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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/16 20060101AFI20241213BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20241213BHJP
【FI】
G06F1/16 312L
H05K5/02 L
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021519315
(86)(22)【出願日】2020-04-16
(86)【国際出願番号】 JP2020016665
(87)【国際公開番号】W WO2020230508
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2023-02-28
(31)【優先権主張番号】P 2019093053
(32)【優先日】2019-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100151378
【弁理士】
【氏名又は名称】宮村 憲浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157484
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 智之
(72)【発明者】
【氏名】寺本 龍介
【審査官】征矢 崇
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/119663(WO,A1)
【文献】実開昭59-104583(JP,U)
【文献】特開2009-182553(JP,A)
【文献】特開平09-067456(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F1/16
H05K5/00-5/06
H04M1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側ケースと下側ケースとを備える筐体と、
前記筐体内に収容される電子部品と、を有し、
前記上側ケースが、下方向に突出する上側ボス部を備え、
前記下側ケースが、上方向に突出して前記上側ボス部を支持する下側ボス部を備え、
前記上側ケースの外壁の端面が、第1の上側段面と、前記第1の上側段面に対して高い位置且つ内側位置にある第2の上側段面とを含み、
前記下側ケースの外壁の端面が、第1の下側段面と、前記第1の下側段面に対して高い位置且つ内側位置にある第2の下側段面と、前記第2の下側段面に対して高い位置且つ内側位置にある第3の下側段面とを含み、
前記第1の上側段面が、前記第2の下側段面に対して低い位置にあって、且つ前記第1の下側段面に対向し、
前記第2の上側段面が、前記第3の下側段面に対して低い位置にあって、且つ前記第2の下側段面に対向し、
前記第1の上側段面と前記第1の下側段面とが第1の距離をあけて対向し、
前記第2の上側段面と前記第2の下側段面とが第2の距離をあけて対向し、
前記第1の上側段面と前記第2の上側段面とを接続する接続面と、
前記第1の下側段面と前記第2の下側段面とを接続する接続面とが、第3の距離をあけて対向し、
前記第2の下側段面と前記第3の下側段面とを接続する接続面と、前記上側ケースの外壁の内側面とが、第4の距離をあけて対向し、
前記第1から第4の距離のうち少なくとも1つが、他の多くとも3つの距離と異なる、電子機器。
【請求項2】
前記第2の距離が、前記第3の距離に比べて大きい、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
上下方向視で、前記上側ケースの外壁の端面における外側輪郭と、前記下側ケースの外壁の端面における外側輪郭とが、互いに重なる、請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記上側ケースの外壁の厚さ方向について、前記第1の上側段面のサイズが前記第2の上側段面のサイズに比べて大きい、請求項1から3のいずれか一項に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、筐体を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、2つのケースから構成されている筐体を備える電子機器が開示されている。この電子機器は、一方のケースの外壁の端面にパッキンを収容する凹部が形成され、その一方のケースの外壁の端面とパッキンとに、他方のケースの外壁の端面が接触している。これにより、2つのケースそれぞれの外壁の端面の間を介する筐体内への液体の侵入を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-187569号公報
