(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-11
(45)【発行日】2024-12-19
(54)【発明の名称】半導体装置、表示装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 29/786 20060101AFI20241212BHJP
G02F 1/1368 20060101ALI20241212BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20241212BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20241212BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20241212BHJP
H01L 27/06 20060101ALI20241212BHJP
H01L 27/088 20060101ALI20241212BHJP
H01L 21/8238 20060101ALI20241212BHJP
H01L 27/092 20060101ALI20241212BHJP
H10K 59/129 20230101ALI20241212BHJP
H10K 59/131 20230101ALI20241212BHJP
【FI】
H01L29/78 613A
G02F1/1368
G09F9/00 338
G09F9/30 330
G09F9/30 338
G09F9/30 348A
H01L27/06 102A
H01L27/088 331E
H01L27/092 C
H01L27/092 D
H01L29/78 612B
H01L29/78 613Z
H01L29/78 617U
H01L29/78 618B
H10K59/129
H10K59/131
(21)【出願番号】P 2023171401
(22)【出願日】2023-10-02
【審査請求日】2023-10-02
(32)【優先日】2022-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100139930
【氏名又は名称】山下 亮司
(74)【代理人】
【識別番号】100202197
【氏名又は名称】村瀬 成康
(74)【代理人】
【識別番号】100202142
【氏名又は名称】北 倫子
(72)【発明者】
【氏名】菊池 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】大東 徹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 正彦
(72)【発明者】
【氏名】西宮 節治
(72)【発明者】
【氏名】高畑 仁志
【審査官】田付 徳雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-278115(JP,A)
【文献】特表2022-537958(JP,A)
【文献】特開2013-125826(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0283763(US,A1)
【文献】国際公開第2020/257314(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/786
G02F 1/1368
G09F 9/00
G09F 9/30
H01L 21/8234
H01L 21/8238
H01L 27/06
H01L 27/088
H01L 27/092
H10K 59/129
H10K 59/131
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に支持された第1導電型の第1薄膜トランジスタと、
前記基板に支持された前記第1導電型とは異なる第2導電型の第2薄膜トランジスタと、
を備えた相補型の半導体装置であって、
前記第1薄膜トランジスタは、
前記第1導電型の酸化物半導体材料から形成された第1半導体層であって、第1チャネル領域と、前記第1チャネル領域の両側に位置する第1ソース領域および第1ドレイン領域とを含む第1半導体層と、
前記第1半導体層上に設けられた第1ゲート絶縁層と、
前記第1チャネル領域に前記第1ゲート絶縁層を介して対向するように設けられた第1ゲート電極と、
前記第1ソース領域に電気的に接続された第1ソース電極と、
を有し、
前記第2薄膜トランジスタは、
前記第2導電型の酸化物半導体材料または透明半導体材料から形成された第2半導体層であって、第2チャネル領域と、前記第2チャネル領域の両側に位置する第2ソース領域および第2ドレイン領域とを含む第2半導体層と、
前記第2半導体層上に設けられた第2ゲート絶縁層と、
前記第2チャネル領域に前記第2ゲート絶縁層を介して対向するように設けられた第2ゲート電極と、
前記第2ソース領域に電気的に接続された第2ソース電極と、
を有し、
前記第1ゲート絶縁層は、第1層と、前記第1層上に設けられた第2層とを含み、
前記第1ゲート絶縁層の前記第2層と、前記第2ゲート絶縁層とは、同層に形成されて
おり、
前記半導体装置は、前記第1ゲート絶縁層の前記第1層と同層に形成された絶縁層を備えており、
前記第2半導体層は、前記絶縁層上に設けられており、
前記第1ゲート絶縁層の前記第1層と前記絶縁層とは、連続するように形成されており、
前記第1ゲート絶縁層の前記第2層と前記第2ゲート絶縁層とは、連続するように形成されている、半導体装置。
【請求項2】
前記第1ゲート電極と、前記第2ゲート電極とは、同層に形成されており、
前記第1ソース電極と、前記第2ソース電極とは、同層に形成されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1薄膜トランジスタは、前記第1ドレイン領域に電気的に接続された第1ドレイン電極を有し、
前記第2薄膜トランジスタは、前記第2ドレイン領域に電気的に接続された第2ドレイン電極を有し、
前記第1ソース電極、前記第1ドレイン電極、前記第2ソース電極および前記第2ドレイン電極は、同層に形成されている、請求項1
または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1ゲート電極および前記第2ゲート電極を覆うように設けられた層間絶縁層を備え、
前記第1ソース電極、前記第1ドレイン電極、前記第2ソース電極および前記第2ドレイン電極は、前記層間絶縁層上に設けられている、請求項
3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1導電型はn型であり、前記第2導電型はp型である、請求項1
または2に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1半導体層は、In-Ga-Zn-O系半導体を含む、請求項
5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1導電型はp型であり、前記第2導電型はn型である、請求項1
または2に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第2半導体層は、In-Ga-Zn-O系半導体を含む、請求項
7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1半導体層から延設された第1容量電極と、
前記第2半導体層から延設された第2容量電極と、
前記第1容量電極と第2容量電極との間に設けられ、前記第1ゲート絶縁層の前記第1層と同層に形成された容量絶縁層と、
を含む容量素子を備える、請求項1
または2に記載の半導体装置。
【請求項10】
複数の画素領域によって規定される表示領域と、前記表示領域の周辺に位置する周辺領域とを有する表示装置用アクティブマトリクス基板である、請求項1
または2に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記周辺領域に形成されたゲートドライバ回路を備え、
