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特許7603227電力制御方法、電力制御装置、および、電源システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】電力制御方法、電力制御装置、および、電源システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/46 20060101AFI20241213BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20241213BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20241213BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20241213BHJP
【FI】
H02J3/46
H02J3/32
H02J3/38 130
H02J3/38 170
H02J7/35 K
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2024561654
(86)(22)【出願日】2024-08-30
(86)【国際出願番号】 JP2024031185
【審査請求日】2024-10-17
(31)【優先権主張番号】P 2023169314
(32)【優先日】2023-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 崇志
(72)【発明者】
【氏名】井口 裕亮
(72)【発明者】
【氏名】福岡 将
(72)【発明者】
【氏名】清水 敦志
【審査官】新田 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-80359(JP,A)
【文献】特開2015-164380(JP,A)
【文献】国際公開第2021/001963(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/46
H02J 3/32
H02J 3/38
H02J 7/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池装置および蓄電装置を備える分散型電源システムより電力需要家の電力負荷に対して電力を供給する際に、
前記燃料電池装置の発電電力の計画値に前記燃料電池装置の発電電力を制御するステップと、
前記制御を実行しているときに、前記計画値に基づき推定される所定時間後の前記蓄電装置の充電率が、100%よりも小さい上限値よりも大きいとき、前記計画値を減少させる第1の補正、または、前記計画値に基づき推定される所定時間後の前記蓄電装置の充電率が0%よりも大きい下限値よりも小さいとき、前記計画値を増加させる第2の補正を実行するステップと、を備える、電力制御方法。
【請求項2】
前記第1の補正または前記第2の補正が維持される第1の所定期間は、前記計画値が維持される第2の所定期間よりも短い、請求項1に記載の電力制御方法。
【請求項3】
前記計画値が切り替わる前の第3の所定期間または前記計画値が切り替わった後の第4の所定期間において、前記第1の補正または前記第2の補正を実行しない、請求項1に記載の電力制御方法。
【請求項4】
前記第3の所定期間または第4の所定期間は、前記計画値を切り替えた後、前記燃料電池装置の出力が計画値に到達するまでに必要な時間以上の長さである、請求項3に記載の電力制御方法。
【請求項5】
前記第1の補正または前記第2の補正の実行を開始後、第5の所定期間は、前記第1の補正または前記第2の補正を実行しない、請求項1に記載の電力制御方法。
【請求項6】
前記分散型電源システムは、更に、太陽光発電装置を備え、
前記制御を実行しているときに、直前の第6の所定期間における電力需要家の需要電力の実績値と前記太陽光発電装置の発電電力の実績値および前記計画値の総和との差分から所定時間後の前記蓄電装置の充電率を推定する、請求項1に記載の電力制御方法。
【請求項7】
燃料電池装置および蓄電装置を備える分散型電源システムの電力制御装置であって、
前記燃料電池装置の発電電力の計画値を記憶する記憶器と、
前記分散型電源システムより電力需要家の電力負荷に対して電力を供給する際に、前記燃料電池装置の発電電力の計画値に前記燃料電池装置の発電電力を制御する制御器と、を備え、
前記制御器は、前記制御を実行しているときに、前記計画値に基づき推定される所定時間後の前記蓄電装置の充電率が、100%よりも小さい上限値よりも大きいとき、前記計画値を減少させる第1の補正、または、前記計画値に基づき推定される所定時間後の前記蓄電装置の充電率が0%よりも大きい下限値よりも小さいとき、前記計画値を増加させる第2の補正を実行する、電力制御装置。
【請求項8】
燃料電池装置と、
蓄電装置と、
請求項7に記載の電力制御装置を備える、電源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力制御方法、電力制御装置、および、電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電源システムの電力制御に関して、従来から様々な提案が行われている。一例として、特許文献1では、蓄電池の蓄電量に応じて燃料電池の出力を決定することが記載されている。具体的には、蓄電池の蓄電量が多いときは、燃料電池の出力を低下させ、蓄電池の蓄電量が少ないときは、燃料電池の出力の上昇させる制御が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2015/162940号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、一例として、蓄電装置が満充電状態または完全放電状態になる可能性を従来よりも低減し得る、電力制御方法、電力制御装置、および、電源システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本開示の一態様(aspect)の電力制御方法は、燃料電池装置および蓄電装置を備える分散型電源システムより電力需要家の電力負荷に対して電力を供給する際に、前記燃料電池装置の発電電力の計画値に前記燃料電池装置の発電電力を制御するステップと、前記制御を実行しているときに、前記計画値に基づき推定される所定時間後の前記蓄電装置の充電率が、100%よりも小さい上限値よりも大きいとき、前記計画値を減少させる第1の補正、または、前記計画値に基づき推定される所定時間後の前記蓄電装置の充電率が0%よりも大きい下限値よりも小さいとき、前記計画値を増加させる第2の補正を実行するステップと、を備える。
【0006】
本開示の一態様は、燃料電池装置および蓄電装置を備える分散型電源システムの電力制御装置であって、前記燃料電池装置の発電電力の計画値を記憶する記憶器と、前記分散型電源システムより電力需要家の電力負荷に対して電力を供給する際に、前記燃料電池装置の発電電力の計画値に前記燃料電池装置の発電電力を制御する制御器と、を備え、前記制御器は、前記制御を実行しているときに、前記計画値に基づき推定される所定時間後の前記蓄電装置の充電率が、100%よりも小さい上限値よりも大きいとき、前記計画値を減少させる第1の補正、または、前記計画値に基づき推定される所定時間後の前記蓄電装置の充電率が0%よりも大きい下限値よりも小さいとき、前記計画値を増加させる第2の補正を実行する。
【0007】
