(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 19/17 20060101AFI20241213BHJP
H01Q 21/08 20060101ALI20241213BHJP
【FI】
H01Q19/17
H01Q21/08
(21)【出願番号】P 2021554268
(86)(22)【出願日】2020-10-09
(86)【国際出願番号】 JP2020038227
(87)【国際公開番号】W WO2021079757
(87)【国際公開日】2021-04-29
【審査請求日】2023-07-24
(31)【優先権主張番号】P 2019191812
(32)【優先日】2019-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菊地 弘准
【審査官】岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-120903(JP,A)
【文献】特開2014-187439(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0243762(US,A1)
【文献】国際公開第2019/141412(WO,A1)
【文献】特開2009-124577(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 19/17
H01Q 21/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体基板上に或る方向に沿って配列された複数のアンテナ素子を有するアレーアンテナと、
前記複数のアンテナ素子のうち両端に位置するアンテナ素子の一方から前記方向に沿って所定距離だけ離れた位置に
前記誘電体基板上に設けられた反射鏡と、を備
え、
前記反射鏡の位置は、前記アンテナ素子間の給電位相差に応じて変化する前記アレーアンテナによる電波の主放射方向の角度範囲の一部において前記電波が入射する位置であり、
前記反射鏡の反射面は、前記主放射方向が前記誘電体基板の表面に対して斜めである場合の反射方向を前記誘電体基板の表面に沿った方向に変換する曲面形状を有する、
アンテナ装置。
【請求項2】
前記反射鏡の開口角は、90度未満である、
請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記反射鏡は、前記アンテナ装置を構成する部品により支持される、
請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記アンテナ素子は、平面アンテナである、請求項1に記載のアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
第5世代(5G)移動通信システム(5th Generation mobile communication system)においてアンテナ及び無線通信性能の評価指標として全球方向の放射電力占有率が新たに追加され、3GPP(3rd generation partnership project)において規格値が検討されている。この評価指標の導入に伴い、アンテナのビームを走査した際の放射電力が所定の特性に到達している面積比率、すなわち球面カバレッジ(spherical coverage)の特性向上が重要となる。
【0003】
特許文献1は、携帯端末の周囲に複数の種類のアンテナ素子を配置することで球面カバレッジを向上させる構成を開示する。
【0004】
特許文献2は、位相差給電したアレーアンテナに対し反射鏡を設け、アンテナ指向性をアンテナ基板に対し水平方向へ放射する構成の一例を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実用新案登録第3212787号公報
【文献】特開平2-179103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の構成では、複数の種類のアンテナ素子配置及び複雑な給電構成が必要となり、コスト及び実装面積に関して検討の余地がある。特許文献2の構成では、アンテナの放射方向が反射鏡の開口面方向に制限されるため、球面カバレッジ向上には有効ではない。
【0007】
本開示の非限定的な実施例は、簡易な構成によってアレーアンテナの指向性制御範囲を拡大でき、球面カバレッジ特性を向上できる技術の提供に資する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示におけるアンテナ装置は、或る方向に沿って配列された複数のアンテナ素子を有するアレーアンテナと、前記複数のアンテナ素子のうち両端に位置するアンテナ素子の一方から前記方向に沿って所定距離だけ離れた位置に設けられた反射鏡と、を備える。
【0009】
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、又は、記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、簡易な構成によってアレーアンテナの指向性制御範囲を拡大できるため、球面カバレッジ特性を向上できる。
