(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04664 20160101AFI20241213BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20241213BHJP
H01M 8/04746 20160101ALI20241213BHJP
H01M 8/04858 20160101ALI20241213BHJP
H01M 8/043 20160101ALI20241213BHJP
H01M 8/04537 20160101ALI20241213BHJP
【FI】
H01M8/04664
H01M8/04 J
H01M8/04746
H01M8/04858
H01M8/043
H01M8/04537
(21)【出願番号】P 2021017123
(22)【出願日】2021-02-05
【審査請求日】2023-02-09
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 学
(72)【発明者】
【氏名】山口 翔平
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-137948(JP,A)
【文献】特開2001-165431(JP,A)
【文献】特開2020-009723(JP,A)
【文献】特開2014-135124(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/04-8/0668
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料ガスから水素含有ガスを生成する水素生成部と、
前記水素生成部に前記原料ガスを供給する原料ガス供給部と、
燃焼に必要な酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給部と、
発電指令に基づき、前記水素含有ガスを利用して発電する燃料電池と、
前記燃料電池において利用されなかった前記水素含有ガスであるオフ燃料ガスを燃焼するように構成され、前記水素生成部を加熱する燃焼部と、
前記燃焼部における火炎電流を計測する計測部と、
前記計測部が計測した前記火炎電流の値が
前記燃焼部が消火状態である時の前記火炎電流の値より大きい第1所定値よりも低くなった場合、前記原料ガス供給部による前記原料ガスの供給量、前記酸化剤ガス供給部による前記酸化剤ガスの供給量、および、前記燃料電池による出力の少なくとも1つを制御する保護制御を実施する制御装置と、
を備え、
前記保護制御が実施されている時間である保護実施時間を計時する計時部をさらに備え、
前記制御装置は、前記計時部により計時された前記保護実施時間に応じて、前記原料ガス供給部、前記酸化剤ガス供給部、および、前記燃料電池の少なくとも1つを制御し、
さらに、前記制御装置は、前記保護制御として、
前記火炎電流の値が、前記第1所定値よりも低くなった時点における前記発電指令に基づく前記燃料電池による出力を出力下限値として設定し、前記燃料電池の出力が前記出力下限値以上となるように前記燃料電池を制御する、
燃料電池システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記保護制御として、
前記火炎電流の値が前記第1所定値よりも低くなった時点における前記原料ガス供給部による前記原料ガスの供給量を第1下限値として設定し、
前記原料ガスの供給量が前記第1下限値以上となるように前記原料ガス供給部を制御する、
請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記保護制御を実施した後、前記保護実施時間が第2所定値を超えた場合、かつ、前記火炎電流の値が前記第1所定値以上となった場合、前記原料ガス供給部による前記原料ガスの供給量の前記第1下限値の設定を解除する、
請求項2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記保護制御を実施した後、前記保護実施時間が第2所定値を超えた場合、かつ、前記火炎電流の値が前記第1所定値より大きな第3所定値以上となった場合、前記原料ガス供給部による前記原料ガスの供給量の前記第1下限値の設定を解除する、
請求項2に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記保護制御として、
前記火炎電流の値が前記第1所定値よりも低くなった時点における前記酸化剤ガス供給部による前記酸化剤ガスの供給量を第2下限値として設定し、
前記酸化剤ガスの前記供給量が前記第2下限値以上となるように前記酸化剤ガス供給部を制御する、
請求項2に記載の燃料電池システム。
【請求項6】
前記制御装置は、前記保護制御を実施した後、前記保護実施時間が第4所定値を超えた場合、かつ、前記火炎電流の値が前記第1所定値以上となった場合、前記酸化剤ガス供給部による前記酸化剤ガスの供給量の前記第2下限値の設定を解除する、
請求項5に記載の燃料電池システム。
【請求項7】
前記制御装置は、前記保護制御を実施した後、前記保護実施時間が第4所定値を超えた場合、かつ、前記火炎電流の値が前記第1所定値より大きな第5所定値以上となった場合、前記酸化剤ガス供給部による前記酸化剤ガスの供給量の前記第2下限値の設定を解除する、
請求項5に記載の燃料電池システム。
【請求項8】
前記制御装置は、
