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特許7603135地図データ管理装置、地図データ管理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-11
(45)【発行日】2024-12-19
(54)【発明の名称】地図データ管理装置、地図データ管理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G09B 29/00 20060101AFI20241212BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20241212BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20241212BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20241212BHJP
   G06V 10/70 20220101ALI20241212BHJP
   G06V 20/58 20220101ALI20241212BHJP
【FI】
G09B29/00 Z
G08G1/00 A
G01C21/26 A
G06T7/00 650A
G06V10/70
G06V20/58
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023209105
(22)【出願日】2023-12-12
(62)【分割の表示】P 2019117355の分割
【原出願日】2019-06-25
(65)【公開番号】P2024025811
(43)【公開日】2024-02-26
【審査請求日】2023-12-12
(73)【特許権者】
【識別番号】512200217
【氏名又は名称】GO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】國松 健治
(72)【発明者】
【氏名】奥田 浩人
【審査官】岸 智史
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-051612(JP,A)
【文献】特開2014-215204(JP,A)
【文献】特開2018-141842(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 23/00-29/14
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図データを管理する地図データ管理装置であって、
撮像装置を備える移動体から、当該撮像装置が撮像した撮像画像と、前記移動体が有する部品であって前記撮像装置以外の前記部品の動作状況の履歴とを取得する画像取得部と、
交通状況を示す交通情報を取得する交通情報取得部と、
前記画像取得部が取得した前記撮像画像である取得画像に対応する前記地図データにおける所定の範囲に関連付けられている最終更新日から現在までの期間が所定の期間閾値を超えた場合に、前記取得画像が撮像されたときの前記部品の動作状況の条件を示す動作条件と、前記取得画像の撮像環境における交通状況として渋滞が発生してないことを示す交通条件とを、前記取得画像の撮像環境に関する環境条件として取得する条件取得部と、
前記取得画像の撮像環境が前記環境条件を満たすか否かの判定として、前記画像取得部が取得した前記履歴において前記取得画像が撮像されたときの前記部品の動作状況が前記動作条件を満たすか否かを判定し、かつ、前記交通情報において前記取得画像の撮像環境における交通状況が前記交通条件を満たすか否かを判定する場合において、前記取得画像の撮像環境で渋滞が発生していないことを前記交通情報が示す場合に、前記取得画像の撮像環境における交通状況が前記交通条件を満たすと判定する判定部と、
前記判定部が前記動作条件を満たすと判定した前記取得画像に基づいて、前記地図データを更新する更新用データを生成するデータ生成部と、
を有する地図データ管理装置。
【請求項2】
地図データを管理する地図データ管理装置であって、
前記地図データにおいて、前記地図データにおける所定の範囲に関連付けられている最終更新日から現在までの期間が所定の期間閾値を超えた範囲、又は前記地図データにおける前記所定の範囲に関連付けられている更新回数が所定の回数閾値以下の範囲である要更新範囲が存在する場合に、前記要更新範囲を示す経路を、撮像装置を備える移動体に通知する経路管理部と、
知された前記経路を通行した前記移動体から、前記撮像装置が撮像した撮像画像と、前記移動体が有する部品であって前記撮像装置以外の前記部品の動作状況の履歴とを取得する画像取得部と、
交通状況を示す交通情報を取得する交通情報取得部と、
前記撮像画像が撮像されたときの前記部品の動作状況の条件を示す動作条件と、前記撮像画像の撮像環境における交通状況として渋滞が発生してないことを示す交通条件とを、前記撮像画像の撮像環境に関する環境条件として取得する条件取得部と、
前記撮像画像の撮像環境が前記環境条件を満たすか否かの判定として、前記画像取得部が取得した前記履歴において前記画像取得部が取得した前記撮像画像である取得画像が撮像されたときの前記部品の動作状況が前記動作条件を満たすか否かを判定し、かつ、前記交通情報において前記取得画像の撮像環境における交通状況が前記交通条件を満たすか否かを判定する場合において、前記取得画像の撮像環境で渋滞が発生していないことを前記交通情報が示す場合に、前記取得画像の撮像環境における交通状況が前記交通条件を満たすと判定する判定部と、
前記判定部が前記動作条件を満たすと判定した前記取得画像に基づいて、前記地図データを更新する更新用データを生成するデータ生成部と、