【0011】
本開示の一実施例における更なる利点及び効果は、明細書及び図面から明らかにされる。かかる利点及び/又は効果は、いくつかの実施形態並びに明細書及び図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つ又はそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の実施の形態1に係るアンテナ装置の構成の一例を示す斜視図
【
図2】本開示の実施の形態1に係るアンテナ装置の動作の一例を示す斜視図
【
図3】本開示の実施の形態1に係る反射鏡の配置の一例を示す図
【
図4】本開示の実施の形態1に係るアンテナ装置の給電位相差0度における放射パターンの一例を示す図
【
図5】本開示の実施の形態1に係るアンテナ装置の給電位相差150度における放射パターンの一例を示す図
【
図6】本開示の実施の形態2に係るアンテナ装置の構成の一例を示す斜視図
【
図7】本開示の実施の形態3に係るアンテナ装置の構成の一例を示す斜視図
【
図8】本開示の実施の形態4に係るアンテナ装置の構成の一例を示す斜視図
【
図9】本開示の実施の形態5に係るアンテナ装置の構成の一例を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0014】
なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために、提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0015】
(実施の形態1)
図1~
図5を用いて、実施の形態1を説明する。
【0016】
[1-1.構成]
図1は、本開示の実施の形態1に係るアンテナ装置100の構成の一例を示す斜視図である。アンテナ装置100は、単層又は多層の誘電体基板101の表面に形成された複数のアレーアンテナ素子102-k(例えば、k=1,2,3又は4。以下まとめてアレーアンテナ102とも呼ぶ)と、複数のアレーアンテナ素子102-kのそれぞれに接続された位相器(図示せず)と、誘電体基板101上に垂直又は略垂直に配置された反射鏡104と、を含む。誘電体基板101の裏面にはGND面(図示せず)が形成されている。
【0017】
アレーアンテナ素子102-kのそれぞれは、例えば、パッチアンテナ素子又はマイクロストリップアンテナ素子と呼ばれる平面アンテナ素子であってよい。
図1の例では、4つの方形パッチアンテナ素子102-kが図示されているが、アレーアンテナ素子の数は、4つに限定されず、2つ以上であればよい。
【0018】
[1-2.動作及び効果]
図2は、本開示の実施の形態1に係るアンテナ装置の動作の一例を示す斜視図である。上述のように構成されたアンテナ装置100について、
図2を参照し、その動作の一例を以下で説明する。位相器(図示せず)で生成した給電位相差により制御されたアレーアンテナの3つの放射方向を、放射方向α(実線)105と、放射方向γ(破線)106と、放射方向β(点線)107によって表す。放射方向α105は、給電位相差が150度のときの放射方向であり、放射方向γ106は、給電位相差が0度のときの放射方向であり、放射方向β107は、給電位相差が90度のときの放射方向である。
図4及び
図5を参照して後述するように、放射方向γ106は、アレーアンテナ102のビームチルト(傾き)に対して有効な最大の給電位相差に対応する。
【0019】
放射方向γ106は、例えば、誘電体基板(以下、単に「基板」ともいう)101の表面に対して垂直又は略垂直な方向(別言すると、Z軸の正方向に沿った方向)である。放射方向γ106の起点は、例えば、アレーアンテナ素子102-2とアレーアンテナ素子102-3との間の基板101上の位置、例えば、アレーアンテナ102の長さ(X軸方向)の中心に相当する位置である。なお、Y軸は、誘電体基板101(又はアレーアンテナ102)の幅方向に対応する。
【0020】
複数のアレーアンテナ素子102-k間の給電位相差が150度の場合には、その給電位相差にしたがって、アレーアンテナ102の主放射方向は、
図2に示すとおり、基板101の表面に対して斜め上方(別言すると、放射方向γ106に対してX軸の正側にずれた方向)である。
【0021】
給電位相差を90度よりも小さくしていくと、アレーアンテナ102の主放射方向は、基板101の表面に沿った方向(X軸の正方向)に近づく。例えば、給電位相差が150度の場合、アレーアンテナ102の主放射方向は、
図2に示されるとおり、反射鏡104の曲面に向かう方向となる。反射鏡104に入射した電波は、反射鏡104の曲面によって、例えば実線矢印108で示した方向(別言すると、基板101の表面に沿った方向(X軸の負方向)へ反射する。
【0022】
