座部から押し出し、ピストン46の内部に油を流入させるが、プランジャ54はばね56に対して逆止ボール58を押して導管53をシールし、その結果、油はシリンダ40のロッド側エリアに流れないようになり得る。
【0033】
[0050]
図6は、シリンダ60のロッドの完全に後退したストロークの終点位置または完全に伸張したストロークの終点位置のいずれかで再同期することができる代替の同期シリンダ60を示している。具体的には、シリンダ60は、ピストン66がシール74および1つ以上の摩耗バンド72を介して摺動可能かつシール可能にしっかりと固定されたシリンダシェル62を備え得る。ピストン66と摺動するシリンダロッド64の端部が、例えば熱収縮接続によってピストン66の第1のボア65内に堅固に取り付けられている。ピストン66はまた、スプール68を収容する第2のボア67を画定し、スプール68は、第2のボア67の形状と実質的に一致し、スプール68の外面と第2のボア67の内面との間に隙間が画定されるようになっている。第2のボア67およびスプール68の両方は、それぞれ第2のボア67およびスプール68の対向する周辺領域よりも大きい直径/幅を有する中央領域を有し、スプール68の中央領域は第2のボア67の長さよりも短く、第2のボア67およびスプール68は、スプール68の一方の周辺領域が第2のボア67の関連する周辺領域から外に伸展する第1の最端部と、スプール68の対向する周辺領域が第2のボア67のその関連する周辺領域から外に伸展する第2の最端部との間で、スプール68の中央領域が第2のボア67の中央領域内で前後に摺動し得るように共同成形されている。いくつかの実施形態では、スプール68を密接に取り囲むように成形された第2のボア67の形成を容易にするために、第2のボア67は、スプール68の一方の周辺領域を取り囲むように、熱収縮接続によってピストン66内にしっかりと固定されたリテーナプラグ70を使用して一端に形成され得る。
【0034】
[0051]
図7Aを参照し、シリンダ60がロッド側から加圧されたとき、スプール68が第2のボア67内に押し込まれて油が第2のボア67とスプール68のロッド側との隙間を通って流れることを可能にするが、スプール68が第2のボア67のヘッド側周辺領域内に押し込まれて閉塞するため、シリンダ60のヘッド側への油の進入が遮断される。しかしながら、後退しているロッドが
図7Bに示すストロークの終点位置に到達したとき、加圧された油が第2のボア67のヘッド側周辺領域内に入り、ポーティング78を介して他のシリンダ50もしくは52、またはタンク16に逃げることができるように、シリンダヘッド76はスプール67を内側に押す。
【0035】
[0052]
図7Cおよび
図7Dから分かるように、この動作は、シリンダ60がヘッド側から加圧されると逆転し、中間ストローク位置の間、スプール68は、油がシリンダ60のヘッド側からスプール68と第2のボア67との間のエリアに流入することを可能にするが、油がシリンダ60のロッド側エリアに入るのを遮断するように摺動する。伸張しているロッド64がストロークの終点位置に達したとき、加圧された油が第2のボア67のロッド側周辺領域に入り、ポーティング82を介して他のシリンダ50もしくは52、またはタンク16に逃げることができるように、シリンダリテーナ80はスプール67を内側に押す。
【0036】
[0053]
図1および
図3に示す実施形態は、油圧アクチュエータが協調して移動するように直列に接続される第1のモードと、油圧アクチュエータの移動が協調されない、例えば一方の油圧アクチュエータが所定の位置にロックされ、一方、他方が移動する、第2のモードとで、油圧アクチュエータを交互に作動させるように意図された制御回路12を使用する。
図8は、回転子二重駆動モータ用の代替の制御回路84を示しており、ここでは制御回路84は、2つの油圧モータ86a、86bを直列または並列に交互に駆動することができるセレクタ88a、88bを含み、モータの動きは両方のインスタンスにおいて協調されている。具体的には、制御回路84は、例えば、前述のように荷を交互にクランプおよび解放するように意図されたクランプセレクタ弁18と、弁を中心位置の左または右に移動させることによってクランプを所望の方向に軸線を中心に選択的に回転させるか、または弁83を中心位置に移動させることによってクランプの角度方向が固定されたままにするために使用される回転子セレクタ弁83と、の両方を有するリフトトラック上のポンプ14およびリザーバ16に選択的に接続可能な入力ポート19a、19bを含み得る。
【0037】
[0054]制御回路84は、好ましくは、接続部21a、21bを有する第1の出力ポートと、各々が油圧モータ86a、86bのそれぞれに選択的に接続可能な接続部23a、23bを有する第2の出力ポートと、を有する。したがって、