を有する地図データ管理装置。
【請求項3】
コンピュータが実行する、
地図データを管理する地図データ管理方法であって、
撮像装置を備える移動体から、当該撮像装置が撮像した撮像画像と、前記移動体が有する部品であって前記撮像装置以外の前記部品の動作状況の履歴とを取得するステップと、
交通状況を示す交通情報を取得するステップと、
取得した前記撮像画像である取得画像に対応する前記地図データにおける所定の範囲に関連付けられている最終更新日から現在までの期間が所定の期間閾値を超えた場合に、前記取得画像が撮像されたときの前記部品の動作状況の条件を示す動作条件と、前記取得画像の撮像環境における交通状況として渋滞が発生してないことを示す交通条件とを、前記取得画像の撮像環境に関する環境条件として取得するステップと、
前記取得画像の撮像環境が前記環境条件を満たすか否かの判定として、取得した前記履歴において前記取得画像が撮像されたときの前記部品の動作状況が前記動作条件を満たすか否かを判定し、かつ、前記交通情報において前記取得画像の撮像環境における交通状況が前記交通条件を満たすか否かを判定する場合において、前記取得画像の撮像環境で渋滞が発生していないことを前記交通情報が示す場合に、前記取得画像の撮像環境における交通状況が前記交通条件を満たすと判定するステップと、
前記動作条件を満たすと判定した前記取得画像に基づいて、前記地図データを更新する更新用データを生成するステップと、
を有する地図データ管理方法。
【請求項4】
地図データを管理するコンピュータを、
撮像装置を備える移動体から、当該撮像装置が撮像した撮像画像と、前記移動体が有する部品であって前記撮像装置以外の前記部品の動作状況の履歴とを取得する画像取得部、
交通状況を示す交通情報を取得する交通情報取得部、
前記画像取得部が取得した前記撮像画像である取得画像に対応する前記地図データにおける所定の範囲に関連付けられている最終更新日から現在までの期間が所定の期間閾値を超えた場合に、前記取得画像が撮像されたときの前記部品の動作状況の条件を示す動作条件と、前記取得画像の撮像環境における交通状況として渋滞が発生してないことを示す交通条件とを、前記取得画像の撮像環境に関する環境条件として取得する条件取得部、
前記取得画像の撮像環境が前記環境条件を満たすか否かの判定として、前記画像取得部が取得した前記履歴において前記取得画像が撮像されたときの前記部品の動作状況が前記動作条件を満たすか否かを判定し、かつ、前記交通情報において前記取得画像の撮像環境における交通状況が前記交通条件を満たすか否かを判定する場合において、前記取得画像の撮像環境で渋滞が発生していないことを前記交通情報が示す場合に、前記取得画像の撮像環境における交通状況が前記交通条件を満たすと判定する判定部、及び
前記判定部が前記動作条件を満たすと判定した前記取得画像に基づいて、前記地図データを更新する更新用データを生成するデータ生成部、
として機能させるためのプログラム。
【請求項5】
コンピュータが実行する、
地図データを管理する地図データ管理方法であって、
前記地図データにおいて、前記地図データにおける所定の範囲に関連付けられている最終更新日から現在までの期間が所定の期間閾値を超えた範囲、又は前記地図データにおける前記所定の範囲に関連付けられている更新回数が所定の回数閾値以下の範囲である要更新範囲が存在する場合に、前記要更新範囲を示す経路を、撮像装置を備える移動体に通知するステップと、
通知された前記経路を通行した前記移動体から、前記撮像装置が撮像した撮像画像と、前記移動体が有する部品であって前記撮像装置以外の前記部品の動作状況の履歴とを取得するステップと、
交通状況を示す交通情報を取得するステップと、
前記撮像画像が撮像されたときの前記部品の動作状況の条件を示す動作条件と、前記撮像画像の撮像環境における交通状況として渋滞が発生してないことを示す交通条件とを、前記撮像画像の撮像環境に関する環境条件として取得するステップと、
前記撮像画像の撮像環境が前記環境条件を満たすか否かの判定として、取得した前記履歴において取得した前記撮像画像である取得画像が撮像されたときの前記部品の動作状況が前記動作条件を満たすか否かを判定し、かつ、前記交通情報において前記取得画像の撮像環境における交通状況が前記交通条件を満たすか否かを判定する場合において、前記取得画像の撮像環境で渋滞が発生していないことを前記交通情報が示す場合に、前記取得画像の撮像環境における交通状況が前記交通条件を満たすと判定するステップと、
前記動作条件を満たすと判定した前記取得画像に基づいて、前記地図データを更新する更新用データを生成するステップと、
を有する地図データ管理装置。
【請求項6】
地図データを管理するコンピュータを、
前記地図データにおいて、前記地図データにおける所定の範囲に関連付けられている最終更新日から現在までの期間が所定の期間閾値を超えた範囲、又は前記地図データにおける前記所定の範囲に関連付けられている更新回数が所定の回数閾値以下の範囲である要更新範囲が存在する場合に、前記要更新範囲を示す経路を、撮像装置を備える移動体に通知する経路管理部、
通知された前記経路を通行した前記移動体から、前記撮像装置が撮像した撮像画像と、前記移動体が有する部品であって前記撮像装置以外の前記部品の動作状況の履歴とを取得する画像取得部、
交通状況を示す交通情報を取得する交通情報取得部、
前記撮像画像が撮像されたときの前記部品の動作状況の条件を示す動作条件と、前記撮像画像の撮像環境における交通状況として渋滞が発生してないことを示す交通条件とを、前記撮像画像の撮像環境に関する環境条件として取得する条件取得部、
