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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】加熱調理器の制御方法及び加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   F24C 7/04 20210101AFI20241213BHJP
   F24C 15/02 20060101ALI20241213BHJP
   F24C 7/02 20060101ALI20241213BHJP
【FI】
F24C7/04 301Z
F24C15/02 B
F24C7/02 340Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023155566
(22)【出願日】2023-09-21
(62)【分割の表示】P 2023095358の分割
【原出願日】2020-02-20
(65)【公開番号】P2023164693
(43)【公開日】2023-11-10
【審査請求日】2023-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【弁理士】
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】谷口 直哉
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-232527(JP,A)
【文献】国際公開第2018/096885(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 7/04
F24C 15/02
F24C 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像された画像を参照して、加熱庫に配置された被加熱物の加熱を制御するために用いられる加熱情報を取得する加熱情報取得ステップと、
加熱庫に配置された被加熱物の有無を検知し判定する有無判定ステップと、
前記加熱庫に配置された被加熱物を加熱する加熱ステップと、を有し、
前記加熱情報取得ステップにおいて前記加熱情報が取得された後に、前記有無判定ステップにおいて被加熱物が前記加熱庫に配置されていないと判定した場合、前記加熱ステップを開始しない加熱調理器の制御方法。
【請求項2】
撮像された画像を参照して、加熱庫に配置された被加熱物の加熱を制御するために用いられる加熱情報を取得する加熱情報取得ステップと、
加熱庫に配置された被加熱物の有無を検知し判定する有無判定ステップと、
扉の開閉を検知する開閉検知ステップと、
前記加熱庫に配置された被加熱物を加熱する加熱ステップと、を有し、
前記加熱情報取得ステップにおいて前記加熱情報が取得された後に、前記開閉検知ステップにおいて扉の閉状態が検知され、前記開閉検知ステップにおいて扉の閉状態が検知された後に、前記有無判定ステップにおいて前記被加熱物が前記加熱庫に配置されていることが判定された場合に、前記加熱ステップを開始可能とする加熱調理器の制御方法。
【請求項3】
加熱庫と、
前記加熱庫に配置された被加熱物を加熱する加熱部と、
前記加熱部の加熱動作を制御する制御装置と、
前記加熱庫に配置された被加熱物の有無を検知する状態検知部と、
前記状態検知部の検知結果によって前記被加熱物が前記加熱庫に配置されているか否かを判定する状態判定部と、
撮像された画像を取得する撮像画像取得部と、前記撮像画像取得部により取得された画像を参照して、前記被加熱物の加熱を制御するために用いられる加熱情報を取得する加熱情報取得部と、
を備え、
前記撮像画像取得部及び前記加熱情報取得部によって前記加熱情報が取得された後に、前記状態判定部が前記加熱庫に前記被加熱物が配置されていないと判定した場合、前記制御装置は前記被加熱物の加熱を開始しない加熱調理器。
【請求項4】
加熱庫と、
前記加熱庫に配置された被加熱物を加熱する加熱部と、
扉と、
前記扉の開閉を検知する開閉検知部と、
前記加熱部の加熱動作を制御する制御装置と、
前記加熱庫に配置された被加熱物の有無を検知する状態検知部と、
前記状態検知部の検知結果によって前記被加熱物が前記加熱庫に配置されているか否かを判定する状態判定部と、
撮像された画像を取得する撮像画像取得部と、
前記撮像画像取得部により取得された画像を参照して、前記被加熱物の加熱を制御するために用いられる加熱情報を取得する加熱情報取得部と、
を備え、
