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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-11
(45)【発行日】2024-12-19
(54)【発明の名称】電池パック保護システム及び車両
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/04 20190101AFI20241212BHJP
   H01M 50/242 20210101ALI20241212BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20241212BHJP
   H01M 50/271 20210101ALI20241212BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
H01M50/242
H01M50/204 401D
H01M50/271 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023535647
(86)(22)【出願日】2021-05-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-20
(86)【国際出願番号】 CN2021093198
(87)【国際公開番号】W WO2022134432
(87)【国際公開日】2022-06-30
【審査請求日】2023-06-12
(31)【優先権主張番号】202023169035.8
(32)【優先日】2020-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BYD Company Limited
【住所又は居所原語表記】No. 3009, BYD Road, Pingshan, Shenzhen, Guangdong 518118, P. R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【弁理士】
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】万▲龍▼
(72)【発明者】
【氏名】▲魯▼志佩
(72)【発明者】
【氏名】彭青波
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼磊
【審査官】中川 隆司
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-083599(JP,A)
【文献】国際公開第2016/143399(WO,A1)
【文献】独国特許出願公開第102019207435(DE,A1)
【文献】特開2017-076491(JP,A)
【文献】中国実用新案第209169232(CN,U)
【文献】特開2020-045052(JP,A)
【文献】特開2016-011859(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0361855(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03249737(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/04
H01M 50/242
H01M 50/204
H01M 50/271
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池パック保護システムであって、
ケース及び電池モジュールを含む電池パックであって、前記ケースが上部カバー及びトレイを含み、前記上部カバーが前記トレイを封止することに適し、前記トレイがフレーム及び底板を含み、前記電池モジュールが前記底板上に配置されている電池パックと、
前記底板に平行に配置されるとともに前記底板の一側に近接し、かつ前記フレームに取り外し可能に接続される保護板と、
前記保護板上に配置され、前記保護板が外部衝撃を受ける時の衝撃力の大きさを検出する少なくとも1つのセンサとを含み、
前記電池パック保護システムは車両に取り付けられ、
前記保護板上の前記車両の先端側半分に配置される前記センサの数は、前記保護板上の前記車両の後端側半分に配置される前記センサの数よりも多い、ことを特徴とする電池パック保護システム。
【請求項2】
前記底板と前記フレームは、一体成形され、前記保護板と前記フレームは、ボルト又はリベットにより接続される、ことを特徴とする請求項1に記載の電池パック保護システム。
【請求項3】
