IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本車輌製造株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-鉄道車両及びその製造方法 図1
  • 特許-鉄道車両及びその製造方法 図2
  • 特許-鉄道車両及びその製造方法 図3
  • 特許-鉄道車両及びその製造方法 図4
  • 特許-鉄道車両及びその製造方法 図5
  • 特許-鉄道車両及びその製造方法 図6
  • 特許-鉄道車両及びその製造方法 図7
  • 特許-鉄道車両及びその製造方法 図8
  • 特許-鉄道車両及びその製造方法 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-11
(45)【発行日】2024-12-19
(54)【発明の名称】鉄道車両及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B61D 27/00 20060101AFI20241212BHJP
   B61D 17/12 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
B61D27/00 N
B61D17/12
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2024005464
(22)【出願日】2024-01-17
【審査請求日】2024-06-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】松方 稜
(72)【発明者】
【氏名】上田 祐大
【審査官】山▲崎▼ 歩美
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-060571(JP,U)
【文献】特開2012-250703(JP,A)
【文献】特開2015-174644(JP,A)
【文献】特開2017-048980(JP,A)
【文献】特開2021-030763(JP,A)
【文献】特開2001-163217(JP,A)
【文献】特開2001-322544(JP,A)
【文献】特開2014-151809(JP,A)
【文献】国際公開第2015/056347(WO,A1)
【文献】実開昭61-147664(JP,U)
【文献】実開昭54-109211(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61D 27/00
B61D 17/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根構体に空調機を設け、当該空調機から供給される調和空気を車両室内に送風する吹出し口が形成された天井パネルと、その上方に配置されハット断面の上ダクト部と、を有する空調ダクトを天井裏に備えた鉄道車両であって、
前記上ダクト部は、内部に空気層が分散配置された軽量素材で形成され、一対の縦壁部と当該縦壁部間に延設した横壁部とでハット断面を構成し、
前記横壁部は、車両幅方向の中間部で前記屋根構体の一の内骨に固定され、
前記縦壁部と前記天井パネルとは、前記屋根構体の他の内骨に上下別々に固定されていること
前記他の内骨は、下端に水平状の鍔部を有する鍔付きハット断面に形成され、
前記縦壁部は、その外側面に装着したL字状金具を介して、前記鍔部の上面に固定され、前記天井パネルは、前記吹出し口の近傍裏面に下段部を固定した階段状金具を介して、前記鍔部に下方から固定されていることを特徴とする鉄道車両。
【請求項2】
請求項1に記載された鉄道車両において、
前記軽量素材は、ガラス繊維を所定の厚さに積層固定したグラスウール材を金属箔によって被覆した素材であることを特徴とする鉄道車両。
【請求項3】
請求項1に記載された鉄道車両において
記鍔部の上面には、第1シール部材を介して前記縦壁部の下端部が気密に接着され、
前記鍔部の下面には、第2シール部材を介して前記天井パネルが気密に接着されていることを特徴とする鉄道車両。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載された鉄道車両において、
前記上ダクト部は、同一のハット断面で所定長さに形成され、車両長手方向へ直列状に連結可能に形成されていることを特徴とする鉄道車両。
【請求項5】
屋根構体に空調機を設け、当該空調機から供給される調和空気を車両室内に送風する吹出し口が形成された天井パネルと、その上方に配置されハット断面の上ダクト部と、を有する空調ダクトを天井裏に備えた鉄道車両の製造方法であって、