前記撮像画像の撮像環境が前記環境条件を満たすか否かの判定として、前記画像取得部が取得した前記履歴において前記画像取得部が取得した前記撮像画像である取得画像が撮像されたときの前記部品の動作状況が前記動作条件を満たすか否かを判定し、かつ、前記交通情報において前記取得画像の撮像環境における交通状況が前記交通条件を満たすか否かを判定する場合において、前記取得画像の撮像環境で渋滞が発生していないことを前記交通情報が示す場合に、前記取得画像の撮像環境における交通状況が前記交通条件を満たすと判定する判定部、及び
前記判定部が前記動作条件を満たすと判定した前記取得画像に基づいて、前記地図データを更新する更新用データを生成するデータ生成部、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図データを管理する地図データ管理装置及び地図データ管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像画像に基づいて地図データを更新する技術が知られている。特許文献1には、地図において画像と同じ位置を有する地図情報(地図データ)と、画像を分析することによって認識した画像中の交通情報とを比較し、比較結果に基づいて地図情報を更新する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-040175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術を用いても、地図データを更新することができない場合があった。例えば、撮像された場所に存在する物体が何らかの理由で遮蔽されることにより画像に映らなかった場合(以下、「オクルージョン」という。)、当該画像から物体を認識することができなくなってしまう。そのため、地図データを更新する場合においては、オクルージョン等が発生する蓋然性が低い環境で撮像された撮像画像、すなわち、地図データの更新に用いることが可能な環境で撮像された撮像画像を選ぶ必要があった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、地図データの更新に用いることが可能な環境で撮像された撮像画像を選択することができる地図データ管理装置及び地図データ管理方法を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る地図データ管理装置は、地図データを管理する地図データ管理装置であって、撮像装置を備える移動体から、当該撮像装置が撮像した撮像画像と、前記移動体が有する部品であって前記撮像装置以外の前記部品の動作状況の履歴とを取得する画像取得部と、前記撮像画像が撮像されたときの前記部品の動作状況の条件を示す動作条件を、前記撮像画像の撮像環境に関する環境条件として取得する条件取得部と、前記画像取得部が取得した前記履歴において前記画像取得部が取得した前記撮像画像である取得画像が撮像されたときの前記部品の動作状況が前記動作条件を満たすか否かを判定する判定部と、前記判定部が前記動作条件を満たすと判定した前記取得画像に基づいて、前記地図データを更新する更新用データを生成するデータ生成部と、を有する。
【0007】
前記条件取得部は、前記取得画像に対応する前記地図データにおける所定の範囲に関連付けられている最終更新日から現在までの期間が所定の期間閾値を超えた場合に、前記撮像画像の撮像環境に関する環境条件を取得してもよい。
【0008】
前記地図データ管理装置は、前記地図データにおいて更新を必要とする要更新範囲が存在する場合に、前記要更新範囲を示す経路を移動体に通知する経路管理部をさらに有してもよいし、前記画像取得部は、通知された前記経路を通行した前記移動体から、前記撮像画像を取得してもよい。
【0009】
本発明の第2の態様に係る地図データ管理方法は、コンピュータが実行する、地図データを管理する地図データ管理方法であって、撮像装置を備える移動体から、当該撮像装置が撮像した撮像画像と、前記移動体が有する部品であって前記撮像装置以外の前記部品の動作状況の履歴とを取得するステップと、前記撮像画像が撮像されたときの前記部品の動作状況の条件を示す動作条件を、前記撮像画像の撮像環境に関する環境条件として取得するステップと、取得した前記履歴において取得した前記撮像画像である取得画像が撮像されたときの前記部品の動作状況が前記動作条件を満たすか否かを判定するステップと、前記動作条件を満たすと判定した前記取得画像に基づいて、前記地図データを更新する更新用データを生成するステップと、を有する。
【0010】
本発明の第3の態様に係るプログラムは、地図データを管理するコンピュータを、撮像装置を備える移動体から、当該撮像装置が撮像した撮像画像と、前記移動体が有する部品であって前記撮像装置以外の前記部品の動作状況の履歴とを取得する画像取得部、前記撮像画像が撮像されたときの前記部品の動作状況の条件を示す動作条件を、前記撮像画像の撮像環境に関する環境条件として取得する条件取得部、前記画像取得部が取得した前記履歴において前記画像取得部が取得した前記撮像画像である取得画像が撮像されたときの前記部品の動作状況が前記動作条件を満たすか否かを判定する判定部、及び前記判定部が前記動作条件を満たすと判定した前記取得画像に基づいて、前記地図データを更新する更新用データを生成するデータ生成部、として機能させる。
【0011】
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、一例として地図データの更新に用いることが可能な環境で撮像された撮像画像を選択することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施の形態において前提となる地図データ管理システムの概要を説明するための図である。
図2】本実施の形態における地図データ管理システムの概要を説明するための図である。