前記加熱情報取得部が前記加熱情報を取得した後に、前記開閉検知部が前記扉が閉じている状態を検知し、前記開閉検知部が前記扉が閉じている状態を検知した後に、前記状態判定部が前記加熱庫に前記被加熱物が配置されていることを判定した場合に、前記制御装置は、前記被加熱物の加熱を開始可能とする加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、加熱調理器の制御方法及び加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
食品の容器等に付与された情報コードを読取り装置にて読み取り、読み取った加熱情報にしたがって食品を加熱する加熱調理器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された加熱調理器は、加熱庫を開閉する扉の上方に設けられた読取り装置により、食品の容器等に付与された情報コードを読み取る。
【0003】
特許文献1に記載された加熱調理器は、加熱開始後の第1回目に前扉の開状態を検知した時には、第1時間の間読取りを行わないようにする。これにより、加熱庫から加熱処理済の食品を取り出す際に情報コードを読み取ってしまい、その加熱情報を再びセットするといった無駄な動作を回避することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2019/198274号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、加熱庫内に被加熱物が無い状態で空焼きしてしまうことを防止することができる加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来の課題を解決するために、本発明の加熱調理器の制御方法は、撮像された画像を参照して、加熱庫に配置された被加熱物の加熱を制御するために用いられる加熱情報を取得する加熱情報取得ステップと、加熱庫に配置された被加熱物の有無を検知し判定する有無判定ステップと、前記加熱庫に配置された被加熱物を加熱する加熱ステップと、を有し、前記加熱情報取得ステップにおいて前記加熱情報が取得され、且つ、前記有無判定ステップにおいて被加熱物が前記加熱庫に配置されていないと判定した場合、前記加熱ステップを開始しないことを特徴とする。
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明の加熱調理器の制御方法は、撮像された画像を参照して、加熱庫に配置された被加熱物の加熱を制御するために用いられる加熱情報を取得する加熱情報取得ステップと、加熱庫に配置された被加熱物の有無を検知し判定する有無判定ステップと、扉の開閉を検知する開閉検知ステップと、前記加熱庫に配置された被加熱物を加熱する加熱ステップと、を有し、前記有無判定ステップにおいて前記被加熱物が前記加熱庫に配置されていることが判定され、なお且つ、前記加熱情報取得ステップにおいて前記加熱情報が取得され、なお且つ、前記開閉検知ステップにおいて扉の閉状態を検知した場合に、前記加熱ステップを開始可能とすることを特徴とする。
【0008】
前記従来の課題を解決するために、本発明の加熱調理器は、加熱庫と、前記加熱庫に配置された被加熱物を加熱する加熱部と、前記加熱部の加熱動作を制御する制御装置と、前記加熱庫に配置された被加熱物の有無を検知する状態検知部と、前記状態検知部の検知結果によって前記被加熱物が前記加熱庫に配置されているか否かを判定する状態判定部と、撮像部と、撮像された画像を取得する撮像画像取得部と、前記撮像画像取得部により取得された画像を参照して、前記被加熱物の加熱を制御するために用いられる加熱情報を取得する加熱情報取得部と、を備え、前記撮像画像取得部及び前記加熱情報取得部によって前記加熱情報が取得され、且つ、前記状態判定部が前記加熱庫に前記被加熱物が配置されていないと判定した場合、前記制御装置は前記被加熱物の加熱を開始しないことを特徴とする。
【0009】
前記従来の課題を解決するために、本発明の加熱調理器は、加熱庫と、前記加熱庫に配置された被加熱物を加熱する加熱部と、扉と、前記扉の開閉を検知する開閉検知部と、前記加熱部の加熱動作を制御する制御装置と、前記加熱庫に配置された被加熱物の有無を検知する状態検知部と、前記状態検知部の検知結果によって前記被加熱物が前記加熱庫に配置されているか否かを判定する状態判定部と、撮像部と、撮像された画像を取得する撮像画像取得部と、前記撮像画像取得部により取得された画像を参照して、前記被加熱物の加熱を制御するために用いられる加熱情報を取得する加熱情報取得部と、を備え、前記状態判定部が前記加熱庫に前記被加熱物が配置されていることを判定し、なお且つ、前記加熱情報取得部が前記加熱情報を取得することに成功し、なお且つ、前記開閉検知部が前記扉が閉じている状態を検知している場合に、前記制御装置は、前記被加熱物の加熱を開始可能とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本開示の技術によれば、加熱庫内に被加熱物が無い状態で空焼きしてしまうことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の実施の形態に係る加熱調理器の外観を示す図である。
