(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
F24F 1/44 20110101AFI20241213BHJP
F24F 1/16 20110101ALI20241213BHJP
F24F 1/30 20110101ALI20241213BHJP
【FI】
F24F1/44
F24F1/16
F24F1/30
(21)【出願番号】P 2020211431
(22)【出願日】2020-12-21
【審査請求日】2023-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前川 尚輝
(72)【発明者】
【氏名】松井 大
(72)【発明者】
【氏名】河野 文紀
(72)【発明者】
【氏名】増田 哲也
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-041502(JP,A)
【文献】特開2004-361019(JP,A)
【文献】特開2007-127369(JP,A)
【文献】特開2010-107102(JP,A)
【文献】特開2017-040423(JP,A)
【文献】特開2019-211138(JP,A)
【文献】特開2020-098082(JP,A)
【文献】米国特許第05501088(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/44
F24F 1/16
F24F 1/30
F25B 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒蒸気を圧縮する圧縮機がガスエンジンで駆動される室外ユニットを備える空気調和装置であって、
前記室外ユニットは、
第一室外熱交換器と、
第二室外熱交換器と、
前記ガスエンジンの冷却水が流通するラジエータ
とを備え、
冷房運転の場合、
圧縮された前記冷媒は、前記第一室外熱交換器を通過した後、前記第二室外熱交換器に導入され、
前記ラジエータは、
前記第二室外熱交換器のみに対応させて設けられ、前記第二室外熱交換器の導入外気下流側に配置される、ことを特徴とする空気調和装置。
【請求項2】
前記第一室外熱交換器は、第一領域と第二領域とに分割され、
前記第一領域と前記第二領域は、前記室外ユニットの筐体の相対する側面にそれぞれ配設され、
前記第二室外熱交換器は、前記筐体における前記第一室外熱交換器の設置面以外の側面に立設される、ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項3】
前記第二室外熱交換器の圧縮機側出入口には、前記第一室外熱交換器と前記第二室外熱交換器を接続する接続配管が配設され、
前記第二室外熱交換器の室内熱交換器側出入口には、逆止弁を有する冷媒配管が配設され、
前記接続配管と、前記冷媒配管の前記逆止弁より室内熱交換器側とを接続するバイパス配管を備え、
前記バイパス配管は、冷房運転の場合には閉状態に制御され、暖房運転の場合には開状態に制御される開閉弁を備える、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気調和装置に係り、付属するヒートポンプのラジエータを小型化することを可能とする空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷媒を圧縮する圧縮機をガスエンジンによって駆動するガスヒートポンプ式空気調和装置の技術が開示されている。空気調和装置は高効率な運転が可能であり、省エネルギーにも有効な技術である。
【0003】
特許文献1は、冷房運転時にラジエータにより加熱された空気が、室外熱交換器を通過することを防止する空気調和装置を開示する。この空気調和装置は、ガスエンジンの冷却水回路に設けられるラジエータと、冷媒が循環する室外熱交換器とを、導入外気の流れ方向に並べて配置し、ラジエータと室外熱交換器との間に隙間を設けて分離すると共に、ラジエータを冷房運転時における導入外気の流れ方向下流側に配置し、室外熱交換器ユニットとして構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、ラジエータを小型化することで、室外熱交換器を通過する空気の風量を増加し、必要熱量を熱交換可能とする空気調和装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示における空気調和装置は、冷媒蒸気を圧縮する圧縮機がガスエンジンで駆動される室外ユニットを備える空気調和装置であって、室外ユニットは、第一室外熱交換器と、第二室外熱交換器と、ガスエンジンの冷却水が流通するラジエータとを備え、冷房運転の場合、圧縮された冷媒は、第一室外熱交換器を通過した後、第二室外熱交換器に導入され、ラジエータは、第二室外熱交換器のみに対応させて設けられ、第二室外熱交換器の導入外気下流側に配置される。