図8に示すように接続されている場合、モータ86aは、接続部21aを加圧し、接続部21bを通してモータから制御回路84内に流体を排出して戻すことを可能にすることによって一方向に駆動され得、接続部21bを加圧し、接続部21aを通してモータから制御回路84内に流体を排出して戻すことによって反対方向に駆動され得る。モータ86bは、接続部23aおよび32bを介して同様に駆動され得る。
【0038】
[0055]制御回路84は、好ましくはセレクタを有し、この例では第1および第2のソレノイド弁88a、88bを備えるものとして示されており、入力ポート19a、19bを通じて受け取った加圧流体がモータ86a、86bを直列に(例えば、荷が把持されていないときにクランプを高速で回転させるのに有用である)または並列に(例えば、荷が把持されたときにクランプを低速だが高トルクで回転させるのに有用である)駆動するかを判定するために使用される。具体的には、ソレノイド88a、88bが各々、非通電状態にあるとき、入力接続部19aが加圧されたときに加圧された流体をポンプ14から接続部21aおよび23aに送り、入力接続部19bが加圧されたときに加圧された流体をポンプ14から接続部21bおよび23bに送ることによって、入力ポート接続部のいずれかに存在する加圧流体がモータ86a、86bを並列に駆動することとなる。両方の状況において、モータ86aおよび86bへの非加圧出力接続部の各々は、独立してリザーバ16に接続され、モータがリザーバ16に向かって直接流体を排出することを可能にする。
【0039】
[0056]しかしながら、両方のソレノイドが通電されると、モータ86a、86bを直列に回転させるように、制御回路の出力ポートのモータ86bへの接続部23bが制御回路の出力ポートのモータ86aへの接続部21aに接続される。この構成では、接続部19aがポンプ14によって加圧されたときに、加圧流体が接続部23aからモータ86bに流入し、これによって流体が接続部23b内に戻され、接続部21aを通ってモータ86aに吐出される。モータ86aからの流体は、接続部21bを通じて制御回路84内に戻り、制御回路84から入力接続部19bを通じてタンク16に流れる。両方のソレノイドが通電されている間の加圧している接続部19bは、逆に、モータ86a、86bの直列接続を維持するが、接続部19aが加圧されたときに生じる回転に対して他の方向にそれらを回転させる。
図8は、制御回路84を並列構成と直列構成との間で交番させるセレクタとして2つのソレノイド88a、88bを示しているが、他の実施形態は、異なるセレクタ、例えば検出されたクランプ圧力に基づいて構成を変更するパイロット制御弁を使用してもよいことが当業者には理解されよう。
【0040】
[0057]
図9は、直列構成および並列構成のうちの1つに選択的に交番する油圧アクチュエータの移動を協調させる制御回路のさらに別の実施形態を示す図である。具体的には、油圧制御回路を使用して、例えば、油圧制御回路の入力ポートの接続部19a、19bに供給される加圧流体を使用してクランプを荷に向かっておよび荷から離れるようにそれぞれ移動させる油圧シリンダ92、94の移動を協調させる。
図9から分かるように、制御回路90は、
図1および
図3に示す制御回路12の全ての要素を含むが、分流器96と、入力ポートの接続部19aから制御回路90の間に介在する圧力作動弁98と、をも含む。
【0041】
[0058]加圧流体が制御回路90の入力ポートの接続部19bに供給されたとき、制御回路90は
図1の制御回路12と同様に動作し、シリンダ92および94は、協調してシリンダのロッドを伸張するように直列に接続され、流体は、制御回路90からシリンダ94のヘッド側に流入し、シリンダ94のロッド側から制御回路90内に戻り、制御回路90からシリンダ92のヘッド側に流入し、シリンダ92のロッド側から出て制御回路内に戻り、次にタンク16内に流体を送出する。しかしながら、加圧流体が制御回路90の入力ポートの接続部19aに供給されると、その加圧流体は、圧力作動弁98の位置によって決定される方式で分流器96によって分配される。具体的には、分流器96は、接続部19aから供給された流体を、シリンダ92のロッド側に接続された接続部21aに向かう第1の経路またはラインと、圧力作動弁98に向かう第2の経路またはラインとに分ける。圧力作動弁98は、分流器96によって分けられた流れを再結合する位置にばね付勢され、それによって流れ全体がポート21aを加圧し、これにより、再び制御回路が