図2】加熱調理器の断面を模式的に示す図である。
図3】本開示の実施の形態に係る加熱調理器の制御装置の構成を示す図である。
図4】本開示の実施の形態に係る制御方法の手順を示すフローチャートである。
図5】本開示の実施の形態に係る制御方法の手順を示すフローチャートである。
図6】本開示の実施の形態に係る制御方法の手順を示すフローチャートである。
図7】撮像装置により撮像された加熱庫内の画像と差分画像の例を示す図である。
図8図7に示した差分画像の分析結果を示す図である。
図9】本開示の実施の形態に係る制御方法の手順を示すフローチャートである。
図10】本開示の実施の形態に係る制御方法の手順を示すフローチャートである。
図11】撮像装置により撮像された加熱庫内の画像と差分画像の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の実施の形態に係る加熱調理器は、食品などの被加熱物が加熱庫内に置かれたときに、被加熱物に添付されたバーコードなどに格納された、加熱手段の種類、加熱手段の出力、加熱時間、加熱温度などの制御情報を表す加熱情報を自動的に読み取り、読み取った加熱情報にしたがって被加熱物を自動的に加熱する。
【0013】
本実施の形態の加熱調理器は、被加熱物を加熱した後、加熱済みの被加熱物が加熱庫から取り出されるまでは加熱情報の読み取りを停止し、被加熱物が加熱庫から取り出されたことを検知すると、加熱情報の読み取りを開始する。これにより、使用者は、加熱済みの被加熱物を取り出した後、すぐに次の被加熱物を加熱庫内に載置し、加熱情報にしたがって自動的に加熱することができる。
【0014】
本実施の形態の加熱調理器は、加熱庫内に設けられ、加熱庫内を撮像するための撮像装置により加熱情報を読み取る。したがって、加熱情報を読取り装置に読み取らせるために、被加熱物に添付されたバーコードなどを読取り装置にスキャンさせる必要がないので、不慣れな使用者であっても迅速に被加熱物を加熱することができる。また、使用者による作業の効率を向上させることができる。
【0015】
本開示の技術は、食品などの被加熱物を加熱調理するための電子レンジ、オーブン、トースター、ロースター、ガステーブル、コンロ、炊飯器、ホームベーカリー、クッキングヒーター、ホットプレート、圧力鍋などの加熱調理器に適用可能である。
【0016】
図1は、本開示の実施の形態に係る加熱調理器100の外観を示す。加熱調理器100は、筐体101と、筐体101の前面となる前枠に設けられた前面開口を開閉可能に覆う扉102と、扉102の右側に設けられた操作部105とを備える。
【0017】
本開示の説明では、加熱調理器100の前面開口側を前側とし、反対側の奥面側を後側とする。前側から見て、すなわち正面視において、加熱調理器100の天面側を上側とし、底面側を下側とする。
【0018】
扉102は、前面開口の左側において、水平方向の回転中心軸で筐体101に開閉可能に取り付けられている。扉102には、加熱庫内の状況を使用者が確認できるように、ガラス窓103が設けられる。扉102は、前面の上端部にハンドル104を有している。ハンドル104が使用者により引かれることにより、扉102が回転操作されて前面開口が開放される。また、ハンドル104が使用者により押されることにより、前面開口が閉じられる。扉102又は筐体101に、扉102の開閉を検知するための開閉センサが設けられる。開閉センサによる検知結果は、制御装置300に伝達される。
【0019】
筐体101の前面右側には、正面視において縦長形状の操作部105が設けられている。操作部105は、使用者が調理内容を設定するための複数の操作スイッチと、使用者に操作状況を表示するための表示部106を有している。各々の操作スイッチは、各種の情報を選択するボタン107、109、110や、加熱調理を開始させるためのスタートボタン108などである。表示部106には、加熱調理器100の運転状態や、操作スイッチによる操作状況などが表示される。各々の操作スイッチ及び表示部は、制御装置300により制御される。制御装置300は、例えば、CPUやマイコンやハードウェアロジックにより構成してよい。
【0020】
図2は、加熱調理器100の断面を模式的に示す。加熱調理器100の筐体101の内部には、加熱庫201が設けられる。加熱庫201の後部には、2個のマグネトロン202a、202bが上下に設けられる。制御装置300の制御によって各々のマグネトロン202a、202bから発生されたマイクロ波は、上下方向から加熱庫201内に放射される。これにより、加熱庫201内の底部に載置された被加熱物203を均一に加熱することができる。なお、マグネトロンは1つであってもよい。
