(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】前交換した銅ゼオライト材料におけるin-situ銅イオン交換
(51)【国際特許分類】
B01J 29/76 20060101AFI20241213BHJP
B01J 37/04 20060101ALI20241213BHJP
B01J 37/08 20060101ALI20241213BHJP
B01D 53/94 20060101ALI20241213BHJP
B01J 35/57 20240101ALN20241213BHJP
【FI】
B01J29/76 A ZAB
B01J37/04 102
B01J37/08
B01D53/94 222
B01J35/57 E
(21)【出願番号】P 2021523584
(86)(22)【出願日】2019-10-30
(86)【国際出願番号】 CN2019114386
(87)【国際公開番号】W WO2020088531
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2018/112584
(32)【優先日】2018-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】524318674
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ モバイル エミッションズ カタリスツ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】BASF Mobile Emissions Catalysts LLC
【住所又は居所原語表記】33 Wood Avenue South, Iselin, New Jersey 08830, USA
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】ペーター,マッティアス
(72)【発明者】
【氏名】ドゥンブヤ,カリファラ
(72)【発明者】
【氏名】シューベルト,ミリアム
(72)【発明者】
【氏名】モイニ,アーマド
(72)【発明者】
【氏名】タイ,ユイ
(72)【発明者】
【氏名】マウレル,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】チュー,ハイヤン
(72)【発明者】
【氏名】リウ,イー
(72)【発明者】
【氏名】シュエ,ウェン-メイ
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ,ミン ミン
(72)【発明者】
【氏名】ヘーネマン,マリア
【審査官】安齋 美佐子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105289708(CN,A)
【文献】国際公開第2017/153894(WO,A1)
【文献】特表2010-519038(JP,A)
【文献】国際公開第2017/037006(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00-38/74
B01D 53/86-53/90,53/94-53/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i) 水、
銅を含むゼオライト材料、
前記銅を含むゼオライト材料以外の銅の源、及び
アルミナ及びシリカの混合物の非ゼオライト酸性材料
を含む水性混合物を調製する工程、
(ii) 入口端部と、出口端部と、前記入口端部から前記出口端部に延びる基材軸方向の長さと、前記基材を貫通すると共に前記基材の内壁によって規定される複数の通路とを含む基材における内壁の表面上において、工程(i)で得られた混合物を配置する工程、
(iii) 工程(ii)で得られた基材をか焼する工程
を含み、
工程(i)で調製される水性混合物に含有される前記銅を含むゼオライト材料が、骨格型CHAを有し、
工程(i)で調製される水性混合物に含有される前記銅を含むゼオライト材料以外の前記銅の源が、酸化銅であり、
工程(i)で調製される水性混合物が酸性成分の前駆体をさらに含み、その前記前駆体がジルコニウムアセテートである、
銅を含むゼオライト材料を含むNOx転化用触媒を製造するための方法。
【請求項2】
前記ゼオライト材料の骨格構造の95~100質量%が、Si、Al及びOからなる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(i)で調製される水性混合物に含有される前記銅を含むゼオライト材料の骨格構造において、SiのAlに対するモル比が、モルSiO
2:Al
2O
3として計算され、2:1~50:1の範囲である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
工程(i)で調製される水性混合物に含有される前記ゼオライト材料に含まれる銅の量(CuOとして計算)が、工程(i)で調製される水性混合物に含まれる前記ゼオライト材料の質量に基づいて、0.1~3質量%の範囲である、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
工程(i)で調製される水性混合物に含有される前記非ゼオライト酸性材料が、アルミナとシリカとの混合物であり、アルミナとシリカとの混合物の80~99質量%が、アルミナからなり、そしてアルミナとシリカとの混合物の1~20質量%が、シリカからなる、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
工程(i)で調製される水性混合物が、工程(i)で調製される水性混合物に含まれる前記ゼオライト材料の質量に基づいて、2~20質量%の範囲の量で、前記非ゼオライト酸性材料を含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
工程(i)で調製される水性混合物において、前記水性混合物の10~90質量%が水からなる、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
工程(i)で調製される水性混合物において、ジルコニアとして計算される
前記前駆体の量が、工程(i)で調製される水性混合物に含まれる前記ゼオライト材料の質量に基づいて、1~10質量%の範囲である、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
工程(i)で調製される水性混合物が、1種類以上の酸をさらに含む、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
工程(i)が、
(i.1) 水と、前記銅を含むゼオライト材料以外の前記銅の源とを含む第1の混合物を調製する工程、
(i.3)請求項1で定義した酸性成分の前駆体を、工程(i.1)により得られた第1の混合物に加える工程、
(i.4) 水と、前記銅を含むゼオライト材料とを含む第2の混合物を調製する工程、
(i.5) 工程(i.4)で得られた第2の混合物を、工程(i.
3)で得られた第1の混合物と混合して、第3の混合物を得る工程、
(i.6) 水と、アルミナ及びシリカの混合物である前記非ゼオライト酸性材料とを含む、第4の混合物を調製する工程、
(i.7) 工程(i.6)で得られた第4の混合物と工程(i.5)で得られた第3の混合物とを混合する工程
を含む、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
NOx転化用触媒を製造するために用いる水性混合物であって、
水と、
銅を含むゼオライト材料と、
前記銅を含むゼオライト材料以外の銅の源と、
アルミナ及びシリカの混合物の非ゼオライト酸性材料とを含み、
前記水性混合物の10~90質量%が水からなり、
前記銅を含むゼオライト材料が、骨格型CHAを有し、前記ゼオライト材料に含まれる銅の量(CuOとして計算)が、前記ゼオライト材料の質量に基づいて、0.1~3質量%の範囲であり、
前記銅を含むゼオライト材料以外の前記銅の源が、酸化銅であり、前記水性混合物が、前記銅を含むゼオライト材料以外の前記銅の源(CuOとして計算)を、前記ゼオライト材料の質量に基づいて、1~10質量%の範囲の量で含み、
前記水性混合物が、前記ゼオライト材料の質量に基づいて、2~20質量%の範囲の量で、前記非ゼオライト酸性材料を含み、
前記水性混合物が酸性成分の前駆体をさらに含み、その前記前駆体がジルコニウムアセテートであり、
前記水性混合物において、ジルコニアとして計算される
前記前駆体の量が、前記ゼオライト材料の質量に基づいて、1~10質量%の範囲である、
NOx転化用触媒を製造するために用いる水性混合物。
【請求項12】
前記ゼオライト材料に含まれる銅の量(CuOとして計算)が、前記ゼオライト材料の質量に基づいて、0.2~2質量%の範囲である、請求項
11に記載の混合物。
【請求項13】
前記水性混合物が、前記銅を含むゼオライト材料以外の前記銅の源(CuOとして計算)を、前記ゼオライト材料の質量に基づいて、1.5~5質量%の範囲の量で含む、請求項
11又は
12に記載の混合物。
【請求項14】
前記水性混合物が、前記銅を含むゼオライト材料以外の前記銅の源(CuOとして計算)を、前記ゼオライト材料の質量に基づいて、1.5~4質量%の範囲の量で含む、請求項
11から
13のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項15】
前記水性混合物が、前記ゼオライト材料の質量に基づいて、5~15質量%の範囲の量で、前記非ゼオライト酸性材料を含む、請求項
11から
14のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項16】
前記水性混合物の55~80質量%が水からなる、請求項
11から
15のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項17】
1種類以上の酸をさらに含む、請求項
11から
16のいずれか1項に記載の混合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銅を含むゼオライト材料を含む触媒を製造するための方法と、前記方法によって得られるか又は得ることができる銅を含むゼオライト材料を含む触媒と、前記触媒を含む排気ガス処理システムと、水性混合物及びその調製方法と、骨格型CHAを有し且つ銅を含むゼオライト材料とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
銅及び/又は鉄を用いたゼオライト材料のイオン交換に関して、液相イオン交換法が知られており、このような方法はUS8293199B2に開示されている。さらに、WO2018/101718A1は、銅イオンを含むCHAゼオライト材料を含む触媒を調製するための異なる方法を開示している。この方法は、H-CHA、銅前駆体、Zr-酢酸及び脱イオン水の混合を含む。スラリーをさらに粉砕し、基材上にコーティングし、乾燥させてか焼する。得られた触媒は、Cu交換したCHAを含む。このin-situイオン交換法により、US8293199B2にあるように、イオン交換した触媒を含む触媒における高温性能を、液相イオン交換法でイオン交換してある銅を含む触媒と比較して向上させることができた。しかしながら、銅を含むゼオライト材料を含む触媒を調製するための更なる改善された方法、及び改善された触媒活性、例えばNOx転化率を示す前記ゼオライト材料を含む触媒の提供が、依然として必要であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】US8293199B2
【文献】WO2018/101718A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の目的は、高い触媒活性、例えばNOx転化率を示す、銅を含むゼオライト材料を含む触媒を製造するための改善された方法を提供することであった。
【0005】
驚くべきことに、本発明の方法により、低温及び高温の両方で、高い触媒活性、例えば改善されたNOx転化率を達成する、銅を含むゼオライト材料を含む触媒を得ることができることが分かった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
I. 銅を含むゼオライト材料を含む触媒の製造方法
従って、本発明は、銅を含むゼオライト材料を含む触媒を製造するための方法に関するものであり、この方法は、
(i) 水、銅を含むゼオライト材料、銅を含むゼオライト材料以外の銅の源、及びアルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリアと、Al、Si、Ti、Zr及びCeのうちの1種以上を含む混合酸化物と、これらのうちの2種以上の混合物とからなる群から選択される非ゼオライト酸性材料を含む水性混合物を調製する工程、
(ii) 入口端部と、出口端部と、前記入口端部から前記出口端部に延びる基材軸方向の長さと、基材を貫通すると共に基材の内壁によって規定される複数の通路とを含む基材における内壁の表面上において、工程(i)で得られた混合物を配置する工程、及び、場合により、混合物が上に配置されている基材を乾燥させる工程、
(iii) 工程(ii)で得られた基材をか焼する工程
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、エージング(800℃で水熱エージング)した実施例1、比較例1及び2の触媒の、様々な温度での、20ppmのNH
3スリップにおけるNOx転化率を示す。
【
図2】
図2は、エージング(850℃で水熱エージング)した実施例1、比較例1及び2の触媒の、様々な温度での、20ppmのNH
3スリップにおけるNOx転化率を示す。
【
図3】
図3は、エージングした実施例5及び6の触媒の、様々な温度での、NOx転化率を示す。
【
図4】
図4は、エージングした実施例5及び6の触媒の、様々な温度での、20ppmのNH
3スリップにおけるNOx転化率を示す。
【
図5】
図5は、エージングした実施例5及び6の触媒の、様々な温度におけるアンモニア貯蔵能を示す。
【
図6】
図6は、実施例8、実施例8の出発材料及び比較例4のT-O-T結合DRIFTSを示す。
【
図7】
図7は、実施例8の第1の吸収ピークの下と第2の吸収ピークの下のピーク面積を用いたピークフィッティング分析(デコンボリューション図)を示す。
【
図8】
図8は、エージング(800℃で水熱エージング)した比較例6及び実施例13.1~13.3の触媒の、様々な温度での、最大時のNOx転化率を示す。
【
図9】
図9は、エージング(800℃で水熱エージング)した比較例6及び実施例13.1~13.3の触媒の、様々なCuO含有量での、235℃におけるNOx転化率を示す。
【
図10】
図10は、エージング(800℃で水熱エージング)実施例2の触媒の、様々な温度での、最大時のNOx転化率を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
工程(i)で調製される水性混合物について、そこに含有される銅を含むゼオライト材料が、ABW、ACO、AEI、AEL、AEN、AET、AFG、AFI、AFN、AFO、AFR、AFS、AFT、AFV、AFX、AFY、AHT、ANA、APC、APD、AST、ASV、ATN、ATO、ATS、ATT、ATV、AVL、AWO、AWW、BCT、BEA、BEC、BIK、BOF、BOG、BOZ、BPH、BRE、BSV、CAN、CAS、CDO、CFI、CGF、CGS、CHA、-CHI、-CLO、CON、CSV、CZP、DAC、DDR、DFO、DFT、DOH、DON、EAB、EDI、EEI、EMT、EON、EPI、ERI、ESV、ETR、EUO、*-EWT、EZT、FAR、FAU、FER、FRA、GIS、GIU、GME、GON、GOO、HEU、IFO、IFR、-IFU、IFW、IFY、IHW、IMF、IRN、IRR、-IRY、ISV、ITE、ITG、ITH、*-ITN、ITR、ITT、-ITV、ITW、IWR、IWS、IWV、IWW、JBW、JNT、JOZ、JRY、JSN、JSR、JST、JSW、KFI、LAU、LEV、LIO、-LIT、LOS、LOV、LTA、LTF、LTJ、LTL、LTN、MAR、MAZ、MEI、MEL、MEP、MER、MFI、MFS、MON、MOR、MOZ、*MRE、MSE、MSO、MTF、MTN、MTT、MTW、MVY、MWF、MWW、NAB、NAT、NES、NON、NPO、NPT、NSI、OBW、OFF、OKO、OSI、OSO、OWE、-PAR、PAU、PCR、PHI、PON、POS、PSI、PUN、RHO、-RON、RRO、RSN、RTE、RTH、RUT、RWR、RWY、SAF、SAO、SAS、SAT、SAV、SBE、SBN、SBS、SBT、SEW、SFE、SFF、SFG、SFH、SFN、SFO、SFS、*SFV、SFW、SGT、SIV、SOD、SOF、SOS、SSF、*-SSO、SSY、STF、STI、*STO、STT、STW、-SVR、SVV、SZR、TER、THO、TOL、TON、TSC、TUN、UEI、UFI、UOS、UOV、UOZ、USI、UTL、UWY、VET、VFI、VNI、VSV、WEI、-WEN、YUG、ZON、これらのうちの2種以上の混合物、及びこれらのうちの2種以上の混合型からなる群から選択される骨格型、より好ましくはCHA、AEI、RTH、LEV、DDR、KFI、ERI、AFXと、これらのうちの2種以上の混合物と、これらのうちの2種以上の混合型とからなる群から選択される骨格型、より好ましくはCHA、AEI、RTH、AFXと、これらのうちの2種以上の混合物と、これらのうちの2種以上の混合型とからなる群から選択される骨格型、より好ましくはCHA及びAEIからなる群から選択される骨格型を有することが好ましい。工程(i)で調製される水性混合物に含有される銅を含むゼオライト材料が、骨格型CHAを有することがより好ましい。
【0009】
ゼオライト材料の骨格構造の95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、Si、Al及びOからなることが好ましく、骨格構造において、SiのAlに対するモル比は、モルSiO2:Al2O3として計算され、より好ましくは2:1~50:1の範囲、より好ましくは5:1~45:1の範囲、より好ましくは10:1~35:1の範囲、より好ましくは16:1~28:1の範囲である。工程(i)で調製される水性混合物に含有される銅を含むゼオライト材料が、骨格型CHAを有し、モルSiO2:Al2O3として計算されるSiのAlに対するモル比が、2:1~50:1の範囲、より好ましくは5:1~45:1の範囲、より好ましくは10:1~35:1の範囲、より好ましくは16:1~28:1の範囲、より好ましくは16:1~19:1の範囲又はより好ましくは23:1~27:1の範囲であることがより好ましい。
【0010】
工程(i)で調製される水性混合物に含有される、より好ましくは骨格型CHAを有するゼオライト材料が、走査型電子顕微鏡により決定して、少なくとも0.1マイクロメートル、より好ましくは0.1~3.0マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.3~1.5マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.4~1.0マイクロメートルの範囲の平均結晶子サイズを有することが好ましい。
【0011】
工程(i)で調製される水性混合物に含有されるゼオライト材料は、本明細書の参照実施例1に記載のように決定して、400~650m2/gの範囲、好ましくは550~620m2/gの範囲のBET比表面積を有することが好ましい。
【0012】
工程(i)で調製される水性混合物に含有されるゼオライト材料に含まれる銅の量について、前記銅の量が、CuOとして計算して、工程(i)で調製される水性混合物に含まれるゼオライト材料の質量に基づいて、0.05~3.5質量%の範囲、より好ましくは0.1~3質量%の範囲、より好ましくは0.2~2質量%の範囲、より好ましくは0.5~1.75質量%の範囲、より好ましくは1~1.75質量%の範囲、又はより好ましくは1.9~2.5質量%の範囲であることが好ましい。
【0013】
工程(i)で調製される水性混合物に含有される銅を含むゼオライト材料以外の銅の源について、前記銅の源が、酢酸銅、硝酸銅、硫酸銅、ギ酸銅、酸化銅、及びこれらのうちの2種以上の混合物からなる群から選択される、より好ましくは酢酸銅、酸化銅、及びそれらの混合物からなる群から選択される、より好ましくは酸化銅、より好ましくはCuOであることが好ましい。
【0014】
工程(i)で調製される水性混合物が、銅を含むゼオライト材料以外の銅の源を、CuOとして計算して、工程(i)で調製される水性混合物に含まれるゼオライト材料の質量に基づいて、0.1~14質量%の範囲、好ましくは0.5~12質量%の範囲、より好ましくは1~10質量%の範囲、より好ましくは1.5~5.0質量%の範囲、より好ましくは1.5~4.5質量%の範囲の量で含むことが好ましい。工程(i)で調製される水性混合物が、銅を含むゼオライト材料以外の銅の源を、CuOとして計算して、工程(i)で調製される水性混合物に含まれるゼオライト材料の質量に基づいて、2.0~4.0質量%の範囲の量で含むことがより好ましい。
【0015】
従って、本発明は好ましくは、銅を含むゼオライト材料を含む触媒を調製するための方法に関し、この方法は、
(i) 水、銅を含むゼオライト材料、銅を含むゼオライト材料以外の銅の源、及びアルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリアと、Al、Si、Ti、Zr及びCeのうちの1種以上を含む混合酸化物と、これらのうちの2種以上の混合物とからなる群から選択される非ゼオライト酸性材料を含む水性混合物を調製する工程であって、ゼオライト材料が、CHA、AEI、RTH、LEV、DDR、KFI、ERI、AFXと、これらのうちの2種以上の混合物と、これらのうちの2種以上の混合型とからなる群から選択される骨格型、より好ましくはCHA、AEI、RTH、AFXと、これらのうちの2種以上の混合物と、これらのうちの2種以上の混合型とからなる群から選択される骨格型、より好ましくはCHA及びAEIからなる群から選択される骨格型を有し、より好ましくは骨格型CHAを有し、そして工程(i)で調製される水性混合物に含有される銅を含むゼオライト材料以外の銅の源が、酢酸銅、酸化銅、それらの混合物からなる群から選択され、より好ましくは酸化銅、より好ましくはCuOである、前記工程、
(ii) 入口端部と、出口端部と、前記入口端部から前記出口端部に延びる基材軸方向の長さと、基材を貫通すると共に基材の内壁によって規定される複数の通路とを含む基材における内壁の表面上において、工程(i)で得られた混合物を配置する工程、及び、場合により、混合物が上に配置されている基材を乾燥させる工程、
(iii) 工程(ii)で得られた基材をか焼する工程
を含む。
【0016】
本発明において、工程(i)で調製される水性混合物に含有される非ゼオライト酸性材料が、アルミナ、シリカ、チタニアと、Al、Si、及びTiのうちの1種以上を含む混合酸化物と、これらのうちの2種以上の混合物とからなる群から選択される、より好ましくはアルミナ、シリカと、Al及びSiのうちの1種以上を含む混合酸化物と、これらのうちの2種以上の混合物とからなる群から選択される、より好ましくはアルミナとシリカとの混合物であることが、好ましい。アルミナとシリカとの混合物の80~99質量%、より好ましくは85~98質量%、より好ましくは90~98質量%がアルミナからなり、そしてより好ましくはアルミナとシリカとの混合物の1~20質量%、より好ましくは2~15質量%、より好ましくは2~10質量%がシリカからなることが、より好ましい。
【0017】
工程(i)で調製される水性混合物が、工程(i)で調製される水性混合物に含まれるゼオライト材料の質量に基づいて、2~20質量%の範囲、より好ましくは5~15質量%の範囲、より好ましくは7~13質量%の範囲の量で、非ゼオライト酸性材料を含むことが好ましい。
【0018】
工程(i)で調製される水性混合物中に含まれる非ゼオライト酸性材料は、0.5~10マイクロメートルの範囲、好ましくは2~8マイクロメートルの範囲、より好ましくは4~6マイクロメートルの範囲のDv90を有することが好ましく、Dv90は、本明細書の参照実施例3に記載のように決定される。
【0019】
あるいは、工程(i)で調製される水性混合物中に含まれる非ゼオライト酸性材料が、12~30マイクロメートルの範囲、好ましくは13~25マイクロメートルの範囲、より好ましくは15~20マイクロメートルの範囲、より好ましくは17~19マイクロメートルの範囲のDv90を有することが好ましく、Dv90は本明細書の参照実施例3に記載のように決定される。
【0020】