前記上ダクト部は、内部に空気層が分散配置された軽量素材で形成され、一対の縦壁部と当該縦壁部間に延設した横壁部とでハット断面を構成し、
前記横壁部の車両幅方向の中間部を前記屋根構体の一の内骨に固定し、前記縦壁部を他の内骨に固定する上ダクト固定工程と、
前記上ダクト固定工程後に、前記天井パネルを前記他の内骨に固定する天井パネル固定工程と、を備え
前記他の内骨は、下端に水平状の鍔部を有する鍔付きハット断面に形成され、
前記縦壁部は、その外側面に装着したL字状金具を介して、前記鍔部の上面に固定され、前記天井パネルは、前記吹出し口の近傍裏面に下段部を固定した階段状金具を介して、前記鍔部に下方から固定されていることを特徴とする鉄道車両の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両及びその製造方法に関し、より詳しくは、天井裏に空調ダクトを備えた鉄道車両及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道車両の天井裏に備えた空調ダクトには、天井パネルとその上方に配置されハット断面に形成された上ダクト部とが一体に連結された天井ダクトユニットが知られている。この天井ダクトユニットは、例えば、2~3m程度の長さを有するので、鉄道車両の屋根構体への取付時、及び運搬時において、所定の剛性を確保する必要があり、一般に、上ダクト部に補強板が装着されていた。しかし、補強板が装着された天井ダクトユニットは、補強板の分だけ車両重量が重くなり、鉄道車両の軽量化や低重心化のニーズに反することになる。
【0003】
この点、例えば、特許文献1には、補強板の無い天井ダクトユニット100Yを備えた鉄道車両100が開示されている。上記天井ダクトユニット100Yは、図9に示すように、強化プラスチック製の天井板101の裏面に強化プラスチック製のハット断面の上板104を取付けた構造である。そして、天井板101には、複数の冷風吹出し穴102と裏面に複数の突起103を設け、上板104と天井板101との間に冷風風道107と冷風取出し穴108、及び冷風溜り109を形成している。また、上板104の上端には、両側面から側方へ突出し屋根構体の骨組106に取り付ける取付座105を設け、天井板101の両端部が幕板111に挟まれて他の骨組112に固定される構造である。また、天井板101の両端部近傍に照明具110を取付けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開平7-8143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の鉄道車両100の天井ダクトユニット100Yでは、以下のような問題があった。すなわち、上記天井ダクトユニット100Yは、天井板101の裏面にハット断面の上板104を取付けた中空断面の構造であるので、上板104の車両幅方向の中間部を屋根構体の骨組106に固定できず、当該中間部の垂れ下がりや振動騒音の可能性があった。そのため、上板104の軽量化や車両室内の静粛性に対して、好ましくないという問題があった。また、天井板101の両端部が幕板111に挟まれて他の骨組112に固定される構造であるので、上板104の取付座105を屋根構体の骨組106に取り付ける際、下方に位置する天井板101の両端部が邪魔になり、取付作業が煩雑となるという問題があった。
【0006】
本発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、天井裏に備えた空調ダクトの軽量化、車両室内の静粛性を向上できると共に、屋根構体への取付作業の簡素化を図ることができる鉄道車両及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る鉄道車両及びその製造方法は、以下の構成を備えている。
(1)屋根構体に空調機を設け、当該空調機から供給される調和空気を車両室内に送風する吹出し口が形成された天井パネルと、その上方に配置されハット断面の上ダクト部と、を有する空調ダクトを天井裏に備えた鉄道車両であって、
前記上ダクト部は、内部に空気層が分散配置された軽量素材で形成され、一対の縦壁部と当該縦壁部間に延設した横壁部とでハット断面を構成し、
前記横壁部は、車両幅方向の中間部で前記屋根構体の一の内骨に固定され、
前記縦壁部と前記天井パネルとは、前記屋根構体の他の内骨に上下別々に固定されていることを特徴とする。
【0008】
本発明においては、上ダクト部は、内部に空気層が分散配置された軽量素材で形成され、一対の縦壁部と当該縦壁部間に延設した横壁部とでハット断面を構成したので、所要の剛性を確保しつつ、軽量化を向上できる。また、横壁部の車両幅方向の中間部は、屋根構体の一の内骨に固定されているので、当該中間部の垂れ下がりや振動騒音を抑制できる。また、上ダクト部は、内部に空気層が分散配置されているので、分散配置された空気層によって空調ダクト内を伝わる騒音を吸音できると共に、屋根構体から伝わる熱を効果的に遮断できる。そのため、車両室内の静粛性を高め、快適な室温に保持できる。