図3】地図データ管理装置の構成を示す図である。
図4】記憶部に記憶されている環境条件の一覧を模式的に表した図である。
図5】オクルージョンを模式的に表した図である。
図6】地図データ管理装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[本実施の形態において前提となる地図データ管理システムSの概要]
図1は、本実施の形態において前提となる地図データ管理システムSの概要を説明するための図である。地図データ管理システムSは、移動体Vが備える撮像装置Cによって撮像された撮像画像を用いて、地図データを更新するための更新用データを生成するシステムである。地図データ管理システムSは、移動体端末1と、地図データ管理装置2とを有する。
【0015】
移動体端末1は、移動体Vが備える端末であり、例えば、モバイル端末(スマートフォン又はタブレット等)又はカーナビゲーション等である。移動体端末1は、GPS受信機を備え、所定の間隔で自身の位置、すなわち移動体Vの位置を測定する。移動体端末1は、例えば、移動体Vの位置を測定するごとに、移動体Vの位置を示す位置座標と当該位置を測定した測定日時とを含む位置情報を地図データ管理装置2に送信する。
【0016】
移動体Vは、車両であり、例えば、旅客又は貨物を輸送する輸送サービスを提供するために用いられる車両(例えばタクシー又は配送車等)である。移動体Vは、車両に限らず、例えば、電車、飛行機、船舶、ドローン、人間又は動物等であってもよい。上述のとおり、移動体Vは、撮像装置Cを備える。撮像装置Cは、例えば、カメラ、カメラ機能付きのモバイル端末又はドライブレコーダ等である。撮像装置Cは、移動体Vと一体型の装置であってもよいし、後付けの装置であってもよい。
【0017】
移動体端末1は、撮像装置Cと電気的に接続されており、撮像装置Cが撮像した撮像画像を取得する。撮像画像は、例えば動画像である。例えば、移動体Vが輸送サービスを提供する時間帯が日中である場合、移動体端末1は、日中に撮像装置Cに撮像画像を撮像させ、撮像された撮像画像を夜間に地図データ管理装置2に送信する。なお、移動体端末1と撮像装置Cとは、同一の機器であってもよい。
【0018】
地図データ管理装置2は、地図データを管理する装置であり、例えばサーバである。地図データは、例えば、カーナビゲーションにおいて移動体Vの周辺地図を提示したり、目的地までの経路を案内したりするためのデータであり、物体の種類、物体の形状及び物体の位置等を含む。地図データとして管理する物体は、例えば、道路、路面標示、道路標識及び建物等である。地図データ管理装置2は、移動体端末1から取得した複数の位置情報を、移動体Vの通行経路として管理する。
【0019】
図1に示す例において、まず、移動体端末1は、撮像装置Cが撮像した撮像画像を地図データ管理装置2に送信する(図1の(1))。地図データ管理装置2は、移動体端末1から取得した撮像画像に対して物体認識処理を実行する(図1の(2))。具体的には、地図データ管理装置2は、移動体端末1から取得した撮像画像に存在する物体を認識する。
【0020】
続いて、地図データ管理装置2は、空間データ生成処理を実行する(図1の(3))。具体的には、地図データ管理装置2は、撮像画像から認識した物体に関する情報に基づいて、3次元の空間データを生成する。続いて、地図データ管理装置2は、マップマッチング処理を実行する(図1の(4))。具体的には、地図データ管理装置2は、移動体Vの通行経路と撮像画像の撮像日時とに基づいて、空間データ生成処理を実行することによって生成した空間データに含まれる物体の地図データにおける位置を特定する。
【0021】
続いて、地図データ管理装置2は、差分判定処理を実行する(図1の(5))。具体的には、地図データ管理装置2は、マップマッチング処理を実行することにより特定した地図データにおける位置において、空間データと地図データとに差分があるか否かを判定する。
【0022】
そして、地図データ管理装置2は、更新用データ生成処理を実行する(図1の(6))。具体的には、地図データ管理装置2は、差分判定処理を実行することにより判定した結果に基づいて、地図データを更新するための更新用データを生成する。更新用データは、例えば、新規の物体を追加したり、位置が変わった物体の位置を変更したり、存在しなくなった物体を削除したりするためのデータである。
【0023】
このようにして、地図データ管理装置2は、撮像画像に基づいて更新用データを生成する。その後、地図データ管理装置2は、更新用データを用いて地図データを更新する。
【0024】
[本実施の形態における地図データ管理システムS1の概要]
図2は、本実施の形態における地図データ管理システムS1の概要を説明するための図である。地図データ管理システムS1は、地図データの更新に用いることが可能な撮像画像に基づいて更新用データを生成するシステムである。
【0025】
図2に示す例において、まず、移動体端末1は、撮像装置Cが撮像した撮像画像を地図データ管理装置2に送信する(図2の(1))。地図データ管理装置2は、移動体端末1から撮像画像を取得する。
【0026】
地図データ管理装置2は、撮像画像の撮像環境に関する環境条件を取得する(図2の(2))。環境条件は、例えば、地図データの更新に用いることが可能な環境で撮像された撮像画像、すなわち、地図データとして管理する物体が写っている蓋然性が高い撮像画像を選択するための条件である。
【0027】
地図データ管理装置2は、移動体端末1から取得した撮像画像の撮像環境が環境条件を満たすか否かを判定する(図2の(3))。そして、地図データ管理装置2は、撮像環境が環境条件を満たすと判定した撮像画像に基づいて、更新用データを生成する(図2の(4))。このようにすることで、地図データ管理システムS1は、地図データの更新に用いることが可能な環境で撮像された撮像画像を選択することができる。