好ましくは、工程(i)で調製される水性混合物において、水性混合物の10~90質量%、より好ましくは40~85質量%、より好ましくは55~80質量%が水からなる。
【0021】
工程(i)で調製される水性混合物について、水性混合物が酸性成分の前駆体をさらに含むことが好ましく、前駆体は、より好ましくはアルミニウム塩、ケイ素塩、ジルコニウム塩、及びチタン塩のうちの1種以上、より好ましくはジルコニウム塩、及びアルミニウム塩のうちの1種以上、より好ましくはジルコニウム塩、より好ましくはジルコニウムアセテートである。工程(i)で調製される水性混合物において、酸化物として、より好ましくはアルミナ、シリカ、ジルコニア又はチタニアとして計算される前駆体の量、より好ましくはZrO2として計算されるジルコニウム塩の量が、工程(i)で調製される水性混合物に含まれるゼオライト材料の質量に基づいて、1~10質量%の範囲、より好ましくは2~8質量%の範囲、より好ましくは3~7質量%の範囲であることがより好ましい。
【0022】
工程(i)で調製される水性混合物が、1種以上の追加の非ゼオライト酸性材料をさらに含むことが好ましく、1種以上の非ゼオライト酸性材料は、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア及びセリアと、Al、Si、Ti、Zr及びCeのうちの1種以上を含む混合酸化物と、これらのうちの2種以上の混合物とからなる群から選択される。
【0023】
工程(i)で調製される水性混合物について、水性混合物が、1種類以上の酸、より好ましくは2種の酸、より好ましくは2種の有機酸、より好ましくは酒石酸及び酢酸を、工程(i)で調製される水性混合物に含まれるゼオライト材料の質量に基づいて、より好ましくは0.1~2質量%の範囲、より好ましくは0.2~1.5質量%の範囲、より好ましくは0.4~1.2質量%の範囲の量で、さらに含むことが好ましい。
【0024】
工程(i)で調製される水性混合物が、水、銅を含むゼオライト材料、銅を含むゼオライト材料以外の銅の源、及びアルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリアと、Al、Si、Ti、Zr及びCeのうちの1種以上を含む混合酸化物と、これらのうちの2種以上の混合物とからなる群から選択される非ゼオライト酸性材料、及び前記で定義した1種以上の酸を含むことが好ましい。
【0025】
あるいは、工程(i)で調製される水性混合物が、水、銅を含むゼオライト材料、銅を含むゼオライト材料以外の銅の源、及びアルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリアと、Al、Si、Ti、Zr及びCeのうちの1種以上を含む混合酸化物と、これらのうちの2種以上の混合物とからなる群から選択される非ゼオライト酸性材料、前記で定義した酸性成分の前駆体、及びより好ましくは前記で定義した1種以上の酸を含むことが好ましい。
【0026】
工程(i)で調製される水性混合物が、炭素含有添加剤の粒子をさらに含むことが好ましく、工程(i)で調製される水性混合物に含有される炭素含有添加剤は、より好ましくは、グラファイト、合成グラファイト、カーボンブラック、グラフェン、ダイヤモンド、フラーレン、カーボンナノチューブ、及びアモルファスカーボンのうちの1種以上であり、より好ましくはグラファイト、合成グラファイト、グラフェン、フラーレン、カーボンナノチューブ、及びアモルファスカーボンのうちの1種以上であり、より好ましくはグラファイト、合成グラファイト、及びグラフェンのうちの1種以上であり、より好ましくはグラファイト及び合成グラファイトのうちの1種以上である。炭素含有添加剤は、120~900℃の範囲、好ましくは400~850℃の範囲、より好ましくは500~800℃の範囲の除去温度を有する。
【0027】
さらに、本発明において、「除去温度」という用語は、炭素含有添加剤の少なくとも95質量%が除去/燃焼除去される温度、好ましくは炭素含有添加剤の97~100質量%、より好ましくは炭素含有添加剤の98~100質量%が除去/燃焼除去される温度として理解されるべきである。よって本発明によれば、このことは、本発明の方法で使用される炭素含有添加剤のうち、最大でも5質量%、好ましくは0~3質量%、より好ましくは0~2質量%が、最終的な触媒中に存在することを意味する。
【0028】
工程(i)で調製される水性混合物中に含まれる炭素含有添加剤の粒子は、0.5~30マイクロメートルの範囲、より好ましくは2~15マイクロメートルの範囲、より好ましくは3~12マイクロメートルの範囲、より好ましくは4~10マイクロメートルの範囲、より好ましくは5~8マイクロメートルの範囲のDv50を有することが好ましく、Dv50は本明細書の参照実施例3に従い決定される。
【0029】
あるいは、工程(i)で調製される水性混合物中に含まれる炭素含有添加剤の粒子は、0.5~30マイクロメートルの範囲、より好ましくは1~22マイクロメートルの範囲、より好ましくは2~20マイクロメートルの範囲、より好ましくは5~19マイクロメートルの範囲のDv50を好ましくは有し、Dv50は本明細書の参照実施例3に従い決定される。
【0030】
工程(i)で調製される水性混合物中に含まれる炭素含有添加剤の粒子が、4~60マイクロメートルの範囲、より好ましくは6~30マイクロメートルの範囲、より好ましくは8~20マイクロメートルの範囲、より好ましくは9~14マイクロメートルの範囲、より好ましくは10~13マイクロメートルの範囲のDv90を有することがより好ましく、Dv90は本明細書の参照実施例3に従い決定される。
【0031】
あるいは、工程(i)で調製される水性混合物中に含まれる炭素含有添加剤の粒子が、4~80マイクロメートルの範囲、より好ましくは4.5~60マイクロメートルの範囲、より好ましくは5~45マイクロメートルの範囲のDv90を有することが好ましく、Dv90は本明細書の参照実施例3に従い決定される。
【0032】
工程(i)で調製される水性混合物に含まれる炭素含有添加剤の粒子は、水に溶解しないことが好ましく、より好ましくは10~40℃の範囲、より好ましくは15~35℃の範囲、より好ましくは17~25℃の範囲の温度で水に溶解しないことが好ましい。
【0033】
工程(i)で調製される水性混合物が、工程(i)で調製される水性混合物中のゼオライト材料及び非ゼオライト酸性材料の質量に基づいて、2~40質量%の範囲、より好ましくは4~30質量%の範囲、より好ましくは5~25質量%の範囲、より好ましくは5.5~15質量%の範囲の量で、炭素含有添加剤の粒子を含むことが好ましい。
【0034】
あるいは、工程(i)で調製される水性混合物中に含まれる炭素含有添加剤が、ポリアクリレート、微結晶セルロース、コーンスターチ、スチレン、ポリ(メチルメタクリレート-コ-エチレングリコール)、ポリメチルウレア、及びポリメチルメタクリレートのうちの1種以上、より好ましくはポリメチルウレア及びポリメチルメタクリレートのうちの1種以上、より好ましくはポリメチルウレア、又はより好ましくはポリメチルメタクリレートであることが好ましい。炭素含有添加剤が、150~550℃の範囲、より好ましくは180~500℃の範囲の除去温度を有することがより好ましい。
【0035】
本発明において、工程(i)で調製される水性混合物の好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、水、銅を含むゼオライト材料、銅を含むゼオライト材料以外の銅の源、及びアルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリアと、Al、Si、Ti、Zr及びCeのうちの1種以上を含む混合酸化物と、これらのうちの2種以上の混合物とからなる群から選択される非ゼオライト酸性材料、及びより好ましくは前記で定義した1種以上の酸からなる。
【0036】
あるいは、工程(i)で調製される水性混合物の98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、水、銅を含むゼオライト材料、銅を含むゼオライト材料以外の銅の源、及びアルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリアと、Al、Si、Ti、Zr及びCeのうちの1種以上を含む混合酸化物と、これらのうちの2種以上の混合物とからなる群から選択される非ゼオライト酸性材料、前記で定義した酸性成分の前駆体、及びより好ましくは前記で定義した1種以上の酸からなることが好ましい。
【0037】
さらなる代替として、工程(i)で調製される水性混合物の98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、水、銅を含むゼオライト材料、銅を含むゼオライト材料以外の銅の源、及びアルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリアと、Al、Si、Ti、Zr及びCeのうちの1種以上を含む混合酸化物と、これらのうちの2種以上の混合物とからなる群から選択される非ゼオライト酸性材料、前記で定義した酸性成分の前駆体、炭素含有添加剤の粒子、及びより好ましくは前記で定義した1種以上の酸からなることが好ましい。
【0038】
工程(i)について、これが、
(i.1) 水と、銅を含むゼオライト材料以外の銅の源とを含む第1の混合物を調製する工程、
(i.2) より好ましくは第1の混合物を粉砕する工程であって、より好ましくは第1の混合物の粒子が0.5~20マイクロメートルの範囲のDv90を有するようになるまで粉砕する工程(Dv90は参照実施例3に記載のように決定される)、
(i.3) 場合により、前記で定義した酸性成分の前駆体を、工程(i.1)、より好ましくは工程(i.2)により得られた第1の混合物に加える工程、
(i.4) 水と、銅を含むゼオライト材料とを含む第2の混合物を調製する工程、
(i.5) 工程(i.4)で得られた第2の混合物を、工程(i.1)で、より好ましくは工程(i.2)又は工程(i.3)で得られた第1の混合物と混合して、第3の混合物を得る工程、
(i.6) 水、及び、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリアと、Al、Si、Ti、Zr及びCeのうちの1種以上を含む混合酸化物と、これらのうちの2種以上の混合物とからなる群から選択される非ゼオライト酸性材料、及びより好ましくは酸、より好ましくは有機酸、より好ましくは酒石酸を含む、第4の混合物を調製する工程、
(i.7) 工程(i.6)で得られた第4の混合物と、工程(i.5)で得られた第3の混合物とを、より好ましくは酸、より好ましくは有機酸、より好ましくは酢酸を添加し、そして場合により、前記で定義した炭素含有添加剤の粒子を酸より先に添加して、混合する工程
を含むことが好ましく、
工程(i)は、場合により、工程(i.1)~(i.7)からなる。
【0039】
従って、本発明は好ましくは、銅を含むゼオライト材料を含む触媒を調製するための方法に関し、この方法は、
(i) 水、銅を含むゼオライト材料、銅を含むゼオライト材料以外の銅の源、及びアルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリアと、Al、Si、Ti、Zr及びCeのうちの1種以上を含む混合酸化物と、これらのうちの2種以上の混合物とからなる群から選択される非ゼオライト酸性材料を含む水性混合物を調製する工程であって、ゼオライト材料が、CHA、AEI、RTH、LEV、DDR、KFI、ERI、AFXと、これらのうちの2種以上の混合物と、これらのうちの2種以上の混合型とからなる群から選択される骨格型、より好ましくはCHA、AEI、RTH、AFXと、これらのうちの2種以上の混合物と、これらのうちの2種以上の混合型とからなる群から選択される骨格型、より好ましくはCHA及びAEIからなる群から選択される骨格型を有し、より好ましくは骨格型CHAを有し、そして工程(i)で調製される水性混合物に含有される銅を含むゼオライト材料以外の銅の源が、酢酸銅、酸化銅、それらの混合物からなる群から選択され、より好ましくは酸化銅、より好ましくはCuOであり、ここで工程(i)が、
(i.1) 水と、銅を含むゼオライト材料以外の銅の源とを含む第1の混合物を調製する工程、
(i.2) より好ましくは第1の混合物を粉砕する工程であって、より好ましくは第1の混合物の粒子が0.5~20マイクロメートルの範囲のDv90を有するようになるまで粉砕する工程(Dv90は参照実施例3に記載のように決定される)、
(i.3) 場合により、前記で定義した酸性成分の前駆体を、工程(i.1)、より好ましくは工程(i.2)により得られた第1の混合物に加える工程、
(i.4) 水と、銅を含むゼオライト材料とを含む第2の混合物を調製する工程、
(i.5) 工程(i.4)で得られた第2の混合物を、工程(i.1)で、より好ましくは工程(i.2)又は工程(i.3)で得られた第1の混合物と混合して、第3の混合物を得る工程、
(i.6) 水、及び、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリアと、Al、Si、Ti、Zr及びCeのうちの1種以上を含む混合酸化物と、これらのうちの2種以上の混合物とからなる群から選択される非ゼオライト酸性材料、及びより好ましくは酸、より好ましくは有機酸、より好ましくは酒石酸を含む、第4の混合物を調製する工程、
(i.7) 工程(i.6)で得られた第4の混合物と、工程(i.5)で得られた第3の混合物とを、より好ましくは酸、より好ましくは有機酸、より好ましくは酢酸を添加し、そして場合により、上記で定義した炭素含有添加剤の粒子を酸より先に添加して、混合する工程、を含む、前記工程、
(ii) 入口端部と、出口端部と、前記入口端部から前記出口端部に延びる基材軸方向の長さと、基材を貫通すると共に基材の内壁によって規定される複数の通路とを含む基材における内壁の表面上において、工程(i.7)で得られた混合物を配置する工程、そして場合により混合物が上に配置されている基材を乾燥させる工程、
(iii) 工程(ii)で得られた基材をか焼する工程
を含む。
【0040】
本発明において、銅を含むゼオライト材料以外の銅の源の好ましくは90~100質量%、より好ましくは93~99質量%、より好ましくは96~99質量%が、溶解していない状態で工程(i.1)及び工程(i.2)で調製する混合物中に存在する。
【0041】
工程(i.2)における粉砕について、第1の混合物の粒子が、4~15マイクロメートルの範囲、より好ましくは6~12マイクロメートルの範囲のDv90を有するようになるまでこれを行うことが好ましく、Dv90は参照実施例3に記載のように決定される。
【0042】
(i.1)で、より好ましくは工程(i.2)で得られる第1の混合物が、第1の混合物の質量に基づいて、4~30質量%の範囲、より好ましくは4~15質量%の範囲の固形分を有することが好ましい。
【0043】
工程(i.4)で得られる第2の混合物が、第2の混合物の質量に基づいて、15~50質量%の範囲、より好ましくは20~45質量%の範囲、より好ましくは30~40質量%の範囲の固形分を有することが好ましい。工程(i.1)で、より好ましくは工程(i.2)で得られる第1の混合物が、第1の混合物の質量に基づいて、4~30質量%の範囲、好ましくは4~15質量%の範囲の固形分を有し、工程(i.4)で得られる第2の混合物が、第2の混合物の質量に基づいて、15~50質量%の範囲、より好ましくは20~45質量%の範囲、より好ましくは30~40質量%の範囲の固形分を有することがより好ましい。
【0044】
工程(i.5)について、これが第3の混合物の粉砕をさらに含むことが好ましく、より好ましくは第3の混合物の粒子が、0.5~20マイクロメートルの範囲、より好ましくは2~15マイクロメートルの範囲、より好ましくは2~10マイクロメートルの範囲のDv90を有するようになるまで粉砕し、Dv90は参照実施例3に記載のように決定される。
【0045】
工程(i.6)で得られる第4の混合物が、第4の混合物の質量に基づいて、15~60質量%の範囲、より好ましくは25~45質量%の範囲、より好ましくは28~40質量%の範囲の固形分を有することが好ましい。
【0046】
工程(i)で、より好ましくは工程(i.7)で得られる水性混合物が、水性混合物の質量に基づいて、15~50質量%の範囲、より好ましくは20~45質量%の範囲、より好ましくは30~40質量%の範囲の固形分を有することが好ましい。
【0047】
工程(ii)による混合物の配置は、混合物を基材に噴霧することによって、又は基材を混合物に浸漬することによって、より好ましくは基材を混合物に浸漬することによって行うことが好ましい。
【0048】
工程(ii)により、工程(i)による混合物を、基材の入口端部から出口端部まで、又は基材の出口端部から入口端部まで、基材軸方向の長さのx%にわたって配置することが好ましく、ここでxは80~100の範囲、より好ましくは90~100の範囲、より好ましくは95~100の範囲、より好ましくは98~100の範囲である。
【0049】
工程(ii)の基材は、ウォールフローフィルター基材、より好ましくはコーディエライトウォールフローフィルター基材、シリコンカーバイドウォールフローフィルター基材及びアルミニウムチタネートウォールフローフィルター基材のうちの1種以上、より好ましくはシリコンカーバイドウォールフローフィルター基材及びアルミニウムチタネートウォールフローフィルター基材のうちの1種以上、より好ましくはシリコンカーバイドウォールフローフィルター基材であることが好ましい。
【0050】
工程(ii)の基材が、ハニカム状に配列された複数のチャネルを有するウォールフローフィルターであることがより好ましい。1平方インチ当たりのチャネル数(cpsi)は、より好ましくは、200~800の範囲、より好ましくは250~500の範囲、より好ましくは300~400の範囲であり、平均壁厚は6~15mil、より好ましくは8~13milの範囲である。
【0051】
工程(ii)の基材がフロースルー基材、より好ましくは、コージェライトフロースルー基材、シリコンカーバイドフロースルー基材及びアルミニウムチタネートフロースルー基材のうちの1種以上、より好ましくはシリコンカーバイドフロースルー基材及びコージェライトフロースルー基材のうちの1種以上、より好ましくはコージェライトフロースルー基材であることが、代替として好ましい。
【0052】
従って、本発明は好ましくは、銅を含むゼオライト材料を含む触媒を調製するための方法に関し、この方法は、
(i) 水、銅を含むゼオライト材料、銅を含むゼオライト材料以外の銅の源、及びアルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリアと、Al、Si、Ti、Zr及びCeのうちの1種以上を含む混合酸化物と、これらのうちの2種以上の混合物とからなる群から選択される非ゼオライト酸性材料を含む水性混合物を調製する工程であって、ゼオライト材料が、CHA、AEI、RTH、LEV、DDR、KFI、ERI、AFXと、これらのうちの2種以上の混合物と、これらのうちの2種以上の混合型とからなる群から選択される骨格型、より好ましくはCHA、AEI、RTH、AFXと、これらのうちの2種以上の混合物と、これらのうちの2種以上の混合型とからなる群から選択される骨格型、より好ましくはCHA及びAEIからなる群から選択される骨格型を有し、より好ましくは骨格型CHAを有し、そして工程(i)で調製される水性混合物に含有される銅を含むゼオライト材料以外の銅の源が、酢酸銅、酸化銅、それらの混合物からなる群から選択され、より好ましくは酸化銅、より好ましくはCuOである、前記工程、
(ii) 入口端部と、出口端部と、前記入口端部から前記出口端部に延びる基材軸方向の長さと、基材を貫通すると共に基材の内壁によって規定される複数の通路とを含む基材における内壁の表面上において、工程(i)で得られた混合物を配置する工程、及び、場合により、混合物が上に配置されている基材を乾燥させる工程であって、工程(ii)により、工程(i)による混合物を、基材の入口端部から出口端部まで、又は基材の出口端部から入口端部まで、基材軸方向の長さのx%にわたって配置し、xが80~100の範囲、より好ましくは90~100の範囲、より好ましくは95~100の範囲、より好ましくは98~100の範囲である、工程、
(iii) 工程(ii)で得られた基材をか焼する工程
を含み、
工程(ii)の基材が、より好ましくはウォールフローフィルター基材、より好ましくはコーディエライトウォールフローフィルター基材、シリコンカーバイドウォールフローフィルター基材及びアルミニウムチタネートウォールフローフィルター基材のうちの1種以上、より好ましくはシリコンカーバイドウォールフローフィルター基材及びアルミニウムチタネートウォールフローフィルター基材のうちの1種以上、より好ましくはシリコンカーバイドウォールフローフィルター基材である。
【0053】
本発明において、工程(ii)による乾燥は、60~300℃の範囲、より好ましくは90~150℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で行うことが好ましく、ガス雰囲気は、より好ましくは酸素を含む。
【0054】
工程(ii)による乾燥について、これをガス雰囲気中で、10分~4時間の範囲、より好ましくは20分~3時間の範囲、より好ましくは50分~2.5時間の範囲の持続期間で行うことが好ましく、ガス雰囲気は、より好ましくは酸素を含む。
【0055】
工程(ii)による配置は、
(ii.1) 入口端部と、出口端部と、前記入口端部から前記出口端部に延びる基材軸方向の長さと、基材を貫通すると共に基材の内壁によって規定される複数の通路とを含む基材における内壁の表面上において、工程(i)で得られた混合物の第1の部分を配置する工程、及び混合物の第1の部分が上に配置されている基材を乾燥させる工程、
(ii.2) 工程(i)で得られた混合物の第2の部分を、工程(ii.1)で得られた混合物の第1の部分が上に配置されている基材上に配置する工程、及び、場合により、混合物の第1の部分及び第2の部分が上に配置されている基材を乾燥させる工程
を含むことが好ましい。
【0056】
工程(i)で得られた混合物の第1の部分を工程(ii.1)により基材における内壁の表面上において配置する前に、工程(i)で得られた混合物をさらに希釈することが好ましい。
【0057】
工程(i)で得られた混合物の第2の部分を工程(ii.2)により基材における内壁の表面上において配置する前に、工程(i)で得られた混合物をさらに希釈することが好ましい。
【0058】
工程(ii.1)により、工程(i)による混合物の第1の部分を、基材の入口端部から出口端部まで、又は基材の出口端部から入口端部まで、基材軸方向の長さのx1%にわたって配置することが好ましく、ここでx1は80~100の範囲、より好ましくは90~100の範囲、より好ましくは95~100の範囲、より好ましくは98~100の範囲である。工程(ii.2)により、工程(i)による混合物の第2の部分を、基材の入口端部から出口端部まで、又は基材の出口端部から入口端部まで、基材軸方向の長さのx2%にわたって配置することがより好ましく、ここでx2は80~100の範囲、より好ましくは90~100の範囲、より好ましくは95~100の範囲、より好ましくは98~100の範囲であり、より好ましくはx2はx1である。
【0059】
従って、本発明は好ましくは、銅を含むゼオライト材料を含む触媒を調製するための方法に関し、この方法は、
(i) 水、銅を含むゼオライト材料、銅を含むゼオライト材料以外の銅の源、及びアルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリアと、Al、Si、Ti、Zr及びCeのうちの1種以上を含む混合酸化物と、これらのうちの2種以上の混合物とからなる群から選択される非ゼオライト酸性材料を含む水性混合物を調製する工程であって、ゼオライト材料が、CHA、AEI、RTH、LEV、DDR、KFI、ERI、AFXと、これらのうちの2種以上の混合物と、これらのうちの2種以上の混合型とからなる群から選択される骨格型、より好ましくはCHA、AEI、RTH、AFXと、これらのうちの2種以上の混合物と、これらのうちの2種以上の混合型とからなる群から選択される骨格型、より好ましくはCHA及びAEIからなる群から選択される骨格型を有し、より好ましくは骨格型CHAを有し、そして工程(i)で調製される水性混合物に含有される銅を含むゼオライト材料以外の銅の源が、酢酸銅、酸化銅、それらの混合物からなる群から選択され、より好ましくは酸化銅、より好ましくはCuOである、前記工程、
(ii) 入口端部と、出口端部と、前記入口端部から前記出口端部に延びる基材軸方向の長さと、基材を貫通すると共に基材の内壁によって規定される複数の通路とを含む基材における内壁の表面上において、工程(i)で得られた混合物を配置する工程、及び、場合により、混合物が上に配置されている基材を乾燥させる工程であって、ここで工程(ii)が、