【0009】
また、横壁部は、車両幅方向の中間部で屋根構体の一の内骨に固定され、縦壁部と天井パネルとは、屋根構体の他の内骨に上下別々に固定されているので、上ダクト部を屋根構体の一の内骨と他の内骨とに固定した後に、天井パネルを屋根構体の他の内骨に固定できる。そのため、上ダクト部を屋根構体の一の内骨と他の内骨とに固定する際、天井パネルに邪魔されることが無く、空調ダクトの屋根構体への取付作業の簡素化を図ることができる。
【0010】
よって、本発明によれば、天井裏に備えた空調ダクトの軽量化、車両室内の静粛性を向上できると共に、屋根構体への取付作業の簡素化を図ることができる鉄道車両を提供することができる。
【0011】
(2)(1)に記載された鉄道車両において、
前記軽量素材は、ガラス繊維を所定の厚さに積層固定したグラスウール材を金属箔によって被覆した素材であることを特徴とする。
【0012】
本発明においては、軽量素材は、ガラス繊維を所定の厚さに積層固定したグラスウール材を金属箔によって被覆した素材であるので、上ダクト部において、所要の剛性を確保しつつ、軽量化、吸音性、断熱性をより一層向上できる。また、グラスウール材を金属箔によって被覆したことで、グラスウール材への水分の浸透を防止でき、カビ等の発生を抑制できる。さらに、上ダクト部の難燃性も向上でき、より一層安全性の高い鉄道車両を提供できる。
【0013】
(3)(1)又は(2)に記載された鉄道車両において、
前記他の内骨は、下端に水平状の鍔部を有する鍔付きハット断面に形成され、
前記鍔部の上面には、第1シール部材を介して前記縦壁部の下端部が気密に接着され、
前記鍔部の下面には、第2シール部材を介して前記天井パネルが気密に接着されていることを特徴とする。
【0014】
本発明においては、他の内骨は、下端に水平状の鍔部を有する鍔付きハット断面に形成され、鍔部の上面には、第1シール部材を介して縦壁部の下端部が気密に接着され、鍔部の下面には、第2シール部材を介して天井パネルが気密に接着されているので、上下分割された上ダクト部と天井パネルとが、他の内骨の鍔部を挟んで、それぞれ気密に接着できる。そのため、空調ダクトのシール性を高めつつ、屋根構体への取付作業の簡素化を図ることができる。
【0015】
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載された鉄道車両において、
前記上ダクト部は、同一のハット断面で所定長さに形成され、車両長手方向へ直列状に連結可能に形成されていることを特徴とする。
【0016】
本発明においては、上ダクト部は、同一のハット断面で所定長さに形成され、車両長手方向へ直列状に連結可能に形成されているので、同一種類の上ダクト部を複数用意することによって、各種長さの車両室を備えた鉄道車両に対応できる。そのため、コスト低減に寄与しつつ、空調ダクトの軽量化、車両室内の静粛性を向上できると共に、屋根構体への取付作業の簡素化を図ることができる。
【0017】
(5)屋根構体に空調機を設け、当該空調機から供給される調和空気を車両室内に送風する吹出し口が形成された天井パネルと、その上方に配置されハット断面の上ダクト部と、を有する空調ダクトを天井裏に備えた鉄道車両の製造方法であって、
前記上ダクト部は、内部に空気層が分散配置された軽量素材で形成され、一対の縦壁部と当該縦壁部間に延設した横壁部とでハット断面を構成し、
前記横壁部の車両幅方向の中間部を前記屋根構体の一の内骨に固定し、前記縦壁部を他の内骨に固定する上ダクト固定工程と、
前記上ダクト固定工程後に、前記天井パネルを前記他の内骨に固定する天井パネル固定工程と、を備えたことを特徴とする。
【0018】
本発明においては、上ダクト部は、内部に空気層が分散配置された軽量素材で形成され、一対の縦壁部と当該縦壁部間に延設した横壁部とでハット断面を構成したので、所要の剛性を確保しつつ、軽量化を向上できる。また、上ダクト固定工程S1にて、横壁部の車両幅方向の中間部を屋根構体の一の内骨に固定するので、当該中間部の垂れ下がりや振動騒音を抑制できる。また、上ダクト部は、内部に空気層が分散配置されているので、分散配置された空気層によって空調ダクト内を伝わる騒音を吸音できると共に、屋根構体から伝わる熱を効果的に遮断できる。そのため、車両室内の静粛性を高め、快適な室温に保持できる。
【0019】