本開示の一態様の電源システムは、燃料電池装置と、蓄電装置と、上記の電力制御装置を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様の電力制御方法、電力制御装置、および、電源システムは、蓄電装置が満充電状態または完全放電状態になる可能性を従来よりも低減し得る、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態の電源システムの一例を示す図である。
図2図2は、第1実施形態の電源システムが備える分散型電源システムの一例を示す図である。
図3図3は、第1実施形態の電力制御装置の一例を示す図である。
図4A図4Aは、第1実施形態の電力制御装置の動作(電力制御方法)の一例を示すフローチャートである。
図4B図4Bは、第1実施形態の電力制御装置の動作(電力制御方法)の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、第1実施形態の電力制御装置の動作(電力制御方法)の一例を説明するための図である。
図6図6は、第1実施形態の第1実施例における電力制御装置(電力制御方法)の動作の一例を説明するための図である。
図7図7は、第1実施形態の第2実施例における電力制御装置(電力制御方法)の動作の一例を説明するための図である。
図8図8は、第1実施形態の第3実施例における電力制御装置(電力制御方法)の動作の一例を説明するための図である。
図9図9は、第1実施形態の第4実施例の電源システムが備える分散型電源システムの一例を示す図である。
図10図10は、第2実施形態の電源システムの一例を示す図である。
図11A図11Aは、第2実施形態の電力制御装置の動作(電力制御方法)の一例を示すフローチャートである。
図11B図11Bは、第2実施形態の電力制御装置の動作(電力制御方法)の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
特許文献1においては、燃料電池の出力を決定する際の蓄電池の蓄電量として、リアルタイムの実測値が使用されている。このため、特許文献1に記載された発明は、蓄電池の蓄電量の将来の推定値を考慮した燃料電池の出力決定が記載されておらず、その結果、蓄電池が満充電状態または完全放電状態になる可能性がある。蓄電池が満充電状態になると、分散電源から電力系統への逆潮流が発生しやすくなる。逆に、蓄電池が完全放電状態になると、電力系統からの買電が発生しやすくなる。
【0011】
そこで、本開示の第1態様の電力制御方法は、燃料電池装置および蓄電装置を備える分散型電源システムより電力需要家の電力負荷に対して電力を供給する際に、燃料電池装置の発電電力の計画値に燃料電池装置の発電電力を制御するステップと、当該制御を実行しているときに、燃料電池装置の発電電力の計画値に基づき推定される所定時間後の蓄電装置の充電率が、100%よりも小さい上限値よりも大きいとき、本計画値を減少させる第1の補正、または、燃料電池装置の発電電力の計画値に基づき推定される所定時間後の蓄電装置の充電率が0%よりも大きい下限値よりも小さいとき、本計画値を増加させる第2の補正を実行するステップと、を備える。
【0012】
上記によると、本態様の電力制御方法は、蓄電装置が満充電状態または完全放電状態になる可能性を従来よりも低減し得る。
【0013】
具体的には、本態様の電力制御方法は、上記制御を実行しているときに、燃料電池装置の発電電力の計画値に基づき推定される所定時間後の蓄電装置の充電率が、100%よりも小さい上限値よりも大きいとき、本計画値を減少させる第1の補正を行うことで、かかる第1の補正を行わない場合に比べて蓄電装置が満充電状態になる可能性を適切に低減することができる。蓄電装置が満充電状態になると、分散型電源システムから電力系統への逆潮流が発生しやすくなるが、本態様の電力制御方法は、第1の補正によって、かかる逆潮流発生を抑制することができる。
【0014】
また、本態様の電力制御方法は、上記制御を実行しているときに、燃料電池装置の発電電力の計画値に基づき推定される所定時間後の蓄電装置の充電率が0%よりも大きい下限値よりも小さいとき、本計画値を増加させる第2の補正を行うことで、かかる第2の補正を行わない場合に比べて蓄電装置が完全放電状態になる可能性を適切に低減することができる。蓄電装置が完全放電状態になると、電力系統からの買電が発生しやすくなるが、本態様の電力制御方法は、第2の補正によって、かかる買電発生を抑制することができる。
【0015】
本開示の第2態様の電力制御方法は、第1態様の電力制御方法において、第1の補正または第2の補正が維持される第1の所定期間は、燃料電池装置の発電電力の計画値が維持される第2の所定期間よりも短くてもよい。
【0016】
本開示の第3態様の電力制御方法は、第1態様または第2態様の電力制御方法において、燃料電池装置の発電電力の計画値が切り替わる前の第3の所定期間または当該計画値が切り替わった後の第4の所定期間において、上記の第1の補正または第2の補正を実行しなくてもよい。
【0017】
燃料電池装置の発電電力の計画値が切り替わるタイミングの前後の所定期間で、第1の補正または第2の補正を実行する場合、燃料電池装置の発電電力の計画値に基づいて燃料電池装置の出力が変化する期間と、第1の補正または第2の補正に基づいて燃料電池装置の出力が変化する期間とがオーバーラップする場合がある。
【0018】
つまり、燃料電池装置の出力を所望の目標値に到達させるには一定の時間が必要であるところ、燃料電池装置の発電電力の計画値が切り替わる直前のタイミングで、第1の補正または第2の補正を実行する場合、第1の補正または第2の補正に基づいて燃料電池装置の出力が変化している最中に、燃料電池装置の発電電力の計画値に基づいて燃料電池装置の出力変化が指示される可能性がある。すると、燃料電池装置の出力が燃料電池装置の発電電力の計画通りに制御されにくくなる可能性がある。
【0019】
また、燃料電池装置の発電電力の計画値が切り替わった直後のタイミングで、第1の補正または第2の補正を実行する場合、燃料電池装置の発電電力の計画値に基づいて燃料電池装置の出力が変化している最中に、第1の補正または第2の補正に基づいて燃料電池装置の出力変化が指示される可能性がある。すると、燃料電池装置の出力が燃料電池装置の発電電力の補正通りに制御されにくくなる可能性がある。
【0020】
しかし、本態様の電力制御方法は、燃料電池装置の発電電力の計画値が切り替わる前の第3の所定期間または当該計画値が切り替わった後の第4の所定期間において、第1の補正または第2の補正の実行を禁止することで、かかる第1の補正および第2の補正の実行を禁止しない場合に比べて、燃料電池装置の出力を適切に制御しやすくなる。
【0021】
本開示の第4態様の電力制御方法は、第3態様の電力制御方法において、第3の所定期間または第4の所定期間は、燃料電池装置の発電電力の計画値を切り替えた後、燃料電池装置の出力がその切り替えた計画値に到達するまでに必要な時間以上の長さであってもよい。
【0022】
上記によると、本態様の電力制御方法は、第3の所定期間または第4の所定期間を、燃料電池装置の発電電力の計画値を切り替えた後、燃料電池装置の出力がその切り替えた計画値に到達するまでに必要な時間以上に設定することで、第3の所定期間および第4の所定期間が当該必要な時間未満である場合に比べて、燃料電池装置の発電電力の計画値に基づいて燃料電池装置の出力が変化する期間と、第1の補正または第2の補正に基づいて燃料電池装置の出力が変化する期間とがオーバーラップする可能性を適切に低減することができる。
【0023】
本開示の第5態様の電力制御方法は、第1態様の電力制御方法において、第1の補正または第2の補正の実行を開始後、第5の所定期間は、第1の補正または第2の補正を実行しなくてもよい。
【0024】