前記ゲートドライバ回路は、前記第1薄膜トランジスタおよび前記第2薄膜トランジスタを含む、請求項
10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記周辺領域に形成されたデマルチプレクサ回路を備え、
前記デマルチプレクサ回路は、前記第1薄膜トランジスタおよび前記第2薄膜トランジスタを含む、請求項
10に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第1半導体層および前記第2半導体層と、前記基板との間に設けられた導電膜を備えており、
前記導電膜は、前記第1チャネル領域および前記第2チャネル領域に重なっている、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記導電膜は、遮光性材料から形成されている、請求項13に記載の半導体装置。
【請求項15】
請求項1
1に記載の半導体装置を前記アクティブマトリクス基板として備える、表示装置。
【請求項16】
液晶表示装置である、請求項
15に記載の表示装置。
【請求項17】
有機EL表示装置である、請求項
15に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置および表示装置に関する。また、本発明は、半導体装置の製造方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
近年、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:以下では「TFT」と呼ぶ)の活性層の材料として、アモルファスシリコンや多結晶シリコンに代わって、酸化物半導体を用いることが提案されている。酸化物半導体膜を活性層として有するTFTを、「酸化物半導体TFT」と称する。特許文献1には、In―Ga―Zn-O系の半導体膜をTFTの活性層に用いたアクティブマトリクス基板が開示されている。
【0003】
酸化物半導体は、アモルファスシリコンよりも高い移動度を有している。このため、酸化物半導体TFTは、アモルファスシリコンTFTよりも高速で動作することが可能である。また、酸化物半導体膜は、多結晶シリコン膜よりも簡便なプロセスで形成されるため、大面積が必要とされる装置にも適用できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在、TFTの活性層材料として実用化されている酸化物半導体の多くはn型(nチャネル型)であるが、最近では、p型(pチャネル型)の酸化物半導体が提案され始めている。酸化物半導体の中には、ワイドバンドギャップを有し、透明なものも知られている。また、高い移動度を有するp型の透明半導体であって、酸化物ではないものも提案されている。以下では、透明半導体膜を活性層として有するTFTを、「透明半導体TFT」と称する。酸化物半導体TFTが、透明半導体TFTであることもある。n型の酸化物半導体TFTとp型の酸化物半導体TFT(または透明半導体TFT)とを相補型に構成してCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)構造の回路を形成することにより、低電圧化および低消費電力化を図ることができると考えられる。
【0006】
しかしながら、n型の酸化物半導体TFTとp型の酸化物半導体TFT(または透明半導体TFT)とを用いたCMOS構造の好適な構成は、いまだ確立されていない。
【0007】
本発明の実施形態は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、n型の酸化物半導体TFTとp型の酸化物半導体TFT(または透明半導体TFT)とを用いたCMOS構造を好適に実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書は、以下の項目に記載の半導体装置、表示装置および半導体装置の製造方法を開示している。
【0009】
[項目1]
基板と、
前記基板に支持された第1導電型の第1薄膜トランジスタと、
前記基板に支持された前記第1導電型とは異なる第2導電型の第2薄膜トランジスタと、
を備えた相補型の半導体装置であって、
前記第1薄膜トランジスタは、
前記第1導電型の酸化物半導体材料から形成された第1半導体層であって、第1チャネル領域と、前記第1チャネル領域の両側に位置する第1ソース領域および第1ドレイン領域とを含む第1半導体層と、
前記第1半導体層上に設けられた第1ゲート絶縁層と、
前記第1チャネル領域に前記第1ゲート絶縁層を介して対向するように設けられた第1ゲート電極と、
前記第1ソース領域に電気的に接続された第1ソース電極と、
を有し、
前記第2薄膜トランジスタは、
前記第2導電型の酸化物半導体材料または透明半導体材料から形成された第2半導体層であって、第2チャネル領域と、前記第2チャネル領域の両側に位置する第2ソース領域および第2ドレイン領域とを含む第2半導体層と、
前記第2半導体層上に設けられた第2ゲート絶縁層と、
前記第2チャネル領域に前記第2ゲート絶縁層を介して対向するように設けられた第2ゲート電極と、
前記第2ソース領域に電気的に接続された第2ソース電極と、
を有し、
前記第1ゲート絶縁層は、第1層と、前記第1層上に設けられた第2層とを含み、
前記第1ゲート絶縁層の前記第2層と、前記第2ゲート絶縁層とは、同層に形成されている、半導体装置。
【0010】
[項目2]
前記第1ゲート電極と、前記第2ゲート電極とは、同層に形成されており、
前記第1ソース電極と、前記第2ソース電極とは、同層に形成されている、項目1に記載の半導体装置。
【0011】
[項目3]
前記第1ゲート絶縁層の前記第1層と同層に形成された絶縁層を備え、
前記第2半導体層は、前記絶縁層上に設けられている、項目1または2に記載の半導体装置。
【0012】
[項目4]
前記第1薄膜トランジスタは、前記第1ドレイン領域に電気的に接続された第1ドレイン電極を有し、
前記第2薄膜トランジスタは、前記第2ドレイン領域に電気的に接続された第2ドレイン電極を有し、
前記第1ソース電極、前記第1ドレイン電極、前記第2ソース電極および前記第2ドレイン電極は、同層に形成されている、項目1から3のいずれかに記載の半導体装置。
【0013】
[項目5]
前記第1ゲート電極および前記第2ゲート電極を覆うように設けられた層間絶縁層を備え、
前記第1ソース電極、前記第1ドレイン電極、前記第2ソース電極および前記第2ドレイン電極は、前記層間絶縁層上に設けられている、項目4に記載の半導体装置。
【0014】
[項目6]
前記第1導電型はn型であり、前記第2導電型はp型である、項目1から5のいずれかに記載の半導体装置。
【0015】
[項目7]
前記第1半導体層は、In-Ga-Zn-O系半導体を含む、項目6に記載の半導体装置。
【0016】
[項目8]
前記第1導電型はp型であり、前記第2導電型はn型である、項目1から5のいずれかに記載の半導体装置。
【0017】
[項目9]
前記第2半導体層は、In-Ga-Zn-O系半導体を含む、項目8に記載の半導体装置。
【0018】
[項目10]
前記第1半導体層から延設された第1容量電極と、
前記第2半導体層から延設された第2容量電極と、
前記第1容量電極と第2容量電極との間に設けられ、前記第1ゲート絶縁層の前記第1層と同層に形成された容量絶縁層と、
を含む容量素子を備える、項目1から9のいずれかに記載の半導体装置。
【0019】
[項目11]
複数の画素領域によって規定される表示領域と、前記表示領域の周辺に位置する周辺領域とを有する表示装置用アクティブマトリクス基板である、項目1から10のいずれかに記載の半導体装置。
【0020】
[項目12]
前記周辺領域に形成されたゲートドライバ回路を備え、
前記ゲートドライバ回路は、前記第1薄膜トランジスタおよび前記第2薄膜トランジスタを含む、項目11に記載の半導体装置。
【0021】
[項目13]
前記周辺領域に形成されたデマルチプレクサ回路を備え、
前記デマルチプレクサ回路は、前記第1薄膜トランジスタおよび前記第2薄膜トランジスタを含む、項目11に記載の半導体装置。