以下、地図データ管理装置2の構成について説明する。
【0028】
[地図データ管理装置2の構成]
図3は、地図データ管理装置2の構成を示す図である。地図データ管理装置2は、通信部21と、記憶部22と、制御部23とを有する。通信部21は、ネットワークに接続するためのインターフェイスであり、例えばLAN(Local Area Network)コントローラを含んで構成されている。
【0029】
記憶部22は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びハードディスク等の記憶媒体である。記憶部22は、制御部23が実行するプログラムを記憶している。記憶部22は、地図データを記憶している。また、記憶部22は、環境条件を記憶している。
【0030】
図4は、記憶部22に記憶されている環境条件の一覧を模式的に表した図である。図4に示すように、環境条件には、条件種別ごとに条件内容が設定されている。条件種別は、環境条件の種類を示す。条件内容は、例えば、地図データとして管理する物体が写っている蓋然性が高い撮像画像であるか否かを判定するために設定された内容を示す。
【0031】
図4に示すように、条件種別には、遮蔽条件、交通条件、天候条件、動作条件及び信頼条件が含まれる。遮蔽条件は、撮像画像全体のサイズに対する遮蔽物体の大きさの割合の条件を示す。遮蔽物体は、例えば、人間及び車両等の動的な物体(移動体)である。記憶部22には、例えば、遮蔽条件の条件内容として、撮像画面全体のサイズに対して許容される遮蔽物体の大きさの割合が記憶されている。
【0032】
交通条件は、撮像画像の撮像環境における交通状況の条件を示す。記憶部22には、例えば、交通条件の条件内容として、渋滞の有無が記憶されている。交通条件は、例えば、渋滞の長さの限界値であってもよい。
【0033】
天候条件は、撮像画像の撮像環境における天候状況の条件を示す。記憶部22には、例えば、天候条件の条件内容として、悪天候であるか否か(降雨又は降雪の有無)、及び逆光であるか否かが記憶されている。天候条件は、例えば、1時間当たりの降雨量又は1時間当たりの積雪量の限界値であってもよい。
【0034】
動作条件は、撮像時における移動体Vの動作状況の条件を示す。記憶部22には、例えば、動作条件の条件内容として、ワイパーの動作の有無、及びヘッドライトの灯火の有無が記憶されている。
【0035】
信頼条件は、撮像画像から物体が認識されたときの物体の信頼度の条件を示す。記憶部22には、例えば、信頼条件の条件内容として、物体認識処理の実行結果として出力される物体の信頼度の限界値が記憶されている。
【0036】
図3に戻り、制御部23は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。制御部23は、記憶部22に記憶されたプログラムを実行することにより、取得部231、条件取得部232、判定部233、画像処理部234及びデータ生成部235として機能する。
【0037】
取得部231は、通信部21を介して、撮像装置Cを備える移動体Vから、当該撮像装置Cが撮像した撮像画像を取得する画像取得部として機能する。具体的には、取得部231は、通信部21を介して、移動体Vが備える移動体端末1から、当該移動体Vが備える撮像装置Cによって撮像された撮像画像を取得する。
【0038】
条件取得部232は、記憶部22に記憶されている環境条件を取得する。条件取得部232は、記憶部22に記憶されている複数の環境条件のうちの一部の環境条件を取得してもよいし、記憶部22に記憶されている複数の環境条件すべてを取得してもよい。条件取得部232は、例えば、取得部231が撮像画像を取得したときに環境条件を示す情報を取得する。
【0039】
判定部233は、取得部231が取得した撮像画像である取得画像が地図データの更新に用いることが可能な環境で撮像された撮像画像であるか否かを判定する。具体的には、判定部233は、取得画像の撮像環境が条件取得部232によって取得された環境条件を満たすか否かを判定する。より具体的には、判定部233は、取得画像の撮像環境が、条件取得部232によって取得された環境条件に含まれる条件内容を満たすか否かを判定する。判定部233が行う判定処理の詳細については後述する。
【0040】
判定部233は、撮像環境が環境条件を満たすと判定した取得画像に基づいて、画像処理部234に画像処理を実行させる。具体的には、画像処理部234は、物体認識処理を実行する認識部、空間データ生成処理を実行する空間データ生成部、マップマッチング処理を実行する対応付部及び差分判定処理を実行する差分判定部として機能し、各処理を実行することにより画像処理を実行する。画像処理部234は、例えば、公知の技術を用いて、画像処理を実行することができる。
【0041】
データ生成部235は、判定部233が環境条件を満たすと判定した取得画像に基づいて、地図データを更新する更新用データを生成する。具体的には、データ生成部235は、画像処理部234が画像処理を実行した結果に基づいて、地図データを更新する更新用データを生成する。より具体的には、データ生成部235は、画像処理部234が空間データ生成処理を実行することにより生成した空間データと地図データとにおいて差分があると判定した取得画像に基づいて、地図データを更新する更新用データを生成する。
【0042】
[判定処理]
上述のとおり、判定部233は、図4に示す記憶部22に記憶されている複数の環境条件(遮蔽条件、交通条件、天候条件及び動作条件)のうちの少なくとも一部の環境条件に基づいて、取得画像が地図データの更新に用いることが可能な環境で撮像された撮像画像であるか否かを判定する。以下、各環境条件に対する判定処理について説明する。