前記保護板の前記トレイに近接する側に凹溝孔が設けられ、前記センサが前記凹溝孔内に取り付けられる、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電池パック保護システム。
【請求項4】
前記センサは、複数であり、複数の前記センサは、前記保護板に分散して分布する、ことを特徴とする請求項1に記載の電池パック保護システム。
【請求項5】
前記センサは、前記保護板の同じ側に設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載の電池パック保護システム。
【請求項6】
コネクタと、車両制御ユニットとをさらに含み、
前記コネクタは、前記センサと前記車両制御ユニットとを接続し、前記車両制御ユニットは、前記センサにより検出された情報に基づいて、前記電池パックが位置する車両の運転又は保守を制御することを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の電池パック保護システム。
【請求項7】
前記車両制御ユニットは、前記センサから伝送された第1検出情報を受信した場合、前記車両を正常に走行させるように制御し、
前記車両制御ユニットは、さらに、前記センサから伝送された第2検出情報を受信した場合、前記車両の乗員に、所定の時間又は所定の車両走行距離内に前記保護板及び/又は前記電池パックに検出保守を行うことを提示し、
前記車両制御ユニットは、さらに、前記センサから伝送された第3検出情報を受信した場合、前記車両の乗員に、直ちに駐車して前記保護板及び/又は前記電池パックに点検保守又は交換を行うことを提示する、ことを特徴とする請求項6に記載の電池パック保護システム。
【請求項8】
前記センサは、複数の抵抗ひずみゲージを直列接続するか又は並列接続して構成され、
前記第1検出情報は、前記センサにより検出された電圧値が所定の安全閾値以下であることであり、
前記第2検出情報は、前記センサにより検出された電圧値が前記所定の安全閾値よりも大きく、所定の危険閾値以下であることであり、前記所定の安全閾値は、前記所定の危険閾値よりも小さく、
前記第3検出情報は、前記センサにより検出された電圧値が前記所定の危険閾値よりも大きいことである、ことを特徴とする請求項7に記載の電池パック保護システム。
【請求項9】
前記フレーム上に少なくとも1つの検出器が配置され、前記検出器は、電池パックの内部のセル間又は電池モジュール間の内部作用力を検出する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電池パック保護システム。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の電池パック保護システムを含む、ことを特徴とする車両。
【請求項11】
前記センサは、第1センサ、第2センサ、第3センサ及び第4センサを含み、前記第1センサ及び第2センサは、車両の先端に近接する保護板の両側に設けられ、前記第3センサは、保護板の中間位置に設けられ、前記第4センサは、車両のテールに近接する保護板に設けられる、ことを特徴とする請求項10に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2020年12月23日に中国国家知識産権局に提出された、出願番号が202023169035.8で、出願名称が「電池パック保護システム及び車両」である中国特許出願の優先権を主張するものであり、その全ての内容は参照により本願に組み込まれるものとする。
【0002】
本発明は、新エネルギー車両の技術分野に属し、特に電池パック保護システム及び車両に関する。
【背景技術】
【0003】
現在の新エネルギー自動車は、高速に増加し続け、動力電池は、新エネルギー自動車のコアアセンブリ部品として、その安全性及び信頼性が車両の安全性及び信頼性に直接的に関連し、車両使用者の使用安全にも直接的に影響を与える。
【0004】
新エネルギー自動車にとって、動力電池パックは、一般的に車両のシャーシの下に配置され、自動車は、走行過程で路面上の石又はレンガを押さえて走行すると、石又はレンガが飛散するか又は自動車を衝撃するとき、坂を上ると、底板に衝突するとき、減速帯を通過するとき、縁石に衝突するときなど、いずれも動力電池パックの底部の衝突損傷をもたらし、さらに発火又は爆発などの重大な事故が発生する可能性がある。
【0005】