図1の制御回路12と全く同じように挙動し、すなわちシリンダ92および94が、クランプを協調して荷に向かう閉鎖移動において位置決めするように直列に接続される。クランプが荷に接触したとき、ポート19aの圧力は、流体を、今説明したように、第2の経路から一方向逆止弁99を通じてシリンダ94のロッド側に迂回させるように圧力作動弁98を移動させるレベルまで上昇し、それによって、制御回路90の入力ポート接続部19aを通じて提供される圧力は、荷がクランプされているときにシリンダ92および94を並列に作動させる。
【0042】
[0059]シリンダ92および94の協調動作は、互いに直列に油圧的に連結されている場合、シリンダ92のヘッド側エリアがシリンダ94のロッド側エリアと一致することを必要とするため、シリンダ92のロッド側エリアは、典型的には、シリンダ94のロッド側エリアよりも小さくなり得る。したがって、シリンダ92および94によって加えられる力を等しくし、かつシリンダ92および94が油圧式に連結されておらず並列に制御されていないときにシリンダ92および94の移動を協調させるために、分流器96は、好ましくは、入力接続部19aからの流れを、それぞれ分けられた流体流によって駆動されるシリンダのロッド側エリアに比例する量で不均一に分割する。したがって、シリンダ92が2.09in
2のロッド側エリアを有し、シリンダ94が3.04in
2のロッド側エリアを有し、合計のエリアが5.13in
2である
図9の例示的な例では、分流器96は、荷上にクランプしているときに、流れの41%をシリンダ92内(すなわち、2.09in
2/5.13in
2)に導き、流れの59%をシリンダ94内(すなわち、3.04in
2/5.13in
2)に導くことが好ましい。これにより、シリンダ92および94内への流れは各々、各それぞれのシリンダ内のロッドの同じ線形後退を引き起こすことが保証される。
【0043】
[0060]制御回路12と比較した制御回路90の利点の1つは、荷上にクランプを作動させるために使用される場合、制御回路90が再同期弁25の必要性または
図4および
図6に示すような油圧シリンダ内の弁の使用を低減または場合によっては排除し得ることである。シリンダ92および94は、クランプの位置決め中および荷がクランプされている間の両方で協調して移動するため、シリンダ90および92の各々は、他のシリンダが到達する前にストロークの終点に到達する可能性がはるかに低い。
【0044】
[0061]
図10は、
図3に示す制御回路の代替の実施形態である制御回路100を示している。制御回路100は、任意選択的に、それ自体または周囲の物体に対する構造的損傷から保護するために、27および29の開閉中の圧力を制限するための双方向リリーフ弁102を含み得る。さらに、
図3の制御回路では、パイロット操作逆止弁26が逆止弁24の前に開き、弁24のポート1の増圧を引き起こす可能性があり、これは、弁24を開くために利用可能なパイロット圧力を超える可能性がある。この可能性に対処するために、制御回路100は、
図3に示すパイロット操作逆止弁24をカウンタバランス弁104に置き換える。閉動作中、ポート19aを通じた圧力により、流体は逆止弁105を介してカウンタバランス弁104をバイパスし、その後シリンダ27のロッド側を加圧する。閉動作中、ポート19bを通じた圧力は、パイロット操作制御弁26を開き、またカウンタバランス弁104も開き、それによって流体がポート19aを通って排出されることを可能にする。
【0045】
[0062]
図10はまた、シリンダ27および29の再同期をともに可能にするリリーフ弁106aおよびリリーフ弁106bを示している。具体的には、開動作中、シリンダ29がシリンダ27の前にストロークの終点に達した場合、リリーフ弁106aが開き、流体がシリンダ27のピストン側に入ることを可能にすることとなる。逆に、シリンダ27がシリンダ29の前にそのストロークの終点に達した場合、リリーフ弁106bが開き、流体がシリンダ29のロッド側から送出されることを可能にすることとなる。
【0046】
[0063]
図11Aおよび
図11Bを参照すると、マルチロードハンドラ(MLH)は、リフトトラックが1つまたは2つのパレット荷に交互に係合することを可能にするために、互いに対して横方向に摺動可能な4つのフォークを含む、一種のリフトトラックアタッチメントである。
図11Aに示す第1の構成では、4つのフォークは、二対の隣接するフォークに分割されて、各対が単一のパレットのそれぞれの開口部に摺動し得るようになっていてもよい。
図11Bに示す第2の構成は、フォークを二対の離間したフォークに配置しており、各対はそれぞれのパレットに係合して移動させるように配置されている。
【0047】
[0064]したがって、MLHは、フォークを横方向に位置決めするための2つの異なる動作を有する。第1の動作は、
図11Aおよび
図11Bに示すように、フォークを「シングル」パレットモードと「ダブル」パレットモードとの間で位置決めすることである。この動作は、アクチュエータ力をほとんど必要とせず、好ましくは、2つの異なるフォーク対の間の正確な同期を伴って高速で行われる。「ダブル」モードで行われる第2の動作は、