燃料電池装置の出力を所望の目標値に到達させるには一定の時間が必要であるところ、第1の補正または第2の補正の実行直後のタイミングで、当該補正を再実行する場合、前者の補正に基づいて燃料電池装置の出力が変化している最中に、後者の補正に基づいて燃料電池装置の出力変化が指示される可能性がある。すると、燃料電池装置の出力が燃料電池装置の発電電力の補正通りに制御されにくくなる可能性がある。
【0025】
しかし、本態様の電力制御方法は、第1の補正または第2の補正の実行を開始後、第5の所定期間は、当該補正の再実行を禁止することで、第1の補正および第2の補正の再実行を禁止しない場合に比べて、燃料電池装置の出力を適切に制御しやすくなる。
【0026】
本開示の第6態様の電力制御方法は、第1態様の電力制御方法において、分散型電源システムは、更に、太陽光発電装置を備え、上記制御を実行しているときに、直前の第6の所定期間における電力需要家の需要電力の実績値と太陽光発電装置の実績値および燃料電池装置の発電電力の計画値の総和との差分から所定時間後の蓄電装置の充電率を推定してもよい。
【0027】
上記によると、本態様の電力制御方法は、電力需要家の需要電力の直前の実績値と太陽光発電装置の直前の実績値および燃料電池装置の発電電力の計画値の総和との差分が、蓄電装置の充電電力または放電電力に対応することから、当該差分に基づいて所定時間後の蓄電装置の充電率を適切に推定することができる。
【0028】
本開示の第7態様は、燃料電池装置および蓄電装置を備える分散型電源システムの電力制御装置であって、燃料電池装置の発電電力の計画値を記憶する記憶器と、分散型電源システムより電力需要家の電力負荷に対して電力を供給する際に、燃料電池装置の発電電力の計画値に燃料電池装置の発電電力を制御する制御器と、を備え、制御器は、上記制御を実行しているときに、当該計画値に基づき推定される所定時間後の蓄電装置の充電率が、100%よりも小さい上限値よりも大きいとき、上記計画値を減少させる第1の補正、または、上記計画値に基づき推定される所定時間後の蓄電装置の充電率が0%よりも大きい下限値よりも小さいとき、上記計画値を増加させる第2の補正を実行する。
【0029】
かかる構成によると、本態様の電力制御装置は、蓄電装置が満充電状態または完全放電状態になる可能性を従来よりも低減し得る。なお、本態様の電力制御装置が奏する作用効果の詳細は、第1態様の電力制御方法が奏する作用効果と同様であるので説明を省略する。
【0030】
本開示の第8態様の電源システムは、燃料電池装置と、蓄電装置と、第7態様の電力制御装置を備える。
【0031】
かかる構成によると、本態様の電源システムは、蓄電装置が満充電状態または完全放電状態になる可能性を従来よりも低減し得る。なお、本態様の電源システムが奏する作用効果の詳細は、第1態様の電力制御方法が奏する作用効果と同様であるので説明を省略する。
【0032】
以下、添付図面を参照しながら、本開示の上記態様の具体例を説明する。以下で説明する具体例は、いずれも本開示の上記態様の一例を示すものである。よって、以下で示される形状、数値、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態などは、請求項に記載されていない限り、請求項の範囲を限定するものではない。
【0033】
また、以下に説明する構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、図面において、同じ符号が付いたものは、説明を省略する場合がある。図面は理解しやすくするために、それぞれの構成要素を模式的に示したもので、形状および寸法比などについては正確な表示ではない場合がある。
【0034】
さらに、装置の動作においては、必要に応じて、工程の順番を入れ替えてもよいし、公知の工程を追加してもよい。
【0035】
(第1実施形態)
[装置構成]
図1は、第1実施形態の電源システムの一例を示す図である。図2は、第1実施形態の電源システムが備える分散型電源システムの一例を示す図である。図3は、第1実施形態の電力制御装置の一例を示す図である。
【0036】
本実施形態の電源システム10は、図1に示す如く、電力制御装置20と、分散型電源システム30と、を備える。ここで、分散型電源システム30は、図2に示す如く、燃料電池装置31と、蓄電装置32と、を備える。この電源システム10は、例えば、電力系統に大電力を供給するシステムであってもよい。この場合、燃料電池装置31および蓄電装置32はそれぞれ、燃料電池スタックを含む複数の燃料電池ユニットからなる燃料電池ユニット群および複数の蓄電池ユニットからなる蓄電池ユニット群をそれぞれ、備えるが、このような電源システム10の詳細な構成は、第2実施形態で説明する。
【0037】
燃料電池装置31は、電力制御装置20の制御により、図示しない水素供給源から供給される水素を利用して発電する。燃料電池装置31によって発電された電力は、電力負荷40、電力系統または蓄電装置32に供給される。燃料電池装置31として、周知の装置を用いることができる。水素供給源として、例えば、水素貯蔵器を挙げることができるが、これに限定されない。
【0038】
蓄電装置32は、電力制御装置20の制御により、燃料電池装置31が発電した電力または電力系統から受電した電力を蓄電する装置である。蓄電装置32に蓄電された電力は、電力制御装置20の制御により、電力需要家の電力負荷40または電力系統に放電されてもよい。電源システム10で発電する電力供給のサービスを受けている電力需要家として、例えば、工場、店舗、一般家庭などを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0039】
蓄電装置32は、蓄電装置32に蓄電されている電力量(電荷量)の残量を示すSOC(State of charge)を、適宜のタイミングで、電力制御装置20に送信することができる。蓄電装置32として、例えば、2次電池などを挙げることができるが、これに限定されない。
【0040】
図3に示すように、電力制御装置20は、記憶器21と、制御器22と、を備える。
【0041】
記憶器21は、燃料電池装置31の発電電力FCの計画値FCmainを記憶するためのメモリである。例えば、電力制御装置20は、通信ネットワークを介して、端末またはサーバより送信される計画値FCmainに関する発電計画を受信してもよい。
【0042】
なお、上記端末またはサーバの利用者は、電力制御装置20の直接的または間接的な利用者を含む。電力制御装置20の直接的な利用者は、例えば、電力制御装置20の管理者である。電力制御装置20の間接的な利用者は、例えば、電源システム10の所有主体などが挙げることができる。かかる所有主体は、電源システム10で発電する電力供給のサービスを受けている電力需要家であってもよいし、電源システム10を用いて電力需要家に電力を供給する発電事業者であってもよい。
【0043】
制御器22は、分散型電源システム30より電力需要家の電力負荷40に対して電力を供給する際に、燃料電池装置31の発電電力FCの計画値FCmainに燃料電池装置31の発電電力FCを制御する。また、制御器22は、当該制御を実行しているときに、燃料電池装置31の発電電力FCの計画値FCmainに基づき推定される所定時間後の蓄電装置32の充電率SOClatorが100%よりも小さい上限値SOCupperよりも大きいとき、計画値FCmainを減少させる第1の補正、または、計画値FCmainに基づき推定される所定時間後の蓄電装置32の充電率SOClatorが0%よりも大きい下限値SOClowerよりも小さいとき、計画値FCmainを増加させる第2の補正を実行する。
【0044】
「上限値SOCupper」および「下限値SOClower」は、電源システム10の構成などに基づいて適宜の数値に設定することができる。「上限値SOCupper」として、例えば、約90%程度を挙げることができる。「下限値SOClower」として、例えば、約10%程度を挙げることができる。