また、横壁部の車両幅方向の中間部を屋根構体の一の内骨に固定し、縦壁部を他の内骨に固定する上ダクト固定工程後に、天井パネル固定工程にて、天井パネルを他の内骨に固定するので、上ダクト部を屋根構体の一の内骨と他の内骨とに固定する際、天井パネルに邪魔されることが無く、空調ダクトの屋根構体への取付作業の簡素化を図ることができる。
【0020】
よって、本発明によれば、天井裏に備えた空調ダクトの軽量化、車両室内の静粛性を向上できると共に、屋根構体への取付作業の簡素化を図ることができる鉄道車両の製造方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、天井裏に備えた空調ダクトの軽量化、車両室内の静粛性を向上できると共に、屋根構体への取付作業の簡素化を図ることができる鉄道車両及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態の一態様に係る鉄道車両の概略側面図である。
図2図1に示すA-A断面図である。
図3図2に示すB-B断面図である。
図4図3に示すC部拡大図である。
図5図2に示すD部拡大図である。
図6図5に示すE-E断面図である。
図7図5に示すF-F断面図である。
図8】本他の実施形態に係る鉄道車両の製造方法におけるフローチャート図である。
図9】特許文献1に記載された鉄道車両の天井ダクトユニットの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<本鉄道車両の構成>
次に、本発明の実施形態の一態様に係る鉄道車両について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1に、本発明の実施形態の一態様に係る鉄道車両の概略側面図を示す。図2に、図1に示すA-A断面図を示す。図3に、図2に示すB-B断面図を示す。図4に、図3に示すC部拡大図を示す。図5に、図2に示すD部拡大図を示す。図6に、図5に示すE-E断面図を示す。図7に、図5に示すF-F断面図を示す。
【0024】
本鉄道車両10は、図1に示すように、レールRL上を走行する前後一対の台車DSに支持された台枠DWと、台枠DWの前端部及び後端部に起立する妻構体TKと、台枠DWの両側端部に起立する側構体GKと、妻構体TK及び側構体GKの上端部に接続される屋根構体YKとを備えている。また、側構体GKには、各種大きさの側窓GMと、乗客が乗り降りする乗客用側扉GT1と、運転士等が乗り降りする乗員用側扉GT2とが形成されている。台枠DWには、床下機器KZが装着されている。屋根構体YKには、空調機KTが装着されている。ここでは、空調機KTは、屋根構体YKの車両長手方向の中央付近に1つ装着されているが、複数装着されていても良い。
【0025】
また、本鉄道車両10は、図1図3に示すように、屋根構体YKに設けた空調機KTから供給される調和空気CAを車両室1内に送風する吹出し口21が形成された天井パネル2と、その天井パネル2の上方に配置されハット断面の上ダクト部3と、を有する空調ダクトKDを天井裏に備えている。天井パネル2は、樹脂材等から成り、天井中央部における所定の形状に賦形されている。また、天井パネル2には、吹出し口21が形成された車両幅方向の両端部から、上方へ円弧状に突出した上反り部2Hと、下方へ円弧状に突出した下反り部2Tとが、車両長手方向で異なる位置に形成され、天井パネル2の車両幅方向の中間部における剛性を高めている。そのため、天井パネル2の車両幅方向の中間部は、屋根構体YKの一の内骨YK1に連結されていない。なお、天井パネル2は、必ずしも、上反り部2Hと下反り部2Tとを有する必要はなく、平坦な形状に形成しても良い。また、天井パネル2の裏面側には、断熱材25が貼着されている。当該断熱材25は、吸音材を兼ねることができる。また、天井パネル2の車両幅方向の端部側には、図示しない照明具を装着した照明用内装板6が装着され、照明用内装板6の車両幅方向の端部側には、側構体GKの内装板へ接合される側天井板5が装着されている。
【0026】
また、空調機KTから供給される調和空気CAの供給口KT1は、図2に示すように、車両室1内の空気を空調機KTへ戻す戻し口RGを挟んで、車両前後に2ヶ所ずつ設けられている。調和空気CAの供給口KT1は、例えば、アルミ合金製の繋ぎダクト3Sを介して、天井パネル2とその上方に配置されハット断面の上ダクト部3とで構成する空調ダクトKDに繋がれている。繋ぎダクト3Sは、2つの供給口KT1から1つの空調ダクトKDに向けて屈曲しながら幅寸法が拡張される特殊な台形形状に形成されている。なお、2つの供給口KT1は、1つに一体化しても良い。また、戻し口RGは、供給口KT1の車両幅方向外方に配置しても良い。
【0027】