【発明の概要】
【0004】
しかしながら、特許文献1の電子機器の防水構造の場合、パッキンを必要とする。また、パッキンを収容する凹部が一方のケースの外壁の端面に形成されるため、外壁が肉厚になる。その結果、筐体が大型化する。
【0005】
そこで、本開示は、2つのケースそれぞれの外壁の端面同士が対向して筐体が構成されている電子機器において、パッキンなどのシール部材を使用することなく、外壁の端面間を介する液体の筐体内への侵入を抑制することを課題とする。
【0006】
本開示の一態様によれば、
上側ケースと下側ケースとを備える筐体と、
前記筐体内に収容される電子部品と、を有し、
前記上側ケースの外壁の端面が、第1の上側段面と、前記第1の上側段面に対して高い位置且つ内側位置にある第2の上側段面とを含み、
前記下側ケースの外壁の端面が、第1の下側段面と、前記第1の下側段面に対して高い位置且つ内側位置にある第2の下側段面と、前記第2の下側段面に対して高い位置且つ内側位置にある第3の下側段面とを含み、
前記第1の上側段面が、前記第2の下側段面に対して低い位置にあって、且つ前記第1の下側段面に対向し、
前記第2の上側段面が、前記第3の下側段面に対して低い位置にあって、且つ前記第2の下側段面に対向する、電子機器が提供される。
【0007】
本開示によれば、2つのケースそれぞれの外壁の端面同士が対向して筐体が構成されている電子機器において、パッキンなどのシール部材を使用することなく、外壁の端面間を介する液体の筐体内への侵入を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の一実施の形態に係る電子機器の斜視図
図2】電子機器の筐体の部分的断面図
図3図2に示す領域Aの拡大断面図
図4】比較例の筐体における上側ケースの外壁の端面と下側ケースの外壁の端面との間の隙間を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0010】
なお、発明者は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0011】
以下に、本開示の一実施の形態に係る電子機器について図1図4を参照しながら説明する。
【0012】
図1は、本開示の一実施の形態に係る電子機器を示す図である。なお、図に示すX-Y-Z座標系は、実施の形態の理解を容易にするためのものであって、実施の形態を限定するものではない。X-Y-Z座標系において、X軸方向は電子機器の幅方向であって、Y軸方向は奥行き方向であって、Z軸方向は厚さ方向である。
【0013】
図1に示すように、本実施の形態に係る電子機器10は、いわゆるノート型パーソナルコンピュータであって、筐体12と、筐体12に対して回動可能に取り付けられたディスプレイ14とを有する。
【0014】
電子機器10の筐体12の上面12aにはキーボード16とタッチパッド18が設けられている。
【0015】
図2は電子機器の筐体の部分的断面図であって、図3図2に示す領域Aの拡大断面図である。
【0016】
図2に示すように、電子機器10の筐体12は、上側ケース20と下側ケース22とを備え、それらが上下方向(Z軸方向)に互いに対向することによって構成されている。上側ケース20と下側ケース22との間に形成される空間12bに、CPU(Central Processing Unit)、記憶装置、回路基板などの電子部品(図示せず)が収容される。
【0017】
具体的には、上側ケース20および下側ケース22は、例えばマグネシウム合金材料または樹脂材料から、例えば金型を用いて作製されている。上側ケース20は、概略、筐体12の上面12aを構成する天面20aと、天面20aの外周縁から下方向に延在する外壁20bとから構成されている。下側ケース22は、概略、筐体12の下面12cを構成する底面22aと、底面22aの外周縁から上方向に延在する外壁22bとから構成されている。外壁20bの端面と外壁22bの端面とが対向するように上側ケース20と下側ケース22とが互いに対向して配置されることにより、電子機器10の筐体12が構成されている。
【0018】
本実施の形態の場合、図3に示すように、上側ケース20の外壁20bの端面と下側ケース22の外壁22bの端面は、接触しておらず、間隔をあけて上下方向(Z軸方向)に対向している。その代わりに、図2に示すように、上側ケース20に設けられて下方向に突出する複数のボス部20c(上側ボス部の一例)と、下側ケース22に設けられて上方向に突出する複数のボス部22c(下側ボス部の一例)とが接触している。また、接触し合うボス部20c、22cは、ねじ24によって互いに固定されている。なお、図2には、ボス部20c、22cが1つずつ示されている。