前記保護制御を実施した後、前記保護実施時間が第6所定値を超えた場合、かつ、前記火炎電流の値が前記第1所定値よりも低い場合、前記燃料電池の出力下限値を第7所定値高くなるように前記燃料電池を制御する、
請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項9】
前記制御装置は、前記保護制御を実施した後、前記保護実施時間が第6所定値を超えた場合、かつ、前記火炎電流の値が前記第1所定値以上となった場合、出力下限値の設定を解除する、
請求項8に記載の燃料電池システム。
【請求項10】
前記制御装置は、前記保護制御を実施した後、前記保護実施時間が第6所定値を超えた場合、かつ、前記火炎電流の値が前記第1所定値より大きな第8所定値以上となった場合、出力下限値の設定を解除する、
請求項8に記載の燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、燃焼部の燃焼状態を消火状態であると誤って検知し難い燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、発電出力を制御することで燃焼部の燃焼状態を消火状態であると誤って推定し難い燃料電池システムを開示する。この燃料電池システムは、燃焼部の火炎が燃焼状態か消火状態かを推定する消火推定部と、燃料電池の発電出力を制御する制御装置とを備え、制御装置は、消火推定部が消火状態と推定した場合、燃料電池の出力指令値を消火状態と推定する前の出力指令値より上昇させて燃料電池の発電を継続させる、又は、燃料電池システムの運転を停止させ、その後、燃料電池システムの運転を行う場合、燃料電池の出力指令値を消火状態と推定する前の出力指令値より上昇させるように制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
燃焼部には、原料ガスおよびオフ燃料ガス、すなわち水素が供給される。原料ガスおよび水素が混合したガスの燃焼時は、原料ガスに水素が混合されていないガスの燃焼時よりも火炎電流が小さくなる。したがって、この火炎電流の低下に基づき、消火状態ではない場合にも消火状態であると誤検知する可能性がある。消火状態を誤検知し、再着火動作などの対策制御を繰り返し実施した場合、イグナイタおよび回路などの故障のリスクが増加する。また、誤検知に基づき発電を停止する頻度が増えると、発電時間が確保できず省エネルギー性が悪化するなどの課題が生じる。本開示は、消火状態と判定する前に保護制御を実施する燃料電池システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示における燃料電池システムは、原料ガスから水素含有ガスを生成する水素生成部と、前記水素生成部に前記原料ガスを供給する原料ガス供給部と、燃焼に必要な酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給部と、発電指令に基づき、前記水素含有ガスを利用して発電する燃料電池と、前記燃料電池において利用されなかった前記水素含有ガスであるオフ燃料ガスを燃焼するように構成され、前記水素生成部を加熱する燃焼部と、前記燃焼部における火炎電流を計測する計測部と、前記計測部が計測した前記火炎電流の値が前記燃焼部が消火状態である時の前記火炎電流の値より大きい第1所定値よりも低くなった場合、前記原料ガス供給部による前記原料ガスの供給量、前記酸化剤ガス供給部による前記酸化剤ガスの供給量、および、前記燃料電池による出力の少なくとも1つを制御する保護制御を実施する制御装置と、を備え、前記保護制御が実施されている時間である保護実施時間を計時する計時部をさらに備え、前記制御装置は、前記計時部により計時された前記保護実施時間に応じて、前記原料ガス供給部、前記酸化剤ガス供給部、および、前記燃料電池の少なくとも1つを制御し、さらに、前記制御装置は、前記保護制御として、前記火炎電流の値が、前記第1所定値よりも低くなった時点における前記発電指令に基づく前記燃料電池による出力を出力下限値として設定し、前記燃料電池の出力が前記出力下限値以上となるように前記燃料電池を制御する。
【発明の効果】
【0006】
本開示における燃料電池システムは、消火状態を推定する前に保護制御を実施することにより、消火状態と推定した場合に実施する再着火動作の実施回数が低減させることができる。したがって、イグナイタおよび回路などの故障のリスクを軽減する効果を奏する。また、消火状態の推定による発電停止回数が低減するため、安定して発電継続することができ、省エネルギー性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施の形態1に係る燃料電池システムの構成図
【
図2】実施の形態1に係る燃料電池システムの制御についてのフローチャート
【
図3】燃料電池システムにおける火炎電流値の説明図
【
図4】実施の形態1に係る燃料電池システムにおける原料ガス供給量の説明図
【
図5】実施の形態2に係る燃料電池システムの保護制御についてのフローチャート
【
図6】実施の形態2に係る燃料電池システムにおける酸化剤ガス供給量の説明図
【
図7】実施の形態3に係る燃料電池システムの保護制御についてのフローチャート
【
図8】実施の形態3に係る燃料電池システムにおける出力値の説明図
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、燃焼機器で広く一般的に使用される火炎検知装置である、整流式のフレームロッドを用いて燃料電池システムにおける燃焼部の火炎の有無を検知しようとした場合、順調に燃焼しているにも関わらず、消火状態であると誤検知する場合があった。