【発明の効果】
【0007】
本開示における空気調和装置では、冷媒の過冷却を担う第二室外熱交換器を通過した空気は、第一室外熱交換器を通過した導入外気より温度が低い為、第二室外熱交換器の導入外気流れ方向下流に配置されたラジエータを流通する冷却水との温度差が拡大し、熱交換量が増加することで、ラジエータの必要伝熱面積が小さくなる。冷媒の相変化を担う、第一室外熱交換器の導入外気流れ方向下流から、ラジエータを排除することができる為、室外熱交換器を通過する空気の風量が増加し、第一外熱交換器、第二外熱交換器の熱交換量が増加する。そのため、室外熱交換器と導入外気との必要熱量を熱交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る空気調和装置の冷媒流路、及び、冷却水流路を示す説明図
【
図2】(a)空気調和装置が備える室外ユニットの側面図(b)室外ユニットの正面図(c)室外ユニットの上面図、及び、冷媒流路を示す説明図
【
図3】本発明の第2実施形態に係る空気調和装置の冷媒流路、及び、冷却水流路を示す説明図
【
図4】変形例1における室外ユニットの上面図、及び、冷媒流路を示す説明図
【
図5】変形例1における室外熱交換器の展開図、及び、冷媒流路を示す説明図
【
図6】変形例2における室外ユニットの上面図、及び、冷媒流路を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、空気調和装置において、ガスエンジンの冷却水回路に設けられるラジエータと、冷媒が循環する室外熱交換器とを、導入外気の流れ方向に並べて配置し、ラジエータと室外熱交換器との間に隙間を設けて分離し、ラジエータを冷房運転時における導入外気の流れ方向下流側に配置した空気調和装置が提案されていた。これによれば、ラジエータを冷房運転時の導入外気流れ方向下流に配置したため、冷房運転時にラジエータによって加熱された導入外気が室外熱交換器を通過しなくなる。そのため、導入外気と室外熱交換器を流通する冷媒との熱交換温度差が拡大し、成績係数(COP)を向上させることが可能となる。
【0010】
しかしながら、前記構成では、冷房運転時、ラジエータを通過する空気は、室外熱交換器で冷媒の熱を奪い、温度が上昇しているため、ラジエータ内の冷却水温度とラジエータを通過する空気の温度差は小さくなり、必要放熱量を確保するためには伝熱面積を大きくする、つまり、ラジエータを大型化する必要がある。室外熱交換器とラジエータを導入外気の流れ方向に並べて配置する場合、ラジエータを大型化してしまうと通風抵抗の増加により、室外熱交換器を通過する空気の風量が減少してしまい、室外熱交換器と導入外気との熱交換量が不足してしまう。そうした状況下において、発明者らは、ラジエータを小型化することで室外熱交換器の空気風量を増加させ、必要熱量を熱交換するという着想を得た。そして、発明者らは、その着想を実現するには、ラジエータに流入する空気温度が高いという課題があることを発見し、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
【0011】
従来技術における課題、及び、本開示における効果を、冷房運転時の一例を挙げ、具体的な数値を用いて説明する。
【0012】
従来技術の構成では、導入外気は、室外熱交換器を通過した後に、ラジエータを通過する。外気温度摂氏35度の条件において、室外熱交換器内の冷媒平均温度が摂氏50度の場合、室外熱交換器を通過した空気の温度は、冷媒と熱交換することで例えば摂氏47度まで上昇する。そのため、ラジエータ内の冷却水平均温度が摂氏64度の場合、冷却水とラジエータを通過する空気との温度差は17度となる。この温度差が大きくなるほどラジエータが必要放熱量を確保するための伝熱面積が小さくてすむ。
【0013】
そこで本開示は、室外熱交換器を少なくとも2つに分割し、冷房運転時、第一室外熱交換器を通過した冷媒を第二室外熱交換器に流入させるように構成し、更にラジエータを、冷媒の過冷却を担う第二室外熱交換器の導入外気下流側に配置することで、冷却水とラジエータを通過する空気との温度差を増大させることで、ラジエータを小型化可能にする。また室外ユニットへの導入外気の風量を増大させることで必要熱量の熱交換を可能にした空気調和装置を提供する。