【0022】
[項目14]
項目11から13のいずれかに記載の半導体装置を前記アクティブマトリクス基板として備える、表示装置。
【0023】
[項目15]
液晶表示装置である、項目14に記載の表示装置。
【0024】
[項目16]
有機EL表示装置である、項目14に記載の表示装置。
【0025】
[項目17]
基板と、
前記基板に支持された第1導電型の第1薄膜トランジスタと、
前記基板に支持された前記第1導電型とは異なる第2導電型の第2薄膜トランジスタと、
を備え、
前記第1薄膜トランジスタは、
前記第1導電型の酸化物半導体材料から形成された第1半導体層であって、第1チャネル領域と、前記第1チャネル領域の両側に位置する第1ソース領域および第1ドレイン領域とを含む第1半導体層と、
前記第1半導体層上に設けられた第1ゲート絶縁層と、
前記第1チャネル領域に前記第1ゲート絶縁層を介して対向するように設けられた第1ゲート電極と、
前記第1ソース領域に電気的に接続された第1ソース電極と、
を有し、
前記第2薄膜トランジスタは、
前記第2導電型の酸化物半導体材料または透明半導体材料から形成された第2半導体層であって、第2チャネル領域と、前記第2チャネル領域の両側に位置する第2ソース領域および第2ドレイン領域とを含む第2半導体層と、
前記第2半導体層上に設けられた第2ゲート絶縁層と、
前記第2チャネル領域に前記第2ゲート絶縁層を介して対向するように設けられた第2ゲート電極と、
前記第2ソース領域に電気的に接続された第2ソース電極と、
を有する、
相補型の半導体装置の製造方法であって、
(A)前記基板上に、第1半導体膜を堆積し、その後前記第1半導体膜をパターニングすることによって、前記第1半導体層を形成する工程と、
(B)前記工程(A)の後、前記第1半導体層を覆うように、前記第1ゲート絶縁層の一部である第1層となる領域を含む第1絶縁膜を堆積する工程と、
(C)前記工程(B)の後、第2半導体膜を堆積し、その後前記第2半導体膜をパターニングすることによって、前記第2半導体層を形成する工程と、
(D)前記工程(C)の後、前記第1ゲート絶縁層の他の一部である第2層となる領域および前記第2ゲート絶縁層となる領域を含む第2絶縁膜を堆積する工程と、
(E)前記工程(D)の後、第1導電膜を堆積し、その後前記第1導電膜をパターニングすることによって、前記第1ゲート電極および前記第2ゲート電極を形成する工程と、
(F)前記工程(E)の後、前記第1ゲート電極および前記第2ゲート電極を覆うように層間絶縁層を形成する工程と、
(G)前記工程(F)の後、前記層間絶縁層上に第2導電膜を堆積し、その後前記第2導電膜をパターニングすることによって、前記第1ソース電極および前記第2ソース電極を形成する工程と、
を包含する、半導体装置の製造方法。
【0026】
[項目18]
前記第1薄膜トランジスタは、前記第1ドレイン領域に電気的に接続された第1ドレイン電極を有し、
前記第2薄膜トランジスタは、前記第2ドレイン領域に電気的に接続された第2ドレイン電極を有し、
前記工程(G)において、前記第1ソース電極および前記第2ソース電極とともに、前記第1ドレイン電極および前記第2ドレイン電極が形成される、項目17に記載の半導体装置の製造方法。
【0027】
[項目19]
前記第1導電型はn型であり、前記第2導電型はp型である、項目17または18に記載の半導体装置の製造方法。
【0028】
[項目20]
前記第1導電型はp型であり、前記第2導電型はn型である、項目17または18に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の効果】
【0029】
本発明の実施形態によると、n型の酸化物半導体TFTとp型の酸化物半導体TFT(または透明半導体TFT)とを用いたCMOS構造を好適に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の実施形態による半導体装置100を模式的に示す断面図である。
【
図2A】半導体装置100の製造方法を説明するための工程断面図である。
【
図2B】半導体装置100の製造方法を説明するための工程断面図である。
【
図2C】半導体装置100の製造方法を説明するための工程断面図である。
【
図2D】半導体装置100の製造方法を説明するための工程断面図である。
【
図2E】半導体装置100の製造方法を説明するための工程断面図である。
【
図2F】半導体装置100の製造方法を説明するための工程断面図である。
【
図2G】半導体装置100の製造方法を説明するための工程断面図である。
【
図2H】半導体装置100の製造方法を説明するための工程断面図である。
【
図2I】半導体装置100の製造方法を説明するための工程断面図である。
【
図2J】半導体装置100の製造方法を説明するための工程断面図である。
【
図2K】半導体装置100の製造方法を説明するための工程断面図である。
【
図3A】半導体装置100を模式的に示す断面図である。
【
図3B】半導体装置100を模式的に示す断面図である。
【
図4】本発明の実施形態による他の半導体装置100Aを模式的に示す断面図である。
【
図5】本発明の実施形態によるさらに他の半導体装置100Bを模式的に示す断面図である。
【
図6】本発明の実施形態によるさらに他の半導体装置200を模式的に示す断面図である。
【
図7A】半導体装置200を模式的に示す断面図である。
【
図7B】半導体装置200を模式的に示す断面図である。
【
図8】本発明の実施形態によるさらに他の半導体装置200Aを模式的に示す断面図である。
【
図9】本発明の実施形態によるさらに他の半導体装置200Bを模式的に示す断面図である。
【
図10】アクティブマトリクス基板1000を模式的に示す平面図である。
【
図11】液晶表示装置1100が有する複数の画素PIXの等価回路図である。
【
図12】有機EL表示装置1200の1つの画素PIXの等価回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下で参照する図面において、実質的に同じ機能を有する構成要素を共通の参照符号で示し、その説明を省略することがある。また、説明のわかりやすさのために、以下で参照する図面において、構成を簡略化または模式化して示したり、一部の構成要素を省略したりしている。各図に示された構成要素間の寸法比は、必ずしも実際の寸法比を示すものではない。
【0032】
[実施形態1]
図1を参照しながら、本実施形態の相補型の半導体装置100を説明する。
図1は、半導体装置100を模式的に示す断面図である。
【0033】
半導体装置100は、
図1に示すように、基板1と、第1導電型の第1薄膜トランジスタ(以下「第1TFT」)10Aと、第1導電型とは異なる第2導電型の第2薄膜トランジスタ(以下「第2TFT」)20Aとを備える。本実施形態では、第1TFT10Aはn型であり、第2TFT20Aはp型である。また、第1TFT10Aは、酸化物半導体TFTであり、第2TFT20Aは、酸化物半導体TFTまたは透明半導体TFTである。
【0034】
基板1は、絶縁性を有し、典型的には透明である。基板1は、例えばガラス基板またはプラスチック基板である。
【0035】
第1TFT10Aは、基板1に支持されており、トップゲート構造を有する。第1TFT10Aは、第1半導体層11N、第1ゲート絶縁層12、第1ゲート電極13、第1ソース電極14および第1ドレイン電極15を有する。
【0036】
第1半導体層11Nは、n型の酸化物半導体材料から形成されている。第1半導体層11Nは、チャネル領域11aと、チャネル領域11aの両側に位置するソース領域11bおよびドレイン領域11cとを含む。
【0037】
第1ゲート絶縁層12は、第1半導体層11N上に設けられている。第1ゲート絶縁層12は、第1半導体層11Nに接する第1層(下層)12aと、第1層12a上に設けられた第2層(上層)12bとを含む。つまり、第1ゲート絶縁層12は、積層構造を有している。
【0038】