(ii.1) 入口端部と、出口端部と、前記入口端部から前記出口端部に延びる基材軸方向の長さと、基材を貫通すると共に基材の内壁によって規定される複数の通路とを含む基材における内壁の表面上において、工程(i)で得られた混合物の第1の部分を配置する工程、及び混合物の第1の部分が上に配置されている基材を乾燥させる工程(ここでより好ましくは、工程(i)による混合物の第1の部分を、工程(ii.1)により、基材の入口端部から出口端部まで、又は基材の出口端部から入口端部まで、基材軸方向の長さのx1%にわたって配置し、ここでx1は80~100の範囲、より好ましくは90~100の範囲、より好ましくは95~100の範囲、より好ましくは98~100の範囲である)、
(ii.2) 工程(i)で得られた混合物の第2の部分を、工程(ii.1)で得られた混合物の第1の部分が上に配置されている基材上に配置すること、及び場合により、混合物の第1の部分及び第2の部分が上に配置されている基材を乾燥させること(ここでより好ましくは、工程(ii.2)により、工程(i)による混合物の第2の部分を、基材の入口端部から出口端部まで、又は基材の出口端部から入口端部まで、基材軸方向の長さのx2%にわたって配置し、ここでx2は80~100の範囲、より好ましくは90~100の範囲、より好ましくは95~100の範囲、より好ましくは98~100の範囲であり、より好ましくはx2はx1である)、を含む、前記工程
(iii) 工程(ii.2)で得られた基材をか焼する工程、
を含む。
【0060】
本発明において、工程(ii.1)による乾燥は、60~300℃の範囲の温度、より好ましくは90~150℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で行うことが好ましく、ガス雰囲気は、より好ましくは酸素を含む。
【0061】
工程(ii.1)による乾燥について、これをガス雰囲気中で、10分~4時間の範囲、より好ましくは20分~3時間の範囲、より好ましくは50分~2.5時間の範囲の持続期間で行うことが好ましく、ガス雰囲気は、より好ましくは酸素を含む。
【0062】
工程(ii.2)による乾燥について、これを60~300℃の範囲、より好ましくは90~150℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で行うことが好ましく、ガス雰囲気は、より好ましくは酸素を含む。
【0063】
工程(ii.2)による乾燥について、これをガス雰囲気中で、10分~4時間の範囲、より好ましくは20分~3時間の範囲、より好ましくは50分~2.5時間の範囲の持続期間で行うことが好ましく、ガス雰囲気は、より好ましくは酸素を含む。
【0064】
工程(iii)によるか焼について、これを300~900℃の範囲、より好ましくは400~650℃の範囲、より好ましくは400~500℃の範囲、又はより好ましくは550~600℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で行うことが好ましく、ガス雰囲気は、より好ましくは酸素を含む。あるいは、これを700~900℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で行うことが好ましく、ガス雰囲気は、より好ましくは酸素を含む。
【0065】
工程(iii)によるか焼について、これを0.1~4時間の範囲、より好ましくは0.5~2.5時間の範囲の持続期間で、ガス雰囲気中で行うことが好ましく、ガス雰囲気は、より好ましくは酸素を含む。
【0066】
工程(iii)で得られる基材中に含まれるゼオライト材料中に含まれる銅(CuOとして計算)の、工程(i)による混合物中に含まれるゼオライト材料中に含まれる銅(CuOとして計算)に対する質量比が、1.5:1~10:1の範囲、好ましくは2:1~5:1の範囲、より好ましくは2:1~4:1の範囲であることが好ましい。
【0067】
本発明による方法が、工程(i)、(ii)及び(iii)からなることが好ましい。
【0068】
本発明による銅を含むゼオライト材料を含む触媒を調製するための方法において、工程(i)により調製する水性混合物が、本発明による、且つ本明細書中以下の段落IIで開示する水性混合物であることが好ましい。
【0069】
本発明はさらに、銅を含むゼオライト材料を含む触媒に関するものであり、前記触媒は、本発明による触媒を調製するための方法によって得られるか又は得ることができるものである。
【0070】
触媒に含まれる銅の量は、CuOとして計算して、ゼオライト材料の質量に基づいて、2~10質量%の範囲、より好ましくは2.5~5.5質量%の範囲、より好ましくは2.5~5質量%の範囲であることが好ましい。
【0071】
触媒に含まれる銅の、好ましくは75~100質量%、より好ましくは78~100質量%、より好ましくは80~100質量%が、ゼオライト材料に含まれる。
【0072】
触媒に含まれるゼオライト中の銅の量が、工程(i)による混合物に含有されるゼオライト材料に含まれる銅の量よりも多いことが好ましい。
【0073】
触媒が、0.8~2.6g/in3の範囲、より好ましくは1.2~2.2g/in3の範囲、より好ましくは1.5~2.2g/in3の範囲の担持量でゼオライト材料を含むことが好ましい。
【0074】
触媒が、0.02~0.52g/in3の範囲、より好ましくは0.1~0.42g/in3の範囲、より好ましくは0.1~0.21g/in3の範囲の担持量で非ゼオライト酸性材料を含むことが好ましい。
【0075】
触媒が、ゼオライト材料の質量に基づいて、2~20質量%の範囲、より好ましくは5~15質量%の範囲、より好ましくは7~13質量%の範囲の量で、非ゼオライト酸性材料を含むことが好ましい。
【0076】
触媒が酸性成分をさらに含むことが好ましく、酸性成分は、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニアと、Si、Al、Zr及びTiのうちの2種以上を含む混合酸化物と、これらのうちの2種以上の混合物とからなる群から選択され、より好ましくはアルミナ、ジルコニアと、Al及びZrの混合酸化物と、それらの混合物とからなる群から選択され、酸性成分はより好ましくはジルコニアである。触媒が、0.2~0.26g/in3の範囲、より好ましくは0.4~0.2g/in3の範囲、より好ましくは0.06~0.14g/in3の範囲の担持量で、酸性成分を含むことがより好ましい。
【0077】
触媒が、基材の内壁の表面に配置されたコーティングを含むことが好ましく、コーティングは、銅を含むゼオライト材料、非ゼオライト酸性材料、及び場合により、前記で定義した酸性成分を含む。コーティングが、基材の内壁の表面上に、基材軸方向の長さの80~100%にわたって、より好ましくは90~100%にわたって、より好ましくは95~100%にわたって、より好ましくは98~100%にわたって、配置されることがより好ましい。
【0078】
本発明の触媒は、好ましくは、実施例2で定義するように決定されるNOx活性を示し、これは工程(I1)に置き換えられた工程(i)を除き同じ方法で調製した触媒のNOx活性よりも高い。ここで工程(I1)は、水、H型のゼオライト材料、銅の源、及びアルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリアと、Al、Si、Ti、Zr及びCeのうちの1種以上を含む混合酸化物と、これらのうちの2種以上の混合物とからなる群から選択される非ゼオライト酸性材料を含む水性混合物の調製を含み、
工程(I1)で調製される水性混合物中に含まれる銅の量は、CuOとして計算して、工程(i)で調製される水性混合物中に含まれる銅の量と等しく、工程(i)で調製される水性混合物中に含まれる銅の量は、工程(i)で使用される銅を含むゼオライト材料中に含まれる銅の量と、工程(i)で使用される銅の源からの銅の量とを含む。
【0079】
触媒が、実施例2で定義するように決定されるNOx転化活性を有し、このNOx転化活性が、同じ条件下で同じ担持量を用いる本発明の方法によって得られるか又は得ることができる触媒以外の、銅を含むゼオライト材料を含む触媒のNOx転化活性よりも高いことが好ましい。
【0080】
本発明による触媒に含まれる銅を含むゼオライト材料が、本発明による、且つ本明細書中以下の段落III.で開示するゼオライト材料であることが好ましい。
【0081】
好ましくは、触媒の98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、銅を含むゼオライト材料、及びアルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリアと、Al、Si、Ti、Zr及びCeのうちの1種以上を含む混合酸化物と、これらのうちの2種以上の混合物とからなる群から選択される非ゼオライト酸性材料、及び基材からなる。あるいは、触媒の98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、銅を含むゼオライト材料、及びアルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリアと、Al、Si、Ti、Zr及びCeのうちの1種以上を含む混合酸化物と、これらのうちの2種以上の混合物とからなる群から選択される非ゼオライト酸性材料、及び基材、並びに前記で定義した酸性成分からなることが好ましい。
【0082】
本発明の触媒は、選択的触媒還元触媒であることが好ましい。
【0083】
本発明はさらに、本発明による触媒を、窒素酸化物の選択的触媒還元のために使用する方法に関するものである。
【0084】
本発明はさらに、窒素酸化物を選択的に触媒還元する方法に関するものであり、ここで窒素酸化物は排気ガス流中に含まれており、前記方法は、
(1) 好ましくは圧縮点火エンジンからの、排気ガス流を提供すること、
(2) (1)で提供された排気ガス流を、本発明による選択的触媒還元触媒に通すこと
を含む。
【0085】
本発明はさらに、圧縮点火エンジンから出る排気ガス流を処理するための排気ガス処理システムに関するものであり、前記排気ガス処理システムは、前記排気ガス流を前記排気ガス処理システムに導入するための上流端を有し、前記排気ガス処理システムは、本発明による触媒と、ディーゼル酸化触媒、選択的触媒還元触媒、アンモニア酸化触媒、NOxトラップ、及び微粒子フィルタのうちの1種以上とを含む。
【0086】
排気ガス処理システムは、好ましくは、エンジンの下流且つ本発明による触媒の上流に配置されたディーゼル酸化触媒を含み、場合により、前記ディーゼル酸化触媒がNOx貯蔵機能を含有する。
【0087】
排気ガス処理システムは、好ましくは、本発明による触媒の下流に配置された選択的触媒還元触媒及びアンモニア酸化触媒のうちの1種以上をさらに含む。
【0088】
排気ガス処理システムは、ディーゼル酸化触媒の下流且つ本発明による触媒の上流に配置された選択的触媒還元触媒をさらに含むことが好ましい。
【0089】
II. 水性混合物及び前記混合物の調製方法
本発明はさらに、水、銅を含むゼオライト材料、銅を含むゼオライト材料以外の銅の源、及びアルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリアと、Al、Si、Ti、Zr及びCeのうちの1種以上を含む混合酸化物と、これらのうちの2種以上の混合物とからなる群から選択される非ゼオライト酸性材料を含む水性混合物に関するものである。
【0090】
銅を含むゼオライト材料が、ABW、ACO、AEI、AEL、AEN、AET、AFG、AFI、AFN、AFO、AFR、AFS、AFT、AFV、AFX、AFY、AHT、ANA、APC、APD、AST、ASV、ATN、ATO、ATS、ATT、ATV、AVL、AWO、AWW、BCT、BEA、BEC、BIK、BOF、BOG、BOZ、BPH、BRE、BSV、CAN、CAS、CDO、CFI、CGF、CGS、CHA、-CHI、-CLO、CON、CSV、CZP、DAC、DDR、DFO、DFT、DOH、DON、EAB、EDI、EEI、EMT、EON、EPI、ERI、ESV、ETR、EUO、*-EWT、EZT、FAR、FAU、FER、FRA、GIS、GIU、GME、GON、GOO、HEU、IFO、IFR、-IFU、IFW、IFY、IHW、IMF、IRN、IRR、-IRY、ISV、ITE、ITG、ITH、*-ITN、ITR、ITT、-ITV、ITW、IWR、IWS、IWV、IWW、JBW、JNT、JOZ、JRY、JSN、JSR、JST、JSW、KFI、LAU、LEV、LIO、-LIT、LOS、LOV、LTA、LTF、LTJ、LTL、LTN、MAR、MAZ、MEI、MEL、MEP、MER、MFI、MFS、MON、MOR、MOZ、*MRE、MSE、MSO、MTF、MTN、MTT、MTW、MVY、MWF、MWW、NAB、NAT、NES、NON、NPO、NPT、NSI、OBW、OFF、OKO、OSI、OSO、OWE、-PAR、PAU、PCR、PHI、PON、POS、PSI、PUN、RHO、-RON、RRO、RSN、RTE、RTH、RUT、RWR、RWY、SAF、SAO、SAS、SAT、SAV、SBE、SBN、SBS、SBT、SEW、SFE、SFF、SFG、SFH、SFN、SFO、SFS、*SFV、SFW、SGT、SIV、SOD、SOF、SOS、SSF、*-SSO、SSY、STF、STI、*STO、STT、STW、-SVR、SVV、SZR、TER、THO、TOL、TON、TSC、TUN、UEI、UFI、UOS、UOV、UOZ、USI、UTL、UWY、VET、VFI、VNI、VSV、WEI、-WEN、YUG、ZON、これらのうちの2種以上の混合物、及びこれらのうちの2種以上の混合型からなる群から選択される骨格型を有することが好ましい。銅を含むゼオライト材料が、CHA、AEI、RTH、LEV、DDR、KFI、ERI、AFXと、これらのうちの2種以上の混合物と、これらのうちの2種以上の混合型とからなる群から選択される骨格型、より好ましくはCHA、AEI、RTH、AFXと、これらのうちの2種以上の混合物と、これらのうちの2種以上の混合型とからなる群から選択される骨格型、より好ましくはCHA及びAEIからなる群から選択される骨格型を有することがより好ましい。銅を含むゼオライト材料が、骨格型CHAを有することがより好ましい。
【0091】
ゼオライト材料の骨格構造の好ましくは95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、Si、Al及びOからなり、骨格構造において、SiのAlに対するモル比は、モルSiO2:Al2O3として計算され、より好ましくは2:1~50:1の範囲、より好ましくは5:1~45:1の範囲、より好ましくは10:1~35:1の範囲、より好ましくは16:1~28:1の範囲である。銅を含むゼオライト材料が、骨格型CHAを有し、モルSiO2:Al2O3として計算されるSiのAlに対するモル比が、2:1~50:1の範囲、より好ましくは5:1~45:1の範囲、より好ましくは10:1~35:1の範囲、より好ましくは16:1~28:1の範囲、より好ましくは16:1~19:1の範囲又はより好ましくは23:1~27:1の範囲であることがより好ましい。
【0092】
ゼオライト材料、より好ましくは骨格型CHAを有するゼオライト材料が、走査型電子顕微鏡により決定して、少なくとも0.1マイクロメートル、より好ましくは0.1~3.0マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.3~1.5マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.4~1.0マイクロメートルの範囲の平均結晶子サイズを有することが好ましい。
【0093】
ゼオライト材料に含まれる銅の量が、CuOとして計算して、ゼオライト材料の質量に基づいて、0.05~3.5質量%の範囲、より好ましくは0.1~3質量%の範囲、より好ましくは0.2~2質量%の範囲、より好ましくは0.5~1.75質量%の範囲、より好ましくは1~1.75質量%の範囲、又はより好ましくは1.9~2.5質量%の範囲であることが好ましい。
【0094】
銅を含むゼオライト材料以外の銅の源が、酢酸銅、硝酸銅、硫酸銅、ギ酸銅、酸化銅、及びこれらのうちの2種以上の混合物からなる群から選択される、より好ましくは酢酸銅、酸化銅、及びこれらのうちの2種以上の混合物からなる群から選択される、より好ましくは酸化銅、より好ましくはCuOであることが好ましい。
【0095】
水性混合物が、銅を含むゼオライト材料以外の銅の源を、CuOとして計算して、ゼオライト材料の質量に基づいて、0.1~14質量%の範囲、より好ましくは0.5~12質量%の範囲、より好ましくは1~10質量%の範囲、より好ましくは1.5~5質量%の範囲、より好ましくは1.5~4.5質量%の範囲の量で含むことが好ましい。水性混合物が、銅を含むゼオライト材料以外の銅の源を、CuOとして計算して、ゼオライト材料の質量に基づいて、1.5~4質量%の範囲の量で含むことがより好ましい。銅を含むゼオライト材料以外の銅の源が、酢酸銅、酸化銅、及びこれらのうちの2種以上の混合物からなる群から選択される、より好ましくは酸化銅、より好ましくはCuOであることがより好ましく、水性混合物は、銅を含むゼオライト材料以外の前記銅の源を、CuOとして計算して、ゼオライト材料の質量に基づいて、0.5~12質量%の範囲、より好ましくは1~10質量%の範囲、より好ましくは1.5~5質量%の範囲、より好ましくは1.5~4質量%の範囲の量で含む。
【0096】
非ゼオライト酸性材料が、アルミナ、シリカ、チタニアと、Al、Si、及びTiのうちの1種以上を含む混合酸化物と、これらのうちの2種以上の混合物とからなる群から選択される、好ましくはアルミナ、シリカと、Al及びSiのうちの1種以上を含む混合酸化物と、これらのうちの2種の混合物とからなる群から選択される、より好ましくはアルミナとシリカとの混合物であることが好ましい。アルミナとシリカとの混合物の80~99質量%、より好ましくは85~98質量%、より好ましくは90~98質量%がアルミナからなり、そしてより好ましくはアルミナとシリカとの混合物の1~20質量%、より好ましくは2~15質量%、より好ましくは2~10質量%がシリカからなることがより好ましい。
【0097】
水性混合物は、好ましくは、ゼオライト材料の質量に基づいて、2~20質量%の範囲、好ましくは5~15質量%の範囲、より好ましくは7~13質量%の範囲の量で、非ゼオライト酸性材料を含む。
【0098】
水性混合物の好ましくは10~90質量%、より好ましくは40~85質量%、より好ましくは55~80質量%が水からなる。
【0099】
水性混合物は、好ましくは、酸性成分の前駆体をさらに含み、前駆体は、より好ましくはアルミニウム塩、ケイ素塩、ジルコニウム塩、及びチタン塩のうちの1種以上、より好ましくはジルコニウム塩、及びアルミニウム塩のうちの1種以上、より好ましくはジルコニウム塩、より好ましくはジルコニウムアセテートである。水性混合物において、酸化物として、より好ましくはアルミナ、シリカ、ジルコニア又はチタニアとして計算される前駆体の量、より好ましくはZrO2として計算されるジルコニウム塩の量が、ゼオライト材料の質量に基づいて、1~10質量%の範囲、より好ましくは2~8質量%の範囲、より好ましくは3~7質量%の範囲であることがより好ましい。
【0100】
水性混合物は、炭素含有添加剤の粒子をさらに含んでよい。混合物に含有される炭素含有添加剤は、好ましくは、グラファイト、合成グラファイト、カーボンブラック、グラフェン、ダイヤモンド、フラーレン、カーボンナノチューブ、及びアモルファスカーボンのうちの1種以上であり、より好ましくはグラファイト、合成グラファイト、グラフェン、フラーレン、カーボンナノチューブ、及びアモルファスカーボンのうちの1種以上であり、より好ましくはグラファイト、合成グラファイト、及びグラフェンのうちの1種以上であり、より好ましくはグラファイト及び合成グラファイトのうちの1種以上である。
【0101】
炭素含有添加剤は、120~900℃の範囲、好ましくは400~850℃の範囲、より好ましくは500~800℃の範囲の除去温度を有する。「除去温度」という用語の定義は、段落Iに記載のように理解される。
【0102】
混合物中に含まれる炭素含有添加剤の粒子は、0.5~30マイクロメートルの範囲、より好ましくは2~15マイクロメートルの範囲、より好ましくは3~12マイクロメートルの範囲、より好ましくは4~10マイクロメートルの範囲、より好ましくは5~8マイクロメートルの範囲のDv50を好ましくは有し、Dv50は本明細書の参照実施例3に従い決定される。
【0103】
あるいは、混合物中に含まれる炭素含有添加剤の粒子は、0.5~30マイクロメートルの範囲、より好ましくは1~22マイクロメートルの範囲、より好ましくは2~20マイクロメートルの範囲、より好ましくは5~19マイクロメートルの範囲のDv50を好ましくは有し、Dv50は本明細書の参照実施例3に従い決定される。
【0104】
混合物中に含まれる炭素含有添加剤の粒子が、4~60マイクロメートルの範囲、より好ましくは6~30マイクロメートルの範囲、より好ましくは8~20マイクロメートルの範囲、より好ましくは9~14マイクロメートルの範囲、より好ましくは10~13マイクロメートルの範囲のDv90を好ましくは有し、Dv90は本明細書の参照実施例3に従い決定される。
【0105】
あるいは、混合物中に含まれる炭素含有添加剤の粒子は、4~80マイクロメートルの範囲、より好ましくは4.5~60マイクロメートルの範囲、より好ましくは5~45マイクロメートルの範囲のDv90を有し、Dv90は本明細書の参照実施例3に従い決定される。
【0106】
混合物は、混合物中のゼオライト材料及び非ゼオライト酸性材料の質量に基づいて、2~40質量%の範囲、より好ましくは4~30質量%の範囲、より好ましくは5~25質量%の範囲、より好ましくは5.5~15質量%の範囲の量で、炭素含有添加剤の粒子を含んでよい。
【0107】
あるいは、混合物中に含有される炭素含有添加剤が、ポリアクリレート、微結晶セルロース、コーンスターチ、スチレン、ポリ(メチルメタクリレート-コ-エチレングリコール)、ポリメチルウレア、及びポリメチルメタクリレートのうちの1種以上、より好ましくはポリメチルウレア及びポリメチルメタクリレートのうちの1種以上、より好ましくはポリメチルウレア、又はより好ましくはポリメチルメタクリレートであることが好ましい。炭素含有添加剤が、150~550℃の範囲、より好ましくは180~500℃の範囲の除去温度を有することがより好ましい。
【0108】
水性混合物は、1種以上の追加の非ゼオライト酸性材料をさらに含んでよく、1種以上の非ゼオライト酸性材料は、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリアと、Al、Si、Ti、Zr、及びCeのうちの1種以上を含む混合酸化物と、これらのうちの2種以上の混合物とからなる群から選択される。
【0109】
水性混合物は、好ましくは、1種類以上の酸、より好ましくは2種の酸、より好ましくは2種の有機酸、より好ましくは酒石酸及び酢酸を、ゼオライト材料の質量に基づいて、より好ましくは0.1~2質量%の範囲、より好ましくは0.2~1.5質量%の範囲、より好ましくは0.4~1.2質量%の範囲の量で、さらに含む。
【0110】
水性混合物が、水性混合物の質量に基づいて、15~50質量%の範囲、より好ましくは20~45質量%の範囲、より好ましくは30~40質量%の範囲の固形分を有することが好ましい。
【0111】
水性混合物は、好ましくは、水、銅を含むゼオライト材料、銅を含むゼオライト材料以外の銅の源、及びアルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリアと、Al、Si、Ti、Zr及びCeのうちの1種以上を含む混合酸化物と、これらのうちの2種以上の混合物とからなる群から選択される非ゼオライト酸性材料、及び前記で定義した1種以上の酸を含む。あるいは、水性混合物は、好ましくは、水、銅を含むゼオライト材料、銅を含むゼオライト材料以外の銅の源、及びアルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリアと、Al、Si、Ti、Zr及びCeのうちの1種以上を含む混合酸化物と、これらのうちの2種以上の混合物とからなる群から選択される非ゼオライト酸性材料、前記で定義した酸性成分の前駆体、及びより好ましくは前記で定義した1種以上の酸を含む。さらなる代替として、水性混合物は、好ましくは、水、銅を含むゼオライト材料、銅を含むゼオライト材料以外の銅の源、及びアルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリアと、Al、Si、Ti、Zr及びCeのうちの1種以上を含む混合酸化物と、これらのうちの2種以上の混合物とからなる群から選択される非ゼオライト酸性材料、前記で定義した酸性成分の前駆体、前記で定義した炭素含有添加剤の粒子、及びより好ましくは前記で定義した1種以上の酸を含む。