【0014】
以下、図面を参照しながら、実施形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0015】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0016】
(第1実施形態)
以下、
図1~
図6用いて、本発明の第1実施形態を説明する。
【0017】
[1-1.構成]
図1は、本発明の第1実施形態に係る空気調和装置1の冷媒流路137、及び、冷却水流路135を示す図である。
【0018】
空気調和装置1は、冷媒蒸気を圧縮する圧縮機101がガスエンジン102で駆動される室外ユニット100を備える空気調和装置1であって、室外ユニット100は、第一室外熱交換器と、第二室外熱交換器105cと、ガスエンジン102の冷却水が流通するラジエータ116とを備え、冷房運転の場合、圧縮された冷媒は、第一室外熱交換器を通過した後、第二室外熱交換器105cに導入され、ラジエータ116は、第二室外熱交換器105cの導入外気下流側に配置される。
【0019】
第一室外熱交換器は、第一領域105aと第二領域105bとに分割され、第一領域105aと第二領域105bは、室外ユニット筐体の相対する側面にそれぞれ配設され、第二室外熱交換器105cは、室外ユニット筐体における第一室外熱交換器と垂直方向の側面に立設される。
【0020】
以下、第1実施形態に係る空気調和装置1の構成を詳細に説明する。
【0021】
[1-1-1.冷媒流路]
図1において、空気調和装置1は、室外ユニット100と、室内ユニット200とで構成され、室内ユニット200は室外ユニット100から延びるユニット配管2に接続されている。
【0022】
室外ユニット100において、圧縮機101は、ガスエンジン102とベルトなどの動力伝達手段により連結されている。オイルセパレータ103は、圧縮機101の吐出配管に設置されており、圧縮機101の吐出冷媒ガスに含まれる冷凍機油(以下、オイル)を分離する。オイルセパレータ103で分離されたオイルは、図示しない油戻し管により圧縮機101の吸入配管へ戻される。四方弁104は、冷房と暖房で冷凍サイクルを切り替えるためのものであり、
図1では、冷房時の流れを示している。
【0023】
室外熱交換器105は、室外ファン106により冷房運転時は冷媒の熱を外部へ放熱し、暖房運転時は外気の熱を吸熱する。室外機105の詳細な構成については後述する。減圧装置107は、冷媒の圧力、及び、流量を調整する。冷媒液管108は、室外熱交換器105と室内熱交換器201とを接続する。アキュムレータ109は、圧縮機101の吸入配管に接続され、圧縮機101にガス冷媒を供給する。第一バイパス管110は、一端を低圧ガス管111のアキュムレータ109上流側に接続され、他端を冷媒液管108に接続し、冷媒流れ方向上流側から順に、排熱回収減圧装置112、及び、排熱回収熱交換器113を設けられ、暖房運転時、冷媒は後述する冷却水からも吸熱できる構成となっている。
【0024】
室内ユニット200において、室内熱交換器201は、室内ファン202により冷房運転時は室内の熱を吸収し、暖房運転時は室内に冷媒の熱を放熱する。室内減圧装置203は、冷媒の圧力、及び、流量を調整する。
図1において、室内ユニット200は、一台のみ設置されているが、室外ユニット100に対し、複数台並列に設置されても良い。
【0025】
[1-1-2.冷却水流路]
冷却水流路135は、冷却水ポンプ114と、リザーバタンク115と、ラジエータ116と、三方弁117と、排熱回収熱交換器113と、を備え、これらにより構成される回路を巡る冷却水により、ガスエンジン102を冷却するための流路である。冷却水ポンプ114は、ガスエンジン102の冷却水を回路に循環させる。リザーバタンク115は、冷却水が不足した場合に補填するために、冷却水の余剰分を一時的に貯留する。
【0026】
ラジエータ116は、室外ファン106により冷却水の放熱を行う。ラジエータ116の配置については後述する。三方弁117は、冷却水流路135を、ラジエータ116側、排熱回収熱交換器113側、もしくは、ラジエータ116、及び、排熱回収熱交換器113の双方へ切り替えることができ、冷房運転時は、ラジエータ116側へ、暖房運転時は、一部の冷却水をラジエータ116へ、残りの冷却水を排熱回収熱交換器113へ流し、ガスエンジン102へ戻る冷却水の温度を略一定に維持するように制御する。排熱回収熱交換器113は、前述したように、冷媒、及び、冷却水を流通させることで、冷媒が冷却水の熱を吸熱する。