また、上ダクト部3は、図3図7に示すように、内部に空気層31が分散配置された軽量素材KSで形成され、一対の縦壁部3Tと当該縦壁部3Tの上端部3T1間に延設した横壁部3Yとでハット断面を構成している。ここで、軽量素材KSは、ガラス繊維、炭素繊維、化学繊維、植物繊維等を接着材等で固着して形成された繊維系軽量素材、又は、硬質発泡ウレタン、発泡アルミ等から形成された発泡系軽量素材などを用いることができる。ここでは、軽量素材KSは、金属表皮材32によって繊維系軽量素材の表裏面を被覆され、一対の縦壁部3Tと横壁部3Yとでハット断面を構成するように賦形されている。金属表皮材32の厚さは、数十ミクロン~数百ミクロン程度の厚さでも良い。なお、空気層31は、軽量素材KSが繊維系軽量素材の場合、繊維同士の隙間に分散配置され、軽量素材KSが発泡系軽量素材の場合、気泡となって分散配置されている。
【0028】
上記のように、上ダクト部3は、金属表皮材32に被覆され内部に空気層31が分散配置された軽量素材KSで形成され、一対の縦壁部3Tと当該縦壁部3T間に延設した横壁部3Yとでハット断面を構成したので、所要の剛性を確保しつつ、軽量化を向上できる。
【0029】
また、図3図5に示すように、横壁部3Yの車両幅方向の中間部3Y1は、屋根構体YKの一の内骨YK1に固定されている。ここでは、一の内骨YK1は、屋根構体YKの車両幅方向の中央部に配置され、車両長手方向に延設されている。そして、横壁部3Yの車両幅方向の中間部3Y1は、車両長手方向の複数箇所で一の内骨YK1に固定されている。横壁部3Yの車両幅方向の中間部(中央部)3Y1には、2つのネジ部材381が当て金382及び鍔付きカラー部材384を介して下方から挿通され、ネジ部材381の先端部が一の内骨YK1のネジ座383に係合されている。なお、鍔付きカラー部材384が介在するので、軽量素材KSを強圧せずに締結でき、仮に、経年変化で軽量素材KSの厚さが変化しても、ネジ部材381の緩みを防止できる。また、係合部材は、リベット部材等を用いても良いが、締め付け量を調整して軽量素材KSの変形を低減しやすいネジ部材381等が好ましい。
【0030】
上記のように、横壁部3Yの車両幅方向の中間部3Y1は、屋根構体YKの一の内骨YK1に固定されているので、横壁部3Yの車両幅方向の中間部3Y1の垂れ下がりや振動騒音を抑制できる。また、上ダクト部3は、内部に空気層31が分散配置されているので、分散配置された空気層31によって空調ダクトKD内を伝わる騒音を吸音できると共に、屋根構体YKから伝わる熱を効果的に遮断できる。そのため、車両室1内の静粛性を高め、快適な室温に保持できる。
【0031】
また、上ダクト部3の横壁部3Yは、図3図5に示すように、車両幅方向の中間部3Y1で屋根構体YKの一の内骨YK1に固定され、上ダクト部3の縦壁部3Tと天井パネル2とは、屋根構体YKの他の内骨YK2に上下別々に固定されている。ここでは、他の内骨YK2は、一の内骨YK1より車両幅方向の外方に配置され、水平状の鍔部YK21と側壁部YK22と天頂部YK23とを備えている。上ダクト部3の縦壁部3Tと天井パネル2とは、他の内骨YK2の鍔部YK21に上下別々に固定されている。
【0032】
具体的には、上ダクト部3の縦壁部3Tは、縦壁部3Tの内側面に当接した当て金371及び内側面から挿通したネジ部材372等を用いて縦壁部3Tの外側面に装着したL字状金具36を介して、他の内骨YK2の鍔部YK21の上面に固定されている。L字状金具36は、縦壁部3Tの外側面に、車両長手方向で所定の間隔を有しつつ、複数装着されている。L字状金具36と鍔部YK21との間には、スペーサ部材363が挿入されている。そして、ネジ部材361が鍔部YK21の下方からスペーサ部材363を貫通して挿通され、ネジ部材361の先端部がL字状金具36に固定したネジ座362に係合されている。また、他の内骨YK2の鍔部YK21の上面には、L字状金具36に固定したネジ座362と車両幅方向で同一位置であり、車両長手方向で異なる位置に、天井パネル2を締結するネジ座242が固定されている。
【0033】
また、天井パネル2は、吹出し口21の近傍裏面に下段部231を固定した階段状金具23を介して、他の内骨YK2の鍔部YK21に下方から固定されている。そして、階段状金具23の上段部232は、下方から挿通したネジ部材241の先端部が鍔部YK21のネジ座242に係合されることによって、他の内骨YK2の鍔部YK21に固定されている。
【0034】
したがって、上ダクト部3を屋根構体YKの一の内骨YK1と他の内骨YK2とに固定した後に、天井パネル2を屋根構体YKの他の内骨YK2に固定できる。その結果、上ダクト部3を屋根構体YKの一の内骨YK1と他の内骨YK2とに固定する際、天井パネル2に邪魔されることが無く、空調ダクトKDの屋根構体YKへの取付作業の簡素化を図ることができる。
【0035】