【0009】
具体的には燃料電池システムの場合、燃焼部には、原料ガスおよびオフ燃料ガスが供給される。通常、燃料電池システムの発電出力を落とした場合、その低下度合いに応じて、原料ガス流量及び改質器温度の設定も低下させる。しかし、改質器の熱容量等の関係から、改質器の温度は直ぐには低下しない。結果的に原料ガス流量に対する改質器の温度が適正値よりもしばらく高い状態になり、その間の改質効率が高くなりオフ燃料ガス中の水素の比率が高くなる。そうすると原料ガスに含まれる例えばメタンに比べて水素は燃焼温度が低いため、フレームロッドの出力電流(火炎電流)の値が低下するという現象が生じうる。言い換えれば、燃焼部内の燃焼が順調に継続されているにも関わらず、燃料電池システムは燃焼部が消火状態であると誤検知してしまう場合が出てくるという課題を発明者らは発見し、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
【0010】
そこで本開示は、火炎電流の値が第1所定値よりも低くなった場合、原料ガスの供給量、または、酸化剤ガスの供給量、または、燃料電池の出力を制御する燃料電池システム提供する。
【0011】
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0012】
(実施の形態1)
[1-1.構成]
図1は、本開示の実施の形態1に係る燃料電池システム1の構成を示し、燃料電池システム1の構成要素は、筺体2に収納されている。
図1において、水素生成部3は、原料ガスを水素リッチなガスに改質する改質器4、改質器4で発生したCOを変成させるCO変成器5、さらに含有するCOを除去するCO除去機6から構成されている。改質器4を始めとする水素生成部3を適切な温度に加熱するために燃焼部7が設けられている。
【0013】
原料ガスはシステムの外部から供給され、原料ガス供給部8、原料ガス流量計9にて適切な流量で水素生成部3に導入されている。又、燃焼部7での燃焼が最適状態になるように、空気が燃焼空気供給部10、燃焼空気流量計11にて適切な流量で燃焼部7に供給されている。
【0014】
水素生成部3にて生成された燃料ガスは、燃料電池12における不図示のアノード極に供給される。一方、酸素を含む酸化剤ガスとして、加湿器14によって適切な露点に加湿された筐体2の外部の酸化剤ガスが、酸化剤ガス供給部13により燃料電池12における不図示のカソード極に供給される。
【0015】
燃料電池12のアノード極から排出されたオフ燃料ガスは、凝縮器15にて熱分を回収し凝縮水を分離した後、燃焼部7に供給される。凝縮器15から分離された凝縮水は、凝縮水タンク17に回収される。一方、燃料電池12のカソード極から排出されたオフ酸化剤ガスは、凝縮器16にて熱分を回収し凝縮水を分離した後、システム外部へ放出される。凝縮器16から分離された凝縮水は、凝縮水タンク17に回収される。又、水素生成部3から排出される燃焼排ガスは、凝縮器18にて熱分を回収し凝縮水を分離した後、筐体2の外部に放出される。凝縮器18から分離された凝縮水は、凝縮水タンク17に回収される。
【0016】
凝縮水タンク17に回収された水は、水供給ポンプ19により水タンク20に貯留される。水タンク20に貯留された水は、冷却水循環ポンプ21により燃料電池12に冷却水として供給され、燃料電池12での発電時に発生する熱を循環水中に回収している。循環水中に回収した熱は熱交換器22により外部にある不図示の貯湯タンク内に貯留された湯に蓄熱されている。又、前述の凝縮器15、16と18から回収された熱も、外部の貯湯タンク内に貯留された湯に蓄熱されている。
【0017】
また、筐体2の内部には制御装置23が配置されている。制御装置23は燃料電池12にて生成される直流電流を交流電流に変換している。又、燃料電池システム1に使用されている各種アクチュエーターとも接続され、これらの制御を司っている。制御装置23の内部には消火推定部24が形成されている。
【0018】
具体的に燃料電池システム1は、原料ガスから水素含有ガスを生成する水素生成部3と、水素生成部3に原料ガスを供給する原料ガス供給部8と、燃焼に必要な酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給部13と、発電指令に基づき、水素含有ガスを利用して発電する燃料電池12と、燃料電池12において利用されなかった水素含有ガスであるオフ燃料ガスを燃焼するように構成され、水素生成部3を加熱する燃焼部7と、燃焼部7における火炎電流を計測する計測部25と、計測部25が計測した火炎電流の値が予め定められた第1所定値よりも低くなった場合、原料ガス供給部による原料ガスの供給量、酸化剤ガス供給部による酸化剤ガスの供給量、および、燃料電池による出力の少なくとも1つを制御する保護制御を実施する制御装置23とを備える。
【0019】
燃料電池システム1は、保護制御が実施されている時間である保護実施時間を計時する計時部26をさらに備える。また制御装置23は、計時部26により計時された保護実施時間に応じて、原料ガス供給部8、酸化剤ガス供給部13、および、燃料電池12の少なくとも1つを制御する。
【0020】
ここで酸化剤ガスは空気であってよい。また上記計測部25は、火炎電流の値の変化、具体的には炎の中に含まれるイオンの作用により電気抵抗値が変化することを利用して燃焼状態を検知するフレームロッドであってよい。