【0112】
本発明において、混合物の98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、水、銅を含むゼオライト材料、銅を含むゼオライト材料以外の銅の源、及びアルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリアと、Al、Si、Ti、Zr及びCeのうちの1種以上を含む混合酸化物と、これらのうちの2種以上の混合物とからなる群から選択される非ゼオライト酸性材料、及びより好ましくは前記で定義した1種以上の酸からなることが好ましい。混合物の98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、水、銅を含むゼオライト材料、銅を含むゼオライト材料以外の銅の源、及びアルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリアと、Al、Si、Ti、Zr及びCeのうちの1種以上を含む混合酸化物と、これらのうちの2種以上の混合物とからなる群から選択される非ゼオライト酸性材料、前記で定義した酸性成分の前駆体、及びより好ましくは前記で定義した1種以上の酸からなることが、代替として好ましい。さらなる代替として、混合物の98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、水、銅を含むゼオライト材料、銅を含むゼオライト材料以外の銅の源、及びアルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリアと、Al、Si、Ti、Zr及びCeのうちの1種以上を含む混合酸化物と、これらのうちの2種以上の混合物とからなる群から選択される非ゼオライト酸性材料、前記で定義した酸性成分の前駆体、前記で定義した炭素含有添加剤の粒子、及びより好ましくは前記で定義した1種以上の酸からなることが好ましい。
【0113】
本発明による水性混合物が、本発明による触媒の調製方法において工程(i)で調製され、前記段落I.で開示した水性混合物であることが好ましい。
【0114】
本発明はさらに、本発明による混合物を調製するための方法に関するものであり、この方法は、
(i.1) 水と、銅を含むゼオライト材料以外の銅の源とを含む第1の混合物を調製する工程、
(i.2) 場合により、工程(i.1)により得られた第1の混合物中の前記で定義した酸性成分の前駆体、
(i.3) 水と、銅を含むゼオライト材料とを含む第2の混合物を調製する工程、
(i.4) 工程(i.3)で得られた第2の混合物を、工程(i.1)で又は工程(i.2)で得られた第1の混合物と混合して、第3の混合物を得る工程、
(i.5) 水、及び、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリアと、Al、Si、Ti、Zr及びCeのうちの1種以上を含む混合酸化物と、これらのうちの2種以上の混合物とからなる群から選択される非ゼオライト酸性材料、及びより好ましくは酸、より好ましくは有機酸、より好ましくは酒石酸を含む、第4の混合物を調製する工程、
(i.6) 工程(i.5)で得られた第4の混合物と工程(i.4)で得られた第3の混合物とを、より好ましくは酸、より好ましくは有機酸、より好ましくは酢酸を添加し、そして場合により、前記で定義した炭素含有添加剤の粒子を酸より先に添加して、混合する工程
を含む。
【0115】
銅を含むゼオライト材料以外の銅の源の好ましくは90~100質量%、より好ましくは95~100質量%、より好ましくは96~99質量%が、溶解していない状態で工程(i.1)で調製される混合物中に存在する。
【0116】
工程(i.1)について、これが第1の混合物の粉砕をさらに含むことが好ましく、より好ましくは第1の混合物の粒子が、0.5~20マイクロメートルの範囲、より好ましくは4~15マイクロメートルの範囲、より好ましくは6~12マイクロメートルの範囲のDv90を有するようになるまで粉砕し、Dv90は参照実施例3に記載のように決定される。
【0117】
工程(i.1)で得られた第1の混合物が、第1の混合物の質量に基づいて、4~30質量%の範囲、より好ましくは4~15質量%の範囲の固形分を有することが好ましい。
【0118】
工程(i.3)で得られた第2の混合物が、第2の混合物の質量に基づいて、15~50質量%の範囲、より好ましくは20~45質量%の範囲、より好ましくは30~40質量%の範囲の固形分を有することが好ましい。
【0119】
工程(i.4)について、これが第3の混合物の粉砕をさらに含むことが好ましく、より好ましくは第3の混合物の粒子が、0.5~20マイクロメートルの範囲、より好ましくは2~15マイクロメートルの範囲、より好ましくは2~10マイクロメートルの範囲のDv90を有するようになるまで粉砕し、Dv90は参照実施例3に記載のように決定される。
【0120】
工程(i.5)で得られる第4の混合物が、第4の混合物の質量に基づいて、15~50質量%の範囲、より好ましくは20~45質量%の範囲、より好ましくは28~40質量%の範囲の固形分を有することが好ましい。
【0121】
工程(i)で、より好ましくは工程(i.6)で得られた水性混合物が、水性混合物の質量に基づいて、15~50質量%の範囲、より好ましくは20~45質量%の範囲、より好ましくは30~40質量%の範囲の固形分を有することが好ましい。
【0122】
本発明による方法が、好ましくは、工程(i.1)、(i.2)、(i.3)、(i.4)、(i.5)及び(i.6)からなることが好ましい。
【0123】
本発明はさらに、本発明による方法によって得られるか又は得ることができる、前記に開示した水性混合物に関するものである。
【0124】
本発明はさらに、本発明による水性混合物を、触媒、好ましくは選択的触媒還元触媒の調製のために使用する方法に関するものである。
【0125】
驚くべきことに、本発明による水性混合物を、特に触媒を調製するための方法に使用することにより、低温及び高温の両方で、高い触媒活性、例えばNOx転化率を示す、銅を含むゼオライト材料を含む触媒を提供できることが分かった。
【0126】
本発明はさらに、触媒、好ましくは選択的触媒還元触媒を調製するための方法であって、
本発明による水性混合物の使用
を含む方法に関するものである。
【0127】
III. 骨格型CHAを有し且つ銅を含むゼオライト材料
本発明はさらに、骨格型CHAを有し且つ銅を含むゼオライト材料に関するものであり、ゼオライト材料の骨格構造は、Si、Al、及びOを含み、実施例12に記載のように決定される、以下:
最大値を、930~975cm-1の範囲、好ましくは935~970cm-1の範囲、より好ましくは945~965cm-1の範囲に有する、第1の吸収ピーク(P1);
最大値を、880~920cm-1の範囲、好ましくは885~915cm-1の範囲、より好ましくは890~910cm-1の範囲に有する、第2の吸収ピーク(P2);
を含むIRスペクトルを示し、
第1の吸収ピークのピーク面積の、第2の吸収ピークのピーク面積に対する、P1:P2は、0.2:1~1.55:1の範囲、好ましくは0.5:1~1.53:1の範囲、より好ましくは1.05:1~1.53:1の範囲、より好ましくは1.07:1~1.45:1の範囲、より好ましくは1.10:1~1.40:1の範囲、より好ましくは1.12:1~1.35:1の範囲、より好ましくは1.15:1~1.32:1である。
【0128】
ゼオライト材料の骨格構造の好ましくは95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、Si、Al及びOからなり、骨格構造において、SiのAlに対するモル比は、モルSiO2:Al2O3として計算され、より好ましくは2:1~50:1の範囲、より好ましくは5:1~45:1の範囲、より好ましくは10:1~35:1の範囲、より好ましくは16:1~28:1の範囲、より好ましくは16:1~19:1の範囲又はより好ましくは23:1~27:1の範囲である。
【0129】
ゼオライト材料が、走査型電子顕微鏡により決定して、少なくとも0.1マイクロメートル、より好ましくは0.1~3.0マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.3~1.5マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.4~1.0マイクロメートルの範囲の平均結晶子サイズを有することが好ましい。
【0130】
ゼオライト材料に含まれる銅の量が、CuOとして計算して、ゼオライト材料の質量に基づいて、0.1~14質量%の範囲、より好ましくは0.5~12質量%の範囲、より好ましくは1~10質量%の範囲、より好ましくは1.5~5質量%の範囲、より好ましくは1.5~4.5質量%の範囲であることが好ましい。
【0131】
第1の吸収ピークのピーク面積の、890~965cm-1の波長範囲に最大値を有するあらゆる吸収ピークの総ピーク面積に対する比は、0.05:1~0.50:1の範囲、より好ましくは0.08:1~0.5:1の範囲、より好ましくは0.1:1~0.5:1の範囲、より好ましくは0.15:1~0.49:1の範囲、より好ましくは0.25:1~0.48:1の範囲、より好ましくは0.30:1~0.45:1の範囲、より好ましくは0.40:1~0.45:1の範囲であることが好ましい。
【0132】
ゼオライト材料は、好ましくは、400~800m2/gの範囲、より好ましくは500~700m2/gの範囲のBET比表面積を有し、BET比表面積は参照実施例1に記載のように決定される。
【0133】
骨格型CHAを有し且つ銅を含むゼオライト材料が、上記段落I.に記載の本発明による触媒に含まれていることが好ましい。
【0134】
本発明はさらに、本発明によるゼオライト材料を調製するための方法に関するものであり、この方法は、
(i) 水、骨格型CHAを有し且つ銅を含むゼオライト材料、及び銅を含むゼオライト材料以外の銅の源を含む水性混合物を調製する工程、
(ii) 場合により、工程(i)で得られた混合物を乾燥させる工程、
(iii) 工程(i)か又は工程(ii)で得られた混合物をか焼する工程
を含む。
【0135】
ゼオライト材料の骨格構造の好ましくは95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、Si、Al及びOからなり、骨格構造において、SiのAlに対するモル比は、モルSiO2:Al2O3として計算され、より好ましくは2:1~50:1の範囲、より好ましくは5:1~45:1の範囲、より好ましくは10:1~35:1の範囲、より好ましくは16:1~28:1の範囲、より好ましくは16:1~19:1の範囲又はより好ましくは23:1~27:1の範囲である。
【0136】
工程(i)で調製される水性混合物に含有されるゼオライト材料が、走査型電子顕微鏡により決定して、少なくとも0.1マイクロメートル、より好ましくは0.1~3.0マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.3~1.5マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.4~1.0マイクロメートルの範囲の平均結晶子サイズを有することが好ましい。
【0137】
工程(i)で調製される水性混合物に含有されるゼオライト材料に含まれる銅の量が、CuOとして計算して、工程(i)で調製される水性混合物に含まれるゼオライト材料の質量に基づいて、0.05~3.5質量%の範囲、より好ましくは0.1~3質量%の範囲、より好ましくは0.2~2質量%の範囲、より好ましくは0.5~1.75質量%の範囲、より好ましくは1~1.75質量%の範囲、又はより好ましくは1.9~2.5質量%の範囲であることが好ましい。
【0138】
銅を含むゼオライト材料以外の銅の源が、酢酸銅、硝酸銅、硫酸銅、ギ酸銅、酸化銅、及びこれらのうちの2種以上の混合物からなる群から選択される、より好ましくは酢酸銅、酸化銅、及びこれらのうちの2種以上の混合物からなる群から選択される、より好ましくは酸化銅、より好ましくはCuOであることが好ましい。
【0139】
工程(i)で調製される水性混合物は、銅を含むゼオライト材料以外の銅の源を、CuOとして計算して、工程(i)で調製される水性混合物に含まれるゼオライト材料の質量に基づいて、0.1~14質量%の範囲、より好ましくは0.5~12質量%の範囲、より好ましくは1~10質量%の範囲、より好ましくは1.5~5質量%の範囲の量で好ましくは含む。工程(i)で調製される水性混合物が、銅を含むゼオライト材料以外の銅の源を、CuOとして計算して、工程(i)で調製される水性混合物に含まれるゼオライト材料の質量に基づいて、1.5~4.5質量%の範囲、より好ましくは1.5~4質量%の範囲の量で含むことがより好ましい。
【0140】
工程(i)で調製される水性混合物において、水性混合物の10~90質量%、より好ましくは40~85質量%、より好ましくは55~80質量%が水からなることが好ましい。
【0141】
工程(i)で調製される水性混合物が、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリアと、Al、Si、Ti、Zr及びCeのうちの1種以上を含む混合酸化物と、これらのうちの2種以上の混合物とからなる群から選択される非ゼオライト酸性材料をさらに含むことが好ましい。工程(i)で調製される水性混合物中に含有される非ゼオライト酸性材料が、アルミナ、シリカ、チタニアと、Al、Si、及びTiのうちの1種以上を含む混合酸化物と、これらのうちの2種以上の混合物とからなる群から選択される、好ましくはアルミナ、シリカと、Al及びSiのうちの1種以上を含む混合酸化物と、これらのうちの2種以上の混合物とからなる群から選択される、より好ましくはアルミナとシリカとの混合物であることが、より好ましい。非ゼオライト材料は、前記段落I.及びII.で定義した通りであることが好ましい。
【0142】
工程(i)で調製される水性混合物が、前記段落I.及びII.で定義した1種以上の酸をさらに含むことが好ましい。さらに、場合により、工程(i)で調製される水性混合物は、前記段落I.及びII.で定義した炭素含有添加剤の粒子をさらに含む。
【0143】
工程(i)で調製される水性混合物が、酸性成分の前駆体をさらに含むことが好ましく、前駆体は、より好ましくはアルミニウム塩、ケイ素塩、ジルコニウム塩、及びチタン塩のうちの1種以上、より好ましくはジルコニウム塩、及びアルミニウム塩のうちの1種以上、より好ましくはジルコニウム塩、より好ましくはジルコニウムアセテートである。工程(i)で調製される水性混合物において、酸化物として、より好ましくはアルミナ、シリカ、ジルコニア又はチタニアとして計算される前駆体の量、より好ましくはZrO2として計算されるジルコニウム塩の量が、工程(i)で調製される水性混合物に含まれるゼオライト材料の質量に基づいて、1~10質量%の範囲、より好ましくは2~8質量%の範囲、より好ましくは3~7質量%の範囲であることがより好ましい。
【0144】
好ましくは、工程(i)で調製される水性混合物の98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、水と、銅を含むゼオライト材料と、銅を含むゼオライト材料以外の銅の源と、からなる。工程(i)で調製される水性混合物の98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、水と、銅を含むゼオライト材料と、銅を含むゼオライト材料以外の銅の源と、前記で定義した酸性成分の前駆体と、からなることが、代替として好ましい。
【0145】
さらなる代替として、工程(i)で調製される水性混合物の98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、水と、銅を含むゼオライト材料と、銅を含むゼオライト材料以外の銅の源と、前記で定義した非ゼオライト酸性材料と、好ましくは前記で定義した1種以上の酸と、場合により前記で定義した酸性成分の前駆体と、からなることが好ましい。
【0146】
工程(i)について、これが、
(i.1) 水と、銅を含むゼオライト材料以外の銅の源とを含む第1の混合物を調製する工程、
(i.2) より好ましくは第1の混合物を粉砕する工程であって、より好ましくは第1の混合物の粒子が0.5~20マイクロメートルの範囲のDv90を有するようになるまで粉砕し(Dv90は参照実施例3に記載のように決定される)、場合により前記で定義した酸性成分の前駆体を加える、粉砕する工程、
(i.3) 水と、銅を含むゼオライト材料とを含む第2の混合物を調製する工程、
(i.4) 工程(i.3)で得られた第2の混合物を、工程(i.1)で、より好ましくは工程(i.2)で得られた第1の混合物と混合する工程、
を含むことが好ましい。
【0147】
銅を含むゼオライト材料以外の銅の源の好ましくは90~100質量%、より好ましくは95~100質量%、より好ましくは98~100質量%が、溶解していない状態で工程(i.1)で調製される混合物中に存在する。
【0148】
工程(i.2)における粉砕について、第1の混合物の粒子が、4~15マイクロメートルの範囲、より好ましくは6~12マイクロメートルの範囲のDv90を有するようになるまで行うことが好ましく、Dv90は参照実施例3に記載のように決定される。
【0149】
工程(i.4)について、これが工程(i.4)で得られる混合物の粉砕をさらに含むことが好ましく、より好ましくは前記混合物の粒子が、0.5~20マイクロメートルの範囲、より好ましくは2~15マイクロメートルの範囲、より好ましくは2~10マイクロメートルの範囲のDv90を有するようになるまで粉砕し、Dv90は参照実施例3に記載のように決定される。
【0150】
工程(ii)による乾燥について、これを100~200℃の範囲、より好ましくは120~140℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で行うことが好ましく、ガス雰囲気は、より好ましくは酸素を含む。
【0151】
工程(ii)による乾燥について、これをガス雰囲気中で、0.25~3時間の範囲、より好ましくは0.5~1.5時間の範囲の持続期間で行うことが好ましく、ガス雰囲気は、より好ましくは酸素を含む。
【0152】
工程(iii)によるか焼について、これを300~900℃の範囲、より好ましくは400~500℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で行うことが好ましく、ガス雰囲気は、より好ましくは酸素を含む。
【0153】
工程(iii)によるか焼について、これを0.5~8時間の範囲、より好ましくは1.5~3時間の範囲の持続期間で、ガス雰囲気中で行うことが好ましく、ガス雰囲気は、より好ましくは酸素を含む。
【0154】
工程(iii)で得られるゼオライト材料中に含まれる銅(CuOとして計算)の、工程(i)による混合物中に含まれるゼオライト材料中に含まれる銅(CuOとして計算)に対する質量比が、1.5:1~10:1の範囲、より好ましくは2:1~5:1の範囲、より好ましくは2:1~4:1の範囲であることが好ましい。
【0155】
骨格型CHAを有し且つ銅を含むゼオライト材料を調製するための方法が、工程(i)、(ii)及び(iii)からなることが好ましい。
【0156】
本発明はさらに、骨格型CHAを有し且つ銅を含むゼオライト材料、好ましくは、本発明による方法によって得られるか又は得ることができる、本発明による骨格型CHAを有し且つ銅を含むゼオライト材料に関するものである。
【0157】
本発明はさらに、本発明による骨格型CHAを有し且つ銅を含むゼオライト材料を、触媒として、又は触媒物品として、好ましくは窒素酸化物の選択的触媒還元のために、使用する方法に関するものである。
【0158】
本発明において、「ゼオライト材料の質量に基づいて」という用語は、ゼオライト材料単独の質量を指し、銅を含まないことを意味する。さらに、本発明において、「チャバザイトの質量に基づいて」という用語は、チャバザイト単独の質量を指し、銅を含まないことを意味する。
【0159】
さらに、本発明において、「内壁の表面」という用語は、壁の「裸の」又は「むき出しの」又は「空白の(blank)」表面、すなわち、壁の表面が、処理されていない状態であり、表面を汚染する可能性のある不可避の不純物を除き、壁の材料からなることと理解されるべきである。
【0160】
さらに、本発明において、「XはA、B及びCのうちの1種以上である」という用語は、Xが所与の特徴でありそしてA、B及びCのそれぞれが前記特徴の具体的な実現を表している場合、Xが、A、又はB、又はCであるか、又はA及びB、又はA及びC、又はB及びC、又はA及びB及びCであるかのいずれかを開示していると理解される。これに関連して、当業者は、上記の抽象的な用語を具体的な例に移すことができることに留意されたい。例えば、Xが化学元素であり、A、B及びCがLi、Na及びKなどの具体的な元素である場合か、又はXが温度であり、A、B及びCが10℃、20℃、及び30℃などの具体的な温度である場合である。これに関連して、当業者は、上記の用語を、前記特徴のより具体的でない実現、例えば、XがA、又はBであるか、又はA及びBであることのいずれかを開示する「XはA及びBのうちの1種以上である」、又は前記特徴のより具体的な実現、例えば、XがA、又はB、又はC、又はDであるか、又はA及びB、又はA及びC、又はA及びD、又はB及びC、又はB及びD、又はC及びDであるか、又はA及びB及びC、又はA及びB及びD、又はB及びC及びD、又はA及びB及びC及びDのいずれかであることを開示する「XはA、B、C及びDのうちの1種以上である」に拡張することが可能であることにさらに留意されたい。
【0161】
本発明を、以下の実施形態の第1の一式、及び示すような従属参照及び後方参照から生じる実施形態の組み合わせによって、さらに説明する。特に、例えば「実施形態1から4のいずれか1項に記載の方法」などの用語の文脈で、実施形態の範囲が言及される各例では、この範囲のすべての実施形態が当業者に明確に開示されることを意味し、すなわち、この用語の文言は、「実施形態1、2、3、及び4のいずれか1項に記載の方法」と同義であると当業者に理解されることに留意されたい。以下の実施形態の第1の一式は、以下の実施形態の第2の一式及び実施形態の第3の一式のいずれか1つと組み合わせてよい。
【0162】
1. 銅を含むゼオライト材料を含む触媒を製造するための方法であって、
(i) 水、銅を含むゼオライト材料、銅を含むゼオライト材料以外の銅の源、及びアルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリアと、Al、Si、Ti、Zr及びCeのうちの1種以上を含む混合酸化物と、これらのうちの2種以上の混合物とからなる群から選択される非ゼオライト酸性材料を含む水性混合物を調製する工程、
(ii) 入口端部と、出口端部と、前記入口端部から前記出口端部に延びる基材軸方向の長さと、基材を貫通すると共に基材の内壁によって規定される複数の通路とを含む基材における内壁の表面上において、工程(i)で得られた混合物を配置する工程、及び、場合により、混合物が上に配置されている基材を乾燥させる工程、
(iii) 工程(ii)で得られた基材をか焼する工程
を含む方法。
【0163】
2. 工程(i)で調製される水性混合物に含有される銅を含むゼオライト材料が、ABW、ACO、AEI、AEL、AEN、AET、AFG、AFI、AFN、AFO、AFR、AFS、AFT、AFV、AFX、AFY、AHT、ANA、APC、APD、AST、ASV、ATN、ATO、ATS、ATT、ATV、AVL、AWO、AWW、BCT、BEA、BEC、BIK、BOF、BOG、BOZ、BPH、BRE、BSV、CAN、CAS、CDO、CFI、CGF、CGS、CHA、-CHI、-CLO、CON、CSV、CZP、DAC、DDR、DFO、DFT、DOH、DON、EAB、EDI、EEI、EMT、EON、EPI、ERI、ESV、ETR、EUO、*-EWT、EZT、FAR、FAU、FER、FRA、GIS、GIU、GME、GON、GOO、HEU、IFO、IFR、-IFU、IFW、IFY、IHW、IMF、IRN、IRR、-IRY、ISV、ITE、ITG、ITH、*-ITN、ITR、ITT、-ITV、ITW、IWR、IWS、IWV、IWW、JBW、JNT、JOZ、JRY、JSN、JSR、JST、JSW、KFI、LAU、LEV、LIO、-LIT、LOS、LOV、LTA、LTF、LTJ、LTL、LTN、MAR、MAZ、MEI、MEL、MEP、MER、MFI、MFS、MON、MOR、MOZ、*MRE、MSE、MSO、MTF、MTN、MTT、MTW、MVY、MWF、MWW、NAB、NAT、NES、NON、NPO、NPT、NSI、OBW、OFF、OKO、OSI、OSO、OWE、-PAR、PAU、PCR、PHI、PON、POS、PSI、PUN、RHO、-RON、RRO、RSN、RTE、RTH、RUT、RWR、RWY、SAF、SAO、SAS、SAT、SAV、SBE、SBN、SBS、SBT、SEW、SFE、SFF、SFG、SFH、SFN、SFO、SFS、*SFV、SFW、SGT、SIV、SOD、SOF、SOS、SSF、*-SSO、SSY、STF、STI、*STO、STT、STW、-SVR、SVV、SZR、TER、THO、TOL、TON、TSC、TUN、UEI、UFI、UOS、UOV、UOZ、USI、UTL、UWY、VET、VFI、VNI、VSV、WEI、-WEN、YUG、ZON、これらのうちの2種以上の混合物、及びこれらのうちの2種以上の混合型からなる群から選択される骨格型、好ましくはCHA、AEI、RTH、LEV、DDR、KFI、ERI、AFXと、これらのうちの2種以上の混合物と、これらのうちの2種以上の混合型とからなる群から選択される骨格型、より好ましくはCHA、AEI、RTH、AFXと、これらのうちの2種以上の混合物と、これらのうちの2種以上の混合型とからなる群から選択される骨格型、より好ましくはCHA及びAEIからなる群から選択される骨格型を有し、工程(i)で調製される水性混合物に含有される銅を含むゼオライト材料が、骨格型CHAを有する、実施形態1に記載の方法。