第1ゲート電極13は、第1半導体層11Nのチャネル領域11aに第1ゲート絶縁層12を介して対向するように設けられている。第1ソース電極14は、第1半導体層11Nのソース領域11bに電気的に接続されており、第1ドレイン電極15は、第1半導体層11Nのドレイン領域11cに電気的に接続されている。
【0039】
第2TFT20Aは、第1TFT10Aと同様、基板1に支持されており、トップゲート構造を有する。第2TFT20Aは、第2半導体層21P、第2ゲート絶縁層22、第2ゲート電極23、第2ソース電極24および第2ドレイン電極25を有する。
【0040】
第2半導体層21Pは、p型の酸化物半導体材料または透明半導体材料から形成されている。第2半導体層21Pは、チャネル領域21aと、チャネル領域21aの両側に位置するソース領域21bおよびドレイン領域21cとを含む。第2半導体層21Pは、第1ゲート絶縁層12の第1層12aと同層に形成された(つまり第1層12aを形成する工程において第1層12aとともに形成された)絶縁層2上に設けられている。
【0041】
第2ゲート絶縁層22は、第2半導体層21P上に設けられており、第2半導体層21Pに接している。第2ゲート絶縁層22は、第1ゲート絶縁層12の第2層(上層)12bと同層に(つまり第2層12bを形成する工程において第2層12bとともに)形成されている。
【0042】
第2ゲート電極23は、第2半導体層21Pのチャネル領域21aに第2ゲート絶縁層22を介して対向するように設けられている。第2ゲート電極23は、第1ゲート電極13と同層に(つまり第1ゲート電極13を形成する工程において第1ゲート電極13とともに)形成されている。
【0043】
第2ソース電極24は、第2半導体層21Pのソース領域21bに電気的に接続されている。第2ドレイン電極25は、第2半導体層21Pのドレイン領域21cに電気的に接続されている。第2ソース電極24および第2ドレイン電極25は、第1ソース電極14および第1ドレイン電極15と同層に(つまり第1ソース電極14および第1ドレイン電極15を形成する工程において第1ソース電極14および第1ドレイン電極15とともに)形成されている。
【0044】
第1ゲート電極13や第2ゲート電極23などを覆うように、層間絶縁層3が設けられている。第1ソース電極14、第1ドレイン電極15、第2ソース電極24および第2ドレイン電極25は、層間絶縁層3上に設けられている。層間絶縁層3には、第1コンタクトホール3a、第2コンタクトホール3b、第3コンタクトホール3cおよび第4コンタクトホール3dが形成されている。第1ソース電極14は、第1コンタクトホール3aにおいて第1半導体層11Nのソース領域11bに接続されており、第1ドレイン電極15は、第2コンタクトホール3bにおいて第1半導体層11Nのドレイン領域11cに接続されている。第2ソース電極24は、第3コンタクトホール3cにおいて第2半導体層21Pのソース領域21bに接続されており、第2ドレイン電極25は、第4コンタクトホール3dにおいて第2半導体層21Pのドレイン領域21cに電気的に接続されている。
【0045】
続いて、
図2A~
図2Kを参照しながら、本実施形態における半導体装置100の製造方法を説明する。
図2A~
図2Kは、半導体装置100の製造方法を説明するための工程断面図である。
【0046】
まず、
図2Aに示すように、基板1上にn型の第1半導体層11Nを形成する。具体的には、基板1上に第1半導体膜(厚さ:例えば15nm以上200nm以下)を堆積し、その後第1半導体膜をパターニングすることによって、第1半導体層11Nを形成することができる。
【0047】
基板1としては、例えば、ガラス基板、シリコン基板、耐熱性を有するプラスチック基板(樹脂基板)などを用いることができる。
【0048】
第1半導体膜の堆積は、例えばスパッタリング法により行うことができ、第1半導体膜のパターニングは、例えば、ウェットエッチングにより行うことができる。第1半導体膜の材料は、特に限定されないが、例えばIn-Ga-Zn-O系半導体である。
【0049】
次に、
図2Bに示すように、第1半導体層11Nを覆うように、第1絶縁膜IF1(厚さ:例えば20nm以上150nm以下)を堆積する。第1絶縁膜IF1は、第1ゲート絶縁層12の第1層12a(第1ゲート絶縁層12の一部)となる領域12a’と、第2半導体層21Pと基板1との間に介在する絶縁層2となる領域2’とを含んでいる。
【0050】
第1絶縁膜IF1の堆積は、例えばCVD法により行うことができる。第1絶縁膜IF1の材料としては、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiNx)、酸化窒化シリコン(SiOxNy;x>y)、窒化酸化シリコン(SiNxOy;x>y)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化タンタル(Ta2O5)等を適宜用いることができる。第1絶縁膜IF1は、積層構造を有していてもよい。
【0051】
続いて、
図2Cに示すように、第1絶縁膜IF1上に、p型の第2半導体層21Pを形成する。具体的には、第1絶縁膜IF1上に第2半導体膜(厚さ:例えば20nm以上200nm以下)を堆積し、その後第2半導体膜をパターニングすることによって、第2半導体層21Pを形成することができる。
【0052】
第2半導体膜の堆積は、例えばスパッタリング法により行うことができ、第2半導体膜のパターニングは、例えば、ウェットエッチングにより行うことができる。第2半導体膜の材料は、特に限定されないが、例えばSnOである。
【0053】
その後、第1ゲート絶縁層12の第2層12b、第2ゲート絶縁層22、第1ゲート電極13および第2ゲート電極23を形成する。
【0054】
具体的には、まず、
図2Dに示すように、第1絶縁膜IF1および第2半導体層21P上に、第2絶縁膜IF2(厚さ:例えば80nm以上250nm以下)を堆積する。第2絶縁膜IF2は、第1ゲート絶縁層12の第2層12b(第1ゲート絶縁層12の他の一部)となる領域12b’および第2ゲート絶縁層22となる領域22’を含んでいる。
【0055】
第2絶縁膜IF2の堆積は、例えばCVD法により行うことができる。第2絶縁膜IF2の材料としては、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化タンタル(Ta2O5)、酸化シリコン(SiO2)、酸化窒化シリコン(SiOxNy;x>y)等を適宜用いることができる。第2絶縁膜IF2は、積層構造を有していてもよい。
【0056】
次に、
図2Eに示すように、第2絶縁膜IF2上に、第1導電膜(ゲート用導電膜)CF1(厚さ:例えば50nm以上500nm以下)を堆積する。第1導電膜CF1の堆積は、例えばスパッタリング法により行うことができる。第1導電膜CF1の材料としては、例えば、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、銅(Cu)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)またはタングステン(W)や、これらの元素を含む合金材料を用いることができる。第1導電膜CF1は、積層構造を有していてもよい。積層構造は、例えば、チタン層-アルミニウム層-チタン層の3層構造やモリブデン層-アルミニウム層-モリブデン層の3層構造であり得る。勿論、3層構造に限られず、2層構造や4層以上の積層構造であってもよい。
【0057】
続いて、
図2Fに示すように、第1導電膜CF1をパターニングすることによって、第1ゲート電極13および第2ゲート電極23を形成する。第1導電膜CF1のパターニングは、例えばウェットエッチングまたはドライエッチングにより行うことができる。
【0058】
その後、
図2Gに示すように、第2絶縁膜IF2をパターニングすることにより、第1ゲート絶縁層12の第2層12bおよび第2ゲート絶縁層22を形成する。第2絶縁膜IF2のパターニングは、例えばドライエッチングにより行うことができる。
図2Gに示す例では、このとき、第1絶縁膜IF1もパターニングされて第1ゲート絶縁層12の第1層12aと絶縁層2とに分離される。