このように、アレーアンテナ素子102-k間の給電位相差を変化(制御)させて電波の主照射方向を反射鏡104への入射方向に制御することで、反射鏡104を設けない場合に比して、アレーアンテナ102の指向性制御範囲を拡大できる。
【0023】
図3は、本開示の実施の形態1に係る反射鏡の配置の一例を示す図である。
図3には、本開示によるアンテナ装置100と反射鏡104の関係が示されている。
図3において、θ
aは、反射鏡104の開口角(deg)を表し、反射鏡104の高さ(Z方向)は、D/2(mm)である。ここで、Dは、反射鏡104の開口径を表す。fは、反射鏡104の焦点距離(mm)である。Cは、アレーアンテナ102の長手方向の中心位置を示し、例えば、アレーアンテナ素子102-2と102-3の対向する辺の中心線上にある。したがって、この例の場合、焦点距離fは、アレーアンテナ102の長手方向の中心Cから誘電体基板101上の反射鏡104の位置までの距離である。
【0024】
図3に示した反射鏡104を有するアンテナ装置100において、アンテナ装置100への給電位相を位相器(図示せず)により制御することにより、
図4及び
図5で後述するように、最大放射方向をアレーアンテナ102の指向性制御範囲を基板101の表面に沿った方向(X軸の負方向)まで拡張し、その結果、アンテナ装置の球面カバレッジを向上させることができる。
【0025】
換言すると、反射鏡104の高さD/2(mm)は、アンテナ装置100が位相器の給電位相によって制御できる最大のθ
aに対応するように設計する。これにより、
図5(a)で示した最大放射方向を約-50度とするための給電位相差90度よりも大きな位相差を付加する場合(例えば、θ
aが-50度から-90度の間のとき)、電波が反射鏡104で反射して、反対側の水平方向(+90度側)に放射されるので、
図5(a)の最大放射方向をさらに-90度に近づけることができ、球面カバレッジを向上できる。
【0026】
反射鏡104の反射面の形状は、例えば、パラボラ形状であるが、他の曲面形状であってもよい。換言すれば、反射面の形状は、水平面に対して斜めに入射した電波の方向(入射方向)を反射によって水平面に沿った方向(出射方向)に変換できる形状であればよい。
【0027】
反射鏡104は、誘電体基板101上のアレーアンテナ102の長手方向の両端の一方の近傍に所定の距離を置いて配置すればよい。反射鏡104の高さD/2は、反射鏡104がアレーアンテナ102に近づくほど小さくできるので、反射鏡104は、可能な限りアレーアンテナ102に近づけることが好ましい。一方、Z方向から見て、反射鏡104がアレーアンテナ102の中心Cを覆わない、換言すれば、反射鏡104の開口角が90度未満であることが条件となる。
【0028】
図4は、本開示の実施の形態1に係るアンテナ装置の給電位相差0度における放射パターンの一例を示す図である。
図3と対比すると、
図4(a)及び(b)において、-90度は、X軸の正方向であり、+90度は、X軸の負方向であり、0度は、Z軸の正方向であり、180度は、Z軸の負方向である。
【0029】
図4(a)は、反射鏡を持たない従来のアンテナ装置の給電位相差0度における放射パターンの一例を示し、
図4(b)は、反射鏡104を持つ本開示の実施の形態1に係るアンテナ装置100の給電位相差0度における放射パターンの一例を示す。
図4(a)に示した反射鏡を持たない従来のアンテナ装置では、給電位相差0度のとき、0度方向が最大放射方向410になる。一方、
図4(b)に示した反射鏡104を持つアンテナ装置100では、給電位相差0度のときは、0度方向が最大放射方向420になり、この点は反射鏡104を持たないアンテナ装置と同様である。
【0030】
図5は、本開示の実施の形態1に係るアンテナ装置の給電位相差150度における放射パターンの一例を示す図である。
図3と対比すると、
図5(a)及び(b)において、-90度は、X軸の正方向であり、+90度は、X軸の負方向であり、0度は、Z軸の正方向であり、180度は、Z軸の負方向である。
【0031】
図5(a)は、反射鏡を持たない従来のアンテナ装置の給電位相差150度における放射パターンの一例を示し、
図5(b)は、反射鏡104を持つ本開示の実施形態に係るアンテナ装置100の給電位相差150度における放射パターンの一例を示す。
図5(a)に示した反射鏡を持たない従来のアンテナ装置では、給電位相差150度のとき、約-50度方向が最大放射方向510になる。一方、
図5(b)に示した反射鏡104を持つアンテナ装置100では、給電位相差150度のときは、+90度方向が最大放射方向520になり、これは反射鏡104を持たない場合の最大放射方向である約-50度と大きく異なる。
【0032】
図5(b)の給電位相差150度のときの、反射鏡104を持つアンテナ装置100の場合は、
図5(a)に示した反射鏡104を持たないアンテナ装置の給電位相差150度のときの放射パターンと比較して、放射パターンが円形に近いことが分かる。また、
図4(b)の給電位相差0度のときの、反射鏡104を持つアンテナ装置100の場合は、
図4(a)に示した反射鏡104を持たないアンテナ装置の給電位相差0度のときの放射パターンに比較して、放射パターンが円形に近いことが分かる。