動力電池パックは、車両の底部に大面積に露出し、長期の走行過程で引掛り及び衝撃を受けやすく、かつこのような衝撃が電池パックの底部で発生し、気づきにくく、高い隠蔽性を有する。タイムリーに検出し発見して効果的に制御することができなければ、電池パックを一定の時間使用すると、発火又は爆発などの重大な事故が発生する可能性がある。どのようにタイムリーに発見して効果的な措置を取って電池パックの使用の安全性を確保するかは、緊急に解決する必要がある重大な技術的難題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする技術的課題は、電池パックの底部が受けた衝撃を可能な限り早く発見して、タイムリーに修理、保守又は交換することにより、電池パックの能動安全性を向上させ、これに基づいて、電池パック保護システム及び車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記技術的課題を解決するために、一態様では、本発明の実施例に係る電池パック保護システムは、
ケース及び電池モジュールを含む電池パックであって、前記ケースが上部カバー及びトレイを含み、前記上部カバーが前記トレイを封止することに適し、前記トレイがフレーム及び底板を含み、前記電池モジュールが前記底板に設けられる電池パックと、
前記底板に平行に設けられるとともに前記底板の一側に近接し、かつ前記フレームに取り外し可能に接続される保護板と、前記保護板に設けられ、前記保護板が外部衝撃を受ける時の衝撃力の大きさを検出する少なくとも1つのセンサとを含む。
【0008】
好ましくは、前記底板と前記フレームは、一体成形され、前記保護板と前記フレームは、ボルト又はリベットにより接続される。
【0009】
好ましくは、前記保護板の前記トレイに近接する側に凹溝孔が設けられ、前記センサが前記凹溝孔内に取り付けられる。
【0010】
好ましくは、前記センサは、複数であり、複数の前記センサは、前記保護板に分散して分布する。
【0011】
好ましくは、前記センサは、前記保護板の同じ側に設けられる。
【0012】
好ましくは、電池パック保護システムは、コネクタ及び車両制御ユニットをさらに含み、前記コネクタは、前記車両制御ユニット及び前記センサを接続し、前記車両制御ユニットは、前記センサにより検出された情報に基づいて、前記電池パックが所在する車両の運転又は保守を制御する。
【0013】
好ましくは、前記車両制御ユニットは、前記センサから伝送された第1検出情報を受信した場合、前記車両を正常に走行させるように制御し、前記車両制御ユニットは、さらに、前記センサから伝送された第2検出情報を受信した場合、前記車両の乗員に、所定の時間又は所定の車両走行距離内に前記保護板及び/又は前記電池パックに検出保守を行うことを提示し、前記車両制御ユニットは、さらに、前記センサから伝送された第3検出情報を受信した場合、前記車両の乗員に、直ちに駐車して前記保護板及び/又は前記電池パックに点検保守又は交換を行うことを提示する。
【0014】
好ましくは、前記センサは、複数の抵抗ひずみゲージを直列接続するか又は並列接続して構成され、前記第1検出情報は、前記センサにより検出された電圧値が所定の安全閾値以下であることであり、前記第2検出情報は、前記センサにより検出された電圧値が前記所定の安全閾値よりも大きく、所定の危険閾値以下であることであり、前記所定の安全閾値は、前記所定の危険閾値よりも小さく、前記第3検出情報は、前記センサにより検出された電圧値が前記所定の危険閾値よりも大きいことである。
【0015】
好ましくは、前記フレームに少なくとも1つの検出器が設けられ、前記検出器は、電池パックの内部のセル間又は電池モジュール間の内部作用力を検出する。
【0016】
本発明の実施例に係る電池パック保護システムによれば、電池パックの底板に取り外し可能に接続された保護板を設けることにより、電池パックの底部が衝突を受けるときに電池パックを直接的に損傷させることから電池パックを保護することができ、さらに、保護板にセンサを設け、センサによって保護板が衝撃などを受ける時の外部作用力の大きさを感知することにより、保護板及び電池パックの損傷程度を把握し、保護板が小さな損傷を受けるとき、電池パックを取り外すか又は交換することなく、保護板を迅速に取り外して検出又は保守を行うことができ、検出し修理しやすく、修理時間及び修理コストを低減する。
【0017】
他の態様では、本発明の実施例に係る車両は、上記電池パック保護システムを含む。
【0018】
好ましくは、前記センサは、前記車両の先端に近接する方向に設けられる。
【0019】
好ましくは、前記センサは、第1センサ、第2センサ、第3センサ及び第4センサを含み、前記第1センサ及び第2センサは、車両の先端に近接する保護板の両側に設けられ、前記第3センサは、保護板の中間位置に設けられ、前記第4センサは、車両のテールに近接する保護板に設けられる。
【発明の効果】
【0020】
本願の実施例の車両によれば、車両は、電池パック保護システムを含み、車両の衝突などの外部作用力をよりよく監視し、電池システムの損傷程度を迅速かつ容易に検出することができる。衝撃を受けやすい位置にセンサを合理的に設けることを選択してもよく、電池モジュールとセンサが一対一に対応して設けられることに比べて、センサの数を減少させ、電池パックの保護コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本願の一実施例に係る電池パック保護システムの概略構成図である。