【0059】
次に、第1ゲート電極13および第2ゲート電極23をマスクとして、第1半導体層11Nおよび第2半導体層21Pの低抵抗化処理を行う。低抵抗化処理は、例えばプラズマ処理である。これにより、
図2Hに示すように、第1半導体層11Nのうち第1ゲート電極13と重なっていない領域は、第1ゲート電極13と重なっている領域(チャネル領域11a)よりも比抵抗の低い低抵抗領域(ソース領域11bおよびドレイン領域11c)となる。また、第2半導体層21Pのうち第2ゲート電極23と重なっていない領域は、第2ゲート電極23と重なっている領域(チャネル領域21a)よりも比抵抗の低い低抵抗領域(ソース領域21bおよびドレイン領域21c)となる。
【0060】
続いて、
図2Iに示すように、第1ゲート電極13および第2ゲート電極23を覆うように層間絶縁層3(厚さ:例えば100nm以上500nm以下)を形成する。層間絶縁層3は、例えば、CVD法により形成することができる。層間絶縁層3の材料として、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコンまたは窒化酸化シリコンを用いることができる。層間絶縁層3は、積層構造を有していてもよい。
【0061】
次に、
図2Jに示すように、層間絶縁層3に、第1半導体層11Nのソース領域11bの一部およびドレイン領域11cの一部が露出するように第1コンタクトホール3aおよび第2コンタクトホール3bを形成するとともに、第2半導体層21Pのソース領域21bの一部およびドレイン領域21cの一部が露出するように第3コンタクトホール3cおよび第4コンタクトホール3dを形成する。第1、第2、第3および第4コンタクトホール3a、3b、3cおよび3dの形成は、フォトリソグラフィプロセス(例えばドライエッチング工程を含む)により行うことができる。
【0062】
続いて、
図2Kに示すように、層間絶縁層3上に第2導電膜(ソース用導電膜)CF2(厚さ:例えば50nm以上500nm以下)を堆積する。第2導電膜CF2の堆積は、例えばスパッタリング法により行うことができる。第2導電膜CF2の材料としては、例えば、第1導電膜CF1の材料として例示したものを用いることができる。第2導電膜CF2は、第1導電膜CF1と同様、積層構造を有していてもよい。
【0063】
その後、第2導電膜CF2をパターニングすることによって、第1ソース電極14、第1ドレイン電極15、第2ソース電極24および第2ドレイン電極25を形成する。第2導電膜CF2のパターニングは、例えばウェットエッチングまたはドライエッチングにより行うことができる。このようにして、
図1に示した半導体装置100が得られる。
【0064】
なお、ここでは、第2絶縁膜IF2がパターニングされるときに、第1絶縁膜IF1もパターニングされて第1ゲート絶縁層12の第1層12aと絶縁層2とに分離される例を示したが、
図3Aに示すように、完成した半導体装置100において、第1ゲート絶縁層12の第1層12aと絶縁層2とが連続していてもよい。第1絶縁膜IF1および第2絶縁膜IF2の材料やパターニング方法によっては、第2絶縁膜IF2がパターニングされるときに第1絶縁膜IF1が第1ゲート絶縁層12の第1層12aと絶縁層2とに分離されないことがあり得る。例えば、第1絶縁膜IF1が酸化シリコン膜であり、第2絶縁膜IF2が酸化アルミニウム層を下層、酸化シリコン層を上層とする積層構造を有している場合、第1絶縁膜IF1が第1ゲート絶縁層12の第1層12aと絶縁層2とに分離されないことがある。
【0065】
また、
図3Bに示すように、第1絶縁膜IF1および第2絶縁膜IF2の両方がパターニングされず、第1ゲート絶縁層12の第1層12aと絶縁層2とが連続しているとともに、第1ゲート絶縁層12の第2層12bと第2ゲート絶縁層22とが連続していてもよい。
【0066】
上述したように、本実施形態の半導体装置100は、n型の酸化物半導体TFTである第1TFT10Aと、p型の酸化物半導体TFT(または透明半導体TFT)である第2TFT20Aとを備えているので、これらを用いてCMOS構造の回路を形成することにより、低電圧化および低消費電力化を図ることができる。また、第1TFT10Aおよび第2TFT20Aはいずれもトップゲート構造を有するので、ボトムゲート構造のn型TFTとボトムゲート構造のp型TFTとを用いる場合に比べ、TFT特性および信頼性に優れる。さらに、第1ゲート絶縁層12の第1半導体層11Nに接する部分(第1層)12aと、第2半導体層21Pに接する第2ゲート絶縁層22とは別層に形成されるので、n型の酸化物半導体TFTとp型の酸化物半導体TFT(または透明半導体TFT)とで、半導体層に接するゲート絶縁膜を異なる材料から、つまり、それぞれのゲート絶縁膜として好適な材料を用いて形成することができる。
【0067】
また、本実施形態の半導体装置100は、比較的少ないマスク枚数で製造することが可能であるので、製造コストの低減を図ることもできる。例えば、
図2A~
図2Kを参照しながら例示した製造方法では、必要なマスク枚数は5枚である。これに対し、活性層としてLTPS(低温ポリシリコン)層を有するn型TFTおよびp型TFTを用いたCMOS構造を形成する場合、ソース電極およびドレイン電極を分離する工程を完了するまでに必要なマスク枚数は、一般的には8枚である。
【0068】
さらに、本実施形態の半導体装置100では、第1ゲート絶縁層12が第1層12aおよび第2層12bを含む積層構造を有しているのに対し、第2ゲート絶縁層22が第1ゲート絶縁層12の第2層12bと同層に形成されているので、第2ゲート絶縁層22を、第1ゲート絶縁層12よりも薄くすることができる。そのため、移動度が比較的低いp型の酸化物半導体TFT(または透明半導体TFT)である第2TFT20のオン電流を大きくする点で有利である。
【0069】
図4に、本実施形態における他の半導体装置100Aを示す。半導体装置100Aは、
図4に示すように、容量素子30を備える点において、半導体装置100の
図3に示した構成と異なっている。
【0070】
容量素子30は、第1容量電極31と、第2容量電極32と、第1容量電極31と第2容量電極32との間に設けられた容量絶縁層33とを含んでいる。
【0071】
第1容量電極31は、第1半導体層11Nから延設されている。図示している例では、第1容量電極31は、第1半導体層11Nのドレイン領域11cから延びており、ドレイン領域11cに電気的に接続されているといえる。また、第1容量電極31は、ドレイン領域11cと同様に低抵抗化(導体化)されている。
【0072】
第2容量電極32は、第2半導体層21Pから延設されている。図示している例では、第2容量電極32は、第2半導体層21Pのソース領域21bから延びており、ソース領域21bに電気的に接続されているといえる。また、第2容量電極32は、ソース領域21bと同様に低抵抗化(導体化)されている。
【0073】
容量絶縁層33は、第1ゲート絶縁層12の第1層12aと同層に形成されている。図示している例では、容量絶縁層33は、第1ゲート絶縁層12の第1層12aおよび絶縁層2と連続している。
【0074】
半導体装置を後述するように有機EL表示装置用のアクティブマトリクス基板として用いる場合、各画素領域内に容量素子が設けられる。
図4に示す半導体装置100Aのように、第1半導体層11Nから延設された部分(第1容量電極31)と、第2半導体層21Pから延設された部分(第2容量電極32)とを用いて容量素子30を形成することができる。
【0075】
なお、ここでは、第1容量電極31が第1半導体層11Nのドレイン領域11cから延びており、第2容量電極32が第2半導体層21Pのソース領域21bから延びている例を示したが、第1容量電極31は第1半導体層11Nのソース領域11bから延びていてもよいし、第2容量電極32は第2半導体層21Pのドレイン領域21cから延びていてもよい。
【0076】
図5に、本実施形態におけるさらに他の半導体装置100Bを示す。半導体装置100Bは、
図5に示すように、第1遮光層4Aおよび第2遮光層4Bと、下部絶縁層5とを備える点において、