【0164】
3. ゼオライト材料の骨格構造の95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、Si、Al及びOからなり、骨格構造において、SiのAlに対するモル比が、モルSiO2:Al2O3として計算され、好ましくは2:1~50:1の範囲、より好ましくは5:1~45:1の範囲、より好ましくは10:1~35:1の範囲、より好ましくは16:1~28:1の範囲、より好ましくは16:1~19:1の範囲又はより好ましくは23:1~27:1の範囲である、実施形態2に記載の方法。
【0165】
4. 工程(i)で調製される水性混合物に含有される、好ましくは骨格型CHAを有するゼオライト材料が、走査型電子顕微鏡により決定して、少なくとも0.1マイクロメートル、好ましくは0.1~3.0マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.3~1.5マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.4~1.0マイクロメートルの範囲の平均結晶子サイズを有する、実施形態1から3のいずれか1項に記載の方法。
【0166】
5. 工程(i)で調製される水性混合物に含有されるゼオライト材料に含まれる銅の量(CuOとして計算)が、工程(i)で調製される水性混合物に含まれるゼオライト材料の質量に基づいて、0.05~3.5質量%の範囲、好ましくは0.1~3質量%の範囲、より好ましくは0.2~2質量%の範囲、より好ましくは0.5~1.75質量%の範囲、より好ましくは1~1.75質量%の範囲、又はより好ましくは1.9~2.5質量%の範囲である、実施形態1から4のいずれか1項に記載の方法。
【0167】
6. 工程(i)で調製される水性混合物に含有される銅を含むゼオライト材料以外の銅の源が、酢酸銅、硝酸銅、硫酸銅、ギ酸銅、酸化銅、及びこれらのうちの2種以上の混合物からなる群から選択される、好ましくは酢酸銅、酸化銅、及びそれらの混合物からなる群から選択される、より好ましくは酸化銅、より好ましくはCuOである、実施形態1から5のいずれか1項に記載の方法。
【0168】
7. 工程(i)で調製される水性混合物が、銅を含むゼオライト材料以外の銅の源を、CuOとして計算して、工程(i)で調製される水性混合物に含まれるゼオライト材料の質量に基づいて、0.1~14質量%の範囲、より好ましくは0.5~12質量%の範囲、好ましくは1~10質量%の範囲、より好ましくは1.5~5.0質量%の範囲、より好ましくは1.5~4.5質量%の範囲の量で含む、実施形態1から6のいずれか1項に記載の方法。
【0169】
8. 工程(i)で調製される水性混合物が、銅を含むゼオライト材料以外の銅の源を、CuOとして計算して、工程(i)で調製される水性混合物に含まれるゼオライト材料の質量に基づいて、2.0~4.0質量%の範囲の量で含む、実施形態7に記載の方法。
【0170】
9. 工程(i)で調製される水性混合物に含有される非ゼオライト酸性材料が、アルミナ、シリカ、チタニアと、Al、Si、及びTiのうちの1種以上を含む混合酸化物と、これらのうちの2種以上の混合物とからなる群から選択され、好ましくはアルミナ、シリカと、Al及びSiのうちの1種以上を含む混合酸化物と、これらのうちの2種以上の混合物とからなる群から選択され、より好ましくはアルミナとシリカとの混合物であり、
より好ましくは、アルミナとシリカとの混合物の80~99質量%、より好ましくは85~98質量%、より好ましくは90~98質量%がアルミナからなり、そしてより好ましくは、アルミナとシリカとの混合物の1~20質量%、より好ましくは2~15質量%、より好ましくは2~10質量%がシリカからなる、実施形態1から8のいずれか1項に記載の方法。
【0171】
10. 工程(i)で調製される水性混合物が、工程(i)で調製される水性混合物に含まれるゼオライト材料の質量に基づいて、2~20質量%の範囲、好ましくは5~15質量%の範囲、より好ましくは7~13質量%の範囲の量で、非ゼオライト酸性材料を含む、実施形態1から9のいずれか1項に記載の方法。
【0172】
11. 工程(i)で調製される水性混合物において、水性混合物の10~90質量%、好ましくは40~85質量%、より好ましくは55~80質量%が水からなる、実施形態1から10のいずれか1項に記載の方法。
【0173】
12. 工程(i)で調製される水性混合物が酸性成分の前駆体をさらに含み、前駆体が、好ましくはアルミニウム塩、ケイ素塩、ジルコニウム塩、及びチタン塩のうちの1種以上、より好ましくはジルコニウム塩、及びアルミニウム塩のうちの1種以上、より好ましくはジルコニウム塩、より好ましくはジルコニウムアセテートであり、
工程(i)で調製される水性混合物において、酸化物として、好ましくはアルミナ、シリカ、ジルコニア又はチタニアとして計算される前駆体の量、好ましくはZrO2として計算されるジルコニウム塩の量が、工程(i)で調製される水性混合物に含まれるゼオライト材料の質量に基づいて、1~10質量%の範囲、より好ましくは2~8質量%の範囲、より好ましくは3~7質量%の範囲である、実施形態1から11のいずれか1項に記載の方法。
【0174】
13. 工程(i)で調製される水性混合物が、炭素含有添加剤の粒子をさらに含み、
工程(i)で調製される水性混合物に含有される炭素含有添加剤が、好ましくは、グラファイト、合成グラファイト、カーボンブラック、グラフェン、ダイヤモンド、フラーレン、カーボンナノチューブ、及びアモルファスカーボンのうちの1種以上であり、より好ましくはグラファイト、合成グラファイト、グラフェン、フラーレン、カーボンナノチューブ、及びアモルファスカーボンのうちの1種以上であり、より好ましくはグラファイト、合成グラファイト、及びグラフェンのうちの1種以上であり、より好ましくはグラファイト及び合成グラファイトのうちの1種以上であり、及び/又は
工程(i)で調製される水性混合物中に含まれる炭素含有添加剤の粒子が、0.5~30マイクロメートルの範囲、より好ましくは2~15マイクロメートルの範囲、より好ましくは3~12マイクロメートルの範囲、より好ましくは4~10マイクロメートルの範囲、より好ましくは5~8マイクロメートルの範囲のDv50を好ましくは有し、Dv50は本明細書の参照実施例3に従い決定され、及び/又は
工程(i)で調製される水性混合物中に含まれる炭素含有添加剤の粒子が、4~60マイクロメートルの範囲、より好ましくは6~30マイクロメートルの範囲、より好ましくは8~20マイクロメートルの範囲、より好ましくは9~14マイクロメートルの範囲、より好ましくは10~13マイクロメートルの範囲のDv90を好ましくは有し、Dv90は本明細書の参照実施例3に従い決定され、及び/又は
工程(i)で調製される水性混合物が、工程(i)で調製される水性混合物中のゼオライト材料及び非ゼオライト酸性材料の質量に基づいて、2~40質量%の範囲、より好ましくは4~30質量%の範囲、より好ましくは5~25質量%の範囲、より好ましくは5.5~15質量%の範囲の量で、炭素含有添加剤の粒子を好ましくは含む、実施形態1から12のいずれか1項に記載の方法。
【0175】
14. 工程(i)で調製される水性混合物が、1種以上の追加の非ゼオライト酸性材料をさらに含み、1種以上の非ゼオライト酸性材料が、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリアと、Al、Si、Ti、Zr及びCeのうちの1種以上を含む混合酸化物と、これらのうちの2種以上の混合物とからなる群から選択される、実施形態1から13のいずれか1項に記載の方法。
【0176】
15. 工程(i)で調製される水性混合物が、1種類以上の酸、好ましくは2種の酸、より好ましくは2種の有機酸、より好ましくは酒石酸及び酢酸を、工程(i)で調製される水性混合物に含まれるゼオライト材料の質量に基づいて、好ましくは0.1~2質量%の範囲、好ましくは0.2~1.5質量%の範囲、より好ましくは0.4~1.2質量%の範囲の量でさらに含む、実施形態1から14のいずれか1項に記載の方法。
【0177】
16. 工程(i)で調製される水性混合物の98~100質量%、好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、水、銅を含むゼオライト材料、銅を含むゼオライト材料以外の銅の源、及びアルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリアと、Al、Si、Ti、Zr及びCeのうちの1種以上を含む混合酸化物と、これらのうちの2種以上の混合物とからなる群から選択される非ゼオライト酸性材料、及び好ましくは実施形態15で定義した1種以上の酸からなる、実施形態1から15のいずれか1項に記載の方法。
【0178】
17. 工程(i)で調製される水性混合物の98~100質量%、好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、水、銅を含むゼオライト材料、銅を含むゼオライト材料以外の銅の源、及びアルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリアと、Al、Si、Ti、Zr及びCeのうちの1種以上を含む混合酸化物と、これらのうちの2種以上の混合物とからなる群から選択される非ゼオライト酸性材料、実施形態12で定義した酸性成分の前駆体、及び好ましくは実施形態15で定義した1種以上の酸からなる、実施形態1から15のいずれか1項に記載の方法。
【0179】
18. 工程(i)が、
(i.1) 水と、銅を含むゼオライト材料以外の銅の源とを含む第1の混合物を調製する工程、
(i.2) 好ましくは第1の混合物を粉砕する工程であって、より好ましくは第1の混合物の粒子が0.5~20マイクロメートルの範囲のDv90を有するようになるまで粉砕する工程(Dv90は参照実施例3に記載のように決定される)、
(i.3) 場合により、前記で定義した酸性成分の前駆体を、工程(i.1)、好ましくは工程(i.2)により得られた第1の混合物に加える工程、
(i.4) 水と、銅を含むゼオライト材料とを含む第2の混合物を調製する工程、
(i.5) 工程(i.4)で得られた第2の混合物を、工程(i.1)で、好ましくは工程(i.2)又は工程(i.3)で得られた第1の混合物と混合して、第3の混合物を得ること、
(i.6) 水、及び、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリアと、Al、Si、Ti、Zr及びCeのうちの1種以上を含む混合酸化物と、これらのうちの2種以上の混合物とからなる群から選択される非ゼオライト酸性材料、及び好ましくは酸、より好ましくは有機酸、より好ましくは酒石酸を含む、第4の混合物を調製する工程、
(i.7) 工程(i.6)で得られた第4の混合物と、工程(i.5)で得られた第3の混合物とを、好ましくは酸、より好ましくは有機酸、より好ましくは酢酸を添加し、そして場合により、実施形態13で定義した炭素含有添加剤の粒子を酸より先に添加して、混合する工程
を含み、
工程(i)が、場合により、工程(i.1)~(i.7)からなる、実施形態1から17のいずれか1項に記載の方法。
【0180】
19. 銅を含むゼオライト材料以外の銅の源の90~100質量%、好ましくは93~99質量%、より好ましくは96~99質量%が、溶解していない状態で工程(i.1)及び工程(i.2)で調製される混合物中に存在する、実施形態18に記載の方法。
【0181】
20. 工程(i.2)における粉砕を、第1の混合物の粒子が、4~15マイクロメートルの範囲、好ましくは6~12マイクロメートルの範囲のDv90を有するようになるまで行い、Dv90は参照実施例3に記載のように決定される、実施形態18又は19に記載の方法。
【0182】
21. 工程(i.1)で、好ましくは工程(i.2)で得られる第1の混合物が、第1の混合物の質量に基づいて、4~30質量%の範囲、好ましくは4~15質量%の範囲の固形分を有する、及び/又は
工程(i.4)で得られる第2の混合物が、第2の混合物の質量に基づいて、15~50質量%の範囲、好ましくは20~45質量%の範囲、より好ましくは30~40質量%の範囲の固形分を有する、実施形態18から20のいずれか1項に記載の方法。
【0183】
22. 工程(i.5)が、第3の混合物の粉砕をさらに含み、好ましくは第3の混合物の粒子が、0.5~20マイクロメートルの範囲、より好ましくは2~15マイクロメートルの範囲、より好ましくは2~10マイクロメートルの範囲のDv90を有するようになるまで粉砕し、Dv90が参照実施例3に記載のように決定される、実施形態18から21のいずれか1項に記載の方法。
【0184】
23. 工程(i.6)で得られた第4の混合物が、第4の混合物の質量に基づいて、15~60質量%の範囲、好ましくは25~45質量%の範囲、より好ましくは28~40質量%の範囲の固形分を有する、実施形態18から22のいずれか1項に記載の方法。
【0185】
24. 工程(i)で、より好ましくは工程(i.7)で得られた水性混合物が、水性混合物の質量に基づいて、15~50質量%の範囲、好ましくは20~45質量%の範囲、より好ましくは30~40質量%の範囲の固形分を有する、実施形態18から23のいずれか1項に記載の方法。
【0186】
25. 工程(ii)による混合物の配置を、混合物を基材に噴霧することによって、又は基材を混合物に浸漬することによって、好ましくは基材を混合物に浸漬することによって行う、実施形態1から24のいずれか1項に記載の方法。
【0187】
26. 工程(ii)により、工程(i)による混合物を、基材の入口端部から出口端部まで、又は基材の出口端部から入口端部まで、基材軸方向の長さのx%にわたって配置し、xが80~100の範囲、好ましくは90~100の範囲、より好ましくは95~100の範囲、より好ましくは98~100の範囲である、実施形態1から25のいずれか1項に記載の方法。
【0188】
27. 工程(ii)の基材が、ウォールフローフィルター基材、好ましくはコーディエライトウォールフローフィルター基材、シリコンカーバイドウォールフローフィルター基材及びアルミニウムチタネートウォールフローフィルター基材のうちの1種以上、好ましくはシリコンカーバイドウォールフローフィルター基材及びアルミニウムチタネートウォールフローフィルター基材のうちの1種以上、より好ましくはシリコンカーバイドウォールフローフィルター基材である、実施形態1から26のいずれか1項に記載の方法。
【0189】
28. 工程(ii)の基材がフロースルー基材、好ましくは、コージェライトフロースルー基材、シリコンカーバイドフロースルー基材及びアルミニウムチタネートフロースルー基材のうちの1種以上、より好ましくはシリコンカーバイドフロースルー基材及びコージェライトフロースルー基材のうちの1種以上、より好ましくはコージェライトフロースルー基材である、実施形態1から26のいずれか1項に記載の方法。
【0190】
29. 工程(ii)による乾燥を、60~300℃の範囲、好ましくは90~150℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で行い、ガス雰囲気が好ましくは酸素を含む、実施形態1から28のいずれか1項に記載の方法。
【0191】
30. 工程(ii)による乾燥を、ガス雰囲気中で、10分~4時間の範囲、好ましくは20分~3時間の範囲、より好ましくは50分~2.5時間の範囲の持続期間で行い、ガス雰囲気が好ましくは酸素を含む、実施形態1から29のいずれか1項に記載の方法。
【0192】
31. 工程(ii)による配置が、
(ii.1) 入口端部と、出口端部と、前記入口端部から前記出口端部に延びる基材軸方向の長さと、基材を貫通すると共に基材の内壁によって規定される複数の通路とを含む基材における内壁の表面上において、工程(i)で得られた混合物の第1の部分を配置する工程、及び混合物の第1の部分が上に配置されている基材を乾燥させる工程、
(ii.2) 工程(i)で得られた混合物の第2の部分を、工程(ii.1)で得られた混合物の第1の部分が上に配置されている基材上に配置する工程、及び、場合により、混合物の第1の部分及び第2の部分が上に配置されている基材を乾燥させる工程
を含む、実施形態1から30のいずれか1項に記載の方法。
【0193】
32. 工程(i)で得られた混合物の第1の部分を工程(ii.1)により基材の内壁の表面上に配置する前に、工程(i)で得られた混合物をさらに希釈する、実施形態31に記載の方法。
【0194】
33. 工程(i)で得られた混合物の第2の部分を工程(ii.2)により基材の内壁の表面上に配置する前に、工程(i)で得られた混合物をさらに希釈する、実施形態31又は32に記載の方法。
【0195】
34. 工程(ii.1)により、工程(i)による混合物の第1の部分を、基材の入口端部から出口端部まで、又は基材の出口端部から入口端部まで、基材軸方向の長さのx1%にわたって配置し、ここでx1が80~100の範囲、好ましくは90~100の範囲、より好ましくは95~100の範囲、より好ましくは98~100の範囲である、実施形態31から33のいずれか1項に記載の方法。
【0196】
35. 工程(ii.2)により、工程(i)による混合物の第2の部分を、基材の入口端部から出口端部まで、又は基材の出口端部から入口端部まで、基材軸方向の長さのx2%にわたって配置し、ここでx2が80~100の範囲、好ましくは90~100の範囲、より好ましくは95~100の範囲、より好ましくは98~100の範囲であり、より好ましくはx2はx1である、実施形態34に記載の方法。
【0197】
36. 工程(ii.1)による乾燥を、60~300℃の範囲の温度、好ましくは90~150℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で行い、ガス雰囲気が好ましくは酸素を含む、実施形態31から35のいずれか1項に記載の方法。
【0198】
37. 工程(ii.1)による乾燥を、ガス雰囲気中で、10分~4時間の範囲、好ましくは20分~3時間の範囲、より好ましくは50分~2.5時間の範囲の持続期間で行い、ガス雰囲気が好ましくは酸素を含む、実施形態31から36のいずれか1項に記載の方法。
【0199】
38. 工程(ii.2)による乾燥を、60~300℃の範囲、好ましくは90~150℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で行い、ガス雰囲気が好ましくは酸素を含む、実施形態31から37のいずれか1項に記載の方法。
【0200】
39. 工程(ii.2)による乾燥を、ガス雰囲気中で、10分~4時間の範囲、好ましくは20分~3時間の範囲、より好ましくは50分~2.5時間の範囲の持続期間で行い、ガス雰囲気が好ましくは酸素を含む、実施形態31から38のいずれか1項に記載の方法。
【0201】
40. 工程(iii)によるか焼を、300~900℃の範囲、好ましくは400~650℃の範囲、より好ましくは400~500℃の範囲、又はより好ましくは550~600℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で行い、ガス雰囲気が好ましくは酸素を含む、実施形態1から39のいずれか1項に記載の方法。
【0202】
41. 工程(iii)によるか焼を、0.1~4時間の範囲、好ましくは0.5~2.5時間の範囲の持続期間で、ガス雰囲気中で行い、ガス雰囲気が好ましくは酸素を含む、実施形態1から40のいずれか1項に記載の方法。
【0203】
42. 工程(iii)で得られる基材中に含まれるゼオライト材料中に含まれる銅(CuOとして計算)の、工程(i)による混合物中に含まれるゼオライト材料中に含まれる銅(CuOとして計算)に対する質量比が、1.5:1~10:1の範囲、好ましくは2:1~5:1の範囲、より好ましくは2:1~4:1の範囲である、実施形態1から41のいずれか1項に記載の方法。
【0204】
43. 工程(i)、(ii)及び(iii)からなる、実施形態1から42のいずれか1項に記載の方法。
【0205】
44. 実施形態1から43のいずれか1項、好ましくは実施形態43に記載の方法によって得られるか又は得ることができる、銅を含むゼオライト材料を含む触媒。
【0206】
45. 触媒に含まれる銅の量が、CuOとして計算して、ゼオライト材料の質量に基づいて、2~10質量%の範囲、好ましくは2.5~5.5質量%の範囲、より好ましくは2.5~5質量%の範囲である、実施形態44に記載の触媒。
【0207】
46. 触媒に含まれる銅の75~100質量%、好ましくは78~100質量%、より好ましくは80~100質量%が、ゼオライト材料に含まれる、実施形態44又は45に記載の触媒。
【0208】
47. 触媒に含まれるゼオライト中の銅の量が、工程(i)による混合物に含有されるゼオライト材料に含まれる銅の量よりも多い、実施形態44から46のいずれか1項に記載の触媒。
【0209】
48. 触媒が、0.8~2.6g/in3の範囲、好ましくは1.2~2.2g/in3の範囲、より好ましくは1.5~2.2g/in3の範囲の担持量でゼオライト材料を含む、実施形態44から47のいずれか1項に記載の触媒。
【0210】
49. 触媒が、0.02~0.52g/in3の範囲、好ましくは0.1~0.42g/in3の範囲、より好ましくは0.1~0.21g/in3の範囲の担持量で非ゼオライト酸性材料を含む、実施形態44から48のいずれか1項に記載の触媒。
【0211】
50. 触媒が酸性成分をさらに含み、酸性成分は、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニアと、Si、Al、Zr及びTiのうちの2種以上を含む混合酸化物と、これらのうちの2種以上の混合物とからなる群から選択され、好ましくはアルミナ、ジルコニアと、Al及びZrの混合酸化物と、それらの混合物とからなる群から選択され、酸性成分はより好ましくはジルコニアであり、
触媒が、より好ましくは、0.2~0.26g/in3の範囲、より好ましくは0.4~0.2g/in3の範囲、より好ましくは0.06~0.14g/in3の範囲の担持量で、酸性成分を含む、実施形態44から49のいずれか1項に記載の触媒。
【0212】
51. 基材の内壁の表面に配置されたコーティングを含み、コーティングが、銅を含むゼオライト材料、非ゼオライト酸性材料、及び場合により、実施形態50で定義した酸性成分を含む、実施形態44から50のいずれか1項に記載の触媒。
【0213】
52. 実施形態44から51のいずれか1項に記載の触媒であって、実施例2で定義するように決定されるNOx活性を示し、このNOx活性が、工程(I1)に置き換えられた工程(i)を除き同じ方法で調製した触媒のNOx活性よりも高く、ここで工程(I1)は、水、H型のゼオライト材料、銅の源、及びアルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリアと、Al、Si、Ti、Zr及びCeのうちの1種以上を含む混合酸化物と、これらのうちの2種以上の混合物とからなる群から選択される非ゼオライト酸性材料とを含む水性混合物の調製を含み、
工程(I1)で調製される水性混合物中に含まれる銅の量は、CuOとして計算して、工程(i)で調製される水性混合物中に含まれる銅の量と等しく、工程(i)で調製される水性混合物中に含まれる銅の量は、工程(i)で使用される銅を含むゼオライト材料中に含まれる銅の量と、工程(i)で使用される銅の源からの銅の量とを含む、触媒。
【0214】
53. 実施形態44から52のいずれか1項に記載の触媒であって、実施例2で定義するように決定されるNOx転化活性を有し、このNOx転化活性が、同じ条件下で同じ担持量を用いる実施形態1から43のいずれか1項に記載の方法によって得られるか又は得ることができる触媒以外の、銅を含むゼオライト材料を含む触媒のNOx転化活性よりも高い触媒。