図2】本願の一実施例に係る電池パック保護システムの内部の概略構成図である。
図3】本願の一実施例に係る電池パック保護システムにおける保護板とセンサを組み立てた場合の概略構成図である。
図4】本願の一実施例に係る電池パック保護システムにおける保護板とセンサの組立概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本願が解決しようとする技術的課題、技術手段及び有益な効果をより明確にするために、以下、図面及び実施例を参照しながら、本願をさらに詳細に説明する。ここで説明する具体的な実施例は、本願を解釈するためのものに過ぎず、本願の保護範囲を限定するものではないことを理解されたい。
【0023】
図1及び図2に示すように、本発明の実施例に係る電池パック保護システムは、電池パック1及び保護板2を含む。
【0024】
電池パック1は、ケース及び電池モジュールを含み、ケースは、上部カバー及びトレイ11を含み、上部カバーは、トレイ11を封止することに適し、トレイ11は、フレーム13及び底板12を含み、電池モジュールは、底板12に設けられる。
【0025】
保護板2は、底板12と平行に設けられるとともに、底板12の一側に近接して設けられ、保護板2に少なくとも1つのセンサ3が設けられ、保護板2は、フレーム13に取り外し可能に接続される。
【0026】
保護板2は、電池パックのトレイ11の底板12に近接して設けられ、かつ保護板2にセンサ3が設けられ、センサ3は、保護板2が外部衝撃を受ける時の衝撃力を検出する以外に、電池パックが外部衝撃を受ける時の衝撃力を検出することができる。例えば、センサは、保護板が受けた電池パックの外部衝撃を感知してもよい。
【0027】
本願の実施例に係る電池パック保護システムによれば、電池パックの底板に取り外し可能に接続された保護板を設けることにより、電池パックの底部が衝突を受けるときに電池パックを直接的に損傷させることから電池パックを保護することができ、さらに、保護板にセンサを設け、センサによって保護板が衝撃などを受ける時の外部作用力の大きさを感知することにより、保護板及び電池パックの損傷程度を把握し、保護板が小さな損傷を受けるとき、電池パックを取り外すか又は交換することなく、保護板を迅速に取り外して検出又は保守を行うことができ、検出し修理しやすく、修理時間及び修理コストを低減する。
【0028】
一実施例において、図1及び図2から分かるように、保護板と電池パックは、分離して設計され、保護板と電池パックの分離により、保護板は、保護システム全体の底部を損傷から重点的に保護することができ、また、保護板は、電池パックの底板に取り外し可能に接続され、電池パック保護システムの損傷が小さい場合、例えば、電池モジュールに損傷がなく、保護板のみに損傷がある場合、保護板を交換するか又は修理するだけでよい。
【0029】
一実施例において、トレイ11の具体的な構造について、図2に示すように、トレイ11は、フレーム13をさらに含む。トレイ11は、フレーム13及び底板12で一体成形され、例えば、フレーム13及び底板12を溶接して形成されてもよい。フレーム13と底板12は、いずれもアルミニウム型材を押圧して形成されてもよく、底板12は、さらにアルミニウム板を用いてもよい。
【0030】
一実施例において、底板12及びフレーム13は、一体成形され、保護板2及びフレーム13は、ボルト22により接続される。図3に示されたボルト22で底板12を固定し、保護板2にボルト22に対応する貫通孔を設けてもよい。
【0031】
本願の電池パック保護システムは、能動安全保護設計であり、電池パックの底部の損傷を早く発見し、早く監視し、早く診断し、早く修理し、電池パックの底部が損傷したか否かを早く判断することにより、電池パックが損傷した後に使用し続けることによる安全上の事故の発生を低減し、電池パックの能動安全性を向上させ、人員及び車両の使用安全を保証することができる。また、保護板をこのように設計することにより、電池パックの底部が外部衝突を受ける時に電池パックを直接的に損傷させることを避けることができ、センサにより検出された電池パックの損傷程度に基づいて、対応する措置を取って点検、保守又は交換などを行うこともできる。
【0032】
一実施例において、保護板2とセンサ3の組立構造について、図4に示すように、保護板2のトレイ11に近接する側に凹溝孔21が設けられ、センサ3は、凹溝孔21内に取り付けられる。保護板2上の凹溝孔21は、センサ3と組み立てられ、凹溝孔21は、センサ3と一対一に対応して設計される。
【0033】