図12Aおよび
図12Bに示すように、フォークの各セットを互いに対して横方向に位置決めする。これは、一般的に、閉鎖するときに「スナップ」と呼ばれ、開くときに「広げる」と呼ばれる。この動作は、高いアクチュエータ力および低速を必要とし、やはり好ましくは左側と右側とのフォークセット間の正確な同期を伴う。
【0048】
[0065]MLHモードの動作は、高速および低い力を特徴とする第1のモードと、低速および高い力を特徴とする第2のモードとの間で動作するため、前述のように、ハイブリッドクランプ力制御回路を採用することが望ましい。しかしながら、単一の荷の周りをクランプしているときに高い力の動作が発生し、したがってクランプ中の油圧シリンダ間の移動の同期が荷を通した力の伝導を通じて発生する前述のシステムとは異なり、MLHアタッチメントでは、各シリンダが独立した荷を移動させているため、制御回路はシリンダ間の同期もまた提供しなければならない。これは、同じ圧力がシリンダ内で異なる力を生成し得、異なる移動速度をもたらすため、異なるボアのシリンダが使用される場合に特に当てはまる。
【0049】
[0066]
図13は、入口ポート114a、114bから流体を受け取り送出し、第1の出口ポート116a、116bおよび第2の出力ポート118a、118bを通じて流体を受け取り送出する、制御回路110を示している。
図13は、小口径シリンダ120に接続された第1の出口ポート116a、116bおよび大口径シリンダ122に接続された第2の出口ポート118a、118bを示しているが、当業者であれば、この構成を逆にしてもよいことを理解するであろう。
【0050】
[0067]フォークがダブルパレットモードとシングルパレットモードとの間で位置決めされているとき等、MLHアタッチメントの高速、低い力の動作中、シリンダは閉鎖移動または開放移動のいずれかで作動され得る。開放移動では、セレクタ弁112が移動されて接続部114aを加圧し得、それにより分流器124に流体を供給する。分流器の一方の側は、小口径シリンダ120のロッド側に供給する接続部116aに直接接続されており、一方、分流器の他方の側は、ばねバイアスを有するパイロット操作方向制御弁126に接続されており、ばねバイアスは、小口径シリンダ120のロッド側の接続部116aにも流体を供給する低い力の動作において、パイロット操作方向制御弁126をデフォルト位置に設定し、すなわち低い力の動作において分流器内の全ての流体は、接続部116aを出てシリンダ120のロッド側に入り、シリンダ120は、接続部116bを通じて制御回路110に流体を吐出して戻すように収縮する。加圧流体はパイロット操作制御弁132を開放し、その結果、加圧流体は再び制御回路を出て大口径シリンダ122のロッド側に入り、大口径シリンダ122は収縮して流体を接続部118bを通じて制御回路内に吐出し、次いで入口接続部114aを通じて制御回路110から吐出する。このようにして、高速かつ低い力の動作中、シリンダ120および122は連結され、その結果、一方のシリンダの出力が他方のシリンダの入力に流体を供給する。
【0051】
[0068]しかしながら、積み込まれたパレットが互いに向かってスナップ留めされている場合等、高い力の低速動作の閉鎖移動中に、この連結機構は遮断され、制御回路は非連結モードで作動される。具体的には、セレクタ弁112が再び接続部114aを加圧するように設定されるが、積み込まれたパレットがシリンダ120、122によって移動されると、シーケンス弁134が開き、したがってパイロット操作方向制御弁126のポート1へのパイロットラインを加圧する。したがって、弁126は、分流器124を通る流れの一部が、出力接続部116aに導かれる代わりに出力接続部118aに導かれる位置に移動し、その結果、各シリンダ120、.122は独立して駆動される。同時に、シーケンス弁136のポート1へのパイロットラインもまた弁134の作動によって加圧され、これにより、流体がシリンダ120から接続部116b内および接続部114b外に排出されることが可能になる。いくつかの実施形態では、シーケンス弁114の設定は、およそ2000psiであってもよい。
【0052】
[0069]分流器124は、シリンダ120とシリンダ122とのサイズの差に相当する比率で流れを分割し再合流させる。例えば、40mmのボアサイズおよび25mmのロッドサイズを有する一次(小型)アクチュエータは、766mm^2のロッド側作業エリアを有し、対応する二次(大型)アクチュエータは、50mmのボアサイズを有し、30mmのロッドサイズは、1257mm^2のロッド側作業エリアを有する。したがって、分流器は、好ましくは、同期された移動を達成するために、以下の等式に従い流れの38%を一次(小型)アクチュエータに、流れの62%を二次(大型)アクチュエータに分割すべきである:
一次アクチュエータ=体積1=A1*ストローク
二次アクチュエータ-体積3-A3*ストローク
合計体積=体積1+体積3
分流器=仕様
ポート2分配=体積1/合計体積=766*ストローク/(766+1257)*ストローク=38%
ポート4分配=体積3/合計体積=1257*ストローク/(766+1257)*ストローク=62%
【0053】
[0070]前述のように、各シリンダが独立した荷を移動させていることを考えると、かつシリンダ120および122が異なるボアサイズを有することを考えると、制御回路110は、シリンダ120および122が同じ速度で移動することを保証する同期機構を含むことが好ましい。したがって、制御回路110は、好ましくは、方向制御弁126と出力ポート118aとの間に位置決めされた増圧リリーフ弁130を含む。増圧リリーフ弁130は、弁130のばねに対する流体の作用による圧力降下を提供し、ばね抵抗は、大口径シリンダによって加えられる力が小口径シリンダと同じになるように設定されている。これにより、2つのシリンダ120、122が同じ速度で移動する。例えば、シリンダ120が25mmのロッドを有する40mmのボアを有し、シリンダ122が50mmのボアおよび30mmのロッド)を有し、かつ等しい荷が両方のパレット上に支持されると仮定すると、小さなボアに2200psiを必要とする荷は、等しい力を達成するために1400psiのみを必要とし得る。したがって、弁130は、差を補償するために800psiに設定され、それによって分流器がより精確に動作することを可能にする。いくつかの実施形態では、増圧リリーフ弁は、異なる荷、異なるシリンダ、および/または異なる構成に対応するために可変設定を有し得る。好ましくは、弁130のばね力は、システムが非連結モードに切り替わるときはいつでも弁130がばねに対して開くこととなるように十分低く設定され、すなわち、シーケンス弁134は、弁126を作動させるのに十分大きいポート114a内の任意の圧力が弁130を作動させるのに十分大きいこととなるように、増圧リリーフ弁130よりも高いばね抵抗を有する。
【0054】
[0071]開放移動中、セレクタ弁は接続部114bを加圧し得、これは全ての加圧流体をポート118bに提供し、制御回路を連結モードで作動させる。ポート114bが加圧されているため、パイロット操作制御弁132のポート3へのパイロットラインにより各々が開き、それにより、シリンダ122からの流体はシリンダ120に流入することができ、シリンダ120からの流体は分流器124を通ってポート114aに戻るように流れることができる。
【0055】
[0072]いくつかの実施形態では、制御回路110は、分流器124の出力にわたるクロスオーバーリリーフ弁128を含み得る。連結モードにあるとき、クロスオーバーリリーフ弁は制御回路110に影響を及ぼさないが、非連結モードにあるとき、圧力差が弁124の設定を超えるとクロスオーバーリリーフが開くこととなる。これにより、流れは分流器をバイパスし、フォークが全閉位置にあるときに再同期することが可能になる。
【0056】
[0073]いくつかの実施形態では、制御回路110は、回路のパイロット部分の任意の閉じ込められた圧力を排出するとともに、シーケンス弁136のパイロットポートと方向制御弁126との間の圧力を正常化して両方の通常状態を維持する、パイロット排出オリフィス138を含み得る。入口圧力がシーケンス弁134の設定を超えると、その弁が開き、流れ/圧力がシーケンス弁136および方向制御弁126を操縦することを可能にすることとなる。オリフィスは、シーケンス弁134が供給できるものよりも速く圧力を排出することができないようなサイズである。
【0057】
[0074]本発明は、記載された特定の実施形態に限定されるものではなく、均等論またはその文言上の範囲を超えて請求項の執行可能な範囲を拡大する任意の他の原理を含む、一般的な法律の原理に従って解釈されるものとして、添付の特許請求の範囲内に定義された本発明の範囲から逸脱することなくその中において変形が可能であることが理解されよう。文脈上別段の指示がない限り、請求項における要素のインスタンスの数への言及は、1つのインスタンスまたは2つ以上のインスタンスへの言及であっても、少なくとも記載された数の要素のインスタンスを必要とするが、記載されたよりも多くのその要素のインスタンスを有する構造または方法を請求項の範囲から除外することを意図するものではない。「備える」という語またはその派生語は、請求項で使用される場合、特許請求される構造または方法における他の要素またはステップの存在を排除することを意図しない非排他的な意味で使用される。