【0215】
54. 銅を含むゼオライト材料が、本明細書中以下に記載の第3の実施形態の一式による、実施形態1”から6”のいずれか1項及び実施形態29”に記載のゼオライト材料である、触媒。
【0216】
55. 実施形態44から54のいずれか1項に記載の触媒であって、触媒の98~100質量%、好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、銅を含むゼオライト材料、及びアルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリアと、Al、Si、Ti、Zr及びCeのうちの1種以上を含む混合酸化物と、これらのうちの2種以上の混合物とからなる群から選択される非ゼオライト酸性材料、及び基材からなるか、又は
触媒の98~100質量%、好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、銅を含むゼオライト材料、及びアルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリアと、Al、Si、Ti、Zr及びCeのうちの1種以上を含む混合酸化物と、これらのうちの2種以上の混合物とからなる群から選択される非ゼオライト酸性材料、基材、及び実施形態50で定義した酸性成分からなる、触媒。
【0217】
56. 実施形態44から55のいずれか1項に記載の触媒を、窒素酸化物の選択的触媒還元のために使用する方法。
【0218】
57. 窒素酸化物を選択的に触媒還元する方法であって、窒素酸化物が排気ガス流中に含まれており、
(1) 好ましくは圧縮点火エンジンからの、排気ガス流を提供すること、
(2) (1)で提供された排気ガス流を、実施形態44から55のいずれか1項に記載の触媒に通すこと
を含む、方法。
【0219】
58. (i)により調製する水性混合物が、本明細書中以下に記載の第2の実施形態の一式による、実施形態1’から19’のいずれか1項に記載の水性混合物である、実施形態1から43のいずれか1項に記載の方法。
【0220】
59. 圧縮点火エンジンから出る排気ガス流を処理するための排気ガス処理システムであって、前記排気ガス処理システムは、前記排気ガス流を前記排気ガス処理システムに導入するための上流端を有し、前記排気ガス処理システムは、実施形態44から55のいずれか1項に記載の触媒と、ディーゼル酸化触媒、選択的触媒還元触媒、アンモニア酸化触媒、NOxトラップ、及び微粒子フィルタのうちの1種以上とを含む、排気ガス処理システム。
【0221】
60. エンジンの下流且つ実施形態44から55のいずれか1項に記載の触媒の上流に配置されたディーゼル酸化触媒を含み、場合により、前記ディーゼル酸化触媒がNOx貯蔵機能を含有する、実施形態59に記載の排気ガス処理システム。
【0222】
61. 実施形態44から55のいずれか1項に記載の触媒の下流に配置された選択的触媒還元触媒及びアンモニア酸化触媒のうちの1種以上をさらに含む、実施形態60に記載の排気ガス処理システム。
【0223】
62. ディーゼル酸化触媒の下流且つ実施形態44から55のいずれか1項に記載の触媒の上流に配置された選択的触媒還元触媒をさらに含む、実施形態60又は61に記載の排気ガス処理システム。
【0224】
本発明を、以下の実施形態の第2の一式、及び示すような従属参照及び後方参照から生じる実施形態の組み合わせによって、さらに説明する。実施形態の第2の一式は、上記実施形態の第1の一式と組み合わせてよい。
【0225】
1’. 水、銅を含むゼオライト材料、銅を含むゼオライト材料以外の銅の源、及びアルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリアと、Al、Si、Ti、Zr及びCeのうちの1種以上を含む混合酸化物と、これらのうちの2種以上の混合物とからなる群から選択される非ゼオライト酸性材料を含む水性混合物。
【0226】
2’. 銅を含むゼオライト材料が、ABW、ACO、AEI、AEL、AEN、AET、AFG、AFI、AFN、AFO、AFR、AFS、AFT、AFV、AFX、AFY、AHT、ANA、APC、APD、AST、ASV、ATN、ATO、ATS、ATT、ATV、AVL、AWO、AWW、BCT、BEA、BEC、BIK、BOF、BOG、BOZ、BPH、BRE、BSV、CAN、CAS、CDO、CFI、CGF、CGS、CHA、-CHI、-CLO、CON、CSV、CZP、DAC、DDR、DFO、DFT、DOH、DON、EAB、EDI、EEI、EMT、EON、EPI、ERI、ESV、ETR、EUO、*-EWT、EZT、FAR、FAU、FER、FRA、GIS、GIU、GME、GON、GOO、HEU、IFO、IFR、-IFU、IFW、IFY、IHW、IMF、IRN、IRR、-IRY、ISV、ITE、ITG、ITH、*-ITN、ITR、ITT、-ITV、ITW、IWR、IWS、IWV、IWW、JBW、JNT、JOZ、JRY、JSN、JSR、JST、JSW、KFI、LAU、LEV、LIO、-LIT、LOS、LOV、LTA、LTF、LTJ、LTL、LTN、MAR、MAZ、MEI、MEL、MEP、MER、MFI、MFS、MON、MOR、MOZ、*MRE、MSE、MSO、MTF、MTN、MTT、MTW、MVY、MWF、MWW、NAB、NAT、NES、NON、NPO、NPT、NSI、OBW、OFF、OKO、OSI、OSO、OWE、-PAR、PAU、PCR、PHI、PON、POS、PSI、PUN、RHO、-RON、RRO、RSN、RTE、RTH、RUT、RWR、RWY、SAF、SAO、SAS、SAT、SAV、SBE、SBN、SBS、SBT、SEW、SFE、SFF、SFG、SFH、SFN、SFO、SFS、*SFV、SFW、SGT、SIV、SOD、SOF、SOS、SSF、*-SSO、SSY、STF、STI、*STO、STT、STW、-SVR、SVV、SZR、TER、THO、TOL、TON、TSC、TUN、UEI、UFI、UOS、UOV、UOZ、USI、UTL、UWY、VET、VFI、VNI、VSV、WEI、-WEN、YUG、ZON、これらのうちの2種以上の混合物、及びこれらのうちの2種以上の混合型からなる群から選択される骨格型、好ましくは、CHA、AEI、RTH、LEV、DDR、KFI、ERI、AFXと、これらのうちの2種以上の混合物と、これらのうちの2種以上の混合型とからなる群から選択される骨格型、より好ましくはCHA、AEI、RTH、AFXと、これらのうちの2種以上の混合物と、これらのうちの2種以上の混合型とからなる群から選択される骨格型、より好ましくはCHA及びAEIからなる群から選択される骨格型を有し、銅を含むゼオライト材料が、骨格型CHAを有する、実施形態1’に記載の混合物。
【0227】
3’. ゼオライト材料の骨格構造の95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、Si、Al及びOからなり、骨格構造において、SiのAlに対するモル比が、モルSiO2:Al2O3として計算され、好ましくは2:1~50:1の範囲、より好ましくは5:1~45:1の範囲、より好ましくは10:1~35:1の範囲、より好ましくは16:1~28:1の範囲、より好ましくは16:1~19:1の範囲又はより好ましくは23:1~27:1の範囲である、実施形態2’に記載の混合物。
【0228】
4’. 好ましくは骨格型CHAを有するゼオライト材料が、走査型電子顕微鏡により決定して、少なくとも0.1マイクロメートル、好ましくは0.1~3.0マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.3~1.5マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.4~1.0マイクロメートルの範囲の平均結晶子サイズを有する、実施形態1’から3’のいずれか1項に記載の混合物。
【0229】
5’. ゼオライト材料に含まれる銅の量が、CuOとして計算して、ゼオライト材料の質量に基づいて、0.05~3.5質量%の範囲、好ましくは0.1~3質量%の範囲、より好ましくは0.2~2質量%の範囲、より好ましくは0.5~1.75質量%の範囲、より好ましくは1~1.75質量%の範囲、又はより好ましくは1.9~2.5質量%の範囲である、実施形態1’から4’のいずれか1項に記載の混合物。
【0230】
6’. 銅を含むゼオライト材料以外の銅の源が、酢酸銅、硝酸銅、硫酸銅、ギ酸銅、酸化銅、及びこれらのうちの2種以上の混合物からなる群から選択される、好ましくは酢酸銅、酸化銅、及びこれらのうちの2種以上の混合物からなる群から選択される、より好ましくは酸化銅、より好ましくはCuOである、実施形態1’から5’のいずれか1項に記載の混合物。
【0231】
7. 水性混合物が、銅を含むゼオライト材料以外の銅の源を、CuOとして計算して、ゼオライト材料の質量に基づいて、0.1~14質量%の範囲、好ましくは0.5~12質量%の範囲、好ましくは1~10質量%の範囲、より好ましくは1.5~5.0質量%の範囲の量で含む、実施形態1’から6’のいずれか1項に記載の混合物。
【0232】
8’. 水性混合物が、銅を含むゼオライト材料以外の銅の源を、CuOとして計算して、ゼオライト材料の質量に基づいて、1.5~4質量%の範囲の量で含む、実施形態7’に記載の混合物。
【0233】
9’. 非ゼオライト酸性材料が、アルミナ、シリカ、チタニアと、Al、Si、及びTiのうちの1種以上を含む混合酸化物と、これらのうちの2種以上の混合物とからなる群から選択され、好ましくはアルミナ、シリカと、Al及びSiのうちの1種以上を含む混合酸化物と、これらのうちの2種以上の混合物とからなる群から選択され、より好ましくはアルミナとシリカとの混合物であり、
より好ましくは、アルミナとシリカとの混合物の80~99質量%、より好ましくは85~98質量%、より好ましくは90~98質量%がアルミナからなり、そしてより好ましくは、アルミナとシリカとの混合物の1~20質量%、より好ましくは2~15質量%、より好ましくは2~10質量%がシリカからなる、実施形態1’から8’のいずれか1項に記載の混合物。
【0234】
10’. 水性混合物が、ゼオライト材料の質量に基づいて、2~20質量%の範囲、好ましくは5~15質量%の範囲、より好ましくは7~13質量%の範囲の量で、非ゼオライト酸性材料を含む、実施形態1’から9’のいずれか1項に記載の混合物。
【0235】
11’. 水性混合物の10~90質量%、好ましくは40~85質量%、より好ましくは55~80質量%が水からなる、実施形態1’から10’のいずれか1項に記載の混合物。
【0236】
12’. 酸性成分の前駆体をさらに含む実施形態1’から11’のいずれか1項に記載の混合物であって、前駆体が、好ましくはアルミニウム塩、ケイ素塩、ジルコニウム塩、及びチタン塩のうちの1種以上、より好ましくはジルコニウム塩、及びアルミニウム塩のうちの1種以上、より好ましくはジルコニウム塩、より好ましくはジルコニウムアセテートであり、
水性混合物において、酸化物として、好ましくはアルミナ、シリカ、ジルコニア又はチタニアとして計算される前駆体の量、より好ましくはZrO2として計算されるジルコニウム塩の量が、ゼオライト材料の質量に基づいて、1~10質量%の範囲、好ましくは2~8質量%の範囲、より好ましくは3~7質量%の範囲である、混合物。
【0237】
13’. 実施形態1’から12’のいずれか1項に記載の混合物であって、炭素含有添加剤の粒子をさらに含み、
混合物中に含有される炭素含有添加剤が、好ましくは、グラファイト、合成グラファイト、カーボンブラック、グラフェン、ダイヤモンド、フラーレン、カーボンナノチューブ、及びアモルファスカーボンのうちの1種以上であり、より好ましくはグラファイト、合成グラファイト、グラフェン、フラーレン、カーボンナノチューブ、及びアモルファスカーボンのうちの1種以上であり、より好ましくはグラファイト、合成グラファイト、及びグラフェンのうちの1種以上であり、より好ましくはグラファイト及び合成グラファイトのうちの1種以上であり、及び/又は
混合物中に含まれる炭素含有添加剤の粒子が、0.5~30マイクロメートルの範囲、より好ましくは2~15マイクロメートルの範囲、より好ましくは3~12マイクロメートルの範囲、より好ましくは4~10マイクロメートルの範囲、より好ましくは5~8マイクロメートルの範囲のDv50を好ましくは有し、Dv50は本明細書の参照実施例3に従い決定され、及び/又は
混合物中に含まれる炭素含有添加剤の粒子が、4~60マイクロメートルの範囲、より好ましくは6~30マイクロメートルの範囲、より好ましくは8~20マイクロメートルの範囲、より好ましくは9~14マイクロメートルの範囲、より好ましくは10~13マイクロメートルの範囲のDv90を好ましくは有し、Dv90は本明細書の参照実施例3に従い決定され、及び/又は
混合物が、混合物中のゼオライト材料及び非ゼオライト酸性材料の質量に基づいて、2~40質量%の範囲、好ましくは4~30質量%の範囲、より好ましくは5~25質量%の範囲、より好ましくは5.5~15質量%の範囲の量で、炭素含有添加剤の粒子を含む、混合物。
【0238】
14’. 水性混合物が、1種以上の追加の非ゼオライト酸性材料をさらに含み、1種以上の非ゼオライト酸性材料が、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリアと、Al、Si、Ti、Zr及びCeのうちの1種以上を含む混合酸化物と、これらのうちの2種以上の混合物とからなる群から選択される、実施形態1’から13’のいずれか1項に記載の混合物。
【0239】
15’. 1種類以上の酸、好ましくは2種の酸、より好ましくは2種の有機酸、より好ましくは酒石酸及び酢酸を、ゼオライト材料の質量に基づいて、好ましくは0.1~2質量%の範囲、より好ましくは0.2~1質量%の範囲の量でさらに含む、実施形態1’から14’のいずれか1項に記載の混合物。
【0240】
16’. 混合物の質量に基づいて、15~50質量%の範囲、好ましくは20~45質量%の範囲、より好ましくは30~40質量%の範囲の固形分を有する、実施形態1’から15’のいずれか1項に記載の混合物。
【0241】
17’. 混合物の98~100質量%、好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、水、銅を含むゼオライト材料、銅を含むゼオライト材料以外の銅の源、及びアルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリアと、Al、Si、Ti、Zr及びCeのうちの1種以上を含む混合酸化物と、これらのうちの2種以上の混合物とからなる群から選択される非ゼオライト酸性材料、及び好ましくは実施形態15’で定義した1種以上の酸からなる、実施形態1’から16’のいずれか1項に記載の混合物。
【0242】
18’. 混合物の98~100質量%、好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、水、銅を含むゼオライト材料、銅を含むゼオライト材料以外の銅の源、及びアルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリアと、Al、Si、Ti、Zr及びCeのうちの1種以上を含む混合酸化物と、これらのうちの2種以上の混合物とからなる群から選択される非ゼオライト酸性材料、実施形態12’で定義した酸性成分の前駆体、及び好ましくは実施形態15’で定義した1種以上の酸からなる、実施形態1’から16’のいずれか1項に記載の混合物。
【0243】
19’. 混合物が、上記実施形態の第1の一式の実施形態1から44のいずれか1項に記載の方法における工程(i)で調製される水性混合物である、実施形態1’から18’のいずれか1項に記載の混合物。
【0244】
20’. (i.1) 水と、銅を含むゼオライト材料以外の銅の源とを含む第1の混合物を調製する工程、
(i.2) 場合により、工程(i.1)により得られた第1の混合物中の実施形態12’で定義した酸性成分の前駆体、
(i.3) 水と、銅を含むゼオライト材料とを含む第2の混合物を調製する工程、
(i.4) 工程(i.3)で得られた第2の混合物を、工程(i.1)で又は工程(i.2)で得られた第1の混合物と混合して、第3の混合物を得る工程、
(i.5) 水、及び、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリアと、Al、Si、Ti、Zr及びCeのうちの1種以上を含む混合酸化物と、これらのうちの2種以上の混合物とからなる群から選択される非ゼオライト酸性材料、及び好ましくは酸、より好ましくは有機酸、より好ましくは酒石酸を含む、第4の混合物を調製する工程、
(i.6) 工程(i.5)で得られた第4の混合物と工程(i.4)で得られた第3の混合物とを、好ましくは酸、より好ましくは有機酸、より好ましくは酢酸を添加し、そして場合により、実施形態13’で定義した炭素含有添加剤の粒子を酸より先に添加して、混合する工程、
を含む、実施形態1’から19’のいずれか1項に記載の混合物の調製方法。
【0245】
21’. 銅を含むゼオライト材料以外の銅の源の90~100質量%、好ましくは95~100質量%、より好ましくは96~99質量%が、溶解していない状態で(i.1)で調製される混合物中に存在する、実施形態20’に記載の方法。
【0246】
22’. 工程(i.1)が、第1の混合物を粉砕をさらに含み、好ましくは第1の混合物の粒子が、0.5~20マイクロメートルの範囲、より好ましくは4~15マイクロメートルの範囲、より好ましくは6~12マイクロメートルの範囲のDv90を有するようになるまで粉砕し、Dv90が参照実施例3に記載のように決定される、実施形態20’又は21’に記載の方法。
【0247】
23’. 工程(i.1)で得られる第1の混合物が、第1の混合物の質量に基づいて、4~30質量%の範囲、好ましくは4~15質量%の範囲の固形分を有する、実施形態20’から22’のいずれか1項に記載の方法。
【0248】
24’. 工程(i.3)で得られる第2の混合物が、第2の混合物の質量に基づいて、15~50質量%の範囲、好ましくは20~45質量%の範囲、より好ましくは30~40質量%の範囲の固形分を有する、実施形態20’から23’のいずれか1項に記載の方法。
【0249】
25’. 工程(i.4)が、第3の混合物の粉砕をさらに含み、好ましくは第3の混合物の粒子が、0.5~20マイクロメートルの範囲、より好ましくは2~15マイクロメートルの範囲、より好ましくは2~10マイクロメートルの範囲のDv90を有するようになるまで粉砕し、Dv90が参照実施例3に記載のように決定される、実施形態20’から24’のいずれか1項に記載の方法。
【0250】
26’. 工程(i.5)で得られる第4の混合物が、第4の混合物の質量に基づいて、15~50質量%の範囲、好ましくは20~45質量%の範囲、より好ましくは28~40質量%の範囲の固形分を有する、実施形態20’から25’のいずれか1項に記載の方法。
【0251】
27’. 工程(i)で、より好ましくは工程(i.6)で得られる水性混合物が、水性混合物の質量に基づいて、15~50質量%の範囲、好ましくは20~45質量%の範囲、より好ましくは30~40質量%の範囲の固形分を有する、実施形態20’から26’のいずれか1項に記載の方法。
【0252】
28’. 工程(i.1)、(i.2)、(i.3)、(i.4)、(i.5)及び(i.6)からなる、実施形態20’から27’のいずれか1項に記載の方法。
【0253】
29’. 実施形態20’から28’のいずれか1項、好ましくは実施形態28’に記載の方法によって得られるか又は得ることができる、水性混合物。
【0254】
30’. 実施形態1’から19’のいずれか1項及び実施形態29’に記載の水性混合物を、触媒、好ましくは選択的触媒還元触媒の調製のために使用する方法。
【0255】
31’. 実施形態1’から19’のいずれか1項及び実施形態29’に記載の水性混合物の使用
を含む、触媒、好ましくは選択的触媒還元触媒を調製するための方法。
【0256】
本発明を、以下の実施形態の第3の一式、及び示すような従属参照及び後方参照から生じる実施形態の組み合わせによって、さらに説明する。実施形態の第3の一式は、上記実施形態の第1の一式及び実施形態の第2の一式のいずれか1項と組み合わせてよい。
【0257】
1”. 骨格型CHAを有し且つ銅を含むゼオライト材料であって、ゼオライト材料の骨格構造が、Si、Al、及びOを含み、実施例12に記載のように決定される、以下:
最大値を、930~975cm-1の範囲、好ましくは935~970cm-1の範囲、より好ましくは945~965cm-1の範囲に有する、第1の吸収ピーク(P1);
最大値を、880~920cm-1の範囲、好ましくは885~915cm-1の範囲、より好ましくは890~910cm-1の範囲に有する、第2の吸収ピーク(P2);
を含むIRスペクトルを示し、
第1の吸収ピークのピーク面積の、第2の吸収ピークのピーク面積に対する、P1:P2は、0.2:1~1.55:1の範囲、好ましくは0.5:1~1.53:1の範囲、より好ましくは1.05:1~1.53:1の範囲、より好ましくは1.07:1~1.45:1の範囲、より好ましくは1.10:1~1.40:1の範囲、より好ましくは1.12:1~1.35:1の範囲、より好ましくは1.15:1~1.32:1である、ゼオライト材料。
【0258】
2”. ゼオライト材料の骨格構造の95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、Si、Al及びOからなり、骨格構造において、SiのAlに対するモル比が、モルSiO2:Al2O3として計算され、好ましくは2:1~50:1の範囲、より好ましくは5:1~45:1の範囲、より好ましくは10:1~35:1の範囲、より好ましくは16:1~28:1の範囲、より好ましくは16:1~19:1の範囲又はより好ましくは23:1~27:1の範囲である、実施形態1”に記載のゼオライト材料。
【0259】
3”. ゼオライト材料が、走査型電子顕微鏡により決定して、少なくとも0.1マイクロメートル、好ましくは0.1~3.0マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.3~1.5マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.4~1.0マイクロメートルの範囲の平均結晶子サイズを有する、実施形態1”又は2”に記載のゼオライト材料。
【0260】
4”. ゼオライト材料に含まれる銅の量が、CuOとして計算して、ゼオライト材料の質量に基づいて、1~10質量%の範囲、好ましくは1.5~5質量%の範囲、より好ましくは1.5~4質量%の範囲である、実施形態1”から3”のいずれか1項に記載のゼオライト材料。
【0261】
5”. 第1の吸収ピークのピーク面積の、890~965cm-1の波長範囲に最大値を有するあらゆる吸収ピークの総ピーク面積に対する比が、0.05:1~0.50:1の範囲、好ましくは0.08:1~0.5:1の範囲、より好ましくは0.1:1~0.5:1の範囲、より好ましくは0.15:1~0.49:1の範囲、より好ましくは0.25:1~0.48:1の範囲、より好ましくは0.30:1~0.45:1の範囲、より好ましくは0.40:1~0.45:1の範囲である、実施形態1”から4”のいずれか1項に記載のゼオライト材料。
【0262】
6”. 400~800m2/gの範囲、好ましくは500~700m2/gの範囲のBET比表面積を有し、BET比表面積は参照実施例1に記載のように決定される、実施形態1”から5”のいずれか1項に記載のゼオライト材料。
【0263】
7”. 実施形態1”から6”のいずれか1項に記載のゼオライト材料を調製するための方法であって、
(i) 水、骨格型CHAを有し且つ銅を含むゼオライト材料、及び銅を含むゼオライト材料以外の銅の源を含む水性混合物を調製する工程、
(ii) 場合により、工程(i)で得られた混合物を乾燥させる工程、
(iii) 工程(i)か又は工程(ii)で得られた混合物をか焼する工程
を含む、方法。
【0264】
8”. ゼオライト材料の骨格構造の95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、Si、Al及びOからなり、骨格構造において、SiのAlに対するモル比が、モルSiO2:Al2O3として計算され、好ましくは2:1~50:1の範囲、より好ましくは5:1~45:1の範囲、より好ましくは10:1~35:1の範囲、より好ましくは16:1~28:1の範囲、より好ましくは16:1~19:1の範囲又はより好ましくは23:1~27:1の範囲である、実施形態7”に記載の方法。
【0265】