【0027】
[1-1-3.室外ユニットの構成]
図2(a)、及び、
図2(b)において、室外ユニット100は、圧縮機101、ガスエンジン102、アキュムレータ109、及び、図示しないオイルセパレータ、四方弁、減圧装置、排熱回収熱交換器、等を配置した機械室118が、室外ユニット100の下側に設けられ、室外熱交換器105、室外ファン106、リザーバタンク115、ラジエータ116、等を配置した熱交換器室119が室外ユニット100の上側に設けられ、構成される。各要素の機能は上述した通りである。
【0028】
[1-1-4.室外熱交換器の構成、及び、ラジエータの配置]
図2(c)は、室外ユニット100の上面図、及び、冷媒流路137を示す説明図である。
【0029】
第一室外熱交換器105は、分割された二つの領域、具体的には第一領域105aと、第二領域105bを有する。冷媒流路137に設けられる分岐部120は、冷房運転時、冷媒流れ方向において、圧縮機で圧縮された冷媒を分岐し、第一室外熱交換器105の、第一領域105aと、第二領域105bとに流入させる。第一領域105aと、第二領域105bと、第二室外熱交換器105cは、それぞれを単一の熱交換器として設ける。接続配管121は、第一領域105a、及び、第二領域105bを通過した冷媒を、第二室外熱交換器105cへ流入させる。本実施形態では、
図2(c)に示すように、第一領域105aは室内ユニット200の背面に、第二領域105bは室内ユニット200の正面に、第二室外熱交換器105cは室内ユニット200の左側面に、それぞれ設けられ、熱交換器室119に配置されている。ラジエータ116は、第二室外熱交換器105cの導入外気の流れ方向下流側に並べて配置される。
【0030】
本実施形態においては、室外熱交換器105を3つの領域、具体的には第一室外熱交換器の第一領域105aと、第二領域105bと、第二室外熱交換器105cに分割しているが、第一領域105aと第二領域105bは一体でもよい。
【0031】
[1-2.動作]
以上のように構成された空気調和装置1について、その動作を以下、
図1と
図2を用いて説明する。
[1-2-1.冷媒側の動作]
[1-2-1-1.冷房運転時の動作]
冷媒を圧縮する圧縮機101は、ガスエンジン102によって駆動される。圧縮機101で圧縮された高温高圧の冷媒は、オイルセパレータ103に流入する。オイルセパレータ103にて、オイルが分離された純度の高いガス冷媒は、四方弁104を通り、分岐部120へ流入する(
図1の実線矢印参照)。分岐部120にて分岐されたガス冷媒は、第一室外熱交換器105の第一領域105a、及び、第二領域105bへ流入し、第一領域105a、及び、第二領域105bにて、外気と熱交換して放熱した後に凝縮する。凝縮した冷媒は、接続配管121を通過して、第二室外熱交換器105cへ流入し、外気と熱交換してさらに放熱する。そして、高圧の液冷媒となって減圧装置107を通過し、室内ユニット200へ供給される。
【0032】
室内ユニット200へ流入した高圧の液冷媒は、室内減圧装置203にて、減圧され、気液二相状態となって、室内熱交換器201へ流入する。気液二相状態の冷媒は、室内熱交換器201にて、空調対象となる空間の空気と熱交換して吸熱した後に蒸発し、低圧のガス冷媒となって室内ユニット200から流出する。
【0033】
室内ユニット200から流出した低圧のガス冷媒は、再度室外ユニット100へ流入する。室外ユニット100へ流入したガス冷媒は、四方弁104、アキュムレータ109を通って、圧縮機101へ戻り、上記過程を繰り返す。
【0034】
また、オイルセパレータ103で分離されたオイルは、図示しないオイル戻し管を通って圧縮機101の吸入配管へ流入し、圧縮機101へ戻り、上記過程を繰り返す。
【0035】
[1-2-1-2.暖房運転時の動作]
排熱回収減圧装置112は、開放される。冷媒を圧縮する圧縮機101は、ガスエンジン102によって駆動される。圧縮機101で圧縮された高温高圧の冷媒は、オイルセパレータ103に流入する。オイルセパレータ103にて、オイルが分離された純度の高いガス冷媒は、四方弁104を通過し、室内ユニット200へ供給される(