図1に示した半導体装置100と異なっている。
【0077】
第1遮光層4Aおよび第2遮光層4Bは、基板1上に設けられている。第1遮光層4Aおよび第2遮光層4Bを覆うように下部絶縁層5が設けられている。下部絶縁層5上に、第1TFT10Aおよび第2TFT20Aが形成されている。
【0078】
第1遮光層4Aは、下部絶縁層5を介して第1半導体層11Nのチャネル領域11aに重なっている。第2遮光層4Bは、下部絶縁層5を介して第2半導体層21Pのチャネル領域21aに重なっている。ここでは、第1遮光層4Aおよび第2遮光層4Bは、導電材料から形成されている。
【0079】
半導体装置を液晶表示装置用のアクティブマトリクス基板として用いる場合、
図5に示した半導体装置100Bのように、第1遮光層4Aおよび第2遮光層4Bを設けることにより、バックライト(照明装置)からの光がチャネル領域11aおよび21aに入射することを防止できる。
【0080】
第1遮光層4Aおよび第2遮光層4Bは、スパッタ法などによって遮光層用導電膜(厚さ:例えば50nm以上500nm以下)を形成した後、遮光層用導電膜をパターニングすることによって、形成することができる。遮光層用導電膜の材料としては、例えば、第1導電膜CF1の材料として例示したものを用いることができる。
【0081】
下部絶縁層5は、例えばCVD法により形成することができる。下部絶縁層5の厚さは、例えば200nm以上500nm以下である。下部絶縁層5の材料としては、例えば、第1絶縁膜IF1の材料として例示したものを用いることができる。
【0082】
第1遮光層4Aおよび第2遮光層4Bは、電気的に浮遊状態(フローティング)であってもよいし、所定の電位を与えられてもよい。第1遮光層4Aおよび第2遮光層4Bに所定の電位(固定電位)を与えることにより、TFT特性を向上させることができる。また、第1遮光層4Aに第1ゲート電極13と実質的に同じ電位を与えることによって、第1遮光層4Aを下部ゲート電極として機能させ、第1TFT10Aをダブルゲート構造にしてもよい。同様に、第2遮光層4Bに第2ゲート電極23と実質的に同じ電位を与えることによって、第2遮光層4Bを下部ゲート電極として機能させ、第2TFT20Aをダブルゲート構造にしてもよい。
【0083】
[n型の酸化物半導体について]
n型の半導体層に含まれる酸化物半導体は、アモルファス酸化物半導体であってもよいし、結晶質部分を有する結晶質酸化物半導体であってもよい。結晶質酸化物半導体としては、多結晶酸化物半導体、微結晶酸化物半導体、c軸が層面に概ね垂直に配向した結晶質酸化物半導体などが挙げられる。
【0084】
n型の半導体層は、2層以上の積層構造を有していてもよい。積層構造を有する半導体層は、アモルファス酸化物半導体層と結晶質酸化物半導体層とを含んでいてもよいし、結晶構造の異なる複数の結晶質酸化物半導体層を含んでいてもよい。また、積層構造を有する半導体層は、複数のアモルファス酸化物半導体層を含んでいてもよい。半導体層が上層と下層とを含む2層構造を有する場合、下層に含まれる酸化物半導体のエネルギーギャップは、上層に含まれる酸化物半導体のエネルギーギャップよりも大きいことが好ましい。ただし、これらの層のエネルギーギャップの差が比較的小さい場合には、上層の酸化物半導体のエネルギーギャップが下層の酸化物半導体のエネルギーギャップよりも大きくてもよい。
【0085】
アモルファス酸化物半導体および上記の各結晶質酸化物半導体の材料、構造、成膜方法、積層構造を有する酸化物半導体層の構成などは、例えば特開2014-007399号公報に記載されている。参考のために、特開2014-007399号公報の開示内容の全てを本明細書に援用する。
【0086】
n型の半導体層は、例えば、In、GaおよびZnのうち少なくとも1種の金属元素を含んでもよい。本実施形態では、n型の半導体層は、例えば、In-Ga-Zn-O系の半導体(例えば酸化インジウムガリウム亜鉛)を含む。ここで、In-Ga-Zn-O系の半導体は、In(インジウム)、Ga(ガリウム)、Zn(亜鉛)の三元系酸化物であって、In、GaおよびZnの割合(組成比)は特に限定されず、例えばIn:Ga:Zn=2:2:1、In:Ga:Zn=1:1:1、In:Ga:Zn=1:1:2等を含む。このような半導体層は、In-Ga-Zn-O系の半導体を含む酸化物半導体膜から形成され得る。
【0087】
In-Ga-Zn-O系の半導体は、アモルファスでもよいし、結晶質でもよい。結晶質In-Ga-Zn-O系の半導体としては、c軸が層面に概ね垂直に配向した結晶質In-Ga-Zn-O系の半導体が好ましい。
【0088】
なお、結晶質In-Ga-Zn-O系の半導体の結晶構造は、例えば、上述した特開2014-007399号公報、特開2012-134475号公報、特開2014-209727号公報などに開示されている。参考のために、特開2012-134475号公報および特開2014-209727号公報の開示内容の全てを本明細書に援用する。In-Ga-Zn-O系半導体層を有するTFTは、高い移動度(a-SiTFTに比べ20倍超)および低いリーク電流(a-SiTFTに比べ100分の1未満)を有している。
【0089】
n型の半導体層は、In-Ga-Zn-O系半導体の代わりに、他の酸化物半導体を含んでいてもよい。例えばIn-Sn-Zn-O系半導体(例えばIn2O3-SnO2-ZnO;InSnZnO)を含んでもよい。In-Sn-Zn-O系半導体は、In(インジウム)、Sn(スズ)およびZn(亜鉛)の三元系酸化物である。あるいは、n型の半導体層は、In-Al-Zn-O系半導体、In-Al-Sn-Zn-O系半導体、Zn-O系半導体、In-Zn-O系半導体、Zn-Ti-O系半導体、Cd-Ge-O系半導体、Cd-Pb-O系半導体、CdO(酸化カドミウム)、Mg-Zn-O系半導体、In-Ga-Sn-O系半導体、In-Ga-O系半導体、Zr-In-Zn-O系半導体、Hf-In-Zn-O系半導体、Al-Ga-Zn-O系半導体、Ga-Zn-O系半導体、In-Ga-Zn-Sn-O系半導体などを含んでいてもよい。
【0090】
[p型の酸化物半導体・透明半導体について]
p型の半導体層に含まれる酸化物半導体は、アモルファス酸化物半導体であってもよいし、結晶質部分を有する結晶質酸化物半導体であってもよい。また、p型の半導体層は、2層以上の積層構造を有していてもよい。
【0091】
p型の半導体層は、例えば、SnO(酸化スズ)、Cu2O(酸化銅)、NiO(酸化ニッケル)などを含み得る。また、p型の半導体層は、酸化物以外の透明半導体(例えばCuI(ヨウ化銅))を含んでもよい。
【0092】
[実施形態2]
図6を参照しながら、本実施形態の相補型の半導体装置200を説明する。
図6は、半導体装置200を模式的に示す断面図である。以下では、半導体装置200が、実施形態1における半導体装置100と異なる点を中心に説明を行う。
【0093】
半導体装置200は、
図6に示すように、基板1と、第1導電型の第1TFT10Bと、第1導電型とは異なる第2導電型の第2TFT20Bとを備える。本実施形態では、第1TFT10Bは、p型であり、第1TFT10Bが有する第1半導体層11Pは、p型の酸化物半導体材料または透明半導体材料から形成されている。また、第2TFT20Bは、n型であり、第2TFT20Bが有する第2半導体層21Nは、n型の酸化物半導体材料から形成されている。
【0094】
半導体装置200は、実施形態1における半導体装置100とほぼ同様にして製造され得る。第1半導体層11Pの材料としては、半導体装置100の第2半導体層21Pの材料として例示したものを用いることができ、第2半導体層21Nの材料としては、半導体装置100の第1半導体層11Nの材料として例示したものを用いることができる。第1ゲート絶縁層12の第1層12aおよび絶縁層2を形成するための絶縁膜(第1絶縁膜)の材料としては、
図2Dなどに示した第2絶縁膜IF2の材料として例示したものを用いることができる。第1ゲート絶縁層12の第2層12bおよび第2ゲート絶縁層22を形成するための絶縁膜(第2絶縁膜)の材料としては、