【0019】
すなわち、下側ケース22のボス部22cが上側ケース20のボス部20cを支持することにより、上側ケース20の外壁20bの端面と下側ケース22の外壁22bの端面とが間隔をあけて対向し合う。その理由は、上側ケース20の外壁20bの端面と下側ケース22の外壁22bの端面とが接触した状態で、ボス部20c、22cをねじ24によって互いに固定すると、上側ケース20および下側ケース22の少なくとも一方が変形しうるからである。具体的に説明すると、外壁の端面同士が接触し合う設計の場合、上側ケース20と下側ケース22それぞれに製造上のバラツキが生じると、例えば外壁の高さにバラツキが生じると、外壁20b、22bの端面同士は接触するものの、ボス部20c、22c同士が接触できない状況が起こりうる。このようなボス部20c、22cをねじ24によって強制的に接触させると、上側ケース20および下側ケース22の少なくとも一方にひずみ変形が生じうる。その変形により、上側ケース20および下側ケース22の少なくとも一方に、き裂が発生するなどの損傷が起こりうる。
【0020】
上述したようにおよび図3に示すように、上側ケース20の外壁20bの端面と下側ケース22の外壁22bの端面は、間隔をあけて対向している。そのため、その端面の間を介して、異物、特に水などの液体が侵入する恐れがある。その液体の侵入を抑制するために、上側ケース20の外壁20bの端面と下側ケース22の外壁22bの端面は、防水構造として、多段構造を備える。
【0021】
具体的には、図3に示すように、上側ケース20の外壁20bの端面は、第1の上側段面20dと、第2の上側段面20eとを含んでいる。第1の上側段面20dおよび第2の上側段面20eは、実質的に水平方向(X軸方向およびY軸方向)に延在している。なお、これら2つの段面は、互いに平行であってもよく、また非平行であってもよい。
【0022】
第2の上側段面20eは、第1の上側段面20dに対して高い位置(すなわち上側ケース20の天面20aに近い位置)に位置するとともに、第1の上側段面20dに対して内側位置(すなわち筐体12の内部側)に位置する。
【0023】
また、上側ケース20の外壁20bの端面における第1の上側段面20dと第2の上側段面20eは、実質的にY軸方向およびZ軸方向に延在する接続面20fによって接続されている。さらに、第1の上側段面20dは外壁20bの外側面20gに接続し、第2の上側段面20eは外壁20bの内側面20hに接続している。
【0024】
一方、図3に示すように、下側ケース22の外壁22bの端面は、第1の下側段面22dと、第2の下側段面22eと、第3の下側段面22fとを含んでいる。第1の下側段面22d、第2の下側段面22e,および第3の下側段面22fは、実質的に水平方向(X軸方向およびY軸方向)に延在している。なお、これら3つの段面は、互いに平行であってもよく、いずれか1つの段面が残りの段面に対して非平行であってもよい。
【0025】
第2の下側段面22eは、第1の下側段面22dに対して高い位置(すなわち上側ケース20の天面20aに近い位置)に位置するとともに、第1の下側段面22dに対して内側位置(すなわち筐体12の内部側)に位置する。第3の下側段面22fは、第2の下側段面22eに対して高い位置(すなわち上側ケース20の天面20aに近い位置)に位置するとともに、第2の下側段面22eに対して内側位置(すなわち筐体12の内部側)に位置する。
【0026】
また、下側ケース22の外壁22bの端面における第1の下側段面22dと第2の下側段面22eは、実質的にY軸方向およびZ軸方向に延在する接続面22gによって接続されている。さらに、第2の下側段面22eと第3の下側段面22fは、実質的にY軸方向およびZ軸方向に延在する接続面22hによって接続されている。そして、第1の下側段面22dは外壁22bの外側面22jに接続し、第3の下側段面22fは外壁22bの内側面22kに接続している。
【0027】
図3に示すように、上側ケース20の外壁20bの端面における第1の上側段面20dは、下側ケース22の外壁22bの端面における第2の下側段面22eに比べて低い位置且つ外側位置(すなわち筐体12の外部側)にあって、第1の下側段面22dに対して対向している。本実施の形態の場合、第1の上側段面20dと第1の下側段面22dは、実質的に上下方向(Z軸方向)に第1の距離L1をあけて対向している。
【0028】
また、上側ケース20の外壁20bの端面における第2の上側段面20eは、下側ケース22の外壁22bの端面における第3の下側段面22fに比べて低い位置且つ外側位置にあって、第2の下側段面22eに対して対向している。本実施の形態の場合、第2の上側段面20eと第2の下側段面22eは、実質的に上下方向(Z軸方向)に第2の距離L2をあけて対向している。
【0029】