図1の破線矢印参照)。室内ユニット200へ流入した高圧のガス冷媒は、室内熱交換器201へ流入し、空調対象となる空間の空気と熱交換して放熱した後に凝縮する。そして、高圧の液冷媒となって室内減圧装置203を通過し、室内ユニット200から流出する。
【0036】
室内ユニット200から流出した高圧の液冷媒は、再度室外ユニット100へ流入する。室外ユニット100へ流入した液冷媒は、一部が第一バイパス管110へ流入し、残りの液冷媒は、減圧装置107にて減圧され、気液二相状態となって、室外熱交換器105の第二室外熱交換器105cへ流入する。第一バイパス管110へ流入した液冷媒は、排熱回収減圧装置112にて減圧され、気液二相状態となって排熱回収熱交換器113へ流入する。排熱回収熱交換器113へ流入した気液二相状態の冷媒は、後述するエンジン冷却水から吸熱した後に蒸発し、低温低圧のガス冷媒となる。また、第二室外熱交換器105cへ流入した気液二相状態の冷媒は、外気と熱交換して吸熱し、第二室外熱交換器105cから流出する。第二室外熱交換器105cから流出した冷媒は、接続配管121を介して第一室外熱交換器105の、第一領域105a、及び、第二領域105bへ流入する。室外熱交換器105の、第一領域105a、及び、第二領域105bへ流入した気液二相状態の冷媒は、外気と熱交換して吸熱した後に蒸発し、低圧のガス冷媒となる(
図1の破線矢印参照)。低圧のガス冷媒は、分岐部120、及び、四方弁104を通過した後に低圧ガス管111を通過する過程で、排熱回収熱交換器113で蒸発した低温低圧のガス冷媒と合流し、アキュムレータ109を通過して、圧縮機101へ戻り、上記過程を繰り返す。また、オイルセパレータ103で分離されたオイルは、図示しないオイル戻し管を通って圧縮機の吸入配管へ流入し、圧縮機101へ戻り、上記過程を繰り返す。
【0037】
[1-2-2.冷却水側の動作]
冷却水ポンプ114で押し出された冷却水は、排気ガス熱交換器125に流入し、ガスエンジン102の排気ガスを冷却する。排気ガス熱交換器125で冷却された排気ガスは排気ガスマフラ126から外気へ放出される。排気ガス熱交換器125を通過した冷却水は、ガスエンジン102へ流入し、ガスエンジン102を冷却する。ガスエンジン102を冷却した冷却水は、三方弁117へ流入する。三方弁117は、ガスエンジン102からの冷却水をラジエータ116へ流す方向に制御される。
【0038】
なお、暖房運転時には、三方弁117は、ラジエータ116、及び、排熱回収熱交換器113の双方へ冷却水を流す役割を担う。ラジエータ116へ流入した冷却水は、室外ユニット100にて、導入された外気によって冷却され、再び冷却水ポンプ114に戻り、上記過程を繰り返す。なお、図示しない室外ユニット制御部により、エンジン102の冷却水出口温度は監視され、略一定温度となるように冷却水ポンプ114の回転数が制御されている。
【0039】
[1-3.効果等]
以上のように、本実施形態において、空気調和装置1は、冷媒蒸気を圧縮する圧縮機101がガスエンジンで駆動され、冷媒の流路を第一領域105a、第二領域105b、及び、第二室外熱交換器105cに分割された室外熱交換器105と、冷房運転時、圧縮機101で圧縮された冷媒を分岐し、第一領域と第二領域に流入させる分岐部120と、第一領域105aと第二領域105bを通過した後の冷媒を第二室外熱交換器105cに導入する接続配管121と、ガスエンジン102の冷却水が流通するラジエータ116と、を備え、ラジエータ116は、第二室外熱交換器105cの導入外気下流側に配置される。これにより、冷房運転時、圧縮機101で圧縮された高温高圧の冷媒は、分岐部120を介して室外熱交換器105の第一領域105a、及び、第二領域105bへ流入し、導入外気と熱交換する。熱交換した冷媒は、接続配管121を通過して、第二室外熱交換器105cへ流入し、導入外気とさらに熱交換する。そのため、第二室外熱交換器105cを流通する冷媒の温度は、第一領域105a、及び、第二領域105bを流通する冷媒の温度より低く、第二室外熱交換器105cを通過する空気は、第一領域105a、及び、第二領域105bを通過する場合より、冷媒との熱交換温度差が小さくなり、通過後の温度が低くなる。ラジエータ116は、第二室外熱交換器105cの導入外気下流側に配置されるため、第一領域105a、及び、第二領域105bの導入外気下流側に配置される場合より、通過する空気の温度が低くなる。
【0040】