【0045】
「所定時間」は、電源システム10の構成などに基づいて適宜の期間に設定することができる。「所定時間」として、例えば、約60分程度を挙げることができる。
【0046】
「第1の補正」および「第2の補正」の具体例は、第2実施形態で説明する。
【0047】
制御器22は、制御機能を有するものであればよく、演算処理部(図示せず)と制御プログラムを記憶する記憶部(図示せず)と、を備える。演算処理部が、記憶部に記憶された制御プログラムを読み出して実行することによって、制御器22において、所定の制御が行われる。演算処理部として、例えば、マイクロプロセッサが例示される。記憶部としては、例えば、メモリが例示される。
【0048】
[動作]
図4Aおよび図4Bは、第1実施形態の電力制御装置の動作(電力制御方法)の一例を示すフローチャートである。図5は、第1実施形態の電力制御装置の動作(電力制御方法)の一例を説明するための図である。
【0049】
以下の動作は、例えば、制御器22の演算処理部が、制御器22の記憶部から制御プログラムを読み出すことにより行われてもよい。ただし、以下の動作を制御器22で行うことは、必ずしも必須ではない。操作者が、その一部の動作を行ってもよい。以下の例では、制御器22により動作を制御する場合について、説明する。
【0050】
以下、図4Aの電力制御装置20の動作について説明する。
【0051】
まず、通信ネットワークを介して燃料電池装置31の発電電力FCの計画値FCmainが受信される。
【0052】
そして、分散型電源システム30より電力需要家の電力負荷40に対して電力を供給する際に、図4Aに示すように、ステップS1で、燃料電池装置31の発電電力FCの計画値FCmainに燃料電池装置31の発電電力FCを制御する動作が行われる。
【0053】
次に、ステップS1の制御を実行しているときに、ステップS2Aで、燃料電池装置31の発電電力FCの計画値FCmainに基づき推定される所定時間後の蓄電装置32の充電率SOClatorが、100%よりも小さい上限値SOCupperよりも大きいか否かが判定される。
【0054】
ここで、「所定時間」は、例えば、約60分程度であってもよいが、これに限定されない。「上限値SOCupper」は、例えば、約90%程度であってもよいが、これに限定されない。
【0055】
蓄電装置32の充電率SOClatorが100%よりも小さい上限値SOCupperよりも大きいとき(ステップS2Aで「Yes」の場合)、ステップS3Aで、燃料電池装置31の発電電力FCの計画値FCmainを減少させる補正が行われる。具体的には、燃料電池装置31の発電電力FCの補正値FCsubが算出され、燃料電池装置31の発電電力FCの計画値FCmainが補正される。つまり、計画値FCmainに補正値FCsubを足して合計を求めることで燃料電池装置31の発電電力FCが得られる(FC=FCmain+FCsub)。上記補正が、本開示の「第1の補正」の一例である。
【0056】
例えば、図5に示すように、燃料電池装置31の発電電力FCの計画値FCmainが300kWにおいて、時刻[0:20]で、蓄電装置32の充電率SOClatorが上限値SOCupperよりも大きいとき(SOClator>SOCupper)、燃料電池装置31の発電電力FCの補正値FCsubが、-20kWと算出されると、燃料電池装置31の発電電力FCは、280kW(FC=300kW-20kW)に補正される。なお、-20kWは、SOClatorが、SOCupper以下になる値として算出される。
【0057】
また、燃料電池装置31の発電電力FCの計画値FCmainが300kWにおいて、時刻[0:25]で、蓄電装置32の充電率SOClatorが上限値SOCupperよりも大きいとき(SOClator>SOCupper)、燃料電池装置31の発電電力FCの補正値FCsubが、-15kWと算出されると、燃料電池装置31の発電電力FCは、285kW(FC=300kW-15kW)に補正される。なお、-15kWは、SOClatorが、SOCupper以下になる値として算出される。
【0058】
また、燃料電池装置31の発電電力FCの計画値FCmainが350kWにおいて、時刻[1:00]で、蓄電装置32の充電率SOClatorが上限値SOCupperよりも大きいとき(SOClator>SOCupper)、燃料電池装置31の発電電力FCの補正値FCsubが、-5kWと算出されると、燃料電池装置31の発電電力FCは、345kW(FC=350kW-5kW)に補正される。なお、-5kWは、SOClatorが、SOCupper以下になる値として算出される。
【0059】
蓄電装置32の充電率SOClatorが100%よりも小さい上限値SOCupperよりも大きくないとき(ステップS2Aで「No」の場合)、燃料電池装置31の発電電力FCの計画値FCmainはそのままの状態が維持される。
【0060】
以下、図4Bの電力制御装置20の動作について説明する。
【0061】
まず、通信ネットワークを介して燃料電池装置31の発電電力FCの計画値FCmainが受信される。
【0062】
そして、分散型電源システム30より電力需要家の電力負荷40に対して電力を供給する際に、図4Bに示すように、ステップS1で、燃料電池装置31の発電電力FCの計画値FCmainに燃料電池装置31の発電電力FCを制御する動作が行われる。
【0063】
次に、ステップS1の制御を実行しているときに、ステップS2Bで、燃料電池装置31の発電電力FCの計画値FCmainに基づき推定される所定時間後の蓄電装置32の充電率SOClatorが、0%よりも大きい下限値SOClowerよりも小さいか否かが判定される。
【0064】
ここで、「所定時間」は、例えば、約60分程度であってもよいが、これに限定されない。「下限値SOClower」は、例えば、約10%程度であってもよいが、これに限定されない。
【0065】
蓄電装置32の充電率SOClatorが0%よりも大きい下限値SOClowerよりも小さいとき(ステップS2Bで「Yes」の場合)、ステップS3Bで、燃料電池装置31の発電電力FCの計画値FCmainを増加させる補正が行われる。具体的には、燃料電池装置31の発電電力FCの補正値FCsubが算出され、燃料電池装置31の発電電力FCの計画値FCmainが補正される。つまり、計画値FCmainに補正値FCsubを足して合計を求めることで燃料電池装置31の発電電力FCが得られる(FC=FCmain+FCsub)。上記補正が、本開示の「第2の補正」の一例である。
【0066】
例えば、図5に示すように、燃料電池装置31の発電電力FCの計画値FCmainが300kWにおいて、時刻[0:45]で、蓄電装置32の充電率SOClatorが下限値SOClowerよりも小さいとき(SOClator<SOClower)、燃料電池装置31の発電電力FCの補正値FCsubが、+10kWと算出されると、燃料電池装置31の発電電力FCは、310kW(FC=300kW+10kW)に補正される。なお、+10kWは、SOClatorが、SOClower以上になる値として算出される。
【0067】
また、燃料電池装置31の発電電力FCの計画値FCmainが300kWにおいて、時刻[0:55]で、蓄電装置32の充電率SOClatorが下限値SOClowerよりも小さいとき(SOClator<SOClower)、燃料電池装置31の発電電力FCの補正値FCsubが、+5kWと算出されると、燃料電池装置31の発電電力FCは、305kW(FC=300kW+5kW)に補正される。なお、+5kWは、SOClatorが、SOClower以上になる値として算出される。
【0068】