【0043】
(遮蔽条件)
図5は、オクルージョンを模式的に表した図である。図5(a)、(b)は、同一の場所で撮像された撮像画像である。図5(a)に示す撮像画像には、地図データの管理対象である物体として、信号機T1、横断歩道T2及び停止線T3が写っている。図5(b)に示す撮像画像には、前景にトラックMが写っており、信号機T1、横断歩道T2及び停止線T3が隠れている。画像処理部234が、図5(b)に示すような撮像画像を用いて物体認識処理を実行した場合、地図データの管理対象である物体(信号機T1、横断歩道T2及び停止線T3)を認識できない可能性がある。そこで、判定部233は、撮像画像全体のサイズに対する遮蔽物体の大きさの割合の条件を示す遮蔽条件に基づいて、取得画像が地図データの更新に用いることが可能な環境で撮像された撮像画像であるか否かを判定してもよい。
【0044】
具体的には、まず、条件取得部232は、記憶部22に記憶されている遮蔽条件を環境条件として取得する。そして、判定部233は、取得画像全体のサイズに対する当該取得画像に存在する遮蔽物体の大きさの割合が遮蔽条件を満たすか否かを判定する。
【0045】
判定部233は、例えば、取得画像全体のサイズに対する当該取得画像に存在する遮蔽物体の大きさの割合が遮蔽条件の条件内容が示す値以下(限界値以下)である場合、取得画像の撮像環境が環境条件を満たすと判定する。一方、判定部233は、取得画像全体のサイズに対する当該取得画像に存在する遮蔽物体の大きさの割合が遮蔽条件の条件内容が示す値を超える場合、取得画像の撮像環境が環境条件を満たさないと判定する。
【0046】
判定部233は、例えば、撮像装置Cが物体を認識した結果(例えば、撮像画像における動的な物体の大きさ)を用いて、取得画像全体のサイズに対する当該取得画像に存在する遮蔽物体の大きさの割合を算出してもよい。例えば、撮像装置Cには、撮像画像を撮像しながら物体を認識する物体認識機能が備えられており、取得部231が、撮像画像とともに、物体を認識した結果である物体に関する情報(例えば、物体の種類、撮像画像における物体の大きさ等)を移動体端末1から取得してもよい。
【0047】
また、判定部233は、例えば、画像処理部234が物体認識処理を実行することによって認識した結果(例えば、取得画像における動的な物体の大きさ)を用いて、取得画像全体のサイズに対する当該取得画像に存在する遮蔽物体の大きさの割合を算出してもよい。このようにすることで、地図データ管理装置2は、地図データの管理対象である物体に対してオクルージョンが発生する蓋然性が低い取得画像を選択することができる。
【0048】
(交通条件)
例えば、移動体Vが通行する経路において渋滞が発生すると、前方を通行する他の移動体Vとの間隔が短くなり得る。このような撮像環境においては、他の移動体Vが撮像画像に大きく映りこむことにより、オクルージョンが発生する蓋然性が高くなる。そこで、判定部233は、撮像画像の撮像環境における交通状況の条件を示す交通条件に基づいて、地図データの管理対象である物体に対してオクルージョンが発生する蓋然性が高い環境であるか否かを判定してもよい。
【0049】
この場合、取得部231は、交通状況を示す交通情報を取得する交通情報取得部としてさらに機能してもよい。交通情報には、例えば、渋滞の有無を示す情報が含まれている。取得部231は、例えば、交通情報を提供する外部のサービス(例えばVICS(登録商標)センター)から交通情報を取得してもよい。
【0050】
この場合において、まず、条件取得部232は、記憶部22に記憶されている交通条件を環境条件として取得する。そして、判定部233は、取得部231によって取得された交通情報において取得画像の撮像環境における交通状況が交通条件を満たすか否かを判定する。なお、判定部233は、取得画像が取得された移動体Vに対応する複数の位置情報それぞれに含まれる位置座標と測定日時とに基づいて移動体Vの移動速度を算出し、算出した移動体Vの移動速度に基づいて、取得画像の撮像環境における交通状況が交通条件を満たすか否かを判定してもよい。
【0051】
判定部233は、例えば、遮蔽条件の条件内容(例えば交通状況が渋滞無しであること)を満たす場合、すなわち、取得部231によって取得された交通情報において取得画像の撮像環境で渋滞が発生しなかったことを示す場合、取得画像の撮像環境が環境条件を満たすと判定する。一方、判定部233は、遮蔽条件の条件内容を満たさない場合、すなわち、取得部231によって取得された交通情報において取得画像の撮像環境で渋滞が発生したことを示す場合、取得画像の撮像環境が環境条件を満たさないと判定する。このようにすることで、地図データ管理装置2は、オクルージョンが発生する蓋然性が低い取得画像を選択することができる。
【0052】
(天候条件)
例えば、撮像時の天候状況が雨又は雪等の悪天候である場合、物体認識処理において当該物体を認識する精度が低くなり得る。そこで、判定部233は、撮像画像の撮像環境における天候状況の条件を示す天候条件に基づいて、取得画像が地図データの更新に用いることが可能な環境で撮像された撮像画像であるか否かを判定してもよい。この場合、取得部231は、過去の天気状況を提供する外部のサービスから、天気状況を示す天気情報を取得する天気情報取得部としてさらに機能してもよい。
【0053】
この場合において、まず、条件取得部232は、記憶部22に記憶されている天候条件を環境条件として取得する。そして、判定部233は、取得部231によって取得された天気情報において取得画像の撮像環境における天候状況が天候条件を満たすか否かを判定してもよい。
【0054】