図2Bなどに示した第1絶縁膜IF1の材料として例示したものを用いることができる。
【0095】
なお、
図6には、第1ゲート絶縁層12の第1層12aと絶縁層2とが分離されている例を示したが、
図7Aに示すように、第1ゲート絶縁層12の第1層12aと絶縁層2とが連続していてもよい。第1絶縁膜および第2絶縁膜の材料やパターニング方法によっては、第2絶縁膜がパターニングされるときに第1絶縁膜が第1ゲート絶縁層12の第1層12aと絶縁層2とに分離されないことがあり得る。例えば、第1絶縁膜が酸化アルミニウム膜であり、第2絶縁膜が酸化シリコン膜である場合、第1絶縁膜が第1ゲート絶縁層12の第1層12aと絶縁層2とに分離されないことがある。
【0096】
また、
図7Bに示すように、第1絶縁膜および第2絶縁膜の両方がパターニングされず、第1ゲート絶縁層12の第1層12aと絶縁層2とが連続しているとともに、第1ゲート絶縁層12の第2層12bと第2ゲート絶縁層22とが連続していてもよい。
【0097】
上述したように、本実施形態の半導体装置200は、p型の酸化物半導体TFT(または透明半導体TFT)である第1TFT10Bと、n型の酸化物半導体TFTである第2TFT20Bとを備えているので、これらを用いてCMOS構造の回路を形成することにより、低電圧化および低消費電力化を図ることができる。また、第1TFT10Bおよび第2TFT20Bはいずれもトップゲート構造を有するので、TFT特性および信頼性に優れる。さらに、第1ゲート絶縁層12の第1半導体層11Pに接する部分(第1層)12aと、第2半導体層21Nに接する第2ゲート絶縁層22とは別層に形成されるので、n型の酸化物半導体TFTとp型の酸化物半導体TFT(または透明半導体TFT)とで、半導体層に接するゲート絶縁膜を異なる材料から、つまり、それぞれのゲート絶縁膜として好適な材料を用いて形成することができる。また、本実施形態の半導体装置200は、比較的少ないマスク枚数で製造することが可能であるので、製造コストの低減を図ることもできる。
【0098】
さらに、本実施形態の半導体装置200では、第1ゲート絶縁層12が第1層12aおよび第2層12bを含む積層構造を有している。これにより、p型の酸化物半導体TFT(または透明半導体TFT)である第1TFT10Bの絶縁耐圧を確保しやすい。例えば、p型の第1半導体層11Pに接する絶縁膜(第1ゲート絶縁層12の第1層12a)として酸化アルミニウム膜を用いる場合、酸化アルミニウム膜は原子層堆積法(ALD:Atomic layer deposition)により堆積されるが、原子層堆積法は一般に成膜速度が遅いので、厚い膜を堆積するのには向いていない。第1ゲート絶縁層12が第1層12aおよび第2層12bを含む積層構造を有していることにより、第1層12aが薄くても、第1ゲート絶縁層12全体である程度の厚さを有していれば、絶縁耐圧を確保することができる。
【0099】
図8に、本実施形態における他の半導体装置200Aを示す。半導体装置200Aは、
図8に示すように、容量素子30を備える点において、半導体装置200の
図7に示した構成と異なっている。
【0100】
容量素子30は、第1容量電極31と、第2容量電極32と、第1容量電極31と第2容量電極32との間に設けられた容量絶縁層33とを含んでいる。
【0101】
第1容量電極31は、第1半導体層11Pから延設されている。図示している例では、第1容量電極31は、第1半導体層11Pのドレイン領域11cから延びており、ドレイン領域11cに電気的に接続されているといえる。また、第1容量電極31は、ドレイン領域11cと同様に低抵抗化(導体化)されている。
【0102】
第2容量電極32は、第2半導体層21Nから延設されている。図示している例では、第2容量電極32は、第2半導体層21Nのソース領域21bから延びており、ソース領域21bに電気的に接続されているといえる。また、第2容量電極32は、ソース領域21bと同様に低抵抗化(導体化)されている。
【0103】
容量絶縁層33は、第1ゲート絶縁層12の第1層12aと同層に形成されている。図示している例では、容量絶縁層33は、第1ゲート絶縁層12の第1層12aおよび絶縁層2と連続している。
【0104】
半導体装置を後述するように有機EL表示装置用のアクティブマトリクス基板として用いる場合、各画素領域内に容量素子が設けられる。
図8に示す半導体装置200Aのように、第1半導体層11Pから延設された部分(第1容量電極31)と、第2半導体層21Nから延設された部分(第2容量電極32)とを用いて容量素子30を形成することができる。
【0105】
第1ゲート絶縁層12の第1層12aを形成するための絶縁膜(第1絶縁膜)の材料として例示したものの中には、酸化シリコン等よりも比誘電率が高い材料(例えば酸化アルミニウム)があり、そのような材料を用いると、容量素子30の省面積化を図ることができる。
【0106】
なお、ここでは、第1容量電極31が第1半導体層11Pのドレイン領域11cから延びており、第2容量電極32が第2半導体層21Nのソース領域21bから延びている例を示したが、第1容量電極31は第1半導体層11Pのソース領域11bから延びていてもよいし、第2容量電極32は第2半導体層21Nのドレイン領域21cから延びていてもよい。
【0107】
図9に、本実施形態におけるさらに他の半導体装置200Bを示す。半導体装置200Bは、
図9に示すように、第1遮光層4Aおよび第2遮光層4Bと、下部絶縁層5とを備える点において、
図6に示した半導体装置200と異なっている。
【0108】
第1遮光層4Aおよび第2遮光層4Bは、基板1上に設けられている。第1遮光層4Aおよび第2遮光層4Bを覆うように下部絶縁層5が設けられている。下部絶縁層5上に、第1TFT10Bおよび第2TFT20Bが形成されている。
【0109】
第1遮光層4Aは、下部絶縁層5を介して第1半導体層11Pのチャネル領域11aに重なっている。第2遮光層4Bは、下部絶縁層5を介して第2半導体層21Nのチャネル領域21aに重なっている。ここでは、第1遮光層4Aおよび第2遮光層4Bは、導電材料から形成されている。
【0110】
半導体装置を液晶表示装置用のアクティブマトリクス基板として用いる場合、
図9に示した半導体装置200Bのように、第1遮光層4Aおよび第2遮光層4Bを設けることにより、バックライト(照明装置)からの光がチャネル領域11aおよび21aに入射することを防止できる。
【0111】
第1遮光層4Aおよび第2遮光層4Bは、電気的に浮遊状態(フローティング)であってもよいし、所定の電位を与えられてもよい。第1遮光層4Aおよび第2遮光層4Bに所定の電位(固定電位)を与えることにより、TFT特性を向上させることができる。また、第1遮光層4Aに第1ゲート電極13と実質的に同じ電位を与えることによって、第1遮光層4Aを下部ゲート電極として機能させ、第1TFT10Bをダブルゲート構造にしてもよい。同様に、第2遮光層4Bに第2ゲート電極23と実質的に同じ電位を与えることによって、第2遮光層4Bを下部ゲート電極として機能させ、第2TFT20Bをダブルゲート構造にしてもよい。
【0112】
[アクティブマトリクス基板]
本発明の実施形態による半導体装置は、例えば、表示装置用アクティブマトリクス基板として好適に用いられる。
図10を参照しながら、アクティブマトリクス基板1000の構成を説明する。
【0113】
アクティブマトリクス基板1000は、例えば、上述した半導体装置100、100A、100B、200、200A、200Bのいずれかであり得る。アクティブマトリクス基板1000は、
図10に示すように、表示領域DRと、周辺領域FRとを有する。
【0114】
表示領域DRは、複数の画素領域PIXを含む。画素領域PIXは、表示装置の画素に対応する領域である。以下では、画素領域PIXを単に「画素」と呼ぶこともある。複数の画素領域PIXは、複数の行および複数の列を含むマトリクス状に配列されている。マトリクス状に配列された複数の画素領域PIXによって、表示領域DRが規定される。
【0115】
周辺領域FRは、表示領域DRの周辺に位置する。周辺領域FRは、表示に寄与しない領域であり、「非表示領域」または「額縁領域」と呼ばれることもある。