蓄電装置32の充電率SOClatorが0%よりも大きい下限値SOClowerよりも小さくないとき(ステップS2Bで「No」の場合)、燃料電池装置31の発電電力FCの計画値FCmainはそのままの状態が維持される。
【0069】
なお、図5に示された「様々な時刻」、「計画値FCmain」および「補正値FCsub」などは例示であって、本例に限定されない。また、以上の「充電率SOClator」および「補正値FCsub」の算出方法の具体例については、第2実施形態で説明する。
【0070】
以上に説明した本実施形態によれば、蓄電装置32が満充電状態または完全放電状態になる可能性を従来よりも低減し得る。
【0071】
具体的には、燃料電池装置31の発電電力FCの計画値FCmainに燃料電池装置31の発電電力FCを制御することを実行しているときに、燃料電池装置31の発電電力FCの計画値FCmainに基づき推定される所定時間後の蓄電装置の充電率SOClatorが、100%よりも小さい上限値SOCupperよりも大きいとき、本計画値FCmainを減少させる補正を行うことで、かかる補正を行わない場合に比べて蓄電装置32が満充電状態になる可能性を適切に低減することができる。蓄電装置32が満充電状態になると、分散型電源システム30から電力系統への逆潮流が発生しやすくなるが、本実施形態によれば、上記補正によって、かかる逆潮流発生を抑制することができる。
【0072】
また、燃料電池装置31の発電電力FCの計画値FCmainに燃料電池装置31の発電電力FCを制御することを実行しているときに、燃料電池装置31の発電電力FCの計画値FCmainに基づき推定される所定時間後の蓄電装置32の充電率SOClatorが0%よりも大きい下限値SOClowerよりも小さいとき、本計画値FCmainを増加させる補正を行うことで、かかる補正を行わない場合に比べて蓄電装置32が完全放電状態になる可能性を適切に低減することができる。蓄電装置32が完全放電状態になると、電力系統からの買電が発生しやすくなるが、本実施形態によれば、上記補正によって、かかる買電発生を抑制することができる。
【0073】
(第1実施例)
本実施例の電力制御方法は、以下に説明する制御器22の制御内容以外は、第1実施形態と同様である。
【0074】
図6は、第1実施形態の第1実施例における電力制御装置(電力制御方法)の動作の一例を説明するための図である。
【0075】
図6に示すように、図4AのステップS3Aの計画値FCmainの補正または図4BのステップS3Bの計画値FCmainの補正が維持される所定期間Tsubは、燃料電池装置31の発電電力FCの計画値FCmainが維持される所定期間Tmainよりも短い。
【0076】
ここで、「所定期間Tsub」は、本開示の「第1の所定期間」の一例である。「所定期間Tmain」は、本開示の「第2の所定期間」の一例であって、これは、燃料電池装置31の寿命低下を抑制するような適当な長さに固定される。「所定期間Tmain」として、例えば、約60分程度を挙げることができるが、これに限定されない。
【0077】
例えば、図6には、燃料電池装置31の発電電力FCの計画値FCmainが300kWに維持される所定期間Tmainとして、時刻[0:00]から時刻[1:00]の間の60分が示されている。
【0078】
また、図6には、燃料電池装置31の発電電力FCの計画値FCmainが350kWに維持される所定期間Tmainとして、時刻[1:00]から時刻[2:00]の60分が示されている。
【0079】
図6には、図4AのステップS3Aの計画値FCmainの補正(FCmain-20kW)が維持される所定期間Tsubとして、時刻[0:20]から時刻[0:25]の間の5分が示されている。
【0080】
また、図4AのステップS3Aの計画値FCmainの補正(FCmain-15kW)が維持される所定期間Tsubとして、時刻[0:25]から時刻[0:45]の間の20分が示されている。
【0081】
つまり、計画値FCmainの補正(FCmain-20kW)が行われた後、所定期間Tmain(60分間)の途中で、計画値FCmainの更なる補正(FCmain-15kW)が実行された場合、前者の補正(FCmain-20kW)はリセットされる。
【0082】
また、図6には、図4BのステップS3Bの計画値FCmainの補正(FCmain+10kW)が維持される所定期間Tsubとして、時刻[0:45]から時刻[0:55]の間の10分が示されている。
【0083】
また、図4BのステップS3Bの計画値FCmainの補正(FCmain+5kW)が維持される所定期間Tsubとして、時刻[0:55]から時刻[1:00]の間の5分が示されている。
【0084】
つまり、計画値FCmainの補正(FCmain+10kW)が行われた後、所定期間Tmain(60分間)の途中で、計画値FCmainの更なる補正(FCmain+5kW)が実行された場合、前者の補正(FCmain+10kW)はリセットされる。
【0085】
さらに、図6には、図4AのステップS3Aの計画値FCmainの補正(FCmain-5kW)が維持される所定期間Tsubとして、時刻[1:00]から時刻[2:00]の間の60分が示されている。
【0086】
つまり、燃料電池装置31の発電電力FCの計画値FCmainが切り替わるタイミングと、図4AのステップS3Aの補正(FCmain-5kW)が行われるタイミングとが同時であるときは、当該補正(FCmain-5kW)が行われる。
【0087】
本補正(FCmain-5kW)が行われた後、計画値FCmainの更なる補正が実行されない限り、所定期間Tmain(60分間)に亘って、この補正(FCmain-5kW)が継続される。そして、本補正(FCmain-5kW)は、燃料電池装置31の発電電力FCの計画値FCmainが切り替わるタイミングでリセットされる。
【0088】
なお、図6に示された「様々な時刻」、「様々な期間」、「計画値FCmain」および「補正値FCsub」などは例示であって、本例に限定されない。
【0089】
本実施例によれば、燃料電池装置31の発電電力FCの計画値FCmainが維持される所定期間Tmainが比較的長い所定期間(例えば、60分)に固定されていることから、燃料電池装置31の長寿命化にとって有利である。つまり、燃料電池装置31の出力変化の回数が多い程、燃料電池が劣化しやすい。そこで、本実施例では、所定期間Tmainを適当な長さに固定することで、燃料電池装置31の出力変化の回数が適切に制限される。
【0090】
なお、図4AのステップS3Aの計画値FCmainの補正または図4BのステップS3Bの計画値FCmainの補正が維持される所定期間Tsubは、燃料電池装置31の発電電力FCの計画値FCmainが維持される所定期間Tmainよりも短いが、燃料電池装置31の発電電力FCの補正値FCsubは、燃料電池装置31の発電電力FCの計画値FCmainの変化に比べて小さいので、燃料電池装置31の寿命に対する影響は少ない。
【0091】
以上の結果、本実施例によれば、燃料電池装置31の発電電力FCの計画値FCmainが維持される所定期間Tmainが短く高い頻度で変化する場合に比べて、燃料電池装置31の寿命を延ばすことができる。
【0092】
本実施例の電力制御方法、電力制御装置20および電源システム10は、上記特徴以外は、第1実施形態と同様であってもよい。
【0093】
(第2実施例)
本実施例の電力制御方法は、以下に説明する制御器22の制御内容以外は、第1実施形態と同様である。
【0094】
図7は、第1実施形態の第2実施例における電力制御装置(電力制御方法)の動作の一例を説明するための図である。
【0095】