よって、本鉄道車両10によれば、天井裏に備えた空調ダクトKDの軽量化、車両室1内の静粛性を向上できると共に、空調ダクトKDの屋根構体YKへの取付作業の簡素化を図ることができる。
【0036】
なお、図4に示すように、天井パネル2の吹出し口21の近傍に装着された階段状金具23の上段部232には、吹出し口21から車両室1内に送風する調和空気CAの送風量を調整する風量調整板22が固定されている。風量調整板22は、垂直状に起立する縦板22Tと、縦板22Tに接続され直角状に屈曲する屈曲板22Kとで、上下2つの空気溜りを構成し、屈曲板22Kの水平部には、適宜な大きさの風量調整孔221が形成されている。また、階段状金具23の上段部232にも、適宜な大きさのパンチング穴が形成された第2の風量調整板233が下方からネジ締結されている。第2の風量調整板233は、取付け・交換が簡単にでき、現車にて風量調整可能となっている。このように、上下2つの空気溜りを構成し、上下2段階で風量調整可能とすることによって、吹出し口21から車両室1内に送風する調和空気CAの送風量を、より一層微妙に調整することができる。これによって、車両室1内の快適性を、より一層向上できる。
【0037】
また、本鉄道車両10においては、図6に示すように、上ダクト部3を構成する軽量素材KSは、ガラス繊維GSを所定の厚さに積層固定したグラスウール材GWを金属箔32aによって被覆した素材であることが好ましい。金属箔32aは、例えば、アルミ箔等を用いることができる。この場合、上ダクト部3において、所要の剛性を確保しつつ、軽量化、吸音性、断熱性をより一層向上できる。また、グラスウール材GWを金属箔32aによって被覆したことで、グラスウール材GWへの水分の浸透を防止でき、カビ等の発生を抑制できる。さらに、上ダクト部3の難燃性も向上でき、より一層安全性の高い鉄道車両10を提供できる。
【0038】
また、本鉄道車両10においては、図3図4に示すように、他の内骨YK2は、下端に水平状の鍔部YK21を有する鍔付きハット断面に形成され、鍔部YK21の上面には、第1シール部材41を介して縦壁部3Tの下端部3T2が気密に接着され、鍔部YK21の下面には、第2シール部材42を介して天井パネル2が気密に接着されていることが好ましい。第1シール部材41及び第2シール部材42は、例えば、帯状のエチレンプロピレンゴム等からなる発泡シール材を用いることができる。ここでは、天井パネル2の吹出し口21の近傍に装着された階段状金具23の上段部232に第2シール部材42を貼着し、当該第2シール部材42を介して天井パネル2が、鍔部YK21の下面に気密に接着されている。この場合、上下分割された上ダクト部3と天井パネル2とを、他の内骨YK2の鍔部YK21を挟んで、それぞれ気密に接着できる。そのため、空調ダクトKDのシール性を高めつつ、屋根構体YKへ空調ダクトKDを取付ける際の取付作業の簡素化を図ることができる。
【0039】
また、本鉄道車両10においては、図2図5図7に示すように、上ダクト部3は、同一のハット断面で所定長さL1、L2に形成され、車両長手方向へ直列状に連結可能に形成されていることが好ましい。ここでは、図2図5に示すように、車両長手方向へ直列状に連結された上ダクト部3、3の長さL1、L2は、同一であるが、異なる長さに形成しても良い。この場合、同一種類の上ダクト部3を複数用意することによって、各種長さの車両室1を備えた鉄道車両10に対応できる。そのため、コスト低減に寄与しつつ、空調ダクトKDの軽量化、車両室1内の静粛性を向上できると共に、屋根構体YKへの取付作業の簡素化を図ることができる。
【0040】
なお、複数の上ダクト部3、3を車両長手方向へ直列状に連結する場合、図6に示すように、両者の車両長手方向の端部をシール接着材34で繋ぐと共に、一方の上ダクト部3の車両長手方向端部に、他方の上ダクト部3の外面に当接する受け板35を予め装着しておくことが好ましい。この場合、他方の上ダクト部3を他の内骨YK2に固定した後、一方の上ダクト部3を他の内骨YK2に固定する際、他方の上ダクト部3の車両長手方向端部を、一方の上ダクト部3に装着した受け板35によって押え込み、他方の上ダクト部3の浮き上がりを防止できる。これによって、複数の上ダクト部3、3を、より安定して車両長手方向へ直列状に連結することができる。
【0041】
また、複数の上ダクト部3、3を車両長手方向へ直列状に連結する場合、図7に示すように、横壁部3Y、3Yの車両幅方向の中間部3Y1、3Y1同士を金属テープ33によって繋ぐことが好ましい。ここでは、横壁部3Y、3Yの車両幅方向の中間部3Y1、3Y1の上面と下面に金属テープ33が貼着されているが、いずれか一方に金属テープ33を貼着しても良い。これによって、横壁部3Yの車両幅方向の中間部3Y1の垂れ下がりや振動騒音を、より一層抑制できる。なお、上ダクト部3を他の部材(例えば、繋ぎダクト3S)と車両長手方向へ直列状に連結する場合にも、図5に示すように、横壁部3Yの車両幅方向の中間部3Y1と他の部材とを金属テープ33によって繋ぐことが好ましい。