【0116】
基板1上には、複数本のゲートバスライン(走査線)GLと、複数本のソースバスライン(信号線)SLとが設けられている。複数本のゲートバスラインGLは、それぞれ行方向に沿って延びている。複数本のソースバスラインSLは、それぞれ列方向に沿って延びている。
図10では、第1行、第2行、・・・第x行のゲートバスラインGLを「GL1」、「GL2」、・・・「GLx」と表記しており、第1列、第2列、・・・第y列のソースバスラインSLを「SL1」、「SL2」、・・・「SLy」と表記している。典型的には、隣接する2本のゲートバスラインGLと隣接する2本のソースバスラインSLとによって囲まれる領域が、画素領域PIXである。
【0117】
周辺領域FRには、ゲートバスラインGLを駆動するゲートドライバ回路41Aおよび41Bと、ソースバスラインSLを駆動するソースドライバ回路42と、デマルチプレクサ(DEMUX)回路43とが配置されている。DEMUX回路43は、ソースバスラインSLを時分割で駆動するSSD回路として機能する。ここでは、ゲートドライバ回路41Aおよび41Bは、基板1上に一体的(モノリシック)に形成されている(以下ではGDM(Gate Driver Monolithic)回路とも呼ぶ)。また、DEMUX回路43は、ゲートドライバ回路41Aおよび41Bと同様に、基板1上にモノリシックに形成されており、ソースドライバ回路42は、基板1上に実装(例えばCOG実装)されている。
【0118】
図示している例では、表示領域DRに対して左側に、奇数行のゲートバスラインGLを駆動するためのゲートドライバ回路41Aが配置されており、表示領域DRに対して右側に、偶数行のゲートバスラインGLを駆動するためのゲートドライバ回路41Bが配置されている。ゲートドライバ回路41Aが有する複数の出力端子(不図示)のそれぞれに、奇数行のゲートバスラインGLのそれぞれが接続されている。また、ゲートドライバ回路41Bが有する複数の出力端子(不図示)のそれぞれに、偶数行のゲートバスラインGLのそれぞれが接続されている。
【0119】
表示領域DRに対して下側に、ソースドライバ回路42が配置されており、ソースドライバ回路42と表示領域DRとの間に、DEMUX回路43が配置されている。ソースドライバ回路42は、複数の出力端子(不図示)を含む。ソースドライバ42回路とDEMUX回路43との間に位置する領域に、複数本の信号出力線(ビデオ信号線)VLが設けられている。複数本の信号出力線VLのそれぞれは、ソースドライバ回路42の複数の出力端子のそれぞれに接続されている。
図10では、1本目、2本目、・・・z本目の信号出力線VLを、「VL1」、「VL2」、・・・「VLz」と表記している。
【0120】
DEMUX回路43は、1本の信号出力線VLから供給される表示信号を、2本以上のソースバスラインSLに分配する。
【0121】
アクティブマトリクス基板1000において、GDM回路41Aおよび41Bに、第1TFT10Aおよび第2TFT20A(あるいは第1TFT10Bおよび第2TFT20B)を用いたCMOS構造の回路を含めることにより、低消費電力化を図ることができる。また、DEMUX回路43に、第1TFT10Aおよび第2TFT20A(あるいは第1TFT10Bおよび第2TFT20B)を用いたCMOS構造の回路を含めることにより、スイッチング信号の低電圧化による低消費電力化や信頼性の向上を図ることができる。
【0122】
アクティブマトリクス基板1000は、各種の表示装置に用いられ得る。アクティブマトリクス基板1000は、例えば、液晶表示装置または有機EL表示装置に好適に用いられる。
【0123】
図11は、液晶表示装置1100が有する複数の画素PIXの等価回路図の例である。ここでは図示しないが、液晶表示装置1100は、アクティブマトリクス基板1000と、アクティブマトリクス基板1000に対向する対向基板と、アクティブマトリクス基板110と対向基板との間に設けられた液晶層とを備える。
【0124】
液晶表示装置1100の各画素Pには、
図11に示すように、画素TFT51と、画素電極52とが配置されている。画素TFT51のゲート電極、ソース電極およびドレイン電極は、それぞれ、ゲートバスラインGL、ソースバスラインSLおよび画素電極52に電気的に接続されている。画素TFT51として、n型の酸化物半導体TFT(第1TFT10Aまたは第2TFT20B)を好適に用いることができる。
【0125】
図12は、有機EL表示装置1200の1つの画素PIXの等価回路図の例である。ここでは図示しないが、有機EL表示装置1200は、少なくともアクティブマトリクス基板1000を備える。
【0126】
有機EL表示装置1200の各画素PIXには、駆動用TFT61、選択用TFT62、容量素子(保持容量)63およびOLED(有機発光ダイオード)64が配置されている。ここでは図示しないが、OLED64は、画素電極(例えばアノード)と、画素電極上に設けられた有機EL層と、有機EL層上に設けられた共通電極(例えばカソード)とによって構成される。
【0127】
選択用TFT62のゲート電極およびソース電極は、それぞれゲートバスラインGLおよびソースバスラインSLに電気的に接続されている。選択用TFT62のドレイン電極は、駆動用TFT61のゲート電極と容量素子63とに電気的に接続されている。駆動用TFT61のドレイン電極は、電源配線CLに電気的に接続されている。駆動用TFT61のソース電極は、OLED64に、より具体的には、OLED64の画素電極に電気的に接続されている。
【0128】
駆動用TFT61として、p型の酸化物半導体TFTまたは透明半導体TFT(第2TFT20Aまたは第1TFT10B)を好適に用いることができる。また、選択用TFT62として、n型の酸化物半導体TFT(第1TFT10Aまたは第2TFT20B)を好適に用いることができる。
【0129】
なお、上述した酸化物半導体TFT(または透明半導体TFT)において、ドレイン電極が省略されてもよい。例えば、液晶表示装置1100の画素TFT51のドレイン電極を省略し、画素TFT51の半導体層のドレイン領域に画素電極52が直接接続されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明の実施形態によると、n型の酸化物半導体TFTとp型の酸化物半導体TFT(または透明半導体TFT)とを用いたCMOS構造を好適に実現することができる。本発明の実施形態による半導体装置は、各種表示装置用のアクティブマトリクス基板として用いられ、例えば、液晶表示装置用または有機EL表示装置用のアクティブマトリクス基板として好適に用いられる。
【符号の説明】
【0131】
1 基板
2 絶縁層
3 層間絶縁層
3a 第1コンタクトホール
3b 第2コンタクトホール
3c 第3コンタクトホール
3d 第4コンタクトホール
4A 第1遮光層
4B 第2遮光層
5 下部絶縁層
10A、10B 第1薄膜トランジスタ
11N、11P 第1半導体層
11a チャネル領域
11b ソース領域
11c ドレイン領域
12 第1ゲート絶縁層
12a 第1層(下層)
12b 第2層(上層)
13 第1ゲート電極
14 第1ソース電極
15 第1ドレイン電極
20A、20B 第2薄膜トランジスタ
21P、21N 第2半導体層
21a チャネル領域
21b ソース領域
21c ドレイン領域
22 第2ゲート絶縁層
23 第2ゲート電極
24 第2ソース電極
25 第2ドレイン電極
30 容量素子
31 第1容量電極
32 第2容量電極
33 容量絶縁層
41A、41B ゲートドライバ回路
42 ソースドライバ回路
43 デマルチプレクサ回路
51 画素TFT
52 画素電極
61 駆動用TFT
62 選択用TFT
63 容量素子
64 OLED
100、100A、100B、200、200A、200B 半導体装置
1000 アクティブマトリクス基板
1100 液晶表示装置
1200 有機EL表示装置
DR 表示領域
FR 周辺領域
PIX 画素領域
GL ゲートバスライン
SL ソースバスライン
VL 信号出力線