図7に示すように、燃料電池装置31の発電電力FCの計画値FCmainが切り替わる前の所定期間TAにおいて、図4AのステップS3Aまたは図4BのステップS3Bの計画値FCmainの補正を実行しない。「所定期間TA」は、本開示の「第3の所定期間」の一例である。
【0096】
また、燃料電池装置31の発電電力FCの計画値FCmainが切り替わる後の所定期間TBにおいて図4AのステップS3Aまたは図4BのステップS3Bの計画値FCmainの補正を実行しない。「所定期間TB」は、本開示の「第4の所定期間」の一例である。
【0097】
図7に示す例では、「所定期間TA」に、時刻[0:55]が含まれているので、蓄電装置32の充電率SOClatorが下限値SOClowerよりも小さい場合でも、図4BのステップS3Bの計画値FCmainの補正が実行されない。
【0098】
なお、燃料電池装置31の発電電力FCの計画値FCmainが切り替わるタイミングにおいては、上記のとおり、計画値FCmainの補正は実行される。例えば、図7に示すように時刻[1:00]においては、計画値FCmainは、300kWから350kWに切り替わるとともに、補正(FCmain-5kW)が行われる。
【0099】
ここで、「所定期間TA」または「所定期間TB」は、燃料電池装置31の発電電力の計画値FCmainを切り替えた後、燃料電池装置31の出力がその切り替えた計画値FCmainに到達するまでに必要な時間以上の長さであってもよい。「所定期間TA」および「所定期間TB」は、例えば、燃料電池装置31における待機中の燃料電池ユニットの起動によって、燃料電池装置31の出力が所望の目標値に到達するまでの時間以上であってもよい。
【0100】
なお、図7に示された「様々な時刻」、「様々な期間」、「計画値FCmain」および「補正値FCsub」などは例示であって、本例に限定されない。
【0101】
燃料電池装置31の発電電力の計画値FCmainが切り替わるタイミングの前後の所定期間で、図4AのステップS3Aまたは図4BのステップS3Bの計画値FCmainの補正を実行する場合、燃料電池装置31の発電電力FCの計画値FCmainに基づいて燃料電池装置31の出力が変化する期間と、上記補正に基づいて燃料電池装置31の出力が変化する期間とがオーバーラップする場合がある。
【0102】
つまり、燃料電池装置31の出力を所望の目標値に到達させるには一定の時間が必要であるところ、燃料電池装置31の発電電力FCの計画値FCmainが切り替わる直前のタイミングで、上記補正を実行する場合、当該補正に基づいて燃料電池装置31の出力が変化している最中に、燃料電池装置31の発電電力FCの計画値FCmainに基づいて燃料電池装置の出力変化が指示される可能性がある。すると、燃料電池装置31の出力が燃料電池装置31の発電電力FCの計画通りに制御されにくくなる可能性がある。
【0103】
また、燃料電池装置31の発電電力FCの計画値FCmainが切り替わった直後のタイミングで、図4AのステップS3Aまたは図4BのステップS3Bの計画値FCmainの補正を実行する場合、燃料電池装置31の発電電力FCの計画値FCmainに基づいて燃料電池装置の出力が変化している最中に、上記補正に基づいて燃料電池装置31の出力変化が指示される可能性がある。すると、燃料電池装置31の出力が燃料電池装置31の発電電力FCの補正通りに制御されにくくなる可能性がある。
【0104】
しかし、本実施例によれば、燃料電池装置31の発電電力FCの計画値FCmainが切り替わる前の所定期間TAまたは当該計画値FCmainが切り替わった後の所定期間TBにおいて、図4AのステップS3Aまたは図4BのステップS3Bの計画値FCmainの補正の実行を禁止することで、かかる補正の実行を禁止しない場合に比べて、燃料電池装置31の出力を適切に制御しやすくなる。
【0105】
また、本実施例によれば、所定期間TAまたは所定期間TBを、燃料電池装置31の発電電力FCの計画値FCmainを切り替えた後、燃料電池装置31の出力がその切り替えた計画値FCmainに到達するまでに必要な時間以上に設定することで、所定期間TAおよび所定期間TBが当該必要な時間未満である場合に比べて、燃料電池装置31の発電電力FCの計画値FCmainに基づいて燃料電池装置31の出力が変化する期間と図4AのステップS3Aまたは図4BのステップS3Bの計画値FCmainの補正に基づいて燃料電池装置31の出力が変化する期間とがオーバーラップする可能性を適切に低減することができる。
【0106】
本実施例の電力制御方法、電力制御装置20および電源システム10は、上記特徴以外は、第1実施形態または第1実施形態の第1実施例と同様であってもよい。
【0107】
(第3実施例)
本実施例の電力制御方法は、以下に説明する制御器22の制御内容以外は、第1実施形態と同様である。
【0108】
図8は、第1実施形態の第3実施例における電力制御装置(電力制御方法)の動作の一例を説明するための図である。
【0109】
図8に示すように、図4AのステップS3Aまたは図4BのステップS3Bの計画値FCmainの補正の実行を開始後、所定期間TCは、図4AのステップS3Aまたは図4BのステップS3Bの計画値FCmainの補正を実行しない。「所定期間TC」は、本開示の「第5の所定期間」の一例である。
【0110】
図8に示す例では、「所定期間TC」に、時刻[0:25]が含まれているので、蓄電装置32の充電率SOClatorが上限値SOCupperよりも大きい場合でも、図4AのステップS3Aの計画値FCmainの補正が実行されない。
【0111】
ここで、「所定期間TC」は、例えば、燃料電池装置31における待機中の燃料電池ユニットの起動によって、燃料電池装置31の出力が所望の目標値に到達するまでの時間以上であってもよい。
【0112】
なお、図8に示された「様々な時刻」、「様々な期間」、「計画値FCmain」および「補正値FCsub」などは例示であって、本例に限定されない。
【0113】
燃料電池装置31の出力を所望の目標値に到達させるには一定の時間が必要であるところ、図4AのステップS3Aまたは図4BのステップS3Bの計画値FCmainの補正の実行直後のタイミングで、当該補正を再実行する場合、前者の補正に基づいて燃料電池装置31の出力が変化している最中に、後者の補正に基づいて燃料電池装置31の出力変化が指示される可能性がある。すると、燃料電池装置31の出力が燃料電池装置31の発電電力FCの補正通りに制御されにくくなる可能性がある。
【0114】
しかし、本実施例によれば、図4AのステップS3Aまたは図4BのステップS3Bの計画値FCmainの補正の実行を開始後、所定期間TCは、当該補正の再実行を禁止することで、図4AのステップS3Aおよび図4BのステップS3Bの計画値FCmainの補正の再実行を禁止しない場合に比べて、燃料電池装置31の出力を適切に制御しやすくなる。
【0115】
本実施例の電力制御方法、電力制御装置20および電源システム10は、上記特徴以外は、第1実施形態および第1実施形態の第1実施例-第2実施例のいずれかと同様であってもよい。
【0116】
(第4実施例)
本実施例の電力制御方法は、以下に説明する分散型電源システム130の構成、および、制御器22の制御内容以外は、第1実施形態と同様である。
【0117】
図9は、第1実施形態の第4実施例の電源システムが備える分散型電源システムの一例を示す図である。
【0118】
分散型電源システム130は、図9に示す如く、燃料電池装置31と、蓄電装置32と、太陽光発電装置33と、を備える。ここで、燃料電池装置31および蓄電装置32の構成は、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0119】