判定部233は、例えば、天候条件の条件内容(例えば天候状況が晴れ又は曇りであること)を満たす場合、すなわち、取得部231によって取得された天気情報において取得画像が取得されたときの天候状況が晴れ又は曇りであることを示す場合、取得画像の撮像環境が環境条件を満たすと判定する。一方、判定部233は、天候条件の条件内容を満たさない場合、すなわち、取得部231によって取得された天気情報において取得画像が取得されたときの天候状況が雨又は雪であることを示す場合、取得画像の撮像環境が環境条件を満たさないと判定する。
【0055】
なお、天候状況は、雨又は雪等の悪天候だけに限らない。例えば、天候状況が晴れであっても、逆光の状況で撮像装置Cが撮像した場合、撮像画像が白飛びしたり、撮像画像全体が暗くなったりすることにより、物体認識処理において物体を認識する精度が低くなり得る。そこで、判定部233は、取得画像が撮像されたときの天候状況が逆光ではないことを示す天候条件に基づいて、取得画像が地図データの更新に用いることが可能な環境で撮像された撮像画像であるか否かを判定してもよい。
【0056】
判定部233は、例えば、移動体Vの通行経路によって特定される移動体Vの進行方向(撮像装置Cの向き)と、取得画像が撮像された日時における太陽の傾きとに基づいて、取得画像が取得されたときの天候状況が逆光であるか否かを判定してもよい。このように、地図データ管理装置2は、天候条件を満たす撮像環境で撮像された取得画像を選択することにより、物体認識処理において物体を認識する精度を向上させることができる。
【0057】
(動作条件)
例えば、移動体Vが備えるワイパーが稼働した状態で撮像されると、ワイパーが物体を遮蔽する蓋然性が高くなる。また、移動体Vが備えるヘッドライトが灯火された状態で撮像されると、撮像画像全体が暗くなり得る。画像処理部234が、このような移動体Vの動作状況で撮像された取得画像を用いて物体認識処理を実行した場合、物体を認識する精度が低くなり得る。そこで、判定部233は、撮像時における移動体Vの動作状況の条件を示す動作条件に基づいて、取得画像が地図データの更新に用いることが可能な環境で撮像された撮像画像であるか否かを判定してもよい。この場合、取得部231は、撮像画像とともに移動体Vの動作状況の履歴を示す情報(例えばCAN(Controller Area Network)データ)を移動体端末1から取得してもよい。
【0058】
この場合において、まず、条件取得部232は、記憶部22に記憶されている動作条件を環境条件として取得する。そして、判定部233は、取得部231によって取得されたCANデータにおいて取得画像が撮像されたときの移動体Vの動作状況が動作条件を満たすか否かを判定する。
【0059】
判定部233は、例えば、動作条件の条件内容(例えば、ワイパーが稼働していないこと及びヘッドライトが灯火していないこと)を満たす場合、すなわち、取得部231によって取得されたCANデータにおいて取得画像が撮像されたときに移動体Vのヘッドライトが点灯しておらず、かつワイパーが稼働していなかったことを示す場合、取得画像の撮像環境が環境条件を満たすと判定する。一方、判定部233は、動作条件の条件内容を満たさない場合、すなわち、取得部231によって取得されたCANデータにおいて取得画像が撮像されたときに移動体Vのヘッドライトが点灯していたり、ワイパーが稼働していたりしたことを示す場合、取得画像の撮像環境が環境条件を満たさないと判定する。このように、地図データ管理装置2は、動作条件を満たす撮像環境で撮像された取得画像を選択することにより、物体認識処理において物体を認識する精度を向上させることができる。
【0060】
(処理結果条件)
判定部233は、画像処理部234が画像処理に含まれる各処理を実行した結果の条件を示す処理結果条件に基づいて、取得画像の撮像環境が環境条件を満たすか否かを判定してもよい。判定部233は、例えば、撮像画像から物体が認識されたときの物体の信頼度の条件を示す信頼条件を処理結果条件として、取得画像が地図データの更新に用いることが可能な環境で撮像された撮像画像であるか否かを判定してもよい。この場合、画像処理部234は、取得画像に存在する物体を認識した結果として、取得画像に存在する物体を認識したときの信頼度(例えば100段階の数値)を出力してもよい。
【0061】
この場合において、まず、条件取得部232は、記憶部22に記憶されている処理結果条件を環境条件として取得する。そして、判定部233は、画像処理部234が取得画像から物体を認識したときの物体の信頼度が処理結果条件(信頼条件)を満たすか否かを判定する。
【0062】
判定部233は、例えば、画像処理部234が取得画像から物体を認識したときの信頼度が記憶部22に記憶されている処理結果条件の条件内容が示す値(限界値)を超える場合、取得画像の撮像環境が環境条件を満たすと判定する。一方、判定部233は、画像処理部234が取得画像から物体を認識したときの信頼度が記憶部22に記憶されている処理結果条件の条件内容が示す値以下である場合、取得画像の撮像環境が環境条件を満たさないと判定する。このようにすることで、地図データ管理装置2は、物体認識処理の後に実行する空間データ生成処理をはじめとする各処理の精度を向上させることができる。
【0063】
(その他)
交通量が少ない経路においては、地図データ管理装置2が当該経路の撮像画像を取得する頻度が低くなり得る。例えば、地図データ管理装置2は、交通量が少ない経路の撮像画像を取得した場合において、当該撮像画像が上述の交通条件をはじめとする環境条件を満たさなかった場合、地図データにおいて当該経路に対応する範囲を更新する更新用データを生成することができない。その結果、交通量が多い通路に対応する地図データの範囲と、交通量が少ない通路に対応する地図データの範囲とにおける更新頻度の差が大きくなり得る。そこで、条件取得部232は、地図データにおける所定の範囲の更新状況に基づいて、環境条件を取得してもよい。