【0021】
加熱調理器100は、輻射熱、熱風、蒸気などを供給して被加熱物203を加熱してもよい。そのために、加熱調理器100は、輻射熱で被加熱物を加熱するヒータユニット、加熱庫201内に熱風を循環させるコンベクションヒータユニット、加熱庫201内に蒸気を発生させる蒸気発生部などを加熱手段として有してもよい。
【0022】
加熱庫201の上方に、加熱庫201内を撮像するための撮像装置204が設けられる。撮像装置204は、加熱庫201において被加熱物を載置可能な範囲のほぼ全面を撮像することができるように、設置位置、向き、画角などが調整される。撮像装置204による撮影は、制御装置300により制御される。
【0023】
図3は、本開示の実施の形態に係る加熱調理器の制御装置の構成を示す。制御装置300は、撮影制御部301、撮像画像取得部302、加熱情報取得部303、状態検知部304、取り出し判定部305、比較判定部306、加熱制御部307、及び記憶部308を備える。これらの構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ハードウエアとソフトウエアの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0024】
撮影制御部301は、撮像装置204による加熱庫201内の撮影を制御する。撮影制御部301は、他の構成から加熱庫201内の撮影を指示されると、撮像装置204に撮影を指示する。撮影制御部301は、撮像装置204の撮影範囲、解像度、ズーム倍率などを制御してもよい。
【0025】
撮像画像取得部302は、撮像装置204により撮像された画像を撮像装置204から取得する。撮像画像取得部302は、取得した画像のデータを記憶部308に格納する。
【0026】
加熱情報取得部303は、撮像装置204により撮像された被加熱物203の画像から、被加熱物203に添付された加熱情報を取得する。加熱情報取得部303は、撮像画像取得部302により取得された被加熱物203の画像を記憶部308から読み出して、加熱情報を読み取る。
【0027】
状態検知部304は、撮像装置204により撮像された画像を参照して、加熱庫201内における被加熱物の有無、又は、被加熱物の加熱庫201からの取り出しを検知する。扉102が開かれたときに、加熱情報取得部303は、状態検知部304により、加熱庫201内に被加熱物が無いこと、又は、加熱庫201内に有った被加熱物が加熱庫201から取り出されたことが検知されるまでは加熱情報を取得しない。状態検知部304により、加熱庫201内に被加熱物が無いこと、又は、加熱庫201内に有った被加熱物が加熱庫201から取り出されたことが検知されると、加熱情報の取得が可能とされ、加熱情報取得部303は、加熱情報を取得するための処理を開始する。これにより、加熱情報を取得すべきタイミングでないときにも無駄に加熱情報を取得するための処理を実行してしまうのを抑えることができるので、消費電力を低減させることができる。また、加熱庫201内に既に有った被加熱物の加熱情報を設定してしまうのを抑えることができるので、誤動作を低減させることができる。
【0028】
取り出し判定部305は、撮像装置204により撮像された画像を参照して、加熱庫201内の被加熱物が取り出されたことを判定する。判定の詳細については後述する。
【0029】
比較判定部306は、撮像装置204により撮像された画像を参照して、加熱庫201内に被加熱物が有るか否かを判定する。判定の詳細については後述する。
【0030】
加熱制御部307は、加熱情報取得部303により取得された加熱情報にしたがって、マグネトロン202a、202bなどの加熱手段を制御して、被加熱物を自動的に加熱する。加熱制御部307は、加熱情報が設定されていない場合は、操作部105から受け付けた加熱条件にしたがって被加熱物を加熱する。
【0031】
図4は、本開示の実施の形態に係る制御方法の手順を示すフローチャートである。図4は、食品などの被加熱物が加熱調理された後、すなわち加熱庫201内に被加熱物がある状態における制御方法の手順を示す。
【0032】
状態検知部304は、扉102が開かれたことが検知されると(S10)、食品などの被加熱物の取り出しの検知処理を開始する(S31)。加熱調理された被加熱物が取り出されたことが検知されるまでは、加熱情報取得部303による加熱情報の読み取りは行われない。取り出しの検知処理の詳細については後述する。
【0033】
状態検知部304が食品の取り出しを検知すると(S45)、加熱情報取得部303は、加熱情報の読み取りを開始する(S50)。加熱情報の読み取りに成功することなく扉102が閉じられた場合は、新たな被加熱物が加熱庫201内に載置されなかった、又は、加熱情報が添付されていない被加熱物が加熱庫201内に載置されたと考えられるので、加熱情報の読み取りを停止してもよい。