太陽光発電装置33は、電力制御装置20の制御により、太陽光を利用して、光エネルギーを電力に変換する電力機器である。太陽光発電装置33によって発電された電力は、電力負荷40、電力系統または蓄電装置32に供給される。太陽光発電装置33として、周知の装置を用いることができる。
【0120】
電源システム10は、例えば、電力系統に大電力を供給するシステムであってもよい。この場合、燃料電池装置31、太陽光発電装置33および蓄電装置32はそれぞれ、燃料電池スタックを含む複数の燃料電池ユニットからなる燃料電池ユニット群、太陽電池パネルを含む複数の太陽電池からなる太陽電池群および複数の蓄電池ユニットからなる蓄電池ユニット群をそれぞれ、備えるが、このような電源システム10の詳細な構成は、第2実施形態で説明する。
【0121】
本実施例では、燃料電池装置31の発電電力FCの計画値FCmainに燃料電池装置31の発電電力FCを制御することを実行しているときに、直前の所定期間TDにおける電力需要家の需要電力の実績値と太陽光発電装置33の発電電力FCの実績値および燃料電池装置31の発電電力FCの計画値FCmainの総和との差分から所定時間後の蓄電装置32の充電率SOClatorを推定する。「所定期間TD」は、本開示の「第6の所定期間」の一例である。「所定期間TD」として、例えば、約15分程度を挙げることができるが、これに限定されない。
【0122】
ここで、上記の電力需要家の需要電力および太陽光発電装置33の発電電力は、適宜のサンプリング周期で制御器22によって計測されており、当該サンプリングデータは、実績値として電力データベースに保存されている。よって、制御器22は、所定期間TDにおける電力需要家の需要電力の実績値と太陽光発電装置33の発電電力の実績値とを電力データベースから取得することができる。
【0123】
本実施例によれば、電力需要家の需要電力の直前の実績値と太陽光発電装置33の直前の実績値および燃料電池装置31の発電電力FCの計画値FCmainの総和との差分が、蓄電装置32の充電電力または放電電力に対応することから、当該差分に基づいて所定時間後の蓄電装置32の充電率SOClatorを適切に推定することができる。
【0124】
本実施例の電力制御方法、電力制御装置20および電源システム10は、上記特徴以外は、第1実施形態および第1実施形態の第1実施例-第3実施例のいずれかと同様であってもよい。
【0125】
(第2実施形態)
[装置構成]
図10は、第2実施形態の電源システムの一例を示す図である。図10において、便宜上、実線および破線はそれぞれ、電力が伝送する経路および信号が伝送する経路をそれぞれ示している。
【0126】
本実施形態の電源システム10は、図10に示す如く、電力制御装置20と、燃料電池装置31と、蓄電装置32と、太陽光発電装置33と、制御装置50A~50Cと、を備える。
【0127】
ここで、電力制御装置20内の構成は、第1実施形態と同様であるので詳細な説明を省略する。
【0128】
図10に示す例では、燃料電池装置31は、複数の燃料電池ユニットからなる燃料電池ユニット群を備える。この燃料電池ユニット群は、複数の燃料電池ユニットによって複数にグループ化され、各グループ内の複数の燃料電池ユニットはそれぞれ、パワーコンディショナ(PCS)および電力計を介して、電力系統に接続されている。この電力計は、通信ネットワークによって電力制御装置20に接続されている。各グループ内の燃料電池ユニットの個数は、電源システム10の出力仕様などによって適宜の値に設定される。
【0129】
なお、図示を省略するが、これらの燃料電池ユニットはそれぞれ、燃料電池スタック、ポンプ、弁などの補機、および、これらの機器の動作を制御する制御装置などで構成されている。なお、燃料電池ユニット内に制御装置が設けられない場合、制御装置50Aにより上記機器の動作が直接制御されてもよい。
【0130】
太陽光発電装置33は、太陽光パネルを含む複数の太陽電池からなる太陽電池群を備える。この太陽電池群は、複数の太陽電池によって複数にグループ化され、各グループ内の複数の太陽電池はそれぞれ、パワーコンディショナ(PCS)および電力計を介して電力系統に接続されている。この電力計は、通信ネットワークによって電力制御装置20に接続されている。各グループ内の太陽電池の個数は、電源システム10の出力仕様などによって適宜の値に設定される。
【0131】
蓄電装置32は、複数の蓄電池ユニットからなる蓄電池ユニット群を備える。この蓄電池ユニット群は、複数の蓄電池ユニットによって複数にグループ化され、各グループ内の複数の蓄電池ユニットはそれぞれ、パワーコンディショナ(PCS)および電力計を介して、電力線によって電力系統に接続されている。この電力計は、通信ネットワークによって電力制御装置20に接続されている。各グループ内の蓄電池ユニットの個数は、電源システム10の出力仕様などによって適宜の値に設定される。
【0132】
さらに、燃料電池装置31、蓄電装置32および太陽光発電装置33は、電力系統を介して、並列的に相互に接続されるととともに、電力計を介して、電力需要家の電力負荷40とも接続されている。この電力計は、通信ネットワークによって電力制御装置20に接続されている。
【0133】
但し、以上の電源システム10の構成は例示であって、本例に限定されない。例えば、燃料電池ユニット群は、単一グループの複数の燃料電池ユニットによってグループ化されていてもよいし、各グループ内の単一の燃料電池ユニットによってグループ化されていてもよい。太陽電池群は、単一グループの複数の太陽電池によってグループ化されていてもよいし、各グループ内の単一の太陽電池によってグループ化されていてもよい。蓄電池ユニット群は、単一グループの複数の蓄電池ユニットによってグループ化されていてもよいし、各グループ内の単一の蓄電池ユニットによってグループ化されていてもよい。
【0134】
制御装置50A~50Cはそれぞれ、燃料電池装置31、蓄電装置32および太陽光発電装置33のそれぞれに対応して設けられており、通信ネットワークによって電力制御装置20に接続されている。
【0135】
例えば、制御装置50Aは、通信ネットワークを介して、燃料電池ユニットの効率的な動作(例えば、寿命の最適化)が可能になるように、これらの燃料電池ユニットのそれぞれの出力を制御する。また、例えば、制御装置50Cは、通信ネットワークを介して、パワーコンディショナ(PCS)を制御することで、太陽光発電装置33の出力を調整してもよいし、所望数の太陽電池を電力系統に対して解列または並列させてもよい。
【0136】
ただし、上記は、例示であって、本例に限定されない。例えば、電力制御装置20の制御器22(図3参照)が、制御装置50A~50Cを介さずに直接、制御装置50A~50Cのそれぞれに対応する機器の動作を制御してもよい。また、電力制御装置20が、制御装置50A~50Cと一体となって、換言すれば、制御装置50A~50Cの制御機能を搭載して、直接、制御装置50A~50Cのそれぞれに対応する機器の動作を制御してもよい。
【0137】
制御装置50A~50Cは、制御機能を有するものであればよく、演算処理部(図示せず)と制御プログラムを記憶する記憶部と、通信器と、を備える。演算処理部が、記憶部に記憶された制御プログラムを読み出して実行することによって、制御装置50A~50Cにおいて、所定の制御が行われる。演算処理部として、例えば、マイクロプロセッサが例示される。記憶部としては、例えば、メモリが例示される。
【0138】
[動作]
図11Aおよび図11Bは、第2実施形態の電力制御装置の動作(電力制御方法)の一例を示すフローチャートである。
【0139】
以下の動作は、例えば、制御器22の演算処理部が、制御器22の記憶部から制御プログラムを読み出すことにより行われてもよい。ただし、以下の動作を制御器22で行うことは、必ずしも必須ではない。操作者が、その一部の動作を行ってもよい。以下の例では、制御器22により動作を制御する場合について、説明する。