【0033】
したがって、反射鏡104を有する本開示によるアンテナ装置100の場合は、反射鏡104を有さないアンテナ装置と比較して、給電位相差が0度及び150度のとき、放射パターンが円形に近づき、アンテナ装置100の球面カバレッジが向上する。
【0034】
(実施の形態2及び3)
図6及び
図7を用いて、本開示による実施の形態2及び3をそれぞれ説明する。
図6は、本開示の実施の形態2に係るアンテナ装置の構成の一例を示す斜視図であり、
図7は、本開示の実施の形態3に係るアンテナ装置の構成の一例を示す斜視図である。
【0035】
アンテナ装置200は、アンテナ装置100における反射鏡104をセルラーアンテナ205の一部と共用した構成である。
図6のアンテナ装置200と
図7のアンテナ装置300との相違点は、セルラーアンテナ205とセルラーアンテナ305の形状の違いである。
図6に示されたセルラーアンテナ205は、Y方向から見るとL字型の立体的な形状を有しており、セルラーアンテナ205の一辺で反射鏡104を支持し、セルラーアンテナ205の他の一辺で誘電体基板101に設置される構成をとる。一方、
図7に示されたセルラーアンテナ305は、2つのセルラーアンテナ構成部305-1と305-2とを含み、誘電体基板101上に平面的に、反射鏡104と一体に又は接触して構成されている。
【0036】
このようなセルラーアンテナ205又は305の構成によって、反射鏡104とセルラーアンテナを一体として又は接触して構成することにより、反射鏡104を支持するための専用部品を設けずに済む。したがって、低コスト又は小型で球面カバレッジ特性が向上するアンテナ装置200及び300を構成することが可能となる。
【0037】
このようなセルラーアンテナは、LTE用以外でワイヤレスLAN(Local Area Network)、GPS(Global Positioning System)又はBluetooth(登録商標)などのアプリケーション用アンテナであってもよい。
【0038】
(実施の形態4)
図8を用いて、実施の形態4を説明する。
図8は、本開示の実施の形態4に係るアンテナ装置400の構成を示す斜視図である。筐体の一部405は、例えば、携帯無線端末の筐体の一部を構成する部品である。アンテナ装置400は、アンテナ装置100における反射鏡104を携帯無線端末の筐体の一部405と共用した構成である。
図8に示した例では、反射鏡104が筐体の一部405の面上に設置されている。反射鏡104は、筐体の一部405と一体として成型されてもよく、又は別々の部品として成型され、その後、反射鏡104が筐体の一部405に配置されてもよい。このような構成により、筐体の一部405を反射鏡104の支持部品として共用するため、反射鏡104のために専用の支持部品を設ける必要がなく、低コスト又は小型で球面カバレッジ特性が向上するアンテナ装置400を構成することが可能となる。
【0039】
なお、筐体の一部405のいずれかの面上にセルラーアンテナを設置し、
図6及び
図7で説明したように、そのセルラーアンテナと反射鏡104を一体化してもよい。
【0040】
(実施の形態5)
図9は、本開示の実施の形態5に係るアンテナ装置の構成の一例を示す斜視図である。
図9に記載のアンテナ装置500は、既に説明した誘電体基板101とアレーアンテナ102と反射鏡104とを備え、さらにLTE(long term evolution)あるいは5Gといった無線通信において使用できるセルラーアンテナ505-1、505-2を備える。
【0041】
セルラーアンテナ505-1、505-2のそれぞれは、例えば、モノポールアンテナ又は逆Fアンテナで構成され、受信したい周波数に対応した波長λの略4分の1の長さ(λ/4)であればよい。
【0042】
この例では、セルラーアンテナ505-1、505-2は、誘電体基板101上にアレーアンテナ102及び反射鏡104を挟んで両側に配置されている。ただし、誘電体基板101の長手方向の片側に1つのセルラーアンテナが配置されてもよい。また、
図6及び
図7を参照して説明したように、反射鏡104は、セルラーアンテナ505-1又は505-2と一体に成型されてもよい。
【0043】
図9に示したアンテナ構成を取ることにより、例えば、5G用アンテナと6GHz帯以下の5G用アンテナ又は4G以前のセルラーアンテナを同一の誘電体基板101上にコンパクトに構成でき、さらに5G用アンテナに対しては反射鏡104を有するため、コンパクト又は低コストでありながら球面カバレッジ特性を向上できる。
【0044】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1~5を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1~5で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0045】
本開示はソフトウェア、ハードウェア、又は、ハードウェアと連携したソフトウェアで実現することが可能である。