すなわち、通過する空気の温度と、冷却水の熱交換温度差が拡大し、ラジエータ116の交換熱量が増加する。そのため、ラジエータ116の必要伝熱面積が小さくなり、通風抵抗が小さくなることで、室外熱交換器105を通過する空気の風量が増加する。そのため、本実施形態では、室外熱交換器105を通過する空気の風量が増加するため、室外熱交換器105と導入外気との熱交換量が増加するため、必要熱量を熱交換することができる。
なお、本開示においては、冷却水温度と導入外気の温度差を大きくすることで、ラジエータの伝熱面積を小さくすることができる効果について述べた。一般的に熱交換器における交換熱量Qは、熱交換器の熱通過率をK、伝熱面積をA、熱交換を行なう流体の温度差をΔTとした場合、Q=K・A・ΔT (数式1)で与えられる。これは必要放熱量Qを一定とした場合、熱通過率Kが一定、具体的には同じ仕様の熱交換器であれば、温度差ΔTを大きくすることで、伝熱面積Aを小さくすることができるということを意味する。
【0041】
上述したように、本開示の構成では、冷房運転時の一例を挙げ、具体的な数値を用いて効果を示すと、従来技術の構成と比較して、冷却水とラジエータを通過する空気との温度差は、5度拡大する。つまり、上記数式1において、ΔTが5度上昇し、その分伝熱面積Aを小さくすることができる。
【0042】
暖房運転時においては、ラジエータ116を通過する空気は、、第二室外熱交換器105cで冷媒から熱を奪われ、温度が低下しているため、冷房運転時よりラジエータ116内の冷却水温度とラジエータ116を通過する空気の温度差は拡大し、熱交換量は増加する。そのため、ラジエータ116は、必要熱量を熱交換可能である。
【0043】
(第2実施形態)
以下、
図3を用いて、第2実施形態に係る空気調和装置1を説明する。
【0044】
第2実施形態に係る空気調和装置1は、第二室外熱交換器105cの圧縮機側出入口には、第一室外熱交換器と第二室外熱交換器を接続する接続配管121が配設され、第二室外熱交換器105cの室内熱交換器側出入口には、逆止弁124を有する冷媒配管が配設され、接続配管121と、冷媒配管の逆止弁124より室内熱交換器側とを接続する第二バイパス配管145を備え、第二バイパス配管145には、冷房運転の場合には閉状態に制御され、暖房運転の場合には開状態に制御される開閉弁146を備える。
【0045】
第二バイパス配管はバイパス配管の一例に対応する。
【0046】
以下、第2実施形態に係る空気調和装置1の構成について詳細に説明する。
【0047】
[2-1.構成]
[2-1-1.冷媒流路]
第2実施形態に係る空気調和装置1は、逆止弁124、第二バイパス管125、及び、開閉弁146を設けている点で、実施形態1にかかる空気調和装置1と異なる。逆止弁124は、冷媒液管108の減圧装置107より冷房運転時の冷媒流れ方向上流側に設けられる。第二バイパス管125は、一端を接続配管121に接続し、他端を冷媒液管108の逆止弁124より上流側に接続し、開閉弁146を設けている。
【0048】
第二バイパス管125はバイパス配管の一例に相当する。
【0049】
[2-2.動作]
以上のように構成された空気調和装置1について、その動作を以下説明する。
[2-2-1.冷媒側の動作]
[2-2-1-1.冷房運転時の動作]
開閉弁146は、閉鎖される。冷媒を圧縮する圧縮機101は、ガスエンジン102によって駆動される。圧縮機101で圧縮された高温高圧の冷媒は、オイルセパレータ103に流入する。オイルセパレータ103にて、オイルが分離された純度の高いガス冷媒は、四方弁104を通り、分岐部120へ流入する(
図3の実線矢印参照)。分岐部120にて分岐されたガス冷媒は、室外熱交換器105の第一領域105a、及び、第二領域105bへ流入し、第一領域105a、及び、第二領域105bにて、外気と熱交換して放熱した後に凝縮する。凝縮した冷媒は、接続配管121を通過して、第二室外熱交換器105cへ流入し、外気と熱交換してさらに放熱する。そして、高圧の液冷媒となって減圧装置107を通過し、室内ユニット200へ供給される。
【0050】
室内ユニット200へ流入した高圧の液冷媒は、室内減圧装置203にて、減圧され、気液二相状態となって、室内熱交換器201へ流入する。気液二相状態の冷媒は、室内熱交換器201にて、空調対象となる空間の空気と熱交換して吸熱した後に蒸発し、低圧のガス冷媒となって室内ユニット200から流出する。
【0051】
室内ユニット200から流出した低圧のガス冷媒は、再度室外ユニット100へ流入する。室外ユニット100へ流入したガス冷媒は、四方弁104、アキュムレータ109を通って、圧縮機101へ戻り、上記過程を繰り返す(