なお、第1の距離L1および第2の距離L2は、上側ケース20と下側ケース22に製造上のバラツキが生じた場合、特に外壁20b、22bの高さについて許容範囲のバラツキが生じた場合、変化しうる。しかし、このようなバラツキが生じても、第1の上側段面20dと第1の下側段面22dとの間および第2の上側段面20eと第2の下側段面22eとの間の両方で接触が発生しない距離に、第1の距離L1および第2の距離L2が設定されている。
【0030】
さらに、本実施の形態の場合、上側ケース20の外壁20bの端面における接続面20fは、下側ケース22の外壁22bの端面における接続面22gに対して、実質的に幅方向(X軸方向)に第3の距離L3をあけて対向する。
【0031】
さらにまた、本実施の形態の場合、下側ケース22の外壁22bの端面における接続面22hは、上側ケース20の外壁20bの内側面20hに対して、実質的に幅方向(X軸方向)に第4の距離L4をあけて対向する。
【0032】
このような上側ケース20の外壁20bの端面と下側ケース22の外壁22bの端面の防水構造によれば、筐体12は、これらの端面の間の隙間を通過して筐体12内に侵入しうる液体に対して、簡易的な防水機能を備える。例えば、筐体12は、IP(International Protection)X3相当の防水機能を備える。このことについて、比較例を挙げて説明する。
【0033】
図4は、比較例の筐体における上側ケースの外壁の端面と下側ケースの外壁の端面との間の隙間を示す断面図である。
【0034】
図4に示す比較例の筐体の場合、上側ケースの外壁120bの端面は、第1の上側段面120dと、第1の上側段面120dに対して高い位置且つ内側位置にある第2の上側段面120eとを含んでいる。一方、下側ケースの外壁122bの端面は、第1の下側段面122dと第1の下側段面122dに対して高い位置且つ内側位置にある第2の下側段面122eとを含んでいる。第1の上側段面120dは、第2の下側段面122eの高さ位置に比べて低い位置にあって、第1の下側段面122dに対向している。第2の上側段面120eは、第2の下側段面122eに対向している。
【0035】
また、上側ケースの外壁120bの端面における第1の上側段面120dと第2の上側段面120eは、接続面120fによって接続され、第1の上側段面120dは外壁120bの外側面120gと、第2の上側段面120eは外壁120bの内側面120hと、それぞれ接続されている。下側ケースの外壁122bの端面における第1の下側段面122dと第2の下側段面122eは、接続面122gによって接続され、第1の下側段面122dは外壁122bの外側面122jと、第2の下側段面122eは外壁122bの内側面122kと、それぞれ接続されている。第1の上側段面120dと第1の下側段面122dとの間、第2の上側段面120eと第2の下側段面122eとの間および接続面120fと接続面122gとの間には、実質的に同じ大きさの隙間が存在する。
【0036】
図4に示す比較例の筐体の場合、第1の上側段面120dと第1の下側段面122dとの間に侵入した水滴は、第2の下側段面122eに到達すると、そのまま第2の下側段面122e上を流れて筐体内に流入する。
【0037】
これに対して、図3に示す本実施の形態の筐体12の場合、第1の上側段面20dと第1の下側段面22dとの間に侵入した水滴が第2の下側段面22eに到達しても、その到達した水滴が第3の下側段面22fを乗り越える可能性は少ない(比較例に比べて)。例えば、鉛直方向(Z軸方向)に対して60度の角度で第1の上側段面20dと第1の下側段面22dとの間に侵入した水滴(すなわちIPX3に対応する水滴)は、第3の下側段面22fを乗り越えることができない。
【0038】
したがって、図4に示す比較例の筐体に比べて、本実施の形態の筐体12は高い防水性能を備える。
【0039】
また、本実施の形態の場合、図3に示すように、上側ケース20の外壁20bの端面と下側ケース22の外壁22bの端面との間の第1~第4の距離L1~L4において、1つの距離が他の距離と異なっている。これは、第1~第4の距離L1~L4が同一距離である場合、毛細管現象によって端面間に侵入した液体が筐体12内まで到達する可能性があるからである。
【0040】
さらに、本実施の形態の場合、図3に示すように、第2の距離L2が第3の距離L3に比べて大きくされている。これにより、上側ケース20の外壁20bの端面における接続面20fと下側ケース22の外壁22bの端面における接続面22gとの間を通過した液体は、第2の上側段面20eと第2の下側段面22eとの間に侵入するやいなや減圧される。その減圧により、侵入した液体が、下側ケース22の第3の下側段面22fを乗り越える可能性をさらに低減することができる。
【0041】