【0042】
<本鉄道車両の製造方法>
次に、本発明の他の実施形態の一態様に係る鉄道車両の製造方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。図8に、本他の実施形態に係る鉄道車両の製造方法におけるフローチャート図を示す。
【0043】
鉄道車両10の製造方法は、図1図8に示すように、屋根構体YKに空調機KTを設け、当該空調機KTから供給される調和空気CAを車両室1内に送風する吹出し口21が形成された天井パネル2と、その上方に配置されハット断面の上ダクト部3と、を有する空調ダクトKDを天井裏に備えた鉄道車両10の製造方法であって、上ダクト部3は、内部に空気層31が分散配置された軽量素材KSで形成され、一対の縦壁部3Tと当該縦壁部3T間に延設した横壁部3Yとでハット断面を構成し、横壁部3Yの車両幅方向の中間部3Y1を屋根構体YKの一の内骨YK1に固定し、縦壁部3Tを他の内骨YK2に固定する上ダクト固定工程S1と、上ダクト固定工程S1後に、天井パネル2を他の内骨YK2に固定する天井パネル固定工程S2と、を備えている。鉄道車両10の各構成は、既に詳細に説明した内容と共通するので、ここでは、必要な場合を除き、原則として割愛する。
【0044】
本鉄道車両10の製造方法においては、上ダクト部3は、内部に空気層31が分散配置された軽量素材KSで形成され、一対の縦壁部3Tと当該縦壁部3T間に延設した横壁部3Yとでハット断面を構成したので、所要の剛性を確保しつつ、軽量化を向上できる。また、上ダクト固定工程S1にて、横壁部3Yの車両幅方向の中間部3Y1を屋根構体YKの一の内骨YK1に固定するので、当該中間部3Y1の垂れ下がりや振動騒音を抑制できる。また、上ダクト部3は、内部に空気層31が分散配置されているので、分散配置された空気層31によって空調ダクトKD内を伝わる騒音を吸音できると共に、屋根構体YKから伝わる熱を効果的に遮断できる。そのため、車両室1内の静粛性を高め、快適な室温に保持できる。
【0045】
また、横壁部3Yの車両幅方向の中間部3Y1を屋根構体YKの一の内骨YK1に固定し、縦壁部3Tを他の内骨YK2に固定する上ダクト固定工程S1後に、天井パネル固定工程S2にて、天井パネル2を他の内骨YK2に固定するので、上ダクト部3を屋根構体YKの一の内骨YK1と他の内骨YK2とに固定する際、天井パネル2に邪魔されることが無く、空調ダクトKDの屋根構体YKへの取付作業の簡素化を図ることができる。よって、本鉄道車両10の製造方法によれば、天井裏に備えた空調ダクトKDの軽量化、車両室1内の静粛性を向上できると共に、屋根構体YKへの空調ダクトKDの取付作業の簡素化を図ることができる。なお、本鉄道車両10及びその製造方法は、本発明の要旨を変更しない範囲で、各種形態に変更できることは言うまでもない。
【0046】
<作用効果>
以上、詳細に説明した本実施形態に係る鉄道車両10によれば、上ダクト部3は、内部に空気層31が分散配置された軽量素材KSで形成され、一対の縦壁部3Tと当該縦壁部3T間に延設した横壁部3Yとでハット断面を構成したので、所要の剛性を確保しつつ、軽量化を向上できる。また、横壁部3Yの車両幅方向の中間部3Y1は、屋根構体YKの一の内骨YK1に固定されているので、当該中間部3Y1の垂れ下がりや振動騒音を抑制できる。また、上ダクト部3は、内部に空気層31が分散配置されているので、分散配置された空気層31によって空調ダクトKD内を伝わる騒音を吸音できると共に、屋根構体YKから伝わる熱を効果的に遮断できる。そのため、車両室1内の静粛性を高め、快適な室温に保持できる。
【0047】
また、横壁部3Yは、車両幅方向の中間部3Y1で屋根構体YKの一の内骨YK1に固定され、縦壁部3Tと天井パネル2とは、屋根構体YKの他の内骨YK2に上下別々に固定されているので、上ダクト部3を屋根構体YKの一の内骨YK1と他の内骨YK2とに固定した後に、天井パネル2を屋根構体YKの他の内骨YK2に固定できる。そのため、上ダクト部3を屋根構体YKの一の内骨YK1と他の内骨YK2とに固定する際、天井パネル2に邪魔されることが無く、空調ダクトKDの屋根構体YKへの取付作業の簡素化を図ることができる。
【0048】
よって、本実施形態によれば、天井裏に備えた空調ダクトKDの軽量化、車両室1内の静粛性を向上できると共に、屋根構体YKへの空調ダクトKDの取付作業の簡素化を図ることができる鉄道車両10を提供することができる。
【0049】