図3の実線矢印参照)。
また、オイルセパレータ103で分離されたオイルは、図示しないオイル戻し管を通って圧縮機101の吸入配管へ流入し、圧縮機101へ戻り、上記過程を繰り返す。
【0052】
[2-2-1-2.暖房運転時の動作]
排熱回収減圧装置112、及び、開閉弁146は、開放される。冷媒を圧縮する圧縮機101は、ガスエンジン102によって駆動される。圧縮機101で圧縮された高温高圧の冷媒は、オイルセパレータ103に流入する。オイルセパレータ103にて、オイルが分離された純度の高いガス冷媒は、四方弁104を通過し、室内ユニット200へ供給される(
図3の破線矢印参照)。
【0053】
室内ユニット200へ流入した高圧のガス冷媒は、室内熱交換器201へ流入し、空調対象となる空間の空気と熱交換して放熱した後に凝縮する。そして、高圧の液冷媒となって室内減圧装置203を通過し、室内ユニット200から流出する。
【0054】
室内ユニット200から流出した高圧の液冷媒は、再度室外ユニット100へ流入する。室外ユニット100へ流入した液冷媒は、一部が第一バイパス管110へ流入し、残りの液冷媒は、減圧装置107にて減圧され、気液二相状態となって、第二バイパス管125へ流入する。そして、開閉弁146を通過し、室外熱交換器105の、第一領域105a、及び、第二領域105bへ流入する。
【0055】
第一バイパス管110へ流入した液冷媒は、排熱回収減圧装置112にて減圧され、気液二相状態となって排熱回収熱交換器113へ流入する。排熱回収熱交換器113へ流入した気液二相状態の冷媒は、エンジン冷却水から吸熱した後に蒸発し、低温低圧のガス冷媒となる。また、室外熱交換器105の、第一領域105a、及び、第二領域105bへ流入した気液二相状態の冷媒は、外気と熱交換して吸熱した後に蒸発し、低圧のガス冷媒となる。低圧のガス冷媒は、分岐部120、及び、四方弁104を通過した後に低圧ガス管111を通過する過程で、排熱回収熱交換器113で蒸発した低温低圧のガス冷媒と合流し、アキュムレータ109を通過して、圧縮機101へ戻り、上記過程を繰り返す(
図3の破線矢印参照)。
【0056】
また、オイルセパレータ103で分離されたオイルは、図示しないオイル戻し管を通って圧縮機101の吸入配管へ流入し、圧縮機101へ戻り、上記過程を繰り返す。
【0057】
[2-3.効果等]
以上のように、本実施形態において、空気調和装置1は、逆止弁124、第二バイパス管125、及び、開閉弁146を設けている点で、第1実施形態に係る空気調和装置1と異なる。これにより、暖房運転時、閉鎖弁124を開放することで、冷媒は室外熱交換器105第二室外熱交換器105cを通過しなくなる。つまり、室外熱交換器105内での冷媒の流路長が略半分になる。室外熱交換器105内で気液二相状態の冷媒が通過する流路長が略半分になることで、冷媒の室外熱交換器105内での圧力損失、及び、圧力損失に伴う冷媒の温度低下が小さくなる。
【0058】
暖房運転時、空気は低温低圧の冷媒と熱交換し、空気温度が露点温度を下回った場合、空気中の水蒸気が凝縮し、室外熱交換器105の伝熱管127、及び、伝熱フィン132表面に結露水が付着する。結露水は低温低圧の冷媒と熱交換し、0℃を下回った場合、凝固して着霜する。室外熱交換器105で冷媒を外気と熱交換して蒸発させるためには、冷媒の温度を外気温度より低くする必要がある。一方、着霜防止のため、冷媒温度は0℃より高くする必要がある。低外気温時において、室外熱交換器105内での冷媒の圧力損失が大きい場合、圧力損失に伴う冷媒の温度低下が大きくなり、冷媒温度が0℃を下回ることで着霜が発生してしまう可能性がある。
【0059】
本実施形態では、室外熱交換器105内で冷媒が通過する流路長を略半分にすることで、冷媒の室外熱交換器105内での圧力損失、及び、圧力損失に伴う冷媒の温度低下を低減したため、低外気温時においても着霜を防止することができる。
【0060】
また本実施形態では、暖房運転時、冷媒は第二室外熱交換器105cを通過しない。つまり、室外熱交換器の伝熱面積が減少し、冷媒と外気との熱交換量が減少する。しかしながら、排熱回収熱交換器113を設けたため、冷媒の一部は、排熱回収熱交換器113へ流入し、冷却水と熱交換する。その分、冷媒の吸熱量が増加し、熱交換量の不足分を補うことができる。つまり、暖房運転時においても、必要熱量を熱交換可能である。
【0061】