なお、本実施の形態の場合、筐体12の意匠性を維持するために、上側ケース20の外壁20bの端面における外側輪郭(すなわち第1の上側段面20dの外側縁)と、下側ケース22の外壁22bの端面における外側輪郭(すなわち第1の下側段面22dの外側縁)とが、上下方向(Z軸方向)視で重なる。それにより、上側ケース20の外壁20bの外側面20gと下側ケース22の外壁22bの外側面22jとが、意匠性が高い、実質的に1つの平面または湾曲面を構成している。すなわち、本実施の形態の筐体12は、防水のための構造を上側ケース20の外壁20bの外側面20gと下側ケース22の外壁22bの外側面22jとに設けることなく、上述したような防水機能を備えている。
【0042】
また、本実施の形態の場合、図3に示すように、上側ケース20の外壁20bにおける外側と内側とを結ぶ厚さ方向(すなわち、電子機器10における幅方向(X軸方向))について、第1の上側段面20dのサイズW1が、第2の上側段面20eのサイズW2に比べて大きくされている。これは、例えば、筐体12が落下するなどによって外力が加わったときに外壁20bが破損しないようにするためである。これと異なり、X軸方向における第1の上側段面20dのサイズが第2の上側段面20eのサイズに比べて小さい場合、すなわち外壁20bの先端の肉厚が薄い場合、その先端に外力が加わると、接続面20fと第2の上側段面20eとの間にき裂が生じ、場合によっては先端が欠落する可能性がある。なお、本実施の形態では、上側ケース20の外壁20bにおける外側と内側とを結ぶ厚さ方向が、電子機器10における幅方向(X軸方向)である場合を例に挙げているが、外壁20bの厚さ方向が、電子機器10における奥行き方向(Y軸方向)であってもよい。
【0043】
以上のような本実施の形態によれば、2つのケースそれぞれの外壁の端面同士が対向して筐体が構成されている電子機器において、パッキンなどのシール部材を使用することなく、外壁の端面間を介する液体の筐体内への侵入を抑制することができる。
【0044】
以上、上述の実施の形態を挙げて本開示を説明したが、本開示の実施の形態はこれに限定されない。
【0045】
例えば、上述の実施の形態の場合、図1に示すように、電子機器は、ノート型パーソナルコンピュータであるが、本開示の実施の形態はこれに限らない。本開示の実施の形態は、水没に対する防水性能までは要求しない、すなわちIPX3の防水性能で十分な電子機器であればよい。
【0046】
すなわち、本開示の実施の形態に係る電子機器は、広義には、上側ケースと下側ケースとを備える筐体と、前記筐体内に収容される電子部品と、を有し、前記上側ケースの外壁の端面が、第1の上側段面と、前記第1の上側段面に対して高い位置且つ内側位置にある第2の上側段面とを含み、前記下側ケースの外壁の端面が、第1の下側段面と、前記第1の下側段面に対して高い位置且つ内側位置にある第2の下側段面と、前記第2の下側段面に対して高い位置且つ内側位置にある第3の下側段面とを含み、前記第1の上側段面が、前記第2の下側段面に対して低い位置にあって、且つ前記第1の下側段面に対向し、前記第2の上側段面が、前記第3の下側段面に対して低い位置にあって、且つ前記第2の下側段面に対向するものである。
【0047】
以上のように、本開示における技術の例示として、実施の形態を説明した。そのために、添付図面および詳細な説明を提供した。
【0048】
したがって、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、前記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0049】
また、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本開示は、筐体が上側ケースと下側ケースとから構成され、その筐体内に電子部品を収納している電子機器に適用可能である。
【符号の説明】
【0051】
10 電子機器
12 筐体
12a 上面
12b 空間
12c 下面
14 ディスプレイ
16 キーボード
18 タッチパッド
20 上側ケース
20a 天面
20b 外壁
20c ボス部
20d 第1の上側段面
20e 第2の上側段面
20f 接続面
20g 外側面
20h 内側面
22 下側ケース
22a 底面
22b 外壁
22c ボス部
22d 第1の下側段面
22e 第2の下側段面
22f 第3の下側段面
22g,22h 接続面
22j 外側面
22k 内側面
24 ねじ
120b 外壁
120d 第1の上側段面
120e 第2の上側段面
120f 接続面
120g 外側面
120h 内側面
122b 外壁
122d 第1の下側段面
122e 第2の下側段面
122g 接続面
122j 外側面
122k 内側面
L1 第1の距離
L2 第2の距離
L3 第3の距離
L4 第4の距離
W1,W2 サイズ
図1
図2
図3
図4