また、本実施形態によれば、軽量素材KSは、ガラス繊維GSを所定の厚さに積層固定したグラスウール材GWを金属箔32aによって被覆した素材であるので、上ダクト部3において、所要の剛性を確保しつつ、軽量化、吸音性、断熱性をより一層向上できる。また、グラスウール材GWを金属箔32aによって被覆したことで、グラスウール材GWへの水分の浸透を防止でき、カビ等の発生を抑制できる。さらに、上ダクト部3の難燃性も向上でき、より一層安全性の高い鉄道車両10を提供できる。
【0050】
また、本実施形態によれば、他の内骨YK2は、下端に水平状の鍔部YK21を有する鍔付きハット断面に形成され、鍔部YK21の上面には、第1シール部材41を介して縦壁部3Tの下端部3T2が気密に接着され、鍔部YK21の下面には、第2シール部材42を介して天井パネル2が気密に接着されているので、上下分割された上ダクト部3と天井パネル2とが、他の内骨YK2の鍔部YK21を挟んで、それぞれ気密に接着できる。そのため、空調ダクトKDのシール性を高めつつ、屋根構体YKへの取付作業の簡素化を図ることができる。
【0051】
また、本実施形態によれば、上ダクト部3は、同一のハット断面で所定長さL1、L2に形成され、車両長手方向へ直列状に連結可能に形成されているので、同一種類の上ダクト部3を複数用意することによって、各種長さの車両室1を備えた鉄道車両10に対応できる。そのため、コスト低減に寄与しつつ、空調ダクトKDの軽量化、車両室1内の静粛性を向上できると共に、屋根構体YKへの取付作業の簡素化を図ることができる。
【0052】
また、本鉄道車両10の製造方法に係る他の実施形態によれば、上ダクト部3は、内部に空気層31が分散配置された軽量素材KSで形成され、一対の縦壁部3Tと当該縦壁部3T間に延設した横壁部3Yとでハット断面を構成したので、所要の剛性を確保しつつ、軽量化を向上できる。また、上ダクト固定工程S1にて、横壁部3Yの車両幅方向の中間部3Y1を屋根構体YKの一の内骨YK1に固定するので、当該中間部3Y1の垂れ下がりや振動騒音を抑制できる。また、上ダクト部3は、内部に空気層31が分散配置されているので、分散配置された空気層31によって空調ダクトKD内を伝わる騒音を吸音できると共に、屋根構体YKから伝わる熱を効果的に遮断できる。そのため、車両室1内の静粛性を高め、快適な室温に保持できる。
【0053】
また、横壁部3Yの車両幅方向の中間部3Y1を屋根構体YKの一の内骨YK1に固定し、縦壁部3Tを他の内骨YK2に固定する上ダクト固定工程S1後に、天井パネル固定工程S2にて、天井パネル2を他の内骨YK2に固定するので、上ダクト部3を屋根構体YKの一の内骨YK1と他の内骨YK2とに固定する際、天井パネル2に邪魔されることが無く、空調ダクトKDの屋根構体YKへの取付作業の簡素化を図ることができる。
【0054】
よって、本他の実施形態によれば、天井裏に備えた空調ダクトKDの軽量化、車両室1内の静粛性を向上できると共に、屋根構体YKへの取付作業の簡素化を図ることができる鉄道車両10の製造方法を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、天井裏に空調ダクトを備えた鉄道車両及びその製造方法として利用できる。
【符号の説明】
【0056】
1 車両室
2 天井パネル
3 上ダクト部
3T 縦壁部
3T2 下端部
3Y 横壁部
3Y1 中間部
10 鉄道車両
21 吹出し口
31 空気層
32a 金属箔
41 第1シール部材
42 第2シール部材
CA 調和空気
GS ガラス繊維
GW グラスウール材
KD 空調ダクト
KS 軽量素材
KT 空調機
S1 上ダクト固定工程
S2 天井パネル固定工程
YK 屋根構体
YK1、YK2 内骨
YK21 鍔部
【要約】
【課題】天井裏に備えた空調ダクトの軽量化、車両室内の静粛性を向上できると共に、屋根構体への取付作業の簡素化を図ることができる鉄道車両及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】屋根構体YKに空調機KTを設け、当該空調機から供給される調和空気を車両室1内に送風する吹出し口21が形成された天井パネル2と、その上方に配置されハット断面の上ダクト部3と、を有する空調ダクトKDを天井裏に備えた鉄道車両10である。上ダクト部は、内部に空気層31が分散配置された軽量素材KSで形成され、一対の縦壁部3Tと当該縦壁部間に延設した横壁部3Yとでハット断面を構成した。横壁部は、車両幅方向の中間部3Y1で屋根構体の一の内骨YK1に固定され、縦壁部と天井パネルとは、屋根構体の他の内骨YK2に上下別々に固定されている。
【選択図】 図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9