本願の実施例における保護板2上のセンサ3は、複数であってもよく、1つ又は2つであってもよい。実際に応用する場合、実際の需要に応じてセンサ3の数及び配置方向を設定してもよい。例えば、図1図4に示す保護板2に、複数のセンサ3が設けられ、複数のセンサ3は、保護板2に分散して分布する。複数のセンサ3は、損傷しやすい領域に集中して分布してもよい。
【0034】
本願の一実施例において、センサ3の数は、1つであってもよく、電池モジュールを底板12に配置することにより、底板12は、電池モジュールが受けた衝撃膨張などの機械力を感知することができ、また、底板12は、保護板2に接続され、いずれかの電池モジュールが受けた電池パックの内部から伝達された力を、底板12によって保護板2に伝達し、さらにセンサ3によって検出感知することができる。また、保護板2が外部機械力を受けるとき、保護板2自体によって力をセンサ3が取り付けられた位置に伝達して、保護板2が衝撃又は損傷を受けたことを検出する。このように、センサ3の数は、需要に応じて設計されてもよく、それぞれの電池モジュールに一対一に対応するセンサ3を設ける必要がなく、装置を減少させ、電池パックの保護コストを低減する。
【0035】
本願は、センサ3の配置位置を制限せず、実際の需要に応じて配置してもよい。例えば、衝突がより発生しやすい位置を選択してセンサを設けてもよく、例えば、電池パック保護システムが車両に取り付けられる場合、センサを保護板の車両の先端に近接する方向(車両の前進中に衝突すると、衝突物に接触しやすい位置)に設けてもよく、保護板の車両のテールに近接するか又は車両の側面に近接する位置に少量のセンサを配置してもよい。一般的に、車両が前進するとき、車両の先端に近接する保護板は、機械的外力を最初に受けやすく、このとき、好ましくは、車両の先端に近接する方向にセンサを配置してもよい。車両が旋回するとき、保護板の両側(即ち車両の幅方向の両側)は、機械的外力を最初に受けやすく、このとき、好ましくは、保護板の車両の幅方向に近接する両側にセンサを設けてもよい。以上より、好ましくは、保護板の車両の先端に近接する左右両側にそれぞれセンサを配置してもよい。当然のことながら、保護板の中央又は後部にセンサを設けることを選択してもよい。
【0036】
本願の一実施例において、センサ3は、保護板2の同じ側に設けられる。例えば、保護板に2つのセンサが設けられ、2つのセンサは、いずれも車両の先端に近接する方向に分布する。
【0037】
電池パックの底部の損傷に関するアフタービッグデータの分析から分かるように、電池パックの底部の衝突損傷位置は、ほとんど電池パックの底部の前半部分に集中し、損傷の85%以上を占め、一実施例において、電池パックの底部の前半部分に対する能動的安全検出及び保護は、最も重要であり、他の位置は、副次的な保護領域に属すべきであるため、電池パックの底部を保護する衝突センサは、主に前半部分に配置され、位置レイアウト及び数量が合理的であり、簡単で効果的であり、コストが低い。
【0038】
本願の一実施例において、電池パック保護システムが車両に取り付けられる場合、電池パック保護システムは、コネクタ及び車両制御ユニット(図示せず)をさらに含み、コネクタ4は、車両制御ユニット及びセンサを接続し、車両制御ユニットは、センサにより検出された情報に基づいて、電池パックが所在する車両の運転又は保守を制御する。
【0039】
コネクタは、信号伝送線を介してセンサと通信接続されることにより、センサの情報伝送を実現することができる。
【0040】
センサが電池パック又は保護板が受けた機械的損傷を監視した場合、情報を車両制御ユニットに伝達することにより、センサから伝送された情報に基づいて車両の運転状態を制御し、電池パック又は保護板の損傷を効果的に識別し、かつ損傷があることを決定したときに修理及び点検整備などの処理を行うことを実現することができる。
【0041】
本願の一実施例において、車両制御ユニットは、受信された異なる情報に基づいて異なる処理を行うことができる。例えば、車両制御ユニットは、センサから伝送された第1検出情報を受信した場合、車両を正常に走行させるように制御する。さらに例えば、車両制御ユニットは、さらに、センサから伝送された第2検出情報を受信した場合、車両の乗員に、所定の時間又は所定の車両走行距離内に保護板及び/又は電池パックに検出保守を行うことを提示する。さらに例えば、車両制御ユニットは、さらに、上記センサから伝送された第3検出情報を受信した場合、車両の乗員に、直ちに駐車して保護板及び/又は電池パックの点検保守又は新しい電池パックの交換を行うことを提示する。
【0042】
本願の一実施例において、センサは、複数の抵抗ひずみゲージを直列接続するか又は並列接続して構成され、第1検出情報は、センサにより検出された電圧値が所定の安全閾値以下であることであり、第2検出情報は、センサにより検出された電圧値が所定の安全閾値よりも大きく、所定の危険閾値以下であることであり、所定の安全閾値は、所定の危険閾値よりも小さく、第3検出情報は、センサにより検出された電圧値が所定の危険閾値よりも大きいことである。