9”. 工程(i)で調製される水性混合物に含有されるゼオライト材料が、走査型電子顕微鏡により決定して、少なくとも0.1マイクロメートル、好ましくは0.1~3.0マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.3~1.5マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.4~1.0マイクロメートルの範囲の平均結晶子サイズを有する、実施形態7”又は8”に記載の方法。
【0266】
10”. 工程(i)で調製される水性混合物に含有されるゼオライト材料に含まれる銅の量が、CuOとして計算して、工程(i)で調製される水性混合物に含まれるゼオライト材料の質量に基づいて、0.1~3質量%の範囲、好ましくは0.2~2質量%の範囲、より好ましくは0.5~1.75質量%の範囲である、実施形態7”から9”のいずれか1項に記載の方法。
【0267】
11”. 銅を含むゼオライト材料以外の銅の源が、酢酸銅、硝酸銅、硫酸銅、ギ酸銅、酸化銅、及びこれらのうちの2種以上の混合物からなる群から選択される、好ましくは酢酸銅、酸化銅、及びこれらのうちの2種以上の混合物からなる群から選択される、より好ましくは酸化銅、より好ましくはCuOである、実施形態7”から10”のいずれか1項に記載の方法。
【0268】
12”. 工程(i)で調製される水性混合物が、銅を含むゼオライト材料以外の銅の源を、CuOとして計算して、工程(i)で調製される水性混合物に含まれるゼオライト材料の質量に基づいて、1~10質量%の範囲、好ましくは1.5~5質量%の範囲の量で含む、実施形態7”から11”のいずれか1項に記載の方法。
【0269】
13”. 工程(i)で調製される水性混合物が、銅を含むゼオライト材料以外の銅の源を、CuOとして計算して、工程(i)で調製される水性混合物に含まれるゼオライト材料の質量に基づいて、1.5~4.5質量%の範囲、好ましくは1.5~4質量%の範囲の量で含む、実施形態12”に記載の方法。
【0270】
14”. 工程(i)で調製される水性混合物において、水性混合物の10~90質量%、好ましくは40~85質量%、より好ましくは55~80質量%が水からなる、実施形態7”から13”のいずれか1項に記載の方法。
【0271】
15”. 工程(i)で調製される水性混合物が酸性成分の前駆体をさらに含み、前駆体が、好ましくはアルミニウム塩、ケイ素塩、ジルコニウム塩、及びチタン塩のうちの1種以上、より好ましくはジルコニウム塩、及びアルミニウム塩のうちの1種以上、より好ましくはジルコニウム塩、より好ましくはジルコニウムアセテートである、実施形態7”から14”のいずれか1項に記載の方法。
【0272】
16”. 工程(i)で調製される水性混合物において、酸化物として、好ましくはアルミナ、シリカ、ジルコニア又はチタニアとして計算される前駆体の量、より好ましくはZrO2として計算されるジルコニウム塩の量が、工程(i)で調製される水性混合物に含まれるゼオライト材料の質量に基づいて、1~10質量%の範囲、好ましくは2~8質量%の範囲、より好ましくは3~7質量%の範囲である、実施形態15”に記載の方法。
【0273】
17”. 工程(i)で調製される水性混合物の98~100質量%、好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、水と、銅を含むゼオライト材料と、銅を含むゼオライト材料以外の銅の源と、からなる、実施形態7”から16”のいずれか1項に記載の方法。
【0274】
18”. 工程(i)で調製される水性混合物の98~100質量%、好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、水と、銅を含むゼオライト材料と、銅を含むゼオライト材料以外の銅の源と、実施形態15”又は16”で定義した酸性成分の前駆体と、からなる、実施形態7”から16”のいずれか1項に記載の方法。
【0275】
19”. 工程(i)が、
(i.1) 水と、銅を含むゼオライト材料以外の銅の源とを含む第1の混合物を調製する工程、
(i.2) 好ましくは第1の混合物を粉砕することであって、より好ましくは第1の混合物の粒子が0.5~20マイクロメートルの範囲のDv90を有するようになるまで粉砕し(Dv90は参照実施例3に記載のように決定される)、場合により実施形態15”又は16”で定義した酸性成分の前駆体を加える、粉砕すること、
(i.3) 水と、銅を含むゼオライト材料とを含む第2の混合物を調製する工程、
(i.4) 工程(i.3)で得られた第2の混合物を、工程(i.1)で、より好ましくは工程(i.2)で得られた第1の混合物と混合すること、
を含む、
実施形態7”から18”のいずれか1項に記載の方法。
【0276】
20”. 銅を含むゼオライト材料以外の銅の源の90~100質量%、好ましくは95~100質量%、より好ましくは98~100質量%が、溶解していない状態で工程(i.1)で調製される混合物中に存在する、実施形態19”に記載の方法。
【0277】
21”. 工程(i.2)における粉砕を、第1の混合物の粒子が、4~15マイクロメートルの範囲、好ましくは6~12マイクロメートルの範囲のDv90を有するようになるまで行い、Dv90が参照実施例3に記載のように決定される、実施形態19”又は20”に記載の方法。
【0278】
22”. 工程(i.4)が、工程(i.4)で得られた混合物の粉砕をさらに含み、好ましくは前記混合物の粒子が、0.5~20マイクロメートルの範囲、より好ましくは2~15マイクロメートルの範囲、より好ましくは2~10マイクロメートルの範囲のDv90を有するようになるまで粉砕し、Dv90が参照実施例3に記載のように決定される、実施形態19”から21”のいずれか1項に記載の方法。
【0279】
23”. 工程(ii)による乾燥を100~200℃の範囲、好ましくは120~140℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で行い、ガス雰囲気が好ましくは酸素を含む、実施形態7”から22”のいずれか1項に記載の方法。
【0280】
24”. 工程(ii)による乾燥をガス雰囲気中で、0.25~3時間の範囲、好ましくは0.5~1.5時間の範囲の持続期間で行い、ガス雰囲気が好ましくは酸素を含む、実施形態7”から23”のいずれか1項に記載の方法。
【0281】
25”. 工程(iii)によるか焼を300~900℃の範囲、好ましくは400~500℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で行い、ガス雰囲気が好ましくは酸素を含む、実施形態7”から24”のいずれか1項に記載の方法。
【0282】
26”. 工程(iii)によるか焼を0.5~8時間の範囲、好ましくは1.5~3時間の範囲の持続期間で、ガス雰囲気中で行い、ガス雰囲気が好ましくは酸素を含む、実施形態7”から25”のいずれか1項に記載の方法。
【0283】
27”. 工程(iii)で得られるゼオライト材料中に含まれる銅(CuOとして計算)の、工程(i)による混合物中に含まれるゼオライト材料中に含まれる銅(CuOとして計算)に対する質量比が、1.5:1~10:1の範囲、好ましくは2:1~5:1の範囲、より好ましくは2:1~4:1の範囲である、実施形態7”から26”のいずれか1項に記載の方法。
【0284】
28”. 工程(i)、(ii)及び(iii)からなる、実施形態7”から27”のいずれか1項に記載の方法。
【0285】
29”. 実施形態7”から28”のいずれか1項に記載の方法によって得られるか又は得ることができる、骨格型CHAを有し且つ銅を含むゼオライト材料、好ましくは実施形態1”から6”のいずれか1項に記載のゼオライト材料。
【0286】
30”. 実施形態1”から6”のいずれか1項及び実施形態29”に記載のゼオライト材料を、触媒として、又は触媒物品として、好ましくは窒素酸化物の選択的触媒還元のために、使用する方法。
【0287】
31”. 上記実施形態の第1の一式による実施形態44から55のいずれか1項に記載の触媒中に含まれる、実施形態1”から6”のいずれか1項及び実施形態29”に記載のゼオライト材料。
【0288】
本発明を、以下の参照実施例、比較例及び実施例によって、さらに説明する。
【実施例】
【0289】
参照実施例1 BET比表面積の測定
BET比表面積は、DIN66131又はDIN-ISO9277に従って、液体窒素を使用して決定した。
【0290】
参照実施例2 多孔質ウォールフロー基材の平均気孔率及び平均細孔径の測定
多孔質ウォールフロー基材の平均気孔率は、水銀圧入法によって、水銀ポロシメトリーを使用し、DIN66133及びISO15901-1に従い決定した。
【0291】
参照実施例3 体積ベースの粒子径分布の決定
粒子径分布は、静的光散乱法によって、Sympatec HELOS(3200)&QUIXEL装置を使用し、試料の光学濃度6~10%の範囲で決定した。
【0292】
参照実施例4: 通常の液相イオン交換(LPIE)法に従い調製したCu-チャバザイト
Cuを含む骨格構造型CHAを有し、本明細書の実施例のうちいくつかで使用したゼオライト材料は、基本的にUS8,293,199B2に開示のように調製した。特に、US8,293,199B2、第15欄、第26~52行目の発明例2を参照されたい。
【0293】
比較例1: 本発明によるものではない、銅を含むゼオライト材料を含む触媒の調製方法
スラリー1:
Cu含有量が3.4質量%(CuOとして計算され、チャバザイトの質量に基づく)のCu-チャバザイト(Dv50が20マイクロメートル、SiO2:Al2O3モル比が25、一次粒子径が0.5マイクロメートル未満、及びBET比表面積が約600m2/g)を、参照実施例4に記載のように調製し、水中に分散させた。得られた混合物は、前記混合物の質量に基づいて40質量%の固形分を有していた。得られた混合物を、混合物の粒子のDv90値が5マイクロメートルとなるように、連続粉砕装置を使用して粉砕した。
【0294】
スラリー2:
別途、水性スラリーを調製した。これは、前記スラリーの質量に基づいて30質量%の固形分を有し、水とアルミナ(Al2O3が94質量%、SiO2が6質量%、BET比表面積が173m2/g、Dv90が約5マイクロメートル)とを含んでいた。アルミナ+シリカの量は、か焼後のアルミナ+シリカの量が、か焼後のチャバザイトの質量に基づいて10質量%となるように計算した。水性スラリーに酒石酸を加えた。酒石酸の量は、それがか焼後のコーティング中のアルミナ+シリカの質量に基づいて0.7質量%となるように計算した。
【0295】
続いて、スラリー1とスラリー2を合わせた。得られたスラリーに酢酸を加えた。酢酸の量は、それがCu-チャバザイトの質量に基づいて1質量%となるように計算した。最終的なスラリーの固形分は、前記スラリーの質量に基づいて34質量%に調整した。
【0296】
多孔質のコーティングされていないウォールフローフィルター基材であるシリコンカーバイド(平均気孔率63%、平均細孔径20マイクロメートル、300CPSI及び壁厚12mil、直径:165.1mm*長さ:140.5mm)を、基材軸方向の長さの100%にわたって入口端から出口端まで、最終スラリーで2回コーティングした。これを行うために、基材を最終スラリーに入口端から浸し、スラリーが基材の頂部に到達するまで浸した。さらに、圧力パルスを入口端に施与して、スラリーを基材に均一に広げた。さらに、コーティングした基材を130℃で2時間乾燥させ、450℃で2時間か焼した。これを1回繰り返した。か焼後の最終的なコーティング担持量は、チャバザイトの質量に基づいて、2.0g/in3であり、約1.76g/in3のチャバザイト、0.18g/in3のアルミナ+シリカ、及びCuOとして計算される3.4質量%のCuを含んでいた。
【0297】
比較例2: 本発明によるものではない、銅を含むゼオライト材料を含む触媒の調製方法
スラリー1:
33マイクロメートルのDv50を有するCuO粉末を水に加えた。CuOの量は、銅の合計量がか焼後のコーティング中で、CuOとして計算しチャバザイトの質量に基づいて3.5質量%となるように計算した。得られた混合物を、粒子のDv50値が約2.5マイクロメートル、粒子のDv90値が約9マイクロメートルとなるように、連続粉砕装置を使用して粉砕した。得られたスラリーは、前記スラリーの質量に基づいて5質量%の固形分を有していた。スラリーを形成するCuO含有混合物に、ジルコニウムアセテート水溶液を加えた。ジルコニウムアセテートの量は、ジルコニアの量がコーティング中で、ZrO2として計算しチャバザイトの質量に基づいて5質量%となるように計算した。別途、H-チャバザイト(Dv50が20マイクロメートル、SiO2:Al2O3が25、一次粒子径が0.5マイクロメートル未満、BET比表面積が約600m2/g)を水に加えて混合物を形成した。これは前記混合物の質量に基づいて38質量%の固形分を有していた。H-チャバザイト混合物を、銅含有スラリーに混合した。Cu-チャバザイトの量は、か焼後のチャバザイトの担持量が、か焼後の触媒におけるコーティングの担持量の84.4%となるように計算した。得られたスラリーを、粒子のDv90値が約5マイクロメートルとなるように、連続粉砕装置を使用して粉砕した。
【0298】
スラリー2:
このスラリーは、比較例1のスラリー2のように調製した。
【0299】
続いて、スラリー1とスラリー2を合わせた。得られたスラリーに酢酸を加えた。酢酸の量は、それがチャバザイト+Cuの質量に基づいて1質量%となるように計算した。最終的なスラリーの固形分は、前記スラリーの質量に基づいて34質量%に調整した。
【0300】
多孔質のコーティングされていないウォールフローフィルター基材であるシリコンカーバイド(平均気孔率63%、平均細孔径20マイクロメートル、300CPSI及び壁厚12mil、直径:165.1mm*長さ:140.5mm)を、基材軸方向の長さの100%にわたって、入口端から出口端まで、最終スラリーで2回コーティングした。これを行うために、基材を最終スラリーに入口端から浸し、スラリーが基材の頂部に到達するまで浸した。さらに、圧力パルスを入口端に施与して、スラリーを基材に均一に広げた。さらに、コーティングした基材を130℃で2時間乾燥させ、450℃で2時間か焼した。
【0301】
これを1回繰り返した。か焼後の最終的なコーティング担持量は、チャバザイトの質量に基づいて、2.0g/in3であり、1.688g/in3のチャバザイト、0.0844のジルコニア、0.1688のアルミナ+シリカ、及びCuOとして計算される3.5質量%のCuを含んでいた。
【0302】
実施例1: 銅を含むゼオライト材料を含む触媒の調製方法
スラリー1:
33マイクロメートルのDv50を有するCuO粉末を水に加えた。CuOの量は、銅の合計量がCuOとして計算して、か焼後のコーティング中で、チャバザイトの質量に基づいて3.5質量%となるように計算した。得られた混合物を、粒子のDv50値が約2.5マイクロメートル、粒子のDv90値が約9マイクロメートルとなるように、連続粉砕装置を使用して粉砕した。得られたスラリーは、前記スラリーの質量に基づいて5質量%の固形分を有していた。スラリーを形成するCuO含有混合物に、ジルコニウムアセテート水溶液を加えた。ジルコニウムアセテートの量は、ジルコニアの量がコーティング中で、ZrO2として計算しチャバザイトの質量に基づいて5質量%となるように計算した。別途、Cu含有量が1.30質量%(CuOとして計算され、チャバザイトの質量に基づく)のCu-チャバザイト混合物(Dv50が20マイクロメートル、SiO2:Al2O3モル比が25、一次粒子径が0.5マイクロメートル未満、及びBET比表面積が約600m2/g)を、参照実施例4に記載のように調製し、水に加えて混合物を形成した。これは前記混合物の質量に基づいて、34質量%の固形分を有していた。Cu-チャバザイト混合物を、銅含有スラリーと混合した。Cu-チャバザイトの量は、か焼後のチャバザイトの担持量が、か焼後の触媒におけるコーティングの担持量の84.2%となるように計算した。得られたスラリーを、粒子のDv90値が約5マイクロメートルとなるように、連続粉砕装置を使用して粉砕した。
【0303】
スラリー2:
別途、水性スラリーを調製した。これは、前記スラリーの質量に基づいて30質量%の固形分を有し、水とアルミナ(Al2O3が94質量%、SiO2が6質量%、BET比表面積が173m2/g、Dv90が約5マイクロメートル)とを含んでいた。アルミナ+シリカの量は、か焼後のアルミナ+シリカの量が、か焼後のチャバザイトの質量に基づいて10質量%となるように計算した。水性スラリーに酒石酸を加えた。酒石酸の量は、それがか焼後のコーティング中のアルミナ+シリカの質量に基づいて0.7質量%となるように計算した。
【0304】
続いて、スラリー1とスラリー2を合わせた。得られたスラリーに酢酸を加えた。酢酸の量は、それがチャバザイトの質量に基づいて1質量%となるように計算した。得られた最終的なスラリーの固形分は、前記スラリーの質量に基づいて34質量%に調整した。
【0305】
多孔質のコーティングされていないウォールフローフィルター基材であるシリコンカーバイド(平均気孔率63%、平均細孔径20マイクロメートル、300CPSI及び壁厚12mil、直径:165.1mm*長さ:140.5mm)を、基材軸方向の長さの100%にわたって入口端から出口端まで、最終スラリーで2回コーティングした。これを行うために、基材を最終スラリーに入口端から浸し、スラリーが基材の頂部に到達するまで浸した。さらに、圧力パルスを入口端に施与して、スラリーを基材に均一に広げた。さらに、コーティングした基材を130℃で2時間乾燥させ、450℃で2時間か焼した。これを1回繰り返した。か焼後の最終的なコーティング担持量は、チャバザイトの質量に基づいて、約2.0g/in3であり、1.684g/in3のチャバザイト、0.1684g/in3のアルミナ+シリカ、0.0842のg/in3ジルコニア及びCuOとして計算される3.5質量%のCuを含んでいた。CuOとして計算される、コーティングされた基材に含まれるゼオライト材料に含まれる銅の、スラリー1で使用したゼオライト材料(出発ゼオライト材料)中に含まれる銅に対する、質量比は、約2.5:1であった。
【0306】
実施例2: 実施例1、比較例1及び2の触媒の性能評価-NOx転化率
すべての触媒を、オーブン中800℃の水熱条件(10%のH2O、20%のO2及び70%のN2)で16時間エージングさせた。すべての触媒を、オーブン中850℃の水熱条件(10%のH2O、20%のO2及び70%のN2)でも16時間エージングさせた。
【0307】
実施例1、比較例1及び2のエージングさせた触媒の20ppmのNH
3スリップにおけるNOx転化率を、Euro6の150kWエンジン(OM651)を備えたエンジンベンチで、様々な温度、すなわち200、230、600及び650℃で測定した。結果を
図1(800℃での水熱エージング後)及び
図2(850℃での水熱エージング後)に示す。
【0308】
図1に明示されるように、実施例1のエージングさせた触媒は、液相イオン交換法により調製した、銅を含むゼオライト材料を含む比較例1のエージングさせた触媒と比較して、200、230、600及び650℃で改善されたNOx転化率を示した。特に、実施例1のエージングさせた触媒は、比較例1のエージングさせた触媒で得られたものよりも約10~12%高いNOx転化率を示した。さらに、実施例1のエージングさせた触媒は、in-situイオン交換(ISIE)手順(ただし、ゼオライト材料のH型から出発)によって調製した、銅を含むゼオライト材料を含む比較例2のエージングさせた触媒と比較して、200、230、及び600℃で改善されたNOx転化率を示した。
【0309】
図2に明示されるように、実施例1のエージングさせた触媒は、液相イオン交換法により調製した、銅を含むゼオライト材料を含む比較例1のエージングさせた触媒と比較して、200、230、600及び650℃で改善されたNOx転化率を示した。特に、実施例1のエージングさせた触媒は、比較例1のエージングさせた触媒で得られたものよりも約10~15%高いNOx転化率を示した。さらに、実施例1のエージングさせた触媒は、in-situイオン交換(ISIE)手順(ただし、ゼオライト材料のH型から出発)によって調製した、銅を含むゼオライト材料を含む比較例2のエージングさせた触媒と比較して、200、230、600及び650℃で改善されたNOx転化率を示した。
【0310】
このように、実施例2は、本発明により調製した触媒が、エージング条件下で、改善された触媒活性、特にNOx転化率、を提供することを示している。このように、本実施例は、銅を含むゼオライト材料を含む触媒を調製するための、特許請求する方法を使用すること、すなわち本発明により通常の液相イオン交換(LPIE)及びin-situイオン交換(ISIE)手順の特定の組み合わせを使用することにより、前記触媒の触媒活性の改善、及びその熱安定性の改善が可能であることを明示している。
【0311】
比較例3: 本発明によるものではない、銅を含むゼオライト材料を含む触媒の調製方法
比較例3の触媒は、最終スラリーを異なる基材にコーティングしたことを除き、比較例2の触媒のように調製した。具体的には、これを多孔質のコーティングされていないウォールフローフィルター基材であるシリコンカーバイド(平均気孔率60.5%、平均細孔径20マイクロメートル、350CPSI及び壁厚0.28mm、直径:172.8mm*長さ:127.9mm)上にコーティングした。コーティング方法は同じであった。か焼後の最終コーティング担持量は2.2g/in3であった。
【0312】
実施例3: 銅を含むゼオライト材料を含む触媒の調製方法
実施例3の触媒は、最終スラリーを異なる基材にコーティングしたことを除き、実施例1の触媒のように調製した。具体的には、これを多孔質のコーティングされていないウォールフローフィルター基材であるシリコンカーバイド(平均気孔率60.5%、平均細孔径20マイクロメートル、350CPSI及び壁厚0.28mm、直径:172.8mm*長さ:127.9mm)上にコーティングした。コーティング方法は同じであった。か焼後の最終コーティング担持量は2.2g/in3であった。
【0313】
実施例4: 背圧評価
実施例3及び比較例3で得られた触媒の背圧を、Superflow1020測定装置で測定した。具体的には、実施例3により調製した触媒の3つのロットと、比較例3により調製した触媒の3つのロットを試験した。600m3/hの体積流量で記録した背圧データを、以下の表1に報告する。
【0314】
【0315】
表1は、比較例3により調製した3つのロットから測定された平均背圧がすべて60ミリバールより高く、そして背圧がこれらの様々なロット間で大きく変動していることを示している。これに対して、実施例3により調製したロットについて測定された背圧はすべて50ミリバール未満であり、ロット間の変動は5ミリバールよりも小さい。よって、本発明の主題である方法は、H型チャバザイトを出発物質として使用するISIE法で、CuOを完全に交換するプロセスによる方法よりも、安定した低い背圧をもたらす。
【0316】
実施例5: 銅を含むゼオライト材料を含む触媒の調製方法
実施例5の触媒は、CuOの量をチャバザイトの質量に基づいて3.75質量%に増加させたことを除き、実施例1の触媒のように調製した。か焼後の最終コーティング担持量は2.0g/in3であった。CuOとして計算される、コーティングされた基材に含まれるゼオライト材料に含まれる銅の、スラリー1で使用したゼオライト材料(出発ゼオライト材料)中に含まれる銅に対する、質量比は、約3:1であった。
【0317】
実施例6: 本発明によるものではない、銅を含むゼオライト材料を含む触媒の調製方法
実施例6の触媒は、スラリー1にジルコニウムアセテートを加えなかったことを除き、実施例5の触媒のように調製した。か焼後の最終コーティング担持量は2.0g/in3であった。
【0318】
実施例7: 実施例5及び6の触媒の性能試験-NOx転化率及びNH
3貯蔵能
触媒を、オーブン中800℃の水熱条件(20%のO
2、10%のH
2O、及び70%のN
2)で16時間エージングさせた。実施例5及び6のエージングさせた触媒の20ppmのNH
3スリップにおけるNOx転化率を、2l140kWのEuro6(EDC17-ETK SG)エンジンで、様々な温度、すなわち200、230及び680℃で測定した。結果を
図3に示す。
【0319】
すべての触媒を、オーブン中850℃の水熱条件(10%のH
2O、20%のO
2及び70%のN
2)でも16時間エージングさせた。実施例5及び6のエージングさせた触媒の20ppmのNH
3スリップにおけるNOx転化率を、2l140kWのEuro6(EDC17-ETK SG)エンジンで、様々な温度、すなわち200及び230で測定した。結果を
図4に示す。
【0320】
実施例5及び6のエージングさせた触媒のアンモニア貯蔵能を、NOx転化率の測定後、尿素噴射を停止した後に、異なる温度すなわち200及び230℃で測定した。具体的には、測定されたアンモニア貯蔵能(触媒内に貯蔵されたアンモニア)は、尿素噴射を停止した後でも触媒から出るNOxとNH
3との反応総量に相当する。結果を