【0140】
以下、図11Aの電力制御装置20の動作について説明する。
【0141】
まず、ステップS11で、電力データベースから、燃料電池装置31の発電電力FCの計画値FCmainと、蓄電装置32の充電率SOCと、サンプリング期間(所定期間TD)における需要電力Dおよび太陽電池発電電力PVと、が取得される。なお、サンプリング期間(TD)は、後述する所定時間(T)よりも短い時間が設定される。また、「サンプリング期間」として、例えば、約15分程度を挙げることができるが、これに限定されない。
【0142】
そして、ステップS12で、サンプリング期間(所定期間TD)における、需要電力Dの移動平均値Daveと、太陽電池発電電力PVの移動平均値PVaveとが算出される。
【0143】
次に、ステップS13で、蓄電装置32の充電電力または放電電力であるBpre1が、以下の式(1)により算出される。
pre1=Dave-(PVave+FCmain)・・・(1)
【0144】
なお、Bpre1>0のときは蓄電装置32の放電電力を意味し、Bpre1<0のときは、蓄電装置32の充電電力を意味する。
【0145】
次に、ステップS14で、所定時間(T)を経過後の蓄電装置32の充電率SOClatorが、以下の式(2)により算出される。ここで、「所定時間(T)」は、燃料電池装置31の寿命低下抑制の視点から、燃料電池装置31の発電電力FCの計画値FCmainが維持される所定期間Tmainと同じ長さであってもよい。所定時間(T)として、約60分程度であってもよいが、これに限定されない。
SOClator=SOC-(Bpre1×T)/蓄電装置容量・・・(2)
【0146】
次に、ステップS15Aで、充電率SOClatorが上限値SOCupperよりも大きいか否かが判定される。
【0147】
充電率SOClatorが上限値SOCupperよりも大きい場合(ステップS15Aで「Yes」の場合)、ステップS16Aで、以下の式(3A)を満たす蓄電装置32の充電電力または放電電力であるBpre2が算出される。
SOCupper=SOC-(Bpre2×T)/蓄電装置容量・・・(3A)
【0148】
なお、Bpre2>0のときは蓄電装置32の放電電力を意味し、Bpre2<0のときは、蓄電装置32の充電電力を意味する。
【0149】
次に、ステップS17Aで、以下の式(4A)を満たす燃料電池装置31の発電電力FCの補正値FCsubが算出される(FCsub<0)。
pre2=Dave-(PVave+FCmain+FCsub)・・・(4A)
【0150】
そして、ステップS18Aで、以下の式(5A)により燃料電池装置31の発電電力FCが算出され、第1実施形態の第2実施例の「所定期間TA」および「所定期間TB」並びに第1実施形態の第3実施例の「所定期間TC」に該当しないタイミングであることを条件に、燃料電池装置31の発電電力の計画値を補正した発電電力FCが指令される。
FC=FCmain+FCsub・・・(5A)
【0151】
一方、充電率SOClatorが上限値SOCupperよりも大きくない場合(ステップS15Aで「No」の場合)、燃料電池装置31の発電電力FCはそのままの状態が維持される。なお、上記では、FCsubが、充電率SOClatorと上限値SOCupperとが等しくなるように決定されているが、これに限定されない。充電率SOClatorが、上限値SOCupper未満になるようFCsubが決定されてもよい。
【0152】
以下、図11Bの電力制御装置20の動作について説明する。
【0153】
なお、図11BのステップS11-ステップS14は、図11AのステップS11-ステップS14と同様であるので説明を省略する。
【0154】
ステップS15Bで、充電率SOClatorが下限値SOClowerよりも小さいか否かが判定される。
【0155】
充電率SOClatorが下限値SOClowerよりも小さい場合(ステップS15Bで「Yes」の場合)、ステップS16Bで、以下の式(3B)を満たす蓄電装置32の充電力または放電電力であるBpre2が算出される。
SOClower=SOC-(Bpre2×T)/蓄電装置容量・・・(3B)
【0156】
次に、ステップS17Bで、以下の式(4B)を満たす燃料電池装置31の発電電力FCの補正値FCsubが算出される(FCsub>0)。
pre2=Dave-(PVave+FCmain+FCsub)・・・(4B)
【0157】
そして、ステップS18Bで、以下の式(5B)により燃料電池装置31の発電電力FCが算出され、第1実施形態の第2実施例の「所定期間TA」および「所定期間TB」並びに第1実施形態の第3実施例の「所定期間TC」に該当しないタイミングであることを条件に、燃料電池装置31の発電電力の計画値を補正した発電電力FCが指令される。
FC=FCmain+FCsub・・・(5B)
【0158】
一方、充電率SOClatorが下限値SOClowerよりも小さくない場合(ステップS15Bで「No」の場合)、燃料電池装置31の発電電力FCはそのままの状態が維持される。なお、上記では、FCsubが、充電率SOClatorと上限値SOClowerとが等しくなるように決定されているが、これに限定されない。充電率SOClatorが、下限値SOClowerより大きくなるようFCsubが決定されてもよい。
【0159】
本実施形態の電力制御方法、電力制御装置20および電源システム10が奏する作用効果は、第1実施形態の電力制御装置20および電源システム10が奏する作用効果の記載から容易に理解することができるので説明を省略する。
【0160】
本実施形態の電力制御方法、電力制御装置20および電源システム10は、上記特徴以外は、第1実施形態および第1実施形態の第1実施例-第4実施例のいずれかと同様であってもよい。
【0161】
第1実施形態、第1実施形態の第1実施例-第4実施例および第2実施形態は、互いに相手を排除しない限り、互いに組み合わせても構わない。上記説明から、当業者にとっては、本開示の多くの改良および他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本開示を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本開示の精神を逸脱することなく、その構造および/または機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0162】
本開示の一態様は、蓄電装置が満充電状態または完全放電状態になる可能性を従来よりも低減し得る、電力制御方法、電力制御装置、および、電源システムに利用することができる。
【符号の説明】
【0163】
10 :電源システム
20 :電力制御装置
21 :記憶器
22 :制御器
30 :分散型電源システム
31 :燃料電池装置
32 :蓄電装置
33 :太陽光発電装置
40 :電力負荷
50A :制御装置
50B :制御装置
50C :制御装置
130 :分散型電源システム
【要約】
本開示の電力制御方法は、燃料電池装置および蓄電装置を備える分散型電源システムより電力需要家の電力負荷に対して電力を供給する際に、前記燃料電池装置の発電電力の計画値に前記燃料電池装置の発電電力を制御するステップと、前記制御を実行しているときに、前記計画値に基づき推定される所定時間後の前記蓄電装置の充電率が、100%よりも小さい上限値よりも大きいとき、前記計画値を減少させる第1の補正、または、前記計画値に基づき推定される所定時間後の前記蓄電装置の充電率が0%よりも大きい下限値よりも小さいとき、前記計画値を増加させる第2の補正を実行するステップと、を備える。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B