【0021】
制御装置23は、本開示におけるシステムを制御できるものであればよい。発明の主題を表現する際に、本開示のシステムを制御するものとして、制御装置の他にも制御手段または制御装置またはそれらに類似する文言で表記する場合がある。制御装置23は様々な態様で実現可能である。例えば、制御装置としてプロセッサを用いてもよい。制御装置23としてプロセッサを用いれば、プログラムを格納している記憶媒体からプログラムをプロセッサに読み込ませ、プロセッサによりプログラムを実行することで、各種処理を実行することが可能となる。このため、記憶媒体に格納されたプログラムを変更することで処理内容を変更できるので、制御内容の変更の自由度を高めることができる。プロセッサとしては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、及び、MPU(Micro-Processing Unit)などがある。記憶媒体としては、例えば、ハードディスク、フラッシュメモリ、及び、光ディスクなどがある。また、制御装置23としてプログラムの書き換えが不可能なワイヤードロジックを用いてもよい。制御装置23としてワイヤードロジックを用いれば、処理速度の向上に有効である。ワイヤードロジックとしては、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などがある。また、制御装置23として、プロセッサとワイヤードロジックとを組み合わせて実現してもよい。制御装置23を、プロセッサとワイヤードロジックとを組み合わせて実現すれば、ソフトウェア設計の自由度を高めつつ、処理速度を向上することができる。また、制御装置23と、制御装置23と別の機能を有する回路とを、1つの半導体素子で構成してもよい。別の機能を有する回路としては、例えば、A/D・D/A変換回路などがある。また、制御装置23は、1つの半導体素子で構成してもよいし、複数の半導体素子で構成してもよい。複数の半導体素子で構成する場合、特許請求の範囲に記載の各制御を、互いに異なる半導体素子で実現してもよい。さらに、半導体素子と抵抗またはコンデンサなどの受動部品とを含む構成によって制御装置23を構成してもよい。
【0022】
[1-2.燃料電池システムの基本動作]
以上のように構成された燃料電池システム1の動作と作用を、以下に説明する。燃料電池システムの起動時には、水素生成部3に装着された不図示のヒーターにて水素生成部3の温度を上昇させる。水素生成部3が原料ガスの改質に必要な温度まで上昇すると、原料ガスが水素生成部3に供給され、水素リッチな燃料ガスが生成される。水素生成部3によって燃料ガスを生成させる際は、改質反応に必要な水分として、改質水供給ポンプ27を駆動させることにより水タンク20内の水を水素生成部3に供給している。
【0023】
水素生成部3で生成された燃料ガスは燃料電池12に供給され、酸化剤ガス供給部13で供給され加湿器14で加湿された酸化剤ガスとの反応により発電がおこなわれる。燃料電池12での発電に供された燃料ガスは、電池反応に使用されなかった残留の可燃成分を含んだオフ燃料ガスとして燃料電池12から排出され、凝縮器15にて熱回収及び凝縮水を分離した後、燃焼部7に供給される。燃焼部7に供給されたオフ燃料ガスは水素生成部3の温度を維持するための燃焼ガスとして使用される。燃焼部7での燃焼により発生する燃焼排ガスは、途中に配置した凝縮器18にて熱回収及び凝縮水を分離した後、筐体2の外部に放出している。
【0024】
[1-3.保護制御]
図2は、実施の形態1に係る燃料電池システム1の保護制御についてのフローチャートである。まず燃料電池システム1において、燃焼部7の燃焼状況を確認するために計測部25によって火炎電流を計測する(ステップSA1)。計測された火炎電流の値について、制御装置23は、予め定められた第1所定値よりも低いか否かを判定する(ステップSA2)。
【0025】
なお第1所定値としては、通常運転時における火炎電流の値と消火状態における火炎電流の値の間の値を予め定める。具体的に第1所定値は、燃料電池システム1の大きさや構造、フレームロッドや検出回路の種類等によってさまざまな値を取り得る。例えば消火状態であるか否か消火推定部24が判定するための閾値が0.3μAであり、通常運転中の火炎電流の値が10μAであるならば、第1所定値を0.5μAと定めてよい。
【0026】
火炎電流の値が第1所定値よりも低い場合には(ステップSA2:YES)、制御装置23は、火炎電流の値が第1所定値よりも低くなった時点における原料ガス供給部8による原料ガスの供給量を第1下限値として設定する(ステップSA3)。
そして制御装置23は、保護制御として原料ガス供給部8による原料ガス供給量を第1下限値以上となるように原料ガス供給部を制御する(ステップSA4)。
なお火炎電流の値が第1所定値よりも低くない場合には(ステップSA2:NO)、火炎電流の値の計測に戻る(ステップSA1)。
【0027】
ステップSA4に続けて、燃焼部7の燃焼状況を確認するために計測部25によって火炎電流を計測する(ステップSA5)。計測された火炎電流の値について、制御装置23は、予め定められた第1所定値より低いか否かを判定する(ステップSA6)。火炎電流の値が第1所定値より低くない場合(ステップSA6:NO)、制御装置23は保護制御開始後、計時部26によって測定される保護実施時間が予め定められた第2所定値を超えたか否かを判定する(ステップSA7)。第2所定値は、例えば3秒である。保護実施時間が第2所定値を超えた場合(ステップSA5:YES)、制御装置23は、原料ガス供給部8による原料ガスの供給量の第1下限値の設定を解除し(ステップSA8)、ステップSA1に戻る。