【0034】
加熱情報が添付された新たな被加熱物が加熱庫201内に載置され、加熱情報取得部303が加熱情報の読み取りに成功すると(S54)、加熱制御部307は、読み取られた加熱情報を設定する(S60)。扉102が閉じられ(S61)、スタートボタン108が押下されると(S62)、加熱制御部307は設定された加熱情報にしたがって加熱調理を実行する(S63)。
【0035】
図5は、本開示の実施の形態に係る制御方法の手順を示すフローチャートである。図5は、加熱庫201内に被加熱物があるか否かが不明である場合における制御方法の手順を示す。
【0036】
状態検知部304は、扉102が開かれたことが検知されると(S10)、加熱庫201内に食品などの被加熱物が有るか否かを判定する処理を実行する(S20)。食品などの被加熱物が加熱庫201内に無い場合は(S30のN)、新たな被加熱物が加熱庫201内に入れられる可能性があるので、加熱情報取得部303は、加熱情報の読み取りを開始する(S50)。
【0037】
食品などの被加熱物が加熱庫201内に有る場合は(S30のY)、その被加熱物は加熱調理済みである可能性が高いので、その被加熱物が取り出されたことが検知されるまでは、加熱情報取得部303による加熱情報の読み取りは行われない。状態検知部304は、食品などの被加熱物の取り出しの検知処理を開始する(S31)。加熱調理された被加熱物が取り出しの検知処理の詳細については後述する。
【0038】
状態検知部304が食品の取り出しを検知すると(S45)、加熱情報取得部303は、加熱情報の読み取りを開始する(S50)。加熱情報の読み取りに成功することなく扉102が閉じられた場合は、新たな被加熱物が加熱庫201内に載置されなかった、又は、加熱情報が添付されていない被加熱物が加熱庫201内に載置されたと考えられるので、加熱情報の読み取りを停止してもよい。
【0039】
加熱情報が添付された新たな被加熱物が加熱庫201内に載置され、加熱情報取得部303が加熱情報の読み取りに成功すると(S54)、加熱制御部307は、読み取られた加熱情報を設定する(S60)。扉102が閉じられ(S61)、スタートボタン108が押下されると(S62)、加熱制御部307は設定された加熱情報にしたがって加熱調理を実行する(S63)。
【0040】
図6は、本開示の実施の形態に係る制御方法の手順を示すフローチャートである。図6は、図4に示した手順において、食品などの被加熱物の取り出しを検知する手順と、加熱情報を読み取る手順をより詳細に示す。
【0041】
状態検知部304は、扉102が開かれたことが検知されると(S10)、食品などの被加熱物の取り出しの検知処理を開始する。
【0042】
図7は、撮像装置204により撮像された加熱庫201内の画像と差分画像の例を示す。図7(a)は、撮像装置204により撮像された加熱庫201内の画像を示し、図7(b)は、その次のフレームの画像を示す。使用者が被加熱物を加熱庫201内から取り出すとき、加熱庫201内の撮像画像には、使用者の手と被加熱物が写る。図7(c)は、図7(a)に示した画像と図7(b)に示した画像の差分画像を示す。使用者が被加熱物を加熱庫201内から出し入れするとき、使用者の手と被加熱物は加熱庫201奥行き方向(撮像画像のy方向)に移動するので、図7(c)に示すように、差分画像のy方向のピーク値は使用者の手又は被加熱物の先端に対応する。
【0043】
図8は、図7に示した差分画像の分析結果を示す。図8(a)は、図7(c)に示した差分画像に含まれる差分が0でない画素の数の時間変化を示す。差分が0でない画素の数は、使用者の手の移動を反映している。図8(b)は、図7(c)に示した差分画像のy座標のピーク値の時間変化を示す。差分画像のy座標のピーク値は、使用者の手が加熱庫201内に挿入されるにつれて増大し、その後、使用者が被加熱物を加熱庫201内から取り出すにつれて減少する。したがって、取り出し判定部305は、差分画像のy方向のピーク値が第1の閾値を超えた後、第2の閾値を下回ったときに、使用者が被加熱物を加熱庫201内から取り出したと判定する。第1の閾値は、使用者が加熱庫201内に載置された被加熱物を取り出すために手を挿入する必要がある最小限の奥行きであってもよい。第2の閾値は、撮像装置204の撮像範囲のうち最も手前の位置であってもよい。第1の閾値及び第2の閾値は、予め実験などにより定められてもよいし、使用者により変更されてもよいし、外部から通信などにより更新されてもよい。
【0044】