【0046】
上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、部分的に又は全体的に、集積回路であるLSIとして実現され、上記実施の形態で説明した各プロセスは、部分的に又は全体的に、一つのLSI又はLSIの組み合わせによって制御されてもよい。LSIは個々のチップから構成されてもよいし、機能ブロックの一部又は全てを含むように一つのチップから構成されてもよい。LSIはデータの入力と出力を備えてもよい。LSIは、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0047】
集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路、汎用プロセッサ又は専用プロセッサで実現してもよい。また、LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。本開示は、デジタル処理又はアナログ処理として実現されてもよい。
【0048】
さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0049】
本開示は、通信機能を持つあらゆる種類の装置、デバイス、システム(通信装置と総称)において実施可能である。通信装置の、非限定的な例としては、電話機(携帯電話、スマートフォン等)、タブレット、パーソナル・コンピューター(PC)(ラップトップ、デスクトップ、ノートブック等)、カメラ(デジタル・スチル/ビデオ・カメラ等)、デジタル・プレーヤー(デジタル・オーディオ/ビデオ・プレーヤー等)、着用可能なデバイス(ウェアラブル・カメラ、スマートウオッチ、トラッキングデバイス等)、ゲーム・コンソール、デジタル・ブック・リーダー、テレヘルス・テレメディシン(遠隔ヘルスケア・メディシン処方)デバイス、通信機能付きの乗り物又は移動輸送機関(自動車、飛行機、船等)、及び上述の各種装置の組み合わせがあげられる。
【0050】
通信装置は、持ち運び可能又は移動可能なものに限定されず、持ち運びできない又は固定されている、あらゆる種類の装置、デバイス、システム、例えば、スマート・ホーム・デバイス(家電機器、照明機器、スマートメーター又は計測機器、コントロール・パネル等)、自動販売機、その他IoT(Internet of Things)ネットワーク上に存在し得るあらゆる「モノ(Things)」をも含む。
【0051】
通信には、セルラーシステム、無線LANシステム、通信衛星システム等によるデータ通信に加え、これらの組み合わせによるデータ通信も含まれる。
【0052】
また、通信装置には、本開示に記載される通信機能を実行する通信デバイスに接続又は連結される、コントローラやセンサー等のデバイスも含まれる。例えば、通信装置の通信機能を実行する通信デバイスが使用する制御信号やデータ信号を生成するような、コントローラやセンサーが含まれる。
【0053】
また、通信装置には、上記の非限定的な各種装置と通信を行う、あるいはこれら各種装置を制御する、インフラストラクチャ設備、例えば、基地局、アクセスポイント、その他あらゆる装置、デバイス、システムが含まれる。
【0054】
<本開示のまとめ>
本開示におけるアンテナ装置は、或る方向に沿って配列された複数のアンテナ素子を有するアレーアンテナと、前記複数のアンテナ素子のうち両端に位置するアンテナ素子の一方から前記方向に沿って所定距離だけ離れた位置に設けられた反射鏡と、を備える。
【0055】
本開示のアンテナ装置の前記反射鏡の位置は、前記アンテナ素子間の給電位相差に応じて変化する前記アレーアンテナによる電波の主放射方向の角度範囲の一部において前記電波が入射する位置であり、前記反射鏡の反射面は、前記主放射方向が水平面に対して斜めである場合の反射方向を前記水平面に沿った方向に変換する曲面形状を有する。
【0056】
本開示のアンテナ装置の前記反射鏡の開口角は、90度未満である。
【0057】
本開示のアンテナ装置の前記反射鏡は、前記アレーアンテナとは異なる別のアンテナあるいは前記別のアンテナの一部を用いて構成される。
【0058】
本開示のアンテナ装置の前記反射鏡は、前記アンテナ装置を構成する部品により支持される。
【0059】
本開示のアンテナ装置の前記アンテナ素子は、平面アンテナである。
【0060】
2019年10月21日出願の特願2019-191812の日本出願に含まれる明細書、図面および要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本開示は、例えば、無線通信を行う機器あるいは端末に適用可能である。
【符号の説明】
【0062】
100,200,300,400,500 アンテナ装置
101 誘電体基板
102 アレーアンテナ
102-1~102-4 アレーアンテナ素子
104 反射鏡
205 セルラーアンテナ
305-1,305-2 セルラーアンテナ
405 筐体の一部
505-1,505-2 セルラーアンテナ