【0028】
ステップSA6で、火炎電流の値が第1所定値よりも低い場合には(ステップSA6:YES)、ステップSA5に戻る。
保護実施時間が第2所定値を超えていない場合(ステップSA6:NO)、ステップSA5に戻る。
【0029】
なお、
図2のフローチャートでは、ステップSA5において火炎電流の値が第1所定値より低いか否かで判定しているが、保護制御のON/OFFが短時間に繰り返されるのを防ぐために、ステップSA5における閾値を、ステップSA2の閾値である第1所定値よりも大きな値にしてもよい。具体的に制御装置23は、保護制御を実施した後、保護実施時間が第2所定値を超えた場合、かつ、火炎電流の値が第1所定値より大きな第3所定値以上となった場合、原料ガス供給部8による原料ガスの供給量の第1下限値の設定を解除してよい。
【0030】
図3は、燃料電池システム1における火炎電流の値の変化を説明する説明図である。燃料電池システム1運転時に、なんらかの原因で火炎電流の値が低下し、予め定められた第1所定値より低くなったとする。この場合、燃焼部7が消火状態になったと消火推定部24が判定してしまう前に、本実施の形態に係る燃料電池システム1は、保護制御動作を行う。具体的には火炎電流の値が第1所定値になった時刻をT1として、保護制御を実施している時間である保護制御実施時間が第2所定値T2になるまで保護制御を行う。本実施の形態に係る燃料電池システム1における具体的な保護制御は、
図4において説明する。
【0031】
図4は、実施の形態1に係る燃料電池システム1が行う保護制御における原料ガス供給量の変化を説明するグラフである。
図2および
図3と合わせて保護制御について説明する。
ここでグラフの破線は原料ガス供給部8から供給される原料ガスの供給量の時間変化を示す。またグラフの実線は制御装置23が定める原料ガス供給量の下限値の時間変化を示す。
原料ガス供給量が下がり、
図3に示す時刻T1において計測部25で計測される火炎電流の値が第1所定値になった場合、
図2のステップSA4に従い、制御装置23は、保護制御として原料ガス供給部8による原料ガス供給量を第1下限値以上となるように原料ガス供給部8を制御する。このとき時刻T1において
図2のステップSA3に従い、制御装置23は、火炎電流の値が第1所定値よりも低くなった時点における原料ガス供給部8による原料ガスの供給量を第1下限値として設定する。
【0032】
火炎電流の値が第1所定値以上になり、且つ、保護制御実施時間が第2所定値T2を超えた場合、
図2のステップSA8に従い、制御装置23は、原料ガス供給部8による原料ガスの供給量の第1下限値の設定を解除する。
【0033】
[1-4.効果等]
以上のように、本実施の形態において、燃料電池システム1は、原料ガスから水素含有ガスを生成する水素生成部3と、水素生成部3に原料ガスを供給する原料ガス供給部8と、燃焼に必要な酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給部13と、発電指令に基づき、水素含有ガスを利用して発電する燃料電池12と、燃料電池12において利用されなかった水素含有ガスであるオフ燃料ガスを燃焼するように構成され、水素生成部3を加熱する燃焼部7と、燃焼部7における火炎電流を計測する計測部25と、計測部25が計測した火炎電流の値が第1所定値よりも低くなった場合、原料ガス供給部8による原料ガスの供給量、酸化剤ガス供給部13による酸化剤ガスの供給量、および、燃料電池12による出力の少なくとも1つを制御する保護制御を実施する制御装置23とを備える。
【0034】
これにより燃料電池システム1は、消火状態を推定する前に保護制御を実施することにより、消火状態を推定した場合に実施する再着火動作の実施回数が低減する。そのためイグナイタおよび回路などの故障のリスクを軽減することができる。また、消火状態の推定による発電停止回数が低減するため、安定して発電継続することができ、省エネルギー性が向上するという効果を奏する。
【0035】
本実施の形態において、燃料電池システム1は、保護制御が実施されている時間である保護実施時間を計時する計時部26をさらに備え、制御装置23は、計時部26により計時された保護実施時間に応じて、原料ガス供給部8、酸化剤ガス供給部13、および、燃料電池12の少なくとも1つを制御する。
【0036】
これにより燃料電池システム1は、保護制御を行う時間を限定することができるので、本当に消火状態である場合に再着火動作をおこなうまでの時間を短時間にすることができる。そのため無駄に長時間の保護制御をおこなうことなく燃料電池の運用をすることができるという効果を奏する。
【0037】
本実施の形態において、燃料電池システム1は、制御装置23が、保護制御として、火炎電流の値が第1所定値よりも低くなった時点における原料ガス供給部8による原料ガスの供給量を第1下限値として設定し、原料ガスの供給量が第1下限値以上となるように原料ガス供給部8を制御する。
【0038】
これにより、燃料電池システム1は、原料ガスの供給を継続することができるので、消火状態でない場合には改質部などの温度が適正な値になるのを待つことで、イオン量が増加して火炎電流が上がるため、消火推定部24が消火状態であると誤って推定する前に再着火動作を回避することができる。そのためイグナイタおよび回路などの故障のリスクを軽減することができる。また、消火状態の推定による発電停止回数が低減するため、安定して発電継続することができ、省エネルギー性が向上するという効果を奏する。