状態検知部304は、加熱庫201内の画像を撮影するよう撮影制御部301に指示する(S32)。撮像画像取得部302は、撮像装置204により撮像された加熱庫201内の画像を撮像装置204から取得して記憶部308に格納する。取り出し判定部305は、撮像画像取得部302により取得された画像と、記憶部308に格納されている前フレームの画像とを比較して差分画像を計算し(S33)、差分画像のy座標のピーク値を確認する(S34)。S34において、差分画像のy座標のピーク値が第1の閾値(図6の例では、20)を超えるまでは(S35のN)、S32に戻って、使用者が被加熱物を取り出すために手を加熱庫201内に挿入する動作の確認を継続する。差分画像のy座標のピーク値が第1の閾値を超えると(S35のY)、つづいて、使用者が被加熱物を把持して加熱庫201内から取り出す動作を確認する。
【0045】
状態検知部304は、加熱庫201内の画像を撮影するよう撮影制御部301に指示する(S41)。撮像画像取得部302は、撮像装置204により撮像された加熱庫201内の画像を撮像装置204から取得して記憶部308に格納する。取り出し判定部305は、撮像画像取得部302により取得された画像と、記憶部308に格納されている前フレームの画像とを比較して差分画像を計算し(S42)、差分画像のy座標のピーク値を確認する(S43)。S43において、差分画像のy座標のピーク値が第2の閾値(図6の例では、20)を下回るまでは(S44のN)、S41に戻って、使用者が被加熱物を取り出す動作の確認を継続する。差分画像のy座標のピーク値が第2の閾値を下回ると(S44のY)、加熱情報取得部303は、加熱情報の読み取りを開始する。
【0046】
加熱情報取得部303は、加熱庫201内の画像を撮影するよう撮影制御部301に指示する(S51)。撮像画像取得部302は、撮像装置204により撮像された加熱庫201内の画像を撮像装置204から取得して記憶部308に格納する。加熱情報取得部303は、取得された画像に写っている被加熱物の加熱情報を認識する(S52)。加熱情報取得部303が認識に失敗したか、又は、認識した加熱情報が無効なものであった場合は(S53のN)、S51に戻って、加熱情報の認識を継続する。加熱情報取得部303が、有効な加熱情報の認識に成功すると(S53のY)、加熱制御部307は、読み取られた加熱情報を設定する(S60)。扉102が閉じられ(S61)、スタートボタン108が押下されると(S62)、加熱制御部307は設定された加熱情報にしたがって加熱調理を実行する(S63)。
【0047】
図9は、本開示の実施の形態に係る制御方法の手順を示すフローチャートである。図9は、図5に示した手順において、加熱庫201内に被加熱物が有るか否かを判定する手順をより詳細に示す。
【0048】
状態検知部304は、扉102が開かれたことが検知されると(S10)、加熱庫201内に食品などの被加熱物が有るか否かを判定する処理を実行する。加熱情報取得部303は、加熱庫201内の画像を撮影するよう撮影制御部301に指示する(S21)。撮像画像取得部302は、撮像装置204により撮像された加熱庫201内の画像を撮像装置204から取得して記憶部308に格納する。加熱情報取得部303は、取得された画像に写っている被加熱物の加熱情報を認識する(S22)。加熱情報取得部303が認識に失敗したか、又は、認識した加熱情報が無効なものであった場合は(S23のN)、S21に戻って、加熱情報の認識を継続する。加熱情報取得部303が、有効な加熱情報の認識に成功した場合(S23のY)、扉102を開く前から加熱庫201内に有った被加熱物の加熱情報が読み取られた場合と、扉102を開いた後に加熱庫201内に載置された被加熱物の加熱情報が読み取られた場合がありうる。
【0049】
扉102が開かれてから所定回数(図9の例では、3回)以内に加熱情報の読み取りに成功した場合には(S24のY)、扉102を開く前から加熱庫201内に有った被加熱物の加熱情報を読み取った可能性が高く、その被加熱物は既に加熱済みであると考えられるので、状態検知部304が、その被加熱物が取り出されたことを検知し(S32~S44)、加熱情報取得部303が、新たに加熱庫201内に載置された被加熱物の加熱情報を読み取ると(S51~S53)、加熱制御部307は、読み取られた加熱情報を設定する(S60)。S32~S44、S51~S53の手順の詳細は、図6と同様である。
【0050】
扉102が開かれてから所定回数以上加熱情報の認識処理を行ってから加熱情報の読み取りに成功した場合は(S24のN)、扉102が開かれた後に加熱庫201内に載置された被加熱物の加熱情報が読み取られたと考えられるので、加熱制御部307は、読み取られた加熱情報を設定する(S60)。
【0051】
扉102が閉じられ(S61)、スタートボタン108が押下されると(S62)、加熱制御部307は設定された加熱情報にしたがって加熱調理を実行する(S63)。
【0052】
図10は、本開示の実施の形態に係る制御方法の手順を示すフローチャートである。図10は、図5に示した手順において、加熱庫201内に被加熱物が有るか否かを判定する手順をより詳細に示す。