(他の実施形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、第1実施形態、及び、第2実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1、及び、2で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0062】
そこで、以下、他の実施形態を例示する。
【0063】
上記第1実施形態と第2実施形態では、室外熱交換器105の一例として、第一室外熱交換器である第一領域105a、第二領域105b、及び、第二室外熱交換器105cを、それぞれを単一の熱交換器として設けたものとして説明した。室外熱交換器105は、冷房運転時、圧縮機101で圧縮された高温高圧の冷媒が、分岐部120を介して、第一領域105a、及び、第二領域105bへ流入し、導入外気と熱交換した後に、接続配管121を通過して、第二室外熱交換器105cへ流入し、導入外気とさらに熱交換するよう冷媒の流路が形成されていれば、第一領域105a、第二領域105b及び、第二室外熱交換器105cの位置関係や、構造が異なっていても良い。したがって、室外熱交換器105は、第一領域105a、第二領域105b、及び、第二室外熱交換器105cを、それぞれを単一の熱交換器として設けたものに限定されない。ただし、第一領域105a、第二領域105b、及び、第二室外熱交換器105cを、それぞれを単一の熱交換器として設けると、それぞれの領域において、熱交換器の仕様(フィンピッチ、段ピッチ等)を変更することが可能である。
【0064】
例えば、
図4のように、コの字型の室外熱交換器105の、室外ユニット100背面に配置される領域に第一領域105aを、室外ユニット100正面に配置される領域に第二領域105bを、室外ユニット100左側面に配置される領域に第二室外熱交換器105cを設けても良い。
【0065】
このような場合の室外熱交換器105における冷媒流路について、
図5を用いて説明する。それぞれの熱交換器は、
図5のように、水平に対峙する一対のヘッダパイプに両端を接続された伝熱管127で構成され、上側ヘッダパイプ128に冷房運転時における冷媒の入口129を、下側ヘッダパイプ130に冷媒の出口131を設ける。鉛直方向に平行して並ぶ伝熱管127の間には、伝熱フィン132が設けられている。
【0066】
上側ヘッダパイプ128、及び、下側ヘッダパイプ130内部の冷媒流路において、それぞれ二枚の仕切り板133を設けることで、室外熱交換器105における冷媒流路を三分割する。三分割した領域のうち、中央に位置する領域に第二室外熱交換器105cを設け、それ以外の領域に、第一領域105a、及び、第二領域105bを設ける。第一領域105a、第二領域105b、及び、第二室外熱交換器105cはそれぞれ冷媒の入口129、及び、冷媒の出口131を備える。
【0067】
また、
図6のように、コの字型の室外熱交換器105の端部に第二室外熱交換器105cを設け、それ以外の領域を略二等分し、第一領域105a、及び、第二領域105bを設けても良い。
【0068】
なお、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本開示は、冷媒を圧縮する圧縮機の駆動源としてガスエンジンを利用したガスヒートポンプ式空気調和装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0070】
1 空気調和装置
2 ユニット配管
100 室外ユニット
101 圧縮機
102 ガスエンジン
103 オイルセパレータ
104 四方弁
105 室外熱交換器
106 室外ファン
107 減圧装置
108 冷媒液管
109 アキュムレータ
110 第一バイパス管
111 低圧ガス管
112 排熱回収減圧装置
113 排熱回収熱交換器
114 冷却水ポンプ
115 リザーバタンク
116 ラジエータ
117 三方弁
118 機械室
119 熱交換器室
120 分岐部
121 冷媒配管
124 逆止弁
125 排気ガス熱交換器
126 排気ガスマフラ
127 伝熱管
128 上側ヘッダパイプ
129 入口
130 下側ヘッダパイプ
131 出口
132 伝熱フィン
133 仕切り板
135 冷却水流路
137 冷媒流路
145 第二バイパス管
146 開閉弁
200 室内ユニット
201 室内熱交換器
202 室内ファン
203 室内減圧装置20