【0039】
本実施の形態において、燃料電池システム1は、制御装置23が、保護制御を実施した後、保護実施時間が第2所定値を超えた場合、かつ、火炎電流の値が第1所定値以上となった場合、原料ガス供給部8による原料ガスの供給量の第1下限値の設定を解除する。
【0040】
これにより燃料電池システム1は、原料ガスの供給量の下限値を必要な保護制御の間だけ、高い値に保つことができ、無駄に多くの原料ガスを燃料電池12へ供給しなくてすむ。そのため安定した発電継続と、省エネルギー性を両立することができるという効果を奏する。
【0041】
本実施の形態において、燃料電池システム1は、制御装置23が、保護制御を実施した後、保護実施時間が第2所定値を超えた場合、かつ、火炎電流の値が第1所定値より大きな第3所定値以上となった場合、原料ガス供給部8による原料ガスの供給量の第1下限値の設定を解除する。
【0042】
これにより燃料電池システム1は、原料ガスの供給量の下限値を必要な保護制御の間だけ、高い値に保つことができ、無駄に多くの原料ガスを燃料電池12へ供給しなくてすむ。また保護制御のON/OFFが短時間に繰り返されるのを防ぐことができる。そのため安定した発電継続と、省エネルギー性を両立することができるという効果を奏する。
【0043】
(実施の形態2)
[2-1.構成]
本開示の実施の形態2に係る燃料電池システム1の物理的な構成と基本動作は、上記実施の形態1に係る燃料電池システム1と同様なので記載を省略する。
【0044】
[2-2.保護制御の説明]
図5は、実施の形態2に係る燃料電池システム1の制御についてのフローチャートである。まず燃料電池システム1において、燃焼部7の燃焼状況を確認するために計測部25によって火炎電流を計測する(ステップSB1)。計測された火炎電流の値について、制御装置23は、予め定められた第1所定値よりも低いか否かを判定する(ステップSB2)。
【0045】
なお第1所定値としては、通常運転時における火炎電流の値と消火状態における火炎電流の値の間の値を予め定める。具体的に第1所定値は、燃料電池システム1の大きさや構造、フレームロッドや検出回路の種類等によってさまざまな値を取り得る。例えば消火状態であるか否か消火推定部24が判定するための閾値が0.3μAであり、通常運転中の火炎電流の値が10μAであるならば、第1所定値を0.5μAと定めてよい。
【0046】
火炎電流の値が第1所定値よりも低い場合には(ステップSB2:YES)、制御装置23は、火炎電流の値が第1所定値よりも低くなった時点における酸化髄ガス供給部13による酸化剤ガスの供給量を第2下限値として設定する(ステップSB3)。
そして制御装置23は、保護制御として酸化剤ガスの供給量が第2下限値以上となるように酸化髄ガス供給部13を制御する(ステップSB4)。
なお火炎電流の値が第1所定値よりも低くない場合には(ステップSB2:NO)、火炎電流の値の計測に戻る(ステップSB1)。
【0047】
ステップSB4に続けて、燃焼部7の燃焼状況を確認するために計測部25によって火炎電流を計測する(ステップSB5)。計測された火炎電流の値について、制御装置23は、予め定められた第1所定値より低いか否かを判定する(ステップSB6)。火炎電流の値が第1所定値より低くない場合(ステップSB6:NO)、制御装置23は保護制御開始後、計時部26によって測定される保護実施時間が予め定められた第4所定値を超えたか否かを判定する(ステップSB7)。第3所定値は、例えば3秒である。保護実施時間が第4所定値を超えた場合(ステップSB5:YES)、制御装置23は、酸化髄ガス供給部13による酸化剤ガスの供給量の第2下限値の設定を解除し(ステップSB8)、ステップSB1に戻る。
【0048】
ステップSB6で、火炎電流の値が第1所定値よりも低い場合には(ステップSB6:YES)、ステップSB5に戻る。
保護実施時間が第4所定値を超えていない場合(ステップSB7:NO)、ステップSB5に戻る。
【0049】
なお、
図5のフローチャートでは、ステップSB5において火炎電流の値が第1所定値より低いか否かで判定しているが、保護制御のON/OFFが短時間に繰り返されるのを防ぐために、ステップSB5における閾値を、ステップSB2の閾値である第1所定値よりも大きな値にしてもよい。具体的に制御装置23は、保護制御を実施した後、保護実施時間が第4所定値を超えた場合、かつ、火炎電流の値が第1所定値より大きな第5所定値以上となった場合、酸化剤ガス供給部13による酸化剤ガスの供給量の第2下限値の設定を解除してよい。
【0050】
図6は、実施の形態2に係る燃料電池システム1における酸化剤ガス供給量の変化を説明するグラフである。
図3および
図5と合わせて保護制御について説明する。
ここでグラフの破線は酸化剤ガス供給部13から供給される酸化剤ガスの供給量の時間変化を示す。またグラフの実線は制御装置23が定める酸化剤ガス供給量の下限値の時間変化を示す。
酸化剤ガス供給量が下がり、
図3に示す時刻T1において計測部25で計測される火炎電流の値が第1所定値になった場合、
図5のステップSB4に従い、制御装置23は、保護制御として酸化剤ガス供給部13による酸化剤ガス供給量を第2下限値以上となるように酸化剤ガス供給部13を制御する。このとき時刻T1において
図5のステップSB3に従い、制御装置23は、火炎電流の値が第1所定値よりも低くなった時点における酸化剤ガス供給部13による酸化剤ガスの供給量を第2下限値として設定する。