【0053】
状態検知部304は、扉102が開かれたことが検知されると(S10)、加熱庫201内に食品などの被加熱物が有るか否かを判定する処理を実行する。
【0054】
図11は、撮像装置204により撮像された加熱庫201内の画像と差分画像の例を示す。図11(a)は、加熱庫201内に被加熱物が載置されていない状態で撮像装置204により撮像された加熱庫201内の画像(庫内空画像)を示す。図11(b)は、加熱庫201内に被加熱物が載置された状態で撮像画像取得部302により撮像された加熱庫201内の画像を示す。図11(c)は、図11(a)に示した画像と図11(b)に示した画像の差分を2値化した画像を示す。差分画像に写っている物の形状又はサイズや、差分画像において差分がある画素の数(差分値)などに基づいて、加熱庫201内に被加熱物が有るか否かを判定することができる。
【0055】
状態検知部304は、加熱庫201内の画像を撮影するよう撮影制御部301に指示する(S21)。撮像画像取得部302は、撮像装置204により撮像された加熱庫201内の画像を撮像装置204から取得して記憶部308に格納する。比較判定部306は、取得された庫内画像と、記憶部308に格納されている庫内空画像との差分画像を計算し(S25)、差分値を確認する。差分値が所定値(図10の例では、500)未満であれば(S26のN)、比較判定部306は、加熱庫201内に被加熱物が無いと判定し、加熱情報取得部303は、加熱情報の読み取りを開始する(S51~S53)。加熱情報を読み取る手順の詳細は、図5と同様である。
【0056】
差分値が所定値以上であれば(S26のY)、比較判定部306は、加熱庫201内に被加熱物が有ると判定する。この被加熱物は、扉102を開く前から加熱庫201内に有ったものであり、既に加熱済みであると考えられるので、この被加熱物が加熱庫201内から取り出されるまでは、加熱情報の読み取りを停止する。
【0057】
状態検知部304は、加熱庫201内の画像を撮影するよう撮影制御部301に指示する(S27)。撮像画像取得部302は、撮像装置204により撮像された加熱庫201内の画像を撮像装置204から取得して記憶部308に格納する。比較判定部306は、取得された庫内画像と、記憶部308に格納されている庫内空画像との差分画像を計算し(S28)、差分がある画素の数(差分値)を確認する。差分値が所定値(図10の例では、500)以上であれば(S29のN)、比較判定部306は、加熱庫201内の被加熱物が取り出されていないと判定し、S27に戻って、被加熱物の取り出しを検知する手順を継続する。差分値が所定値未満であれば(S29のY)、加熱庫201内の被加熱物が取り出されて空になったと考えられるので、加熱情報取得部303は、加熱情報の読み取りを開始する(S51~S53)。加熱情報を読み取る手順の詳細は、図5と同様である。
【0058】
加熱制御部307は、読み取られた加熱情報を設定する(S60)。扉102が閉じられ(S61)、スタートボタン108が押下されると(S62)、加熱制御部307は設定された加熱情報にしたがって加熱調理を実行する(S63)。
【0059】
被加熱物が加熱庫201内に載置され、加熱情報が読み取られた後、扉102が閉じられる前に被加熱物が取り出される可能性もあるので、スタートボタン108が押下された後に、加熱庫201内に被加熱物が有るか否かを再度確認し、被加熱物が有ることが確認されてから加熱制御部307が加熱調理を実行してもよい。これにより、加熱庫201内に被加熱物が無い状態で空焼きしてしまうのを防止することができる。
【0060】
以上、本開示を、実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0061】
実施の形態では、撮像装置204により撮像された加熱庫201内の画像を参照して、加熱庫201内に被加熱物が有るか否かを判定したが、別の例では、加熱庫201の底部に設けられた重量センサにより被加熱物の有無を検知してもよいし、フォトセンサ、光電センサ、超音波センサ、レーザーセンサなどにより被加熱物の有無を検知してもよい。
【0062】
実施の形態では、加熱庫201内に撮像装置204が設けられたが、別の例では、扉102や加熱庫201の開口付近などに撮像装置204が設けられてもよい。
【0063】