【0043】
車両制御ユニットは、判断ロジックが設定されてもよく、受信した検出情報に基づいて、電池パックの機能が正常であるか否か又は電池パックの損傷程度を判断し、かつ判断結果に基づいて、車両の走行を制御するか又は保護板若しくは電池パックに対する点検保守を制御する。例えば、センサにより検出された電圧値が所定の安全閾値以下である場合、電池パック又は保護板の底部が僅かな衝突などの機械力を受けたが、電池パックの機能が正常であり、正常に走行することができ、点検又は保守を必要としないと考えられる。センサにより検出された電圧値が所定の安全閾値よりも大きく、所定の危険閾値以下である場合、電池パックの底部が中程度の衝突などの機械力を受け、衝突加速度が大きく、電池パックの底部にある程度の損傷があり、タイムリーに修理しないと、安全上のリスクが存在する可能性があると考えられ、このとき、車両制御ユニットは、警告を発し、車両の乗員に、電池パック又は保護板が損傷し、安全上のリスクが存在し、タイムリーに点検するか又は保守することを提示することにより、所定の時間又は所定の車両の走行距離内に、保護板及び/又は電池パックを検出し保守することができる。センサにより検出された電圧が危険閾値よりも大きい場合、電池パックの底部が重大な損傷を受け、重大な安全上のリスクが存在すると考えられ、車両制御ユニットは、危険信号を送信し、車両の乗員に、直ちに駐車し、車両及び乗員の安全を保証するために、専門の保守員に連絡して保護板及び/又は電池パックに点検、保守、点検整備又は交換を行うことを提示する。
【0044】
センサは、複数の抵抗ひずみゲージを直列接続するか又は並列接続して構成され、このように、センサの抵抗ひずみゲージの変形のため、抵抗値が変化し、センサによって出力電圧の変化に変換することにより衝突力の大きさを検出し、このように、出力電圧によって電池パックの底部の損傷程度を判断する。
【0045】
本願の一実施例において、センサは、さらに、上記出力電圧以外の他の情報を感知することにより、コネクタによって情報を車両制御ユニットに伝送してもよく、ここで、本願は限定しない。
【0046】
本願の一実施例において、フレームに検出器が設けられてもよく、検出器は、電池パックの内部のセル間又は電池モジュール間の内部作用力を検出する。例えば、フレームに少なくとも1つのセンサが設けられ、センサを用いて電池パックの内部膨張などの作用力を感知し、フレーム上のセンサにより内部作用力を検出し、かつ検出された内部作用力を車両制御ユニットに伝達する。フレーム上のセンサにより検出された情報と保護板上のセンサにより検出された情報とを、電池パックに損傷があるか否か、点検保守又は交換を必要とするか否かを判断する根拠として、一緒に車両制御ユニットに伝達してもよい。
【0047】
本発明の実施例に係る車両は、上記図1図4における電池パック保護システムを含む。
【0048】
一実施例として、センサは、車両の先端に近接する方向に設けられる。
【0049】
一実施例として、図1図4に示すように、センサ3は、第1センサ31、第2センサ32、第3センサ33及び第4センサ34を含み、第1センサ31及び第2センサ32は、車両の先端に近接する保護板の両側に設けられ、第3センサ33は、保護板の中間位置に設けられ、第4センサ34は、車両のテールに近接する保護板に設けられる。
【0050】
本願の実施例の車両によれば、車両は、電池パック保護システムを含み、車両の衝突などの外部作用力をよりよく監視し、電池システムの損傷を迅速及び容易に検出することができる。衝撃を受けやすい位置にセンサを設けることを選択してもよく、電池モジュールとセンサが一対一に対応して設けられることに比べて、センサの数を減少させ、電池パックの保護コストを低減することができる。
【0051】
上記図1図4における電池パック保護システムの説明は、車両における電池パック保護システムにも適用され、重複を避けるために、ここでは説明を省略する。
【0052】
以上の記載は、本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を限定するものではなく、本発明の構想及び原則内に行われた全ての修正、等価置換及び改善などは、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0053】
100 電池パック保護システム
1 電池パック
11 トレイ
12 底板
13 フレーム
2 保護板
21 凹溝孔
22 ボルト
3 センサ
31 第1センサ
32 第2センサ
33 第3センサ
34 第4センサ
4 コネクタ
図1
図2
図3
図4