【0051】
火炎電流の値が第1所定値以上になり、且つ、保護制御実施時間が、第4所定値T4を超えた場合、
図5のステップSB6に従い、制御装置23は、酸化剤ガス供給部13による酸化剤ガスの供給量の第2下限値の設定を解除する。
【0052】
本実施の形態において、燃料電池システム1は、制御装置23が、保護制御として、火炎電流の値が第1所定値よりも低くなった時点における酸化剤ガス供給部13による酸化剤ガスの供給量を第2下限値として設定し、酸化剤ガスの供給量が第2下限値以上となるように酸化剤ガス供給部13を制御する。
【0053】
これにより燃料電池システム1に係る燃料電池12は出力を上げることになり、結果としてオフ燃料ガスの水素濃度が下がって火炎電流の値が大きくなる。そのため、消火推定部24が消火状態であると誤った判定をする前に、火炎電流の値を上げて通常燃焼状態であることを示すことができ、再着火動作の回数を下げる効果を奏する。
【0054】
本実施の形態において、燃料電池システム1は、制御装置23が、保護制御を実施した後、保護実施時間が第4所定値T4を超えた場合、かつ、火炎電流の値が第1所定値以上となった場合、酸化剤ガス供給部13による酸化剤ガスの供給量の第2下限値の設定を解除する。
【0055】
これにより燃料電池システム1は、酸化剤ガスの供給量の下限値を必要な保護制御の間だけ、高い値に保つことができ、無駄に多くの酸化剤ガスを燃料電池12へ供給しなくてすむ。そのため安定した発電継続と、省エネルギー性を両立することができるという効果を奏する。
【0056】
本実施の形態において、燃料電池システム1は、制御装置23が、保護制御を実施した後、保護実施時間が第4所定値を超えた場合、かつ、火炎電流の値が第1所定値より大きな第5所定値以上となった場合、酸化剤ガス供給部13による酸化剤ガスの供給量の第2下限値の設定を解除する。
【0057】
これにより燃料電池システム1は、酸化剤ガスの供給量の下限値を必要な保護制御の間だけ、高い値に保つことができ、無駄に多くの酸化剤ガスを燃料電池12へ供給しなくてすむ。また保護制御のON/OFFが短時間に繰り返されるのを防ぐことができる。そのため安定した発電継続と、省エネルギー性を両立することができるという効果を奏する。
【0058】
(実施の形態3)
[3-1.構成]
本開示の実施の形態3に係る燃料電池システム1の物理的な構成と基本動作は、上記実施の形態1に係る燃料電池システム1と同様なので記載を省略する。
【0059】
[3-2.保護制御の説明]
図7は、実施の形態3に係る燃料電池システム1の制御についてのフローチャートである。まず燃料電池システム1において、燃焼部7の燃焼状況を確認するために計測部25によって火炎電流を計測する(ステップSC1)。計測された火炎電流の値について、制御装置23は、予め定められた第1所定値よりも低いか否かを判定する(ステップSC2)。
【0060】
なお第1所定値としては、通常運転時における火炎電流の値と消火状態における火炎電流の値の間の値を予め定める。具体的に第1所定値は、燃料電池システム1の大きさや構造、フレームロッドや検出回路の種類等によってさまざまな値を取り得る。例えば消火状態であるか否か消火推定部24が判定するための閾値が0.3μAであり、通常運転中の火炎電流の値が10μAであるならば、第1所定値を0.5μAと定めてよい。
【0061】
火炎電流の値が第1所定値よりも低い場合には(ステップSC2:YES)、制御装置23は、火炎電流の値が第1所定値よりも低くなった時点における所定値よりも低くなった時点における発電指令に基づく燃料電池12による出力を出力下限値として設定する(ステップSC3)。
【0062】
制御装置23は、保護制御として燃料電池の出力が出力下限値以上となるように燃料電池を制御する(ステップSC4)。
【0063】
なお火炎電流の値が第1所定値よりも低くない場合には(ステップSC2:NO)、火炎電流の値の計測に戻る(ステップSC1)。
【0064】
さて次に、計測部25によって火炎電流を計測し、計測された火炎電流の値について、制御装置23は、予め定められた第1所定値よりも低いか否かを判定する(ステップSC5)。火炎電流の値が第1所定値よりも低い場合は(ステップSC5:YES)、計時部26によって計時された保護制御の時間が、予め定められた第6所定値を超えたか否かを判定する(ステップSC6)。第6所定値は、例えば3秒間である。保護実施時間が第6所定値を超えた場合(ステップSC6:YES)、制御装置23は、燃料電池の出力下限値を第7所定値高くなるように燃料電池を制御する(ステップSC7)。その後ステップSC5へ戻る。
【0065】
保護実施時間が第6所定値を超えていない場合には(ステップSC6:NO)、火炎電流の値が第1所定値より低いか否かの判定に戻る(ステップSC5)。
【0066】
火炎電流の値が第1所定値より低くない場合(ステップSC5:NO)、制御装置23は燃料電池12の出力下限値の設定を解除し(ステップSC8)、ステップSC1へ戻る。
【0067】
なお、
図7のフローチャートでは、ステップSC5において火炎電流の値が第1所定値より低いか否かで判定しているが、保護制御のON/OFFが短時間に繰り返されるのを防ぐために、ステップSC5における閾値を、ステップSC2の閾値である第1所定値よりも大きな値にしてもよい。具体的に制御装置23は、保護制御を実施した後、保護実施時間が第6所定値を超えた場合、かつ、火炎電流の値が第1所定値より大きな第8所定値以上となった場合、出力下限値の設定を解除してよい。