本開示のある態様は、加熱調理器である。この加熱調理器は、加熱庫と、加熱庫内を撮像するための撮像装置と、加熱庫に配置された被加熱物の加熱を制御する制御装置と、を備え、制御装置は、撮像装置により撮像された画像を取得する撮像画像取得部と、撮像画像取得部により取得された被加熱物の画像を参照して、被加熱物の加熱を制御するために用いられる加熱情報を取得する加熱情報取得部と、加熱情報取得部により取得された加熱情報にしたがって、被加熱物の加熱を制御する加熱制御部と、撮像装置により撮像された画像を参照して、加熱庫内における被加熱物の有無、又は、被加熱物の加熱庫からの取り出しを検知する状態検知部と、を備え、加熱情報取得部は、状態検知部により、加熱庫内に被加熱物が無いこと、又は、被加熱物が加熱庫から取り出されたことが検知されると、加熱情報の取得を可能とする。この態様によると、使用者による作業効率を向上させることができるので、使用者の利便性を向上させることができる。
【0064】
加熱情報取得部は、加熱庫の開口を開閉する扉が開かれたことが検知されたとき、加熱庫内に被加熱物が無いことが検知されるまで、又は、加熱庫に有る被加熱物が加熱庫から取り出されたことが検知されるまで、加熱情報を取得しなくてもよい。この態様によると、消費電力を低減させることができる。
【0065】
状態検知部は、異なる複数のタイミングで撮像された撮像画像に基づいて使用者の手又は被加熱物の動きを検出することにより、被加熱物の加熱庫からの取り出しを検知してもよい。この態様によると、検知精度を向上させることができる。
【0066】
状態検知部は、異なる複数のタイミングで撮像された加熱庫内の撮像画像の差分を算出し、差分の時間変化を使用者の手又は被加熱物の動きとして検出してもよい。この態様によると、検知精度を向上させることができる。
【0067】
状態検知部は、使用者の手又は被加熱物が加熱庫内の所定範囲に到達した後、加熱庫の開口付近に到達したときに、被加熱物が加熱庫内から取り出されてもよい。この態様によると、検知精度を向上させることができる。
【0068】
状態検知部は、被加熱物が無いときの加熱庫内の画像と、撮像画像取得部により取得された加熱庫内の画像とを比較することにより、加熱庫内における被加熱物の有無を検知してもよい。この態様によると、検知精度を向上させることができる。
【0069】
状態検知部は、加熱庫の開口を開閉するための扉が開かれてから所定時間内に加熱情報取得部が加熱情報の取得に成功した場合、加熱庫内に被加熱物が有ることを検知してもよい。この態様によると、検知精度を向上させることができる。
【0070】
撮像装置は、加熱庫において被加熱物を載置可能な範囲を撮像可能に設けられてもよい。この態様によると、検知精度を向上させることができるとともに、作業効率を向上させることができる。
【0071】
本開示の別の態様は、制御装置である。この制御装置は、加熱庫内を撮像するための撮像装置により撮像された画像を取得する撮像画像取得部と、撮像画像取得部により取得された被加熱物の画像を参照して、被加熱物の加熱を制御するために用いられる加熱情報を取得する加熱情報取得部と、加熱情報取得部により取得された加熱情報にしたがって、被加熱物の加熱を制御する加熱制御部と、撮像装置により撮像された画像を参照して、加熱庫内における被加熱物の有無、又は、被加熱物の加熱庫からの取り出しを検知する状態検知部と、を備え、加熱情報取得部は、状態検知部により、加熱庫内に被加熱物が無いこと、又は、被加熱物が加熱庫から取り出されたことが検知されると、加熱情報の取得を可能とする。この態様によると、使用者による作業効率を向上させることができるので、使用者の利便性を向上させることができる。
【0072】
本開示の更に別の態様は、制御方法である。この制御方法は、コンピュータに、加熱庫内を撮像するための撮像装置により撮像された画像を取得するステップと、取得された被加熱物の画像を参照して、被加熱物の加熱を制御するために用いられる加熱情報を取得するステップと、取得された加熱情報にしたがって、被加熱物の加熱を制御するステップと、撮像装置により撮像された画像を参照して、加熱庫内における被加熱物の有無、又は、被加熱物の加熱庫からの取り出しを検知するステップと、を備え、検知するステップにおいて、加熱庫内に被加熱物が無いこと、又は、被加熱物が加熱庫から取り出されたことが検知されると、加熱情報を取得するステップにおいて、加熱情報の取得を可能とする。この態様によると、使用者による作業効率を向上させることができるので、使用者の利便性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0073】
100 加熱調理器、101 筐体、102 扉、103 ガラス窓、104 ハンドル、105 操作部、106 表示部、107 ボタン、108 スタートボタン、201 加熱庫、202 マグネトロン、203 被加熱物、204 撮像装置、300 制御装置、301 撮影制御部、302 撮像画像取得部、303 加熱情報取得部、304 状態検知部、305 取り出し判定部、306 比較判定部、307 加熱制御部、308 記憶部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11