図5に示す。
【0321】
図3から
図5は、実施例5及び6の触媒が、様々な温度、すなわち200、230及び680℃において、同等の触媒性能を呈することを示している。このように、実施例7は、酸性成分の前駆体、すなわちジルコニウムアセテートを使用することが、銅を含むゼオライト材料を含む触媒のスラリーを調製する際に、本出願の実施例の性能を比較した試験条件において、性能に関係しないことを明示している。
【0322】
比較例4:本発明によるものではない、骨格型CHAを有し且つ銅を含むゼオライト材料の調製
スラリー1及びスラリー2を比較例1のように調製した。続いて、スラリー1とスラリー2を合わせた。得られたスラリーに酢酸を加えた。酢酸の量は、それがチャバザイトの質量に基づいて1質量%となるように計算した。さらに、得られたスラリーを130℃で1時間乾燥させ、450℃で2時間か焼して、骨格型CHAを有し且つ銅を含むゼオライト材料87.4質量%と、ジルコニア4.3質量%と、アルミナとシリカとの混合物8.4質量%とを含む粉末を得た。
【0323】
実施例8: 骨格型CHAを有し且つ銅を含むゼオライト材料の調製
スラリー1及びスラリー2の調製は、スラリー1のチャバザイトの量を、か焼後の最終粉末中のチャバザイトの量が粉末の質量に基づいて87.2質量%になるように計算したこと、及びアルミナ+シリカの量を、か焼後のアルミナ+シリカの量が粉末の質量に基づいて8.5質量%になるように計算したことを除き、実施例1のように行った。続いて、スラリー1とスラリー2を合わせた。得られたスラリーに酢酸を加えた。酢酸の量は、それがチャバザイトの質量に基づいて1質量%となるように計算した。さらに、得られたスラリーを130℃で1時間乾燥させ、450℃で2時間か焼して、骨格型CHAを有し且つ銅を含むゼオライト材料87.2質量%と、ジルコニア4.3質量%と、アルミナとシリカとの混合物8.5質量%とを含む粉末を得た。
【0324】
比較例5:本発明によるものではない、骨格型CHAを有し且つ銅を含むゼオライト材料の調製
比較例5のゼオライト材料は、か焼後の銅の量が、チャバザイトの質量に基づいてCuOとして計算して3.17質量%となるように計算したこと、及び130℃で1時間乾燥させた後にか焼を行っていないことを除き、実施例8のゼオライト材料のように調製した。
【0325】
実施例9: 骨格型CHAを有し且つ銅を含むゼオライト材料の調製
実施例9のゼオライト材料は、130℃で1時間の乾燥の後、450℃で2時間のか焼工程を行ったことを除き、比較例5のゼオライト材料のように調製した。
【0326】
実施例10: 骨格型CHAを有し且つ銅を含むゼオライト材料の調製
実施例10のゼオライト材料は、か焼後の銅の合計量が、チャバザイトの質量に基づいてCuOとして計算して3.31質量%となるようにCuOの量を計算したこと、及びジルコニウムアセテートを使用しなかったことを除き、実施例8のゼオライト材料のように調製した。
【0327】
実施例11: アンモニア逆交換(BEX)実験
実施例8、9及び10のか焼したゼオライト材料、比較例4のか焼したゼオライト材料、及び比較例5の乾燥させたゼオライト材料に対して、アンモニア逆交換(BEX)実験を行った。BEX実験は、実施例8の出発材料(チャバザイトの質量に基づいてCuOとして計算して1.30質量%のCu含有量を有するCu-チャバザイト)に対しても行った。BEX実験では、ゼオライト材料中の交換されたCuが除去され、残留Cuは交換されていないCuOである。残留Cu量はICPで決定し、アンモニア逆交換前後のCu量のデルタが交換されたCu量である。結果を以下の表2に示す。
【0328】
【0329】
* ゼオライト材料の質量に基づいてCuOとして計算
【0330】
実施例6は、実施例8及び比較例4のゼオライト材料において、交換された銅の量がほぼ同じであることを示している。
【0331】
実施例12: 拡散反射型赤外フーリエ変換分光法(DRIFTS)測定
MCT(HgCdTe)検出器を備えたTHERMO NICOLET及びZnSe窓を備えたHarrick環境チャンバを用いて、拡散反射赤外フーリエ変換分光法(DRIFTS)測定を行った。比較例4及び5、実施例8~10のゼオライト材料、及び実施例8の出発ゼオライト材料を、乳鉢と乳棒で微粉末に粉砕して、サンプルカップに入れた。この粉末を40mL/分で流れるAr中、400℃で1時間脱水し、30℃まで冷却した後、KBrを基準として使用し、スペクトルを記録した。ゼオライト材料中の銅種は、無秩序になったT-O-T結合(Si-O-Al及びSi-O-Si)の振動をモニターすることで、赤外(IR)分光法によって、同定することができる。ゼオライト中のT-O-T結合の構造振動は、非対称振動モードでは1300~1000cm
-1に、対称振動モードでは850~750cm
-1にそれぞれ吸収ピークを有する。酸素環の非対称T-O-T振動の周波数はカチオンとの相互作用に敏感であるので、カチオンと相互作用するとIRバンドは典型的な1000~1300cm
-1(無秩序になっていない環に特徴的な位置)から約850~1000cm
-1にシフトする。シフトしたバンドは、T-O-T非対称振動及び対称振動の2つの強いバンド間の透過窓に現れる。このようなシフトしたバンドの位置は、カチオンの特性に依存する。このような無秩序になったT-O-T結合の振動は、ゼオライト骨格構造のカチオン位置内に銅イオンが交換されたときに、骨格構造中の隣接する酸素原子と銅イオンとの間に強い相互作用が生じるために観測される。ピーク位置は、補償されたカチオンの状態とゼオライト骨格の構造に依存する。ピーク強度は、交換部位中の補償カチオンの量に依存する。
図6にT-O-T結合のDRIFTSを示す。
【0332】
ピークフィッティングは、Origin9.1ソフトウェアで行った。ピークフィッティングでは、ピークをガウスピークとしてモデル化し、カイ二乗の許容値が1E-6に達するまでピークフィッティングの実行を行った。無秩序になったT-O-T結合の振動の吸収に起因する900~955cm-1の波長範囲のIR信号は、ゼオライト材料中の交換された銅イオンに起因するものであった。900cm-1の波長に最大値を有する吸収ピークは、Cu2+による無秩序になったT-O-T結合の振動に起因するものであり、955cm-1の波長に最大値を有する吸収ピークは、Cu(OH)+による無秩序になったT-O-T結合の振動に起因するものであった。ソフトウェアによるピークのデコンボリューションを可能にするために、波長935cm-1のピーク位置を含めた。955~900cm-1の総ピーク面積は、CuOH+及びCu2+を含む交換部位の交換された銅イオンの合計を示している。結果を以下の表3に示す。
【0333】
【0334】
*955~900cm-1の範囲に最大値を有するすべての吸収ピークのもの
【0335】
表3に明示されるように、実施例8のゼオライト材料のIRスペクトルは、
図6、7及び表3から分かるように、約955cm
-1に最大値を有する第1の吸収ピーク(P1)、及び約900cm
-1に最大値を有する第2の吸収ピーク(P2)を含む。第1の吸収ピークのピーク面積の、第2の吸収ピークのピーク面積に対する比、P1:P2は、1.178:1(=66:56)であった。第1の吸収ピーク(P1)のピーク面積は、900~955cm
-1の範囲に最大値を有するすべての吸収ピークの総ピーク面積の43.42%を占めていた。第2の吸収ピーク(P2)のピーク面積は、900~955cm
-1の範囲に最大値を有するすべての吸収ピークの総ピーク面積の36.84%を占めていた。これらの無秩序になった信号は、交換された銅イオンによるT-O-T結合の振動の吸収に起因するものである。実施例8のゼオライト材料中の交換された全銅イオンのうち36.84%がCu(OH)
+であったと考えられる。実施例8のゼオライト材料中の交換された全銅イオンのうち43.42%は、Cu
2+であったと考えられる。
【0336】
比較例4のゼオライト材料のIR信号は、
図5及び表3から分かるように、約955cm
-1に最大値を有する第1の吸収ピーク(P1)、及び約900cm
-1に最大値を有する第2の吸収ピーク(P2)を示している。第1の吸収ピークのピーク面積の、第2の吸収ピークのピーク面積に対する比、P1:P2は、1.65:1(=91:55)であった。第1の吸収ピーク(P1)のピーク面積は、900~955cm
-1の範囲に最大値を有するすべての吸収ピークの総ピーク面積の59.1%を占めていた。第2の吸収ピーク(P2)のピーク面積は、900~955cm
-1の範囲に最大値を有するすべての吸収ピークの総ピーク面積の35.7%を占めていた。これらの無秩序になった信号は、交換された銅イオンによるT-O-T結合の振動の吸収に起因するものである。比較例4のゼオライト材料中の交換された全銅イオンのうち35.7%がCu(OH)
+であったと考えられる。比較例4のゼオライト材料中の交換された全銅イオンのうち59.1%がCu
2+であったと考えられる。
【0337】
実施例9のゼオライト材料のIRスペクトルは、
図6及び表3から分かるように、約955cm
-1に最大値を有する第1の吸収ピーク(P1)、及び約900cm
-1に最大値を有する第2の吸収ピーク(P2)を含む。第1の吸収ピークのピーク面積の、第2の吸収ピークのピーク面積に対する比、P1:P2は、1.276:1(=60:47)であった。実施例10のゼオライト材料のIRスペクトルは、
図6及び表3から分かるように、約955cm
-1に最大値を有する第1の吸収ピーク(P1)、及び約900cm
-1に最大値を有する第2の吸収ピーク(P2)を含む。第1の吸収ピークのピーク面積の、第2の吸収ピークのピーク面積に対する比、P1:P2は、1.264:1(=67:53)であった。
【0338】
比較例6: 本発明によるものではない、銅を含むゼオライト材料を含む触媒の調製
スラリー1:
33マイクロメートルのDv50を有するCuO粉末を水に加えた。CuOの量は、銅の合計量がCuOとして計算して、か焼後のコーティング中で、チャバザイトの質量に基づいて4.15質量%となるように計算した。得られた混合物を、粒子のDv50値が約2.5マイクロメートル、粒子のDv90値が約9マイクロメートルとなるように、連続粉砕装置を使用して粉砕した。得られたスラリーは、前記スラリーの質量に基づいて5質量%の固形分を有していた。スラリーを形成するCuO含有混合物に、ジルコニウムアセテート水溶液を加えた。ジルコニウムアセテートの量は、ジルコニアの量がコーティング中で、ZrO2として計算しチャバザイトの質量に基づいて5質量%となるように計算した。別途、H型-チャバザイト(Dv50が13マイクロメートル、SiO2:Al2O3が18、平均結晶サイズが0.5マイクロメートル未満(SEM分析)及びBET比表面積が約560m2/g)を水に加えて混合物を形成した。これは前記混合物の質量に基づいて37質量%の固形分を有していた。H-チャバザイト混合物を、銅含有スラリーに混合した。チャバザイトの量は、か焼後のチャバザイトの担持量が、か焼後の触媒におけるコーティングの担持量の約85%となるように計算した。得られたスラリーを、粒子のDv90値が約5マイクロメートルとなるように、連続粉砕装置を使用して粉砕した。
【0339】
スラリー2:
別途、水性スラリーを調製した。これは、前記スラリーの質量に基づいて30質量%の固形分を有し、水とアルミナ(Al2O3が94質量%、SiO2が6質量%、BET比表面積が173m2/g、Dv90が約18マイクロメートル)とを含んでいた。アルミナ+シリカの量は、か焼後のアルミナ+シリカの量が、か焼後のチャバザイトの質量に基づいて10質量%となるように計算した。この水性スラリーに酒石酸を添加した。
【0340】
続いて、スラリー1とスラリー2を合わせて、中間スラリーを形成した。
【0341】
さらに、別途、合成グラファイトの粉末(Dv50が6.2マイクロメートル、Dv90が12.5マイクロメートル)を脱イオン水に30分間分散させ、35質量%の固形分を有する水性スラリーを形成した。合成グラファイトの量は、それが出発チャバザイト+アルミナ-シリカの質量に基づいて10質量%となるように計算した。この混合物を中間スラリーに加えた。
【0342】
得られたスラリーに酢酸を加えた。酢酸の量は、それがチャバザイトの質量に基づいて1.7質量%となるように計算した。得られた最終スラリーの固形分を、前記スラリーの質量に基づいて37質量%に調整した。
【0343】
多孔質のコーティングされていないウォールフローフィルター基材であるシリコンカーバイド(平均気孔率60.5%、平均細孔径20マイクロメートル、350CPSI及び壁厚0.30mm(13mil)、直径:58mm*長さ:150.5mm)を、基材軸方向の長さの100%にわたって入口端から出口端まで、最終スラリーで2回コーティングした。これを行うために、基材を最終スラリーに入口端から浸し、スラリーが基材の頂部に到達するまで浸した。さらに、圧力パルスを入口端に施与して、スラリーを基材に均一に広げた。さらに、コーティングした基材を140℃で30分間乾燥させ、450℃で2時間か焼した。続いて、800℃で30分間のか焼を行った。これを1回繰り返した。か焼後の最終的なコーティング担持量は、チャバザイトの質量に基づいて、約2.0g/in3であり、約1.7g/in3のチャバザイト、0.17g/in3のアルミナ+シリカ、約0.085g/in3のジルコニア、及びCuOとして計算される4.15質量%のCuを含んでいた。CuOとして計算される、コーティングされた基材に含まれるゼオライト材料に含まれる銅の、スラリー1で使用したゼオライト材料(出発ゼオライト材料)中に含まれる銅に対する、質量比は、約1:0であった。
【0344】
実施例13: 銅を含むゼオライト材料を含む触媒の調製
実施例13.1、13.2及び13.3の触媒は、スラリー1中のH型-CHAの代わりに前交換したCu-CHAを使用したことを除き、比較例6の触媒のように調製した(下記表4参照)。前交換したCu-CHAは、参照実施例4のように調製した。
【0345】
【0346】
*ゼオライト材料の質量に基づいて、CuOとして計算した質量%
**Cu(c):コーティングされた基材中のCu含有量/Cu(s):出発ゼオライト材料中のCu含有量
【0347】
実施例14: 比較例6及び実施例13.1~13.3の触媒の性能評価-NOx転化率及び背圧
すべての触媒を、エージングオーブン中800℃の水熱条件(10%のH2O、20%のO2及び70%のN2)で16時間、エージングさせた。
【0348】
比較例6及び実施例13.1~13.3のエージングさせた触媒の最大NO
x転化率を、Euro6の140kWエンジン(2.0L、4気筒)を備えたエンジンベンチで、様々な温度、すなわち216、235、635℃で定常状態の条件で測定した。結果を
図8に示す。
【0349】
図8から分かるように、実施例13.1~13.3のエージングさせた触媒は、ゼオライト材料のH型から出発するin-situイオン交換法(ISIE)のみで調製した比較例6のエージングさせた触媒と比較して、216℃及び235℃で改善されたNO
x転化率を示した。特に、実施例13.3のエージングさせた触媒は、前交換していない出発物質を使用した比較例のエージングさせた触媒で得られたものよりも約7%高いNO
x転化率を示した。
図9は、液相イオン交換法を使用した前担持した(pre-loaded)銅とNOx転化率との相関を示した。さらに、実施例13.2のエージングさせた触媒は、比較例6のエージングさせた触媒と比較して、635℃でも改善されたNO
x転化率を示した。
【0350】
このように、本発明により調製した触媒は、エージング条件下で改善された触媒活性を提供することが明示された。このように、本実施例は、銅を含むゼオライト材料を含む触媒を調製するための本発明の方法を使用すること、すなわち、前交換したゼオライト材料に、特定のin-situイオン交換(ISIE)法を使用することにより、前記触媒の触媒活性及びその熱安定性を改善することができることを明示している。
【0351】
さらに、比較例6及び実施例13.1~13.3で得られた触媒の背圧を、自社設計の測定装置で測定した。65m3/hの体積流量で記録した背圧データを下記の表5に報告する。
【0352】
【0353】
比較例7: 本発明によるものではない、銅を含むゼオライト材料を含む触媒の調製
スラリー1:
33マイクロメートルのDv50を有するCuO粉末を水に加えた。CuOの量は、銅の合計量がCuOとして計算して、か焼後のコーティング中で、チャバザイトの質量に基づいて4.34質量%となるように計算した。得られた混合物を、粒子のDv90値が約5.5マイクロメートルとなるように、連続粉砕装置を使用して粉砕した。得られたスラリーは、前記スラリーの質量に基づいて5質量%の固形分を有していた。スラリーを形成するCuO含有混合物に、ジルコニウムアセテート水溶液を加えた。ジルコニウムアセテートの量は、ジルコニアの量がコーティング中で、ZrO2として計算しチャバザイトの質量に基づいて5質量%となるように計算した。別途、H型-チャバザイト(Dv50が13マイクロメートル、SiO2:Al2O3が18、平均結晶サイズが0.5マイクロメートル未満(SEM分析)及びBET比表面積が約560m2/g)を水に加えて混合物を形成した。これは前記混合物の質量に基づいて37質量%の固形分を有していた。H-チャバザイト混合物を、銅含有スラリーに混合した。チャバザイトの量は、か焼後のチャバザイトの担持量が、か焼後の触媒におけるコーティングの担持量の約85%となるように計算した。得られたスラリーを、粒子のDv90値が約5マイクロメートルとなるように、連続粉砕装置を使用して粉砕した。
【0354】
スラリー2:
別途、水性スラリーを調製した。これは、前記スラリーの質量に基づいて30質量%の固形分を有し、水とアルミナ(Al2O3が94質量%、SiO2が6質量%、BET比表面積が173m2/g、Dv90が約18マイクロメートル)とを含んでいた。アルミナ+シリカの量は、か焼後のアルミナ+シリカの量が、か焼後のチャバザイトの質量に基づいて10質量%となるように計算した。
【0355】
続いて、スラリー1とスラリー2を合わせた。得られたスラリーに酢酸を加えた。酢酸の量は、それがチャバザイトの質量に基づいて1.7質量%となるように計算した。得られた最終スラリーの固形分を、前記スラリーの質量に基づいて32質量%に調整した。
【0356】
多孔質のコーティングされていないウォールフローフィルター基材であるシリコンカーバイド(平均気孔率60.5%、平均細孔径20マイクロメートル、350CPSI及び壁厚0.33mm(13mil)、直径:58mm*長さ:150.5mm)を、基材軸方向の長さの100%にわたって入口端から出口端まで、最終スラリーで2回コーティングした。これを行うために、基材を最終スラリーに入口端から浸し、スラリーが基材の頂部に到達するまで浸した。さらに、圧力パルスを入口端に施与して、スラリーを基材に均一に広げた。さらに、コーティングした基材を140℃で30分間乾燥させ、450℃で1時間か焼した。これを1回繰り返した。か焼後の最終的なコーティング担持量は、チャバザイトの質量に基づいて、約2.0g/in3であり、約1.7g/in3のチャバザイト、0.17g/in3のアルミナ+シリカ、約0.085g/in3のジルコニア、及びCuOとして計算される4.34質量%のCuを含んでいた。CuOとして計算される、コーティングされた基材に含まれるゼオライト材料に含まれる銅の、スラリー1で使用したゼオライト材料(出発ゼオライト材料)中に含まれる銅に対する、質量比は、約1:0であった。
【0357】
比較例8: 本発明によるものではない、銅を含有するゼオライト材料を含む触媒の調製
比較例8の触媒は、ゼオライト出発材料が、H型-CHAの代わりにスラリー1中に使用したNH4型-CHAであったことを除き、比較例7の触媒のように調製した。
【0358】
比較例9: 本発明によるものではない、銅を含むゼオライト材料を含む触媒の調製
比較例9の触媒は、スラリー1を以下のように調製したことを除き、比較例7の触媒のように調製した。
【0359】
スラリー1:
ジルコニウムアセテート水溶液を、Cu-CHAゼオライト材料(Dv50が13マイクロメートル、SiO2:Al2O3が18、平均結晶サイズが0.5マイクロメートル未満(SEM分析)及びBET比表面積が約560m2/g)(このCu-CHAゼオライト材料は、参照実施例4のように調製した(LPIE))に水中で加え、混合物を形成した。これは前記混合物の質量に基づいて37質量%の固形分を有していた。ジルコニウムアセテートの量は、ジルコニアの量がコーティング中で、ZrO2として計算しチャバザイトの質量に基づいて5質量%となるように計算した。チャバザイトの量は、か焼後のチャバザイトの担持量が、か焼後の触媒におけるコーティングの担持量の約85%となるように計算した。得られたスラリーを、粒子のDv90値が約5マイクロメートルとなるように、連続粉砕装置を使用して粉砕した。
【0360】
実施例15: 銅を含むゼオライト材料を含む触媒の調製
実施例15.1及び15.2の触媒は、スラリー1中のH型-CHAの代わりに前交換したCu-CHAを使用したことを除き、比較例7の触媒のように調製した(下記表6参照)。前交換したCu-CHAは、参照実施例4のように調製した。
【0361】
【0362】
*ゼオライト材料の質量に基づいて、CuOとして計算した質量%
**Cu(c):コーティングされた基材中のCu含有量/Cu(s):出発ゼオライト
【0363】
材料中のCu含有量
実施例16: 比較例7~9及び実施例15の触媒の性能評価-NOx転化率
すべての触媒を、エージングオーブン中800℃の水熱条件(10%のH2O、20%のO2及び70%のN2)で16時間、エージングさせた。
【0364】
比較例7~9及び実施例15のエージングさせた触媒の最大NO
x転化率を、Euro6の140kWエンジン(2.0L、4気筒)を備えたエンジンベンチで、様々な温度、すなわち208及び238℃で定常状態の条件で測定した。結果を
図10に示す。
【0365】
図10から分かるように、実施例15.1のエージングさせた触媒は、比較例7~9のエージングさせた触媒と比較して、238℃で改善されたNO
x転化率を示した。これは、銅で前交換した(LPIE)ゼオライト材料を使用する改善された挙動を裏付けている。比較例9に示すように、LPIEにより銅含有量をさらになお増加させると、活性の降下が起こる。実施例15.1及び15.2のエージングさせた触媒は、比較例のエージングさせた触媒で得られたものよりも高いNO
x転化率を208℃で示す。
【0366】
このように、実施例16は、本発明により調製した触媒が改善された触媒活性を提供することを明示している。このように、本実施例は、銅を含むゼオライト材料を含む触媒を調製するための、特許請求する方法を使用すること、すなわち、特定のin-situイオン交換法を使用することにより、前記触媒の触媒活性、及びその熱安定性の改善が可能であることを明示している。
【0367】
図面の簡単な説明
図1は、エージング(800℃で水熱エージング)した実施例1、比較例1及び2の触媒の、様々な温度、すなわち200、230、600及び650℃での、20ppmのNH
3スリップにおけるNOx転化率を示す。
【0368】
図2は、エージング(850℃で水熱エージング)した実施例1、比較例1及び2の触媒の、様々な温度、すなわち200、230、600及び650℃での、20ppmのNH
3スリップにおけるNOx転化率を示す。
【0369】
図3は、エージングした実施例5及び6の触媒の、様々な温度、すなわち200、230及び680℃での、NOx転化率を示す。
【0370】
図4は、エージングした実施例5及び6の触媒の、様々な温度、すなわち200及び230℃での、20ppmのNH
3スリップにおけるNOx転化率を示す。
【0371】
図5は、エージングした実施例5及び6の触媒の、様々な温度、すなわち200及び230℃におけるアンモニア貯蔵能を示す。
【0372】
図6は、実施例8、実施例8の出発材料及び比較例4のT-O-T結合DRIFTSを示す。
【0373】
図7は、実施例8の第1の吸収ピークの下と第2の吸収ピークの下のピーク面積を用いたピークフィッティング分析(デコンボリューション図)を示す。
【0374】
図8は、エージング(800℃で水熱エージング)した比較例6及び実施例13.1~13.3の触媒の、様々な温度、すなわち213、235、635℃での、最大時のNOx転化率を示す。
【0375】
図9は、エージング(800℃で水熱エージング)した比較例6及び実施例13.1~13.3の触媒の、様々なCuO含有量(液相イオン交換法プロセスで添加)、すなわち、全体のCuO担持量が一定(4.15%)であるのに対して、0%(比較例6)、1.13%、1.75%及び2.38%のCuOでの、235℃におけるNOx転化率を示す。
【0376】
図10は、エージング(800℃で水熱エージング)実施例2の触媒の、様々な温度、すなわち208及び238℃での、最大時のNOx転化率を示す。
【0377】
引用した文献
- WO2018/101718A1
- US8,293,199B2