【0064】
例えば、地図データには、所定の範囲(例えば、第1交差点から第1交差点の次の交差点である第2交差点までの区間)ごとに、当該所定の範囲の更新状況を示す日付データが関連付けられている。日付データには、物体認識処理をはじめとする画像処理が実行された日付である更新日が含まれており、例えば、過去に画像処理が実行された回数分の更新日が含まれている。この場合において、条件取得部232は、取得部231が取得した撮像画像に基づいて画像処理部234がマップマッチング処理を実行した後に、当該撮像画像に対応する地図データにおける所定の範囲に関連付けられている日付データに基づいて、環境条件を取得してもよい。
【0065】
条件取得部232は、例えば、撮像画像に対応する地図データにおける所定の範囲に関連付けられている日付データに含まれる最終更新日から現在までの期間が所定の期間閾値を超えた場合に、記憶部22に記憶されている環境条件を取得してもよい。また、条件取得部232は、例えば、撮像画像に対応する地図データにおける所定の範囲に関連付けられている日付データに含まれる更新日の数によって示される更新回数が所定の回数閾値以下である場合に、記憶部22に記憶されている環境条件を取得してもよい。このようにすることで、地図データ管理装置2は、交通量が多い通路に対応する地図データの範囲と、交通量が少ない通路に対応する地図データの範囲とにおける更新頻度の差を小さくすることができる。
【0066】
なお、地図データ管理装置2は、地図データにおいて更新を必要とする所定の範囲である要更新範囲(例えば、最終更新日から現在までの期間が所定の期間閾値を超えた所定の範囲、又は更新回数が所定の回数閾値以下である所定の範囲等)が存在する場合、移動体Vに要更新範囲を通行させてもよい。この場合、制御部23は、要更新範囲を示す経路を移動体端末1に通知する不図示の経路管理部をさらに有してもよい。
【0067】
例えば、まず、移動体Vのドライバーが移動体端末1において目的地までの経路を検索する操作をした場合、経路管理部は、通信部21を介して、移動体端末1から移動体Vの現在位置を示す位置情報とドライバーが入力した目的地を示す情報とを取得する。そして、経路管理部は、移動体Vの現在位置から目的地までの経路であって、要更新範囲を含む経路を移動体端末1に通知することにより、要更新範囲を通行する経路を移動体Vに提示する。
【0068】
経路管理部は、例えば、要更新範囲を示す経路を移動体端末1に通知することにより、移動体Vに更新範囲の通行を要求してもよい。要更新範囲を示す経路を通知された移動体端末1は、当該経路を通行した場合、撮像画像とともに、当該撮像画像が、要求された撮像画像であることを示す応答情報を地図データ管理装置2に送信してもよい。その後、データ生成部235は、取得部231が応答情報とともに取得した撮像画像に基づいて更新用データを生成してもよい。このように、移動体Vに要更新範囲を通行させることにより、地図データ管理装置2は、地図データを最新の状態にすること、すなわち、地図データとして管理する仮想空間と現実空間との乖離が生じ得る期間を短くすることができる。
【0069】
[地図データ管理装置2の処理]
続いて、地図データ管理装置2の処理の流れについて説明する。図6は、地図データ管理装置2の処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートは、取得部231が、通信部21を介して、移動体Vが備える移動体端末1から、当該移動体Vが備える撮像装置Cが撮像した撮像画像を取得したことを契機として開始する(S1)。
【0070】
条件取得部232は、撮像画像の撮像環境に関する環境条件を取得する(S2)。条件取得部232は、例えば、記憶部22に記憶されている環境条件を示す情報を取得する。判定部233は、取得画像の撮像環境が条件取得部232によって取得された環境条件を満たすか否かを判定する(S3)。
【0071】
判定部233は、取得画像の撮像環境が条件取得部232によって取得された環境条件を満たさないと判定した場合(S3においてNOの場合)、処理を終了する。一方、判定部233が、取得画像の撮像環境が条件取得部232によって取得された環境条件を満たすと判定した場合(S3においてYESの場合)、画像処理部234は、判定部233が環境条件を満たすと判定した取得画像に基づいて画像処理を実行する(S4)。
【0072】
そして、データ生成部235は、判定部233が環境条件を満たすと判定した取得画像に基づいて、地図データを更新する更新用データを生成する(S5)。具体的には、データ生成部235は、画像処理部234が画像処理を実行した結果に基づいて、地図データを更新する更新用データを生成する。
【0073】
[本実施の形態における効果]
以上説明したとおり、地図データ管理システムS1は、移動体Vが備える撮像装置Cによって撮像された撮像画像の撮像環境が環境条件を満たすか否かを判定し、撮像環境が環境条件を満たすと判定した撮像画像に基づいて更新用データを生成する。このようにすることで、地図データ管理システムS1は、地図データの更新に用いることが可能な環境で撮像された撮像画像を選択することができる。
【0074】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0075】
1 移動体端末
2 地図データ管理装置
21 通信部
22 記憶部
23 制御部
231 取得部
232 条件取得部
233 判定部
234 画像処理部
235 データ生成部
C 撮像装置
S 地図データ管理システム
V 移動体
図1
図2
図3
図4
図5
図6