【0068】
図8は、実施の形態3に係る燃料電池システム1における出力値変化を説明するグラフである。
図3および
図7と合わせて保護制御について説明する。
ここでグラフの破線は燃料電池12の出力の時間変化を示す。またグラフの実線は制御装置23が定める発電指令における燃料電池12の出力についての下限値の時間変化を示す。
【0069】
燃料電池12の出力が下がり、
図3に示す時刻T1において計測部25で計測される火炎電流の値が第1所定値より低くなった場合、
図7のステップSC4に従い、制御装置23は、保護制御として燃料電池の出力が出力下限値以上となるように燃料電池を制御する。このとき時刻T1において
図7のステップSC3に従い、制御装置23は、火炎電流の値が第1所定値よりも低くなった時点における燃料電池12の出力を出力下限値として設定する。
【0070】
次に制御装置23は、火炎電流の値が第1所定値以上になり、且つ、保護実施時間が第6所定値T6を超えた場合、燃料電池の出力下限値を予め定められた第7所定値高くするように制御する。以降、計測部25によって測定される火炎電流の値が、第1所定値以上になるまで、この制御を繰り返す。そして制御装置23は、燃料電池12の出力下限値の設定を解除する。
【0071】
本実施の形態において、燃料電池システム1は、制御装置23が、保護制御として、火炎電流の値が第1所定値よりも低くなった時点における発電指令に基づく燃料電池12による出力を出力下限値として設定し、燃料電池12の出力が出力下限値以上となるように燃料電池12を制御する。
【0072】
これにより燃料電池システム1に係る燃料電池12は出力を上げることになり、結果としてオフ燃料ガスの水素濃度が下がって火炎電流の値が大きくなる。そのため、消火推定部24が消火状態であると誤った判定をする前に、火炎電流の値を上げて通常燃焼状態であることを示すことができ、再着火動作の回数を下げる効果を奏する。
【0073】
本実施の形態において、燃料電池システム1は、制御装置23が、保護制御を実施した後、保護実施時間が第6所定値を超えた場合、かつ、火炎電流の値が第1所定値よりも低い場合、燃料電池12の出力下限値を第7所定値高くなるように燃料電池12を制御する。
【0074】
これにより燃料電池システム1は、火炎電流の値が燃料電池の出力変化に応じて変化するまでの応答時間である第6所定値の間、出力の値を固定するので、必要十分なだけ燃料電池の出力を上昇させるだけですむ。そのため安定した発電継続と、省エネルギー性を両立することができるという効果を奏する。
【0075】
本実施の形態において、燃料電池システム1は、制御装置23が、保護制御を実施した後、保護実施時間が第6所定値を超えた場合、かつ、火炎電流の値が第1所定値以上となった場合、出力下限値の設定を解除する。
【0076】
これにより燃料電池システム1は、出力の下限値を必要な保護制御の間だけ、高い値に保つことができ、燃料電池12は無駄に大きな出力を保つ必要がない。そのため安定した発電継続と、省エネルギー性を両立することができるという効果を奏する。
【0077】
本実施の形態において、燃料電池システム1は、制御装置23が、保護制御を実施した後、保護実施時間が第6所定値を超えた場合、かつ、火炎電流の値が第1所定値より大きな第8所定値以上となった場合、出力下限値の設定を解除する。
【0078】
これにより燃料電池システム1は、出力の下限値を必要な保護制御の間だけ、高い値に保つことができ、燃料電池12は無駄に大きな出力を保つ必要がない。また保護制御のON/OFFが短時間に繰り返されるのを防ぐことができる。そのため安定した発電継続と、省エネルギー性を両立することができるという効果を奏する。
【0079】
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1、2、および3を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1、2および3で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0080】
例えば、
図2、
図5、
図7に示す制御動作のステップ単位は、燃料電池システム1の各部の動作の理解を容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものであり、処理単位の分割の仕方や名称によって、本発明が限定されることはない。処理内容に応じて、さらに多くのステップ単位に分割してもよい。また、1つのステップ単位がさらに多くの処理を含むように分割してもよい。また、そのステップの順番は、本発明の趣旨に支障のない範囲で適宜に入れ替えてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本開示は、燃焼部を有する燃料電池システム一般に適用可能である。
【符号の説明】
【0082】
1 燃料電池システム
2 筺体
3 水素生成部
4 改質器
5 CO変成器
6 CO除去機
7 燃焼部
8 原料ガス供給部
9 原料ガス流量計
10 燃焼空気供給部
11 燃焼空気流量計
12 燃料電池
13 酸化剤ガス供給部
14 加湿器
15 凝縮器
16 凝縮器
17 凝縮水タンク
18 凝縮器
19 水供給ポンプ
20 水タンク
21 冷却水循環ポンプ
22 熱交換器
23 制御装置
24 消火推定部
25 計測部
26 計時部
27 改質水供給ポンプ